JP5703674B2 - p型拡散層形成組成物、p型拡散層の製造方法、及び太陽電池セルの製造方法 - Google Patents
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まず、光閉じ込め効果を促して高効率化を図るよう、テクスチャー構造を形成したp型シリコン基板を準備し、続いてオキシ塩化リン(POCl3)、窒素、酸素の混合ガス雰囲気において800〜900℃で数十分の処理を行って、基板に一様にn型拡散層を形成する。この従来の方法では、混合ガスを用いてリンの拡散を行うため、表面のみならず、側面、裏面にもn型拡散層が形成される。そのため、側面のn型拡散層を除去するためのサイドエッチングを行う。また、裏面のn型拡散層はp+型拡散層へ変換する必要があり、裏面にアルミペーストを印刷し、これを焼成して、n型層をp+型層にするのと同時に、オーミックコンタクトを得ている。
本発明は、以上の従来の問題点に鑑みなされたものであり、結晶シリコン基板を用いた太陽電池セルの製造工程において、シリコン基板中の内部応力、基板の反りの発生を抑制しつつ、所望の形状にp型拡散層を形成することが可能なp型拡散層形成組成物、p型拡散層の製造方法、及び太陽電池セルの製造方法の提供を課題とする。
<1> アクセプタ元素を含むガラス粉末と、分散媒と、を含有し、25℃における粘度が20Pa・s以上1000Pa・s以下であるp型拡散層形成組成物であり、
前記p型拡散層形成組成物を半導体基板上に塗布してp型拡散層形成組成物層を形成する工程と、前記p型拡散層形成組成物層が形成された半導体基板を熱処理して前記半導体基板にp型拡散層を形成する工程と、前記p型拡散層の表面に形成されるガラスを除去する工程と、を有するp型拡散層の製造方法に用いられるp型拡散層形成組成物。
前記p型拡散層形成組成物層が形成された半導体基板を熱処理して前記半導体基板にp型拡散層を形成する工程と、
前記p型拡散層の表面に形成されるガラスを除去する工程と、
を有するp型拡散層の製造方法。
前記p型拡散層形成組成物層が形成された半導体基板を熱処理して前記半導体基板にp型拡散層を形成する工程と、
前記p型拡散層の表面に形成されるガラスを除去する工程と、
を有する太陽電池セルの製造方法。
尚、本明細書において「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
尚、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示すものとする。
例えば銀等の低抵抗材を電極に用いれば薄い膜厚で低抵抗が達成できる。また、電極も全面に形成する必要はなく、櫛型等の形状のように部分的に形成してもよい。以上のように薄膜あるいは櫛型形状等の部分的形状にすることで、シリコン基板中の内部応力、基板の反りの発生をより効果的に抑えながらp型拡散層を形成することが可能となる。
一方、前記粘度が1000Pa・sを超えると、塗布性が不十分となり、均一なp型拡散層を形成できない場合がある。
尚、本発明においてn型拡散層形成組成物の粘度は、25℃において、E型粘度計(東京計器社製)を用いて5rpmの回転速度で測定される。
アクセプタ元素とは、シリコン基板中にドーピングさせることによってp型拡散層を形成することが可能な元素である。アクセプタ元素としては第13族の元素が使用でき、例えばB(ほう素)、Al(アルミニウム)及びGa(ガリウム)等が挙げられる。
ガラス成分物質としては、SiO2、K2O、Na2O、Li2O、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、Tl2O、SnO、ZrO2、MoO3、La2O3、Nb2O5、Ta2O5、Y2O3、TiO2、GeO2、TeO2及びLu2O3等が挙げられ、SiO2、K2O、Na2O、Li2O、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、Tl2O、SnO、ZrO2、及びMoO3から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
上記では1成分ガラスあるいは2成分を含む複合ガラスを例示したが、B2O3−SiO2−Na2O等必要に応じて3種類以上の複合ガラスでもよい。
最初に原料を秤量し、るつぼに充填する。るつぼの材質としては白金、白金−ロジウム、イリジウム、アルミナ、石英、炭素等が挙げられるが、溶融温度、雰囲気、溶融物質との反応性等を考慮して適宜選ばれる。
次に、電気炉でガラス組成に応じた温度で加熱し均一な融液とする。このとき融液が均一となるよう攪拌することが望ましい。
続いて均一になった融液をジルコニア基板やカーボン基板等の上に流し出して融液をガラス化する。
最後にガラスを粉砕し粉末状とする。粉砕にはジェットミル、ビーズミル、ボールミル等公知の方法が適用できる。
分散媒とは、p型拡散層形成組成物中において上記ガラス粉末を分散させる媒体である。具体的に分散媒としては、バインダーや溶剤などを含んで構成される。
本発明のp型拡散層形成組成物においては、分散媒の構成を適宜選択することで、p型拡散層形成組成物の粘度を所望の範囲に調整することができる。
