JP2021067895A - レーザスキャニング装置 - Google Patents

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Hitoshi Noguchi
仁志 野口
高山 了一
Ryoichi Takayama
了一 高山
公博 村上
Kimihiro Murakami
公博 村上
中村 亘志
Nobuyuki Nakamura
亘志 中村
深草 雅春
Masaharu Fukakusa
雅春 深草
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Takakiyo Harigai
貴聖 張替
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Abstract

【課題】衝撃や振動等の外乱環境下においても安定的に高出力のレーザ光を走査させることが可能なレーザスキャニング装置を提供する。【解決手段】レーザスキャニング装置1は、一方向に並ぶ複数のレーザ発光部11aを備えるレーザ光源11と、各レーザ発光部11aから出射されたレーザ光が入射する回折格子15と、各レーザ発光部11aの出射波長を設定する外部共振型の発振光学系と、を備える。ここで、発振光学系は、各レーザ発光部11aから出射されたレーザ光を各レーザ発光部11aに帰還させるための部分反射ミラー14と、各レーザ発光部11aと部分反射ミラー14との間に配置され、制御信号により透過波長帯域が可変の波長変調素子13と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ光を走査させるレーザスキャニング装置に関する。
従来、レーザ光源から出射されたレーザ光を走査範囲において走査させるレーザスキャニング装置が知られている。この種の装置は、たとえば、走査範囲における物体の有無および当該物体までの距離を測定するためのレーザレーダに装備される。走査範囲に存在する物体によってレーザ光が反射され、その反射光が受光光学系によって検出される。反射光の有無により物体の有無が検出され、レーザ光の投射タイミングと反射光の受光タイミングとの時間差によって、物体までの距離が測定される。
以下の特許文献1には、レーザスキャニング装置の一例が示されている。この装置では、マイクロミラーや、ポリゴンスキャナ、圧電式マイクロプリズム素子およびガルバノメータ等の走査装置によって、レーザ光が走査される。
特許第6309459号公報
上記構成のレーザスキャニング装置は、ミラー等を機械的に駆動してビームを走査させる構成であるため、衝撃や振動等の影響を受けやすい。このため、衝撃や振動等の外乱環境下において安定的にレーザ光を走査させることが困難である。また、たとえば、上述のレーザレーダ等にレーザスキャニング装置が搭載される場合、より遠くの物体を検出可能とするために、レーザ光の高出力化が求められる。
かかる課題に鑑み、本発明は、衝撃や振動等の外乱環境下においても安定的に高出力のレーザ光を走査させることが可能なレーザスキャニング装置を提供することを目的とする。
本発明の主たる態様に係るレーザスキャニング装置は、一方向に並ぶ複数のレーザ発光部を備えるレーザ光源と、前記各レーザ発光部から出射されたレーザ光が入射する回折格子と、前記各レーザ発光部の出射波長を設定する外部共振型の発振光学系と、を備える。ここで、前記発振光学系は、前記各レーザ発光部から出射されたレーザ光を前記各レーザ発光部に帰還させるためのミラーと、前記各レーザ発光部と前記ミラーとの間に配置され、制御信号により透過波長帯域が可変の波長変調素子と、を備える。
本態様に係るレーザスキャニング装置によれば、波長変調素子によってレーザ光の波長を変化させることにより、回折格子におけるレーザ光の出射角(回折角)を変化させることができる。これにより、レーザ光を所定方向に走査させることができる。ここで、レーザ光の走査は、機械的手段ではなく、波長の調整より行われるため、衝撃や振動等の影響を受けにくい。よって、衝撃や振動等の外乱環境下においても安定的にレーザ光を走査させることができる。また、レーザ光源が複数のレーザ発光部を備えるため、レーザ光源の出力を高めることができる。よって、高出力のレーザ光を走査させることができる。
以上のとおり、本発明に係るレーザスキャニング装置によれば、衝撃や振動等の外乱環境下においても安定的に高出力のレーザ光を走査させることが可能となる。
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
図1(a)、(b)は、それぞれ、実施形態1に係る、レーザスキャニング装置の光学系の構成を示す平面図および側面図である。 図2(a)、(b)は、それぞれ、実施形態1に係る、レーザ光源の構成を示す図である。 図3(a)は、実施形態1に係る、レーザスキャニング装置の回路ブロック図である。図3(b)は、実施形態1に係る、波長変調素子の圧電体に印加される駆動電圧の波形の一例を示す図である。 図4(a)、(b)は、それぞれ、実施形態2に係る、レーザスキャニング装置の光学系の構成を示す平面図および側面図である。 図5(a)、(b)は、それぞれ、実施形態3に係る、レーザスキャニング装置の光学系の構成を示す平面図および側面図である。 図6(a)、(b)は、それぞれ、実施形態3の変更例に係る、レーザスキャニング装置の光学系の構成を示す平面図および側面図である。 図7(a)、(b)は、それぞれ、実施形態4に係る、レーザスキャニング装置の光学系の構成を示す平面図および側面図である。 図8(a)、(b)は、それぞれ、実施形態5に係る、レーザスキャニング装置の光学系の構成を示す平面図である。 図9(a)〜(d)は、それぞれ、実施形態5に係る、波長変調素子に対するレーザ光の入射状態を模式的に示す図である。 図10は、実施形態6に係る、レーザスキャニング装置の光学系の構成を示す側面図である。 図11(a)は、実施形態7に係る、レーザスキャニング装置の光学系の構成を示す側面図である。図11(b)は、実施形態7の変更例に係る、レーザスキャニング装置の光学系の構成を示す側面図である。 図12(a)は、実施形態7の他の変更例に係る、レーザスキャニング装置の光学系の構成を示す側面図である。図12(b)は、実施形態7のさらに他の変更例に係る、レーザスキャニング装置の光学系の構成を説明する図である。 図13(a)、(b)は、それぞれ、実施形態8に係る、レーザスキャニング装置の光学系の構成を示す平面図および側面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。便宜上、各図には互いに直交するX、Y、Z軸が付記されている。Z軸正方向は、レーザ光源におけるレーザ光の出射方向である。
