JP5697448B2 - 膀胱癌の検出のための新規なマーカー - Google Patents

膀胱癌の検出のための新規なマーカー Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
[発明の分野]
本発明は、遺伝子のパネルのメチル化状態若しくは発現レベル又はその組合せを決定することを含む、癌細胞の存在、又は癌細胞由来のゲノムDNAの存在を検出するための方法及びキットに関する。特に、本発明は、膀胱癌の検出に関する。本発明はまた、癌に適した治療レジメンを決定するための薬理遺伝学的方法、及び癌患者を治療するための方法に関する。
[発明の背景]
分子的証明により、癌が、異常な遺伝子サイレンシング又は遺伝子活性化及び細胞機能障害をもたらし得る遺伝的及びエピジェネティックな異常の蓄積の段階的なプロセスであるという概念が支持されている。遺伝的プロセスとエピジェネティックなプロセスとの相乗効果は、腫瘍の進行及び悪性腫瘍を促進する。
エピジェネティックスは、遺伝子の一次ヌクレオチド配列における改変以外のメカニズムによって仲介される、成長及び細胞増殖の際に生じる遺伝子発現能力における安定な改変として説明され得る。遺伝子発現におけるエピジェネティックな改変を生じさせる3つの関連するメカニズムは、DNAのメチル化、ヒストンのコードの変化、及びRNA干渉である。
DNAのメチル化は、ヒトにおける主なエピジェネティック修飾である。これは、メチルトランスフェラーゼと呼ばれる酵素により行われるDNAの化学的修飾であり、この修飾において、メチル基(m)がDNAにおける特定のシトシン(C)残基に付加される。哺乳動物において、メチル化は、グアノシン残基に隣接しているシトシン残基においてのみ、すなわち、配列CG又はCpGジヌクレオチドにおいてのみ生じる。正常な細胞において、メチル化は、CG塩基の反復がほとんどないDNA領域において主に生じ、一方、CG塩基の長い反復を有するDNA領域であるCpGアイランドはメチル化されないままである。タンパク質の発現を制御する遺伝子プロモーター領域は、CpGアイランドに富んでいることが多い。プロモーター領域における、これらの通常はメチル化されていないCpGアイランドの異常なメチル化により、ヒトの癌における特定の機能的遺伝子の転写の不活性化又はサイレンシングが生じる(Jones、2002年)。
癌の検出のための診断マーカーが記載されてきている。免疫学的マーカーと遺伝子マーカーとは区別され得る。遺伝子マーカーは、特徴的な遺伝子における、特に腫瘍抑制遺伝子における突然変異の検出に基づいたものである。より最近では、DNAメチル化のマーカーが、突然変異マーカーと比較して一定の利点をもたらすため、癌を検出するための潜在的な遺伝子マーカーとして評価されている。最も重要な特徴の1つは、それらが癌の成長の早期で生じ、多くの場合に組織型特異的及び腫瘍型特異的であることである(Estellerら、2001年)。さらなる利点は、メチル化のプロフィールが、精製された単離DNAにおいて保たれること、及び、メチル化の変化が、多くの場合において、明らかな悪性腫瘍の前に生じると思われることである。さらに、メチル化のマーカーは、治療に対する感受性又は患者の生存期間を反映することが多いため、予測の目的で用いることができる。これらの特徴は全て、癌の検出及び治療の改良で適用される。
初期の診断は、多くのタイプの癌の治療の成功にとって重要である。従来の診断方法(例えば、細胞学、組織病理学、免疫組織化学、血清学など)は有用であるが、分子マーカーはさらに腫瘍を下位分類し得、癌に対する素因を同定し得る。腫瘍の正確なメチル化プロフィールが利用可能であり、特定の遺伝子を標的化する薬剤が入手可能である場合、癌の治療はさらに集中的及び合理的なものとなり得る。したがって、新規なメチル化マーカーの検出及びマッピングは、癌の予防、スクリーニング、及び治療を改良するための必須の段階である。
毎年、アメリカ合衆国及び欧州連合において、膀胱癌は16万を超える人において診断され、その結果、4万8千を超える人が死亡している。早期の膀胱癌の5年生存率は高いが、治療後、25%超で疾患が進行し、約70%が再発又は進行する。尿細胞診及び膀胱鏡検査は、膀胱癌の検出及び監視のための現在の標準治療である。膀胱鏡検査は非常に感度が高いが、侵襲的で、高価で、且つ患者に多大なる不快感を与えるものである。尿細胞診は、非侵襲的な検出のために最も広く用いられている方法であり、最大100%の特異性を有する。残念ながら、この方法はその感度に限度があり、この感度は、悪性度の低い膀胱腫瘍では特に低い。
排泄された尿における腫瘍細胞の検出のためのいくつかの方法が報告されている。しかし、これらの尿試験のいずれも、特異性が低いために膀胱鏡検査の代わりにはなり得ない。異なる膀胱癌検出法を組み合わせると感度が向上することが示されているが、残念ながら、その分、特異性が低下する(Lotan Yら、2003年)。
線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)遺伝子における突然変異の活性化は、原発性膀胱腫瘍の50%超において報告されている(van Rhijn BWGら、2003年)。膀胱癌において見られる体細胞突然変異のほとんどは、致死性骨異形成及び軟骨形成不全などの骨格障害の原因である生殖細胞株の突然変異と同一である(van Rhijin BWGら、2002年)。FGFR3の突然変異は、病期及び悪性度が低い膀胱腫瘍において非常に多いことが報告されており、このことは、この突然変異が侵襲性の膀胱癌よりも表在性の膀胱癌においてより頻繁に生じることを示している(Billerey Cら、2001年)。最近では、単一ヌクレオチドの変化の検出に基づいた、FGFR3突然変異の分析のための新たな方法の開発が、van Oersらにより記載されている。この方法を用いて、9個の最も一般的な突然変異が、1つのアッセイにおいて同時に検出され得る。
Ulazziら(Molecular Cancer 2007年、6:17頁)は、結腸及び胃の癌細胞株におけるナイドジェン(nidogen)遺伝子のメチル化について記載している。
[発明の簡単な説明]
特許請求の範囲に記載される本発明は、そのメチル化状態が膀胱癌に対する素因又は膀胱癌の発生に関連する、特異的な遺伝子及び遺伝子パネルの発見に基づくものである。膀胱癌を検出するためのこれらの遺伝子の使用は、特に適切な組織又は尿サンプルとの関連で、感度及び特異性が高い結果をもたらすことが示されている。
したがって、本発明は、サンプルにおける膀胱癌に対する素因又は膀胱癌の発生を検出する方法であって、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子におけるエピジェネティックな変化を検出することを含み、エピジェネティックな変化の検出が膀胱癌に対する素因又は膀胱癌の発生の指標である方法を提供する。
検出される、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子における最も好ましいエピジェネティックな変化は、メチル化を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。特に、1つ又は複数の遺伝子の過剰メチル化と呼ぶことができる異常なメチル化が検出される。
したがって、本発明は、好ましくは、サンプルにおける膀胱癌に対する素因又は膀胱癌の発生を検出する方法であって、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子におけるエピジェネティックなサイレンシングを検出することを含み、少なくとも1つの遺伝子のエピジェネティックなサイレンシングが遺伝子のメチル化状態の決定によって検出され、遺伝子のメチル化が膀胱癌に対する素因又は膀胱癌の発生の指標である方法を提供する。
発癌のプロセスの初期に生じるメチル化の変化は、スクリーニングの目的に理想的であるだけではなく、病期診断のモニタリングのための興味深い標的でもある。したがって、本発明はまた、サンプルにおける膀胱癌の組織病理学的病期を決定するための方法であって、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子におけるエピジェネティックな変化を検出することを含み、エピジェネティックな変化の検出が膀胱癌の組織病理学的病期の指標である方法を提供する。
遺伝子機能のエピジェネティックな喪失は、DNA脱メチル化剤及び/又はDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤及び/又はHDAC阻害剤の使用によって回避することができる。1つの態様において、本発明は、DNA脱メチル化剤及び/又はDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤及び/又はHDAC阻害剤を用いた膀胱癌の治療が成功する可能性を予測するための方法であって、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子におけるエピジェネティックな変化を検出することを含み、エピジェネティックな変化の検出が、エピジェネティックな修飾が検出されない場合よりも治療が成功する可能性が高いことの指標である方法を提供する。
逆の状況では、本発明は、DNA脱メチル化剤及び/又はDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤及び/又はHDAC阻害剤を用いた膀胱癌の治療に耐性がある可能性を予測するための方法であって、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子におけるエピジェネティックな変化を検出することを含み、エピジェネティックな変化の検出が、エピジェネティックな修飾が検出されない場合よりも治療に耐性がある可能性が低いことの指標である方法を提供する。
膀胱癌は、移行細胞癌又は扁平上皮細胞癌を含むと定義される。遺伝子機能のエピジェネティックな喪失から、癌のタイプに従って異なり得る治療の必要性が明らかとなり得る。したがって、本発明はまた、膀胱癌に適した治療レジメンを選択する方法であって、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子におけるエピジェネティックな変化を検出することを含み、エピジェネティックな変化が検出されると、DNA脱メチル化剤及び/又はDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤及び/又はHDAC阻害剤が治療に選択され、エピジェネティックな変化が検出されない場合は、DNA脱メチル化剤及び/又はDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤及び/又はHDAC阻害剤が治療には選択されない方法に関する。
関連する態様において、本発明は、移行細胞癌又は扁平上皮細胞癌の適切な治療を予測するための方法であって、移行細胞腫瘍又は扁平上皮細胞癌において、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子のメチル化状態を(対象から得られたサンプルにおいて)決定することを含み、少なくとも1つの遺伝子がメチル化されている場合、特に過剰メチル化されている場合には、移行細胞癌又は扁平上皮細胞癌を切除する必要性が明らかとなる方法を提供する。
逆の状況では、本発明は、移行細胞癌又は扁平上皮細胞癌の適切な治療を予測するための方法であって、移行細胞腫瘍又は扁平上皮細胞癌において、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子のメチル化状態を(対象から得られたサンプルにおいて)決定することを含み、少なくとも1つの遺伝子がメチル化されていないか又はほとんどメチル化されていない場合には、移行細胞又は扁平上皮細胞腫瘍を切除する必要性がないことが決定される方法を提供する。
さらなる関連する態様において、本発明は、対象における膀胱癌を治療する方法であって、DNA脱メチル化剤及び/又はDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤の投与を含み、対象が本発明の方法に基づいて治療に選択されている方法を提供する。
本発明はまた、サンプルにおける膀胱癌に対する素因又は膀胱癌の発生を検出するためのキットであって、
(a)NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子におけるエピジェネティックな変化を検出するための手段と、
(b)尿サンプルを処理するための手段と
を含むキットに関する。
本発明はまた、サンプルにおける膀胱癌に対する素因又は膀胱癌の発生を検出するためのキットであって、NID2、TWIST1、及びRUNX3のそれぞれのメチル化状態を決定するための少なくとも1つのプライマー対を含むキットを提供する。
本発明はさらに、本明細書に記載されている本発明の方法を実施するためのプライマー及び/又はプローブを提供し、その変異体も含まれる。
[発明の詳細な説明]
本発明は、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子におけるCpGジヌクレオチド内のシトシンが、ヒト組織癌/尿サンプルでは差次的にメチル化されており、正常なヒト組織/尿サンプルではメチル化されておらず、特に膀胱組織及び/又は尿サンプルにおいてはそれが顕著であるという発見に基づくものである。
本発明は、第1の態様において、サンプルにおける膀胱癌に対する素因又は膀胱癌の発生を検出する方法であって、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子におけるエピジェネティックな変化を検出することを含み、エピジェネティックな変化の検出が膀胱癌に対する素因又は膀胱癌の発生の指標である方法を提供する。単離において用いられ得るか、又は遺伝子パネルの一部として用いられ得る、特に有用なマーカーは、TWIST1である。この遺伝子は、本明細書において、高レベルの特異性及び感度での膀胱癌の検出を可能にすることが初めて示されている。
好ましくは、本発明は、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRからの遺伝子の少なくとも2個、3個、4個、又は5個を含む遺伝子パネルにおけるエピジェネティックな変化を検出することを伴い、パネルにおける遺伝子の少なくとも1つにおけるエピジェネティックな変化の検出は、膀胱癌に対する素因又は膀胱癌の発生の指標である。好ましくは、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRからの少なくとも2個、3個、4個、又は5個の遺伝子におけるエピジェネティックな変化が検出される。遺伝子パネルは、好ましくはTWIST1を含む。遺伝子パネルは、それに加えて、又はその代わりに、NID2及び/又はBMP7を含み得る。遺伝子パネルは、TWIST1及び/又はNID2及び/又はBMP7及び/又はRUNX3を含み得る。
特定の実施形態において、遺伝子パネルは、NID2、TWIST1、及びRUNX3を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。この3つの遺伝子のパネルは、本明細書において、高レベルの特異性及び感度での膀胱癌の検出を可能にすることが初めて示されている。具体的には、3つの遺伝子の少なくとも1つのメチル化の検出は、尿サンプルなどの適切なゲノムDNA含有サンプルにおける膀胱癌の信頼性のある指標をもたらす。遺伝子パネルは、NID2とBMP7、NID2とTJP2とBMP7、NID2とTNFRSF25とBMP7、又はNID2とBMP7とTWIST1とCCNA1とRUNX3を含み得るか、それから本質的になり得るか、又はそれからなり得る。遺伝子パネルのそれぞれにおけるエピジェネティックな変化の検出は、単一の反応で実施することができる。
「NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMR」は、ヒトゲノム国際機構により認可されている、「NID2」ナイドジェン(nidogen)2(受託番号:AB009799及びENSG0000008703)、「TJP2」タイトジャンクションタンパク質2(受託番号:NM_0004817)、「TWIST1」ツイストホモログ1(受託番号:NM_000474)、「TNFRSF25」腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーのメンバー25(受託番号:NM_148972)、「BMP7」骨形成タンパク質7(受託番号:ENSG000000101144)、「RUNX3」runt関連転写因子3(受託番号:ENST00000308873)、「CCNA1」サイクリンA1(受託番号:NM_003914)、「APC」大腸腺腫性ポリポーシス(受託番号:NM_000038)、「LOXL1」リシルオキシダーゼ様1(受託番号:ENST00000261921)、「TUBB4」チューブリンβ4(受託番号:NM_006087)、「NTRK2」神経栄養チロシンキナーゼ2型受容体(受託番号:NM_001007097)、「ARFGAP3」ADP−リボシル化因子GTPアーゼ活性化タンパク質3(受託番号:AK002083及びENSG00000100262)、「PDLIM4」PDZ及びLIMドメイン4(受託番号:ENST00000379038、NM_001719)、「RASSF1A」Ras関連(RalGDS/AF−6)ドメインファミリー1(受託番号:AC002481)、並びに「OSMR」オンコスタチンM受容体(受託番号:NM_003999)についての正式名称である。FGFR3は、線維芽細胞増殖因子受容体3についての認可された名称である(染色体4p16.3上に位置する、登録M64347)。
