JP5706119B2 - インクカーリッジ - Google Patents

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本発明は、インクジェットプリンタに搭載されるインクカートリッジに関する。
印刷装置の一例として挙げられるインクジェット式プリンタは、通常、装置内のカートリッジ装着部に装着されたインクカートリッジに貯留されているインクを記録ヘッドへ送り込み、この記録ヘッドが用紙等の被記録媒体にインク滴を噴射・塗布することで、画像や文字の記録を行う。
インクジェット式プリンタにおける記録ヘッドは、熱や振動を利用してインク滴の噴射を制御するものである。このような記録装置に装着するインクカートリッジは、初期常態においては良好な負圧バランスを有していても、印刷中の急激な温度変化によりインクカートリッジ内の体積膨張が起こり、その膨張圧力が起因してインクカートリッジ内のインクがインク吐出口から漏れ出し記録ヘッドに過剰のインクを流出して良好な印刷が阻害されるという課題があり、解決されないものであった。
特に、リブで区画したインク室とインク吸収体室との2室構造を有するインクカートリッジに対する課題、即ち、急激な温度変化が起因するインク漏れに対する根本的対策としてはインク吸収体へのインク充填後の2室が相反する挙動の展開があるために、抜本的解決策が提供されることは無かった。
臨時の対策としては、上記の状況に関して、インクカートリッジ内にリブで区画した複数のインク室や独立区画したインク室を構成し、インク吐出口にもっとも隣接したインク室にインク吸収体を充填し、この吸収体の毛管力によりインク吐出口からのインク漏れを解消する試みのインクカートリッジが提案されている。(例えば特許文献1〜3)
特許文献1は、図10、1及び12に示されているように、インクカートリッジの構成が、インクカートリッジの上部に外気開放部と底部にインク吐出口を備え、さらにインクを収容するインク室を備え、前記インク室が自由状態でインクを収容する実質密閉インク室とインクを吸収するインク吸収体が収納された吸収体収納室を備え、前記インク室と前記吸収体収納室とがインク室の底壁付近で連通する連通部を有する仕切り壁で仕切られ、そして仕切り壁にはスリット状に溝が縦方向に複数形成された構成のインクカートリッジ(即ち、リブで区画したインク室とインク吸収体室との2室構造)が開示されている。そして、インク室内の体積が膨張した場合にスリット状の溝を介してインク吸収体側に圧力を逃がしインク吐出口からのインク漏れを防ぐ試みの構成が開示されている。
また前記特許文献2は、図1及び図2に示されているように、インクタンクの内部が特許文献1と同様に壁により仕切られており、この壁の中央部であってインク吸収体が収納されたインク吸収体室側にバネで付勢されたバルブ構造が設けられこのバルブによりインク消費速度や気液交換速度を調節することによりインク漏れを防ぐ試みの構成が開示されている。
また特許文献3は、図1及び図4に示されるように、大気が導入され、液体吐出口を備えるとともに負圧発生部材を収納する負圧発生部材室と、液体を収納する液体収納室と、前記負圧発生部材室と前記液体収納室を仕切る仕切り壁と、前記仕切り壁に設けられ前記液体収納室から前記負圧発生部材室に液体を供給する液体流路と、毛管力を有し前記液体流路とは別であって前記仕切り壁を迂回し前記負圧発生部材室から前記液体収納室に空気を供給する空気導入室とを有する液体収納容器が提案されている。そして、この空気導入室によりインク消費速度や気液交換速度を調節することによりインク漏れを防ぐ試みの構成が開示されている。
特開2005−161635号公報 特開2007−152677号公報 WO2009/072663A1号公報
しかしながら、上記特許文献1〜3に提案されているインクカートリッジのインク吐出口からのインク漏れに関しては、温度変化の程度が緩やかでその温度変化によりインクカートリッジ内の体積膨張が徐々に変化する場合に適応されるものであり、急激な温度変化やその変化幅が大きい場合においてはインク吐出口や大気開口からのインク漏れやインク供給過多という問題は依然として存在している。さらに、インクカートリッジを印刷装置に装着して印刷を実施している状況下では、インクカートリッジが左右に激しく移動するために受ける振動によって、また、印刷環境下の温度変化によって受けるインクカートリッジの負圧バランスや気液交換速度の変動のために、例えば、カートリッジ内の負圧変動が−10乃至−30mmHg、若しくは−20乃至−30mmHg程度の負圧バランスであるために、インク吐出口からのインク漏れやインク供給過多に繋がるという傾向がある。この問題は特に、以下の内容が伴うと予想できない不都合が発生していた。つまり、壁に対する密着度を上げるために吸収体の圧縮状態での挿入が前提となるため、その圧縮挿入されている吸収体がシワを持つことになり、予期しない気体導入路が形成されてしまったり、インクの供給阻止を部分的に発生せしめるため、製造して使用してみないとどのような特性かがわからない場合が多々発生し、いわゆる歩留まりが悪い状態であった。
吸収体収納室と実質密閉インク室との負圧が適切に維持・保持された負圧バランスの構成のとれたインクカートリッジの開発が望まれるが、上記現象を解析すると、インクカートリッジ内の負圧は、吸収体収納室へ充填されるインク吸収体の毛管力例えば密度や充填精度によって大きく影響することが判明した。特に、吸収体収納室へインク吸収体を充填するとき、必ずといってよいほど、充填されたインク吸収体には目では判別し難い種々の形状の皺が発生する傾向がある。さらに、上記の皺は、仕切り壁の近傍においてはその仕切り壁に沿って縦方向に発生する傾向がある。
そして、記録装置のヘッドからインクを吸引すると、発生した充填時の皺がインクや空気の流路を形成してしまう。すると、吸収体収納室内の負圧力が低下しインク室との負圧バランスが崩れてインク漏れやインク供給過多を招くことになる。そこで、インク漏れを抑制するために容器内の負圧力を大きく設計すると、逆にインクの供給不足が生じインクかすれが発生する。さらに、発生した皺が目で判別可能場合は、充填のやり直しが行われることになり歩留まりや生産効率に影響することになる。
また、急激な温度変化によってインクカートリッジがヒートサイクルを起こしても、負圧バランスが良好であれば、インク室内のインク全てが吸収体収納室内に移動してもそのインクを吸収保持するだけの容積を有していれば、インク漏れを起こすことはない。そのため、インクカートリッジのインク室の容積を少なくし、吸収体収納室の容積を大きくすることが考えられる。ヒートサイクルとは、昼夜の温度差によりインク室内(特にインク室内の空気)が熱膨張と収縮が繰り返される現象である。
インク室の容積を少なくすることは、インク室を仕切る仕切り壁がインク吐出口から離れた位置に配置され、インク室からインク吐出口までの間の距離が長くなるので(即ち、インク吸収材の距離が長くなるので)その間の負圧を大きくすることに繋がり、インク吐出口からのインク漏れを抑制する効果が得られるが、しかし、負圧が大きくなりすぎるとインク供給不足を招くことにも繋がる。要するに、インク室とインク吸収体が充填された吸収体収納室との負圧バランスを良好に維持し気液交換がスムーズに行われるように設計することが肝要である。
ところで、インク室の容積を少なくすることはユーザにとってはインク量が少なくなった分、印刷枚数が減少することになり損失を被ることになる。製造メーカにとっては、実質インク量を少なくして販売することになるので利益に繋がるが、このような状況はユーザには良く知られていないことである。
本発明者は上記問題点に鑑み、インクカートリッジが外気開放部とインク吐出口を備え自由状態でインクを収容するインク室とインクを吸収するインク吸収体が収納された吸収体収納室とが仕切り壁で仕切られている実質密閉インク室2室の構造を備えた従来のインクカートリッジについて鋭意研究した結果、インク吸収体が収納された吸収体収納室内の負圧の形成と温度変化によるインク室内の体積膨張(ヒートサイクル)が起因して単に吐出口からインクが漏れるという問題だけでなく、詳細には後述するが、新たな挙動現象を見出したことによって本発明を完成されたものである。
