JP5708347B2 - 単気筒エンジンの行程判別装置 - Google Patents

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Description

本発明は、クランク軸の回転位置が、圧縮行程および排気行程のうちいずれの行程の側にあるかを判別する、単気筒エンジンの行程判別装置に関する。
特許文献1には、始動モータを正転駆動させる前に逆転駆動させる旨が記載されている。この逆転駆動力では、エンジンのピストンが圧縮行程を乗り越えられないことを前提としており、乗り越えられずにクランク軸の回転が停止した時点で正転駆動に切り替えている。これによれば、正転駆動力に圧縮反力が付加されるので、小さな正転駆動力で圧縮行程を乗り越えることができるようになり、ひいては始動モータの小型化を図ることができる。
ところで、4サイクルエンジンの場合にはクランク角720°を1燃焼サイクルとするので、1燃焼サイクルで2回転するクランク軸の回転角を検出するクランク角センサの検出値だけでは、現時点での回転位置が排気行程および圧縮行程のいずれであるかを判別(行程判別)できない。
これに対し上記特許文献1記載の発明では、上述の如くクランク軸が回転停止することを利用して行程判別している。すなわち、逆転駆動時に回転停止した位置が、圧縮行程および排気行程のうちの圧縮行程の側にあると判別する。
WO00/34649号公報
しかしながら、上記従来発明では、圧縮反力で回転停止するまで逆転駆動させることを前提としており、圧縮上死点近傍まで逆転駆動させなければ圧縮行程の側にあることを判別することができず、行程判別に要する回転時間が長い。特に単気筒エンジンでは、正転時の圧縮行程手前付近でエンジン停止する機会が多く、この位置から圧縮行程まで逆転させるには1回転半以上の回転が必要となり、行程判別に要する回転時間が長くなるという問題があった。
なお、吸排気バルブを駆動させるカム軸の回転角を検出するカムセンサを搭載させれば、カムセンサおよびクランク角センサの検出値に基づき容易に行程判別が可能となるが、カムセンサが必要となる分だけコストアップを招く。
また、吸気圧センサの検出値に基づけば行程判別が可能であるが、始動時には低回転であるため吸気負圧は大きく変動しないので、吸気行程時の吸気圧と圧縮行程時の吸気圧との差が明確に現れない。そのため、吸気圧センサの検出値をクランク軸2回転分取得しただけでは行程判別の精度が悪く、複数回転分の検出値に基づき行程判別しているのが現状である。よって、行程判別に要する時間が更に長くなっている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、カムセンサや吸気圧センサを要することなく迅速でかつ容易に行程判別が可能となる単気筒エンジンの行程判別装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
第1の発明では、単気筒エンジンのクランク軸に回転力を付与する始動モータを備えるエンジンに適用されることを前提とする。
そして、前記エンジンのピストンが圧縮行程を乗り越えられず且つ排気行程を乗り越えられる大きさに設定された駆動トルクで、前記始動モータを駆動させる制御手段と、前記クランク軸の回転角の基準位置を検出する基準検出手段と、前記制御手段により前記基準位置から所定回転角以上回転させても、前記クランク軸の回転停止が生じなければ、現時点での回転位置は圧縮行程および排気行程のうち排気行程の側にあると判別する排気行程判別手段と、前記制御手段により前記基準位置から前記所定回転角を回転させるまでに、或いは前記基準位置が検出されるまでに、前記クランク軸の回転停止が生じた場合には、現時点での回転位置は圧縮行程および排気行程のうち圧縮行程の側にあると判別する圧縮行程判別手段と、を備えることを特徴とする。
上記発明の如く、ピストンが圧縮行程を乗り越えられず且つ排気行程を乗り越えられる大きさに設定された駆動トルクで逆転駆動または正転駆動させれば、基準位置から圧縮または排気行程までの所定回転角だけ駆動させてみて回転停止が生じなければ、排気行程の側にある筈である。そのため、上記発明にかかる排気行程判別手段によれば、圧縮上死点近傍まで逆転駆動または正転駆動させることなく排気行程の側にあると行程判別できる。一方、基準位置から所定回転角を回転させるまでに回転停止が生じれば、圧縮行程の側にある筈である。以上により、上記発明によれば、駆動開始時の回転位置に拘わらず、回転方向に応じた所定回転角だけ回転させれば圧縮行程および排気行程のいずれの側にあるかを判別できるので、カムセンサを要することなく迅速かつ容易に行程判別ができる。
第2の発明では、前記制御手段は、前記排気行程判別手段により排気行程の側にあると判別された場合、前記クランク軸の回転位置が所定位置に達するまで駆動させた後に、正転駆動させることを特徴とする。
ここで、そもそも前記制御手段は、上述の如く行程判別を実施することと、始動の目的で正転駆動させる時にピストンが圧縮行程に達するまでのクランク回転力(助走回転距離)を増大させることにある。したがって、所定回転角以上回転させて排気行程判別手段による判別が為された場合であっても、十分な助走回転距離を確保できていない場合がある。
この点を鑑みた上記発明では、例えば、制御手段により逆転駆動させて排気行程の側にあると判別された場合、逆転駆動方向の圧縮行程位置よりも正転側の位置に設定された所定位置に達するまで逆転駆動を継続させ、その後で正転駆動に切り替える。そのため、十分な助走回転距離を確保した上で正転駆動に切り替えるようにでき、ひいては、正転駆動により圧縮行程を乗り越えさせてエンジン始動させることが確実にできる。換言すれば、助走回転距離で得られた回転の慣性力を正転駆動トルクに加算したトルクで圧縮行程を乗り越えさせるので、正転駆動トルクを小さくでき、始動モータの小型化を図ることができる。