「遺伝子」は、指定された「遺伝子」が属するファミリーから得られるあらゆる遺伝子を意味し、本発明の全ての態様に従って、遺伝子のメチル化又は別のエピジェネティックな修飾が膀胱癌に関連するという条件で、公的に利用可能なデータベースの登録事項において見られる特定の配列だけではなく、これらの配列の転写産物及びヌクレオチド変異体も包含する。
本発明の方法は、好ましくは、試験サンプルに対して実施されるエクスビボ又はインビトロでの方法である。本方法は、非侵襲的である。本方法は、あらゆるタイプの癌、特に膀胱癌を同定するために用いることができる。
NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子のエピジェネティックなサイレンシングを検出するための「試験サンプル」は、あらゆる組織サンプル、体液、体液の沈殿物、又は洗浄標本から得ることができる。好ましくは、試験サンプルはヒト対象から得られる。診断のための使用、予後診断のための使用、又は個々に応じた医薬のための使用のための試験サンプルは、例えば、生検又は細針吸引などの外科的サンプルから、パラフィン包埋した組織から、凍結した腫瘍組織サンプルから、新鮮な腫瘍組織サンプルから、新鮮な又は凍結した体液から得ることができる。非限定的な例には、全血、骨髄、脳脊髄液、腹水、胸膜液、リンパ液、血清、血漿、尿、乳糜、便、射精物、痰、乳頭吸引液、唾液、スワブ標本、洗浄液(wash or lavage fluid)、及び/又はブラシ標本が含まれる。
好ましくは、試験サンプルはヒト対象から得られ、(移行)膀胱細胞、又は(移行)膀胱細胞から得られた核酸を含む。或いは、試験サンプルは、扁平上皮癌の膀胱細胞又は扁平上皮細胞癌から得られた核酸を含む。好ましくは、これは膀胱組織から得られる。より好ましくは、試験サンプルは尿に由来する。サンプルは、移行膀胱細胞又は扁平上皮癌の膀胱細胞から得られた核酸を含み得る。試験サンプルは、液体尿、その沈殿物、又は尿内の沈殿物に由来し得る。組織及び体液は、当技術分野において周知のあらゆる方法を用いて収集することができる。本発明に従った方法における「核酸」は、好ましくはデオキシリボ核酸(DNA)であり、特にゲノムDNAである。
尿サンプルを用いる実施形態において、尿サンプルは、あらゆる適切な手順に従って処理することができる。特定の実施形態において、本発明の方法はさらに、尿サンプルを安定化させることを含む。本明細書において、尿に適切な安定化緩衝液を添加することによって尿サンプルを安定化させることにより、サンプルを得た直後に尿サンプルを遠心分離する必要性を回避し得ることが示される。典型的には、DNAの完全性を維持するために(特に沈渣画分において)、遠心分離は、尿サンプルを得た4時間以内に行う。サンプルは、安定化緩衝液を添加した後、遠心分離を必要とせずに、最大48若しくは72時間又はそれ以上、室温で維持し得る。これにより尿サンプルの家庭での収集が有利にも可能になり、また、それぞれの収集場所での遠心分離装置の必要性がなくなる。したがって、本発明の方法は、保管期間の前又はその最中に尿サンプルが遠心分離されないか或いは分画されないという条件で、尿サンプルに安定化緩衝液を添加すること、及びこの保管期間にわたり尿を保管することを含む、最大72時間(若しくは48時間)又はそれ以上の期間、例えば少なくとも4、12、24、36、若しくは48時間、最大72時間、又はそれ以上にわたり室温で尿サンプルを都合よく保管するための方法を包含し得る。サンプル内のDNAの完全性が維持される(したがって、本発明の方法を実施することが可能となる)場合は、尿サンプルは、これらの方法に従って、72時間よりも長い期間にわたり保管することができる。保管期間の後、サンプルは次に、本発明の方法の一部として遠心分離され得る。このように遠心分離されたサンプルは、本明細書において論じられる適切な条件下、例えば4℃又は−20℃で保管することができる。これらの方法において用いるための適切な安定化緩衝液は、本明細書において記載される。あらゆる適切な安定化緩衝液を用いることができる。
安定化はあらゆる適切な手段を介して行うことができるが、好ましい実施形態において、安定化は安定化緩衝液の添加を介して生じる。安定化緩衝液は、尿サンプルにおけるDNAの完全性を維持するため及び/又は尿サンプルの質を完全なものとして維持するための適切な構成要素を包含する。したがって、本発明の方法及びキットは、EDTA及び/又はDMSO及び/又は抗菌剤及び/又はスタビラー(STABILUR)(商標)錠剤を含む、尿サンプルを保管するための安定化緩衝溶液を用い得る。具体的な実施形態において、安定化緩衝液は、EDTA、抗菌剤、及び場合によってスタビラー(商標)錠剤を含む。この溶液は、約4℃の温度又は室温などの他の温度で尿サンプルを保管するために用いることができる。関連する態様において、本発明の方法及びキットは、EDTA、DMSO、及び抗菌剤を含む、尿サンプルを保管するための安定化緩衝液を用い得る。この溶液は、凍結条件下又は室温などの他の温度で尿サンプルを保管するために用いることができる。これらの緩衝溶液は、全尿サンプルの保管に有用である。これらは、尿サンプル及び/又は典型的には(低速の)遠心分離によって生じるペレット画分から得られる、細胞を含有しないDNA成分の保管に有用である。典型的には、安定化緩衝液は、サンプルを収集した直後に尿サンプルに添加される。これはその後、本明細書において記載される方法に従って、遠心分離の前に、最大72時間又はそれ以上の期間にわたり保管される。サンプルは次に、遠心分離され得、その後、本発明の方法に従ってさらに処理され得る。遠心分離の後、サンプルの沈渣部分及び/又はペレット部分などのサンプルを次に、さらに長い期間にわたり、例えば−20℃などの温度で最大6カ月以上にわたり保管することができる。
本発明の方法において用いるための安定化緩衝液は、EDTA、抗菌剤、DMSO、及びスタビラー(商標)錠剤から選択される少なくとも1つの構成要素を含み得るか、それから本質的になり得るか、又はそれからなり得る。スタビラー錠剤は、Cargille Labsから入手可能であり、緩衝成分と浸透圧調節成分との適切な混合物を含む。CellSaveから入手可能な保存用チューブ(CellSave保存用チューブ)などの、この製品の適切な同等物を、必要に応じて用いることができる。
「抗菌剤」という用語は、1つ又は複数の細菌の成長又は生存能力に対する阻害効果を有するあらゆる化合物、分子、又はその他のものを網羅するものである。生物学的分子及び非生物学的分子の両方が、この定義に含まれる。特定の実施形態において、抗菌剤は、抗生物質を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。多くの抗生物質が当技術分野において周知であり、市販されている。抗生物質−抗真菌剤であるA5955、すなわち、Sigma−Aldrichから入手可能な100mlの抗生物質混合物などの、抗生物質の混合物を、必要に応じて用いることができる。
適切な抗菌剤には、例えば国際公開第2006/123164号パンフレット(この参考文献はその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているようなインターフェロン及びインターロイキンなどのサイトカイン並びにその誘導体及び模倣体と、「小分子」とが含まれ得る。小分子は、分子量が1500ダルトン未満、好ましくは1000ダルトン未満の分子的実体として定義される。小分子は例えば、有機、無機、又は有機金属の分子であり得、その(全体の)分子量が上記に示した範囲内にある限り、この分子はまた、水溶性の塩などの適切な塩の形態であり得、また、複合体、キレート、及び/又は類似の分子的実体でもあり得る。
具体的な実施形態において、EDTAは約10mMの最終濃度で存在し、若しくはDMSOは約10%の最終安定化緩衝液容積で存在し、又はその両方である。
(安定化緩衝液が添加されている)サンプルは、室温を含むあらゆる適切な温度で保管することができる。例えば、保管温度は、約−50℃〜約37℃のどれでもよく、好ましくは約−10℃〜−30℃、例えば約−20℃又は約1℃〜10℃、例えば約4℃である。「凍結」は0℃以下の温度を意味し、好ましくは約−20℃である。
本方法はまた、試験サンプルを得る段階を含み得る。核酸を含む組織サンプル又は液体サンプルは、溶解され得るか、又は核酸及び他の構成要素を含む生物学的化合物の混合物を得るために濃縮する必要があり得る。或いは、核酸は、例えばプロテイナーゼKでの処理により、タンパク質又は他の汚染物質を取り除く必要があり得る。生物学的サンプルを溶解又は濃縮するための手順は当業者に知られており、化学的、酵素的、又は物理的な性質のものであり得る。これらの手順の組合せも同様に適用可能である。例えば、溶解は、超音波、高圧、せん断力、アルカリ、洗浄剤若しくはカオトロピック生理食塩水、又はプロテーアゼ若しくはリパーゼを用いて行うことができる。核酸を得るための溶解手段、又はサンプルからの核酸の濃縮については、Sambrook J.ら、Molecular cloning:A Laboratory Manual、(2001年)第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York Ausubel、F.M.ら、Current Protocols in Molecular Biology(1987年)、J.Wiley及びSons、New Yorkを参照することができる。特定の実施形態において、核酸は、ピュアゲン(PUREGENE)(登録商標)DNA精製キットなどの市販されている精製キットを用いて、試験サンプルから抽出される。具体的な実施形態において、サンプルは遠心分離され得、核酸は、特にこのような精製キットを用いて、沈渣又はペレット画分から精製される。適切な精製キットは市販されており、当業者に周知であろう。
試験サンプルは通常、腫瘍形成性であることが疑われる(ヒト)対象から得られる。或いは、試験サンプルは、通常の検査を受けている対象から得られ、その対象は疾患を有することが疑われている必要はない。したがって、患者において同定可能な症候の観点から疾患が現れ得るようになる前に、リスクを有する患者を同定することができる。或いは、サンプルは、治療を受けている対象、又は疾患の再発について調査されている患者から得られる。
疾患又は疾患に対する素因の「検出」は、本明細書において、通常の試験、疾患若しくは疾患の事前スタジア(pre−stadia)についてのスクリーニング、疾患の状態及び/若しくは進行のモニタリング及び/若しくは病期診断、治療後の疾患の再発についての調査、並びに特定の治療の成功のモニタリングによって検出することを含むと定義される。検出はまた、予後診断上の価値を有し得、試験のこの予後診断上の価値は、癌に対する潜在的な感受性のマーカーとして用いることができる。検出はまた、癌の病期又は悪性度にも関連し得る。
「病期」は、癌が解剖学的に進行している程度を言い、一方、「悪性度」は細胞の外見(分化)及びDNAの形成を言う。
「癌」は、制御されていない増殖、不死性、転移能、速い成長及び増殖の速度、並びに特定の特徴的な形態学的特徴などの、癌を生じさせる細胞に典型的な特徴を有する細胞の存在を言う。本発明に関連する、特定の癌のタイプは、膀胱癌である。
「膀胱癌」は、移行細胞癌又は扁平上皮細胞癌を含むと定義される。この癌は、表在性の膀胱癌、侵襲性の膀胱癌、又は転移性の膀胱癌に関連し得る。表在性の癌は、膀胱の内膜内の細胞においてのみ存在し、再発の悪性度が高い。表在性の腫瘍は、内膜を介して膀胱の筋肉壁内に成長して、侵襲性の癌となり得る。侵襲性の癌は、膀胱壁を介して広がり得、子宮若しくは膣(女性において)又は前立腺(男性において)などの周辺の器官内に成長し得る。侵襲性の癌はまた、腹部の壁に侵入し得る。癌が膀胱の外側に広がり、周辺のリンパ節、及び肺、肝臓、又は骨などの他の器官内に入ると、癌は転移性となる。
「エピジェネティックな変化」は、本明細書において、遺伝子の一次ヌクレオチド配列における改変以外のメカニズムによって仲介される、遺伝子発現能力の低下をもたらす改変を含むと定義される。遺伝子発現におけるエピジェネティックな改変を生じさせる3つの関連するメカニズムは、DNAのメチル化、ヒストンのコードの変化、及びRNA干渉である。本発明において、エピジェネティックな変化は通常、エピジェネティックなサイレンシングである。エピジェネティックなサイレンシングは、好ましくは、DNAのメチル化によって生じる。
本発明の遺伝子におけるエピジェネティックな変化は、通常、DNAのメチル化によって生じるエピジェネティックなサイレンシングである。したがって、本発明は、サンプルにおける膀胱癌に対する素因又は膀胱癌の発生を検出する方法であって、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子におけるエピジェネティックなサイレンシングを検出することを含み、少なくとも1つの遺伝子のエピジェネティックなサイレンシングが遺伝子のメチル化状態の決定によって検出され、遺伝子のメチル化が膀胱癌に対する素因又は膀胱癌の発生の指標である方法を提供する。
「メチル化の状態」又は「メチル化状態」という用語は、核酸内の1つ又は複数のCpGジヌクレオチドにおけるメチル化されたシトシン残基の存在又は不存在を言う。多くの遺伝子において、CpGアイランドは、プロモーターのすぐ上流で始まり、下流に伸びて転写領域内に達する。プロモーターでのCpGアイランドのメチル化により、通常、遺伝子の発現が妨げられる。このアイランドはまた、遺伝子のコード領域の5’領域及びコード領域の3’領域を囲み得る。したがって、CpGアイランドは、プロモーター領域を含む調節領域内のコード配列の上流、コード領域(例えばエキソン)内、例えばエンハンサー領域内におけるコード領域の下流、及びイントロン内を含む、核酸配列の複数の領域において見ることができる。これらの領域の全ては、必要に応じて、それらのメチル化状態を決定するために評価することができる。
好ましい実施形態において、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子のプロモーター領域のメチル化状態が決定される。「プロモーター」は、典型的には転写開始部位から約1Kb、500bp、又は150から300bp上流に伸びる領域である。好ましくは、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子の転写開始部位を囲むか又はその周辺に存在するCpGアイランドが、そのメチル化状態を決定するために分析される。或いは、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子のエキソン及び/又はイントロン領域のメチル化状態が、必要に応じて決定され得る。
メチル化状態を評価するための様々な技術が当技術分野において知られており、本発明と組み合わせて用いることができ、それらの技術は、配列決定、メチル化特異的PCR(MS−PCR)、融解曲線メチル化特異的PCR(McMS−PCR)、重亜硫酸処理を伴うか又は伴わないMLPA、QAMA(Zeschnigkら、2004年)、MSRE−PCR(Melnikovら、2005年)、MethyLight(Eadsら、2000年)、ConLight−MSP(Randら、2002年)、重亜硫酸転換特異的メチル化特異的PCR(BS−MSP)(Sasakiら、2003年)、COBRA(これは、重亜硫酸ナトリウム処理したDNAのPCR産物におけるメチル化依存性の配列の違いを明らかにするための制限酵素の使用に依存するものである)、メチル化感受性一本鎖ヌクレオチドプライマー伸長構造(MS−SNuPE)、メチル化感受性一本鎖構造分析(MS−SSCA)、融解曲線と組み合わせた重亜硫酸制限分析(McCOBRA)(Akeyら、2002年)、PyroMethA、HeavyMethyl(Cottrellら、2004年)、MALDI−TOF、MassARRAY、メチル化した対立遺伝子の定量分析(QAMA)、酵素による局所的なメチル化アッセイ(ERMA)、QBSUPT、MethylQuant、定量的PCR配列決定及びオリゴヌクレオチドに基づいたマイクロアレイ系、ピロシーケンス法、Meth−DOP−PCRである。DNAメチル化の分析のためのいくつかの有用な技術の概要は、Nucleic acids research、1998年、Vol.26、No.10、2255〜2264頁、Nature Reviews、2003年、Vol.3、253〜266頁、Oral Oncology、2006年、Vol.42、5〜13頁に示されており、これらの参考文献は、その全体が本明細書に組み込まれている。
