JP5705376B2 - 光学的に走査するための装置、システム及び方法 - Google Patents

光学的に走査するための装置、システム及び方法 Download PDF

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レーザープリンター及び関連する光学イメージングシステムは、しばしば、光源によって生成された1つまたは複数のラスター走査光ビームを利用して画像(たとえば印刷された画像)を描画する。たとえば、初期のレーザープリンターは、典型的には、レーザーや類似の発光体によって生成されることが多い単一のラスター走査光ビームを利用していた。画像を描画するために、単一の光ビームを集束させて、光導電面上に照射スポットが形成された。光導電面を横断して照射スポットを走査させる際に、光ビームを変調して照射スポットを変調した。走査された照射スポットは、光導電面上の走査線に沿って潜像を露光して、走査線の長さに沿って相対的に帯電している表面領域と相対的に帯電していない表面領域のパターンを生成する。それらの帯電している領域と帯電していない領域に別様に付着するある種のトナーまたはインク(たとえば、固体または液体)を用いて、潜像が現像される。その後、潜像にしたがってパターン化されたトナーが、紙や類似の媒体に転写されて印刷された画像が描画される。
時とともに、印刷速度と全体的なスループットの向上への関心が高まったことによって、2つ以上の光ビームを提供するマルチビームレーザー走査ユニット(LSU)が使用されるようになってきた。マルチビームLSUを用いるプリンターでは、マルチビームの各々は、互いに独立して変調された照射スポットを生成する。そして、変調された個別の照射スポットの各々を用いて、光導電面に対応する別個の走査線を露光する。変調された照射スポットとその結果生じる個別の走査線の組み合わせによって、単一ビームLSUによって一般に可能な速さよりもはるかに速く印刷画像を生成することができる。しかしながら、複数の光ビームの使用は、光ビームを追加することによって印刷を速くすると同時にプリンターのスループットを高くすることができる一方で、単一ビームLSUにはないいつかの問題が生じさせる。たとえば、複数の光ビームを使用することに加えて、所望のもしくは目標とするスポットサイズ(以下、目標スポットサイズという)を有する照射スポットを生成し、同時に、走査線間(等価的には光導電面における照射スポット間)に、所望のもしくは目標とする間隔すなわち分離距離を維持する必要があるという問題がある。
照射スポットサイズの制御と有効な照射スポット間間隔の制御(すなわち、走査線の間隔のより適切な制御)の両方を、同時にかつ実質的に独立して達成する1つのアプローチは、照射スポットの直線状配列すなわち直線状パターンを光導電面の走査方向に対して傾斜させることである。具体的には、かかる傾斜を用いて、走査線間に目標とする間隔(以下、目標走査線間隔という)を確立するとともに、LSUの光学系を利用して、光導電面上に目標スポットサイズの照射スポットを個別に画定することができる。たとえば、約86.4°の傾斜角度を用いて、走査面における光走査方向にほぼ平行な照射スポットの傾斜した直線状パターンを生成し、これによって、約0.5mmという実際の照射スポット間隔に対して、約0.03125ミリメートル(mm)または約32ライン/mmの目標走査線間隔を達成することができる。さらに、傾斜角度を微調整することによって、走査線間隔を実質的に任意の量だけ調整することができる。
残念ながら、照射スポットの直線状パターンを傾斜させることによって、照射スポットのスポットサイズと間隔を独立して制御することが可能になる一方で、直線状パターンの傾斜によって、利用できる光ビームの実際の数が事実上制限されるという他の問題が生じる傾向がある。具体的には、焦点面の分離に起因して、光ビームの数及び実現可能な最大の走査幅(すなわち、走査線長)が大幅に制限される場合がある。尚、この場合、照射スポットの各々は、走査の間、別個の焦点面をたどり、それらの焦点面は、光学システムの焦点深度を超える距離だけ焦点方向(すなわち、軸方向)に分離される。さらに、傾斜した直線状パターンの結果として、マルチビームLSUのビームが走査方向に比較的広く広がる場合には、最終像において、多数のビームに対して許容できる光学収差補正を同時に行うことが難しくなる場合がある。
(追って補充)
以下の詳細な説明を添付の図面と併せて参照することによって、本明細書に記載されている原理にしたがういくつかの例の種々の特徴をより容易に理解することができる。図面において、同じ参照番号は、同じ構成要素を示している。
本明細書に記載されている原理の1例にしたがう、光エミッタアレイ走査装置の略図である。 本明細書に記載されている原理の1例にしたがう、図1Aの光エミッタアレイ走査装置の斜視図である。 本明細書に記載されている原理の1例にしたがう、走査面上の複数の照射スポットの平面図である。 本明細書に記載されている原理の1例にしたがう、複数のマイクロレンズの断面図である。 本明細書に記載されている原理の1例にしたがう、図2Aの断面方向に垂直な方向に切断したときの図2Aのマイクロレンズの断面図である。 本明細書に記載されている原理の別の例にしたがう、マイクロレンズの断面図である。 本明細書に記載されている原理の別の例にしたがう、図3Aの断面方向に垂直な方向に切断したときの図3Aのマイクロレンズの断面図である。 本明細書に記載されている原理の1例にしたがう、走査レンズの断面図である。 本明細書に記載されている原理の1例にしたがう、図4Aの断面方向に垂直な方向に切断したときの図4Aの走査レンズの断面図である。 本明細書に記載されている原理の1例にしたがう、レーザーアレイ走査システムのブロック図である。 本明細書に記載されている原理の1例にしたがう、光学的走査方法のフローチャートである。
いくつかの例は、添付の図面に記載されている特徴に加えて他の特徴を有しており、また、添付の図面に記載されている特徴に代えて他の特徴を有している。それらの特徴及び他の特徴については、添付の図面を参照して詳細に後述する。
本明細書に記載されている原理にしたがう例は、光エミッタの配列(アレイ)によって生成された複数の光ビームによる走査(スキャン)を提供する。具体的には、本明細書に記載されている原理の例にしたがって、光ビームのサイズとビーム間隔(等価的には、像平面における照射スポットサイズと照射スポット間隔)を、光エミッタアレイ走査において独立に決定することができる。スポットサイズとスポット間隔を独立して決定することによって、たとえば、最終像(または最終画像。以下同じ)における焦点面分離及び光学収差に起因する悪影響を受けることも、光学的効率をそれほど損なうこともなく、光ビームまたは照射スポットの数を容易に多くすることができる。さらに、インスキャン(in-scan)方向にほぼ垂直であるか、または、クロススキャン(cross-scan)方向もしくはプロセス方向(process direction)に実質的に平行である照射スポットの直線状配列を利用することができる。さらに、本明細書に記載されている原理の例にしたがって、リアルタイムの走査線間隔制御を行うために、照射スポット間隔を連続的に調整することができる。光エミッタ走査は、レーザープリンターや関連する光走査システムで使用されるマルチビームレーザー走査ユニット(LSU)(ただし、これには限定されない)を含む種々の分野で利用できる。
たとえば、複数の光ビーム走査を提供するために使用されるアキシャルイメージングシステム(axial imaging system)のタイプ(すなわち、単一の光軸を有する光学システム)のうちの典型的なイメージングシステムを考える。そのような典型的なイメージングシステムは、一般に、目標照射スポットサイズを実現すると共に、イメージングシステムについて許容できる光パワースループットを維持または達成するために、特定の倍率または第1の倍率を提供する。しかしながら、所与の利用可能なエミッタについて、該第1の倍率は、一般に、イメージングシステムによって生成される走査線の目標間隔に適合する照射スポット間隔を実現するのには適切ではない。具体的には、許容できる目標照射スポット間隔は、一般に、目標照射スポットサイズを達成するために使用される該第1の倍率とは異なる倍率を必要とする。そのため、照射スポット(または走査線)の目標間隔を達成するために第2の倍率が必要とされ、この必要とされる第2の倍率は、一般に、第1の倍率とは異なり、いくつかの例では、第1の倍率とは大きく異なる。残念ながら、近軸光学によれば、アキシャルイメージングシステムは、任意の所与の軸方向部分において唯一の倍率を有することができ、このため、第1の倍率と、該第1の倍率とは実質的に異なる第2の倍率の両方を有することはできない。
具体的には、アキシャルイメージングシステムは、(たとえば、平面鏡やプリズムなどに起因する)偏差を無視すれば、アキシャルイメージングシステムの光学面または光学要素の各々の曲率中心または別の対称中心を通る直線を画定する固有の光軸(または対称軸)を有する。アキシャルイメージングシステムの倍率は、画像の限界サイズ(すなわち、主光線高さ(chief ray height)=Y*)とその画像を形成するビームの限界角度(すなわち、周辺光線角度(marginal ray angle)=U)の両方を同時に決定する。さらに、各画像の空間における屈折率(n)を考慮すると、主光線高さY*と周辺光線角度Uの積は、光学システム内の任意の物体または像位置において一定である。この一定値は、アキシャルイメージングシステムの近軸不変量(Paraxial Invariant)(I)またはラグランジュの不変量として知られている。より具体的には、アキシャルイメージングシステム内の任意の像位置において、近軸不変量Iは、次の式(1)によって与えられる。
I=−n×U×Y* (1)
ここで、nは、屈折率である。
既存の光エミッタの場合、第1の倍率と第2の倍率との間に上記の相反が生じる。これは、第1には、光エミッタ間の間隔が、目標走査線間隔よりもかなり大きいからであり、第2には、光エミッタによって生成された光ビームの発散角(または広がり角)の大きさが、目標とする画像ビーム輻輳角(convergence angle。または収束角)の大きさよりもかなり大きいからである。したがって、近軸不変量Iは、光エミッタにおけるものの方が、最終の走査像において所望されるものよりもはるかに大きくなる傾向がある。エミッタにおける非常に小さな円錐角(cone angle)内の光のみを捕捉することによって、最終像の近軸不変量に実質的に一致するように、エミッタにおける近軸不変量Iを小さくすることができるが、このアプローチはほとんど実行不可能である。なぜなら、エミッタによって生成される光パワーのほとんどが失われ、その結果、残りの光パワースループットは不十分かまたは許容できないものになるからである。
