JP2015117677A - エンジンユニット、及び車両 - Google Patents

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Takahiro Nishikawa
貴裕 西川
日野 陽至
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Abstract

【課題】4ストロークの間に高負荷領域と低負荷領域とを有する4ストロークエンジン本体を備え、燃焼停止指示の後、再始動するまでの時間の短縮と車両への搭載性を両立させることができるエンジンユニット等を提供すること。
【解決手段】
エンジンユニットは、4ストロークエンジン本体と、三相ブラシレスモータと、インバータと、制御装置と、を備え、制御装置は、4ストロークエンジン本体の燃焼動作とクランクシャフトの正回転とが停止した後、4ストロークエンジン本体の燃焼動作とクランクシャフトの正回転とが停止し、かつ始動指示の入力がない状態で、インバータの複数のスイッチング部を制御することによって、バッテリから三相ブラシレスモータに印加される電圧を制御して、クランクシャフトを、停止位置から4ストロークにおける膨張行程まで正回転させる。
【選択図】図7

Description

本発明は、4ストロークの間に高負荷領域と低負荷領域とを有する4ストロークエンジン本体を備えたエンジンユニット及びそのエンジンユニットを搭載した車両に関する。
車両が備えるエンジンとして、4ストロークの間に、エンジンのクランクシャフトを回転させる負荷が大きい高負荷領域と、クランクシャフトを回転させる負荷が小さい低負荷領域とを有する4ストロークエンジン(例えば、単気筒エンジン)がある。このような4ストロークエンジンは、エンジン始動時に高負荷領域を越えてクランクシャフトを回転させるために、スタータモータに大きな出力トルクを要求する。しかしながら、スタータモータの出力トルクを大きくすると、スタータモータが大型化するため、エンジンユニットの車両への搭載性が低下する。エンジンユニットには、車両への搭載性を高めることが望まれている。
特許文献1には、クランクシャフトを一旦逆回転させて停止させた後、クランクシャフトを正回転させることによって、エンジンを始動させるエンジン始動装置が示されている。特許文献1に示すようなエンジン始動装置が始動するエンジンは、運転中に燃焼停止指示があると燃焼を停止する。燃焼の停止後、クランクシャフトは惰性で4〜8回転し、圧縮行程における圧縮反力による負荷の山を乗越しできなくなると、圧縮反力により逆回転し、停止する。
特許文献1のエンジン始動装置は、クランクシャフトの回転が停止した後、クランクシャフトを、負荷が増大する位置すなわち膨張行程まで逆回転させて停止させる。その後、エンジン始動装置は、モータを正回転方向に力行させて、クランクシャフトを正回転させる。クランクシャフトを負荷が増大する位置すなわち膨張行程まで逆回転させることによって、クランクシャフトは、膨張行程から圧縮行程までの低負荷領域のほぼ全域に渡って正回転した後、1回目の高負荷領域に到達する。そのため、エンジン始動装置は、1回目の高負荷領域に到達する前にクランクシャフトの回転速度を高めることができる。そして、高い回転速度に伴う大きな慣性力とスタータモータの出力トルクの両方を利用して、1回目の高負荷領域を乗り越えることができる。その結果、モータの出力トルクを抑えてスタータモータを小型化できるので、エンジン始動装置の車両への搭載性を高めることができる。このように、特許文献1に示すようなエンジン始動装置では、高い回転速度に伴う大きな慣性力とモータの出力トルクの両方を利用して1回目の高負荷領域を乗り越えることにより、エンジン始動装置の車両への搭載性を高めることを図っている。
特開2003−343404号公報
ところが、特許文献1のエンジン始動装置は、エンジンの燃焼が停止し、クランクシャフトの惰性による回転が停止した後、クランクシャフトを膨張行程まで逆回転させる。この後、エンジン始動装置はエンジンを始動させる。このため、特許文献1のエンジン始動装置は、燃焼停止指示があった後、再始動するまでの時間が長くなるという問題を有する。
4ストロークの間に高負荷領域と低負荷領域とを有する4ストロークエンジン本体を備えるエンジンユニットには、燃焼停止指示の後、再始動するまでの時間の短縮と車両への搭載性を両立させることが望まれている。
本発明の課題は、4ストロークの間に高負荷領域と低負荷領域とを有する4ストロークエンジン本体を備え、燃焼停止指示の後、再始動するまでの時間の短縮と車両への搭載性を両立させることができるエンジンユニット、及びそのエンジンユニットを搭載した車両を提供することである。
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
(1) 車両に搭載されるエンジンユニットであって、
前記エンジンユニットは、
4ストロークの間に、前記エンジンのクランクシャフトを回転させる負荷が大きい高負荷領域と、前記クランクシャフトを回転させる負荷が前記高負荷領域の負荷より小さい低負荷領域とを有する4ストロークエンジン本体と、
前記車両が備えるバッテリにより駆動され、始動指示の入力に応じて前記クランクシャフトを正回転させて前記4ストロークエンジン本体を始動する三相ブラシレスモータと、
前記バッテリから前記三相ブラシレスモータに印加する電圧を制御する複数のスイッチング部を備えたインバータと、
前記インバータに備えられた前記複数のスイッチング部を制御することによって、前記バッテリから前記三相ブラシレスモータに印加される電圧を制御するスタータモータ制御部と、前記4ストロークエンジン本体の燃焼動作を制御するエンジン制御部とを含む制御装置と
を備え、
前記制御装置は、前記4ストロークエンジン本体の燃焼動作と前記クランクシャフトの正回転とが停止した後、前記4ストロークエンジン本体の燃焼動作と前記クランクシャフトの正回転とが停止し、かつ前記始動指示の入力がない状態で、前記インバータの前記複数のスイッチング部を制御することによって、前記バッテリから前記三相ブラシレスモータに印加される電圧を制御して、前記クランクシャフトを、停止位置から前記4ストロークにおける膨張行程まで正回転させる。
(1)のエンジンユニットは、4ストロークエンジン本体の燃焼動作とクランクシャフトの正回転とが停止した後、インバータの複数のスイッチング部を制御することによって、バッテリから三相ブラシレスモータに印加される電圧を制御して、クランクシャフトを、高負荷領域及び低負荷領域を含む4ストロークにおける膨張行程まで正回転させる。このため、始動指示の入力に応じて4ストロークエンジン本体を始動する場合に、モータの出力トルクが小さくても、クランクシャフトの回転を、4ストロークエンジン本体を始動させ易い位置から開始することができる。すなわち、始動指示の入力に応じてクランクシャフトが回転を開始する場合、始動指示の入力に応じて4ストロークエンジン本体が再始動される場合、クランクシャフトは、膨張行程から圧縮行程までの低負荷領域のほぼ全域に渡って正回転した後、2回目の高負荷領域に到達する。つまり、加速のための長い助走区間が確保される。そのため、三相ブラシレスモータは、2回目の高負荷領域に到達する前にクランクシャフトの回転速度を高めることができる。そして、高い回転速度に伴う大きな慣性力とスタータモータの出力トルクの両方を利用して、2回目の高負荷領域を乗り越えることができる。従って、モータの出力トルクを抑えて三相ブラシレスモータを小型化できる。
4ストロークエンジンにおいて、4ストロークエンジン本体の燃焼動作とクランクシャフトの正回転とが停止した後、仮に、クランクシャフトを膨張行程まで逆回転させる場合、クランクシャフトは最大で2回転近く回転することになる。(1)のエンジンユニットによれば、クランクシャフトを膨張行程まで逆回転させることなく、加速のための長い助走区間を確保することができる。従って、再始動するまでの時間が短縮される。
従って(1)のエンジンユニットによれば、4ストロークの間に高負荷領域と低負荷領域とを有する4ストロークエンジン本体を備え、燃焼停止指示の後、再始動するまでの時間の短縮と車両への搭載性を両立させることができる。
(2) (1)のエンジンユニットであって、
車両に搭載されるエンジンユニットであって、
前記エンジンユニットは、
4ストロークの間に、前記エンジンのクランクシャフトを回転させる負荷が大きい高負荷領域と、前記クランクシャフトを回転させる負荷が前記高負荷領域の負荷より小さい低負荷領域とを有する4ストロークエンジン本体と、
前記車両が備えるバッテリにより駆動され、始動指示の入力に応じて前記クランクシャフトを正回転させて前記4ストロークエンジン本体を始動する三相ブラシレスモータと、
前記バッテリと前記三相ブラシレスモータの間に設けられた複数のスイッチング部を備えたインバータと、
前記インバータに備えられた前記複数のスイッチング部を制御するスタータモータ制御部と、前記4ストロークエンジン本体の燃焼動作を制御するエンジン制御部とを含む制御装置と
を備え、
前記制御装置は、前記4ストロークエンジン本体の燃焼動作と前記クランクシャフトの正回転とが停止した状態から前記クランクシャフトを正回転させ、前記膨張行程の終わりまでの間の少なくとも一部で、前記インバータの前記複数のスイッチング部を制御することによって前記三相ブラシレスモータを、前記バッテリで得られる最大トルクよりも抑えたトルクで回転させる。
(2)の構成によれば、制御装置が、4ストロークエンジン本体の燃焼動作とクランクシャフトの正回転とが停止した状態からクランクシャフト正回転させ、膨張行程の終わりまでの間の少なくとも一部で、三相ブラシレスモータをバッテリで得られる最大トルクよりも小さいトルクで回転させる。三相ブラシレスモータのトルクが抑えられることによって、クランクシャフトの正回転の速度が低くなる。このため、クランクシャフトの正回転に伴う、4ストロークエンジン本体の燃焼室における気体の圧縮反力が抑えられる。クランクシャフトの回転への圧縮反力による抵抗が抑えられるので、クランクシャフトをより短い時間で膨張行程に移動させることができる。従って、(2)の構成によれば、燃焼停止指示の後、再始動するまでの時間をより短縮することができる。
従って(2)のエンジンユニットによれば、4ストロークの間に高負荷領域と低負荷領域とを有する4ストロークエンジン本体を備え、燃焼停止指示の後、再始動するまでの時間の短縮と車両への搭載性を両立させることができる。
(3) 車両に搭載されるエンジンユニットであって、
前記エンジンユニットは、
4ストロークの間に、前記エンジンのクランクシャフトを回転させる負荷が大きい高負荷領域と、前記クランクシャフトを回転させる負荷が前記高負荷領域の負荷より小さい低負荷領域とを有する4ストロークエンジン本体と、