なお、本発明では、上述の如く逆転駆動させることに替え、制御手段により正転駆動させても行程判別できる。そして、正転駆動方向の圧縮行程手前付近でエンジン停止する機会が多くなることを考慮すれば、制御手段により正転駆動させると直ぐに圧縮行程に達して回転停止することになるので、逆転駆動させる場合に比べて少ない回転量で直ぐに行程判別できるようになる。そして、上記発明では、正転駆動させて行程判別が為された後、そこから所定位置まで逆転駆動させた後に、正転駆動させることとなる。この場合、助走回転距離を確保すべく逆転駆動させる時に、排気行程側であることを確認し、その確認の後に正転駆動に切り替えるようにして、行程判別の精度を高めてもよい。
更には、制御手段による行程判別のための駆動では、始動モータの駆動トルクを100%未満で駆動し、エンジン始動時の正転駆動時には100%で駆動させて助走回転距離を短くなるように始動モータの出力を設定してもよい。
第3の発明では、前記エンジンが低温であるほど、前記駆動トルクを高い値に設定することを特徴とする。
ここで、エンジンが低温であるほどエンジン潤滑油の粘度が高くなりピストンの摩擦力が大きくなる。そのため、ピストンが排気行程を乗り越えるのに必要な始動モータの駆動トルクは大きくなる。この点を鑑みた上記発明では、エンジンが低温であるほど前記駆動トルクを高い値に設定するので、圧縮行程は乗り越えられないが排気行程は乗り越えられる大きさの駆動トルクで駆動させることが、精度良く実現できる。なお、エンジンが低温であるか否かは、エンジン冷却水の温度や吸気の温度等により判定すればよい。
第4の発明では、前記駆動トルクに基づき前記始動モータを制御するにあたり、前記始動モータへ電力供給するバッテリの端子電圧が低いほど前記駆動トルクを高い値に設定することを特徴とする。
ここで、例えば始動モータをデューティ制御する場合において、バッテリの蓄電量が低下して端子電圧が低下してくると、デューティ比が同じであっても始動モータの駆動トルクは小さくなる。この点を鑑みた上記発明では、バッテリの端子電圧が低いほど駆動トルクを高い値に設定するので、デューティ比が大きい値に設定されることとなり、実際の駆動トルクが駆動トルクよりも小さくなることを回避できる。
なお、一般的なデューティ制御は、始動モータへ印加するパルス電圧の周期を一定にしつつ、前記周期に対するパルスオン時間の割合(デューティ比)を制御するものであるが、上記発明は、このようにパルス電圧の周期を一定にすることに限定されるものではなく、パルス電圧の周期を可変設定しつつパルス幅を制御(パルス幅制御)する場合にも適用可能である。そして、パルス幅制御の場合には、バッテリの端子電圧が低いほど駆動パルス幅を長く設定すればよい。
以上により、上記発明によれば、圧縮行程は乗り越えられないが排気行程は乗り越えられる大きさの駆動トルクで駆動させることが、精度良く実現できる。
第5の発明では、前記ピストンが圧縮行程を乗り越えやすくするように、圧縮行程時の筒内圧を減圧させるデコンプ機構を備えたエンジンに適用され、前記デコンプ機構を作動させて減圧させている時には、非減圧時に比べて前記駆動トルクを低い値に設定することを特徴とする。
ここで、デコンプ機構により減圧させている時には、ピストンが圧縮行程を乗り越えやすくなるので、当該減圧に伴い駆動トルクを低くしなければ、制御手段による駆動時に圧縮行程を乗り越えてしまうことが懸念される。この点を鑑みた上記発明では、デコンプ機構を作動させて減圧させている時には、非作動時に比べて駆動トルクを低い値に設定するので、制御手段による駆動時に圧縮行程を乗り越えてしまうとの上記懸念を解消できる。
本発明の第1実施形態にかかるエンジンを示す図。 図1のACGスタータのハード構成を示す図。 図2のU相センサ、V相センサおよびW相センサの取付け位置と、異極磁性部の形状を説明する図。 第1実施形態において、組合せ情報NNUMの変化を示すタイムチャート。 第1実施形態において、スイングバック制御および行程判別の処理手順を示すフローチャート。 第1実施形態において、バッテリ電圧およびエンジン温度と、駆動duty(または駆動パルス幅)との関係を示す図。 図5の処理を実施した場合の一態様を示すタイムチャート。 本発明の第2実施形態において、UVW相センサの取付け位置と、異極磁性部の形状を説明する図。 第2実施形態において、スイングバック制御および行程判別を実施した場合の一態様を示すタイムチャート。
以下、本発明を具体化した各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
(第1実施形態)
本実施形態にかかる単気筒エンジンの行程判別装置は、二輪車両に搭載されたエンジン(内燃機関)を適用対象としており、図1は、エンジン10の吸気ポートへ燃料を噴射するインジェクタ11、および点火プラグ12へ二次電圧を印加する点火コイル12aの作動を制御する電子制御装置(ECU13)、後に詳述するACGスタータ20(始動発電機)を示す。ACGスタータ20は特許請求の範囲に記載の「始動モータ」に相当する。なお、図1に記載のエンジン10は、吸気→圧縮→爆発→排気の各行程を繰り返す4サイクルエンジン、かつ単気筒エンジンである。
ACGスタータ20は、エンジン10の始動モータとして機能するとともに、エンジン10のクランク軸14(出力軸)により駆動して交流発電機としても機能するブラシレス三相交流始動発電機である。ちなみに、二輪車両の駆動輪とクランク軸14との動力伝達経路中には、以下に説明するトルク伝達機構が備えられている。すなわち、ACGスタータ20のモータ駆動を開始してからクランク軸14の回転速度NEが所定値以上になるまではトルク伝達を遮断し、所定値に達した時点でトルク伝達するように作動する、遠心クラッチ伝達機構やクラッチ操作等で遮断・伝達を実施するトルク伝達機構である。
