JP4176943B2 - 自動車用送風装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動モータの駆動軸に取付けられた遠心式ファンが回転駆動されて、その軸方向から導入された空気が、遠心式ファンの側方周囲に形成されたスクロール形状のブロア室内に流された後、エバポレータ又はヒータコアに向けて送風される自動車用送風装置に関し、特に、遠心式ファンを回転駆動する電動モータに冷却風を取り入れる構造を備えた自動車用送風装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用空気調和装置に設けられる送風装置は、車室内および/または車室外から空気を取り込んで、下流側に配置されるエバポレータ又はヒータコアに向けて送風する。
【0003】
この送風装置は、遠心式ファンが駆動軸に取付けられた電動モータを有しており、電動モータを駆動することにより遠心式ファンが回転駆動されて、例えばその上方から導入された空気が、遠心式ファンの側方周囲に形成されたスクロール形状のブロア室内に流された後、下流側に送風されるようになっている。
【0004】
この際、発熱する電動モータを冷却することが、性能や耐久性の面から望ましい。例えば、実登第2578063号公報には、スクロール形状のブロア室の底面の一部に形成された冷却風取り出し口から、ブロア室を循環する空気(冷却風)が下方に取り出され、冷却風通路を介して電動モータに導かれて、電動モータを冷却するようにした送風装置が開示されている。
【0005】
しかしながら、上記公報に開示された送風装置にあっては、ブロアケースに設けられた冷却風取り出し口は、ブロアケースの下方、すなわち電動モータの軸心方向に開口しているため、最初下方に向いている冷却風通路を、斜め方向に曲げてやることによって、電動モータの方に臨ませざるを得ない。
【0006】
このように、上記公報に開示された送風装置の冷却風通路は、曲がって形成されてしまうとともに、電動モータの軸心に対して斜めに形成されることになるため、電動モータに直接当たる冷却風の流量が比較的少なくなって、電動モータを効率よく冷却できないといった問題がある。
【0007】
また、冷却風が電動モータの軸心に対して略直角方向から取り込まれれば、冷却風が電動モータに直接当たるため、冷却効率を向上することができるが、上記公報の送風装置にあっては、冷却風通路を電動モータの軸心に略直角に形成しようとすると、冷却風通路を構成する樹脂部品を大型化せざるを得ず、製造コストの高騰を招来するといった問題がある。
【0008】
一方、送風装置の低騒音化や小型化のために、スクロール形状のブロアケースの電動モータ取り付け面側を下流側にいくにしたがって徐々に膨出する技術が、特開平01−041700号公報、特開平07−208396号公報、特開平10−252695号公報等に開示されている。
【0009】
このような電動モータ取り付け面側が徐々に膨出されたスクロール形状のブロアケースに、例えば実開昭63−105466号公報のように電動モータを支持するモータフランジ部材を、その外周部でねじ止めすることにより取り付ける構造を採用した場合、ねじ止め部分の近傍ではスクロール形状のスムーズな拡大が達成できず、ブロアケース内の途中で急激な断面変化が生じて、性能低下や騒音の原因となってしまうという問題もある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、製造コストの高騰を招来することなく、電動モータを効率良く冷却することができる自動車用送風装置を提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、スクロール形状のブロアケースにおける電動モータ取り付け面側のスムーズな膨出を損なうことなく、電動モータを支持するモータフランジ部材を取り付けることができる自動車用送風装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記する手段により達成される。
【0013】
(1)電動モータの駆動軸に遠心式ファンが取付けられ、電動モータを支持するモータフランジ部材がスクロール形状のブロアケースに取り付けられ、電動モータにより遠心式ファンが回転駆動されることにより、遠心式ファンの軸方向から導入された空気がスクロール形状のブロアケース内に流された後、エバポレータ又はヒータコアに向けて送風される自動車用送風装置において、前記ブロアケースに形成され、当該ブロアケース内を流れる冷却風を取り出して、電動モータの径方向内方に臨ませられたブロアケース側開口から冷却風を放出するブロアケース側冷却風取り出し部と、前記ブロアケース側冷却風取り出し部と係合することによってブロアケース側開口と連通するモータフランジ側開口を備え、当該モータフランジ側開口から冷却風を取り込んで、電動モータの径方向内方に向けて冷却風を導いて電動モータに取り入れる冷却風通路と、を具備し、前記モータフランジ部材はその外周部に多数の爪部および切欠き部を設け、前記ブロアケースはその内周部に多数の爪部および切欠き部を設けており、前記モータフランジ部材は回転することにより前記ブロアケースにねじり入れられて係合され、前記ブロアケース側開口と前記モータフランジ側開口とが互いに突き合わされて連通されることを特徴とする自動車用送風装置。
