JP5701439B1 - 皮下診断装置及び血圧測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】新たな原理の血圧測定方法に好適に利用可能な皮下診断装置を提供する。【解決手段】診断装置は、体表面101に接触される接触面3aを介して超音波信号を送受信可能な振動子、及び、体表面101から接触面3aが受ける圧力を検出可能な圧力センサ15を含むプローブ3を有している。【選択図】図3
Description
本発明は、血圧の測定等に利用可能な皮下診断装置及び血圧測定方法に関する。
血圧を測定する方法として、例えば、コロトコフ法が周知である。コロトコフ法では、まず、袋状のベルトにより構成されたカフを上下肢(例えば腕)に巻き付け、カフ内に空気を供給して腕を圧迫し、これにより血流を一旦停止させる。次に、カフ内を減圧しつつ血流によって生じる音(コロトコフ音)を聞き、所定の相のコロトコフ音が得られたときのカフによる圧迫圧(カフ圧)を血圧とみなす。
特許文献1では、超音波診断装置を用いた血圧測定方法を開示している。この血圧測定方法では、コロトコフ法と同様に、カフによって血流を一旦停止させ、その後、カフを減圧する。ただし、減圧の際、コロトコフ音を聞く代わりに、血管に超音波を照射して血管内の血流の速度を測定し、血流の速度が所定の設定値になったときのカフ圧を血圧とみなしている。
特許文献2では、超音波診断装置を用いて血圧をモニタリングする技術を開示している。この技術では、まず、従来のカフ圧を利用する血圧計によって血圧(最高血圧及び最低血圧)を測定する。次に、超音波診断装置によって心拍に応じて変化する血管の直径を計測し、その最大値及び最小値と、先に計測した最高血圧及び最低血圧とを対応付ける。その後、超音波診断装置によって血管の直径の計測を継続し、計測される血管の直径を前記の対応付けに基づいて血圧に変換して表示する。これにより、心拍に応じて変化する血圧をモニタリングできる。
特許文献1の技術は、超音波を利用しているものの、コロトコフ法と同様に、血流を一旦止めた後の血流の状態に基づいて血圧を計測する原理を利用しており、また、この原理を利用する装置は、上下肢にカフを巻き付ける構成である。また、特許文献2の技術は、超音波診断装置によって心拍に応じた血管径の変化をモニタリングしているものの、血圧自体は、従来のカフを用いた血圧計によって測定されている。従って、これらの技術は、種々の不都合を生じることもあった。
例えば、血圧の計測部位は上下肢の動脈系の一部に限られ、静脈や毛細血管の血圧を計測することは困難である。また、例えば、計測部位はある程度の長さを有していることから、その長い計測部位内に局所的な異常部位(狭窄部位や閉塞部位)があると、異常部位が血流に影響を及ぼし、計測精度が低下するおそれがある。また、そのような異常部位の存在及び位置を特定することも困難である。
従って、上記の課題の少なくともいずれかを解決できる新たな原理の血圧測定方法及びこの血圧測定方法に利用可能な皮下診断装置が提供されることが望まれる。
本発明の一態様に係る皮下診断装置は、体表面に接触される接触面を介して超音波信号を送受信可能な振動子と、前記体表面から前記接触面が受ける圧力を検出可能な圧力センサと、を備えたプローブを有している。
好適には、前記皮下診断装置は、表示装置と、前記振動子の受信した超音波信号に基づく画像及び前記圧力センサの検出した圧力をリアルタイムに前記表示装置に表示させる演算部と、を更に有している。
好適には、前記皮下診断装置は、表示装置と、前記振動子の受信した超音波信号に基づいて前記体表面の内側の血管の変形度を算出し、算出した血管の変形度が所定の大きさか否かを判定し、所定の大きさと判定したときの前記圧力センサの検出した圧力を前記表示装置に表示させる演算部と、を更に有している。
好適には、前記皮下診断装置は、体表面又は血管の硬さを測定する硬度計を更に備え、前記演算部は、前記硬度計の測定した硬さに基づいて、前記所定の大きさを補正し、又は、前記圧力センサの検出した圧力を補正して前記表示装置に表示させる。
本発明の一態様に係る血圧測定方法は、接触面を介して超音波信号を送受信可能な振動子、及び、前記接触面が受ける圧力を検出可能な圧力センサを含むプローブの前記接触面を体表面に押し付ける加圧ステップと、前記振動子の受信した超音波信号に基づいて前記体表面の内側に位置する血管の断面形状及び前記血管内の血流の情報の少なくともいずれかを含む断層情報を取得する超音波診断ステップと、取得した前記断層情報が所定の条件を満たしたときに前記圧力センサが検出した圧力によって前記血管の血圧を測定する圧力取得ステップと、を有している。
好適には、前記圧力取得ステップでは、前記血管の変形度が所定の大きさになったときに前記圧力センサが検出した圧力によって血圧を測定する。
好適には、前記圧力取得ステップでは、前記血管としての、長さ15mm以下の区域の動脈、静脈又は毛細血管における血圧を測定する。
本発明の一態様に係る血圧測定方法は、体表面を加圧する加圧ステップと、超音波の送受信によって、加圧されている体表面の内側に位置する血管の断面形状の情報を取得する超音波診断ステップと、取得した前記情報に基づいて、前記血管の変形度が所定の大きさになったときに前記体表面に加えられている圧力によって前記血管の血圧を測定する圧力取得ステップと、を有している。
上記の構成又は手順によれば、例えば、血管の変形度に基づく新たな原理の血圧測定方法が実現される。
以下、図面を参照して、本発明の複数の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態以降において、既に説明した構成と同一又は類似する構成については、既に説明した構成の符号と同一の符号を付すことがあり、また、説明を省略することがある。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る皮下診断装置1の全体構成を示すブロック図である。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る皮下診断装置1の全体構成を示すブロック図である。
診断装置1は、血圧測定に利用可能な装置として構成されており、超音波によって被検体の内部(例えば血管)の断面形状乃至は血流の情報を取得する機能(超音波診断装置と同様の機能)と、被検体の体表面に加えた圧力を検出する機能とを有している。具体的には、以下のとおりである。