<実施形態1>
図1(a)、(b)は、それぞれ、実施形態1に係る、レーザスキャニング装置1の光学系の構成を示す平面図および側面図である。
図1(a)、(b)に示すように、レーザスキャニング装置1は、レーザ光源11と、レンズアレイ12と、波長変調素子13と、部分反射ミラー14と、回折格子15とを備える。
レーザ光源11は、一方向に並ぶ複数のレーザ発光部11aを備える。レーザ発光部11aは、所定波長のレーザ光を出射する。各レーザ発光部11aの出射波長は、互いに同じである。レーザ発光部11aは、たとえば、赤外波長のレーザ光を出射する。レーザ光源11は、半導体レーザ等の端面発光型のレーザ光源である。
図2(a)、(b)は、レーザ光源11の構成を示す図である。
図2(a)は、レーザ光源11に含まれる1つのレーザ素子110の構成を示している。レーザ素子110は、活性層111がN型クラッド層112とP型クラッド層113に挟まれた構造となっている。N型クラッド層112は、N型基板114に積層される。また、P型クラッド層113にコンタクト層115が積層される。電極116に電流が印加されることにより、発光領域117からレーザ光がZ軸正方向に出射される。一般に、発光領域117は、活性層111に並行な方向の幅W1が、活性層111に垂直な方向の幅W2よりも広くなっている。
発光領域117の短辺方向の軸、すなわち、活性層111に垂直な方向(Y軸方向)の軸は、ファスト軸と称され、発光領域117の長辺方向の軸、すなわち、活性層111に平行な方向(X軸方向)の軸は、スロー軸と称される。発光領域117から出射されたレーザ光は、スロー軸方向よりもファスト軸方向の広がり角が大きい。このため、ビームの形状は、図2(a)に示すように、ファスト軸方向に長い楕円形状となる。
図2(b)に示すように、複数のレーザ素子110がスロー軸に沿って並ぶようにベース118に設置されて、レーザ光源11が構成される。したがって、各レーザ素子110の発光領域117は、スロー軸方向に1列に並んでいる。これら発光領域117が、図1(a)、(b)のレーザ発光部11aに対応する。レーザ光源11を構成する複数のレーザ素子110は、全て同じ出射特性を有する。
なお、図2(b)では、複数のレーザ素子110が互いに隣接してベース118に設置されることによりレーザ光源11が構成されているが、複数の発光領域117がスロー軸方向に並ぶように形成された1つの半導体発光素子がベース118に設置されてもよい。また、レーザ光源11は、必ずしも、スロー軸方向に発光領域117が並ぶように構成されなくてもよく、ファスト軸方向に発光領域117が並ぶ構成であってもよい。
図1(a)、(b)に戻って、レーザ光源11は、各レーザ発光部11a(発光領域117)の並び方向(スロー軸方向)がX軸に平行となるよう配置される。レーザ光源11の導波路は、Z軸正側(出射側)の端面の反射率が略ゼロであり、Z軸負側の端面の反射率が略100%であるように構成されている。
レンズアレイ12は、複数のコリメータレンズ12aがX軸方向に隣接して形成された構成である。複数のコリメータレンズ12aは、それぞれ、複数のレーザ発光部11aに対向する。各コリメータレンズ12aは、対向するレーザ発光部11aから出射されたレーザ光を略平行光に変換する。コリメータレンズ12aは、たとえば、非球面レンズによって構成される。
波長変調素子13は、透過波長帯域が可変の狭帯域バンドパスフィルタである。波長変調素子13は、たとえば、ファブリペローエタロン式波長可変フィルタにより構成される。この場合、波長変調素子13は、互いに平行に配置された2枚の高反射ミラー(多層反射膜ミラー)と、これらミラー間のギャップ(干渉ギャップ)を変化させる圧電体とを備える。2つのミラー間のギャップが圧電体で変えられることにより、波長変調素子13の透過波長帯域が変化する。
なお、波長変調素子13は、レーザ光の光軸に対して入射面の法線が数度の傾きを持つ(たとえば、入射面の法線がY−Z平面に平行な状態を保ったまま光軸に対し5°の角度をもつように波長変調素子13をX軸に平行な軸の周りに回転させる)状態で配置される。すなわち、波長変調素子13は、複数のレーザ発光部11aからそれぞれ出射された複数のレーザ光の光軸を含む平面に対して傾くように配置される。これにより、波長変調素子13の入射面で反射したレーザ光が、入射時の光路を逆行して、元のレーザ発光部11aに戻ることが防止される。また、図1(b)に破線の矢印で示すように、波長変調素子13の入射面で反射したレーザ光は、複数のレーザ発光部11aの並び方向に垂直な方向に逸れるため、このレーザ光の入射面での反射光が、いずれかのレーザ発光部11aに入射することも防止される。
なお、波長変調素子13は、入射面の法線が、レーザ光の光軸に対して平行な状態から、X軸に平行な軸のまわりに回転した方向のみならず、Y軸に平行な軸のまわりに回転した方向にも傾くように配置されていてもよい。さらには、波長変調素子13の入射面の法線がX−Z平面と並行な状態を保っていたとしても、十分な透過光が得られ、かつ入射面で反射したレーザ光が、いずれのレーザ発光部11aにも入射しない程度以上にY軸と並行な軸に対して十分に回転して設置されていてもよい。
部分反射ミラー14は、レーザ光の光軸に垂直に配置され、入射したレーザ光の一部を反射し、残りの部分を透過させる。部分反射ミラー14は、たとえば、ハーフミラーによって構成される。部分反射ミラー14で反射されたレーザ光の一部は、光路を逆行して、元のレーザ発光部11aに入射する。
図1(a)、(b)の構成において、レンズアレイ12、波長変調素子13および部分反射ミラー14は、レーザ光源11(各レーザ発光部11a)に対する外部共振型の発振光学系を構成する。すなわち、波長変調素子13を透過する波長のレーザ光が部分反射ミラー14によってレーザ発光部11a(導波路)に戻されることにより、当該波長でレーザ発光部11aが共振する。これにより、当該波長のレーザ光がレーザ光源11から出射される。したがって、レーザ発光部11aの出射波長は、波長変調素子13の透過波長によって決定される。
