JP5625537B2 - n型拡散層形成組成物、n型拡散層の製造方法、及び太陽電池セルの製造方法 - Google Patents
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Description
まず、光閉じ込め効果を促して高効率化を図るよう、テクスチャー構造を形成したp型シリコン基板を準備し、続いてオキシ塩化リン(POCl3)、窒素、酸素の混合ガス雰囲気において800〜900℃で数十分の処理を行って一様にn型拡散層を形成する。この従来の方法では、混合ガスを用いてリンの拡散を行うため、表面のみならず、側面、裏面にもn型拡散層が形成される。それゆえ、側面のn型拡散層を除去するためのサイドエッチング工程が必要であった。また、裏面のn型拡散層はp+型拡散層へ変換する必要があり、裏面のn型拡散層の上にアルミニウムペーストを付与して、アルミニウムの拡散によってn型拡散層からp+型拡散層に変換させていた。
<1> ドナー元素を含むガラス粉末と、分散媒と、を含有し、前記ガラス粉末の含有比率が1質量%以上90質量%以下の範囲であるn型拡散層形成組成物であり、
前記n型拡散層形成組成物を半導体基板上に塗布してn型拡散層形成組成物層を形成する工程と、前記n型拡散層形成組成物層が形成された半導体基板を熱処理して前記半導体基板にn型拡散層を形成する工程と、前記n型拡散層の表面に形成されるガラスを除去する工程と、を有するn型拡散層の製造方法に用いられるn型拡散層形成組成物。
尚、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示すものとする。
ここで、n型拡散層形成組成物とは、ドナー元素を含有し、シリコン基板に塗布した後にこのドナー元素を熱拡散することでn型拡散層を形成することが可能な材料をいう。本発明のn型拡散層形成組成物を用いることで、所望の部位にのみn型拡散層が形成され、裏面や側面には不要なn型拡散層が形成されない。
なお、本発明における「n型拡散層を形成する」ために要する時間とは、n型拡散層を形成し且つn型拡散層の上に形成されるガラス層を除去するために要する総時間をいう。よって、n型拡散層の上に形成されるガラス層が短時間で除去されることにより、n型拡散層を形成するための時間が短縮される。
ドナー元素とは、シリコン基板中にドーピングさせることによってn型拡散層を形成することが可能な元素である。ドナー元素としては第15族の元素が使用でき、例えばP(リン)、Sb(アンチモン)、As(ヒ素)等が挙げられる。安全性、ガラス化の容易さ等の観点から、P又はSbが好適である。
ガラス成分物質としては、SiO2、K2O、Na2O、Li2O、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、SnO、ZrO2、MoO3、La2O3、Nb2O5、Ta2O5、Y2O3、TiO2、ZrO2、GeO2、TeO2及びLu2O3等が挙げられ、SiO2、K2O、Na2O、Li2O、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、SnO、ZrO2、及びMoO3から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
上記では2成分を含む複合ガラスを例示したが、P2O5−SiO2−CaO等必要に応じて3種類以上の複合ガラスでもよい。
的耐久性を考慮して適宜設定することが望ましく、一般には、0.1質量%以上95質量
%以下であることが好ましく、0.5質量%以上90質量%以下であることがより好まし
い。
℃であることが好ましく、300℃〜900℃であることがより好ましい。
最初に原料を秤量し、るつぼに充填する。るつぼの材質としては白金、白金−ロジウム、イリジウム、アルミナ、石英、炭素等が挙げられるが、溶融温度、雰囲気、溶融物質との反応性等を考慮して適宜選ばれる。
次に、電気炉でガラス組成に応じた温度で加熱し均一な融液とする。このとき融液が均一となるよう攪拌することが望ましい。
続いて均一になった融液をジルコニア基板やカーボン基板等の上に流し出して融液をガラス化する。
最後にガラスを粉砕し粉末状とする。粉砕にはジェットミル、ビーズミル、ボールミル等公知の方法が適用できる。
