JP5696625B2 - 高炉原料装入制御装置および高炉原料装入制御方法 - Google Patents

高炉原料装入制御装置および高炉原料装入制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、高炉原料装入制御装置および高炉原料装入制御方法に関する。
従来、原料を高炉へ装入する炉頂機器を制御する高炉原料装入制御装置が知られている。
かかる高炉原料装入制御装置に関し、原料を秤量して高炉の上流側の装置である炉頂機器へ貯留し、貯留された原料を高炉内へ装入(以下、「ダンプ」と記載する)する一連の処理を制御する技術が提案されている(たとえば特許文献1)。
具体的には、かかる制御手法は、高炉内に残留する原料レベルが所定のレベルとなった場合に、排出槽から排出する原料を秤量してコンベア等の原料輸送装置によって炉頂ホッパへ輸送させる。
また、かかる制御手法は、炉頂ホッパへ輸送された原料を受け入れさせて貯留させる。さらに、かかる制御手法では、原料を排出槽から排出するとともに炉頂ホッパに貯留された原料を高炉内へダンプさせる。
特開2002−249809号公報
しかしながら、上記した従来技術によると、排出槽から排出された原料が炉頂ホッパへ到達するまでの原料輸送時間がダンプに要する時間(以下、単に「ダンプ時間」と記載する)よりも長い場合には、ダンプ終了時に炉頂ホッパまで原料が到達していないという問題があった。
このため、従来の高炉原料装入制御装置では、ダンプ終了後、直ちに原料の受け入れを開始することができず、炉頂ホッパに対して原料の受け入れを待機させてしまうこととなる。
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、原料を高炉へ装入する炉頂機器が実行する原料の排出から高炉内への装入までの一連の処理が効率よく行われるよう制御することができる高炉原料装入制御装置および高炉原料装入制御方法を提供することを目的とする。
本願の開示する高炉原料装入制御装置は、高炉内における原料上端面の基準面からの位置を示す原料レベルを取得するレベル取得部と、前記レベル取得部によって取得された前記原料レベルが所定のレベルへ達するタイミングを、前記高炉内への原料の装入を示すダンプを開始させるタイミングとして決定するダンプ決定部と、排出槽が原料を排出してから該原料が貯留される炉頂ホッパへ輸送されるまでの時間を示す原料輸送時間が前記ダンプに要するダンプ時間より長い場合に、前記高炉内の原料レベルの単位時間あたりの変化量および前記原料輸送時間と前記ダンプ時間との差時間に基づいて前記ダンプが開始されるダンプ開始時間を予測し、予測された前記ダンプ開始時間よりも早いタイミングを前記排出槽からの原料の排出を開始させるタイミングとして決定する排出決定部とを備えることを特徴とする。
本願の開示する高炉原料装入制御装置および高炉原料装入制御方法の一つの態様によれば、原料を高炉へ装入する炉頂機器が実行する原料の排出から高炉内への装入までの一連の処理が効率よく行われるよう制御することができる。
図1は、実施例1に係る高炉設備の説明図である。 図2Aは、従来の高炉原料装入制御手法の説明図である。 図2Bは、実施例1に係る高炉原料装入制御手法の説明図その1である。 図2Cは、実施例1に係る高炉原料装入制御手法の説明図その2である。 図3は、実施例1に係る高炉原料装入制御装置の構成を示すブロック図である。 図4は、実施例1に係るダンプ決定処理の処理手順を示すフローチャートである。 図5は、実施例1に係るレベル変化量算出処理の処理手順を示すフローチャートである。 図6は、実施例1に係る排出決定処理の処理手順を示すフローチャートである。 図7は、実施例2に係る排出決定処理の処理手順を示すフローチャートである。 図8は、実施例3に係る高炉設備の説明図である。 図9は、実施例3に係る高炉原料装入制御手法の説明図である。
以下、添付図面を参照して、本願の開示する高炉原料装入制御装置および高炉原料装入制御方法の実施例を詳細に説明する。なお、以下に示す各実施例における例示で本発明が限定されるものではない。
まず、実施例1に係る高炉設備1について、図1を用いて説明する。図1は、実施例1に係る高炉設備1の説明図である。なお、図1では、説明を容易にするために一部の形状を単純化して示す。
