JP5707676B2 - 扁平状軟磁性粉末および磁性体 - Google Patents

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Description

本発明は、扁平状軟磁性粉末および磁性体に関するものである。
軟磁性材料は、一般に、小さな外部磁界から大きい磁化を得て、高い磁束密度を得る目的を有する材料として知られている。このような軟磁性材料は、従来、例えば、コイルやトランス等の磁心、磁気ヨーク、磁気シールドなどに適用されてきた。最近では、RFID(Radio Frequency Identification)技術を用いた非接触ICタグ等のアンテナ部材などにも適用範囲が拡大している。
各種用途に軟磁性材料を適用する場合、ゴムやプラスチック等のマトリクス材料中に軟磁性粉末を分散させ、これをシート状に形成した磁性体として使用することが多い。
磁性体に分散させる軟磁性粉末の材質としては、例えば、スピネル結晶構造の軟磁性金属酸化物材料や、Fe−Si系合金等からなる軟磁性金属材料などが知られている。
例えば、特許文献1には、主に、磁気シールド特性の改善を目的として、平均厚さd:0.03〜0.6μm、粒径の小さい方から重量を累計して50%になったときの粒径D50:3〜60μm、アスペクト比(D50/d):20〜500である形状を有し、Fe−Si系、Fe−Al系、Fe−Si−Al系の成分組成を有する軟磁性扁平粉末が開示されている。
また、特許文献2には、Fe、SiおよびCrの3元組成図において、特定領域で表される組成を有する扁平状軟磁性粒子から構成され、当該粒子の重量平均粒径D50が5〜30μmであり、平均厚さが1μm以下である磁気シールド用軟磁性粉末が開示されている。
また、特許文献3には、Si:7〜23at%、Cr:15at%以下、残部:Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、重量平均粒径D50が5〜30μm、平均厚さが0.1〜1μmであるRFIDのアンテナ用磁心部材に用いる扁平状軟磁性金属粉末が開示されている。
特開2001−3103号公報 特開平3−295206号公報 特開2007−266031号公報
近年、通信・情報分野等では、高速化・高密度化の進展が著しく、使用周波数も高周波化されてきている。そのため、これに伴い、上述したコイルやトランス等の磁心、磁気ヨーク等でも、より高周波で使用可能な軟磁性材料が望まれるようになっている。また、上述したRFIDタグ等でも、アンテナの通信距離を可及的に長くするため、無線通信媒体と一体的に設けられる磁性体の透磁率特性の一層の向上が望まれている。
上述した用途等に適用される磁性体は、変換効率の向上、通信性能の向上、通信ロスの低減等の観点から、使用周波数帯域において実数部透磁率μ’が高く、虚数部透磁率μ”が低いことが好ましい。
しかしながら、上述した用途に実績のあるスピネル結晶構造の軟磁性金属酸化物材料は、低周波帯域では比較的高い実数部透磁率μ’と低い虚数部透磁率μ”を有するものの、GHz帯になると透磁率が急激に減少してしまう(スヌークの限界)。そのため、100MHz以上の高周波数帯域での使用には不向きであった。
また、従来知られる軟磁性金属材料は、シールドを主目的とするものであることから、実数部透磁率μ’および虚数部透磁率μ”ともに高いものと推測される。したがって、これら軟磁性金属材料は、高周波数帯域では、渦電流損によって比透磁率が著しく低下するとともに複素比誘電率虚数部が著しく上昇してしまい、磁気ヨーク部材や通信用補助部材等の用途には不向きであると考えられる。
このように磁性体に適用したときに、高周波帯域において、高い実数部透磁率μ’を発現しつつ虚数部透磁率μ”を低く抑えることが可能な軟磁性材料がこれまで見当たらないのが現状であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、磁性体に適用した場合に、高周波数帯域において、高い実数部透磁率μ’を発現しつつ虚数部透磁率μ”を低く抑えることが可能な扁平状軟磁性粉末を提供することにある。また、この扁平状軟磁性粉末を用いた磁性体を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る扁平状軟磁性粉末は、質量%で、Cr:8%以上〜20%未満を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなるFe−Cr合金よりなり、平均粒径D50が15μm以下であり、アスペクト比が14〜40の範囲内にあり、平均厚さが0.49μm以下であることを要旨とする。
