JP2004305095A - 細胞活性化検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】細胞の活性化を高感度に測定する方法を提供する。
【解決手段】質量の変化を検出する測定チップに細胞を固定し、その細胞にエンドトキシンなどの刺激物質を与えるとともに、刺激物質により細胞内に生産される高分子物質が細胞外に遊出することを阻害する物質である抑制物質を与えて培養を行なう。従来は、抑制物質を与えずに測定が行なわれたために、活性化の最初の段階しか観察することができなかったが、本発明では、長時間に亘り観察することが可能となる。また、緩慢に進む活性化も観察することが可能となり、また、応用範囲が広い。
【選択図】 図8
【解決手段】質量の変化を検出する測定チップに細胞を固定し、その細胞にエンドトキシンなどの刺激物質を与えるとともに、刺激物質により細胞内に生産される高分子物質が細胞外に遊出することを阻害する物質である抑制物質を与えて培養を行なう。従来は、抑制物質を与えずに測定が行なわれたために、活性化の最初の段階しか観察することができなかったが、本発明では、長時間に亘り観察することが可能となる。また、緩慢に進む活性化も観察することが可能となり、また、応用範囲が広い。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、刺激物質に対する細胞の活性化の検出方法、受容体に関する塩基多型解析のスクリーニング方法、並びに、細胞の物質輸送系を阻害する薬剤、刺激物質の細胞への結合を阻害する薬剤及び刺激物質の結合による細胞の活性化を阻害する薬剤の検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
細胞の活性化は、リガンドの細胞の受容体への結合の後に、蛋白のリン酸化を含む細胞内情報伝達系の活性化で蛋白合成や核酸合成が開始されることにより、開始される。
【0003】
図1は、細胞の受容体、リガンド及び細胞内情報伝達物質の関係を示す。脂質二重層でできた細胞膜により細胞の内と外とが区切られ、その細胞膜を貫通するように受容体101がある。受容体101の細胞外の部分にリガンド102が結合すると、細胞の内部の細胞内情報伝達物質103が活性化し、細胞全体が活性化する。
【0004】
細胞の活性化により、その細胞がリンパ球であれば、一般に一日以内に分裂が起こり、その細胞が例えばマクロファージであれば、蛋白合成が開始され、サイトカインなどの生体内高分子の合成が数十分から数時間内に起こる。その結果、粗面小胞体、ゴルジ装置などによる細胞の物質輸送系を経て細胞外へ、合成された生体内高分子が放出される。
【0005】
図3は細胞の物質輸送系の一例を示す。積層した構造のゴルジ装置301により、輸送される物質を含む小胞体302が生成され、それが、細胞膜303へ移動し、物質が細胞外へ放出される。
【0006】
従来、細胞外へ産出されたサイトカインなどは、その培養上清に対して酵素標識抗体法(ELISA)で測定される。また、細胞の培養を行ない同時にエリスポット法、フロサイトメーター法、RT―PCR法などによっても測定されている。リンパ球の反応性は、免疫応答機能の検査法として重要であり、その反応性の検査法としては、植物凝集素(レクチン)を加え、その増殖能により求める方法が知られている。この方法は、放射能標識した塩基(トリチウムチミジン)を培養液に加えて、DNAに取り込まれた放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定する方法である。
【0007】
また、近年、分子間相互作用解析装置(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)が開発されてきている。この分子間相互作用解析装置は、測定チップに固定された物質の質量の変化、例えば、測定チップに固定された物質が他の物質と結合することによる質量の変化、を検出するものである。
【0008】
この分子間相互作用解析装置の測定原理としては、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance=SPR)によるもの、圧電効果を用いた水晶発振子法によるもの、が知られている。
【0009】
表面プラズモン共鳴によるものは、測定チップにおいて物質が固定されていない側の金薄膜に光を全反射するように当てると、反射光の一部に、反射光強度が低下した部分(光の暗い部分)が観察されることを利用している。この反射光強度が低下した部分が、SPRシグナルの発生を示している。この部分の角度は測定チップに固定した物質の質量に依存することが知られている。質量の増加が起こると、光の暗い部分が移動する。1平方ミリメートルあたり1ナノグラムの質量の増加が起こると、0.1度移動することが知られており、逆に質量が減少すると、逆方向に移動する。これにより質量変化をリアルタイムで知ることができる。
【0010】
また、圧電効果とは、ある種の結晶では、機械的なひずみをかけると結晶内に分極が生じる現象である。逆に結晶に電極を取り付けて電圧を加えると、結晶にひずみが生じる。このような現象は、例えば、水晶、電気石、ロッシェル塩などの結晶に見られる。その中でも、水晶は、圧電特性、化学的性質、熱的安定性に優れている。圧電効果により、水晶板に電極を取り付け、電圧を加えてひずみを生じさせた後に電圧をかけることをやめると、水晶板は振動を生じて元に戻る現象が起こる。このときの印加電圧を交流電場として振動方向の共振周波数に同期させると、水晶板は発振子としてその固有振動数で共振振動する。このとき、水晶発振子の電極上に物質が付着すると、その物質が水晶のように剛直でその付着が均一であるときには、水晶板の厚みが増加したことに対応し、力学系として振り子において弦の長さが長くなる変化に等しく、振り子の振動はゆっくりしたものになる。これと同様に、水晶発振子の電極上への物質の付着は振動数の変位を引き起こす。振動数の変位と付着物質の質量との関係は、Sauerbrey式と呼ばれる式で表されることが知られている。すなわち、電極上での質量変化は振動数変化と比例関係にあることが知られている。これにより、基本振動数が27MHzの水晶発振子においては、電極1平方センチメートルあたりに0.62ナノグラムの物質が付着すると1Hz振動数が減少することになる。このような原理に基づいて質量の変化を測定する方法が水晶発振子法である。
【0011】
このような測定原理に基づく分子間相互作用解析装置の測定チップに細胞を固定し、質量の変化を測定することが可能となってきている。
【0012】
【非特許文献1】
永田和宏、半田宏、「生体物質相互作用のリアルタイム解析実験法―BIACOREを中心に」、スプリンガーフェアラーク東京、1998
【非特許文献2】
実川友史、岡畑恵雄、「水晶発振子バイオセンサーによる水溶液中の生体物質の測定=装置開発とバイオ分野への応用=」、超音波TECHNO、日本工業出版、第13巻、第5号、p.12−16、2001
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、サイトカインを培養上清から測定する方法などでは、細胞の活性化をリアルタイムで観察できないという課題がある。
【0013】
また、分子間相互作用解析装置を用いて細胞を活性化するリガンドを結合させて質量変化を測定する方法はほとんど確立しておらず、また、以下の課題がある。
【0014】
すなわち、図2に例示されるように測定チップ200に細胞201を固定し、リガンドを結合させたとしても、その結果、細胞202で生産されるサイトカインは細胞の物質輸送系により、細胞外へ排出される。そのため、質量変化を測定しても図4に例示されるように、最初は質量が増加するが、ある時間からは質量が減少してしまう(なお、図4において、点線は、照査標準のために細胞が固定されていない測定チップ、または刺激物質が添加されていない培地に設置された測定チップ、の質量変化を示す)。
【0015】
したがって、従来の技術で細胞活性化を測定するには、活性化が始まる最初の部分しか測定することができないという課題がある。また、活性化が緩慢に進む場合にも測定することができないという課題がある。
【0016】
また、遺伝子の一塩基多型などの変異や欠損により、受容体に異常が起きていたり、細胞内情報伝達系に異常が起きていたりする場合がある。このような場合には、リガンドが受容体に結合することができず、あるいは、リガンドが受容体に結合した後に情報が伝達されないために、最終的にサイトカインが産出されず、感染症などの病態が健常者と異なると考えられる。しかしながら、遺伝子の塩基多型を検査する方法は、それぞれの蛋白遺伝子の解析が必要となるが、信号蛋白は現在のところ完全に解明されておらず、したがって、解析を行なうのは、現状では不可能であるという課題がある。
【0017】
また、ある薬剤が、(A)細胞の物質輸送系を阻害するかどうか、(B)リガンドが受容体へ結合するのを阻害するかどうか、(C)細胞の活性化を抑制するかどうか、を知ることは、従来の技術では手間のかかる作業が必要とされている。
【0018】
本発明は、以上に挙げた課題を解決するための細胞活性化検出方法、塩基多型解析スクリーニング方法、細胞物質輸送系阻害薬剤検出方法、刺激物質細胞結合阻害薬剤検出方法、刺激物質細胞活性化阻害薬剤検出方法として考案されたものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明では、細胞を活性化する際に、細胞の物質輸送系を阻害する物質を含む培地にて細胞を培養することとする。
【0020】
これにより、細胞の活性化により産出されたサイトカインなどは、細胞内に閉じ込められるので、細胞の活性化の様子を従来よりも長時間観察することができる。また、活性化が緩慢に進む場合も観察が可能となる。
【0021】
また、遺伝子の一塩基多型などや欠損により、受容体に異常が起きていたり、細胞内情報伝達系に異常が起きていたりする場合には、細胞の活性化が起こらず、細胞の質量の増加が観察されないので、遺伝子解析よりも少ない手間でスクリーニングを行なうことができる。
【0022】
また、細胞の質量の増加があるかどうかを判定することにより、培地に加えた薬剤が、細胞の物質輸送系を阻害するかどうか、刺激物質の細胞への結合を阻害するかどうか、刺激物質が細胞へ結合した後の細胞の活性化を阻害するかどうか、を判定することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。なお、本発明は、これら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【0024】
(実施形態1(主に請求項1ないし12に対応する))
本発明の実施形態1においては、細胞活性化検出方法が説明される。
【0025】
(実施形態1:概要)
図5は、本実施形態の概要を説明する。まず、分子間相互作用解析装置により質量を測定するための測定チップ200に、細胞201を固定する。そして、細胞201を培地にて培養する。次に、(1)培地に細胞201を刺激する物質を添加し、その後、(2)細胞の物質輸送系を抑制する物質(例えば、ブレフェルジンAまたは/およびモネンシン)を添加し、質量の変化を測定する。細胞の物質輸送系を抑制する物質を加えることにより、始めは質量が増加するが、その後、減少に転ずること、を防止することができる。なお、「ブレフェルジンAまたは/およびモネンシン」は、細胞内物質の分泌を抑制する物質の一例であり、本発明は、ブレフェルジンAまたは/およびモネンシンを使用することに限定されることはない。
【0026】
なお、培地に細胞201を刺激する物質を添加することが先で、細胞の物質輸送系を抑制する物質を添加することが後であるという順序は本質的なものではなく、逆になっていてもよい。あるいは、同時に添加するようになっていてもよい。
【0027】