図1に示すように、実施例1に係る高炉設備1は、高炉原料装入制御装置10と、排出槽20と、原料輸送装置30と、炉頂ホッパ40と、高炉50とを備えている。また、排出槽20は、排出槽ゲート21をさらに備えており、炉頂ホッパ40は、炉頂ホッパゲート41をさらに備えており、高炉50は、炉内原料レベル測定装置60をさらに備えている。
高炉原料装入制御装置10は、排出槽ゲート21や炉頂ホッパゲート41をタイミング良く開閉させることによって原料の排出から高炉内への装入までの一連の処理が効率よく行われるよう制御する装置である。なお、具体的な制御手法の詳細については、図2Bを用いて後述する。また、図1では、高炉原料装入制御装置10からの指令や原料レベルの信号等のデータの受け渡しについて破線矢印で示し、原料の流れについては実線矢印で示すこととする。
排出槽20は、原料を秤量し、排出槽ゲート21を開放することによって原料を原料輸送装置30へ排出する。ここで、排出槽ゲート21は、高炉原料装入制御装置10から排出指令を受け付けた場合に開放される。
原料輸送装置30は、排出槽20から排出された原料を排出槽ゲート21よりも上方に位置する炉頂ホッパ40まで輸送する輸送機器であり、たとえば、コンベアである。
炉頂ホッパ40は、原料輸送装置30によって輸送された原料を受け入れて一旦貯留し、炉頂ホッパゲート41を開放することによって貯留された原料を高炉50内へダンプさせる。
なお、高炉50内の原料レベルは一定に保つことが望ましい。したがって、ここでは、高炉原料装入制御装置10は、高炉50内の原料レベルが所定レベルまで下がった時点で、貯留された原料を高炉50内へダンプさせる。
具体的には、高炉原料装入制御装置10は、炉内原料レベル測定装置60から高炉50内に残留する原料のレベルを示すレベル信号を受け付け、高炉50内の原料レベルが所定レベルまで下がった時点で、炉頂ホッパゲート41へダンプ指令を出力する。
一方、炉頂ホッパゲート41は、高炉原料装入制御装置10からダンプ指令を受け付けた場合に開放することによって、高炉50内へ原料をダンプさせる。なお、図1に示したような炉頂機器では、炉頂ホッパ40から高炉50内へ原料をダンプする際に、炉頂ホッパ40内の圧力は変化しないものとする。
炉内原料レベル測定装置60は、高炉50内に残留する原料のレベルを検知し、レベルを示すレベル信号に変換して、高炉原料装入制御装置10へ渡す装置である。
ここで、従来の高炉原料装入制御装置が実行する原料の排出およびダンプの制御手法について図2Aを用いて説明しておく。図2Aは、従来の高炉原料装入制御手法の説明図である。なお、図2Aの横軸は時間軸を示し、上段には排出槽で実行される処理を、中段には炉頂ホッパで実行される処理を、下段には高炉内の原料レベルをそれぞれ示す。
図2Aに示すように、従来の高炉原料装入制御装置は、高炉内の原料レベルが所定のレベル(ここでは、「ダンプ開始レベル(L0)」と記載する)まで下がった時点で、ダンプの開始を行う。また、従来の高炉原料装入制御装置は、ダンプが開始されたことを検知してから原料の排出を行う。
ここでは、原料が排出槽から排出されて(t1)から、原料輸送装置を通過して炉頂ホッパに到達するまで(t3)の時間(以下、「原料輸送時間」と記載する)が、ダンプ時間(t1〜t2)以上の場合(ダンプ時間≦原料輸送時間)について説明する。
なお、ダンプ時間(t1〜t2)とは、炉頂ホッパゲートを開放する時間、原料が高炉内へ装入される時間、炉頂ホッパゲートを閉塞する時間および予め設定された安全余裕時間等を含む、ダンプ処理に要する時間のことである。かかるダンプ時間は、炉頂ホッパの貯留量や原料の状態等によって変化する。また、原料輸送時間は、原料輸送装置の性能に基づいて予め設定される時間のことである。
図2Aに示すように、ダンプ終了時(t2)に、排出槽から排出された原料が未だ炉頂ホッパに到達していないことから、炉頂ホッパでは、ダンプ終了後直ちに原料の受け入れを開始することができない。したがって、従来の高炉原料装入制御装置では、t2からt3までの間、炉頂ホッパに対する原料の受け入れを待機させてしまうこととなる。
そこで、実施例1に係る高炉原料装入制御装置10では、炉頂ホッパ40において受入待機時間を発生させることなく、原料の排出からダンプまでの一連の処理が効率よく行われるよう制御することができる制御手法を提供することとした。
つぎに、実施例1に係る高炉原料装入制御装置10が実行する原料の排出およびダンプの制御手法について図2Bおよび図2Cを用いて説明する。図2Bは、実施例1に係る高炉原料装入制御手法の説明図その1であり、図2Cは、実施例1に係る高炉原料装入制御手法の説明図その2である。