分散媒とは、組成物中において上記ガラス粉末を分散させる媒体である。具体的に分散媒としては、バインダーや溶剤などが採用される。
n型拡散層形成組成物の粘度は、塗布性を考慮して、10mPa・S以上1000000mPa・S以下であることが好ましく、50mPa・S以上500000mPa・S以下であることがより好ましい。
n型拡散層形成組成物は、半導体基板上に塗布され、高温で熱処理されることでn型拡散層を形成するが、その際に表面にガラスが形成される。このガラスは、ふっ酸等の酸に浸漬して除去されるが、ガラスの種類によっては除去し難いものがある。その場合に、ガラスと結晶化しやすいAg、Zn、Si等の金属を添加しておくことにより、酸洗浄後に容易にガラスを除去することができる。
また、ガラス粉末と反応しやすい金属は、金属単体、金属酸化物等の形態で用いることができる。
詳細には、インゴットからスライスした際に発生するシリコン表面のダメージ層を20質量%苛性ソーダで除去する。次いで1質量%苛性ソーダと10質量%イソプロピルアルコールの混合液によりエッチングを行い、テクスチャー構造を形成する(図中ではテクスチャー構造の記載を省略する)。太陽電池セルは、受光面(表面)側にテクスチャー構造を形成することにより、光閉じ込め効果が促され、高効率化が図られる。
上記n型拡散層形成組成物の塗布量としては特に制限は無いが、例えば、0.001g/m2〜1g/m2とすることができ、0.015g/m2〜0.15g/m2であることが好ましい。
熱拡散処理時間は、n型拡散層形成組成物に含まれるドナー元素の含有率などに応じて適宜選択することができる。例えば、1〜60分間とすることができ、2〜30分間であることがより好ましい。
したがって、従来広く採用されている気相反応法によりn型拡散層を形成する方法では、側面に形成された不要なn型拡散層を除去するためのサイドエッチング工程が必須であったが、本発明の製造方法によれば、サイドエッチング工程が不要となり、工程が簡易化される。
この内部応力は、結晶の結晶粒界に損傷を与え、電力損失が大きくなるという課題があった。また、反りは、モジュール工程における太陽電池セルの搬送や、タブ線と呼ばれる銅線との接続において、セルを破損させ易くしていた。近年では、スライス加工技術の向上から、結晶シリコン基板の厚みが薄型化されつつあり、更にセルが割れ易い傾向にある。
また後述するように、裏面の表面電極20に用いる材料は第13族のアルミニウムに限定されず、例えばAg(銀)やCu(銅)などを適用することができ、裏面の表面電極20の厚さも従来のものよりも薄く形成することが可能となる。
より具体的には、上記混合ガス流量比NH3/SiH4が0.05〜1.0、反応室の圧力が0.1〜2Torr、成膜時の温度が300〜550℃、プラズマの放電のための周波数が100kHz以上の条件下で形成される。
バックコンタクト型の太陽電池セルは、電極を全て裏面に設けて受光面の面積を大きくするものである。つまりバックコンタクト型の太陽電池セルでは、裏面にn型拡散部位及びp+型拡散部位の両方を形成しpn接合構造とする必要がある。本発明のn型拡散層形成組成物は、特定の部位にのみn型拡散部位を形成することが可能であり、よってバックコンタクト型の太陽電池セルの製造に好適に適用することができる。
P2O5−ZnO系ガラス(P2O5:30%、ZnO:70%)粉末20gとエチルセルロース0.08g、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル2.14gを混合してペースト化し、ガラス含有率90%のn型拡散層形成組成物を調製した。
次に、調製したペーストをスクリーン印刷によってp型シリコン基板表面に塗布し、150℃のホットプレート上で5分間乾燥させた。続いて、1000℃に設定した電気炉で10分間熱拡散処理を行い、その後ガラス層を除去するため基板を2.5%ふっ酸に90分間浸漬し、流水洗浄を行った。その後、乾燥を行った。
ン)が拡散しn型拡散層が形成されていた。裏面のシート抵抗は1000000Ω/□以
上で測定不能であり、n型拡散層は形成されていなかった。
P2O5−ZnO系ガラス(P2O5:30%、ZnO:70%)粉末8gとエチルセルロース0.17g、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル4.27gを混合してペースト化し、ガラス含有率65%のn型拡散層形成組成物を調製した。
