以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
まず、図1〜図4を参照して、本実施形態に係る貫通型積層コンデンサCの構成を説明する。図1は、本実施形態に係る貫通型積層コンデンサを示す斜視図である。図2は、図1におけるII−II線に沿った断面構成を説明するための図であり、図3は、図1におけるIII−III線に沿った断面構成を説明するための図である。図4は、コンデンサ素体の分解斜視図である。
図1に示されるように、本実施形態に係る貫通型積層コンデンサCは、誘電特性を有するコンデンサ素体Lと、コンデンサ素体Lの外表面に配置される第一及び第二信号用端子電極1,2と、コンデンサ素体Lの外表面に配置される第一及び第二接地用端子電極3,4とを備えている。
コンデンサ素体Lは、図1に示されるように、直方体形状であり、その外表面として、対向する長方形状の第一及び第二主面La,Lbと、対向する第一及び第二側面Lc,Ldと、対向する第三及び第四側面Le,Lfと、を有する。第一及び第二側面Lc,Ldは、第一及び第二主面間を連結するように第一及び第二主面La,Lbの短辺方向に伸びている。第三及び第四側面Le,Lfは、第一及び第二主面間を連結するように第一及び第二主面La,Lbの長辺方向に伸びている。
第一信号用端子電極1は、コンデンサ素体Lの第一側面Lcに配置されている。第一信号用端子電極1は、第一側面Lc全面を覆うように、第一及び第二主面La,Lb並びに第三及び第四側面Le,Lfの端部(第一側面Lc側の端部)に亘って形成されている。第二信号用端子電極2は、コンデンサ素体Lの第二側面Ldに配置されている。第二信号用端子電極2は、第二側面Ld全面を覆うように、第一及び第二主面La,Lb並びに第三及び第四側面Le,Lfの端部(第二側面Ld側の端部)に亘って形成されている。第一及び第二信号用端子電極1,2は、第一及び第二側面Lc,Ldの対向方向に対向している。
第一接地用端子電極3は、コンデンサ素体Lの第三側面Leに配置されている。第一接地用端子電極3は、第三側面Leの第一及び第二側面Lc,Ldの対向方向の略中央を、第一及び第二主面La,Lbの対向方向に沿って横断するように覆っている。第一接地用端子電極3は、さらに第一及び第二主面La,Lbの第三側面Le側の端部の一部も覆っている。
第二接地用端子電極4は、コンデンサ素体Lの第四側面Lfに配置されている。第二接地用端子電極4は、第四側面Lfの第一及び第二側面Lc,Ldの対向方向の略中央を、第一及び第二主面La,Lbの対向方向に沿って横断するように覆っている。第二接地用端子電極4は、さらに第一及び第二主面La,Lbの第四側面Lf側の端部の一部も覆っている。第一及び第二接地用端子電極3,4は、第三及び第四側面Le,Lfの対向方向に対向している。
第一及び第二信号用端子電極1,2と第一及び第二接地用端子電極3,4とは、たとえば導電性金属粉末及びガラスフリットを含む導電性ペーストをコンデンサ素体の外表面に付与し、焼き付けることによって形成される。必要に応じて、焼き付けられた端子電極の上にめっき層が形成されることもある。信号用端子電極1,2及び接地用端子電極3,4は、コンデンサ素体Lの表面上においては互いに電気的に絶縁されて形成されている。
貫通型積層コンデンサCでは、第一主面La又は第二主面Lbを、電子機器(たとえば、回路基板や電子部品など)に対する実装面として電子機器に実装することが好ましい。コンデンサ素体Lの第二主面Lbが回路基板と対向するように貫通型積層コンデンサCを実装する場合、第一及び第二信号用端子電極1,2を、基板上に形成され信号配線に接続されたランド電極に接続し、第一及び第二接地用端子電極3,4を、基板上に形成されグランド配線に接続されたグランド電極に接続する。
