JP5703673B2 - n型拡散層形成組成物、n型拡散層の製造方法、及び太陽電池セルの製造方法 - Google Patents
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まず、光閉じ込め効果を促して高効率化を図るよう、テクスチャー構造を形成したp型シリコン基板を準備し、続いてオキシ塩化リン(POCl3)、窒素、酸素の混合ガス雰囲気において800〜900℃で数十分の処理を行って一様にn型拡散層を形成する。この従来の方法では、混合ガスを用いてリンの拡散を行うため、表面のみならず、側面、裏面にもn型拡散層が形成される。そのため、側面のn型拡散層を除去するためのサイドエッチング工程が必要であった。また、裏面のn型拡散層はp+型拡散層へ変換する必要があり、裏面のn型拡散層の上にアルミニウムペーストを付与して、アルミニウムの拡散に
よってn型拡散層からp+型拡散層に変換させていた。
<1> ドナー元素を含むガラス粉末と、分散媒と、を含有し、25℃における粘度が20Pa・s以上1000Pa・s以下であるn型拡散層形成組成物であり、
前記n型拡散層形成組成物を半導体基板上に塗布してn型拡散層形成組成物層を形成する工程と、前記n型拡散層形成組成物層が形成された半導体基板を熱処理して前記半導体基板にn型拡散層を形成する工程と、前記n型拡散層の表面に形成されるガラスを除去する工程と、を有するn型拡散層の製造方法に用いられるn型拡散層形成組成物。
前記n型拡散層形成組成物層が形成された半導体基板を熱処理して前記半導体基板にn型拡散層を形成する工程と、
前記n型拡散層の表面に形成されるガラスを除去する工程と、
を有するn型拡散層の製造方法。
前記n型拡散層形成組成物層が形成された半導体基板を熱処理して前記半導体基板にn型拡散層を形成する工程と、
前記n型拡散層の表面に形成されるガラスを除去する工程と、
を有する太陽電池セルの製造方法。
尚、本明細書において「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、その前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示すものとする。
さらに粘度が特定の範囲であることで、n型拡散層が形成される部位の形状を所望の形状に形成することができる。
一方、前記粘度が1000Pa・sを超えると、塗布性が不十分となり、均一なn型拡散層を形成できない場合がある。
尚、本発明においてn型拡散層形成組成物の粘度は、25℃において、E型粘度計(東京計器社製)を用いて5rpmの回転速度で測定される。
ドナー元素とは、シリコン基板中にドーピングさせることによってn型拡散層を形成することが可能な元素である。ドナー元素としては第15族の元素が使用でき、例えばP(リン)、Sb(アンチモン)、As(ヒ素)等が挙げられる。安全性、ガラス化の容易さ等の観点から、P又はSbが好適である。
上記では2成分を含む複合ガラスを例示したが、P2O5−SiO2−CaO等必要に応じて3種類以上の複合ガラスでもよい。
最初に原料を秤量し、るつぼに充填する。るつぼの材質としては白金、白金―ロジウム、イリジウム、アルミナ、石英、炭素等が挙げられるが、溶融温度、雰囲気、溶融物質との反応性等を考慮して適宜選ばれる。
次に、電気炉でガラス組成に応じた温度で加熱し均一な融液とする。このとき融液が均一となるよう攪拌することが望ましい。
続いて均一になった融液をジルコニア基板やカーボン基板等の上に流し出して融液をガラス化する。
最後にガラスを粉砕し粉末状とする。粉砕にはジェットミル、ビーズミル、ボールミル等公知の方法が適用できる。
本発明のn型拡散層形成組成物においては、分散媒の構成を適宜選択することで、n型拡散層形成組成物の粘度を所望の範囲に構成することができる。
n型拡散層形成組成物は、半導体基板上に塗布され、高温で熱処理されることでn型拡散層を形成するが、その際に表面にガラスが形成される。このガラスは、ふっ酸等の酸に浸漬して除去されるが、ガラスの種類によっては除去し難いものがある。その場合に、ガラスと反応して結晶化しやすいAg、Zn、Si等の金属元素を添加しておくことにより、酸洗浄後に容易にガラスを除去することができる。
またガラス粉末と反応しやすい金属元素は、金属単体、合金等の形態で用いることができる。
詳細には、インゴットからスライスした際に発生するシリコン表面のダメージ層を20質量%苛性ソーダで除去する。次いで1質量%苛性ソーダと10質量%イソプロピルアルコールの混合液によりエッチングを行い、テクスチャー構造を形成する(図中ではテクスチャー構造の記載を省略する)。太陽電池セルは、受光面(表面)側にテクスチャー構造を形成することにより、光閉じ込め効果が促され、高効率化が図られる。
上記n型拡散層形成組成物の塗布量としては特に制限はないが、例えば、固形分塗布量として、0.001g/m2〜1g/m2とすることができ、0.015g/m2〜0.15g/m2であることが好ましい。