上記のように、波長変調素子13は、干渉ギャップを変化させることにより、透過波長帯を変化させることができる。したがって、この光学系では、波長変調素子13の透過波長帯を変化させることにより、レーザ発光部11aの出射波長を動的に変化させることができる。
回折格子15は、平板状の透明な光学部材からなっている。回折格子15は、レンズアレイ12(コリメータレンズ12a)の光軸に対して垂直な状態から所定角度(たとえば45度)だけ、回折格子15の法線がY−Z平面に平行な状態を保ちながら、レンズアレイ12の光軸に対して傾くように配置される。回折格子15には、入射したレーザ光の回折光がY−Z平面に平行な平面内を直進するよう回折パターン(回折溝)15aが形成されている。図1(a)、(b)の構成例では、回折パターン15aが、回折格子15の入射面に形成されている。
回折パターン15aは、ブラッグ条件を満たすように、溝のピッチおよび深さが設定されている。回折格子15は、波長変調素子13による波長の変化範囲(たとえば、中心波長に対して±20nm程度の範囲)において所定の回折次数の回折効率が100%付近(たとえば90%以上)となるように構成されている。
図1(a)、(b)の構成では、回折格子15に入射する各レーザ発光部11aからのレーザ光L1の波長に応じて、回折格子15に対するレーザ光の出射角が変化する。回折格子15に対するレーザ光の入射角および出射角をそれぞれθ0およびθmとし、格子ピッチをdとし、回折次数をmとすると、以下の関係式が成立する。
d(sinθm−sinθ0)=mλ …(1)
上記式(1)から、レーザ光L1の出射角θmは、回折格子15に入射するレーザ光L1の波長が長くなるほど大きくなる。したがって、波長変調素子13の作用によりレーザ光L1の波長がλ1〜λ3の範囲で変化する場合、回折格子15を透過した後のレーザ光L1の投射方向は、図1(b)に模式的に示すように、Y−Z平面に平行な方向に変化する。図1(b)において、波長λ1、λ2、λ3は、λ1>λ2>λ3の関係にある。したがって、波長変調素子13を制御してレーザ光L1の波長を変化させることにより、レーザ光L1をZ軸方向に平行な走査方向D1に走査させることができる。たとえば、レーザ光L1は、波長の変化に伴い、20°程度の振り角で走査される。
図3(a)は、レーザスキャニング装置1の回路ブロック図である。
レーザスキャニング装置1は、回路部の構成として、コントローラ101と、光源駆動回路102と、波長調整回路103と、を備える。
コントローラ101は、集積処理回路により構成され、所定のプログラムに従って光源駆動回路102および波長調整回路103を制御する。光源駆動回路102は、コントローラ101からの制御に従ってレーザ光源11を駆動する。波長調整回路103は、コントローラ101からの制御に従って波長変調素子13(圧電体)を駆動する。コントローラ101は、レーザ光の走査動作時に、光源駆動回路102を介してレーザ光源11を点灯させ、波長調整回路103を介してレーザ光源11の出射波長を変化させる。
図3(b)は、波長変調素子13の圧電体に印加される駆動電圧の波形の一例を示す図である。
ここでは、圧電体に印加される電圧がマイナスの場合に波長変調素子13の干渉ギャップが初期状態(電圧無印加状態)から小さくなり、圧電体に印加される電圧がプラスの場合に波長変調素子13の干渉ギャップが初期状態(電圧無印加状態)から大きくなる。干渉ギャップが小さくなると、波長変調素子13の透過波長が短くなり、干渉ギャップが大きくなると、波長変調素子13の透過波長が長くなる。
したがって、図3(b)のように、圧電体に対する印加電圧を−V1〜+V1の範囲で変化させると、回折格子15に入射するレーザ光L1の波長をλ1〜λ3の範囲で変化させることができる。波長λ3は、圧電体に対する印加電圧が−V1である場合(波長変調素子13の干渉ギャップが最小の場合)に回折格子15に入射するレーザ光L1の波長であり、波長λ1は、圧電体に対する印加電圧が+V1である場合(波長変調素子13の干渉ギャップが最大の場合)に回折格子15に入射するレーザ光L1の波長である。図1(a)、(b)の波長λ2は、たとえば、圧電体に対する印加電圧がゼロの場合に回折格子15に入射するレーザ光L1の波長である。
したがって、図3(b)の駆動信号を圧電体に印加して、回折格子15に入射するレーザ光L1の波長を波長λ1〜λ3の範囲で変化させることにより、図1(a)、(b)に示すように、レーザ光L1を走査方向D1に走査させることができる。このとき、印加電圧の最小値−V1および最大値+V1は、圧電体の正負の抗電界の範囲内において設定されればよい。
なお、波長変調素子13の圧電体に印加される駆動信号の波形は、必ずしも、図3(b)の波形に限られるものではない。たとえば、圧電体に対する印加電圧がゼロの場合に、レーザ光L1の波長がλ3(最小値)であれば、印加電圧をプラス方向のみに変化させて、レーザ光L1の波長を波長λ3(最大値)まで変化させてもよい。この場合、印加電圧の最大値は、圧電体の正側の抗電界の範囲内において設定されればよい。
<実施形態1の効果>
以上、本実施形態1によれば、以下の効果が奏される。
波長変調素子13によってレーザ光L1の波長を変化させることにより、回折格子15におけるレーザ光L1の出射角(回折角)を変化させることができる。これにより、レーザ光L1を走査方向D1に走査させることができる。ここで、レーザ光L1の走査は、機械的手段ではなく、波長の調整より行われるため、衝撃や振動等の影響を受けにくい。よって、衝撃や振動等の外乱環境下においても安定的にレーザ光L1を走査させることができる。
また、レーザ光源11、波長変調素子13および部分反射ミラー14によって外部共振型の発振光学系が構成されている。このため、波長変調素子13の透過波長を変化させることにより、レーザ光源11の波長を円滑に変化させることができ、また、各波長においてビーム品質の高いレーザ光をレーザ光源11から出射させることができる。
さらに、レーザ光源11が複数のレーザ発光部11aを備えるため、レーザ光源11の出力を高めることができる。よって、複数のレーザ光L1の集合からなる高出力のレーザ光を走査させることができる。
