JP5707163B2 - 発振器 - Google Patents

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本発明は、ガラスエポキシ樹脂の回路基板を使用した発振器に係り、特に、半田へのストレスを緩和させ耐ヒートサイクル性能を向上させた発振器に関する。
[従来の技術]
従来、水晶発振器において、ガラスエポキシ樹脂を回路基板に使用したものがある。
当該回路基板上に金属の電極パターンが形成され、当該電極パターン上にセラミック等の電子部品が半田付けによって実装されるようになっていた。
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、特開2005−203525号公報「電力用半導体装置及び金属ベース板の製造方法」(三菱電機株式会社)[特許文献1]、特開2007−089003号公報「圧電部品」(TDK株式会社)[特許文献2]、特開2010−087145号公報「電子部品実装基板」(FDK株式会社)[特許文献3]がある。
特許文献1には、金属ベース板の中で、少なくとも絶縁基板の四隅に対応する部位に、絶縁基板と同等又は近傍の膨張率を有する低線膨張材を配置し、絶縁基板と金属ベース板の半田接合部において、熱サイクルにおける剪断応力を緩和し、半田クラックの発生を抑制することが示されている。
特許文献2には、ベース基板、圧電基板、天板が順次積層された圧電部と、圧電部がハンダにより実装されるプリント基板とが、線膨張係数について特定の条件式を満足すると共に、ベース基板のビッカーズ硬度、最大ひずみを特定することで、ハンダクラックの発生を抑制することが示されている。
特許文献3には、プリント配線基板において、電子部品に対向する表面又は内面にセラミックシート(ひずみ抑制体)を設けることで、電子部品近傍における温度変化に伴う電子部品とプリント配線基板の伸縮の差が小さくなり、ハンダのフィレットに加わるストレスを小さくできることが示されている。
特開2005−203525号公報 特開2007−089003号公報 特開2010−087145号公報
しかしながら、上記従来の発振器では、セラミック等を使用した電子部品(回路部品)とガラスエポキシ樹脂の回路基板との線膨張率の差から、ヒートサイクルが生じる使用環境において実装半田に歪みが集中し、半田にクラックが生じるという問題点があった。
一般的に、半田のクラックは小型部品より大型の部品に発生しやすいことが分かっている。
しかし、部品の性能や定数から小型化できない回路部品もあり、大型の回路部品を使用しなければならない場合も多い。
特に、恒温槽付水晶発振器(OCXO:Oven Controlled Crystal Oscillator)では、電源のオン/オフが繰り返される使用環境では周囲温度から恒温槽制御温度(例えば85℃)までの温度変化が、電源オン/オフ毎に加わるため、半田にクラックが生じ、長期信頼性に問題があった。
特許文献1〜3には、半田クラックの発生を抑制するための技術が示されているものの、条件や構成が複雑で、簡易な構成で安価に温度変化に伴う半田クラックの発生を抑制するものとはなっていない。
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、簡易な構成で安価に温度変化に伴う半田クラックの発生を抑制し、耐ヒートサイクル性能を向上させることができる発振器を提供することを目的とする。
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、エポキシ樹脂の基板と、基板上の搭載される回路部品とを備える発振器であって、回路部品の端子電極に半田により接続する2端子の電極パターンが基板上に形成され、2端子の電極パターンが互いに対向する方向が、基板の線膨張率の最も小さい方向に揃えるように、電極パターンを配置し、回路部品は、セラミックで形成され、端子電極は、回路部品の底面の一部から側面にまで形成されており、電極パターンにおいて、端子電極と接触する部分に、回路部品を持ち上げて端子電極の底面と電極パターンとの間に空間が形成されるように突起部を設け、端子電極の底面と電極パターンとの間の空間に半田が形成され、リフローにより電極パターンと端子電極の側面との間に半田がフィレット形状で形成されたことを特徴とする。