即ち、インクカートリッジを記録装置に装着し、印刷を行った後インクカートリッジを記録装置に装着した状態で次の印刷の機会まで放置した場合に、室内温度(記録装置内温度)が変化して室内温度が上昇すると、自由状態でインクを収容するインク室(実質密閉インク室)内の特に空気の体積膨張が起こる。
このとき、インク吸収体が収納された吸収体収納室内の負圧力が少ない(負圧バランスが良好に保持されていない)と、この体積膨張した圧力をインク吸収体を介して大気口側に逃がすことができなくなり、インク吐出口側に体積膨張した圧力が移行してインク漏れをもたらす。そして記録装置のヘッド部に過剰インクが滞留することになる。そうすると、そのインクが隣のインクカートリッジの吐出口へ流出移動し、その隣のインクカートリッジのインク室へ逆吸引してインクの混色を起こすという現象が見られた。また、室内温度上昇後に室内温度が下降すると、自由状態でインクを収容するインク室(実質密閉インク室)内の空気の体積収縮が起こり上記インク混色の発生がさらに著しくなるという現象が見られた。この現象は、カラーインクのインクカートリッジが複数装着される場合の現象である。
上記したインク混色現象は、吸収体収納室内の負圧力が少ないと起こりやすいという傾向に付随して、インク供給過多による場合や、吸収体収納室内が適宜の負圧力があっても、インクカートリッジのヒートサイクルが頻繁に起ったり、その大きさが著しい場合や、例えば記録装置に装着使用しているときにインク吸収体室内のインク吸収体に皺が発生したり、インク吸収体と容器壁との間に隙間が発生したりして、吸収体収納室と実質密閉インク室との気液交換がスムーズに行われなくなると、負圧バランスが崩れ種々の問題を発生する。
上記の混色発生は、たとえ記録装置のヘッドにインクの滞留があっても負圧バランスが安定していれば、即ち気液交換が正常に行われる負圧バランスが保持されていれば、著しく低下する傾向が見られる。また、本発明者は、上記混色発生はインク室底部と仕切り壁とに発生するインクのメニスカスが作用して、インク室の負圧が高くなりすぎたために気液交換がスムーズに行われないことも要因であることが判った。
さらに、上記インク混色発生に起因する負圧バランスについては、インク供給によるインク室内の負圧変動を速やかに復帰させて正常な負圧バランスとすることが重要な課題であるという知見に至った。また、インク混色発生に起因するインク室内の体積膨張についても、早く回復させることができる負圧バランスの取れた構成のインクカートリッジとすることが肝要であると本発明者は認識した。
また、負圧発生部材の挿入は圧接が必須で壁面に対しての密着性を確保し、所定の気体導入路に気体が導入されるまで気体を案内しないで密着性を保つことが重要であるとされてきた。しかし本発明者は、逆転の発想で、気体を、気体導入路まで積極的に誘導することが上記課題を越えるための最大の解決策であるという知見を得た。
本発明は、上述したように、インクカートリッジが外気開放部とインク吐出口を備え自由状態でインクを収容するインク室とインクを吸収するインク吸収体が収納された吸収体収納室とが仕切り壁で仕切られている実質密閉インク室2室の構造を備えたインクカートリッジが抱える問題、即ち、昼夜の温度差によりインク室内(特にインク室内の空気)が熱膨張と収縮が繰り返される現象のヒートサイクルが起こってもインク漏れが起こらない、負圧バランスが良好で気液交換の安定したインクカートリッジの構成とすることを第1の課題とし、インク漏れがない良好な印刷ができるインクカートリッジを提供することを目的とする。
また、本発明はさらに、上記第1の課題に付随して、ヒートサイクルが起こっても、記録装置に複数装着されるインクカートリッジの混色問題が解決された負圧バランスの安定したインクカートリッジを提供することを第2の課題とし、混色を起こさない良好な印刷ができるインクカートリッジを提供することを目的とする。
この目的は、特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。特に、本発明者は、ヒートサイクルがもたらすインク漏れやインク供給過多のインクが記録装置の記録ヘッドを介して隣のインクカートリッジの吐出口へ流出移動し、そのインクが逆吸引されてインクの混色を起こすというインク吐出口と記録ヘッドとの新たな挙動現象を見出したこと、また、逆転の発想で、気体を、気体導入路まで積極的に誘導することでヒートサイクルがもたらすインク漏れという問題を解決するための最大の解決策であるという知見を得たことにより完成されたものである。
即ち、本発明の第1の発明は、外気開放部とインク吐出部とを備えインクを吸収するインク吸収体が収納された吸収体収納室と、インクを自由状態で実質密閉収容するインク室と、前記インク室と前記吸収体収納室とを下方側で連通させる連通部を備えると共に前記インク室と前記吸収体収納室とを仕切る仕切り壁と、を備えたインクカートリッジであって、
前記吸収体収納室に対して、前記連通部よりも上部にある前記インク吸収体に対向して位置し前記インク室内に外気を導入するための外気導入路の外気取入れ部と、前記外気取入れ部に対して外気を案内するための外気案内路と具備し、前記外気取入れ部は、前記仕切り壁から前記吸収体が挿入時に形成されるシワが発生する領域を離れた位置であり、前記外気導入路が前記吸収体収納室の側壁の外側に設けられたことを特徴とするインクカートリッジである。
本発明の第2の発明は、外気開放部とインク吐出部とを備えインクを吸収するインク吸収体が収納された吸収体収納室と、インクを自由状態で実質密閉収容するインク室と、前記インク室と前記吸収体収納室とを下方側で連通させる連通部を備えると共に前記インク室と前記吸収体収納室とを仕切る仕切り壁と、を備えたインクカートリッジであって、
前記吸収体収納室に対して、前記連通部よりも上部にある前記インク吸収体に対向して位置し前記インク室内に外気を導入するための外気導入路の外気取入れ部と、前記インク吸収体を圧縮すると共に前記連通部と前記インク吐出部とを結ぶ直線上に位置する迂回障害部とを具備し、前記外気取入れ部は、前記仕切り壁から前記吸収体が挿入時に形成されるシワが発生する領域を離れた位置であり、前記外気導入路が前記吸収体収納室の側壁の外側に設けられたことを特徴とするインクカートリッジである。
本発明の第3の発明は、外気開放部とインク吐出部とを備えインクを吸収するインク吸収体が収納された吸収体収納室と、インクを自由状態で実質密閉収容するインク室と、前記インク室と前記吸収体収納室とを下方側で連通させる連通部を備えると共に前記インク室と前記吸収体収納室とを仕切る仕切り壁と、を備えたインクカートリッジであって、
前記吸収体収納室に対して、前記連通部よりも上部にある前記インク吸収体に対向して位置し前記インク室内に外気を導入するための外気導入路の外気取入れ部と、前記外気取入れ部に対して外気を案内するための外気案内路と、前記インク吸収体を圧縮すると共に前記連通部と前記インク吐出部とを結ぶ直線上に位置してインク供給を迂回せしめる障害部とを具備し、前記外気取入れ部は、前記仕切り壁から前記吸収体が挿入時に形成されるシワが発生する領域を離れた位置であり、前記外気導入路が前記吸収体収納室の側壁の外側に設けられたことを特徴とするインクカートリッジである。
本発明の第の発明は、第1の発明乃至第3の発明に記載の前記外気導入路が複数備えられていることを特徴とするインクカートリッジである。
本発明の第の発明は、第1の発明乃至第3の発明のいずれかに記載の前記外気取入れ部が複数備えられていることを特徴とするインクカートリッジである。
本発明の第の発明は、第の発明又は第3の発明に記載の前記障害部が前記吸収体収納室の底部に備えられていることを特徴とするインクカートリッジである。
本発明の第の発明は、第1の発明乃至第の発明のいずれかに記載の前記インク吸収体が複数部材で構成されていることを特徴とするインクカートリッジである。
本発明の第1の発明であるインクカートリッジは、特に前記吸収体収納室に対して、前記連通部よりも上部にある前記インク吸収体に対向して位置し前記インク室内に外気を導入するための外気導入路の外気取入れ部と、前記外気取入れ部に対して外気を案内するための外気案内路とを具備し、前記外気取入れ部は、前記仕切り壁から前記吸収体が挿入時に形成されるシワが発生する領域を離れた位置であり、前記外気導入路が前記吸収体収納室の側壁の外側に設けられた構成とし外気取入れ部から外気導入路まで積極的に外気を誘導している。そのため、インクカートリッジの外気開放部から導入される外気が前記外気案内部を介して前記外気取入れ部にスムーズに外気が導入され、外気導入路を経由して前記吸収体収納室と前記インク室との気液交換がスムーズに行うことができるという効果を奏する。