本発明に係る磁性体は、上記扁平状軟磁性粉末を含むことを要旨とする。
ここで、上記磁性体は、その適用周波数範囲が500MHz〜3GHzの範囲内であることが好ましい。
また、上記磁性体は、実数部透磁率μ’が6以上、虚数部透磁率μ”が以下であることが好ましい。
上記磁性体は、磁気ヨーク部材、アンテナ部材または通信補助部材等に好適に適用することができる。
本発明に係る扁平状軟磁性粉末は、Fe−Cr系合金よりなり、平均粒径D50が30μm以下、アスペクト比が3〜40の範囲内にある。そのため、磁性シート等の磁性体に適用した場合に、高周波数帯域において、従来よりも高い実数部透磁率μ’を発現することができ、かつ、虚数部透磁率μ”も低く抑えることが可能となる。これは以下の理由によるものと推察される。
すなわち、Fe−Cr系合金は、耐食性が高く、工業的に安価であるため、通常、ステンレス合金としてキッチン等の水回り用途等に適用されることが多く、これまで磁性材料として積極的に使用されることはほとんどなかった。ところが、この合金系は、結晶磁気異方性が大きいため、磁壁の共鳴による損失が高周波帯域まで起こり難く、磁気特性の低下を少なくすることができる。
さらに、扁平状軟磁性粉末の平均粒径D50を30μm以下、アスペクト比を40以下とすることにより、共振周波数frの低周波数側へのシフトを防止することが可能となり、3GHz程度までの周波数帯域において、実数部透磁率μ’が著しく低下するのを抑制することが可能となる。また、虚数部透磁率μ”の上昇を抑制することができ、虚数部透磁率μ”を低く維持することが可能となる。また、扁平状軟磁性粉末のアスペクト比を3以上とすることにより、反磁場の影響を小さくすることが可能となり、実数部透磁率μ’を高く維持しやすくなる。
以上のことから、本発明に係る扁平状軟磁性粉末は、磁性体に適用した場合に、高周波数帯域において、従来よりも高い実数部透磁率μ’を発現することができ、かつ、虚数部透磁率μ”を低く抑えることができるものと考えられる。
この際、上記Fe−Cr系合金が、Fe−Cr合金またはFe−Cr−Si合金である場合には、結晶磁気異方性が大きい合金を選択しやすく、上記効果の発現に有利である。さらに、耐食性に優れる上、工業的にも安価である。
本発明に係る磁性体は、上記扁平状軟磁性粉末を含んでいる。そのため、高周波数帯域において、従来よりも高い実数部透磁率μ’を発現することができ、かつ、虚数部透磁率μ”を低く抑えることができる。
ここで、上記磁性体の適用周波数範囲が500MHz〜3GHzの範囲内である場合には、磁気ヨーク部材、アンテナ部材または通信補助部材等に好適に適用することができる。
また、上記磁性体の実数部透磁率μ’が6以上、虚数部透磁率μ”が10以下である場合には、上記用途等に適用する際に、回路内に十分な磁束を通しやすく、回路内での磁束の損失も小さくすることが可能となるため有利である。
実施例2および比較例3に係る扁平状軟磁性粉末を含む磁性シートについて測定された周波数帯域と実数部透磁率μ’との関係を示したグラフである。 実施例2および比較例3に係る扁平状軟磁性粉末を含む磁性シートについて測定された周波数帯域と虚数部透磁率μ”との関係を示したグラフである。
以下、本発明の実施形態に係る扁平状軟磁性粉末(以下、「本粉末」ということがある。)、本発明の実施形態に係る磁性体(以下、「本磁性体」ということがある。)について詳細に説明する。
1.本粉末
本粉末は、扁平状に形成された粉末であって、以下の合金組成、平均粒径、アスペクト比を有している。
本粉末は、Fe−Cr系合金より構成されている。ここで、Fe−Cr系合金とは、Crを主体として含むFe基合金をいう。上記Fe−Cr系合金としては、例えば、Fe−Cr合金、Fe−Cr−Si合金、Fe−Cr−Al合金等を好適に用いることができる。このうち、好ましくは、Fe−Cr合金、Fe−Cr−Si合金であると良い。これら合金は、結晶磁気異方性が大きい合金を選択しやすいため、本発明の効果を発現させやすいからである。また、耐食性に優れる上、工業的にも安価である。
具体的なFe−Cr合金としては、質量%で、Cr:5%超〜20%未満を含有するFe基合金等が好適である。この場合、Cr含有率の下限は、虚数部透磁率μ”を低く抑えやすくなる等の観点から、好ましくは、6%以上、より好ましくは、7%以上、さらに好ましくは、8%以上であると良い。一方、Cr含有率の上限は、実数部透磁率μ’を高く維持しやすくなる等の観点から、好ましくは、19%以下、より好ましくは、18.5%以下、さらに好ましくは、18%以下であると良い。なお、上記Fe−Cr合金は、Cr以外にも、Si、Al等の添加元素を含有していても良いが、好ましくは、大きな結晶磁気異方性を発現させやすい等の観点から、上述の含有率でCrを含有し、残部はFeおよび不可避的不純物よりなると良い。
