JP5691198B2 - 溶銑の脱珪処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶銑の脱珪処理方法に関し、詳しくは鉄スクラップなどの冷鉄源の装入量及び後工程の脱燐処理を考慮した、溶銑に対して熱的に効率的な脱珪処理方法に関する。
高炉から出銑された溶銑には、0.1〜0.2質量%の燐(P)が含有されており、この燐を効率的に除去するために、溶銑段階で予備脱燐処理が実施されている。また、溶銑には珪素(Si)が含有されており、溶銑中に珪素が存在すると脱燐反応が阻害されるので、予備脱燐処理を効率的に行うことを目的として、予備脱燐処理の前に脱珪処理を行うことが一般的である。脱珪処理は、酸化鉄や酸素ガスなどの酸素源を脱珪剤として溶銑に添加し、溶銑中の珪素を酸素源中の酸素で酸化・除去して行われる。尚、酸素源のうちで、鉄鉱石やミルスケールなどの酸化鉄を固体酸素源、酸素ガスや酸素含有ガスを気体酸素源と呼んでいる。
溶銑の脱珪処理方法としては、一般に、高炉鋳床での溶銑への酸化鉄の添加による脱珪処理、及び、溶銑搬送容器内の溶銑への酸素源(酸化鉄、酸素ガス)の添加による脱珪処理が行われている。酸素源として酸素ガスなどの気体酸素源を使用する場合には珪素の酸化熱により溶銑温度は上昇し、一方、酸素源として固体酸素源を使用する場合には、珪素の酸化による発熱が発生するが、固体酸素源の温度上昇に要する顕熱の吸収分及び溶解時の潜熱による吸熱も発生し、溶銑温度は上昇せずに降下する場合も発生する。
そこで、各製鉄所の操業条件に見合った種々の脱珪処理方法が提案されている。例えば、酸素源として酸素ガスを積極的に使用して脱珪反応熱を有効に利用するという観点から、特許文献1には、高炉鋳床で溶銑に製鋼滓を添加しつつ酸素ガスを吹きつける脱珪処理方法が提案され、特許文献2には、高炉から出銑後の溶銑搬送用容器内の溶銑に鉄スクラップを添加し、酸素ガスを用いて脱珪処理を行い、排滓した後に脱燐処理を行うことが提案されている。
特許文献3及び特許文献4には、脱珪処理における酸素源として使用する酸素ガスと酸化鉄との比率、及び、これらの添加時期を所定の範囲にすることで、脱珪処理を効率的に行うことを提案している。
特許文献5には、溶銑搬送容器で脱珪処理するにあたり、溶銑の脱炭反応の抑制、スラグのフォーミングの抑制を目的とし、溶銑中の珪素濃度が0.10質量%以下になった時点で、酸素源の供給速度を低下させ、且つ、それ以降は酸素源として酸素ガスのみを用いる脱珪処理方法が提案されている。
また、特許文献6には、鉄スクラップの溶解促進と溶銑の脱炭反応抑制とを目的とし、溶銑を排出した後の空の溶銑搬送容器に鉄スクラップを入れ置きし、この溶銑搬送容器で溶銑を受銑し、その後、酸素源として酸素ガスまたは酸素含有ガスのみを供給して、脱珪処理終了時の溶銑中珪素濃度を0.10質量%以上の範囲内として脱珪処理する方法が提案されている。
特開昭56−90915号公報 特開平5−148525号公報 特開昭56−55511号公報 特開昭58−27916号公報 特開2001−316711号公報 特開2006−138003号公報
しかしながら、上記従来技術にはそれぞれ以下の問題点がある。
即ち、特許文献1のように、高炉鋳床での酸素ガスの供給は、傾注樋などに施工される耐火物を損傷するという問題がある。また、溶銑の温度が上がり過ぎて、次工程の予備脱燐処理が円滑に行われなくなる恐れも発生する。尚、脱燐反応は低温ほど進行する。
特許文献2では、鉄スクラップの添加によって溶銑温度が低下するが、溶銑温度を制御することなく、つまり、上昇させることなく、溶銑温度の低下をそのまま次工程の予備脱燐処理及び転炉脱炭工程に持ち来たしており、従って、転炉脱炭工程では熱余裕がなく、鉄スクラップなどの冷鉄源を溶解できないという問題がある。
特許文献3及び特許文献4では、酸素源としての酸素ガスと酸化鉄との比率及びこれらの使用時期を規定しているが、脱珪処理時における溶銑の脱炭反応を制御しておらず、溶銑の脱炭反応を抑制しない限り、溶銑の温度降下を防止したとしても、溶銑の熱余裕は得られない。つまり、後工程の転炉脱炭工程では、鉄スクラップなどの冷鉄源を溶解できないという問題がある。
特許文献5では、溶銑の珪素濃度が0.10質量%以下の領域になるまで脱珪処理を行っており、酸素源の供給速度を低下するといえども、珪素濃度が0.10質量%以下になると脱炭反応が進行し、特許文献3及び特許文献4と同様に、転炉脱炭工程での熱余裕は得られない。
特許文献6では、酸素源として酸素ガスまたは酸素含有ガスのみを使用して鉄スクラップの溶解を促進し且つその溶解量を増大させるとしているが、入れ置きする鉄スクラップの量によっては、脱珪処理後の溶銑温度が上昇しすぎ、次工程の予備脱燐処理での脱燐反応を阻害する恐れがある。一方、出銑される溶銑の珪素濃度が低い場合には、十分な発熱量を得ることができない。
これらの特許文献に示されるように、酸素ガスを用いた脱珪処理は、熱ロス抑止に有利であるが、鉄スクラップの装入量に見合った発熱量に制御しなければ、予備脱燐処理前の溶銑温度の上昇を招き、脱燐反応速度の低下や地金流出などの操業トラブルを起こす。また、出銑される溶銑自体の珪素濃度が増減することでも、発熱量は変化する。そのため、溶銑の珪素濃度に照らし合わせ、鉄スクラップの装入量に見合った発熱量に制御し、予備脱燐処理前の溶銑温度を最適な範囲内に制御する脱珪処理技術が求められている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、高炉鋳床での脱珪処理と溶銑搬送用容器での脱珪処理との2回の脱珪処理を行う溶銑の脱珪処理方法において、溶銑への鉄スクラップなどの冷鉄源の配合比率に応じて脱珪処理後の溶銑温度をその後の予備脱燐処理での最適な温度に制御することのできる、溶銑の脱珪処理方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る溶銑の脱珪処理方法は、高炉鋳床を流下する溶銑に酸素源を供給して行う高炉鋳床での脱珪処理と、前記溶銑を受銑した溶銑搬送用容器内に酸素源を供給して行う溶銑搬送用容器での脱珪処理との2回の脱珪処理を行う溶銑の脱珪処理方法において、受銑前に前記溶銑搬送用容器に入れ置きした冷鉄源の配合比率Rscに応じて、前記酸素源として使用する気体酸素源と固体酸素源との使用比率を調整することを特徴とする。
第2の発明に係る溶銑の脱珪処理方法は、第1の発明において、高炉鋳床での脱珪処理は、酸素源として固体酸素源のみを使用して行い、溶銑搬送用容器での脱珪処理は、酸素源として気体酸素源のみを使用して行うことを特徴とする。
第3の発明に係る溶銑の脱珪処理方法は、第2の発明において、受銑前に前記溶銑搬送用容器に入れ置きした冷鉄源の配合比率Rsc(Rsc(%)=(冷鉄源の質量)×100/[(溶銑の質量)+(冷鉄源の質量)])に応じて、
配合比率Rscが3.86%未満の場合には、高炉鋳床での脱珪処理を溶銑中珪素濃度が0.20質量%となるまで行い、その後、溶銑搬送用容器での脱珪処理を溶銑中珪素濃度が0.10質量%となるまで行い、
配合比率Rscが3.86%以上の場合には、高炉鋳床での脱珪処理を溶銑中珪素濃度が「0.026×(配合比率Rsc)+0.10」質量%となるまで行い、その後、溶銑搬送用容器での脱珪処理を溶銑中珪素濃度が0.10質量%となるまで行う、
ことを特徴とする。
本発明によれば、受銑前に溶銑搬送用容器に入れ置きした冷鉄源の配合比率Rscに応じて、脱珪剤である酸素源として使用する気体酸素源と固体酸素源との使用比率を調整するので、脱珪処理後の溶銑温度を或る所定の温度範囲に安定して制御することが実現され、後工程の予備脱燐処理を円滑に行うことが可能となる。
高炉鋳床で溶銑に対して脱珪処理を施す様子を示す概略図である。 高炉鋳床での酸化鉄を用いた脱珪処理において、出銑時の溶銑中珪素濃度と脱珪酸素効率との関係を示す図である。 溶銑搬送用容器で溶銑に対して脱珪処理を施す様子を示す概略図である。 脱珪量と溶銑の温度上昇量との関係を脱珪剤の種類別に示す図である。 酸素ガスを用いた脱珪処理において、脱珪処理後の溶銑中珪素濃度と脱珪処理中の脱炭量との関係を示す図である。 鉄スクラップの配合比率Rscと溶銑の温度降下量ΔTとの関係の調査結果を示す図である。 鉄スクラップの配合比率Rscと、高炉鋳床での固体酸素源を用いた脱珪処理終了時の溶銑中珪素濃度との関係を示す図である。
以下、本発明に至った経緯を含めて本発明を具体的に説明する。
CO2排出量の削減は製鉄プロセスにおける重要な課題であり、効率の高い技術が必要である。製鋼工程での鉄スクラップなどの冷鉄源の利用は、鉄鉱石から鉄を製造する方法に比べて鉄鉱石を還元するための還元熱が不要であり、コークス原単位の低下によるCO2排出量の削減が期待できる。しかしながら、高炉で溶製した溶銑を転炉で脱炭精錬して溶鋼を製造する銑鋼一貫型の製造工程においては、主に溶銑の顕熱及び溶銑の含有する炭素の燃焼熱を利用して冷鉄源を溶解することから、アーク式電気炉のような柔軟性はなく、生産性を維持した状態で冷鉄源の利用を拡大するためには、従来に増して効率的な溶銑熱余裕の拡大及び冷鉄源の溶解方法が必要となる。ここで、冷鉄源とは、鉄スクラップのほかに、冷銑、直接還元鉄などである。
溶銑の脱珪処理は、従来から高炉鋳床や溶銑搬送用容器で行われているが、熱ロス低減のためには、脱珪剤として気体酸素源を使用することが有効であり、酸化鉄を使用することは不利である。また、一般に、銑鋼一貫型の製造工程においては、冷鉄源の溶解は転炉を用いることが多いが、冷鉄源の使用量が増加すると、冷鉄源の成分による規制、冷鉄源装入時間の増加、及び冷鉄源溶解時間の増加につながり、転炉の生産性を維持できなくなる。加えて、冷鉄源装入時での転炉耐火物の損耗量抑制の観点から、使用する冷鉄源の形状を制限する場合も発生する。
以上の事象を鑑みると、溶銑搬送用容器に冷鉄源を装入することは、熱ロス低減や生産性確保においても有利な点が多い。特に、溶銑を払い出した後の空の溶銑搬送用容器に冷鉄源を入れ置きすることで、溶銑搬送用容器の耐火物からの熱を受け、熱の有効利用が行われる。
しかしながら、溶銑搬送用容器に冷鉄源を入れ置きすると、冷鉄源の顕熱及び溶解時の潜熱により溶銑温度が低下する。脱珪処理の後工程である溶銑の予備脱燐処理は、特に混銑車(「トピードカー」とも呼ぶ)での予備脱燐処理は、主に酸化鉄の吹き込み添加によって行われており、この予備脱燐処理方法では溶銑温度が低下する。従って、脱燐量が溶銑の熱余裕によって制限されている場合には、冷鉄源の添加によって溶銑温度が降下すると、脱燐処理に必要な熱量が不足し、脱燐反応が進行せず、次工程の転炉脱炭精錬での造滓剤使用量が増加し、精錬コストのアップやスラグ発生量の増加につながる。
そこで、本発明者らは、溶銑の脱珪処理に着目し、酸素源として気体酸素源を使用した脱珪処理での発熱を利用して冷鉄源の溶解に必要な熱量を補うことを検討した。ここで、気体酸素源とは、酸素ガス、空気、酸素富化空気、酸素ガスとArガスや窒素ガスとの混合ガスなどである。
