JP5700171B2 - 被覆切削工具 - Google Patents
被覆切削工具 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5700171B2 JP5700171B2 JP2014522779A JP2014522779A JP5700171B2 JP 5700171 B2 JP5700171 B2 JP 5700171B2 JP 2014522779 A JP2014522779 A JP 2014522779A JP 2014522779 A JP2014522779 A JP 2014522779A JP 5700171 B2 JP5700171 B2 JP 5700171B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- layer
- cutting tool
- coated cutting
- atomic
- film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C23—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
- C23C14/00—Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material
- C23C14/06—Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material characterised by the coating material
- C23C14/0635—Carbides
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C23—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
- C23C14/00—Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material
- C23C14/06—Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material characterised by the coating material
- C23C14/0641—Nitrides
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C23—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
- C23C30/00—Coating with metallic material characterised only by the composition of the metallic material, i.e. not characterised by the coating process
- C23C30/005—Coating with metallic material characterised only by the composition of the metallic material, i.e. not characterised by the coating process on hard metal substrates
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Metallurgy (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)
- Physical Vapour Deposition (AREA)
- Milling Processes (AREA)
Description
更には、ミクロ組織を制御したAlCrSi系の窒化物又は炭窒化物も提案されている(例えば、特開2002−337007号公報参照)。特開2002−337007号公報によれば、相対的にSiに富むアモルファス相と、相対的にSiに乏しい結晶相と、からなるミクロ組織を有するAlCrSi系の窒化物は、皮膜硬度が向上して、耐酸化性も改善されている。この窒化物を適用することで、被覆切削工具の耐久性が向上することが示されている。
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものである。本発明は、耐久性に優れる被覆切削工具を提供する。
本発明は、特定の中間皮膜を介して、Si含有量を調整したAlCrSi系の窒化物又は炭窒化物からなる硬質皮膜を配設することで、被覆切削工具の耐久性が著しく改善されるとの知見に基づくものである。
前記硬質皮膜は、前記基材の上に配置され、ナノビーム回折パターンからWCの結晶構造に指数付けされ、C、W、Tiおよび不可避成分からなる炭化物からなるa層と、前記a層の上に配置され、金属(半金属を含む)元素のうちAlの含有比率(原子%)が最も多く、Alの含有比率(原子%)が50%以上、Crの含有比率(原子%)が20%以上、AlとCrの合計の含有比率(原子%)が85%以上、Siの含有比率(原子%)が5%〜15%である窒化物又は炭窒化物からなるb層と、を含み、前記b層はNaCl型の結晶構造であり、前記a層の膜厚は、1nm〜30nmである被覆切削工具である。
