JP5695880B2 - 食品用容器 - Google Patents
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例えば、豆腐用容器においては、平面視矩形状の底面部と該底面部の外周縁から立ち上がる周側壁とにより豆腐を収容させるための直方体形状の収容凹部が形成されたものが知られており、該豆腐用容器には、通常、前記周側壁の上端部から外方に延びるフランジ部が前記収容凹部を包囲するように設けられている。
そして、この豆腐用容器を使用する際には、例えば、前記収容凹部に豆腐を収容させた後に、前記フランジ部の輪郭形状とほぼ同じ形状の樹脂フィルムを当該豆腐用容器の上に重ね合せ、前記収容凹部を周回するような形で前記樹脂フィルムを前記フランジ部の上面に熱融着させて収容させた豆腐を密封させることが行われている。
この図3は、樹脂多層シートを作製するための設備の概略図であり、この図にも示されているように、従来の樹脂多層シートの製造には、基材層を構成する樹脂を押出すための第一押出機E1と、前記ヒートシール層を構成する樹脂を押出すための第二押出機E2と、前記保護層を構成する樹脂を押出すための第三押出機E3の3台の押出機を備え、それぞれの押出機から押し出された溶融樹脂を合流させる合流金型HDをさらに備えた押出設備が用いられている。
そして、該合流金型HDは、各押出機から供給される溶融樹脂を3層に重ねた状態で押出設備の先端部に装着されたフラットダイTDに供給し得るように構成されている。
具体的には、回転軸を平行させた3本のローラーが上下方向に3段重ねとなるように積み上げられた冷却設備が併用されている。
また、この冷却ローラーR1の下側に配されたローラーも前記冷却ローラーR1と同様に機能するものであり、前記冷却ローラーR1の下端部において外周面から剥離された樹脂多層シートLSが裏掛けにされて前記冷却ローラーR1によって冷却された側とは反対側の面から樹脂多層シートLSを冷却するための冷却ローラーR2(以下、「第二冷却ローラーR2」ともいう)として機能するものである。
さらに、上段のローラーは、前記冷却ローラーR1(以下、「第一冷却ローラーR1」ともいう)との間の間隙によって積層シートLSの厚みを一定にさせるためのローラーR0(以下、「規制ローラーR0」ともいう)である。
ここで、内部に収容させた食品の見栄えを向上させるには、容器内面の美観を向上させることが重要になるが、上記のようにこの食品用容器を形成させるための樹脂多層シートにヒートシール層を備えさせると、少なくとも、容器内側においては、基材層の色合いを前記ヒートシール層を通じて視認させることになる。
しかも、食品用容器を形成させるための樹脂多層シートは、主として、先のような製造方法によって作製されているために、ヒートシール層と基材層との界面が必ずしも平坦な状態になっておらず、この界面において乱反射を起こしやすいために、容器内側における美観を十分向上させることが困難な状況となっている。
また、図3に示したような従来の樹脂多層シートの製造設備においては、基材層とヒートシール層との界面状態を調整することは困難であるが、第一冷却ローラーR1を鏡面仕上げとして樹脂多層シートに表面光沢を付与するなど、樹脂多層シートの表面状態の調整は容易に実施可能である。
したがって、ヒートシール層を所望の表面状態にすることが容易であり、該表面状態の調整による容器内面側の美観の向上を図ることも容易である。
すなわち、本発明によれば、容器内面にクリアな色合いが現出され、しかも、その表面状態の調整によるさらなる美観の向上が容易であることから内部に収容させた食品の見栄えを従来の食品用容器に比べてより向上させうる。
図1は、充填豆腐を示す斜視図であり、図2(a)はこの図1におけるA−A’線矢視断面図である。
また、図2(b)は、図2(a)において破線Xにて囲まれた領域を拡大して示すものである。
また、前記樹脂製容器10は、前記周側壁の10wの上端部から外側に延びるフランジ部10fを有している。
該フランジ部10fは、前記収容凹部を包囲するように設けられており、略一定幅となって前記収容凹部の開口を周回するような形で設けられている。
したがって、フランジ部10fの外縁にて画定される樹脂製容器10の平面視における輪郭線は、前記収容凹部の略正方形の開口よりも一回り大きな正方形となっている。
そして、前記樹脂製容器10は、この樹脂多層シートのヒートシール層10L1の側を前記樹脂フィルム20に熱融着させるべく、このヒートシール層10L1の側が内側となるように成形加工されたものである。
本実施形態における樹脂製容器10は、見た目にも清涼感並びに清潔感を発揮させて消費者の充填豆腐に対する購買意欲を向上させ得るように前記ヒートシール層10L1が白色に着色されているとともに前記基材層10L2も白色に着色されている。
また、例えば、前記ヒートシール層20L1の形成に、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂といったポリオレフィオン系樹脂が用いられ、前記ガスバリア層20L2の形成にポリアミド系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル系樹脂が用いられたものなどが前記樹脂フィルム20として採用可能である。
本実施形態の充填豆腐1も、前記樹脂フィルム20のヒートシール層20L1と、前記フランジ部10fを構成している樹脂多層シートのヒートシール層10L1とが熱融着されることによって豆腐TFの密封がなされている。
なお、この凝固剤としては、塩化マグネシウムや硫酸カルシウムが一般に用いられている。
また、この液には、豆腐に気泡が形成されることを防止すべく消泡剤なども含有される場合がある。