図11は、本実施形態の概要を説明する別の図である。本実施形態では、図11(A)に例示されるように、抑制物質を含む培地である測定培地に細胞を固定した測定チップを設置し、一方、細胞が固定されていない測定チップを培地に設置し、刺激物質を少なくとも測定培地に添加し、それぞれの測定チップより細胞質量情報と照査標準質量情報を取得し、細胞の活性化を検出し、測定を行なう。
【0028】
また、図11(B)に例示されるように、測定培地ではない培地に設置される測定チップにも細胞を固定しておき、測定培地にだけ刺激物質を添加し、それぞれの測定チップより細胞質量情報と照査標準質量情報とを取得してもよい。
【0029】
(実施形態1:構成)
本実施形態に係る細胞活性化検出方法は、(a)細胞取得ステップと、(b)固定ステップと、(c)培養ステップと、(d)照査標準測定チップ設置ステップと、(e)刺激物質添加ステップと、(f)細胞質量情報取得ステップと、(g)照査標準質量情報取得ステップと、(h)質量情報比較ステップと、を含む。
【0030】
(細胞取得ステップ)
「細胞取得ステップ」は、生体から細胞を取得するステップである。生体としては、ヒト、あるいは、その他の動物がある。
【0031】
生体から細胞を取得する方法には種々のものがある。例えば、血液から細胞を取得する方法がある。生体から採取した血液の遠心分離を行ない、適切な画分より赤血球や白血球などを採取する。なお、白血球とは、無色で核を持った血球の総称であり、その中には、好中球や好酸球や好塩基球などの顆粒球、T細胞やB細胞やNK細胞などのリンパ球、さらに、組織移行でマクロファージに変化する単球、などがある。なお、本発明においては、細胞は、血液から取得できるものに限られることはなく、あらゆる細胞について適用可能である。
【0032】
(固定ステップ)
「固定ステップ」は、細胞取得ステップで取得された細胞を、質量に関する情報を取得するための測定チップに固定するステップである。一つの測定チップに固定される数は、一に限られることはない。
【0033】
なお、細胞取得ステップで取得された細胞は、採取後直ちに固定ステップにより固定される必要はない。細胞を取得して、しばらくの間、培養を行なうようになった後に測定チップに固定してもよい。例えば、少数の細胞しか取得されなかった場合などには、細胞の数を増加させるために、培養を行ない、十分な数の細胞が得られたときに、固定するようにしてもよい。
【0034】
なお、「測定チップ」には、質量に関する情報を取得するための装置によって種々のものがある。例えば、表面プラズモン共鳴を使用して、質量に関する情報を取得する場合には、ガラスの基板の表面を金薄膜によりコーティングしたものが使用される。
【0035】
なお、細胞により、測定チップに対する固着の程度が異なる。白血球は、どのような素材であっても固着しやすい傾向にあるが、リンパ球は、固着の程度が低い。そこで、細胞と測定チップの間に適切なスペーサを用いて細胞を固定してもよい。この場合のスペーサとしては、例えば、ポリ―L―リジンがある。測定チップにポリ―L―リジンを塗布しておき、そこに、細胞を載せることにより固定する。
【0036】
(培養ステップ)
「培養ステップ」は、固定ステップで測定チップに固定された細胞を、抑制物質を含む培地である測定培地にて培養するステップである。「抑制物質」とは、細胞の物質輸送系を抑制する物質である。抑制物質の代表例を挙げると、ブレフェルジンAやモネンシンがある。ブレフェルジンAは、細胞のゴルジ装置の機能を抑制する効果があることが知られている。モネンシンは、ゴルジ装置から細胞外への物質の輸送を阻害する効果があることが知られている。抑制物質として、ブレフェルジンAまたはモネンシンの一方のみを使用してもよいし、適度な割合で混合したものを使用してもよい。また、ブレフェルジンAやモネンシンに限定されることなく、一般に抑制物質は、単独で使用したり、複数の抑制物質を混合して使用したりしてもよい。
【0037】
「培地にて培養する」とは、細胞をその生存に適した環境で育てることである。このような環境を維持するために、例えば、HEPES緩衝液を用い、PHを7.4に維持するようにしてもよい。また、5%炭酸ガス、95%空気などの雰囲気で維持した通常の細胞培養の環境でもよい。
【0038】
なお、測定培地には、最初から抑制物質が含まれている必要はない。細胞の培養を開始し、安定したとき(例えば、質量変化が所定の値より小さくなったとき)に抑制物質を培地に添加するようにしてもよい。あるいは、以下で説明する刺激物質を培地に添加してから、抑制物質を培地に添加するようにしてもよい。
【0039】
(照査標準測定チップ設置ステップ)
「照査標準測定チップ測定ステップ」は、照査標準となる測定チップである照査標準測定チップを培地に設置する。この照査標準測定チップは、次の刺激物質添加ステップにより刺激物質が添加されない場合の質量の情報を取得するために用いられる。(通常は、「照査標準」は「コントロール」と呼ばれる。)なお、照査標準測定チップとしては、固定ステップにて、細胞が固定された別の測定チップを用いてもよい。また、細胞が固定されていないものを用いてもよい。細胞が固定されていない測定チップを用いる場合には、照査標準測定チップを測定培地に設置してもよい。また、照査標準測定チップに細胞が固定されている/いないにかかわらず、照査標準測定チップ設置ステップは、培養ステップと同時刻に行なわれるのが好ましい。
【0040】
(刺激物質添加ステップ)
「刺激物質添加ステップ」は、測定培地に、細胞に対する刺激物質を添加するステップである。
【0041】
刺激物質としては、種々のものがある。例えば、細胞のトール受容体を介して細胞を活性化させる微生物由来の刺激物質がある。より具体的には、エンドトキシン、ペプチドグリカン、蛋白、リポ蛋白、二重鎖RNA、CpGDNAなどがある。
【0042】
なお、特にエンドトキシンは、極微量(1ミリリットルあたり数ピコグラムならナノグラムのオーダー量)であっても白血球を活性化するので、細胞を培養する培地を作るには細心の注意が必要である。例えば、培地の容器にエンドトキシンが付着して、刺激物質添加ステップで刺激物質が添加される経路以外でエンドトキシンが混入しないようにする必要がある。そこで、容器としては、いわゆるエンドトキシンフリーのものを使用する。例えば、プラスチック製の器具であれば、ガンマ線滅菌をしたものを使用し、ガラス製の器具であれば、摂氏250度で2時間加熱したものを使用する。
【0043】
(細胞質量情報取得ステップ)
「細胞質量情報取得ステップ」は、固定ステップにて細胞が固定された測定チップの質量に関する情報である細胞質量情報を取得する。
【0044】
細胞質量情報を取得する方法としては、従来の技術の項で説明した表面プラズモン共鳴を利用した表面プラズモン共鳴装置を用いてもよい。この場合、測定されるのは、測定チップの表面に存在する物質の質量の絶対値ではなく、質量の変化となる。
【0045】
また、細胞質量情報を取得する別の方法としては、従来の技術の項で説明した圧電効果を利用した水晶発振子法であってもよい。この場合も、測定されるのは、測定チップの表面に存在する物質の質量の絶対値ではなく、質量の変化となる。
【0046】
当然、細胞質量情報を取得する方法により、固定ステップと照査標準測定チップ設置ステップで使用される測定チップの種類が決まる。
【0047】
また、細胞質量情報取得ステップは、測定チップに固定された細胞の種類、刺激物質の種類、などにより、細胞内に発するサイトカイン、リンホトキシン、インターロイキン、インターフェロンのいずれか一または組み合わせの高分子有機体に依存する質量に関する情報を取得することになる。
【0048】
(照査標準質量情報取得ステップ)
「照査標準質量情報取得ステップ」は、照査標準測定チップの質量情報である照査標準質量情報を取得するステップである。
【0049】
細胞質量情報取得ステップと照査標準質量情報取得ステップとは、同時あるいは、時間的に隣接して行なわれるのが望ましい。また、一回だけでなく、複数回行なわれてもよい。
【0050】
(質量情報比較ステップ)
「質量情報比較ステップ」は、細胞質量情報と照査標準質量情報とを比較する。例えば、細胞質量情報から照査標準質量情報を差し引き、照査標準質量情報を基準した質量情報を取得するようにしてもよい。
【0051】
(実施形態1:処理の流れ)
図6は、本実施形態における処理の流れを説明するフローチャートを例示する。
【0052】
ステップS601において、生体から細胞を取得する(細胞取得ステップ)。ステップS602において、細胞を測定値チップに固定する(固定ステップ)。ステップS603において、抑制物質を含む測定培地で細胞を培養する(培養ステップ)。ステップS604において、照査標準測定チップを培地に設置する(照査標準測定チップ設置ステップ)。ステップS605において、培地に刺激物質を添加する(刺激物質添加ステップ)。ステップS606において、細胞が固定された測定チップの質量情報を取得する(細胞質量情報取得ステップ)。ステップS607において、照査標準測定チップの質量情報を取得する(照査標準質量情報取得ステップ)。ステップS608において、質量情報を比較する(質量情報比較ステップ)。
【0053】
(実施形態1:別の処理の流れ)
なお、本実施形態における処理の流れを示すフローチャートは、図6に例示されたフローチャートに限定されることはない。上で説明したように、抑制物質がない培地で、細胞の培養を行ない、安定したときに、抑制物質を測定培地に添加してもよい。また、刺激物質を添加した後に抑制物質を添加するようにしてもよい。
【0054】
図7は、測定培地にまず刺激物質を添加し、その後、抑制物質を添加する場合のフローチャートを例示する。なお、抑制物質は、測定培地のみに添加してもよいし、測定培地と、照査標準測定チップの設置された培地と、の両方に添加してもよい。
【0055】
ステップS701において、生体から細胞を取得する(細胞取得ステップ)。ステップS702において、細胞を測定チップに固定する(固定ステップ)。ステップS703において、測定培地で細胞を培養する(培養ステップの一部)。ステップS704において、照査標準測定チップを培地に設置する(照査標準測定チップ設置ステップ)。ステップS705において、測定培地に刺激物質を添加する(刺激物質添加ステップ)。ステップS706において、抑制物質を培地に添加する(培養ステップの一部)。ステップS707において、細胞が固定された測定チップの質量情報を取得する(細胞質量情報取得ステップ)。ステップS708において、照査標準測定チップの質量情報を取得する(照査標準質量情報取得ステップ)。ステップS709において、質量情報を比較する(質量情報比較ステップ)。
【0056】
(実施形態1:取得される質量情報の例)
図8は、細胞質量情報取得ステップと照査標準質量情報取得ステップとで得られる質量情報を時間の経過に従ってプロットしたグラフを例示する。実線が細胞質量情報取得ステップで取得された細胞質量情報であり、破線が照査標準質量情報取得ステップで取得された照査標準質量情報である。
【0057】
表面プラズモン共鳴装置や水晶発振子法を用いて質量情報を取得する場合には、質量の絶対値ではなく、質量の変化が取得されるので、質量情報を最初に取得したときからの質量の変化がプロットされることになる。
【0058】
したがって、実線と破線の差が、細胞の活性化により細胞内で産出された物質の質量となる。
【0059】
(実施形態1:主な効果)
本実施形態によれば、細胞の活性化により細胞内に生産された物質を細胞内に閉じ込めることができるので、活性化物質などによって起こる細胞の活性化を容易に検出することができ、細胞の反応性の検索などを容易に調べることができる。また、従来よりも長時間に亘って活性化の様子を、質量変化を通して観察することができる。また、質量変化のグラフより、刺激物質の量、あるいは、濃度、また、刺激物質が細胞を活性化する能力を知ることもできる。さらに、細胞のアポトーシスと壊死を区別することも可能である。