診断装置1は、被検体に当接されるプローブ3と、プローブ3からの信号に基づいて被検体の画像データの生成等を行う装置本体5とを備えている。装置本体5には、入力装置7、表示装置9及びプリンタ11等の周辺機器が接続されている。
プローブ3は、一般的な超音波診断装置のプローブと同様の構成に圧力センサを付加した構成であり、超音波の送受信が可能な振動子13と、圧力センサ15とを含んでいる。
装置本体5は、例えば、振動子13との間で電気信号を送受信する送受信部17と、圧力センサ15との間で電気信号を送受信する駆動部19と、送受信部17及び駆動部19からの信号に基づいて画像データの生成等を実行する演算部21と、演算部21により生成された画像データを適宜な形式の信号に変換して出力する表示処理部23と、これら各部の動作を制御する制御部25とを有している。
送受信部17は、例えば、不図示のケーブルを介してプローブ3と接続されている。送受信部17は、制御部25からの指令に基づいて、振動子13に駆動信号を与えるとともに、振動子13からの検出信号(エコー信号)に対して増幅などの処理を施して演算部21に出力する。また、駆動部19は、制御部25からの指令に基づいて、圧力センサ15に駆動信号を与えるとともに、圧力センサ15からの検出信号に対して増幅などの処理を施して演算部21に出力する。
演算部21は、例えば、コンピュータによって構成され、制御部25からの指令に基づいて、送受信部17及び駆動部19からの信号を処理し、画像データを生成する。例えば、演算部21は、送受信部17が出力するエコー信号を対数増幅した後に包絡線を検波してBモード(エコーの振幅を輝度に変換するいわゆるBrightモード)の画像データを生成したり、エコー信号を直交検波して得られたドップラー信号に高速フーリエ変換を行ってDモード(エコーの周波数変動を利用し、動態等を観測するための、いわゆるドップラーモード)の画像データを生成したりする。また、例えば、演算部21は、駆動部19が出力する信号に含まれる圧力値の画像データを生成する。
表示処理部23は、例えば、コンピュータによって構成され、制御部25からの指令に応じて、演算部21から出力される画像データに基づき、表示装置9(及び/又はプリンタ11)に画像を表示(及び/又は印刷)させるための信号を生成し、表示装置9(及び/又はプリンタ11)に出力する。
制御部25は、例えば、コンピュータにより構成され、送受信部17、駆動部19、演算部21及び表示処理部23にそれぞれ接続されている。制御部25は、入力装置7からの信号に基づいて各部に制御信号を与え動作を制御する。
入力装置7は、例えば、キーボードやポインティングディバイスを備え、入力操作に応じた信号を制御部25に出力する。表示装置9は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の任意の画像を表示可能なディスプレイにより構成されている。なお、入力装置7及び表示装置9は、タッチパネルとして一体的に構成されていてもよい。プリンタ11は、例えば、レーザープリンタ又はインクジェットプリンタにより構成されている。なお、この他にも、適宜な周辺機器が装置本体5に接続されてよい。周辺機器の一部又は全部は、装置本体5に組み込まれていてもよい。
図2は、プローブ3の構成の一例を示す、一部を破断した斜視図である。
プローブ3は、例えば、通常の超音波診断用のプローブと同様に、既述の振動子13と、振動子13の前面(被検体の体表面側)を覆う整合層27及び音響レンズ29と、振動子13の背後に設けられたダンパー31とを有している。
プローブ3は、例えば、電子式の走査を行うものであり、音響レンズ29を被検体の体表面に当接させて使用される。既述の圧力センサ15は、例えば、音響レンズ29の前面の所定位置に配置されており、音響レンズ29とともに被検体の体表面に当接される。すなわち、音響レンズ29及び圧力センサ15は、プローブ3の接触面3aを構成している。なお、走査形状は、リニア、セクタ、コンベックス等の公知の適宜な形状が選択されてよい。
振動子13は、圧電材料からなり、送受信部17からの駆動信号(電気信号)を超音波に変換して送信するとともに、受信した超音波(エコー)をエコー信号(電気信号)に変換する。なお、振動子13は、一つ(シングルアレイ)でもよいし、図2において例示するように複数(例えばフェイズドアレイ、アニュラアレイ、マトリックスアレイ)でもよい。
整合層27は、振動子13と体表面との音響インピーダンスの差を低減する。音響レンズ29は、超音波が音響的に焦点を結ぶように超音波を屈折させる。ダンパー31は、振動子13の自由振動を低減する。振動子13、整合層27、音響レンズ29及びダンパー31は、公知の超音波診断装置のプローブと同様の構成とされてよい。
圧力センサ15は、公知の圧力センサにより構成されてよい。一例として、流体が接するダイヤフラムを有し、ダイヤフラムの変形に伴う静電容量の変化や抵抗値の変化を測定するダイヤフラム式の圧力センサが挙げられる。このような圧力センサは、侵襲的に血圧を測定するプレッシャーワイヤーにも用いられており、直径1mm以下(例えば0.35mm程度)のプレッシャーワイヤーのチューブに収納されるほどに小型化可能である。そして、ダイヤフラム式の圧力センサは、例えば、ダイヤフラムを前面(体表面)側に向けて、音響レンズ29に固定されている。
なお、上記のプレッシャーワイヤー自体が圧力センサ15として音響レンズ29の前面に固定されてもよい。圧力センサ15によって接触面3aに比較的微小な突部が形成されてもよいし、そのような突部が形成されないように音響レンズ29に圧力センサ15が収まる微小な凹部が形成されてもよい。
プローブ3の仕様の際には、超音波が体表面に伝わりやすくなるように体表面と接触面3a(音響レンズ29及び圧力センサ15)との間にゲルが配置される。従って、接触面3aから体表面に圧力を付与しようとすると、ゲルによって圧力センサ15のダイヤフラムに圧力が付与される。その結果、圧力センサ15によって体表面に加えられた圧力を検出することができる。
図3(a)及び図3(b)は、診断装置1の使用例を示す模式図である。