そして、形成された豆腐TFと樹脂フィルム20との間に空気を介在させると、豆腐の風味を長期間維持させることが困難になるおそれがあることから、通常、空気を追い出した状態で前記樹脂フィルム20による密封を実施し得るように、前記液が収容凹部からフランジ部10fの上にまで溢れる状態で樹脂フィルム20のヒートシール層20L1とフランジ部10fのヒートシール層10L1との熱融着が実施される。
したがって、樹脂フィルム20とフランジ部10fとの間には、豆乳成分、凝固剤成分、消泡剤成分などが介在されやすく樹脂フィルム20とフランジ部10fとの間に安定したシール強度を得難い状況となっている。
なお、本発明者の発見によれば、近年、充填豆腐においてグルコノ−δ−ラクトンを前記凝固剤として採用する事例が増えており、それに伴いシール強度のバラツキが問題視されるようになってきている。
すなわち、特に、グルコノ−δ−ラクトンを前記凝固剤として採用することでシール強度のバラツキが顕著になるものと見られる。
そのため、例えば、ポリエチレン系樹脂によってヒートシール層が形成させている樹脂フィルムを豆腐の密封に利用しているメーカーに対して安定したシール強度が発揮され得る樹脂製容器を提供し得たとしても、ポリプロピレン系樹脂によってヒートシール層が形成されている樹脂フィルムを利用している別のメーカーにおいて安定したシール強度が発揮されるとは限らず、両方を満足させる樹脂製容器の提供を図ることが困難なことがシール強度を不安定にさせる要因となっている。
そこに、介在物によるバラツキが加えられるため、この充填豆腐の樹脂製容器10と樹脂フィルム20との間に安定したシール強度を発揮させることは他の食品用容器に比べて特に困難な状況となっている。
このα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが挙げられる。
なかでも、エチレンと1−ヘキセンとがメタロセン触媒によって共重合体された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は、この樹脂組成物が用いられる樹脂製容器のヒートシール層10L1と、樹脂フィルムのヒートシール層20L1との間に特に良好なるシール性を発揮させ得る点において好適である。
さらに、優れたヒートシール性を発揮させ得る点において、結晶化度も所定範囲内であることが好ましく、例えば、JIS K7112に基づいて測定される密度が、0.890g/cm3以上0.910g/cm3以下であることが好ましく、0.900g/cm3以上0.905g/cm3以下であることがより好ましい。
この直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は55質量%以上の割合で前記樹脂組成物に含有されることが好ましく、60質量%以上の割合で含有されることが特に好ましい。
このような割合で前記樹脂組成物に直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を含有させる場合においては、単一種の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を用いても良く、複数種の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を、その合計量が上記割合となるように含有させても良い。
このようなことから、前記樹脂組成物には、前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂よりも融点が高く、且つ、前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂との相溶性に優れたポリオレフィン系樹脂をさらに含有させることが好ましい。
この直鎖状低密度ポリエチレン樹脂とともに前記樹脂組成物を構成させるポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂が好ましく、中でも、ポリプロピレンホモポリマー(ホモPP)よりも、エチレン成分を0質量%を超え10質量%以下含有するランダムコポリマー(ランダムポリプロピレン樹脂)が好適である。
さらに、前記LLDPE(C6)と組み合わせて用いるランダムポリプロピレン樹脂としては、JIS K7112に基づいて測定される密度が、0.890g/cm3以上0.920g/cm3以下であることが好ましく、0.905g/cm3以上0.915g/cm3以下であることがより好ましい。
適度な白色性をヒートシール層10L1に付与する上において、前記白色顔料は、ヒートシール層10L1を形成している樹脂組成物中に、通常、0.1質量%〜3.0質量%、好ましくは、0.2質量%〜1.0質量%含有させればよい。
例えば、ヒートシール層10L1は、前記豆乳等を含む液に接液する樹脂製容器の内表面を構成することとなるため豆腐TFの取り出し易さを勘案すると、離型剤として有効な成分を前記樹脂組成物に含有させることが好ましい。
この離型剤成分としては、例えば、ステアリン酸モノグリセライドのようなモノグリセリン脂肪酸エステル類を挙げることができる。
このモノグリセリン脂肪酸エステル類は、豆腐の消泡剤などにも利用される成分であることから衛生面を考慮しても前記樹脂組成物に含有させる離型剤成分として特に好ましい物質であるといえる。
なお、このモノグリセリン脂肪酸エステル類をヒートシール層10L1の形成に用いる樹脂組成物に含有させても、過度に含有させない限りにおいては、ヒートシール層20L1との熱融着を阻害するおそれは低い。