次に、調製したペーストをスクリーン印刷によってp型シリコン基板表面に塗布し、150℃のホットプレート上で5分間乾燥させた。続いて、1000℃に設定した電気炉で10分間熱拡散処理を行い、その後ガラス層を除去するため基板を2.5%ふっ酸に40分間浸漬し、流水洗浄を行った。その後、乾燥を行った。
P2O5−ZnO系ガラス(P2O5:30%、ZnO:70%)粉末6gとエチルセルロース0.91g、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル23.1gを混合してペースト化し、ガラス含有率20%のn型拡散層形成組成物を調製した。
次に、調製したペーストをスクリーン印刷によってp型シリコン基板表面に塗布し、150℃のホットプレート上で5分間乾燥させた。続いて、1000℃に設定した電気炉で10分間熱拡散処理を行い、その後ガラス層を除去するため基板を2.5%ふっ酸に30分間浸漬し、流水洗浄を行った。その後、乾燥を行った。
P2O5−ZnO系ガラス(P2O5:30%、ZnO:70%)粉末3gとエチルセルロース1.02g、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル26.0gを混合してペースト化し、ガラス含有率10%のn型拡散層形成組成物を調製した。
次に、調製したペーストをスクリーン印刷によってp型シリコン基板表面に塗布し、150℃のホットプレート上で5分間乾燥させた。続いて、1000℃に設定した電気炉で10分間熱拡散処理を行い、その後ガラス層を除去するため基板を2.5%ふっ酸に30分間浸漬し、流水洗浄を行った。その後、乾燥を行った。
P2O5−ZnO系ガラス(P2O5:30%、ZnO:70%)粉末0.5gとエチルセルロース0.36g、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル9.14gを混合してペースト化し、ガラス含有率5%のn型拡散層形成組成物を調製した。
次に、調製したペーストをスクリーン印刷によってp型シリコン基板表面に塗布し、150℃のホットプレート上で5分間乾燥させた。続いて、1000℃に設定した電気炉で10分間熱拡散処理を行い、その後ガラス層を除去するため基板を2.5%ふっ酸に30分間浸漬し、流水洗浄を行った。その後、乾燥を行った。
P2O5−ZnO系ガラス(P2O5:30%、ZnO:70%)粉末0.3gとエチルセルロース0.56g、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル14.1gを混合してペースト化し、ガラス含有率2%のn型拡散層形成組成物を調製した。
次に、調製したペーストをスクリーン印刷によってp型シリコン基板表面に塗布し、150℃のホットプレート上で5分間乾燥させた。続いて、1000℃に設定した電気炉で10分間熱拡散処理を行い、その後ガラス層を除去するため基板を2.5%ふっ酸に30分間浸漬し、流水洗浄を行った。その後、乾燥を行った。
リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)粉末20gとエチルセルロース3g、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル7gを混合してペースト化し、n型拡散層組成物を調製した。
次に、調製したペーストをスクリーン印刷によってp型シリコン基板表面に塗布し、150℃のホットプレート上で5分間乾燥させた。続いて、1000℃に設定した電気炉で10分間熱拡散処理を行い、その後ガラス層を除去するため基板をふっ酸に5分間浸漬し、流水洗浄、乾燥を行った。
リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)粉末1gと純水7g、ポリビニルアルコール0.7g、イソプロピルアルコール1.5gを混合して溶液を調製し、n型拡散層組成物を調製した。
次に、調製した溶液をスピンコータ(2000rpm、30sec)によってp型シリコン基板表面に塗布し、150℃のホットプレート上で5分間乾燥させた。続いて、1000℃に設定した電気炉で10分間熱拡散処理を行い、その後ガラス層を除去するため基板をふっ酸に5分間浸漬し、流水洗浄、乾燥を行った。