ACGスタータ20は、U相の電気角を表したU相信号を出力するU相センサSU、V相の電気角を表したV相信号を出力するV相センサSV、およびW相の電気角を表したW相信号を出力するW相センサSWを有している。なお、これらのUVW相センサSU〜SWのうちU相センサSU(位相センサ)については、クランク軸14の基準位置を表したクランク角信号を出力する機能をも兼ね備えている。
ECU13は、これらのUVW相センサSU〜SWから出力されるUVW相信号(モータ制御用信号)に基づき、ACGスタータ20のU相コイルCU、V相コイルCVおよびW相コイルCWへの通電タイミングを制御することで、ACGスタータ20を所望の回転方向へ回転駆動させるようにモータ駆動制御する。
詳細には、ECU13に備えられたマイコン13aが、駆動回路13bのスイッチング素子のオンオフ切り替えを制御することにより、バッテリ18からの電力を上述の如くUVW相コイルCU〜CWへ流すように通電制御を実施する。
スロットルセンサ15は、吸気量を調節するスロットルバルブ15aの開度を検出する。吸気圧センサ16は、吸気ポート内の圧力を検出する。そしてECU13は、ACGスタータ20から出力されるクランク角信号、スロットルセンサ15から出力されるスロットル開度、吸気圧センサ16から出力される負圧等の信号に基づき、インジェクタ11および点火コイル12aの作動を制御する。
より詳細に説明すると、ECU13は、クランク角信号に基づきクランク軸14の回転速度NEを算出し、吸気圧センサ16による負圧PMに基づきエンジン負荷を算出する。また、これらのNEおよびPMに基づき、燃料の目標噴射量、目標噴射時期、目標点火時期を算出する。また、UVW相センサSU〜SWから出力されるUVW相信号およびクランク角信号に基づきクランク軸14の回転角の基準位置を算出し、算出した基準位置およびクランク角信号に基づき現時点での回転位置(エンジン行程に応じた0〜720°の角度)を算出する。そして、その回転位置の情報に基づき、目標噴射時期で燃料が噴射されるようにインジェクタ11の作動を制御するとともに、目標点火時期で点火するように点火コイル12aの作動を制御する。
図2は、ACGスタータ20のハード構成を示す図であり、当該ACGスタータ20は、ロータ30の内周側にステータ40を備えて構成されている。ロータ30は、永久磁石(N極マグネット32NおよびS極マグネット32S)を有している。N極マグネット32NおよびS極マグネット32Sは、回転方向に交互に並べて配置されており、図2の例では12個(12極)の永久磁石を並べている。ロータ30は、ボルト等の締結手段によりクランク軸14に固定され、クランク軸14と同じ回転速度(NE)で常時回転する。これにより、ロータ30はエンジンのフライホイールとしても機能する。
ステータ40は、先述したU相コイルCU、V相コイルCVおよびW相コイルCWコイルおよびUVW相センサSU〜SWと、これらのコイルが巻き回されるティース部41が形成された鉄心42とを備える。ティース部41は回転方向に複数並べて配置されており、各々のティース部41には、U相コイルCU、V相コイルCVおよびW相コイルCWコイルが順番に巻き回されている。図2の例では、18個のティース部41を並べている。
UVW相センサSU〜SWは、ステータ40の外周面上に取り付けられることで、N極マグネット32NおよびS極マグネット32Sと対向する位置にある。これにより、ロータ30が回転することに伴い生じるN極マグネット32NおよびS極マグネット32Sによる磁性の変化を検出する。なお、UVW相センサSU〜SWにはホールICが採用されている。そのため、ロータ30が回転していない時であっても、対向するマグネットの極性に応じた検出信号を出力することができる。
UVW相センサSU〜SWは、ロータ回転方向においてそれぞれ異なる位置に取り付けられている。具体的には、複数のティース部41の間隙41aのうちUVW相センサSU〜SWの各々は異なる間隙41aに配置されており、図2(a)の例では、複数の間隙41aのうち隣り合う間隙に、U相センサSU、V相センサSV、W相センサSWを順番に配置している。そのため、UVW相センサSU〜SWの各々は機械角20度分だけずれている。
図3に示すように、複数のマグネット32S,32Nのうち所定のマグネット32S(A)(図3の例ではS極マグネット32S)の一部分には、以下に説明する異極磁性部34が形成されている。すなわち、図3の斜線に示す部分だけは、S極マグネット32Sとは異なる極性(N極)に着磁されている。この異極磁性部34は、所定のマグネット32S(A)のうちロータ回転軸方向(図3の上下方向)の一端部分に形成されるとともに、回転方向(図3の左右方向)のうち異極磁性部34の両側には、所定のマグネット32S(A)の極性が存在するように形成する。要するに、所定のマグネット32S(A)の上端部分を回転方向に3分割し、その中央部分を異極磁性部34として形成する。
V相センサSVおよびW相センサSWはロータ回転軸方向(図3の上下方向)において同じ位置に配置されているのに対し、U相センサSUは、V相センサSVおよびW相センサSWとは回転軸方向において異なる位置に配置されている。これにより、異極磁性部34の回転軌道34a上にU相センサSUが位置し、V相センサSVおよびW相センサSWについては回転軌道34aから外れた位置となるようにする。
本実施形態では、センサSU〜SWがN極を検出した時にはロー信号(二進数「0」)を出力し、S極を検出した時にはハイ信号(二進数「1」)を出力するよう設定してある。そして、マグネット32S,32Nは12個(12極)であるため、U相信号、V相信号、W相信号の各々は、ロータ30が30度回転する毎にローとハイが切り替わる(図4参照)。したがって、UVW相の各々の電気角360°は、クランク軸14の回転角度(機械角)60°に相当する。但し、U相信号については異極磁性部34の検出時にもローに切り替わる。また、ロータ30が10度回転する毎に、UVW相センサSU〜SWのいずれかにおいてローとハイが切り替わることとなる。
