JP2012231013A - n型拡散層形成組成物、n型拡散層の製造方法、及び太陽電池素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】n型拡散層形成組成物は、ドナー元素を含むガラス粉末と、溶解度パラメーターが12(MJ/m3)1/2以下であるバインダーを含む分散媒と、を含有する。シリコン基板10にこのn型拡散層形成組成物11を塗布し熱拡散処理を施すことで、n型拡散層12を有する太陽電池素子が製造される。
【選択図】図1
Description
まず、光閉じ込め効果を促して高効率化を図るよう、受光面にテクスチャー構造を形成したp型シリコン基板を準備し、続いてドナー元素含有化合物であるオキシ塩化リン(POCl3)、窒素、酸素の混合ガス雰囲気において800〜900℃で数十分の処理を行って一様にn型拡散層を形成する。この従来の方法では、混合ガスを用いてリンの拡散を行うため、表面のみならず、側面、裏面にもn型拡散層が形成される。そのため、側面のn型拡散層を除去するためのサイドエッチング工程が必要であった。また、裏面のn型拡散層はp+型拡散層へ変換する必要があり、裏面のn型拡散層の上にアルミニウムペーストを付与して、アルミニウムの拡散によってn型拡散層からp+型拡散層に変換させていた。
<1> ドナー元素を含むガラス粉末と、溶解度パラメーターが12(MJ/m3)1/2以下であるバインダーを含む分散媒と、を含有するn型拡散層形成組成物。
<2> 前記ドナー元素が、P(リン)及びSb(アンチモン)から選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記<1>に記載のn型拡散層形成組成物。
<3> 前記ドナー元素を含むガラス粉末が、P2O3、P2O5及びSb2O3から選択される少なくとも1種のドナー元素含有物質と、SiO2、K2O、Na2O、Li2O、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V2O5、SnO、ZrO2及びMoO3から選択される少なくとも1種のガラス成分物質と、を含有することを特徴とする前記<1>又は<2>に記載のn型拡散層形成組成物。
<5> 半導体基板上に、前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載のn型拡散層形成組成物を塗布する工程と、熱拡散処理を施して、n型拡散層を形成する工程と、形成されたn型拡散層上に電極を形成する工程とを有する太陽電池素子の製造方法。
尚、本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。また本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示すものとする。さらに本明細書において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
ここで、n型拡散層形成組成物とは、ドナー元素を含むガラス粉末を含有し、シリコン基板に塗布した後にこのドナー元素を熱拡散することでn型拡散層を形成することが可能な材料をいう。ドナー元素をガラス粉末中に含むn型拡散層形成組成物を用いることで、所望の部位にn型拡散層が形成され、裏面や側面には不要なn型拡散層が形成されない。
この理由として、ドナー成分がガラス粉末中の元素と結合しているか、又はガラス中に取り込まれているため、揮散しにくいものと考えられる。
ドナー元素とは、シリコン基板中にドーピングさせることによってn型拡散層を形成することが可能な元素である。ドナー元素としては第15族の元素が使用でき、例えばP(リン)、Sb(アンチモン)、Bi(ビスマス)、As(ヒ素)等が挙げられる。安全性、ガラス化の容易さ等の観点から、P又はSbが好適である。
ガラス成分物質としては、SiO2、K2O、Na2O、Li2O、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V2O5、SnO、ZrO2、WO3、MoO3、MnO、La2O3、Nb2O5、Ta2O5、Y2O3、TiO2、ZrO2、GeO2、TeO2及びLu2O3等が挙げられ、SiO2、K2O、Na2O、Li2O、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V2O5、SnO、ZrO2及びMoO3から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、SiO2、K2O、Na2O、Li2O、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V2O5、SnO、ZrO2及びMoO3から選択される少なくとも1種を用いることがより好ましい。
なお、P2O5−Sb2O3系、P2O5−As2O3系等のように、2種類以上のドナー元素含有物質を含むガラス粉末でもよい。