コンデンサ素体Lは、図2〜図4に示されるように、第一及び第二主面La,Lbの対向方向に複数の絶縁体層10が積層されて構成されている。各絶縁体層10は、例えば誘電体セラミック(BaTiO3系、Ba(Ti,Zr)O3系、又は(Ba,Ca)TiO3系等の誘電体セラミック)を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際のコンデンサ素体Lでは、各絶縁体層10の間の境界が視認できない程度に一体化されている。
コンデンサ素体Lは、通電部11と、一対の静電容量部13,15と、を有している。一対の静電容量部13,15は、第一及び第二主面La,Lbの対向方向、すなわち絶縁体層10の積層方向で通電部11を挟んでいる。静電容量部13は、通電部11と第一主面Laとの間に位置し、静電容量部15は、通電部11と第二主面Lbとの間に位置している。静電容量部13,15が、貫通型積層コンデンサCの静電容量の形成に主として寄与する。
通電部11は、複数(本実施形態では、20層)の通電用内部電極20を含んでいる。通電部11は、これらの通電用内部電極20が絶縁体層10を介して配置されることにより形成されている。通電用内部電極20同士は、絶縁体層10の積層方向で隣り合って対向している。
図5にも示されるように、各通電用内部電極20は、主電極部20aと、引き出し電極部20b,20cと、を有している。引き出し電極部20bは、主電極部20aから第一側面Lcに引き出されるように伸びている。引き出し電極部20cは、主電極部20aから第二側面Ldに引き出されるように伸びている。主電極部20aと、引き出し電極部20b,20cとは、それぞれが一体的に形成されている。
主電極部20aは、第一及び第二側面Lc,Ldの対向方向を長辺方向とし、第三及び第四側面Le,Lfの対向方向を短辺方向とする矩形形状を呈している。引き出し電極部20bは、主電極部20aの第一側面Lc側の端部から主電極部20aと同じ幅で第一側面Lcまで伸びている。引き出し電極部20bは、その端が第一側面Lcに露出し、当該露出した端部で第一信号用端子電極1に接続されている。引き出し電極部20cは、主電極部20aの第二側面Ld側の端部から主電極部20aと同じ幅で第二側面Ldまで伸びている。引き出し電極部20cは、その端が第二側面Ldに露出し、当該露出した端部で第二信号用端子電極2に接続されている。
第一信号用端子電極1は、引き出し電極部20bの第一側面Lcに露出した部分をすべて覆うように形成されており、引き出し電極部20bは、第一信号用端子電極1に物理的且つ電気的に接続される。これにより、各通電用内部電極20は、第一信号用端子電極1に接続されることとなる。第二信号用端子電極2は、引き出し電極部20cの第二側面Ldに露出した部分をすべて覆うように形成されており、引き出し電極部20cは、第二信号用端子電極2に物理的且つ電気的に接続される。これにより、各通電用内部電極20は、第二信号用端子電極2に接続されることとなる。
各静電容量部13,15は、複数の信号用内部電極(第一信号用内部電極30及び第二信号用内部電極31)、第一接地用内部電極40、及び第二接地用内部電極41を含んでいる。各静電容量部13,15は、これらの内部電極30,31,40,41が絶縁体層10を介して配置されることにより形成されている。第一信号用内部電極30と第二信号用内部電極31とは、絶縁体層10の積層方向で隣り合って対向している。
第一接地用内部電極40は、通電部11と第一信号用内部電極30との間に位置しており、第一信号用内部電極30と上記積層方向で隣り合って対向している。第二接地用内部電極41は、主面La,Lbと第二信号用内部電極31との間に位置しており、第二信号用内部電極31と上記積層方向で隣り合って対向している。
図6にも示されるように、各信号用内部電極30,31は、主電極部30a,31aと、引き出し電極部30b,31b,30c,31cと、を有している。引き出し電極部30b,31bは、主電極部30a,31aから第一側面Lcに引き出されるように伸びている。引き出し電極部30c,31cは、主電極部30a,31aから第二側面Ldに引き出されるように伸びている。主電極部30a,31aと、引き出し電極部30b,31b,30c,31cとは、それぞれが一体的に形成されている。
