JP5700846B2 - 内燃機関 - Google Patents

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Description

本発明は、ピストンとシリンダとのいずれか一方に、無電解ニッケル皮膜を有することによって、耐摩耗性を強化した内燃機関に関する。
近年、内燃機関の軽量化のために、アルミニウム合金製ピストンとアルミニウム合金製シリンダとの組み合わせが、採用されるようになってきた。ピストンの摺動面(外周面)と、該ピストンが摺動するシリンダの摺動面(内周面)と、の間にはフリクションが発生するので、各摺動面が摩耗する。各摺動面が摩耗することにより、焼き付き等の問題が発生し得る。特に、アルミニウム合金同士では摩耗が激しい。各摺動面の摩耗を低減するとともに焼き付き現象を防止するには、耐摩耗性に優れた個体潤滑剤を摺動面に塗布する方法がある。
内燃機関は種々の負荷に使用されており、例えば汎用エンジンとして各種の作業機に搭載される。作業機のなかには、耕耘機のように粉塵雰囲気で使用されるものもある。この場合に、汎用エンジンは、粉塵雰囲気で使用されるなど、非常に厳しい環境下で使用され得る。しかも、汎用エンジンには、低コスト化を図るためにオイルフィルタを省略するものもある。単にピストンの摺動面に固体潤滑剤を塗布したのでは、外部からエンジンオイルに混入した異物によって、摺動面に摩耗が生じない配慮が必要となる。
これに対し、摺動部分に無電解ニッケルめっきを施す技術が、特許文献1及び特許文献2で知られている。特許文献1で知られている技術は、ピストンのなかの、ピストンリング嵌合用の溝に無電解ニッケルめっき(Ni−P−Bめっき)を施している。特許文献1の無電解ニッケルめっき皮膜は、リンを0.5〜3重量%、ホウ素を0.05〜2重量%含有し、残りがニッケルである。また、特許文献2で知られている技術は、機械の摺動部分に無電解ニッケルめっき(Ni−P−Bめっき)を施している。特許文献2の無電解ニッケルめっき皮膜は、リンを1.0〜2.0重量%、ホウ素を0.05〜1.0重量%含有し、残りがニッケルである。特許文献1及び特許文献2で知られている無電解ニッケルめっき皮膜は、皮膜自身にある程度の硬さを有し、耐摩耗性に優れている。
無電解ニッケルめっき皮膜の成分中にホウ素を含有させるためには、めっき処理液に還元剤のジメチルアミンボラン(DMAB)を用いる必要がある。しかし、めっき処理液の温度が80〜90℃になると、DMABは劣化しやすい。このDMABの劣化を抑えるためには、鉛系の安定剤を用いる必要がある。鉛成分は、微量ではあるが、無電解ニッケルめっき皮膜に含有してしまう。環境に配慮する上で、無電解ニッケルめっき皮膜には鉛成分を含有していないことが好ましい。そこで、被膜に鉛成分を含むことなく、Ni−P−B被膜と同等の耐摩耗性を有する技術の開発が望まれていた。
これに対し、ホウ素及び鉛を含有しない無電解ニッケルめっきの技術が、特許文献3で知られている。特許文献3で知られている技術は、摺動部品に無電解ニッケルめっきを施している。特許文献3の無電解ニッケルめっき皮膜は、リンを1〜4質量%、コバルトを1〜50質量%、タングステンを1〜20質量%含有し、残りがニッケルである。この無電解ニッケルめっき皮膜(Ni−P−Co−W皮膜)は、Ni−P−B皮膜に比べて硬度が高く、耐摩耗性に優れている。特に、特許文献3で知られているNi−P−Co−W皮膜は、室温から高温までの幅広い温度範囲において高硬度を有するように、つまり高温下における硬度の低下が少なくなるように、開発されたものである。このため、コバルトやタングステンの含有量が多い。
しかしながら、Ni−P−Co−W皮膜に含有しているコバルトやタングステンは、希少金属の一種なので極めて高価である。コバルトやタングステンの含有量が多いNi−P−Co−W皮膜を、そのまま内燃機関のピストンの摺動面に施したのでは、内燃機関のコストアップの要因となる。例えば、汎用エンジンに用いられるピストンの被膜の耐摩耗性は、Ni−P−B被膜と同等程度であればよい。
