JP5696023B2 - 定量注出器 - Google Patents

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Description

本発明は、定量注出器に関する。
従来、定量注出器として、注出される内容物を一時的に収容するシリンダと、シリンダ内に下方付勢状態で設けられると共に上下移動によってシリンダの内圧を増減させるピストンロッドと、ピストンロッドを引き上げる操作ハンドルと、シリンダに連設されると共に容器の口部内に配設され、シリンダの内圧の増減に応じてシリンダとの連通および遮蔽が切り替えられる吸い上げ筒と、シリンダに直結されて側方に向けて延び、シリンダの内圧の増減に応じてシリンダとの連通および遮蔽が切り替えられる注出筒と、を備える構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この定量注出器では、レバーを用いてピストンロッドを引き上げると、シリンダ内が負圧になって吸い上げ筒とシリンダとが連通し、吸い上げ筒から内容物がシリンダ内に吸入される。そして、シリンダと注出筒とが連通してシリンダ内に吸入された内容物が注出筒から注出される。
定量注出器では、正確な量を繰り返し注出させることが求められている。そこで、特許文献1に記載された定量注出器では、定量注出器の軸方向に階段状に形成された複数の突当段部を有する変更部材が、シリンダに対して上下動不能に取り付けられている。変更部材は、ピストンロッドの下端外周面に設けられた係止駒と当接可能であり、突当段部は、ピストンロッドの上方移動時に係止駒と当接することによってピストンロッドのさらなる上方移動を規制しており、変更部材を軸回りで回転させて係止駒と当接する突当段部を切り替えることによって、変更部材によって規制される上方移動量を変更する。
実公平6−28452号公報
しかしながら、上記従来の定量注出器では、注出される内容物の量を変更する構成をより容易にすることについて改善の余地があった。
そこで、本発明は、上記した従来の問題点を解決するものであり、注出される内容物の量を容易に変更でき、かつ構成の簡素化を図ることができる定量注出器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る定量注出器は、注出される内容物を一時的に収容するシリンダと、該シリンダに連設されるとともに前記内容物が収容される容器の口部に配設されて、前記シリンダの内圧の増減に応じて該シリンダとの連通および遮断が切り替えられる吸い上げ筒と、前記シリンダに直結されて側方に向けて延び、前記シリンダの内圧の増減に応じて該シリンダとの連通および遮蔽が切り替えられる注出筒と、前記シリンダに上方付勢状態で下方移動自在に配設された有頂筒状の押下ヘッドと、前記シリンダ内に配設され、前記押下ヘッドに連係して該シリンダ内を上下移動するピストンと、前記押下ヘッドの下方移動量を規制するストッパ部材と、を備え、前記ストッパ部材は、ダイヤル軸回りに回転自在に配設されたダイヤル部と、当該ダイヤル部の前記ダイヤル軸回りの回転移動に伴い、前記押下ヘッドの周壁部に形成された開口を通して、前記押下ヘッドの内部において前記シリンダよりも上方に位置する拡縮空間に対して進退移動する規制部と、を備え、前記規制部は、前記シリンダ若しくは前記シリンダの上端部に装着された部材に、上方から対向して当接可能に構成されていることを特徴としている。
このような特徴により、ダイヤル部の回転操作により規制部を拡縮空間内に進入させた状態で、押下ヘッドを下方へ移動させることで、規制部がシリンダ若しくはシリンダの上端部に装着された部材に当接し、それ以上の押下ヘッドの下方移動が制限される。すなわち、ダイヤル部の回転操作により規制部を拡縮空間内に進入させることで、規制部が拡縮空間に位置しない場合に比べて押下ヘッドの下方移動量(ストローク量)を制限できる。これにより、制限されたストローク量に応じた量の内容物を注出できる。
さらに、ダイヤル部に前記拡縮空間内に対して進退移動する規制部を追加するだけの簡素な構成であるため、既存の製品から大きな設計変更を伴わずにストローク量の切り替えが可能になる。
また、本発明に係る定量注出器は、前記規制部は、前記ダイヤル部に前記ダイヤル軸回りに間隔をあけて複数配設され、これら複数の規制部は、下端の上下方向位置が互いに異なるとともに、前記ダイヤル軸回りの回転移動に伴い、前記複数の規制部のうち、一つずつが単独で前記拡縮空間内に位置するように前記拡縮空間を通過可能に配設されていることが好ましい。
この場合、複数の規制部のうち、一つずつが単独で拡縮空間内に位置するので、ストローク量を複数段階に確実に切り替えることができ、注出量のより細かい調整が可能になり、利便性をより向上させることができる。
本発明に係る定量注出器によれば、注出される内容物の量を容易に変更でき、かつ構成の簡素化を図ることができる。
定量注出器1の平面図である。 図1のA−A線に沿う部分断面図である。 押下筒部の斜視図である。 図2に相当する断面図であり、内容物の注出方法を説明するための図である。 図2に相当する断面図であり、内容物の注出方法を説明するための図である。
以下、本発明に係る定量注出器の実施形態を、図面に基づいて説明する。
本実施形態における定量注出器1は、例えば、内容物を収容した容器(不図示)の口部(不図示)に装着されるものである。具体的に、図1,図2に示すように、定量注出器1は、注出される内容物を一時的に収容するシリンダ2と、シリンダ2に上方付勢状態で下方移動自在に設けられた押下ヘッド3と、シリンダ2に連設されて容器の口部に配設される吸い上げ筒4と、シリンダ2内に配設され、押下ヘッド3に連係してシリンダ2内を上下移動するピストン7と、シリンダ2に直結されて側方に向けて延びる注出筒5と、押下ヘッド3の下方移動量を規制するストッパ部材6と、を備えている。なお、上述した容器内に収容される内容物としては、例えば水や酒類などの液体飲料のように比較的粘度の低い液体が挙げられるが、低粘度の液体に限られない。
シリンダ2、押下ヘッド3および吸い上げ筒4はそれぞれ、共通軸と同軸に配設されている。以下、この共通軸を軸線Oと称し、軸線O方向に沿って押下ヘッド3側(図2における上側)を上方とし、その反対側(吸い上げ筒4側(図2における下側))を下方とする。また、軸線O方向を上下方向、軸線Oに直交する方向を径方向、軸線O回りの方向を周方向とする。
シリンダ2は、有底円筒状をなしており、内容物を収容(計量)するシリンダ本体部11と、シリンダ本体部11の下部から下方に向けて突出する突出筒部12と、シリンダ本体部11の下部から径方向外方に向けて延びる連結筒部13と、を備えている。
シリンダ本体部11の下面における径方向中央部には、吸い上げ筒4に連通する吸い上げ連通口(不図示)が形成され、中央から径方向外方に離間した位置に連結筒部13に連通する注出連通口(不図示)が形成されている。
突出筒部12の下端には、径方向外側に向けて突出するフランジ部(不図示)が形成されている。このフランジ部には、上述した口部に着脱自在に螺着される装着筒部14が係合されている。
連結筒部13の内部には、シリンダ本体部11の内圧の増減に応じてシリンダ2と注出筒5との連通および遮蔽を切り替える注出弁(不図示)が設けられている。この注出弁は、シリンダ本体部11の内圧が増大することで開放され、シリンダ2と注出筒5とを連通させる一方、シリンダ本体部11の内圧が減少することで閉塞され、シリンダ2と注出筒5とを遮蔽する。
ピストン7は、シリンダ本体部11内に上下摺動自在に嵌合されたシール筒部7aと、有底筒状に形成され、その上端縁がシール筒部7aの内周面における上下方向の中間部に連結された底板部7cと、有頂筒状に形成され底板部7cから上方に向けて延びる被装着筒部7bと、を備え、これら7a〜7cが軸線Oと同軸に配設されて構成されている。また、ピストン7は、シリンダ本体部11を上方から気密に閉塞している。そして、シリンダ本体部11とピストン7とで囲まれた空間は、吸い上げ筒4から吸い上げられた内容物を収容する貯留空間Cを構成している。
押下ヘッド3は、有頂筒状に形成されるとともにシリンダ本体部11に外挿された押下筒部21と、下端部がピストン7の被装着筒部7bに外嵌された装着筒部43と、を備え、これら21,43が軸線Oと同軸に配設されて構成されている。
押下筒部21内には、天壁部44から下方に向けて延びる連結筒部42が備えられ、この連結筒部42内に装着筒部43が嵌合されている。
装着筒部43は、押下筒部21の連結筒部42内に嵌合された本体部43bと、該本体部43bの下端から径方向の外側に向けて突出したフランジ部43aと、を備えている。このフランジ部43aが、ピストン7の底板部7c内に該底板部7cの上面に当接した状態で嵌合されている。これにより、ピストン7が押下ヘッド3の上下移動に連係するようになっている。
ここで、シリンダ本体部11の上端部には、中間筒部31が装着されている。中間筒部31は、シリンダ本体部11の上端部に外嵌される外筒32と、シリンダ本体部11の上端部に内挿される内筒33と、内筒33よりも小径のガイド筒34と、を備えている。また、外筒32の上端部と内筒33の上端部とは、環状の天壁板35により互いに連結されている。また、内筒33の下端部とガイド筒34の下端部とは、環状の底壁板36により互いに連結されている。
押下筒部21は、シリンダ2に対して上下移動可能に構成され、操作者が押し下げ操作を行うためのものであり、中間筒部31の外筒32に外挿される押下外筒41と、中間筒部31のガイド筒34に内挿される連結筒部42と、を備えている。また、押下外筒41の上端部と連結筒部42の上端部とは、環状の天壁部44により互いに連結されている。なお、特に図示しないが、連結筒部42の外周面およびガイド筒34の内周面に、上下方向に沿って延びるリブおよび溝を形成して、連結筒部42とガイド筒34との周方向への相対回転を規制する構成としてもよい。
また、押下筒部21の天壁部44と、中間筒部31の底壁板36と、の間には、弾性体の圧縮コイルばね24が配設されている。圧縮コイルばね24は、中間筒部31に対して押下筒部21を上方へ向けて付勢しているとともに、前述のように押下ヘッド3と連係されたピストン7もシリンダ2に対して上方へ向けて付勢している。そして、押下筒部21と中間筒部31とで囲まれた空間は、シリンダ2に対する押下ヘッド3の上下移動により内部の容積が上下方向に拡大または縮小する拡縮空間Dを構成している。
吸い上げ筒4は、円筒状をなしており、上端がシリンダ本体部11の下面に形成された前記吸い上げ連通口に接続されて下方に向けて延びている。
また、吸い上げ筒4の内部には、シリンダ本体部11の内圧の増減に応じてシリンダ2と吸い上げ筒4との連通および遮蔽を切り替える吸い上げ弁(不図示)が設けられている。この吸い上げ弁は、シリンダ本体部11の内圧が減少することで開放され、シリンダ2と吸い上げ筒4とを連通させる一方、シリンダ本体部11の内圧が増大することで閉塞され、シリンダ2と吸い上げ筒4とを遮蔽する。
注出筒5は、連結筒部13に連結されて径方向外側に向けて延びる基端部分25と、基端部分25の先端に接続されて径方向外側に向かうにしたがって漸次下方に向けて延びる先端部分26と、を備えている。また、注出筒5の先端には、内容物を注出する注出口5Aが形成されている。
ここで、図1〜図3に示すように、上述した押下筒部21の周方向における一部には、天壁部44の外周縁部から押下外筒41にわたって開口部51が形成されている。
開口部51は、天壁部44の外周縁部に形成され、上下方向に貫通しかつ径方向の外側に向けて開口する上端開口部52と、上端開口部52の周方向両側から下方に向けて延びる一対のスリット53と、を有している。なお、押下外筒41において、一対のスリット53同士の間に位置する部分(以下、片持ち壁という)41aは、下端が固定端、上端が自由端となっている。また、開口部51の上端開口部52は、この定量注出器1の上面視で、天壁部44の内側に向けて張り出した弧状を呈している。
ストッパ部材6は、押下筒部21に径方向の外側に向けて突設されたダイヤル保持筒61と、ダイヤル保持筒61の内側に配置された軸受筒62と、軸受筒62に支持されたダイヤル部63と、を備えている。
これらのダイヤル保持筒61、軸受筒62およびダイヤル部63はそれぞれ、押下外筒41より径方向の外側に位置し、かつ軸線Oと平行な共通軸と同軸に配置されている。以下、この共通軸をダイヤル軸O’という。
ダイヤル保持筒61は、押下筒部21よりも上下方向に短い筒状体であり、その周方向における一部が上下方向の全域にわたって押下外筒41の外周面に向く開口部64となっている。そして、このダイヤル保持筒61は、押下外筒41の径方向の外側から一対のスリット53を一体に覆い、かつ開口部64が押下外筒41の外周面により閉塞されるように、押下外筒41の外周面に一体に連結されている。
軸受筒62は、ダイヤル保持筒61よりも小径に形成された筒状の部材であり、ダイヤル保持筒61の内側に配設されている。軸受筒62の外周面における周方向の一部が上下方向の全長に亘って片持ち壁41aの外周面に連結されている。
ダイヤル部63は、円板状の操作部67と、操作部67の中央部から下方に向けて延在する軸部65と、を備えている。
操作部67は、円板状の天壁部66を有し、この天壁部66によりダイヤル保持筒61の上端開口部61aおよび押下筒部21の上端開口部52が一体に閉塞されている。なお、上端開口部52の曲率半径、ダイヤル保持筒61の外周面における半径、および天壁部66の外周面における半径は、互いに同等になっている。操作部67は、その周方向における一部が上端開口部52の開口縁内に収容されている。押下筒部21の天壁部44の上面と操作部67の上面とは、ほぼ面一となっている。なお、操作部67の上面には、90度ピッチで目盛りS1〜S4が配される一方、押下筒部21の天壁部44における上端開口部52の開口周縁部には合印Tが配されている。
軸部65は、ダイヤル軸O’と同軸に配設された筒状の部材であり、軸受筒62内に、ダイヤル軸O’回りに回転自在に嵌合されている。軸部65の下端部には、係止爪65aが突設されており、この係止爪65aが軸受筒62の下端開口縁に係止され、ダイヤル部63の上方への移動を規制している。なお、軸受筒62の上端面は操作部67の天壁部66の下面に当接する一方、ダイヤル保持筒61の上端面は、天壁部66の外周縁に下方に向けて突設されるとともに、全周に亘って延びる周壁68の下端に当接している。
ここで、操作部67の天壁部66には、ダイヤル軸O’回りに間隔をあけて複数の規制部71〜73が下方に向けて一体に突設されている。各規制部71〜73は、天壁部66の外周縁部から下方に向けて延在する板状の部材であり、周壁68の内周面形状に倣ってダイヤル軸O’回りに沿って湾曲している。なお、各規制部71〜73の上端部は、周壁68の内周面に連設されている。
尚、前記規制部71〜73は、前記ダイヤル部63と別部材として成形し、両者を組み付けて構成してもよい。
また、規制部71〜73の板厚は、上述したスリット53の幅(周方向における間隔)と同等、もしくは、この幅よりも薄くなっている。そのため、規制部71〜73はダイヤル部63をダイヤル軸O’回りに回転させることで、スリット53内を通って上述した拡縮空間D内を通過可能に構成されている。すなわち、操作部67を一方向(例えば、矢印F方向)に回転させた場合に、各規制部71〜73は、一対のスリット53のうち、一方のスリット53を通ってダイヤル保持筒61内から押下筒部21内に進入した進入ポジションと、他方のスリット53を通って押下筒部21からダイヤル保持筒61内へと退避した退避ポジションと、に配置可能に構成されている。なお、操作部67は、一方向に限らず、一方向とは反対回りの他方向にも回転自在である。
さらに、本実施形態では、各規制部71〜73は、ダイヤル部63を回転させた際に、一つずつが単独で拡縮空間D内の進入ポジションに位置するように、操作部67の周方向における幅および周方向における位置が設定されている。具体的に、各規制部71〜73は、ダイヤル軸O’回りに90度ピッチで配置されている。なお、図示の例では、上述した目盛りS1〜S4のうち、目盛りS1〜S3と対応する位置に規制部71〜73がそれぞれ配置される一方、目盛りS4と対応する位置には規制部71〜73は配置されていない。
すなわち、ダイヤル部63を回転させ、操作部67の目盛りS1〜S4のうち、目盛りS1〜S3の何れかを押下筒部21の合印Tに合わせることで、複数の規制部71〜73のうち、この目盛りS1〜S3に対応した1つの規制部を進入ポジションに位置させることができ、目盛りS4を押下筒部21の合印Tに合わせることで、規制部71〜73の全てが退避ポジションに位置されるように構成されている。
規制部71〜73が進入ポジションに位置すると、規制部71〜73の下端が中間筒部31の天壁板35に上方からに対向する。そのため、押下筒部21が下方に押し下げられると、規制部71〜73の下端が中間筒部31の天壁板35に当接して、押下ヘッド3の下方への移動(ストローク量)が規制される。また、規制部71〜73が退避ポジションに位置している場合には、押下筒部21が押し下げられると、操作部67の周壁68の下端が、中間筒部31の天壁板35の上面に接近若しくは当接する。
さらに本実施形態では、各規制部71〜73の上下方向の長さは互いに異なっており、それぞれの規制部71〜73の下端の上下方向位置が互いに異なっている。
以上より、ダイヤル部63をダイヤル軸O’回りに回転させて、目盛りS1〜S4のうちの何れかを合印Tに合わせることで、押下ヘッド3のストローク量を複数段階に切り替えられるように構成されている。
なお、操作部67の周壁68の外周面には、上下方向に延在するリブおよび溝(不図示)が周方向全周に亘って形成されており、操作者が操作部67を回転させる際のグリップ力の向上を図っている。
次に、上述した定量注出器1を用いた内容物の注出方法について説明する。まず目盛りS4を合印Tに合わせた状態で内容物を注出する場合について説明する。
装着筒部14を容器の口部に螺着させ、定量注出器1を容器に取り付ける。続いて、ダイヤル部63を回転操作して、図1に示されるように、目盛りS4を合印Tに合わせ、規制部71〜73を全て退避ポジションに位置させる。
次に、図4に示すように、圧縮コイルばね24による上方付勢力に対抗して押下ヘッド3を押し下げると、押下ヘッド3の下方移動に連係してピストン7がシリンダ2に対して下方に移動する。これにより、拡縮空間Dの容積が縮小する。そして、押下ヘッド3の押し下げを解除すると、押下ヘッド3は、圧縮コイルばね24による上方付勢力によって上方に移動し、押下ヘッド3の上方移動に連係してピストン7がシリンダ2に対して上方に移動する。これにより、押下ヘッド3のストローク量に応じた負圧をシリンダ本体部11内の貯留空間Cに発生させる。これにより、吸い上げ筒4の内部に配置された吸い上げ弁は、吸い上げ筒4の内部を開放してシリンダ2内と吸い上げ筒4内とを連通させる。すると、容器内の内容物が吸い上げ筒4および吸い上げ弁を通り貯留空間C内に吸い上げられる。このときの、貯留空間Cへの内容物の流入量は、貯留空間C内に発生した負圧、すなわちストローク量に対応している。なお、この際、連結筒部13の内部に配置されている注出弁は、連結筒部13の内部を閉鎖してシリンダ2内と注出筒5内とを遮蔽している。
この状態で、押下ヘッド3を再び押し下げ、拡縮空間Dの容積を縮小すると、シリンダ本体部11内が正圧になり、注出弁が、連結筒部13の内部を開放してシリンダ2内と注出筒5内とを連通させる。これにより、シリンダ本体部11の貯留空間Cに貯留された内容物は、連結筒部13内を通って注出筒5の注出口5Aから注出される。この時、押下ヘッド3は操作部67の周壁68の下端が、中間筒部31の天壁板35の上面に接近若しくは当接するまで下方移動する。このときの内容物の注出量は、貯留空間C内に発生した正圧、すなわちストローク量に対応している。なお、注出時において、吸い上げ弁は、吸い上げ筒4の内部を閉鎖してシリンダ2と吸い上げ筒4とを遮蔽している。そのため、シリンダ本体部11内の内容物は、吸い上げ筒4に戻されない。
以上のようにして、内容物を注出する。
次に、シリンダ本体部11の貯留空間C内に貯留された内容物の注出量を切り替える場合について説明する。
まず、図5に示すように、ダイヤル部63を回転操作して、目盛りS2を合印Tに合わせ、複数の規制部71〜73のうち、規制部72を1つだけ単独で進入ポジションに位置させる。詳細には、ダイヤル部63をダイヤル軸O’回りの一方向に沿って回転操作すると、退避ポジションに位置していた規制部72が、ダイヤル部63とともにダイヤル軸O’回りに回転移動し、一方のスリット53を通って拡縮空間D内に進入する。この規制部72の下端が中間筒部31の天壁板35の上面に対向配置される。
この状態で、上述と同様に、シリンダ2に対して押下ヘッド3を押し下げると、規制部72の下端が中間筒部31の天壁板35に突き当たり、押下ヘッド3のさらに下方への移動が規制される。そのため、このときの内容物の注出量は、目盛りS4を合印Tに合わせた前述の場合と比べて少なくなる。そして、目盛りS2を合印Tに合わせた状態で押下ヘッド3を繰り返し押し下げると、規制部72の下端が中間筒部31の天壁板35に突き当たるまでのストローク量に応じた量の内容物が繰り返し注出される。
なお、上述した実施形態では、ダイヤル部63を目盛りS4から目盛りS2に切り替えて、押下ヘッド3のストローク量を変更した場合について説明したが、これに限らず、目盛りS1〜S4のうち、任意の目盛りS1〜S4に合わせることで、それぞれのストローク量に応じた任意の注出量に切り替えることができる。
このように、本実施形態では、回転自在に配設されたダイヤル部63に拡縮空間Dを通過可能に配設された規制部71〜73を設ける構成とした。
この構成によれば、ダイヤル部63の回転操作により規制部71〜73の何れかを進入ポジションに位置させることで、規制部71〜73が進入ポジションに位置していない場合に比べて押下ヘッド3のストローク量を制限できる。これにより、制限されたストローク量に応じた量の内容物を繰り返し注出できる。
特に、本実施形態では、ダイヤル部63の回転操作という簡単な操作のみにより、押下ヘッド3のストローク量を切り替え、切り替えたストローク量に応じた量の内容物を注出できるので、操作性を向上できる。
さらに、押下ヘッド3の外周面(押下外筒41)に押下ヘッド3内を通過可能な規制部71〜73を追加するだけの簡素な構成であるため、既存の製品から大きな設計変更を伴わずにストローク量の切り替えが可能になる。
また、本実施形態では、複数の規制部71〜73のうち、一つずつが単独で拡縮空間D内に位置するので、ストローク量を複数段階(例えば、4段階)に確実に切り替えることができ、注出量のより細かい調整が可能になる。その結果、利便性をより向上させることができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、シリンダは、注出筒が取り付けられる連結筒部を有しているが、連結筒部を設けずにシリンダ本体部に注出筒を直接取り付けるなど他の構成を有してもよい。