尚、n型拡散層形成組成物の固形分とは、n型拡散層形成組成物に含まれる揮発性の成分を除いた残分を意味する。
熱拡散処理時間は、n型拡散層形成組成物に含まれるドナー元素の含有率などに応じて適宜選択することができる。例えば、1〜60分間とすることができ、2〜30分間であることがより好ましい。
したがって、従来広く採用されている気相反応法によりn型拡散層を形成する方法では、側面に形成された不要なn型拡散層を除去するためのサイドエッチング工程が必須であったが、本発明の製造方法によれば、サイドエッチング工程が不要となり、工程が簡易化される。
この内部応力は、結晶の結晶粒界に損傷を与え、電力損失が大きくなるという課題があった。また、反りは、モジュール工程における太陽電池セルの搬送や、タブ線と呼ばれる導線との接続において、セルを破損させ易くしていた。近年では、スライス加工技術の向上から、結晶シリコン基板の厚みが薄型化されつつあり、更にセルが割れ易い傾向にある。
また後述するように、裏面の表面電極20に用いる材料は第13族のアルミニウムに限定されず、例えばAg(銀)やCu(銅)などを適用することができ、裏面の表面電極20の厚さも従来のものよりも薄く形成することが可能となる。
より具体的には、上記混合ガス流量比NH3/SiH4が0.05〜1.0、反応室の圧力が0.1〜2Torr、成膜時の温度が300〜550℃、プラズマの放電のための周波数が100kHz以上の条件下で形成される。
バックコンタクト型の太陽電池セルは、電極を全て裏面に設けて受光面の面積を大きくするものである。つまりバックコンタクト型の太陽電池セルでは、裏面にn型拡散部位及びp+型拡散部位の両方を形成しpn接合構造とする必要がある。本発明のn型拡散層形成組成物は、特定の部位にのみn型拡散部位を形成することが可能であり、よってバックコンタクト型の太陽電池セルの製造に好適に適用することができる。
またn型拡散層形成組成物の粘度は、25℃において、E型粘度計(東京計器社製)を用いて5rpmの回転速度で測定した。
P2O5−ZnO系ガラス粉末0.5gとエチルセルロース(重量平均分子量140000)0.5gと、テルピネオール9gとを混合してペースト化し、n型拡散層形成組成物1を調製した。
得られたn型拡散層形成組成物の粘度を測定したところ、20Pa・sであった。
n型拡散層形成組成物を塗布した線状パターン部分のシート抵抗は17Ω/□であり、P(リン)が拡散しn型拡散層が形成されていた。一方、n型拡散層形成組成物を塗布しなかった非塗布面部分のシート抵抗は1000000Ω/□以上で測定不能であり、n型拡散層は形成されていなかった。
実施例1において、n型拡散層形成組成物の粘度が40Pa・sとなるように、エチルセルロースの添加量を増加し、テルピネオールの量を減少して粘度を調整した以外は実施例1と同様に線状パターンを形成した。塗布・乾燥により形成された線状パターンの線幅は121μmとなっていた。
次いで実施例1と同様にしてn型拡散層形成を行った。
n型拡散層形成組成物を塗布した側の線状パターン部分のシート抵抗は23Ω/□であり、P(リン)が拡散しn型拡散層が形成されていた。一方、n型拡散層形成組成物を塗布しなかった非塗布面部分のシート抵抗は1000000Ω/□以上で測定不能であり、n型拡散層は形成されていなかった。
実施例1において、n型拡散層形成組成物の粘度が70Pa・sとなるように、エチルセルロースの添加量を増加し、テルピネオールの量を減少して粘度を調整した以外は実施例1と同様に線状パターンを形成した。塗布・乾燥により形成された線状パターンの線幅は108μmとなっていた。
次いで実施例1と同様にしてn型拡散層形成を行った。
n型拡散層形成組成物を塗布した側の線状パターン部分のシート抵抗は18Ω/□であり、P(リン)が拡散しn型拡散層が形成されていた。一方、n型拡散層形成組成物を塗布しなかった非塗布面部分のシート抵抗は1000000Ω/□以上で測定不能であり、n型拡散層は形成されていなかった。
実施例1において、n型拡散層形成組成物の粘度が200Pa・sとなるように、エチルセルロースの添加量を増加し、テルピネオールの量を減少して粘度を調整した以外は実施例1と同様に線状パターンを形成した。塗布・乾燥により形成された線状パターンの線幅は105μmとなっていた。
次いで実施例1と同様にしてn型拡散層形成を行った。
n型拡散層形成組成物を塗布した側の線状パターン部分のシート抵抗は20Ω/□であり、P(リン)が拡散しn型拡散層が形成されていた。一方、n型拡散層形成組成物を塗布しなかった非塗布面部分のシート抵抗は1000000Ω/□以上で測定不能であり、n型拡散層は形成されていなかった。
実施例1において、n型拡散層形成組成物の粘度が900Pa・sとなるように、エチルセルロースの添加量を増加し、テルピネオールの量を減少して粘度を調整した以外は実施例1と同様に線状パターンを形成した。塗布・乾燥により形成された線状パターンの線幅は102μmとなっていた。