なお、図2Bおよび図2Cでも図2Aと同様に横軸は時間軸を示し、上段および中段には、排出槽20および炉頂ホッパ40で実行される処理について示し、下段には、高炉50内の原料レベルを示す。また、図2Bでは、原料輸送時間がダンプ時間以上の場合(ダンプ時間≦原料輸送時間)について説明し、図2Cでは、原料輸送時間がダンプ時間未満の場合(ダンプ時間>原料輸送時間)について説明する。
なお、ダンプ時間は、炉頂ホッパゲートを開放する時間、原料が高炉内へ装入される時間、炉頂ホッパゲートを閉塞する時間および予め設定された安全余裕時間等を含む、ダンプ処理に要する時間のことである。
したがって、高炉原料装入制御装置10は、炉頂ホッパの貯留量や原料等に基づいてダンプ時間を予め予測することが可能であり、実際にダンプ処理に要した時間を加味することとしてもよい。また、原料輸送時間は、原料輸送装置の性能に基づいて予め設定される時間である。
まず、図2Bに示すように、原料輸送時間がダンプ時間以上の場合(ダンプ時間≦原料輸送時間)は、高炉原料装入制御装置10は、高炉50内の原料がダンプ開始レベル(L0)に到達すると予測される時間(以下、「ダンプ開始レベル到達予測時間(Tex0)」と記載する)を所定の制御周期Ts間隔で算出する。
そして、高炉原料装入制御装置10は、算出されたダンプ開始レベル到達予測時間(Tex0)が、原料輸送時間とダンプ時間との時間差(Tds=|原料輸送時間−ダンプ時間|)以下となった時点(t5)で原料を排出槽20から排出させる。
このように、実施例1に係る高炉原料装入制御装置10は、ダンプ開始よりもかかる時間差(Tds)分早く原料を排出させる。これにより、実施例1に係る高炉原料装入制御装置10は、ダンプ終了後(t7)直ちに原料の受け入れを開始させることが可能となり、原料の排出からダンプまでの一連の処理が効率よく行われる。
具体的には、高炉原料装入制御装置10は、所定の制御周期Ts毎に以下のようにダンプ開始レベル到達予測時間(Tex0)を算出する。まず、高炉原料装入制御装置10は、制御周期Tsで炉内原料レベル測定装置60から受け付けたレベル信号によって原料レベルを取得し、同じ制御周期Tsの中で単位時間当たりの原料レベルのレベル変化量を算出する。
そして、高炉原料装入制御装置10は、同じ制御周期Tsの中(タイミングtx)で原料レベル(Lx)を取得し、取得した原料レベル(Lx)とダンプ開始レベル(L0)との差分をレベル変化量で除算することによってダンプ開始レベル到達予測時間(Tex0)を算出する。
また、高炉原料装入制御装置10は、制御周期Ts毎に算出したダンプ開始レベル到達予測時間(Tex0)がTds以下となった時点で原料を排出槽20から排出させる。
つづいて、図2Cに示すように、原料輸送時間がダンプ時間未満の場合(ダンプ時間>原料輸送時間)について説明する。高炉原料装入制御装置10は、原料輸送時間がダンプ時間未満であるか否かを判定し、原料輸送時間がダンプ時間未満の場合に、従来の制御手法と同様に、以下の処理を行う。
まず、高炉原料装入制御装置10は、制御周期Ts毎に高炉50内の原料レベル(Lx)を取得し、原料レベル(Lx)がダンプ開始レベル(L0)となった時点(t9)でダンプを開始させる。
その後、高炉原料装入制御装置10は、制御周期Ts毎にダンプ開始後の時間経過を監視する。なお、ここで、時間監視は、たとえば、ダンプ開始時をゼロとし、以後制御周期毎に時間Tsを積算して経過時間とすることにより行う。
高炉原料装入制御装置10は、経過時間が原料輸送時間とダンプ時間との時間差(Tds=|原料輸送時間−ダンプ時間|)以上となった(t10)ならば、原料を排出槽20から排出させる。
これにより、原料輸送時間がダンプ時間未満の場合であっても、排出槽20から排出された原料は、ダンプ終了後(t11)に炉頂ホッパ40に到達し、高炉原料装入制御装置10は、原料を炉頂ホッパ40へ受け入れを開始させることとなる。
つぎに、実施例1に係る高炉原料装入制御装置10の構成の詳細について図3を用いて説明する。図3は、実施例1に係る高炉原料装入制御装置10の構成を示すブロック図である。
高炉原料装入制御装置10は、制御部11と、記憶部12を備える。また、制御部11は、原料レベル取得部11aと、ダンプ決定部11bと、レベル変化量算出部11cと、排出決定部11dとをさらに備え、記憶部12は、制御周期時間12aと、原料輸送時間12bと、ダンプ時間12cとを記憶する。