詳細には、インゴットからスライスした際に発生するシリコン表面のダメージ層を20質量%苛性ソーダで除去する。次いで1質量%苛性ソーダと10質量%イソプロピルアルコールの混合液によりエッチングを行い、テクスチャー構造を形成する。太陽電池セルは、受光面(表面)側にテクスチャー構造を形成することにより、光閉じ込め効果が促され、高効率化が図られる。
上記n型拡散層形成組成物の塗布量としては特に制限はないが、例えば、固形分塗布量として0.05g/m2〜1.05g/m2とすることができ、0.065g/m2〜0.02g/m2であることが好ましい。
尚、p型拡散層形成組成物の固形分とは、p型拡散層形成組成物に含まれる揮発性の成分を除いた残分を意味する。
熱拡散処理時間は、p型拡散層形成組成物に含まれるアクセプタ元素の含有率などに応じて適宜選択することができる。例えば、1〜60分間とすることができ、2〜30分間であることがより好ましい。
この内部応力は、結晶の結晶粒界に損傷を与え、電力損失が大きくなるという課題があった。また、反りは、モジュール工程における太陽電池セルの搬送や、タブ線と呼ばれる銅線との接続において、セルを破損させ易くしていた。近年では、スライス加工技術の向上から、結晶シリコン基板の厚みが薄型化されつつあり、更にセルが割れ易い傾向にある。
より具体的には、上記混合ガス流量比NH3/SiH4が0.05〜1.0、反応室の圧力が0.1〜2Torr、成膜時の温度が300〜550℃、プラズマの放電のための周波数が100kHz以上の条件下で形成される。
このような表面電極は、例えば、上述の金属ペーストのスクリーン印刷、又は電極材料のメッキ、高真空中における電子ビーム加熱による電極材料の蒸着などの手段により形成することができる。バスバー電極とフィンガー電極とからなる表面電極は受光面側の電極として一般的に用いられていて周知であり、受光面側のバスバー電極及びフィンガー電極の公知の形成手段を適用することができる。
n型拡散層の形成にn型拡散層形成組成物を用いる方法では、まず、p型半導体基板の表面である受光面にn型拡散層形成組成物を塗布し、裏面に本発明のp型拡散層形成組成物を塗布し、600〜1200℃で熱拡散処理する。この熱拡散処理により、表面ではp型半導体基板中へドナー元素が拡散してn型拡散層が形成され、裏面ではアクセプタ元素が拡散してp+型拡散層が形成される。この工程以外は上記方法と同様の工程により、太陽電池セルが作製される。
またn型拡散層形成組成物の粘度は、25℃において、E型粘度計(東京計器社製)を用いて5rpmの回転速度で測定した。
B2O3−SiO2系ガラス粉末3gと、バインダーとしてエチルセルロース(重量平均分子量140000)0.3g、溶剤としてテルピネオール6.7gを混合してペースト化し、p型拡散層形成組成物1を調製した。
得られたp型拡散層形成組成物の粘度を測定したところ、20Pa・sであった。
p型拡散層形成組成物を塗布した線状パターン部分のシート抵抗は47Ω/□であり、B(ホウ素)が拡散してp+型拡散層が形成されていた。一方、p型拡散層形成組成物を塗布しなかった非塗布面部分のシート抵抗は1000000Ω/□以上で測定不能であり、p+型拡散層は形成されていなかった。
実施例1において、p型拡散層形成組成物の粘度が40Pa・sとなるように、バインダーの量を増加し、溶剤の量を減少して粘度を調整した以外は実施例1と同様に線状パターンを形成した。塗布・乾燥により形成された線状パターンの線幅は120μmとなっていた。
次いで実施例1と同様にしてp+型拡散層形成を行った。
p型拡散層形成組成物を塗布した側の線状パターン部分のシート抵抗は43Ω/□であり、B(ホウ素)が拡散してp+型拡散層が形成されていた。一方、p型拡散層形成組成物を塗布しなかった非塗布面部分のシート抵抗は1000000Ω/□以上で測定不能であり、p+型拡散層は形成されていなかった。
実施例1において、p型拡散層形成組成物の粘度が70Pa・sとなるように、バインダーの量を増加し、溶剤の量を減少して粘度を調整した以外は実施例1と同様に線状パターンを形成した。塗布・乾燥により形成された線状パターンの線幅は110μmとなっていた。
次いで実施例1と同様にしてp+型拡散層形成を行った。
p型拡散層形成組成物を塗布した側の線状パターン部分のシート抵抗は50Ω/□であり、B(ホウ素)が拡散してp+型拡散層が形成されていた。一方、p型拡散層形成組成物を塗布しなかった非塗布面部分のシート抵抗は1000000Ω/□以上で測定不能であり、p+型拡散層は形成されていなかった。
実施例1において、p型拡散層形成組成物の粘度が200Pa・sとなるように、バインダーの量を増加し、溶剤の量を減少して粘度を調整した以外は実施例1と同様に線状パターンを形成した。塗布・乾燥により形成された線状パターンの線幅は104μmとなっていた。
次いで実施例1と同様にしてp+型拡散層形成を行った。
p型拡散層形成組成物を塗布した側の線状パターン部分のシート抵抗は51Ω/□であり、B(ホウ素)が拡散しp+型拡散層が形成されていた。一方、p型拡散層形成組成物を塗布しなかった非塗布面部分のシート抵抗は1000000Ω/□以上で測定不能であり、p+型拡散層は形成されていなかった。