従来、溶銑の脱珪処理は、高炉鋳床で行う脱珪処理と、溶銑搬送用容器で行う脱珪処理とのうちの何れか一方または双方で行われている。先ず、高炉鋳床で行う脱珪処理について、予備実験によって溶銑中の珪素濃度と脱珪酸素効率との関係を調査した。尚、本発明では、高炉鋳床での脱珪処理は、鋳床耐火物の損耗を防止するために、酸素源としては固体酸素源のみを使用することを前提条件とした。
図1に、高炉鋳床で溶銑に対して脱珪処理を実施する際の概略図を示す。図1において、高炉6から出銑された溶銑3は、溶銑樋7を流下して傾注樋4に落下し、傾注樋4を介して傾注樋4の直下に配置された混銑車1の混銑車炉体2に注入されるように構成されている。傾注樋4の上方にはブラストランス5が配置されており、このブラストランス5を介して鉄鉱石などの酸化鉄が傾注樋4を流下する溶銑3に投入されるようになっている。投入された酸化鉄と溶銑3とが傾注樋内及び傾注樋4から混銑車1への落下により攪拌混合され、脱珪反応(Si+2O→SiO2)が進行する。傾注樋4は、左右に傾斜して溶銑3の注入位置を変えるための装置である。
このようにして、出銑時の溶銑中珪素濃度が0.070〜0.400質量%の溶銑に対して高炉鋳床での酸化鉄を用いた脱珪処理を施した。表1に脱珪処理条件を示す。尚、表1の脱珪剤の投入速度は、酸化鉄中の酸素を酸素ガスに換算した値である。
Figure 0005691198
図2に、高炉鋳床での酸化鉄を用いた脱珪処理における、出銑時の溶銑中珪素濃度と脱珪酸素効率との関係を示す。ここで脱珪酸素効率とは、脱珪処理に使用した酸化鉄に含有される酸素量に対する脱珪反応に使用された酸素量の比率(%)である。脱珪反応に使用された酸素量は、脱珪量(出銑時の溶銑中珪素濃度と脱珪処理後の溶銑中珪素濃度との差分)からSi+2O→SiO2なる脱珪反応で費やされものとして算出される酸素量である。図2に示すように、出銑時の溶銑中珪素濃度が0.20質量%よりも低くなると、脱珪酸素効率は溶銑中珪素濃度に比例して低下する。つまり、出銑時の溶銑中珪素濃度が0.20質量%よりも低い場合には、高炉鋳床での酸化鉄を用いた脱珪処理は脱珪反応に有効ではなく、逆に、熱ロス低減の観点からは極めて不利であり、従って、本発明においては、出銑時の溶銑中珪素濃度が0.20質量%以上の場合にのみ高炉鋳床での酸化鉄を用いた脱珪処理を実施することを必要条件とした。この場合、高炉鋳床での酸化鉄を用いた脱珪処理は、溶銑中珪素濃度が0.20質量%となるまで実施し、溶銑中珪素濃度が0.20質量%未満の領域に低下するまでは脱珪しない。但し、後述するように、冷鉄源の配合比率によっては、溶銑中珪素濃度が0.20質量%よりも高い時点で、高炉鋳床での酸化鉄を用いた脱珪処理を終了することが発生する。尚、出銑時の溶銑中珪素濃度が0.20質量%未満の場合には、高炉鋳床での酸化鉄を用いた脱珪処理は中止し、溶銑搬送用容器での脱珪処理のみを実施する。
次いで、もう一つの予備実験として溶銑搬送用容器で行う脱珪処理について、脱珪剤としての酸素源の違いが脱珪処理前後の溶銑温度の変化量に及ぼす影響を調査した。ここでは、酸素源の違いの影響のみを正確に把握するために、溶銑搬送容器内に冷鉄源を装入せずに脱珪処理を行った。溶銑搬送用容器としては混銑車を使用した。
図3に、溶銑搬送用容器において溶銑に対して脱珪処理を実施する際の概略図を示す。図3において、混銑車1の混銑車炉体2に収容された溶銑3に浸漬ランス8が浸漬され、浸漬ランス8の先端部から酸素源として酸素ガスまたは酸化鉄が吹きこまれるように構成されている。浸漬ランス8から酸化鉄のみを吹き込む場合には、搬送用ガスとして窒素ガスやArガスを使用し、酸素源として酸素ガスと酸化鉄とを併用する場合には、酸素ガスを搬送用ガスとすればよい。浸漬ランス8から吹き込まれた酸素ガスまたは酸化鉄は、溶銑3と攪拌混合され、脱珪反応(Si+2O→SiO2)が進行する。