ちなみに、図3の如く、N極マグネット32NとS極マグネット32Sの間に極性を有しない部材32aが介在している場合において、この部材32aがセンサSU〜SWに対向して極性を検出できない時には、ロー信号およびハイ信号のうち予め設定しておいた信号(例えばロー信号)であるとみなして処理すればよい。
なお、前記部材32aが存在しないよう、N極マグネット32NとS極マグネット32Sを隣接させたロータ30を採用してもよいことは勿論である。また、1つのマグネット片をN極とS極に着磁することで、複数のN極マグネット32NおよびS極マグネット32Sを1つのマグネット片から形成したロータを採用してもよい。なお、この場合のロータでは、複数(例えば4つ)のマグネット片を用いて構成してもよいし、1つのマグネット片を用いて構成してもよい。
図4は、上段から順に、クランク角、組合せ情報NNUM、UVW相信号の二進数表記、UVW相信号、点火信号、噴射信号、エンジン行程を示すタイムチャートである。組合せ情報NNUMとは、同時期に出力されるU相信号、V相信号およびW相信号の組合せを表した仮想信号であり、本実施形態では、UVW相信号の二進数表記を組み合わせて算出した十進数の数値としている。
具体的には、二進数表記の1桁目をU相信号の2進数、2桁目をV相信号の2進数、3桁目をW相信号の2進数で表した3桁の二進数を、十進数に変換した数値が組合せ情報NNUMである。この数値NNUMはECU13により算出される。例えば、最左欄に示すようにUVW相信号が各々「1」「0」「1」であれば、NNUMは「5」となる。
図中の符号ESは、異極磁性部34を検出したことによりロー信号となった部分を示しており、当該部分の信号が「基準位置信号」として用いられ、符号ES以外の部分の信号は「モータ制御用信号」として用いられる。この基準位置信号ESが現れる部分を除けば、NNUMの値は5→1→3→2→6→4の順に繰り返しローテーションして変化する。
図中の符号taに示すように、基準位置信号ESを検出した時のNNUM値は「0」となるが、ES検出時以外では、NNUM値が「0」になることはない。したがって、NNUM値「0」を検出した時点でのクランク角を基準として、ECU13はクランク軸14の基準位置を算出できる。そして、基準位置を把握できれば、各々のUVW相信号の立ち上りまたは立ち下りのタイミング(つまりNNUMの更新タイミング)と、4サイクルエンジンの1回転分の位置関係を特定できる。
例えば、NNUM値「0」が現れた後、NNUM値「1」が2回目に現れたtb時点が、エンジンのピストンが下死点BDCに達した時期であると特定できる。なお、後述する行程判別を実施することにより、前記下死点BDC時期が排気行程および圧縮行程のいずれであるかを判別できる。これにより、基準位置を基準として、NNUMの更新タイミングに基づき燃料噴射時期や点火時期を目標時期とするように制御できる。なお、上述の如くU相センサSUの基準位置信号ESに基づき基準位置を算出している時のECU13は「基準検出手段」に相当する。
図4の例では、ts1時点で点火コイル12aの作動を開始し、ts2時点で点火させている。また、tf1の時点でインジェクタ11による燃料噴射を開始し、tf2の時点で噴射を終了させている。そして、基準位置信号ESが現れた時のクランク角(基準位置)を基準とし、基準位置信号ESが吸入行程で出現した後、U相信号の4回目の立上りタイミング(または4回目のNNUM値「5」出現タイミング)をts1時点とし、W相信号の5回目の立下りタイミング(または5回目のNNUM値「1」出現タイミング)をts2時点として点火制御する。
また、基準位置信号ESが爆発行程で出現した後、V相信号の3回目の立下りタイミング(または3回目のNNUM値「4」出現タイミング)をtf1時点とし、V相信号の5回目の立上りタイミング(または5回目のNNUM値「3」出現タイミング)をtf2時点として燃料噴射制御する。
さらにECU13は、現時点でのNNUM値に基づき次回のNNUM値を特定し、その特定した次回NNUM値に基づきU相コイルCU、V相コイルCVおよびW相コイルCWへの通電制御内容を決定する。例えば、今回NNUM値が「3」であれば、前記ローテーションに基づき次回NNUM値は「2」であると特定できる。つまり、U相コイルCUが巻き回されたティース部41は、S極マグネット32Sの対向位置(ハイ)からN極マグネット32Nの対向位置(ロー)へと移り変わるタイミングにあると言える。そのため、U相コイルCUへの通電オンオフ状態を切り替えるタイミングにあると言える。
このように、U相コイルCUへの通電は、U相信号の立ち上りを示すNNUM値「4」、または立ち下がりを示すNNUM値「3」が検出されたか否かに基づきECU13が制御する。同様にして、V相コイルCVおよびW相コイルCWへの通電もNNUM値に基づき制御する。なお、NNUM値「0」については、モータ駆動用コイルCU,CV,CWと対向している「1」でUVW相コイルCU〜CWへの通電制御を実施すればよい。
さらにECU13は、NNUM値の履歴に基づき、ACGスタータ20が逆転しているか否かを検知する。例えば、正転していれば上述の如くNNUM値は5→1→3→2→6→4の順に変化する筈である。一方、逆転していればNNUM値は4→6→2→3→1→5の順に変化する筈である。ACGスタータ20を逆転駆動させる場合には、例えば今回NNUM値が4であれば、次回NNUM値は6であると特定し、その特定値に応じてUVW相コイルCU〜CWへの通電タイミングを制御すればよい。
ところで、ACGスタータ20によりエンジンを始動させるにあたり、エンジン10のピストン17が圧縮行程の上死点TDC直前位置から始動させようとすると、ACGスタータ20に要する駆動トルクが、ピストン17による圧縮分だけ大きくなるので、エンジン10の始動性悪化が懸念される。