【0060】
(実施形態2(主に請求項13に対応する))
本発明の実施形態2においては、塩基多型解析スクリーニング方法が説明される。「塩基多型」とは、遺伝子の塩基配列が異なるために、その遺伝子の発現が通常と異なることをいう。特に、塩基配列のうち、一箇所だけが異なる場合を一塩基多型という。
【0061】
本実施形態においては、細胞の受容体や細胞内の情報伝達系に係る遺伝子の塩基多型や遺伝子欠損などが疑われる個体を見つける方法が説明される。
【0062】
(実施形態2:概要)
本実施形態の概要は、実施形態1の細胞活性化方法とほぼ同じ手順を用いて、質量情報を取得して、細胞の活性化が起きたかどうかを判断する。もし、刺激物質を培地に添加しても細胞の活性化が起きなければ、細胞の受容体や情報伝達系に異常があるとする。その後、例えば、遺伝子の解析を詳しく行なうなどして、どこに塩基多型があるのかを解析する。
【0063】
図12は、本実施形態の概要を説明する図である。本実施形態では、図12(A)に例示されるように、抑制物質を含む培地である測定培地に、細胞を固定した測定チップを設置し、一方、細胞の固定されていない測定チップを培地に設置する。少なくとも測定培地に刺激物質を添加し、それぞれの測定チップより細胞質量情報と照査標準質量情報とを取得し、有意な差(有意な変化)が有るかどうかを判断する。もし、有意な差が有れば、測定培地に設置された測定チップに固定された細胞は正常と判定する。
【0064】
また、図12(B)に例示されるように、測定培地ではない培地に設置される測定チップに正常細胞を固定し、刺激物質を添加して、細胞質量情報と照査標準質量情報とを取得し、有意な差が有るかどうかを判断する。もし、有意な差が有れば、測定培地に設置された測定チップに固定された細胞は異常と判定する。
【0065】
(実施形態2:構成)
本実施形態の塩基多型解析スクリーニング方法は、(a)細胞取得ステップと、(b)固定ステップと、(c)培養ステップと、(d)照査標準測定チップ設置ステップと、(e)刺激物質添加ステップと、(f)細胞質量情報取得ステップと、(g)照査標準質量情報取得ステップと、(h)判定ステップと、を含む。
【0066】
(a)から(g)までのステップは、実施形態1と同じである。ただし、最後の判定ステップだけが異なる。また、培養ステップで使用する抑制物質と、刺激物質添加ステップで使用する刺激物質とは、それぞれ、抑制物質、刺激物質としての効果を発揮するものとして知られているものを使用する。例えば、ブレフェルジンAまたは/およびモネンシンと、エンドトキシンと、などを使用する。刺激物質は、調べたい受容体や情報伝達系に関係のあるものを使用する。また、照査標準測定チップとして、細胞が固定されたものを使用する場合には、塩基多型の無いことが確かめられている個体からの細胞を照査標準測定チップに固定し、刺激物質添加ステップでは照査標準測定チップの設置された培地にも刺激物質を添加する。
【0067】
「判定ステップ」は、細胞質量情報と照査標準質量情報との間に、有意な変化が検出されるかどうか判定するステップである。例えば、所定の閾値を定めておき、細胞質量情報で示される質量変化が照査標準質量情報で示される質量変化よりも、その閾値以上大きくなれば、有意な変化が検出されたとする。
【0068】
(実施形態2:処理の流れ)
図9は、本実施形態における処理の流れを説明するフローチャートを例示する。なお、このフローチャートでは、照査標準測定チップには、塩基多型の無いことが確かめられている細胞(正常細胞)が固定されるとし、刺激物添加ステップにおいては、測定培地と照査標準測定チップの設置された培地の両方に刺激物質が添加されるとする。
【0069】
ステップS901において、生体から細胞を取得する(細胞取得ステップ)。ステップS902において、細胞を測定チップに固定する(固定ステップ)。ステップS903において、抑制物質を含む培地である測定培地にて細胞を培養する(培養ステップ)。ステップS904において、照査標準測定チップを培地に設置する(照査標準測定チップ設置ステップ)。ステップS905において、培地に刺激物質を添加する(刺激物質添加ステップ)。ステップS906において、細胞が固定された測定チップの質量情報を取得する(細胞質量情報取得ステップ)。ステップS907において、照査標準測定チップの質量情報を取得する(照査標準質量情報取得ステップ)。ステップS908において、質量情報にが有るか(検出されるかどうか(すなわち、有意な変化が検出されるかどうか)を判定する(判定ステップ)。もし、有意な差が有ると判定されれば、異常とする。そうでなければ、正常とする。異常とされた場合には、その後、細胞が採取された個体の遺伝子を解析したりする。
【0070】
なお、実施形態1におけるように、ステップS903において、培地に最初から抑制物質が含まれている必要はなく、安定した質量情報が得られてから抑制物質を添加するようにしてもよい。また、抑制物質の添加は、刺激物質の添加後であってもよい。
【0071】
(実施形態2:主な効果)
本実施形態によれば、細胞の活性化の程度を、抑制物質が含まれた培地で質量情報を取得することで行なうので、高感度に異常を検出することができ、塩基多型のスクリーニングとして好適な方法が提供される。
【0072】
(実施形態3(主に請求項14に対応する))
本発明の実施形態3においては、細胞物質輸送系阻害薬剤検出方法が説明される。「細胞物質輸送系阻害薬剤検出方法」とは、細胞の物質輸送系を阻害する薬剤を検出する方法である。
【0073】
本実施形態の細胞物質輸送系阻害薬剤検出方法は、刺激物質に対して活性化する細胞に対して刺激物質を与え、また、細胞の物質輸送系を阻害するかどうかを検出したい薬剤を与え、質量情報を取得し、質量情報により、その薬剤が細胞の物質輸送系を阻害するかどうかを判定する方法である。もし、質量情報が、質量が最初は増加するがその後減少する場合には、細胞の物質輸送系が正常に機能していると判断して、その薬剤は、細胞の物質輸送系を阻害しないと判断し、もし、質量が増加すれば、その薬剤は、細胞の物質輸送系を阻害すると判断する。
【0074】
図13は、本実施形態の概要を説明する図である。本実施形態では、図13(A)に例示されるように、細胞が固定された測定チップを測定培地に設置し、一方、細胞が固定されていない測定チップを培地に設置する。その後、少なくとも測定培地に薬剤と刺激物質を添加し、細胞質量情報と照査標準質量情報とを取得する。もし、有意な差が有れば、添加した薬剤は、細胞物質輸送系を阻害すると判定する。
【0075】
また、図13(B)に例示されるように、測定培地でない培地に設置される測定チップにも細胞を固定しておき、測定培地にだけ薬剤を添加し、両方の培地に刺激物質を添加し、その後、細胞質量情報と照査標準質量情報とを取得してもよい。
【0076】
(実施形態3:構成)
本実施形態の細胞物質輸送系阻害薬剤検出方法は、(a)細胞取得ステップと、(b)固定ステップと、(c)培養ステップと、(d)照査標準測定チップ設置ステップと、(e)薬剤添加ステップと、(f)刺激物質添加ステップと、(g)細胞質量情報取得ステップと、(h)照査標準質量情報取得ステップと、(i)判定ステップと、を含む。
【0077】
(a)細胞取得ステップと、(b)固定ステップと、(d)照査標準測定チップ設置ステップと、(g)細胞質量情報取得ステップと、(h)照査標準質量情報取得ステップと、は実施形態1または2と同じである。なお、細胞取得ステップにおいては、刺激物質に対して活性を示すことが確かめられている細胞を取得する。
【0078】
(培養ステップ)
本実施形態において、「培養ステップ」は、細胞取得ステップで取得した細胞を測定用の培地である測定培地にて培養するステップである。実施形態1または2と異なり、本実施形態では、測定培地は、抑制物質を含まない。
【0079】
(薬剤添加ステップ)
「薬剤添加ステップ」は、薬剤を測定培地に添加するステップである。ここでいう「薬剤」とは、細胞の物質輸送系を阻害するかどうかを判定したい薬剤である。なお、薬剤は、照査標準測定チップの設置された培地にも添加するようにしてもよい。
【0080】
(刺激物質添加ステップ)
「刺激物質添加ステップ」は、実施形態1と同様に、測定培地に細胞に対する刺激物質を添加する。もし、薬剤添加ステップにおいて、測定培地だけに薬剤が添加されている場合には、照査標準測定チップが設置された培地にも刺激物質を添加してもよい。すなわち、本実施形態では、少なくとも測定培地には、薬剤と刺激物質が添加される。一方、照査標準測定チップの設置された培地には、薬剤と刺激物質との添加の有/無の組み合わせが、測定培地と異なるように、薬剤と刺激物質との添加が制御される。
【0081】
(判定ステップ)
「判定ステップ」は、細胞質量情報と照査標準質量情報との間に有意な変化が検出されるかどうかにより、前記薬剤添加ステップにて培地に添加された薬剤が細胞物質輸送系阻害薬剤であるかどうかを判定するステップである。なお、「細胞質量情報」は、細胞質量情報取得ステップで取得された質量に関する情報であり、「照査標準質量情報」は、照査標準新津量情報取得ステップで取得された質量に関する情報である。また、この判定ステップは、刺激物質添加ステップまたは薬剤添加ステップから所定の時間が経過してから取得された細胞質量情報と照査標準質量情報に基づいて行なわれてもよい。
【0082】
(実施形態3:処理の流れ)
図10は、本実施形態における処理の流れを説明するフローチャートを例示する。
【0083】
ステップS1001において、生体から細胞を取得する(細胞取得ステップ)。ステップS1002において、細胞を測定チップに固定する(固定ステップ)。ステップS1003において、細胞を測定培地にて培養する(培養ステップ)。ステップS1004において、照査標準測定チップを培地に設置する(照査標準測定チップ設置ステップ)。ステップS1005において、少なくとも測定培地に薬剤を添加する(薬剤添加ステップ)。ステップS1006において、少なくとも測定培地に刺激物質を添加する(刺激物質添加ステップ)。ステップS1007において、細胞が固定された測定チップの質量情報を取得する(細胞質量情報取得ステップ)。ステップS1008において、照査標準測定チップの質量情報を取得する(照査標準質量情報取得ステップ)。ステップS1009において、質量情報に有意な差が有るかどうかを判断する。もし、有意な差が有れば、薬剤添加ステップで添加された薬剤は、細胞物質輸送系阻害薬剤である。もし、有意な差が無ければ、薬剤添加ステップで添加された薬剤は、細胞物質輸送系阻害薬剤でない。
【0084】
なお、薬剤添加ステップと、刺激物質添加ステップと、が実行される順序は図10の順序と異なっていてもよいし、同時に行なわれてもよい。
【0085】
また、細胞質量情報取得ステップと、照査標準質量情報取得ステップとは、薬剤添加ステップが行なわれてから、所定の時間経過後に行なわれたり、あるいは、刺激物質添加ステップが行なわれてから、所定の時間経過後に行なわれたりしてもよい。
【0086】
また、細胞質量情報取得ステップと、照査標準質量情報取得ステップとは、それぞれ一回だけ行なうのではなく、繰り返し実行され、その結果得られる質量情報の変化に基づいて、判定ステップが行なわれるようになっていてもよい。例えば、質量情報による質量の変化をグラフにプロットし、得られるグラフの形状から、有意な変化が検出されるかどうかを判定してもよい。
【0087】
(実施形態3:主な効果)
本実施形態によれば、活性化した細胞の質量変化を得ることにより、薬剤が、細胞の物質輸送系を阻害する薬剤であるかどうかを、容易に知ることができる。
【0088】
(実施形態4(主に請求項15に対応する))
本発明の実施形態4においては、刺激物質細胞結合阻害薬剤検出方法が説明される。すなわち、ある薬剤が、刺激物質が細胞に結合するのを阻害するかどうかを検出する方法が説明される。