原料輸送時間12bは、原料が排出槽20から排出されてから、原料輸送装置30を通過して炉頂ホッパ40に到達するまでの時間である。ダンプ時間12cは、ダンプ処理に要する時間である。
制御部11は、高炉50内へ原料を装入する炉頂機器の全体制御を行う制御部であり、記憶された制御周期時間(Ts)12aと等しい制御周期で制御を行うものである。原料レベル取得部11aは、炉内原料レベル測定装置60から高炉50内に残留する原料のレベルを示すレベル信号61を受け付け、高炉50内の原料レベルを取得する処理を行う処理部である。また、原料レベル取得部11aは、制御周期毎に取得した原料レベルをダンプ決定部11b、レベル変化量算出部11cおよび排出決定部11dへ渡す処理を併せて行う。
ダンプ決定部11bは、制御周期毎に原料レベル取得部11aから受け付けた高炉50内の原料レベルとダンプ開始レベル(L0)とを比較し、原料レベルがダンプ開始レベル(L0)以下となった場合にダンプを開始させるタイミングであると決定し、炉頂ホッパゲート41に対してダンプ指令を出力する処理を行う処理部である。
一方、炉頂ホッパゲート41は、ダンプ決定部11bからダンプ指令を受け付けたならば開放し、開放された炉頂ホッパゲート41から高炉50内へ原料をダンプさせる。
レベル変化量算出部11cは、高炉50内の原料レベルの変化量(以下、「レベル変化量(Vt)」と記載する)を所定の制御周期毎に繰り返し算出する処理を行う処理部である。具体的には、レベル変化量算出部11cは、予め設定され記憶部12に記憶される制御周期時間12aの周期で原料レベル取得部11aから高炉50内の原料レベルを受け付ける。
そして、レベル変化量算出部11cは、原料レベルを受け付けるたびに、今回の制御周期で受け付けた原料レベルと前回の制御周期で受け付けた原料レベルとの差分を制御周期時間12aで除算することによって単位時間当たりのレベル変化量(Vt)を、制御周期毎に算出する。また、レベル変化量算出部11cは、算出したレベル変化量(Vt)を排出決定部11dへ、制御周期毎に渡す処理を併せて行う。
排出決定部11dは、制御周期毎にダンプ開始レベル到達予測時間(Tex0)を算出する処理を行う処理部である。
具体的には、排出決定部11dは、制御周期毎に原料レベル取得部11aから原料レベル(Lx)を取得する。また、排出決定部11dは、原料レベル(Lx)を取得した制御周期内で、原料レベル(Lx)とダンプ開始レベル(L0)との差分をレベル変化量算出部11cから受け付けたレベル変化量(Vt)で除算することによってダンプ開始レベル到達予測時間(Tex0=(Lx−L0)/Vt)を算出する。
また、排出決定部11dは、制御周期毎に、算出したダンプ開始レベル到達予測時間(Tex0)と、原料輸送時間12bとダンプ時間12cとの時間差(Tds)とを比較し、前者が後者以下となった時点で、排出槽20からの原料の排出を開始させるタイミングであると決定するとともに、排出槽ゲート21に対して排出指令を出力する処理を併せて行う。
つぎに、ダンプ決定部11bが実行するダンプ決定処理の処理手順について図4を用いて説明する。図4は、実施例1に係るダンプ決定処理の処理手順を示すフローチャートである。
図4に示すように、一つの制御周期内で、ダンプ決定部11bは、原料レベル取得部11aから高炉50内の原料レベル(Lx)を取得し(ステップS101)、取得された原料レベル(Lx)がダンプ開始レベル(L0)以下であるか否かを判定する(ステップS102)。
ダンプ決定部11bは、取得された原料レベル(Lx)がダンプ開始レベル(L0)以下であると判定した場合(ステップS102,Yes)、炉頂ホッパゲート41に対してダンプ指令を出力し(ステップS103)、一制御周期内のダンプ決定処理を終了する。
一方、ダンプ決定部11bは、取得された原料レベル(Lx)がダンプ開始レベル(L0)より大きいと判定した場合(ステップS102,No)、そのまま一制御周期内のダンプ決定処理を終了する。
そして、ダンプ決定部11bは、以上の一制御周期内のダンプ決定処理を制御周期時間(Ts)12a毎に繰り返して実行する。
つぎに、レベル変化量算出部11cが実行するレベル変化量算出処理の処理手順について図5を用いて説明する。図5は、実施例1に係るレベル変化量算出処理の処理手順を示すフローチャートである。