メチル化状態を評価するための技術は、異なるアプローチに基づくものである。そのいくつかには、エンドヌクレアーゼの使用が含まれる。このようなエンドヌクレアーゼは、メチル化されていない認識部位よりもメチル化された認識部位を優先的に切断し得るか、又は、メチル化された認識部位よりもメチル化されていない認識部位を優先的に切断し得る。前者のいくつかの例は、AccIII、BanI、BstNI、MspI、及びXmaIである。後者の例は、AccII、AvaI、BssHII、BstUI、HpaII、及びNotIである。切断パターンの違いは、メチル化されたCpGジヌクレオチドの存在又は不存在についての指標である。切断パターンは、直接的に決定することができるか、又は容易に区別可能な産物を生じさせるさらなる反応の後に決定することができる。限定はしないが電気泳動、クロマトグラフィー、及び質量分析を含む、改変されたサイズ及び/又は荷電を検出する手段を用いて、修飾された産物を検出することができる。
或いは、メチル化されたCpGジヌクレオチドの同定には、MeCP2タンパク質のメチル結合ドメイン(MBD)の、メチル化されたDNA配列に選択的に結合する能力を用いることができる(Crossら、1994年、Shiraishiら、1999年)。MBDはまた、MBP、MBP2、MBP4、ポリMBD(Jorgensenら、2006年)から得ることができるか、又はメチル化された核酸に結合する抗体などの試薬から得ることができる。MBDは固体マトリクスに固定化され得、高度にメチル化されたDNA配列を単離するための分取カラムクロマトグラフィーに用いることができる。発現したHisタグ付けされたメチルCpG結合ドメインなどの変異形態を用いて、メチル化されたDNA配列に選択的に結合させることができる。最終的に、制限エンドヌクレアーゼで消化されたゲノムDNAは、発現したHisタグ付けされたメチルCpG結合ドメインと接触させる。他の方法は当技術分野において周知であり、それには特に、メチル化CpGアイランド回収アッセイ(MIRA)が含まれる。別の方法であるMB−PCRは、PCR容器の壁上に固定化された二価の組換えメチルCpG結合ポリペプチドを用いて、メチル化されたDNAを捕捉し、その後、結合したメチル化DNAをPCRによって検出する。
メチル化CpGジヌクレオチドモチーフを検出するためのさらなるアプローチは、CpGジヌクレオチドモチーフのメチル化された形態又はメチル化されていない形態を選択的に修飾する化学的試薬を用いる。適切な化学的試薬には、ヒドラジン及び重亜硫酸イオンが含まれる。本発明の方法は好ましくは重亜硫酸イオンを用いる。重亜硫酸の転換は、メチル化されていないシトシンをウラシルに転換するがメチル化されたシトシンは維持する、重亜硫酸ナトリウムを用いたDNAサンプルの処理に依存するものである(Furuichiら、1970年)。この転換により、最終的には、元のDNAの配列が変化する。得られたウラシルが、シトシンの塩基対合の挙動とは異なるチミジンの塩基対合の挙動を有することは、一般知識である。これにより、メチル化されたシトシンとメチル化されていないシトシンとの区別が可能になる。配列の違いを評価するための分子生物学及び核酸化学の有用な従来の技術は、当技術分野において周知であり、文献において説明されている。例えば、Sambrook、J.ら、Molecular cloning:A laboratory Manual、(2001年)、第3版、Cold Spring Harbor、NY;Gait,M.J.(編)、Oligonucleotide Synthesis、A Practical Approach、IRL Press(1984年);Hames B.D.及びHiggins,S.J.(編)、Nucleic Acid Hybridization、A Practical Approach、IRL Press(1985年);及び一連のMethods in Enzymology、Academic Press,Inc.を参照されたい。
いくつかの技術は、CpGジヌクレオチドでのメチル化状態を評価するためにプライマーを用いる。プライマー設計のための2つのアプローチが可能である。第1に、プライマー自体がDNAのメチル化のあらゆる潜在的部位をカバーしないように、プライマーを設計することができる。差次的なメチル化の部位での配列の変化は2つのプライマーの間に位置し、配列の変化の視覚化にはさらなるアッセイ段階が必要である。このようなプライマーは、重亜硫酸ゲノム配列決定、COBRA、Ms−SnuPE、及びいくつかの他の技術において用いられる。第2に、プライマーは、最初の処理された配列のメチル化された形又はメチル化されていない形と特異的にハイブリダイズするように設計することができる。ハイブリダイゼーションの後、増幅反応を実施し得、当技術分野において知られているあらゆる検出系を用いて増幅産物をアッセイする。増幅産物の存在は、サンプルがプライマーにハイブリダイズしたことを示す。プライマーの特異性は、DNAが修飾されていたか否かを示し、次にこれがDNAがメチル化されていたか否かを示す。標的に対する十分な相補性領域、例えば12、15、18、又は20個のヌクレオチドが存在する場合、プライマーはまた、ハイブリダイゼーションに干渉しないが他の操作には有用であり得るさらなるヌクレオチド残基を含み得る。このような他の残基の例は、制限エンドヌクレアーゼ切断の部位、リガンド結合部位、若しくは因子結合部位、又はリンカー若しくは反復であり得る。オリゴヌクレオチドプライマーは、修飾されたメチル化残基に特異的であってもなくてもよい。
修飾された核酸と修飾されていない核酸との間を区別するためのさらなる方策は、オリゴヌクレオチドプローブの使用である。このようなプローブは、修飾された核酸に、又は増幅により得られる産物などの、修飾された核酸のさらなる産物に、直接的にハイブリダイズし得る。プローブに基づいたアッセイは、特異的な配列へのオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションと、その後のハイブリッドの検出とを利用するものである。また、増幅産物を検出する前に、例えば沈殿段階などのさらなる精製段階があってもよい。オリゴヌクレオチドプローブは、当技術分野において知られているあらゆる検出系を用いて標識することができる。これらには、限定はしないが、蛍光部分、放射性同位体で標識した部分、生物発光部分、発光部分、化学発光部分、酵素、基質、受容体、又はリガンドが含まれる。
最も好ましい実施形態において、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子(又はその部分、特に本明細書において論じられるCpGアイランド)のメチル化状態は、メチル化特異的PCR(MSP)又は同等の増幅技術を用いて決定される。MSPアプローチにおいて、DNAは、重亜硫酸ナトリウム処理により生じる配列の違いを利用してメチル化されていないDNAからメチル化されているDNAを区別するために設計されたプライマー対を用いて増幅することができる(Hermanら、1996年、及び国際公開第97/46705号パンフレット)。例えば、重亜硫酸イオンは、メチル化されていないシトシン塩基を修飾し、それらをウラシル塩基に変化させる。ウラシル塩基は、ハイブリダイゼーション条件下でアデニン塩基にハイブリダイズする。したがって、グアニン塩基に代わりアデニン塩基を含むオリゴヌクレオチドプライマーは、重亜硫酸で修飾されたDNAにハイブリダイズし、一方で、グアニン塩基を含むオリゴヌクレオチドプライマーは、DNAにおける修飾されていない(メチル化された)シトシン残基にハイブリダイズする。DNAポリメラーゼ及び第2のプライマーを用いた増幅により、容易に観察することができる増幅産物が得られ、これは、DNAがメチル化されていたか否かを示す。PCRは好ましい増幅方法であるが、ネステッドPCR及びマルチプレックスPCRなどの、この基本的な技術に対する変形もまた、本発明の範囲内に含まれる。
重亜硫酸の配列決定により、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子のメチル化状態を決定するための別の好ましい代替手段が得られる。プライマーは、関連する遺伝子の重要なCpGアイランドを介した配列決定において用いるために設計することができる。したがって、プライマーは、選択された遺伝子の目的の領域にわたって直接的に配列決定するために、センス方向及びアンチセンス方向の両方で設計することができる。
先に述べたように、関連する遺伝子のメチル化状態を評価するための好ましい実施形態には、増幅産物を得るための増幅が必要である。増幅産物の存在は、当技術分野において周知の方法を用いて直接的に評価することができる。それらは、簡単に、アガロースゲル又はポリアクリルアミドゲルなどの適切なゲル上で視覚化することができる。検出は、二本鎖DNA内に挿入されるエチジウムブロマイドなどの特異的な色素の結合と、例えばUV照射器下でのDNAバンドの視覚化とを伴い得る。増幅産物を検出するための別の手段は、オリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーションを含む。或いは、蛍光又はエネルギー移動を測定して、メチル化されたDNAの存在を決定することができる。
MSP技術の具体的な例は、設計されたリアルタイム定量的MSP(QMSP)であり、これにより、リアルタイム又は終点でのメチル化されたDNAの信頼性のある定量が可能になる。リアルタイム法は、通常は、増幅手順の連続的な視覚的モニタリングに基づくものであり、蛍光標識した試薬を用い、この試薬は、産物内への組み込みが定量され得、この定量が鋳型におけるその配列のコピーの数の指標である。1つのこのような試薬は、SYBR Green Iと呼ばれる蛍光色素であり、これは、二本鎖DNAを優先的に結合し、その蛍光は二本鎖DNAの結合によって大きく増強される。或いは、標識されたプライマー及び/又は標識されたプローブを定量に用いることができる。これらは、タックマン(TAQMAN)(登録商標)、モレキュラービーコン(MOLECULAR BEACONS)(登録商標)、アンプリフロール(AMPLIFLUOR)(登録商標)、及びスコーピオン(SCORPION)(登録商標)、DzyNA(登録商標)、プレクソール(Plexor)(商標)などの、周知の市販されたリアルタイム増幅技術の具体的な適用である。
したがって、さらなる実施形態において、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子のメチル化状態は、メチル化特異的PCR、好ましくはリアルタイム又は終点でのメチル化特異的PCRによって決定される。具体的な実施形態において、リアルタイム又は終点でのメチル化特異的PCRは、タックマンプローブ及び/又はモレキュラービーコンプローブ及び/又はアンプリフロールプライマー及び/又はFRETプローブ及び/又はスコーピオンプライマー及び/又はオリゴヌクレオチドブロッカー及び/又はDzyNAプライマーの使用を含む。
リアルタイムPCR系において、PCR産物の量の最初の顕著な増大が標的鋳型の最初の量に相関する指数増殖期の間に、PCR反応をモニタリングすることが可能である。タックマン技術は、蛍光色素及び消光色素を含む、線状の加水分解性オリゴヌクレオチドプローブを用いる。照射されると、励起した蛍光色素は、蛍光するよりもむしろ、周辺の消光色素分子にエネルギーを移動させる(FRETの原理)。タックマンプローブは、PCR産物の内部領域にアニーリングし、ポリメラーゼが鋳型を複製すると、ポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性によって切断される。これによりクエンチャーの活性が終わり、レポーター色素が蛍光を発し始め、この蛍光は、各サイクルにおいて、プローブの切断速度に比例して増大する。
モレキュラービーコンもまた、蛍光色素及び消光色素を含むが、これらはヘアピン構造を取るように設計されている一方で、溶液において遊離しており、それにより、両方の色素が非常に近接してFRETが生じる。アニーリング段階の際にビーコンが標的にハイブリダイズすると、両方の色素(ドナー及びアクセプター/クエンチャー)は分離し、蛍光の増大は利用可能なPCR産物の量と相関する。本明細書において記載される実験は、モレキュラービーコンが、指数増殖期の間の増幅/PCR反応のモニタリングに特に有用であることを示している。したがって、モレキュラービーコンは、本発明の特定の実施形態において有利に用いることができる。
スコーピオンプローブを用いて、一本鎖オリゴヌクレオチドを用いた配列特異的なプライミング及びPCR産物の検出を行うことができる。スコーピオンプローブは、ハイブリダイズしていない状態ではステムループ構造を維持し、FRETが生じる。ステムの3’部分はまた、プライマーの伸長産物に相補的な配列を含む。この配列は、増幅不可能なモノマーを介して特異的なプライマーの5’末端に結合する。スコーピオンプライマーの伸長の後、特異的なプローブ配列は、伸長した単位複製配列内でその相補体に結合し得、したがって、ヘアピンループを開き、蛍光シグナルを生じさせる。
スコーピオンと同様の様式で、アンプリフロール技術は、プライマー内へのモレキュラービーコンタイプのプローブの組み込みに依存するものである。ここでもまた、プローブのヘアピン構造は、増幅プライマー自体の一部を形成する。しかし、スコーピオンタイプのプライマーとは異なり、プローブの5’末端には、このプローブが増幅され、増幅産物の一部を形成することを妨げるためのブロックは存在しない。したがって、プライマーは鋳型鎖に結合し、相補鎖の合成を誘導する。したがって、プライマーは、1回目の増幅における増幅産物の一部となる。相補鎖が合成されると、ヘアピン構造を介して増幅が生じる。これはフルオロフォア分子とクエンチャー分子とを分離し、それにより、増幅が進むにつれて蛍光を生成させる。
アンプリフロールの変形形態において、配列特異的なプライマーは、その5’末端に「Z」配列が付加されており、この「Z」配列の相補体を含む最初の増幅産物をもたらす。ステムループ構造を有する第2のプライマーは、「Z」配列を含むように設計され、「Z」の相補体を含む鋳型にアニーリングする。重合反応の際に、レポーター分子及びクエンチャー分子は産物内に組み込まれる。この産物は、さらなる増幅のための鋳型として働く。鋳型のヘアピン構造は重合の際にアンフォールディングされるため、蛍光シグナルが観察される。
Heavymethylにおいて、プライミングはメチル化特異的であるが、伸長不可能なオリゴヌクレオチドブロッカーが、プライマー自体に代わってこの特異性をもたらす。ブロッカーは、重亜硫酸処理したDNAにメチル化特異的な様式で結合し、それらの結合部位はプライマー結合部位にオーバーラップする。ブロッカーが結合すると、プライマーは結合することができず、したがって、単位複製配列は生じない。Heavymethylは、リアルタイム又は終点での検出と組み合わせて用いることができる。
プレクソール(商標)qPCR系及びqRT−PCR系は、2つの修飾ヌクレオチドの間の特異的な相互作用を利用して定量的PCR分析を行うものである。PCRプライマーの1つは、5’末端でイソdC残基に隣接する蛍光標識を含む。第2のPCRプライマーは標識されていない。反応混合物は、デオキシヌクレオチドとクエンチャーであるダブシルで修飾されたイソdGTPとを含む。ダブシルイソdGTPは、イソdC残基に相補的な位置で優先的に組み込まれる。この位置でのダブシルイソdGTPの組み込みにより、相補鎖で蛍光色素が消光し、蛍光が低減し、それにより増幅の際の定量が可能になる。これらの多重反応では、異なるフルオロフォアを有するプライマー対がそれぞれの標的配列に用いられる。
リアルタイムPCRは、反応の際の単位複製配列の蓄積を検出する。しかし、リアルタイム法を用いる必要はない。多くの適用は定量を必要とせず、リアルタイムPCRは、結果の都合の良い表示及び保管を得ると同時にPCR後の処理を避けるためのツールとしてのみ用いられる。したがって、分析は、標的DNAが試料内に存在しているか否かを確認するためだけに実施され得る。このような終点での確認は、増幅反応が終了した後に実施される。この知識は、患者における癌に対する素因又は癌の発生を検出するために、医療診断研究所において用いられ得る。終点でのPCR蛍光の検出技術は、リアルタイムPCRに広く用いられているものと同一のアプローチを用い得る。例えば、<遺伝子>検出器によって、PCRチューブにおいて蛍光を直接的に測定することが可能になる。したがって、さらなる好ましい実施形態において、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子のメチル化状態は、メチル化特異的PCR増幅によって決定され、好ましくは、メチル化特異的PCRは、増幅の終点でモニタリングされる。
1つの特定の実施形態において、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される遺伝子に実施されるMSPにおいて有用なプライマーが提供される。本発明のプライマーは、好ましくは、調査中の領域における完全にメチル化されたゲノム配列に結合するように設計される。これらのプライマーは、
S=センスプライマー(5’−3’)
AS=アンチセンスプライマー(5’−3’)
MB=モレキュラービーコン(修飾ビーコン:5’FAM、3’DABCYL)
という配列を含み得るか、それから本質的になり得るか、又はそれからなり得る。