もちろん、アキシャルイメージングシステムは、その光軸に関して回転対称を示すことは必要とされない。具体的には、アキシャルイメージングシステムは、2つの直交する軸断面すなわち主断面(たとえば、光軸がZ方向である場合のXZ断面及びYZ断面)の各々において異なる近軸特性を有するアナモルフィックでありうる。アナモルフィックなアキシャルイメージングシステムは、それぞれの主断面において異なる近軸不変量を有しうるが、式(1)は、それぞれの主断面に独立に適用され、アキシャルイメージングシステムは、アナモルフィックであろうと回転対称であろうと、いずれの主断面においてもただ一つの倍率を有しうる。それゆえ、目標照射スポットサイズを達成するための第1の倍率と、目標照射スポット間隔を達成するための、第1の倍率とは異なる第2の倍率の両方を同時に有することができるアキシャルイメージングシステムはない。
本明細書に記載されている原理の例は、走査面における目標照射スポットサイズと目標照射スポット間隔を独立にかつ同時に達成する能力を有する光エミッタアレイ走査(該走査は、たとえばマルチビームLSUで使用することができる)を提供する。具体的には、いくつかの例では、照射スポットサイズの決定と照射スポット間隔の決定を実質的に分離するために、可変コリメーター(variable collimator)に加えて、個々のビーム専用のマイクロレンズが使用される。本明細書に記載されている原理の種々の例にしたがって、照射スポットサイズの決定と照射スポット間隔の決定を分離することによって、アキシャルイメージングシステムの近軸変数Iに関連する制限を実質的に回避することができる。
本明細書において、「インスキャン方向」という用語は、光ビームが、または、等価的には光ビームによって生成された照射スポットが、走査光学システムの光学要素によって走査面を横断して走査される方向(または、光ブームないし照射スポットをそのように走査することができる方向)として定義される。たとえば、インスキャン方向を、走査面を横断する水平方向に一致させることができる。たとえば、走査面を回転シリンダーもしくは回転ドラムとすることができ、インスキャン方向を、ドラムの回転軸に実質的に平行にすることができる。インスキャン方向における走査を、たとえば、光ビームを反射する鏡面仕上げされた回転多角形(または回転多面鏡)によって生じさせることができる。鏡面仕上げされた回転多角形(または回転多面鏡)が回転するにつれて、反射した光ビームの偏向角(angle of deviation)が変化し、これによって、光ビームを走査させて、走査面における対応する照射スポットの位置が(偏向角の変化に類似して)変わる。
これとは対照的に、「クロススキャン方向」またはこれと等価な「プロセス方向」という用語は、本明細書で定義されているインスキャン方向に実質的に垂直すなわち直交する方向を意味している。いくつかの例によれば、走査面の機械的な動きは、クロススキャン方向の走査をもたらすことができる。たとえば、クロススキャン方向における走査を、レーザープリンターのドラム型光導電性走査面の回転によって提供することができる。一般に、クロススキャン方向における走査面(たとえば、光導電面)の機械的な動きを利用する走査は、光学的手段による走査を用いるインスキャン方向における走査よりも非常に遅い。
本明細書で使用されている「インスキャン方向」及び「クロススキャン方向」という用語は、光ビームの中心光線に関連する局所座標系に基づく局所的な方向であるものとして定義されており、また、一般に、そのような局所的な方向を指すために使用されている。具体的には、インスキャン方向は、走査面におけるインスキャン方向の方向に一致する方向として、光ビームの光路に沿った任意のポイントにおいて定義される。そのため、光路に沿った光ビームの向き(または配向)や方向における回転や反射やその他の変化によって、局所座標系のインスキャン方向及びクロススキャン方向はグローバル(大域)座標系に対して変化しうる。しかしながら、インスキャン方向及びクロススキャン方向は、光ビームの局所座標系に対しては、光ビームがたどる光路に沿った任意のポイントにおいて一定のままでありかつ明確に定義される。
さらに、本明細書では、レンズまたはレンズ素子(たとえば、マイクロレンズ素子)の光パワーは、該レンズまたはレンズ素子の焦点距離の逆数として定義される。たとえば、この定義によれば、焦点距離が−40ミリメートル(mm)のレンズ素子は、−0.025/mmの光パワーを有する。一般に、収束レンズ(収斂レンズ)素子は、正の光パワーを有し、該レンズ素子の中心部の方が該レンズ素子の端部よりも厚い。これとは対照的に、発散レンズ(diverging lens)素子は、一般に、負の光パワーを有し、該レンズ素子の中心部の方が該レンズ素子の端部より薄い。さらに、アナモルフィックレンズ素子は、定義上、光軸に関して回転対称ではないが、インスキャン方向とクロススキャン方向などの2つの直交方向または主断面において異なる光パワーを有する。さらに、アナモルフィックレンズ素子は、定義上、少なくとも1つのアナモルフィック面(anamorphic surface)を有する。アナモルフィック面は、2つの直交方向(たとえば、インスキャン方向とクロススキャン方向)において異なる曲率半径を有する。さらに、定義上、柱面(または円柱面)を、曲率半径の1つ(または一方)が実質的に無限大である円環曲面(toric surface)の特別なタイプとみなすことができる。
光ビームの「収束」という用語は、本明細書では、収束状態もしくは発散状態または収束角(または輻輳角)もしくは発散角として定義され、また、それらを意味している。たとえば、収束が正の値であるレンズまたはレンズ素子から出た光ビームは、焦点に向かって収束して、実像を形成する。収束が負の値であるレンズまたはレンズ素子から出た光ビームは、見かけ上の焦点(apparent focus)から発散して、虚像を形成する。このため、本明細書では、明示的に別段の記載をしている場合を除いて、正の値を有する収束と負の値を有する収束(すなわち発散)の両方を収束と呼ぶ。
本明細書では、エミッタに関して、定義上、「速軸(fast-axis)」、「遅軸(slow-axis)」は、それぞれ、負の収束(すなわち発散)が最大、最小である方向(より具体的には、それぞれ、負の収束が最大、最小である部分)を意味する。具体的には、光エミッタによって、中心光線のまわりの回転の関数として生成される光ビームの負の収束角(または負の輻輳角)、すなわち光ビームの「発散角」を、一般に、楕円として表現することができる。光ビームの回転楕円形状の発散角(すなわち、楕円状発散角)を、たとえば、エミッタ(たとえば、端面発光レーザー(edge emitting laser))の非対称の開口(アパーチャ)に関連付けることができる。楕円の長軸は、最大発散角の部分または方向を表し、楕円の短軸は、最小発散角の部分または方向を表す。したがって、楕円の長軸に平行な方向(すなわち、最大発散部分)は速軸方向と呼ばれ、楕円の短軸に平行な方向(すなわち、最小発散部分)は遅軸方向と呼ばれる。
さらに、光エミッタ(たとえば、単一モードレーザーエミッタ)によって生成された光ビームの角度強度プロファイルを、一般にガウス関数で近似することができる。そのような光ビームは、明確に画定されたエッジを有しておらず、その発散は、ビーム強度がそのピーク値の半分に低下する角度として都合よく定義され、該角度は、半値半幅(half-width-half-maximum:HWHM)角、または、半値全幅(full-width-half-maximu:FWHM)角としばしば呼ばれる。定義上、HWHM角は、FWHM角の1/2に等しい。本明細書では、別段の明示がある場合を除いて、HWHM角を使用する。さらに、本明細書では、光エミッタによって放出される光ビームの発散角は、別段の明示がある場合を除いて、一般に、半値半幅(HWHM)強度値に関して表される。たとえば、本明細書では、12°の発散角は、光ビームのHWHM強度において決定された角度である。
HWHM発散角は、光エミッタのみの特性である。一方、後述する周辺光線角度(marginal ray angle)は、光学システムのみの特性である。本明細書では、周辺光線は、特定の主断面において光学システムを通過することができる軸上物点から一番遠くにある光線(一番外側の光線)として定義される。それにもかかわらず、本明細書の種々の例によれば、種々のタイプの利用可能な光エミッタを用いる効率的な光学走査装置またはイメージングシステムでは、光エミッタの位置における光学装置またはイメージングシステムの周辺光線角度は、しばしば、光エミッタの対応するHWHM発散角に数値上類似するように選択される。したがって、HWHM発散角に対する影響に関して本明細書に記載されているマイクロレンズの光学特性は、たとえば、周辺光線角度に対するそれらの影響に関して説明した場合の光学特性と実質的に同じである。
本明細書で使用されている「ある」という用語は、特許の分野におけるそれの通常の意味を有すること、すなわち、「1以上」意味するものであることが意図されている。たとえば、本明細書では、「あるマイクロレンズ」は、1以上のマイクロレンズを意味し、また、「マイクロレンズ」は、「(1以上の)マイクロレンズ」を意味する。また、本明細書では、「上部」、「下部」、「より上の」、「より下の」、「上へ」、「下へ」、「前部」、「後部」、「左」、「右」という用語はいずれも制限的であることを意図していない。本明細書では、ある値に「約」や「実質的に」という用語が付されているときは、別段の明示がある場合を除いて、その値の概ね±10%の範囲内にある値を意味している。さらに、本明細書の例は、例示に過ぎないことが意図されており、また、説明のために提示されたものであって、限定するために提示されたものではない。
図1Aは、本明細書に記載されている原理の1例にしたがう、光学走査装置100の略図である。図1Bは、本明細書に記載されている原理の1例にしたがう、図1Aの光学走査装置100の斜視図である。光学走査装置100を、たとえば、走査面104を横断して光ビーム102を走査させるために使用することができる。光ビーム102が走査させられると、該光ビーム102は、走査面104上に照射スポット106を画定ないし生成する。光学走査装置100は、矢印108によって示されているインスキャン方向に走査面104を水平方向に横断するように光ビーム102(等価的には照射スポット106)を走査させる。いくつかの例によれば、インスキャン方向に実質的に垂直な方向への走査面104の動きは、光ビーム102のクロススキャン方向すなわち「プロセス方向」の走査をもたらす。もう一つの矢印109は、図1Bの走査面104におけるクロススキャン方向を示している。破線は、インスキャン方向における走査の開始(すなわち、102a)と終了(すなわち、102b)における光ビーム102を示している。図1Bには限られた数(たとえば、5つ)の光ビーム102しか示されていないが、これは図面を単純にするためであって制限的なものではない。
種々の例によれば、照射スポット106は、走査面104上に、インスキャン方向(すなわち、クロスキャン方向に実質的に平行な方向)に実質的に垂直な方向を向いて直線状に配列される。図1Cは、本明細書に記載されている原理の1例にしたがう、走査面104上の複数の照射スポット106の平面図である。具体的には、図1Cに示すように、照射スポット106は、クロススキャン方向(矢印109)に実質的に平行で、かつ、インスキャン方向(矢印108)に実質的に垂直な行または線をなすように配置されている。