また、インク吸収体の充填時発生するインク吸収体への横方向の皺や仕切り壁の近傍であって縦方向にできる隙間皺が発生し目で判別しがたい状態であっても、本発明は、前記外気案内路を設けたことで前記発生した皺に影響されることがなく、また、外気取入れ部を設けたことで、前記仕切り壁近傍に発生する隙間に影響されることなく、前記外気取入れ部にスムーズに外気を導くことができる構成である。したがって負圧バランスの良好なインクカートリッジを提供できるという効果を奏する。さらに上記に付随して、ヒートサイクルが起こってもインク室のインクが外気導入路を経由して外気取入れ部から外気案内路側に流出されて圧力開放されるのでインク吐出部からのインク漏れを起こさないという効果を奏する。
本発明の第2の発明であるインクカートリッジは、特に、前記吸収体収納室に対して、前記連通部よりも上部にある前記インク吸収体に対向して位置し前記インク室内に外気を導入するための外気導入路の外気取入れ部と、前記インク吸収体を圧縮すると共に前記連通部と前記インク吐出部とを結ぶ直線上に位置する迂回障害部とを具備し、前記外気取入れ部は、前記仕切り壁から前記吸収体が挿入時に形成されるシワが発生する領域を離れた位置であり、前記外気導入路が前記吸収体収納室の側壁の外側に設けられた構成とし、インク室のインクがインク吐出部に向かって直線的に流入しないようにしている。そのため、ヒートサイクルが起こった場合のインク室のインクは、インク吸収体の上部に迂回されて圧力開放されることになる。したがって、ヒートサイクルが起こってもインク吐出部に向かって直線的に流入されることがないので、インク吐出部からのインク漏れを起こすことが無いという効果を奏する。
本発明の第3の発明であるインクカートリッジは、前記吸収体収納室に対して、前記連通部よりも上部にある前記インク吸収体に対向して位置し前記インク室内に外気を導入するための外気導入路の外気取入れ部と、前記外気取入れ部に対して外気を案内するための外気案内路と、前記インク吸収体を圧縮すると共に前記連通部と前記インク吐出部とを結ぶ直線上に位置してインク供給を迂回せしめる障害部とを具備し、前記外気取入れ部は、前記仕切り壁から前記吸収体が挿入時に形成されるシワが発生する領域を離れた位置であり、前記外気導入路が前記吸収体収納室の側壁の外側に設けられた構成としている。そのため、インクカートリッジの外気開放部から導入される外気が前記外気案内部を介して前記外気取入れ部にスムーズに外気が導入され、外気導入路を経由して前記吸収体収納室と前記インク室との気液交換がスムーズに行うことができるという効果を有する。
さらに、前記連通部と前記インク吐出部とを結ぶ直線上に位置してインク供給を迂回せしめる障害部を設けているので、インク室のインクがインク吐出部に向かって直線的に流入しないようにしている。そのため、ヒートサイクルが起こった場合でも、インク室のインクは、インク吸収体の上部に迂回されて圧力開放されることになる。したがって、ヒートサイクルが起こってもインク吐出部に向かって直線的に流入されることがないので、インク吐出部からのインク漏れを起こすことが無いという効果を有する。
また、本発明の第3の発明であるインクカートリッジは、上述したように第1の発明の構成と第2の発明の構成を相乗した構成としているので、上述した第1の発明及び第2の発明の効果に加えて、より相乗的な効果を奏することができる。具体的には、上述したようにインク吸収他の充填時に種々の皺が発生した場合であっても、インクカートリッジの外気開放部2から導入される外気が前記外気案内部を介して前記外気取入れ部にスムーズに外気が導入され前記吸収体収納室と前記インク室との負圧バランスが良好になり、気液交換がスムーズに行うことができること、また、ヒートサイクルが起こった場合でも、インク室のインクは、インク吸収体の上部に迂回されて圧力開放されることになるのでインク吐出部からのインク漏れを起こすことが無いこと、という相乗効果が得られる。
さらに、本発明第1の発明乃至第3の発明のインクカートリッジは、上述の構成としているのでヒートサイクルが起こったとしても、負圧バランスが良好で気液交換をスムーズに行うことができてインク吐出部からのインク漏れを起こすことが無いので、上記の効果に付随して複数のインクカートリッジを装着した場合に起こりうるヘッドでのインク混色を起こすことが無いという優れた効果を奏する。
要するに、本発明は上述したように、外気を外気導入路まで積極的に誘導するという逆転の発想から生まれたものであって、インクカートリッジが外気開放部とインク吐出部を備え自由状態でインクを収容するインク室とインクを吸収するインク吸収体が収納された吸収体収納室とが仕切り壁で仕切られている実質密閉インク室2室の構造を備えたインクカートリッジが抱える問題、即ち、昼夜の温度差によりインク室内(特にインク室内の空気)が熱膨張と収縮が繰り返される現象のヒートサイクルが起こってもインク漏れが起こらない、負圧バランスが良好で気液交換の安定したインクカートリッジの構成とするという第1の課題を解決し、インク漏れがない良好な印刷ができるインクカートリッジを提供するという目的を達成することができるという優れたものである。
また、本発明はさらに、上記第1の課題に付随して、ヒートサイクルが起こっても、記録装置に複数装着されるインクカートリッジの混色問題が解決された負圧バランスの安定したインクカートリッジを提供するという第2の課題を解決し、混色を起こさない良好な印刷ができるインクカートリッジを提供するという目的を達成することができるという優れたものである。
本発明の第1の実施形態例を示す模式図である。 本発明の第1の他の実施形態例を示す模式図である。 本発明の第2の実施形態例を示す模式図である。 本発明の第3の実施形態例を示す模式図である。 本発明の知見であるインク混色を説明する模式図である。 本発明の知見であるインク混色を説明する模式図である。 本発明の知見であるインク混色を説明する模式図である。 本発明の知見であるインク混色を説明する模式図である。 本発明の知見であるインク混色を説明する模式図である。 本発明の知見であるインク混色を説明する模式図である。 本発明の構成例を示す模式図である。 本発明の構成例を示す模式図である。
(本発明の第1の実施の形態例)
以下に、本発明の第1の実施の形態例を図1に基づいて説明する。図1Aは、本発明の第1の実施の形態例を示す模式図である。
本発明の第1の実施の形態例は本発明の第1の構成を例示するものであって、外気開放部2とインク吐出部3とを備えインクを吸収するインク吸収体13が収納された吸収体収納室6と、インクを自由状態で実質密閉収容するインク室5と、前記インク室と前記吸収体収納室とを下方側で連通させる連通部7を備えると共に前記インク室5と前記吸収体収納室6とを仕切る仕切り壁8と、を備えたインクカートリッジであって、前記吸収体収納室6に対して、前記連通部7よりも上部にある前記インク吸収体13に対向して位置し前記インク室内に外気を導入するための外気導入路11の外気取入れ部10と、前記外気取入れ部10に対して外気を案内するための外気案内路9と具備し、前記外気取入れ部10は、前記仕切り壁8から前記吸収体13が挿入時に形成されるシワが発生する領域を離れた位置であり、前記外気導入路11が前記吸収体収納室6の側壁の外側に設けられたことを特徴とするインクカートリッジ1である。
さらに詳しくは、本発明のインクカートリッジ1は、インクカートリッジ1の上部に外気開放部2と底部にインク吐出部3と、自由状態でインクを収容するインク室5とインクを吸収するインク吸収体13が収納された吸収体収納室6とを有し、前記インク室5と前記吸収体収納室6とが仕切り壁8で仕切られている実質密閉インク室5を含む2室の構造を有している。また前記インク室5と前記吸収体収納室6とを仕切る前記仕切り壁8の底部には、前記インク室5のインクが前記吸収体収納室6に流出するための連通部7を有し、前記連通部7は前記仕切り壁8の底部と前記インク室5の底壁との間に設けられている。