なお、本粉末は、Fe−Cr−Si系合金より構成されていても良い。また、1種類のFe−Cr系合金より構成されていても良いし、2種以上のFe−Cr系合金より構成されていても良い。
本粉末は、その平均粒径D50が30μm以下である。平均粒径D50を30μm以下とすることにより、実数部透磁率μ’の著しい低下を抑制することができ、かつ、虚数部透磁率μ”を低く維持することができる。上記平均粒径D50は、磁気特性等の観点から、好ましくは、30μm以下、より好ましくは、20μm以下、さらに好ましくは、15μm以下であると良い。
上記平均粒径D50の下限は、特に限定されるものではないが、1μm未満になると、大気中で燃焼し易くなり、工業的な量産性が低下しやすくなる。そのため、上記平均粒径D50の下限は、取扱い容易性、量産性等の観点から、好ましくは、1μm以上、より好ましくは、3μm以上であると良い。
なお、上記平均粒径D50は、レーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置により測定される体積分布の積算で50%になるときの粒径のことである。
本粉末は、そのアスペクト比が3〜40の範囲内にある。アスペクト比を40以下とすることにより、実数部透磁率μ’の著しい低下を抑制することができ、かつ、虚数部透磁率μ”を低く維持することができる。上記アスペクト比の上限は、磁気特性等の観点から、好ましくは、40以下、より好ましくは、35以下であると良い。
一方、アスペクト比を3以上とすることにより、実数部透磁率μ’を高く維持しやすくなる。上記アスペクト比の下限は、反磁場の影響を低減する等の観点から、好ましくは、5以上、より好ましくは、10以上であると良い。
なお、上記アスペクト比は、次のようにして測定することができる。
すなわち、先ず、本粉末について上述の平均粒径D50を測定する。次いで、本粉末を樹脂に埋め込んで研磨し、粉末の厚さ方向を光学顕微鏡で観察して最大厚みtmaxと最小厚みtminとを求め、その平均値(tmax+tmin)/2を平均の厚みtとする。tの値を任意の粒子100個について求め、それらの平均値taveで平均粒径D50を除算することにより算出することができる(つまり、アスペクト比=平均粒径D50/tave)。
上述した本粉末は、例えば、以下の方法にて好適に製造することができる。本粉末の製造方法(以下、「本製造方法」ということがある。)は、粉末準備工程と、扁平化処理工程と、熱処理工程とを有している。以下、各工程順に説明する。
(1)粉末準備工程
粉末準備工程は、原料となる軟磁性粉末を準備する工程である。なお、原料となる軟磁性粉末は、未だ扁平化処理されていない粉末である。上記軟磁性粉末を構成する材質は、上述した各種のFe−Cr系合金である。粉末準備工程で準備する軟磁性粉末は、1種のFe−Cr系合金より構成されていても良いし、2種以上のFe−Cr系合金より構成されていても良い。
本粉末準備工程において、上記軟磁性粉末は、自ら製粉しても良いし、他から供給を受けても良い。上記粉末の製粉方法は、特に限定されるものではないが、好ましくは、合金組成の均一化等の観点から、溶湯噴霧法を好適な方法として例示することができる。溶湯噴霧法では、酸素含有量を低減し、保磁力を低く抑える等の観点から、窒素、アルゴン等の酸素を含まないガスを用いて噴霧を行うと良く、さらに、製粉後も空気を遮断しておくことが望ましい。
なお、原料となる軟磁性粉末の平均粒径D50(上記測定方法による)の上限は、扁平化処理時に、原料となる軟磁性粉末が伸びやすく崩れやすい等の観点から、好ましくは、20μm以下、より好ましくは、15μm以下の範囲内にあると良い。一方、原料となる軟磁性粉末の平均粒径D50(上記測定方法による)の下限は、取扱い容易性、量産性等の観点から、好ましくは、1μm以上、より好ましくは、3μm以上であると良い。
(2)扁平化処理工程
扁平化処理工程は、上記粉末準備工程にて準備した未扁平の軟磁性粉末を扁平化処理する工程である。
扁平化手段としては、アトライタ、ボールミル等を例示することができる。扁平化処理時間は、扁平化手段の種類や、原料となる軟磁性粉末の平均粒径、合金組成等を考慮して、最適な範囲を選択することができる。