吸い上げ弁および注出弁は、シリンダの内圧の増減に応じて同様の作用効果を奏すれば、他の位置に設けられていてもよい。
また、圧縮コイルばね24は、押下ヘッド3を押し下げる際に上方付勢力が作用すれば構わない。すなわち、押下ヘッド3を押し下げていない状態では、圧縮コイルばね24に付勢力が作用していなくても構わない(自然長の状態)。
また、上述した実施形態では、規制部71〜73を3つ設ける構成について説明したが、単数や2つでもよく、4つ以上設けても構わない。
規制部が単数の場合には、規制部が拡縮空間Dに対して進退可能に構成されていればよい。
一方、規制部71〜73を複数設ける場合については、一つずつが、単独で拡縮空間D内に位置するように構成されていれば、適宜設計変更が可能である。
また、規制部71〜73の上下方向における長さや、周方向における幅等も適宜設計変更が可能である。
さらに、上述した実施形態では、中間筒部31の天壁板35の上面に規制部71〜73の下端面が当接することで、ストローク量を制限する構成について説明したが、これに限らず、他の部材に当接させても構わない。例えば、規制部71〜73の下端面が当接するための当接部材を別体で設けたり、シリンダ2に直接当接させたりしても構わない。
さらに、上述した実施形態では、目盛りS1〜S4を合印Tに合わせるようにダイヤル部63を回転操作したが、任意の規制部71〜73が一部でも拡縮空間Dに位置していればストローク量を制限することが可能である。
また、規制部の位置合せ手段は上述のものに限定されず、ラチェット機構や凹凸係合など、種々の機構を採用することができる。
1…定量注出器
2…シリンダ
3…押下ヘッド
4…吸い上げ筒
5…注出筒
6…ストッパ部材
7…ピストン
35…中間筒部31の天壁板(シリンダの上端部に装着された部材)
51…開口部
63…ダイヤル部
71〜73…規制部
D…拡縮空間
O’…ダイヤル軸

Claims (2)

  1. 注出される内容物を一時的に収容するシリンダと、
    該シリンダに連設されるとともに前記内容物が収容される容器の口部に配設されて、前記シリンダの内圧の増減に応じて該シリンダとの連通および遮断が切り替えられる吸い上げ筒と、
    前記シリンダに直結されて側方に向けて延び、前記シリンダの内圧の増減に応じて該シリンダとの連通および遮蔽が切り替えられる注出筒と、
    前記シリンダに上方付勢状態で下方移動自在に配設された有頂筒状の押下ヘッドと、
    前記シリンダ内に配設され、前記押下ヘッドに連係して該シリンダ内を上下移動するピストンと、
    前記押下ヘッドの下方移動量を規制するストッパ部材と、
    を備え、
    前記ストッパ部材は、ダイヤル軸回りに回転自在に配設されたダイヤル部と、
    当該ダイヤル部の前記ダイヤル軸回りの回転移動に伴い、前記押下ヘッドの周壁部に形成された開口を通して、前記押下ヘッドの内部において前記シリンダよりも上方に位置する拡縮空間に対して進退移動する規制部と、を備え、
    前記規制部は、前記シリンダ若しくは前記シリンダの上端部に装着された部材に、上方から対向して当接可能に構成されていることを特徴とする定量注出器。
  2. 前記規制部は、前記ダイヤル部に前記ダイヤル軸回りに間隔をあけて複数配設され、
    これら複数の規制部は、下端の上下方向位置が互いに異なるとともに、前記ダイヤル軸回りの回転移動に伴い、前記複数の規制部のうち、一つずつが単独で前記拡縮空間内に位置するように前記拡縮空間を通過可能に配設されていることを特徴とする請求項1記載の定量注出器。
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