前記吸収体収納室6には、外気開放部2と繋がる空間部4を有し、前記吸収体収納室6の上部から中間域まで形成される外気案内部9と前記中間域より下方に外気取入れ部10が備えられている。前記外気案内部9は前記外気空間部4と連通して前記吸収体収納室6の側壁に好ましく形成することができる。また、前記外気案内部9は一つ形成することもできるが複数形成することが好ましい。この場合、前記外気案内部9は前記吸収体収納室6の上部から底部に向けて中間域まで垂直状に形成しても傾斜して形成しても良い。また、前記外気案内部9を複数形成する場合は、例えば前記吸収体収納室6の両側壁に均等に形成することが好ましい。この前記外気案内部9の形成は、前記外気開放部2の位置を勘案して前記外気取入れ部10に誘導するように適宜設計することができる。
前記外気取入れ部10は、前記仕切り壁8から少なくとも5mm離れた位置に形成することが好ましい。これは、前記吸収体収納室6にインク吸収体13を充填するときに、インク吸収体13と仕切り壁8の間の壁際に沿って目では判別し難い皺が形成されやすく、また、インクカートリッジ1を印刷装置に装着しして印刷を行っている間に、前記形成された皺がインク吸収体13と仕切り壁8の間において大きくなって壁際隙間を形成することがあるからである。
即ち、前記したように仮に壁際の皺や隙間が発生したとしても、本発明の構成である前記外気取入れ部10を前記仕切り壁8から少なくとも5mm離れた位置に形成すれば、発生した皺や隙間の影響を受けることなく、インクカートリッジ1の外気開放部2から導入される外気が前記外気案内部9を介して前記外気取入れ部10にスムーズに空気が導入され前記吸収体収納室6と前記インク室5との負圧バランスが良好になり、気液交換がスムーズに行うことができるからである、また、本発明は、インク吸収体の充填時に発生するインク吸収体への横方向の皺並びに仕切り壁の近傍であって縦方向に発生した隙間皺が目で判別しがたい状態であっても、前記外気案内路を設けたことで前記発生した横方向の皺に影響されることがなく、また、外気取入れ部を設けたことで、前記仕切り壁近傍に発生する隙間皺に影響されることなく、前記外気取入れ部にスムーズに外気を導くことができる構成となっている。
また、前記吸収体収納室6は、前記外気案内部9の下端部より下部側であって前記吸収体収納室6のインク吸収体13の中間域より下部側に前記外気取入れ部10が形成されている。この前記外気取入れ部10は後述する前記インク室5に形成されている気液交換部12と外気導入路11を介して連通している構成となっている。また前記外気取入れ部10は、前記吸収体収納室6の側壁に好ましく複数形成することができる。また、前記外気取入れ部10を複数形成する場合は、例えば前記吸収体収納室6の両側壁に均等に形成することが好ましい。この前記外気取入れ部10の形成は、前記外気案内部9の下端部の位置を勘案して適宜設計することができる。
また、前記吸収体収納室6に収納されるインク吸収体13は前記吸収体収納室6の上部に一部の空間部4を形成して充填することができる。そして前記インク吸収体13は前記空間部4を除いて前記吸収体収納室6の壁面に密接して充填されている。この前記インク吸収体13によってインクカートリッジ1内の負圧が形成されている。また、前記インク吸収体13は1部材で構成してもよく複数部材で構成することもできる。前記インク吸収体を複数で構成する場合は、例えば、インク室4内のインクの流路抵抗がインク吐出部3に向かって大きくなるように負圧を形成する場合において、負圧力の異なる複数のインク吸収体13を組み合わせて構成することができる。このような構成にすることにより、インク吐出部3に向かってインクの流路抵抗を多段に設計することができ、外気開放部2からの空気の導入と気液交換がスムーズに行われるとともに、インク吐出部3からのインク漏れやインク供給過多を防止する効果に寄与することができる。
また、前記インク室5の側壁底部には前記インク室5のインクと前記外気開放部2から導入される外気が前記外気取入れ部10を介して前記インク室内5に気液交換される前記気液交換部12が形成されている。上述した、前記外気取入れ部10、前記外気導入路11及び前記気液交換部12各々は、図10及び図11に図示するように、インク室4の外部側壁に形成して表面をフイルム39で密封封止して形成することができる。そして、前記外気取入れ部10はインク吸収体13に当接して前記吸収体収納室6内に連通した構成となっている。
また、前記気液交換部12は前記インク室5内に連通した構成になっている。そして前記外気取入れ部10と前記気液交換部12とは、前記外気導入路11を介して連通する構成となっている。また、インクの消費とともに前記外気開放部2から導入される空気は、図10に図示する矢印のように、前記インク吸収体13を経由して前記外気取入れ部10に流出しさらに前記外気導入路11を経由し前記気液交換部12から前記インク室5に導入されて気液交換が行われる。
次に、上述したような本実施形態例のインクカートリッジ1のインク及び外気の流路順について以下に説明する。インクカートリッジ1を記録装置に装着して印刷を開始すると、記録装置のヘッド14からインクカートリッジ1のインク吸引が開始される。そうすると、まずインクカートリッジ1の装着初期においては、吸収体収納室6に充填されているインク吸収体13に吸収保持されているインクがインク吐出部3を経由してヘッド14に導かれる。そのときの外気の流路は、インクの流出に伴い吸収体収納室内の負圧バランスを保持するために外気開放部2から外気が吸収体収納室6内に流入される。
引き続いて印刷が行われると吸収体収納室6内に保持されているインクのインクレベルが下がって外気取入れ部10に達すると、前記ヘッド14へのインクの流路は、インク室5内のインクが連通部7から吸収体収納室6内のインク吸収体13に移動しながらインク吐出部3を経由してヘッド14に導かれる。このときの外気の流路はインク室5内のインクの消費に伴い外気開放部2から導入される外気は、外気案内部9及び吸収体収納室6内のインク吸収体13を経由して外気取入れ部10から外気導入路11並びに気液交換部12を経由して気液交換が行われる。このようにして、本発明のインクカートリッジは、インクの流出に伴い吸収体収納室6内及びインク室5内の負圧バランスを保持するための気液交換がスムーズに行われ、インク吐出部3からのインク漏れを起こすことなくまた、インク供給過多を起こすことなく良好な印刷を行うことができるという優れた効果を奏することができる。
上述したように構成された本実施態様の本発明のインクカートリッジ1は、インクカートリッジの外気開放部2から導入される外気が前記外気案内部9を介して前記外気取入れ部10にスムーズに外気が導入され前記吸収体収納室6と前記インク室との負圧バランスが良好になり、気液交換がスムーズに行うことができるという効果を奏する。したがってインク吐出部3からのインク漏れやインク供給過多が起こることなくヒートサイクルの安定したインクの混色が生じない構成のインクカートリッジを提供することができるという効果を奏する。さらに上記に付随して、インク漏れを起こさない、インクの混色を起こさない良好な印刷ができるインクカートリッジを提供することができるという効果を奏する。
(本発明の第1の他の実施の形態例)
図1Bに本発明の第1の他の実施の形態例を示す。図1Bは、前記図1Aに示した本発明の第1の実施の形態例の変形例であって、前外気記案内部9が吸収体収納室の両側壁に各2個形成されたものであるが、前記気記案内部9の長さが異なり、一方がより外気取入れ部10に近接して形成された例である。このような実施態様も本発明に含まれる。このように、本発明の構成である前外気記案内部9の形成は種々の形態を採用することができる。
(本発明の第2の実施の形態例)
次に、本発明の第2の実施の形態例を図2に基づいて説明する。図2は本発明の第2の実施の形態を示す模式図である。
本発明の第2の実施の形態例は本発明の第2の構成を例示するものであって、外気開放部2とインク吐出部3とを備えインクを吸収するインク吸収体13が収納された吸収体収納室6と、インクを自由状態で実質密閉収容するインク室5と、前記インク室5と前記吸収体収納室6とを下方側で連通させる連通部7を備えると共に前記インク室5と前記吸収体収納室6とを仕切る仕切り壁8と、を備えたインクカートリッジ1であって、