いくつかの例では、走査面104を、たとえば、プリンターの感光ドラムとすることができる。走査面104としてのそのような感光ドラムが、たとえば図1Bに示されている。感光ドラムの回転によって、上述したように、クロススキャン方向における走査面104の動きがもたらされる。たとえば、感光ドラムとしての走査面104は、インスキャン方向108に平行な軸のまわりに回転して、クロススキャン方向109における動きを生じることができる。たとえば、照射スポット106を露光のために使用することができ、該スポット106は、画像データにしたがって変調ないし調整されると、感光ドラム上にパターンを画定することができる。他の例では、走査面104は、たとえば、平面やベルトの面(ただしこれらには限定されない)などの別のタイプの感光面を含むことができる。
図1A及び図1Bに示されているように、光学走査装置100は、光エミッタ110の配列(複数の光エミッタ110が配列された構成)を備えている。光エミッタ110の配列(アレイ)は、複数の光ビーム102を提供するように構成されている。いくつかの例では、光エミッタ110は、複数のレーザーまたはレーザーエミッタ(レーザ発光素子)である。たとえば、光エミッタ110は、レーザーダイオード(または半導体レーザー)110の配列(アレイ)を含むことができる。レーザーダイオード110を、たとえば、端面発光レーザーダイオードとすることができる。いくつかの例では、光エミッタ110として使用される端面発光レーザーダイオードは、約600ナノメートル(nm)〜約900nmの波長で動作することができる。たとえば、動作波長を約650nmとすることができる。別の例では、動作波長を約820nmとすることができる。端面発光レーザーダイオードの各々の動作出力パワーを、たとえば、約30ミリワット(mW)とすることができる。他の例では、レーザーダイオードを、垂直共振器面発光レーザー(vertical cavity surface emitting laser:VSCEL)ダイオードや外部共振器型垂直面発光レーザー(vertical external cavity surface emitting laser:VECSEL)ダイオードなどの面発光レーザーエミッタとすることができる。
種々の例によれば、配列をなすレーザーダイオード110を、個別に(すなわち個別のレーザーダイオードとして)提供することができ、または、共通の基板上に複数の集団をなすように組み合わせることもできる。たとえば、光エミッタ110の配列を構成するレーザーダイオードを、単一または共通の基板上に一体化することができる。他の例では、レーザーダイオード以外の他のタイプの光源を、光エミッタ110の配列内で利用することができる。この他のタイプの光源を、たとえば、ガスレーザーや固体レーザーや色素レーザー(ただしこれらには限定されない)などの非ダイオードレーザーとすることができる。さらに別の例では、配列をなす光エミッタ110は、発光ダイオード(LED)またはスーパールミネッセントダイオード(super-luminescent diode)を含むことができる。
いくつかの例では、光エミッタ110は、直線状配列をなすように配列される。たとえば、光エミッタ110の配列は、該直線状配列を画定する隔置された行内に(または該隔置された行をなすように)整列した複数のレーザーダイオードを含むことができる。それらのレーザーダイオードを、たとえば、約70マイクロメートル(μm)だけ離して配置することができる。それらの隔置された行は、たとえば、共通の基板の端に沿って配列した複数の端面発光レーザーダイオードを含むことができる。別の例では、直線状配列は、基板の表面上の隔置されたVCSELからなる行を含むことができる。他の例では、光エミッタ110は、直線状配列以外の形態で配列される。
いくつかの例では、走査面104におけるビーム間隔を約31μmとすることができる。いくつかの例では、光ビーム102は、20より多くの(たとえば、22より多くの)個別の光ビーム102を含むことができる。たとえば、約30と約40の間の数の光ビーム102を利用することができる。別の例では、約40より多くの光ビーム102を利用することができる。
図1A及び図1Bに示すように、光学走査装置100はさらに、複数のマイクロレンズ120を備えている。複数のマイクロレンズ120は、光エミッタ110の配列によって提供される複数の光ビーム102を受けるように構成されている。複数のマイクロレンズ120の各々は個別の光軸を有する。そのため、複数のマイクロレンズ120は、共通の光軸を有しておらず、したがって、アキシャルイメージングシステムを構成しない。
一般に、マイクロレンズ120を、各々のマイクロレンズ120が、第1の主断面において第1の組の光学特性を有し、第1の主断面に垂直な第2の主断面において第2の組の光学特性を有するアナモルフィックなものとすることができる。各マイクロレンズ120は、対応する光エミッタ110の像を生成するように構成され、複数のマイクロレンズ120は、光エミッタの配列の像を共に形成する複数の光エミッタの像を集合的に生成するように構成されている。具体的には、複数のエミッタの像は、光エミッタ110の配列の中間像112を形成する。中間増112は複数のスポットを有し、各スポットは、光ビーム102の異なるそれぞれのビームに対応する。さらに、いくつかの例によれば、エミッタの配列の中間像112は、該エミッタの配列に対して実質的に1の倍率(すなわち、配列倍率が1)で形成される。
種々の例によれば、複数のマイクロレンズ120の各々は、光エミッタ110の各々からの光ビーム102のそれぞれ異なる1つの光ビームに対応する。そのため、各光エミッタ110の像が、マイクロレンズ120の異なるそれぞれのマイクロレンズによって個々にまたは別個に形成されて、中間の像平面(中間像面)114において光エミッタ110の中間像が形成される。具体的には、光エミッタ110の中間像は、中間像112のスポットのうちの特定の1つのスポットを表す。たとえば、複数のマイクロレンズ120の各々を、光エミッタ110のそれぞれ異なる1つに結合することができる。たとえば、マイクロレンズ120を、光エミッタ110の直線状配列に対応する直線状配列をなすように配置ないし配列することができる。そのように配置ないし配列した場合は、たとえば、各マイクロレンズ120は、結合されたそれぞれの光エミッタ110によって生成された光ビーム102のみを受けて、その光ビームのみを結像する。種々の例によれば、中間像112を、実像または虚像とすることができる。中間像112が実像であるときには、中間像112と中間像面114は、図1A及び図1Bに示されているように、マイクロレンズ120の後にあるかまたは該レンズ120に後続する光ビーム102の光路に沿って配置される。
アナモルフィックであるマイクロレンズ120は、第1の主断面では第1の倍率で動作し、第2の主断面では第2の倍率で動作することができる。したがって、アナモルフィックマイクロレンズ120を、特定のビーム楕円率を有する、所与の光エミッタ110からの入射光ビーム102を受けて、該光ビーム102を、中間像位置(たとえば、中間像面114)において、(該光ビームとは)かなり異なるビーム楕円率を有する出射光ビーム102に変換するように構成することができる。より具体的には、レーザーダイオードまたは他の光エミッタ110は、光エミッタ110の速軸方向に特定の発散角(たとえば、HWHM角)を有し、かつ、光エミッタ110の遅軸方向にそれとは異なるより小さい発散角を有する楕円ビームを放出することができる。別段の明示がある場合を除いて、ビーム角及び光線角度は、エミッタ及び光学系の近軸の幾何学的特性であり、回折効果によって変化しない。
たとえば、光エミッタ110からの集光効率を最大にするためにマイクロレンズ120を利用することができる。集光効率を最大にするために、マイクロレンズ120は、光エミッタ110の各々から、光エミッタ110の速軸方向において比較的大きな周辺光線角度を有し、かつ、光エミッタ110の遅軸方向において比較的小さな周辺光線角度を有する光ビーム102を受けることができる。さらに、マイクロレンズ120はまた、光エミッタ110における光ビームの周辺光線角度に比べて、中間像112における光ビームの周辺光線角度を大幅に小さくするように作用することができる。さらに、光ビームの周辺光線角度の低減をアナモルフィックに実現することができる。そのため、中間像112を形成するためのマイクロレンズ120による光エミッタ110(からの光)の結像を、3つの倍率値によって特徴付けるかまたはそれらの倍率値に関して記述することができる。
具体的には、マイクロレンズ120の各々は、光エミッタ110の速軸方向に対応する主断面においてそれぞれの光エミッタ110(からの光)を結像する。速軸方向における結像は、光エミッタからの速軸周辺光線角度U fastを有する発散入射光ビームを受けて、中間像112に向かって収束する周辺光線角度U’fastを有する出射光ビームを生成することを含む。3つの倍率値のうちの第1の値は、速軸結像に関連する速軸倍率Mfastである。速軸倍率Mfastを次の式(2)で与えることができる。
MFast=tan(UFast)/tan(U’Fast) (2)
マイクロレンズ120の各々はさらに、光エミッタ110の遅軸方向に対応する主断面においてそれぞれの光エミッタ110(からの光)を結像する。遅軸方向における結像は、光エミッタ110からの遅軸周辺光線角度USlowを有する発散入射光ビーム102を受けて、中間像112に向かって収束する周辺光線角度U’ Slowを有する出射光ビーム102を生成することを含む。3つの倍率値のうちの第2の値は、遅軸結像に関連する遅軸倍率M Slowである。遅軸倍率M Slowを、次の式(3)で与えることができる。
M Slow=tan(USlow)/tan(U’ Slow) (3)
いくつかの例によれば、マイクロレンズ120の速軸倍率MFastと遅軸倍率M Slowの一方または両方を、約10〜約100の範囲内とすることができる。たとえば、速軸倍率MFastと遅軸倍率M Slowの一方または両方を約10より大きい値とすることができる。別の例では、速軸倍率MFastと遅軸倍率M Slowの一方または両方を、約10と約60の間の値とすることができる。たとえば、速軸倍率MFastを約50とし、遅軸倍率M Slowを約20とすることができる。
3つの倍率のうちの第3の倍率は、すべての光ビーム110(たとえば配列)が中間像112に集合的に結像される配列倍率(array magnification)MArrayである。配列倍率MArrayを、中間像面114における2つの光エミッタ110の像間の距離LInt Imageを、配列内の対応する2つの光エミッタ110の間の距離LArrayで除したものとして定義することができる。したがって、配列倍率MArrayを次の式(4)で与えることができる。
MArray=LInt Image/LArray (4)