通常、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点は、110℃程度であり、この豆乳の凝固のための加熱条件においては、ヒートシール層10L1の内部において直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の分子が互いの分子間力による拘束がある程度解かれた状態となる。
すなわち、豆乳の凝固を行うための加熱が直鎖状低密度ポリエチレン樹脂中におけるモノグリセリン脂肪酸エステル類の移行を幇助すべく作用することとなり、容器内壁面側におけるモノグリセリン脂肪酸エステル類の濃化を促進させることとなる。
このようなことからモノグリセリン脂肪酸エステル類と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂とは、ベースポリマーと離型剤成分との組み合わせとして好適なものであるといえる。
なお、ポリプロピレン系樹脂の内、ホモポリマー(ホモPP)は曲げ弾性が高く樹脂多層シートに“コシ”を付与するのに有効な樹脂であるが、一方でホモPPは、低温脆化を起こしやすいことから、この基材層10L2を形成する樹脂組成物には、さらに、ランダムポリプロピレン樹脂(ランダムPP)や低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)あるいは高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)などを含有させて低温における脆化を抑制させることが好ましい。
また、この基材層10L2を白色に着色するための成分としては、ヒートシール層10L1と同じく二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどの無機白色顔料が挙げられ、該基材層10L2を形成する樹脂組成物中における白色顔料の含有量もヒートシール層10L1と同様に0.1質量%〜3.0質量%、好ましくは、0.2質量%〜1.0質量%とすることができる。
また、ヒートシール層10L1と基材層10L2との間に高い親和性を有していることが好ましいのと同様に、基材層10L2と接するこの保護層10L3を構成する樹脂組成物が
基材層10L2を構成する樹脂組成物と親和性を有していることが好ましい。
このような観点から、この保護層10L3を構成する樹脂組成物としては、ポリプロピレン系樹脂をベース樹脂とすることが好ましく、樹脂製容器に優れた表面硬度を付与し得る点においてホモPPをベース樹脂とすることが好ましい。
一方、過度に厚みを厚くしても樹脂多層シートの厚みが増すばかりでそれ以上にシール強度を向上させることが難しくなる。
このような点において、ヒートシール層10L1は、100μm以下の厚みとされることが好ましい。
また、基材層10L2の厚みは、通常、樹脂多層シートのコシやシート成形における加工性などの観点から100μm以上1mm以下とされることが好ましい。
さらに、保護層10L3の厚みは、樹脂多層シート(樹脂製容器)に対する表面硬度の付与の観点から10μm以上100μm以下とされることが好ましい。
本実施形態においては、このようなことを勘案して基材層10L2も白色に着色して樹脂製容器10の内面を美麗な白色としているが、要すれば、ヒートシール層10L1のみを白色とすることも可能である。
その場合には、ヒートシール層10L1と基材層10L2とを異なる色に着色することも可能である。
すなわち、本実施形態においては、開封後の樹脂フィルム20の剥離面が白色になっていれば容器側のヒートシール層10L1の背面側で破壊が生じており、剥離面が透明になっていれば樹脂フィルム側のヒートシール層20L1の背面側で破壊が生じていると判別することが可能である。
さらに、ここでは詳述しないが、樹脂多層シートや樹脂製容器に関する従来公知の技術事項を、本発明の効果が著しく損なわれない限りにおいて本発明の食品用容器にも採用することが可能なものである。
下記表1に示す原料を用い、厚み0.6mmの3層構成(ヒートシール層/基材層/保護層)の樹脂多層シートを作製した。
なお、樹脂多層シートの厚みの内、87.5%が基材層で占められており、残りの6.25%ずつがヒートシール層と保護層となっている。
また、樹脂多層シートの作製に際しては、図3に示すような3層同時押出を行い鏡面加工した冷却ロール(図3のR2)に、まず、ヒートシール層を接触させてこのヒートシール層に表面光沢を付与するようにした。
下記表2に示す配合により作製された樹脂多層シートを用いて、図1、2に示すような形状の充填豆腐用の樹脂製容器を作製した。
下記表3に示す配合により作製された樹脂多層シートを用いたこと以外は、製造例1〜5と同様に樹脂製容器を作製し内面側の観察を行った。
下記表4に示す配合により作製された樹脂多層シートを用いたこと以外は、これまでと同様に樹脂製容器を作製し内面側の観察を行った。
Claims (2)
- 表面にヒートシール層を備えた樹脂多層シートが熱成形されてなり、前記ヒートシール
層が容器内側となるように熱成形されてなる食品用容器であって、
底面部と該底面部の外周縁から立ち上がる周側壁とにより食品を収容させるための収容凹部が形成され、前記周側壁の上端部から外方に延びるフランジ部が前記収容凹部を包囲するように設けられており、前記フランジ部において前記ヒートシール層の表面に透明樹脂フィルムがヒートシールされて該透明樹脂フィルムで前記収容凹部が密封されて用いられ、前記樹脂多層シートは、ヒートシール層の背面側に積層された基材層を有し、該基材層が前記ヒートシール層に接し且つ前記ヒートシール層とともに白色に着色されていることを特徴とする食品用容器。 - 充填豆腐用容器である請求項1記載の食品用容器。
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