前記吸収体収納室6に対して、前記連通部7よりも上部にある前記インク吸収体13に対向して位置し前記インク室5内に外気を導入するための外気導入路11の外気取入れ部10と、前記インク吸収体13を圧縮すると共に前記連通部7と前記インク吐出部3とを結ぶ直線上に位置する迂回障害部15とを具備し、前記外気取入れ部10は、前記仕切り壁8から前記吸収体13が挿入時に形成されるシワが発生する領域を離れた位置であり、前記外気導入路11が前記吸収体収納室6の側壁の外側に設けられた構成としている。
さらに詳しくは、本発明の第2の実施の形態例である本発明のインクカートリッジ1は、前述した本発明の第1の実施の形態例の他の態様であって、前記本発明の第1の実施態様例で説明したように、前記吸収体収納室6の外面側壁に前記外気取入れ部10が形成された構成である。この前記外気取入れ部10は前記したように前記仕切り壁8から少なくとも5mm以上離なれた位置に形成することが好ましい。そしてさらに、前記インク吸収体13を圧縮すると共に前記連通部7と前記インク吐出部3とを結ぶ直線上に位置する迂回障害部15とが形成された構成とし、前記外気取入れ10は、前記仕切り壁8から前記吸収体13が挿入時に形成されるシワが発生する領域を離れた位置であり、前記外気導入路11が前記吸収体収納室6の側壁の外側に設けられている。即ち、本実施の態様例は前記外気取入れ部10と、前記インク吸収体13を圧縮すると共に前記連通部7と前記インク吐出部3とを結ぶ直線上に位置する迂回障害部15が形成されているところが特に特徴を有する。
上述したように、前記吸収体収納室6に対して、前記連通部7よりも上部にある前記インク吸収体13に対向して位置し前記インク室5内に外気を導入するための外気導入路11の外気取入れ部10と、前記インク吸収体13を圧縮すると共に前記連通部7と前記インク吐出部3とを結ぶ直線上に位置する前記迂回障害部15とを具備する構成として、前記インク室5のインクが前記インク吐出部3に向かって直線的に流入しないような構成としている。そのため、ヒートサイクルが起こった場合の前記インク室5のインクは、前記インク吸収体13の上部に迂回されて圧力開放されることになる。したがって、ヒートサイクルが起こっても前記インク吐出部3に向かって直線的に流入されることがないので、インク吐出部3からのインク漏れを起こすことが無いという効果を奏することができる。
また、前記外気取入れ部10は、前記仕切り壁8から少なくとも5mm離れた位置に形成されているので、前記したように仮に壁際の皺や隙間が発生したとしても、発生した皺や隙間の影響を受けることなく、インクカートリッジ1の外気開放部2から導入される外気が前記外気案内部9を介して前記外気取入れ部10にスムーズに空気が導入され前記吸収体収納室6と前記インク室5との負圧バランスが良好になり、気液交換がスムーズに行うことができる。
本実施形態例では、前記迂回障害部15は前記吸収体収納室6内の底部であって前記連通部7と前記インク吐出部3の間に形成し、前記インク室5のインクが前記インク吐出部3に直接流入しないように、即ち、矢印のように、インク供給路を前記吸収体収納室6内の上部に迂回させるように配置されている。この前記迂回障害部15を備えることにより、前記吸収体収納室6内に充填される前記インク吸収体が前記迂回障害部15の周囲に圧接して密接されるため前記迂回障害部15の周囲は負圧力がその周辺の前記インク吸収体13より高められた構成になっている。このような構成とすることにより、前記インク室5内のインク供給路が前記インク吐出部3に直接流入することがなく前記体収納室6内の上部に迂回して前記インク吸収体13の毛管力に保持されて前記吸収体収納室6と前記インク室5との負圧バランスが良好に維持されつつ気液交換がスムーズに行われる。
次に、上述したような本発明の第2の実施形態例のインクカートリッジ1のインク及び外気の流路順について以下に説明する。インクカートリッジ1を記録装置に装着して印刷を開始すると、記録装置のヘッド14からインクカートリッジ1のインク吸引が開始される。そうすると、まずインクカートリッジ1の装着初期においては、前記吸収体収納室6に充填されている前記インク吸収体13に吸収保持されているインクが前記インク吐出部3を経由して前記ヘッド14に導かれる。そのときの外気の流路は、インクの流出に伴い前記吸収体収納室6内の負圧バランスを保持するために前記外気開放部2から外気が前記吸収体収納室6内に流入される。
引き続いて印刷が行われると前記吸収体収納室6内に保持されているインクのインクレベルが下がって前記外気取入れ部10に達すると、前記ヘッド14へのインクの流路は、第2図に図示する矢印のように、前記インク室5内のインクが前記連通部7から前記吸収体収納室6内の前記インク吸収体13の上部に迂回するように移動しながら前記インク吐出部3を経由して前記ヘッド14に導かれる。このときの外気の流路は前記インク室5内のインクの消費に伴い前記外気開放部2から導入される外気は、吸前記収体収納室6内の前記インク吸収体13を経由して前記外気取入れ部10から前記外気導入路11並びに前記気液交換部12を経由して気液交換が行われる。
本発明の第2に実施形態例のインクカートリッジ1は、上述したような構成としているので、インクカートリッジ1の前記外気開放部2から導入される外気が前記仕切り壁8の影響を受けることなく前記外気取入れ部10にスムーズに外気が導入され前記吸収体収納室6と前記インク室5との負圧バランスが良好になり気液交換がスムーズに行うことができる。
本発明は上述したように、ヒートサイクルが起こっても、インク室5からのインクが前記連通部7を通過した後前記迂回障害部15の上部側に迂回させることができる。即ち、ヒートサイクルが起こり前記インク室5内の体積膨張があってもその圧力は、図2に図示する矢印のように、前記迂回障害部15上部側に迂回して前記インク吸収体13を収納した前記吸収体収納室6側に圧力開放されインク吐出部3からのインク漏れが生じないから、さらに、記録装置に複数装着されるインクカートリッジのインク混色問題が生じないという付随効果を奏することができる。
(本発明の第3の実施の形態例)
次に、本発明の第3の実施の形態例を図3に基づいて説明する。図3は本発明の第3の実施の形態を示す模式図である。
本発明の第3の実施の形態例は、本発明の第3の構成を例示するものであって、外気開放部2とインク吐出部3とを備えインクを吸収するインク吸収体13が収納された吸収体収納室6と、インクを自由状態で実質密閉収容するインク室5と、前記インク室5と前記吸収体収納室6とを下方側で連通させる連通部7を備えると共に前記インク室と前記吸収体収納室6とを仕切る仕切り壁8と、を備えたインクカートリッジ1であって、
前記吸収体収納室6に対して、前記連通部7よりも上部にある前記インク吸収体13に対向して位置し前記インク室5内に外気を導入するための外気導入路11の外気取入れ部10と、前記外気取入れ部10に対して外気を案内するための外気案内部9と、前記インク吸収体13を圧縮すると共に前記連通部7と前記インク吐出部3とを結ぶ直線上に位置してインク供給を迂回せしめる障害部15とを具備し、前記外気取入れ部10は、前記仕切り壁8から前記吸収体13が挿入時に形成されるシワが発生する領域を離れた位置であり、前記外気導入路11が前記吸収体収納室6の側壁の外側に設けられた構成としている。
さらに詳しくは、本発明の第3の実施の形態例である本発明のインクカートリッジ1は、第1の発明の構成と第2の発明の構成を相乗した構成を例示したものである。本発明の第3の実施の形態例は、上述したように、第1の発明及び第2の発明の効果に加えて、より相乗的な効果を奏することができる実施形態例であって、前記吸収体収納室6に対して、前記連通部7よりも上部にある前記インク吸収体13に対向して位置し前記インク室5内に外気を導入するための外気導入路11の外気取入れ部10と、前記外気取入れ部10に対して外気を案内するための外気案内部9と、前記インク吸収体13を圧縮すると共に前記連通部7と前記インク吐出部3とを結ぶ直線上に位置してインク供給を迂回せしめる障害部15とを具備し、前記外気取入れ部10は、前記仕切り壁8から前記吸収体13が挿入時に形成されるシワが発生する領域を離れた位置であり、前記外気導入路11が前記吸収体収納室6の側壁の外側に設けられた構成としているところが、特に特徴を有する。