また、図1(b)に示したように、波長変調素子13のレーザ光源11側の入射面で反射されたレーザ光が、複数のレーザ発光部11aの何れにも入射しないように、当該入射面がレーザ光の光軸に対して傾いている。より詳細には、波長変調素子13の入射面は、複数のレーザ発光部11aからそれぞれ出射された複数のレーザ光の光軸を含む平面(X−Z平面に平行な平面)に対して垂直な状態から、X軸に平行な軸の周りに回転する方向に傾いている。これにより、波長変調素子13の入射面によって反射されたレーザ光がレーザ発光部11aを形成するいずれのレーザ素子にも入射することを防ぐことができ、レーザ発光部11aから出射されるレーザ光を所定の波長に安定的に収束させることができる。よって、波長変化に基づくレーザ光の走査を高精度に行うことができる。
<実施形態2>
上記実施形態1では、略平行光の状態で、各レーザ発光部11aからのレーザ光が部分反射ミラー14に入射したが、実施形態2では、各レーザ発光部11aからのレーザ光が部分反射ミラー14に収束するよう光学系が構成される。すなわち、実施形態2では、部分反射ミラー14に向かうレーザ光を部分反射ミラー14に収束させる収束光学系がさらに設けられる。
図4(a)、(b)は、それぞれ、実施形態2に係る、レーザスキャニング装置1の光学系の構成を示す平面図および側面図である。
ここでは、上述の収束光学系OS1として、複数の収束レンズ16aが用いられている。複数の収束レンズ16aは、それぞれ、複数のレーザ発光部11aに対応づけて、配置されている。ただし、収束光学系OS1は、必ずしも、収束レンズ16aのみによって構成されなくてもよく、複数のレンズの組み合わせや、凹面状の反射面によって構成されてもよい。
収束レンズ16aは、波長変調素子13から部分反射ミラー14に向かう各レーザ発光部11aからのレーザ光を部分反射ミラー14の入射面に収束させる。収束レンズ16aは、たとえば、光軸周りの全周に亘って均一な収束パワーを持つ非球面レンズである。この光学系では、部分反射ミラー14で反射されたレーザ光は、収束レンズ16aを介して各レーザ発光部11aに入射する。すなわち、この構成では、レンズアレイ12、波長変調素子13、収束レンズ16aおよび部分反射ミラー14によって、レーザ光源11(各レーザ発光部11a)に対する外部共振型の発振光学系が構成される。
部分反射ミラー14を透過した各レーザ光は、コリメータレンズ16bによって、略平行光に変換される。すなわち、複数の収束レンズ16aに対応づけて、複数のコリメータレンズ16bが配置されている。したがって、この構成においても、レーザ光L1は、略平行光の状態で回折格子15に入射する。回折格子15によりレーザ光L1に付与される光学作用は、上記実施形態1と同様である。また、波長変調素子13は、上記実施形態1と同様、入射面がレーザ光の光軸に対して傾くように配置されている。
この構成においても、上記実施形態1と同様に、波長変調素子13の透過波長を図3(a)の回路構成により変化させることにより、レーザ光L1を走査方向D1に安定的に走査させることができる。
さらに、本実施形態2では、部分反射ミラー14にレーザ光が収束されるため、上記実施形態1に比べて、部分反射ミラー14で反射されたレーザ光を、レーザ光源11に、より適正に戻すことができる。すなわち、上記実施形態1では、収束レンズ16aが用いられないため、レーザ光は、レンズアレイ12で平行光化された状態で部分反射ミラー14に入射する。この場合、レーザ光は、平行光に対して、やや拡散した状態や、やや収束された状態で、部分反射ミラー14に入射することが起こり得る。このように、平行光からずれた状態でレーザ光が部分反射ミラー14に入射すると、平行光に対して角度を持ったレーザ光の部分は、部分反射ミラー14で反射されても、レーザ光源11に適正に戻りにくくなる。
これに対し、実施形態2の構成では、収束レンズ16aで部分反射ミラー14の入射面にレーザ光が収束されるため、レーザ光の焦点位置に部分反射ミラー14の入射面が位置付けられるように、部分反射ミラー14を位置合わせすることにより、部分反射ミラー14で反射されたレーザ光をレーザ光源11に適正に戻すことができる。これにより、レーザ光源11のZ軸負側の端面と部分反射ミラー14との間で、レーザ光を効率的に多重反射させることができ、外部共振光学系の共振をより効率的に行うことができる。よって、波長変調素子13による波長変調をより円滑に行うことができ、結果、レーザ光の走査精度を高めることができる。
なお、図4(a)、(b)では、収束レンズ16aが波長変調素子13と部分反射ミラー14との間に配置されたが、収束レンズ16aが、波長変調素子13に対してレーザ光源11側に配置されてもよい。
<実施形態3>
上記実施形態1では、複数のレーザ発光部11aから出射されたレーザ光がレンズアレイ12で平行光化された状態で波長変調素子13に入射したが、実施形態3では、レンズアレイ12で平行光化された複数のレーザ光からなる光束のサイズが縮小光学系によって縮小された後、各レーザ光が波長変調素子13に入射する。
図5(a)、(b)は、それぞれ、実施形態3に係る、レーザスキャニング装置1の光学系の構成を示す平面図および側面図である。
図5(a)、(b)の構成では、レンズアレイ12に代えて、シリンドリカルレンズ17とレンズアレイ18が配置されている。シリンドリカルレンズ17は、各レーザ発光部11aから出射されたレーザ光をファスト軸方向に平行光化する。レンズアレイ18は、複数のレーザ発光部11aから出射されたレーザ光を、それぞれ、スロー軸方向に平行光化する複数のシリンドリカルレンズ18aを備える。このように、2つのシリンドリカルレンズ17、18aを用いることにより、各レーザ発光部11aから出射されるレーザ光を、より精度良く平行光化できる。
また、縮小光学系OS2として、凸レンズ19aと凹レンズ19bからなるテレスコープ光学系が配置されている。
凸レンズ19aは、全周に亘って均一な収束パワーを持つレンズであり、凹レンズ19bは、全周に亘って均一な拡散パワーを持つレンズである。凸レンズ19aと凹レンズ19bは、それぞれの光軸が一致し、且つ、それぞれの焦点位置が一致するように配置される。凸レンズ19aおよび凹レンズ19bの光軸は、Z軸に平行で、且つ、レーザ光源11のX軸方向およびY軸方向の中心位置を通る。
図5(a)に示すように、レンズアレイ18で平行光化された複数のレーザ光は、凸レンズ19aによって、凸レンズ19aの光軸方向に向かう方向に光路が曲げられる。このとき同時に、各レーザ光は凸レンズ19aからX軸方向の収束作用を受ける。その後、複数のレーザ光は、凹レンズ19bによって、光路がZ軸に平行な方向に戻され、かつ、平行光に戻される。したがって、凹レンズ19bを透過した後の複数のレーザ光は、全体の光束のサイズがX軸方向に縮小され、且つ、各レーザ光のビームサイズもX軸方向に縮小される。