このようにして、溶銑中珪素濃度が0.099〜0.400質量%の溶銑に対して混銑車1での脱珪処理を施した。表2に脱珪処理条件を示す。尚、表2の脱珪剤の投入速度は、酸化鉄中の酸素を酸素ガスに換算した値である。
Figure 0005691198
図4に、酸素源として酸素ガスのみを使用した脱珪処理と、酸素源として酸化鉄のみを使用した脱珪処理とで比較して、脱珪量と溶銑温度の上昇量との関係を示す。尚、図4は、冷鉄源を入れ置きしない場合での測定結果である。図4からも明らかなように、酸素ガスを用いた脱珪処理が溶銑への熱の供給に有利であることが分かる。つまり、冷鉄源を溶銑搬送用容器に入れ置きした場合には、その昇熱及び溶解に必要な熱を供給するために、溶銑搬送用容器での脱珪処理は酸素ガスなどの気体酸素源を用いて行う必要があることが分かった。また、図4に示すデータから、酸素ガスのみを使用した脱珪処理においては、0.10質量%の脱珪量で約30℃の溶銑温度の上昇が得られることが分かった。
気体酸素源を用いた脱珪処理は熱的に有利であるが、脱珪量が多くなると、溶銑の脱炭反応(C+O→CO)を誘起する。溶銑搬送容器であれ、脱炭反応を目的とする転炉であれ、同じ酸素ガスを用いる限り脱炭反応(C+O→CO)によって生成する脱炭量あたりの熱量は同じである。しかし、その生成熱は溶銑に直接着熱するだけでなく、発生ガスであるCOにも着熱し、溶銑外へと離脱する。転炉では、炉内のフリーボードが大きいため、フリーボードを上昇する過程でCOガスの熱がスラグやフリーボードの炉壁に伝熱し、これが輻射によって溶銑にも着熱する。また吹き込まれる酸素流量が著しく大きいため、炉内の撹拌が激しく、COガスの熱が直接溶銑に伝わる比率も大きい。一方、脱珪処理に用いる混銑車や溶銑鍋ではフリーボードが小さく、また吹き込まれる酸素流量が小さくて溶銑の撹拌も弱いので、COガスはほとんどが溶銑に熱を与えることなく系外に逸出してしまう。このため、脱珪処理中に脱炭反応が進行することは、溶銑の昇熱に寄与せずに転炉で熱源となるべき炭素を無駄に消費することとなり、溶銑の熱量低下に結びつく。
図5に、酸素ガスを用いた脱珪処理において、脱珪処理後の溶銑中珪素濃度と脱珪処理中の脱炭量との関係を示す。図5に示すように、脱珪処理後の溶銑中珪素濃度が0.10質量%未満になるまで酸素ガスによる脱珪処理を実施すると、脱炭反応が進行し、溶銑の熱量低下に結びつくことが分かる。従って、本発明においては、溶銑搬送用容器での気体酸素源を用いた脱珪処理は、溶銑中珪素濃度が0.10質量%となる時点までとした。
溶銑搬送用容器での気体酸素源を用いた脱珪処理は熱ロス低減に有利であるが、溶銑搬送用容器に入れ置きする冷鉄源の配合比率Rsc(Rsc(%)=(冷鉄源の質量)×100/[(溶銑の質量)+(冷鉄源の質量)])が高くなれば、配合比率Rscの高くなった分に見合って脱珪処理による発熱量を多くする必要がある。そこで、本発明においては、発熱に寄与しない、高炉鋳床での酸化鉄を用いた脱珪処理における処理終了時の溶銑中珪素濃度を前記配合比率Rscに応じて高め、溶銑搬送用容器での気体酸素源を用いた脱珪処理における発熱量を高めることとした。
図6は、冷鉄源として鉄スクラップを混銑車炉体に入れ置きし、冷鉄源の配合比率Rscと溶銑の温度降下量ΔTとの関係を調査した結果である。図6から、「ΔT=7.77×Rsc」なる関係式が得られる。つまり、配合比率Rscが1.0%のときに温度降下量ΔTは7.77℃になるという意味である。
高炉鋳床での酸化鉄を用いた脱珪処理を溶銑中珪素濃度が0.20質量%の時点で終了すると、その後の溶銑搬送用容器での気体酸素源を用いた脱珪処理は、溶銑中珪素濃度が0.20質量%の時点から0.10質量%になる時点まで実施することになり、この場合の発熱量は図4に示すように約30℃である。即ち、冷鉄源の添加による溶銑の温度降下量ΔTが30℃以下の範囲内である配合比率Rscの場合には、溶銑搬送用容器での気体酸素源を用いた脱珪処理(脱珪量:0.10質量%)での発熱量で十分に温度補償が可能である。