図3(a)では、体表面101にプローブ3の接触面3aを軽く接触させている。このとき、血管103の断面形状は、プローブ3を体表面101に接触させる前後で全く又は殆ど変形していない。また、血管103の断面形状は、血管103内の血液105の圧力(内圧)の影響が大きく、例えば、概ね円形である。なお、血管103が動脈である場合、心拍に応じて血管103の直径は変化するが、その形状は概ね一定であり、又は、心臓の複数の拡張期において概ね一定であるとともに心臓の複数の収縮期において概ね一定である。
一方、図3(b)においては、プローブ3の接触面3aを比較的強い力で体表面101に押し付けている。これにより、体表面101側からその内側への方向の圧力が血管103に加えられる。この圧力が血管の内圧(血液の圧力)を超えると、血管103は内側へ押し潰されるように変形する。なお、プローブ3から体表面101に加えられた圧力(押圧力)と、この圧力によって体表面101を介して血管103に加えられた圧力とは、概ね同等とみなせる。又は、両者は、少なくとも概ね比例する。
従って、体表面101に加える圧力を大きくしていき又は小さくしていき、血管103の変形度が所定の設定値になったときにプローブ3から体表面101に加えている押圧力によって、血圧を測定することができる。そして、プローブ3は、超音波によって血管103の変形度を検出可能であるとともに、圧力センサ15によって体表面101に加えた押圧力を検出可能であるから、診断装置1によって血圧測定を行うことができる。
具体的には、例えば、以下のとおりである。
(変形度の定義の例)
変形度は、例えば、血管103が概ね円形から概ね楕円形に変形すると考えて、(長径−短径)/((長径+短径)/2)、(変形前の直径−短径)/変形前の直径、又は、(長径−変形前の直径)/変形前の直径である。その他、変形度は、(変形前の断面積−変形後の断面積)/変形前の断面積とされてもよい。なお、これら定義では、変形度は、変形が進むほど大きくなる。ただし、変形度を短径/変形前の直径によって定義するなど、変形が進むと変形度が1から小さくなるように変形度が定義されてもよい。以下の説明では、変形度は、変形が進むほど大きくなるように定義されているものとして説明する。
変形度は、例えば、血管103が概ね円形から概ね楕円形に変形すると考えて、(長径−短径)/((長径+短径)/2)、(変形前の直径−短径)/変形前の直径、又は、(長径−変形前の直径)/変形前の直径である。その他、変形度は、(変形前の断面積−変形後の断面積)/変形前の断面積とされてもよい。なお、これら定義では、変形度は、変形が進むほど大きくなる。ただし、変形度を短径/変形前の直径によって定義するなど、変形が進むと変形度が1から小さくなるように変形度が定義されてもよい。以下の説明では、変形度は、変形が進むほど大きくなるように定義されているものとして説明する。
(動脈の血圧測定:周期基準モード)
血管103が動脈の場合、血管103の径が小さくなったとき(心臓の拡張期)において、変形度が所定の最低血圧用の設定値になったときの体表面101に加えた圧力によって最低血圧を測定することができ、血管103の径が大きくなったとき(心臓の収縮期)において変形度が所定の最高血圧用の設定値になったときに体表面101に加えた圧力によって最高血圧を測定することができる。なお、最低血圧と最高血圧は同時に(同一押圧力下で)測定されてもよいし、互いに異なる押圧力下で測定されてもよい。別の観点では、最低血圧用の設定値と、最高血圧用の設定値とは異なっていてもよいし、同一であってもよい。
血管103が動脈の場合、血管103の径が小さくなったとき(心臓の拡張期)において、変形度が所定の最低血圧用の設定値になったときの体表面101に加えた圧力によって最低血圧を測定することができ、血管103の径が大きくなったとき(心臓の収縮期)において変形度が所定の最高血圧用の設定値になったときに体表面101に加えた圧力によって最高血圧を測定することができる。なお、最低血圧と最高血圧は同時に(同一押圧力下で)測定されてもよいし、互いに異なる押圧力下で測定されてもよい。別の観点では、最低血圧用の設定値と、最高血圧用の設定値とは異なっていてもよいし、同一であってもよい。
(動脈の血圧測定:極値使用モード)
血管103が動脈の場合、比較的ゆっくり又は段階的に、圧力を大きく又は小さくしていき、一定の圧力下における一又は複数回の心拍に相当する期間における変形度の最大値が所定の最低血圧用設定値になったときの体表面101に加えた圧力によって最低血圧を測定することができ、一又は複数回の心拍の期間における変形度の最小値が所定の最高血圧用設定値になったときの体表面101に加えた圧力によって最高血圧を測定することができる。このモードは、上記の周期基準モードと実質的には同じである。ただし、心臓の拡張期か収縮期かということを意識せず、変形度の変化のみに着目すればよいことから別モードとして説明した。なお、このモードでも、最低血圧と最高血圧は同時に(同一押圧力下で)測定されてもよいし、互いに異なる押圧力下で測定されてもよい。別の観点では、最低血圧用の設定値と、最高血圧用の設定値とは異なっていてもよいし、同一であってもよい。
血管103が動脈の場合、比較的ゆっくり又は段階的に、圧力を大きく又は小さくしていき、一定の圧力下における一又は複数回の心拍に相当する期間における変形度の最大値が所定の最低血圧用設定値になったときの体表面101に加えた圧力によって最低血圧を測定することができ、一又は複数回の心拍の期間における変形度の最小値が所定の最高血圧用設定値になったときの体表面101に加えた圧力によって最高血圧を測定することができる。このモードは、上記の周期基準モードと実質的には同じである。ただし、心臓の拡張期か収縮期かということを意識せず、変形度の変化のみに着目すればよいことから別モードとして説明した。なお、このモードでも、最低血圧と最高血圧は同時に(同一押圧力下で)測定されてもよいし、互いに異なる押圧力下で測定されてもよい。別の観点では、最低血圧用の設定値と、最高血圧用の設定値とは異なっていてもよいし、同一であってもよい。
(動脈の血圧測定:平均値使用モード)
比較的ゆっくり又は段階的に圧力を大きく又は小さくしていき、一定の圧力下における一又は複数回の心拍に相当する期間における変形度の平均値を求め、その平均値が最低血圧用の設定値になったときの体表面101に加えた圧力によって最低血圧を測定することができ、前記の平均値が最低血圧用の設定値よりも大きい最高血圧用の変形度になったときの体表面101に加えた圧力によって最高血圧を測定することができる。すなわち、このモードでは、心臓の拡張期・収縮期を区別して変形度を測定することはせず、拡張期及び収縮期の双方に亘る変形度の平均値を用いて簡便に最低血圧及び最高血圧を測定する。