P2O5−ZnO系ガラス(P2O5:30%、ZnO:70%)粉末30gとエチルセルロース0.06g、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル1.52gを混合してペースト化し、ガラス含有率95%のn型拡散層形成組成物を調製した。
次に、調製したペーストをスクリーン印刷によってp型シリコン基板表面に塗布し、150℃のホットプレート上で5分間乾燥させた。続いて、1000℃に設定した電気炉で10分間熱拡散処理を行い、その後ガラス層を除去するため基板を2.5%ふっ酸に90分間浸漬したが、ガラス残渣は完全に除去できなかった。その後、流水洗浄し、乾燥を行った。
P2O5−ZnO系ガラス(P2O5:30%、ZnO:70%)粉末0.05gとエチルセルロース0.38g、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル9.57gを混合してペースト化し、ガラス含有率0.5%のn型拡散層形成組成物を調製した。
次に、調製したペーストをスクリーン印刷によってp型シリコン基板表面に塗布し、150℃のホットプレート上で5分間乾燥させた。続いて、1000℃に設定した電気炉で10分間熱拡散処理を行い、その後ガラス層を除去するため基板を2.5%ふっ酸に30分間浸漬し、流水洗浄を行った。その後、乾燥を行った。
12,22 n型拡散層
14 高濃度電界層
16 反射防止膜
18 表面電極
20 裏面電極(電極層)
30 バスバー電極
32 フィンガー電極
Claims (7)
- ドナー元素を含むガラス粉末と、分散媒と、を含有し、前記ガラス粉末の含有比率が1質量%以上90質量%以下の範囲であるn型拡散層形成組成物であり、
前記n型拡散層形成組成物を半導体基板上に塗布してn型拡散層形成組成物層を形成する工程と、前記n型拡散層形成組成物層が形成された半導体基板を熱処理して前記半導体基板にn型拡散層を形成する工程と、前記n型拡散層の表面に形成されるガラスを除去する工程と、を有するn型拡散層の製造方法に用いられるn型拡散層形成組成物。 - 前記ドナー元素が、P(リン)及びSb(アンチモン)から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のn型拡散層形成組成物。
- 前記ドナー元素を含むガラス粉末が、P2O3、P2O5及びSb2O3から選択される少なくとも1種のドナー元素含有物質と、SiO2、K2O、Na2O、Li2O、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、SnO、ZrO2、及びMoO3から選択される少なくとも1種のガラス成分物質と、を含有する請求項1又は請求項2に記載のn型拡散層形成組成物。
- 更に、前記ガラス粉末と反応して結晶化する金属元素を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のn型拡散層形成組成物。
- 前記ガラス粉末と反応して結晶化する前記金属元素が、Ag(銀)、Si(珪素)、及びZn(亜鉛)から選択される少なくとも1種である請求項4に記載のn型拡散層形成組成物。
- 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のn型拡散層形成組成物を半導体基板上に塗布してn型拡散層形成組成物層を形成する工程と、前記n型拡散層形成組成物層が形成された半導体基板を熱処理して前記半導体基板にn型拡散層を形成する工程と、前記n型拡散層の表面に形成されるガラスを除去する工程と、を有するn型拡散層の製造方法。
- 半導体基板上に、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のn型拡散層形成組成物を塗布してn型拡散層形成組成物層を形成する工程と、前記n型拡散層形成組成物層が形成された半導体基板を熱処理して前記半導体基板にn型拡散層を形成する工程と、前記n型拡散層の表面に形成されるガラスを除去する工程と、を有する太陽電池セルの製造方法。
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