なお、ここで、かかるレベル変化量算出処理は、前回のダンプ処理が終了してから、排出決定部11dが実行する排出決定処理が行われるまでの間に制御周期時間(Ts)12a毎に繰り返し実行されるものとする。
図5に示すように、レベル変化量算出部11cは、原料レベル取得部11aから高炉50内の原料レベル(Lx1)を取得し(ステップS201)、前回のダンプが終了してから最初に実行されるレベル変化量算出処理であるか否かを判定する(ステップS202)。
そして、レベル変化量算出部11cは、前回のダンプが終了してから最初のレベル変化量算出処理ではない場合(ステップS202,No)、以下の処理を行う。
レベル変化量算出部11cは、今回の制御周期で取得した原料レベル(Lx1)と前回取得した原料レベル(Lx0)との差分を制御周期時間(Ts)12aで除算することによって単位時間当たりのレベル変化量(Vt=(Lx0−Lx1)/Ts)を算出する(ステップS203)。
つづいて、レベル変化量算出部11cは、ステップS203で算出したレベル変化量(Vt)を排出決定部11dへ渡す(ステップS204)。
この後、レベル変化量算出部11cは、前回取得した原料レベル(Lx0)を今回取得した原料レベル(Lx1)によって更新し(ステップS205)、一制御周期内のレベル変化量算出処理を終了する。
一方、前回のダンプが終了してから最初にレベル変化量算出処理を実行するときは(ステップS202,Yes)、前回取得した原料レベル(Lx0)に値が存在しないため、レベル変化量算出部11cは、ステップS205へ処理を移行する。
なお、かかるレベル変化量算出処理は受入処理毎に実行されるのではなく、高炉設備の状況が変化した場合にのみ、実行されてもよい。たとえば、高炉50内の温度が所定値以上変化した場合であったり、原料の成分を変化させた場合であったりしてもよい。
つぎに、排出決定部11dが実行する排出決定処理の処理手順について図6を用いて説明する。図6は、実施例1に係る排出決定処理の処理手順を示すフローチャートである。
なお、かかる排出決定処理は、排出決定部11dがレベル変化量(Vt)を受け付けてからダンプが開始されるまでの間に、所定の制御周期で繰り返し実行されるものとする。なお、所定の制御周期とは、レベル変化量算出部11cで実行される制御周期としてもよいし、また、かかる制御周期の整数分の1の周期としてもよい。
図6に示すように、排出決定部11dは、レベル変化量算出部11cからレベル変化量(Vt)を取得し(ステップS301)、原料レベル取得部11aから高炉50内の原料レベル(Lx)を取得する(ステップS302)。
そして、排出決定部11dは、取得した原料レベル(Lx)とダンプ開始レベル(L0)との差分をレベル変化量(Vt)で除算することによってダンプ開始レベル到達予測時間(Tex0=(Lx−L0)/Vt)を算出する(ステップS303)。
その後、排出決定部11dは、算出したダンプ開始レベル到達予測時間(Tex0)が原料輸送時間12bとダンプ時間12cとの時間差(Tds)以下であるか否かを判定する(ステップS304)。
排出決定部11dは、ダンプ開始レベル到達予測時間(Tex0)が時間差(Tds)以下であると判定した場合(ステップS304,Yes)、排出槽ゲート21に対して排出指令を出力して(ステップS305)、一制御周期内の排出決定処理を終了する。
一方、排出決定部11dは、ダンプ開始レベル到達予測時間(Tex0)が時間差(Tds)より大きいと判定した場合(ステップS304,No)、そのまま一制御周期内の処理を終了する。
なお、かかる排出決定処理のすべては、所定の制御周期で繰り返し実行されるものとしたが、これに限定されるものではない。たとえば、レベル変化量算出部11cから排出決定部11dがレベル変化量(Vt)を最初に受け付けた制御周期でのみ、ステップS303で行うダンプ開始レベル到達予測時間(Tex0)の算出を1回だけ実行してもよい。
さらに同じ制御周期において、排出決定部11dは、ダンプ開始レベル到達予測時間(Tex0)と時間差(Tds)との差分(t=Tex0−Tds)を算出する。そして、以後排出決定部11dは、制御周期毎に制御周期時間(Ts)12aを積算することにより経過時間を算出し、算出した経過時間が、差分(t)と等しくなった制御周期で排出槽ゲート21に対して排出指令を出力することとしてもよい。