上記では2成分を含む複合ガラスを例示したが、P2O5−SiO2−V2O5、P2O5−SiO2−CaO等、3成分以上の物質を含むガラス粉末でもよい。
ここで、ガラスの粒径は、体積平均粒子径を表し、レーザー散乱回折法粒度分布測定装置等により測定することができる。
最初に原料、例えば、前記ドナー元素含有物質とガラス成分物質を秤量し、るつぼに充填する。るつぼの材質としては白金、白金―ロジウム、イリジウム、アルミナ、石英、炭素等が挙げられるが、溶融温度、雰囲気、溶融物質との反応性等を考慮して適宜選ばれる。
次に、電気炉でガラス組成に応じた温度で加熱し融液とする。このとき融液が均一となるよう攪拌することが望ましい。
続いて得られた融液をジルコニア基板やカーボン基板等の上に流し出して融液をガラス化する。
最後にガラスを粉砕し粉末状とする。粉砕にはジェットミル、ビーズミル、ボールミル等公知の方法が適用できる。
分散媒とは、組成物中において上記ガラス粉末を分散させる媒体である。分散媒は、溶解度パラメーター(SP値)が12(MJ/m3)1/2以下であるバインダー(以下、「特定バインダー」ともいう)の少なくとも1種を含み、必要に応じて溶剤の少なくとも1種をさらに含む。
分散媒が特定バインダーを含むことで、例えば、n型拡散層形成組成物を半導体基板に塗布、乾燥して塗布層を形成した後、エタノール等のアルコール系溶剤などを付与する後工程を設けた場合であっても、形成された塗布層は耐溶剤性に優れるため、その形状を維持することができ、所望の形状にn型拡散層を形成することができる。
バインダーの溶解度パラメーターが12(MJ/m3)1/2を超えると、n型拡散層形成組成物からなる塗布層にアルコール系溶剤等を付与した場合に、塗布層の形状を十分に維持できない場合がある。
またSP値は丸善編「溶液と溶解度」(篠田耕造著)に記載の方法によって算出することができ、「技術者のための実学高分子」に記載されていないバインダーのSP値は「溶液と溶解度」に記載の方法によって算出される。
これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
重量平均分子量は、例えばGPC法によって測定することができる。
SP値が12(MJ/m3)1/2を超えるバインダーとしては例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼラチン、澱粉及び澱粉誘導体、アルギン酸ナトリウム類、キサンタン、グア及びグア誘導体、スクレログルカン及びスクレログルカン誘導体、トラガカント及びトラガカント誘導体、デキストリン及びデキストリン誘導体などを挙げることができる。
n型拡散層形成組成物が、SP値が12(MJ/m3)1/2を越えるバインダーを含む場合、その含有率は5質量%以下とすることができ、2質量%以下であることが好ましい。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−iso−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン等のケトン系溶剤;ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチル−n−プロピルエーテル、ジ−iso−プロピルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸ジエチレングリコールメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のエステル系溶剤;アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、N−プロピルピロリジノン、N−ブチルピロリジノン、N−ヘキシルピロリジノン、N−シクロヘキシルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノエーテル系溶剤;α−テルピネン、α−テルピネオール、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、α−ピネン、β−ピネン、ターピネオール、カルボン、オシメン、フェランドレン等のテルペン系溶剤;水が挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
n型拡散層形成組成物とした場合、基板への塗布性の観点から、α−テルピネオール、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチルが好ましい。
n型拡散層形成組成物の粘度は、塗布性を考慮して、10mPa・s以上1000000mPa・s以下であることが好ましく、50mPa・s以上500000mPa・s以下であることがより好ましい。なお、n型拡散層形成組成物の粘度は、E型粘度計を用いて25℃、5rpmで測定される。