マイクロレンズ120によって形成された中間像112は、光学走査装置100の後続の光学要素に対する対象物として機能し、それらの光学要素によって走査面104上に最終像として再結像される。再結像は、光学走査装置100の主断面毎に関連する倍率を有する。具体的には、インスキャン方向の再結像倍率はMIn-Scanとして示され、クロススキャン方向の再結像倍率はMCross-Scanとして示される。説明を簡単にするために、インスキャン方向とクロススキャン方向の再結像倍率を区別する必要がない場合には、本明細書では、それらの再結合倍率を再結像倍率MReimagingとまとめて呼ぶこととする。
いくつかの例によれば、マイクロレンズ120に後続する光学走査装置100の構成要素、及びマイクロレンズ120によって形成された光エミッタ110の中間像112は、アキシャルイメージングシステムを実質的に提供する。それらの構成要素によって提供されるアキシャルイメージングシステムを、たとえば、アナモルフィックアキシャルイメージングシステムとすることができる。この結果、特定の中間像について、同じインスキャン方向の再結合倍率MIn-Scanは、走査面104における最終像における、照射スポット106のインスキャン方向の周辺光線角度、したがって、インスキャン方向のスポットサイズと、照射スポット106のインスキャン方向の間隔(分離距離)の両方を決定する。同様に、特定の中間像について、同じクロススキャン方向の再結合倍率MCross-Scanは、走査面104における最終像における、照射スポット106のクロススキャン方向の周辺光線角度、したがって、クロススキャン方向のスポットサイズと、照射スポット106のクロススキャン方向の間隔(分離距離)の両方を決定する。したがって、中間像における周辺光線角度が決定されると、インスキャン方向とクロススキャン方向の再結像倍率MIn-Scan、MCross-Scanによって、最終的に、最終像における光ビーム102のインスキャン方向とクロススキャン方向のそれぞれの周辺光線角度、並びに、照射スポットのインスキャン方向及びクロススキャン方向のサイズが決定される。さらに、中間像における集束されたスポットの間隔が決定されると、それらの再結像倍率によって、照射スポット106の間隔も最終的に決定される。したがって、後続の光学要素は、主断面の各々において単一(または1)の倍率を有し、かつ、中間像112において決定された近軸不変量Iを変化させることはできず、走査面104上に中間像112を「中継」するように作用する。
具体的には、最終像(すなわち、走査面104)における照射スポット106の間隔は、光エミッタ110と走査面104における最終像の間の画像の全高(すなわち、画像の端から端までの距離)の倍率によって決まる。一般に、画像の全高の倍率は、配列倍率Marrayと再結像倍率MReimagingの積である。より具体的には、走査面104上の最終像のクロススキャン方向における照射スポット106間の間隔(分離距離)LFinal Imageは、次の式(5)に示すように、クロススキャン方向における対応する光エミッタの間隔(分離距離)LArrayに、配列倍率MArrayとクロススキャン方向の再結像倍率MCross-Scanとの積を乗じることによって決定される。
LFinal Image=LArray×(MArray×MCross-Scan) (5)
マイクロレンズの周辺光線角度倍率MFast及びMSlowを、配列倍率MArrayとは独立に決定することができるので、最終像における照射スポットサイズ(これらのスポットサイズは、最終像における光ビーム102のインスキャン方向とクロススキャン方向の周辺光線角度によってそれぞれ決定される)を、最終像における隣接する照射スポット106間の間隔とは独立に決定することができる。したがって、最終像における照射スポット106の周辺光線角度U’’は、マイクロレンズの倍率MFast及びMSlowのうちの選択された1つに、再結像倍率MIn-Scan及びMCross-Scanのうちの対応する1つを乗じることによって決定される全体の(すなわち、周辺光線の端から端までの)周辺光線角度倍率によって決定される。
いくつかの例では、光エミッタ110の遅軸方向を、光学走査装置100のクロススキャン方向に一致ないし整列させることができる。それらの例では、走査面104に最終像を形成する光ビーム102のクロススキャン方向の周辺光線角度U’’ Cross-Scanを、次の式(6)で与えることができる。
U’’ Cross-Scan=USlow×{1/(MSlow×MCross-Scan)} (6)
走査面104において最終像を形成する光ビーム102のインスキャン方向の周辺光線角度U’’In-Scanを、次の式(7)で与えることができる。
U’’In-Scan=UFast×{1/(MFast×M In-Scan)} (7)
いくつかの例では、光エミッタ110の速軸方向を、光学走査装置100のクロススキャン方向に一致ないし整列させることができ、式(7)を次の式(7a)に書き直すことができる。
U’’ Cross-Scan=UFast×{1/(MFast×MCross-Scan)} (7a)
式(6)、(7)及び(8)は、小さな角度に対してtan(U)=Uという近似を用いている点に留意されたい。種々の周辺光線角度U及びU’’の任意のものがこの近似を無効にするほど大きい場合には、Uをtan(U)で置換する必要がある。
前述したように、最終像における照射スポットサイズは、最終像における周辺光線角度またはビーム収束角によって決定される。より具体的には、収差が小さい十分に補正された光学系の場合は、照射スポットサイズは回折によって決まり、光学走査装置100のインスキャン方向における照射スポットの直径D In-Scanを、次の式(8)によって与えることができる。
DIn-Scan=C×λ/sin(U’’In-Scan) (8)
ここで、λは、光エミッタ110の(光の)波長を表し、定数Cは、選択されたスポットサイズの定義並びに光ビーム102の強度分布にしたがって決定される。いくつかの例では、定数Cは、約0.5と約2.0の間の値を有する。多くの印刷システムが有する小角度U’’特性について、それらの角度が半径の単位で表される場合には、式(8)を、次の式(8a)で近似することができる。
DIn-Scan=C×λ/U’’In-Scan (8a)
さらに、本明細書では、種々の量M、U、U’、U’’他の算術符号は、主として、像変換が倒立像を形成するように作用するか非倒立像を形成するように作用するかを示すために機能することができる。別段の明示がある場合を除いて、本明細書に記載されている原理にしたがう例は、種々の像変換の倒立性または非倒立性に依存せず、上記の算術符号は重要ではない。したがって、別段の明示がある場合を除いて、それらの量を、方向性のない大きさとみなすことができる。
いくつかの例では、複数のマイクロレンズ120の各々は、対応する光ビームの速軸方向の収束をもたらすための第1のマイクロレンズ素子を含む。この場合、速軸収束は、中間像112上に対応する光エミッタ110の速軸結像を提供する。たとえば、第1のマイクロレンズ素子を、速軸方向に正の光パワーを提供するように向きが設定されたシリンドリカルレンズ(または円柱レンズ。以下同じ)から構成することができる。さらに、それらの例では、各マイクロレンズ120はまた、対応する光ビーム102の遅軸収束をもたらし、その結果、中間像112上に対応する光エミッタ110の遅軸結像を提供するための第2のマイクロレンズ素子を含む。たとえば、第2のマイクロレンズ素子を、遅軸方向に正の光パワーを提供するように向きが設定されたシリンドリカルレンズから構成することができる。第1及び第2のマイクロレンズ素子は、マイクロレンズ120として協働して、中間像112における、及び、その後の走査面104上の最終像における周辺光線角度を画定するビーム収束を提供する。周辺光線角度は、光学走査装置100の両主断面内の最終像における対応する照射スポット106のスポットサイズを決定する。種々の例において、第1のマイクロレンズ素子をマイクロレンズ素子の第1の配列の一部とすることができ、第2のマイクロレンズ素子をマイクロレンズ素子の第2の配列の一部とすることができる。
いくつかの例では、配列をなす光エミッタ110の速軸方向は、光学走査装置100のインスキャン方向と実質的に合致するように整列される。たとえば、配列をなす光エミッタ110を、端面発光レーザーダイオードアレイをなすレーザーダイオードとすることができる。端面発光レーザーダイオードアレイは、共通の基板上に形成された複数の光エミッタ110から構成され、光エミッタ110は典型的には、たとえば、遅軸方向に隔置されて、光エミッタ110の実質的に直線状の配列を形成する。そのような配置ないし配列では、最終像における照射スポット106の配列を、クロススキャン方向に実質的に整列させることができる。さらに、そのような配置ないし配列では、最終像における照射スポット106のスポット間隔は、走査画像において実質的に同等の走査線間隔を生じる。
図2Aは、本明細書に記載されている原理の1例にしたがう、マイクロレンズ120の断面図である。図2Bは、本明細書に記載されている原理の1例にしたがう、図2Aの断面方向に垂直な方向に切断したときの図2Aのマイクロレンズ120の断面図である。具体的には、図2Aの断面は、光エミッタ110の速軸方向に対応し、図2Bの断面は、光エミッタ110の遅軸方向に対応する。さらに、図2A及び図2Bでは、マイクロレンズ120を、光学走査装置100の光路に沿って第2のマイクロレンズ素子124が後続する第1のマイクロレンズ素子122として示している。ただし、これは例示であって限定するものではない。具体的には、(図示されていない)他の例では、第2のマイクロレンズ素子124を、光路に沿って第1のマイクロレンズ素子122より前に配置ないし配列することができる。第1及び第2のマイクロレンズ素子122、124はいずれも、図2A及び図2Bでは、平円筒面レンズ(plano-cylindrical lens)の直線状配列として示されている。光エミッタ110、及び光エミッタ110によって生成される光ビーム102も図示されている。
図2A及び図2Bに示されているように、光エミッタ110によって生成された光ビーム102は、半値半幅(half-width-half-maximum:HWHM)角θFAで、光エミッタ110の速軸方向に発散し、さらに、HWHM角θSAで光エミッタ110の遅軸方向に発散する。光ビーム102は、第1のマイクロレンズ素子102に該レンズ素子102の入力部において入射する。一般に、第1のマイクロレンズ素子122の入力部における速軸及び遅軸のHWHM発散角θFA、θSAは、光エミッタ110の種々の光学特性の関数である。たとえば(図示されているように)、端面発光レーザーダイオードの配列(アレイ)を光エミッタ110として用いて光ビーム102を生成するときには、第1のマイクロレンズ素子122の入力部(等価的には、光エミッタ110の出力部)における速軸及び遅軸のHWHM発散角θFA、θSAを、それぞれ、約12°、約5°とすることができる。(図示されていない)他の例では、速軸のHWHM発散角θFAを、遅軸のHWHM発散角θSAと同様ないしそれに近い値とすることができる。
