JP5697943B2 - 車両用電動ファン - Google Patents
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Description
この電動モータは、ステータ支持部材であるブラケットに、励磁用の複数のコイルを巻回したステータが取り付けられ、そのステータの外周側に、内周面に複数のマグネットを取り付けた有底円筒状のロータが回転可能に配置され、各コイルにタイミングをずらして電流を流すことによってロータを回転させるようになっている。ロータの底壁部の軸心には回転軸が一体に取り付けられ、その回転軸がブラケットに軸受を介して回転自在に支持されている。
この電動モータは、ロータを回転自在に収容するモータケースの下端にケース内外を連通する水抜き孔が設けられるとともに、モータケースの下方領域の内面に、内壁を伝った水滴を水抜き孔方向に誘導するテーパ面が設けられている。
特に、アウタロータ型の電動モータを採用する車両用電動ファンにおいては、ロータが有底円筒状に形成されてその軸長が長くなる傾向にあるため、モータ全体の軸長の増大を避けるためにロータとブラケットの隙間をできる限り狭めることが望まれている。このため、アウタロータ型の電動モータを採用する車両用電動ファンでは、水浸入規制壁の付根部で凍結した水滴が水浸入規制壁とロータの間で両者に固着する可能性が高くなる。
請求項1に係る発明は、コイルを巻回したステータと、前記ステータを支持するとともに、車両のラジエータに固定されるステータ支持部材と、前記ステータ支持部材に軸受を介して回転自在に支持されるとともに、水平方向に延出する回転軸と、前記ステータの前面側と外周側を覆うように有底円筒状に形成され、周壁部にマグネットが設置されるとともに、底壁部が前記回転軸に一体回転可能に結合されるロータと、を有する電動モータと、前記電動モータによって回転駆動されるとともに、有底円筒状のファンボスと、該ファンボスの外周面から径方向外側に突出する複数の送風ブレードと、を有するファン本体と、を備えた車両用電動ファンにおいて、前記電動モータは、前記ステータ支持部材に、前記ロータの周壁部の開口側の端縁の外周を覆う略円筒状の水浸入規制壁が設けられ、前記ファンボスの周壁部の開口側の縁部は、前記水浸入規制壁の水排出部とオーバーラップするように前記水浸入規制壁の外周側に配置され、前記水浸入規制壁の内周面の鉛直下方領域に、当該水浸入規制壁の付根部と前記ロータの開口側の端縁との離間幅を部分的に拡大する凹部が設けられていることを特徴とするものである。
これにより、水浸入規制壁の内周面の鉛直下方領域に流れ込んだ水滴は凹部とロータの隙間を通して外部に排出されるようになる。また、一部の水滴は、表面張力によって凹部内の水浸入規制壁の付根部側領域に付着して残る可能性があるが、残った水滴はロータの開口側の端縁に対して大きく離間することになる。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る車両用電動ファンにおいて、前記水浸入規制壁の内周面は円形曲面に形成され、前記凹部は、前記内周面における前記付根部が所定深さだけ段差状に窪むように形成されていることを特徴とするものである。
これにより、水浸入規制壁の内周面の鉛直下方領域に流れ込んだ水滴は略V字状の溝に沿ってスムーズに外部に排出されるようになる。
したがって、この発明によれば、冷寒時においても安定した始動性能を維持することができる。
図1は、車両用電動ファン1(以下、「電動ファン1」と呼ぶ。)を鉛直方向に沿って切った断面図である。なお、図中矢印Fは、車両の前方側を指している。以下の説明においては、矢印Fの指す方向を「前」、矢印Fの指す方向と逆の方向を「後」と呼ぶものとする。
この電動ファン1は、車両のラジエータ冷却用として用いられ、図示しないラジエータの前方側に設置される。この電動ファン1は、駆動部である電動モータ2(車両用電動モータ)と、電動モータ2によって回転駆動されるファン本体3とを備えている。
また、ブラケット12の前面側の中央には円筒状のボス部12bが突設されており、そのボス部12bには、外周側でステータ11を固定する略円筒状のステータ固定パイプ17(ステータ支持部材)が取り付けられている。
水浸入規制壁25は、ブラケット12の上部外周側から、電気接点や制御ユニット15の配置されている中心側に流入しようとする水滴を外周面に沿わせて下方に滴下させ、水滴の中心方向への浸入を規制するように機能する。第1,第2円筒壁26,27は、基本的に水浸入規制壁25と同様に機能し、水滴の中心方向への浸入を二重、三重に規制するようになっている。
具体的には、回転軸13の前部側の突出領域には、軸受20Bに隣接してロータ支持部22が拡径して形成されるとともに、そのロータ支持部22に隣接してロータ支持部22よりも小径のファン固定部23が形成されている。そして、回転軸13のファン固定部23よりも先端側にはファン固定部23よりも小径の雄ねじ部24が形成されている。
また、ファンボス34の周壁部の開口側の縁部は、ブラケット12の水浸入規制壁25の外周面と一部オーバーラップするように配置されている。