また、図5(b)に示すように、各レーザ光は、凸レンズ19aによってY軸方向に収束された後、凹レンズ19bによって平行光に戻される。したがって、凹レンズ19bを透過した後の複数のレーザ光は、全体の光束のサイズがY軸方向に縮小され、且つ、各レーザ光のビームサイズもY軸方向に縮小される。
この構成においても、波長変調素子13は、上記実施形態1と同様、入射面がレーザ光の光軸に対して傾くように配置されている。
実施形態3の構成では、上記のように、複数のレーザ光の集合からなる光束のサイズが縮小されるため、図5(a)、(b)に示すように、波長変調素子13のサイズを小さくでき、且つ、波長変調素子13より後段の部分反射ミラー14および回折格子15のサイズも小さくできる。よって、光学系全体の構成を小型化でき、結果、レーザスキャニング装置1を小型化できる。
また、波長変調素子13を小型化できるため、波長変調素子13に含まれる2つのミラーの平行度を、変調有効領域内において確保させ易くなり、結果、変調有効領域における面内方向(ビーム径方向)の変調作用のばらつきを低減できる。これにより、回折格子15によって、より適正に、レーザ光を回折させることができ、結果、投射されるレーザ光のビーム品質を向上させることができる。
なお、実施形態3の構成によっても、上記実施形態2と同様、複数のレーザ発光部11aから出射されたレーザ光を部分反射ミラー14に収束させてもよい。
図6(a)、(b)は、この場合のレーザスキャニング装置1の光学系の構成を示す平面図および側面図である。
この構成では、複数のレーザ光にそれぞれ対応づけて複数の収束レンズ20aが配置されている。これら収束レンズ20aによって、収束光学系OS3が構成されている。各レーザ光は、対応する収束レンズ20aによって、部分反射ミラー14の入射面に収束される。また、これら複数の収束レンズ20aにそれぞれ対応づけて、レーザ光を平行光に戻すための複数のコリメータレンズ20bが配置されている。この構成によれば、上記実施形態2と同様の効果が奏され得る。なお、この場合も、複数の収束レンズ20aが、波長変調素子13の前段側に配置されてもよい。
また、図5(a)、(b)および図6(a)、(b)の構成では、縮小光学系OS2が、複数のレーザ光からなる光束をX軸方向およびY軸方向に縮小させるよう構成されたが、複数のレーザ光からなる光束をX軸方向のみに縮小させるように、縮小光学系OS2が構成されてもよい。この場合、凸レンズ19aは、たとえば、シリンドリカル形状の凸型のレンズ面を有する構成され、凹レンズ19bは、シリンドリカル形状の凹型のレンズ面を有する構成とされ得る。凸レンズ19aと凹レンズ19bは、各レンズ面の母線がY軸に平行となるように配置される。
<実施形態4>
上記実施形態1では、各レーザ発光部11aから出射されたレーザ光がレンズアレイ12によって平行光化された後、波長変調素子13に入射された。これに対し、実施形態4では、各レーザ発光部11aから出射されたレーザ光は、平行光化されることなく、部分反射ミラー14に収束される。
図7(a)、(b)は、それぞれ、実施形態4に係る、レーザスキャニング装置1の光学系の構成を示す平面図および側面図である。
ここでは、レーザ光源11と波長変調素子13との間に、レンズアレイ21が配置される。レンズアレイ21は、複数の収束レンズ21aがX軸方向に隣接して形成された構成である。複数の収束レンズ21aは、それぞれ、複数のレーザ発光部11aに対向する。各収束レンズ21aは、対向するレーザ発光部11aから出射されたレーザ光を部分反射ミラー14の入射面に収束させる。すなわち、複数の集束レンズ21aは、収束光学系を構成する。収束レンズ21aは、たとえば、非球面レンズによって構成される。
部分反射ミラー14の後段には、各レーザ光をファスト軸方向(Y軸方向)において平行光化するシリンドリカルレンズ22が配置されている。シリンドリカルレンズ22は、たとえば、レンズ面が非球面に構成される。各レーザ光は、スロー軸方向には平行光化されない。したがって、シリンドリカルレンズ22を透過した後の各レーザ光L1は、スロー軸方向(X軸方向)に広がる拡散光となる。
なお、波長変調素子13は、上記実施形態1と同様、入射面がレーザ光の光軸に対して傾くように配置されている。
実施形態4においても、上記実施形態1と同様、レーザ光L1を安定的に走査させることができる。また、レーザ光源11の出力を高めることができ、複数のレーザ光L1の集合からなる高出力のレーザ光を走査させることができる。さらに、レーザ光が部分反射ミラー14の入射面に収束されるため、上記実施形態2と同様の効果が奏され得る。また、レーザ光を平行光化する構成が省略されるため、たとえば、実施形態2に係る図4(a)、(b)の構成に比べて、光学系の構成を簡素化できる。
<実施形態5>
上記実施形態1〜4では、複数のレーザ光の全てが1つの波長変調素子13に入射したが、実施形態5では、複数のレーザ発光部11aからそれぞれ出射された複数のレーザ光のうち所定数のレーザ光が、1つの波長変調素子に入射するよう、光学系が構成される。
図8(a)、(b)は、それぞれ、実施形態5に係る、レーザスキャニング装置1の光学系の構成を示す平面図である。便宜上、側面図の図示は省略されている。
図8(a)の構成では、1つのレーザ光に対して1つの波長変調素子13が割り当てられている。また、図8(b)の構成では、2つのレーザ光に対して1つの波長変調素子13が割り当てられている。なお、1つの波長変調素子13が割り当てられるレーザ光の数は、図8(a)、(b)に示された例に限られるものではない。たとえば、3つ以上のレーザ光に1つの波長変調素子13が割り当てられてもよく、各波長変調素子13に割り当てられるレーザ光の数が互いに異なっていてもよい。
図9(a)〜(d)は、それぞれ、波長変調素子13に対するレーザ光の入射状態を模式的に示す図である。図9(a)には、上記実施形態1のように、複数のレーザ光の全てが1つの波長変調素子13に入射する場合の各レーザ光の入射状態が示され、図9(b)〜(d)には、それぞれ、実施形態5のように、所定数のレーザ光が1つの波長変調素子13に入射する場合の各レーザ光の入射状態が示されている。ここでは、便宜上、レーザ光源11に6つのレーザ発光部11aが配置された場合の構成が示されている。ただし、レーザ光源11に配置されるレーザ発光部11aの数は、6つに限られるものではない。