比較的ゆっくり又は段階的に圧力を大きく又は小さくしていき、一定の圧力下における一又は複数回の心拍に相当する期間における変形度の平均値を求め、その平均値が最低血圧用の設定値になったときの体表面101に加えた圧力によって最低血圧を測定することができ、前記の平均値が最低血圧用の設定値よりも大きい最高血圧用の変形度になったときの体表面101に加えた圧力によって最高血圧を測定することができる。すなわち、このモードでは、心臓の拡張期・収縮期を区別して変形度を測定することはせず、拡張期及び収縮期の双方に亘る変形度の平均値を用いて簡便に最低血圧及び最高血圧を測定する。
(静脈又は毛細血管の血圧測定)
血管103が静脈又は毛細血管の場合、心拍による血圧の変化はあまりないことから、単純に、圧力を大きく又は小さくしていき、変形度が所定の設定値になったときの体表面101に加えた圧力によって血圧を測定することができる。
血管103が静脈又は毛細血管の場合、心拍による血圧の変化はあまりないことから、単純に、圧力を大きく又は小さくしていき、変形度が所定の設定値になったときの体表面101に加えた圧力によって血圧を測定することができる。
(血圧測定に係る補足)
変形度が設定値になったときではなく、圧迫圧を強くしていくときに変形度が設定値を超えたとき、又は、圧迫圧を弱くしていくときに変形度が設定値を下回ったときの圧力(これらも広義には変形度が設定値になったときに含まれる)によって血圧を測定してもよい。
変形度が設定値になったときではなく、圧迫圧を強くしていくときに変形度が設定値を超えたとき、又は、圧迫圧を弱くしていくときに変形度が設定値を下回ったときの圧力(これらも広義には変形度が設定値になったときに含まれる)によって血圧を測定してもよい。
(設定値の設定方法及び補正方法)
設定値は、血圧が測定される血管103の変形度を図3(a)の状態において計測し、この変形度に対して所定の演算を施して設定するなど、図3(a)の状態等を基準として、特定の被検体及び/又は特定の血管103毎に設定されてもよいし、被検体及び血管によらずに一律に設定されてもよい。
設定値は、血圧が測定される血管103の変形度を図3(a)の状態において計測し、この変形度に対して所定の演算を施して設定するなど、図3(a)の状態等を基準として、特定の被検体及び/又は特定の血管103毎に設定されてもよいし、被検体及び血管によらずに一律に設定されてもよい。
設定値が特定の被検体及び/又は特定の血管103毎に設定される場合、皮膚の硬さ及び/又は血管の硬さに基づいて設定値を設定(補正)してもよい。例えば、皮膚及び/又は血管が硬いほど、プローブ3の押圧力に対する血管の変形度は小さくなると考えられるから、皮膚の硬さ及び/又は血管の硬さを測定し、その測定した硬度が高いほど設定値が小さくなるように設定値を設定(補正)する。より具体的には、例えば、測定した硬度をパラメータとして含む演算式によって補正係数を求め、その補正係数を設定値の基準値に乗じたり、測定した硬度と補正係数とを対応付けた表から補正係数を求め、その補正係数を設定値の基準値に乗じたり、測定した硬度をパラメータとして含む演算式によって変形度の設定値を算出したりしてよい。
なお、設定値の補正係数等を求める演算式乃至は表は、理論的に求められてもよいし、実験に基づいて求められてよい。例えば、荷重を一定とした場合、硬さと変形量(変位量)とは概略反比例の関係にあるから、構造力学の理論式によって、硬さに基づく設定値の補正係数を算出することが可能である。大雑把な補正係数として、基準(標準)の硬さ/測定された硬さを用いることもできる。
(圧力の補正)
皮膚の硬さ及び/又は血管の硬さの影響を設定値において考慮することに代えて、プローブ3によって測定された圧力を皮膚の硬さ及び/又は血管の硬さで補正して血圧を求めてもよい。例えば、皮膚の硬さ及び/又は血管が硬いほど、プローブ3の押圧力による血管の変形度が小さくなり、その結果、変形度が所定の設定値に達したときの圧力は、本来測定されるべき血圧よりも高くなると考えられる。そこで、皮膚の硬さ及び/又は血管の硬さを測定し、その測定した硬度が高いほど、補正後の圧力が小さくなるように、プローブ3によって検出された圧力を補正する。より具体的には、例えば、測定した硬度をパラメータとして含む演算式によって補正係数を求め、その補正係数を測定された圧力に乗じたり、測定した硬度と補正係数とを対応付けた表から補正係数を求め、その補正係数を測定された圧力に乗じたりしてよい。
皮膚の硬さ及び/又は血管の硬さの影響を設定値において考慮することに代えて、プローブ3によって測定された圧力を皮膚の硬さ及び/又は血管の硬さで補正して血圧を求めてもよい。例えば、皮膚の硬さ及び/又は血管が硬いほど、プローブ3の押圧力による血管の変形度が小さくなり、その結果、変形度が所定の設定値に達したときの圧力は、本来測定されるべき血圧よりも高くなると考えられる。そこで、皮膚の硬さ及び/又は血管の硬さを測定し、その測定した硬度が高いほど、補正後の圧力が小さくなるように、プローブ3によって検出された圧力を補正する。より具体的には、例えば、測定した硬度をパラメータとして含む演算式によって補正係数を求め、その補正係数を測定された圧力に乗じたり、測定した硬度と補正係数とを対応付けた表から補正係数を求め、その補正係数を測定された圧力に乗じたりしてよい。
なお、圧力の補正係数等を求める演算式乃至は表は、理論的に求められてもよいし、実験に基づいて求められてよい。例えば、変形量を一定とした場合、硬さと荷重とは比例の関係にあるから、構造力学の理論式によって、硬さに基づく圧力の補正係数を算出することが可能である。大雑把な補正係数として、基準(標準)の硬さ/測定された硬さを用いることもできる。
(硬度の測定方法)
皮膚の硬さ及び/又は血管の硬さは、適宜な方法によって測定されてよく、その単位も適宜に設定されてよい。例えば、所定の接触面積の押圧子を皮膚に対して所定の荷重で押し込み、そのときの押圧子の変位量を測定し、その変位量自体、又は、その変位量に対して単位を変換する演算を施して得られた値を硬度としてよい。また、例えば、所定の接触面積の押圧子を皮膚に対して所定の深さまで(所定の変位量で)押し込み、そのときの押圧力を測定し、その押圧力自体、又は、その押圧力に対して単位を変換する演算を施して得られた値を硬度としてよい。なお、このような押し込み式の硬度計として、例えば、有限会社トライオール製の「透析シャント血管硬度計 NEUTONE TDM-Z1(PM)」、株式会社アクシム製の「ビーナストロン」を用いてもよい。