主電極部30a,31aは、第一及び第二側面Lc,Ldの対向方向を長辺方向とし、第三及び第四側面Le,Lfの対向方向を短辺方向とする矩形形状を呈している。引き出し電極部30b,31bは、主電極部30a,31aの第一側面Lc側の端部から主電極部30a,31aと同じ幅で第一側面Lcまで伸びている。引き出し電極部30b,31bは、その端が第一側面Lcに露出し、当該露出した端部で第一信号用端子電極1に接続されている。引き出し電極部30c,31cは、主電極部30a,31aの第二側面Ld側の端部から主電極部30a,31aと同じ幅で第二側面Ldまで伸びている。引き出し電極部30c,31cは、その端が第二側面Ldに露出し、当該露出した端部で第二信号用端子電極2に接続されている。
第一信号用端子電極1は、引き出し電極部30b,31bの第一側面Lcに露出した部分もすべて覆うように形成されており、引き出し電極部30b,31bは、第一信号用端子電極1に物理的且つ電気的に接続される。これにより、第一及び第二信号用内部電極30,31は、第一信号用端子電極1に接続されることとなる。第二信号用端子電極2は、引き出し電極部30c,31cの第二側面Ldに露出した部分もすべて覆うように形成されており、引き出し電極部30c,31cは、第二信号用端子電極2に物理的且つ電気的に接続される。これにより、第一及び第二信号用内部電極30,31は、第二信号用端子電極2に接続されることとなる。
図7にも示されるように、各接地用内部電極40,41は、主電極部40a,41aと、引き出し電極部40b,41b,40c,41cと、を有している。引き出し電極部40b,41bは、主電極部40a,41aから第三側面Leに引き出されるように伸びている。引き出し電極部40c,41cは、主電極部40a,41aから第四側面Lfに引き出されるように伸びている。主電極部40a,41aと、引き出し電極部40b,41b,40c,41cとは、一体的に形成されている。
主電極部40a,41aは、第一及び第二側面Lc,Ldの対向方向を長辺方向とし、第三及び第四側面Le,Lfの対向方向を短辺方向とする矩形形状を呈している。引き出し電極部40b,41bは、主電極部40a,41aの第三側面Le側の端部である長辺の略中央から第三側面Leまで伸びている。引き出し電極部40b,41bは、その端が第三側面Leに露出し、当該露出した端部で第一接地用端子電極3に接続されている。引き出し電極部40c,41cは、主電極部40a,41aの第四側面Lf側の端部である長辺の略中央から第四側面Lfまで伸びている。引き出し電極部40c,41cは、その端が第四側面Lfに露出し、当該露出した端部で第二接地用端子電極4に接続されている。
第一接地用端子電極3は、引き出し電極部40b,41bの第三側面Leに露出した部分をすべて覆うように形成されており、引き出し電極部40b,41bは、第一接地用端子電極3に物理的且つ電気的に接続される。これにより、各接地用内部電極40,41は、第一接地用端子電極3に接続されることとなる。第二接地用端子電極4は、引き出し電極部40c,41cの第四側面Lfに露出した部分をすべて覆うように形成されており、引き出し電極部40c,41cは、第二接地用端子電極4に物理的且つ電気的に接続される。これにより、各接地用内部電極40,41は、第二接地用端子電極4に接続されることとなる。
貫通型積層コンデンサCは、上述したように、内部電極として、複数の通電用内部電極20、複数の信号用内部電極(第一信号用内部電極30及び第二信号用内部電極31)、第一接地用内部電極40、及び第二接地用内部電極41を備えている。コンデンサ素体Lは、絶縁体層10と内部電極20,30,31,40,41とがそれぞれ複数積層されてなる。各内部電極(通電用内部電極20、第一信号用内部電極30、第二信号用内部電極31、第一接地用内部電極40、及び第二接地用内部電極41)は、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(たとえば、NiやCuなど)からなる。内部電極は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