なお、各処理の制御周期の関係は以下のように設定する。レベル変化量算出部11cが実行するレベル変化量算出処理の制御周期をTsc、ダンプ決定部11bが実行するダンプ決定処理の制御周期をTsb、排出決定部11dが実行する排出決定処理の制御周期をTsd、レベル取得部11aが実行する原料レベル取得処理の制御周期をTsaとすると、Tscを最も大きい周期とし、その次に大きい周期はTsbまたはTsd、最も小さい周期をTsaとする(Tsc≧(TsbおよびTsd)≧Tsa)。
上述したように、実施例1では、高炉原料装入制御装置は、レベル変化量(Vt)に基づいてダンプ開始レベル到達予測時間(Tex0)を算出することとした。そして、高炉原料装入制御装置は、ダンプ開始レベル到達予測時間(Tex0)が時間差(Tds)以下となった時点で、排出槽ゲートに対して排出指令を出力することとした。
これにより、実施例1に係る高炉原料装入制御装置では、炉頂ホッパにおいて原料の受け入れを待機させることなく、原料の排出からダンプまでの一連の処理が効率よく行われるよう制御することができる。
ところで、上述した実施例1に係る高炉原料装入制御装置は、ダンプ開始レベル到達予測時間(Tex0)に基づいて排出指令を出力することとした。しかし、高炉内の原料レベルに基づいて排出指令を出力することとしてもよい。そこで、以下に示す実施例2では、高炉内の原料レベルに基づいて排出決定処理が行われる場合について説明する。
図7は、実施例2に係る排出決定処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図7は、図6に示した排出決定部11dが実行する排出決定処理の処理手順と対応している。また、高炉原料装入制御装置10の構成については、図3と同様であるので、ここでは、構成の説明については省略することとする。
なお、実施例2に係る排出決定処理は、レベル変化量算出部11cから排出決定部11dがレベル変化量(Vt)を受け付けてからダンプが開始されるまでの間に、所定の制御周期で繰り返し実行されるものとする。
図7に示すように、排出決定部11dは、レベル変化量算出部11cからレベル変化量(Vt)を取得する(ステップS401)。
つづいて、排出決定部11dは、原料輸送時間12bとダンプ時間12cとの時間差(Tds)と取得したレベル変化量(Vt)とダンプ開始レベル(L0)とに基づいて原料を排出すべき時点の高炉50内の原料レベル(L1)を予測する(ステップS402)。
具体的には、排出決定部11dは、ダンプ開始レベル(L0)に、レベル変化量(Vt)に時間差(Tds)を乗算した値を加算して原料レベル(L1=L0+Vt×Tds)を算出する。
そして、排出決定部11dは、原料レベル取得部11aから高炉50内の原料レベル(Lx)を取得し(ステップS403)、取得した原料レベル(Lx)がステップS402で予測した原料レベル(L1)以下であるか否かを判定する(ステップS404)。
排出決定部11dは、原料レベル(Lx)がステップS402で予測した原料レベル(L1)以下であると判定した場合(ステップS404,Yes)、排出槽ゲート21に対して排出指令を出力して(ステップS405)、一制御周期内の排出決定処理を終了する。
一方、排出決定部11dは、原料レベル(Lx)がステップS402で予測した原料レベル(L1)より大きいと判定した場合(ステップS404,No)、一制御周期内の排出決定処理を終了する。
なお、かかる排出決定処理のすべては、所定の制御周期で繰り返し実行されるものとしたが、これに限定されるものではない。たとえば、ステップS402の処理である原料レベル(L1)は、レベル変化量算出部11cから排出決定部11dがレベル変化量(Vt)を最初に受け付けた制御周期でのみ、1回だけ実行してもよい。
上述したように、実施例2では、高炉原料装入制御装置は、レベル変化量(Vt)に基づいて原料を排出すべき時点の高炉内の原料レベル(L1)を予測することとした。これにより、実施例2に係る高炉原料装入制御装置でも、炉頂ホッパにおいて原料の受け入れを待機させることなく、原料の排出からダンプまでの一連の処理が効率よく行われるよう制御することができる。
ところで、上述した実施例1および実施例2に係る高炉原料装入制御装置では、炉頂ホッパから高炉内へ原料をダンプする際に、炉頂ホッパ内の圧力は変化しないものとした。しかし、これに限定されるものではない。
そこで、以下に示す実施例3では、炉頂ホッパから高炉内へ原料をダンプする際に、炉頂ホッパ内の圧力が変化するような炉頂機器によって構成される高炉設備について説明する。