【0014】
(2) 前記冷却風通路は、直線状に前記モータフランジ部材に一体的に形成されていることを特徴とする上記(1)に記載の自動車用送風装置。
【0016】
(3)前記スクロール形状のブロアケースは、空気の流れ方向の下流側で、前記モータフランジ部材が取り付けられる側の底面が、電動モータの軸方向外側に膨出されていることを特徴とする上記(1)に記載の自動車用送風装置。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る自動車用送風装置の断面図である。図2(A)は、図1に示した送風装置のモータフランジ部材の側面図であり、図2(B)は、このモータフランジ部材の底面図である。図3(A)は、図1に示した送風装置のブロアケース下半体を斜め上方から視た斜視図であり、図3(B)は、図1に示した送風装置のモータフランジ部材を斜め上方から視た斜視図である。図4(A)は、図1に示した送風装置のモータフランジ部材を斜め下方から視た斜視図であり、図4(B)は、図1に示した送風装置のブロアケース下半体を斜め下方から視た斜視図である。
【0019】
図1に示すように、自動車用送風装置においては、電動モータ1の駆動軸に、遠心式ファン2が取付けられ、この遠心式ファン2の回転により、その上方から空気が取り入れられて、側方に流されるようになっている。
【0020】
電動モータ1は、モータフランジ部材3に取り付けられて支持されている。一方、遠心式ファン2の側方には、空気を循環して吐出するためのスクロール形状のブロアケース4が設けられている。
【0021】
モータフランジ部材3には、電動モータ1を収納する筒状の収納部5が形成され、この収納部5の外周には、円盤状のフランジ部6が形成されている。このフランジ部6の外周には、後述するように、ブロアケース4にねじり入れて係合するための多数の爪部7および切欠き部8が形成されている。
【0022】
ブロアケース4は、上半体4aと下半体4bとに2分割して構成され、ブロアケース上半体4aの中央部には、内気および/または外気を取り入れるための開口9が形成されている。ブロアケース下半体4bの下方内周部には、後述するように、モータフランジ部材3をねじり入れて係合するための多数の爪部10および切欠き部11が形成されている。
【0023】
モータフランジ部材3を回転することによりブロアケース4にねじり入れて係合(以下、「回転嵌合」ともいう。)する際には、ブロアケース4の爪部10および切欠き部11に、モータフランジ部材4の切欠き部8および爪部7がそれぞれ対応するように、ブロアケース4にモータフランジ部材3を配置し、次いで、モータフランジ部材3を回転する。これにより、ロアーケース4の爪部10に、モータフランジ部材4の爪部7が係止されることになり、結果的に、ブロアケース4にモータフランジ部材3がねじり入れられて係合される。
【0024】
また、スクロール形状のブロアケース4は、図4(B)に示すように、空気の流れ方向の下流側で、その底面が下方(図4(B)では上方)に膨出されている。これにより、スクロール形状の拡大をスムーズに行うことができ、効率的なスクロール形状として送風機の小型化、低騒音化に寄与することができる。
【0025】
ここで、ブロアケース4にモータフランジ部材3を回転嵌合する構造を採用したことにより、両者を例えばねじ部材により締結するための比較的大きな取り付け部を確保する必要がなくなるので、ブロアケース4の底面の膨出形成が容易となっている。但し、本発明は、ブロアケース4とモータフランジ部材3とを回転嵌合する構造に必ずしも限定されるものではなく、上記したような取り付け部を確保して例えばねじ部材により両者を締結する構造を採ることも可能である。この場合、ブロアケース4の底面の膨出形成は、上記取り付け部近傍を避けて行うとよい。
【0026】
本実施形態では、ブロアケース4には、電動モータ1を冷却するための空気(冷却風)を取り取り出すためのブロアケース側冷却風取り出し部12が形成されている。具体的には、このブロアケース側冷却風取り出し部12は、ブロアケース4内を流れる冷却風を導くための冷却風取込口13と、ここから導かれた空気を下方に向けて流すための筒状部14と、電動モータ1の径方向内方に向けて冷却風を放出するためのブロアケース側開口15とから構成されている。
【0027】