図2A及び図2Bの例によれば、第1のマイクロレンズ素子122は、対応する光ビーム102の速軸方向の収束をもたらすために第1の関連する倍率を有している。具体的には、光ビーム102が第1のマイクロレンズ素子122を通過する際に、第1のマイクロレンズ素子122の光パワーは、光ビーム102を変換しまたは収束させて、第1のマイクロレンズ素子122の出力部において、調整された速軸HWHM収束角θ’FAを生じる(図2A)。光ビーム102の遅軸HWHM角θSAは、第1のマイクロレンズ素子122の通過による影響を実質的に受けない(図2B)。同様に、第2のマイクロレンズ素子124は、対応する光ビーム102の遅軸方向の収束をもたらすために第2の関連する倍率を有する。具体的には、光ビーム102が第2のマイクロレンズ素子124を通過する際に、第2のマイクロレンズ素子124によって提供される光パワーは、光ビーム102を変換しまたは収束させて、第2のマイクロレンズ素子124の出力部において、調整された遅軸HWHM収束角θ’SAを生じる(図2B)。光ビーム102の速軸HWHM角θ’FAは、第2のマイクロレンズ素子124の通過による影響を実質的に受けない(図2A)。
マイクロレンズ120を構成する第1及び第2のマイクロレンズ素子122、124の両方を通過した後は、速軸及び遅軸のHWHM発散角θFA、θSAは、それぞれ、マイクロレンズ120の光パワーによって速軸及び遅軸の出力HWHM収束角θ’FA、θ’SAに変換されている。たとえば、第1の及び第2のマイクロレンズ素子122、124が合わせて、速軸方向において約16:1の倍率を提供する場合には、マイクロレンズ120の出力部における速軸HWHM収束角θ’FAは、HWHM入射角度が12°の上記の例の場合に、約0.76°であろう。さらに、光ビーム102のHWHM発散角θFA、θSAは、HWHM収束角θ’FA、θ’SAに変換されるが、光ビーム102の中心光線間の間隔はマイクロレンズ120によって実質的には影響を受けない。なぜなら、光ビーム102のどの2つのビームも、複数のマイクロレンズ120中のマイクロレンズを共用しないからである。
したがって、光エミッタ110は、第1及び第2のマイクロレンズ素子122、124のビーム変換にしたがって別個に結像されて、中間像面114に複数のスポットからなる中間像112を形成する。しかしながら、光エミッタ110の配列は、上述のように、実質的に1の配列倍率で結像される。さらに、中間像112を生成するために、別個の第1と第2のマイクロレンズ素子122、124を利用して、2つの直交する方向(たとえば、速軸と遅軸、または、インスキャン方向とクロススキャン方向)に個別に再結像することによって、非点収差補正を容易にすることができる。非点収差は、エミッタによって生成されたビームに現れる場合があり、半径、ガラス仕様、厚さの変動などのマイクロレンズのパラメータ許容差の変動に起因して生じうる。
別の例では、複数のマイクロレンズ120の各々は、光ビーム102の速軸方向の収束を提供するための第1の面、及び、光ビーム102の遅軸方向の収束を提供するための第2の面を有する単一のマイクロレンズ素子から構成される。たとえば、該マイクロレンズ素子の第1の面を、速軸走査方向に光パワーを提供するように向きが設定されたシリンドリカルレンズ形状(または円柱レンズ形状)を有する、光エミッタ110に隣接する面とすることができる。第2の面を、遅軸走査方向に光パワーを提供するように向きが設定されたシリンドリカルレンズ形状(または円柱レンズ形状)を有する、第1の面と反対側にある面とすることができる。これら2つの面は、協働して、速軸方向と遅軸方向の両方向にマイクロレンズ120の光パワーを提供する。
図3Aは、本明細書に記載されている原理の別の例にしたがう、マイクロレンズ120の断面図である。図3Bは、本明細書に記載されている原理の別の例にしたがう、図3Aの断面方向に垂直な方向における図3Aのマイクロレンズ120の断面図である。具体的には、図3Aの断面は、光エミッタ110の速軸方向に対応し、図3Bの断面は、光エミッタ110の遅軸方向に対応する。さらに、図3A及び図3Bでは、例として、マイクロレンズ120の各々が、第1の面126aとこれと反対側にある第2の面126bを有する単一素子のマイクロレンズ126として示されている。図示のように、第1の面126aは、速軸方向に光パワーを提供し(図3A)、第2の面126bは、遅軸方向に光パワーを提供する(図3B)。図3A及び図3Bでは、(複数の)単一素子のマイクロレンズ126は、各々のマイクロレンズが、円柱状の第1の面126aとこれと反対側にある円柱状の第2の面126bを有するところのマイクロレンズの直線状配列として示されており、該第1の面の円柱軸と第2の面の円柱軸は互いに直交している。他の例では、マイクロレンズ120の面は、非円柱状面(acylindrical surface)であり、各々の面が、半径だけではなく、円錐定数(conic constant:コーニック定数ともいう)または多項式関数によって決定される断面形状を有する。光エミッタ110、及び光エミッタ110によって生成される光ビーム102も図示されている。
2つの別個のマイクロレンズ素子122、124を含む上記の例のように、図3A及び図3Bに示されているマイクロレンズ120の入力部における光ビーム102のHWHM発散角θFA、θSAは、光ビーム102が2つの面を有する単一素子マイクロレンズ126を通過することによって、それぞれのHWHM収束角θ’FA、θ’SAに変換または収束される。しかしながら、図3A及び図3Bの例において、図3Aでは、第1の面126aは、速軸方向に光ビーム102を収束させて、遅軸方向にほとんどまたは全く影響を与えず、図3Bでは、第2の面126bは、遅軸方向に光ビーム102を収束させて、速軸方向にはほとんどまたは全く影響を与えない。第1の面126aと第2の面126bは共に作用して、速軸方向と遅軸方向の両方向に、単一素子のマイクロレンズ120の光パワーを提供する。
マイクロレンズ120の光パワーは、マイクロレンズ120が、速軸方向及び遅軸方向においてそれぞれの関連付けられた倍率で光エミッタ110(からの光)を中間像面114に結像して、走査面104における最終像に適切な周辺光線角度及び対応するスポットサイズを生成するのを可能にする。中間像面114上における光エミッタの結像に適用されるマイクロレンズに関連付けられた倍率は、上記の式(2)及び(3)として既に与えられている。HWHM発散角θFA、θSA及びHWHM収束角θ’FA、θ’SAに関して、式(2)、(3)を式(2a)、(3a)に書き直すことができる。
Fast=tan(θFA)/tan(θ’FA) (2a)
Slow=tan(θSA)/tan(θ’SA) (3a)
1例として、2つの面を有する単一素子のマイクロレンズ126の第1及び第2の面126a、126bが共に作用して、速軸方向に16(すなわち、16:1)の速軸倍率MFastを提供し、入射ビームHWHM角θFAが12°の場合には、マイクロレンズ120の出力部におけるHWHM発散角θ’FAは約0.76°であろう。
別の例では、複数のマイクロレンズ120の各々のマイクロレンズは、屈折率分布型マイクロレンズ素子(不図示)から構成される。屈折率分布型マイクロレンズ素子は、レンズ内の位置の関数として変化する屈折率を有している。屈折率分布型マイクロレンズは、たとえば、対称方向に垂直なマイクロレンズの全ての断面について実質的に同じ断面形状及び断面屈折率分布を有することができる。たとえば、屈折率分布型マイクロレンズの対称方向が、端面発光レーザーダイオードアレイの遅軸方向に平行に整列しているときは、該マイクロレンズは、速軸方向に光パワーを有し、速軸方向において中間像面114上に光エミッタ110の中間像を形成することができる。別の例では、複数のマイクロレンズの各々のマイクロレンズ120は、回折マイクロレンズ素子(不図示)から構成される。回折マイクロレンズ素子は少なくとも1つの回折面を有し、この場合、透過または反射した波面に所望の位相分布を与え、これによって、従来の屈折レンズの光パワーと類似の光パワーを提供する表面の段差(surface-height steps)の配列によって、光パワーが提供される。
上述したように、マイクロレンズに関連付けられた倍率MFast及びMSlowは、倍率MArrayが1に実質的に等しい場合は、最終像における照射スポット106の間隔には実質的に影響を与えない。したがって、後続の光学要素の再結像倍率MIn-Scan及びMCross-Scanと組み合わさって作用するときには、マイクロレンズに関連する倍率MFast及びMSlowを、最終像における照射スポットサイズを決定するためだけに選択することができる(たとえば、後述の説明を参照)。さらに、(たとえば、配列としての)マイクロレンズ120の配列倍率MArrayが1に実質的に等しい値に設定されているときは、該倍率MArrayは、最終像における照射スポットサイズまたは照射スポット間隔に実質的に影響を与えない。したがって、再結像倍率MReimaging、特にそのクロススキャン成分MCross-Scanを、最終像のサイズ(すなわち、具体的には、走査面104におけるクロススキャン方向の照射スポット間隔)を決定するためだけに選択することができる。
いくつかの例によれば、光エミッタ110の配列の中間像112を形成するために複数のマイクロレンズ120によって提供される配列倍率MArrayの値は、上記のように、1に実質的に等しい。すなわち、配列倍率MArrayを約1.0とすることができる。これらの例では、光エミッタ配列(光エミッタアレイ)の1:1の中間画像112を中間像面114に形成することができる。光エミッタ配列110と中間像112の間のこのような倍率1結像によって、たとえば、理論上無制限の数のエミッタを有する光エミッタ配列を使用することが可能になる。光エミッタ配列の中間像を、複数のマイクロレンズから出た後実焦点に向かって収束するビームによって形成された実像とすることができ、または、該中間像を、複数のマイクロレンズから出た後見かけ上の焦点すなわち虚焦点から発散する光ビームによって形成された虚像とすることができる。
より具体的には、約1.0という配列倍率MArrayの値は、たとえば、配列内のエミッタの数に関係なく、該配列をなす光エミッタ110の各々によって生成された光を高い効率で均一に集光するのを容易にすることができる。さらに、該配列内の実質的に全ての光エミッタ110について、各光エミッタ110によって生成された光を、中間像112において一貫した高い波面品質(すなわち、光学的品質)で集めることができる。さらにまた、複数のマイクロレンズ120を、光エミッタ110の配列内の光エミッタの間隔にほぼ等しい、実質的に一定の素子間隔を有する実質的に同じマイクロレンズ素子の配列として作製することができる。さらに、約1.0という配列倍率MArrayは、どのマイクロレンズ素子が光エミッタ110の配列内のどの光エミッタ110に対応するかに関係なく、光エミッタ110の配列に対する複数のマイクロレンズ120の取り付け及び位置合わせを容易にすることができる。さらに、いくつかの例によれば、配列倍率Marrayが約1.0のときは、光エミッタ110の配列に対するマイクロレンズ120の取り付け及び位置合わせにおける小さな誤差は、中間像112の倍率に実質的に影響を与えない場合がある。