前記車両が備えるバッテリにより駆動され、始動指示の入力に応じて前記クランクシャフトを正回転させて前記4ストロークエンジン本体を始動する三相ブラシレスモータと、
前記バッテリから前記三相ブラシレスモータに印加する電圧を制御する複数のスイッチング部を備えたインバータと、
前記インバータに備えられた前記複数のスイッチング部を制御することによって、前記バッテリから前記三相ブラシレスモータに印加される電圧を制御するスタータモータ制御部と、前記4ストロークエンジン本体の燃焼動作を制御するエンジン制御部とを含む制御装置と
を備え、
前記制御装置は、前記4ストロークエンジン本体の燃焼動作と前記クランクシャフトの正回転とが停止した状態から前記クランクシャフトを正回転させ、前記膨張行程の終わりまでの間の少なくとも一部で、前記インバータの前記複数のスイッチング部を制御することによって前記バッテリから前記三相ブラシレスモータに印加する電圧を前記バッテリの電圧より低くして前記クランクシャフトを正回転させる。
(3)の構成によれば、制御装置が、4ストロークエンジン本体の燃焼動作とクランクシャフトの正回転とが停止した状態からクランクシャフトを正回転させ、膨張行程の終わりまでの間の少なくとも一部で、バッテリから三相ブラシレスモータに印加する電圧をバッテリの電圧より低くする。従って、三相ブラシレスモータのトルクが抑えられるので、クランクシャフトの正回転の速度が低くなる。このため、クランクシャフトの正回転に伴う、4ストロークエンジン本体の燃焼室における気体の圧縮反力が抑えられる。クランクシャフトの回転への圧縮反力による抵抗が抑えられるので、クランクシャフトをより短い時間で膨張行程に移動させることができる。従って、(3)の構成によれば、燃焼停止指示の後、再始動するまでの時間をより短縮することができる。
従って(3)のエンジンユニットによれば、4ストロークの間に高負荷領域と低負荷領域とを有する4ストロークエンジン本体を備え、燃焼停止指示の後、再始動するまでの時間の短縮と車両への搭載性を両立させることができる。
なお、上記(3)のエンジンユニットでは、制御装置が、インバータの複数のスイッチング部を制御することによって、バッテリから三相ブラシレスモータに印加する電圧をバッテリの電圧より低くする。従って、電流がバッテリからインバータを介して三相ブラシレスモータに供給される時に生じる電圧降下によって、バッテリから三相ブラシレスモータに印加する電圧がバッテリの電圧よりも低くなる現象は、上記(3)に該当しない。上記(3)に関し、バッテリから三相ブラシレスモータに印加される電圧がバッテリの電圧より低いか否かは、バッテリと三相ブラシレスモータとの間で生じる電圧降下の影響を除いて特定される。
(4) (2)または(3)のエンジンユニットであって、
前記制御装置は、前記4ストロークエンジン本体の燃焼動作と前記クランクシャフトの正回転とが停止し、かつ前記始動指示の入力がない状態から前記クランクシャフトを前記膨張行程まで正回転させる間の少なくとも一部で、前記インバータの前記複数のスイッチング部を制御することによって前記クランクシャフトを正回転させる。
(4)の構成によれば、制御装置が、始動指示の入力がない状態から、クランクシャフトを膨張行程に移動させることができるで、始動指示の入力に応じて4ストロークエンジン本体を始動する場合に、クランクシャフトを、4ストロークエンジン本体を始動させ易い膨張行程から回転させることができる。また、(4)の構成によれば、制御装置は、始動指示の入力がない状態から、クランクシャフトを短い時間で膨張行程に移動させることができる。従って、燃焼停止指示の後、再始動するまでの時間をより短縮することができる。
(5) (1)、(2)、(4)のいずれか1のエンジンユニットであって、
前記制御装置は、前記クランクシャフトを膨張行程で停止させる。
(5)の構成によれば、クランクシャフトが膨張行程で停止する。従って、始動指示の入力に応じたエンジン始動の際に、クランクシャフトの回転を、4ストロークエンジン本体を小さい出力トルクで始動させやすい膨張行程から確実に開始することができる。
(6) (1)、(2)、(4)、(5)のいずれか1のエンジンユニットであって、
前記制御装置は、前記4ストロークエンジン本体の燃焼動作と前記クランクシャフトの正回転とが停止し、かつ前記始動指示の入力がない状態で、前記インバータの前記複数のスイッチング部を制御することによって前記三相ブラシレスモータに印加される電圧を制御して前記クランクシャフトを前記膨張行程まで正回転させる途中で前記始動指示の入力があった場合、前記クランクシャフトの正回転を前記膨張行程で停止させずに前記膨張行程を超えて継続させることにより、前記4ストロークエンジン本体を始動させる。
(6)の構成によれば、クランクシャフトが始動指示の入力がない状態で膨張行程まで正回転する途中で、始動指示の入力があった場合、クランクシャフトは、膨張行程までの正回転を停止せずに膨張行程から正回転してエンジン本体を始動させる。このため、始動指示の入力がない状態で膨張行程まで正回転したクランクシャフトの慣性力が、4ストロークエンジン本体の再始動のためのクランクシャフトの回転に利用されるので、再始動するまでの時間がさらに短縮する。
(7) (1)〜(6)のいずれか1のエンジンユニットであって、
前記三相ブラシレスモータは、前記4ストロークエンジン本体の始動後、前記クランクシャフトの回転と連動して回転することにより、前記バッテリを充電するための電流を発電するジェネレータとして機能する。
(7)の構成によれば、三相ブラシレスモータが、ジェネレータとして機能することで、バッテリを充電する。ジェネレータ機能を兼用する三相ブラシレスモータのステータ巻線は、バッテリを充電するための構造上の制約を受ける。例えば、過大な充電電流を抑えるため、三相ブラシレスモータとしての性能が制限される。しかし(7)の構成によれば、三相ブラシレスモータが、2回目の最大負荷位置まで充分な区間で加速することによって、性能が制限された場合でも2回目の最大負荷位置での負荷を乗越すことができる。従って、三相ブラシレスモータと発電機とを兼用することにより構成をシンプルにしつつ、三相ブラシレスモータを小型化できる。
(8) 車両であって、
前記車両は、
(1)〜(7)のいずれか1のエンジンユニットを備える。
(8)の車両は、燃焼停止指示の後、再始動するまでの時間の短縮と車両への搭載性を両立することができる。
本発明によれば、4ストロークの間に高負荷領域と低負荷領域とを有する4ストロークエンジン本体を備え、燃焼停止指示の後、再始動するまでの時間の短縮と車両への搭載性を両立させることができるエンジンユニット、及びそのエンジンユニットを搭載した車両を提供できる。
本発明の第一実施形態に係るエンジンユニットの概略構成を模式的に示す部分断面図である。 図1における三相ブラシレスモータ及びその近傍部分を拡大して示した拡大断面図である。 図2に示す三相ブラシレスモータの回転軸線Jに垂直な断面を示す断面図である。 図1に示すエンジンユニットに係る電気的な基本構成を示すブロック図である。 図1に示すエンジンユニットの動作を説明するフローチャートである。 (a)は、図1に示すエンジンユニットにおける、クランクシャフトの動きを説明する図であり、(b)は、比較例として逆回転する場合のクランクシャフトの動きを説明する図である。 クランク角度位置と必要トルクとの関係を模式的に示す説明図である。 第二実施形態のエンジンユニットEUに係る電気的な基本構成を示すブロック図である。 エンジンユニットが搭載される車両を示す外観図である。
4ストロークエンジン本体の燃焼動作とクランクシャフトの正回転とが停止し、かつ始動指示の入力がない状態でクランクシャフトを回転させることについて、本発明者らが行った検討について説明する。
例えば特許文献1に示されるように、4ストロークエンジン本体の燃焼動作とクランクシャフトの正回転とが停止し、かつ始動指示の入力がない状態で、クランクシャフトを逆回転させる場合、時間がかかる。従って、燃焼停止指示があった後、再始動するまでの時間が長くなる。
また、4ストロークエンジン本体の燃焼動作が停止した後、かつ、クランクシャフトの正回転が停止する前に、クランク軸の回転をモータによって補助した場合、クランクシャフトを、始動にかかる時間を短縮し易い目標領域に停止させることが容易でない。これは、燃焼動作が停止した後、モータによって回転が補助されるクランクシャフトは、モータの力に加えて、最後の燃焼動作による慣性力を有しながら回転しているからである。最後の燃焼動作による慣性力を有しながら回転しているクランクシャフトの回転をモータによって補助しながら、目標領域に位置させることは容易でない。最後の燃焼動作による慣性力を有しながら回転しているクランクシャフトは、例えば圧縮反力による高負荷を利用して停止される場合が多い。この場合、クランクシャフトは、負荷の山を乗越せずに一旦逆回転した後、停止する。クランクシャフトの停止位置は、負荷の山を乗越せずに逆回転する程度(距離)に依存するため、クランクシャフトの停止位置のばらつきが大きい。すなわち、始動指示の入力に応じて回転を開始する位置のばらつきが大きい。従って、燃焼停止指示があった後、再始動するまでの時間のばらつきも多い。そのため、再始動するまでの時間が長い場合が生じる。
これに対し、クランクシャフトの正回転が停止した状態で、バッテリから三相ブラシレスモータに印加される電圧を制御してクランクシャフトを膨張行程まで正回転する場合、4ストロークエンジン本体の燃焼動作の慣性力による正回転の場合と比べて、クランクシャフトの目標位置への移動を制御しやすい。このため、クランクシャフトを、4ストロークエンジン本体を始動させやすい位置に短時間で移動させることができる。従って、再始動するまでの時間の短縮と三相ブラシレスモータの小型化をより高いレベルで両立することができる。
以下、本発明を、好ましい実施形態に基づいて図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係るエンジンユニットEUの概略構成を模式的に示す部分断面図である。
エンジンユニットEUは、車両の一例である自動二輪車(図9参照)に設けられている。自動二輪車としては、特に限定されず、例えば、スクータ型、モペット型、オフロード型、オンロード型の自動二輪車が挙げられる。また、車両としては、自動二輪車に限定されず、例えば、ATV(All−Terrain Vehicle)等であってもよい。また、本発明に係る車両は、鞍乗型車両に限定されず、車室を有する4輪車両等であってもよい。
エンジンユニットEUは、4ストロークエンジンユニットである。エンジンユニットEUは、4ストロークエンジン本体Eと、三相ブラシレスモータSGとを備える。4ストロークエンジン本体Eは、単気筒の4ストロークエンジンである。