皮膚の硬さ及び/又は血管の硬さは、適宜な方法によって測定されてよく、その単位も適宜に設定されてよい。例えば、所定の接触面積の押圧子を皮膚に対して所定の荷重で押し込み、そのときの押圧子の変位量を測定し、その変位量自体、又は、その変位量に対して単位を変換する演算を施して得られた値を硬度としてよい。また、例えば、所定の接触面積の押圧子を皮膚に対して所定の深さまで(所定の変位量で)押し込み、そのときの押圧力を測定し、その押圧力自体、又は、その押圧力に対して単位を変換する演算を施して得られた値を硬度としてよい。なお、このような押し込み式の硬度計として、例えば、有限会社トライオール製の「透析シャント血管硬度計 NEUTONE TDM-Z1(PM)」、株式会社アクシム製の「ビーナストロン」を用いてもよい。
図1では、診断装置1が皮膚及び/又は血管の硬さを計測する硬度計35を有している場合の装置構成を示している。硬度計35の計測結果は、例えば、演算部21に入力され、演算部21は、上述した設定値の設定(補正)又は圧力の補正を行う。
図4は、診断装置1が実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
ステップST1では、診断装置1は、振動子13による超音波の送受信を開始する。ステップST2では、診断装置1(演算部21)は、受信した超音波(エコー)に基づく画像データ(例えばBモードの画像データ)の生成を開始する。
その後、特に図示しないが、所定のフレームレートで超音波の送受信及び画像データの生成が繰り返される。なお、フレームレートは、適宜に設定されてよい。ただし、動脈の変形度を心臓の収縮期と拡張期とで区別して求めるような場合においては、フレームレートは、1fpsよりも大きいことが好ましく、例えば、20fps以上であることが好ましい。
ステップST3では、診断装置1(演算部21)は、生成した画像データに基づいて血管の変形度を算出する。なお、変形度の算出のために、画像データに基づいて血管の径が測定される。超音波診断装置によって血管の径を計測する技術は公知であり、本実施形態の診断装置1においても適宜に公知の技術が適用されてよい。例えば、演算部21は、Bモードの画像の輝度分布に基づいて公知の形状抽出処理によって血管壁の検出を行い、血管壁間の画素数に基づいて血管壁間の距離を接触面3aが面する方向及び当該方向に直交する方向において求める。
ステップST4では、演算部21は、算出した変形度が予め設定された設定値と同一か否か(より厳密には変形度と設定値との差が所定の範囲内か否か)を判定する。設定値と同一でないと判断した場合は、ステップST3に戻り、設定値と同一であると判断した場合は、ステップST5に進む。なお、ステップST3及びST4の繰り返しは、例えば、超音波画像のフレームレートと同一のレートで行われる。
ステップST5では、診断装置1(演算部21)は、圧力センサ15の検出圧力を血圧として取得する(例えば所定の記憶領域に格納する)。なお、圧力センサ15は、ステップST5のみにおいて駆動信号が入力されて検出信号を出力してもよいし、予め所定の周期で検出信号を出力していてもよい。所定の周期は、例えば、超音波画像のフレームレートに相当する周期、又は、当該周期よりも短い周期である。なお、圧力センサ15の検出圧力を所定の時間長さに亘ってバッファに記憶しておき、エコーを受信してから画像データが生成されるまでの時間差を考慮した検出圧力の補正がなされてもよい。
ステップST6では、診断装置1(演算部21)は、硬度計35によって計測された皮膚及び/又は血管の硬さに基づいて、ステップST5で取得された圧力を補正する。なお、硬度計35による硬度の測定は、例えば、ステップST1の前に、プローブ3を当接させる部位に硬度計35を当接させることにより行われる。ステップST1の前に代えて、ステップST5の後に、硬度の測定を行うことも可能である。
なお、ステップST6は、必要に応じて行われるようにしてもよい。また、図4のフローチャートでは、硬度に基づいて圧力を補正する場合を例示したが、圧力の補正に代えて、硬度に基づいてステップST4で利用される設定値を設定(補正)してもよい。
ステップST7では、診断装置1は、取得した血圧の値を表示装置9に表示させ、及び/又は、プリンタに出力させる。
図5は、診断装置1の図4とは異なる動作の一例を説明するための模式図である。
この動作例では、診断装置1は、ステップST3〜ST7を実行せず、ステップST1及びST2で得られた超音波画像(例えばBモードの画像)をリアルタイムで表示装置9の画面9aに表示する。また、診断装置1は、超音波画像に加えて、圧力センサ15の検出圧力をリアルタイムで表示装置9の画面9aに表示する。
従って、診断装置1のユーザ(医者や技師等)は、プローブ3を被検体の体表面101に押し付けながら画面9aを見て血管103の変形度が所定の大きさになったか否か判断し、なったと判断したときに画面9aに表示されている検出圧力を血圧として取得することができる。
なお、超音波画像のリアルタイム表示は、例えば、超音波に基づく画像データが生成される毎に逐次に表示装置9の画面9aにおける表示内容を更新する表示態様をいう。別の観点では、超音波画像のフレームレートと同一のレートで画面9aの表示内容が更新され、また、画像データを生成してからその画像データの表示までの時間遅れが比較的短い(例えば超音波画像のフレームレートに相当する周期未満)である表示態様をいう。
また、検出圧力のリアルタイム表示は、例えば、超音波画像と同様に、圧力が検出される毎に逐次に表示内容を更新する態様である。ただし、圧力センサ15の検出周期が表示装置9のフレームレートに相当する周期よりも短い場合は、検出圧力は、適宜に間引いて若しくは平均化されて表示される。また、検出圧力のリアルタイム表示は、例えば、圧力センサ15の検出信号の周期よりも長いが超音波画像のフレームレートに相当する周期以下の周期で表示内容が更新され、検出圧力を得てからその検出圧力の表示までの時間遅れが比較的短い(例えば超音波画像のフレームレートに相当する周期未満)である表示態様であってもよい。
なお、この動作例において、診断装置1は、ステップST3の変形度の算出を実行し、超音波画像及び圧力の値を示す画像に加えて、補助的に変形度を示す画像を画面9aにリアルタイムで表示してもよい。