b層は、4a族、5a族、6a族(Crを除く)の金属元素およびBから選択される1種または2種以上の元素を、金属(半金属を含む)元素の含有比率(原子%)で10%以下で含有していることが好ましい。
また、b層は、Si量の全体に対して相対的にSi量が少ない結晶相と、Si量の全体に対して相対的にSi量が多い結晶相を有していることが好ましい。
更に、c層は、金属(半金属を含む)元素のうちTiの含有比率(原子%)が50%以上であり、Siの含有比率(原子%)が1%〜30%である窒化物又は炭窒化物であることが好ましい。
b層は、AlCrSi系の窒化物又は炭窒化物で構成される。AlCrSi系の窒化物又は炭窒化物は、被覆切削工具として優れた耐摩耗性と耐熱性が発揮できる膜種であり、より好ましくは窒化物である。そして、優れた耐熱性を確保するために、金属(半金属を含む)元素のうち原子%でAlの含有量を最も多く、Alの含有比率(原子%)を50%以上にすることが重要である。Alは、耐熱性を付与する元素であり、金属(半金属を含む)元素の含有比率(原子%)でAl以外の元素が最も多くなると耐熱性が十分でない。
b層は、金属(半金属を含む)元素のうちAlの含有比率(原子%)が50%以上であることで、耐熱性に優れて好ましい。より好ましくは、Alを55%以上含有することである。一方、Alの含有量が多くなり過ぎると、ZnS型の結晶構造が主体となり、被覆切削工具の耐久性が低下する傾向にある。そのため、金属(半金属を含む)元素のうちAlの含有比率(原子%)を68%以下とすることが好ましく、50%以上60%以下の範囲とすることがより好ましい。なお、本発明における半金属とは、Si、Bである。
本発明において、AlCrSi系の窒化物又は炭窒化物は、耐熱性および耐摩耗性の観点から、金属(半金属を含む)元素のうちAlとCrの合計の含有比率(原子%)が85%以上とする。更には、AlCrSi系の窒化物又は炭窒化物におけるAlとCrの合計の含有比率は、90%以上であることが好ましい。
よって、AlCrSi系の窒化物又は炭窒化物において、金属(半金属を含む)元素のうちSiの含有比率(原子%)を5%〜15%とすることが重要である。Siの含有比率が5%未満であると、柱状粒子が粗大になり、耐久性は低下する。Siの含有比率が15%を超えると、皮膜構造が非晶質となり易くなるため、NaCl型の結晶構造とすることが困難となり、耐久性が低下する傾向となる。
Siの含有比率としては、より好ましくは6%以上であり、更に好ましくは7%以上である。また、Siの含有比率の上限は、より好ましくは12%以下である。
b層は、X線回折においてZnS型の結晶構造に起因する回折強度が確認されないことが好ましい。しかし、NaCl型の結晶構造に起因する回折強度が最大強度を示すのであれば、一部にZnS型の結晶構造および非晶質相を含有してもよい。
また、後述するTiボンバード処理によって形成されるa層の直上に、b層を被覆していることも、b層のミクロ組織がSi含有量の異なる結晶相を含む組織形態になることに影響していると考えられる。
b層の厚みが薄くなり過ぎると、優れた耐久性が十分に発揮されない場合がある。また、b層の厚みが厚くなり過ぎると、皮膜剥離が発生する場合がある。b層の厚みは、例えば、0.5μm〜10μmの範囲から適当な値を選択すればよい。b層の厚みは、より好ましくは1μm以上である。また、b層の厚みは、より好ましくは5μm以下である。
特に、残留圧縮応力が高い皮膜種である点で、金属(半金属を含む)元素のうち、原子%でTiを50%以上含有し、Siを1%〜30%含有する窒化物又は炭窒化物皮膜が好ましい。
b層よりもc層の厚みが厚いことが、湿式加工の耐久性が優れる傾向にある点で好ましい。
本発明における硬質皮膜であるb層は、微細な組織形態であるため、基材との密着性が乏しい。そのため、従来の窒化物からなる中間皮膜を介して行う方法では、密着性を改善するには十分でなかった。また、特開2009−220260号公報に記載のW改質相は、脱炭相が形成され易くなるだけでなく、工具基材の形状によっては形成され難い場合がある。エンドミルの場合、機能部である刃先には、W改質相は形成され難いことを確認した。
本発明者等は、様々な条件で切削試験を行い、ナノビーム回折パターンからWCの結晶構造に指数付けされ、C、W、Tiおよび不可避成分からなる炭化物からなるa層を基材の上に設けることで、微細な組織形態であるb層との密着性が改善されて被覆切削工具の耐久性が向上することを確認している。つまり、基材とb層との間にa層を形成することにより、微細な組織形態であるb層の基材との密着性を改善したものである。
基材の上にあるa層を、Wを含む炭化物とすれば、基材である超硬合金との親和性が強くなり、密着性に優れると考えられる。また、a層がTiを含むことで、a層の上にある微細組織であるb層がNaCl型の結晶構造を維持し易くなる。そして、a層の近傍にあるb層の結晶性がより高まり、基材とb層の密着性がより高まると考えられる。