RASSF1A_S(配列番号1): GCGTTGAAGTCGGGGTTC
RASSF1A_AS(配列番号2): CCCGTACTTCGCTAACTTTAAACG
RASSF1A_MB(配列番号3): CGTCTGCGTGGTTTCGTTCGGTTCGCGTTTGTTAGGCAGACG
APC(2)_S(配列番号4): TAT TGC GGA GTG CGG GTC
APC(2)_AS(配列番号5): TCG ACG AAC TCC CGA CGA
APC(2)_MB(配列番号6): CGACATGCGTTGTGTAATTCGTTGGATGCGGATTAGGGCGGCATGTCG
CCNA1_gron_S(配列番号7): GTTATGGCGATGCGGTTTC
CCNA1_gron_AS(配列番号8): CCAACCTAAAAAACGACCGA
CCNA1_gron_MB(配列番号9): CGACATGCACGACGCCCCCGAACCTAACGCATGTCG
TNFRSF25_1_S(配列番号10): GTCGTCGAGAAGGGTTCGTTT
TNFRSF25_1_AS(配列番号11): GCGTATTCTACTTAACCTATCCGC
TNFRSF25_1_MB(配列番号12): CGACATGCACGACCCCGCCTCCCCCCGCCGCATGTCG
TUBB4_2_S(配列番号13): TAAATTAGATCGTCGTTTCGGAG
TUBB4_2_AS(配列番号14): TACCTCAATTTCTCGATCCGC
TUBB4_2_MB(配列番号15): CGACATGCTGGGAGGGTTCGCGGTTATTGTAAGGAGCATGTCG
NTRK2_1_M_S(配列番号16): GTTAGAGCGCGTTTTTAGCGT
NTRK2_1_M_AS(配列番号17): CCGCAATACCTAACACTTCCG
NTRK2_1_MB(配列番号18): CGACATGCCCGACACGCTCCGAAACACCAGCATGTCG
OSMR_1_S(配列番号19): GTGTTAAGAGTGCGTAGTAAGACG
OSMR_1_AS(配列番号20): GAAACGAACGTACAAAAACGA
OSMR_1_MB(配列番号21): CGACATGCCGAAACTATAAATCAACTACGAAACAAACGCGCATGTCG
TWIST1_3_S(配列番号22): GTTAGGGTTCGGGGGCGTTGTT
TWIST1_3_AS(配列番号23): CCGTCGCCTTCCTCCGACGAA
TWIST1_3_MB(配列番号24): CGACATGCCGGCGGGGAAGGAAATCGTTTCGCATGTCG
LOXL1_29309_S(配列番号25): TAGAGTACGTGTCGGTCGGAT
LOXL1_29309_AS(配列番号26): ACAAAAACAAAAACGACGCCT
MB_LOXL1_29309b(配列番号27): CGACATGCCGGGTGTTGTTGGTCGGCGCGCATGTCG
TJP2_25301_S(配列番号28): GAGATCGCGGGTTTTTATTTC
TJP2_25301_AS(配列番号29): CCAACTTCCTACGACGCAT
TJP2_25301_MB(配列番号30): CGACATGCCTCCCAACCGCGCGACACAAGCATGTCG
Runx3_3_M_S(配列番号31): CGTAGGGTTGTATTTGAGCGA
Runx3_3_M_AS(配列番号32): TAACTTTTAACGAAATTACCCCG
RUNX3_3_MB2(配列番号33): CGACATGCCGGGTTAGGGGGGCGTAAAATTTTATTCGTTGCATGTCG
PDLIM4_4_M_S(配列番号34): GGCGTTTAGGTTAATTTTTCGT
PDLIM4_4_M_AS(配列番号35): CGATCCCATATCTAAAACCGA
PDLIM4_4_MB(配列番号36): CGACATGCCTCGCGATCCGCCCGAAACGCATGTCG
BMP7_17911_S(配列番号37): AGCGTAGAGATAGGTTGGTAACG
BMP7_17911_AS(配列番号38): AAAACGATAACCCTTAAACCGA
MB_BMP7_17911(配列番号39): CGACATGCGCGGAGGGGTTAGCGTGGTTGCATGTCG
NID2_9091_S(配列番号40): GCGGTTTTTAAGGAGTTTTATTTTC
NID2_9091_AS(配列番号41): CTACGAAATTCCCTTTACGCT
MB_NID2_9091(配列番号42): CGACATGGGTTCGTAAGGTTTGGGGTAGCGGCCATGTCG
ARFGAP3_25342_S(配列番号43): GCGTTAAGGTACGGGTTTTTC
ARFGAP3_25342_A(配列番号44): GCCATTTCGCCTAACGAAC
ARFGAP3_25342_MB(配列番号45): CGACATGCACGCGCCCTCCTTCGACACGCATGTCG
これらのプライマーのさらなる特徴は、実験の項において概説されている。これらの配列の変異体を本発明において用い得ることに注意されたい。特に、必要に応じて、例えば結合特異性を向上させるために、さらなる隣接配列を付加することができる。変異配列は、好ましくは、本明細書において説明されるプライマー及び/又はプローブのヌクレオチド配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%のヌクレオチド配列同一性を有する。プライマー及びプローブは、必要に応じて合成ヌクレオチド類似体を包含し得るか、又は、例えばDNA、RNA、若しくはPNAに基づいたものであり得るか、又はその混合物であり得る。同様に、別の蛍光ドナー部分及び蛍光アクセプター部分/FRET対を必要に応じて用いることができる。蛍光ドナー部分及び蛍光アクセプター部分で標識されることに加え、プライマー及びプローブは、本発明の方法におけるプライマー及び/又はプローブとしての機能が損なわれないならば、修飾オリゴヌクレオチド並びに他の付属の基及び標識を含み得る。
リアルタイムでの実施形態において、定量は絶対的であり得るか、又は構成的にメチル化されたDNA標準との比較であり得るか、又はメチル化されていないDNA標準との比較であり得る。メチル化状態は、調査中のマーカーのシグナルと、メチル化状態が知られている参照遺伝子のシグナル(例えばβ−アクチンなど)との比率を用いることによって、又は、メチル化されたマーカーと、メチル化されたマーカー及びメチル化されていないマーカーの合計との比率を用いることによって、決定することができる。或いは、メチル化されたマーカー遺伝子の絶対的なコピー数を決定してもよい。
選択された方法が正確に及び確実に機能することを保証するために、適切な制御を包含させる必要があり得る。適切な制御には、メチル化されていることが知られている遺伝子のメチル化状態を評価することが含まれ得る。この実験は、偽陰性の結果が得られないことを保証するための陽性対照として機能する。遺伝子は、調査中のサンプルにおいてメチル化されていることが知られているものであり得るか、又は例えば適切なメチルトランスフェラーゼ酵素、例えばSssIメチルトランスフェラーゼを用いて人工的にメチル化されていてもよい。1つの実施形態において、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される遺伝子は、陽性対照として、SssIメチルトランスフェラーゼで処理した後に、正常な細胞において評価され得る。
それに加えて、又はその代わりに、本発明の方法と共に適切な陰性対照を用いることができる。ここでは、適切な制御には、メチル化されていないことが知られている遺伝子又は人工的に脱メチル化されている遺伝子のメチル化状態を評価することが含まれ得る。この実験は偽陽性の結果が得られないことを保証するための陰性対照として機能する。1つの実施形態において、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される遺伝子は、陰性対照として正常細胞において評価され得、それは、本明細書において初めて、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される遺伝子が正常な組織においてメチル化されていないことが示されているからである。
PCRは好ましい核酸増幅技術であるが、他の増幅技術もまた、関連する遺伝子のメチル化状態を検出するために用いることができる。このような増幅技術は当技術分野において周知であり、NASBA(Compton、1991年)、3SR(Fahyら、1991年)、及び転写介在性増幅(TMA)などの方法を含む。他の適切な増幅法には、リガーゼ連鎖反応(LCR)(Barringerら、1990年)、標的ポリヌクレオチド配列の選択的増幅(米国特許第6410276号明細書)、コンセンサス配列プライムドポリメラーゼ連鎖反応(米国特許第4437975号明細書)、任意プライムドポリメラーゼ連鎖反応(国際公開第90/06995号パンフレット)、インベーダー技術、鎖置換技術、及びニック置換増幅(国際公開第2004/067726号パンフレット)が含まれる。この列挙は網羅的なものであることを意図したものではない。適切な核酸産物が特異的に増幅されるならば、あらゆる核酸増幅技術を用いることができる。したがって、これらの増幅技術は、例えばMSP及び/又は重亜硫酸配列決定技術と組み合わせることができる。
例えば血清、尿、洗浄標本などの収集された流体内に放出される非常に少量の異常にメチル化したDNAに対する本発明の方法の適用には、あらゆる特異的な遺伝子のメチル化について試験する前の、DNAライブラリーの作成及び増幅が必要であり得る。全ゲノムの増幅及びこのような増幅についてのライブラリーの作成のための、適切な方法(例えば、Methylplex技術及びEnzyplex技術、Rubicon Genomics)は、米国特許出願公開第2003/0143599号明細書、国際公開第2004/081225号パンフレット、及び国際公開第2004/081183号パンフレットに記載されている。さらに、国際公開第2005/090507号パンフレットは、重亜硫酸の転換又は重亜硫酸に基づかない適用を必要とするライブラリー作成/増幅法に関する。重亜硫酸処理は、ライブラリー構築の前又は後に生じ得、重亜硫酸の転換に耐性を有するアダプターの使用が必要であり得る。Meth−DOP−PCR(Di Vinciら、2006年)、すなわち、MSPと組み合わせた修飾された縮重オリゴヌクレオチドプライムドPCR増幅(DOP−PCR)は、少量のDNAにおけるメチル化の特異的な検出のための別の適切な方法を提供する。患者のケアの管理を改善するためには、本発明の方法を補うためのこれらの既存の方法及び技術が必要であり得る。
遺伝子のエピジェネティックなサイレンシングは、腫瘍細胞における発現の低下として最も頻繁に現れるため、本発明は、特に膀胱癌である癌又は癌に対する素因を検出する方法であって、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子のエピジェネティックなサイレンシングを検出することを含み、少なくとも1つの遺伝子のエピジェネティックなサイレンシングが、遺伝子の発現レベルの測定によって決定され、遺伝子の発現の低減が、癌又は癌に対する素因の指標である方法を提供する。
特に膀胱癌である癌若しくは癌に対する素因の診断を結論付けるため、又は本発明の他の方法に従って最良の治療過程を決定するために、サンプル内において、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMR遺伝子から選択される遺伝子のタンパク質発現の全喪失を観察することができる。しかし、関連する遺伝子のメチル化のため、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される遺伝子の遺伝子発現の部分的喪失もまた関連し得る。
必要に応じて、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される遺伝子の発現レベルの低下を、サンプルにおいて、それが統計的に有意であるかを決定するために測定することができる。これにより、本発明の方法についての信頼性のある試験が提供される。NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される遺伝子の発現レベルが有意に低減しているかを決定するためのあらゆる方法を用いることができる。このような方法は当技術分野において周知であり、通常用いられている。例えば、分散試験の分析を用いて統計分析を実施することができる。このような方法において用いるための典型的なP値は、相対的な発現又は活性が統計的に有意であるかを決定する場合は、<0.05又は<0.01又は<0.001のP値である。発現における変化は、例えば少なくとも10%の低減がある場合は有意であると考えられ得る。試験は、統計的に有意であると考えられるようにするために、例えば少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、40%、又は50%変化させることにより、より選択的になり得る。
好ましい実施形態において、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される遺伝子の発現又は活性のレベルの低下は、対照サンプルに関連して決定される。この対照サンプルは、好ましくは、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される遺伝子の発現が正常である、対象における正常な(すなわち非腫瘍形成性の)組織から採取される。それに加えて、又はその代わりに、関連する遺伝子の発現が欠如していることが知られている対照サンプルもまた用いることができる。試験サンプル及び対照サンプルの両方における適切な参照遺伝子の発現又は活性のレベルを測定することなどの、適切なさらなる制御もまた、試験が適切に機能していることを保証するために包含され得る。
試験サンプルにおける核酸の発現は、RNAレベル又はタンパク質レベルで測定することができる。NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される遺伝子の1つ又は複数の関連する転写産物への核酸プローブのハイブリダイゼーションを用いる方法を、mRNAの存在及び/又はレベルを測定するために用いることができる。このような方法には、核酸プローブアレイ(マイクロアレイ技術)及びノーザンブロットが含まれる。ゲノム技術の進歩により、現在では、数千の遺伝子を同時に分析することが可能であるが、その多くは特異的なプローブ−標的のハイブリダイゼーションという同一の概念に基づくものである。配列決定に基づく方法は代替手段である。これらの方法は、発現した配列タグ(EST)の使用から始まり、現在では、遺伝子発現の連続分析(SAGE)及び大規模並列シグネチャー配列決定(MPSS)などの、短いタグに基づいた方法を含む。差次的な提示の技術により、遺伝子の発現を分析するさらに別の手段がもたらされる。この技術群は、制限消化により生じるcDNA断片のランダムな増幅に基づくものであり、2つの組織間で異なるバンドにより目的のcDNAが同定される。
好ましい実施形態において、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される遺伝子の発現レベルは、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を用いて決定される。RT−PCRは、mRNAを逆転写してcDNAを形成するための逆転写酵素に依存し、このcDNAがその後、標準的なPCR反応において増幅され得る、当技術分野において周知の技術である。RT−PCRを実施するためのプロトコル及びキットは、当業者に非常によく知られており、市販されている。
RT−PCRは、非定量的な様式で行うことができる。終点でのRT−PCRは、3つの異なる方法、すなわち相対的、競合的、及び比較的な方法を用いて、発現レベルにおける変化を測定する。これらの従来の方法は、当技術分野において周知である。或いは、RT−PCRは、リアルタイムで、及び定量的な様式で行われる。リアルタイムな定量的RT−PCRは、文献において十分に記載されており、様々な技術が可能である。例としては、既に論じた、タックマン系、モレキュラービーコン系、スコーピオン系、プレクソール系、及びアンプリフロール系の使用が含まれる。これらの系の全ては市販されており、良く特徴付けされており、多重化を可能にし得る。述べたように、PCRは好ましい増幅法であるが、基本的な技術に対する変形及び他の増幅技術もまた、本発明の範囲内に含まれる。
