JP5691156B2 - 難燃性の樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、難燃性や実用物性に優れる樹脂組成物に関する。
形状記憶性を示す材料として従来から合金材料と樹脂材料があり、形状記憶合金はパイプ継手や歯列矯正など、また、形状記憶樹脂は熱収縮チューブ、締め付けピン、ラミネート材、ギブス等の医療用器具材などに利用されている。形状記憶樹脂は形状記憶合金と比べて、複雑な形状に加工できる、形状回復率が大きい、軽量である、自由に着色できる、低コストである等のメリットが挙げられ、今後は、家電製品やOA機器のハウジングや自動車部品、航空機部品、宇宙開発用部品などへの適用が期待されている。
しかしながら、形状記憶樹脂を家電製品やOA機器のハウジングや上述の用途などのように、高度な難燃性を要求される用途に使用する場合には、難燃化対策が必要である。特に、電気製品の筐体に使用する場合には、アメリカのUL規格をはじめとする難燃規格を満足する必要がある。しかし、既存の形状記憶樹脂組成物では、前記の難燃規格を満足することはできなかった。
これに対して、一般的な方法として、難燃化効率の高い臭素化合物などのハロゲン系難燃剤やリン系の難燃剤など有機系の難燃剤を形状記憶樹脂に配合して難燃化する方法がある(非特許文献1)。しかし、これらの難燃剤を大量に添加した場合、これらの難燃剤自体は形状記憶性を有さず、形状記憶性、特に復元性が阻害されることになる。即ち、形状記憶樹脂の復元性は、樹脂中の架橋構造により初期の形状を記憶しているために実現されるものであるが、架橋に関与しない難燃剤を大量に添加した樹脂組成物は、この記憶が弱められているため復元性が阻害される(非特許文献2)。
一方、無機水酸化物系化合物(金属水和物とも呼ばれ、水酸化アルミニウムが含まれる)、シリカ系化合物、三酸化アンチモンなどの無機系難燃剤を添加する方法もある(非特許文献1)。しかし、無機系難燃剤は難燃効果が弱く、有機系難燃剤に比して大量に添加する必要があり、形状記憶樹脂組成物は剛性が上がり過ぎて変形操作が困難になるなど、形状記憶性を阻害することになる。
リン系化合物であるホスファゼン化合物を難燃剤として利用する例(特許文献1、2)もあるが、添加剤であることから形状記憶樹脂の特性を損なうことになる。また、ブリードや揮発することを懸念して、二重結合を有するホスファゼン誘導体を難燃剤成分として樹脂に結合し固定化する例(特許文献3)や水酸基を有するホスファゼン誘導体を感光性樹脂組成物の樹脂に結合し固定化する例(特許文献4)があるものの、形状記憶樹脂へ添加剤としての利用例はなく、やはり形状記憶樹脂の特性を損なうと考えられる。
特開2006−249139号公報 特開2006−193619号公報 WO2004/083295 WO2005/019231
高分子の難燃化技術(株式会社CMC出版刊行、西沢仁監修、2002年出版、3章など) 形状記憶ポリマーの材料開発(株式会社CMC出版刊行、入江正浩監修、2000年出版、1章など)
したがって、本発明は、硬化により難燃性や実用物性に優れる樹脂を得ることが可能な樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、既存の難燃剤を使用しないでも、難燃性や実用物性に優れる、形状記憶樹脂を提供しうる樹脂組成物を開発すべく鋭意検討し、ついに本発明に至った。
すなわち、本発明は、官能基を少なくとも2個有するホスファゼン化合物(A)および該官能基と結合することのできる官能基を2個以上有するリンカー(B)を含んでなる樹脂組成物であって、
該ホスファゼン化合物(A)が、下記構造式(1)で表される、官能基が水酸基である環状ホスファゼン化合物であり、
Figure 0005691156
式中、Rの少なくとも2つは水酸基であり、残りは水素である。
該リンカー(B)がイソシアヌル環を持つポリイソシアネートであり、かつ、
該ホスファゼン化合物(A)および該リンカー(B)の官能基の数は、何れか一方が3個以上である
樹脂組成物である。
また、本発明は、前記リンカー(B)の官能基の数が3個以上である上記樹脂組成物である。
前記リンカー(B)のイソシアネート基が、前記ホスファゼン化合物(A)の水酸基に対して0.5当量から1.5当量の範囲であることが好ましい。
また、本発明は、上記樹脂組成物を硬化してなる3次元構造を有する樹脂組成物および該樹脂組成物からなる成形品である。