また、例えば、一般的な小型汎用エンジンにおいては、ピストンの外周面の最大温度は、概ね200℃である。このため、ピストンの摺動面に形成される無電解ニッケル皮膜は、25℃におけるビッカース硬さHvが600〜700程度、200℃におけるビッカース硬さがHv500〜600程度あれば、十分に使用可能である。これに対し、特許文献3の無電解ニッケル皮膜のビッカース硬さHvは、25℃において700〜900、200℃において650〜750であり、要求硬度に比べて必要以上に大きい。
このように、内燃機関のピストンやシリンダの皮膜として、特許文献3の無電解ニッケル皮膜を、そのまま採用したのでは、内燃機関のコストダウンを図る上で不利である。
特開平11−303994号公報 特開平8−158058号公報 特開2007−162069公報
本発明は、内燃機関のピストン又はシリンダの皮膜として最適であって、鉛成分を含まない安価な無電解ニッケル皮膜を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明によれば、ピストンの摺動面と、該ピストンが摺動するシリンダの摺動面と、のいずれか一方に、無電解ニッケル皮膜を有している内燃機関であって、前記無電解ニッケル皮膜は、リンを0.6〜2.8重量%、コバルトを0.5〜1.8重量%、タングステンを0.005〜0.5重量%含有し、残りがニッケルであることを特徴とする、内燃機関が提供される。
請求項1に係る発明では、0.6〜2.8重量%のリンを含有した無電解ニッケル皮膜に、極く少量のコバルトとタングステンとを含有させることによって、無電解ニッケル皮膜に優れた摩擦特性が得られる。つまり、無電解ニッケル皮膜は、摩擦抵抗が小さいので摺動性に優れるとともに、硬質である。このため、ピストンのスカートなどの摺動面や、ピン孔、リング溝などの叩かれ部に、この無電解ニッケル皮膜を施すことによって、耐摩耗性を確保することができる。
つまり、Ni−P−B被膜と同等の耐摩耗性を有する、無電解ニッケル皮膜(Ni−P−Co−W皮膜)を採用するので、内燃機関のピストン又はシリンダの皮膜として最適である。しかも、高価なコバルトやタングステンの含有率が極めて少ない無電解ニッケル皮膜を採用するので、内燃機関のコストダウンを図ることができる。さらには、無電解ニッケル皮膜に鉛成分を含まないので、環境に配慮する上で極めて好ましい。
特許文献3に示された、コバルトの含有量が比較的多い無電解ニッケル皮膜においては、高温時の硬度の低下は抑えられるものの、常温時の硬度が低下してしまう。このため、特許文献3では、タングステンを含有させることによって、常温時の硬度を確保している。これに対し、請求項1に係る発明では、無電解ニッケル皮膜に硬度の変化が現れない程度の、僅かのコバルト及び僅かのタングステンの含有量の範囲において、最適な含有率を見いだした。この結果、コバルトやタングステンの含有率を極めて少なくできるとともに、Ni−P−B被膜と同等の耐摩耗性を有する、無電解ニッケル皮膜(Ni−P−Co−W皮膜)を得ることができた。
本発明に係る内燃機関のピストンとシリンダの関係を示す断面図である。 図1に示されるピストンの要部を拡大した断面図である。 本発明に係る変形例の内燃機関のピストンとシリンダの関係を示す断面図である。 コバルトの含有量を変化させた場合の皮膜の摩擦係数の特性を示す図である。 タングステンの含有量を変化させた場合の皮膜の摩擦係数の特性を示す図である。 リンの含有量を変化させた場合の皮膜の摩擦係数の特性を示す図である。
本発明を実施するための形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1及び図2に示されるように、内燃機関10は、アルミニウム合金製のピストン11とアルミニウム合金製のシリンダ12との組み合わせの構成である。ピストン11の外周面13には複数のリング溝14〜16が形成されている。複数のリング溝14〜16には、コンプレッションリング17,18やオイルリング19が嵌められている。ピストン11の摺動面13(外周面13)は、複数のリング溝14〜16を含めて、ピストン11の外面全体に、無電解ニッケル皮膜20が形成されている。