そこで、ACGスタータ20を正転駆動させる前に逆転駆動させるスイングバック制御を実施して、正転駆動させる時にピストン17が圧縮行程に達するまでのクランク回転角(助走回転距離)を増大させる。これによれば、助走回転距離で得られた回転の慣性力を正転駆動トルクに加算したトルクで、ピストン17が圧縮行程を乗り越えることとなるので、正転駆動トルクを小さくでき、ACGスタータ20の小型化を図ることができる。
ACGスタータ20はデューティ制御されており、逆転駆動時と正転駆動時とでは異なるデューティ比の電力が供給されている。すなわち、逆転駆動時には、後述する設定駆動トルクをACGスタータ20が出力することとなるようにデューティ制御する。一方、正転駆動時には、逆転駆動時よりも大きい出力となるようにデューティ制御する。本実施形態では、正転駆動時のデューティ比を最大(100%)に設定している。なお、上記デューティ制御に替えて、パルス電圧の周期を可変設定しつつ駆動パルス幅を制御するパルス幅制御を実施してもよい。ちなみに、駆動パルス幅を長くすると、回転数が低下するとともに回転トルクが上昇する。
図5は、マイコン13aによる上記スイングバック制御および行程判別の処理手順を示すフローチャートであり、当該処理は、エンジン始動が要求されたことをトリガとして起動する。
先ず、図5に示すステップS10において、スイングバック制御にかかる逆転駆動を実施する際に、ACGスタータ20へ印加する電圧のデューティ比(駆動duty)または駆動パルス幅を設定する。詳細には、逆転駆動時にピストン17が圧縮行程を乗り越えられず、かつ、逆転駆動時に排気行程は乗り越えられる大きさの駆動トルクをACGスタータ20が出力することとなるよう、駆動dutyまたは駆動パルス幅を設定する。
ここで、エンジン10が低温であるほどエンジン潤滑油の粘度が高くなりピストン17の摩擦力が大きくなる。この点を加味して、エンジン冷却水温度が低いほど駆動dutyを高く(または駆動パルス幅を長く)設定する。また、バッテリ18の蓄電量が低下してバッテリ18の端子電圧(バッテリ電圧)が低下してくると、デューティ比が同じであってもACGスタータ20の駆動トルクは小さくなる。この点を加味して、バッテリ電圧が低いほど駆動dutyを大きい値(または駆動パルス幅を長い値)に設定する。
図6(a)は、上述したバッテリ電圧と駆動duty(または駆動パルス幅)との関係を示すグラフであり、当該グラフのデータを図6(b)に示す。例えばエンジン温度が20℃である場合において、閾ラインL1よりも高い値に駆動duty(または駆動パルス幅)を設定すると圧縮行程を乗り越え可能になってしまい、閾ラインL2よりも低い値に駆動duty(または駆動パルス幅)を設定すると排気行程を乗り越えできなくなる。したがって、両閾ラインL1,L2の間の値(例えば符号(1)に示すライン上の値)に駆動duty(または駆動パルス幅)を設定することが要求される。そして、バッテリ電圧が低いほど閾ラインL1,L2の値が大きくなるので、バッテリ電圧が低いほど駆動dutyが大きい値となるようライン(1)は設定されている。
ライン(1)は、エンジン温度が20℃の場合の駆動dutyの最適値であるのに対し、エンジン温度が20℃より低い場合(例えば−10℃)の場合の最適値は、符号(2)に示すようにライン(1)よりも高い値である。なお、エンジン温度が40℃、60℃、80℃、100℃の場合には、符号(3)〜(6)に示すライン上の値が最適値となる。また、これらのライン(1)〜(6)は直線である場合に限られず、特にエンジン温度が低温である場合には最適値を表すラインが上に凸の曲線(ライン(2)参照)になる傾向にあり、高温である場合には下に凸の曲線(ライン(3)〜(6)参照)になる傾向にある。
図5の説明に戻り、続くステップS11(制御手段)では、ステップS10で設定した駆動duty(または駆動パルス幅)でACGスタータ20を逆転駆動させる。続くステップS12では、クランク軸14が回転停止したか否かを判定する。例えば、組合せ情報NNUMの値やUVW相信号が、所定時間以上変化しなかった場合に回転停止したと判定すればよい。
回転停止していないと判定された場合(S12:NO)、次のステップS13において、基準位置信号ESを検出したか否かに基づき、図4および図7に示す基準位置CASを通過したか否かを判定する。基準位置CASを通過していないと判定されれば(S13:NO)、ステップS11に戻り逆転駆動を継続する。
基準位置CASを通過したと判定されれば(S13:YES)、続くステップS14では、基準位置CASから逆転により回転した角度を計測する。詳細には、位置カウンタの値を、組合せ情報NNUMの値やUVW相信号が変化する毎に加算していく。図4の例では、クランク角が10°回転する毎にNNUMの値やUVW相信号が変化して、位置カウンタの値が加算されていくことになる。
続くステップS15では、位置カウンタの値が圧縮行程側を想定し、回転が停止する位置までのカウント値である、所定値Lを予め設定しておき、そこに達したか否かを判定する。換言すれば、基準位置CASから所定回転角(10°×L)だけ回転したか否かを判定する。位置カウンタ<Lと判定されれば(S15:NO)、ステップS11に戻り逆転駆動を継続する。位置カウンタ≧Lと判定されれば(S15:YES)、続くステップS16(排気行程判別手段)において、現時点での回転位置は圧縮行程および排気行程のうち排気行程の側にあると判別し、排気を表す状態に行程フラグをセット(例えば行程フラグ=0にセット)する。
続くステップS17では、位置カウンタの値が予め設定しておいた正転始動可能位置までの所定値Nに達したか否かを判定する。換言すれば、基準位置CASから所定回転角(10°×N)だけ回転したか否かを判定する。位置カウンタ<Nと判定されれば(S17:NO)、ステップS11に戻り逆転駆動を継続する。位置カウンタ≧Nと判定されれば(S17:YES)、続くステップS18(正転制御手段)において、先述した助走回転距離が十分に確保されたとみなして、逆転駆動から正転駆動に切り替える。