上記の「ΔT=7.77×Rsc」なる関係式を用いて、温度降下量ΔTが30℃となるときの配合比率Rscを求めると、配合比率Rsc=3.86%となる。つまり、冷鉄源の配合比率Rscが3.86%未満の場合には、高炉鋳床での酸化鉄を用いた脱珪処理を、溶銑中珪素濃度が0.20質量%の時点で終了しても、溶銑搬送用容器での気体酸素源を用いた脱珪処理で冷鉄源溶解用の熱を補償できるが、冷鉄源の配合比率Rscが3.86%以上の場合には、冷鉄源溶解用の熱を補償するために、高炉鋳床での酸化鉄を用いた脱珪処理を、溶銑中珪素濃度が0.20質量%よりも高い濃度で終了する必要がある。
図4に示す気体酸素源を用いた脱珪処理による脱珪量と発熱量との関係、及び、図6に示す配合比率Rscと温度降下量との関係を考慮すると、冷鉄源の配合比率Rscが3.86%以上の場合には、高炉鋳床での固体酸素源を用いた脱珪処理を、溶銑中珪素濃度が「0.026×(配合比率Rsc)+0.10」質量%となる時点で終了することが必要であることが分かった。このようにして定まる、冷鉄源の配合比率Rscと高炉鋳床での固体酸素源を用いた脱珪処理終了時の溶銑中珪素濃度との関係を図7に示す。図7は配合比率Rscが5%の範囲まで表示しているが、それ以上の配合比率Rscの場合には、直線的に延長させて求めればよい。
本発明はこれらの検討結果に基づきなされたものであり、高炉鋳床を流下する溶銑に酸素源を供給して行う高炉鋳床での脱珪処理と、前記溶銑を受銑した溶銑搬送用容器内に酸素源を供給して行う溶銑搬送用容器での脱珪処理との2回の脱珪処理を行う溶銑の脱珪処理方法において、受銑前に前記溶銑搬送用容器に入れ置きした冷鉄源の配合比率Rscに応じて、前記酸素源として使用する気体酸素源と固体酸素源との使用比率を調整することを特徴とする。
この場合に、受銑前に前記溶銑搬送用容器に入れ置きした冷鉄源の配合比率Rscに応じて、配合比率Rscが3.86%未満の場合には、高炉鋳床での酸化鉄を用いた脱珪処理を溶銑中珪素濃度が0.20質量%となるまで行い、その後、溶銑搬送用容器での気体酸素源を用いた脱珪処理を溶銑中珪素濃度が0.10質量%となるまで行い、配合比率Rscが3.86%以上の場合には、高炉鋳床での酸化鉄を用いた脱珪処理を溶銑中珪素濃度が「0.026×(配合比率Rsc)+0.10」質量%となるまで行い、その後、溶銑搬送用容器での気体酸素源を用いた脱珪処理を溶銑中珪素濃度が0.10質量%となるまで行うことが好ましい。
上記構成の本発明によれば、受銑前に溶銑搬送用容器に入れ置きした冷鉄源の配合比率Rscに応じて、脱珪剤である酸素源として使用する気体酸素源と固体酸素源との使用比率を調整するので、脱珪処理後の溶銑温度を或る所定の温度範囲に安定して制御することが実現され、後工程の予備脱燐処理を円滑に行うことが可能となる。
尚、本発明の実施にあたっては、高炉鋳床での固体酸素源を用いた脱珪処理に際しては、前述の予備実験におけるブラストランス5を傾注樋4の上方に設けた例に限らず、傾注樋4よりも上流の溶銑樋7の上方に設けて、溶銑樋7を流下する溶銑3に固体酸素源を吹き付けてもよい。また両者を併用しても構わない。更に、溶銑搬送用容器での脱珪処理においても、溶銑搬送容器としては前述の予備実験における混銑車に替えて溶銑鍋を用いてもよい。
鉄スクラップの配合比率Rscが3.2%及び5.2%の2水準(本発明例1、2)の場合について本発明を適用した。