タンパク質レベルでの、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される遺伝子の発現を決定するための適切な方法もまた、当業者に周知である。例としては、ウェスタンブロット、免疫組織化学的染色及び免疫局在化、免疫蛍光、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫沈降アッセイ、補体結合アッセイ、凝集反応、ラジオイムノアッセイ、フローサイトメトリー、質量分析、並びに平衡透析が含まれる。これらの方法は通常、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される遺伝子からの遺伝子産物の同定に特異的な試薬に依存するものである。試薬は好ましくは抗体であり、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を含み得る。断片及び誘導抗体もまた用いることができ、限定はしないが、遺伝子産物結合機能を維持しているFab断片、ScFv、単一ドメイン抗体、ナノ抗体、重鎖抗体、アプタマーなどが含まれる。あらゆる検出法を本発明に従って用いることができる。試薬の性質は、それが適切な遺伝子産物を特異的に同定し得なくてはならないということを除いて限定されない。
当然のことながら、癌の陽性診断の場合には、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子によりコードされる関連するタンパク質は、レベルが低減しているか、又は存在しない。1つの実施形態において、陰性の結果が存在する。この場合、適切な対照を用いることにより、例えば分解された又は非特異的な試薬により生じる偽診断が生じないことが保障される。したがって、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子が発現していることが知られているサンプルに対して、同一の試薬を試験することができる。試験サンプルにおける陰性の結果と組み合わせた、この対照サンプルにおける陽性の結果は、癌の信頼性のある診断を提供し、試薬の質に対するあらゆる懸念を取り除くものである。
サイレンシングのメカニズムは例えば体細胞突然変異によって遺伝的であり得るため、遺伝子の自然な発現の測定は、サイレンシングがエピジェネティックであることを示すものではない。DAC(5’−デアザシチジン)などの試薬を用いたさらなる処理、TSA、又は、細胞株に存在するエピジェネティックなメカニズムに影響する他の処理は、遺伝子のサイレンシングがエピジェネティックであることを決定するために包含され得る。典型的には、発現は、このような試薬で処理されると再活性化するか又は逆転し、このことは、サイレンシングがエピジェネティックであることを示す。
診断の後、治療は癌の病期に従って決定されることが多い。癌の「病期」は、癌が広がっている程度の記述子(通常はナンバーIからIV)である。病期は、腫瘍のサイズ、腫瘍が浸潤している深さ、腫瘍が隣接器官に侵入しているか、腫瘍が転移しているリンパ節の存在及び数、並びに腫瘍が遠くの器官に広がっているかを考慮することが多い。診断時の病期は、生存についての最大の予測因子であり、治療は病期に基づいて変わることが多いため、癌の病期診断は重要である。例えば、膀胱癌と診断された患者の約70%から80%が、表在性の膀胱腫瘍(病期Ta、Tis、又はT1)を有する。CIS(in situでの癌)とも呼ばれるTis腫瘍は、尿路上皮に限定される平らな腫瘍であるが、治療しないままにしておくと、筋肉侵襲的な疾患に進行すると考えられる。T2及びT3の腫瘍は、膀胱筋又は脂肪内への侵入の指標である。病期4の腫瘍は、骨盤壁若しくは腹壁に侵入しているか、又は隣接器官に転移しているものである。
NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される遺伝子のメチル化状態及び/又は発現レベルは、癌の病期に相関し得る。実験の節は、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される特定の遺伝子のメチル化が癌の早期に生じることの証拠を提供する。発癌のプロセスの初期に生じるメチル化の変化は、スクリーニングの目的にとって理想的であるだけではなく、病期診断及び疾患の状態のモニタリング並びに/又は疾患の進行若しくは転帰のモニタリング、治療後の疾患の再発の調査のための興味深い標的でもある。したがって、このマーカーは、癌に対する予後診断の方法であって、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子のエピジェネティックなサイレンシングを検出することを含み、遺伝子のエピジェネティックなサイレンシングが癌の発生の指標である方法において、特に有用である。これに関連して、本発明はまた、癌の病期を決定するための方法であって、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される遺伝子のエピジェネティックなサイレンシングを決定することを含む方法を提供する。1つの実施形態において、対象は、AJCCの病期I、II、III、又はIVの癌を発症しているか又はそれを発症するリスクを有する。この方法において、サンプルは、癌に罹患しているか又は癌に罹患していることが疑われる対象から得られる。全てのこれらの実施形態において、エピジェネティックなサイレンシングは、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子のメチル化状態を決定すること及び/又は発現レベルを測定することによって検出される。
本発明の全ての方法は、膀胱癌との関連において優先的に用いられる。腫瘍の検出の割合を高くするために、本発明の方法に、膀胱癌を同定するための確立された方法を補うことが必要であり得る。本発明の非侵襲的な方法と組み合わせて用いるためには、非侵襲的な方法が特に適している可能性がある。本発明の方法は、以下の方法の1つ又は複数と組み合わせて優先的に用いられる。
尿検査
尿細胞診(癌性細胞を探すための尿の顕微鏡検査)
膀胱鏡検査(膀胱の内部を見るための照明付き機器の使用。膀胱癌の診断及び病期診断は膀胱鏡検査で開始される)
膀胱の生検(通常は膀胱鏡検査の際に行われる)
静脈内腎盂像−IVP(通常のX線を用いて膀胱内のあらゆる腫瘍又は異常の良好な視覚化を可能にする色素を血流内に注射する。)
画像化技術:上部尿路(尿管及び腎臓を含む)のX線画像化を行って、これらの構造のあらゆる関与を除外し得る。超音波を用いて腎臓を研究することができ、CTスキャンは、尿路の全長を研究する上で非常に好ましいことが多い。
より最近では、尿ベースのマーカー試験が開発され始めており、本発明を補うためのさらに別の手段を提供している。これらの新たな試験は非侵襲的であり、悪性度の低い膀胱癌の検出において正確であり、したがって、再発のモニタリングにおいて特に有用である。これらは以下のものを含む。
・BTAアッセイ(Polymedco、前身はBard Dagnostics、USA)は、膀胱癌を有する患者の尿に存在するhCFHrp、すなわちヒト補因子H関連タンパク質を検出する。定量的及び定性的なBTA法の両方が利用可能である。
・NMP22試験キット(Matritech Inc.、Newton、MA)は、核マトリクスに豊富である核有糸分裂装置(NMA)タンパク質を検出する。膀胱腫瘍細胞において、NMAは増加し、検出可能なレベルで放出される。定量的及び定性的なNMP22法の両方が存在する。
・Vysis UroVysionアッセイ(Abbott Molecular Diagnostics)は、尿細胞診と分子(DNAに基づいた)技術とを組み合わせて、癌の再発を検出する。これは、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)技術を用い、この技術は、DNAの特異的な領域を顕微鏡で同定するために、小さな蛍光標識したDNAプローブを用いる。
・ImmunoCyt(DiagnoCure)は、それまでに膀胱癌であると診断された患者の尿において、腫瘍細胞により発現されるムチン及びCEA抗原を検出するための、免疫細胞化学アッセイである。この免疫蛍光法は、膀胱癌の再発を初期に検出するために、尿細胞診と組み合わされる。ImmunoCytは定性的なアッセイである。
複数のDNA改変を標的化すると、効率的な癌の同定が増大し得る。したがって、本発明の方法を補うために、さらなる遺伝子マーカーを用いることができる。遺伝子マーカーは、特徴的な遺伝子における突然変異の検出を可能にする突然変異マーカーと関係し得るか、或いは、特徴的な遺伝子におけるDNAのメチル化の検出を可能にするエピジェネティックなマーカーと関係し得る。
本明細書において論じられるように、本発明の方法と(尿)細胞診及び/又はFGFR3突然変異分析との組合せは、細胞診及び突然変異分析の両方に関連する感度を顕著に増強させるが特異性は維持することが示されている。したがって、一般的には、本発明は、関連する遺伝子のメチル化状態の決定と細胞診及び/又は突然変異分析との組合せを介した膀胱癌の検出の増強を提供する。本発明の方法は、特定の実施形態において、尿細胞診及び/又は突然変異分析と組み合わせて用いることができる。具体的な実施形態において、突然変異分析は、線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)の突然変異の分析を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。FGFR3の突然変異は、病期及び悪性度が低い膀胱腫瘍において非常に多いと報告されている。したがって、FGFR3における突然変異の検出を含む方法は、特定の実施形態において、表在性の又は早期の膀胱癌の診断、予測などに用いることができる。あらゆる適切な突然変異分析技術を用いることができる。具体的な実施形態において、FGFR3遺伝子における1つ又は複数の単一ヌクレオチド突然変異の同定が実施される。これは、Van Oersら(Clinical Cancer Research 2005年、11(21)2005年11月1日)によって記載されているような適切なプライマー伸長アッセイの使用を介して実施することができ、この参考文献は、その全体が本明細書に組み込まれている。これらの方法において用いるためのプライマーは以下の通りである。
配列番号49 − 5’−T46CGTCATCTGCCCCCACAGAG−3’
配列番号50 − 5’−T36TCTGCCCCCACAGAGCGCT−3’
配列番号51 − 5’−T28TCTGCCCCCACAGAGCGCT−3’
配列番号52 − 5’−T29GGTGGAGGCTGACGAGGCG−3’
配列番号53 − 5’−T43ACGAGGCGGGCAGTGTGT−3’
配列番号54 − 5’−T34CCTGTTCATCCTGGTGGTGG−3’
配列番号55 − 5’−T50GCACAACCTCGACTACTACAAG−3’
配列番号56 − 5’−T20CACAACCTCGACTACTACAAGA−3’
したがって、以下の表において示されるように、R248C、S249C、G372C、Y375C、A393E、K652E/Q、K652M/Tという突然変異が同定され得る。本方法は、マルチプレックスPCRと、その後に行う、標識されたジデオキシヌクレオチドを用いた単一ヌクレオチドプライマー伸長とを用いることができる。
Ki−67標識(MIB−1染色)など、他の分子マーカーを、それに加えて、又はその代わりに調査することができる。
本発明の方法の特定の実施形態において、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子のメチル化状態は、癌、特に膀胱癌の確立に関与する少なくとも1つの他の遺伝子と組み合わせて分析される。本明細書において論じられるように、2個、3個、4個、5個、6個など、最大で全ての列挙される遺伝子のパネルもまた想定される。尿細胞診及び/又はFGFR3突然変異分析と組み合わせた、NID2、TWIST1、及びRUNX3の3つの遺伝子のパネルの使用が特に好ましい。
好ましくは、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子は、(膀胱)癌の確立に関与する少なくとも2つの他の遺伝子と組み合わされる。好ましくは、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子は、癌の確立に関与する少なくとも3個、4個、5個、又は6個の他の遺伝子と組み合わされる。本発明の方法において、膀胱癌の確立に関与するあらゆる遺伝子を、選択された遺伝子と組み合わせて用いることができる。
試験は、診断的に、又は治療レジメンと組み合わせて行うことができる。NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子の機能のエピジェネティックな喪失は、DNA脱メチル化剤及び/又はDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤の使用によって回避することができる。試験は、どの治療レジメン又は予防レジメンを患者に対して用いるかを決定するため、及び治療レジメンの効率をモニタリングするために用いることができる。
したがって、DNA脱メチル化剤及び/又はDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤及び/又はHDAC阻害剤を用いた膀胱癌の治療が成功する可能性を予測するための方法であって、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子におけるエピジェネティックな変化を検出することを含み、エピジェネティックな変化の検出が、エピジェネティックな修飾が検出されない場合よりも治療が成功する可能性が高いことの指標である方法も提供される。或いは、本発明は、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される遺伝子の発現レベルを測定することを含み、発現レベルの低減は、遺伝子が高レベルで発現する場合よりも癌の治療が成功する可能性が高いことを示す。
或いは、本発明は、DNA脱メチル化剤及び/又はDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤及び/又はHDAC阻害剤を用いた膀胱癌の治療に耐性がある可能性を予測するための方法であって、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子におけるエピジェネティックな変化を検出することを含み、エピジェネティックな変化の検出が、エピジェネティックな修飾が検出されない場合よりも治療に耐性がある可能性が低いことの指標である方法を提供する。或いは、本発明は、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される遺伝子の発現レベルを測定することを含み、高レベルの発現は、遺伝子が低レベルで発現する場合よりも癌の治療に耐性がある可能性が高いことを示す。
遺伝子機能のエピジェネティックな喪失から、癌のタイプに従って異なり得る治療の必要性が明らかとなり得る。したがって、本発明はまた、膀胱癌に適した治療レジメンを選択する方法であって、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子におけるエピジェネティックな変化を検出することを含み、エピジェネティックな変化が検出されると、DNA脱メチル化剤及び/又はDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤及び/又はHDAC阻害剤が治療に選択され、エピジェネティックな変化が検出されない場合は、DNA脱メチル化剤及び/又はDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤及び/又はHDAC阻害剤が治療には選択されない方法に関する。
特定の態様において、遺伝子機能のエピジェネティックな喪失から、治療の必要性が明らかとなり得る。したがって、本発明は、対象から得られる移行細胞癌又は扁平上皮細胞癌の適切な治療を予測するための方法であって、移行細胞腫瘍において、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子のメチル化状態を決定することを含み、少なくとも1つの遺伝子がメチル化されている場合、特に過剰メチル化されている場合には、移行細胞癌を切除する必要性が明らかとなる方法を提供する。このような場合において、予防的処置が推奨され得、それは移行細胞癌の切除を伴う。
或いは、本発明は、対象から得られる移行細胞癌又は扁平上皮細胞癌の適切な治療を予測するための方法であって、移行細胞腫瘍において、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子のメチル化状態を決定することを含み、少なくとも1つの遺伝子がメチル化されていないか又はほとんど(lesser degree)メチル化されていない場合には、移行細胞腫瘍を切除する必要性がないことが決定される方法を提供する。懸念を避けるために、本発明の全ての実施形態はこれらの後者の態様に適合する。
さらなる関連する態様において、本発明は、対象における膀胱癌を治療する方法であって、DNA脱メチル化剤及び/又はDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤の投与を含み、対象が本発明の方法に基づいて治療に選択されている方法を提供する。
本発明はまた、本発明の方法を実施するために用いることができるキットを提供する。キットは、本明細書における本発明の様々な方法(及び使用)に関連して記載されるあらゆる好ましい特徴を包含し得る。