図3は変形例の内燃機関10Aを示している。変形例の内燃機関10Aは、シリンダ12の摺動面12a(内周面12a)に無電解ニッケル皮膜20が形成されている他には、図1及び図2に示された内燃機関10と同じ構成である。
このように、ピストン11の摺動面13と、このピストン11が摺動するシリンダ12の摺動面12aと、のいずれか一方は、無電解ニッケル皮膜20を有している。
本発明者等は、0.6〜2.8重量%のリンを含有する無電解ニッケル皮膜20に、少量のコバルト及び少量のタングステンとを含有することによって、特許文献1に示されるNi−P−B被膜、つまりリンを0.5〜3重量%、ホウ素を0.05〜2重量%含有し、残りがニッケルであるNi−P−B被膜と、概ね同等の耐摩耗性を有するとともに、鉛成分を含むことなく、安価なNi−P−Co−W系の無電解ニッケル皮膜が得られることを知見した。
つまり、本発明の無電解ニッケル皮膜20は、全体を100重量%として、リンを0.6〜2.8重量%、コバルトを0.5〜1.8重量%、及びタングステンを0.005〜0.5重量%含有し、残りをニッケルとした「Ni−P−Co−W皮膜」である。
より好ましくは、本発明の無電解ニッケル皮膜20は、全体を100重量%として、リンを2.0重量%、コバルトを1.0重量%、及びタングステンを0.01重量%含有し、残りがニッケルである。
また、ピストン11の摺動面13又はシリンダ12の摺動面12aに対して、つまりアルミニウム合金製の母材に対する無電解ニッケル皮膜20の密着性を、より高めるためには、次のように下地処理を施すことが、より好ましい。この下地処理は、次の手順によって行う。
(1)先ず、リンを5.0〜10.0重量%含有しているNi−Pめっき浴(下地用のめっき浴)と、本発明のNi−P−Co−Wめっき浴と、を準備する。
(2)次に、下地用のNi−Pめっき浴によって、摺動面13又は摺動面12aにNi−Pめっき処理を施す。つまり、摺動面13又は摺動面12aにNi−P皮膜(下地層)を形成する。
(3)最後に、本発明のNi−P−Co−Wめっき浴によって、前記Ni−P皮膜(下地層)の表面にNi−P−Co−Wめっき処理を施す。2層のめっき同士の界面は混じり合うことなく、別個の状態となる。つまり、摺動面13又は摺動面12aに、Ni−P皮膜(下地層)と、Ni−P−Co−W皮膜(無電解ニッケル皮膜20)と、の2層の皮膜を形成する。
前記下地層となる無電解ニッケル皮膜は、全体を100重量%として、リンを5.0〜10.0重量%含有し、残りをニッケルとした「Ni−P皮膜」であり、母材のアルミニウム合金と、無電解ニッケル皮膜20と、の両方に対する密着性に優れている。下地層の厚さは、数μm程度あればよい。
以下、無電解ニッケル皮膜20(以下、符号を省略する)について、詳しく説明する。一般に、無電解ニッケル皮膜は、この皮膜に含まれるリンの含有量に応じて皮膜構造が変化し、その結果として皮膜の硬さも変化する。リンの含有率が2重量%程度であると、皮膜が結晶性なので、常温における皮膜のビッカース硬さHvは700程度となる。リンの含有率が4重量%以上に増加すると、皮膜が非結晶性になるので、皮膜の硬さは低下する。例えば、リンの含有率が10重量%であると、常温における皮膜のビッカース硬さHvは500程度まで低下する。
無電解ニッケル皮膜のベースとなる「めっき浴」としては、得られるめっき皮膜の硬さが「Ni−P−B」と同程度になるように、リンの含有量が2重量%程度になる系(以下、「無電解Ni−Pめっき浴」という)を選択し、この無電解Ni−Pめっき浴に金属成分を添加して皮膜を試作し、サンプルの摩擦特性を調べた。