a層の膜厚が薄くなり過ぎれば、基材との密着性が低下する。また、a層の膜厚が厚膜になり過ぎても、基材との密着性が低下する傾向にある。よって、a層の膜厚は、1nm〜30nmであることが好ましい。
工具刃先に形成されるa層は、工具形状や用途によって最適な膜厚が異なると考えられる。本発明者等の検討によれば、ボールエンドミルにおいてより優れた密着性を確保して工具の耐久性を高めるには、a層の膜厚の下限は、3nm以上とすることがより好ましい。また、a層の膜厚の上限は、10nm以下とすることが好ましい。更にはa層の上限は、8nm以下とすることがより好ましい。
a層は、WおよびTi以外に皮膜成分および母材成分を含有してもよい。a層の実測定においては、基材側のCoや硬質皮膜側のAl、Cr、Si、Nが含まれ得るが、ナノビーム回折パターンからWCの結晶構造に指数付けされ、WおよびTiを含む炭化物とすることで本発明の効果は発揮される。
a層は、透過型電子顕微鏡観察による断面観察、組成分析、ナノビーム回折パターンより確認することができる。
Tiボンバードの際に基材に印加する負圧のバイアス電圧およびターゲットへ投入する電流が低いと、ナノビーム回折パターンからWCの結晶構造に指数付けされ、C、W、Tiおよび不可避成分からなる炭化物が形成され難い。そのため、基材に印加する負圧のバイアス電圧は、−1000V〜−700Vとすることが好ましい。また、ターゲットへ投入する電流は、80A〜150Aとすることが好ましい。
ボンバードは、アルゴンガス、窒素ガス、水素ガス、炭化水素系ガス等を導入しながら実施してもよいが、炉内雰囲気を1.0×10−2Pa以下の真空下で実施することで基材表面が清浄化されるだけでなく、拡散層が形成され易くなり好ましい。
なお、本発明者等の検討によると、工具径や刃先形状等の形状の違いによって、工具刃先に形成されるa層の厚みは影響を受けることを確認している。
本発明の被覆切削工具は、ボール半径が5mm以下のボールエンドミルに適用することが好ましい。特に、より優れた耐久性が発揮される点で、ボール半径3mm以下のような小径のボールエンドミルに適用することが好ましい。
<成膜装置>
成膜には、アークイオンプレーティング方式の成膜装置を用いた。本装置は、複数のカソード(アーク蒸発源)、真空容器および基材回転機構を含む。
カソードは、ターゲット外周にコイル磁石を配備したカソードを1基(以下「C1」という。)と、ターゲット背面および外周に永久磁石を配備し、ターゲットに垂直方向の磁束密度がターゲット中央付近で14mT以上の磁場を有したカソードを2基(以下「C2」、「C3」という。)が搭載されている。
真空容器内は、内部を真空ポンプにより排気され、ガスは供給ポートより導入される。真空容器内に設置した各基材にはバイアス電源が接続され、独立して各基材に負圧のDCバイアス電圧を印加する。
基材回転機構は、プラネタリーとプラネタリー上のプレート状治具、プレート状治具上のパイプ状治具が取り付けられ、プラネタリーが毎分3回転の速さで回転し、プレート状治具、パイプ状治具は夫々自公転する。
物性評価および切削試験用に、組成がWC(bal.)−Co(8質量%)−Cr(0.5質量%)−VC(0.3質量%)、WC平均粒度0.6μm、硬度93.9HRA、からなる超硬合金製の2枚刃ボールエンドミル(日立ツール株式会社製)を準備した。
なお、WCは炭化タングステンを、Coはコバルトを、Crはクロムを、VCは炭化バナジウムを、それぞれ表す。
各基材をそれぞれ真空容器内のパイプ状冶具に固定し、成膜前プロセスを以下のように実施した。まず、真空容器内を8×10−3Pa以下に真空排気した。その後、真空容器内に設置したヒーターにより、基材温度が500℃になるまで加熱し、真空排気を行った。これにより、基材温度を500℃、真空容器内の圧力を8×10−3Pa以下とした。
その後、真空容器内にArガスを導入し、容器内圧を0.67Paとした。その後、フィラメント電極に20Aの電流を供給し、基材に−200Vの負圧のバイアス電圧を印加し、Arボンバードを4分間実施した。
その後、真空容器内の圧力が8×10−3Pa以下になるように真空排気した。続いて、基材にバイアス電圧を印加して、C1に150Aのアーク電流を供給してTiボンバード処理を実施した。
Tiボンバード後、直ちにC1への電力供給を中断した。そして、真空容器内のガスを窒素に置き換え、真空容器内の圧力を5Pa、基材設定温度を520℃とした。C2に150Aの電力を供給し、基材に印加する負圧のバイアス電圧を変化させて硬質皮膜を約3μm被覆した。その後、略250℃以下に基材を冷却して真空容器から取り出した。表1に実施例1で使用したターゲット組成及び被覆条件を示す。
組成は付属のUTW型Si(Li)半導体検出器を用いてビーム径1nmで分析した。ナノビーム回折は、カメラ長50cmとし、2nm以下のビーム径で分析した。
a層は、EDSスペクトル分析結果からWとTi含んでいることを確認した。また、ナノビーム回折パターンからa層はWCの結晶構造に指数付けが可能であった。EDSスペクトル分析およびナノビーム回折パターンから、a層はWおよびTiを含有した炭化物であることが確認された。
a層は金属(半金属を含む)部分の原子%でWを最も多く含有していた。なお、WおよびTi以外には硬質皮膜の成分であるAl、Cr、Si、Nを含有していた。また、母材成分であるCoも僅かに含有していた。試料作製過程のコンタミの影響により、Cuが測定された。