したがって、サンプルにおける膀胱癌に対する素因又は膀胱癌の発生を検出するためのキットであって、NID2、TWIST1、及びRUNX3のそれぞれのメチル化状態を決定するための(本明細書において定義される)少なくとも1つのプライマー対を含むキットが提供される。本明細書において論じられるように、この遺伝子パネルは、膀胱癌を非侵襲的に、非常に高い感度及び特異性で予測又は診断することにおいて有用であることが示されている。NID2、TWIST1、及びRUNX3のそれぞれのメチル化状態を決定するための適切なプライマー対は本明細書において記載されており、配列番号40及び41(NID2)、22及び23(TWIST1)、並びに31及び32(RUNX3)で示されるヌクレオチド配列を含み得る。プライマーは、例えばDNAの重亜硫酸処理の後に、遺伝子パネルのメチル化状態を直接的に決定することを可能にし得る。したがって、それらは例えばMSP又は重亜硫酸配列決定プライマーであり得る。キットはさらに、リアルタイム又は終点での検出のための1つ又は複数のプローブを含み得る。適切なプローブは、配列番号42(NID2)、24(TWIST1)、及び33(RUNX3)で示されるヌクレオチド配列を含む。プローブは、それに加えて、又はその代わりに、例えばDNAの重亜硫酸処理の後に、遺伝子パネルのメチル化状態を直接的に決定することを可能にし得る。ブロッキングプローブもまた、Heavymethyl技術に従って、特定の実施形態において用いることができる(Nucleic Acids Res.2004年、32(i)e10を参照されたい)。
キットはさらに、サンプル、特に、本明細書において論じられる、適切な組織サンプル又は尿サンプルなどの、膀胱細胞又は膀胱細胞から得られるゲノムDNAを含むサンプルを処理するための手段を含み得る。
サンプルにおける膀胱癌に対する素因又は膀胱癌の発生を検出するためのキットであって、
(a)NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子、特にTWIST1における、エピジェネティックな変化を検出するための手段と、
(b)サンプルを処理するための手段と
を含むキットもまた提供される。
処理するためのサンプルは、組織サンプル及び/又は膀胱組織サンプル及び/又は尿サンプルを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
キットは、好ましくは、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRからの遺伝子の少なくとも2個、3個、4個、又は5個を含む遺伝子パネルにおけるエピジェネティックな変化を検出するための手段を含み、パネルにおける遺伝子の少なくとも1つにおけるエピジェネティックな変化の検出は、膀胱癌に対する素因又は膀胱癌の発生の指標である。
好ましくは、キットは、NID2及び/又はBMP7を含む遺伝子のパネルにおけるエピジェネティックな変化を検出する。特定の実施形態において、遺伝子パネルは、NID2とBMP7、NID2とTJP2とBMP7、NID2とTNFRSF25とBMP7、又はNID2とBMP7とTWIST1とCCNA1とRUNX3を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。最も好ましい3つの遺伝子のパネルは、NID2、TWIST1、及びRUNX3を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。好ましくは、このキットは、検出を単一の反応で実施することを可能にする。好ましくは、エピジェネティックな変化はメチル化である。
このキットは、好ましくは、MSPにおいて用いるためのキットであり、さらに好ましくは、MSPのリアルタイム検出の形において用いるためのキットである。1つの実施形態において、このキットは、MSPの終点検出の形の実施を可能にする。
特定の実施形態において、本発明のキットは、メチル化されていないシトシンを修飾する(しかしメチル化されたシトシンは修飾しない)か又はその逆の試薬を含む。好ましい実施形態において、試薬は重亜硫酸塩、好ましくは重亜硫酸ナトリウムを含むが、例えばヒドラジンを含み得る。
キットはまた、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子がメチル化されているかを決定するための適切なプライマーを含み得る。これらのプライマーは、関連する(少なくとも1つの)遺伝子のメチル化状態を決定するために用いられ得る、本発明の様々な方法に関して詳細に論じられるあらゆるプライマー、及びその変異体を含み得る。
キットはさらに、増幅産物のリアルタイム検出のためのプローブを含み得る。プローブは、リアルタイム検出のためのあらゆる適切なプローブタイプを含み得る。非限定的な例には、タックマンプローブ及び/又はモレキュラービーコンプローブ及び/又はアンプリフロールプライマー及び/又はFRETプローブ及び/又はスコーピオンプライマー及び/又はオリゴヌクレオチドブロッカーの使用が含まれる。リアルタイム検出のためのこのようなキットはまた、終点検出にも用いることができる。
プライマー及び/又はプローブは、本明細書において論じられるように、例えばサンプルの(サンプルにおけるDNAの)重亜硫酸処理の後に、少なくとも1つの遺伝子のメチル化状態を直接的に決定することを可能にし得る。
具体的な実施形態において、キットにおけるプライマー及び/又はプローブは、メチル化された又はメチル化されていないDNA(重亜硫酸処理後の)を増幅することを目的とした、
S=センスプライマー
AS=アンチセンスプライマー
MB=モレキュラービーコン
というヌクレオチド配列を含むか、それから本質的になるか、若しくはそれからなるプライマー及び/若しくはプローブを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなるものから選択される。
RASSF1A_S(配列番号1): GCGTTGAAGTCGGGGTTC
RASSF1A_AS(配列番号2): CCCGTACTTCGCTAACTTTAAACG
RASSF1A_MB(配列番号3): 5’−FAM−CGTCTGCGTGGTTTCGTTCGGTTCGCGTTTGTTAGGCAGACG−3’−DABCYL
APC(2)_S(配列番号4): TAT TGC GGA GTG CGG GTC
APC(2)_AS(配列番号5): TCG ACG AAC TCC CGA CGA
APC(2)_MB(配列番号6): 5’−FAM−CGACATGCGTTGTGTAATTCGTTGGATGCGGATTAGGGCGGCATGTCG−3’−DABCYL
CCNA1_gron_S(配列番号7): GTTATGGCGATGCGGTTTC
CCNA1_gron_AS(配列番号8): CCAACCTAAAAAACGACCGA
CCNA1_gron_MB(配列番号9): 5’−FAM−CGACATGCACGACGCCCCCGAACCTAACGCATGTCG−3’−DABCYL
TNFRSF25_1_S(配列番号10): GTCGTCGAGAAGGGTTCGTTT
TNFRSF25_1_AS(配列番号11): GCGTATTCTACTTAACCTATCCGC
TNFRSF25_1_MB(配列番号12): 5’−FAM−CGACATGCACGACCCCGCCTCCCCCCGCCGCATGTCG−3’−DABCYL
TUBB4_2_S(配列番号13): TAAATTAGATCGTCGTTTCGGAG
TUBB4_2_AS(配列番号14): TACCTCAATTTCTCGATCCGC
TUBB4_2_MB(配列番号15): 5’−FAM−CGACATGCTGGGAGGGTTCGCGGTTATTGTAAGGAGCATGTCG−3’−DABCYL
NTRK2_1_M_S(配列番号16): GTTAGAGCGCGTTTTTAGCGT
NTRK2_1_M_AS(配列番号17): CCGCAATACCTAACACTTCCG
NTRK2_1_MB(配列番号18): 5’−FAM−CGACATGCCCGACACGCTCCGAAACACCAGCATGTCG−3’−DABCYL
OSMR_1_S(配列番号19): GTGTTAAGAGTGCGTAGTAAGACG
OSMR_1_AS(配列番号20): GAAACGAACGTACAAAAACGA
OSMR_1_MB(配列番号21): 5’−FAM−CGACATGCCGAAACTATAAATCAACTACGAAACAAACGCGCATGTCG−3’−DABCYL
TWIST1_3_S(配列番号22): GTTAGGGTTCGGGGGCGTTGTT
TWIST1_3_AS(配列番号23): CCGTCGCCTTCCTCCGACGAA
TWIST1_3_MB(配列番号24): 5’−FAM−CGACATGCCGGCGGGGAAGGAAATCGTTTCGCATGTCG−3’−DABCYL
LOXL1_29309_S(配列番号25): TAGAGTACGTGTCGGTCGGAT
LOXL1_29309_AS(配列番号26): ACAAAAACAAAAACGACGCCT
MB_LOXL1_29309b(配列番号27): 5’−FAM−CGACATGCCGGGTGTTGTTGGTCGGCGCGCATGTCG−3’−DABCYL
TJP2_25301_S(配列番号28): GAGATCGCGGGTTTTTATTTC
TJP2_25301_AS(配列番号29): CCAACTTCCTACGACGCAT
TJP2_25301_MB(配列番号30): 5’−FAM−CGACATGCCTCCCAACCGCGCGACACAAGCATGTCG−3’−DABCYL
Runx3_3_M_S(配列番号31): CGTAGGGTTGTATTTGAGCGA
Runx3_3_M_AS(配列番号32): TAACTTTTAACGAAATTACCCCG
RUNX3_3_MB2(配列番号33): 5’−FAM−CGACATGCCGGGTTAGGGGGGCGTAAAATTTTATTCGTTGCATGTCG−3’−DABCYL
PDLIM4_4_M_S(配列番号34): GGCGTTTAGGTTAATTTTTCGT
PDLIM4_4_M_AS(配列番号35): CGATCCCATATCTAAAACCGA
PDLIM4_4_MB(配列番号36): 5’−FAM−CGACATGCCTCGCGATCCGCCCGAAACGCATGTCG−3’−DABCYL
BMP7_17911_S(配列番号37): AGCGTAGAGATAGGTTGGTAACG
BMP7_17911_AS(配列番号38): AAAACGATAACCCTTAAACCGA
MB_BMP7_17911(配列番号39): 5’−FAM−CGACATGCGCGGAGGGGTTAGCGTGGTTGCATGTCG−3’−DABCYL
NID2_9091_S(配列番号40): GCGGTTTTTAAGGAGTTTTATTTTC
NID2_9091_AS(配列番号41): CTACGAAATTCCCTTTACGCT
MB_NID2_9091(配列番号42): 5’−FAM−CGACATGGGTTCGTAAGGTTTGGGGTAGCGGCCATGTCG−3’−DABCYL
ARFGAP3_25342_S(配列番号43): GCGTTAAGGTACGGGTTTTTC
ARFGAP3_25342_A(配列番号44): GCCATTTCGCCTAACGAAC
ARFGAP3_25342_MB(配列番号45): 5’−FAM−CGACATGCACGCGCCCTCCTTCGACACGCATGTCG−3’−DABCYL
β−アクチン_S(配列番号46): TAGGGAGTATATAGGTTGGGGAAGTT
β−アクチン_A(配列番号47): AACACACAATAACAAACACAAATTCAC
β−アクチン_MB(配列番号48): 5’−FAM−CGACTGCGTGTGGGGTGGTGATGGAGGAGGTTTAGGCAGTCG−3’−DABCYL
示された標識は任意のものである。FAM及びDABCYLは、本明細書において論じられるような、増幅の信頼性のある指標を提供するためのFRETに関与し得る蛍光マーカーの代表的な例である。他のフルオロフォア及びクエンチャーを、特にFRET対として、所望により、及び当業者に理解されるように用いることができる。
論じられるように、適切な制御が、本方法についての質の制御として作用するために用いられ得、本発明のキットに含まれ得る。通常はメチル化されていないがメチル化されるべく処理され得る、適切な内部参照遺伝子の1つの例は、β−アクチンである。本発明のキットはさらに、メチル化されていない及び/又はメチル化された形態の、NID2、TJP2、TWIST1、TNFRSF25、BMP7、RUNX3、CCNA1、APC、LOXL1、TUBB4、NTRK2、ARFGAP3、PDLIM4、RASSF1A、及びOSMRから選択される少なくとも1つの遺伝子を含み得る対照核酸の増幅のためのプライマーを含み得る。
本発明のキットはさらに、特許請求の範囲に記載された本発明の方法を実施するための適切な緩衝液及び他の試薬を含み得る。1つの実施形態において、本発明のキットはさらに、核酸増幅緩衝液を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
キットはまた、核酸増幅を触媒するための酵素をさらに含み得るか、それから本質的になり得るか、又はそれからなり得る。したがって、キットはまた、核酸増幅に適したポリメラーゼをさらに含み得るか、それから本質的になり得るか、又はそれからなり得る。例としては、ファミリーAタイプ及びファミリーBタイプの両方のポリメラーゼに由来するもの、例えばTaq、Pfu、Ventなどが含まれる。
本明細書において上記に示されるように、キットは、尿サンプルを処理するための手段を含み得る。このような尿サンプルを処理するための手段は、安定化緩衝液及び/又はDNAの抽出/単離/濃縮/精製のための試薬を含み得る。キットはまた、尿サンプルの収集のための密閉可能な容器を包含し得る。
キットの様々な構成要素は、個別の区画に個別に包装され得るか、又は例えば、適切な場所で共に保管され得る。
キットはまた、個別のシート上に印刷され得るか、又は例えばキットの包装内に包含され得る、適切な使用説明書を包含し得る。
本発明のキットはまた、FGFR3遺伝子における突然変異を検出するための手段を包含し得る。上記で論じられるように、この遺伝子における突然変異は、膀胱癌の発生に関連しており、したがって、本発明の方法を相乗的な様式で補うものである。適切な突然変異を検出するための手段は、配列番号49〜56で示されるヌクレオチド配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなるプライマーから選択されるもののような適切なプライマーを含み得る。これらのキットはまた、Van Oersら(参照することにより本明細書に包含される)の7744頁に論じられているように、FGFR3遺伝子のエキソン7、10、及び15の領域を増幅するためのジデオキシヌクレオチド及び/又はプライマーなどの他の構成要素を包含し得る。
ここで本発明を、以下の非限定的な実施例に関して記載する。
尿トレーニングセット1(実施例1)についての比率決定のための決定木を示す図である。 リアルタイムMSPでの、9名の対照(非癌性疾患)及び38名の膀胱癌を含む組織試験セットを用いた個別の遺伝子アッセイの性能(分析のカットオフを100%の特異性とした場合の感度[%])を示す図である。NID2、TJP2、TWIST1、BMP7、RUNX3、ARFGAP3、及びPDLIM4の遺伝子について、22名の膀胱癌及び7名の対照のみが試験に利用可能であった。 リアルタイムMSPでの、143名の対照(非癌性疾患)及び62名の膀胱癌を有する患者から得た尿サンプルからなるトレーニングセットを用いた個別の遺伝子アッセイの性能(%感度)を示す図である。 尿トレーニングセット2(実施例2)及び3(実施例4)についてのサンプル分類(メチル化されているか、メチル化されていないか、又は無効であるか)のための決定木を示す図である。 受信者操作特性(ROC)曲線を、偽陽性率(100特異性)に対する真の陽性率(感度)をプロットすることにより、TWIST1、RUNX3、NID2、及び3つの遺伝子パネルについて計算した。図5A:個別の遺伝子TWIST1についてのROC曲線(感度76.8%、特異性96.8%)。 受信者操作特性(ROC)曲線を、偽陽性率(100特異性)に対する真の陽性率(感度)をプロットすることにより、TWIST1、RUNX3、NID2、及び3つの遺伝子パネルについて計算した。図5B:個別の遺伝子RUNX3についてのROC曲線(感度57.1%、特異性98.4%)。 受信者操作特性(ROC)曲線を、偽陽性率(100特異性)に対する真の陽性率(感度)をプロットすることにより、TWIST1、RUNX3、NID2、及び3つの遺伝子パネルについて計算した。図5C:個別の遺伝子NID2についてのROC曲線(感度75.0%、特異性88.9%)。 受信者操作特性(ROC)曲線を、偽陽性率(100特異性)に対する真の陽性率(感度)をプロットすることにより、TWIST1、RUNX3、NID2、及び3つの遺伝子パネルについて計算した。図5D:TWIST1遺伝子、RUNX3遺伝子、及びNID2遺伝子の組合せについてのROC曲線(感度89.3%、特異性92.1%)。曲線下面積(AUC)は0.919である。95%CIの範囲は、範囲=5でP=0.0001の有意性で、0.870から0.995であった。