そして、先述したステップS12にて回転停止したと判定された場合(S12:YES)、続くステップS19(圧縮行程判別手段)において、現時点での回転位置は圧縮行程および排気行程のうち圧縮行程の側にあると判別し、圧縮を表す状態に行程フラグをセット(例えば行程フラグ=1にセット)する。
要するに、圧縮上死点に対して正転側近傍の位置から逆転を開始した場合には、位置カウンタが所定値Lに達するまでにクランク軸14が回転停止することとなるよう、所定値Lの値は設定されている。また、本実施形態では、ステップS15の行程判別に用いる所定値Lを、ステップS17の正転駆動切り替えの判定に用いる所定値Nよりも小さい値に設定している。
図7は、図5の処理を実施した場合の一態様を示すタイムチャートであり、上段から順に、筒内圧、正転駆動による始動が可能な位置の範囲、エンジン行程、および図5と同様のUVW相信号を示す。
先ず、排気行程側と判別されるケースについて説明する。例えば符号CA1に示す位置から逆転駆動を開始した場合、この逆転駆動中に、先ず基準位置信号ESが検出され、符号CASに示す位置を基準位置としている。その後、符号CA2に示す位置で位置カウンタ=Lとなり、排気行程の側にあると行程判別される。その後、さらに逆転駆動を継続させ、符号CA3に示す位置(所定位置)で位置カウンタ=Nとなり、逆転駆動から正転駆動に切り替える。
次に、圧縮行程側と判別されるケースについて説明する。例えば符号CA4に示す位置から逆転駆動を開始した場合、この逆転駆動中に、先ず基準位置信号ESが検出され、その後、符号CA5に示す位置まで回転することなく、筒内圧の上昇によるピストン圧縮力により、符号CA6に示す位置で回転停止する。ちなみに、符号CA7の位置から逆転駆動を開始した場合には、基準位置信号ESが検出されることなくCA6の位置で回転停止する。そして、回転停止を検出した後、逆転駆動から正転駆動に切り替える。
なお、圧縮行程側と判別されるケースの場合、回転停止したCA6の位置は、助走回転距離を十分に確保できると想定される位置(所定位置CA3)よりも逆転側に位置するので、CA6の位置から正転駆動させれば、十分な助走回転距離を当然確保できていると言える。よって、回転停止が検出されたケース(圧縮行程側と判別されたケース)では、逆転駆動を継続させることなく回転停止検出位置CA3から直ぐに正転駆動に切り替える。
ちなみに、先行技術文献1記載の発明では、CA1の時点で逆転駆動を開始させた場合であっても、回転停止するCA6の位置まで逆転駆動を継続させており、また、CA6の位置にて回転停止したことを検出して初めて行程判別が可能である。
以上により、本実施形態によれば、逆転駆動開始時の回転位置に拘わらず、所定回転角(10°×L)だけ回転させれば圧縮行程および排気行程のいずれの側にあるかを行程判別できるので、先行技術文献1記載の発明に比べて迅速に行程判別できる。よって、エンジン始動を迅速に行うことができ、特に、アイドルストップから再始動する時に、前記効果が好適に発揮される。
また、排気行程の側にあると判別された場合、助走回転距離を十分に確保できると想定される位置(所定位置CA3)に達するまで逆転駆動を継続させ、その後で正転駆動に切り替える。そのため、助走回転距離で得られた回転の慣性力を正転駆動トルクに加算したトルクで圧縮行程を乗り越えさせてエンジン始動するので、正転駆動トルクを小さくでき、ひいてはACGスタータ20の小型化を図ることができる。
さらに、エンジン温度およびバッテリ電圧に応じて、ACGスタータ20への駆動duty(または駆動パルス幅)を設定するので、圧縮行程は乗り越えられないが排気行程は乗り越えられる大きさの駆動トルクで逆転駆動させることを、精度良く実現できる。
ところで、本実施形態にかかる行程判別を実施しない場合、行程判別に要する時間が長くなるので、行程判別が為されるまでの期間は、以下に説明するように、クランク軸14が1回転する毎に1回の燃料噴射および点火を実施することを要する。すなわち、ACGスタータ20の駆動を開始した以降、行程判別が未だ為されていない場合には、図4に示すts1’〜ts2’およびtf1’〜tf2’の期間でも点火コイル12aおよびインジェクタ11を駆動させる。これに対し、本実施形態によれば、迅速に行程判別できるので、1回転毎に燃料噴射および点火を1回実施することを不要にできるので、バッテリ18の消耗や駆動回路13b等の発熱を抑えることができる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、所定のマグネット32S(A)の上端部分に異極磁性部34を形成するにあたり、前記上端部分を回転方向に3分割し、その中央部分を異極磁性部34として形成している。これに対し本実施形態では、上述の如く3分割することを廃止しており、図8中の斜線部分に示すように、所定のマグネット32S(A)の上端部分の全体を異極磁性部34として形成している。
この場合のUVW相信号は図9に示す態様となる。図9中の符号ESは、異極磁性部34を検出したことによりロー信号となった部分を示しており、当該部分の信号が「基準位置信号」として用いられ、符号ES以外の部分の信号は「モータ制御用信号」に相当する。なお、本実施形態にかかるNNUM値は図示を省略しているが、基準位置信号ESが現れる部分を除けば、NNUM値は5→1→3→2→6→4の順に繰り返しローテーションして変化する。ちなみに、本実施形態に反して異極磁性部34が形成されていなければ、図中の点線に示すように符号ESの部分はハイ信号となる。
本実施形態においても、図5に示す上記第1実施形態と同様のスイングバック制御および行程判別の処理を実施している。なお、本実施形態での基準位置CASは、基準位置信号ESが検出された時のW相信号のパルスエッジ部に設定されている。