本発明は、エポキシ樹脂の基板と、基板上の搭載される回路部品とを備える発振器であって、回路部品の端子電極に半田により接続する4端子の電極パターンが基板上に形成され、4端子の電極パターンの内、回路部品の同一長辺の角部に相当する位置に形成される電極パターンが互いに対向する方向が、基板の線膨張率の最も小さい方向に揃えるように、電極パターンを配置し、回路部品は、セラミックで形成され、端子電極は、回路部品の底面の一部から側面にまで形成されており、電極パターンにおいて、端子電極と接触する部分に、回路部品を持ち上げて端子電極の底面と電極パターンとの間に空間が形成されるように突起部を設け、端子電極の底面と電極パターンとの間の空間に半田が形成され、リフローにより電極パターンと端子電極の側面との間に半田がフィレット形状で形成されたことを特徴とする。
本発明は、上記発振器において、恒温槽付水晶発振器に適用したことを特徴とする。
本発明によれば、回路部品の端子電極に半田により接続する2端子の電極パターンが基板上に形成され、2端子の電極パターンが互いに対向する方向が、基板の線膨張率の最も小さい方向に揃えるように、電極パターンを配置し、回路部品が、セラミックで形成され、端子電極が、回路部品の底面の一部から側面にまで形成されており、電極パターンにおいて、端子電極と接触する部分に、回路部品を持ち上げて端子電極の底面と電極パターンとの間に空間が形成されるように突起部を設け、端子電極の底面と電極パターンとの間の空間に半田が形成され、リフローにより電極パターンと端子電極の側面との間に半田がフィレット形状で形成された発振器としているので、半田の強度を高め、簡易な構成で安価に温度変化に伴う半田クラックの発生を抑制し、耐ヒートサイクル性能を向上させることができる効果がある。
本発明によれば、回路部品の端子電極に半田により接続する4端子の電極パターンが基板上に形成され、4端子の電極パターンの内、回路部品の同一長辺の角部に相当する位置に形成される電極パターンが互いに対向する方向が、基板の線膨張率の最も小さい方向に揃えるように、電極パターンを配置し、回路部品が、セラミックで形成され、端子電極が、回路部品の底面の一部から側面にまで形成されており、電極パターンにおいて、端子電極と接触する部分に、回路部品を持ち上げて端子電極の底面と電極パターンとの間に空間が形成されるように突起部を設け、端子電極の底面と電極パターンとの間の空間に半田が形成され、リフローにより電極パターンと端子電極の側面との間に半田がフィレット形状で形成された発振器としているので、半田の強度を高め、簡易な構成で安価に温度変化に伴う半田クラックの発生を抑制し、耐ヒートサイクル性能を向上させることができる効果がある。
本発明の実施の形態に係る発振器の基板上の2端子電極パターンを示す概略図である。 本発振器の平面説明図である。 本発振器の断面説明図である。 4端子電極パターンを示す概略図である。 別の実施の形態に係る発振器の断面説明図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る発振器は、大型の回路部品が搭載されて半田付けされる、ガラスエポキシ樹脂の回路基板上に形成される電極パターンの対向する方向を、回路基板における線膨張率の最も小さい方向に揃えるようにしたものであり、これにより、回路部品とガラスエポキシ樹脂材との線膨張率の差から温度変化によって実装半田へのストレスを緩和させ、耐ヒートサイクル性能の向上ざせることができるものである。
[2端子電極パターン:図1]
本発明の実施の形態に係る発振器について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る発振器の基板上の2端子電極パターンを示す概略図である。
本発明の実施の形態に係る発振器(本発振器)は、図1に示すように、ガラスエポキシ樹脂の回路基板(基板)1に、2端子の電極パターン4が形成されている。
基板1の材質は、CEM−3(Composite Epoxy Material 3)又はFR−4(Flame Retardant Type 4)等である。