実施例1:膀胱癌の初期の検出のためのリアルタイムMSPアッセイ−尿トレーニングセット1
材料及び方法
マーカーの同定:膀胱癌細胞株の再発現プロフィールを用いて、候補遺伝子を同定した。プロモーター配列を遺伝子発現と関連させて、有効な、エピジェネティックにサイレンシングされた遺伝子を同定した。エピジェネティックに標的化された遺伝子の再発現分析のための、確立された、薬理学的なマスキングされていない戦略(5−アザ−2’−デオキシシチジン[DAC]及びトリコスタチンA[TSA])を、専売的(proprietary)な、高度なバイオインフォマティクスツールと組み合わせて、プロモーターをメチル化する傾向にある遺伝子を同定した。
膀胱組織におけるマーカーの選択:再発現によって同定されたマーカー候補を、74回のリアルタイムメチル化特異的PCR(リアルタイムMSP)アッセイを用いてスクリーニングした。これらのアッセイを、様々な泌尿器病院から収集した、ホルマリン固定してパラフィン包埋した(FFPE)組織サンプルにおける59個の遺伝子プロモーターのメチル化状態を評価するために用いた。サンプルは、様々な病期の91件の癌、及び癌の兆候を有さない患者から得た39個のサンプルを含むものであった。これらのサンプルを、トレーニング試験セット及び独立試験セットに分け、癌性サンプルと非癌性サンプルとの間を最も良く区別し得る遺伝子メチル化アッセイを選択するために用いた。
尿サンプルの収集:ベルギー、イギリス、及びオランダにおける複数の施設からランダムに収集した、候補となる尿サンプルを、本研究において用いた。この試験において、泌尿器病院に通い、最終的に膀胱癌又は他の非悪性泌尿器障害であると診断された症候性の患者から、リアルタイムMSP分析において用いるための尿サンプルを得た。全登録数は、2年以内に400名に達すると予想される。この進行中の試験から、218個の尿サンプルが本研究に利用可能であった。これらのサンプルは、癌の兆候を有さない患者から得た150個のサンプル、及び膀胱癌の全ての病期を網羅しその82%が早期の疾患である患者から得た68個のサンプルを含むものであった(詳細については表3を参照されたい)。これらの尿サンプルのアリコートを、細胞診分析に用いた。
DNAの単離:標準的なDNA単離法及び標準的な装置を用いて、組織及び尿からDNAを単離した。簡潔に述べると、尿DNAの調製のために、新鮮な収集された尿サンプルを、室温で10分間、3000gで低速遠心分離した。上清を沈渣画分から分離した。両方の画分を、さらなる処理を行うまで−20℃で保管した。ペレット画分のDNA単離の前に、凍結サンプルを室温で解凍し、3000gで5分間遠心分離して、残りの上清(わずかなμl)を細胞残屑ペレットから分離した。
ゲノムDNAを、Gentraから入手したピュアゲン(登録商標)DNA精製キットを用いて沈渣画分から抽出した。700μlの細胞溶解溶液(キットと共に提供される)をペレットに加え、製造者の指示に従ってさらに処理した。45μlのLoTE緩衝液を加えてDNAを再水和させ、65℃で振盪しながら1時間インキュベートし、その後、20℃で一晩振盪した。
DNAの修飾:1.5μgのDNA(又は1.5μg未満の場合は全体)を、製造者のプロトコルに従って、EZ−96DNAメチル化キット(Zymo Research)を用いて、ピペッティングロボット(Tecan)の96ウェルフォーマットにおいて重亜硫酸修飾した。基本的に、45μlのアリコートを5μlのM希釈緩衝液と混合し、1100rpmで振盪させながら、37℃で15分間インキュベートした。次に、100μlの希釈されたCT転換試薬を加え、サンプルを、暗所で1100rpmで振盪させながら、70℃で3時間インキュベートした。転換の後、氷上で10分間インキュベートし、400μlのM結合緩衝液を加えることにより、サンプルを脱塩した。サンプルを、収集チューブ内のZymo−Spin Iカラムにロードし、遠心分離した後、200μlのM洗浄緩衝液で洗浄した。200μlのM脱スルホン緩衝液をカラムに入れ、室温で15分間インキュベートした。カラムを遠心分離した後、200μlのM洗浄緩衝液でカラムを2回洗浄した。最後に、1mM、pH8.0の、50μlのTris−HClにおいて、カラムからDNAを洗浄し、さらなる処理を行うまで−80℃で保管した。
DNA増幅:リアルタイムMSPを、7900HTファストリアルタイムPCR系(Applied Biosystems)に適用した。2.4μlの修飾DNAを、緩衝液(16.6mMの(NHSO、67mMのTris(pH8.8)、6.7mMのMgCl、10mMのβ−メルカプトエタノール)、dNTP(5mM)、フォワードプライマー(6ng)、リバースプライマー(18ng)、モレキュラービーコン(0.16μM)、及びJumpstart DNA Taqポリメラーゼ(0.4単位、Sigma Aldrich)を含むPCR混合物(12μlの全容量)に加えた。遺伝子のそれぞれに用いたプライマー配列及びモレキュラービーコンの配列を表1にまとめる。用いたサイクルプログラムは、95℃で5分間、その後、95℃で30秒間、57℃で30秒間(APCでは51℃)(すなわち、安定期のデータの収集)、及び72℃で30秒間を45サイクルであった。標準曲線(2×10、20コピー)を、標準曲線に対するそれらのCt値の内挿によって未知のサンプルのコピー数を決定するために含めた。
膀胱の試験遺伝子に加え、独立した参照遺伝子であるβ−アクチン(ACTB)もまた測定した。
β−アクチンのフォワードプライマー 5’−TAGGGAGTATATAGGTTGGGGAAGTT−3’
β−アクチンのリバースプライマー 5’−AACACACAATAACAAACACAAATTCAC−3’
ビーコン 5’−FAM−CGACTGCGTGTGGGGTGGTGATGGAGGAGGTTTAGGCAGTCG−3’−DABCYL
膀胱の試験遺伝子とACTBとの比率を計算して、試験結果を得た。サンプルを、図1に示す決定木に基づいて、メチル化されたもの、メチル化されていないもの、又は無効なものとして分類した。

結果
組織及び尿におけるアッセイの有効性の比率:130個のFFPE及び218個の尿サンプルを、リアルタイムMSPを用いて処理した(表2)。有効性の比率は、図1に示す基準に基づいたものである。リアルタイムMSPアッセイでは、96%のFFPEサンプル及び94%の尿サンプルにおいて有効な結果が得られた。
膀胱組織におけるマーカーの選択:再発現に基づいて、74個の最も差次的にメチル化している遺伝子配列を、リアルタイムMSPアッセイを用いて、53名の膀胱癌患者及び30個の組織病理学的に正常な組織サンプルからレトロスペクティブに収集した腫瘍について有効性を実証した。いくつかのマーカーはこれらの組織サンプルにおいて膀胱癌を確実に検出した(データは示していない)。結果を、9個の組織対照(非癌性疾患)と38件の癌とを含む独立した試験セットについて確認した。分析のカットオフを100%特異性とした場合の、15個の最も良く機能した組織マーカーの個別の性能を図2に示す。試験したマーカーのいくつかの組合せは、高い特異性及び感度で膀胱癌を確実に検出した(表3)。
尿サンプルにおけるマーカーの試験:組織における最も良く機能したマーカーの11個を、標準化された多施設の収集物から得られた218個の利用可能な尿サンプルについて評価した。これらの尿サンプルは、癌を有さない患者から得た150個のサンプル及び膀胱癌の全ての病期を網羅する患者から得た68個のサンプルを含むものであった。試験では、143件の対照及び62件の膀胱癌の症例から有効な結果が得られた。11件の遺伝子アッセイの個別の性能(感度及び特異性)を図3に示し、最良のパネルを表4に示す。全患者の症例報告書は、泌尿器科医によって再検討された。表4に示すように、62件の膀胱癌の症例を、いくつかの癌群(4件の乳頭腫、17件のTa、2件のTis、14件のT1、14件のT2、2件のT3、及び9件の未知)に分類した。
143個の対照(年齢を適合させたもの)をいくつかの対照群(57件の前立腺炎、5件の良性前立腺肥大症[BPH]、12件の高悪性度の前立腺上皮内腫症[HGPIN]、7件の尿道狭窄、7件の結石[膀胱又は腎臓]、2件のBOO[膀胱出口閉塞]、7件のLUTS[下部尿路症状]、2件の膀胱炎、44件のその他)に分類した。同一の尿サンプルに対して処理した場合の、メチル化及び細胞診の結果を比較した(表5)。異なるサンプル収集部位の間でのメチル化試験の性能を表6に示す。
実施例2:膀胱癌の初期の検出のためのリアルタイムMSPアッセイ−尿トレーニングセット2
実施例1の5マーカーパネルを、「尿トレーニングセット2」と呼ばれる独立したサンプルセットを用いてさらに研究した。試験した遺伝子の数が減ったため(11から5)、サンプルのより大きなアリコートが、試験したそれぞれのアッセイに利用可能であり、その結果、適切なBT溶出容量及び結果を分析するための異なる決定木(比率よりもコピーに基づいたもの)が得られた(図4)。
材料及び方法
マーカーの同定:実施例1において論じられるように、膀胱癌細胞株の再発現プロフィールを用いて、候補遺伝子を同定した。
マーカーの選択:リアルタイムメチル化特異的PCR(リアルタイムMSP)を用いて、組織において、差次的にメチル化された遺伝子の有効性を実証した。実施例1において論じられるように、最も良く機能した組織マーカーを、尿サンプル由来のDNAを試験するために選択した。
尿サンプルの収集:実施例1において論じられるように、複数の施設からランダムに収集した、候補となる尿サンプルを用いた。全ての研究参加者は、関連する倫理委員会から適切な承認を受け取った。泌尿器病院に通い、最終的に膀胱癌又は他の非悪性泌尿器障害であると診断された症候性の患者(インフォームドコンセントを受けている人々)から、リアルタイムMSP及び細胞診の分析において用いるための尿サンプルを得た。この進行中の試験から、415個の尿サンプルを試験した。これらのサンプルは、癌の兆候を有さない患者から得た285個のサンプル、及び膀胱癌の全ての病期を網羅しその88%が早期の疾患である患者から得た130個のサンプルを含むものであった。
尿サンプルの調製:収集した尿サンプルを、さらなる処理のために50ml部のアリコートに分けた。それぞれの50mlのアリコートを(収集の)4時間以内に3000gで10分間遠心分離した。実施例1において論じられるように、尿の沈渣を最大6カ月、−20℃で保管した。
DNAの調製及び処理:標準的な方法(すなわち、Qiagen#158908及びQiagen#158912)を用いて尿沈渣からDNAを単離し、製造者の指示に従って、ピコグリーン(Picogreen)(登録商標)dsDNA定量キット(Molecular Probes、#P7589)を用いて定量した。最大1.5μgのDNAを、市販されているキット(すなわちZymo、#D5002)を用いての重亜硫酸修飾に用いた。この反応は、メチル化されていないシトシン残基を選択的に脱アミノ化し、その結果ウラシルへ転換し、一方で5−メチルシトシン残基は修飾しない。修飾DNAを20μlのTris−HCl(1mM、pH8.0)内に溶出し、その後、最大6カ月、−80℃で保管した。
リアルタイムMSP:分析物(TWIST、RUNX3、NID2、及びACTB)の定量を、リアルタイムMSPアッセイによって行った。このアッセイは、それぞれの分析物に対する特異的なプライマー及びプローブを用いた並列の増幅/定量プロセスと、ABIプリズム(ABI Prism)(登録商標)7900HT機器(Applied Biosystems)でのモレキュラービーコン(登録商標)アッセイフォーマットとからなる。リアルタイムMSPにおいて定義される分析物は、完全にメチル化された形を検出する、TWIST、RUNX3、及びNID2プロモーター配列であった。ACTBを参照遺伝子として用い、あらゆるCpGアイランドの外側にあるプライマーを用いた。PCR反応の容量は、2.4μlの修飾鋳型DNAを含む12.5μlであった。サンプルを、図4に示す決定木に基づいて、メチル化されたもの、メチル化されていないもの、又は無効なものとして分類した。
増幅産物のサイズは以下の通りである。
TWIST1:77bp
RUNX3:127bp
NID2:99bp
ACTB:103bp
配列の詳細は以下の通りである。
フォワードプライマー TWIST1: 5’− GTTAGGGTTCGGGGGCGTTGTT − 3’(配列番号22)
リバースプライマー TWIST1: 5’− CCGTCGCCTTCCTCCGACGAA − 3’(配列番号23)
フォワードプライマー RUNX3: 5’− CGTAGGGTTGTATTTGAGCGA − 3’(配列番号31)
リバースプライマー RUNX3: 5’− TAACTTTTAACGAAATTACCCCG − 3’(配列番号32)
フォワードプライマー NID2: 5’− GCGGTTTTTAAGGAGTTTTATTTTC − 3’(配列番号40)
リバースプライマー NID2: 5’− CTACGAAATTCCCTTTACGCT − 3’(配列番号41)
フォワードプライマー ACTB: 5’− TAGGGAGTATATAGGTTGGGGAAGTT −3’(配列番号46)
リバースプライマー ACTB: 5’ − AACACACAATAACAAACACAAATTCAC − 3’(配列番号47)
モレキュラービーコン TWIST1:
5’ − Fam−CGACATGCCGGCGGGGAAGGAAATCGTTTCGCATGTCG−Dabcyl − 3’(配列番号24)
モレキュラービーコン RUNX3:
5’ − Fam−CGACATGCCGGGTTAGGGGGGCGTAAAATTTTATTCGTTGCATGTCG−Dabcyl − 3’(配列番号33)
モレキュラービーコン NID2:
5’− Fam−CGACATGGGTTCGTAAGGTTTGGGGTAGCGGCCATGTCG−Dabcyl − 3’(配列番号42)
モレキュラービーコン ACTB:
5’ − Fam−CGACTGCGTGTGGGGTGGTGATGGAGGAGGTTTAGGCAGTCG−Dabcyl−3’(配列番号48)
標的配列は、以下のように位置している(全てはNCBIヒトゲノムのバージョン36.3に基づくものである)。
TWIST1:7番染色体、19124120位と19124043位との間(RefSeq:NM_000474)
RUNX3:1番染色体、25128341位と25128468位との間(RefSeq:NM_004350)
NID2:14番染色体、51605816位と51605915位との間(RefSeq:NM_007361)
ACTB:7番染色体、5538428位と5538326位との間(RefSeq:NM_001101)
熱プロフィール:95℃で5分間、95℃で30秒間、57℃で30秒間、及び72℃で30秒間を45サイクルを、全ての遺伝子に用いた。384ウェルPCRプレート内の全PCR容量は12.5μl(2.4μlのDNA鋳型を含む)であった。
定量:結果は、Ct値(増幅曲線が、ソフトウェアによって自動的に設定されている閾値を超えるところのサイクル数)としてエクスポートされる、SDS2.2ソフトウェア(Applied Biosystems)を用いて得、その後、目的の重亜硫酸修飾配列を含むプラスミドDNAを用いて、20〜2×10^個の遺伝子コピー同等物の標準曲線上にプロットされた値の線形回帰に基づいてコピー数を計算するために用いた。細胞株は陽性対照及び陰性対照としてそれぞれの実行に包含され、DNA抽出段階で手順内に入れられた。実行は、a)両方の標準曲線の傾きが−4を超える(PCR効率>77.8%)、b)少なくとも4つの関連するデータポイントのr^2が0.990を超える、c)通常含まれるNTCが増幅されない、d)陽性細胞株のアッセイ対照の1μgの転換反応の10%が検出可能であった、及びe)陰性細胞株のアッセイ対照の1μgの転換反応の10%が標準曲線において検出されなかった、という5つの基準が満たされた場合に有効であると判断した。
結果:
組織及び尿におけるアッセイの有効性の比率:130個のホルマリン固定したパラフィン包埋した(FFPE)組織サンプル及び415個の尿サンプルを、リアルタイムMSPを用いて処理した(表7)。リアルタイムMSPアッセイでは、96%のFFPEサンプル及び93%の尿サンプルにおいて有効な結果が得られた。
膀胱組織におけるマーカーの選択:結果は、図2及び表3を参照して、実施例1において論じられている。
尿サンプルにおけるマーカーの試験:組織における最も良く機能したマーカーの11個を、標準化された多施設の収集物から得られた218個の利用可能な尿サンプルについて評価した(尿トレーニングセット1)。これらの結果は、実施例1において論じられており、以下の表8において繰り返されている。
第1のトレーニングセット(実施例1)からの218名の患者の症例報告書は、泌尿器科医によって再検討された。62件の膀胱癌の症例を、いくつかの癌群(4件の乳頭腫、17件のTa、2件のTis、14件のT1、14件のT2、2件のT3、及び9件の未知)に分類した。143件の対照(年齢を適合させたもの)をいくつかの対照群(60件の前立腺炎、8件のBPH[良性前立腺肥大症]、12件のHGPIN[高悪性度の前立腺上皮内腫症]、7件の尿道狭窄、8件の結石[膀胱又は腎臓]、2件のBOO[膀胱出口閉塞]、7件のLUTS[下部尿路症状]、3件の膀胱炎、6件の失禁、4件の脱出、2件の水腎症、2件の精巣炎、22件のその他)に分類した。
