JP5706393B2 - その表面上に固定化細胞を含む質量応答センサーおよびそのセンサーを利用したリガンド結合の検出方法 - Google Patents

その表面上に固定化細胞を含む質量応答センサーおよびそのセンサーを利用したリガンド結合の検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、分析方法、およびその方法の実施に適するセンサーに関する。詳細には、これに限定するものではないが、本発明は、細胞を含む表面への分析物種の結合を検出する能力を有する質量応答化学センサーを作製するための方法に関する。
質量応答化学センサーは、デバイスの検出表面と会合または結合する質量に比例して変化する特性の測定が可能である任意のデバイスとして定義することができる。そのようなセンサー技術のいくつかは、エバネセント波に基づくセンサー、例えば表面プラズモン共鳴法(SPR、表面における関連する屈折率の変化によって質量変化を記録する能力を有する)、光導波路(これも、質量結合の現象に関連する屈折率の変化に依存する)、光回折、光学干渉、エリプソメトリー、および音響波デバイス(例えば、水晶振動子マイクロバランス(QCM))などとして利用することができる。これらのセンサーによる手法は当該技術分野で十分に確立されており(例えば非特許文献1を参照)、このようなタイプの機器は、in situでの化学反応の研究、およびサンプル中の特定の分子の検出に用いることができる。
QCMシステムは、水晶の圧電効果を利用している。そのようなシステムでは、AC電位と接続されている2つの電極間に配置された水晶は、AC電位の周波数が水晶に対する振動モードの共鳴周波数に近い場合に、振動を始める。水晶の共鳴周波数は、温度、圧力、水晶のカット角、機械的応力、および水晶の厚さなど多くのパラメータの関数である。共鳴周波数は、水晶の厚さに対して反比例の関係である。
液体用途で用いられる典型的な共鳴周波数は、1MHzから50MHzの範囲である。水晶は、通常、およそ直径が5〜10mmである円形または正方形のATカットである。電極(駆動電極および対電極)は、通常、両側共に金製であるが、他の金属も珍しくない。電極は、水晶プレートと比較して非常に薄く、従って、水晶プレートの一部分と見なし得る。物質が電極の一方に付着、またはそこから除去されると、それは厚くまたは薄くなり、すなわち、関連して電極の重量が変化する。電極の質量変化の結果、水晶プレートの共鳴周波数が低下または上昇し、従って、この共鳴周波数の変化を測定して、電極の質量変化を検出することができる。QCMシステムの質量分解能は、1pg/cm2まで下げ
ることが可能であり、これは、水素の単分子層の1%未満に相当する。
典型的なQCM圧電センサー機器は、センサー素子、サンプル挿入ユニット、水晶の圧電特性(振動周波数を含む)を測定するための装置、およびシグナル表示装置、ならびにバッファーおよび廃水用容器を含む(センサー素子以外のこれらの備品を、センサー機器の「関連装置」と称する場合がある)。対象となるいかなる化学物質を含有していてもよいサンプルは、サンプル挿入ユニットからセンサー素子内へ導入される。センサー素子は、圧電共振子(QCMセンサー)、サンプルチャンバー、チャンバーへのおよびチャンバーからのフローチャネル、ならびに振動回路を含む。サンプルは、圧電センサー表面との相互作用を誘発し、次に、例えば、圧電共振子周波数の変化を測定することで水晶プレートの振動特性をモニタリングすることにより、これを観察することができる。水晶プレートは、その表面上に駆動電極および対電極のための電気接点領域を備え、このような接点領域は、シグナル源(例:交流電圧源)、ならびに測定デバイスと接続可能である。測定を行う場合、圧電水晶プレートは、その一方の側を検査されるべき流体(例:液体)サンプルと接触させる。水晶は、検出されるべき物質の質量の蓄積、またはサンプルの物理的
特性の変化に、共振周波数および/または振動振幅を変化させることで応答する。
圧電センサーは、液体サンプルの粘度分析に用いることができ、特に、化学的および生化学的相互作用の研究に適している。圧電センサーが後者の目的に用いられる場合、サンプルに接触させる電極は、サンプルと相互作用を起こす特定の表面コーティングを備えている。QCMセンサーを用いて研究することができる相互作用の種類に関するレビューは、Cooper and Singletonによって提供されている(非特許文献2)。化学センサーの種類に関係なく、一般的な表面コーティングの手法としては、自己組織化単分子膜(例:金に吸着させたアルカンチオール)、および/またはポリマーマトリックスが挙げられ、各々は、対象である第一の化学種を固定化するために用いることができる官能基を有していてよい。通常、固定化された第一の化学種は、小有機分子または抗体である。第一の化学種を有するセンサーを次に、第二の化学種または細胞の分散物と接触させ、第二の化学種または細胞と第一の化学種との結合が、検出表面における得られた質量変化によってモニタリングされる。Fung and Wong(非特許文献3)は、そのような手法を用いることによる
液体分散物中のサルモネラ細胞の検出について報告しており、その他の類似の研究が、Cooper and Singleton(上記参照)によって報告されている。
より困難だが魅力的な手法は、化学センサー中の固定化された第一の種として細胞を用いることである。これを達成した研究は数件あるが、報告された方法は、生細胞を用いており、結合相互作用自体を分析するものではなく;むしろ、これらの方法は、バイオセンサー技術を用いて、結合後の細胞中の形態学的なまたはその他の変化をモニタリングするものである(非特許文献4を参照)。このような方法は、結合現象後の細胞の変化からの検出シグナルの干渉のために、結合相互作用の正確なモニタリングにはほとんど、またはまったく役に立たない。
Biomolecular Sensors, Gizeli and Lowe. Taylor and Francis, London; 2002 Cooper and Singleton, J. Mol. Recognit., 2007, 20, 154 Fung and Wong, Anal. Chem. 2001, 73, 5302 Marx et al., Anal. Biochem., 2007, 361, 77
先行技術には、細胞と分析物リガンドとの間の結合相互作用の正確な検出およびモニタリングに適する、細胞が固定化された質量応答化学センサーの作製方法について記載も示唆もなされていない。
本発明の第一の局面によると、質量応答化学センサーが提供され、この化学センサーは、その検出表面に不活性化細胞が接着しており、分析物リガンドと、接着した不活性細胞との間の相互作用を、分析物リガンドの細胞への結合に起因するセンサー表面の質量変化によって検出するのに適しており、このセンサーは、フローセルを備えるか、またはその一部分を形成している。