無電解Ni−Pめっき浴の成分として添加される金属には、例えば銅(Cu)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、コバルト(Co)、タングステン(W)があり、使用目的に合わせて選択される。本発明では、ピストンとシリンダとの摺動面に施すことが目的であるから、主に皮膜の耐熱性と硬さに寄与するといわれている成分の、コバルト(Co)及びタングステン(W)に着目して、これらの成分Co,WをNi−Pめっき浴に添加した。Ni−Pめっき浴に添加する、コバルトの供給源として硫酸コバルトを用いるとともに、タングステンの供給源としてタングステン酸ナトリウムを用いた。
さらに、Ni−Pめっき浴に添加する、コバルト及びタングステンの添加量については、次のように調整した。つまり、Ni−P−B被膜は、ホウ素(B)の含有率が0.05重量%程度の少量であるにも関わらず、Ni−P被膜と比較して摩擦特性が優れている、という点に着目した。Ni−Pめっき浴に少量の上記成分Co,Wを含有するように、供給源の量を調整することによって、Ni−P−Co−Wめっき浴を生成した。このNi−P−Co−Wめっき浴を用いて、母材にNi−P−Co−W皮膜を形成した。
得られた無電解ニッケル皮膜の摩擦特性については、ボールオンディスク摩擦試験機によって、摺動距離に対する摩擦係数の変化を測定して、評価した。この結果、上記成分Co,WをNi−P浴に添加したことによる効果として、以下の知見を得た。
Ni−Pめっき浴に1.0重量%程度のCoを添加することによってNi−P−Coめっき浴を生成し、このめっき浴によって、母材にNi−P−Co皮膜を形成した場合には、ベースとなるNi−Pめっき浴を用いて、母材にNi−P皮膜を形成した場合と比較して、摩擦特性の向上は見られたが、Ni−P−B皮膜と比較して摩擦特性が若干劣る。
また、Ni−Pめっき浴に0.01重量%のWを添加することによってNi−P−Wめっき浴を生成し、このめっき浴によって、母材にNi−P−W皮膜を形成した場合には、母材にNi−P皮膜を形成した場合と比較して、摩擦特性の向上は見られたが、Ni−P−B皮膜と比較して摩擦特性が若干劣る。
しかし、Ni−Pめっき浴に、1.0重量%程度のCoと0.01重量%程度のWとの、両方を添加することによってNi−P−Co−Wめっき浴を生成し、このめっき浴によって、母材にNi−P−Co−W皮膜を形成した場合には、母材にNi−P皮膜やNi−P−B皮膜を形成した場合と比較して、摩擦特性が向上するという新しい知見が得られた。
そこで、Niに対してPを2.0重量%、Coを1.0重量%、Wを0.01重量%含有している場合を基準として、PとCoとWとの各含有率を変えていったところ、Pの含有率が0.6〜2.8重量%、Coの含有率が0.5〜1.8重量%、Wの含有率が0.005〜0.5重量%、の範囲において、Ni−P−B皮膜と同等以上の摩擦特性を有するNi−P−Co−W皮膜が得られた。
一般に、多くの金属は、ナノ構造になると、特殊な性能が発現するという事例が、多々あることが知られている。本発明において、ベースとなる無電解ニッケルめっき皮膜の結晶の粒径は、20〜100nmと、ナノオーダーである。このため、本発明の無電解ニッケルめっき皮膜も、ナノ構造による特殊な効果があると考えられる。
本発明者等は、上述した本発明の効果を確認するための実験を行った。以下に、本発明に係る実験例1〜2を説明する。なお、本発明は実験例1〜2に限定されるものではない。
(実験例1)
無電解ニッケルめっき浴には、日本カニゼン株式会社製の無電解Ni−Pめっき液(商標;SEK−795)を用いた。そして、この無電解ニッケルめっき浴に、コバルトの供給源である硫酸コバルトと、タングステンの供給源であるタングステン酸ナトリウムと、を添加して、Ni−P−Co−Wめっき浴を生成した。その後、このNi−P−Co−Wめっき浴によって、所定のアルミニウム系母材にNi−P−Co−W皮膜を形成することにより、複数のサンプルを作成した。但し、実験例1では、アルミニウム系母材として、Si系アルミニウム板(AC8A)を代用した。