扁平化手段としてアトライタを用いる場合、扁平化処理時間の下限は、所定のアスペクト比を得やすい等の観点から、好ましくは、2時間以上、より好ましくは、5時間以上であると良い。一方、扁平化処理時間の上限は、量産性等の観点から、好ましくは、50時間以下、より好ましくは、40時間以下であると良い。
本粉末は、基本的に以上の工程を経ることにより製造することができる。
2.本磁性体
本磁性体は、本粉末を含有している。具体的には、本磁性体は、ゴム、エラストマー、樹脂等のマトリクス材料中に本粉末が分散された構造を有している。
上記マトリクス材料としては、塩素化ポリエチレン、アクリル系ゴム、エチレンアクリルゴム等を好適な材料として例示することができる。なお、マトリクス材料は1種または2種以上の材料を併用することも可能である。
本磁性体中に含まれる本粉末の含有量は、要求される透磁率特性、本磁性体の厚み等を考慮して選択することができる。透磁率特性、厚み等のバランスなどの観点から、好ましくは、20〜60体積%、より好ましくは、40〜55体積%の範囲内にあると良い。
本磁性体は、その適用周波数範囲が500MHz〜3GHzの範囲内であると良い。500MHz未満の範囲は、他の磁性材料にて代用可能であるからである。また、3GHzまでの範囲において、高い実数部透磁率μ’を発現することができ、かつ、虚数部透磁率μ”を低く抑えることができる材料は、従来見当たらなく、本発明の有用性が高まるからである。
本磁性体の実数部透磁率μ’は、好ましくは、6以上、より好ましくは、8以上、さらに好ましくは、10以上であると良い。また、本磁性体の虚数部透磁率μ”は、好ましくは、10以下、より好ましくは、7以下、さらに好ましくは、5以下であると良い。磁気ヨーク部材、アンテナ部材、通信補助部材等に適用する際に、回路内に十分な磁束を通しやすく、回路内での磁束の損失も小さくすることができるからである。
本磁性体の形状は、用途に応じて適宜選択することができる。各種用途への適用範囲が広くなる等の観点から、好ましくは、シート状等の平面状であると良い。
本磁性体の用途は、特に限定されるものではないが、例えば、磁気ヨーク部材、アンテナ部材、通信補助部材等に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例を用いてより具体的に説明する。
1.実施例および比較例、参考例に係る扁平状軟磁性粉末、磁性シートの作製
(扁平状軟磁性粉末)
表1〜3に示す化学組成を有するFe−5%〜20%Cr合金溶湯、あるいは、Fe−6.5Si合金溶湯をアルゴンガス雰囲気中で噴霧し、原料となる各軟磁性粉末を製粉した。
次いで、得られた各軟磁性粉末を、以下の配合にてそれぞれアトライタに入れ、表1〜3に示すように最高50時間に亘って扁平化処理した。より具体的には、1時間ごとに粉末のサンプリングを行い、上述した測定方法(平均粒径D50は、レーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置で測定し、アスペクト比は、光学顕微鏡にて測定を行った)で平均粒径D50とアスペクト比を測定し、目標とする値となったところでアトライタによる扁平化処理を止めることにより各軟磁性粉末を得た。
−配合−
軟磁性粉末:1.0kg
媒体 :2.0L(ナフテゾール)
ボール :18kg(SUJ2、径4.8mm)
潤滑剤 :10g(ステアリン酸亜鉛)
以上により、各実施例に係る扁平状軟磁性粉末を得た。
(磁性シート)
上記にて得られた扁平状軟磁性粉末を用いて磁性シートを作製した。すなわち、トルエン300重量部に塩素化ポリエチレン15重量部を溶解し、ゴムの溶液を作製し、当該溶液中に、各扁平状軟磁性粉末を85重量部投入、混合して分散液とした。
次いで、得られた分散液を、ポリエステル樹脂フィルム(基材)上にドクターブレード法により塗布した。塗布に当たり、乾燥後に得られるシートの厚みが0.1mmとなるようにブレード間隙を調節した。
次いで、塗布した溶液を自然乾燥させた後、温度130℃、圧力15MPa、時間3分間の条件にてプレスした。これにより、各実施例および比較例、参考例に係る磁性シートを作製した。
2.評価
(平均粒径D50、アスペクト比)
作製した各扁平状軟磁性粉末について、上述した測定方法により、平均粒径D50、アスペクト比を求めた。
(透磁率特性)
作製した各磁性シートにつき、実数部透磁率μ’および虚数部透磁率μ”を以下のようにして測定した。