【0089】
図14は、本実施形態の概要を例示する。測定培地と照査標準培地との両方に設置する測定チップに細胞を固定しておく。その後、測定培地にだけ薬剤を添加し、両方の培地に刺激物質を添加する。それぞれの測定培地より測定質量情報と照査標準質量情報とを取得し、有意な差が有るかどうかを判定する。もし、有意な差が有れば、測定培地に添加した薬剤は、刺激物質が細胞に結合するのを阻害する薬剤であると判定する。
【0090】
(実施形態4:構成)
本実施形態に係る刺激物質細胞結合阻害薬剤検出方法は、(a)細胞取得ステップと、(b)固定ステップと、(c)培養ステップと、(d)薬剤添加ステップと、(e)刺激物質添加ステップと、(f)測定質量情報取得ステップと、(g)照査標準質量情報取得ステップと、(h)判定ステップと、を含む。
【0091】
細胞取得ステップ、固定ステップ、については、実施形態1から3と同じである。ただし、次の培養ステップの段落で説明するように、固定ステップで細胞が固定される測定チップは、すくなくとも二つはある。
【0092】
(培養ステップ)
本実施形態において、「培養ステップ」とは、固定ステップで細胞が固定された測定チップを二つの培地である測定培地と照査標準培地とに設置し、細胞を培養するステップである。したがって、本実施形態では、測定培地に設置する測定チップと、照査標準培地に設置される測定チップと、の少なくとも二つの測定チップに細胞が固定されている必要がある。
【0093】
(薬剤添加ステップ)
本実施形態において、「薬剤添加ステップ」とは、測定培地に薬剤を添加する。薬剤添加ステップで添加される薬剤は、刺激物質が細胞に結合するのを阻害する物質かどうかを判定したい薬剤である。
【0094】
(刺激物質添加ステップ)
本実施形態において、「刺激物質添加ステップ」とは、測定培地と操作標準培地とに、細胞に対する刺激物質を添加する。刺激物質は、例えば、実施形態1で説明した刺激物質である。
【0095】
したがって、本実施形態において、測定培地と照査標準培地とでは、薬剤が添加されたかどうかが異なる。
【0096】
(測定質量情報取得ステップ)
「測定質量情報取得ステップ」は、測定培地に設置された測定チップの質量に関する情報である測定質量情報を取得する。測定質量情報の取得方法は、これまでの実施形態のように、例えば、表面プラズモン共鳴装置や、水晶発振子法、を用いて測定する。
【0097】
(照査標準質量情報取得ステップ)
「照査標準質量情報取得ステップ」は、照査標準培地に設置された測定チップの質量に関する情報である照査標準質量情報を取得する。照査標準質量情報も、測定質量情報の取得のように、例えば、表面プラズモン共鳴装置や、水晶発振子法、を用いる。
【0098】
なお、測定質量情報取得ステップと、照射標準質量情報取得ステップと、は必要に応じて、何回か繰り返して実行する。
【0099】
(判定ステップ)
本実施形態において、「判定ステップ」とは、測定質量情報と照査標準質量情報との間に有意な変化が検出されるかどうかにより、薬剤添加ステップにて培地に添加された薬剤が、刺激物質が細胞に結合するのを阻害する物質であるかどうかを判定する。
【0100】
すなわち、測定質量情報と照査標準質量情報とは、測定チップが設置された培地に薬剤が添加されたかどうかが異なる培地の測定チップから取得されるので、もし、質量の情報に違いが生ずるとすれば、刺激物質が細胞に結合したかどうかによる。このため、測定質量情報取得ステップと照査標準質量情報取得ステップとは、刺激物質添加ステップが行なわれた直後に実行されるのが望ましい。
【0101】
(実施形態4:主な効果)
本実施形態によれば、薬剤が、刺激物質が細胞に結合するのを阻害するかどうかを質量情報により判定することができる。これにより、エンドトキシンなどの刺激物質による症状を抑える薬剤の検索をすることができる。
【0102】
(実施形態5(主に請求項16に対応する))
本発明の実施形態5においては、刺激物質細胞活性化阻害薬剤検出方法が説明される。すなわち、ある薬剤が、刺激物質が細胞に結合した後の細胞の活性化を阻害するかどうかを検出する方法が説明される。
【0103】
図15は、本実施形態の概要を例示する。測定培地と照査標準培地との両方に設置する測定チップに細胞を固定しておく。その後、測定培地にだけ薬剤を添加し、両方の培地に抑制物質と刺激物質とを添加する。それぞれの測定培地より測定質量情報と照査標準質量情報とを取得し、有意な差が有るかどうかを判定する。もし、有意な差が有れば、測定培地に添加した薬剤は、刺激物質が細胞に結合した後に、細胞の活性化を阻害する薬剤であると判定する。
【0104】
(実施形態5:構成)
本実施形態にかかる刺激物質細胞活性化阻害薬剤検出方法は、(a)細胞取得ステップと、(b)固定ステップと、(c)培養ステップと、(d)抑制物質添加ステップと、(e)薬剤添加ステップと、(f)刺激物質添加ステップと、(g)測定質量情報取得ステップと、(h)照査標準質量情報取得ステップと、(i)判定ステップと、を含む。
【0105】
細胞取得ステップ、固定ステップについては、実施形態1から4と同じである。
【0106】
培養ステップと、薬剤添加ステップ、刺激物質添加ステップ、測定質量情報取得ステップ、照査標準質量情報取得ステップは、実施形態4と同じである。
【0107】
(抑制物質添加ステップ)
「抑制物質添加ステップ」は、測定培地と照査標準培地とに、細胞の物質輸送系を抑制する物質である抑制物質を添加するステップである。抑制物質としては、実施形態1などにおけるように、ブレフェルジンAやモネンシンなどがある。
【0108】
したがって、本実施形態においては、測定培地と照査標準培地とには、抑制物質と刺激物質とが添加されている点では同じであるが、薬剤添加ステップで薬剤が添加されているかどうかが異なることになる。
【0109】
(判定ステップ)
本実施形態において、「判定ステップ」とは、測定質量情報と照査標準質量情報との間に有意な変化が検出されるどうかにより、薬剤添加ステップにて培地に添加された薬剤が、刺激物質が細胞に結合した後に細胞を活性化するのを阻害する物質であるかどうかを判定する。例えば、測定質量情報と照査標準質量情報とに所定の値を超える違いがあるかどうかにより、判定する。より具体的な例を挙げると、以下のようになる。すなわち、測定質量情報と照査標準質量情報とが示す質量の変化をグラフにプロットした場合、刺激物質が添加された直後は同じ変化を示していたが、その後、測定質量情報はあまり変化がなく、一方、照査標準質量情報が所定の変化量以上の変化を示していれば、測定培地で培養されている細胞は活性化していないが、照査標準培地で培養されている細胞は活性化していると判断される。これにより、薬剤添加ステップにて添加された薬剤は、細胞の活性化を阻害する物質であることが判定される。
【0110】
(実施形態5:主な効果)
本実施形態によれば、薬剤が、刺激物質が細胞に結合した後に細胞の活性化を阻害するかどうかを判定することができる。これにより、エンドトキシンなどの刺激物質による症状を抑える薬剤の検索をすることができる。
【0111】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、第一に、細胞の活性化の様子を従来よりも長時間観察することができる。また、緩慢に進む活性化であっても観察することができる。
【0112】
第二に、細胞の受容体や情報伝達系の異常をもたらす一塩基多型などや遺伝子欠損のスクリーニングを行なうことができる。
【0113】
第三に、薬剤が細胞の物質輸送系を阻害するかどうかを判定することができる。
【0114】
第四に、薬剤が刺激物質の細胞への結合を阻害するかどうかを判定することができる。
【0115】
第五に、薬剤が刺激物質の細胞への結合の後に細胞の活性化を阻害するかどうかを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】細胞の受容体、リガンド及び細胞内情報伝達物質の関係を示す図
【図2】従来の細胞活性化の測定の一例図
【図3】細胞の物質輸送系の一例図
【図4】従来の細胞活性化の測定結果の一例図
【図5】本発明の細胞活性化の測定の一例図
【図6】実施形態1のフローチャート
【図7】実施形態1の別のフローチャート
【図8】本発明における細胞活性化の測定結果の一例図
【図9】実施形態2のフローチャート
【図10】実施形態3のフローチャート
【図11】実施形態1の概要を示す図
【図12】実施形態2の概要を示す図
【図13】実施形態3の概要を示す図
【図14】実施形態4の概要を示す図
【図15】実施形態5の概要を示す図
【発明の属する技術分野】
本発明は、刺激物質に対する細胞の活性化の検出方法、受容体に関する塩基多型解析のスクリーニング方法、並びに、細胞の物質輸送系を阻害する薬剤、刺激物質の細胞への結合を阻害する薬剤及び刺激物質の結合による細胞の活性化を阻害する薬剤の検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
細胞の活性化は、リガンドの細胞の受容体への結合の後に、蛋白のリン酸化を含む細胞内情報伝達系の活性化で蛋白合成や核酸合成が開始されることにより、開始される。
【0003】
図1は、細胞の受容体、リガンド及び細胞内情報伝達物質の関係を示す。脂質二重層でできた細胞膜により細胞の内と外とが区切られ、その細胞膜を貫通するように受容体101がある。受容体101の細胞外の部分にリガンド102が結合すると、細胞の内部の細胞内情報伝達物質103が活性化し、細胞全体が活性化する。
【0004】
細胞の活性化により、その細胞がリンパ球であれば、一般に一日以内に分裂が起こり、その細胞が例えばマクロファージであれば、蛋白合成が開始され、サイトカインなどの生体内高分子の合成が数十分から数時間内に起こる。その結果、粗面小胞体、ゴルジ装置などによる細胞の物質輸送系を経て細胞外へ、合成された生体内高分子が放出される。
【0005】
図3は細胞の物質輸送系の一例を示す。積層した構造のゴルジ装置301により、輸送される物質を含む小胞体302が生成され、それが、細胞膜303へ移動し、物質が細胞外へ放出される。
【0006】
従来、細胞外へ産出されたサイトカインなどは、その培養上清に対して酵素標識抗体法(ELISA)で測定される。また、細胞の培養を行ない同時にエリスポット法、フロサイトメーター法、RT―PCR法などによっても測定されている。リンパ球の反応性は、免疫応答機能の検査法として重要であり、その反応性の検査法としては、植物凝集素(レクチン)を加え、その増殖能により求める方法が知られている。この方法は、放射能標識した塩基(トリチウムチミジン)を培養液に加えて、DNAに取り込まれた放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定する方法である。
【0007】
また、近年、分子間相互作用解析装置(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)が開発されてきている。この分子間相互作用解析装置は、測定チップに固定された物質の質量の変化、例えば、測定チップに固定された物質が他の物質と結合することによる質量の変化、を検出するものである。
【0008】
この分子間相互作用解析装置の測定原理としては、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance=SPR)によるもの、圧電効果を用いた水晶発振子法によるもの、が知られている。
【0009】
表面プラズモン共鳴によるものは、測定チップにおいて物質が固定されていない側の金薄膜に光を全反射するように当てると、反射光の一部に、反射光強度が低下した部分(光の暗い部分)が観察されることを利用している。この反射光強度が低下した部分が、SPRシグナルの発生を示している。この部分の角度は測定チップに固定した物質の質量に依存することが知られている。質量の増加が起こると、光の暗い部分が移動する。1平方ミリメートルあたり1ナノグラムの質量の増加が起こると、0.1度移動することが知られており、逆に質量が減少すると、逆方向に移動する。これにより質量変化をリアルタイムで知ることができる。