したがって、実質的に1である、複数のマイクロレンズ120の配列倍率が、光学走査装置100中の要素として使用されるときは、該配列倍率は、大きな直線状配列を含む光エミッタ110の非常に大きな配列の使用を容易にすることができる。そして、光エミッタ110の大きな配列は、照射スポット106の大きな配列を走査面104上に最終像として結像するのを可能にする。さらに、本明細書に記載されている原理の例によれば、照射スポット106の大きな直線状配列は、クロススキャン方向に向けられているときに特に有用であり、その場合、高品質の光学的性能を達成することができ、並びに、焦点面の分離及び大きな波面収差という欠点を低減することができ、または、いくつかの例では、それらの欠点を最小限にすることができる。
図1A及び図1Bを再び参照すると、光学走査装置100はさらに、コリメーター130を備えている。いくつかの例によれば、コリメーター130は調整可能なコリメーター130である。コリメーター130は、複数のマイクロレンズ120によって形成された中間像112から出る光ビーム102を受ける。いくつかの例では、コリメーター130は、光ビーム102を実質的に平行にする。コリメーター130はさらに、後述するように、受けた光ビーム102を、光学走査装置100の後続の部分に伝える。
調整可能なコリメーター130は、光ビーム102を受けて平行にすることに加えて、照射スポット106間の間隔の調節を可能にする。具体的には、調整可能なコリメーター130は、該調整可能なコリメーター130の出力部において、光ビーム102の各々の伝搬方向を決定する焦点距離を有する。調整可能なコリメーターの焦点距離は、走査面104における照射スポット106間の間隔を決定するためのスケーリングファクタ(または倍率)として作用する。さらに、光学走査装置100の他の光学要素(たとえば、他のレンズなど)は、照射スポット106の間隔に影響を与える場合があるが、調整可能なコリメーター130の焦点距離をそれらの他の光学要素と組み合わせて使用するときには、該焦点距離を最初に選択しておき、照射スポット106の間隔を決定するために、該焦点距離を後で調整することができる。
いくつかの例では、調整可能なコリメーター130の焦点距離は、予め決定されて実質的に固定される。たとえば、焦点距離の値を、(たとえば、設計または製造中に)選択して、その後、固定された焦点距離として使用することができる。その値は、走査面104上の最終像において光ビーム102によって生成される照射スポット106間に予め決定されている目標間隔を生じるために選択される。そのため、調整可能なコリメーター130は、予め決定されている間隔すなわち目標間隔が達成されるまで調整されるだけである。
他の例では、調整可能なコリメーター130の焦点距離は、その場でまたはリアルタイムで可変または調整可能である。具体的には、調整可能なコリメーター130の焦点距離は、光学走査装置100の動作中、照射スポット106間の間隔を変化させるのを容易にするために調整可能である。いくつかの例では、調整可能なコリメーター130の焦点距離は、焦点距離の中央値(中心値)を中心として、該中央値の約+5%〜約−5%の範囲にわたって調整可能である。たとえば、焦点距離の中央値を、走査面104の典型的な条件または位置に対して照射スポット106の予め決定された間隔または所望の間隔を生じる値とすることができる。該中央値を、たとえば、上記の調整された後で固定された焦点距離に対して選択された値と等しい値とすることができる。
いくつかの例では、調整可能なコリメーター130の焦点距離は、走査面104上の照射スポット106の測定された間隔に応じて調整可能である。いくつかの例では、測定された間隔は、リアルタイム(実時間)フィードバック測定システムによって提供される。たとえば、照射スポット106の間隔の測定を、光学走査装置100による走査の終わりにまたは走査と走査の間に行うことができる。別の例では、該測定を走査中に行うことができる。種々の例によれば、間隔の測定を、カメラやカメラに類似のイメージングシステムを用いて行うことができ、そのようなイメージングシステムは、ミラー、プリズム及び補助レンズを含む場合もある。たとえば、フィードバック制御システム(たとえば、サーボコントロールシステム)を用いて、間隔測定(または間隔測定値)を処理し、及び、調整可能なコリメーター130の調整可能な焦点距離を制御することができる。種々の例によれば、光学走査装置100が照射スポット106を走査させているときに、リアルタイムで制御を行うようにフィードバック制御システムを実施することができる。
いくつかの例によれば、光学走査装置100はさらに、ビームスキャナ(ビーム走査装置ともいう)140を備える。ビームスキャナ140は、インスキャン方向(108)に光ビーム102を走査させるように構成されている。種々の例によれば、ビームスキャナ140は可動部142を有する。いくつかの例によれば、可動部142は、光ビーム102の方向を、可動部142の機械的な動きを通じて変化させる。いくつかの例では、ビームスキャナ140の可動部142は、回転多角形(または回転多面体)142から構成される。回転多角形142の表面は、該多角形の表面に入射する光ビーム102を反射するように鏡面仕上げされている。回転する鏡面仕上げされた多角形(または回転多面鏡)142の回転に伴って、該多角形142に対する光ビーム102の入射角度が変化すると、反射の法則にしたがって、光ビーム102の反射角度も同様に変化する。入射角度及び反射角度を変化させることによって、光ビーム102、さらに、光ビーム102によって生成された照射スポット106を、走査面104をインスキャン方向に横断するように走査させる。いくつかの例にしたがって、回転多角形ミラー(または回転多面鏡)を使用するビームスキャナ140を回転スキャナ140と呼ぶ場合がある。
他の例では、本明細書で定義されているように、ビームスキャナ140は、回転多角形以外の別のタイプの可動部142を使用する。たとえば、可動部142は、ピボットに取り付けられて、アクチュエーターによって該ピボットのまわりに動かされるミラーを含むことができる。さらに別の例では、ビームスキャナ140は、光ビーム102をインスキャン方向に走査させるために、可動部142として、可動プリズムと光導波路のうちの1つ以上を使用することができる。
いくつかの例では、ビームスキャナ140は、可動部142の回転多角形(または回転多面体)、可動ミラー、及び可動プリズムに加えて、他の光学素子を備えることができる。具体的には、いくつかの例では、ビームスキャナ140はさらに、固定ミラー144及びプリスキャン円柱レンズ(pre-scan cylinder lens)146(ただしこれらには限定されない)を含む他の光学素子を備える。いくつかの例によれば、図1Bに示すように、固定ミラー144を用いて光ビーム102の進路を変更することができる。固定ミラー144を、光ビーム102がたどる光路に沿ったいくつかの場所のいずれかに配置することができる。
プリスキャン円柱レンズ146は、光ビーム102の各々を、ビームスキャナ140の可動部142の可動面において「線状焦点」(すなわち、一次元の焦点)に合焦させるように構成されたシリンドリカルレンズ(または円柱レンズ)である。プリスキャン円柱レンズ146は、たとえば、調整可能なコリメーター130と、ビームスキャナ140の可動部142の間の光路に配置される。プリスキャン円柱レンズ146は、たとえば、走査面104上に光ビーム102によって形成される照射スポットのクロススキャン位置が、クロススキャン方向における多面鏡のファセット間の傾きの違いや揺れに実質的に影響を受けなくなるように、可動部142の表面においてクロススキャン方向(109)に光ビーム102を実質的に収束させる。
いくつかの例では、光学走査装置100はさらに、ビームスキャナ140と走査面104の間に走査レンズ150を備える。走査レンズ150は、走査面104上に光ビーム102を収束ないし合焦させるように構成されている。種々の例によれば、走査レンズ150をアナモルフィック(またはアナモルフィックレンズ)とすることができる。いくつかの例では、走査レンズ150は4素子レンズ(four-element lens。4つのレンズ素子からなるレンズ)である。図4Aは、本明細書に記載されている原理の1例にしたがう走査レンズ150の断面図である。図4Bは、本明細書に記載されている原理の1例にしたがう、図4Aの断面方向に垂直な方向に切断したときの図4Aの走査レンズ150の断面図である。
いくつかの例によれば、走査レンズ150は、インスキャン方向にある光パワーを有し、かつ、クロススキャン方向に別の光パワーを有する第1のレンズ素子152を備える。一般に、第1のレンズ素子152のインスキャン方向の光パワーは、正またはゼロまたは負でありうる。第1のレンズ素子152のクロススキャン方向におけるもう一方の光パワーは、正であり、かつ、第1のレンズ素子152のインスキャン方向の光パワーよりも大きさが大きい。いくつかの例では、第1のレンズ素子152の第1の面152aを回転対称とすることができる。他の例では、第1の面152aをアナモルフィックとすることができる。図示のように、第1の面512aは凹面である。他の例では、第1の面152aを平面または凸面とすることができる。第1のレンズ素子152の第2の面152bは、クロススキャン方向にある曲率半径を有するアナモルフィック面(anamorphic surface)であり、該曲率半径は、インスキャン方向の曲率半径よりも小さい。いくつかの例では、第2の面152bを円環状ないし円環曲面とすることができる。
いくつかの例では、走査レンズ150はさらに、第2のレンズ素子154を備える。第2のレンズ素子154は、インスキャン方向とクロススキャン方向の両方においてある負の光パワーを有する。いくつかの例では、該負の光パワーの大きさは、インスキャン方向とクロススキャン方向とで互いに異なる。他の例では、インスキャン方向とクロススキャン方向の負の光パワーは、ほぼ同じ大きさを有する。図示のように、第2のレンズ素子154は、インスキャン方向とクロススキャン方向の両方において凹面である第1の面154aを有している。いくつかの例では、第1の面154aを回転対称とすることができ、他の例では、第1の面154aをアナモルフィックとすることができる。第2のレンズ154の第2の面154bは凸面として図示されており、それぞれ異なる例にしたがって、回転対称形の凸面またはアナモルフィック面とすることができる。