好ましい態様では、細胞は固定されている。
第一の局面の特定の態様では、質量応答化学センサーは:細胞を含有する懸濁液をセンサー素子の検出表面と接触させる工程;細胞を検出表面に接着させ、および検出表面上で
成長させる場合もある工程;ならびに、適切な時間の後、接着細胞の不活性化処理を行う工程、を含む方法によって作製される。
本発明の質量応答化学センサーは、分析物リガンドと細胞表面の構造との間の結合現象自体を、正確に検出およびモニタリングすることができ、これらをリアルタイムで行う可能性も有する。先行技術の方法で作製されたセンサーとは異なり、本発明のセンサーから発せられたシグナルは、検出表面に結合した物質の質量とより直接的に関連しており、細胞の成長および/または形態学的変化に起因する干渉が最小限に抑えられる。加えて、固定された細胞を用いることにより(ここで、固定は、以下でより詳細に述べるように、化学的または物理的手段で行ってよい)、使用中のフローセル内に発生してセンサー表面の細胞への損傷または細胞の剥離のリスクをもたらす恐れのあるせん断力に対して、細胞がより高い耐性を有する。細胞に関して本明細書で用いる「不活性」という用語は、細胞の通常の生化学が実質的に停止されており、それによって細胞がそれ以上成長、分裂、移動、および/または形態学的変化を行う能力を実質的に持たないという意味であることを意図している。
第二の局面によると、本発明はまた、分析物リガンドと固定化細胞との間の相互作用を検出する能力を有する質量応答化学センサーを作製する方法も提供し、この方法は:細胞を含有する懸濁液をセンサー素子の検出表面と接触させる工程;細胞を検出表面に接着させ、および検出表面上で成長させる場合もある工程;ならびに、適切な時間の後、接着細胞の不活性化処理を行う工程、を含む。
第二の局面の方法により、第一の局面のセンサーと同様に、分析物リガンドと細胞表面の構造との間の結合現象自体を、正確に検出およびモニタリングすることができ、これらをリアルタイムで行う可能性も有する質量応答化学センサーを作製することができる。上記で説明したように、先行技術の方法で作製されたセンサーとは異なり、本方法で作製されたセンサーから発せられたシグナルは、検出表面に結合した物質の質量とより直接的に関連している。
好ましい態様では、本方法は、センサーがフローセルを備えるかまたはその一部分を形成するように、センサーをフローセル内に一体化させる追加の工程を含む。センサーのフローセル内への一体化は、本方法のいずれの段階で行ってもよく、すなわち、センサーを細胞と接触させる前;細胞が検出表面に接着し、および検出表面上で成長する場合もある工程の前、その間、もしくは後;または、細胞の不活性化処理の前、その間、もしくは後、である。
本発明に従って使用または形成されるフローセルは、研究される相互作用の反応速度パラメータの測定に好ましくは適合されるものであるべきである。フローセルは、生物学的に適合可能な物質から成るべきであり、好ましくは、これらに限定されないが、ポリオキシメチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、およびポリスチレンまたはアクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレンなどの射出成型可能である熱可塑性プラスチックから選択される。フローセルの寸法は、分子相互作用に対する反応速度パラメータの測定に適するべきであり、すなわち、そのフロー特性が、細胞が固定化された表面もしくはその非常に近傍における分析物リガンドのバルク溶液濃度を、細胞表面上の標的分子に対する分析物リガンドの拡散を実質的に制限することなく、維持することを可能とすべきである。フローセルの好ましい高さは、50μmもしくはそれ未満であるべきである(センサー表面から測定してフローセルの天板部まで)。適切なフローセルは、例えばPCT/GB2008/001515(国際公開第2008/132487号)に記載されている。
細胞を含有する懸濁液は、細胞成長培地を含むことが好ましい。種々の細胞に対する適
切な細胞成長培地は、当業者に周知であり、先行技術には、大多数の原核細胞および真核細胞の培養のための培地の好ましいおよび必須の成分に関する情報が豊富である。好ましい培地は、血清タンパク質を含有する。発明者らはこの考えに束縛されることを望むものではないが、そのような成長培地に存在する血清タンパク質は、細胞の前に(または、それほど多くはないが、それと同時に)検出表面に吸着し;吸着されたタンパク質は、次に、細胞の細胞表面成分による認識が可能であるモチーフを有する表面を提供し、それによって、検出表面上またはその近傍への細胞の接着が促進されると考えられる。本方法の特定の好ましい態様では、細胞懸濁液はまた、当該細胞と関連する細胞外マトリックスタンパク質も含有する。そのようなマトリックスタンパク質は、当該細胞型に依存する度合いが様々であり、やはり標準的な実験テキストを参照することで決定することができるが、細胞表面成分による認識および結合のための追加のモチーフを提供することで細胞の接着を補助するものである。ある態様では、タンパク質被覆センサー表面を用いてよく、または検出表面を、血清タンパク質および/または細胞外マトリックスタンパク質の溶液と接触させることでプレコンディショニングし、その表面への吸着を可能にしてもよく;このような場合、血清を含まない細胞懸濁液をすぐに用いることができる。
第一および第二の局面の特定の態様では、細胞は真核細胞である。特に、細胞は、哺乳類細胞などの動物細胞であってよく、特にヒト細胞である。
特別の態様では、細胞含有懸濁液との接触の前に、表面エネルギーを高め、それによって血清タンパク質および/または細胞のそこへの接着を強めるために、検出表面が修飾される。