詳細には、インゴットからスライスした際に発生するシリコン表面のダメージ層を20質量%苛性ソーダで除去する。次いで1質量%苛性ソーダと10質量%イソプロピルアルコールの混合液によりエッチングを行い、テクスチャー構造を形成する(図中ではテクスチャー構造の記載を省略する)。太陽電池素子は、受光面(表面)側にテクスチャー構造を形成することにより、光閉じ込め効果が促され、高効率化が図られる。
上記n型拡散層形成組成物の塗布量としては特に制限は無いが、例えば、ガラス粉末量として0.01g/m2〜100g/m2とすることができ、0.1g/m2〜10g/m2であることが好ましい。
前記B(ホウ素)等の第13族の元素を含む組成物13としては、例えば、ドナー元素を含むガラス粉末の代わりにアクセプタ元素を含むガラス粉末を用いて、n型拡散層形成組成物と同様にして構成されるp型拡散層形成組成物を挙げることができる。アクセプタ元素は第13族の元素であればよく、例えば、B(ホウ素)、Al(アルミニウム)及びGa(ガリウム)等を挙げることができる。またアクセプタ元素を含むガラス粉末はB2O3、Al2O3及びGa2O3から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
さらにp型拡散層形成組成物をシリコン基板の裏面に付与する方法は、既述のn型拡散層形成組成物をシリコン基板上に塗布する方法と同様である。
裏面に付与されたp型拡散層形成組成物を、後述するn型拡散層形成組成物における熱拡散処理と同様に熱拡散処理することで、裏面に高濃度電界層14を形成することができる。尚、p型拡散層形成組成物の熱拡散処理は、n型拡散層形成組成物の熱拡散処理と同時に行なうことが好ましい。
熱拡散処理時間は、n型拡散層形成組成物に含まれるドナー元素の含有率に応じて適宜選択することができる。例えば、1分間〜60分間とすることができ、2分間〜30分間であることがより好ましい。
したがって、従来広く採用されている気相反応法によりn型拡散層を形成する方法では、側面に形成された不要なn型拡散層を除去するためのサイドエッチング工程が必須であったが、本発明の製造方法によれば、サイドエッチング工程が不要となり、工程が簡易化される。
この内部応力は、結晶の結晶粒界に損傷を与え、電力損失が大きくなるという課題があった。また、反りは、モジュール工程における太陽電池素子の搬送や、タブ線と呼ばれる銅線との接続において、太陽電池素子を破損させ易くしていた。近年では、スライス加工技術の向上から、シリコン基板の厚みが薄型化されつつあり、更に太陽電池素子が割れ易い傾向にある。
例えば、ドナー元素を含むガラス粉末の代わりにアクセプタ元素を含むガラス粉末を用いて、n型拡散層形成組成物と同様にして構成されるp型拡散層形成組成物を、シリコン基板の裏面(n型拡散層形成組成物を塗布した面とは反対側の面)に塗布し、焼成処理することで、裏面にp+型拡散層(高濃度電界層)14を形成することが好ましい。
また後述するように、裏面の表面電極20に用いる材料は第13族のアルミニウムに限定されず、例えばAg(銀)又はCu(銅)等を適用することができ、裏面の表面電極20の厚さも従来のものよりも薄く形成することが可能となる。
より具体的には、上記混合ガス流量比NH3/SiH4が0.05〜1.0、反応室の圧力が0.1Torr〜2Torr、成膜時の温度が300℃〜550℃、プラズマの放電のための周波数が100kHz以上の条件下で形成される。
バックコンタクト型の太陽電池素子は、電極を全て裏面に設けて受光面の面積を大きくするものである。つまりバックコンタクト型の太陽電池素子では、裏面にn型拡散部位及びp+型拡散部位の両方を形成しpn接合構造とする必要がある。本発明のn型拡散層形成組成物は、特定の部位にn型拡散部位を形成することが可能であり、よってバックコンタクト型の太陽電池素子の製造に好適に適用することができる。
粒子形状が略球状で、平均粒子径が3.5μm、軟化点600℃のP2O5−SiO2−CaO系ガラス(P2O5:30mol%、SiO2:60mol%、CaO:10mol%)粉末20gと、ポリメタクリル酸メチル(重量平均分子量50,000、SP値9.5)0.3gと、エチルセルロース0.3gと、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル7gとを、自動乳鉢混練装置を用いて混合してペースト化し、n型拡散層形成組成物を調製した。
塗布層が形成されたp型シリコン基板の表面にエタノールをかけて洗浄し、大気下で乾燥した。乾燥後のp型シリコン基板の表面を観察したところ、塗布層の形状は維持されており、塗布層の変形、拡大等の発生は認められなかった。
実施例1において、ポリメタクリル酸メチル代わりにポリエチレンテレフタレート(重量平均分子量50,000、SP値10.7)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてn型拡散層形成組成物を調製した。
次に、調製したペーストをスクリーン印刷によってp型シリコン基板表面に塗布し、150℃のホットプレート上で5分間乾燥させ、厚さ約18μmの塗布層を形成した。