次いで実施例1と同様にしてn型拡散層形成を行った。
n型拡散層形成組成物を塗布した側の線状パターン部分のシート抵抗は21Ω/□であり、P(リン)が拡散しn型拡散層が形成されていた。しかし、塗布した面でシート抵抗の値が僅かに不均一であった。一方、n型拡散層形成組成物を塗布しなかった非塗布面部分のシート抵抗は1000000Ω/□以上で測定不能であり、n型拡散層は形成されていなかった。
実施例1において、n型拡散層形成組成物の粘度が5Pa・sとなるように、エチルセルロースの添加量を増加し、テルピネオールの量を減少して粘度を調整した以外は実施例1と同様に線状パターンを形成した。塗布・乾燥により形成された線状パターンの線幅は400μmとなっていた。
次いで実施例1と同様にしてn型拡散層形成を行った。
n型拡散層形成組成物を塗布した側の線状パターン部分のシート抵抗は21Ω/□であり、P(リン)が拡散しn型拡散層が形成されていた。一方、n型拡散層形成組成物を塗布しなかった非塗布面部分にも形成した線状パターンが広がっており、特定の部分へn型拡散層を選択的に形成することはできなかった。
実施例1において、n型拡散層形成組成物の粘度が12Pa・sとなるように、エチルセルロースの添加量を減少し、テルピネオールの量を増加して粘度を調整した以外は実施例1と同様に線状パターンを形成した。塗布・乾燥により形成された線状パターンの線幅は230μmとなっていた。
次いで実施例1と同様にしてn型拡散層形成を行った。
n型拡散層形成組成物を塗布した側の線状パターン部分のシート抵抗は22Ω/□であり、P(リン)が拡散しn型拡散層が形成されていた。一方、n型拡散層形成組成物を塗布しなかった非塗布面部分にも形成した線状パターンが広がっており、特定の部分へn型拡散層を所望の形状に形成することはできなかった。
実施例1において、n型拡散層形成組成物の粘度が1020Pa・sとなるように、エチルセルロースの添加量を増加し、テルピネオールの量を減少して粘度を調整した以外は実施例1と同様に線状パターンを形成した。塗布・乾燥により形成された線状パターンの線幅は102μmとなっていた。しかし、塗布性が不十分であり、不均一に塗布されていたため、線状パターンが完全に形成できなかった。
次いで実施例1と同様にしてn型拡散層形成を行った。
n型拡散層形成組成物を塗布した側の線状パターン部分のシート抵抗は19Ω/□であり、P(リン)が拡散しn型拡散層が形成されていた。しかし、塗布面内のシート抵抗値のばらつきは大きく、均一なn型拡散層は形成できていなかった。
12 n型拡散層
14 高濃度電界層
16 反射防止膜
18 表面電極
20 裏面電極(電極層)
30 バスバー電極
32 フィンガー電極
Claims (5)
- ドナー元素を含むガラス粉末と、分散媒と、を含有し、25℃における粘度が20Pa・s以上1000Pa・s以下であるn型拡散層形成組成物であり、
前記n型拡散層形成組成物を半導体基板上に塗布してn型拡散層形成組成物層を形成する工程と、前記n型拡散層形成組成物層が形成された半導体基板を熱処理して前記半導体基板にn型拡散層を形成する工程と、前記n型拡散層の表面に形成されるガラスを除去する工程と、を有するn型拡散層の製造方法に用いられるn型拡散層形成組成物。 - 前記ドナー元素が、P(リン)及びSb(アンチモン)から選択される少なくとも1種である請求項1に記載のn型拡散層形成組成物。
- 前記ガラス粉末が、P2O3、P2O5及びSb2O3から選択される少なくとも1種のドナー元素含有物質と、SiO2、K2O、Na2O、Li2O、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、SnO、ZrO2、及びMoO3から選択される少なくとも1種のガラス成分物質と、を含有する請求項1または請求項2に記載のn型拡散層形成組成物。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のn型拡散層形成組成物を半導体基板上に塗布してn型拡散層形成組成物層を形成する工程と、
前記n型拡散層形成組成物層が形成された半導体基板を熱処理して前記半導体基板にn型拡散層を形成する工程と、
前記n型拡散層の表面に形成されるガラスを除去する工程と、
を有するn型拡散層の製造方法。 - 半導体基板上に、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のn型拡散層形成組成物を塗布してn型拡散層形成組成物層を形成する工程と、
前記n型拡散層形成組成物層が形成された半導体基板を熱処理して前記半導体基板にn型拡散層を形成する工程と、
前記n型拡散層の表面に形成されるガラスを除去する工程と、
を有する太陽電池セルの製造方法。
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