鉄スクラップの配合比率Rscが3.2%の本発明例1では、酸化鉄を用いた高炉鋳床での脱珪処理を、溶銑中珪素濃度が0.20質量%になるまで実施し、その後、酸素ガスを用いた混銑車での脱珪処理を、溶銑中珪素濃度が0.10質量%になるまで実施した。
鉄スクラップの配合比率Rscが5.2%の本発明例2では、酸化鉄を用いた高炉鋳床での脱珪処理を、溶銑中珪素濃度が0.236質量%になるまで実施し、その後、酸素ガスを用いた混銑車での脱珪処理を、溶銑中珪素濃度が0.10質量%になるまで実施した。
また、比較のために、鉄スクラップの配合比率Rscが3.2%の場合に、酸化鉄を用いた高炉鋳床での脱珪処理を、溶銑中珪素濃度が0.13質量%になるまで実施し、その後、酸素ガスを用いた混銑車での脱珪処理を、溶銑中珪素濃度が0.10質量%になるまで実施する操業(比較例)も実施した。
本発明例及び比較例ともに、高炉から出銑時の溶銑の珪素濃度を0.286質量%、出銑時の溶銑温度を1500℃に調整し、また、脱珪処理後の溶銑に対して、脱燐剤の使用原単位を同一条件として予備脱燐処理を実施した。
酸化鉄を用いた高炉鋳床での脱珪処理は、図1に示す設備を用いて実施し、酸素ガスを用いた混銑車での脱珪処理は図3に示す設備を用いて実施した。予備脱燐処理は、図3に示す設備を用い、表3に示す条件で実施した。尚、表3の脱燐剤の投入速度は、酸化鉄中の酸素を酸素ガスに換算した値である。
Figure 0005691198
表4に、本発明例及び比較例の操業結果を示す。
Figure 0005691198
本発明例1では、酸化鉄を用いた高炉鋳床での脱珪処理を、溶銑中珪素濃度が0.20質量%の時点で終了したので、溶銑中珪素濃度が0.13質量%になるまで高炉鋳床での脱珪処理を実施した比較例に比較して、混銑車での脱珪処理終了時の溶銑温度は25℃上昇した。また、本発明例2では、鉄スクラップの配合比率Rscに応じて、酸化鉄を用いた高炉鋳床での脱珪処理を、溶銑中珪素濃度が0.24質量%の時点で終了したので、鉄スクラップの配合比率Rscが高いにもかかわらず、混銑車での脱珪処理終了時の溶銑温度は本発明例2と同等であった。
また、本発明を適用することで、次工程の転炉脱炭精錬でも冷鉄源の装入が可能となり、冷鉄源の使用量拡大が実現される。
1 混銑車
2 混銑車炉体
3 溶銑
4 傾注樋
5 ブラストランス
6 高炉
7 溶銑樋
8 浸漬ランス

Claims (1)

  1. 高炉鋳床を流下する溶銑に酸素源を供給して行う高炉鋳床での脱珪処理と、前記溶銑を受銑した溶銑搬送用容器内に酸素源を供給して行う溶銑搬送用容器での脱珪処理との2回の脱珪処理を行う溶銑の脱珪処理方法において、
    前記高炉鋳床での脱珪処理は、酸素源として固体酸素源のみを使用して行い、前記溶銑搬送用容器での脱珪処理は、酸素源として気体酸素源のみを使用して行い、
    受銑前に前記溶銑搬送用容器に入れ置きした冷鉄源の配合比率Rsc(Rsc(%)=(冷鉄源の質量)×100/[(溶銑の質量)+(冷鉄源の質量)])に応じて、
    配合比率Rscが3.86%未満の場合には、高炉鋳床での脱珪処理を溶銑中珪素濃度が0.20質量%となるまで行い、その後、溶銑搬送用容器での脱珪処理を溶銑中珪素濃度が0.10質量%となるまで行い、
    配合比率Rscが3.86%以上の場合には、高炉鋳床での脱珪処理を溶銑中珪素濃度が「0.026×(配合比率Rsc)+0.10」質量%となるまで行い、その後、溶銑搬送用容器での脱珪処理を溶銑中珪素濃度が0.10質量%となるまで行い、
    かくして、前記配合比率Rscに応じて、前記酸素源として使用する気体酸素源と固体酸素源との使用比率を調整することを特徴とする、溶銑の脱珪処理方法。
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