図8は、実施例3に係る高炉設備1’の説明図である。なお、図8は、図1に示した実施例1に係る高炉設備1の構成例と対応している。また、上部側および下部側の2つの炉頂ホッパによって構成される点以外は、図1と同様である。したがって、ここでは、両者に共通する説明については省略することとする。
図8に示すように、実施例3に係る高炉設備1’に備える炉頂機器は、上部炉頂ホッパ70と、下部炉頂ホッパ72とを備えている。また、上部炉頂ホッパ70は、上部炉頂ホッパゲート71をさらに備え、下部炉頂ホッパ72は、均排圧装置74と、下部炉頂ホッパゲート73とをさらに備えている。なお、図8では、高炉原料装入制御装置10’からの指令や原料レベルの信号等のデータの受け渡しについて破線矢印で示し、原料の流れについては実線矢印で示すこととする。
高炉原料装入制御装置10’からの排出指令によって排出槽ゲート21が開放されたことによって原料が排出槽20から原料輸送装置30へ排出され、上部炉頂ホッパ70まで輸送される。上部炉頂ホッパ70まで輸送された原料は、一旦上部炉頂ホッパ70で受け入れる。
また、すでに、下部炉頂ホッパ72に、上部炉頂ホッパ70から受け入れられた原料がある状態で、高炉原料装入制御装置10’は、下部炉頂ホッパ72に備える均排圧装置74によって下部炉頂ホッパ72内の圧力を、大気圧から高炉50内と同じ圧力へ変化させる(以下、「均圧」と記載する)。
これにより、下部炉頂ホッパ72から高炉50内へ原料をダンプする際、双方が同じ圧力となっていることで、効率よくダンプすることができる。なお、ここでは、上部炉頂ホッパ70および下部炉頂ホッパ72の双方とも、原料が受け入れられた状態である。
そして、高炉原料装入制御装置10’は、高炉50内の原料レベルがダンプ開始レベル(L0)以下となった時点で、下部炉頂ホッパゲート73を開放することによって下部炉頂ホッパ72の原料は、高炉50内へ装入される。
高炉原料装入制御装置10’は、ダンプ終了後は、下部炉頂ホッパ72に備える均排圧装置74によって下部炉頂ホッパ72内の圧力を、高炉50内の圧力から大気圧と同じ圧力へ変化させる(以下、「排圧」と記載する)。これにより、上部炉頂ホッパ70から下部炉頂ホッパ72へ原料を受け入れる際、双方が同じ圧力となっていることで、効率よく受け入れを行うことができる。
そして、高炉原料装入制御装置10’は、上部炉頂ホッパゲート71を開放することによって、上部炉頂ホッパ70の原料は下部炉頂ホッパ72へ受け入れられる。その後、高炉原料装入制御装置10’では、上述した一連の処理を繰り返す。
このように、実施例3に係る高炉設備1’は、上部炉頂ホッパ70と下部炉頂ホッパ72との2つの炉頂ホッパから構成されている。また、下部炉頂ホッパ72内の圧力を、均排圧装置74によって変化させることができる。
つぎに、実施例3に係る高炉原料装入制御装置10’が実行する原料の排出およびダンプの制御手法について図9を用いて説明する。図9は、実施例3に係る高炉原料装入制御手法の説明図である。なお、図9は、図2Bに示した実施例1に係る制御手法の説明図と対応している。
また、図9では、横軸は時間軸を示し、上段には排出槽20、中段には上部炉頂ホッパ70および下部炉頂ホッパ72で実行される処理について示し、下段には高炉50内の原料レベルを示す。
図9の中段に示すように、Tαは、ダンプ準備時間として、高炉原料装入制御装置10’からのダンプ指令を受け付けてから下部炉頂ホッパゲート73を開放し、下部炉頂ホッパゲート73が開き終わるまでの時間を示す。
Tdは、予想ダンプ時間として、原料が高炉50へのダンプが開始されてから装入される原料がなくなるまでの時間を示し、高炉原料装入制御装置10’は、ダンプ終了時に下部炉頂ホッパゲート73を閉塞させる。
Tβは、受入準備時間として、下部炉頂ホッパ72を排圧させ、下部炉頂ホッパ72内の圧力を大気圧と同じ圧力へ変化させる時間を示し、高炉原料装入制御装置10’は、排圧終了時に上部炉頂ホッパゲート71を開放させる。
Kは、安全余裕時間として、下部炉頂ホッパ72が上部炉頂ホッパゲート71からの原料を受け入れる時間を示す。また、高炉原料装入制御装置10’は、上部炉頂ホッパゲート71からの原料の受け入れ終了時に上部炉頂ホッパゲート71を閉塞させる。
このように、実施例3に係る高炉原料装入制御装置10’では、制御手法のダンプ時間が、ダンプ準備時間(Tα)と、予想ダンプ時間(Td)と、受入準備時間(Tβ)と、安全余裕時間(K)との和(Tα+Td+Tβ+K)となることが実施例1とは異なる。