図9(a)〜(c)に示すように、複数のレーザ光L1が1つの波長変調素子13に入射する場合、波長変調素子13および変調有効領域13a(変調窓)の形状がレーザ光L1の並び方向に長くなること(並び方向がそれに直交する方向よりも長くなること)が好ましい。これにより、波長変調素子13の小型化を図ることができる。
なお、実施形態5の構成では、所定数のレーザ光L1に対して1つの波長変調素子13が割り当てられるため、1つの波長変調素子13のサイズを小さくできる。このように、波長変調素子13を小型化することにより、波長変調素子13に含まれる2つのミラーの平行度を、変調有効領域(有効窓)13a内において確保させ易くなり、結果、変調有効領域(有効窓)13aにおける面内方向(ビーム径方向)の変調作用のばらつきを低減できる。これにより、回折格子15によって、より適正に、レーザ光を回折させることができ、結果、投射されるレーザ光のビーム品質を向上させることができる。
なお、実施形態5の構成においても、上記実施形態1と同様、波長変調素子13は、入射面がレーザ光の光軸に対して傾くように配置されることが好ましい。これにより、波長変調素子13の入射面で反射したレーザ光がレーザ発光部11aに入射することを防ぐことができ、レーザ光の波長を所定の波長に円滑に収束させることができる。その結果、レーザ光を安定的に走査させることができる。
<実施形態6>
実施形態6では、レーザスキャニング装置1が、さらに、レーザ光の振れ角を拡大させる拡大光学系を備えている。
図10は、実施形態6に係る、レーザスキャニング装置1の光学系の構成を示す側面図である。便宜上、図10では、レーザスキャニング装置1の光学系の平面図が省略されている。ここでは、上述の拡大光学系OS4として、拡大レンズ23が用いられている。ただし、拡大光学系OS4は、必ずしも、単一の凹レンズによって構成されなくてもよく、複数のレンズや、凸面状の反射面によって構成されてもよい。また、凸レンズを用いて光を収束させた後に発散する構成でもよい。
図10の光学系において、拡大レンズ23以外の構成は、上記実施形態1における図1(a)、(b)の構成と同様である。
拡大レンズ23は、入射面にレンズ面23aを備えている。レンズ面23aは、内方に凹んだシリンドリカル面である。レンズ面23aの母線はX軸方向に平行である。したがって、拡大レンズ23は、Y−Z平面と平行な平面内のみにおいて、拡散作用を有する。回折格子15によって回折されたレーザ光は、拡大レンズ23の拡散作用により、さらに、進行方向がZ軸方向に広げられる。これにより、レーザ光の振れ角が拡大される。したがって、走査方向D1における走査範囲がさらに広げられる。
このように、実施形態6の構成によれば、さらに拡大レンズ23を配置することにより、実施形態1の構成に比べてレーザ光の走査範囲を広げることができる。なお、上記実施形態2〜5の構成についても、さらに、拡大光学系OS4が配置されてもよい。この場合も、上記実施形態2〜5に比べて、走査方向D1におけるレーザ光の走査範囲を広げることができる。
なお、図10の構成では、拡大レンズ23の入射面にレンズ面23aが形成されたが、拡大レンズ23の出射面にZ軸方向のみに拡散作用を有するレンズ面が形成されてもよく、あるいは、拡大レンズ23の入射面と出射面の両方に、Z軸方向のみに拡散作用を有するレンズ面が形成されてもよい。
<実施形態7>
上記実施形態1〜3、5〜6では、投射される各レーザ光L1が平行光化されているため、各レーザ光L1は互いに分離した状態で投射される。これに対し、実施形態7では、複数のレーザ光L1を互いにマージするとともに、これらレーザ光L1の集合から構成される光束をX軸方向(レーザ光L1の並び方向)に広角化およびライン化するビーム整形光学系OS5が、レーザスキャニング装置1に追加されている。
図11(a)は、実施形態7に係る、ビーム成形光学系OS5が追加されたレーザスキャニング装置1の光学系の構成を示す側面図である。図11(a)には、レーザスキャニング装置1の光学系をZ軸正側から見た側面図が示されている。回折格子15に対してZ軸負側の部分の構成は、上記実施形態1に示した図1(a)、(b)の構成と同様である。
図11(a)の構成では、上述のビーム整形光学系OS5として、ディフューザ24が用いられている。ディフューザ24は、入射したレーザ光L1をX軸方向に拡散させる。ディフューザ24は、表面に微小な凹凸が並んで形成された光学素子である。ディフューザ24は、平板状の形状である。ディフューザ24は、曲面状の形状であってもよい。ディフューザ24による拡散作用により、ディフューザ24を透過したレーザ光L1は、X軸方向に拡散され、扁平化(ライン化)される。これにより、各レーザ光L1が互いにマージされ、遠方では、強度が均一化されたライン状のビームB1が形成される。ビームB1は、ディフューザ24が配置されない場合に複数のレーザ光L1の集合から構成される光束よりも、X軸方向に広角化される。
このように、図11(a)の構成によれば、ビーム整形光学系を配置することにより、強度が均一化され、且つ、広角化されたライン状のビームB1を形成できる。この構成では、波長変調素子13の透過波長を図2(a)の回路構成により変化させることにより、ビームB1を走査方向D1に走査させることができる。この場合、ビームB1は、一方向に広角化されたライン状のビーム形状でその短軸に平行な方向に走査される。したがって、より広い範囲をレーザ光で走査することができる。
また、この構成によれば、ビームB1がディフューザ24に入射する領域のビームプロファイルが、アパーレント光源(最も小さな網膜像を結ぶ実物体または仮想的物体)に対応するため、ビームB1が目に入射した場合に、網膜に結像する光の密度を低下させることができる。このため、アイセーフ(目に対して損傷を与えないレーザ光の照射レベル)の観点において、この構成は有利となる。
なお、図11(b)に示すように、回折格子15とディフューザ24との間に、広角化レンズ25がさらに配置されてもよい。この場合、ディフューザ24と広角化レンズ25によって、ビーム整形光学系OS5が構成される。
広角化レンズ25は、入射面にレンズ面25aを備えている。レンズ面25aは、内方に凹んだシリンドリカル面である。レンズ面25aの母線はZ軸方向に平行である。したがって、広角化レンズ25は、X軸方向のみに、拡散作用を有する。回折格子15によって回折されたレーザ光L1は、広角化レンズ25の拡散作用により、さらに、進行方向がX軸方向に広げられる。その後、レーザ光L1は、ディフューザ24によって、強度が均一化され、且つ、広角化される。