図1に示すように、エンジンユニットEUは、三相ブラシレスモータSGを備えている。三相ブラシレスモータSGは、スタータモータである。三相ブラシレスモータSGは、エンジン始動時には、クランクシャフト5を回転させて4ストロークエンジン本体Eを始動させる。また、三相ブラシレスモータSGは、少なくとも4ストロークエンジン本体Eの始動後には、クランクシャフト5により回転されてジェネレータとして機能する。なお、三相ブラシレスモータSGがジェネレータとして機能する場合において、三相ブラシレスモータSGは、エンジンの燃焼開始後、必ずしも、常にジェネレータとして機能する必要はない。例えば、エンジンの燃焼が開始した後、三相ブラシレスモータSGが直ちにジェネレータとして機能せず、所定の条件が満たされた場合に、三相ブラシレスモータSGがジェネレータとして機能してもよい。そのような所定の条件としては、例えば、エンジン回転速度が所定速度に到達したこと、エンジンの燃焼が開始してから所定時間が経過したこと等が挙げられる。また、エンジンの燃焼開始後に、三相ブラシレスモータSGがジェネレータとして機能する期間と三相ブラシレスモータSGがモータ(例えば、車両駆動用モータ)として機能する期間とが含まれていてもよい。
三相ブラシレスモータSGは、4ストロークエンジン本体Eのクランクシャフト5に取り付けられている。本実施形態では、三相ブラシレスモータSGが、クランクシャフト5に、動力伝達機構(例えば、ベルト、チェーン、ギア、減速機、増速機等)を介さずに取り付けられている。但し、本発明においては、三相ブラシレスモータSGが、三相ブラシレスモータSGの回転によりクランクシャフト5を回転させるように構成されていればよい。従って、三相ブラシレスモータSGが、クランクシャフト5に、動力伝達機構を介して取り付けられていてもよい。なお、本発明においては、三相ブラシレスモータSGの回転軸線と、クランクシャフト5の回転軸線とが略一致していることが好ましい。また、本実施形態のように、三相ブラシレスモータSGが動力伝達機構を介さずにクランクシャフト5に取り付けられていることが好ましい。
4ストロークエンジン本体Eは、クランクケース1と、シリンダ2と、ピストン3と、コネクティングロッド4と、クランクシャフト5とを備えている。シリンダ2は、クランクケース1から所定方向(例えば斜め上方)に突出する態様で設けられている。ピストン3は、シリンダ2内に往復移動自在に設けられている。クランクシャフト5は、クランクケース1内に回転可能に設けられている。コネクティングロッド4の一端部(例えば上端部)は、ピストン3に連結されている。コネクティングロッド4の他端部(例えば下端部)は、クランクシャフト5に連結されている。シリンダ2の端部(例えば上端部)には、シリンダヘッド6が取り付けられている。クランクシャフト5は、クランクケース1に、一対のベアリング7を介して、回転自在な態様で支持されている。クランクシャフト5の一端部5a(例えば右端部)は、クランクケース1から外方に突出している。クランクシャフト5の一端部5aには、三相ブラシレスモータSGが取り付けられている。
クランクシャフト5の他端部5b(例えば左端部)は、クランクケース1から外方に突出している。クランクシャフト5の他端部5bには、無段変速機CVTのプライマリプーリ20が取り付けられている。プライマリプーリ20は、固定シーブ21と可動シーブ22とを有する。固定シーブ21は、クランクシャフト5の他端部5bの先端部分に、クランクシャフト5と共に回転するように固定されている。可動シーブ22は、クランクシャフト5の他端部5bにスプライン結合されている。従って、可動シーブ22は、軸方向Xに沿って移動可能であり、固定シーブ21との間隔が変更される態様で、クランクシャフト5と共に回転する。プライマリプーリ20とセカンダリプーリ(図示せず)とには、ベルトBが掛けられている。クランクシャフト5の回転力が自動二輪車(図9参照)の駆動輪に伝達される。
図2は、図1における三相ブラシレスモータSG及びその近傍部分を拡大して示した拡大断面図である。また、図3は、図2に示す三相ブラシレスモータSGの回転軸線Jに垂直な断面を示す断面図である。
三相ブラシレスモータSGは、アウターロータ30と、インナーステータ40と、磁気センサユニット(図示せず)とを有する。アウターロータ30は、アウターロータ本体部31を有する。アウターロータ本体部31は、例えば強磁性材料からなる。アウターロータ本体部31は、有底筒状を有する。アウターロータ本体部31は、筒状ボス部32と、円板状の底壁部33と、筒状のバックヨーク部34とを有する。筒状ボス部32は、クランクシャフト5の一端部5aに挿入された状態で、クランクシャフト5に固定されている。底壁部33は、筒状ボス部32に固定されており、クランクシャフト5の径方向Yに広がる円板形状を有する。バックヨーク部34は、底壁部33の外周縁からクランクシャフト5の軸方向Xに延びる筒形状を有する。バックヨーク部34は、クランクケース1に近づく方向に延びている。
底壁部33及びバックヨーク部34は、例えば金属板をプレス成形することにより一体的に形成されている。なお、本発明では、底壁部33とバックヨーク部34とは別体に構成されていてもよい。即ち、アウターロータ本体部31において、バックヨーク部34は、アウターロータ本体部31を構成する他の部分と一体的に構成されていてもよく、アウターロータ本体部31を構成する他の部分と別体に構成されていてもよい。バックヨーク部34と他の部分とが別体に構成されている場合、バックヨーク部34が、強磁性材料からなればよく、他の部分は、強磁性材料以外の材料からなっていてもよい。
筒状ボス部32には、クランクシャフト5の一端部5aを挿入するためのテーパ状挿入孔32aが、クランクシャフト5の軸方向Xに沿って形成されている。テーパ状挿入孔32aは、クランクシャフト5の一端部5aの外周面に対応するテーパ角を有する。挿入孔32aにクランクシャフト5の一端部5aを挿入したときに、一端部5aの外周面が挿入孔32aの内周面に接触し、クランクシャフト5が挿入孔32aに固定される。これにより、ボス部32が、クランクシャフト5の軸方向Xに対して位置決めされる。この状態で、クランクシャフト5の一端部5aの先端部分に形成された雄ねじ部5cに、ナット35がねじ込まれる。これにより、クランクシャフト5に筒状ボス部32が固定される。
筒状ボス部32は、筒状ボス部32の基端部(図中では筒状ボス部32の右部)に径大部32bを有する。筒状ボス部32は、径大部32bの外周面に、径方向外側に向かって延びた鍔部32cを有する。アウターロータ本体部31の底壁部33の中央部に形成された孔部33aに、筒状ボス部32の径大部32bが挿入されている。この状態において、鍔部32cが底壁部33の外周面(図中、右側面)に接している。筒状ボス部32の鍔部32cとアウターロータ本体部31の底壁部33とが、アウターロータ本体部31の周方向の複数個所において、鍔部32cと底壁部33とを貫通するリベット36で一体的に固定されている。
アウターロータ本体部31のバックヨーク部34には、バックヨーク部34の内周面に、複数の永久磁石部37が設けられている。各永久磁石部37は、S極とN極とが三相ブラシレスモータSGの径方向に並ぶように設けられている。
複数の永久磁石部37は、三相ブラシレスモータSGの周方向にN極とS極とが交互に配置されるように設けられている。本実施形態では、インナーステータ40と対向するアウターロータ30の磁極数が24個である。アウターロータ30の磁極数とは、インナーステータ40と対向する磁極数をいう。ステータコアSTの歯部43と対向する永久磁石部37の磁極面の数は、アウターロータ30の磁極数に相当する。アウターロータ30が有する磁極1つあたりの磁極面は、インナーステータ40と対向する永久磁石部37の磁極面に相当する。永久磁石部37の磁極面は、永久磁石部37とインナーステータ40との間に設けられた非磁性体(図示せず)により覆われている。永久磁石部37とインナーステータ40との間には磁性体が設けられていない。非磁性体としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼材が挙げられる。本実施形態において、永久磁石部37は、フェライト磁石である。但し、本発明において、永久磁石としては、ネオジボンド磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石等の従来公知の磁石が採用され得る。永久磁石部37の形状は、特に限定されない。なお、アウターロータ30は、永久磁石部37が磁性材料に埋め込まれた埋込磁石型(IPM型)であってもよいが、本実施形態のように、永久磁石部37が磁性材料から露出した表面磁石型(SPM型)であることが好ましい。
上述のように、クランクシャフト5に取り付けられ、クランクシャフト5と共に回転するように取り付けられたアウターロータ30は、クランクシャフト5のイナーシャを増加させるための回転体である。また、アウターロータ30を構成する底壁部33の外周面(図2及び図2における右側面)には、複数枚の羽根部Faを有する冷却ファンFが設けられている。冷却ファンFは、固定具(複数本のボルトFb)で、底壁部33の外周面に固定されている。
インナーステータ40は、ステータコアSTと複数相のステータ巻線Wとを有する。ステータコアSTは、例えば薄板状のケイ素鋼板を軸方向に沿って積層することにより形成される。ステータコアSTは、ステータコアSTの中心部に、アウターロータ30の筒状ボス部32の外径よりも大きな内径の孔部41を有する。また、ステータコアSTは、径方向外側に向かって一体的に延びた複数の歯部43を有する(図3参照)。本実施形態においては、合計18個の歯部43が周方向に間隔を空けて設けられている。換言すると、ステータコアSTは、周方向に間隔を空けて形成された合計18個のスロットSL(図3参照)を有する。
各歯部43の周囲には、ステータ巻線Wが巻き付けられている。複数相のステータ巻線Wは、スロットSLを通るように設けられている。複数相のステータ巻線Wのそれぞれは、U相、V相、W相の何れかに属する。ステータ巻線Wは、例えば、U相、V相、W相の順に並ぶように配置される。
図2に示すように、インナーステータ40には、三相ブラシレスモータSGの径方向の中央部分に孔部41が形成されている。孔部41内には、クランクシャフト5及びアウターロータ30の筒状ボス部32が、孔部41の壁面(インナーステータ40)から間隔を空けて配置されている。この状態で、インナーステータ40は、4ストロークエンジン本体Eのクランクケース1に取り付けられている。インナーステータ40の歯部43の端部(先端面)は、アウターロータ30を構成する永久磁石部37の磁極面(内周面)から間隔を空けて配置されている。この状態で、アウターロータ30は、クランクシャフト5の回転と連動して回転する。アウターロータ30は、クランクシャフト5と一体で回転する。