この複数のサンプルの内容は、次の表1に示される。つまり、複数のサンプルにおける各成分の含有率を、表1に示されるように変えてある。複数のサンプルは、比較例1〜2と実施例1〜15とである。
Figure 0005700846
上記表1に示されるように、複数のサンプルの内容は次の通りである。
比較例1は「Ni−2.0重量%P」の皮膜である(B成分無し)。
比較例2は「Ni−2.0重量%P−0.05重量%B」の皮膜である(B成分有り)。
実施例1は「Ni−2.0重量%P−0.01重量%W」の皮膜である(Co成分無し)。
実施例2は「Ni−2.0重量%P−0.5重量%Co−0.01重量%W」の皮膜である。
実施例3は「Ni−2.0重量%P−1.0重量%Co−0.01重量%W」の皮膜である。
実施例4は「Ni−2.0重量%P−1.8重量%Co−0.01重量%W」の皮膜である。
実施例5は「Ni−2.0重量%P−3.0重量%Co−0.01重量%W」の皮膜である。
実施例6は「Ni−2.0重量%P−1.0重量%Co」の皮膜である(W成分無し)。
実施例7は「Ni−2.0重量%P−1.0重量%Co−0.005重量%W」の皮膜である。
実施例8は実施例3と同一の皮膜である。
実施例9は「Ni−2.0重量%P−1.0重量%Co−0.5重量%W」の皮膜である。
実施例10は「Ni−2.0重量%P−1.0重量%Co−0.8重量%W」の皮膜である。
実施例11は「Ni−1.0重量%Co−0.01重量%W」の皮膜である(P成分無し)。
実施例12は「Ni−0.6重量%P−1.0重量%Co−0.01重量%W」の皮膜である。
実施例13は実施例3と同一の皮膜である。
実施例14は「Ni−2.8重量%P−1.0重量%Co−0.01重量%W」の皮膜である。
実施例15は「Ni−4.0重量%P−1.0重量%Co−0.01重量%W」の皮膜である。
これらのサンプルのなかで、主立ったサンプルの皮膜のビッカース硬さHvは、20℃において次の通りであった。
比較例1のビッカース硬さHvは、650〜700である。
比較例2のビッカース硬さHvは、650〜750である。
実施例3、実施例8、実施例13のビッカース硬さHvは、650〜700である。
また、200℃における、主立ったサンプルの皮膜のビッカース硬さHvは、次の通りであった。
比較例1のビッカース硬さHvは、500〜600である。
比較例2のビッカース硬さHvは、500〜700である。
実施例3、実施例8、実施例13のビッカース硬さHvは、500〜600である。
この複数のサンプルの皮膜の摩擦係数を、ボールオンディスク試験によって調べた。このボールオンディスク試験は、皮膜の温度20℃の条件下において、皮膜の表面にSUJ球を無潤滑の状態で押し当てて、摺動させることにより、摺動距離に対する動摩擦係数の変化を測定するものである。SUJ球の直径は10mm、印可荷重は400g、摺動速度は63mm/sであった。測定結果は図4〜図6に示されている。図4〜図6では、横軸を摺動距離とし、縦軸を摩擦係数(動摩擦係数)として、摺動距離に対する摩擦係数の変化を表している。
図4は、コバルト(Co)の含有量を変化させた場合の、摩擦係数の特性を示している。図4では、比較例1,2と実施例1〜5とを対比している。測定結果によると、実施例1及び実施例5は、比較例1及び比較例2に比べて、摺動特性(摩擦係数)の向上にそれほどの効果はない。しかし、実施例2〜4は、比較例1や比較例2に比べて、摺動特性の向上が特に顕著であることが判る。
図5は、タングステン(W)の含有量を変化させた場合の、摩擦係数の特性を示している。図5では、比較例1,2と実施例6〜10とを対比している。測定結果によると、実施例6及び実施例10は、比較例1や比較例2に比べて、摺動特性の向上にそれほどの効果はない。しかし、実施例7、実施例8(実施例3に相当)、実施例9は、比較例1や比較例2に比べて、摺動特性の向上が特に顕著であることが判る。