【0010】
また、圧電効果とは、ある種の結晶では、機械的なひずみをかけると結晶内に分極が生じる現象である。逆に結晶に電極を取り付けて電圧を加えると、結晶にひずみが生じる。このような現象は、例えば、水晶、電気石、ロッシェル塩などの結晶に見られる。その中でも、水晶は、圧電特性、化学的性質、熱的安定性に優れている。圧電効果により、水晶板に電極を取り付け、電圧を加えてひずみを生じさせた後に電圧をかけることをやめると、水晶板は振動を生じて元に戻る現象が起こる。このときの印加電圧を交流電場として振動方向の共振周波数に同期させると、水晶板は発振子としてその固有振動数で共振振動する。このとき、水晶発振子の電極上に物質が付着すると、その物質が水晶のように剛直でその付着が均一であるときには、水晶板の厚みが増加したことに対応し、力学系として振り子において弦の長さが長くなる変化に等しく、振り子の振動はゆっくりしたものになる。これと同様に、水晶発振子の電極上への物質の付着は振動数の変位を引き起こす。振動数の変位と付着物質の質量との関係は、Sauerbrey式と呼ばれる式で表されることが知られている。すなわち、電極上での質量変化は振動数変化と比例関係にあることが知られている。これにより、基本振動数が27MHzの水晶発振子においては、電極1平方センチメートルあたりに0.62ナノグラムの物質が付着すると1Hz振動数が減少することになる。このような原理に基づいて質量の変化を測定する方法が水晶発振子法である。
【0011】
このような測定原理に基づく分子間相互作用解析装置の測定チップに細胞を固定し、質量の変化を測定することが可能となってきている。
【0012】
【非特許文献1】
永田和宏、半田宏、「生体物質相互作用のリアルタイム解析実験法―BIACOREを中心に」、スプリンガーフェアラーク東京、1998
【非特許文献2】
実川友史、岡畑恵雄、「水晶発振子バイオセンサーによる水溶液中の生体物質の測定=装置開発とバイオ分野への応用=」、超音波TECHNO、日本工業出版、第13巻、第5号、p.12−16、2001
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、サイトカインを培養上清から測定する方法などでは、細胞の活性化をリアルタイムで観察できないという課題がある。
【0013】
また、分子間相互作用解析装置を用いて細胞を活性化するリガンドを結合させて質量変化を測定する方法はほとんど確立しておらず、また、以下の課題がある。
【0014】
すなわち、図2に例示されるように測定チップ200に細胞201を固定し、リガンドを結合させたとしても、その結果、細胞202で生産されるサイトカインは細胞の物質輸送系により、細胞外へ排出される。そのため、質量変化を測定しても図4に例示されるように、最初は質量が増加するが、ある時間からは質量が減少してしまう(なお、図4において、点線は、照査標準のために細胞が固定されていない測定チップ、または刺激物質が添加されていない培地に設置された測定チップ、の質量変化を示す)。
【0015】
したがって、従来の技術で細胞活性化を測定するには、活性化が始まる最初の部分しか測定することができないという課題がある。また、活性化が緩慢に進む場合にも測定することができないという課題がある。
【0016】
また、遺伝子の一塩基多型などの変異や欠損により、受容体に異常が起きていたり、細胞内情報伝達系に異常が起きていたりする場合がある。このような場合には、リガンドが受容体に結合することができず、あるいは、リガンドが受容体に結合した後に情報が伝達されないために、最終的にサイトカインが産出されず、感染症などの病態が健常者と異なると考えられる。しかしながら、遺伝子の塩基多型を検査する方法は、それぞれの蛋白遺伝子の解析が必要となるが、信号蛋白は現在のところ完全に解明されておらず、したがって、解析を行なうのは、現状では不可能であるという課題がある。
【0017】
また、ある薬剤が、(A)細胞の物質輸送系を阻害するかどうか、(B)リガンドが受容体へ結合するのを阻害するかどうか、(C)細胞の活性化を抑制するかどうか、を知ることは、従来の技術では手間のかかる作業が必要とされている。
【0018】
本発明は、以上に挙げた課題を解決するための細胞活性化検出方法、塩基多型解析スクリーニング方法、細胞物質輸送系阻害薬剤検出方法、刺激物質細胞結合阻害薬剤検出方法、刺激物質細胞活性化阻害薬剤検出方法として考案されたものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明では、細胞を活性化する際に、細胞の物質輸送系を阻害する物質を含む培地にて細胞を培養することとする。
【0020】
これにより、細胞の活性化により産出されたサイトカインなどは、細胞内に閉じ込められるので、細胞の活性化の様子を従来よりも長時間観察することができる。また、活性化が緩慢に進む場合も観察が可能となる。
【0021】
また、遺伝子の一塩基多型などや欠損により、受容体に異常が起きていたり、細胞内情報伝達系に異常が起きていたりする場合には、細胞の活性化が起こらず、細胞の質量の増加が観察されないので、遺伝子解析よりも少ない手間でスクリーニングを行なうことができる。
【0022】
また、細胞の質量の増加があるかどうかを判定することにより、培地に加えた薬剤が、細胞の物質輸送系を阻害するかどうか、刺激物質の細胞への結合を阻害するかどうか、刺激物質が細胞へ結合した後の細胞の活性化を阻害するかどうか、を判定することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。なお、本発明は、これら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【0024】
(実施形態1(主に請求項1ないし12に対応する))
本発明の実施形態1においては、細胞活性化検出方法が説明される。
【0025】
(実施形態1:概要)
図5は、本実施形態の概要を説明する。まず、分子間相互作用解析装置により質量を測定するための測定チップ200に、細胞201を固定する。そして、細胞201を培地にて培養する。次に、(1)培地に細胞201を刺激する物質を添加し、その後、(2)細胞の物質輸送系を抑制する物質(例えば、ブレフェルジンAまたは/およびモネンシン)を添加し、質量の変化を測定する。細胞の物質輸送系を抑制する物質を加えることにより、始めは質量が増加するが、その後、減少に転ずること、を防止することができる。なお、「ブレフェルジンAまたは/およびモネンシン」は、細胞内物質の分泌を抑制する物質の一例であり、本発明は、ブレフェルジンAまたは/およびモネンシンを使用することに限定されることはない。
【0026】
なお、培地に細胞201を刺激する物質を添加することが先で、細胞の物質輸送系を抑制する物質を添加することが後であるという順序は本質的なものではなく、逆になっていてもよい。あるいは、同時に添加するようになっていてもよい。
【0027】
図11は、本実施形態の概要を説明する別の図である。本実施形態では、図11(A)に例示されるように、抑制物質を含む培地である測定培地に細胞を固定した測定チップを設置し、一方、細胞が固定されていない測定チップを培地に設置し、刺激物質を少なくとも測定培地に添加し、それぞれの測定チップより細胞質量情報と照査標準質量情報を取得し、細胞の活性化を検出し、測定を行なう。
【0028】
また、図11(B)に例示されるように、測定培地ではない培地に設置される測定チップにも細胞を固定しておき、測定培地にだけ刺激物質を添加し、それぞれの測定チップより細胞質量情報と照査標準質量情報とを取得してもよい。
【0029】
(実施形態1:構成)
本実施形態に係る細胞活性化検出方法は、(a)細胞取得ステップと、(b)固定ステップと、(c)培養ステップと、(d)照査標準測定チップ設置ステップと、(e)刺激物質添加ステップと、(f)細胞質量情報取得ステップと、(g)照査標準質量情報取得ステップと、(h)質量情報比較ステップと、を含む。
【0030】
(細胞取得ステップ)
「細胞取得ステップ」は、生体から細胞を取得するステップである。生体としては、ヒト、あるいは、その他の動物がある。
【0031】
生体から細胞を取得する方法には種々のものがある。例えば、血液から細胞を取得する方法がある。生体から採取した血液の遠心分離を行ない、適切な画分より赤血球や白血球などを採取する。なお、白血球とは、無色で核を持った血球の総称であり、その中には、好中球や好酸球や好塩基球などの顆粒球、T細胞やB細胞やNK細胞などのリンパ球、さらに、組織移行でマクロファージに変化する単球、などがある。なお、本発明においては、細胞は、血液から取得できるものに限られることはなく、あらゆる細胞について適用可能である。
【0032】
(固定ステップ)
「固定ステップ」は、細胞取得ステップで取得された細胞を、質量に関する情報を取得するための測定チップに固定するステップである。一つの測定チップに固定される数は、一に限られることはない。
【0033】
なお、細胞取得ステップで取得された細胞は、採取後直ちに固定ステップにより固定される必要はない。細胞を取得して、しばらくの間、培養を行なうようになった後に測定チップに固定してもよい。例えば、少数の細胞しか取得されなかった場合などには、細胞の数を増加させるために、培養を行ない、十分な数の細胞が得られたときに、固定するようにしてもよい。
【0034】
なお、「測定チップ」には、質量に関する情報を取得するための装置によって種々のものがある。例えば、表面プラズモン共鳴を使用して、質量に関する情報を取得する場合には、ガラスの基板の表面を金薄膜によりコーティングしたものが使用される。
【0035】
なお、細胞により、測定チップに対する固着の程度が異なる。白血球は、どのような素材であっても固着しやすい傾向にあるが、リンパ球は、固着の程度が低い。そこで、細胞と測定チップの間に適切なスペーサを用いて細胞を固定してもよい。この場合のスペーサとしては、例えば、ポリ―L―リジンがある。測定チップにポリ―L―リジンを塗布しておき、そこに、細胞を載せることにより固定する。
【0036】
(培養ステップ)
「培養ステップ」は、固定ステップで測定チップに固定された細胞を、抑制物質を含む培地である測定培地にて培養するステップである。「抑制物質」とは、細胞の物質輸送系を抑制する物質である。抑制物質の代表例を挙げると、ブレフェルジンAやモネンシンがある。ブレフェルジンAは、細胞のゴルジ装置の機能を抑制する効果があることが知られている。モネンシンは、ゴルジ装置から細胞外への物質の輸送を阻害する効果があることが知られている。抑制物質として、ブレフェルジンAまたはモネンシンの一方のみを使用してもよいし、適度な割合で混合したものを使用してもよい。また、ブレフェルジンAやモネンシンに限定されることなく、一般に抑制物質は、単独で使用したり、複数の抑制物質を混合して使用したりしてもよい。
【0037】
「培地にて培養する」とは、細胞をその生存に適した環境で育てることである。このような環境を維持するために、例えば、HEPES緩衝液を用い、PHを7.4に維持するようにしてもよい。また、5%炭酸ガス、95%空気などの雰囲気で維持した通常の細胞培養の環境でもよい。
【0038】
なお、測定培地には、最初から抑制物質が含まれている必要はない。細胞の培養を開始し、安定したとき(例えば、質量変化が所定の値より小さくなったとき)に抑制物質を培地に添加するようにしてもよい。あるいは、以下で説明する刺激物質を培地に添加してから、抑制物質を培地に添加するようにしてもよい。
【0039】
(照査標準測定チップ設置ステップ)