いくつかの例では、走査レンズ150はさらに、インスキャン方向とクロススキャン方向の両方においてある正の光パワーを有する第3のレンズ素子156を備える。いくつかの例では、該正の光パワーの大きさは、インスキャン方向とクロススキャン方向とで互いに異なる。他の例では、インスキャン方向とクロススキャン方向の正の光パワーは、ほぼ同じ大きさを有する。第3のレンズ素子156の第1の面156aは平面として図示されている。他の例では、第1の面156aを、凸面または凹面とすることができ、さらに、回転対称形またはアナモルフィックとすることができる。第3のレンズ素子156の第2の面156bは、回転対称形の凸面として図示されている。他の例では、該第2の面を平面または凹面とすることができ、該第2の面はさらに、アナモルフィック形状を有することができる。
いくつかの例では、走査レンズ150はさらに、インスキャン方向にある光パワーを有し、かつ、クロススキャン方向に別の光パワーを有する第4のレンズ素子158を備える。第4のレンズ素子158のクロススキャン方向の光パワーは、正であり、かつ、第4のレンズ素子158のインスキャン方向の光パワーよりも大きい。一般に、第4のレンズ素子158のインスキャン方向の光パワーは、正またはゼロまたは負でありうる。さらに、第4のレンズ素子158の第1の面158aと第2の面158bの少なくとも一方はアナモルフィック面である。図4A及び図4Bにおいて、第1の面158aは、クロススキャン方向においてのみある曲率を有する凸状の注面(または円筒面)を有するものとして図示されている。他の例では、第1の面158aを、クロススキャン方向にある曲率半径(該曲率半径は、インスキャン方向の曲率半径よりも小さい)を有する円環曲面またはアナモルフィック面とすることができる。さらに、図示のように、第2の面158bは回転対称である。他の例では、第1の面158aは回転対称である。これらの例では、第2の面158bを、クロススキャン方向の曲率半径がインスキャン方向の曲率半径より小さい凸状の円環曲面もしくは凸状の注面(または円筒面)もしくは別のアナモルフィック面とすることができる。さらに別の例では、第1の面158aと第2の面158bのいずれも、インスキャン方向よりもクロススキャン方向により大きな光パワーを提供するように全体として構成されたアナモルフィック面である。
さらに、いくつかの例では、第2のレンズ素子154は、第1のレンズ素子152、第3のレンズ素子156、及び第4のレンズ素子158の材料よりも高い屈折率を有する材料から構成される。いくつかの例では、第1のレンズ素子152、第3のレンズ素子156、及び第4のレンズ素子158の材料の屈折率は、互いにほぼ等しい。他の例では、第1のレンズ素子152、第3のレンズ素子156、及び第4のレンズ素子158は、それぞれ異なる屈折率を有する材料から構成される。
第1のレンズ素子152、第2のレンズ素子154、第3のレンズ素子156、及び第4のレンズ素子158は、ビームスキャナ140と走査面104の間に昇順に光学的に配置される。換言すれば、光ビーム102は、最初に第1のレンズ素子152、その後、第2のレンズ素子154、その後、第3のレンズ素子156、その後、第4のレンズ素子158という順で走査レンズ150を通過する。光ビーム102は、第4のレンズ素子158を通過した後、走査レンズ150から出る。そのため、第1のレンズ素子152はビームスキャナ140に隣接するか該スキャナ140のより近くにあり、第4のレンズ素子158は走査面104に隣接するか該走査面104のより近くにある。さらに、それぞれのレンズ素子152、154、156、158の第1の面152a、154a、156a、158aは、ビームスキャナ140の方を向くように向きが設定されており、したがって、それぞれビームスキャナ140により近い位置にある。さらに、それぞれのレンズ素子152、154、156、158の第2の面152b、154b、156b、158bは、走査面104の方を向くように向きが設定されており、したがって、それぞれ走査面104により近い位置にある。
図5は、本明細書に記載されている原理の1例にしたがう、レーザーアレイ走査システム200のブロック図である。レーザーアレイ走査システム200は、光ビーム202を走査させるように構成されている。たとえば、レーザーアレイ走査システム200をプリンターに用いて、光ビーム202を走査させて、感光ドラム上に走査させられた照射スポットを生成することができる。
レーザーアレイ走査システム200は、エミッタモジュール210を備える。エミッタモジュール210は、複数の光ビーム202を提供するように構成されている。いくつかの例によれば、エミッタモジュール210は、レーザーダイオード212のアレイ(配列)から構成される。いくつかの例によれば、エミッタモジュール210はさらに、マイクロレンズ214の対応する配列を備える。対応する配列のマイクロレンズ214は関連する倍率を有している。この関連する倍率は、対応する光ビーム202によって形成される照射スポットのスポットサイズを決定するために選択される。いくつかの例では、レーザーダイオード212は、光学走査装置100の光エミッタ110に関して上述したレーザーダイオードとほぼ同じかまたはそれによく似ている。いくつかの例では、マイクロレンズ214は、光学走査装置100に関して上述したマイクロレンズ120とほぼ同じかまたはそれによく似ている。
レーザーアレイ走査システム200はさらに、ある焦点距離を有する調整可能なコリメーター220を有する。調整可能なコリメーター220の焦点距離は、光ビーム102によって生成された照射スポット間の間隔を調節できるように可変である。いくつかの例では、調整可能なコリメーター220は、光学走査装置100に関して上記した調整可能なコリメーター130とほぼ同じかまたはそれによく似ている。具体的には、調整可能なコリメーター220の焦点距離を、照射スポット間の測定された間隔に応じて変更または調整することができる。照射スポットの間隔を、たとえば、(上記したように)走査面上の照射スポット間の間隔によって(または、走査面上の照射スポット間の間隔として)測定することができる。別の例では、照射スポットの間隔を、走査面の画像を含む、レーザーアレイ走査システム200の光路中の他のいくつかのポイントで測定することができる。測定された間隔を、たとえば、リアルタイムフィードバック測定システムによって提供することができる。いくつかの例では、調整可能なコリメーター220の焦点距離は、焦点距離の中央値を中心として、該中央値の約+5%〜約−5%の焦点距離範囲を提供する(すなわち、その範囲にわたって焦点距離が可変である)。たとえば、焦点距離の範囲を、該中央値を中心として、該中央値の約+3%〜約−3%とすることができる。
レーザーアレイ走査システム200はさらに、ビームスキャナ230を備える。ビームスキャナ230は、インスキャン方向に光ビーム202を走査させるように構成されている。いくつかの例では、ビームスキャナ230は、光学走査装置100に関して上記したビームスキャナ140とほぼ同じかそれによく似ている。たとえば、ビームスキャナ230を、鏡面仕上げされた回転多角形(または回転多面鏡)から構成することができる。
レーザーアレイ走査システム200はさらに、走査面240を有する。走査面240は、インスキャン方向に実質的に垂直なクロススキャン方向に動くように構成されている。いくつかの例では、走査面240は、レーザープリンターの感光ドラムの面から構成される。感光ドラムの回転によって、走査面240のクロススキャン方向の動きが生じる。種々の例によれば、照射スポットは、レーザーアレイ走査システム200によって走査面上に結像される。いくつかの例によれば、光ビーム202によって生成される走査面240上の照射スポットは、クロススキャン方向に実質的に平行な行(すなわち、直線状配列)をなす向きに向けられる。
いくつかの例では、レーザーアレイ走査システム200はさらに、ビームスキャナ230と走査面240の間に走査レンズ250を備える。走査レンズ250は、走査面240上に光ビーム202を収束させるように構成されている。いくつかの例では、走査レンズ250は4素子レンズ(four-element lens)である。これらの例のいくつかでは、走査レンズ250は、光学走査装置100に関して上記した走査レンズ150とほぼ同じかそれによく似ている。
具体的には、いくつかの例によれば、走査レンズ250は、インスキャン方向にある光パワーを有し、クロススキャン方向に別の光パワーを有する第1のレンズ素子を備えている。第1のレンズ素子のクロススキャン方向における光パワーは、正であって、かつ、該第1のレンズ素子のインスキャン方向の光パワーよりも大きい。走査レンズ250はさらに、インスキャン方向にある負の光パワーを有し、クロススキャン方向に別の負の光パワーを有する第2のレンズ素子を備えている。走査レンズ250はさらに、インスキャン方向にある正の光パワーを有し、クロススキャン方向に別の正の光パワーを有する第3のレンズ素子を備えている。走査レンズ250はさらに、インスキャン方向にある光パワーを有し、クロススキャン方向に別の光パワーを有する第4のレンズ素子を備えている。第4のレンズ素子のクロススキャン方向における光パワーは、正であって、かつ、該第4のレンズ素子のインスキャン方向の光パワーよりも大きい。
図6は、本明細書に記載されている原理の1例にしたがう、光学的走査方法300のフローチャートである。光学的走査方法300は、光エミッタの配列の中間像を実質的に1に等しい配列倍率で形成するために、光エミッタの該配列によって放出された複数の光ビームの円錐角(cone angle)を調整するステップ310を含む。該中間像は、別個のマイクロレンズを用いて光エミッタの各々を別個に結像することによって形成される。中間像は、中間像面における複数のスポットから構成される。種々の例によれば、マイクロレンズの各々は、関連する倍率を有する。たとえば、マイクロレンズを、マイクロレンズ120とほぼ同じかまたはそれによく似たものとすることができる。
光学的走査方法300はさらに、光ビームによって走査面に生成される照射スポット間の間隔を調整するステップ320を含む。間隔を調整するステップ320は、全ての光ビームが通る光学要素の選択可能なまたは調整可能な焦点距離を利用する。種々の例によれば、間隔を調整するステップ320は、円錐角を調整するステップ310とは実質的に別個のものであって、当該ステップから実質的に独立している。
いくつかの例では、間隔を調整するステップ320は、中間像からの光ビームを受けるための(いくつかの例では、さらに、該光ビームを実質的に収束させるための)コリメーター、より具体的には、調整可能なコリメーターを利用することができる。調整可能なコリメーターは、調整可能な焦点距離を提供する。間隔を調整するステップ320で利用される調整可能なコリメーターを、光学走査装置100に関して上記した調整可能なコリメーター130と実質的に同じかまたはそれによく似たものとすることができる。
光学的走査方法300はさらに、走査面を横断して照射スポットを走査させるために、インスキャン方向に光ビームを走査させるステップ330を含む。インスキャン方向は、光学走査装置100に関して上記で定義されている。照射スポットの配置ないし配列によって、走査面上に1より小さい倍率で(光エミッタの)配列の像が形成される。いくつかの例によれば、光ビームは、走査面上に、インスキャン方向に実質的に垂直な向きに直線状に配置される対応する照射スポットを生成する。たとえば、光ビームを走査させるステップ330は、鏡面仕上げされた1以上の回転多角形(または1以上の回転多面鏡)、回動ミラー(pivoting mirror)及び可動プリズムからなるビームスキャナを利用することができる。いくつかの例では、光ビームを走査させるステップ330を、光学走査装置100に関して上記したビームスキャナ140によって提供することができる。