各内部電極20,30,31,40,41は、第一及び第二主面La,Lbの対向方向、すなわち絶縁体層10の積層方向に併置されている。本実施形態では、第一及び第二主面La,Lbの対向方向において、第一主面La側から、第二接地用内部電極41、第二信号用内部電極31、第一信号用内部電極30、第一接地用内部電極40、20層の通電用内部電極20、第一接地用内部電極40、第一信号用内部電極30、第二信号用内部電極31、第二接地用内部電極41、の順に位置している。通電用内部電極20の総数(総積層数)は、「20」であり、第一信号用内部電極30及び第二信号用内部電極31の総数(総積層数)は、「4」である。したがって、貫通型積層コンデンサCでは、第一及び第二信号用内部電極の総数(N2)と複数の通電用内部電極の総数(N1)との比(N2/N1)が、0.2以下である。
各静電容量部13,15では、図8に示されるように、絶縁体層10の積層方向で互いに隣り合って対向する第二信号用内部電極31と第二接地用内部電極41との間隔G1が、絶縁体層10の積層方向で互いに隣り合って対向する第一信号用内部電極30と第一接地用内部電極40との間隔G2よりも広い。したがって、第二信号用内部電極31と第二接地用内部電極41とで形成されるコンデンサ成分の静電容量と、第一信号用内部電極30と第一接地用内部電極40とで形成されるコンデンサ成分の静電容量と、が異なることとなる。具体的には、第二信号用内部電極31と第二接地用内部電極41とで形成されるコンデンサ成分の静電容量が、第一信号用内部電極30と第一接地用内部電極40とで形成されるコンデンサ成分の静電容量よりも小さい。
各静電容量部13,15では、絶縁体層10の積層方向で互いに隣り合って対向する第一信号用内部電極30と第二信号用内部電極31との間隔G3が、間隔G1及び間隔G2よりも狭い。絶縁体層10の積層方向で互いに隣り合って対向する第一接地用内部電極40と通電用内部電極20(静電容量部13,15に最も近接する通電用内部電極20)との間隔G4が、間隔G1及び間隔G2よりも広い。
以上のように、本実施形態では、一対の静電容量部13,15の間に位置する通電部11が、第一及び第二信号用端子電極1,2に接続される複数の通電用内部電極20を含んでいる。このため、貫通型積層コンデンサCは、直流抵抗が十分に小さく、直流電流の許容値を十分に高めることができる。
本実施形態では、第一信号用内部電極30と第一接地用内部電極40とで形成されるコンデンサ成分の静電容量と、第二信号用内部電極31と第二接地用内部電極41とで形成されるコンデンサ成分の静電容量と、が異なっているので、上記2つのコンデンサ成分に起因する自己共振周波数がそれぞれ異なることとなる。このため、貫通型積層コンデンサCは、広い周波数帯域にわたって低インピーダンス化が図られる。
本実施形態では、上記間隔G1と同じく上記間隔G2とを異ならせることにより、第一信号用内部電極30と第一接地用内部電極40とで形成されるコンデンサ成分の静電容量と、第二信号用内部電極31と第二接地用内部電極41とで形成されるコンデンサ成分の静電容量と、が異なっている。したがって、貫通型積層コンデンサCでは、広い周波数帯域での低インピーダンス化が確実に且つ容易に実現されている。