図6は、リン(P)の含有量を変化させた場合の、摩擦係数の特性を示している。図6では、比較例1,2と実施例11〜15とを対比している。測定結果によると、実施例11及び実施例15は、比較例1や比較例2に比べて、摺動特性の向上にそれほどの効果はない。しかし、実施例12、実施例13(実施例3に相当)、実施例14は、比較例1や比較例2に比べて、摺動特性の向上が特に顕著であることが判る。
つまり、リンを2重量%含有した無電解Ni−Pめっき浴に対して、CoとWとを、それぞれ単独で添加した場合には、摺動特性の向上にそれほどの効果はない。しかし、リンを2重量%含有した無電解Ni−Pめっき浴に対して、CoとWの両方を添加した場合は、明らかな摺動特性(摩擦係数)の向上がみられた。しかも、Coの含有率及びWの含有率が少ない場合に、摺動特性の向上が特に顕著であることが判明した。
(実験例2)
実際の汎用エンジンに使用されるピストンと同等のサンプルを複数準備した。これらのサンプルのピストンの全面に、上記実験例1における比較例1、比較例2及び実施例3とそれぞれ同等の皮膜を施した。この皮膜の厚さは15μmである。そして、汎用エンジンに各サンプルのピストンを個別に組み込み、スロットルを全開し且つ無負荷の条件下で、それぞれ運転時間50hrにわたって運転を行った。その後に、各ピストンのスカート部の、平均摩耗量を測定した。
汎用エンジンには、本田技研工業株式会社製の小型汎用エンジンを用いた。このエンジンの主な仕様は次の通りである。エンジンの名称;GX25、形式;空冷4ストローク単気筒OHC、総排気量;25cm、シリンダの内径;35mm、ピストンの行程;26mm。
実験例2のサンプルの内容は、次の表2に示される。つまり、複数のサンプル(ピストン)における各成分の含有率は、表2に示される通りである。複数のサンプルは、比較例A〜Bと実施例Aとである。
Figure 0005700846
上記表2に示されるように、複数のサンプルの内容は次の通りである。
比較例Aの皮膜の成分は「Ni−2.0重量%P」の皮膜。
比較例Bの皮膜の成分は「Ni−2.0重量%P−0.05重量%B」。
実施例Aの皮膜の成分は「Ni−2.0重量%P−1.0重量%Co−0.01重量%W」。
つまり、比較例Aの皮膜の成分は、上記比較例1の成分と同じである。比較例Bの皮膜の成分は、上記比較例2の成分と同じである。実施例Aの皮膜の成分は、上記実施例3の成分と同じである。
測定結果をみると、表2に示されるように、比較例Aの平均摩耗量は8.7μm、比較例Bの平均摩耗量は3.5μm、実施例Aの平均摩耗量は3.3μmであった。つまり、皮膜の成分が「Ni−2.0重量%P−1.0重量%Co−0.01重量%W」である実施例Aの平均摩耗量は、皮膜の成分が「Ni−2.0重量%P−0.05重量%B」である比較例Bの平均摩耗量に対して、ほぼ同等であった。このことは、微量のニッケルを含んでいる無電解ニッケル皮膜に、極く少量のコバルトとタングステンとを含有することによって、鉛成分を含まずに、摩擦特性が優れた無電解ニッケル皮膜が得られたものと、考えられる。
本発明の無電解ニッケル皮膜は、汎用エンジンのピストン又はシリンダに適用するのに好適である。
10,10A…内燃機関、11…ピストン、12…シリンダ、12a…シリンダの摺動面(内周面)、13…ピストンの摺動面(外周面)、20…無電解ニッケル皮膜。

Claims (1)

  1. ピストンの摺動面と、該ピストンが摺動するシリンダの摺動面と、のいずれか一方に、無電解ニッケル皮膜を有している内燃機関であって、
    前記無電解ニッケル皮膜は、リンを0.6〜2.8重量%、コバルトを0.5〜1.8重量%、タングステンを0.005〜0.5重量%含有し、残りがニッケルであることを特徴とする内燃機関。
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