第一の局面のセンサー素子の検出表面、または第二の局面で細胞懸濁液に接触させるセンサー素子の検出表面は、種々の材料で形成してよい。いくつかの例では、未処理の金属センサー表面を用いてよく、例えば、QCMの金電極、またはSPRバイオセンサーの貴金属表面、またはいくつかの光導波路に基づくデバイスで見られるようなガラス表面である。しかし、多くの態様では、化学的もしくは物理的処理によって表面を修飾し、そこへの血清タンパク質および/または細胞の吸着の速度および/または度合いを増加させることが望ましい場合がある。化学的処理としては、極性、親水性、および/または帯電した種(例:ポリリジンなどのポリアミノ酸;または、上述のような血清および/もしくは細胞外マトリックスタンパク質であり、この場合、表面極性などへの任意の影響に加えて、特定の認識可能な生化学的モチーフが細胞接着の役割を担うことがある)の表面への吸着が挙げられる。物理的処理としては、適切なタイプのプラズマ照射または電磁放射を用いて検出表面の表面化学の修飾を引き起こすことが挙げられる。そのような手法は、特定のポリマーコーティング表面などのそのままでは疎水性である表面の場合に特に有用であり得る。いずれの場合でも、細胞の接着に対する表面の適切性、およびその任意の修飾の効果については、センサー機器の関連装置とセンサーとを繋ぎ、続いてセンサーからのシグナルの変化により、検出表面と接触される血清タンパク質および/または細胞が接着するかどうか、およびどの程度接着するのかを判定することで、容易に判断することができる。別の選択肢として、または加えて、顕微鏡法を用いて細胞の検出表面への接着をモニタリングしてよい。検出表面をこの方法で最適化し、続いて、さらにより大きな効果をもって本発明の方法に用いることができる。
多くの場合、細胞固定化前の検出表面の接触角は10から90°、好ましくは20から80°、より好ましくは30から70°である。60°近辺の接触角が特に好ましいであろう。接触角は当該技術分野で標準的な方法によって測定することができ、本明細書で用いる接触角とは、高純度水を用いた接触角を意味する。
第一および第二の局面の特定の態様では、検出表面は、細胞含有懸濁液を接触させるポ
リマーコーティングを備える。そのようなポリマーコーティングは、ポリスチレンを含んでいてよい。質量応答化学センサーのポリマーコーティングは、一般的な手法であり、それに続いて検出表面に何を結合させ得るかという意味において選択肢の幅を広げることができる。ポリスチレンは、細胞の培養に一般的に用いられる表面であり、従って、本方法において特に有用である。しかし、その疎水性のために、ポリスチレンコーティングは、プラズマ照射または電磁放射処理によって修飾されることが好ましい。UV処理が特に好ましい。ポリマーコーティング(例:ポリスチレン)は、ポリマー溶液によるセンサー素子のスピンコーティングによって作製することができる。ポリマーコーティングは、センサーを細胞懸濁液と接触させる前に、血清および/または細胞外マトリックスタンパク質の分散液と接触させてよい。
接着細胞の不活性化の前に、検出表面上で細胞に成長する期間を与えることが有用であり得る。懸濁培養の過程で生じた細胞へのいかなる損傷または障害もここで低減することができる。上記で言うところの「適切な期間」は、実験の必要性および目的、ならびに用いる細胞型に応じて決定してよく、この期間は、試行錯誤によって容易に評価することができる。特に、多くの細胞は懸濁液中では球状の形態をとる一方、表面への接着は、ある程度の細胞の広がりおよび平坦化を伴う。センサー表面への播種のために細胞を回収すべき成長期に関しては、これは、成長の対数期の間が理想的であるはずであり、この成長期の間、細胞はより多くの受容体を発現する。
細胞を不活性化するための処理は、物理的手段(例:細胞の低温での維持(例:2〜8℃)、急速冷凍、または減圧下での熱処理;www.denator.comを参照)で行ってよく、ま
たは、より好ましくは、化学的手段(例:トキシン処理または化学的架橋)で行ってもよい。好ましい態様では、接着細胞の不活性は、物理的手段か、または、より好ましくは、化学的手段によって細胞を固定することによって行われる。化学的手段としては、有機溶媒に基づく方法、または、より好ましくは、架橋による方法の両方が挙げられる。有機溶媒に基づく方法は、通常、細胞から脂質および水を除去して細胞タンパク質を沈殿させ、一方、架橋試薬が細胞の表面成分間の分子間架橋を形成することによって作用する。有機溶媒に基づく方法は、アセトン、メタノール、および/またはエタノールを、通常はおよそ−20℃で用いることを含む。架橋による手法は、例えばホルマリン、ホルムアルデヒド、またはパラホルムアルデヒドを、所望される場合は界面活性剤および/またはメタノールと組み合わせて用いてよい。数多くの別の選択肢としての固定プロトコルは、Brock et al.,(Cytometry, 1999, 35, 353)にも記載されている。
センサー表面での細胞の固定により、細胞のさらなる成長、遊走、および/または形態学的変化が阻止されるが、細胞の表面成分は、少なくともその一部分が分析物リガンドとの結合にまだ利用可能である状態で保持される。細胞の固定はまた、続いて行う分析の過程で接着細胞が検出表面から脱離可能となる可能性も低下させる。第一の局面と関連して述べたように、このことは、センサーがフローセルを備えるか、またはその一部分を形成する態様において特に利点となる。細胞の固定はまた、細胞層の剛性も高め、これは、以下でより詳細に考察するように、化学センサーの感度を向上させることができる。
細胞を不活性化する前に、所望される場合は顕微鏡法による工程を用いて、センサー表面上の細胞の配置および密度を確認してもよい。様々な顕微鏡による手法を用いてよいが、蛍光顕微鏡法を挙げることができ、この場合、顕微鏡法の前に、接着および/または固定した細胞は、蛍光染料(例:核染料)と共にインキュベートされる。適切な細胞カウントおよび/または密度が得られなかった場合、不活性化の前に細胞のさらなる成長をここで行ってよい。検出表面の顕微鏡によるモニタリングは、本方法のいずれの段階でも、またはすべての段階で行って、細胞層の形成の進行を確認してよい。顕微鏡法はまた、不活性化工程の後、および所望される場合は行ってよい細胞を固定する工程の後に用いてもよ
い。
細胞の接着および不活性化に続いて、検出表面を酸性溶液で処理して非接着細胞物質および非細胞物質を除去することが好ましい。この酸性溶液は、5未満、好ましくは3未満、場合によってはおよそ1のpHを有してよく、低分子量塩を含有していてもよい。また、グリシンなどの適切なバッファーを含有していてもよい。
本発明のセンサーおよび方法の特定の態様では、センサーは、音響波デバイスである。このようなデバイスは、特定の態様では、圧電センサーまたは水晶振動子マイクロバランスであってよい。
センサーがQCMである場合、センサーは、センサー/QCM水晶を筐体から取り出す必要なくセンサー表面への到達を可能とする取り外し可能なカバーを有するセンサー素子内に収容されていてよい。そのような仕組みのセンサー素子は、国際公開第2008/132487号に記載されている。
関連する第三の局面では、本発明は、分析物リガンドと細胞との間の相互作用を検出する方法を提供し、この方法は:第一の局面に従う、または第二の局面の方法に従って得られ、その検出表面もしくはその近傍に不活性細胞が接着した質量応答化学センサーを提供する工程;分析物リガンドと細胞との間の相互作用が可能となるように検出表面の近接部に分析物リガンドを導入する工程;ならびに、相互作用が存在する場合、分析物リガンドの細胞への結合に起因する検出表面における質量の変化によってその相互作用を検出する工程、を含む。