断面観察、組成分析、ナノビーム回折パターンより、a層の厚みは5nm程度の薄膜であることを確認した。本発明例のa層はいずれもWおよびTiを含む炭化物が約5nm程度形成されていた。これについては同様の条件によるTiボンバード処理を実施した本発明例2〜10と比較例100〜104についても同様であった。Tiボンバード処理の時間が短い本発明例11は、WおよびTiを含む炭化物が約2nm程度形成されていた。Tiボンバード処理の時間が長い本発明例12は、WおよびTiを含む炭化物が約13nm程度形成されていた。
ただし、基材のクリーニングを目的として短時間のTiボンバード処理を実施した比較例107においては明確なa層の形成が確認されなかった。Tiボンバード処理自体を実施しなかった比較例105、106はa層が形成されていなかった。
(条件)乾式加工
・工具:2枚刃超硬ボールエンドミル
・型番:EPBTS2100、ボール半径5mm
・切削方法:底面切削
・被削材:SKD11(60HRC)
・切り込み:軸方向、0.2mm、径方向、0.2mm
・切削速度:251m/min
・一刃送り量:0.125mm/刃
・切削油:エアー加圧供給
・切削距離:150m
・評価方法:切削加工後、走査型電子顕微鏡を用いて倍率150倍で観察し、工具と被削材が擦過した幅を実測し、そのうちの擦過幅が最も大きかった部分を最大摩耗幅とした。
特に、a層の厚みが好ましい範囲にある本発明例1〜10は最大摩耗幅が小さくなる傾向にあった。
これに対して比較例であるNo.100〜107は著しい皮膜剥離が発生し、不安定な摩耗形態を示した。そして、その時の摩耗幅は大きかった。比較例であるNo.100〜103、108はa層が形成されているが、b層の結晶構造がNaCl型の結晶構造ではないため(hcp:六方最密充填構造)、耐久性が乏しかった。
比較例であるNo.104は硬質皮膜に含まれるSi量が少なく硬質皮膜の柱状粒子が粗大であるため耐久性が乏しかった。
比較例であるNo.105、106、107はa層を形成していないため、耐久性が乏しかった。
実施例2では、組成がWC(bal.)−Co(8質量%)−Cr(0.5質量%)−VC(0.3質量%)、WC平均粒度0.6μm、硬度93.9HRA、からなるボール半径1mmのボールエンドミル(日立ツール株式会社製)で評価した。各試料ともArガスボンバードまでは実施例1と同様である。試料No.205〜209は、a層を形成する代わりに、C3に設置したカソードを用いて窒化物からなる中間皮膜を被覆した。各試料ともC2に設置したカソードを用いて硬質皮膜を約3μm被覆した。表3に実施例2で使用したターゲット組成及び被覆条件を示す。
なお、ボール半径が1mmのボールエンドミルを基材に用いた場合、実施例1と同様のTiボンバード条件では刃先に変形が生じることを確認した。そのため、実施例2では、ボンバード時間を短時間とし、基材に印加する負圧のバイアス電圧も下げてTiボンバード処理を実施した。
(条件)湿式加工
・工具:2枚刃超硬ボールエンドミル
・型番:EPDBE2010−6、ボール半径0.5mm、首下長さ6mm
・切削方法:底面切削
・被削材:HPM38(52HRC)(日立金属株式会社製)
・切り込み:軸方向、0.04mm、径方向、0.04mm
・切削速度:78.5m/min
・一刃送り量:0.0189mm/刃
・切削油:水溶性エマルション加圧供給
・切削距離:60m
・評価方法:切削加工後、走査型電子顕微鏡を用いて倍率150倍で観察し、工具と被削材が擦過した幅を実測し、そのうちの擦過幅が最も大きかった部分を最大摩耗幅とした。
比較例であるNo.200は硬質皮膜に含まれるSi量が少なく硬質皮膜の柱状粒子が粗大であり、耐久性が乏しかった。
比較例であるNo.201、202はボンバードの際に基材に印加する負圧のバイアス電圧が低いため基材の上には金属Tiが形成されており、基材との密着性が不十分であり、耐久性が乏しかった。
比較例であるNo.203〜208は基材の上に窒化物を形成しているため基材との密着性が不十分であり、耐久性が乏しかった。
比較例であるNo.209は、a層を形成していないため密着性が不十分であり耐久性が乏しかった。
実施例3では、b層の上層にc層を被覆した好ましい形態について評価した。各試料ともArガスボンバードまでは、実施例1と同様である。表5に実施例3で使用したターゲット組成及び被覆条件を示す。
(条件1)乾式加工
・工具:2枚刃超硬ボールエンドミル
・型番:EPBTS2100、ボール半径5mm
・切削方法:底面切削
・被削材:SKD11(60HRC)
・切り込み:軸方向、0.2mm、径方向、0.2mm
・切削速度:251m/min
・一刃送り量:0.125mm/刃
・切削油:エアー加圧供給
・切削距離:150m
・工具:2枚刃超硬ボールエンドミル
・型番:EPBTS2100、ボール半径5mm
・切削方法:底面切削
・被削材:SKD11(60HRC)
・切り込み:軸方向、0.2mm、径方向、0.2mm
・切削速度:251m/min
・一刃送り量:0.125mm/刃
・切削油:水溶性エマルジョン加圧供給
・切削距離:20m