第1の尿トレーニングセット(5個の遺伝子、実施例1)において最も良く機能したマーカーパネルを、進行中の試験からプロスペクティブに収集した独立したサンプルセット(尿トレーニングセット2)を用いてさらに研究した。試験した遺伝子の数がさらに減ったため、サンプル当たりのアッセイが減り、その結果、それぞれのアッセイにおけるサンプルのアリコートが大きくなり得る。第2のトレーニングセットにおける尿サンプルは、癌を有さない患者から得た135個のサンプル、及び膀胱癌の早期を網羅する患者から得た62個のサンプルを含むものであった。試験では、126件の対照及び56件の膀胱癌の症例から有効な結果が得られた(表7)。これらの182名の患者の症例報告書は、泌尿器科医によって再検討された。56件の膀胱癌の症例を、いくつかの癌群(6件の乳頭腫、19件のTa、4件のTis、12件のT1、12件のT2、及び3件の未知)に分類した。126件の対照(年齢を適合させたもの)をいくつかの対照群(19件の前立腺炎、30件のBPH[良性前立腺肥大症]、18件の失禁、4件の結石症、6件の尿道狭窄、2件のBOO[膀胱出口閉塞]、3件のLUTS[下部尿路症状]、9件の膀胱炎、5件の尿路感染、4件の膀胱不安定、5件の脱出、11件のその他)に分類した。3個の尿ベースのメチル化マーカーのパネルは、早期の膀胱癌を有する患者の同定において、91%の感度及び93%の特異性を示した(表8)。ロジスティック回帰モデルもまた、3つのマーカーを用いて作成した。このロジスティック回帰モデルについての受信者操作特性(ROC)曲線を、偽陽性率(100特異性)に対する真の陽性率(感度)をプロットすることによって、膀胱遺伝子パネルについて計算した。曲線下面積(AUC)は0.919である。95%CIの範囲は、範囲=5でP=0.0001の有意性で、0.870から0.995であった(図5)。このモデルで得られた最適な感度及び特異性は、表8から10で用いられた単純線形解釈モデル(あらゆるマーカーによりカットオフを超えるコピー数が得られる場合、サンプルは陽性であるとスコア付けされる)で得られたものと同様であった。
メチル化及び細胞診の結果(両方の尿トレーニングセット)を、同一の尿サンプルについて比較した(表9)。
3マーカーメチル化パネルの感度は、細胞診の感度よりも有意に高かった(91%対43%)が、特異性は同様であった(93%対94%)。
異なるサンプル収集部位の間でのメチル化の試験の性能は、非常に再現性があるものであった(表10)。
実施例3:非侵襲的な組合せアプローチ
新たな尿ベースのDNAメチル化アッセイの感度をさらに増強させるために、本発明者らは、それらのメチル化試験を、尿サンプルにおける早期の膀胱癌を検出するための確立された方法と組み合わせることが実現可能であるかを調査した。従来の尿細胞診(現在の標準的治療手順)及びFGFR3突然変異分析の結果(再発の検出に特に有用である)を用いて、本発明の方法を補った。
材料及び方法
サンプルの収集:実施例1及び2において記載される尿トレーニングセット1及びトレーニングセット2から得られたサンプルを用いて、メチル化アッセイを細胞診及び/又はFGFR3突然変異の結果と組み合わせることの有用性を実証した。
試験した異なるアッセイ
OMS尿ベースのDNAメチル化アッセイ:分析物(TWIST、RUNX3、NID2、及びACTB)の定量を、上記に詳述されるように、リアルタイムMSPアッセイによって実施した。
尿細胞診:細胞診試験のための通常の手順を用いた(McKee G.、Gray W及びMcKee GT編、Diagnostic Cytopathology、第2版、Churchill Livingstone、2003年を参照されたい)。
ハイスループットなFGFR3突然変異分析:尿サンプルを、van Oersらにおいてこれまでに記載されているようなスナップショットアッセイを介して処理した。この方法を用いて、エキソン7、10、及び15に位置するFGFR3遺伝子の3つの領域の分析を1つのアッセイに組合せ、その結果、1つのサンプルをFGFR3の全ての突然変異について同時にスクリーニングすることが可能になる。これらの領域は9個の潜在的なコドン突然変異、すなわちR248CとS249C(エキソン7)、G372CとY375CとA393E(エキソン10)、及びK652EとK652QとK652MとK652T(エキソン15)を含む。
結果
メチル化及び細胞診の結果の組合せ
メチル化及び細胞診の結果(両方の尿トレーニングセットから得られたもの)を、同一の尿サンプルについて比較した(表11を参照されたい)。
尿トレーニングセット1
メチル化パネルの感度は、細胞診の感度よりも有意に高かった(85%対37%)が、特異性はむしろ同様であった(93%対97%)。
メチル化及び細胞診の組合せの結果、このハイリスクな集団における31%の膀胱癌の有病率に基づいて、陰性予測値は95%を超えた(陰性予測値(NPV)は、真に陰性である陰性試験のパーセンテージを意味する)。
この組合せの結果、陰性である可能性の比率(NLR)は0.11、陽性である可能性の比率(PLR)は8.1となり、このことは、膀胱癌についてハイリスクな集団を評価する上で、アッセイのこのような組合せが有用であることを示すものであった。
尿トレーニングセット2
メチル化パネル(3つの好ましいマーカーのパネル)の感度は、細胞診の感度よりも有意に高かった(91%対43%)が、特異性は同様であった(93%対94%)。
メチル化及び細胞診の組合せの結果、このハイリスクな集団における31%の膀胱癌の有病率に基づいて、陰性予測値は98%を超えた。この組合せの結果、NLRは0.041、PLRは8.1となり、このことは、膀胱癌についてハイリスクな集団を評価する上で、アッセイのこのような組合せが有用であることを示すものであった。
NLRは陰性結果の精度の評価基準であり、(1−感度)/特異性という式によって計算される。PLRは陽性結果の精度の評価基準であり、感度/(1−特異性)という式によって計算される。(例えば、0.04のNLRは、陰性試験の結果で真の陰性である可能性が25倍(1/0.04)高いことを意味し、8のPLRは、陽性試験で真の陽性である可能性が8倍高いことを意味する)
メチル化、細胞診、及びFGFR3突然変異の結果の組合せ:
メチル化、細胞診、及びFGFR3突然変異の結果を、同一の尿サンプルについて比較した(表12)。全体で、61個のサンプルを両方の尿トレーニングセットからランダムに選択し(41件の癌の症例及び20個の対照サンプル)、上記に示したプライマー及び反応条件を用いて、3つの個別の方法を介して処理した。
得られた結果を、以下の表13にまとめる。組み合わされた結果は、陰性シグナル(0、NEG、WT)が全ての3つのアッセイで得られた場合には陰性であると判断され、或いは、組み合わされた結果は、少なくとも1つの方法が陽性であった場合(1、ATYPIA、又はMT)には陽性であると判断される。


この結果は、従来の尿細胞診及びFGFR3突然変異分析が、メチル化アッセイを補うために用いられ得ることを明らかに示している。これらの3つのアッセイの結果を組み合わせた結果、NLRは0.03、PLRは10.24となり、このことは、アッセイのこのような組合せが、患者が膀胱癌を有しているか否かを決定する上で、泌尿器科医を補助するために、臨床において非常に有用であることを示すものであった。
報告されている、全ての現在利用可能な試験の欠点は、特異性が低いことである。膀胱癌の検出のための異なる方法の組合せは、感度を向上させるがその特異性を低下させることが示されている。本発明者らによる非侵襲的な組合せアプローチにより、95%の感度が得られ、その一方で本発明者らによるメチル化試験の高い特異性値(95%)は維持された。これらの結果は、尿細胞診(標準的治療手順と考えられる)を本発明者らによるメチル化試験と組み合わせることの予測能力を明らかに示すものである。これらの結果は、この非侵襲的な組合せアプローチにより、現在利用可能な尿ベースのマーカー試験の有益な代替手段が得られることを明らかに示すものである。
実施例4:膀胱癌の初期の検出のためのリアルタイムMSPアッセイ−尿トレーニングセット3
典型的には、尿サンプルを収集の4時間以内に遠心分離して、DNAの分解を避ける。本発明者らは、尿サンプルに安定化緩衝液を加えると、尿収集の直後に遠心分離を行う必要がなくなることを示している(国際出願PCT/GB2008/002093を参照されたい)。サンプルは、安定化緩衝液を加えた後に、遠心分離をする必要なく、一方でDNAの完全性を維持しながら、最大72時間にわたり室温で保存することができる。
実施例2からの3マーカーパネルを、「尿トレーニングセット3」と呼ばれる独立したサンプルセットについて試験した。このトレーニングセットにおいて、新たに収集された尿サンプルを、遠心分離の前に、安定化緩衝液と共に最大72時間にわたり室温で保管した。
材料及び方法
材料及び方法は、尿サンプルの調製を除き、上記の実施例2で記載されるものと同一である。4時間以内に尿サンプルを3000gで10分間遠心分離する代わりに、収集の時点で安定化剤(スタビラー(登録商標)錠剤、Cargille Laboratories、#40050、50mlの尿当たり5個の錠剤)を尿に加えた。尿サンプルを次に、最大72時間室温に保持し、その後遠心分離した。尿の沈渣を最大6カ月、−20℃で保管し、実施例2において記載されるようにさらに処理した。
結果:
組織及び尿におけるアッセイの有効性の比率:130個のホルマリン固定し、パラフィン包埋した(FFPE)組織サンプル及び495個の尿サンプルを、リアルタイムMSPを用いて処理した(表14)。リアルタイムMSPアッセイでは、96%のFFPEサンプル及び94%の尿サンプルにおいて有効であるという結果となった。
膀胱組織におけるマーカーの選択:結果は、図2及び表3を参照して、実施例1において論じられている。
尿サンプルにおけるマーカーの試験:第1の尿トレーニングセット(5個の遺伝子、実施例1)における最も良く機能したマーカーパネルを、進行中の試験からプロスペクティブに収集した独立したサンプルセット(尿トレーニングセット2)を用いてさらに研究した。試験した遺伝子の数がさらに減ったため、サンプル当たりのアッセイが減り、その結果、それぞれのアッセイにおけるサンプルのアリコートが大きくなり得る。これらの結果は、実施例2において論じられており、以下の表15において繰り返されている。
第3のトレーニングセットから得られた尿サンプルは、癌を有さない患者から得た48個のサンプル、及び膀胱癌の早期を網羅する患者から得た32個のサンプルを含むものであった。試験では、45件の対照及び32件の膀胱癌の症例から有効な結果が得られた(表14)。これらの80名の患者の症例報告書は、泌尿器科医によって再検討された。32件の膀胱癌の症例を、いくつかの癌群(2件の乳頭腫、13件のTa、1件のTis、9件のT1、5件のT2、1件の表皮癌、及び1件の未知)に分類した。45件の対照(年齢を適合させたもの)をいくつかの対照群(21件の前立腺炎、3件のBPH[良性前立腺肥大症]、2件の水腔、1件のエピディディマイト(Epididymite)、1件の尿道狭窄、1件のLUTS[下部尿路症状]、1件の膀胱不安定、1件の脱出、14件の未知)に分類した。
サンプルを、図4に示す決定木に基づいて、メチル化されたもの、メチル化されていないもの、又は無効なものとして分類した。この線形解釈モデルにおいて、あらゆるマーカーによりカットオフを超えるコピー数が得られる場合、サンプルは陽性であるとスコア付けされる。カットオフは、最適な感度及び特異性の結果を得るために、両方のトレーニングセットに適合させ、表15に示す。参照遺伝子ACTBのカットオフを15コピーと設定した。
収集の4時間以内に尿サンプルが遠心分離されたか、又は収集の際に安定化されて遠心分離の前の最大72時間にわたり室温で維持されたかに関わらず、トレーニングセット2及びトレーニングセット3で同程度の結果が得られた。
独立したサンプルセットに対して実施した第3の研究により、尿ベースのメチル化アッセイ(TWIST1、RUNX3、及びNID2)が、わずか9%の偽陽性(91%の特異性)で、全ての試験された膀胱癌の91%を正確に同定することが確認された。
尿トレーニングセット2及び3におけるTWIST遺伝子の個別の性能を表16に示す。95%の特異性が、それぞれ77%及び91%の対応する感度と共に得られた。
本発明は、本明細書に記載される具体的な実施形態によって範囲を限定されるものではない。実際、本明細書に記載されているものに加えた、本発明の様々な改変が、前述の記載及び添付の図面から当業者に明らかになろう。このような改変は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあるものとする。さらに、本明細書において記載される全ての実施形態は、広く適用可能であり、必要に応じて、ありとあらゆる他の一貫性のある実施形態と組み合わせることができると考えられる。
様々な刊行物が本明細書において引用されており、その開示は参照によりその全体が組み込まれる。
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Claims (16)

  1. サンプルにおける膀胱癌に対する素因又は膀胱癌の発生を検出する方法であって、TWIST1及びTJP2から選択される少なくとも1つの遺伝子におけるエピジェネティックな変化を検出することを含み、エピジェネティックな変化の検出が膀胱癌に対する素因又は膀胱癌の発生の指標である方法。
  2. 前記遺伝子の少なくとも1個又は2個を含む遺伝子パネルにおけるエピジェネティックな変化を検出することを含み、パネルにおける遺伝子の少なくとも1つにおけるエピジェネティックな変化の検出が、膀胱癌に対する素因又は膀胱癌の発生の指標である、請求項1に記載の方法。
  3. 遺伝子パネルが、TWIST1及びNID2を含む、若しくは、NID2、TWIST1及びRUNX3を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる、請求項2に記載の方法。
  4. サンプルが膀胱組織サンプル又は尿サンプルを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 収集後の尿サンプルに安定化緩衝液を添加し、それにより、サンプルの遠心分離を必要とせずに、サンプルを最大72時間にわたり室温で保管することを可能にする、請求項4に記載の方法。
  6. エピジェネティックな変化がメチル化である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 尿細胞診及び/又は突然変異分析と組み合わせて用いられる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. サンプルにおける膀胱癌に対する素因又は膀胱癌の発生を検出するためのキットであって、NID2、TWIST1及びRUNX3、又はTWIST1及びNID2のそれぞれのメチル化状態を決定するための少なくとも1つのプライマー対を含むキット。
  9. サンプルにおける膀胱癌に対する素因又は膀胱癌の発生を検出するためのキットであって、
    (a)TWIST1及びTJP2から選択される少なくとも1つの遺伝子におけるエピジェネティックな変化を検出するための手段と、
    (b)尿サンプルの収集のための密閉可能な容器及び安定化緩衝液から選択される、尿サンプルを処理するための手段とを含むキット。
  10. 前記遺伝子の少なくとも1個又は2個を含む遺伝子パネルにおけるエピジェネティックな変化を検出するための手段を含み、パネルにおける遺伝子の少なくとも1つにおけるエピジェネティックな変化の検出が、膀胱癌に対する素因又は膀胱癌の発生の指標である、請求項9に記載のキット。
  11. 遺伝子パネルが、TWIST1及びNID2、又は、NID2、TWIST1及びRUNX3を含む、請求項10に記載のキット。
  12. メチル化を検出するための手段がメチル化特異的PCR/増幅プライマーを含む、請求項9〜11のいずれか一項に記載のキット。
  13. FGFR3遺伝子における突然変異を検出するための1つ又は複数のプライマーをさらに含む、請求項9〜12のいずれか一項に記載のキット。
  14. JP2遺伝子のメチル化状態を決定するためのプライマー又はプライマー対であって、列番号28及び/又は29で示される1つ又は複数のヌクレオチド配列を含むプライマー又はプライマー対。
  15. TWIST1及びTJP2から選択される少なくとも1つの遺伝子のメチル化状態を決定するためのプローブであって、TWIST1では配列番号24、TJP2では配列番号30で示されるヌクレオチド配列を含むプローブ。
  16. 膀胱癌の再発又は膀胱癌の再発に対する素因を検出することを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
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