「照査標準測定チップ測定ステップ」は、照査標準となる測定チップである照査標準測定チップを培地に設置する。この照査標準測定チップは、次の刺激物質添加ステップにより刺激物質が添加されない場合の質量の情報を取得するために用いられる。(通常は、「照査標準」は「コントロール」と呼ばれる。)なお、照査標準測定チップとしては、固定ステップにて、細胞が固定された別の測定チップを用いてもよい。また、細胞が固定されていないものを用いてもよい。細胞が固定されていない測定チップを用いる場合には、照査標準測定チップを測定培地に設置してもよい。また、照査標準測定チップに細胞が固定されている/いないにかかわらず、照査標準測定チップ設置ステップは、培養ステップと同時刻に行なわれるのが好ましい。
【0040】
(刺激物質添加ステップ)
「刺激物質添加ステップ」は、測定培地に、細胞に対する刺激物質を添加するステップである。
【0041】
刺激物質としては、種々のものがある。例えば、細胞のトール受容体を介して細胞を活性化させる微生物由来の刺激物質がある。より具体的には、エンドトキシン、ペプチドグリカン、蛋白、リポ蛋白、二重鎖RNA、CpGDNAなどがある。
【0042】
なお、特にエンドトキシンは、極微量(1ミリリットルあたり数ピコグラムならナノグラムのオーダー量)であっても白血球を活性化するので、細胞を培養する培地を作るには細心の注意が必要である。例えば、培地の容器にエンドトキシンが付着して、刺激物質添加ステップで刺激物質が添加される経路以外でエンドトキシンが混入しないようにする必要がある。そこで、容器としては、いわゆるエンドトキシンフリーのものを使用する。例えば、プラスチック製の器具であれば、ガンマ線滅菌をしたものを使用し、ガラス製の器具であれば、摂氏250度で2時間加熱したものを使用する。
【0043】
(細胞質量情報取得ステップ)
「細胞質量情報取得ステップ」は、固定ステップにて細胞が固定された測定チップの質量に関する情報である細胞質量情報を取得する。
【0044】
細胞質量情報を取得する方法としては、従来の技術の項で説明した表面プラズモン共鳴を利用した表面プラズモン共鳴装置を用いてもよい。この場合、測定されるのは、測定チップの表面に存在する物質の質量の絶対値ではなく、質量の変化となる。
【0045】
また、細胞質量情報を取得する別の方法としては、従来の技術の項で説明した圧電効果を利用した水晶発振子法であってもよい。この場合も、測定されるのは、測定チップの表面に存在する物質の質量の絶対値ではなく、質量の変化となる。
【0046】
当然、細胞質量情報を取得する方法により、固定ステップと照査標準測定チップ設置ステップで使用される測定チップの種類が決まる。
【0047】
また、細胞質量情報取得ステップは、測定チップに固定された細胞の種類、刺激物質の種類、などにより、細胞内に発するサイトカイン、リンホトキシン、インターロイキン、インターフェロンのいずれか一または組み合わせの高分子有機体に依存する質量に関する情報を取得することになる。
【0048】
(照査標準質量情報取得ステップ)
「照査標準質量情報取得ステップ」は、照査標準測定チップの質量情報である照査標準質量情報を取得するステップである。
【0049】
細胞質量情報取得ステップと照査標準質量情報取得ステップとは、同時あるいは、時間的に隣接して行なわれるのが望ましい。また、一回だけでなく、複数回行なわれてもよい。
【0050】
(質量情報比較ステップ)
「質量情報比較ステップ」は、細胞質量情報と照査標準質量情報とを比較する。例えば、細胞質量情報から照査標準質量情報を差し引き、照査標準質量情報を基準した質量情報を取得するようにしてもよい。
【0051】
(実施形態1:処理の流れ)
図6は、本実施形態における処理の流れを説明するフローチャートを例示する。
【0052】
ステップS601において、生体から細胞を取得する(細胞取得ステップ)。ステップS602において、細胞を測定値チップに固定する(固定ステップ)。ステップS603において、抑制物質を含む測定培地で細胞を培養する(培養ステップ)。ステップS604において、照査標準測定チップを培地に設置する(照査標準測定チップ設置ステップ)。ステップS605において、培地に刺激物質を添加する(刺激物質添加ステップ)。ステップS606において、細胞が固定された測定チップの質量情報を取得する(細胞質量情報取得ステップ)。ステップS607において、照査標準測定チップの質量情報を取得する(照査標準質量情報取得ステップ)。ステップS608において、質量情報を比較する(質量情報比較ステップ)。
【0053】
(実施形態1:別の処理の流れ)
なお、本実施形態における処理の流れを示すフローチャートは、図6に例示されたフローチャートに限定されることはない。上で説明したように、抑制物質がない培地で、細胞の培養を行ない、安定したときに、抑制物質を測定培地に添加してもよい。また、刺激物質を添加した後に抑制物質を添加するようにしてもよい。
【0054】
図7は、測定培地にまず刺激物質を添加し、その後、抑制物質を添加する場合のフローチャートを例示する。なお、抑制物質は、測定培地のみに添加してもよいし、測定培地と、照査標準測定チップの設置された培地と、の両方に添加してもよい。
【0055】
ステップS701において、生体から細胞を取得する(細胞取得ステップ)。ステップS702において、細胞を測定チップに固定する(固定ステップ)。ステップS703において、測定培地で細胞を培養する(培養ステップの一部)。ステップS704において、照査標準測定チップを培地に設置する(照査標準測定チップ設置ステップ)。ステップS705において、測定培地に刺激物質を添加する(刺激物質添加ステップ)。ステップS706において、抑制物質を培地に添加する(培養ステップの一部)。ステップS707において、細胞が固定された測定チップの質量情報を取得する(細胞質量情報取得ステップ)。ステップS708において、照査標準測定チップの質量情報を取得する(照査標準質量情報取得ステップ)。ステップS709において、質量情報を比較する(質量情報比較ステップ)。
【0056】
(実施形態1:取得される質量情報の例)
図8は、細胞質量情報取得ステップと照査標準質量情報取得ステップとで得られる質量情報を時間の経過に従ってプロットしたグラフを例示する。実線が細胞質量情報取得ステップで取得された細胞質量情報であり、破線が照査標準質量情報取得ステップで取得された照査標準質量情報である。
【0057】
表面プラズモン共鳴装置や水晶発振子法を用いて質量情報を取得する場合には、質量の絶対値ではなく、質量の変化が取得されるので、質量情報を最初に取得したときからの質量の変化がプロットされることになる。
【0058】
したがって、実線と破線の差が、細胞の活性化により細胞内で産出された物質の質量となる。
【0059】
(実施形態1:主な効果)
本実施形態によれば、細胞の活性化により細胞内に生産された物質を細胞内に閉じ込めることができるので、活性化物質などによって起こる細胞の活性化を容易に検出することができ、細胞の反応性の検索などを容易に調べることができる。また、従来よりも長時間に亘って活性化の様子を、質量変化を通して観察することができる。また、質量変化のグラフより、刺激物質の量、あるいは、濃度、また、刺激物質が細胞を活性化する能力を知ることもできる。さらに、細胞のアポトーシスと壊死を区別することも可能である。
【0060】
(実施形態2(主に請求項13に対応する))
本発明の実施形態2においては、塩基多型解析スクリーニング方法が説明される。「塩基多型」とは、遺伝子の塩基配列が異なるために、その遺伝子の発現が通常と異なることをいう。特に、塩基配列のうち、一箇所だけが異なる場合を一塩基多型という。
【0061】
本実施形態においては、細胞の受容体や細胞内の情報伝達系に係る遺伝子の塩基多型や遺伝子欠損などが疑われる個体を見つける方法が説明される。
【0062】
(実施形態2:概要)
本実施形態の概要は、実施形態1の細胞活性化方法とほぼ同じ手順を用いて、質量情報を取得して、細胞の活性化が起きたかどうかを判断する。もし、刺激物質を培地に添加しても細胞の活性化が起きなければ、細胞の受容体や情報伝達系に異常があるとする。その後、例えば、遺伝子の解析を詳しく行なうなどして、どこに塩基多型があるのかを解析する。
【0063】
図12は、本実施形態の概要を説明する図である。本実施形態では、図12(A)に例示されるように、抑制物質を含む培地である測定培地に、細胞を固定した測定チップを設置し、一方、細胞の固定されていない測定チップを培地に設置する。少なくとも測定培地に刺激物質を添加し、それぞれの測定チップより細胞質量情報と照査標準質量情報とを取得し、有意な差(有意な変化)が有るかどうかを判断する。もし、有意な差が有れば、測定培地に設置された測定チップに固定された細胞は正常と判定する。
【0064】
また、図12(B)に例示されるように、測定培地ではない培地に設置される測定チップに正常細胞を固定し、刺激物質を添加して、細胞質量情報と照査標準質量情報とを取得し、有意な差が有るかどうかを判断する。もし、有意な差が有れば、測定培地に設置された測定チップに固定された細胞は異常と判定する。
【0065】
(実施形態2:構成)
本実施形態の塩基多型解析スクリーニング方法は、(a)細胞取得ステップと、(b)固定ステップと、(c)培養ステップと、(d)照査標準測定チップ設置ステップと、(e)刺激物質添加ステップと、(f)細胞質量情報取得ステップと、(g)照査標準質量情報取得ステップと、(h)判定ステップと、を含む。
【0066】
(a)から(g)までのステップは、実施形態1と同じである。ただし、最後の判定ステップだけが異なる。また、培養ステップで使用する抑制物質と、刺激物質添加ステップで使用する刺激物質とは、それぞれ、抑制物質、刺激物質としての効果を発揮するものとして知られているものを使用する。例えば、ブレフェルジンAまたは/およびモネンシンと、エンドトキシンと、などを使用する。刺激物質は、調べたい受容体や情報伝達系に関係のあるものを使用する。また、照査標準測定チップとして、細胞が固定されたものを使用する場合には、塩基多型の無いことが確かめられている個体からの細胞を照査標準測定チップに固定し、刺激物質添加ステップでは照査標準測定チップの設置された培地にも刺激物質を添加する。
【0067】
「判定ステップ」は、細胞質量情報と照査標準質量情報との間に、有意な変化が検出されるかどうか判定するステップである。例えば、所定の閾値を定めておき、細胞質量情報で示される質量変化が照査標準質量情報で示される質量変化よりも、その閾値以上大きくなれば、有意な変化が検出されたとする。
【0068】
(実施形態2:処理の流れ)
図9は、本実施形態における処理の流れを説明するフローチャートを例示する。なお、このフローチャートでは、照査標準測定チップには、塩基多型の無いことが確かめられている細胞(正常細胞)が固定されるとし、刺激物添加ステップにおいては、測定培地と照査標準測定チップの設置された培地の両方に刺激物質が添加されるとする。
【0069】
ステップS901において、生体から細胞を取得する(細胞取得ステップ)。ステップS902において、細胞を測定チップに固定する(固定ステップ)。ステップS903において、抑制物質を含む培地である測定培地にて細胞を培養する(培養ステップ)。ステップS904において、照査標準測定チップを培地に設置する(照査標準測定チップ設置ステップ)。ステップS905において、培地に刺激物質を添加する(刺激物質添加ステップ)。ステップS906において、細胞が固定された測定チップの質量情報を取得する(細胞質量情報取得ステップ)。ステップS907において、照査標準測定チップの質量情報を取得する(照査標準質量情報取得ステップ)。ステップS908において、質量情報にが有るか(検出されるかどうか(すなわち、有意な変化が検出されるかどうか)を判定する(判定ステップ)。もし、有意な差が有ると判定されれば、異常とする。そうでなければ、正常とする。異常とされた場合には、その後、細胞が採取された個体の遺伝子を解析したりする。