・評価方法:切削加工後、走査型電子顕微鏡を用いて倍率150倍で観察し、工具と被削材が擦過した幅を実測し、そのうちの擦過幅が最も大きかった部分を最大摩耗幅とした。
比較例であるNo.300、301は、a層を形成していないため、湿式および乾式加工のいずれでも工具摩耗が大きく耐久性が乏しかった。なお、比較例No.300はb層から著しい剥離が生じていた。
比較例であるNo.302、303は、b層のSi含有量が少ないため乾式加工において耐久性が低下した。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
Claims (8)
- 基材の表面が硬質皮膜で被覆された被覆切削工具であって、
前記硬質皮膜は、前記基材の上に配置され、ナノビーム回折パターンからWCの結晶構造に指数付けされ、C、W、Tiおよび不可避成分からなる炭化物からなるa層と、前記a層の上に配置され、金属(半金属を含む)元素のうちAlの含有比率(原子%)が最も多く、Alの含有比率(原子%)が50%以上、Crの含有比率(原子%)が20%以上、AlとCrの合計の含有比率(原子%)が85%以上、Siの含有比率(原子%)が5%〜15%である窒化物又は炭窒化物からなるb層と、を含み、前記b層はNaCl型の結晶構造であり、前記a層の膜厚は、1nm〜30nmである被覆切削工具。 - 前記a層の膜厚は、3nm以上10nm以下である請求項1に記載の被覆切削工具。
- 前記a層の膜厚は、3nm以上8nm以下である請求項2に記載の被覆切削工具。
- 前記b層は、4a族、5a族、6a族(Crを除く)の金属元素およびBから選択される1種または2種以上の元素を、金属(半金属を含む)元素の含有比率(原子%)で10%以下で含有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の被覆切削工具。
- 前記b層は、Si量の全体に対して相対的にSi量が少ない結晶相と、Si量の全体に対して相対的にSi量が多い結晶相を有している請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の被覆切削工具。
- 前記b層の上には、窒化物又は炭窒化物からなるc層を更に有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の被覆切削工具。
- 前記c層は、金属(半金属を含む)元素のうちTiの含有比率(原子%)が50%以上であり、Siの含有比率(原子%)が1%〜30%である窒化物又は炭窒化物からなる請求項6に記載の被覆切削工具。
- 前記被覆切削工具は、ボールエンドミルである請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の被覆切削工具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014522779A JP5700171B2 (ja) | 2013-03-29 | 2014-03-13 | 被覆切削工具 |
Applications Claiming Priority (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013074112 | 2013-03-29 | ||
JP2013074112 | 2013-03-29 | ||
PCT/JP2014/056769 WO2014156699A1 (ja) | 2013-03-29 | 2014-03-13 | 被覆切削工具 |
JP2014522779A JP5700171B2 (ja) | 2013-03-29 | 2014-03-13 | 被覆切削工具 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP5700171B2 true JP5700171B2 (ja) | 2015-04-15 |
JPWO2014156699A1 JPWO2014156699A1 (ja) | 2017-02-16 |
Family
ID=51623681
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014522779A Active JP5700171B2 (ja) | 2013-03-29 | 2014-03-13 | 被覆切削工具 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5700171B2 (ja) |
WO (1) | WO2014156699A1 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6385233B2 (ja) * | 2014-10-10 | 2018-09-05 | 日立金属株式会社 | 被覆切削工具 |
JP7247452B2 (ja) * | 2019-03-25 | 2023-03-29 | 株式会社Moldino | 被覆工具 |
CN114531856A (zh) | 2019-11-27 | 2022-05-24 | 株式会社Moldino | 包覆切削工具 |
EP4082699A4 (en) | 2019-12-24 | 2022-12-14 | MOLDINO Tool Engineering, Ltd. | COATED CUTTING TOOL |