図11(b)の構成によれば、広角化レンズ25によって、レーザ光L1の進行方向がX軸方向に広げられるため、図11(a)の構成に比べて、さらに、ビームB1が広角化される。よって、より広い範囲を、ビームB1で走査できる。
なお、広角化レンズ25は、シリンドリカル状のレンズ面が外方に突出した凸レンズであってもよい。この場合も、広角化レンズ25によって、レーザ光L1の進行方向をX軸方向に広げることができ、ビームB1の広角化を実現できる。
また、図11(b)の構成では、広角化レンズ25とディフューザ24とが別体であったが、図12(a)に示すように、これらが一体化されてもよい。図12(a)の構成では、広角化レンズ25の出射面に拡散面25bが形成されている。拡散面25bは、入射したレーザ光L1をX軸方向に拡散させる。拡散面25bには、表面に微小な凹凸が並んで形成されている。
広角化レンズ25のレンズ面25aで進行方向が変更されたレーザ光L1は、拡散面25bにより、X軸方向に拡散され、扁平化(ライン化)される。これにより、各レーザ光L1が互いにマージされ、強度が均一化されたライン状のビームB1が形成される。
なお、図12(b)に示すように、複数のレーザ光L1が互いにマージされずに、ビームB1の複数の領域A1〜A7を分担してもよい。この場合、広角化レンズ25のレンズ面25aは、レーザ光L1の光軸が、対応する領域のX軸方向の中央を向くように、レーザ光L1の入射領域ごとに個別に、面形状が設定される。この場合、ディフューザ24を透過した後の各レーザ光L1は、隣のレーザ光L1と厳密に境界を接していなくてもよく、隣のレーザ光L1と一部重なっていてもよい。
また、図11(a)〜図12(b)の構成では、レーザ光L1に対する強度の均一化および広角化を行うための素子として、ディフューザ24が用いられたが、ディフューザ24に代えて、回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)や、一方向にレーザ光を拡散させる多数のシリンドリカルレンズが並べて配置されたマイクロレンズアレイが、用いられてもよい。回折光学素子およびマイクロレンズアレイは、ディフューザ24と同様、レーザ光が入射する領域でのビームプロファイルがアパーレント光源に対応する。このため、回折光学素子およびマイクロレンズアレイをビーム整形光学系として用いると、アイセーフの観点から有利である。
この他、ロッドレンズおよびパウエルレンズ等の他の光学素子がビーム整形光学系として用いられてもよい。但し、アイセーフの観点からは、ディフューザ24や、回折光学素子およびマイクロレンズアレイをビーム整形光学系として用いるのが有利である。また、広角化レンズ25は、回折格子15よりもレーザ光源11側に配置されてもよい。
なお、上記実施形態2〜6の構成についても、さらに、ビーム整形光学系が配置されてもよい。この場合も、上記実施形態2〜6に比べて、X軸方向にビームを広角化でき、さらに、X軸方向に強度を均一化できる。
<実施形態8>
上記実施形態1〜7では、レーザ光源11の導波路のZ軸正側の端面から出射されるレーザ光が、回折格子15で回折されて投射された。これに対し、実施形態7では、レーザ光源11の導波路のZ軸負側の端面から出射されるレーザ光が、外部共振のために用いられ、レーザ光源11の導波路のZ軸正側の端面から出射されるレーザ光が、回折格子15で回折されて投射される。
図13(a)、(b)は、それぞれ、実施形態8に係る、レーザスキャニング装置1の光学系の構成を示す平面図および側面図である。
レーザ光源11の導波路は、Z軸負側の端面の反射率も略ゼロに設定されている。これにより、レーザ光源11のZ軸負側の端面にも複数のレーザ発光部11bが形成される。また、これら複数のレーザ発光部11bから出射されるレーザ光を平行光に変換するためのレンズアレイ31が配置されている。レンズアレイ31は、複数のレーザ発光部11bにそれぞれ対向する位置に、コリメータレンズ31aを備える。この他、外部共振型の発振光学系として、波長変調素子32と、ミラー33が、レーザ光源11のZ軸負側に配置されている。波長変調素子32の構成は、上記実施形態1の波長変調素子13と同様である。
この構成においても、波長変調素子32は、入射面の法線が、Y−Z平面と平行な状態を保ちながら、レーザ光の光軸に対してX軸に平行な軸の周りに回転する方向に傾くよう、配置されている。これにより、波長変調素子32の入射面で反射されたレーザ光がレーザ発光部11bの何れかに入射することが防止される。ミラー33は、全反射ミラーである。レーザ光源11に対してZ軸正側の光学系の構成は、図1(a)、(b)の構成から波長変調素子13および部分反射ミラー14を省略した構成である。
この構成では、レンズアレイ31、波長変調素子32およびミラー33によって外部共振型の発振光学系が構成される。この発振光学系により、上記実施形態1と同様、レーザ光源11の発振波長が調整される。波長変調素子32は、図3(a)の波長調整回路103によって駆動される。これにより、レーザ光源11のZ軸正側および負側から出射されるレーザ光の波長が変化する。これに伴い、回折格子15によるレーザ光L1の回折角が変化し、Y−Z平面に平行な方向にレーザ光が走査される。
この構成においても、上記実施形態2〜7の構成が同様に適用され得る。
<変更例>
レーザスキャニング装置1の構成は、上記実施形態1〜8に示した構成以外に、種々の変更が可能である。
たとえば、上記実施形態1〜8では、透過型の回折格子15が用いられたが、反射型の回折格子が用いられてもよい。この場合も、回折後の反射角が、波長の変化に応じてY−Z平面に平行な方向に変化するように、回折格子の回折パターンが設定される。
また、レーザスキャニング装置1の光学系の構成も、上記実施形態1〜8に示した構成に限られるものではない。たとえば、レーザスキャニング装置1の光学系に光路を折り曲げるためのミラーが配置されてもよい。また、波長変調素子13がレーザ光源11の光軸に垂直な状態から傾いていなくてもよい。レーザ光源11の配置および構成も、必ずしも上記実施形態1〜8に示したものに限られるものではない。また、回折格子15の傾け方や回折の方向も変更可能である。回折格子15が、レーザ光源11の光軸に垂直に配置されてもよい。ファスト軸がY軸に平行となるように、複数のレーザ発光部11aが配置されてもよい。