図9において、先ず、排気行程側と判別されるケースについて説明する。例えばCA1の位置から逆転駆動を開始した場合、この逆転駆動中に、先ず基準位置信号ESが検出され、その後、CA2の位置で位置カウンタ=Lとなり、排気行程の側にあると行程判別される。その後、さらに逆転駆動を継続させ、CA3の位置(所定位置)で位置カウンタ=Nとなり、逆転駆動から正転駆動に切り替える。
次に、圧縮行程側と判別されるケースについて説明する。例えばCA4の位置から逆転駆動を開始した場合、この逆転駆動中に、先ず基準位置信号ESが検出され、その後、CA5の位置まで回転することなく、CA6の位置で回転停止する。ちなみに、CA7の位置から逆転駆動を開始した場合には、基準位置信号ESが検出されることなくCA6の位置で回転停止する。そして、回転停止を検出した後、逆転駆動から正転駆動に切り替える。
以上により、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果が発揮される。但し、第1実施形態の場合には、基準位置信号ESを検出した時のNNUM値はゼロであり、この値は基準位置信号ESを検出した時にしか現れないため、基準位置信号ESを迅速に検出できる。これに対し、本実施形態の場合には、基準位置信号ESを検出した時のNNUM値は「4」「0」「2」であり、「4」「2」は基準位置信号ESを検出していない時にも出現するため、「4」や「2」を検出しただけでは基準位置信号ESであると判定することができず、「4」や「2」の前後の値を取得してNNUM値の履歴を取得するまでは、基準位置信号ESを検出できない。この点で、基準位置信号ESを迅速に検出できる図3の構成(第1実施形態の構成)は、図8の構成(本実施形態の構成)よりも優れていると言える。
(第3実施形態)
本実施形態では、以下に説明するデコンプ機構19(図1参照)がエンジン10に搭載されていることを前提とする。すなわち、ピストン17が圧縮行程を乗り越えやすくするように、圧縮行程時の筒内圧を減圧させるのがデコンプ機構19である。デコンプ機構19の具体例としては、メカ機構や電気アクチュエータにより圧縮行程時に給排気弁を強制的にリフトアップさせることが挙げられる。
そして、先述した駆動トルク(逆転駆動時にピストン17が圧縮行程を乗り越えられず、かつ、逆転駆動時に排気行程は乗り越えられる大きさの駆動トルク)を、デコンプ機構19を作動させて減圧させている時には、非作動時に比べて低い値に設定する。
具体的には、ステップS10にて駆動duty(または駆動パルス幅)を設定するにあたり、デコンプ機構19を作動させて減圧させている時には非作動時に比べて、駆動duty(または駆動パルス幅)を低い値に設定する。以上により、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果が発揮される。
(第4実施形態)
上記各実施形態では、圧縮行程を乗り越えられず且つ排気行程を乗り越えられる大きさの駆動トルクで始動モータを駆動させる制御手段による駆動において、逆転駆動させて行程判別しているが、本実施形態では、前記大きさの駆動トルクで正転駆動させて行程判別する。
例えば、図7中の符号(1)〜(3)に示す手順で駆動制御する。すなわち、先ず行程判別の目的で、圧縮行程を乗り越えられず且つ排気行程を乗り越えられる大きさの駆動トルクでACGスタータ20を正転駆動させる(図7中の符号(1)参照)。詳細には、図5のステップS10で設定した駆動dutyまたは駆動パルス幅により、正転駆動させる。図7の(1)に示す例では、所定回転角だけ回転させる前に、圧縮行程を乗り越えられなくなり回転停止する。したがって、圧縮行程側であると行程判別できる。なお、所定回転角だけ回転させても回転停止しない場合には、排気行程側であると行程判別する。
排気行程側と判別された場合には、そのまま正転駆動させてエンジン始動させる。一方、圧縮行程側と判別された場合には、助走回転距離を確保すべく、所定位置CA3まで逆転駆動させ(図7中の符号(2)参照)、その後、エンジン始動させるべく正転駆動させる(図7中の符号(3)参照)。なお、エンジン始動時の正転駆動では、行程判別時の正転駆動よりも大きいトルク(例えばduty=100%)で駆動させる。
以上により、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果が発揮される。なお、本実施形態においては、助走回転距離を確保すべく逆転駆動させる時に、排気行程側であることを確認することもできる。すなわち、当該逆転駆動時に、所定位置CA3に達する前に回転停止しないことを確認することで、先の判別結果(圧縮行程側)が正しいことを確認でき、行程判別の精度を高めてもよい。
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、以下のように変更して実施してもよい。また、各実施形態の特徴的構成をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。
・エンジン始動を目的とした正転駆動時であって駆動トルクを最大にした時には、圧縮行程を乗り越えられるACGスタータ20を採用することが望ましい。そして、行程判別の目的で逆転駆動または正転駆動させる時には、エンジン始動のための駆動トルクよりも小さいトルクで駆動させて、圧縮行程を乗り越えられない駆動トルクで駆動させる。これにより始動時の助走期間をより短くすることができ、始動性、特にアイドルストップ時の再始動性を高めることができるようになる。
・上記各実施形態では、3本のUVW相コイルCU〜CWに対して3つのUVW相センサSU〜SWを設けている。これに対し、3つのUVW相センサSU〜SWのうちのいずれか1つまたは2つを廃止するようにしてもよい。この場合、廃止したセンサに対応するコイルのモータ制御信号は、他のコイルのモータ制御信号から推定して生成すればよい。例えば、W相センサSWを廃止した場合には、V相信号のオン時間またはオフ時間を計測しておき、V相信号のエッジから前記計測した時間が経過した時点、或いは、V相センサSVによるモータ制御信号の立上りから所定時間が経過した時点を、W相コイルCWにかかるモータ制御信号であると見なしてW相コイルCWを通電制御すればよい。