CEM−3は、ガラスエポキシ基板のことで、ガラス繊維とエポキシ樹脂を混合した板をベースとしたものである。
FR−4は、ガラスエポキシ基板のことで、ガラス繊維で編んだ布にエポキシ樹脂を含浸させた板をベースにしたものである。
ここで、一般的なCEM−3の基板の場合、線膨張率は縦方向で25ppm/℃、横方向で28ppm/℃、厚さ方向で65ppm/℃である。
また、一般的なFR−4の基板の場合、線膨張率は縦方向で13ppm/℃、横方向で16ppm/℃、厚さ方向で60ppm/℃である。
また、回路部品のセラミック(アルミナ)の線膨張率は、約7ppm/℃である。
ここで、基板1について、図1に示すように、図1の長尺方向が「縦方向」とし、短尺方向が「横方向」としている。
一般的なFR−4の「縦方向」では、線膨張率13ppm/℃で、「横方向」の線膨張率16ppm/℃より小さくなっている。
参考までに、基板1における「厚さ」方向では、線膨張率60ppm/℃である。
従って、基板1で線膨張率が最も小さいのは、「縦方向」となる。
そして、図1に示すように、線膨張率が最も小さい「縦方向」を基準とし、その縦方向と電極パターン4が対向する方向を揃える(同じ方向にする)ようにする。
2端子の電極パターン4は、大型回路部品が搭載される電極パターンである。
[発振器の構成:図2,図3]
次に、本発振器の構成について図2、図3を参照しながら説明する。図2は、本発振器の平面説明図であり、図3は、本発振器の断面説明図である。
本発振器は、図2,3に示すように、エポキシ樹脂の基板1上に、金属の電極パターン4が形成され、その電極パターン4上に、回路部品(電子部品)2が搭載される。
具体的には、電子部品2の電極パターン4に接続する部分には、端子電極3か形成され、端子電極3と電極パターン4とが半田5によって固定されている。
そして、電子部品2が搭載される2端子の電極パターン4は互いに、基板1で線膨張率が最も小さい「縦方向」と同じ方向に、対向するように配置される。
[耐ヒートサイクル性能]
セラミック等の電子部品2の線膨張率と、エポキシ樹脂の基板1の線膨張率との相違によって、電子部品2に形成された端子電極3と基板1に形成された電極パターン4とが熱膨張によって特に影響を受けるのは、基板1の「縦方向」(図1では基板1の長尺方向)である。
従って、熱膨張の影響を受けやすい「縦方向」における基板1の線膨張率が小さければ、その影響を最小にすることができ、半田5に対するストレスを緩和して、半田5にクラックが発生するのを抑制でき、耐ヒートサイクル性能を向上できる効果がある。
[4端子電極パターン:図4]
次に、4端子電極パターンについて図4を参照しながら説明する。図4は、4端子電極パターンを示す概略図である。
4端子電極パターンの配置は、搭載される電子部品2の形状によって定まる。
具体的には、矩形の電子部品2の角部に端子電極が形成され、その端子電極に接続する電極パターン4a〜4dが基板1上に配置される場合、電子部品2の一方の短辺の角部に相当する位置に形成された電極パターン4a,4bと、電子部品2の他方の短辺の角部に相当する位置に形成された電極パターン4c,4dとが対向する方向が、基板1の「縦方向」となるようにする。
別の見方をすれば、電子部品2の同一長辺の角部に相当する位置に形成される電極パターン4aと4cが、また、電極パターン4bと4dが対向する方向が、基板1の「縦方向」となるように揃えるものである。
以上のように、4端子電極パターンの配置にすることで、半田に対するストレスを緩和でき、半田のクラック発生を抑制することができ、耐ヒートサイクル性能を向上できる効果がある。
[別の実施の形態:図5]
別の実施の形態に係る発振器(別の発振器)について図5を参照しながら説明する。図5は、別の実施の形態に係る発振器の断面説明図である。
別の発振器は、図1〜4の構成を元にして、図5に示すように、電極パターン4において端子電極3と接触する部分に突起部(凸部)を形成し、半田5をフィレット形状としている。