以上のとおり、本実施形態では、診断装置1は、体表面101に接触される接触面3aを介して超音波信号を送受信可能な振動子13、及び、体表面101から接触面3aが受ける圧力を検出可能な圧力センサ15を含むプローブ3を有している。
従って、図3を参照して説明したように、プローブ3を体表面に押し付けるだけで、特定の血管に対する特定の方向における圧力の付与、超音波の送受信に基づく血管の情報の取得、及び、血管に付与した圧力の計測を行うことができる。従って、簡便に、超音波を利用した血圧測定が可能となる。
また、例えば、カフを上下肢に巻くのではなく、プローブ3を体表面に押し付けて血管に圧力を付与することから、血管に対して局所的に圧力を付与して血圧を測定することができる。その結果、例えば、測定対象の血管は、長い区域の動脈に限定されなくなり、静脈、毛細血管及び短い区域の動脈における血圧測定も可能となる。より具体的には、例えば、現在の超音波診断装置のプローブの大きさから考えて、例えば、長さ15mm以下(例えば長さ10mm程度)の区域の血管(動脈、静脈及び毛細血管)の血圧測定も可能となる。また、例えば、血管103の局所的な異常によって血圧測定の精度が低下するおそれが低減される。また、例えば、血管103の局所的な異常の有無及びその部位を特定することが容易化される。より具体的には、例えば、長い血管を複数の短い区域に分割し、短い区域について順に血圧を測定することによって、異常な箇所を見つけることができる。
また、例えば、カフによって全方位から血管に圧力が付与されるのではなく、体表面側から血管側への特定の方向に圧力が付与されることから、血管が変形しやすい。その結果、図3を参照して説明したような、血管の変形度に基づく新たな原理の血圧測定方法が可能となる。コロトコフ法のように、血管の変形による血流の流れの変化に基づいて血圧を測定するのではなく、血管の変形自体に基づいて血圧を測定することから、測定精度が向上することも期待される。
診断装置1の用途を血圧測定に限って診断装置1の作用効果を述べたが、診断装置1は、血圧測定以外の用途にも顕著な効果を奏する。例えば、超音波診断装置のプローブを体表面に押し付ける圧力は、得られる超音波画像の画質に影響する。従って、超音波診断装置のユーザの研修に本実施形態の診断装置1を用いることができる。
また、本実施形態では、診断装置1は、例えば、表示装置9と、振動子13の受信した超音波信号に基づく画像及び圧力センサ15の検出した圧力をリアルタイムに表示装置9に表示させる演算部21とを更に有している。
従って、例えば、図5を参照して説明したように、診断装置1のユーザが血管の変形度を判断する態様によって、本実施形態の新たな原理の血圧測定方法を実現することができる。この態様においては、演算部21は、超音波画像及び圧力を表示するだけであり、従来に比較して新たな処理は不要であることから、診断装置1の構成は、複雑な機構を有さない。また、例えば、超音波画像と圧力とをリアルタイムで把握できることから、上述した超音波診断装置のユーザの研修にも好適である。
また、本実施形態では、診断装置1は、例えば、表示装置9と、振動子13の受信した超音波信号に基づいて体表面の内側の血管の変形度を算出し、算出した血管の変形度が所定の大きさか否かを判定し、所定の大きさと判定したときの圧力センサ15の検出した圧力を表示装置9に表示させる演算部21と、を更に有している。
従って、例えば、図4を参照して説明したように、診断装置1の演算部21が血管の変形度を判断する態様によって、本実施形態の新たな原理の血圧測定方法を実現することができる。この態様においては、演算部21が所定のアルゴリズムに従って血管の変形度を判断することから、診断装置1のユーザの熟練度によって血圧の測定結果にばらつきが生じるおそれが低減される。
また、本実施形態では、血圧測定方法は、接触面3aを介して超音波信号を送受信可能な振動子13、及び、接触面3aが受ける圧力を検出可能な圧力センサ15を含むプローブ3の接触面3aを体表面に押し付ける加圧ステップ(例えば図3参照)と、振動子13の受信した超音波信号に基づいて体表面の内側に位置する血管の断面形状を取得する超音波診断ステップ(ステップST1及びST2)と、取得した情報が所定の条件を満たしたときに圧力センサ15が検出した圧力によって前記の血管の血圧を測定する圧力取得ステップ(例えばステップS5)と、を有している。
従って、診断装置1の効果の説明において述べたように、静脈、毛細血管及び短い区域の動脈における血圧測定が可能となる効果、血管103の局所的な異常によって血圧測定の精度が低下するおそれが低減される効果等の種々の効果が奏される。
<第2の実施形態>
図6は、本発明の第2の実施形態に係る診断装置201の全体構成を示すブロック図である。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る診断装置201の全体構成を示すブロック図である。
第1の実施形態の診断装置1では、プローブ3は、体表面に圧力を付与する加圧手段を兼ねるとともに、体表面に付与した圧力を検出する圧力センサを兼ねた。一方、第2の実施形態の診断装置201は、第1の実施形態と同様に、超音波の送受信によって得られる血管の変形度に基づいて血圧を測定する血圧測定方法を実現可能であるが、プローブ3は、体表面への手からの押圧力による加圧手段、及び、圧力センサを兼ねていない。具体的には、以下のとおりである。
診断装置201は、例えば、従来の超音波診断装置と同一の構成の超音波診断装置202と、従来の血圧測定装置と同一の血圧測定装置250とを有しているものである。なお、超音波診断装置202と血圧測定装置250とは、電気的に接続されていなくてもよく、また、構造的にも連結されていなくてもよい。診断装置201は、システムとして捉えられてもよい。
超音波診断装置202の構成は、(上述の血圧測定装置250が設けられていることから)プローブ203が圧力センサを有していない点、演算部221、表示処理部223及び制御部225が圧力センサに係る処理を実行しない点を除いて、第1の実施形態の診断装置1の構成と同様である。そして、超音波診断装置202は、所定のフレームレートで得られた超音波画像をリアルタイムに表示可能である。