・上記各実施形態では、点火信号や噴射信号の生成に用いる基準位置信号ESを、U相信号から取得している。そのため、クランク軸の回転角を検出するクランク角センサを、U相センサSUとは別に設けることを不要にしている。これに対し、前記クランク角センサを設けて、クランク角センサから基準位置信号ESを取得するようにしてもよい。
・上記各実施形態では、基準位置信号ESに基づき算出する基準位置CASを、U相信号のパルス変化位置に設定しているが、V相信号やW相信号のパルス変化位置に設定してもよい。例えば、基準位置信号ESの検出後において、V相信号やW相信号の所定回数目のパルス変化位置を基準位置として設定する。また、パルス変化位置に基準位置を設定することに替え、基準位置信号ESの検出時点から所定時間が経過した時点の位置を基準位置として設定してもよい。
・上記各実施形態では、組合せ情報NNUMの値に基づき基準位置信号ESを検出しているが、U相信号のパルス変化の時間間隔に基づき基準位置信号ESを検出してもよい。すなわち、パルスの立下りから次回パルスの立上りまでの時間間隔を逐次計測し、前回の時間間隔に比べて今回の時間間隔が図8の例では所定以上長く、図3の例では所定以上短くなっていれば、今回の時間間隔中に異極磁性部34が通過していたと見なして基準位置信号ESを検出する。
・上記第1実施形態にかかるACGスタータ20は、UVW相センサSU〜SWを隣り合う間隙41a(図2参照)に配置しているが、隣り合う間隙41aに配置することを禁止して、複数のセンサSU〜SWを分散して配置してもよい。
・上記各実施形態では、ステータ40の外周側にロータ30が位置するアウターロータ型のACGスタータ20を採用しているが、ステータ40の内周側にロータ30が位置するインナーロータ型のACGスタータ20を採用してもよい。
・上記各実施形態では、ロータ30を12極、ステータ40を18極とした12−8極のACGスタータ20を対象としているが、8−12極や16−24極等、他の極数のACGスタータ20を対象としてもよい。
・上記各実施形態では、S極マグネット32S中にN極の異極磁性部34を形成しており、基準位置信号ESをロー側に設定している。これに対し、N極マグネット32N中にS極の異極磁性部34を形成して、基準位置信号ESをハイ側に設定してもよい。また、N極マグネット32Nでロー側出力ではなくハイ側出力にしてもよい。
・上記各実施形態では、クランク軸14にロータ30を直結させているが、ベルトやギア等の動力伝達機構を介してロータ30をクランク軸14に連結させてもよい。但しこの場合には、ギアのバックラッシュやベルトの伸び等により、クランク軸14の回転位相とロータ30の回転位相とにずれが生じるので、クランク軸14の基準位置CASの算出精度は低下する。
・上記各実施形態では、発電機能も兼ね備えたACGスタータ20を始動モータとして採用しているが、発電機能を有しない始動モータを採用してもよい。
13…ECU(基準検出手段)、14…クランク軸、18…バッテリ、19…デコンプ機構、20…ACGスタータ(始動モータ)、S11…制御手段、S16…排気行程判別手段、S18…正転制御手段、S19…圧縮行程判別手段、CAS…基準位置。

Claims (6)

  1. 単気筒エンジンのクランク軸に回転力を付与する始動モータを備えるエンジンに適用され、
    前記エンジンのピストンが圧縮行程を乗り越えられず且つ排気行程を乗り越えられる大きさに設定された駆動トルクで、前記始動モータを駆動させる制御手段と、
    前記クランク軸の回転角の基準位置を検出する基準検出手段と、
    前記制御手段により前記基準位置から所定回転角以上回転させても、前記クランク軸の回転停止が生じなければ、現時点での回転位置は圧縮行程および排気行程のうち排気行程の側にあると判別する排気行程判別手段と、
    前記制御手段により前記基準位置から前記所定回転角を回転させるよりも前に、前記クランク軸の回転停止が生じた場合には、現時点での回転位置は圧縮行程および排気行程のうち圧縮行程の側にあると判別する圧縮行程判別手段と、
    を備えることを特徴とする単気筒エンジンの行程判別装置。
  2. 前記制御手段は、前記排気行程判別手段により排気行程の側にあると判別された場合、前記クランク軸の回転位置が所定位置に達するまで駆動させた後に、正転駆動させることを特徴とする請求項1に記載の単気筒エンジンの行程判別装置。
  3. 前記エンジンが低温であるほど、前記駆動トルクを高い値に設定することを特徴とする請求項1または2に記載の単気筒エンジンの行程判別装置。
  4. 前記駆動トルクに基づき前記始動モータを制御するにあたり、前記始動モータへ電力供給するバッテリの端子電圧が低いほど前記駆動トルクを高い値に設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の単気筒エンジンの行程判別装置。
  5. 前記ピストンが圧縮行程を乗り越えやすくするように、圧縮行程時の筒内圧を減圧させるデコンプ機構を備えたエンジンに適用され、
    前記デコンプ機構を作動させて減圧させている時には、非減圧時に比べて前記駆動トルクを低い値に設定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の単気筒エンジンの行程判別装置。
  6. 前記制御手段により前記始動モータを逆転駆動させて、前記基準検出手段、前記排気行程判別手段、及び前記圧縮行程判別手段による処理を行う請求項1〜5のいずれか1つに記載の単気筒エンジンの行程判別装置。
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