図3に図示するように、本発明の第3の実施の形態例のインクカートリッジ1は、インクカートリッジ1の上部に前記外気開放部2と底部に前記インク吐出部3とを備え、自由状態でインクを収容する前記インク室5とインクを吸収する前記インク吸収体13が収納された前記吸収体収納室6とを有し、前記インク室5と前記吸収体収納室6とが前記仕切り壁8で仕切られている実質密閉インク室を含む2室の構造を有している。また前記インク室5と前記吸収体収納室6とを仕切る前記仕切り壁8の底部には、前記インク室5のインクが前記吸収体収納室6に流出するための前記連通部7を有し、前記連通部7は前記仕切り壁8の底部と前記インク室4の底壁との間に設けられている。
前記吸収体収納室6には、前記吸収体収納室6の上部から中間域まで形成される前記外気案内部9と前記中間域より下方に前記外気取入れ部10が備えられている。前記外気案内部9は前記吸収体収納室6の側壁に好ましく形成することができる。また、前記外気案内部9は一つ形成することもできるが複数形成することが好ましい。この場合、前記外気案内部9は前記吸収体収納室の上部から底部に向けて中間域まで垂直状に形成しても傾斜して形成しても良い。また、前記外気案内部9を複数形成した場合にその長さは、外気取入れ部10の配置を勘案して適宜設計することができる。また、前記外気案内部9を複数形成する場合は、例えば前記吸収体収納室6の両側壁に均等に形成することが好ましい。この前記外気案内部9の形成は、前記外気開放部2の位置を勘案して適宜設計することができる。
また、前記吸収体収納室6は、前記外気案内部9の下端部より下部側であって前記吸収体収納室6の中間域より下部側に前記外気取入れ部10が前記中間域より下方に前記仕切り壁8から5mm以上離なれた位置に形成されている。この前記外気取入れ部10は後述する前記インク室5に形成されている気液交換部12と外気導入路11を介して連通している構成となっている。また前記外気取入れ部10は、前記吸収体収納室6の側壁に好ましく複数形成することができる。また、前記外気取入れ部10を複数形成する場合は、例えば前記吸収体収納室6の両側壁に均等に形成することが好ましい。この前記外気取入れ部10の形成は、前記外気案内部9の下端部の位置を勘案して適宜設計することができる。
上記のとおり、前記吸収体収納室6に備える前記外気取入れ部10が仕切り壁8から5mm以上離なれた位置に形成された構成としているので、インクカートリッジ1の外気開放部2から導入される空気が前記仕切り壁8とこの仕切り壁8と当接している前記吸収体収納室6内に充填されているインク吸収体13との界面の影響を受けることがなく、前記外気取入れ部10にスムーズに導入され前記吸収体収納室6と前記インク室5との負圧バランスが良好に維持しされ気液交換がスムーズに行うことができるという効果を奏する。
またさらに、上述の構成に加えて、前記吸収体収納室6には第3図に図示する矢印のように、前記吸収体収納室6に対して、前記連通部7よりも上部にある前記インク吸収体13に対向して位置し前記インク室5内に外気を導入するための外気導入路11の外気取入れ部10と、前記外気取入れ部10に対して外気を案内するための外気案内部9と、と、前記インク室5内のインクが前記連通部7から前記吸収体収納室6内の前記インク吸収体13を圧縮すると共に前記連通部7と前記インク吐出部3とを結ぶ直線上に位置してインク供給を迂回せしめる障害部15備えた構成となっている。
この前記障害部15は、前記吸収体収納室6の底部であって前記連通部7と前記インク吐出口3の間に形成し、前記インク室5のインクが前記インク吐出口3に直接流入しないように、即ち、第3図の矢印のように、インク供給路を前記吸収体収納室6内の上部に迂回させるように配置されている。この前記障害部15を備えることにより、前記吸収体収納室6内に充填される前記インク吸収体13が前記障害部15の周囲に圧接して密接されるため前記障害部15の周囲は負圧力がその周辺の前記インク吸収体13より高められた構成になっている。
このような構成とすることにより、前記インク室5内のインク供給路が前記インク吐出口3に直接流入することがなく前記体収納室6内の上部に迂回して前記インク吸収体13の毛管力に保持されて前記吸収体収納室6と前記インク室5との負圧バランスが良好に維持されつつ気液交換が行われ、記録装置の前記ヘッド14へのインク供給過多が生じることなくインク供給することができる。また、ヒートサイクルによる前記インク室5内の体積膨張が起こっても前記インク室5内の膨張圧力は前記インク吐出部3に直接流入することなく前記吸収体収納室6内の前記インク吸収体13にインクが吸収され、またその圧力は外気開放部2に開放されるので前記インク吐出部3からのインク漏れを起こすことがない。
次に、上述したような本発明の第3の実施形態例のインクカートリッジ1のインク及び空気の流路順について以下に説明する。インクカートリッジ1を記録装置に装着して印刷を開始すると、記録装置の前記ヘッド14からインクカートリッジ1のインク吸引が開始される。そうすると、まずインクカートリッジ1の装着初期においては、前記吸収体収納室6に充填されている前記インク吸収体13に吸収保持されているインクが前記インク吐出部3を経由して前記ヘッド14に導かれる。そのときの外気の流路は、インクの流出に伴い前記吸収体収納室6内の負圧バランスを保持するために前記外気開放部2から外気が前記吸収体収納室6内に流入される。
引き続いて印刷が行われると前記吸収体収納室6内に保持されているインクのインクレベルが下がって前記外気取入れ部10に達すると、前記ヘッド14へのインクの流路は、第3図に図示する矢印のように、前記インク室5内のインクが前記連通部7から前記吸収体収納室6内の前記インク吸収体13の上部に迂回するように移動しながら前記インク吐出部3を経由して前記ヘッド14に導かれる。このときの外気の流路は前記インク室5内のインクの消費に伴い前記外気開放部2から導入される外気は、前記外気案内部9及び前記吸収体収納室6内の前記インク吸収体13を経由して前記外気取入れ部10から前記外気導入路11並びに前記気液交換部12を経由して気液交換が行われる。
本発明の第3に実施形態例のインクカートリッジ1は、上述したような構成としているので、第1の発明の構成と第2の発明の構成を相乗した構成としているので、上述した第1の発明及び第2の発明の効果に加えて、より相乗的な効果を奏することができる。
即ち、インクカートリッジ1の前記外気開放部2から導入される外気が前記前記外気案内部9を介して前記外気取入れ部10にスムーズに外気が導入され前記吸収体収納室6と前記インク室5との負圧バランスが良好になり、気液交換がよりスムーズに行うことができるという効果を奏する。したがって前記インク吐出部3からのインク漏れやインク供給過多が起こることなくヒートサイクルの安定したインクの混色が生じない構成のインクカートリッジを提供することができるという効果を奏する。さらに上記に付随して、インク漏れを起こさない、インクの混色を起こさない良好な印刷ができるインクカートリッジを提供することができるという効果を奏する。
さらに、前記外気取入れ部10が前記吸収体収納室6の中間域より下方に前記仕切り壁8から5mm以上離なれた位置に形成されているので、インクカートリッジ1の前記外気開放部2から導入される外気が前記仕切り壁8に形成される皺や隙間の影響を受けることなく前記外気取入れ部10にスムーズに外気が導入され前記吸収体収納室6と前記インク室5との負圧バランスが良好になり気液交換がスムーズに行うことができるという効果を奏する。
またさらに、インク供給路を上部に迂回させる前記障害部15が前記吸収体収納室に備えられているので、上記の効果に付随して前記インク室5からのインクが前記連通部7を通過した後、前記障害部15の上部側の前記インク吸収体13に迂回させることができる。そのため印刷環境下の温度変化によって受けるヒートサイクル、即ち前記インク容器内の体積膨張があってもその膨張圧力は、前記障害部15上部側に迂回して前記インク吸収体13を収納した前記吸収体収納室側6に流出されるので前記インク吐出部3からのインク漏れが生じない。さらにインクの供給路を上述のように迂回しているのでインク供給過多になることもない。