具体的には、上記間隔G1が上記間隔G2よりも広い。したがって、第二信号用内部電極31と第二接地用内部電極41とで形成されるコンデンサ成分の静電容量が、第一信号用内部電極30と第一接地用内部電極40とで形成されるコンデンサ成分の静電容量よりも小さい。このため、第二信号用内部電極31と第二接地用内部電極41とで形成されるコンデンサ成分に起因する自己共振周波数は、第一信号用内部電極30と第一接地用内部電極40とで形成されるコンデンサ成分に起因する自己共振周波数よりも高く、図9に示されるように、貫通型積層コンデンサCでは、広い周波数帯域にわたって低インピーダンス化を図ることができる。
各静電容量部13,15は、各内部電極として、第一信号用内部電極30と第二信号用内部電極31とを含んでいる。このように、第一信号用内部電極30と第二信号用内部電極31とが含まれることにより、静電容量が異なる2つのコンデンサ成分を確実に分離することができる。各静電容量部13,15が、各内部電極として、一つの信号用内部電極を含んでいる場合でも、信号用内部電極と第一接地用内部電極40との間、及び、信号用内部電極と第二接地用内部電極41との間にそれぞれコンデンサ成分が形成されることとなるが、各コンデンサ成分で、信号用内部電極が共用されていることから、各コンデンサ成分が結合して、電気的に一つのコンデンサ成分として機能し、広い周波数帯域にわたって低インピーダンス化を図ることは困難である。
本実施形態では、貫通型積層コンデンサCを、第一主面La又は第二主面Lbを実装面として電子機器に実装した場合、第二信号用内部電極31と第二接地用内部電極41とで形成されるコンデンサ成分が、第一信号用内部電極30と第一接地用内部電極40とで形成されるコンデンサ成分よりも電子機器側に位置することとなる。このため、第二信号用内部電極31と第二接地用内部電極41とで形成されるコンデンサ成分は、第一信号用内部電極30と第一接地用内部電極40とで形成されるコンデンサ成分よりも電流経路が短くなる分、ESLが低い。したがって、ESLが低いコンデンサ成分(第二信号用内部電極31と第二接地用内部電極41とで形成されるコンデンサ成分)の静電容量が小さくされるため、より一層広い周波数帯域で低インピーダンス化を図ることができる。
上記通電部11では、第一信号用端子電極1と第二信号用端子電極2とが通電用内部電極20を通して導通している。このため、通電部11に高周波ノイズ成分が到達すると、当該高周波ノイズ成分は除去されることなく伝わってしまう。本実施形態では、貫通型積層コンデンサCを、第一主面La又は第二主面Lbを実装面として電子機器に実装した場合、一方の静電容量部13,15が通電部11よりも電子機器側に位置することとなる。このため、電子機器側から貫通型積層コンデンサCに入力された高周波ノイズ成分は、通電部11に到達する前に実装面側に位置する上記静電容量部13,15にて除去されることとなる。
本実施形態では、通電用内部電極20の総数(通電部11が有する内部電極の総数)が、第一信号用内部電極30、第二信号用内部電極31、第一接地用内部電極40、及び第二接地用内部電極41の総数(静電容量部13,15が有する内部電極の総数)よりも多い。これにより、貫通型積層コンデンサCは、直流抵抗がより一層小さくなり、直流電流の許容値をより十分に高めることができる。
本実施形態では、第一及び第二信号用内部電極30,31の総数と複数の通電用内部電極20の総数との上記比が、0.2以下である。これにより、各静電容量部13,15の信号用内部電極30,31の数が少なく、貫通型積層コンデンサCの寿命などの信頼性を向上することができる。
本実施形態では、コンデンサ素体Lにおいて、通電部11を挟んで一対の静電容量部13,15が位置している。したがって、貫通型積層コンデンサCを電子機器に実装する際に、貫通型積層コンデンサCの方向性を打ち消すことができ、実装時の作業性を向上させることができる。
次に、図10及び図11を参照して、貫通型積層コンデンサCの各変形例を説明する。図10及び図11は、変形例に係る貫通型積層コンデンサの各内部電極の間隔を説明するための図である。
図10に示された変形例では、上記間隔G3が、通電用内部電極20同士の上記積層方向での間隔G5よりも広い。この場合、第一信号用内部電極30と第一接地用内部電極40とで形成されるコンデンサ成分と、第二信号用内部電極31と第二接地用内部電極41とで形成されるコンデンサ成分と、をより一層確実に電気的に分離することができる。
図11に示された変形例では、上記間隔G4が、間隔G1及び間隔G2よりも狭い。この場合には、第一接地用内部電極40と、第一接地用内部電極40と積層方向で隣り合って対向する通電用内部電極20と、でコンデンサ成分が形成されることとなる。第一接地用内部電極40と通電用内部電極20とで形成される上記コンデンサ成分の静電容量は、第二信号用内部電極31と第二接地用内部電極41とで形成されるコンデンサ成分の静電容量、及び、第一信号用内部電極30と第一接地用内部電極40とで形成されるコンデンサ成分の静電容量よりも大きい。したがって、本変形例では、より一層広い周波数帯域で低インピーダンス化を図ることができる。
次に、図12及び図13を参照して、貫通型積層コンデンサCの更なる変形例を説明する。図12及び図13は、本実施形態の変形例に係る貫通型積層コンデンサの断面構成を説明するための図である。
本変形例に係る貫通型積層コンデンサCでは、各静電容量部13,15が、第三信号用内部電極33を含んでいる。この場合、通電用内部電極20の総数は、30層以上であることが好ましい。第三信号用内部電極33は、通電部11と、第一接地用内部電極40との間に位置している。第三信号用内部電極33は、通電用内部電極20と絶縁体層10の積層方向で隣り合って対向していると共に、第一接地用内部電極40と上記積層方向で隣り合って対向している。
図14にも示されるように、第三信号用内部電極33は、主電極部33aと、引き出し電極部33b,33cと、を有している。引き出し電極部33bは、主電極部33aから第一側面Lcに引き出されるように伸びている。引き出し電極部33cは、主電極部33aから第二側面Ldに引き出されるように伸びている。主電極部33aと、引き出し電極部33b,33cとは、それぞれが一体的に形成されている。
主電極部33aは、第一及び第二側面Lc,Ldの対向方向を長辺方向とし、第三及び第四側面Le,Lfの対向方向を短辺方向とする矩形形状を呈している。引き出し電極部33bは、主電極部33aの第一側面Lc側の端部から主電極部33aと同じ幅で第一側面Lcまで伸びている。引き出し電極部33bは、その端が第一側面Lcに露出し、当該露出した端部で第一信号用端子電極1に接続されている。引き出し電極部33cは、主電極部33aの第二側面Ld側の端部から主電極部33aと同じ幅で第二側面Ldまで伸びている。引き出し電極部33cは、その端が第二側面Ldに露出し、当該露出した端部で第二信号用端子電極2に接続されている。
第一信号用端子電極1は、引き出し電極部33bの第一側面Lcに露出した部分もすべて覆うように形成されており、引き出し電極部33bは、第一信号用端子電極1に物理的且つ電気的に接続される。これにより、第三信号用内部電極33は、第一信号用端子電極1に接続されることとなる。第二信号用端子電極2は、引き出し電極部33cの第二側面Ldに露出した部分もすべて覆うように形成されており、引き出し電極部33cは、第二信号用端子電極2に物理的且つ電気的に接続される。これにより、第三信号用内部電極33は、第二信号用端子電極2に接続されることとなる。
各静電容量部13,15では、図15に示されるように、絶縁体層10の積層方向で互いに隣り合って対向する通電用内部電極20と第三信号用内部電極33との間隔G6が、上記間隔G1,G2よりも狭い。本変形例では、間隔G6は、間隔G5以上とされている。
本変形例に係る貫通型積層コンデンサCも、上述したように、直流抵抗が十分に小さく、直流電流の許容値を十分に高めることができると共に、広い周波数帯域にわたって低インピーダンス化が図られる。また、電子機器側から貫通型積層コンデンサCに入力された高周波ノイズ成分は、通電部11に到達する前に第三信号用内部電極33にも流れることとなるため、高周波ノイズ成分が通電用内部電極20(通電部11)に流れるのがより一層抑制される。これらにより、ノイズ除去効果を更に向上させることができる。
上記間隔G6が、間隔G1,G2よりも狭いことにより、静電容量を形成しない領域の積層方向での厚みが小さい。このため、本変形例では、貫通型積層コンデンサCの低背化を図ることができる。
次に、図16及び図17を参照して、貫通型積層コンデンサCの更なる変形例を説明する。図16及び図17は、変形例に係る貫通型積層コンデンサの各内部電極の間隔を説明するための図である。
図16に示された変形例では、上記間隔G6が、間隔G1,G2よりも広い。絶縁体層10の積層方向で互いに隣り合って対向する第一接地用内部電極40と第三信号用内部電極33との間隔G7が、間隔G1,G2よりも広い。
上記間隔G6が、間隔G1,G2よりも広いことから、静電容量部13,15と通電部11との間のインピーダンスが高くなるため、高周波ノイズ成分は通電部により一層到達し難い。したがって、本変形例では、ノイズ除去効果を更に向上させることができる。
上記間隔G7が、間隔G1,G2よりも広いことから、第一信号用内部電極30と第一接地用内部電極40とで形成されるコンデンサ成分の静電容量及び第二信号用内部電極31と第二接地用内部電極41とで形成されるコンデンサ成分よりも、静電容量が比較的小さいコンデンサ成分が第一接地用内部電極40と第三信号用内部電極33とで形成されることとなる。したがって、第一接地用内部電極40と第三信号用内部電極33とで更なるコンデンサ成分が形成されることから、極めて広い周波数帯域で低インピーダンス化を図ることができる。
図17に示された変形例では、上記間隔G7が、間隔G1,G2よりも狭い。上記間隔G6は、図15に示された変形例における間隔G6よりも広い。
本変形例では、間隔G7が、間隔G1,G2よりも狭いことにより、第一信号用内部電極30と第一接地用内部電極40とで形成されるコンデンサ成分の静電容量及び第二信号用内部電極31と第二接地用内部電極41とで形成されるコンデンサ成分よりも、静電容量が比較的大きいコンデンサ成分が第一接地用内部電極40と第三信号用内部電極33とで形成されることとなる。したがって、第一接地用内部電極40と第三信号用内部電極33とで更なるコンデンサ成分が形成されることから、極めて広い周波数帯域で低インピーダンス化を図ることができる。
本変形例では、上記間隔G6が、より一層広いことから、静電容量部13,15と通電部11との間のインピーダンスがより一層高くなるため、高周波ノイズ成分は通電部により一層到達し難い。したがって、ノイズ除去効果をより一層向上させることができる。
次に、図18及び図19を参照して、貫通型積層コンデンサCの更なる変形例を説明する。図18及び図19は、本実施形態の変形例に係る貫通型積層コンデンサの断面構成を説明するための図である。
本変形例に係る貫通型積層コンデンサCでは、各静電容量部13,15が、複数(本実施形態では、2層)の第一接地用内部電極40を含んでいる。第一接地用内部電極40同士は、絶縁体層10の積層方向で隣り合って対向している。図20に示されるように、絶縁体層10の積層方向で互いに隣り合って対向する通電用内部電極20と第一接地用内部電極40との間隔G8が、間隔G1,G2よりも広い。したがって、第一接地用内部電極40と通電用内部電極20とで形成されるコンデンサ成分は、第一信号用内部電極30と第一接地用内部電極40とで形成されるコンデンサ成分、及び、第二信号用内部電極31と第二接地用内部電極41とで形成されるコンデンサ成分よりも静電容量が小さい。
本変形例では、第一信号用内部電極30と第一接地用内部電極40とで形成されるコンデンサ成分と、第二信号用内部電極31と第二接地用内部電極41とで形成されるコンデンサ成分と、第一接地用内部電極40と通電用内部電極20とで形成されるコンデンサ成分と、を確実に分離することができ、より一層広い周波数帯域で低インピーダンス化を図ることができる。