そして、実施例3に係る高炉原料装入制御装置10’は、原料輸送時間がかかる時間の和以上の場合(Tα+Td+Tβ+K≦原料輸送時間)、実施例1と同様にダンプ開始レベル到達予測時間を算出する。
なお、算出手法を含むダンプ決定処理、レベル変化量算出処理および排出決定処理については、実施例1と同様であるので、ここでは説明を省略する。このように、高炉設備1’の構成が変わった場合であっても、実施例3に係る高炉原料装入制御装置10’では、原料の排出からダンプまでの一連の処理が効率よく行われるよう制御することができる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施例に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
1 高炉設備
1’ 高炉設備
10 高炉原料装入制御装置
10’ 高炉原料装入制御装置
11 制御部
11a 原料レベル取得部
11b ダンプ決定部
11c レベル変化量算出部
11d 排出決定部
12 記憶部
12a 制御周期時間
12b 原料輸送時間
12c ダンプ時間
20 排出槽
21 排出槽ゲート
30 原料輸送装置
40 炉頂ホッパ
41 炉頂ホッパゲート
50 高炉
60 炉内原料レベル測定装置
61 レベル信号
70 上部炉頂ホッパ
71 上部炉頂ホッパゲート
72 下部炉頂ホッパ
73 下部炉頂ホッパゲート
74 均排圧装置

Claims (5)

  1. 高炉内における原料上端面の基準面からの位置を示す原料レベルを取得するレベル取得部と、
    前記レベル取得部によって取得された前記原料レベルが所定のレベルへ達するタイミングを、前記高炉内への原料の装入を示すダンプを開始させるタイミングとして決定するダンプ決定部と、
    排出槽が原料を排出してから該原料が貯留される炉頂ホッパへ輸送されるまでの時間を示す原料輸送時間が前記ダンプに要するダンプ時間より長い場合に、前記高炉内の原料レベルの単位時間あたりの変化量および前記原料輸送時間と前記ダンプ時間との差時間に基づいて前記ダンプ開始よりも早いタイミングを前記排出槽からの原料の排出を開始させるタイミングとして決定する排出決定部と
    を備えることを特徴とする高炉原料装入制御装置。
  2. 前記排出決定部は、
    前記差時間を算出し、前記原料レベルと前記原料レベルの単位時間あたりの変化量とに基づいてダンプ開始時間を予測し、予測された当該ダンプ開始時間よりも、最大で前記差時間前のタイミングを前記排出槽からの原料の排出を開始させるタイミングとして決定することを特徴とする請求項1に記載の高炉原料装入制御装置。
  3. 前記排出決定部は、
    前記排出槽からの原料の排出を開始させるべき前記原料レベルを前記原料レベルの前記変化量に基づいて予測し、予測した前記原料レベルへ前記レベル取得部によって取得された前記原料レベルが達したタイミングを前記原料の排出を開始させるタイミングとして決定することを特徴とする請求項1または2に記載の高炉原料装入制御装置。
  4. 前記排出決定部は、ダンプ準備時間と予想ダンプ時間と受入準備時間と安全余裕時間との和を前記ダンプ時間とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の高炉原料装入制御装置。
  5. 高炉内における原料上端面の基準面からの位置を示す原料レベルを取得するレベル取得工程と、
    前記レベル工程によって取得された前記原料レベルが所定のレベルへ達するタイミングを、前記高炉内への原料の装入を示すダンプを開始させるタイミングとして決定するダンプ決定工程と、
    排出槽が原料を排出してから該原料が貯留される炉頂ホッパへ輸送されるまでの時間を示す原料輸送時間が前記ダンプに要するダンプ時間より長い場合に、前記高炉内の原料レベルの単位時間あたりの変化量および前記原料輸送時間と前記ダンプ時間との差時間に基づいて前記ダンプが開始されるダンプ開始時間を予測し、予測された前記ダンプ開始時間よりも早いタイミングを前記排出槽からの原料の排出を開始させるタイミングとして決定する排出決定工程と
    を含んだことを特徴とする高炉原料装入制御方法。
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