具体的には、電極パターン4に形成された突起部によって端子電極3の下側に空間が形成でき、当該空間にもリフローによって半田5がせり上がってフィレット形状が形成されるため、半田5の強度を高めることができ、これにより、半田のクラック発生を抑制することができ、耐ヒートサイクル性能を向上できる効果がある。
図5の発振器も、図1〜4の基板1の線膨張率が最も小さい方向(「縦方向」)に電極パターン4の配置を設定するようにしているので、基板1と電子部品2の線膨張率の違いによる半田5へのストレスを緩和し、半田5のクラックの発生を抑制することは、別の発振器でも効果を得ることができる。
[実施の形態の効果]
本発振器によれば、エポキシ樹脂の基板1上に形成される2端子の電極パターン4が互いに対向する方向を、基板1の線膨張率が小さい方向に揃えるようにしたものであり、電極パターン4上に塗布される半田5への温度変化によるストレスを緩和でき、半田5にクラックが発生するのを抑制でき、耐ヒートサイクル性能を向上できる効果がある。
本発振器によれば、エポキシ樹脂の基板1上に形成される4端子の電極パターン4a,4b,4c,4dが電子部品2の同一長辺の角部に相当する位置に設けられる電極パターン4aと4c、又は電極パターン4bと4dが互いに対向する方向を、基板1の線膨張率が小さい方向に揃えるようにしたものであり、電極パターン4上に塗布される半田5への温度変化によるストレスを緩和でき、半田5にクラックが発生するのを抑制でき、耐ヒートサイクル性能を向上できる効果がある。
別の発振器によれば、上記本発振器の構成を元にして、電極パターン4の端子電極3に接続する部分に突起部を形成し、端子電極3と電極パターン4との間に空間を形成し、当該空間に半田5のフレット形状を形成するようにしているので、半田5の強度を高めることができ、半田5のクラック発生を抑制することができ、耐ヒートサイクル性能を向上できる効果がある。
本発明は、簡易な構成で安価に温度変化に伴う半田クラックの発生を抑制し、耐ヒートサイクル性能を向上させることができる発振器に好適である。
1...基板、 2...電子部品、 3...端子電極、 4...電極パターン、 5...半田

Claims (3)

  1. エポキシ樹脂の基板と、前記基板上の搭載される回路部品とを備える発振器であって、
    前記回路部品の端子電極に半田により接続する2端子の電極パターンが前記基板上に形成され、
    前記2端子の電極パターンが互いに対向する方向が、前記基板の線膨張率の最も小さい方向に揃えるように、前記電極パターンを配置し、
    前記回路部品は、セラミックで形成され、前記端子電極は、前記回路部品の底面の一部から側面にまで形成されており、
    前記電極パターンにおいて、前記端子電極と接触する部分に、前記回路部品を持ち上げて前記端子電極の底面と前記電極パターンとの間に空間が形成されるように突起部を設け、
    前記端子電極の底面と前記電極パターンとの間の空間に前記半田が形成され、リフローにより前記電極パターンと前記端子電極の側面との間に前記半田がフィレット形状で形成されたことを特徴とする発振器。
  2. エポキシ樹脂の基板と、前記基板上の搭載される回路部品とを備える発振器であって、
    前記回路部品の端子電極に半田により接続する4端子の電極パターンが前記基板上に形成され、
    前記4端子の電極パターンの内、前記回路部品の同一長辺の角部に相当する位置に形成される電極パターンが互いに対向する方向が、前記基板の線膨張率の最も小さい方向に揃えるように、前記電極パターンを配置し、
    前記回路部品は、セラミックで形成され、前記端子電極は、前記回路部品の底面の一部から側面にまで形成されており、
    前記電極パターンにおいて、前記端子電極と接触する部分に、前記回路部品を持ち上げて前記端子電極の底面と前記電極パターンとの間に空間が形成されるように突起部を設け、
    前記端子電極の底面と前記電極パターンとの間の空間に前記半田が形成され、リフローにより前記電極パターンと前記端子電極の側面との間に前記半田がフィレット形状で形成されたことを特徴とする発振器。
  3. 恒温槽付水晶発振器に適用したことを特徴とする請求項1又は2記載の発振器。
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