なお、本実施形態に係るレーザスキャニング装置1は、たとえば、目標領域における物体の有無の検出および当該物体までの距離の計測を行うレーザレーダに用いられ得る。この場合、レーザスキャニング装置1は、目標領域に向かってレーザ光を照射するように、レーザレーダに設置される。レーザレーダは、レーザスキャニング装置1の他、目標領域からのレーザ光の反射光を検出するための光検出器(たとえば撮像素子)と、当該光検出器に反射光を集光させる受光光学系とを備える。
この場合、図3(a)のコントローラ101は、目標領域においてレーザ光が走査されるように波長調整回路103を制御し、且つ、各走査位置においてレーザ光が出射されるように、光源駆動回路102を制御する。レーザレーダの信号処理回路は、各走査位置において出射されたレーザ光の反射光を光検出器が受光するか否かに基づいて、当該走査位置における物体の有無を判別する。また、信号処理回路は、レーザ光源11におけるレーザ光の出射タイミングと光検出器における反射光の受光の受光タイミングとの時間差に基づいて、物体までの距離を算出する。
ただし、レーザスキャニング装置1の利用形態は、これに限られるものではない。レーザスキャニング装置1は、所定の走査範囲においてレーザ光を走査させることが必要な装置およびシステムに適宜用いられ得る。
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
1 … レーザスキャニング装置
11 … レーザ光源
11a … レーザ発光部
12、31 … レンズアレイ(発振光学系)
13、32 … 波長変調素子
14 … 部分反射ミラー(発振光学系、ミラー)
15 … 回折格子
16a、20a、21a … 収束レンズ
24 … ディフューザ(ビーム整形光学系)
25 … 広角化レンズ(ビーム整形光学系)
33 … ミラー(発振光学系)
OS1、OS3 … 収束光学系
OS2 … 縮小光学系
OS5 … ビーム整形光学系

Claims (11)

  1. 一方向に並ぶ複数のレーザ発光部を備えるレーザ光源と、
    前記各レーザ発光部から出射されたレーザ光が入射する回折格子と、
    前記各レーザ発光部の出射波長を設定する外部共振型の発振光学系と、を備え、
    前記発振光学系は、
    前記各レーザ発光部から出射されたレーザ光を前記各レーザ発光部に帰還させるためのミラーと、
    前記各レーザ発光部と前記ミラーとの間に配置され、制御信号により透過波長帯域が可変の波長変調素子と、を備える、
    ことを特徴とするレーザスキャニング装置。
  2. 請求項1に記載のレーザスキャニング装置において、
    前記波長変調素子の前記レーザ光源側の入射面で反射された前記レーザ光が、前記複数のレーザ発光部の何れにも入射しないように、前記レーザ光の光軸に対して前記入射面が傾いている、
    ことを特徴とするレーザスキャニング装置。
  3. 請求項2に記載のレーザスキャニング装置において、
    前記入射面は、前記複数のレーザ発光部からそれぞれ出射された複数の前記レーザ光の光軸を含む平面に対して、傾いている、
    ことを特徴とするレーザスキャニング装置。
  4. 請求項1ないし3の何れか一項に記載のレーザスキャニング装置において、
    前記複数のレーザ発光部からそれぞれ出射された複数の前記レーザ光が、1つの前記波長変調素子に入射する、
    ことを特徴とするレーザスキャニング装置。
  5. 請求項1ないし3の何れか一項に記載のレーザスキャニング装置において、
    前記波長変調素子が複数配置され、
    前記複数のレーザ発光部からそれぞれ出射された複数の前記レーザ光のうち所定数のレーザ光が、1つの前記波長変調素子に入射する、
    ことを特徴とするレーザスキャニング装置。
  6. 請求項1ないし5の何れか一項に記載のレーザスキャニング装置において、
    前記レーザ光源と前記波長変調素子との間に配置され、前記複数のレーザ発光部からそれぞれ出射された複数の前記レーザ光からなる光束のサイズを縮小する縮小光学系を備える、
    ことを特徴とするレーザスキャニング装置。
  7. 請求項1ないし6の何れか一項に記載のレーザスキャニング装置において、
    前記回折格子の後段側に配置され、前記複数のレーザ発光部からそれぞれ出射された複数の前記レーザ光を統合させてビームを形成するビーム整形光学系を備える、
    ことを特徴とするレーザスキャニング装置。
  8. 請求項1ないし7の何れか一項に記載のレーザスキャニング装置において、
    前記ビーム整形光学系は、前記複数のレーザ発光部からそれぞれ出射された複数の前記レーザ光の進行方向を前記複数のレーザ光の並び方向において変化させて、前記回折格子を透過した前記複数のレーザ光からなるビームの広がり角を、前記複数のレーザ光の並び方向に広げる広角化レンズを備える、
    ことを特徴とするレーザスキャニング装置。
  9. 請求項1ないし8の何れか一項に記載のレーザスキャニング装置において、
    前記各レーザ発光部から出射されたレーザ光を前記ミラーに収束させる収束光学系を備える、
    ことを特徴とするレーザスキャニング装置。
  10. 請求項1ないし8の何れか一項に記載のレーザスキャニング装置において、
    前記発振光学系は、前記レーザ光源と前記回折格子との間に配置され、
    前記ミラーは、前記レーザ光の一部を前記レーザ光源側に反射し、前記レーザ光の残りの部分を透過させる部分反射ミラーである、
    ことを特徴とするレーザスキャニング装置。
  11. 請求項1ないし8の何れか一項に記載のレーザスキャニング装置において、
    前記レーザ光源は、両側の端面からそれぞれレーザ光を出射し、
    前記レーザ光源の一方の端面側に前記回折格子が配置され、
    前記レーザ光源の他方の端面側に前記発振光学系が配置される、
    ことを特徴とするレーザスキャニング装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023092859A1 (zh) * 2021-11-29 2023-06-01 深圳市汇顶科技股份有限公司 激光雷达发射装置、激光雷达装置及电子设备

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