モータフランジ部材3には、ブロアケース側冷却風取り出し部12と係合することによってブロアケース側開口15と連通するモータフランジ側開口16を備え、当該モータフランジ側開口16から冷却風を取り込んで、電動モータ1の径方向内方に向けて冷却風を導いて電動モータ1に取り入れる冷却風通路17が形成されている。この冷却風通路17は、電動モータ1の径方向に延在して、直線状にモータフランジ部材3に一体的に形成されている。
【0028】
また、モータフランジ部材3の外周に、スクロール形状のブロアケース4が回転嵌合されると、ブロアケース側開口15とモータフランジ側開口16とが自動的に互いに突き合わされて連通されるように構成されている。なお、モータフランジ部材3およびブロアケース4の、相互に回転されることにより当接される周方向に垂直な面には、図示しないシール部材を貼着するのが望ましい。
【0029】
そして、これら両開口15,16の突き合わせ部は、取付ビス18(図1参照)により固定されている。したがって、冷却風取込構造部のみならずモータフランジ部材3とブロアケース4との組立がきわめて容易となる。しかも、モータフランジ部材3とブロアケース4とは、回転嵌合により、電動モータ1の軸方向に相互に位置決め保持されるので、取付ビス18は、両開口15,16の突き合わせ部を固定するための1箇所で済ますことが可能となっている。なお、ブロアケース側開口15とモータフランジ側開口16との突き合わせ部の固定方法は、取付ビス18に限定されるものではなく、一方に形成された爪部を他方に形成された穴部に係止させる等、他の固定方法を用いることも可能である。
【0030】
次に、このように構成された自動車用送風装置の作用について説明する。
【0031】
まず、電動モータ1により遠心式ファン2が回転されると、遠心式ファン2の上方から車室内および/または車室外の空気が取り入れられる。この空気は、遠心式ファン2の側方に流され、スクロール形状のブロアケース4内を通過して、図示しないエバポレータ又はヒータコアに向けて送風される。
【0032】
そして、ブロアケース4内を流れる空気の一部が、電動モータ1を冷却するための冷却風として、図1の矢印で示すように、冷却風取込口13を経て、ブロアケース側冷却風取り出し部12から取り出される。この冷却風は、電動モータ1の径方向内方に臨ませられたブロアケース側開口15からモータフランジ側開口16を経て、直線状の冷却風通路17により電動モータ1の径方向内方に向けて流されて、電動モータ1に取り入れられる。
【0033】
このように本実施形態によれば、冷却風が電動モータ1の軸心に対して略直角方向から取り込まれ、この冷却風が直線状に流されて、電動モータ1に直接当てられるため、電動モータ1に直接当たる冷却風流量を多くすることができ、電動モータ1を効率良く冷却することができる。ひいては、電動モータ1の寿命の目安であるブラシ温度や軸受部の温度を低くすることが可能となり、電動モータ1の寿命を向上することができる。
【0034】
また、冷却風通路17が直線状にモータフランジ部材3に一体的に形成されているため、モータフランジ部材3の樹脂成形時、容易にスライドさせることにより型抜きをすることができるとともに、部品点数を削減することができ、組立も容易となって、製造コストの低減を図ることができる。
【0035】
なお、以上説明した実施形態は、本発明を限定するために記載されたものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。
【0036】
例えば上記実施形態では、冷却風通路17をモータフランジ部材3に一体的に形成したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、冷却風通路17をモータフランジ部材3とは別体で形成して、電動モータ1の径方向に延在するように取り付けることも可能である。
【0037】
また、上記実施形態では、内気および/または外気を取り入れる開口9を、スクロール状のブロアケースの電動モータ取り付け面と反対側の面のみに形成した構造が示されているが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。すなわち、例えばモータフランジ部材3に、内気および/または外気を取り入れる開口をさらに別途形成して、遠心式ファンの軸方向両側から空気を吸い込み可能な構造とすることも可能である。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、ブロアケース側冷却風取り出し部から取り出された冷却風は、電動モータの径方向内方に臨ませられたブロアケース側開口からモータフランジ側開口を経て、冷却風通路により電動モータの径方向内方に向けて流されて電動モータに取り入れられる。即ち、冷却風が電動モータの軸心に対して略直角方向から取り込まれ、この冷却風が電動モータに直接当てられるため、電動モータに直接当たる冷却風流量を多くすることができ、電動モータを効率良く冷却することができる。また、請求項1に記載の発明によれば、モータフランジ部材は、回転することによりブロアケースにねじり入れられて係合され、ブロアケース側開口とモータフランジ側開口とが互いに突き合わされて連通されるようにしたので、組立がきわめて容易となり、しかも、ブロアケース側開口とモータフランジ側開口との突き合わせ部を固定するには、例えば取付ビスで1箇所ねじ止めするだけで済ますことができる。