上記間隔G8は、図21に示されるように、間隔G1,G2よりも狭くてもよい。この場合、第一接地用内部電極40と通電用内部電極20とで形成されるコンデンサ成分は、第一信号用内部電極30と第一接地用内部電極40とで形成されるコンデンサ成分、及び、第二信号用内部電極31と第二接地用内部電極41とで形成されるコンデンサ成分よりも静電容量が大きい。
図21に示された変形例でも、第一信号用内部電極30と第一接地用内部電極40とで形成されるコンデンサ成分と、第二信号用内部電極31と第二接地用内部電極41とで形成されるコンデンサ成分と、第一接地用内部電極40と通電用内部電極20とで形成されるコンデンサ成分と、を確実に分離することができ、より一層広い周波数帯域で低インピーダンス化を図ることができる。また、上記間隔G8が狭いことにより、貫通型積層コンデンサCの低背化を図ることができる。
次に、図22及び図23を参照して、貫通型積層コンデンサCの更なる変形例を説明する。図22及び図23は、本実施形態の変形例に係る貫通型積層コンデンサの断面構成を説明するための図である。
本変形例に係る貫通型積層コンデンサCでは、各静電容量部13,15が、複数(本実施形態では、2層)の第一接地用内部電極40と、第三信号用内部電極33と、を含んでいる。
図24に示されるように、絶縁体層10の積層方向で互いに隣り合って対向する第三信号用内部電極33と第一接地用内部電極40との間隔G9が、間隔G1,G2よりも広い。したがって、第三信号用内部電極33と第一接地用内部電極40とで形成されるコンデンサ成分は、第一信号用内部電極30と第一接地用内部電極40とで形成されるコンデンサ成分、及び、第二信号用内部電極31と第二接地用内部電極41とで形成されるコンデンサ成分よりも静電容量が小さい。
本変形例では、第一信号用内部電極30と第一接地用内部電極40とで形成されるコンデンサ成分と、第二信号用内部電極31と第二接地用内部電極41とで形成されるコンデンサ成分と、第三信号用内部電極33と第一接地用内部電極40とで形成されるコンデンサ成分と、を確実に分離することができ、より一層広い周波数帯域で低インピーダンス化を図ることができる。
上記間隔G9は、図25に示されるように、間隔G1,G2よりも狭くてもよい。この場合、第三信号用内部電極33と第一接地用内部電極40とで形成されるコンデンサ成分は、第一信号用内部電極30と第一接地用内部電極40とで形成されるコンデンサ成分、及び、第二信号用内部電極31と第二接地用内部電極41とで形成されるコンデンサ成分よりも静電容量が大きい。
図25に示された変形例でも、第一信号用内部電極30と第一接地用内部電極40とで形成されるコンデンサ成分と、第二信号用内部電極31と第二接地用内部電極41とで形成されるコンデンサ成分と、第三信号用内部電極33と第一接地用内部電極40とで形成されるコンデンサ成分と、を確実に分離することができ、より一層広い周波数帯域で低インピーダンス化を図ることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
本実施形態及び各変形例では、絶縁体層10の積層方向で互いに隣り合って対向する内部電極20,30,31,33,40,41間の間隔を異ならせることにより、形成されるコンデンサ成分の静電容量を異ならせているが、これに限られない。上記積層方向で互いに隣り合って対向する内部電極20,30,31,33,40,41同士が重なり合う面積を異ならせることにより、形成されるコンデンサ成分の静電容量を異ならせてもよい。ただし、内部電極20,30,31,33,40,41間の間隔を異ならせる方が、製造容易であり、好ましい。
各内部電極20,30,31,33,40,41の形状や積層数などは、上述した実施形態及び変形例に限られない。ただし、信号用内部電極30,31,33の総数と通電用内部電極20の総数との比は、上述したように、0.2以下であることが好ましい。