これらの図に示すように、ブラケット12の最外周側に配置される水浸入規制壁25は、鉛直下方領域を除く内周面の全域が円形曲面に形成されている。この円形曲面をなす内周面の領域を、以下では内周面の一般部50と呼ぶものとする。水浸入規制壁25の内周面の鉛直下方領域には、内周面の一般部50に対して付根部側が所定深さdだけ段差状に窪む凹部51が形成されている。水浸入規制壁25の内周面は、図1に示すように、ロータ14がブラケット12に組み付けられた状態において、ロータ14の周壁部29の開口側の端縁(フランジ33を含む)に隙間をもって対峙する部分であるが、鉛直下方領域の凹部51は、一般部50に対して径方向外側に窪んでいるため、この部分ではロータ14の開口側の縁部との離間幅が他の部位(一般部50)に対して部分的に拡大している。
したがって、水浸入規制壁25の内周側に回り込んだ水滴は、図2で矢印wで示すように、水浸入規制壁25の内周面やブラケット12の垂立面、第1円筒壁26の外周面等を伝って下方に流れ落ち、下方領域の凹部51に流れ込んだ後にロータ14の開口側の縁部と凹部51の間の隙間を通して外部に排出されることになる。
なお、図2,図3において、53,54は、第1円筒壁25と第2円筒壁26の内周面の各鉛直下方領域に形成された水滴排出用のテーパ面である。
また、雨水の吹き込み等によって電動ファン1に水がかかると、その水滴の一部がファンボス34とブラケット12の隙間に入り、さらにブラケット12の水浸入規制壁25の内周側に回り込むことがあるが、この水滴は第1円筒壁26と第2円筒壁27によってさらに内側への流入を可及的に制限される。水浸入規制壁25の内周側に入り込んだ水滴は重力によって下方に流れ落ち、前述のようにロータ14の開口側の縁部と凹部51の間の隙間を通して電動ファン1の外部に排出される。
したがって、この電動モータ2では、冷寒時に固着した氷塊によってロータ14の回転が阻害されることがないため、常時安定した始動性能を維持することができる。
この実施形態の車両用電動ファン1の電動モータは、ブラケット112の水浸入規制壁25の内周面の鉛直下方領域の形状が異なるだけで、他の部位の構成や適用される電動モータの構成等は上記の実施形態と同様となっている。このため、上記の実施形態と同一部分には同一符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
この実施形態のブラケット112は、水浸入規制壁25の内周面の鉛直下方領域に、水浸入規制壁25の付根部側から延出端側に向かって下方に傾斜するテーパ溝60が設けられ、テーパ溝60の円周方向(幅方向)の中央の最も低い位置に断面略V字状の溝61が水浸入規制壁25の付根部から延出端に亙るように形成されている。この実施形態では、断面略V字状の溝61が、水浸入規制壁25の付根部とロータの開口側の端縁との離間幅を部分的に拡大する凹部を構成している。
2…電動モータ
3…ファン本体
10…コイル
11…ステータ
12,112…ブラケット(ステータ支持部材)
13…回転軸
14…ロータ
17…ステータ固定パイプ(ステータ支持部材)
25…水浸入規制壁
29…周壁部
30…マグネット
34…ファンボス
35…送風ブレード
51…凹部
61…溝(凹部)
Claims (3)
- コイルを巻回したステータと、
前記ステータを支持するとともに、車両のラジエータに固定されるステータ支持部材と、
前記ステータ支持部材に軸受を介して回転自在に支持されるとともに、水平方向に延出する回転軸と、
前記ステータの前面側と外周側を覆うように有底円筒状に形成され、周壁部にマグネットが設置されるとともに、底壁部が前記回転軸に一体回転可能に結合されるロータと、を有する電動モータと、
前記電動モータによって回転駆動されるとともに、有底円筒状のファンボスと、
該ファンボスの外周面から径方向外側に突出する複数の送風ブレードと、を有するファン本体と、を備えた車両用電動ファンにおいて、
前記電動モータは、前記ステータ支持部材に、前記ロータの周壁部の開口側の端縁の外周を覆う略円筒状の水浸入規制壁が設けられ、
前記ファンボスの周壁部の開口側の縁部は、前記水浸入規制壁の水排出部とオーバーラップするように前記水浸入規制壁の外周側に配置され、
前記水浸入規制壁の内周面の鉛直下方領域に、当該水浸入規制壁の付根部と前記ロータの開口側の端縁との離間幅を部分的に拡大する凹部が設けられていることを特徴とする車両用電動ファン。 - 前記水浸入規制壁の内周面は円形曲面に形成され、前記凹部は、前記内周面における前記付根部が所定深さだけ段差状に窪むように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用電動ファン。
- 前記凹部は、前記水浸入規制壁の付根部から延出端に亙る範囲に連続する断面略V字状の溝によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用電動ファン。
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JP2010239053A Active JP5697943B2 (ja) | 2010-10-25 | 2010-10-25 | 車両用電動ファン |
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