実施例1において、p型拡散層形成組成物の粘度が900Pa・sとなるように、バインダーの量を増加し、溶剤の量を減少して粘度を調整した以外は実施例1と同様に線状パターンを形成した。塗布・乾燥により形成された線状パターンの線幅は102μmとなっていた。
次いで実施例1と同様にしてp+型拡散層形成を行った。
p型拡散層形成組成物を塗布した側の線状パターン部分のシート抵抗は49Ω/□であり、B(ホウ素)が拡散してp+型拡散層が形成されていた。しかし、塗布した面でシート抵抗の値が僅かに不均一であった。一方、p型拡散層形成組成物を塗布しなかった非塗布面部分のシート抵抗は1000000Ω/□以上で測定不能であり、p+型拡散層は形成されていなかった。
実施例1において、p型拡散層形成組成物の粘度が5Pa・sとなるように、バインダーの量を減少し、溶剤の量を増加して粘度を調整した以外は実施例1と同様に線状パターンを形成した。塗布・乾燥により形成された線状パターンの線幅は410μmとなっていた。
次いで実施例1と同様にしてp+型拡散層形成を行った。
p型拡散層形成組成物を塗布した側の線状パターン部分のシート抵抗は55Ω/□であり、B(ホウ素)が拡散しp+型拡散層が形成されていた。一方、p型拡散層形成組成物を塗布しなかった非塗布面部分にも形成した線状パターンが広がっており、特定の部分へp+型拡散層を所望の形状に形成することはできなかった。
実施例1において、p型拡散層形成組成物の粘度が12Pa・sとなるように、バインダーの量を減少し、溶剤の量を増加して粘度を調整した以外は実施例1と同様に線状パターンを形成した。塗布・乾燥により形成された線状パターンの線幅は227μmとなっていた。
次いで実施例1と同様にしてp+型拡散層形成を行った。
p型拡散層形成組成物を塗布した側の線状パターン部分のシート抵抗は58Ω/□であり、B(ホウ素)が拡散しp+型拡散層が形成されていた。一方、p型拡散層形成組成物を塗布しなかった非塗布面部分にも形成した線状パターンが広がっており、特定の部分へp+型拡散層を所望の形状に形成することはできなかった。
実施例1において、p型拡散層形成組成物の粘度が1020Pa・sとなるように、バインダーの量を増加し、溶剤の量を減少して粘度を調整した以外は実施例1と同様に線状パターンを形成した。塗布・乾燥により形成された線状パターンの線幅は102μmとなっていた。しかし、塗布性が不十分であり、不均一に塗布されていたため線状パターンが完全に形成できなかった。
次いで実施例1と同様にしてp+型拡散層形成を行った。
p型拡散層形成組成物を塗布した側の線状パターン部分のシート抵抗は46Ω/□であり、B(ホウ素)が拡散しp+型拡散層が形成されていた。しかし、塗布面内のシート抵抗値のばらつきは大きく、均一なp+型拡散層は形成できていなかった。
Claims (5)
- アクセプタ元素を含むガラス粉末と、分散媒と、を含有し、25℃における粘度が20Pa・s以上1000Pa・s以下であるp型拡散層形成組成物であり、
前記p型拡散層形成組成物を半導体基板上に塗布してp型拡散層形成組成物層を形成する工程と、前記p型拡散層形成組成物層が形成された半導体基板を熱処理して前記半導体基板にp型拡散層を形成する工程と、前記p型拡散層の表面に形成されるガラスを除去する工程と、を有するp型拡散層の製造方法に用いられるp型拡散層形成組成物。 - 前記アクセプタ元素が、B(ホウ素)、Al(アルミニウム)およびGa(ガリウム)から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のp型拡散層形成組成物。
- 前記ガラス粉末が、B2O3、Al2O3及びGa2O3から選択される少なくとも1種のアクセプタ元素含有物質と、SiO2、K2O、Na2O、Li2O、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、Tl2O、SnO、ZrO2、及びMoO3から選択される少なくとも1種のガラス成分物質と、を含有する請求項1または請求項2に記載のp型拡散層形成組成物。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のp型拡散層形成組成物を半導体基板上に塗布してp型拡散層形成組成物層を形成する工程と、
前記p型拡散層形成組成物層が形成された半導体基板を熱処理して前記半導体基板にp型拡散層を形成する工程と、
前記p型拡散層の表面に形成されるガラスを除去する工程と、
を有するp型拡散層の製造方法。 - 半導体基板上に、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のp型拡散層形成組成を塗布してp型拡散層形成組成物層を形成する工程と、
前記p型拡散層形成組成物層が形成された半導体基板を熱処理して前記半導体基板にp型拡散層を形成する工程と、
前記p型拡散層の表面に形成されるガラスを除去する工程と、
を有する太陽電池セルの製造方法。
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