血圧測定装置250は、例えば、被検体の体表面を加圧する加圧部251と、加圧部251が体表面に付与している圧力を検出する圧力センサ253と、圧力センサ253からの検出信号に基づいて画像データの生成等を行う演算部255と、演算部255からの画像データに応じた信号を出力する表示処理部257と、表示処理部257からの信号に応じた画像を表示する表示装置259と、ユーザの操作を受け付ける入力装置283と、入力装置283からの信号に基づいて各部を制御する制御部281とを有している。
上記の各部は、公知の構成と同様とされてよい。例えば、加圧部251は、被検体の上下肢に巻かれるカフを含んで構成されてよい。カフ内の増圧又は減圧は、手動(人力)で行われてもよいし、自動的に(電動機等の駆動力によって)行われてもよい。圧力センサ253は、例えば、カフの空気圧を測定する。演算部255及び表示処理部257は、圧力センサ253によって検出された圧力をリアルタイムで表示装置259に表示させる。
なお、カフは、概ね、上下肢を全方位から均等に加圧するが、体表面の近傍の血管については、全方位から均等に加圧されるわけではないので、プローブを体表面に押し付けた場合と同様に、変形が生じる。
このような構成の診断装置201によっても、図5を参照して説明した血圧測定方法と同様に、ユーザが超音波診断装置202の表示装置9を見て血管の変形度を判断し、変形度が所定の大きさになったと判断したときに血圧測定装置250の表示装置259に表示される圧力を血圧とみなすことにより、血圧を測定することができる。
なお、従来の超音波診断装置202と従来の血圧測定装置250とを単純に組み合わせ、ユーザが超音波診断装置202の表示装置9を見て血管の変形度を判断する態様について説明したが、血圧測定装置250の演算部255から超音波診断装置202の演算部221に圧力センサ253の検出値を入力し、第1の実施形態と同様に、演算部221が(自動的に)変形度を判断してもよい。また、図6では硬度計35を図示していないが、第1の実施形態と同様に、硬度計35が設けられ、変形度の設定値の設定(補正)又は検出した圧力の補正がなされてもよい。
<第3の実施形態>
図7は、第3の実施形態に係る診断装置301の全体構成を示すブロック図である。
図7は、第3の実施形態に係る診断装置301の全体構成を示すブロック図である。
第1の実施形態では、人力によってプローブ3を体表面に押し付けた。これに対して、第3の実施形態では、押圧駆動部351が自動的にプローブ3を体表面に押し付ける。
押圧駆動部351の構成は適宜な構成とされてよく、その駆動源は、例えば、モータ(電動機)であってもよいし、空圧装置であってもよい。また、押圧駆動部351として、例えば、X線透視診断装置における、胃などを圧迫するための圧迫装置を利用することができる。すなわち、圧迫装置の体表面に押し付けられる圧迫子に代えてプローブ3を設けたり、適宜なアタッチメントを介して圧迫子にプローブ3を取り付けたりしてよい。もちろん、専用のロボット等が開発されてもよい。
押圧駆動部351は、例えば、制御部25によって制御される。制御部25は、押圧駆動部351に発揮させる駆動力(押圧力)の大きさを予め記憶していてもよいし、入力装置7等を介して随時受け付けてもよい。また、制御部25は、押圧駆動部351の駆動力が所定の大きさになるように、圧力センサ15の検出値に基づいて押圧駆動部351をフィードバック制御してもよい。
このような構成の診断装置301によっても、第1の実施形態と同様に、血管の変形度に基づいて血圧を測定することができる。また、プローブ3の体表面への押圧を装置によって行うことができることから、ユーザの負担が軽減される。
<第4の実施形態>
図8は、第4の実施形態に係る診断装置401の全体構成を示すブロック図である。
図8は、第4の実施形態に係る診断装置401の全体構成を示すブロック図である。
第1の実施形態では、診断装置1は、血管の変形度が所定の大きさであるときの圧力センサ15の検出圧力を血圧として取得した。「変形度の定義の例」において触れたように、変形度は、血管の径によってではなく、面積によって定義されてもよい。本実施形態の診断装置401は、変形度の一種としての面積比に着目した構成とされている。具体的には、以下のとおりである。
図3等を参照して説明したように、手の力を利用して体表面101にプローブ3を押しつけると、体表面101下の血管103は潰れるように変形する。この際、血管103の径だけでなく、血管103の断面積も変化する。一般には、このように押圧によって変形した後の断面積は、変形前の断面積に対して小さくなる。そこで、変形前後の面積比が所定の設定値に到達したときの圧力センサ15の検出圧力を血圧として取得することにより、第1の実施形態と同様に、好適に血圧を測定することができる。
面積比は、適宜に定義されてよいが、例えば、変形が進むほど値が大きくなるように、(変形前の断面積−変形後の断面積)/変形前の断面積によって定義される。面積比が1から小さくなるように、変形後の断面積/変形前の断面積とされてもよい。具体的な測定方法は、第1の実施形態と同様でよい。例えば、第1の実施形態の概略全体の説明について、「変形度」を「面積比」と読み替えてよい。
面積比は、例えば、演算部21の面積比算出部21bによって算出される。面積比算出部21bは、プローブ3の受信した超音波に基づく画像データに基づいて、変形前後の血管の断面積を測定する。断面積を測定する技術は公知であり、本実施形態の面積比算出部21bにおいても適宜に公知の技術が適用されてよい。例えば、面積比算出部21bは、Bモードの画像の輝度分布に基づいて公知の形状抽出処理によって血管壁の検出を行い、血管壁内の画素数に基づいて血管壁内の面積を求める。
<第5の実施形態>
特に図示しないが、第3の実施形態と第4の実施形態とは組み合わされてよい。すなわち、押圧駆動部351によって自動的にプローブ3が体表面に押し付けられ、血管の面積比に基づいて血圧が測定されてよい。
特に図示しないが、第3の実施形態と第4の実施形態とは組み合わされてよい。すなわち、押圧駆動部351によって自動的にプローブ3が体表面に押し付けられ、血管の面積比に基づいて血圧が測定されてよい。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