【0070】
なお、実施形態1におけるように、ステップS903において、培地に最初から抑制物質が含まれている必要はなく、安定した質量情報が得られてから抑制物質を添加するようにしてもよい。また、抑制物質の添加は、刺激物質の添加後であってもよい。
【0071】
(実施形態2:主な効果)
本実施形態によれば、細胞の活性化の程度を、抑制物質が含まれた培地で質量情報を取得することで行なうので、高感度に異常を検出することができ、塩基多型のスクリーニングとして好適な方法が提供される。
【0072】
(実施形態3(主に請求項14に対応する))
本発明の実施形態3においては、細胞物質輸送系阻害薬剤検出方法が説明される。「細胞物質輸送系阻害薬剤検出方法」とは、細胞の物質輸送系を阻害する薬剤を検出する方法である。
【0073】
本実施形態の細胞物質輸送系阻害薬剤検出方法は、刺激物質に対して活性化する細胞に対して刺激物質を与え、また、細胞の物質輸送系を阻害するかどうかを検出したい薬剤を与え、質量情報を取得し、質量情報により、その薬剤が細胞の物質輸送系を阻害するかどうかを判定する方法である。もし、質量情報が、質量が最初は増加するがその後減少する場合には、細胞の物質輸送系が正常に機能していると判断して、その薬剤は、細胞の物質輸送系を阻害しないと判断し、もし、質量が増加すれば、その薬剤は、細胞の物質輸送系を阻害すると判断する。
【0074】
図13は、本実施形態の概要を説明する図である。本実施形態では、図13(A)に例示されるように、細胞が固定された測定チップを測定培地に設置し、一方、細胞が固定されていない測定チップを培地に設置する。その後、少なくとも測定培地に薬剤と刺激物質を添加し、細胞質量情報と照査標準質量情報とを取得する。もし、有意な差が有れば、添加した薬剤は、細胞物質輸送系を阻害すると判定する。
【0075】
また、図13(B)に例示されるように、測定培地でない培地に設置される測定チップにも細胞を固定しておき、測定培地にだけ薬剤を添加し、両方の培地に刺激物質を添加し、その後、細胞質量情報と照査標準質量情報とを取得してもよい。
【0076】
(実施形態3:構成)
本実施形態の細胞物質輸送系阻害薬剤検出方法は、(a)細胞取得ステップと、(b)固定ステップと、(c)培養ステップと、(d)照査標準測定チップ設置ステップと、(e)薬剤添加ステップと、(f)刺激物質添加ステップと、(g)細胞質量情報取得ステップと、(h)照査標準質量情報取得ステップと、(i)判定ステップと、を含む。
【0077】
(a)細胞取得ステップと、(b)固定ステップと、(d)照査標準測定チップ設置ステップと、(g)細胞質量情報取得ステップと、(h)照査標準質量情報取得ステップと、は実施形態1または2と同じである。なお、細胞取得ステップにおいては、刺激物質に対して活性を示すことが確かめられている細胞を取得する。
【0078】
(培養ステップ)
本実施形態において、「培養ステップ」は、細胞取得ステップで取得した細胞を測定用の培地である測定培地にて培養するステップである。実施形態1または2と異なり、本実施形態では、測定培地は、抑制物質を含まない。
【0079】
(薬剤添加ステップ)
「薬剤添加ステップ」は、薬剤を測定培地に添加するステップである。ここでいう「薬剤」とは、細胞の物質輸送系を阻害するかどうかを判定したい薬剤である。なお、薬剤は、照査標準測定チップの設置された培地にも添加するようにしてもよい。
【0080】
(刺激物質添加ステップ)
「刺激物質添加ステップ」は、実施形態1と同様に、測定培地に細胞に対する刺激物質を添加する。もし、薬剤添加ステップにおいて、測定培地だけに薬剤が添加されている場合には、照査標準測定チップが設置された培地にも刺激物質を添加してもよい。すなわち、本実施形態では、少なくとも測定培地には、薬剤と刺激物質が添加される。一方、照査標準測定チップの設置された培地には、薬剤と刺激物質との添加の有/無の組み合わせが、測定培地と異なるように、薬剤と刺激物質との添加が制御される。
【0081】
(判定ステップ)
「判定ステップ」は、細胞質量情報と照査標準質量情報との間に有意な変化が検出されるかどうかにより、前記薬剤添加ステップにて培地に添加された薬剤が細胞物質輸送系阻害薬剤であるかどうかを判定するステップである。なお、「細胞質量情報」は、細胞質量情報取得ステップで取得された質量に関する情報であり、「照査標準質量情報」は、照査標準新津量情報取得ステップで取得された質量に関する情報である。また、この判定ステップは、刺激物質添加ステップまたは薬剤添加ステップから所定の時間が経過してから取得された細胞質量情報と照査標準質量情報に基づいて行なわれてもよい。
【0082】
(実施形態3:処理の流れ)
図10は、本実施形態における処理の流れを説明するフローチャートを例示する。
【0083】
ステップS1001において、生体から細胞を取得する(細胞取得ステップ)。ステップS1002において、細胞を測定チップに固定する(固定ステップ)。ステップS1003において、細胞を測定培地にて培養する(培養ステップ)。ステップS1004において、照査標準測定チップを培地に設置する(照査標準測定チップ設置ステップ)。ステップS1005において、少なくとも測定培地に薬剤を添加する(薬剤添加ステップ)。ステップS1006において、少なくとも測定培地に刺激物質を添加する(刺激物質添加ステップ)。ステップS1007において、細胞が固定された測定チップの質量情報を取得する(細胞質量情報取得ステップ)。ステップS1008において、照査標準測定チップの質量情報を取得する(照査標準質量情報取得ステップ)。ステップS1009において、質量情報に有意な差が有るかどうかを判断する。もし、有意な差が有れば、薬剤添加ステップで添加された薬剤は、細胞物質輸送系阻害薬剤である。もし、有意な差が無ければ、薬剤添加ステップで添加された薬剤は、細胞物質輸送系阻害薬剤でない。
【0084】
なお、薬剤添加ステップと、刺激物質添加ステップと、が実行される順序は図10の順序と異なっていてもよいし、同時に行なわれてもよい。
【0085】
また、細胞質量情報取得ステップと、照査標準質量情報取得ステップとは、薬剤添加ステップが行なわれてから、所定の時間経過後に行なわれたり、あるいは、刺激物質添加ステップが行なわれてから、所定の時間経過後に行なわれたりしてもよい。
【0086】
また、細胞質量情報取得ステップと、照査標準質量情報取得ステップとは、それぞれ一回だけ行なうのではなく、繰り返し実行され、その結果得られる質量情報の変化に基づいて、判定ステップが行なわれるようになっていてもよい。例えば、質量情報による質量の変化をグラフにプロットし、得られるグラフの形状から、有意な変化が検出されるかどうかを判定してもよい。
【0087】
(実施形態3:主な効果)
本実施形態によれば、活性化した細胞の質量変化を得ることにより、薬剤が、細胞の物質輸送系を阻害する薬剤であるかどうかを、容易に知ることができる。
【0088】
(実施形態4(主に請求項15に対応する))
本発明の実施形態4においては、刺激物質細胞結合阻害薬剤検出方法が説明される。すなわち、ある薬剤が、刺激物質が細胞に結合するのを阻害するかどうかを検出する方法が説明される。
【0089】
図14は、本実施形態の概要を例示する。測定培地と照査標準培地との両方に設置する測定チップに細胞を固定しておく。その後、測定培地にだけ薬剤を添加し、両方の培地に刺激物質を添加する。それぞれの測定培地より測定質量情報と照査標準質量情報とを取得し、有意な差が有るかどうかを判定する。もし、有意な差が有れば、測定培地に添加した薬剤は、刺激物質が細胞に結合するのを阻害する薬剤であると判定する。
【0090】
(実施形態4:構成)
本実施形態に係る刺激物質細胞結合阻害薬剤検出方法は、(a)細胞取得ステップと、(b)固定ステップと、(c)培養ステップと、(d)薬剤添加ステップと、(e)刺激物質添加ステップと、(f)測定質量情報取得ステップと、(g)照査標準質量情報取得ステップと、(h)判定ステップと、を含む。
【0091】
細胞取得ステップ、固定ステップ、については、実施形態1から3と同じである。ただし、次の培養ステップの段落で説明するように、固定ステップで細胞が固定される測定チップは、すくなくとも二つはある。
【0092】
(培養ステップ)
本実施形態において、「培養ステップ」とは、固定ステップで細胞が固定された測定チップを二つの培地である測定培地と照査標準培地とに設置し、細胞を培養するステップである。したがって、本実施形態では、測定培地に設置する測定チップと、照査標準培地に設置される測定チップと、の少なくとも二つの測定チップに細胞が固定されている必要がある。
【0093】
(薬剤添加ステップ)
本実施形態において、「薬剤添加ステップ」とは、測定培地に薬剤を添加する。薬剤添加ステップで添加される薬剤は、刺激物質が細胞に結合するのを阻害する物質かどうかを判定したい薬剤である。
【0094】
(刺激物質添加ステップ)
本実施形態において、「刺激物質添加ステップ」とは、測定培地と操作標準培地とに、細胞に対する刺激物質を添加する。刺激物質は、例えば、実施形態1で説明した刺激物質である。
【0095】
したがって、本実施形態において、測定培地と照査標準培地とでは、薬剤が添加されたかどうかが異なる。
【0096】
(測定質量情報取得ステップ)
「測定質量情報取得ステップ」は、測定培地に設置された測定チップの質量に関する情報である測定質量情報を取得する。測定質量情報の取得方法は、これまでの実施形態のように、例えば、表面プラズモン共鳴装置や、水晶発振子法、を用いて測定する。
【0097】
(照査標準質量情報取得ステップ)
「照査標準質量情報取得ステップ」は、照査標準培地に設置された測定チップの質量に関する情報である照査標準質量情報を取得する。照査標準質量情報も、測定質量情報の取得のように、例えば、表面プラズモン共鳴装置や、水晶発振子法、を用いる。
【0098】
なお、測定質量情報取得ステップと、照射標準質量情報取得ステップと、は必要に応じて、何回か繰り返して実行する。
【0099】
(判定ステップ)
本実施形態において、「判定ステップ」とは、測定質量情報と照査標準質量情報との間に有意な変化が検出されるかどうかにより、薬剤添加ステップにて培地に添加された薬剤が、刺激物質が細胞に結合するのを阻害する物質であるかどうかを判定する。
【0100】
すなわち、測定質量情報と照査標準質量情報とは、測定チップが設置された培地に薬剤が添加されたかどうかが異なる培地の測定チップから取得されるので、もし、質量の情報に違いが生ずるとすれば、刺激物質が細胞に結合したかどうかによる。このため、測定質量情報取得ステップと照査標準質量情報取得ステップとは、刺激物質添加ステップが行なわれた直後に実行されるのが望ましい。
【0101】
(実施形態4:主な効果)
本実施形態によれば、薬剤が、刺激物質が細胞に結合するのを阻害するかどうかを質量情報により判定することができる。これにより、エンドトキシンなどの刺激物質による症状を抑える薬剤の検索をすることができる。
【0102】
(実施形態5(主に請求項16に対応する))
本発明の実施形態5においては、刺激物質細胞活性化阻害薬剤検出方法が説明される。すなわち、ある薬剤が、刺激物質が細胞に結合した後の細胞の活性化を阻害するかどうかを検出する方法が説明される。
【0103】
図15は、本実施形態の概要を例示する。測定培地と照査標準培地との両方に設置する測定チップに細胞を固定しておく。その後、測定培地にだけ薬剤を添加し、両方の培地に抑制物質と刺激物質とを添加する。それぞれの測定培地より測定質量情報と照査標準質量情報とを取得し、有意な差が有るかどうかを判定する。もし、有意な差が有れば、測定培地に添加した薬剤は、刺激物質が細胞に結合した後に、細胞の活性化を阻害する薬剤であると判定する。
【0104】