すなわち、作製した磁性シートを外径7mm×内径3mmのリング形状に打ち抜き、100MHz〜1GHzをインピーダンスアナライザHP4294A(アジレントテクノロジー社製)、500MHz〜10GHzをネットワークアナライザ8510C(アジレントテクノロジー社製)を用いて、1GHzにおける上記サンプルのインピーダンス特性を測定し、その値から実数部透磁率μ’および虚数部透磁率μ”を算出した。なお、実施例2および比較例1に係る磁性シートについては、100Hz〜10GHzの周波数帯域にわたって実数部透磁率μ’および虚数部透磁率μ”を算出した。その結果を、図1および図2に示す。
Figure 0005707676
Figure 0005707676
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3.考察
以上の結果から次のことが分かる。すなわち、表1は、主に、合金組成の差を見るためのものである。表1および図1によれば、Fe−Cr系合金より構成した実施例2に係る扁平状軟磁性粉末を用いた実施例2に係る磁性シートは、Fe−Si系合金より構成した比較例1に係る扁平状軟磁性粉末を用いた比較例1に係る磁性シートに比較して、500MHz〜5GHzの周波数帯域にわたって実数部透磁率μ’が高いことが分かる。これは、Fe−Si系合金は、結晶磁気異方性が小さいため、磁壁の共鳴による損失が高周波帯域にて起こりやすく、磁気特性の低下が大きかったのに対し、Fe−Cr系合金は、結晶磁気異方性が大きいため、磁壁の共鳴による損失が高周波帯域まで起こり難く、磁気特性の低下を少なくすることができたためであると推察される。
また、実施例に係る扁平状軟磁性粉末を用いた実施例に係る磁性シートは、比較例1に係る磁性シートに比較して、いずれも、高い実数部透磁率μ’を発現できていることが分かる。また、図2に示すように、虚数部透磁率μ”も比較的低い値に抑制できていることが分かる。以上より、図1および図2によれば、実施例に係る磁性シートは、使用周波数帯域が3GHz以下であれば、高い実数部透磁率μ’および低い虚数部透磁率μ”を発現しやすいことが分かる。それ故、磁気ヨーク部材、アンテナ部材または通信補助部材等に好適であると言える。また、実施例同士を比較すると、Fe−Cr合金におけるCr含有率が、質量%で、5%超〜20%未満、好ましくは、6%以上〜19%以下、より好ましくは、8%以上〜18%以下であると、高周波数帯域において、高い実数部透磁率μ’を発現しつつ虚数部透磁率μ”を低く抑えやすくなることが分かる。
次に、表2は、主に、平均粒径D50の影響を見るためのものである。表2によれば、平均粒径D50が大きくなると、虚数部透磁率μ”が大きくなる傾向が見られる。特に、平均粒径D50が30μmを越えると、虚数部透磁率μ”が顕著に上昇し始めることが分かる。この結果から、虚数部透磁率μ”を低く維持するためには、平均粒径D50を30μm以下とすることが有効であると言える。
次に、表3は、主に、アスペクト比の影響を見るためのものである。表3によれば、アスペクト比が5以下になると実数部透磁率μ’の低下が始まり、アスペクト比が3未満になると、μ’=6を維持し難くなり、実数部透磁率μ’の向上効果が小さくなることが分かる。一方、アスペクト比が大きくなると、虚数部透磁率μ”が大きくなる傾向が見られる。特に、アスペクト比が40を越えると、虚数部透磁率μ”が顕著に上昇し始めることが分かる。この結果から、高い実数部透磁率μ’および低い虚数部透磁率μ”を発現させるためには、アスペクト比を3〜40の範囲内とすることが有効であると言える。
以上、本発明の実施形態、実施例について説明した。本発明は、これらの実施形態、実施例に特に限定されることなく、種々の改変を行うことが可能である。

Claims (4)

  1. 質量%で、Cr:8%以上〜20%未満を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よりなるFe−Cr合金よりなり、平均粒径D50が15μm以下であり、アスペクト比が14〜40の範囲内にあり、平均厚さが0.49μm以下であり、磁気ヨーク部材、アンテナ部材または通信補助部材に用いられることを特徴とする扁平状軟磁性粉末。
  2. 請求項1に記載の扁平状軟磁性粉末を含むことを特徴とする磁性体。
  3. 適用周波数範囲が500MHz〜3GHzの範囲内であることを特徴とする請求項2に記載の磁性体。
  4. 実数部透磁率μ’が6以上、虚数部透磁率μ”が以下であることを特徴とする請求項3に記載の磁性体。
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