【0039】
請求項2に記載の発明によれば、冷却風通路が直線状に形成されているので、電動モータの軸心に対して略直角方向から取り込まれた冷却風は、直線状に流されて電動モータに直接当てられ、電動モータに直接当たる冷却風流量をより多くすることができ、電動モータを一層効率良く冷却することができる。ひいては、電動モータの寿命の目安であるブラシ温度や軸受部の温度を低くすることができ、電動モータの寿命を向上することができる。
【0040】
また、冷却風通路が直線状にモータフランジ部材に一体的に形成されているため、モータフランジ部材の樹脂成形時、容易にスライドさせることにより型抜きをすることができるとともに、部品点数を削減することができ、組立も容易となって、製造コストの低減を図ることができる。
【0042】
請求項に記載の発明によれば、スクロール形状のブロアケースは、空気の流れ方向の下流側で、モータフランジ部材が取り付けられる側の底面が、電動モータの軸方向外側に膨出されているので、スクロール形状の拡大をスムーズに行うことができ、効率的なスクロール形状として送風機の小型化、低騒音化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る自動車用送風装置の断面図である。
【図2】 (A)は、図1に示した送風装置のモータフランジ部材の側面図であり、(B)は、このモータフランジ部材の底面図である。
【図3】 (A)は、図1に示した送風装置のブロアケース下半体を斜め上方から視た斜視図であり、(B)は、図1に示した送風装置のモータフランジ部材を斜め上方から視た斜視図である。
【図4】 (A)は、図1に示した送風装置のモータフランジ部材を斜め下方から視た斜視図であり、(B)は、図1に示した送風装置のブロアケース下半体を斜め下方から視た斜視図である。
【符号の説明】
1…電動モータ、
2…遠心式ファン、
3…モータフランジ部材、
4…ブロアケース、
12…ブロアケース側冷却風取り出し部、
15…ブロアケース側開口、
16…モータフランジ側開口、
17…冷却風通路、
18…取付ビス。

Claims (3)

  1. 電動モータ(1)の駆動軸に遠心式ファン(2)が取付けられ、電動モータ(1)を支持するモータフランジ部材(3)がスクロール形状のブロアケース(4)に取り付けられ、電動モータ(1)により遠心式ファン(2)が回転駆動されることにより、遠心式ファン(2)の軸方向から導入された空気がスクロール形状のブロアケース(4)内に流された後、エバポレータ又はヒータコアに向けて送風される自動車用送風装置において、
    前記ブロアケース(4)に形成され、当該ブロアケース(4)内を流れる冷却風を取り出して、電動モータ(1)の径方向内方に臨ませられたブロアケース側開口(15)から冷却風を放出するブロアケース側冷却風取り出し部(12)と、
    前記ブロアケース側冷却風取り出し部(12)と係合することによってブロアケース側開口(15)と連通するモータフランジ側開口(16)を備え、当該モータフランジ側開口(16)から冷却風を取り込んで、電動モータ(1)の径方向内方に向けて冷却風を導いて電動モータ(1)に取り入れる冷却風通路(17)と、を具備し、
    前記モータフランジ部材(3)はその外周部に多数の爪部(7)および切欠き部(8)を設け、前記ブロアケース(4)はその内周部に多数の爪部(10)および切欠き部(11)を設けており、
    前記モータフランジ部材(3)は回転することにより前記ブロアケース(4)にねじり入れられて係合され、前記ブロアケース側開口(15)と前記モータフランジ側開口(16)とが互いに突き合わされて連通されることを特徴とする自動車用送風装置。
  2. 前記冷却風通路(17)は、直線状に前記モータフランジ部材(3)に一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車用送風装置。
  3. 前記スクロール形状のブロアケース(4)は、空気の流れ方向の下流側で、前記モータフランジ部材(3)が取り付けられる側の底面が、電動モータ(1)の軸方向外側に膨出されていることを特徴とする請求項に記載の自動車用送風装置。
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