したがって、負圧バランスが良好であって気液交換がスムーズに行うことができ、インクの混色を起こさない良好な印刷ができるインクカートリッジを提供することができるという効果を奏する。またさらに上記の効果に付随して、輸送中の衝撃や急激な温度変化があってもインク漏れを起こさない良好な印刷ができるインクカートリッジを提供することができるという効果を奏する。
上述したように、本発明のインクカートリッジの構成にすることによって上述の効果が得られるという優れた発明である。また、本発明の構成による吸収体収納室6内のインク吸収体13の充填において、横方向に多少の皺が発生した場合においても、インク吐出部3からのインク漏れやインク供給過多は見られず、インク混色の発生は生じなかった。また、インク吸収体13の充填において皺の発生がないものは、完全にインク漏れは生じなかった。したがってインク混色も全く生じなかった。
上述したように、本発明は、従来のインクカートリッジでは考えられないほどの画期的な効果を奏するものであって、通常では予期できないほどの効果を奏する優れた発明である。
(本発明の完成に至る新たなインク流れの挙動現象)
次に本発明の完成に至る新たなインク流の挙動現象、即ち、インクカートリッジの吸収体収納室の負圧力と実質密閉インク室との気液交換がスムーズでなかったり、吸収体収納室の負圧バランスが起因してインク漏れやインク過多が発生する傾向が見られ、そして発生したインク漏れやインク過多によるそのインクが記録装置の記録ヘッドを介して隣のインクカートリッジの吐出口へ流出移動し、その隣のインクカートリッジのインク室へインクが逆吸引してインクの混色を起こすという現象、即ち、インク吐出口と記録ヘッドとの新たなインク流れの挙動現象について図4から図7を参照して下記に詳細に説明する。
図4はインクカートリッジを記録装置に装着した状態でのインク漏れを起こしてインクの混色を起こす現象を模式的に示したものである。即ち、インクカートリッジ21の製作中に生じたインク吸収体32の皺34や、インクカートリッジ21を記録装置に装着して印刷を行っている印刷中に発生したインク吐出口23に向かって形成される前記インク吸収体32の前記皺34が、大気開放部22からの空気の案内路を形成し、そのことが原因で前記空気の案内路を介して空気が流出しやすくなり、即ちインク吸収体収納室26内の負圧が働かなくなり(負圧力が失われる)前記インク吐出口23からのインク漏れを起こす。このインク漏れの現象は前記インクカートリッジ21内のインク残量が多い場合に顕著である傾向が見られた。そしてさらに、漏れたインクが記録装置のヘッド部33に滞留し、そのインクが隣のインクカートリッジの吐出口へ流出移動して、その隣の前記インクカートリッジのインク室へ逆吸引してインクの混色を起こすという現象が見られた。
図5は、インクカートリッジ21を記録装置に装着した状態でのインク供給過多を起こしてインクの混色を起こす現象を模式的に示したものである。即ち、インクカートリッジ21の製作中に生じたインク吸収体収納室26内に充填されたインク吸収体32と仕切り壁28との間に発生した壁際隙間35(製作時の目視では発見が容易ではない)や、前記インクカートリッジ21を記録装置に装着して印刷を行っている印刷中に発生した前記インク吸収体32と前記仕切り壁28との間に発生した前記壁際隙間35が、大気開放部22からの早期空気導入を促し、前記インク吸収体収納室26と実質密閉インク室25との気液交換がスムーズに行われなくなりインク供給過多が起こる傾向が見られた。このインク供給過多は前記インクカートリッジ21内のインク残量が多い場合に顕著であるという現象が見られた。
そして、漏れたインクが前記と同様に記録装置のヘッド部33に滞留して、そのインクが隣のインクカートリッジの吐出口へ流出移動し、その隣の前記インクカートリッジのインク室へ逆吸引してインクの混色を起こすという現象が見られた。
図6は、インクカートリッジを記録装置に装着した状態でのヒートサイクルが起因してインク漏れが起こしてインクの混色を起こす現象を模式的に示したものである。即ち、インクカートリッジ21を記録装置に装着し、印刷を行った後前記インクカートリッジ21を記録装置に装着した状態で次の印刷の機会まで放置した場合に、室内温度(記録装置内温度)が変化して室内温度が上昇すると、自由状態でインクを収容するインク室25(実質密閉インク室)内の特に空気の体積膨張が起こる。このとき、インク吸収体32が収納されたインク吸収体収納室26内の負圧力が少ないと、この体積膨張を前記インク吸収体32を介在して大気開放部22側に逃がすことができなく、インク吐出口23側に体積膨張が移行し矢印のようにインク漏れが生じる傾向が見られた。そして、過剰インクが記録装置のヘッド部33に滞留して、そのインクが隣のインクカートリッジのインク吐出口へ流出移動し、その隣の前記インクカートリッジのインク室25へ逆吸引してインクの混色を起こすという現象が見られた。この場合もインクカートリッジ内のインク残量が多い場合に顕著であるという現象が見られた。
図7は、上述したように、インク吐出口23からのインク漏れや、インク供給過多、あるいはヒートサイクルによるインク漏れが記録装置のヘッド部33に過剰インクとして滞留し、そのインクが隣のインクカートリッジ21のインク吐出口へ流出移動してその隣のインクカートリッジのインク室へ逆吸引してインクの混色を起こすという現象を模式的に示したものである。図7に示した混色現象の模式図はヒートサイクル後のインク室25内の空気収縮がもたらすインク混色現象を図示したものである。上述したように、インク混色は、ヘッド部33に過剰に滞留したインクが隣のインク吐出口23に流出し、インク吸収体収納室26及び前記インク吐出口23が保持する負圧力により前記インク吸収体収納室26内へ逆吸引されて起こる現象であるが、図7に図示するように、ヒートサイクル後の前記インク室25内の空気が収縮した場合には、前記インク吸収体収容室26内へのインクの逆吸引が顕著に促進され前記インク室25内までインクが逆吸引されるのでインク混色の程度が著しくなるという現象が見られた。
図8及び図9は、インク室24とインク室25との間に仕切り壁28を有しその仕切り壁28の下部に仕切り壁溝部36を有する上記とは気液交換の構成が異なる他のインクカートリッジ21を記録装置に装着した状態でのインク供給過多やインク漏れを起こしてインクの混色を起こす現象を模式的に示したものである。即ち、前記インクカートリッジ21の製作中に生じたインク吸収体収納室26内に充填されたインク吸収体32の負圧力が少ない前記インクカートリッジに見られるインクの混色を起こす現象を模式的に示したものである。
通常このケースのインクカートリッジ21においてインク吸収体収納室26の負圧が十分備えられており、また負圧バランスが保持されている場合は、インクカートリッジ21を記録装置に装着して印刷を開始すると、記録装置のヘッド33部からインクカートリッジ21のインク吸引が開始される。そうすると、まずインクカートリッジ21の装着初期においては、前記インク吸収体収納室26に充填されている前記インク吸収体32に吸収保持されているインクが前記インク吐出口23を経由して前記ヘッド部33に導かれる。そのときの空気の流路は、インクの流出に伴い前記吸収体収納室6内の負圧バランスを保持するために前記外気開放部2から空気が前記吸収体収納室6内に流入される。
引き続いて印刷が行われると前記インク吸収体収納室26内に保持されているインクのインクレベルが下がって仕切り壁溝部36に達すると、前記ヘッド部33へのインクの流路は、前記インク室25内のインクが前記連通部27から前記インク吸収体収納室26内に移動しながら前記インク吐出口23を経由して前記ヘッド部33に導かれる。このときの空気の流路は前記インク室25内のインクの消費に伴い前記大気開放部22から導入される空気は、前記インク吸収体収納室26内の前記インク吸収体32から仕切り壁溝部36に移動して気液交換が行われる。