本発明の第三の局面の態様では、センサー表面は、相互作用検出のための意図されるランニングバッファーと接触させることにより、分析物の導入前に安定化される。この安定化は、数時間行ってよい。特定の態様では、分析物リガンドは、センサーの安定化に以前に使用されたことのあるランニングバッファー溶液を用いて希釈される。センサーがフローセルを備えるかまたはその一部分を形成する態様では、ランニングバッファーをフローセルの出口部から取り出し、これを用いて、分析物サンプルの希釈を、後者のフローセルへの導入前に行ってよい。好ましい態様では、ランニングバッファーが出口部から取り出され、これを用いて、分析物の希釈が、後者のフローセル入口部への注入の実質的に直前に行われる。本工程に従って用いるためのランニングバッファーは、フローセル中に分析物が存在しない間のみに得ることができることは理解されるであろう。
センサー表面の安定化に以前に用いられたことのあるランニングバッファーを用いることで、分析物バッファーとランニングバッファーとの間のマッチングを向上させることができる。これは、分析物導入の際のバッファー特性の変化に起因するシグナルの人為的結果を低減する手助けとなる。好ましい態様では、コントロール分析も実施され、そこでは、安定化工程からのランニングバッファーがセンサーに再導入されるが、分析物は含まれていない。
特定の態様では、分析物リガンドと細胞との間の結合相互作用が、分析物リガンドの複数の異なる濃度で検出される。このような手法により、分析物と細胞との間の結合相互作用に対する反応速度パラメータの決定が可能となる。分析物の複数の濃度で収集されたデータからの反応速度パラメータの決定は、例えば、Myszka(J. Molec. Recognit., 1999,
12, 279)またはMorton and Myszka(Methods Enzymol., 1998, 295, 268-294)によっ
て報告された手法を用いて行うことができる。
第四の局面では、本発明は、第二の局面の方法によって得られる質量応答化学センサー
を提供し、この化学センサーは、分析物リガンドの細胞への結合に起因するセンサー表面の質量変化による、分析物リガンドと接着不活性細胞との間の相互作用の検出に適している。第四の局面のセンサーは、フローセルを備えているか、またはその一部分を形成していることが好ましい。
第四の局面のセンサーを、第三の局面の方法に用いることができることは理解されるであろう。その検出表面またはその近傍に細胞が接着した先行技術のセンサーと比較して、第四の局面のセンサーは、細胞が不活性であり、従ってセンサーが結合相互作用自体を表す正確なシグナルを提供する能力を持つという利点を有する。
第五の局面では、本発明は、分析物リガンドと、化学センサーのセンサー表面またはその近傍に固定化された細胞との間の結合相互作用を分析するための、質量応答化学センサーの使用を提供する。
先行技術の手法とは異なり、第五の局面は、分析物と細胞との間の結合相互作用自体の分析に関する。先行技術では、固定化細胞が関与する研究は、細胞中で発生する結合後の形態学的およびその他の変化を分析するためにセンサーを使用する。
第五の局面の好ましい態様では、細胞は不活性である。特定の態様では、細胞は固定されている。固定の手法は、本発明の第一の局面に関連して上記に記載する。特定の態様では、結合相互作用は定量化され;特に、分析リガンドと細胞との間の結合相互作用は、分析物リガンドの1つの特定の濃度で検出してよく、または、好ましくは、分析物リガンドの複数の異なる濃度で検出してもよい。このような手法により、上述のように、分析物と細胞との間の結合相互作用に対する反応速度パラメータの決定が可能となる。
第六の局面では、本発明は、水晶振動子マイクロバランスなどの音響波デバイスを含み、そのセンサー表面上またはその近傍に細胞が固定化された質量応答化学センサーの感度および/または検出範囲を改善する方法を提供し、その方法は、架橋ポリマーマトリックス内に細胞を固定するか、または包埋する工程を含む。
好ましい態様では、細胞は、不活性である(例:固定される)。加えて、または別の選択肢として、センサーは、フローセルを備えるかまたはその一部分を形成してよい。
音響センサーは、検出表面からの検出距離を決定する減衰長が限定されている。サイズが10μmの範囲である真核細胞は、圧電センサーでは完全には検出されない場合がある。しかし、発明者らは、細胞層が十分に剛性であれば、表面からの検出範囲を広げることが可能であることを見出した。本発明では、架橋ポリマーマトリックス内への細胞の固定(例:上述のように架橋剤による)、または包埋により、検出表面上の細胞層に剛性が付与される。このことにより、細胞層における音響センサーの検出範囲が広がり、その結果としてセンサーの感度が高められるものと考えられる。
第六の局面において架橋ポリマーマトリックスが用いられる場合、これは、多糖を主体とするマトリックスを例とするバイオセンサーの分野で公知の種々のマトリックスから選択することができる。細胞:ポリマーマトリックス成分の適切な比率は、通常の実験によって容易に決定することができる。信頼性のある検出応答を得るために、ある最小密度の細胞が、検出表面から離れたマトリックス表面において分析物リガンドに接近可能である必要があることは理解されるであろう。
第七の局面では、本発明は、水晶振動子マイクロバランスなどの音響波デバイスに基づく質量応答化学センサーの感度および/または検出範囲を改善する方法を提供し、その方
法は、そのセンサー表面上またはその近傍に、ポリマー粒子を固定化することを含む。
第七の局面のポリマー粒子(架橋ポリマーから成り、アガロースなどのポリサッカライドビーズなどのビーズを例とする形状)は、第六の局面の固定または包埋された細胞と類似の方法で用いることができる。粒子は、従来の方法を用いて(例:EDC/NHSカップリングなどのバイオセンサー分野で標準的な有機カップリング化学を用いる)検出表面に付着させることができる。化学検出の研究における対象である分子(受容体、リガンド、酵素、レクチンなど)を、検出表面へのビーズの付着(やはり従来の有機カップリング技術を用いる)の前、または、より好ましくは、その後に、ビーズへ付着させてよく、それによって、検出表面がそのような分子の剛性層を提供する。第六の局面と同様に、第七の局面に従って作製されたセンサーは、その表面からの検出範囲が拡張され、感度が高められる。
細胞の層が第六の局面の方法で固定または包埋される場合、対象であるさらなる化学種の層を細胞層へ付着させる追加工程を行ってよい。次に、このようにして形成されたさらなる化学種の層(例:受容体、受容体リガンド、レクチン、糖類など)を、得られた剛性の細胞層の有益な効果と共に、化学検出の研究に用いることができる。
