JP5701193B2 - Cvt用リング部材の製造方法およびcvt用リング部材ならびにcvtベルト - Google Patents
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上記脱炭工程を経たリング部材の周長を調整する周長調整工程と、
上記周長調整工程を経たリング部材の表面を窒化処理する窒化工程とを少なくとも有しており、
上記窒化処理された後のリング部材におけるリング幅方向略中央のリング表面から内方に向かう深さであって、上記素材としてのリング部材のC含有量−0.02%のCを含有する深さを脱炭深さdcとするとともに、上記窒化処理された後のリング部材の厚みをdrとした場合、
上記脱炭処理は、上記dc/上記drが0.03〜0.23の範囲内となるように施されることを特徴とするCVT用リング部材の製造方法にある。
ショットピーニング処理が施されることなく窒化処理によって硬化された表面硬化層と、該表面硬化層よりも内部に位置するマトリックス層とを有し、
上記マトリックス層の化学成分は、質量%で、C:0.3〜0.5%、Si:0.5%以下、Mn:0.8%以下、Ni:4.0%以下、Cr:1.0〜4.0%、Mo:0.5〜1.5%、V:0.1〜1.0%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなり、
上記表面硬化層は、その表面から内方に上記マトリックス層の化学成分におけるC含有量よりも炭素濃度が低くされた部分を含んでおり、
少なくともリング外側表面の圧縮残留応力が1100MPa以上であることを特徴とするCVT用リング部材にある。
Cは、強度及び靱性を確保するために必要な元素である。さらには、脱炭処理によって、脱炭処理されない内部と脱炭処理される表層とにおけるC含有量に差を設けやすいことが望ましい。そのため、C含有量の下限値は0.3%とする。一方、過度にCを含有すると粗大炭化物が生成して延性及び靱性が低下しやすくなる。また、薄鋼板から素材としてのリング部材を接合によりリング成形する場合に溶接性を確保し難くなる。そのため、C含有量の上限値は0.5%とする。C含有量の上限値は、好ましくは、0.45%、より好ましくは0.40%である。
Siは、溶製時の脱酸剤として有効な元素である。但し、Si含有量が多すぎると延性が著しく低下するため、その上限値を0.5%とする。
Mnは、溶製時の脱酸剤として有効な元素である。但し、Mn含有量が多すぎると延性が低下するため、その上限値を0.8%とする。
Niは、焼入れ性向上に有効な元素である。また、炭化物の生成抑制にも有効であり、粒界炭化物の低減による強度、靱性の向上に寄与しうる元素である。但し、Niを過度に含有しても効果は飽和し、また、高価な元素でありコストアップを招くため、Ni含有量の上限値を4.0%とする。Ni含有量の上限値は、好ましくは、2.0%、より好ましくは、1.0%である。
Crは、焼入れ性向上に有効であり、また、窒化処理による表面硬化層の硬度向上に有効である。その効果を得るため、Cr含有量の下限値は1.0%とする。一方、Crを過度に含有すると炭化物安定効果により炭化物の成長を助長して強度低下を招き、後述する脱炭深さdcの制御が困難となるため、Cr含有量の上限値を4.0%とする。Cr含有量の上限値は、好ましくは、3.5%である。
Moは、延性を損なうことなく強度、靱性を向上させるのに有効な元素である。その効果を得るため、Mo含有量の下限値は0.5%とする。一方、Mo含有量が多くなりすぎてもその効果が飽和し、コストアップを招く。また、脱炭処理時の温度域において炭化物が安定に存在しやすく、後述する脱炭深さdcの制御が困難となるため、Mo含有量の上限値は1.5%とする。
Vは、ピン止め効果による結晶粒径の微細化や、焼戻し軟化抵抗性の向上により強度、靱性を向上させるのに有効な元素である。その効果を得るため、V含有量の下限値は0.1%とする。一方、V含有量が多くなりすぎてもその効果が飽和し、また、粗大な炭化物を生成して強度、靱性を低下させるおそれがある。さらに、後述する脱炭深さdcの制御が困難となるため、V含有量の上限値は1.0%とする。V含有量の上限値は、好ましくは、0.5%である。
上記不可避的不純物としては、少なくとも、S:0.05%以下、P:0.05%以下、N:0.02%以下、O:0.01%以下、Al:0.01%以下、Ti:0.02%以下に制限することが好ましい。以下に、各成分範囲の限定理由について説明する。
Sの含有量を0.05%以下に制限した場合には、鋼中のMnSを抑制でき、リング部材の強度向上に寄与しやすくなる。S含有量の上限値は、好ましくは、0.03%、より好ましくは0.01%である。
Pの含有量を0.05%以下に制限した場合には、Pの粒界偏析を抑制でき、粒界強度の向上によるリング部材の靱性向上に寄与しやすくなる。P含有量の上限値は、好ましくは、0.03%、より好ましくは、0.01%である。
Nの含有量を0.02%以下に制限した場合には、鋼中に少量存在する可能性があるAl、Tiと結合して生成される窒化物を低減することができ、疲労強度向上に寄与しやすくなる。N含有量の上限値は、好ましくは、0.01%である。
Oの含有量を0.01%以下に制限した場合には、Al2O3等の酸化物系介在物の粗大化を抑制しやすくなる。そのため、疲労破壊の起点を低減しやすくなり、CVT用リング部材の疲労強度向上に寄与しやすくなる。O含有量の上限値は、好ましくは、0.005%、より好ましくは、0.001%である。