しかしながら、図8及び図9に例示したインクカートリッジの場合は、前記インク吸収体収納室26内に充填された前記インク吸収体32の負圧力が少ないインクカートリッジであるから、前記インクカートリッジ21を記録装置に装着して印刷を開始すると、記録装置のヘッド33部から前記インクカートリッジ21のインク吸引が開始されても前記インク吸収体収納室26のインクレベル38が低下しないで前記インク室25からのインクが先に連通部27から前記インク吸収体収納室26に流出移動しインク供給過多が起こるという現象が見られた。前記インク吸収体32の負圧力が少ないために、上記した正常な状態の気液交換が行われず、大気開放部22からの空気は前記仕切り壁溝部36に達する前に前記インク吸収体収納室26の底部の前記連通部27において気液交換が起きるという現象が見られた。この正常でない気液交換が起因してインク供給過多の現象が起こるものと認識された。
上記の現象は、前記インク室25のインクレベル38が下がるほど顕著であるという傾向が見られた。そして、漏れたインクが前記と同様に記録装置の前記ヘッド部33にインク溜まり37として滞留して、そのインクが隣のインクカートリッジ21のインク吐出口23へ流出移動し、その隣の前記インクカートリッジ21のインク室25へ逆吸引してインクの混色を起こすという現象が見られ、また、室内温度(記録装置内温度)が変化して室内温度が変動し、前記インク室25(実質密閉インク室)内の空気の体積膨張と体積収縮が起こるケースにおいて前記インク室25内へ逆吸引されてインク混色の程度が著しいという傾向が見られた。
上述したように、インク混色は、前記インク吸収体収納室26内の負圧力が少ない場合の前記インク吐出口23からのインク漏れや、インク供給過多による場合、あるいは、前記インク吸収体収納室26内が適宜の負圧力があっても、前記インクカートリッジ21のヒートサイクルが頻繁に起ったりするとインク混色に繋がるという現象、即ち前記インク吐出口23と記録装置の前記ヘッド部33との間の新たなインク流の挙動現象から生まれたものである。
本発明は上述したように、外気を外気導入路まで積極的に誘導するという逆転の発想から生まれたものであって、インクカートリッジが外気開放部とインク吐出部を備え自由状態でインクを収容するインク室とインクを吸収するインク吸収体が収納された吸収体収納室とが仕切り壁で仕切られている実質密閉インク室2室の構造を備えたインクカートリッジが抱える問題、即ち、昼夜の温度差によりインク室内(特にインク室内の空気)が熱膨張と収縮が繰り返される現象のヒートサイクルが起こってもインク漏れが起こらない、負圧バランスが良好で気液交換の安定したインクカートリッジの構成とするという第1の課題を解決し、インク漏れがない良好な印刷ができるインクカートリッジを提供するという目的を達成することができるという優れたものである。
また、本発明はさらに、上記第1の課題に付随して、ヒートサイクルが起こっても、記録装置に複数装着されるインクカートリッジの混色問題が解決された負圧バランスの安定したインクカートリッジを提供するという第2の課題を解決し、混色を起こさない良好な印刷ができるインクカートリッジを提供するという目的を達成することができるという優れたものである。
本発明は、上述した、インクカートリッジの吸収体収納室の負圧力と実質密閉インク室との気液交換や吸収体収納室の負圧が起因してインク漏れやインク過多がおこり、そのインクが記録装置の記録ヘッドを介して隣のインクカートリッジの吐出口へ流出移動し、その隣のインクカートリッジのインク室へインクが逆吸引してインクの混色を起こすという、インク吐出口と記録ヘッドとの新たな現象の知見も本発明に含まれる。
また、本発明は、上述したような実施の形態例に限定されることなく、上述した実施の形態例を適宜組み合わせるなど、本発明の構成を逸脱しない範囲で設計される事項は本発明に含まれる。
上記インク室及び、または上記吸収体収納室は、交換式であっても良く、実質的に両者が備えられる前の構成や備えられた構成に対して、本発明は実施可能であるから、本願発明の概念に含まれるものである。
本発明のインクカートリッジは、液体インクを消費する印刷装置に使用されるものであれば、インクの種類に関係なく種々のインクカートリッジに適用することができる。
1 インクカートリッジ
2 外気開放部
3 インク吐出部
4 空間部
5 インク室
6 吸収体収納室
7 連通部
8 仕切り壁
9 外気案内部
10 外気取入れ部
11 外気導入路
12 気液交換部
13 インク吸収体
14 ヘッド
15 迂回障害部(障害部)
21 インクカートリッジ
22 大気開放部
23 インク吐出口
24 空間部
25 インク室
26 インク吸収体収納室
27 連通部
28 仕切り壁
29 大気導入端
30 大気導入路
31 大気導出端
32 インク吸収体
33 ヘッド部
34 皺
35 壁際隙間
36 仕切り壁溝部
37 インク溜まり
38 インクレベル

Claims (7)

  1. 外気開放部とインク吐出部とを備えインクを吸収するインク吸収体が収納された吸収体収納室と、インクを自由状態で実質密閉収容するインク室と、前記インク室と前記吸収体収納室とを下方側で連通させる連通部を備えると共に前記インク室と前記吸収体収納室とを仕切る仕切り壁と、を備えたインクカートリッジであって、
    前記吸収体収納室に対して、前記連通部よりも上部にある前記インク吸収体に対向して位置し前記インク室内に外気を導入するための外気導入路の外気取入れ部と、前記外気取入れ部に対して外気を案内するための外気案内路と具備し、前記外気取入れ部は、前記仕切り壁から前記吸収体が挿入時に形成されるシワが発生する領域を離れた位置であり、前記外気導入路が前記吸収体収納室の側壁の外側に設けられたことを特徴とするインクカートリッジ。
  2. 外気開放部とインク吐出部とを備えインクを吸収するインク吸収体が収納された吸収体収納室と、インクを自由状態で実質密閉収容するインク室と、前記インク室と前記吸収体収納室とを下方側で連通させる連通部を備えると共に前記インク室と前記吸収体収納室とを仕切る仕切り壁と、を備えたインクカートリッジであって、
    前記吸収体収納室に対して、前記連通部よりも上部にある前記インク吸収体に対向して位置し前記インク室内に外気を導入するための外気導入路の外気取入れ部と、前記インク吸収体を圧縮すると共に前記連通部と前記インク吐出部とを結ぶ直線上に位置する迂回障害部とを具備し、前記外気取入れ部は、前記仕切り壁から前記吸収体が挿入時に形成されるシワが発生する領域を離れた位置であり、前記外気導入路が前記吸収体収納室の側壁の外側に設けられたことを特徴とするインクカートリッジ。
  3. 外気開放部とインク吐出部とを備えインクを吸収するインク吸収体が収納された吸収体収納室と、インクを自由状態で実質密閉収容するインク室と、前記インク室と前記吸収体収納室とを下方側で連通させる連通部を備えると共に前記インク室と前記吸収体収納室とを仕切る仕切り壁と、を備えたインクカートリッジであって、
    前記吸収体収納室に対して、前記連通部よりも上部にある前記インク吸収体に対向して位置し前記インク室内に外気を導入するための外気導入路の外気取入れ部と、前記外気取入れ部に対して外気を案内するための外気案内路と、前記インク吸収体を圧縮すると共に前記連通部と前記インク吐出部とを結ぶ直線上に位置してインク供給を迂回せしめる障害部とを具備し、前記外気取入れ部は、前記仕切り壁から前記吸収体が挿入時に形成されるシワが発生する領域を離れた位置であり、前記外気導入路が前記吸収体収納室の側壁の外側に設けられたことを特徴とするインクカートリッジ。
  4. 前記外気導入路が複数備えられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のインクカートリッジ。
  5. 前記外気取入れ部が複数備えられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のインクカートリッジ。
  6. 前記障害部が前記吸収体収納室の底部に備えられていることを特徴とする請求項3に記載のインクカートリッジ。
  7. 前記インク吸収体が複数部材で構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のインクカートリッジ。
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