第八の局面では、本発明はまた、第七の局面の方法に従って得ることができる質量応答化学センサーも提供する。
第九の局面では、本発明は、質量応答化学センサーのシグナル対ノイズ比を向上させる方法を提供し、この方法は、センサーの安定化に以前に用いられたことのあるランニングバッファー溶液を用いて、分析物サンプルの希釈を、後者を検出表面へ導入する前に行う工程を含む。
第九の局面の利点は、第三の局面と関連し上記で述べる。好ましい態様では、質量応答化学センサーは、フローセルを備えるかまたはその一部分を形成し、この方法は、フローセルの出口部からのランニングバッファーを用いて、分析物サンプルの希釈を、後者のフローセルへの注入の前に行う工程を含む。
ここで、本発明を、単なる例として、添付の図面を参照しながら、より詳細に説明する。
ヒト乳癌細胞をその上に固定したQCMセンサーの蛍光顕微鏡写真である。 図1に従うQCMセンサーを用いて行った一連のコンカナバリンA(Con A)結合実験からのデータを示す図である。Con Aは、それぞれの応答が小さい順に、12.5μg/ml、25μg/ml、50μg/ml、100μg/mlで注入した。親和性は15nMと測定された。 図1に従うQCMセンサーを用いて行った一連のコムギ胚芽凝集素(WGA)結合実験からのデータを示す図である。WGAは、それぞれの応答が小さい順に、6.5μg/ml、12.5μg/ml、25μg/ml、50μg/mlで注入した。親和性は93nMと測定された。 ヒト類表皮癌(A‐431)細胞をその上に固定したQCMセンサーの蛍光顕微鏡写真である。 図4のQCMセンサーおよび抗EGFR抗体を用いて行った一連の結合実験から得たデータを示す図である。抗体は、それぞれの応答が小さい順に、6、12.5、および25μg/mlで注入した。親和性は1.2nMと決定された。 その上にA‐431細胞を固定したQCMセンサーへの結合についての一連のレクチンのスクリーニング(a)、および細胞が存在しない対応する実験(b)から得たデータを示す図である。 図7aおよび7bは、固体されたA‐431細胞を有する、および有しないQCMセンサーに対するCon AおよびWGAの結合の比較を示す図である。 金またはポリスチレン(PS)表面に固定化されたA‐431細胞へのCon Aの結合を研究する実験の結果を示す図である。各々の表面に対して、ホルムアルデヒド(F)またはホルムアルデヒド+メタノール(FM)という2種類の固定法を用いた。チャートは、PSFM、PSF、GoldFM、およびGoldFの4つの条件について、12.5μg/mlおよび6.25μg/mlのCon AのA‐431細胞への結合の結果としてAttana Cell 200測定器で記録された最大周波数をまとめたものである。 Con AのA‐431細胞への結合および解離による時間依存的周波数変化を示す図である。この相互作用の評価は、図8で述べた実験で用いられた4つの条件、すなわち、PSFM、PSF、GoldFM、GoldFで行った。 GalNAc結合レクチンと、それぞれの細胞表面に異なるグリコトープ(glycotopes)を露出する2つの異なる細胞株との間の相互作用から得たデータを示す図である。
実施例1 − 全般的なプロトコル
本発明は、細胞と、タンパク質との、または薬物、抗体、もしくは受容体などのその他の生物学的に関連する分子との間の反応速度および親和性のデータ測定を可能とすることを最終的な目的とする方法を提供する。相互作用の親和性および速度は、細胞表面受容体およびその受容体/バインダーについて、単離されたタンパク質としてこれまでに測定されてきたが、実際の細胞上では行われていない。医薬品開発を例とするより生物学的に関連するアッセイへ向かって進むには、全真核細胞を用いたリアルタイム相互作用アッセイが大きな進歩を遂げるべきである。ここで、真核細胞およびその相互作用を起こす相手のリアルタイム相互作用研究のための方法が開発された。代表的なプロトコルは、
1. センサー上にポリスチレン表面をスピンコーティングする工程
2. ポリスチレン表面をUV処理する工程
3. センサー表面上で細胞を成長させる工程
4. センサー表面上で細胞を固定する工程
5. 所望される場合は行ってよい、センサー表面をグリシンで前処理する工程
6. バイオセンサー測定器中のセンサー表面を安定化する工程
7. リガンド/分析物を注入して、結合の反応速度および親和性を測定する工程
を含む。
固定化された全細胞のバイオセンサー分析は、克服する必要のあるいくつかの問題点を提供する。第一に、固定化された真核細胞を持つ表面が構成する、複雑性が大きく増加した表面は、予想されるシグナルレベルが低く、シグナルドリフトが大きい場合に相互作用定数の測定が困難となることから、センサーシステム内の細胞表面を安定化させる強力な手順を必要とする。この代表的方法の工程4は、センサー表面に強固に付着し、解離することのない細胞の安定表面を促進するものである。工程5および6は、アッセイを実行するための非常に低いドリフトを得るために、システム内のセンサー表面の必要な安定化を提供する。
第二に、音響センサーは、液体中での検出表面からの検出距離を決定する減衰長が限定されている。サイズが10μmの範囲である真核細胞は、圧電センサーでは完全には検出されないものと考えられる。しかし、実験により、添加された層が十分に剛性であれば、表面からの検出範囲を広げることが可能であることが示された。本発明では、工程4に従
って架橋剤を用いて細胞を固定することにより、細胞層における音響センサーの検出範囲が広がり、その結果として感度が高められるものと考えられる、検出表面上での細胞の剛直化が提供される。
第三に、限定された検出距離、および真核細胞上に通常存在する表面受容体の比較的低い濃度に起因して、細胞表面の相互作用研究におけるシグナルレベルが低いと予想されることから、バッファーマトリックスからのシグナル寄与(バッファー効果)などの実験の不要な副作用を取り除くことが必要である。これは、例えば、この代表的な方法の工程7で述べるように、サンプルバッファーの厳密なマッチングによって達成される。
方法の工程の詳細な説明
1. センサー上へのポリスチレン表面のスピンコーティング
スピンコーティングの前に、導電性確認済み(Smart Tweezers、サイボーグシステムズ社(Siborg Systems Inc.))未研磨のQCM水晶に酸素プラズマ処理を
施し(エレクトロニックディーナー(Electronic Diener)、Femto)、続いて、水
晶表面を確実に適切に洗浄することを目的としてエタノール中での超音波処理を行った。水晶のポリスチレンコーティングは、スピンコーティングで行った。簡潔に述べると、5mg/mlの濃度にてトルエン中で予め調製しておいた10μlのポリスチレン溶液を、水晶の中心に載せ、スピンコーティングを行った(Spin Coater(登録商標)、モデルP6700シリーズ、スペシャリティコーティングシステムズ社(Specialty Coating Systems, INC.))。平均して56ű21Åのポリスチレンが各水晶上にコーテ
ィングされた。ポリスチレンがコーティングされた水晶は、続いて、UV処理の前に+4℃で保存した。
2. ポリスチレン表面のUV処理
最適な細胞の付着と成長を可能とすることを目的として、UV照射によるポリスチレン表面の酸化は好ましい工程である。UV処理は、ポリスチレン表面との水滴の接触角で測定される表面の水和性(wettability)を確実に向上させるために実施した(The po
cket Goniometer、PG‐3、フィブロシステムAB(FIBRO System AB
))。UVへの曝露時間は、従来の組織培養物表面と一致する60〜65°の接触角が得られるように予め決定した。
3. センサー表面上での細胞の成長
(細胞株に依存する)適切な培地中、37℃、5%CO2のインキュベータで成長させ
た細胞を、単一細胞懸濁液を調製する目的でトリプシン処理した(標準的な細胞トリプシン処理手順に従う)。血球計数器を用いて細胞カウントを行い、細胞を、固定後の核染色(次の段落で述べる)で評価されるセンサー表面の被覆率が24時間のインキュベーション後に約70〜80%に達するように、適切な密度/濃度でポリスチレン表面に播種した。
4. センサー表面への細胞の固定
24時間のインキュベーションの後、水晶上に播種しておいた細胞に、ホルムアルデヒド(シグマ)中での固定を施した。細胞培地を除去し、細胞を氷冷PBSで洗浄した。続いて、氷冷PBS中で新しく調製した3.7%ホルムアルデヒド溶液の0.5mlと共に+4℃にて10分間細胞をインキュベートすることにより、細胞の固定を行った。5分間の洗浄工程を3回行って、残留ホルムアルデヒドを除去した。続いて核染色を行い、水晶の細胞被覆率を測定した。簡潔に述べると、最終濃度2.8μMに調製した核染料、DAPI(インビトロジェン、λEx/Em:358〜461nm)と共に細胞を3分間インキュベートした。PBS中での洗浄工程の後、細胞‐水晶を蛍光顕微鏡下(Nikon Eclipse 80i)で視覚化した。次に、細胞‐水晶を+4℃にてPBS中に保存
した。
5. センサー表面のグリシンによる前処理
チップホルダーへの取り付け、およびAttana Cell 200測定器(www.attana.com)での操作の前に、所望される場合は行ってよい再生溶液(グリシン 10mM、NaCl 500mM、pH1)による前処理を細胞に施す。この処理により、表面がさらに洗浄され、従って、細胞‐水晶のより迅速な安定化、ならびにAttana Cell 200測定器でのより安定なベースラインが可能となる。
6. バイオセンサー測定器のセンサー表面の安定化
前処理した細胞‐水晶をAttana Cell 200測定器のチップホルダーに取り付け、測定器に挿入し、0.025%のTweenを添加したPBS(PBST)中、25〜50μl/分にて数時間または一晩安定化した。レクチンおよび/または抗体の結合の測定の実施は、20℃、25μl/分で行った。
7. リガンド/分析物の注入による結合の反応速度および親和性の測定
細胞受容体、または炭水化物構造を例とするその他の特定の成分に向けられた、抗体またはレクチンを例とするリガンド分析物の細胞表面における分子相互作用のメカニズムを、親和性定数の測定を通して特性決定するようにアッセイの設計が行われる。目的は、ヒト癌性接着細胞を例とする固定した細胞の表面で発生する相互作用の生物物理学的解釈を提供することである。生物分子結合反応における結合定数の測定の質は、アッセイが実施される条件に依存する。親和性および速度定数は、所望される場合は分析物注入の間に細胞表面の中間再生(これは、0.5M NaClを添加したpH1のグリシン10mMを用いることで達成することができる)を含めて、分析物の1つの特定の濃度、または分析物の複数の異なる濃度における結合相互作用をモニタリングすることで測定することができる。
本明細書で報告する実施例では、70〜80%の細胞で被覆された細胞‐水晶、流速(25μl/分)、ランニングバッファー(PBST)、および80〜170秒の接触時間を用いて、応答を最大化し、ならびに非特異的相互作用、物質移動効果の低下、および分散を最小化した。強固で正確な反応速度および親和性定数の測定を提供するために、ある一式の濃度を用いてよく、典型的な態様では、この一式には、3から5種類の異なる濃度が含まれ、これらについて少なくとも2回の反復測定が行われる。濃度の範囲は、少なくとも10倍とするべきであり、最大濃度では、分析物は、利用可能な表面受容体の少なくとも半分と結合するべきである。分析物分子の適切な濃度は、受容体に対する分析物の親和性に依存する。1nMの親和性の抗体の場合、3〜50μg/mlの範囲が適切であることが見出され、15nMの親和性のレクチンの場合、最大100μg/mlまでの濃度範囲が最大応答(通常、細胞表面受容体に対する抗体の場合5〜10Hz、細胞表面炭水化物と結合するレクチンの場合250Hz)を得るために必要であった。
予想されるシグナル応答が小さいこと、およびセンサー表面が非常に複雑であることから、ランニングバッファーとサンプルバッファーとのマッチングは、非常に好ましいものとなる。所望される場合は行ってよいサンプルバッファーとセンサー表面上を流れるランニングバッファーとの間の最適マッチングを提供するための手法では、センサー表面を通過したバッファーが出口部から回収され、サンプルの希釈に再利用される。好ましくは、バッファーの回収は、サンプル注入の直前に行われ、バッファー間の可能な限り最良のマッチングが提供される。所望される場合は、コントロールの注入を同じ方法で行なってよいが、ただし分析物はまったく添加されない。この場合、バッファーコントロールを用いて人為的結果を排除し、妥当で質の高いバイオセンサー分析を提供することができる。
反応速度分析は、従来の相互作用アッセイと同様に実施し、結合/解離速度(on/off rate)および親和性定数(Kd)を測定した(上記Myszkaの参考文献を参照)。
実施例2a: Attana Cell 200測定器での細胞‐レクチン相互作用
MDAMB468細胞(ヒト乳癌細胞株)をUV処理したPS水晶上へ播種し、24時間後に3.7%ホルムアルデヒド中で固定し、図1に示すように核染色を行った。
実験は、20℃、25μl/分の流速で行った。0.025%Tweenを添加したPBSをランニングバッファーとして用いた。種々の濃度のレクチン(con AおよびWGA)を85秒の接触時間で細胞上へ注入し、解離を少なくとも300秒間モニタリングした。データを図2および図3に示す。反応速度の評価はソフトウェアClamp(TIBS, 1998, 23, 149)を用いて行った。
2種類のレクチン、Con AおよびWGAは、異なる構造および糖特異性を有する。本明細書にて示した実験により、いずれのレクチン共に、異なる強度および親和性にて、細胞の表面において炭水化物と相互作用を起こすことが示され、従って、MDAMB468細胞表面の複合糖質のグリカン組成に関する貴重な情報が得られる。細胞表面炭水化物とこの2種類のレクチンとの間の相互作用についての親和性定数は、Con AおよびWGAに対して、それぞれ、15nMおよび93nMであった。
実施例2b: レクチン‐細胞表面相互作用の特異性
レクチン‐細胞表面炭水化物相互作用の特異性をさらに確認するために、GalNAc結合レクチンを、異なる濃度にて、それぞれの表面に異なるグリコトープを露出している2つの異なる細胞株、SW480およびHT29と相互作用させた。レクチンは、6.25μg/mlから200μg/mlの範囲の濃度にてランニングバッファー中で調製し、続いて、それぞれのセンサー表面のSW480およびHT29細胞上へ注入した。レクチンは85秒間注入し、その後200秒間解離させた。図10に示すように、SW480細胞では僅かな結合しか検出されなかったが、HT29細胞との結合は、濃度依存的であり、著しくより大きいものであった。
実施例3: Attana Cell 200測定器での細胞抗体相互作用
A‐431細胞株は、ヒト上皮接着細胞株(表皮癌)であり、EGFR受容体を過剰発現する。
UV処理したポリスチレンQCM水晶上に固定し、DAPIで染色したA‐431細胞を図4に示す。
水晶は、10mM グリシン、500mM NaCl、pH1により、室温にて20分間前処理し、チップホルダーに取り付ける前にPBS‐Tで洗浄した。水晶を20℃、流速40μl/分にて、PBS‐T(0.025% Tween)で一晩安定化させた。抗体注入の間、流速は25μl/分に低下させた。
抗体: PBS中、2mg/mlの抗EGFR sc101(サンタクルーズ(Santa Cruz))。3つの異なる抗体濃度、25、12.5、および6μg/mlについて試験を行った。
分析結果を図5に示す。抗EGFRと細胞表面EGFR受容体との間の相互作用に対する反応速度および親和性定数(Kd=1.2nM)を測定した。
実施例4: Attana Cell 200測定器での細胞‐レクチン相互作用 −
細胞の固定による感度の向上
A‐431細胞(ヒト上皮癌細胞株)を、UV処理したPS水晶上に播種し、24時間後に3.7%ホルムアルデヒドで固定した。実験は、0.025% Tweenを添加したPBS中、20℃、25μl/分の流速で行った。レクチン、WGAおよびCon Aを、50μg/mlの濃度、85秒の接触時間で細胞上へ注入し、解離を215秒間モニタリングした。細胞がないこと以外は同様に処理、調製したUV処理PS水晶から成るコントロール水晶を実験に含め、非レクチン‐細胞相互作用の寄与を評価した。種々のその他のレクチンによるスクリーニング実験を同じ条件下で行い、Con AおよびWGAの相互作用の特異性を調べた(図6a、A‐431細胞の存在下、および図6b、細胞の非存在下)。
WGA(>800Hz)のA‐431細胞表面に対する高い結合応答(図7a)は、同一、もしくはより高い表面密度である関連する炭水化物を持つ二次元表面の予想される応答と比較して、応答の著しい増加を示している。二次元表面上で達成することができる予想される最大応答は、WGAの分子量が35000Daの場合、100Hzの範囲となるはずであり、それは、表面上での分子充填密度に実質上の限界があるからである。感度のおよそ8倍の上昇は、表面に固定した固定化細胞によってもたらされる表面の向上によって説明することができる。細胞が10μmの範囲の厚さを有し、QCMセンサーの減衰長が通常数百nmの範囲であるため、固定によってもたらされる細胞の剛直化(rigidification)がなければ、表面の向上に起因する感度の改善には限界があるはずである。結果として、得られたデータにより、表面への細胞の添加およびその固定によって、センサーの感度および動作範囲を改善することができることが示される。図7bでは、A‐431およびコントロールの水晶周波数シフトを、Con AおよびWGAの結合について直接比較している。
実施例5:表面および固定方法
A‐431細胞を、金またはポリスチレン(PS)表面に固定化した。固定化細胞を、続いて、2つの異なる手法に従って固定した。固定法は、一般的に、タンパク質間の共有結合の形成に基づく添加固定(additive fixation)、および種々の細胞成分の脱水から
成る変性固定(denaturing fixation)に分けられる。本実験では、これらの2つの原理
の各々に基づく固定方法について試験した。核染色細胞の顕微鏡法による評価を実施し、固定化の度合いを評価した。
試験した4つの条件は以下の通りである:
‐ ポリスチレン上に固定化し、ホルムアルデヒド+メタノールで固定したA‐431(PSFM)
‐ ポリスチレン上に固定化し、ホルムアルデヒドで固定したA‐431(PSF)
‐ 金上に固定化し、ホルムアルデヒド+メタノールで固定したA‐431(GoldFM)
‐ 金上に固定化し、ホルムアルデヒドで固定したA‐431(GoldF)
レクチンCon AのA‐431への結合を用いて、既述のポリスチレン表面に加え、金表面についても、哺乳類細胞の代替ホストとしての評価を行った。また、ホルムアルデヒドおよびメタノールを用いた変性固定法を、既述のホルムアルデヒドに基づく添加固定法と比較することも行った。
図8および図9より、最も高いシグナルが変性固定で得られたPSが、細胞付着についてより良い基材であることは明らかに思われるが;しかし、金表面も、代替基材として用いることができる。同様に、両固定手法共に用いることができるが、この特定の実施例の場合、変性固定が有利であると思われる。
固定法ならびに表面タイプの最適な選択は、研究されるシステムに依存する。これらの実施例より、添加固定および変性固定の両方法だけでなく、金またはポリスチレンのいずれかの表面も、Attana Cell 200測定器を用いた高品質測定に適合する条件であることが示される。
前述の実施例は、本発明の具体的な態様を説明することを意図するものであり、その範囲を限定することを意図せず、その範囲とは、添付の請求項で定められる。本明細書で引用したすべての文書は、その全体が参照することで本明細書に組み入れられる。

Claims (30)