Alは脱酸に効果があるため、0.01%以下の範囲で含有させることができる。Alの含有量を0.01%以下に制限した場合には、鋼中に存在するAlの酸化物系介在物および窒化物系介在物の量を低減しやすくなり、CVT用リング部材の疲労強度向上に寄与しやすくなる。Al含有量の上限値は、好ましくは、0.005%である。
Tiの含有量を0.02%以下に制限した場合には、Alと同様にTiの酸化物系介在物および窒化物系介在物の量を低減しやすくなり、CVT用リング部材の疲労強度向上に寄与しやすくなる。Ti含有量の上限値は、好ましくは、0.01%、より好ましくは、0.005%である。
表1に示す各化学成分組成を有する鋼塊を30kgVIM溶解炉にて溶解して作製した。次いで、鋼塊を表面研削する皮削り工程を経た後、熱間圧延によって厚鋼板に成形し、その後、冷間圧延によって薄鋼板(板厚0.4mm)に成形した。次いで、薄鋼板を管状に成形して溶接した後に溶接部の内部組織の均一化を図るために焼鈍処理し、所定のリング幅となるように切断したものをリング圧延し、素材としてのリング部材を準備した。なお、上記溶接は、プラズマ溶接により行った。
実験例2は、基本的に、実験例1における試料1のCVT用リング部材の製造と同様にして各種リング部材の製造を行ったものである。但し、実験例2は、周長調整時におけるリング外側表面およびリング内側表面に生じさせる塑性変形の状態が種々変化するように周長調整を行った点で、実験例1と異なっている。
1a 表面硬化層
1b マトリックス層
2a、2b CVTベルト
3 エレメント
4a、4b ローラ
Claims (7)
- 薄い構造用鋼板からリング状に形成された素材としてのリング部材の表面を脱炭処理する脱炭工程と、
上記脱炭工程を経たリング部材の周長を調整する周長調整工程と、
上記周長調整工程を経たリング部材の表面を窒化処理する窒化工程とを少なくとも有しており、
上記窒化処理された後のリング部材におけるリング幅方向略中央のリング表面から内方に向かう深さであって、上記素材としてのリング部材のC含有量−0.02%のCを含有する深さを脱炭深さdcとするとともに、上記窒化処理された後のリング部材の厚みをdrとした場合、
上記脱炭処理は、上記dc/上記drが0.03〜0.23の範囲内となるように施されることを特徴とするCVT用リング部材の製造方法。 - 請求項1に記載のCVT用リング部材の製造方法において、
上記素材としてのリング部材の化学成分が、質量%で、C:0.3〜0.5%、Si:0.5%以下、Mn:0.8%以下、Ni:4.0%以下、Cr:1.0〜4.0%、Mo:0.5〜1.5%、V:0.1〜1.0%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなることを特徴とするCVT用リング部材の製造方法。 - 請求項1または2に記載のCVT用リング部材の製造方法において、
上記周長調整工程は、上記脱炭処理を経たリング部材を複数のローラの外周に掛け渡し、上記ローラ間を拡げる方向に張力をかけながら上記リング部材を回転させることにより、上記リング部材を周長調整する手順を含み、
上記周長調整は、上記リング部材の上記ローラに接しない部位において、リング外側表面およびリング内側表面に引張による塑性変形が生じるように行われることを特徴とするCVT用リング部材の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のCVT用リング部材の製造方法において、
上記周長調整工程は、上記脱炭処理を経たリング部材を複数のローラの外周に掛け渡し、上記ローラ間を拡げる方向に張力をかけながら上記リング部材を回転させることにより、上記リング部材を周長調整する手順を含み、
上記周長調整は、(周長調整前における上記リング部材のリング厚み)/(上記ローラのローラ直径)が7.0×10−3未満の条件で行われることを特徴とするCVT用リング部材の製造方法。 - 請求項2に記載のCVT用リング部材の製造方法において、
上記リング部材の化学成分における不可避的不純物が、少なくとも、S:0.05%以下、P:0.05%以下、N:0.02%以下、O:0.01%以下、Al:0.01%以下、Ti:0.02%以下に制限されていることを特徴とするCVT用リング部材の製造方法。 - 薄い構造用鋼板から形成されたリング部材であって、
ショットピーニング処理が施されることなく窒化処理によって硬化された表面硬化層と、該表面硬化層よりも内部に位置するマトリックス層とを有し、
上記マトリックス層の化学成分は、質量%で、C:0.3〜0.5%、Si:0.5%以下、Mn:0.8%以下、Ni:4.0%以下、Cr:1.0〜4.0%、Mo:0.5〜1.5%、V:0.1〜1.0%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなり、
上記表面硬化層は、その表面から内方に上記マトリックス層の化学成分におけるC含有量よりも炭素濃度が低くされた部分を含んでおり、
少なくともリング外側表面の圧縮残留応力が1100MPa以上であることを特徴とするCVT用リング部材。 - 請求項6に記載のCVT用リング部材が複数積層されて形成されていることを特徴とするCVTベルト。
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