塗布層が形成されたp型シリコン基板の表面にエタノールをかけて洗浄し、大気下で乾燥した。乾燥後のp型シリコン基板の表面を観察したところ、塗布層の形状は維持されており、塗布層の変形、拡大等の発生は認められなかった。
実施例1において、ポリメタクリル酸メチル代わりにエポキシ樹脂(重量平均分子量50,000、SP値10.9)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてn型拡散層形成組成物を調製した。
次に、調製したペーストをスクリーン印刷によってp型シリコン基板表面に塗布し、150℃のホットプレート上で5分間乾燥させ、厚さ約18μmの塗布層を形成した。
塗布層が形成されたp型シリコン基板の表面にエタノールをかけて洗浄し、大気下で乾燥した。乾燥後のp型シリコン基板の表面を観察したところ、塗布層の形状は維持されており、塗布層の変形、拡大等の発生は認められなかった。
実施例1において、ポリメタクリル酸メチル代わりにフェノール樹脂(重量平均分子量50,000、SP値11.3)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてn型拡散層形成組成物を調製した。
次に、調製したペーストをスクリーン印刷によってp型シリコン基板表面に塗布し、150℃のホットプレート上で5分間乾燥させ、厚さ約18μmの塗布層を形成した。
塗布層が形成されたp型シリコン基板の表面にエタノールをかけて洗浄し、大気下で乾燥した。乾燥後のp型シリコン基板の表面を観察したところ、塗布層の形状は維持されており、塗布層の変形、拡大等の発生は認められなかった。
実施例1において、ポリメタクリル酸メチル代わりにセルロース(重量平均分子量50,000、SP値15.7)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてn型拡散層形成組成物を調製した。
次に、調製したペーストをスクリーン印刷によってp型シリコン基板表面に塗布し、150℃のホットプレート上で5分間乾燥させ、厚さ約18μmの塗布層を形成した。
塗布層が形成されたp型シリコン基板の表面にエタノールをかけて洗浄し、大気下で乾燥した。乾燥後のp型シリコン基板の表面を観察したところ、塗布層の表面が白く荒れており、また塗布層の形状が変形してシリコン基板上の未塗布領域にまで塗布層が拡大していた。
実施例1において、ポリメタクリル酸メチル代わりにポリビニルアルコール(重量平均分子量50,000、SP値12.6)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてn型拡散層形成組成物を調製した。
次に、調製したペーストをスクリーン印刷によってp型シリコン基板表面に塗布し、150℃のホットプレート上で5分間乾燥させ、厚さ約18μmの塗布層を形成した。
塗布層が形成されたp型シリコン基板の表面にエタノールをかけて洗浄し、大気下で乾燥した。乾燥後のp型シリコン基板の表面を観察したところ、塗布層の表面が白く荒れてにじみ、シリコン基板上の未塗布領域にn型拡散層形成組成物が流れ出して白い模様が形成されていた。
12 n型拡散層
14 高濃度電界層
16 反射防止膜
18 表面電極
20 裏面電極(電極層)
30 バスバー電極
32 フィンガー電極
Claims (5)
- ドナー元素を含むガラス粉末と、
溶解度パラメーターが12(MJ/m3)1/2以下であるバインダーを含む分散媒と、
を含有するn型拡散層形成組成物。 - 前記ドナー元素が、P(リン)及びSb(アンチモン)から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のn型拡散層形成組成物。
- 前記ドナー元素を含むガラス粉末が、P2O3、P2O5及びSb2O3から選択される少なくとも1種のドナー元素含有物質と、SiO2、K2O、Na2O、Li2O、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V2O5、SnO、ZrO2及びMoO3から選択される少なくとも1種のガラス成分物質と、を含有する、請求項1又は請求項2に記載のn型拡散層形成組成物。
- 半導体基板上に、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のn型拡散層形成組成物を塗布する工程と、
熱拡散処理を施す工程と、
を有するn型拡散層の製造方法。 - 半導体基板上に、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のn型拡散層形成組成物を塗布する工程と、
熱拡散処理を施して、n型拡散層を形成する工程と、
形成された前記n型拡散層上に電極を形成する工程と、
を有する太陽電池素子の製造方法。
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