JP7410383B2 (ja) * | 2019-12-27 | 2024-01-10 | 株式会社Moldino | 被覆切削工具 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10330914A (ja) * | 1997-05-28 | 1998-12-15 | Toshiba Tungaloy Co Ltd | 結晶配向性硬質膜を含む積層被膜部材 |
JP2004100004A (ja) * | 2002-09-11 | 2004-04-02 | Toshiba Tungaloy Co Ltd | 被覆超硬合金およびその製造方法 |
JP2005344148A (ja) * | 2004-06-01 | 2005-12-15 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 耐摩耗性被膜およびこれを用いた表面被覆切削工具 |
JP2008080447A (ja) * | 2006-09-27 | 2008-04-10 | Union Tool Co | 切削工具用硬質皮膜 |
-
2014
- 2014-03-13 JP JP2014522779A patent/JP5700171B2/ja active Active
- 2014-03-13 WO PCT/JP2014/056769 patent/WO2014156699A1/ja active Application Filing
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10330914A (ja) * | 1997-05-28 | 1998-12-15 | Toshiba Tungaloy Co Ltd | 結晶配向性硬質膜を含む積層被膜部材 |
JP2004100004A (ja) * | 2002-09-11 | 2004-04-02 | Toshiba Tungaloy Co Ltd | 被覆超硬合金およびその製造方法 |
JP2005344148A (ja) * | 2004-06-01 | 2005-12-15 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 耐摩耗性被膜およびこれを用いた表面被覆切削工具 |
JP2008080447A (ja) * | 2006-09-27 | 2008-04-10 | Union Tool Co | 切削工具用硬質皮膜 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2014156699A1 (ja) | 2014-10-02 |
JPWO2014156699A1 (ja) | 2017-02-16 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6410797B2 (ja) | 被覆切削工具及びその製造方法 | |
JP6362003B2 (ja) | 被覆切削工具 | |
JP5673904B1 (ja) | 被覆切削工具及びその製造方法 | |
JP6525310B2 (ja) | 被覆工具 | |
JP5700171B2 (ja) | 被覆切削工具 | |
JP2017001147A (ja) | 被覆切削工具 | |
JP6555796B2 (ja) | 被覆切削工具 | |
KR20200019199A (ko) | 피복 절삭 공구 | |
JP6385233B2 (ja) | 被覆切削工具 | |
JPWO2014034923A1 (ja) | 被覆切削工具 | |
JP6385243B2 (ja) | 被覆切削工具 | |
JP2015174196A (ja) | 被覆切削工具の製造方法 | |
WO2019035219A1 (ja) | 被覆切削工具 | |
JP7164828B2 (ja) | 被覆切削工具 | |
WO2023181927A1 (ja) | 被覆部材 | |
JP7406078B2 (ja) | 被覆切削工具 | |
JP7406079B2 (ja) | 被覆切削工具 | |
JP2015174194A (ja) | 被覆切削工具 | |
JP6385237B2 (ja) | 被覆切削工具 | |
WO2021106440A1 (ja) | 被覆切削工具 | |
JP2014079875A (ja) | 被覆工具の製造方法 | |
JP2014069239A (ja) | 耐久性に優れる被覆工具の製造方法 | |
JP2016064488A (ja) | 被覆切削工具 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20150120 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150202 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5700171 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |