JP5698201B2 - 不斉酸化によるチオ置換アリールメタンスルフィニル誘導体の単一鏡像異性体のエナンチオ選択的合成法 - Google Patents

不斉酸化によるチオ置換アリールメタンスルフィニル誘導体の単一鏡像異性体のエナンチオ選択的合成法 Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、アリールメタンスルフィニル誘導体の単一の鏡像異性体又は鏡像異性的に富んだ形態のエナンチオ選択的合成法に関する。
発明の背景
本明細書中に開示される化合物は、モダフィニルの生物学的及びキラル類似体に関連した合成したアリールメタンスルフィニル誘導体である。モダフィニル、C1515NO2Sは、2−(ベンズヒドリルスルフィニル)アセトアミド又は2−[(ジフェニルメチル)スルフィニル]アセトアミドとしても知られ、覚醒促進作用を有する合成したアセトアミド誘導体であり、仏国特許第78 05 510号及び米国特許第4,177,290号(「290特許」)に記載されている。これら全ての分子は、共通して、それらの構造において、硫黄原子で立体中心を共有し、したがって、鏡像異性体の対として存在する。両鏡像異性体は、差別的な立体化学的に依存して代謝及び酵素阻害を提示してもよい。新規立体異性薬物の開発に関するFDA及び登録機関の政策綱領により、医薬として関心の高いキラルスルホキシドの両鏡像異性体は合成され、それらの生物学的活性が決定される必要がある。高い鏡像体純度を有するキラルスルホキシドの合成が現在の関心事である。
鏡像異性体は、キラル分割法によって処理されてもよく、酸キラル化合物の塩形成を含む。得られるジアステレオマーは、加水分解又は結合開裂によって光学的に純粋な鏡像異性体に分別及び変換されなければならない。これらの方法は、一般的に多大な時間を要する。一例として、このような方法は、モダフィニル鏡像異性体に適用された(米国特許第4,927,855号)。モダフィン酸(modafinic acid)の左旋性異性体は、約21%の非常に低い収率でラセミ体のモダフィン酸から得られ、そして必要とされるアミドのモダフィニルの単一の鏡像異性体が得られる前に、エステル化とアミド化工程によってさらに処理しなければならなかった。
鏡像的に純粋なアリールメタンスルフィニル誘導体を得る代替の方法を考慮すると、種々の金属触媒エナンチオ選択的酸化又は化学量論的遷移金属促進の不正反応は、対応する硫化物の化学的酸化によってキラルスルホキシドを製造する文献に記載された(Kagan H.B.“Catalytic Asymmetric Synthesis”;Ojima I.,Ed.VCH:New York 1993,203−226;Madesclaire M.,Tetrahedron 1986;42、5459−5495;Procter D.,J.Chem.Soc.PerkinTrans 1999;641−667;Fernandez I.et al.,Chem.Review 2003;103(9):3651−3706。金属触媒のエナンチオ選択的酸化は、酒石酸メチル、C2対称のジオール又はC3対称のキラルトリアルカノールアミンチタン(IV)複合体、C3対称のトリアルカノールアミンジルコニウム(IV)複合体、キラル(サレン)マンガン(III)複合体、キラル(サレン)バナジウム(IV)複合体のようなキラルリガンドを、種々の酸化剤、例えばH22、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドと複合化した金属触媒を必要とする。キラルオキサジリジンに基づく方法はまた、硫化物のキラル酸化に使用されている。
精密化学薬品の不斉合成のためのいくつかの酵素法は、Faber K.“Biotransformations in Organic Chemistry”、Springer Ed.3rd.1997に記載され、そして、Fernandez I.ら(Chem.Rev.2003;103(9):3651−3706)によって概説された。一例として、チオエーテルは、細菌[例えば、Corynebacterium equi(Ohta H.ら、Agrig.Biol.Chem.1985;49:671)、Rhodococcus equi(Ohta H.ら、Chem.Lett.1989;625)]及び真菌[Helminthosporium sp.,Mortieralla isabellina sp.(Holland HL.ら、Bioorg.Chem.1983;12:1)]の両方によって不斉的に酸化され得る。多種多様のアリールアルキルチオエーテルを酸化して、良好ないし極めて優れた光学純度を有するスルホキシドを得た[(Ohta H.ら、Agrig.Biol.Chem.1985;49:671;Abushanab E.ら、Tetrahedron Lett.1978;19:3415;Holland HL.ら、Can.J.Chem.1985;63:1118)]。モノオキシゲナーゼ及びペルオキシダーゼは、多種の硫化物のスルホキシドへの酸化を触媒することができる重要な部類である(Secundo S.ら、Tetrahedron:Asymmetry 1993;4:1981)。酵素反応の立体化学の結果は、硫化物構造に非常に依存していることを示している。
酵素的アプローチの他の代替として、対応するラセミ体のリパーゼを触媒とする分割によって得られた、高い鏡像体過剰率を有する光学的純度のメチルアリールスルフィニルアセテートはまた記載される(Burgess K.ら、Tetrahedron Letter 1989;30:3633)。
エナンチオ選択的酸化法として、不斉硫化物酸化法は、Kagan及び共同研究者(Pitchen,P;Deshmukh,M.,Dunach,E.;Kagan,H.B.;J.Am.Chem.Soc.,1984;106、8188−8193)によって開発された。硫化物のスルホキシドへの不斉酸化のこの方法において、酸化は、モル比1:2:1のTi(OiPr)4/(+)又は(−)酒石酸ジエチル/水から得られた1当量のキラル化合物の存在下で、酸化剤としてtert−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)を用いることによって行われる。
Kaganによる硫化物酸化のための一般的手法は、硫化物を添加する前に、塩化メチレンに室温でキラル複合体を最初に予め形成することを含む。次に、酸化反応は、tert−ブチルヒドロペルオキシドの存在下、−20℃で達成される。
光学的に活性なスルホキシドへの種々の硫化物、顕著にはアリールアルキル硫化物の直接的な酸化は、80〜90%の範囲で鏡像体過剰率(ee)を伴って、この方法によって達成され得る。
より具体的には、Kagan及び共同研究者らは、非常に異なった大きさの2種の置換基を有する硫化物が不斉酸化に供される場合、スルホキシド生産物は、高いエナンチオ選択性を伴って得られた。例えば、アリールメチル硫化物は、酸化に供された場合、90%を超える鏡像体過剰率(ee)でアリールメチルスルホキシドを得ることができた。
顕著には、シクロプロピルフェニルスルホキシドは、この方法によって95%eeで形成される。
しかしながら、官能化硫化物、顕著にはエステル基を有するものの不斉酸化は、これらの条件下で、中程度のエナンチオ選択性を進めることが判明した。
このように、立体中心、即ち、硫黄原子、硫黄原子に近接したエステル基を有するアルキル基を担持する化合物、例えば、メチルフェニルチオアセテート、エチルメチルチオアセテート及びメチルメチルチオプロパノエートは、わずか63〜64%のeeを有することが報告された(H.B.Kagan,Phosphorus and Sulphur,1986;27,127−132)。
同様に、アリール基のオルト位におけるメチルエステル基を有するアリールメチル硫化物の酸化は、パラ置換の化合物(ee 91%、収率50%)又はp−トリルメチル硫化物(ee 91%、収率90%)と対比して、低い鏡像体過剰率(60%)及び収率(50%)を得る(Pitchen,Pら、J.Am.Chem.Soc.,1984;106,8188−8193)。
それ故、硫黄原子上の置換基が大きさにおいて相違する場合でさえ、硫黄原子に近接するエステル基の存在は、不斉酸化のエナンチオ選択性に強く影響する。
これらの結果はまた、この手法のエナンチオ選択性が構造及び顕著には基質の官能性に非常に依存する。より具体的には、硫黄に近接したエステル基を有する硫化物の酸化は、ほとんど不斉導入しない。
同様に、これまでのところ文献で報告されたエナンチオ選択的反応は、硫黄原子に直接連結したアセトアミド又は酢酸部分を有する基質を処置しない。
硫化物の不斉酸化のためのいくつかの条件を変更することによってエナンチオ選択性を改善する試みがなされている。例えば、Kagan及び共同研究者ら(Zhao,S.;Samuel O.;Kagan,H.B.,Tetrahedron 1987;43.(21、5135−5144)は、酸化のエナンチオ選択性がtert−ブチルヒドロペルオキシドの代わりにクメンペルオキシドを用いることによって増加できたことを見出した(ee 96%まで)。しかしながら、これらの条件は、硫黄原子に近接したエステル、アミド又はカルボン酸官能基を有する硫化物の酸化の問題を解決しない。
つまり、本出願人は、Kagan H.B.(Organic Syntheses,John Wiley and Sons INC.ed.1993,vol.VIII,464−467)によって記載された条件を用いた上記方法により最大約42%の典型的な鏡像体過剰率を有する粗(−)−モダフィニルを得た。
H.Cotton及び共同研究者ら(Tetrahedron:Asymmetry 2000;11、3819−3825)は、対応するプロキラル硫化物の不斉酸化を介してオメプラゾールの(S)−鏡像異性体の合成について最近報告した。オメプラゾールは、5−メトキシ−2−[[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジニル)メチル]−スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールとも呼ばれ、下式:
Figure 0005698201
によって表わされる。
不斉酸化は、(S,S)−(−)酒石酸ジエチル[(S,S)−(−)DET]の存在下で、クメンヒドロペルオキシド(CHP)を用いてチタンを介した酸化によって達せられた。チタン複合体は、プロキラル硫化物の存在下で及び/又は長期間、及びN,N−ジイソプロピルエチルアミンの存在下で酸化を実行することによって製造された。エナンチオ選択性>94%は、この方法によって得たが、Kaganの元々の方法は、粗生産物の低い鏡像体過剰率(30%)を与える。
本著者によれば、オメプラゾールのみに適用されるこの方法の改善されたエナンチオ選択性は、硫黄に近接したベンズイミダゾール又はイミダゾールの存在におそらくは結びつき、形成したスルホキシドの立体化学へと向けられる。著者はまた、不斉合成におけるキラルスルホキシドを合成する場合、配向基としてこの種の官能性を用いることを示唆した。
それ故、この刊行物は、オメプラゾール、ほぼ同じ大きさの置換基を有し、不斉導入に重要な役割を果たすように記載されるイミダゾール基を含むプロキラル硫化物に本質的に焦点を合わせている。
したがって、先行技術の欠点を克服し、特に高収率を可能にする光学純度のアリールメタンスルフィニル誘導体を製造するための改良されたエナンチオ選択的方法が必要とされる。
発明の簡単な説明
本発明は、アリールメタンスルフィニル誘導体の単一の鏡像異性体のエナンチオ選択的合成の新規な方法を提供し、この方法において、高収率と共に非常に高いエナンチオ選択性が得られる。
この新規な方法は、プロキラル硫化物が対応するスルホキシドからの単一な鏡像異性体又は鏡像異性的に富んだ形態に不斉的に酸化される。
本発明はまた、高純度、有意には97〜98%よりも高い純度で、対応するプロキラル硫化物からの単一の鏡像異性体又は鏡像異性的に富んだ形態としてスルホキシドを製造するための方法を提供する。
表現「プロキラル硫化物」は、本明細書中で使用されるとき、酸化後、硫黄原子上の立体中心を示す硫化物を指示するように理解される。さらに他の場所で立体中心を有する硫化物は、本明細書中、「プロキラル硫化物」として意味される。
たとえ対応するプロキラル硫化物が官能化され、即ち、エステル、アミド、カルボン酸又はニトリル置換基を有するとしても、この新規な不斉酸化法は、非常に高い鏡像体過剰率を有する関心のある化合物への接近を可能にする。
高収率及び高い鏡像体過剰率で鏡像異性化合物の大規模製造に適した方法を行う1工程反応を用いたこの方法は単純である。
更なる利点として、この方法は、環境的に低毒素であり、相対的に低コストである触媒として少量のチタン化合物を使用する。
好都合には、アリールメタンスルフィニル誘導体は、単一の鏡像異性体として又は鏡像異性的に富んだ形態で得られ、より直接的には古典的なキラル分割法を経由しなくてもよい。
本発明はまた、単一の鏡像異性体として又は鏡像異性的に富んだ形態でアリールメタンスルフィニルアセトアミドを製造するためのいくつかの方法を提供する。好都合には、これらの工程は、出発原料として適切なアリールアルコール又はチオールを用いた場合、3工程又はそれより少ない回数に限定される。
発明の詳細な説明
アリールメタンスルフィニル誘導体前駆体、特に酢酸アリールメタンスルフィニル、そのアミド及びエステルの不斉酸化は、塩基の存在下でのチタンキラル複合体を介した反応を達成することによって、96%の及びそれを超えた非常に高いエナンチオ選択性を有して達成され得ることが見出される。
第一の実施態様において、本発明は、単一の鏡像異性体として又は鏡像異性的に富んだ形態で、式(I):
Figure 0005698201
[式中、
Arは、
Figure 0005698201
{式中、
U、V及びWは、結合、CH2、CR2324、O、S(O)y、NR11、C(=O)、CHOH、CHOR14、C=NOR14又はC=NNR1213から独立して選択され;
環A、B及びCは、H、F、Cl、Br、I、OR22、NR2324、NHOH、NO2、CN、CF3、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C7シクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、フェニル、5若しくは6員のへテロアリール、アリールアルキル、C(=O)R22、CO222、OC(=O)R22、C(=O)NR2324、NR21C(=O)R22、NR21CO222、OC(=O)NR2324、及びNR21C(=S)R22から選択される1〜3個の基で場合により置換され;
環Dは、C1−C6アルキル、フェニル、及び5〜10員のヘテロアリールから選択される1個の基で場合により置換され;
Xは、結合、O、NR11、OC(R222、C(R222O、C(R222NR21、NR21C(R222、C(=O)NR21、NR21C(=O)、S(O)2NR22、NR22S(O)2、C(R222C(R222、CR21=CR21、C≡Cであり;
2は、H、F、Cl、Br、I、OR16、NR1718、NHOH、NO2、CN、CF3、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C7シクロアルキル、アルキニル、C(=O)R16、CO216、OC(=O)R16、C(=O)NR1718、NR15C(=O)R16、NR15CO216、OC(=O)NR1718及びNR15C(=S)R16から選択され、
あるいは、2個のR2基が組み合わさって、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はプロピレンジオキシ基を形成してもよく;
Ar1は、0〜5個のR3によって場合により置換されるC6−C10アリール;0〜5個のR3によって場合により置換されるC5−C10シクロアルケニル;0〜5個のR3によって場合により置換されるC5−C10員のヘテロアリール基(ここで、前記へテロアリールはN、O、S又はSeから選択される1、2若しくは3個のヘテロ原子を含む)
(式中、
3は、H、F、Cl、Br、I、OR16、OCF3、NR1718、NHOH、NO2、CN、CF3、CH2OR16、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C7シクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、フェニル、5若しくは6員のヘテロアリール、C7−C10アリールアルキル、C(=O)R16、CO216、OC(=O)R16、C(=O)NR1718、NR15C(=O)R16、NR15CO216、OC(=O)NR1718、NR15C(=S)R16、及びNR15S(=O)216から選択され、
あるいは、2個のR3基が組み合わさって、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基又はプロピレンジオキシ基を形成してもよい)}
であり;
Yは、C1−C6アルキレンであり;
1は、CN、C(=O)R14、CO211、C(=O)NR1213、C(=O)NR21OR22、C(=NR11)NR1213、OC(=O)R11、OC(=O)NR1213、NR1213、NR21NR1213、NR21C(=O)R14、NR21C(=O)NR1213、NR21S(O)211、NR21S(O)2NR1213から選択され;
11は、出現するごとに、H、C1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、C6−C10アリール、アリールアルキルから独立して選択され、ここで、前記アルキル、アリール、アリールアルキル基は1〜3個のR20基で場合により置換され;
12及びR13は、出現するごとに、H、C1−C6アルキル、C6−C10アリール、及びNR2324から各々独立して選択され、又はR12及びR13は、それらに結合している窒素と一緒になって、3〜7員の複素環を形成し、ここで、前記アルキル及びアリール基並びに複素環は、1〜3個のR20基で場合により置換され;
14は、出現するごとに、C1−C6アルキル、C6−C10アリール及びアリールアルキルから独立して選択され、ここで、前記アルキル、アリール及びアリールアルキル基は、場合により置換され;
15は、出現するごとに、H、C1−C6アルキルから独立して選択され;
16は、出現するごとに、H、C1−C6アルキル及びC6−C10アリールから独立して選択され、ここで、前記アルキル及びアリール基は、1〜3個のR20基で場合により置換され;
17及びR18は、出現するごとに、H、C1−C6アルキル及びC6−C10アリールから各々独立して選択され、又はR17及びR18は、それらに結合している窒素と一緒になって、3〜7員の複素環を形成し、ここで、前記アルキル及びアリール基並びに複素環は、1〜2個のオキソ基で場合により置換され;
20は、出現するごとに、F、Cl、Br、I、OR22、NR2324、NHOH、NO2、CN、CF3、1〜3個のOHによって場合により置換されるC1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C7シクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、0〜1個のOR25によって置換されたフェニル、5〜6員のヘテロアリール、アリールアルキル、=O、C(=O)R22、CO222、OC(=O)R22、C(=O)NR2324、NR21C(=O)R22、NR21CO222、及びOC(=O)NR2324から独立して選択され;
21は、出現するごとに、H及びC1−C6アルキルから独立して選択され;
22は、出現するごとに、H、C1−C6アルキル、C1−C6アルキル−OH及びC6−C10アリールから独立して選択され;
23及びR24は、出現するごとに、H、C1−C6アルキル及びC6−C10から各々独立して選択され、又はR23及びR24は、それらに結合している窒素と一緒になって、1〜3個のオキソ基で場合により置換される3〜7員の複素環を形成し;
25は、出現するごとに、H、F、Cl、Br、C1−C6アルキル及びC1−C6アルキルオキシから独立して選択され;
xは、1、2、3又は4であり;
yは、0、1又は2である]
で表されるスルホキシド化合物を製造する方法であって、
a)式(II):
Figure 0005698201
(式中、Ar、Y及びR1は、上記で定義される通りである)
で表されるプロキラル硫化物を金属キラルリガンド複合体、塩基及び酸化剤と有機溶媒中で接触させる工程;そして、場合により
b)得られた式(I)のスルホキシドを分離する工程
を含む。
この方法は、一般的に約80%超の鏡像体過剰率を有する式(I)のスルホキシドを製造することを可能にする。好都合には、好ましい鏡像体過剰率は、80%超、好ましくは90%超、より好ましくは95%超、そして最も好ましくは99%超である。
この方法はまた、90%より高い純度、好ましくは98%より高く、より好ましくは99%を超えている式(I)のスルホキシドを製造することも可能にする。
鏡像異性体の対に関して、鏡像異性体E2と比較した鏡像異性体E1の鏡像体過剰率(ee)は、下記の方程式:
%鏡像体過剰率={(E1−E2)/(E1+E2)}×100
を用いて計算することができる。
E1とE2の相対量は、キラルHPLC(高速液体クロマトグラフィー)によって決定することができる。
純度は、スルホンのような副産物、及び未反応の硫化物を顕著に含むかもしれない他の材料の量と比較した鏡像異性体E1及びE2の量を意味する。純度は、同様にHPLCによって決定してもよい。
本明細書中で使用されるとき、用語「約」は、特定の値の値±10%の範囲を意味する。例えば、「約20」は、20の±10%、即ち、18〜22を含む。
本明細書中で使用するとき、用語「金属キラルリガンド複合体」は、金属化合物、キラルリガンド、及び場合により水から構成される複合体を意味する。
用語「キラルリガンド」は、少なくとも1個のキラル中心を含み、及び絶対配置を有する基である。キラルリガンドは、平面偏光の(+)又は(−)回旋を有する。
本明細書中で使用されるとき、用語「アルキル」は、直鎖又は分岐した1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソアミル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、3−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、ヘキシル等を意味する。アルコキシ、アルコキシカルボニル及びアルキルアミノカルボニル基のようなアルキル含有基のアルキル部分は、上記で定義したアルキルと同じ意味をもつ。低級アルキル基が好ましく、1〜4個の炭素を含有する上記で定義したアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチルである。例えば、「C1−C4アルキル」のような記号表示は、1〜4個の炭素原子を含有するアルキルラジカルを意味する。
本明細書中で使用されるとき、用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する直鎖又は分岐した2〜6個の炭素原子の炭化水素基を意味する。記号表示「C2−C6アルケニル」は、2〜6個の炭素原子を含有するアルケニルラジカルを意味する。アルケニル基の例には、限定されないが、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、ペンテニル、2,4−ペンタジエニル等が含まれる。好ましいアルケニル基は、エテニル及びプロペニルを含む。
本明細書中で使用されるとき、用語「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖又は分岐した2〜6個の炭素原子の炭化水素基を意味する。記号表示「C2−C6アルキニル」は、2〜6個の炭素原子を含有するアルキニルラジカルを意味する。例には、限定されないが、エチニル、プロピニル、イソプロピニル、3,5−ヘキサジイニル等が含まれる。
本明細書中で使用されるとき、用語「アルキレン」は、2個の水素原子の除去によって形成される1〜6個の炭素原子の飽和又は不飽和の、分岐した又は直鎖の炭化水素を意味する。「C1−C4アルキレン」のような記号表示は、1〜4個の炭素原子を含有するアルキレンラジカルを意味する。例には、限定されないが、メチレン(−CH2−)、エチレン(−CH2CH2−)、エチリデン(−CH(CH3)−)、プロピレン(−CH2CH2CH2−)、イソ−プロピレン(−CH(CH3)CH2−)、プロピリデン(−CH(CH2CH3)−)、ブチレン(−CH2CH2CH2CH2−)等が含まれる。
本明細書中で使用されるとき、用語「シクロアルキレン」は、2個の水素原子の除去によって形成される3〜10個の炭素原子を含有する飽和した又は部分的に飽和した単環式又は二環式のアルキル環系を意味する。「C3−C6シクロアルキレン」のような記号表示は、3〜6個の環炭素原子を含有するシクロアルキルラジカルを意味する。好ましいシクロアルキレン基は、3、4、5又は6個の環炭素原子を含有する基を含む。シクロアルキレン基の例には、シクロプロピレン(−C34−)、シクロブチレン(−C46−)、シクロペンチレン(−C58−)、シクロペンテニレン(−C56−)、シクロヘキシレン(−C610−)、及びシクロヘキセニレン(−C68−)のような基が含まれる。
本明細書中で使用されるとき、用語「フェニレン」は、除去された付加的な水素原子を有するフェニル基、即ち、(−C64−)の構造を有する部分を意味する。
本明細書中で使用されるとき、用語「炭素環」、「炭素環式の」又は「カルボシクリル」は、飽和した、部分的に飽和した又は不飽和であって、3〜10個の環炭素原子を含有する置換又は未置換の安定な単環式又は二環式炭化水素環系を意味する。したがって、炭素環式基は、芳香族又は非芳香族であってもよく、本明細書中で定義したシクロアルキル及びアリール化合物を含む。炭素環式基の環内炭素原子を連結する結合は、一重、二重、三重又は縮合した芳香族部分の部分であってもよい。
本明細書中で使用されるとき、用語「シクロアルキル」は、3〜10個の炭素原子を含有する飽和した又は部分的に飽和した単環式又は二環式アルキル環系を意味する。「C3−C7シクロアルキル」のような記号表示は、3〜7個の環炭素原子を含有するシクロアルキルラジカルを意味する。好ましいシクロアルキル基は、3、4、5又は6個の環炭素原子を含有する基を含む。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ピネニル及びアダマンタニルのような基が含まれる。
本明細書中で使用されるとき、用語「シクロアルケニル」は、5〜10個の炭素原子を含有する部分的に不飽和の単環式又は二環式アルケニル環系を意味する。「C5−C10シクロアルケニル」のような記号表示は、5〜10個の環炭素原子及び1以上の二重結合を含有するシクロアルケニルラジカルを意味する。好ましいシクロアルケニル基は、5〜7個の炭素原子を含有する基を含む。シクロアルケニル基の例には、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、及びシクロヘプテニルのような基が含まれる。
本明細書中で使用されるとき、用語「アリール」は、6〜10個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の単環式又は二環式の炭化水素芳香族環系を意味する。例には、フェニル及びナフチルが含まれる。好ましいアリール基は、不飽和又は飽和のフェニル及びナフチル基を含む。縮合した環系は「アリール」の定義に含まれ、例えば、芳香族環がシクロアルキル環に縮合した環系を含む。このような縮合した環系の例には、例えば、インダン、インデン、及びテトラヒドロナフタレンを含む。
本明細書中で使用されるとき、用語「アリーレン」は、除去した付加的な水素原子を有するアリール基、即ち、2個の炭素原子を介して結合したアリール基、例えば、フェニレンを意味する。
本明細書中で使用されるとき、用語「ヘテロアリーレン」は、除去した付加的な水素原子を有するヘテロアリール基、即ち、2個の炭素原子を解して結合したヘテロアリール基;又は1個の炭素原子及び1個の窒素原子を介して結合したヘテロアリール基、例えば、ピロール−1,2−ジイルを意味する。
本明細書中で使用されるとき、用語「ヘテロシクロアルキレン」は、除去した付加的な水素原子を有するヘテロシクロアルキル基、即ち、2個の炭素原子を介して結合したヘテロシクロアルキル基、又は1個の炭素原子及び1個の窒素原子を介して結合したヘテロシクロアルキル基を意味する。
本明細書中で使用されるとき、用語「複素環」、「複素環式の」又は「ヘテロシクリル」は、環部分がO、N又はSのような少なくとも1個のヘテロ原子を含む飽和又は不飽和の炭素環式基を意味する。窒素及び硫黄のヘテロ原子は、場合により酸化されてもよく、そして、窒素原子は、非芳香族環で場合により置換されてもよい。複素環は、ヘテロアリール及びヘテロシクロアルキル基を含むことが意図される。複素環式基の例には、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサチオリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、オキサトリアゾリル、フラザニル、テトラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、プリニル、キナゾリニル、キノリル、イソキノリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチオフェニル、チアナフテニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾイソキサゾリル、シノリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、及びキノキサリニル、並びにピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラザリニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロフラニル、ジチオリル、オキサチオリル、ジオキサゾリル、オキサチアゾリル、ピラニル、オキサジニル、オキサチアジニル、及びオキサジアジニルが含まれる。
本明細書中で使用されるとき、用語「ヘテロシクロアルキル」は、1以上の環炭素原子が、少なくとも1個のヘテロ原子、例えば、−O−、−N−又は−S−によって置換される3〜7員のシクロアルキル基を意味する。ヘテロシクロアルキル基の例には、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラザリニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロフラニル、ジチオリル、オキサチオリル、ジオキサゾリル、オキサチアゾリル、ピラニル、オキサジニル、オキサチアジニル、及びオキサジアジニルが含まれる。
本明細書中で使用されるとき、用語「ヘテロアリール」は、1以上の環炭素原子が少なくとも1個のヘテロ原子、例えば、−O−、−N−、−S−又は−Se−によって置換される5〜14員の環炭素原子を含有する芳香族基を意味する。ヘテロアリール基の例には、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサチオリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、オキサトリアゾリル、フラザニル、テトラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、ピコリニル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、プリニル、キナゾリニル、キノリル、イソキノリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチオフェニル、チアナフテニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾイソキサゾリル、シンノリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、及びキノキサリニルが含まれる。縮合した環系は、「ヘテロアリール」の定義内に含まれ、例えば、芳香族環がヘテロシクロアルキル環に縮合した環系を含む。このような縮合した環系の例には、例えば、フタラミド、無水フタル酸、インドリン、イソインドリン、テトラヒドロイソキノリン、クロマン、イソクロマン、クロメン、及びイソクロメンが含まれる。
本明細書中で使用されるとき、用語「アリールアルキル」は、アリール基で置換されるアルキル基を意味する。記号表示「C7−C10アリールアルキル」は、7〜10個の炭素原子を含有するその組合せを含むアリール基で置換したアルキル基を意味する。アリールアルキル基の例には、限定されないが、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、ジフェニルエチル、ナフチルメチル等が含まれる。好ましいアリールアルキル基の例には、限定されないが、ベンジル及びフェネチルが含まれる。
1がC(=O)OHである場合、式(I)のスルホキシドは、塩として、とりわけアルカリ塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩若しくはアンモニウム塩又は医薬として許容される塩として得られてもよい。
本明細書中で使用されるとき、「医薬として許容される塩」は、このような化合物と無毒性酸又は塩付加塩との組合せから誘導される本発明の化合物の塩を含む。
酸付加塩は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸及びリン酸のような無機酸、並びに酢酸、クエン酸、プロピオン酸、酒石酸、グルタミン酸、サリチル酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、パラ−トルエンスルホン酸、コハク酸、及び安息香酸のような有機酸、そして、関連する無機酸及び有機酸を含む。
塩付加塩は、アンモニウム及びアルカリ及びアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等のような無機塩から誘導した塩、並びに脂肪族アミン及び芳香族アミン、脂肪族ジアミン、ヒドロキシアルカミン等のような塩基性有機アミンから誘導した塩を含む。即ち、本発明の塩の製造に有用なこのような塩は、水酸化アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウム、メチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、シクロヘキシルアミン、エタノールアミン等を含む。
医薬として許容される塩に加えて、他の塩は本発明に含まれる。それらは、化合物の精製、他の塩の製造、あるいは化合物又は中間体の同定及び特徴付けにおいて中間体として使用してもよい。
本発明の化合物の医薬として許容される塩はまた、種々の溶媒和物として、例えば、水、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル等と一緒に存在することができる。このような溶媒和物の混合物はまた、製造され得る。このような溶媒和物の供給源は、製造若しくは結晶化の溶媒に固有であり、あるいはこのような溶媒に付随的である結晶化の溶媒由来であり得る。このような溶媒和物は、本発明の範囲内である。
本発明はまた、本明細書中に開示した化合物の医薬として許容されるプロドラッグを包含する。本明細書中で使用されるとき、「プロドラッグ」は、患者の体内での代謝過程によって、本発明の範囲内の化学式を有する活性剤に変換される任意の化合物を含むことが意図される。プロドラッグは、無数の所望される製剤の質(例えば、溶解性、生物学的利用能、製造等)を増大することが知られるため、本発明の化合物はプロドラッグ形態で輸送されてもよい。適したプロドラッグ誘導体の選択及び製造のための慣用的な方法は、例えば、Prodrugs,Sloane,K.B.,Ed.;Marcel Dekker:New York,1992に記載され、これは、全体として参照により本明細中に援用される。
本明細書中で使用されるとき、「[...]−[...]の間」は包括範囲を意味する。
別の好ましい実施態様において、本発明は、単一の鏡像異性体として又は鏡像異性的に富んだ形態で、式(Ia):
Figure 0005698201
(式中、
Ar1は、0〜5個のR3によって場合により置換されるC6−C10アリール;0〜5個のR3によって場合により置換されるC5−C10シクロアルケニル;0〜5個のR3によって場合により置換されるC5−C10員のヘテロアリール基であり、ここで、前記ヘテロアリールは、N、O、S又はSeから選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含み、ここで、R3は、H、F、Cl、Br、I、OR16、OCF3、NR1718、NHOH、NO2、CN、CF3、CH2OR16、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C7シクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、フェニル、5又は6員のヘテロアリール、C7−C10アリールアルキル、C(=O)R16、CO216、OC(=O)R16、C(=O)NR1718、NR15C(=O)R16、NR15CO216、及びO(C=O)NR1718から選択され;その代わりに、2個のR3基が組み合わさって、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、又はプロピレンジオキシ基を形成してもよく;
Yは、C1−C6アルキレンであり;
1は、CN、C(=O)R14、CO211、C(=O)NR1213、C(=O)NR21OR22、OC(=O)R11、OC(=O)NR1213、NR1213、NR21NR1213、NR21C(=O)R14、NR21C(=O)NR1213から選択され;
2は、H、F、Cl、Br、I、OR16、NR1718、NHOH、NO2、CN、CF3、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C7シクロアルキル、C(=O)R16、CO216、OC(=O)R16、C(=O)NR1718、NR15C(=O)R16、NR15CO216、及びOC(=O)NR1718、及びNR15C(=S)R16から選択され;その代わりに、2個のR2基が組み合わさって、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、又はプロピレンジオキシ基を形成してもよく;
11は、出現するごとに、H、C1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、C6−C10アリール、アリールアルキルから独立して選択され、ここで、前記アルキル、アリール、アリールアルキル基は、1〜3個のR20基で場合により置換され;
12及びR13は、出現するごとに、H、C1−C6アルキル、C6−C10アリール、及びNR2324から各々独立して選択され、あるいはR12及びR13は、それらに結合している窒素と一緒になって、3〜7員の複素環を形成し;
14は、出現するごとに、C1−C6アルキル、C6−C10アリール、及びアリールアルキルから独立して選択され、ここで、前記アルキル、アリール及びアリールアルキル基は、1〜3個のR20基で場合により置換され;
15は、出現するごとに、H、C1−C6アルキルから独立して選択され;
16は、出現するごとに、H、C1−C6アルキル、及びC6−C10アリールから独立して選択され、ここで、前記アルキル及びアリール基は、1〜3個のR20基で場合により置換され;
17及びR18は、出現するごとに、H、C1−C6アルキル、及びC6−C10アリールから各々独立して選択され、あるいは、R17及びR18は、それらに結合している窒素原子と一緒になって、3〜7員の複素環を形成し、ここで、前記アルキル及びアリール基並びに複素環式基は、1〜2個のオキソ基で場合により置換され;
20は、出現するごとに、F、Cl、Br、I、OR22、NR2324、NHOH、NO2、CN、CF3、1〜3個のOHで場合により置換されるC1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C7シクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、0から1個のOR25によって置換されたフェニル、5又は6員のヘテロアリール、アリールアルキル、=O、C(=O)R22、CO222、OC(=O)R22、C(=O)NR2324、NR21C(=O)R22、NR21CO222、及びOC(=O)NR2324から独立して選択され;
21は、出現するごとに、H及びC1−C6アルキルから独立して選択され;
22は、出現するごとに、H、C1−C6アルキル、C1−C6アルキル−OH及びC6−C10アリールから独立して選択され;
23及びR24は、出現するごとに、H、C1−C6アルキル、及びC6−C10アリールから各々独立して選択され、あるいは、R23及びR24は、それらに結合している窒素と一緒になって、1〜3個のオキソ基で場合により置換される3〜7員の複素環式基を形成し;
25は、出現するごとに、H、F、Cl、Br、C1−C6アルキル、C1−C6アルキルオキシから独立して選択され;
xは、1、2、3又は4である)
で表されるスルホキシド化合物を製造するための方法に関し、
a)式(IIa):
Figure 0005698201
(式中、Ar1、Y、R1、R2及びxは、上記で定義される通りである)
で表されるプロキラル硫化物を金属キメラリガンド複合体、塩基及び酸化剤と有機溶媒中で接触させる工程;そして、場合により
b)得られた式(Ia)のスルホキシドを分離する工程
を含む。
好ましくは、本発明によって製造されるスルホキシドは、式(Ia)のスルホキシドであって、式中、Ar1は、0〜5個のR3によって置換されたC6−C10アリール、又は0〜5個のR3によって置換された5〜14員のヘテロアリール基であり、ここで、前記ヘテロアリール基は、N、O、S又はSeから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を含む。好ましくは、前記C6−C10アリールは、フェニルであり、そして、前記5〜14員のヘテロアリール基は、フェノキサチイニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキサゾリル、チエニル、ベンゾチエニル、(1,1−ジオキソ)−ベンゾチエニル、インドリル、フリル、ベンゾフリル、ピリジル、セレニニル、1,3−ジヒドロ−イソインドリル、ピロリル、及び2−ベンゾ[1,4]ダイオキシンから選択される。
別の好ましい実施態様において、本発明は、単一の鏡像異性体として又は鏡像異性的に富んだ形態で、式(Ib):
Figure 0005698201
(式中、
Ar1は、0〜5個のR3によって場合により置換されるC6−C10アリール;0〜5個のR3によって場合により置換されるC5−C10シクロアルケニル;0〜5個のR3によって場合により置換されるC5−C10員のヘテロアリール基であり、ここで、前記ヘテロアリールは、N、O、S又はSeから選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含み、ここで、R3は、H、F、Cl、Br、I、OR16、OCF3、NR1718、NHOH、NO2、CN、CF3、CH2OR16、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C7シクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、フェニル、5又は6員のヘテロアリール、C7−C10アリールアルキル、C(=O)R16、CO216、OC(=O)R16、C(=O)NR1718、NR15C(=O)R16、NR15CO216、及びO(C=O)NR1718から選択され;その代わりに、2個のR3基が組み合わさって、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、又はプロピレンジオキシ基を形成してもよく;
Xは、O、S(O)2、NR11、OC(R222、C(R222O、C(R222NR21、NR21C(R222、C(=O)NR21、NR21C(=O)、S(O)2NR22、NR22S(O)2、C(R222C(R222、CR21=CR21、C≡Cであり;
Yは、C1−C6アルキレンであり;
1は、CN、C(=O)R14、CO211、C(=O)NR1213、C(=O)NR21OR22、OC(=O)R11、OC(=O)NR1213、NR1213、NR21NR1213、NR21C(=O)R14、NR21C(=O)NR1213から選択され;
2は、H、F、Cl、Br、I、OR16、NR1718、NHOH、NO2、CN、CF3、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C7シクロアルキル、C(=O)R16、CO216、OC(=O)R16、C(=O)NR1718、NR15C(=O)R16、NR15CO216、及びOC(=O)NR1718、及びNR15C(=S)R16から選択され;その代わりに、2個のR2基が組み合わさって、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、又はプロピレンジオキシ基を形成してもよく;
11は、出現するごとに、H、C1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、C6−C10アリール、アリールアルキルから独立して選択され、ここで、前記アルキル、アリール、アリールアルキル基は、1〜3個のR20基で場合により置換され;
12及びR13は、出現するごとに、H、C1−C6アルキル、C6−C10アリール、及びNR2324から各々独立して選択され、あるいはR12及びR13は、それらに結合している窒素と一緒になって、3〜7員の複素環を形成し、ここで、前記アルキル及びアリール基並びに複素環式基は、1〜3個のR20基で場合により置換され;
14は、出現するごとに、C1−C6アルキル、C6−C10アリール、及びアリールアルキルから独立して選択され、ここで、前記アルキル、アリール及びアリールアルキル基は、1〜3個のR20基で場合により置換され;
15は、出現するごとに、H、C1−C6アルキルから独立して選択され;
16は、出現するごとに、H、C1−C6アルキル、及びC6−C10アリールから独立して選択され、ここで、前記アルキル及びアリール基は、1〜3個のR20基で場合により置換され;
17及びR18は、出現するごとに、H、C1−C6アルキル、及びC6−C10アリールから各々独立して選択され、あるいは、R17及びR18は、それらに結合している窒素と一緒になって、3〜7員の複素環を形成し、ここで、前記アルキル及びアリール基並びに複素環式基は、1〜2個のオキソ基で場合により置換され;
20は、出現するごとに、F、Cl、Br、I、OR22、NR2324、NHOH、NO2、CN、CF3、1〜3個のOHで場合により置換されるC1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C7シクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、0から1個のOR26によって置換され例えばフェニル、5又は6員のヘテロアリール、アリールアルキル、=O、C(=O)R22、CO222、OC(=O)R22、C(=O)NR2324、NR21C(=O)R22、NR21CO222、及びOC(=O)NR2324から独立して選択され;
21は、出現するごとに、H及びC1−C6アルキルから独立して選択され;
22は、出現するごとに、H、C1−C6アルキル、C1−C6アルキル−OH及びC6−C10アリールから独立して選択され;
23及びR24は、出現するごとに、H、C1−C6アルキル、及びC6−C10アリールから各々独立して選択され、あるいは、R23及びR24は、それらに結合している窒素と一緒になって、1〜3個のオキソ基で場合により置換される3〜7員の複素環式基を形成し;
25は、出現するごとに、H、F、Cl、Br、C1−C6アルキル、C1−C6アルキルオキシから独立して選択され;
xは、1、2、3又は4である)
で表されるスルホキシド化合物を製造するための方法に関し、
a)式(IIb):
Figure 0005698201
(式中、Ar1、X、Y、R1、R2及びxは、上記で定義される通りである)
で表されるプロキラル硫化物を金属キメラリガンド複合体、塩基及び酸化剤と有機溶媒中で接触させる工程;そして、場合により
b)得られた式(Ib)のスルホキシドを分離する工程
を含む。
好ましい実施態様において、式(Ib)のスルホキシドは、式(Ib)の化合物であって、式中、Ar1は、0〜5個のR3によって置換したC6−C10アリール基又は0〜5個のR3基によって置換した5〜14員のヘテロアリール基であり、ここで、前記ヘテロアリール基は、N、O又はSから選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む。好ましくは、前記C6−C10アリール基は、フェニル、ナフチルから選択され、そして、前記5〜14員のヘテロアリール基は、フェノキサチイニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキサゾリル、チエニル、ベンゾチエニル、(1,1−ジオキソ)−ベンゾチエニル、インドリル、フリル、ベンゾフリル、ピリジル、セレニニル、1,3−ジヒドロ−イソインドリル、ピロリル、及び2−ベンゾ[1,4]ダイオキシンから選択される。
Xは、結合、O、S(O)2、NH、OCH2、CH2O、CH2NH、NHCH、C(=O)NH、NHC(=O)、S(O)2NH、NHS(O)2、CH2CH2、CH=CH、C≡Cであり、そして、より好ましくは、Xは、O、S(O)2、NH、OCH2、CH2NH、S(O)2NHである。
別の好ましい実施態様において、本発明は、単一の鏡像異性体として又は鏡像異性的に富んだ形態で、式(Ic):
Figure 0005698201
(式中、
Uは、結合、CH2、CR2324、O、S(O)y、NR11、C(=O)、CHOH、CHOR14、C=NOR14又はC=NNR1213から選択され;
環A及びBは、H、F、Cl、Br、I、OR22、NR2324、NHOH、NO2、CN、CF3、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C7シクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、フェニル、5又は6員のヘテロアリール、アリールアルキル、C(=O)R22、CO222、OC(=O)R22、C(=O)NR2324、NR21C(=O)R22、NR21CO222、及びOC(=O)NR2324から選択される1〜3個の基で場合により置換され;
Yは、C1−C6アルキレンであり;
1は、CN、C(=O)R14、CO211、C(=O)NR1213、C(=O)NR21OR22、OC(=O)R11、OC(=O)NR1213、NR1213、NR21NR1213、NR21C(=O)R14、NR21C(=O)NR1213から選択され;
11は、出現するごとに、H、C1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、C6−C10アリール、アリールアルキルから独立して選択され、ここで、前記アルキル、アリール、アリールアルキル基は、1〜3個のR20基で場合により置換され;
12及びR13は、出現するごとに、H、C1−C6アルキル、C6−C10アリール、及びNR2324から各々独立して選択され、あるいはR12及びR13は、それらに結合している窒素と一緒になって、3〜7員の複素環を形成し、ここで、前記アルキル及びアリール基及び複素環式基は、1〜3個のR20基で場合により置換され;
14は、出現するごとに、C1−C6アルキル、C6−C10アリール、及びアリールアルキルから独立して選択され、ここで、前記アルキル、アリール及びアリールアルキル基は、場合により置換され;
20は、出現するごとに、F、Cl、Br、I、OR22、NR2324、NHOH、NO2、CN、CF3、1〜3個のOHで場合により置換されるC1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C7シクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、0から1個のOR25によって置換されたフェニル、5又は6員のヘテロアリール、アリールアルキル、=O、C(=O)R22、CO222、OC(=O)R22、C(=O)NR2324、NR21C(=O)R22、NR21CO222、及びOC(=O)NR2324から独立して選択され;
21は、出現するごとに、H及びC1−C6アルキルから独立して選択され;
22は、出現するごとに、H、C1−C6アルキル、C1−C6アルキル−OH及びC6−C10アリールから独立して選択され;
23及びR24は、出現するごとに、H、C1−C6アルキル、及びC6−C10アリールから各々独立して選択され、あるいはR23及びR24は、それらに結合している窒素と一緒になって、1〜3個のオキソ基で場合により置換される3〜7員の複素環式基を形成し;
25は、出現するごとに、H、F、Cl、Br、C1−C6アルキル、C1−C6アルキルオキシから独立して選択され;
yは、0、1又は2である)
で表されるスルホキシド化合物を製造するための方法に関し、
a)式(IIc):
Figure 0005698201
(式中、U、Y及びR1は、上記で定義される通りである)
で表されるプロキラル硫化物を金属キメラリガンド複合体、塩基及び酸化剤と有機溶媒中で接触させる工程;そして、場合により
b)得られた式(Ic)のスルホキシドを分離する工程
を含む。
好ましい実施態様において、本発明による方法によって製造されるスルホキシドは、式(Ic)のスルホキシドであって、式中、Uは、結合、CH2、O、S(O)y、NH、C(=O)、CHOH、CHOCH3、C=NOH、又はC=NNH2から選択され、そして、より好ましくは、Uは、結合、CH2、O、S(O)y、NHであり、yは、0、1又は2である。
別の好ましい実施態様において、本発明は、単一の鏡像異性体として又は鏡像異性的に富んだ形態で、式(Id):
Figure 0005698201
(式中、
V及びWは、結合、CH2、CR2324、O、S(O)y、NR11、C(=O)、CHOH、CHOR14、C=NOR14又はC=NNR1213から独立して選択され;
環Cは、H、F、Cl、Br、I、OR22、NR2324、NHOH、NO2、CN、CF3、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C7シクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、フェニル、5又は6員のヘテロアリール、アリールアルキル、C(=O)R22、CO222、OC(=O)NR22、C(=O)NR2324、NR21C(=O)R22、NR21CO222、及びOC(=O)NR2324から選択される1〜3個の基で場合により置換されてもよく;
環Dは、C1−C6アルキル、フェニル、及び5〜10員のヘテロアリールから選択される1個の基で場合により置換され;
Yは、C1−C6アルキレンであり;
1は、CN、C(=O)R14、CO211、C(=O)NR1213、C(=O)NR21OR22、OC(=O)R11、OC(=O)NR1213、NR1213、NR21NR1213、NR21C(=O)R14、NR21C(=O)NR1213から選択され;
11は、出現するごとに、H、C1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、C6−C10アリール、アリールアルキルから独立して選択され、ここで、前記アルキル、アリール、アリールアルキル基は、1〜3個のR20基で場合により置換され;
12及びR13は、出現するごとに、H、C1−C6アルキル、C6−C10アリール、及びNR2324から各々独立して選択され、あるいはR12及びR13は、それらに結合している窒素と一緒になって、3〜7員の複素環を形成し、ここで、前記アルキル及びアリール基並びに複素環式基は、1〜3個のR20基で場合により置換され、ここで、前記アルキル及びアリール基並びに複素環は、1〜3個のR20基で場合により置換され;
14は、出現するごとに、C1−C6アルキル、C6−C10アリール、及びアリールアルキルから独立して選択され、ここで、前記アルキル、アリール及びアリールアルキル基は、場合により置換され;
20は、出現するごとに、F、Cl、Br、I、OR22、NR2324、NHOH、NO2、CN、CF3、1〜3個のOHで場合により置換されるC1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C7シクロアルキル、3〜7員のヘテロシクロアルキル、0から1個のOR25によって置換されたフェニル、5又は6員のヘテロアリール、アリールアルキル、=O、C(=O)R22、CO222、OC(=O)R22、C(=O)NR2324、NR21C(=O)R22、NR21CO222、及びOC(=O)NR2324から独立して選択され;
21は、出現するごとに、H及びC1−C6アルキルから独立して選択され;
22は、出現するごとに、H、C1−C6アルキル、C1−C6アルキル−OH及びC6−C10アリールから独立して選択され;
23及びR24は、出現するごとに、H、C1−C6アルキル、及びC6−C10アリールから各々独立して選択され、あるいはR23及びR24は、それらに結合している窒素と一緒になって、1〜3個のオキソ基で場合により置換される3〜7員の複素環式基を形成し;
25は、出現するごとに、H、F、Cl、Br、C1−C6アルキル、C1−C6アルキルオキシから独立して選択され;
yは、0、1又は2である)
で表されるスルホキシド化合物を製造するための方法に関し、
a)式(IId):
Figure 0005698201
(式中、V、W、Y及びR1は、上記で定義される通りである)
で表されるプロキラル硫化物を金属キメラリガンド複合体、塩基及び酸化剤と有機溶媒中で接触させる工程;そして、場合により
b)得られた式(IId)のスルホキシドを分離する工程
を含む。
好ましい実施態様において、硫化物は、式(Id)の化合物であって、式中:
V及びWは、結合、CH2、O、NH、C(=O)、CHOH、CHOCH3、C=NOCH3又はC=NNH2、及びフェニルによって置換された環Dから独立して選択され、そして、より好ましくは、Wは結合であり、そしてVはO、NH、S、及びフェニルによって置換された環Dから選択される。
より好ましくは、R1は、CN、C(=O)R14、CO211、C(=O)NR1213、C(=O)NR21OR22及びNR1213から選択される。
最も好ましくは、R1は、CN、CO211、C(=O)NH2又はC(=O)NHOHから選択される。
好ましくは、R11基は、H、とりわけメチル、エチル、イソプロピル、ベンジル、及びトリルを含むアルキル又はアリールアルキルである。
好ましくは、Yは、CH2又はCH2CH2であり、より好ましくは、YはCH2である。
好ましくは、本発明の方法に従って製造したスルホキシド化合物は、式(Ia)及び(Ib)の硫化物である。
スルホキシドは、式(Ib)の化合物である場合、Xは、好ましくはOである。
好ましくは、Ar1は、C6−C10アリール基であり、最も好ましくは、1〜3個のR3基によって場合により置換されるフェニル基である。
好ましくは、R3基は、F、Cl、Br、I、顕著にはClである。
具体的な実施態様において、Ar1は、1又は2個のR3基によって置換され、それらのうちの1個は、フェニル環上でパラに位置していることが好ましい。
つまり、Ar1基は、フェニル、4−クロロフェニル及び3,4−ジクロロフェニル基から顕著に選択される。
好ましくは、Ar1又はAr1−Xは、フェニル環E上でオルト位に位置される。
最も好ましくは、本発明による方法によって製造されるスルホキシドは、下記のものである:
−式(Ia)で表されるスルホキシドであって、ここで、Ar1は、環E上でオルト位である4−クロロフェニルであり、R2はHであり、YはCH2であり、R1は−C(=O)NH2であり、(−)又は(+)−2−[2−(4−クロロフェニル)ベンジル]スルフィニルアセトアミドと称する;
−式(Ia)で表されるスルホキシドであって、ここで、Ar1は、環E上でオルト位であるフェニルであり、R2はHであり、YはCH2であり、R1は−C(=O)NH2であり、(−)又は(+)2−[([1,1’−ビフェニル]−2−イルメチル)スルフィニル]アセトアミドと称する;
−式(Ib)で表されるスルホキシドであって、ここで、Ar1は3,4−ジクロロフェニルであり、XはOであり、Ar1−X−基は、環E上でオルト位にあって、R2はHであり、YはCH2であり、R1は−C(=O)NH2であり、(−)又は(+)2−[2−(3,4−ジクロロフェノキシ)−ベンジル]スルフィニルアセトアミドと称する;
並びに、これらの対応する酸(R1=CO2H)及びエステル(R1=CO211)である。
工程a)
酸化反応は、有機溶媒中で実行される。驚くべきことに、溶媒は、本発明によれば、酸化のエナンチオ選択性に不可欠ではない。それ故、溶媒は、産業上の観点から適した条件並びに環境的側面に関して選ばれてもよい。適した有機溶媒は、顕著にはトルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン及び塩化メチレンであり、そして、当業者によって容易に決定され得る。環境的観点から、非塩素化溶媒が好ましい。この点について、酢酸エチル及びトルエンが特に好ましい。
金属キラルリガンド複合体の製造
金属キラルリガンド複合体は、キラルリガンド及び金属化合物から製造される。
金属化合物は、好ましくは、チタン、ジルコニウム、バナジウム又はマンガン化合物であり、より好ましくは、チタン化合物である。
つまり、好ましい金属キラルリガンド複合体は、顕著にはチタン、ジルコニウム、バナジウム又はマンガンキラルリガンド複合体であり、より好ましくはチタンキラルリガンド複合体である。
チタン化合物は、一般的には、チタン(IV)化合物、好ましくはチタン(IV)アルコキシドであり、例えば、特に、チタン(IV)イソプロポキシド又はプロポキシドである。
キラルリガンドは、チタン化合物と反応することができるキラル化合物である。このような化合物は、ヒドロキシ置換化合物(好ましくは、1より多くのヒドロキシ基を有する)から選ばれることが好ましい。つまり、キラルリガンドは、好ましくはキラルアルコール、例えば、C2−対称キラルジオール又はC3−対称キラルトリオールである。キラルアルコールは、分岐した又は分岐しないアルキルアルコール、あるいは芳香族アルコールであってもよい。
好ましいキラルリガンドは、ビナフトール、マンデル酸、ヒドロベンゾイン、酒石酸のエステル、例えば、(+)−ジアルキル−L−タートレート又は(−)−ジアルキル−D−タートレート、好ましくは(+)−ジ(C1−C4)アルキル−L−タートレート又は(−)−ジ(C1−C4)アルキル−D−タートレート、顕著には(+)−ジメチル−L−タートレート又は(−)−ジメチル−D−タートレート、(+)−ジエチル−L−タートレート又は(−)−ジエチル−D−タートレート、(+)−ジイソプロピル−L−タートレート又は(−)−ジイソプロピル−D−タートレート、(+)−ジブチル−L−タートレート又は(−)−ジブチル−D−タートレート及び(+)−ジ−tert−ブチル−L−タートレート又は(−)−ジ−tert−ブチル−D−タートレートである。(+)−ジエチル−L−タートレート及び(−)−ジエチル−D−タートレートが特に好ましい。
好ましいキラルリガンドはまた、C3−対称トリアルカノールアミン、顕著には、式(1):
Figure 0005698201
(式中、Rは、低級アルキル又はアリールであり、例えば、メチル、t−ブチル及びフェニルである)
で表されるものを含む。
好ましいキラルリガンドはまた、一般式(2a)又は(2b):
Figure 0005698201
(式中、Rは同じであり、低級アルキル又はアリール、例えば、メチル又はフェニルを表わし、あるいは、一緒に結合して、シクロヘキシルのようなシクロアルキル基を形成し;R’は低級アルキル又はアルコキシである);
Figure 0005698201
(式中、Rは低級アルキル又はNO2であり;
R’は低級アルキル又はアルコキシである)
のシッフ塩基を含む。
これらのシッフ塩基は、金属を有するキラルリガンド複合体を形成してもよく、キラル(サレン)金属複合体として知られる。
金属キラルリガンド複合体の好ましい例は、C2−対称ジオール又はC3−対称トリアルカノールアミンチタン(IV)複合体、C3−対称トリアルカノールアミンジルコニウム(IV)複合体、キラル(サレン)マンガン(III)複合体、キラル(サレン)バナジウム(IV)複合体、顕著にはFernandezら、Chem.Rev.2003;103(9):3651−3706に記載されたものである。
特に、好ましい金属キラルリガンド複合体は、チタンキラルジオール複合体であり、最も好ましくはジエチルタートレートチタン(IV)複合体である。
金属キラルリガンド複合体の化学量論は変化してもよく、本発明にとって重要でない。
特に、金属化合物と比較してキラルリガンドの比は、1〜4当量と幅があってもよく、好ましくは2当量である。
本発明の好ましい側面に従って、金属キラル複合体の製造は、さらに水を含む。実際に、金属キラルリガンド複合体における水の存在は、反応のエナンチオ選択性と関係することが見出されている。
金属キラルリガンド複合体に含まれる水の量は、チタン化合物と比較して0.1〜1当量で変化してもよい。特に好ましい実施態様において、水の量は、金属化合物と比較して0.4〜0.8当量の範囲である。
つまり、反応物を予備乾燥することは必要ではない。別の具体的な実施態様に従って、反応物の残りの湿気のみに由来する反応混合物に存在する水は十分であってもよい。
この方法で使用される金属キラルリガンド複合体の量は、重要ではない。しかしながら、プロキラル硫化物と比較して、0.50当量未満、特に0.05〜0.30当量、そして最も好ましくは0.1〜0.30当量を用いることが有利であることが見出されている。驚くべきことに、非常に低い量(例えば、0.05当量)の複合体でさえ、優れた結果を伴って本発明による方法に使用されてもよい。
金属キラルリガンドは、プロキラル硫化物の存在下、又はプロキラル硫化物が反応槽に添加される前に、製造されてもよい。
1つの好ましい実施態様に従って、金属キラルリガンド複合体の製造は、プロキラル硫化物の存在下で行われ、即ち、キラル複合体の製造のために使用される成分が導入される前に、プロキラル硫化物は反応槽に充填される。
金属キラルリガンド複合体の形成のための反応時間は、温度に依存する。
実際には、金属キラルリガンド複合体の反応速度論は、カップリング温度及び反応時間に依存するらしいことが見出されている。つまり、温度が高くなれば、反応時間は短くなる。逆に、温度が低くなれば、反応時間が長くなる。
一例として、本明細書中で使用されるとき、20〜70℃、好ましくは約40〜60℃、最も好ましくは約50〜55℃を意味する昇温で、金属キラルリガンド複合体を形成するには2時間未満が一般的に十分である。一例として、55℃で、金属キラルリガンド複合体は、約50分で形成されてもよい。より低い温度、例えば25℃で、金属キラルリガンド複合体は、約24時間で形成されてもよい。
塩基の導入
本発明による不斉酸化は、塩基の存在下で実行される。
実際には、塩基が酸化中に存在する場合、反応のエナンチオ選択性が驚くべきことに増加する。つまり、99%を超えるエナンチオ選択性が観察されてもよい。塩基の導入の順序は重要ではないが、ただし、酸化剤の前に添加される。塩基は、プロキラル硫化物の前又は後に、好ましくは金属キラルリガンド複合体が形成された後に導入されてもよい。
好ましくは、塩基は、金属キラルリガンド複合体が形成された後、かつ、プロキラル硫化物が添加された後に導入される。
別の好ましい実施態様において、塩基は、金属キラルリガンド複合体及びプロキラル硫化物と数分間、好ましくはエナンチオ選択性を増加するために酸化剤を添加する前の少なくとも3分間接触される。
本発明の好ましい実施態様によれば、塩基は、酸化反応を実行する温度で導入され、以下、「酸化温度」と称する。
塩基は、反応混合物に溶解性であるべきである。好ましくは、それは、有機塩基、例えば、アミンである。特に適した塩基は、アミン、好ましくは第四級アミン、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピル−エチルアミン、ジメチル−エタノールアミン、トリエタノールアミン、及び最も好ましくは、N,N−ジイソプロピル−エチルアミン及びトリエチルアミンである。
反応混合物に添加される塩基の量は、ある種の値を超えないべきであり、これは反応のエナンチオ選択性に影響を与えるかもしれないためである。特に、2当量未満、顕著には、プロキラル硫化物と比較して0.5当量、とりわけ0.01〜2当量、好ましくは0.05〜0.5当量、最も好ましくは0.1〜0.3当量の量が有利であることが証明されている。
酸化
驚くべきことに、この方法は、Kagan及び共同研究者により記載されるように、良好なエナンチオ選択性を得るために不可欠な−20℃のような非常に低温を必要としない。この特徴は、このような低温が長期の反応時間に帰着するので特に興味深い。
しかしながら、温度は、反応物の分解及び過剰な反応時間を避けるように選ばれるであろう。
好ましい実施態様において、酸化剤は、硫化物、金属キラルリガンド複合体、及び塩基と0〜60℃、好ましくは15〜40℃の温度、より好ましくは室温、即ち約20〜25℃で接触される。
不斉酸化のための適した酸化剤は、ヒドロペルオキシド、好ましくは過酸化水素、tert−ブチルヒドロペルオキシド又はクメンヒドロペルオキシド、及び最も好ましくは後者であってもよい。
酸化剤は、満足のいく変換速度を達成するのに十分な時間であるが、得られた生産物の純度及びエナンチオ選択性に影響を与えないように長すぎない時間で他の反応物と接触した状態である。
好ましい実施態様では、酸化剤は、約30分〜3時間、他の反応物と接触した状態である。
酸化剤の量は、反応のエナンチオ選択性と比較して重要でない。しかしながら、過剰量の酸化剤は、スルホンの形成を助けることによって得られる生産物の純度に影響を与えてもよい。
硫化物アミドの量と比較して2当量未満の酸化剤の量は、一般的には好ましく、特に好ましい量は、0.8〜1.2当量、より好ましくは1.0当量である。
工程b)
酸化反応中に形成したスルホキシドは、慣用的な手法に従って分離されてもよい。
つまり、文献に記載される通り、反応混合物は、金属塩を含有するゲルの形成に帰着する水又は水酸化ナトリウム水溶液で処理されてもよい。このゲルは、ろ過され、有機溶媒を用いて十分に洗浄されてもよい。ろ過物は、有機溶媒で抽出されてもよい。所望の鏡像異性体を得るために有機溶媒又は水性溶媒で結晶化してもよい。
本発明の有利な側面によれば、得られたスルホキシドは、ろ過によって直接的に分離され、場合により水又は有機溶媒、例えば、酢酸エチル、トルエン、エタノール、塩化メチレンを用いて洗浄し得る沈殿物を形成する。好都合には、沈殿物は、結晶かつ高純度な形態である。つまり、好都合には、この方法は、上述した厄介なその後の処理を避ける。
工程c)
好ましい態様に従って、この方法は、工程b)で得られた分離された生産物の結晶化の工程c)をさらに含む。
このような結晶化工程は、分離された生産物の純度を改善し、及び/又は所望の多形相を生産し、及び/又は標的の鏡像異性体の鏡像体過剰率を改善し、及び/又は特定の粒子サイズを有するロットを得るために有用であり得る。
結晶化は、有機溶媒中、場合により水との混合物中で行われてもよい。適した有機溶媒は、顕著には、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、塩素系溶媒、極性及び非プロトン性溶媒、及びそれらの混合物、あるいは水の混合物である。
アルコールの例には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、tert−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、ベンジルアルコールが含まれる。
塩素系溶媒の中では、ジクロロメタンが記載されてもよい。
ケトン、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、シクロヘキサノンが言及されてもよい。
エーテルの中では、テトラヒドロフラン、ジオキサンが言及されてもよい。
他の適した溶媒は、当業者に容易に決定され得る。
驚くべきことに、結晶化溶媒中の水の存在は、増大した鏡像体過剰率及び純度の到達を可能にする。加えて、有機溶媒/水の混合物を用いた結晶化工程は、好都合に、この方法で利用される有機溶媒の体積の減少を可能にする。
つまり、好ましい結晶化溶媒は、アルコール性溶媒、及び有機溶媒と水との混合物であり、より好ましくは、有機溶媒と水との混合物、最も好ましくは有機溶媒と最大40%の水との混合物である。有機溶媒と最大25%の水との混合物が特に好ましい。
必要に応じて、工程b)で得られた生産物はまた、さらに鏡像異性的に富んでいてもよい。このような方法は、当該技術分野に知られ、顕著には優先晶出を含む。
つまり、本発明の好ましい実施態様において、この方法は、鏡像体過剰率を改善するための優先晶出の工程をさらに含む。
(±)モダフィン酸の優先晶出による任意の分割のこのような方法は、Frenchの特許出願WO2004/060858に記載されている。
好都合には、式(I)のスルホキシド化合物は、顕著には工程b)の最終で、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも95%、及び最も好ましくは少なくとも99%の鏡像体過剰率で得られる。
得られた鏡像異性体は、さらに、特定の粒子サイズを有するロットを製造するために処理されてもよい。ミル、シーブ、微粒子化、粉砕、重量又は密度による分離のような慣用的な方法は、当業者に既知である。
式(I)又は(Ia)、(Ib)、(Ic)及び(Id)(ここで、R1は、−C(=O)OR11、酸又はエステルである)のスルホキシド化合物の鏡像異性体は、式(I)又は(Ia)、(Ib)、(Ic)及び(Id)(ここで、R1は、−C(=O)NH2である)のスルホキシド化合物であるそれらの対応するアミドに変換されてもよい。
上記方法によって得られた酢酸アリールメタンスルフィニル又はそのエステルの鏡像異性体は、さらに、アリールメタンスルフィニルアセトアミド鏡像異性体である対応するアミドに変換されてもよい。
つまり、特定の実施態様に従って、酢酸アリールメタンスルフィニル鏡像異性体のエステルは、アミド化反応によって、顕著にはアンモニアを用いて、対応するアリールメタンスルフィニルアセトアミド鏡像異性体に変換してもよい。
それ故、酢酸アリールメチルスルフィニルは、任意の適した方法、例えば、硫酸ジメチルの存在下で、低級アルキルアルコールとの反応によってカルボン酸官能基のエステル化によって、アリールメチルスルフィニルアセトアミドに変換されてもよい。次に、得られた対応するエステルは、任意の適した方法による得られたエステルのアミド化、顕著にはアンモニアの存在によって変換されてもよい。
このような方法は、顕著には、モダフィニルに関する米国特許第4,927,855号に開示されている。
別の特定の実施態様に従って、式(I)又は(Ia)、(Ib)、(Ic)、及び(Id)(ここで、R1はCNである)のスルホキシド化合物の鏡像異性体は、それらの対応するアミド、即ち、式(I)又は(Ia)、(Ib)、(Ic)、及び(Id)(ここで、R1は−C(=O)NH2である)のスルホキシド化合物に変換されてもよい。
この変換は、当該技術分野において既知の任意の適した方法によって実現されてもよい。このような適した方法の例は、顕著には、例えば、ペルオキシドを用いて触媒性相転移による、あるいは穏やかな実験条件で適切な無機塩基又は酸を用いて塩基性又は酸性加水分解によるニトリル基の酸化又は加水分解である。
Figure 0005698201
つまり、アリールメタンスルフィニルアセトアミドの所望の鏡像異性体は、例えば、アルカリ性条件で硫酸水素テトラブチルアンモニウムの存在下で過酸化水素を用いた酸化によって、又は同様に直接的な塩基性若しくは酸性加水分解によって、適切なアリールメタンスルフィニルアセトニトリル鏡像異性体から製造されてもよい。
別の実施態様に従って、本発明によるこの方法は、当該技術分野において既知の任意の適した方法及び顕著にはUS4,098,824に開示した方法に従って製造されてもよい、式(II)又は(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)(ここで、R1は、−C(=O)NHOHである)で表されるスルフィドを使用する。
別の実施態様に従って、本発明による方法は、式(II)又は(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)(ここで、R1は−C(=O)NH2である)で表されるスルフィドを使用する。
Figure 0005698201
式(II)又は(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)で表されるスルフィドは、当該技術分野に既知の任意の適した方法によって製造されてもよい。
実施例
材料及び方法
各硫化物化合物については、鏡像体過剰率又は化学的純度の測定のための実験条件は、当該技術分野において既知の適切なクロマトグラフィー法によって設けなければならない。
開発した方法の実施例は下記の通りである:
鏡像体過剰率の測定
鏡像体過剰率の値は、得られた各々の鏡像異性体の相対量の目安を与える。この値は、2種の鏡像異性体についての相対的パーセントの間の相違として定義した。
一例として、得られたスルホキシドの鏡像異性体の組成は、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって、下記の条件:
カラム:AGP(150×4.0mm;5μm)
オーブンの温度:25℃
流速:0.8ml/分
波長:DADλ=230nm
で測定した。
一例として:
−溶離液:酢酸アンモニウム 5mM/無水エタノール(82.5/17.5v/v)
(+)及び(−)2−[2−(4−クロロフェニル)ベンジル]スルフィニルアセトアミドについての保持時間は、それぞれ4.4分及び6.8分であった。
−溶離液:酢酸アンモニウム 20mM pH5(濃酢酸)+7.5% n−プロパノール
酢酸2−[2−(4−クロロフェニル)ベンジル]スルフィニルの鏡像異性体の保持時間は、それぞれ6.8分及び9.7分であった。
あるいは、
カラム:キラルセルAD−H(150×4.6分;5μm)
オーブンの温度:25℃
溶離液:n−ヘプタン/無水エタノール 70/30(v/v)
流速:1.0ml/分
波長:DADλ=220nm
一例として、
メチル2−[2−(4−クロロフェニル)ベンジル]スルフィニルアセテート鏡像異性体の保持時間は、それぞれ7.2分及び9.2分であった。
あるいは、
カラム:AGP−キラル(150×4mm;5μm)
オーブン温度:30℃
溶離液:0.5%(v/v)ペンタン−1−オール/酢酸アンモニウム 20mM
流速:0.8ml/分
波長:DADλ=230mm
一例として、
(+)及び(−)2−[([1,1’−ビフェニル]−2−イルメチル)スルフィニル]アセトアミド鏡像異性体の保持時間は、それぞれ6.8分及び8.1分であった。
実施例における化学的純度の測定
実施例における純度の値は、存在する生産物の総量と比較して、分離後に得られた鏡像異性体の量の比として定義した。測定した試験の不純物は、主に変化していない親化合物(プロキラル硫化物)及び処理中の過剰な酸化に起因したスルホン、可能性のある分解産物、プロキラル硫化物の合成の中間体であった。
一例として、得られたスルホキシドの純度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって、下記の条件:
カラム:Zorbax Eclipse XDB C8(150×4.6mm;5μm)
オーブンの温度:25℃
溶離液:A=水+0.1% トリフルオロ酢酸
B=アセトニトリル+0.1% トリフルオロ酢酸
並びに20分で90%Aから100%Bの勾配
流速:1ml/分
波長:DADλ=220nm
一例として、
−2−[2−(4−クロロフェニル)ベンジル]スルフィニル]酢酸についての保持時間:11.0分
−2−[2−(4−クロロフェニル)ベンジル]スルホニル]酢酸についての保持時間:12.5分
−2−[2−(4−クロロフェニル)ベンジル]スルファニル]酢酸についての保持時間:14.4分
−2−[2−(4−クロロフェニル)ベンジル]スルフィニル]アセトアミドについての保持時間:10.0分
−2−[2−(4−クロロフェニル)ベンジル]スルホニル]アセトアミドについての保持時間:11.6分
−2−[2−(4−クロロフェニル)ベンジル]スルファニル]アセトアミドについての保持時間:12.9分
又は
−2−[2−(4−クロロフェニル)ベンジル]スルフィニル]アセテートについての保持時間:12.8分
−2−[2−(4−クロロフェニル)ベンジル]スルホニル]アセテートについての保持時間:14.5分
−2−[2−(4−クロロフェニル)ベンジル]スルファニル]アセテートについての保持時間:16.9分。
実施例1
(−)−2−[2−(4−クロロフェニル)ベンジル]スルフィニルアセトアミドの不斉合成
溶媒(3.5vol対チオアセトアミド)中の(S,S)−(−)−ジエチル−タートレート(2.47g;0.012mol;0.4当量)の溶液は、同溶媒の6.5vol(対チオアセトアミド)を含有する、羽根を有するリアクター中に導入した。溶液を撹拌し、50℃まで加熱して、その後、0.2当量のチタン(IV)テトライソプロポキシド(1.71g;1.77mL;0.006mol;0.2当量)及び水(混合物中で0.095当量を達するためのQSP)を添加し、1時間、50℃で撹拌し続けた。これらの条件において、得られたキラルチタン複合体は、DET/Ti(OiPr)4/H2O:2/1/0.475の化学量論を有し、そして、チオアセトアミドと比較して0.2当量に相当した。50℃で1時間撹拌後、1.0当量(8.75g;0.03mol)の2−[2−(4−クロロフェニル)ベンジル]スルファニルアセトアミドを添加し、30分間接触させた。20℃まで冷却後、引き続いて0.2当量(0.61g;0.84mL;0.006mol)のトリエチルアミンを添加し、およそ10分後、1.0当量(4.75g;5.0mL;0.03mol)のクメンヒドロペルオキシドを5分未満で添加した。
適切な時間接触させた後、形成した沈殿物をろ過によって分離し、洗浄し、そして、真空下で乾燥させた。
表1に報告されるように、実験は種々の溶媒中で行い、実験条件は、上記の一般的手法と同様であった。
Figure 0005698201
両実験において、スルホキシドアミドは、高いエナンチオ選択性(85%に等しいか又はそれを上回るe.e.)で得られた。高純度(97.4%に等しいか又はそれを上回る純度)は、上述した実験条件で、溶媒として使用したテトラヒドロフランを用いて得られた。
実施例2:要求される鏡像異性体を得るような反応混合物の処置
沈殿物が反応混合物中に観察された場合、撹拌速度を上げた。適切な沈殿時間後、沈殿物をろ過し、洗浄し、そして約30℃で真空下で乾燥させた。
沈殿しない場合、酸化反応及びエナンチオ選択性の反応速度論は、適切なHPLC法を用いて経時的に記録した。反応時間の終了時に、当該技術分野に周知の分別技術を使用して(例えば、液体−液体抽出、塩形成等)、反応の最終生成物を抽出した。
一例として:
酢酸2−[2−(4−クロロフェニル)ベンジル]スルファニルの不斉酸化によって直接的な沈殿物は形成しなかった。反応の終了時に、混合物を炭酸カリウム水溶液(0.6M)で抽出した。水相を酢酸エチルで洗浄し、HCl(4N)で酸性にした。得られた沈殿物をろ過し、水で洗浄し、そして35℃で真空下で乾燥させた。
実施例3
(−)又は(+)2−[([1,1’−ビフェニル]−2−イルメチル)スルフィニル]アセトアミドの不斉合成
酢酸エチル(27mL)中のジエチル−タートレート[(S,S)−(−)DET]又は[(R,R)−(+)DET](2.47g;0.012mol;0.4当量)の溶液を酢酸エチル(50mL)中の2−[([1,1’−ビフェニル]−2−イルメチルスルファニル]アセトアミド(7.70g;0.03mol;1.0当量)に室温で撹拌しながら添加した。混合物を油浴中で撹拌しながら完全に溶解するまで50℃まで加熱した。次に、0.2当量のチタン(IV)テトライソプロポキシド(1.71g;1.77mL;0.006mol;0.02当量)及び水(試薬及び既に導入した溶媒中に存在する水の全量を考慮して26μL)を引き続いて添加した。これらの条件において、得られたキラルチタン複合体は、DET/Ti(OiPr)4/H2O:2/1/0.5の化学量論を有し、そして、チオアセトアミドと比較して0.2当量に相当した。撹拌は、少なくとも50分間、50℃で維持した。
混合物を室温(21〜23℃)まで冷却し、トリエチルアミン(0.61g;0.83mL;0.006mol;0.2当量)及びクメンヒドロペルオキシド(4.56g;5.0mL;0.03mol;1.0当量)を引き続いて添加した。
約2時間、撹拌しながら接触後、形成した沈殿物をろ過によって分離し、酢酸エチルで洗浄した。2日間、真空下で乾燥後、キラルリガンドに依存した(−)又は(+)−2−[([1,1’−ビフェニル]−2−イルメチル)スルフィニル]アセトアミドは、それぞれ収率92.8%及び94%で得られた。
得られた結果を表2に報告した。
Figure 0005698201
記載した実験条件で、両方の鏡像異性体は、キラルリガンドとして、(S,S)−(−)−ジエチル−タートレート又は(R,R)−(+)−ジエチル−タートレートを用いて場合、高いエナンチオ選択性(94%を上回るか又はそれに等しい)、高純度(97.3%を上回るか又はそれに等しい)、及び高収率(92.8%を上回るか又はそれに等しい)で選択的に得られた。
実施例4
(−)又は(+)2−[2−(3,4−ジクロロフェノキシ)−ベンジル]スルフィニルアセトアミドの不斉合成
プロトコール1
完全に溶解するまで40℃まで加熱した溶媒(70mL)中の2−[2−(3,4−ジクロロフェノキシ)−ベンジル]スルファニルアセトアミド(12g;0.035mol;1.0当量)の溶液に、同溶媒(50mL)中の酒石酸ジエチル(2.89g;0.014mol;0.4当量)の溶液を添加し、この混合物を撹拌しながら50℃まで加熱した。次に、0.2当量のチタン(IV)テトライソプロポキシド(1.99g;2.07mL;0.007mol)及び水(反応混合物中で0.003mol、0.095当量を得るために既に導入した試薬及び溶媒に存在する水の全量を考慮して21.85μL)を引き続いて10分おきに添加した。これらの条件において、得られたキラルチタン複合体は、DET/Ti(OiPr)4/H2O:2/1/0.475の化学量論を有し、チオアセトアミド出発原料と比較して0.2当量に相当した。反応混合物の撹拌は、1時間50℃で維持した。
混合物を水浴中で室温(25℃)まで徐々に冷却し、トリエチルアミン(0.707g;0.97mL;0.007mol;0.2当量)を添加した。撹拌しながら約10分後、1・05当量のクメンヒドロペルオキシド88%(6.35g;6.1mL;0.037mol)を添加した。
約1時間、撹拌しながら接触後、形成した沈殿物をろ過によって分離し、酢酸エチルで洗浄した。
プロコール2
50℃まで加熱した溶媒(120mL)中の酒石酸ジエチル(2.89g;0.014mol;0.4当量)の溶液に、チタン(IV)テトライソプロポキシド(1.99g;2.07mL;0.007mol)及び水(反応混合物中で0.003mol、0.095当量を得るために既に導入した試薬及び溶媒に存在する水の全量を考慮して23.03μL)を引き続いて5分おきに添加した。これらの条件において、得られたキラルチタン複合体は、DET/Ti(OiPr)4/H2O:2/1/0.475の化学量論を有し、スルファニルアセトアミド出発原料と比較して0.2当量に相当した。反応混合物の撹拌は、1時間50℃で維持した。次に、2−[2−(3,4−ジクロロフェノキシ)−ベンジル]スルファニルアセトアミド(12g;0.035mol;1.0当量)を添加し、混合物を50℃で15分撹拌した。
混合物を水浴中で徐々に冷却(25〜27℃)し、0.2当量のトリエチルアミン(0.707g;0.975mL;0.007mol)を添加した。撹拌しながら約10分後、1.05当量のクメンヒドロペルオキシド88%(6.39g;6.1mL;0.037mol)を添加した。得られた(−)又は(+)スルホキシドは沈殿し始めた。約1時間半、撹拌しながら接触後、形成した沈殿物をろ過によって分離した。
4種類の異なる実験の結果を表3に報告した。
Figure 0005698201
使用した試薬の導入順序及び溶媒又はキラルリガンドは、試験した硫化物アミドの不斉酸化のエナンチオ選択性(72〜79%範囲)にほんの僅かだけ影響を与えたが、ただし、トリエチルアミンは酸化剤の前に添加した。
酢酸エチル中での追加の結晶化は、>98%鏡像体過剰率及び99.5%以上の化学的純度を有する(−)又は(+)2−[2−(3,4−ジクロロフェノキシ)−ベンジル]スルフィニルアセトアミドへと導いた。
実施例5
実施例5は、不斉酸化から得られた結晶化した最終生成物に適用し、そして、標的とした鏡像異性体の鏡像異性的に富んだ形態をえるために、及び/又は例えば初期のプロキラル硫化物及び/又はスルホンのような不純物を除去することによってより高純度を達成するために、ろ過によって分離してもよい。
鏡像異性的に富んだ(−)−2−[2−(4−クロロフェニル)ベンジル]スルフィニルアセトアミド(3.0g;0.010モル)及び溶媒(5体積)の懸濁液を撹拌しながら還流した。スルフィニルアセトアミドの溶解が不完全であれば、適切な容積の溶媒を添加して、出発原料を溶解する。30分間撹拌後、溶液を室温(25℃)まで冷却し、次に、水浴中で5分間15℃に維持した。沈殿物を真空下でろ過し、冷却した溶媒で洗浄し、そして真空下で30℃で乾燥させた。結果を表4及び5に報告した。
Figure 0005698201
Figure 0005698201
上述した実験条件において、結晶化工程は、得られたスルホキシドの純度レベルを増加させ、初期に存在する硫化物アミドのパーセントを約70%まで減少させた。

Claims (10)

  1. (−)−2−[2−(4−クロロフェニル)ベンジル]スルフィニルアセトアミド;
    +)−2−[2−(4−クロロフェニル)ベンジル]スルフィニルアセトアミド;
    (−)−2−[([1,1’−ビフェニル]−2−イルメチル)スルフィニル]アセトアミド;
    (+)−2−[([1,1’−ビフェニル]−2−イルメチル)スルフィニル]アセトアミド;
    (−)−2−[2−(3,4−ジクロロフェノキシ)−ベンジル]スルフィニルアセトアミド;及び
    (+)−2−[2−(3,4−ジクロロフェノキシ)−ベンジル]スルフィニルアセトアミド
    から選択される化合物であって、80%超の鏡像体過剰率を有する、前記化合物
  2. (−)−2−[2−(4−クロロフェニル)ベンジル]スルフィニルアセトアミドである、請求項1に記載の化合物。
  3. (+)−2−[2−(4−クロロフェニル)ベンジル]スルフィニルアセトアミドである、請求項1に記載の化合物。
  4. (−)−2−[([1,1’−ビフェニル]−2−イルメチル)スルフィニル]アセトアミドである、請求項1に記載の化合物。
  5. (+)−2−[([1,1’−ビフェニル]−2−イルメチル)スルフィニル]アセトアミドである、請求項1に記載の化合物。
  6. (−)−2−[2−(3,4−ジクロロフェノキシ)−ベンジル]スルフィニルアセトアミドである、請求項1に記載の化合物。
  7. (+)−2−[2−(3,4−ジクロロフェノキシ)−ベンジル]スルフィニルアセトアミドである、請求項1に記載の化合物。
  8. 90%超の鏡像体過剰率を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
  9. 95%超の鏡像体過剰率を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
  10. 99%超の鏡像体過剰率を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
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