  1. 質量応答化学センサーであって、前記化学センサーは、その検出表面に不活性化細胞が接着しており、分析物リガンドと、接着した不活性細胞との間の相互作用を、分析物リガンドの前記細胞への結合に起因する前記センサー表面の質量変化によって検出するのに適しており、前記センサーは、フローセルを備えるか、またはその一部分を形成しており、前記細胞の不活性化に起因して、前記細胞の通常の生化学が実質的に停止されており、前記細胞がそれ以上成長する能力を実質的に持たない、質量応答化学センサー。
  2. 前記細胞が固定されている、請求項1に記載の質量応答化学センサー。
  3. 前記細胞が真核細胞である、請求項1または2に記載のセンサー。
  4. 前記検出表面が、細胞固定化の前に、10から90°の、高純度水を用いて測定される接触角を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のセンサー。
  5. 前記検出表面が、細胞固定化の前に、20から80°の、高純度水を用いて測定される接触角を有する、請求項4に記載のセンサー。
  6. 前記検出表面が、細胞固定化の前に、30から70°の、高純度水を用いて測定される接触角を有する、請求項5に記載のセンサー。
  7. 前記検出表面が、ポリマーコーティングを備え、前記細胞が、それに接着している、請求項1から6のいずれか一項に記載のセンサー。
  8. 前記ポリマーコーティングが、ポリスチレンを含む、請求項7に記載のセンサー。
  9. 前記ポリマーコーティングが、プラズマ照射または電磁放射を用いた処理によって修飾される、請求項8に記載のセンサー。
  10. 前記センサーが、水晶振動子マイクロバランスなどの音響波デバイスである、請求項1から9のいずれか一項に記載のセンサー。
  11. 分析物リガンドと細胞との間の相互作用を検出する方法であって、請求項1から10のいずれか一項に記載の質量応答化学センサーを提供する工程;分析物リガンドと細胞との間の相互作用が可能となるように前記検出表面の近接部に前記分析物リガンドを導入する工程;および、相互作用が存在する場合、前記検出表面における質量の変化によって前記相互作用を検出する工程、を含む方法。
  12. 前記分析物リガンドが、以前に前記検出表面と接触させたことのあるランニングバッファー溶液を用いて希釈される、請求項11に記載の方法。
  13. 分析物リガンドと細胞との間の前記結合相互作用が、1つの特定の濃度の分析物リガンドで検出されるか、または複数の異なる濃度の分析物リガンドで検出される、請求項11または12に記載の方法。
  14. 分析物リガンドと細胞との間の前記結合相互作用に対する反応速度パラメータの測定が、分析物リガンドの1つの特定の濃度で収集されるデータか、または分析物リガンドの複数の異なる濃度で収集されるデータを用いて行われる、請求項13に記載の方法。
  15. 分析物リガンドと、センサー表面上またはその近傍に固定化された細胞との間の結合相互作用を分析するための質量応答化学センサーの使用であって、前記細胞が不活性であり、前記細胞の通常の生化学が実質的に停止されており、前記細胞がそれ以上成長する能力を実質的に持たない、使用。
  16. 前記細胞が固定されている、請求項15に記載の使用。
  17. 水晶振動子マイクロバランスなどの音響波デバイスを含み、そのセンサー表面の上または近傍に細胞が固定化された質量応答化学センサーの感度および/または検出範囲を改善する方法であって、前記方法は、架橋ポリマーマトリックス内に前記細胞を固定するか、または包埋する工程を含み、前記細胞は不活性であり、前記細胞の通常の生化学が実質的に停止されており、前記細胞がそれ以上成長する能力を実質的に持たず、前記センサーは、フローセルを備えているか、またはその一部分を形成する、方法。
  18. 分析物リガンドと固定化細胞との間の相互作用を検出する能力を有する質量応答化学センサーを作製する方法であって、細胞を含有する懸濁液をセンサー素子の検出表面と接触させる工程;前記細胞を前記検出表面に接着させ、および検出表面の上で成長させる場合もある工程;適切な時間の後、前記接着細胞を不活性化させる処理を行う工程であって、前記細胞の通常の生化学が実質的に停止されており、前記細胞がそれ以上成長する能力を実質的に持たない、工程;ならびに、前記センサーがフローセルを備えるかまたはその一部分を形成するように、前記センサーをフローセルへ一体化させる工程、を含む方法。
  19. 前記細胞が真核細胞である、請求項18に記載の方法。
  20. 前記検出表面が、細胞固定化の前に、10から90°の、高純度水を用いて測定される接触角を有する、請求項18または19に記載の方法。
  21. 前記検出表面が、細胞固定化の前に、20から80°の、高純度水を用いて測定される接触角を有する、請求項20に記載の方法。
  22. 前記検出表面が、細胞固定化の前に、30から70°の、高純度水を用いて測定される接触角を有する、請求項21に記載の方法。
  23. 前記検出表面が、前記細胞含有懸濁液と接触させるポリマーコーティングを備える、請求項18から22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記ポリマーコーティングが、ポリスチレンを含む、請求項23に記載の方法。
  25. 前記ポリマーコーティングが、プラズマ照射または電磁放射を用いた処理によって修飾される、請求項24に記載の方法。
  26. 前記ポリマーコーティングが、ポリマー溶液を用いた前記センサー素子のスピンコーティングで作製される、請求項23から25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記接着細胞の前記不活性化が、前記細胞の低温での維持、急速冷凍、もしくは減圧下での熱処理などの物理的手段、またはトキシン処理もしくは化学的架橋などの化学的手段によって行われる、請求項18から26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記接着細胞の前記不活性化が、前記細胞の固定によって行われる、請求項18から27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 不活性化に続いて、前記検出表面が酸性溶液で処理され、非接着細胞物質および非細胞物質が除去される、請求項18から28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記センサーが、水晶振動子マイクロバランスなどの音響波デバイスである、請求項18から29のいずれか一項に記載の方法。
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