いくつかの例では、光学的走査方法300はさらに、走査面における照射スポット間の間隔を測定するステップ340を含む。いくつかの例では、間隔を測定するステップ340を、光ビームを走査させるステップ330の合間(光ビームの走査と走査の間)に実行することができる。たとえば、間隔を測定するステップ340は、光学センサー(たとえば、カメラ)を用いて、走査面における照射スポットの間隔を測定することを含むことができる。光学センサーを、たとえば、走査の開始時と終了時のいずれかにおいて、走査面の近傍からの光ビームを受けるように配置することができる。他の例では、間隔を測定するステップ340は、光ビームを捕捉(インターセプト)してサンプリングすることによって、光ビームを走査させるステップ330中(たとえば、光ビームを走査させている間)に実行される。照射スポット間の間隔(または等価的に光ビームの間隔)自体を、たとえば、カメラまたはカメラに類似のイメージングシステムを用いて測定する(340)ことができる。
いくつかの例では、光学的走査方法300はさらに、焦点距離を変化させて、間隔を調整する(320)ために、フィードバックを提供するステップ350を含む。たとえば、フィードバックを提供するステップ350を用いて、調整可能なコリメーターの可変のまたは調整可能な焦点距離を制御することができる。種々の例によれば、フィードバックを、走査させるステップ330によって提供される光ビームの複数の走査のうちの(1以上の)走査中と該複数の走査のうちの連続する走査と走査の間との一方または両方において提供する(350)ことができる。たとえば、フィードバックを、サーボ機構制御システムによって提供する(350)ことができる。
以上、マイクロレンズに結合された光エミッタアレイを利用してビーム間隔と照射スポットサイズを独立して制御可能にする、光学走査装置、レーザーアレイ走査システム、及び光学的走査方法の例を説明した。当然ながら、上記の例は、本明細書に記載されている原理を表す多くの特定の例のうちのいくつかを例示したにすぎない。当業者であれば、特許請求の範囲によって画定される範囲から逸脱することなく、他の多くの構成ないし配置を容易に想起できることは明らかである。

Claims (15)

  1. 光学走査装置であって、
    複数の光ビームを提供するための光エミッタの配列と、
    前記光ビームを受けて、前記配列の中間像を、実質的に1の配列倍率で形成するための複数のマイクロレンズであって、前記中間像は複数のスポットから構成され、各スポットは、前記光ビームのそれぞれ異なる1つの光ビームに対応することからなる、複数のマイクロレンズと、
    前記中間像から前記複数の光ビームを受けるためのコリメーターと、
    前記コリメーターから受けた光ビームをインスキャン方向に走査させるためのビームスキャナと、
    前記走査された光ビームを収束させて、走査面上に照射スポットの配列を形成するための走査レンズであって、前記照射スポットの配列は、前記光エミッタの配列の像を形成することからなる、走査レンズ
    を備え
    前記コリメーターは、調整可能な焦点距離を有する調整可能なコリメーターであり、前記調整可能な焦点距離は、前記走査面上の照射スポットの配列における照射スポット間の間隔を変化させるために調整可能である、光学走査装置。
  2. 前記複数のマイクロレンズの各々のマイクロレンズは、対応する光ビームを速軸方向に収束させるための第1の関連する倍率を有する第1のマイクロレンズ素子、及び、対応する光ビームを遅軸方向に収束させるための第2の関連する倍率を有する第2のマイクロレンズ素子を備える、請求項1の光学走査装置。
  3. 前記複数のマイクロレンズの各々のマイクロレンズは、前記光ビームを速軸方向に収束させるための第1の面、及び、前記光ビームを遅軸方向に収束させるための第2の面を有する、請求項1の光学走査装置。
  4. 前記光エミッタは端面発光レーザーダイオードであり、前記マイクロレンズは、前記端面発光レーザーダイオードによって生成された前記光ビームの速軸半値半幅(HWHM)角の大きさと遅軸半値半幅(HWHM)角の大きさの一方または両方を、前記マイクロレンズの出力部において少なくとも1/10に小さくする、請求項1〜3のいずれかの光学走査装置。
  5. 前記少なくとも1/10が、1/10と1/100の間の範囲内である、請求項4の光学走査装置。
  6. 前記調整可能なコリメーターの焦点距離は、該焦点距離の中央値を中心として、該中央値の約+5%〜約−5%の間で調節可能である、請求項1〜のいずれかの光学走査装置。
  7. 前記調整可能なコリメーターの焦点距離は、前記走査面上の照射スポットの測定された間隔に応じて調整可能であり、前記測定された間隔は、リアルタイムフィードバック測定システムによって提供される、請求項1〜6のいずれかの光学走査装置。
  8. 前記走査レンズが、
    インスキャン方向にある光パワーを有し、クロススキャン方向にある光パワーを有する第1のレンズ素子であって、該第1のレンズ素子の前記クロススキャン方向の光パワーは、正で、かつ、該第1のレンズ素子の前記インスキャン方向の光パワーよりも大きく、前記クロススキャン方向は、前記インスキャン方向に垂直であることからなる、第1のレンズ素子と、
    前記インスキャン方向にある負の光パワーを有し、前記クロススキャン方向にある負の光パワーを有する第2のレンズ素子と、
    前記インスキャン方向にある正の光パワーを有し、前記クロススキャン方向にある正の光パワーを有する第3のレンズ素子と、
    前記インスキャン方向にある光パワーを有し、前記クロススキャン方向にある光パワーを有する第4のレンズ素子であって、該第4のレンズ素子の前記クロススキャン方向の光パワーは、正で、かつ、該第4のレンズ素子の前記インスキャン方向の光パワーよりも大きいことからなる、第4のレンズ素子
    を備え、
    前記第1、第2、第3、及び第4のレンズ素子は、前記ビームスキャナと前記走査面の間に昇順で光学的に配置される、請求項1〜7のいずれかの光学走査装置。
  9. レーザーアレイ走査システムであって、
    複数の光ビームを提供するためのエミッタモジュールであって、該エミッタモジュールは、レーザーダイオードの配列及び対応するマイクロレンズの配列を備え、前記マイクロレンズの各々は、対応する光ビームによって形成された照射スポットのスポットサイズを決定するための関連する倍率を有することからなる、エミッタモジュールと、
    前記照射スポット間の間隔を調節するための可変の焦点距離を有する調整可能なコリメーターと、
    前記光ビームをインスキャン方向に走査させるためのビームスキャナと、
    前記インスキャン方向に実質的に垂直なクロススキャン方向に動く走査面
    を備え、
    前記照射スポットは、前記クロススキャン方向に実質的に平行な行をなすように、前記走査面上に結像されることからなる、レーザーアレイ走査システム。
  10. 前記走査面は、レーザープリンターの感光ドラムの表面から構成され、該感光ドラムの回転によって、前記走査面が前記クロススキャン方向に動く、請求項9のレーザーアレイ走査システム。
  11. 前記調整可能なコリメーターの焦点距離は、前記照射スポットの測定された間隔に応じて変更可能であり、前記測定された間隔は、リアルタイムフィードバック測定システムによって提供され、前記調整可能なコリメーターの焦点距離は、該焦点距離の中央値を中心として、該中央値の約+5%〜約−5%の間の焦点距離範囲を提供する、請求項9または10のレーザーアレイ走査システム。
  12. 前記対応するマイクロレンズの配列をなす各々のマイクロレンズ
    (i)前記光ビームを速軸方向に収束させるための第1のマイクロレンズ素子及び、前記光ビームを遅軸方向に収束させるための第2のマイクロレンズ素子を備えるか、または、
    (ii)前記光ビームを速軸方向に収束させるための第1の面、及び、前記光ビームを遅軸方向に収束させるための第2の面を有する、請求項9〜11のいずれかのレーザーアレイ走査システム。
  13. 前記ビームスキャナと前記走査面の間に、前記走査面上に前記光ビームを収束させるための走査レンズをさらに備え、
    前記走査レンズが、
    インスキャン方向にある光パワーを有し、クロススキャン方向にある光パワーを有する第1のレンズ素子であって、該第1のレンズ素子の前記クロススキャン方向の光パワーは、正で、かつ、該第1のレンズ素子の前記インスキャン方向の光パワーよりも大きく、前記クロススキャン方向は、前記インスキャン方向に垂直であることからなる、第1のレンズ素子と、
    前記インスキャン方向にある負の光パワーを有し、前記クロススキャン方向にある負の光パワーを有する第2のレンズ素子と、
    前記インスキャン方向にある正の光パワーを有し、前記クロススキャン方向にある正の光パワーを有する第3のレンズ素子と、
    前記インスキャン方向にある光パワーを有し、前記クロススキャン方向にある光パワーを有する第4のレンズ素子であって、該第4のレンズ素子の前記クロススキャン方向の光パワーは、正で、かつ、該第4のレンズ素子の前記インスキャン方向の光パワーよりも大きいことからなる、第4のレンズ素子
    を備え、
    前記第1、第2、第3、及び第4のレンズ素子は、前記ビームスキャナと前記走査面の間に昇順で光学的に配置される、請求項9〜12のいずれかのレーザーアレイ走査システム。
  14. 光学的走査方法であって、
    個別のマイクロレンズを用いて光エミッタの各々を個別に結像することによって、該光エミッタの配列によって生成される複数の光ビームの円錐角を調整して、実質的に1の配列倍率で前記配列の中間像を形成するステップであって、前記中間像は、中間像面における複数のスポットから構成される、ステップと、
    調整可能なコリメーターを用いて、前記光ビームによって走査面に生成される照射スポット間の間隔を調整するステップと、
    前記走査面をインスキャン方向に横断するように前記光ビームを走査させるステップ
    を含み、
    前記照射スポットの配列によって、前記光エミッタの配列の像が形成され
    間隔を調整する前記ステップが、前記走査面における前記照射スポット間の間隔を測定するステップと、前記コリメーターの焦点距離を変化させて前記間隔を調整するためにフィードバックを提供するステップを含むことからなる、光学的走査方法。
  15. 記フィードバックは、前記照射スポットの複数の走査のうちの走査中と、該複数の走査のうちの走査と走査の間との一方または両方において提供される、請求項14の光学的走査方法。
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