図3を参照して、アウターロータ30についてさらに説明する。永久磁石部37は、三相ブラシレスモータSGの径方向におけるインナーステータ40の外側に設けられている。バックヨーク部34は、径方向における永久磁石部37の外側に設けられている。永久磁石部37は、インナーステータ40に対向する面に、周方向に複数の磁極面37aを備えている。磁極面37aは、三相ブラシレスモータSGの周方向に並んでいる。磁極面37aのそれぞれは、N極又はS極である。N極とS極とは、三相ブラシレスモータSGの周方向に交互に配置されている。永久磁石部37の磁極面37aは、インナーステータ40と対向している。本実施形態では、複数の磁石が三相ブラシレスモータSGの径方向に配置されており、複数の磁石のそれぞれが、S極とN極とを三相ブラシレスモータSGの径方向に向けた姿勢で配置されている。周方向に隣り合う1つのS極と1つのN極とによって磁極対が構成される。磁極対の数は、磁極面37aの数の1/2である。本実施形態では、アウターロータ30に、インナーステータ40と対向する24個の磁極面37aが設けられており、アウターロータ30の磁極対の数は12個である。なお、図には、12個の磁極対37pが示されている。ただし、図の見やすさのため、37pの符号は、1つの対のみを指している。
アウターロータ30の外面には、アウターロータ30の回転位置を検出させるための複数の被検出部38が備えられている。複数の被検出部38は、磁気作用によって検出される。複数の被検出部38は、周方向に間隔を空けてアウターロータ30の外面に設けられている。本実施形態において、複数の被検出部38は、周方向に間隔を空けてアウターロータ30の外周面に設けられている。複数の被検出部38は、筒状のバックヨーク部34の外周面に配置されている。複数の被検出部38のそれぞれは、バックヨーク部34の外周面から三相ブラシレスモータSGの径方向Yにおける外向きに突出している。底壁部33、バックヨーク部34、及び被検出部38は、例えば鉄等の金属板をプレス成形することにより一体的に形成されている。つまり、被検出部38は、強磁性体で形成されている。被検出部38の配置の詳細については、後に説明する。
ロータ位置検出装置50は、アウターロータ30の位置を検出する装置である。ロータ位置検出装置50は、複数の被検出部38と対向する位置に設けられている。つまり、ロータ位置検出装置50は、複数の被検出部38がロータ位置検出装置50と順次対向するような位置に配置されている。ロータ位置検出装置50は、アウターロータ30の回転に伴い被検出部38が通過する経路に対向している。ロータ位置検出装置50は、インナーステータ40とは離れた位置に配置されている。本実施形態において、ロータ位置検出装置50は、クランクシャフト5の径方向においてロータ位置検出装置50とインナーステータ40及びステータ巻線Wとの間にアウターロータ30のバックヨーク部34及び永久磁石部37が位置するように配置されている。ロータ位置検出装置50は、三相ブラシレスモータSGの径方向における、アウターロータ30よりも外側に配置されており、アウターロータ30の外周面に向いている。
ロータ位置検出装置50は、検出用巻線51を有している。検出用巻線51は、インナーステータ40が有するステータ巻線Wとは別に設けられた巻線である。ステータ巻線Wには、三相ブラシレスモータSGのアウターロータ30を電磁力によって駆動する電流が供給されるのに対し、検出用巻線51には、三相ブラシレスモータSGのアウターロータ30を駆動する電流が供給されない。つまり、ステータ巻線Wは、アウターロータ30を駆動する磁束を生じさせるが、検出用巻線51は、アウターロータ30を駆動する磁束を生じさせない。また、発電時にステータ巻線Wで生じる電流はバッテリ14に供給されるが、検出用巻線51で生じる電流はバッテリ14に供給されない。ロータ位置検出装置50は、ホール素子及びMR素子のいずれも有していない。本実施形態のエンジンユニットEU(図1参照)は、ホール素子及びMR素子のいずれも備えていない。検出用巻線51によってアウターロータ30の位置を検出するロータ位置検出装置50は、半導体素子を含まない。ロータ位置検出装置50は、半導体素子によって位置を検出するホールIC又はMRセンサと比べて高い耐熱性を有する。
検出用巻線51を流れる電気信号は、クランクシャフト5の回転に伴い複数の被検出部38が移動したときの磁気状態の変化によって変化する。ロータ位置検出装置50は、検出用磁石52及びコア53も備えている。コア53は、例えば鉄製の棒状に延びた部材である。検出用巻線51はコア53の周りに巻き付けられている。コア53の一端部に検出用磁石52が配置されており、コア53の他端部は、アウターロータ30のバックヨーク部34の外周面を向いている。検出用巻線51は、被検出部38を検出するピックアップコイルとして機能する。アウターロータ30の回転に伴い、バックヨーク部34の外周面に設けられた被検出部38がコア53に接近するとき又は離れるときのリラクタンスの変化に応じて、検出用巻線51に生じる起電力による電圧が変化する。このことによって、検出用巻線51は、被検出部38を磁気的に検出する。検出用巻線51は、アウターロータ30の回転開始後に被検出部38を検出する。つまり、ロータ位置検出装置50は、クランクシャフト5の回転の開始後に、アウターロータ30の回転位置の検出を開始する。ロータ位置検出装置50は、アウターロータ30の回転時に、検出用巻線51により磁気的に各被検出部38を順次検出する。ロータ位置検出装置50の検出用巻線51は、検出信号を、制御装置CT(図4参照)に向けて出力する。なお、ロータ位置検出装置50には、上述した、被検出部38の通過に伴う起電力によって発生する電圧が変化するタイプ以外の構成も採用可能である。例えば、ロータ位置検出装置50には、検出用巻線51に常時通電を行い、被検出部38の通過に伴うインダクタンスの変化により通電電流が変化するタイプの構成も採用可能である。
また、本実施形態では、アウターロータ30に、規定位置の数よりも1つ少ない11個の被検出部38が設けられている。11個の被検出部38は、12ヶ所の規定位置のうち11ヶ所にそれぞれ設けられている。すなわち、複数の被検出部38は、アウターロータ30の外面に設けられ、複数の間隔およびそれらとは異なる一つの間隔を形成する位置に配置されている。複数の間隔と異なる一つの間隔は、複数の間隔の各々よりも広い。また、ロータ位置検出装置50は、複数の間隔およびそれらとは異なる一つの間隔を形成する複数の被検出部38と対向する位置に設けられている。図3に示される例では、11個の被検出部38は、複数の30度の間隔およびそれらとは異なる一つの60度の間隔を形成する位置に配置されている。つまり、アウターロータ30の外面における複数(12ヶ所)の規定位置は、クランクシャフト5の周方向に等間隔又は実質的に等間隔に位置する。複数の規定位置のうち、被検出部38が配置されていない位置(欠落位置)と周方向に隣り合う2つの規定位置に配置された2個の被検出部38は、これら2個の被検出部38の間に、残りの被検出部38どうしの角度間隔と比べて2倍の角度間隔を有する。このように、複数の被検出部38によって形成される複数の間隔の一つが他の間隔と異なるので、クランクシャフト5の1回転の中の基準位置を検出することが可能である。
[電気構成]
図4は、図1に示すエンジンユニットEUに係る電気的な基本構成を示すブロック図である。
エンジンユニットEUは、4ストロークエンジン本体E、三相ブラシレスモータSG、及び制御装置CTを備えている。制御装置CTには、三相ブラシレスモータSG、点火プラグ29、及びバッテリ14が接続されている。
制御装置CTは、複数相のステータ巻線Wと接続され、車両が備えるバッテリ14から複数相のステータ巻線Wへの電流を供給する。制御装置CTは、スタータモータ制御部62と、エンジン制御部63と、複数のスイッチング部611〜616とを備えている。本実施形態における制御装置CTは、6個のスイッチング部611〜616を有する。スイッチング部611〜616は、インバータ61を構成している。インバータ61は、三相ブリッジインバータである。インバータ61のスイッチング部611〜616は、バッテリ14と三相ブラシレスモータSGとの間に設けられている。インバータ61のスイッチング部611〜616は、バッテリ14から三相ブラシレスモータSGに印加する電圧を制御する。複数のスイッチング部611〜616は、複数相のステータ巻線Wの各相と接続され、複数相のステータ巻線Wとバッテリ14との間の電圧の印加/非印加を切替える。複数のスイッチング部611〜616は、これにより、複数相のステータ巻線Wとバッテリ14との間の電流の通過/遮断を切替える。より具体的には、三相ブラシレスモータSGがスタータモータとして機能する場合、スイッチング部611〜616のオン・オフ動作によって複数相のステータ巻線Wのそれぞれに対する通電及び通電停止が切替えられる。また、三相ブラシレスモータSGが発電機として機能する場合、スイッチング部611〜616のオン・オフ動作によって、ステータ巻線Wのそれぞれとバッテリ14との間の電流の通過/遮断が切替えられる。スイッチング部611〜616のオン・オフが順次切替えられることによって、三相ブラシレスモータSGから出力される三相交流の整流及び電圧の制御が行われる。なお、本明細書では、制御装置CTがスイッチング部611〜616のオン動作によってバッテリ14の電流をステータ巻線Wに供給する動作を「通電」と称し、発電時における、スイッチング部611〜616のオン動作によって複数相のステータ巻線Wとバッテリ14との間の電流の通過させる動作と区別する。
スイッチング部611〜616のそれぞれは、スイッチング素子を有する。スイッチング素子は、例えばトランジスタであり、より詳細にはFET(Field Effect Transistor)である。ただし、スイッチング部611〜616には、FET以外に、例えばサイリスタ及びIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)も採用可能である。
スタータモータ制御部62は、複数(6個)のスイッチング部611〜616を制御する。スタータモータ制御部62は、スイッチング部611〜616を制御することによって、バッテリ14から三相ブラシレスモータSGに印加される電圧を制御する。スタータモータ制御部62は、スイッチング部611〜616のそれぞれのオン・オフ動作を制御することによって、三相ブラシレスモータSGの動作を制御する。スタータモータ制御部62は、スイッチング部611〜616のそれぞれのオン・オフ動作を制御することによって、三相ブラシレスモータSGを正回転させることも、逆回転させることも可能である。スタータモータ制御部62は、クランキング制御部621、トルク抑制部622、オン・オフ動作記憶部623、及び初期動作部624を含む。クランキング制御部621及びトルク抑制部622を含むスタータモータ制御部62と、エンジン制御部63とは、図示しないコンピュータハードウェアとコンピュータハードウェアで実行される制御ソフトウェアとによって実現される。ただし、クランキング制御部621及びトルク抑制部622を含むスタータモータ制御部62と、エンジン制御部63との一部又は全部は、電子回路であるハードウェア回路によって実現することも可能である。また、スタータモータ制御部62及びエンジン制御部63は、例えば互いに別の装置として互いに離れた位置に構成されてもよく、また、一体に構成されるものであってもよい。
オン・オフ動作記憶部623は、例えばメモリで構成されている。オン・オフ動作記憶部623は、複数のスイッチング部611〜616のオン・オフ動作に関わるデータを記憶している。オン・オフ動作記憶部623は、より詳細には、制御装置CTが三相ブラシレスモータSG及び4ストロークエンジン本体Eを制御するために用いる情報のテーブル及びマップ、並びに情報が記載されているソフトウェアを記憶している。また、初期動作部624は、電子回路で構成されている。初期動作部624は、クランクシャフト5が停止状態の時に、複数のスイッチング部611〜616のオン・オフ動作させる電気信号を発生する。なお、制御装置CTは、オン・オフ動作記憶部623及び初期動作部624の双方を動作させてもよく、オン・オフ動作記憶部623及び初期動作部624の一方を動作させてもよい。
エンジン制御部63は、点火プラグ29に点火動作を行わせることによって、4ストロークエンジン本体Eの燃焼動作を制御する。4ストロークエンジン本体Eが、シリンダ2(図1参照)の燃焼室に空気を導く通路内に燃料を噴射し混合気を生成する燃料噴射装置を備える場合には、エンジン制御部63は、燃料噴射装置の噴射も制御することによって、4ストロークエンジン本体Eの燃焼動作を制御する。
スタータモータ制御部62には、4ストロークエンジン本体Eを始動させるためのスタータスイッチ16が接続されている。スタータスイッチ16が4ストロークエンジン本体Eの始動の際、運転者によって操作されると、スタータスイッチ16から、制御装置CTに始動指示が入力される。制御装置CTは、インバータ61、スタータモータ制御部62、及びエンジン制御部63の動作を通じて、三相ブラシレスモータSGを制御する。
[エンジンユニットの動作]
図5は、図1に示すエンジンユニットEUの動作を説明するフローチャートである。
また、図6(a)は、図1に示すエンジンユニットEUにおける、クランクシャフト5の動きを説明する図である。図6(b)は、比較例として逆回転する場合のクランクシャフトの動きを説明する図である。
図5及び図6(a)を参照しながら、エンジンユニットEUの動作を燃焼停止から順に説明する。
制御装置CTは、燃焼停止の指示が入力されると、4ストロークエンジン本体Eの燃焼動作を停止する(S11)。より詳細には、エンジン制御部63は、燃焼停止の指示が入力されると、4ストロークエンジン本体Eの燃焼動作を停止する。燃焼停止の指示は、例えばメインスイッチ17がオフに操作された場合に、メインスイッチ17から、制御装置CTに入力される。また、エンジンユニットEUがアイドリングストップ機能を有する場合、制御装置CTは、車両の走行状態及びクランクシャフト5の回転状態に関するエンジンストップ条件を判別することによって、自ら燃焼停止の指示を実行する。4ストロークエンジン本体Eの燃焼動作が停止すると、クランクシャフト5は、慣性力によって回転する。摩擦力によって慣性力が減少し、慣性力の減少に伴って摩擦力が相対的に増大する。従って、クランクシャフト5は、減速しながら回転した後、停止する。
図6(a)には、4ストロークエンジン本体Eの燃焼動作が停止した後、クランクシャフトが停止位置P1に停止した状態が示されている。4ストロークエンジン本体Eの燃焼動作が停止した後、クランクシャフト5の正回転は、圧縮行程又は圧縮行程の付近で停止しやすい。即ち、クランクシャフト5の停止位置は、特に限定されないが、圧縮行程又は圧縮行程の付近になり易い。図6(a)に示す例では、クランクシャフトが停止した停止位置P1は、吸気行程にある。圧縮行程の付近は、例えば、吸気行程である。また、圧縮行程の付近は、例えば、吸気行程において排気行程よりも圧縮行程に近い位置である。
三相ブラシレスモータSGのアウターロータ30は、クランクシャフト5の回転と連動して回転する。アウターロータ30に設けられた複数の被検出部38がロータ位置検出装置50によって検出される。制御装置CTは、ロータ位置検出装置50による複数の被検出部38の検出に基づいてクランクシャフト5の位置を検出する。制御装置CTは、ロータ位置検出装置50による複数の被検出部38の検出に基づいてクランクシャフト5の回転を検出する。また、制御装置CTは、ロータ位置検出装置50による複数の被検出部38の検出に基づいてクランクシャフト5の回転停止を検出する。より詳細には、制御装置CTは、ロータ位置検出装置50により複数の被検出部38が検出されない場合に、クランクシャフト5の回転が停止したと判別する。
ロータ位置検出装置50は、ロータ位置検出装置50から離れた位置で移動する複数の被検出部38を検出する。また、ロータ位置検出装置50は、複数の被検出部38が移動した時の磁気的状態の変化によって変化する電気信号によって、複数の被検出部38を検出する。したがって、制御装置CTは、ロータ位置検出装置50が複数の被検出部38の移動を検出できない程度にクランクシャフト5の回転速度が低い場合に、クランクシャフト5が停止したと判断する。従ってこのとき、クランクシャフト5の回転速度は、0に限られず、クランクシャフト5は低速度で回転している場合もある。制御装置CTは、クランクシャフト5が停止したと判断した後、例えば始動指示の入力がない状態でクランクシャフト5を回転させる制御を行う。クランクシャフト5の回転が停止した状態は、クランクシャフト5の回転速度が0又は実質的に0である状態である。クランクシャフト5の回転速度が実質的に0である状態は、例えば、クランクシャフト5の回転が、クランクシャフト5の回転を検出する検出装置(例えば、ロータ位置検出装置50)に検出されない速度でクランクシャフト5が回転している状態である。また、クランクシャフト5の回転速度が実質的に0である状態は、例えば、図5のS13におけるクランクシャフト5の最大回転速度よりも小さい速度でクランクシャフト5が回転している状態である。ここで、図5のS13におけるクランクシャフト5の最大回転速度は、4ストロークエンジン本体が燃焼動作を停止した後、始動指示の入力がない状態で、制御装置CTがクランクシャフト5を回転させたときの最大回転速度である。
制御装置CTは、4ストロークエンジン本体Eの燃焼動作が停止した後(S11)、かつ、クランクシャフト5の正回転が停止した後(S12でYes)、クランクシャフト5を、図6(a)に示す停止位置P1から4ストロークにおける膨張行程まで正回転させる(S13)。より詳細には、スタータモータ制御部62は、エンジン制御部63が4ストロークエンジン本体Eの燃焼動作を停止した後(S11)、かつ、クランクシャフト5の正回転が停止した後(S12でYes)、クランクシャフト5を、停止位置P1から4ストロークにおける膨張行程まで正回転させる(S13)。制御装置CTは、始動指示の入力がない状態で、クランクシャフト5を正回転させる(S13)。図6(a)には、クランクシャフト5が、停止位置P1から、膨張行程の中の位置P2まで正回転する状態が示されている。
制御装置CTは、クランクシャフト5の正回転が停止していた位置から膨張行程の終わり(膨張下死点)までの間の少なくとも一部で、インバータ61の複数のスイッチング部611〜616を制御することによって、三相ブラシレスモータSGを、バッテリ14で得られる最大トルクよりも小さいトルクで回転させる。上記ステップS13において、制御装置CTは、インバータ61の複数のスイッチング部611〜616を制御することによって、バッテリ14から三相ブラシレスモータSGに印加される電圧を制御して、クランクシャフト5を正回転させる。より詳細には、スタータモータ制御部62(制御装置CT)は、予め定められたタイミングで複数のスイッチング部611〜616をオン・オフ動作する。これによって、三相ブラシレスモータSGの複数相のステータ巻線Wに電圧が印加され、三相ブラシレスモータSGのアウターロータ30が回転する。クランクシャフト5はアウターロータ30の回転と連動して回転する。
制御装置CTは、三相ブラシレスモータSGを、バッテリ14で得られる最大トルクよりも小さいトルクで回転させる。また、制御装置CTは、三相ブラシレスモータSGを、始動指示の入力に応じてクランクシャフト5を正回転させたとき(S17)の最大トルクよりも抑えたトルクで回転させつつ、クランクシャフト5を膨張行程まで正回転させる。より詳細には、スタータモータ制御部62のトルク抑制部622が、予め定められたタイミングで複数のスイッチング部611〜616をオン・オフ動作する。スタータモータ制御部62は、オープンループ制御によって、スイッチング部611〜616をオン・オフ動作する。すなわち、スタータモータ制御部62は、アウターロータ30の位置によるフィードバック制御を行うことなく、予め定められたタイミングで複数相のステータ巻線Wを順次通電する。三相ブラシレスモータSGは、例えば、複数相のステータ巻線Wがアウターロータ30の位置に応じた最適なタイミングで順次通電される場合に、バッテリ14で得られる最大トルクを発揮する。本実施形態のステップS13におけるトルク抑制制御では、スタータモータ制御部62(制御装置CT)のトルク抑制部622が、アウターロータ30の位置に応じた最適なタイミングでなく、フィードフォワード制御により予め定められたタイミングでスイッチング部611〜616をオン・オフ動作する。これによって、三相ブラシレスモータSGは、バッテリ14で得られる最大トルクよりも小さいトルクで回転する。また、制御装置CTが、後に、始動指示の入力に応じてクランクシャフト5を正回転させる場合には(S17)、ロータ位置検出装置50によって検出されるアウターロータ30の位置に応じて、複数相のステータ巻線Wを順次通電する場合がある。つまり、制御装置CTは、始動指示の入力に応じてクランクシャフト5を正回転させる場合、アウターロータ30の位置に基づくフィードバック制御によって、複数相のステータ巻線Wを順次通電する場合がある。本実施形態のステップS13におけるトルク抑制制御では、スタータモータ制御部62(制御装置CT)のトルク抑制部622が、予め定められたタイミングで複数のスイッチング部611〜616をオン・オフ動作することによって、始動指示の入力に応じてクランクシャフト5を正回転させたときの最大トルクよりも抑えたトルクでクランクシャフト5を回転させる。
三相ブラシレスモータのトルクが抑えられるので、クランクシャフトの正回転の速度が低くなる。このため、クランクシャフトの膨張行程までの正回転に伴う、4ストロークエンジン本体の燃焼室における気体の圧縮の反力が抑えられる。圧縮反力による負荷が低く、正回転の速度が低いため、クランクシャフトを、再始動するまでの時間を短縮できる膨張行程に容易に移動させることができる。
制御装置CTは、複数のスイッチング部611〜616をオン・オフ動作することにより、クランクシャフト5を膨張行程まで正回転させる。4ストロークエンジン本体Eにおいて、燃焼動作の停止後(S11)、クランクシャフト5が限られた範囲内の位置に停止する場合、制御装置CTは、複数のスイッチング部611〜616を、予め定められた回数オン・オフ動作することにより、クランクシャフト5を膨張行程まで正回転させることができる。図6(a)に示す例では、クランクシャフト5はP2で示す位置まで回転する。なお、制御装置CTが、複数のスイッチング部611〜616をオン・オフ動作する回数を、燃焼動作の停止後にクランクシャフト5の回転が停止したとき(S12でYes)のクランクシャフト5の停止位置P1に応じて制御することも可能である。
制御装置CTは、始動指示が入力されない場合には(S14でNo)、複数のスイッチング部611〜616のオン・オフ動作を終了する。これによって、制御装置CTは、クランクシャフト5を膨張行程で停止させる。図6(a)に示す例では、クランクシャフト5はP2で示す位置に停止する。クランクシャフト5が膨張行程で停止するので、エンジン始動の際に、クランクシャフトの回転を膨張行程から確実に開始することができる。
始動指示が入力されると(S14でYes)、制御装置CTは、三相ブラシレスモータSGに、クランクシャフト5を回転させることによって4ストロークエンジン本体Eを始動させる(S15)。
再始動の指示は、例えば、スタータスイッチ16が操作された場合に、スタータスイッチ16から制御装置CTに入力される。また、エンジンユニットEUがアイドリングストップ機能を有する場合、制御装置CTは、予め定めたエンジン始動条件を判別することによって、自ら再始動の指示を実行する。
ステップS13における複数のスイッチング部611〜616のオン・オフ動作の期間中に、再始動の指示の入力があった場合、制御装置CTは、クランクシャフト5の正回転を膨張行程で停止させずに継続させることにより、4ストロークエンジン本体Eを始動させる(S15)。つまり、制御装置CTは、4ストロークエンジン本体Eの燃焼動作とクランクシャフト5の正回転とが停止し、かつ始動指示の入力がない状態で、インバータ61の複数のスイッチング部611〜616を制御することによって三相ブラシレスモータSGに印加される電圧を制御してクランクシャフト5を膨張行程まで正回転させる途中で始動指示の入力があった場合、クランクシャフト5の正回転を膨張行程で停止させずに膨張行程を超えて継続させることにより、4ストロークエンジン本体Eを始動させる(S15〜S21)。
正回転が膨張行程を超えて継続することにより、始動指示の入力がない状態で膨張行程まで正回転したクランクシャフト5の慣性力が、4ストロークエンジン本体Eの再始動のためのクランクシャフト5の回転に利用される。したがって、再始動するまでの時間がさらに短縮される。
始動指示の入力があった場合(S14でYes)、制御装置CTは、クランキング制御を行う(S15)。スタータモータ制御部62は、三相ブラシレスモータSGを、膨張行程から正回転させて4ストロークエンジン本体Eを始動させる。より詳細には、スタータモータ制御部62のトルク抑制部622が、予め定められたタイミングで複数相のステータ巻線Wを順次通電することによって、クランクシャフト5の回転を開始させる。次に、クランクシャフト5の回転に伴いロータ位置検出装置50が、アウターロータ30に設けられた複数の被検出部38を検出すると、スタータモータ制御部62のクランキング制御部621が、クランクシャフト5の位置に基づくフィードバック制御によって、複数相のステータ巻線Wを順次通電する。このとき、制御装置CTは、三相ブラシレスモータSGを、バッテリ14で得られる最大トルクで回転させることが好ましい。ただし、例えば、クランクシャフト5の停止状態からクランクシャフト5の位置が判別可能な場合には、予め定められたタイミングで複数相のステータ巻線Wを順次通電する制御を省略して、フィードバック制御によって、複数相のステータ巻線Wを順次通電することも可能である。
このようにして、制御装置CTは、クランクシャフト5を膨張行程から正回転させる。
この後、制御装置CTは、クランクシャフト5の回転速度が所定の着火可能回転速度を超えている場合(S18でYes)、4ストロークエンジン本体Eの燃焼動作を開始させる(S19)。より詳細には、制御装置CTのエンジン制御部63は、点火プラグ29に点火動作を行わせることによって、4ストロークエンジン本体Eの燃焼動作を制御する。4ストロークエンジン本体Eが、シリンダ2(図1参照)の燃焼室に空気を導く通路内に燃料を噴射し混合気を生成する燃料噴射装置を備える場合には、エンジン制御部63は、燃料噴射装置の噴射も制御することによって、4ストロークエンジン本体Eの燃焼動作を制御する。
三相ブラシレスモータSGは、4ストロークエンジン本体Eの始動後、クランクシャフト5の回転と連動して回転することにより、バッテリ14を充電するための電流を発電するジェネレータとして機能する。すなわち、4ストロークエンジン本体Eが燃焼を開始すると(S19)、三相ブラシレスモータSGが4ストロークエンジン本体Eに駆動されて発電機として機能する。制御装置CTは、複数のスイッチング部611〜616をオン・オフ動作して、複数のステータ巻線Wからバッテリ14に供給される電流を制御する。制御装置CTは、ロータ位置検出装置50の検出用巻線51の電気信号に基づいて、複数のスイッチング部611〜616をオン・オフ動作する。
図6(b)には、本実施形態の比較例として逆回転する場合のクランクシャフトの動きが示されている。
図6(b)に示す例では、4ストロークエンジン本体の燃焼動作が停止した後、クランクシャフトが、図6(a)に示す本実施形態の場合と同様に、停止位置P1に停止する。この後、クランクシャフトは、膨張行程内の位置P3まで逆回転する。クランクシャフトは、始動指示の入力に応じて、膨張行程内の位置P3から正回転を開始することとなる。
これに対し、図6(a)に動きの例を示す、本実施形態におけるクランクシャフトによれば、4ストロークエンジン本体の燃焼動作が停止した後、クランクシャフトが停止する停止位置P1から、始動指示の入力に応じて正回転を開始する位置P2までの距離が、図6(b)における位置P1から位置P3までの距離よりも短い。
図7は、クランク角度位置と必要トルクとの関係を模式的に示す説明図である。
図7において、正回転における必要トルクTaは実線で示されている。4ストロークエンジン本体Eは、図7に示すクランク角度位置と必要トルクとの関係を満たすように構成されている。即ち、4ストロークエンジン本体Eは、4ストロークの間に、クランクシャフト5を回転させる負荷が大きい高負荷領域THと、クランクシャフト5を回転させる負荷が高負荷領域の負荷より小さい低負荷領域TLとを有する。低負荷領域TLは高負荷領域THよりも広い。より詳細には、4ストロークエンジン本体Eは、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、及び排気行程の4工程を繰り返しながら回転する。図7の実線に示されるように、クランクシャフトが正回転する場合、高負荷領域THは、圧縮行程に含まれており、吸気行程、膨張行程、及び排気行程のいずれにも含まれていない。高負荷領域THは、圧縮行程のうち、圧縮上死点(クランク角度位置が0度)寄りに位置している。低負荷領域TLは、吸気行程、膨張行程、及び排気行程に含まれている。
図7において、逆回転における必要トルクTbは破線で示されている。クランクシャフトが逆回転する場合、図7の破線に示されるように、高負荷領域は、圧縮行程ではなく、膨張行程に含まれる。
図7のグラフの下部には、図6(a)に示した、正回転する場合のクランクシャフトの動きM1と、図6(b)に示した、比較例としての、逆回転する場合のクランクシャフトの動きM2が示されている。
比較例としての、逆回転する場合のクランクシャフトの動きM2を説明する。
4ストロークエンジン本体の燃焼動作が停止した後、クランクシャフトが、圧縮行程又は圧縮行程の付近の停止位置P1に停止した場合、クランクシャフトは、膨張行程の位置P3まで逆回転して停止する。その後、始動指示の入力に応じてクランクシャフトが正回転することにより、高負荷領域に到達する前にクランクシャフトの回転速度が高められる。
比較例において、燃焼動作が停止した後、クランクシャフトが停止した後、クランクシャフトは、吸気行程及び排気行程を経て膨張行程までの区間を逆回転することとなる。また、クランクシャフトが逆回転する場合、高負荷領域が排気行程で生じる。クランクシャフトの逆回転時に、仮に、クランクシャフトが、高負荷領域にある最大負荷位置を乗り越える場合、クランクシャフトは圧縮行程に移動してしまう。逆回転するクランクシャフトが、圧縮行程に移動してしまうと、逆回転するメリットがなく、却って、逆回転から正回転に移行するための動力及び時間が必要になる。従って、クランクシャフトが逆回転した状態で圧縮行程に移動することを避けることが求められる。そのため、クランクシャフトは、圧縮上死点(0度)近傍にある最大負荷位置に充分近づくことができない。例えば、クランクシャフトは、逆回転における必要トルクTbの最大負荷位置から離れたグラフの中の斜線の領域まで移動する。クランクシャフトの逆転時にクランクシャフトを最大負荷位置に充分に近づけることが困難であるため、始動指示の入力に応じて正回転を開始する位置P3から最大負荷位置まで正回転する距離L4が短い。そのため、始動指示の入力に応じた正回転によって得られる慣性力が比較的小さい。
これに対し、本実施形態では、4ストロークエンジン本体の燃焼動作が停止した後、クランクシャフト5が、圧縮行程又は圧縮行程の付近の停止位置P1に停止した場合、クランクシャフト5は、膨張行程内の位置P2まで正回転する。クランクシャフト5が正回転する場合、最大負荷位置は、圧縮行程で生じ、膨張行程で生じない。クランクシャフト5が膨張行程まで正回転する場合、クランクシャフト5は、圧縮行程における最大負荷位置をすでに乗り越えている。つまり、制御装置CTは、始動指示の入力がない状態で、クランクシャフト5に、圧縮行程内で高負荷領域における最大負荷位置を正回転で通過させた後、クランクシャフト5を膨張行程まで正回転させている。この場合、膨張行程内の負荷の影響が低減されるので、クランクシャフト5は、膨張行程における圧縮上死点に近い位置に位置させ易い。例えば、クランクシャフト5は、図7における斜線の領域よりも、正回転における手前の位置P2で停止させることができる。この場合、始動指示の入力に応じてクランクシャフト5が2回目の高負荷に至るまでの距離L2がより長く確保できる。
始動指示の入力に応じてクランクシャフト5が回転を開始する場合、クランクシャフト5は、膨張行程から圧縮行程までの広い低負荷領域に渡って正回転し、2回目の高負荷領域に到達する。つまり、加速のための長い助走区間L2が確保される。従って、三相ブラシレスモータSGは、2回目の高負荷領域に到達する前にクランクシャフト5の回転速度を高めることができる。そして、高い回転速度に伴う大きな慣性力と三相ブラシレスモータの出力トルクの両方を利用して、2回目の高負荷領域を乗り越えることができる。従って、三相ブラシレスモータSGの出力トルクを抑えて三相ブラシレスモータを小型化することができる。
4ストロークエンジン本体Eの燃焼動作が停止したときの状態について、再び説明する。クランクシャフト5の正回転が停止した後、制御装置CTは、インバータ61の複数のスイッチング部611〜616を制御することによって、バッテリ14から三相ブラシレスモータSGに印加される電圧を制御して、クランクシャフト5を、停止位置P1から膨張行程の位置P2まで正回転させる。この正回転で移動する区間L1は、逆回転で移動する場合の区間L3と比べて短い。従って、クランクシャフトを膨張行程まで逆回転させる場合と比べて、クランクシャフト5を短時間で、4ストロークエンジン本体Eを小さなトルクで始動させやすい位置に移動させることができる。
停止位置P1に停止したクランクシャフト5、を三相ブラシレスモータSGに印加される電圧の制御によって、膨張行程の位置P2まで正回転させる場合、例えば、4ストロークエンジン本体Eの燃焼動作の慣性力によって正回転させる場合と比べて、クランクシャフトの目標位置P2への移動を制御しやすい。このため、クランクシャフトを、4ストロークエンジン本体Eの始動を行いやすい位置に短時間で移動させることができる。
従って本実施形態のエンジンユニットEUによれば、4ストロークの間に高負荷領域と低負荷領域とを有する4ストロークエンジン本体Eを備え、燃焼停止指示の後、再始動するまでの時間の短縮と車両への搭載性を両立させることができる。
また、制御装置CTは、始動指示の入力がない状態で、三相ブラシレスモータSGを、バッテリ14で得られる最大トルクよりも小さいトルクで回転させつつ、クランクシャフト5を膨張行程まで正回転させている(図5のステップS13)。
クランクシャフト5が膨張行程まで正回転する時、すなわち、クランクシャフト5の停止位置P1から、膨張行程の終わりまでの間の一部で三相ブラシレスモータSGが、バッテリ14で得られる最大トルクよりも小さいトルクで回転するので、クランクシャフト5の正回転の速度が低くなる。このため、クランクシャフト5の正回転に伴う、4ストロークエンジン本体Eの燃焼室における気体の圧縮反力が抑えられる。クランクシャフト5の回転への圧縮反力による抵抗が抑えられるので、クランクシャフト5をより短い時間で膨張行程に移動させることができる。従って、再始動するまでの時間がより確実に短縮される。
また、三相ブラシレスモータSGは、4ストロークエンジン本体Eの始動後、クランクシャフト5の回転と連動して回転することにより、バッテリ14を充電するための電流を発電するジェネレータとして機能する。ジェネレータ機能を兼用する三相ブラシレスモータSGのステータ巻線Wは、バッテリ14を充電するための構造上の制約を受ける。例えば、過大な充電電流を抑えるため、三相ブラシレスモータSGとしての性能が制限される。
しかし本実施形態によれば、クランクシャフト5が、まず、最大トルクよりも小さい出力トルクによる低い回転速度によって最大負荷位置に到達し、次に2回目の最大負荷位置まで充分な区間で加速する。このため、三相ブラシレスモータSGの性能が制限された場合でも2回目の最大負荷位置での負荷を乗越すことができる。従って、三相ブラシレスモータSGがスタータモータとジェネレータとを兼用することにより構成をシンプルにしつつ、三相ブラシレスモータSGを小型化できる。
[第二実施形態]
続いて、本発明の第二実施形態について説明する。以下の第二実施形態の説明にあたっては、第一実施形態における各要素と対応する要素には同一の符号を付し、上述した第一実施形態との相違点を主に説明する。
図8は、第二実施形態のエンジンユニットEUに係る電気的な基本構成を示すブロック図である。
図8に示すエンジンユニットEUにおいて、ロータ位置検出装置850は、ホールICで構成されている。ロータ位置検出装置850は、アウターロータ30に設けられた磁極面37aを検出する。制御装置CTはロータ位置検出装置850から出力される電気信号の変化によって、アウターロータ30の位置を検出する。制御装置CTは、アウターロータ30の位置に基づいて、インバータ61の複数のスイッチング部611〜616を制御する。これによって、制御装置CTは、三相ブラシレスモータSGの回転を制御する。本実施形態の制御装置CTは、予め定められたタイミングではなく、ロータ位置検出装置850が検出したアウターロータ30の位置に応じて、複数のスイッチング部611〜616をオン・オフ動作する。すなわち、本実施形態の制御装置CTは、アウターロータ30の位置に基づくフィードバック制御で、複数のスイッチング部611〜616をオン・オフ動作する。
また、本実施形態の制御装置CTは、インバータ61の複数のスイッチング部611〜616を制御することによって、バッテリ14から三相ブラシレスモータSGに印加する電圧(電圧値)を制御する。より詳細には、スタータモータ制御部862のクランキング制御部8621及びトルク抑制部8622のそれぞれが、インバータ61の複数のスイッチング部611〜616を制御することによって、バッテリ14から三相ブラシレスモータSGに印加する電圧(電圧値)を制御する。本実施形態では、電圧の制御として、電圧値の制御も実施される。以降の説明における電圧の制御には、電圧値の制御が含まれる。
より詳細には、制御装置CTは、インバータ61の複数のスイッチング部611〜616をPWM制御する。制御装置CTは、インバータ61の複数のスイッチング部611〜616をパルス幅変調された信号でオン・オフ動作させる。制御装置CTは、電気角における1周期の中で、パルス幅変調された信号でスイッチング部611〜616をオン・オフ動作させることによりステータ巻線Wに通電する通電期間と、ステータ巻線Wに通電しない非通電期間とを繰り返す。例えば、制御装置CTは、電気角における120度の期間の通電期間と、通電期間に続く60度の期間の非通電期間とを繰り返す。制御装置CTは、通電期間において、三相のうちのある相に対応するスイッチング部をパルス幅変調された信号でオン・オフ動作させ、非通電期間において、この相に対応するスイッチング部をオフ動作させる。パルス幅変調された信号の周期は、通電期間及び非通電期間の繰り返し周期よりも充分短い。通電期間において、ステータ巻線Wには、スイッチング部がオフ動作する短い時間も電流が流れ続ける。本実施形態の制御装置CT及びインバータ61は、パルス幅変調された信号のデューティ比を制御することによって、三相ブラシレスモータSGのステータ巻線Wに印加される平均の電圧(電圧値)を制御する。なお、平均の電圧値は、例えば、単位時間当たりの電圧の時間平均値である。単位時間は、例えば、通電期間に相当する時間である。つまり、制御装置CTは、ステータ巻線Wに対する通電及び通電停止を切替えるだけでなく、通電期間において、ステータ巻線Wに対する印加される電圧を制御する。
本実施形態の制御装置CTは、4ストロークエンジン本体Eの燃焼動作とクランクシャフト5の正回転とが停止した状態からクランクシャフト5を正回転させる。このとき、制御装置CTは、クランクシャフト5の正回転が停止していた位置から膨張行程の終わりまでの間の少なくとも一部で、インバータ61の複数のスイッチング部611〜616を制御することによって、三相ブラシレスモータSGを、バッテリ14で得られる最大トルクよりも小さいトルクで回転させる。本実施形態の制御装置CTは、膨張行程の終わりまでの間の少なくとも一部で、インバータ61の複数のスイッチング部611〜616を制御することによって、バッテリ14から三相ブラシレスモータSGに印加する電圧をバッテリ14の電圧より低くする。ここで、本実施形態の制御装置CTは、4ストロークエンジン本体の燃焼動作とクランクシャフト5の正回転とが停止し、かつ始動指示の入力がない状態からクランクシャフト5を膨張行程まで正回転させる間の少なくとも一部で、インバータ61の複数のスイッチング部611〜616を制御することによって三相ブラシレスモータSGに印加する電圧をバッテリ14の電圧より低くする。すなわち、制御装置CTは、始動指示の入力がない状態からクランクシャフト5を圧縮行程まで正回転させる間の少なくとも一部で、インバータ61の複数のスイッチング部611〜616を制御することによって三相ブラシレスモータSGを、バッテリ14で得られる最大トルクよりも小さいトルクで回転させる。
より詳細には、制御装置CTは、図5に示すステップS13の正回転において、複数のスイッチング部611〜616を制御する信号のデューティ比を制御することによって、三相ブラシレスモータSGに印加する電圧をバッテリ14の電圧より低くする。また、制御装置CTは、図5に示すステップS13の正回転において、三相ブラシレスモータSGに印加する電圧を、始動指示の入力に応じてクランクシャフト5を正回転させたときに(S17)三相ブラシレスモータSGに印加する電圧よりも低くする。三相ブラシレスモータSGに印加する電圧は、スイッチング部611〜616を制御する信号のデューティ比が100%の場合にバッテリ14の電圧と実質的に等しくなる。またこのときに、三相ブラシレスモータSGは、バッテリ14で得られる最大トルクを発揮する。本実施形態の制御装置CTは、スイッチング部611〜616を制御する信号のデューティ比を100%より低下させることによって、三相ブラシレスモータSGに印加する電圧をバッテリ14の電圧より低くする。また、これによって、三相ブラシレスモータSGは、バッテリ14で得られる最大トルクよりも小さいトルクで回転する。
このようにして、制御装置CTは、三相ブラシレスモータSGを、バッテリ14で得られる最大トルクよりも抑えたトルクで回転させつつ、クランクシャフト5を膨張行程まで正回転させる。従って、本実施形態によれば、クランクシャフト5が低速度で膨張行程まで正回転するため、クランクシャフト5は、気体の圧縮反力の影響を受け難い。従って、本実施形態によれば、第一実施形態の場合と同様に、クランクシャフト5の回転への圧縮反力による抵抗が抑えられるので、クランクシャフト5をより短い時間で膨張行程に移動させることができる。従って、再始動するまでの時間がより確実に短縮される。
[自動二輪車]
図9は、第一実施形態又は第二実施形態のいずれかのエンジンユニットが搭載される車両を示す外観図である。
図9に示す車両Aは、上述した実施形態のエンジンユニットEUと、車体101と、車輪102,103と、バッテリ14とを備えている。エンジンユニットEUは、第一実施形態に係るエンジンユニットEUであってもよく、第二実施形態に係るエンジンユニットEUであってもよい。車両Aに搭載されたエンジンユニットEUは、駆動輪である車輪103を駆動し、車輪103を回転させることによって、車両Aを走行させる。
図9に示す車両Aは、早期始動性を確保しつつ耐熱性があり、しかもシンプルな構造で車両搭載性の高い車両用4ストロークエンジンユニットを搭載したので、車両A全体をコンパクト化できる。
図9に示す車両Aは、自動二輪車である。ただし、本発明の車両は、自動二輪車に限られない。本発明の車両は、例えば、スクータ型、モペット型、オフロード型、オンロード型の自動二輪車が挙げられる。また、鞍乗型車両としては、自動二輪車に限定されず、例えば、ATV(All−Terrain Vehicle)等であってもよい。また、本発明に係る車両は、鞍乗型車両に限定されず、車室を有する4輪車両等であってもよい。
なお、制御装置CTは、ロータ位置検出装置50以外の検出手段によって、クランクシャフト5の回転及び回転停止を検出してもよい。例えば、エンジンユニットは、ホールIC又はロータリエンコーダを備え、制御装置は、ホールIC又はロータリエンコーダの出力信号を検出することによって、クランクシャフト5の回転及び回転停止を検出してもよい。
また、本実施形態では、制御装置の一例として、始動指示の入力がない状態からクランクシャフト5を膨張行程まで正回転させる間、三相ブラシレスモータSGを、最大トルクよりも抑えたトルクで回転させる制御装置CTを示した。ただし、本発明の制御装置はこれに限られず、例えば、制御装置は、始動指示の入力がない状態からクランクシャフト5を膨張行程まで正回転させる間の一部で、三相ブラシレスモータSGを、バッテリ14で得られる最大トルクよりも小さいトルクで回転させてもよい。
また、本実施形態では、制御装置の一例として、始動指示の入力がない状態からクランクシャフト5を膨張行程まで正回転させる間、三相ブラシレスモータSGに印加する電圧をバッテリ14の電圧より低くする制御装置CTを示した。ただし、本発明の制御装置はこれに限られず、例えば、制御装置は、始動指示の入力がない状態からクランクシャフト5を膨張行程まで正回転させる間の一部で、三相ブラシレスモータSGに印加する電圧をバッテリの電圧より低くしてもよい。
また、本実施形態では、制御装置の一例として、始動指示の入力がない状態で、クランクシャフト5を、膨張行程まで正回転させる(S13)制御装置CTを示した。ただし、本発明の制御装置はこれに限られない。制御装置は、例えば、図5に示す処理のうちステップS13とステップS14の処理を本実施形態とは逆の順で行うものであってもよい。すなわち、制御装置は、例えば、始動指示の入力がない状態で、始動指示の入力がされた後、三相ブラシレスモータに印加する電圧をバッテリの電圧より低くしてクランクシャフトを膨張行程まで正回転させ、この後、三相ブラシレスモータに印加する電圧を高めて、クランクシャフトを正回転させてもよい。
また、本発明のエンジンユニットが備える4ストロークエンジン本体Eは、クランクシャフトの正回転中に、圧縮行程での燃焼室の圧力を低減するためのデコンプレッション機構を有するものであってもよく、また、デコンプレッション機構を有しないものであってもよい。
本実施形態では、4ストロークエンジン本体Eが単気筒エンジンである場合について説明した。しかし、本発明のエンジンは、高負荷領域と低負荷領域とを有するエンジンであれば、特に限定されない。即ち、多気筒エンジンであってもよい。本実施形態以外の例としては、例えば、直列単気筒、並列二気筒、直列二気筒、V型二気筒、水平対向二気筒等のエンジンが挙げられる。多気筒エンジンの気筒数は特に限定されず、多気筒エンジンは、例えば、四気筒エンジンであってもよい。但し、四気筒エンジンには、各気筒の圧縮行程が等間隔に生じる四気筒エンジン(等間隔爆発を行う四気筒エンジン)のように、低負荷領域を有していないエンジンもある。このように低負荷領域を有していないエンジンは、本発明のエンジンに該当しない。
A 車両
CT 制御装置
E 4ストロークエンジン本体
EU エンジンユニット
SG 三相ブラシレスモータ
5 クランクシャフト
29 点火プラグ
62、862 スタータモータ制御部
63 エンジン制御部
61 インバータ
611〜616 スイッチング部

Claims (8)

  1. 車両に搭載されるエンジンユニットであって、
    前記エンジンユニットは、
    4ストロークの間に、前記エンジンのクランクシャフトを回転させる負荷が大きい高負荷領域と、前記クランクシャフトを回転させる負荷が前記高負荷領域の負荷より小さい低負荷領域とを有する4ストロークエンジン本体と、
    前記車両が備えるバッテリにより駆動され、始動指示の入力に応じて前記クランクシャフトを正回転させて前記4ストロークエンジン本体を始動する三相ブラシレスモータと、
    前記バッテリから前記三相ブラシレスモータに印加する電圧を制御する複数のスイッチング部を備えたインバータと、
    前記インバータに備えられた前記複数のスイッチング部を制御することによって、前記バッテリから前記三相ブラシレスモータに印加される電圧を制御するスタータモータ制御部と、前記4ストロークエンジン本体の燃焼動作を制御するエンジン制御部とを含む制御装置と
    を備え、
    前記制御装置は、前記4ストロークエンジン本体の燃焼動作と前記クランクシャフトの正回転とが停止した後、前記4ストロークエンジン本体の燃焼動作と前記クランクシャフトの正回転とが停止し、かつ前記始動指示の入力がない状態で、前記インバータの前記複数のスイッチング部を制御することによって、前記バッテリから前記三相ブラシレスモータに印加される電圧を制御して、前記クランクシャフトを、停止位置から前記4ストロークにおける膨張行程まで正回転させる。
  2. 車両に搭載されるエンジンユニットであって、
    前記エンジンユニットは、
    4ストロークの間に、前記エンジンのクランクシャフトを回転させる負荷が大きい高負荷領域と、前記クランクシャフトを回転させる負荷が前記高負荷領域の負荷より小さい低負荷領域とを有する4ストロークエンジン本体と、
    前記車両が備えるバッテリにより駆動され、始動指示の入力に応じて前記クランクシャフトを正回転させて前記4ストロークエンジン本体を始動する三相ブラシレスモータと、
    前記バッテリと前記三相ブラシレスモータの間に設けられた複数のスイッチング部を備えたインバータと、
    前記インバータに備えられた前記複数のスイッチング部を制御するスタータモータ制御部と、前記4ストロークエンジン本体の燃焼動作を制御するエンジン制御部とを含む制御装置と
    を備え、
    前記制御装置は、前記4ストロークエンジン本体の燃焼動作と前記クランクシャフトの正回転とが停止した状態から前記クランクシャフトを正回転させ、前記膨張行程の終わりまでの間の少なくとも一部で、前記インバータの前記複数のスイッチング部を制御することによって前記三相ブラシレスモータを、前記バッテリで得られる最大トルクよりも抑えたトルクで回転させる。
  3. 車両に搭載されるエンジンユニットであって、
    前記エンジンユニットは、
    4ストロークの間に、前記エンジンのクランクシャフトを回転させる負荷が大きい高負荷領域と、前記クランクシャフトを回転させる負荷が前記高負荷領域の負荷より小さい低負荷領域とを有する4ストロークエンジン本体と、
    前記車両が備えるバッテリにより駆動され、始動指示の入力に応じて前記クランクシャフトを正回転させて前記4ストロークエンジン本体を始動する三相ブラシレスモータと、
    前記バッテリから前記三相ブラシレスモータに印加する電圧を制御する複数のスイッチング部を備えたインバータと、
    前記インバータに備えられた前記複数のスイッチング部を制御することによって、前記バッテリから前記三相ブラシレスモータに印加される電圧を制御するスタータモータ制御部と、前記4ストロークエンジン本体の燃焼動作を制御するエンジン制御部とを含む制御装置と
    を備え、
    前記制御装置は、前記4ストロークエンジン本体の燃焼動作と前記クランクシャフトの正回転とが停止した状態から前記クランクシャフトを正回転させ、前記膨張行程の終わりまでの間の少なくとも一部で、前記インバータの前記複数のスイッチング部を制御することによって前記バッテリから前記三相ブラシレスモータに印加する電圧を前記バッテリの電圧より低くして前記クランクシャフトを正回転させる。
  4. 請求項2または3に記載のエンジンユニットであって、
    前記制御装置は、前記4ストロークエンジン本体の燃焼動作と前記クランクシャフトの正回転とが停止し、かつ前記始動指示の入力がない状態から前記クランクシャフトを前記膨張行程まで正回転させる間の少なくとも一部で、前記インバータの前記複数のスイッチング部を制御することによって前記クランクシャフトを正回転させる。
  5. 請求項1、2、4のいずれか1に記載のエンジンユニットであって、
    前記制御装置は、前記クランクシャフトを膨張行程で停止させる。
  6. 請求項1、2、4、5のいずれか1に記載のエンジンユニットであって、
    前記制御装置は、前記4ストロークエンジン本体の燃焼動作と前記クランクシャフトの正回転とが停止し、かつ前記始動指示の入力がない状態で、前記インバータの前記複数のスイッチング部を制御することによって前記三相ブラシレスモータに印加される電圧を制御して前記クランクシャフトを前記膨張行程まで正回転させる途中で前記始動指示の入力があった場合、前記クランクシャフトの正回転を前記膨張行程で停止させずに前記膨張行程を超えて継続させることにより、前記4ストロークエンジン本体を始動させる。
  7. 請求項1〜6のいずれか1に記載のエンジンユニットであって、
    前記三相ブラシレスモータは、前記4ストロークエンジン本体の始動後、前記クランクシャフトの回転と連動して回転することにより、前記バッテリを充電するための電流を発電するジェネレータとして機能する。
  8. 車両であって、
    前記車両は、
    請求項1〜7のいずれか1に記載のエンジンユニットを備える。
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