圧力センサを含むプローブを用いて血圧を測定する方法は、血管の変形度に基づくものに限定されない。例えば、Dモードの画像に基づいて、血流(赤血球の流れ)の情報(速度及び/又は向き)を取得し、血流が所定の状態になったときの圧力センサによって検出された圧力によって血圧を測定してもよい。この場合であっても、例えば、簡便に体表面の加圧、超音波画像の取得及び圧力検出がなされる。また、例えば、静脈、毛細血管及び短い動脈における血圧測定も可能である。また、例えば、血管の局所的な異常によって血圧測定の精度が低下するおそれも低減される
なお、毛細血管に関しては、バイパス血流があることから、血圧は、例えば、体表面に対する加圧力を大きくしていく過程で血流が停止したとき、又は、体表面に対する加圧力を弱めていく過程で血流が流れだしたときの圧力センサの圧力によって測定できる。血流が停止したときに体表面に加えた加圧力からその加圧力の数%(この%値については適宜に設定されてよい)を差し引き、その加圧力を血圧としてもよい。
このように、本発明は、血管の断面形状の情報(一例として変形度)及び血流情報の少なくともいずれかを含む断層情報に基づいて血圧の測定がなされてよい。なお、これらの情報が得られれば、必ずしも断層画像の形成乃至は表示は必要ない。
設定値の補正又は圧力の補正は、実施形態に例示した体表面又は血管の硬度に基づくものに限定されない。例えば、プローブの接触面が体表面に付与する圧力と、実際に血管に付与される圧力との差を考慮して、圧力センサの検出した圧力に補正係数を乗じた及び/又は補正定数を加減した値を血圧とみなしてよい。また、血管の変形度に基づく血圧測定は、変形度が所定の大きさになったときの圧力センサの圧力を血圧とみなすのではなく、所定の圧力を体表面に付与し、このときの変形度に基づいて血圧を算出してもよい。
血管の変形度に基づく血圧測定方法においては、図6を参照して説明したように、圧力センサを含むプローブは必須の要件ではない。すなわち、体表面への押圧力を測定する手段は、プローブとは別個に設けられてよい。
プローブに圧力センサが設けられる場合において、圧力センサは、プローブと体表面との間のゲルがダイヤフラムに接することによってその圧力を検出するものに限定されない。例えば、圧力センサは、音響レンズと体表面との間に音響レンズの面積に比較して小さな面積の袋を有し、その袋内の空気の圧力をダイヤフラム式の変形によって検出するものであってもよい。また、例えば、プローブの体表面に対する接触面積を一定にして使用することを前提とすれば、荷重を計測するロードセルをプローブの根元側に設け、ロードセルが検出した荷重を接触面積で割って圧力を算出するようにしてもよい(この場合、圧力センサは、ロードセル及びその検出結果に基づく演算を行う部分により構成される。)。また、例えば、第3の実施形態の押圧駆動部のようにプローブを押し付ける装置を設ける場合においては、当該装置においてプローブに付与する力が取得されてよい。この場合、圧力センサではなく、モータの負荷から荷重が算出されたりしてもよい。
また、プローブに圧力センサが設けられない場合において、体表面を加圧する加圧部及びその圧力を検出する圧力センサの構成は、従来の構成に限定されない。例えば、第1の実施形態のプローブ3又は上記の圧力センサを有するプローブからプローブの機能を無くしたような、圧力センサを有し、局所的に体表面を一方向に押す部材が構成されてもよい。そして、このような部材によって、プローブ近傍の体表面が加圧されてよい。
プローブは、電子式の走査を行うものに限定されず、機械式の走査を行うものであってもよい。例えば、プローブは、体表面に接触されるカバーと、その内側にて移動される音響レンズ付きの振動子と、カバーの表面に設けられた圧力センサとを有するものであってもよい。
診断装置を構成する機器は、適宜に統合又は分離されてよい。また、実施形態において示した機器の一部は適宜に省略されたり、他の機器が追加されたりしてもよい。
本発明に係る圧力センサを含むプローブを有する診断装置は、血管の変形度に基づく新たな原理の血圧測定方法に好適に利用可能である。しかし、この診断装置は、血流や血管形態の診断等に有用であり、また、既に述べたように、超音波診断装置の研修に利用可能である。すなわち、この診断装置は、血圧測定以外の用途でも顕著な効果を奏する。従って、この診断装置は、血圧測定に必要な構成乃至は動作を必須の要件としない。
1…診断装置(皮下診断装置)、3…プローブ、3a…接触面、13…振動子、15…圧力センサ。
Claims (5)
- 体表面に接触される接触面を介して超音波信号を送受信可能な振動子と、前記体表面から前記接触面が受ける圧力を検出可能な圧力センサと、を備えたプローブと、
表示装置と、
前記振動子の受信した超音波信号に基づいて前記体表面の内側の血管の変形度を算出し、算出した血管の変形度が所定の大きさか否かを判定し、所定の大きさと判定したときの前記圧力センサの検出した圧力を前記表示装置に表示させる演算部と、
を有したことを特徴とする皮下診断装置。 - 体表面又は血管の硬さを測定する硬度計を更に備え、
前記演算部は、前記硬度計の測定した硬さに基づいて、前記所定の大きさを補正し、又は、前記圧力センサの検出した圧力を補正して前記表示装置に表示させる
請求項1に記載の皮下診断装置。 - 接触面を介して超音波信号を送受信可能な振動子、及び、前記接触面が受ける圧力を検出可能な圧力センサを含むプローブの前記接触面を体表面に押し付ける加圧ステップと、
前記振動子の受信した超音波信号に基づいて前記体表面の内側に位置する血管の断面形状の情報を含む断層情報を取得する超音波情報取得ステップと、
取得した前記断層情報が所定の条件を満たしたときに前記圧力センサが検出した圧力によって前記血管の血圧を測定する圧力取得ステップと、
を有し、
前記圧力取得ステップでは、前記血管の変形度が所定の大きさになったときに前記圧力センサが検出した圧力によって血圧を測定する
血圧測定方法。 - 前記圧力取得ステップでは、前記血管としての、長さ15mm以下の区域の動脈、静脈又は毛細血管における血圧を測定する
請求項3に記載の血圧測定方法。 - 体表面を加圧する加圧ステップと、
超音波の送受信によって、加圧されている体表面の内側に位置する血管の断面形状の情報を取得する超音波情報取得ステップと、
取得した前記情報に基づいて、前記血管の変形度が所定の大きさになったときに前記体表面に加えられている圧力によって前記血管の血圧を測定する圧力取得ステップと、
を有する血圧測定方法。
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