(実施形態5:構成)
本実施形態にかかる刺激物質細胞活性化阻害薬剤検出方法は、(a)細胞取得ステップと、(b)固定ステップと、(c)培養ステップと、(d)抑制物質添加ステップと、(e)薬剤添加ステップと、(f)刺激物質添加ステップと、(g)測定質量情報取得ステップと、(h)照査標準質量情報取得ステップと、(i)判定ステップと、を含む。
【0105】
細胞取得ステップ、固定ステップについては、実施形態1から4と同じである。
【0106】
培養ステップと、薬剤添加ステップ、刺激物質添加ステップ、測定質量情報取得ステップ、照査標準質量情報取得ステップは、実施形態4と同じである。
【0107】
(抑制物質添加ステップ)
「抑制物質添加ステップ」は、測定培地と照査標準培地とに、細胞の物質輸送系を抑制する物質である抑制物質を添加するステップである。抑制物質としては、実施形態1などにおけるように、ブレフェルジンAやモネンシンなどがある。
【0108】
したがって、本実施形態においては、測定培地と照査標準培地とには、抑制物質と刺激物質とが添加されている点では同じであるが、薬剤添加ステップで薬剤が添加されているかどうかが異なることになる。
【0109】
(判定ステップ)
本実施形態において、「判定ステップ」とは、測定質量情報と照査標準質量情報との間に有意な変化が検出されるどうかにより、薬剤添加ステップにて培地に添加された薬剤が、刺激物質が細胞に結合した後に細胞を活性化するのを阻害する物質であるかどうかを判定する。例えば、測定質量情報と照査標準質量情報とに所定の値を超える違いがあるかどうかにより、判定する。より具体的な例を挙げると、以下のようになる。すなわち、測定質量情報と照査標準質量情報とが示す質量の変化をグラフにプロットした場合、刺激物質が添加された直後は同じ変化を示していたが、その後、測定質量情報はあまり変化がなく、一方、照査標準質量情報が所定の変化量以上の変化を示していれば、測定培地で培養されている細胞は活性化していないが、照査標準培地で培養されている細胞は活性化していると判断される。これにより、薬剤添加ステップにて添加された薬剤は、細胞の活性化を阻害する物質であることが判定される。
【0110】
(実施形態5:主な効果)
本実施形態によれば、薬剤が、刺激物質が細胞に結合した後に細胞の活性化を阻害するかどうかを判定することができる。これにより、エンドトキシンなどの刺激物質による症状を抑える薬剤の検索をすることができる。
【0111】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、第一に、細胞の活性化の様子を従来よりも長時間観察することができる。また、緩慢に進む活性化であっても観察することができる。
【0112】
第二に、細胞の受容体や情報伝達系の異常をもたらす一塩基多型などや遺伝子欠損のスクリーニングを行なうことができる。
【0113】
第三に、薬剤が細胞の物質輸送系を阻害するかどうかを判定することができる。
【0114】
第四に、薬剤が刺激物質の細胞への結合を阻害するかどうかを判定することができる。
【0115】
第五に、薬剤が刺激物質の細胞への結合の後に細胞の活性化を阻害するかどうかを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】細胞の受容体、リガンド及び細胞内情報伝達物質の関係を示す図
【図2】従来の細胞活性化の測定の一例図
【図3】細胞の物質輸送系の一例図
【図4】従来の細胞活性化の測定結果の一例図
【図5】本発明の細胞活性化の測定の一例図
【図6】実施形態1のフローチャート
【図7】実施形態1の別のフローチャート
【図8】本発明における細胞活性化の測定結果の一例図
【図9】実施形態2のフローチャート
【図10】実施形態3のフローチャート
【図11】実施形態1の概要を示す図
【図12】実施形態2の概要を示す図
【図13】実施形態3の概要を示す図
【図14】実施形態4の概要を示す図
【図15】実施形態5の概要を示す図
Claims (16)
- 生体から細胞を取得する細胞取得ステップと、
前記細胞取得ステップで取得された細胞を、質量に関する情報を取得するための測定チップに固定する固定ステップと、
前記固定ステップで測定チップに固定された細胞を、その物質輸送系を抑制する物質である抑制物質を含む培地である測定培地にて、培養する培養ステップと、
照査標準となる測定チップである照査標準測定チップを培地に設置する照査標準測定チップ設置ステップと、
測定培地に、前記細胞に対する刺激物質を添加する刺激物質添加ステップと、
測定培地に設置された測定チップの質量に関する情報である細胞質量情報を取得する細胞質量情報取得ステップと、
前記照査標準測定チップの質量に関する情報である照査標準質量情報を取得する照査標準質量情報取得ステップと、
前記細胞質量情報と照査標準質量情報とを比較する質量情報比較ステップと、
を含む、細胞活性化検出方法。 - 前記細胞質量情報取得ステップ又は/及び前記照査標準質量情報取得ステップでの質量情報の取得は、表面プラズモン共鳴装置を利用して行ない、
表面プラズモン共鳴装置によって得られる質量情報は、質量の変化である請求項1に記載の細胞活性化検出方法。 - 前記細胞質量情報取得ステップ又は/及び前記照査標準質量情報取得ステップでの質量情報の取得は、水晶発振子法を利用して行ない、
水晶発振子法によって得られる質量情報は、質量の変化である請求項1に記載の細胞活性化検出方法。 - 前記刺激物質は、前記細胞のトール様受容体を介して細胞を活性化させる刺激物質である請求項1から3のいずれか一に記載の細胞活性化検出方法。
- 前記生体から取得する細胞は、白血球であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一に記載の細胞活性化検出方法。
- 前記刺激物質は、微生物由来の物質であることを特徴とする請求項4に記載の細胞活性化検出方法。
- 前記抑制物質は、ブレフェルジンAまたは/およびモネンシンである請求項1ないし6のいずれか一に記載の細胞活性化検出方法。
- 前記細胞質量情報は、サイトカイン、リンホトキシン、インターロイキン、インターフェロンのいずれか一又は組み合わせにより細胞内に発生する高分子有機体依存の情報である請求項1ないし6のいずれか一に記載の細胞活性化検出方法。
- 前記白血球は、マクロファージ又は/及び好中球であり、前記刺激物質は、前記白血球のトール様受容体を介して白血球を活性化させる微生物由来刺激物質である請求項5のいずれか一に記載の細胞活性化検出方法。
- 前記白血球はリンパ球であり、前記固定ステップでは、細胞を測定チップ上に固定させる際にスペーサを利用して固定をする請求項5に記載の細胞活性化検出方法。
- 前記スペーサは、ポリ−L−リジンである請求項10に記載の細胞活性化検出方法。
- 前記細胞培養ステップは、HEPES緩衝液でPHを7.4に維持することを特徴とする請求項1に記載の細胞活性化検出方法。
- 生体から細胞を取得する細胞取得ステップと、
前記細胞取得ステップで取得された細胞を、質量に関する情報を取得するための測定チップに固定する固定ステップと、
前記固定ステップで測定チップに固定された細胞を、その物質輸送系を抑制する物質である抑制物質を含む培地である測定培地にて、培養する培養ステップと、
照査標準となる測定チップである照査標準測定チップを培地に設置する照査標準測定チップ設置ステップと、
測定培地に、前記細胞に対する刺激物質を添加する刺激物質添加ステップと、
測定培地に設置された測定チップの質量に関する情報である細胞質量情報を取得する細胞質量情報取得ステップと、
前記照査標準測定チップの質量に関する情報である照査標準質量情報を取得する照査標準質量情報取得ステップと、
前記細胞質量情報と前記照査標準質量情報との間に、有意な変化が検出されるかどうか判定する判定ステップと、
を含む細胞の塩基多型解析スクリーニング方法。 - 生体から細胞を取得する細胞取得ステップと、
前記細胞取得ステップで取得された細胞を、質量に関する情報である細胞質量情報を取得するための測定チップに固定する固定ステップと、
前記固定ステップで測定チップに固定された細胞を測定用の培地である測定培地にて培養する培養ステップと、
照査標準となる測定チップである照査標準測定チップを培地に設置する照査標準測定チップ設置ステップと、
測定培地に薬剤を添加する薬剤添加ステップと、
測定培地に、前記細胞に対する刺激物質を添加する刺激物質添加ステップと、
測定培地に設置された測定チップの質量に関する情報である細胞質量情報を取得する細胞質量情報取得ステップと、
前記照査標準測定チップの質量に関する情報である照査標準質量情報を取得する照査標準質量情報取得ステップと、
前記細胞質量情報と前記照査標準質量情報との間に有意な変化が検出されるかどうかにより、前記薬剤添加ステップにて培地に添加された薬剤が細胞物質輸送系阻害薬剤であるかどうかを判定する判定ステップと、
を含む細胞物質輸送系阻害薬剤検出方法。 - 生体から細胞を取得する細胞取得ステップと、
前記細胞取得ステップで取得された細胞を、質量に関する情報を取得するための測定チップに固定する固定ステップと、
前記固定ステップで細胞が固定された測定チップを二つの培地である測定培地と照査標準培地とに設置し、細胞を培養する培養ステップと、
測定培地に薬剤を添加する薬剤添加ステップと、
測定培地と照査標準培地とに、前記細胞に対する刺激物質を添加する刺激物質添加ステップと、
測定培地に設置された測定チップの質量に関する情報である測定質量情報を取得する測定質量情報取得ステップと、
照査標準培地に設置された測定チップの質量に関する情報である照査標準質量情報を取得する照査標準質量情報取得ステップと、
前記測定質量情報と前記照査標準質量情報との間に有意な変化が検出されるかどうかにより、前記薬剤添加ステップにて培地に添加された薬剤が、刺激物質が細胞に結合するのを阻害する物質であるかどうかを判定する判定ステップと、
を含む刺激物質細胞結合阻害薬剤検出方法。 - 生体から細胞を取得する細胞取得ステップと、
前記細胞取得ステップで取得された細胞を、質量に関する情報を取得するための測定チップに固定する固定ステップと、
前記固定ステップで細胞が固定された測定チップを二つの培地である測定培地と照査標準培地とに設置し、細胞を培養する培養ステップと、
測定培地と照査標準培地とに細胞の物質輸送系を抑制する物質である抑制物質を添加する抑制物質添加ステップと、
測定培地に薬剤を添加する薬剤添加ステップと、
測定培地と照査標準培地とに、前記細胞に対する刺激物質を添加する刺激物質添加ステップと、
測定培地に設置された測定チップの質量に関する情報である測定質量情報を取得する測定質量情報取得ステップと、
照査標準培地に設置された測定チップの質量に関する情報である照査標準質量情報を取得する照査標準質量情報取得ステップと、
前記測定質量情報と前記照査標準質量情報との間に有意な変化が検出されるかどうかにより、前記薬剤添加ステップにて培地に添加された薬剤が、刺激物質が細胞に結合した後に細胞を活性化するのを阻害する物質であるかどうかを判定する判定ステップと、
を含む刺激物質細胞活性化阻害薬剤検出方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006275798A (ja) * | 2005-03-29 | 2006-10-12 | Ulvac Japan Ltd | 圧電素子の電極への細胞の固定化方法、細胞容積の測定方法及び細胞容積の測定装置 |
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2003
- 2003-04-07 JP JP2003103291A patent/JP2004305095A/ja active Pending
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