本発明の樹脂組成物は、硬化により形状記憶樹脂となり、かつ該形状記憶樹脂は共有結合による3次元架橋で構成された熱硬化樹脂であるために、形状回復能に優れ、また、難燃剤などの形状記憶性を有さない成分を含まずに難燃性が達成されているため、形状回復機能や変形操作性が阻害されることがない。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明は、架橋部位となる官能基を少なくとも2個有するホスファゼン化合物(A)および該官能基と結合して架橋構造を形成する官能基を有するリンカー(B)を含んでなる熱硬化性の樹脂組成物である。
本発明のホスファゼン化合物(A)は、難燃性を有する化合物であるとともに、架橋部位となる官能基を複数(少なくとも2個)有し、この官能基を起点として形成される三次元構造を構成しうるものである。三次元構造は、リンカー(B)を介して結合して形成される。
ホスファゼン化合物(A)の官能基は、付加反応、縮合反応、共重合反応のいずれによって架橋を形成するものであってよい。ホスファゼン化合物(A)およびリンカー(B)は、官能基がそれぞれ複数必要であり、3次元構造を形成するためには何れか一方は3個以上の官能基を有する必要がある。ただし、架橋部位となる官能基が分岐構造を形成することが可能な官能基、例えばアミノ基であれば、ホスファゼン化合物(A)およびリンカー(B)は、組み合わせにもよるが、官能基がいずれも2個であっても、三次元構造を形成可能である。
かかる官能基としては、具体的には、ヒドロキシ基、カルボキシ基、イソシアネート基、シアネート基、アミノ基、イミノ基、カルバモイル基、スクシンイミノ基、エポキシ基等を挙げることができ、これらは適宜組み合わせて、ホスファゼン化合物(A)およびリンカー(B)の官能基として用いる。この組み合わせとして、アミド結合、ウレタン結合あるいはエステル結合を形成するものが好ましい。これらのうち活性水素を有するヒドロキシ基が、リンカー(B)がポリカルボン酸、ポリイソシアネート等である場合、ホスファゼン化合物(A)の官能基として、特に、好ましい。
形状記憶性を発現するためには、ホスファゼン化合物(A)は環状構造をとっていることが好ましく、さらに6員環構造をとっていることがより好ましい。また、難燃性が良好となることから、ホスファゼン化合物(A)は、フェニル基を有していることが好ましい。したがって、ホスファゼン化合物(A)として、環状フェニルホスファゼン化合物が特に好ましい。
また、ホスファゼン化合物(A)の官能基は、多すぎるとリンカー(B)が多く必要となり、難燃性および形状記憶性の低下を引き起こすため、5個以下が好ましく、更に好ましくは4個以下、特に好ましくは3個以下である。
ホスファゼン化合物(A)の特に好ましい例を構造式(1)に示した。
Figure 0005691156
式中、Rの少なくとも2つは水酸基であり、残りは水素である。
本発明の、三次元構造体を形成するためのリンカー(B)としては、ホスファゼン化合物(A)の官能基と結合する2個以上の官能基を有するものである。ホスファゼン化合物(A)の官能基が2個で、かつ分岐構造を形成しないものである場合、リンカー(B)の官能基は、2個の場合は分岐構造を形成することができるものであること、または3個以上であることが望ましい。しかし、ホスファゼン化合物(A)の官能基が3個以上の場合や、官能基が2個であっても分岐構造を形成するものである場合、リンカー(B)の官能基は少なくとも2個有していればよい。なお、リンカー(B)の官能基は、ホスファゼン化合物の官能基と結合した形状記憶樹脂において、可逆相を形成するものであることが好ましい。
かかるリンカー(B)としては、例えば、ヒドロキシ基に結合可能なイソシアネート基を複数有するポリイソシアネートを挙げることができる。ポリイソシアネートとしては、具体的には、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、リジントリイソシアネート(LTI)等を挙げることができる。これらは、カルボジイミド変性やイソシアヌレート変性(3量化)したものであってもかまわない。特に、アミノ酸誘導可能なリジンジイソシアネートやリジントリイソシアネートは、天然物由来であり、生分解性樹脂組成物とするときは、リンカー(B)として好ましく使用できる。
リンカー(B)の使用量は、例えば、リンカー(B)としてポリイソシアネートを用いた場合、ホスファゼン化合物(A)の官能基の活性水素に対し、イソシアネート基を0.5当量から1.5当量の範囲することが好ましい。
このようなホスファゼン化合物(A)の架橋は、ホスファゼン化合物(A)の官能基がリンカー(B)を介して結合し、三次元構造体を形成する。架橋部位の官能基の結合部分が形状記憶樹脂における固定相となり、架橋部位間のホスファゼン化合物(A)が可逆相となる。特に、芳香族骨格をもつMDIや環状骨格を持つイソシアヌレート化合物は、高い難燃性を有するため、好ましい。
ホスファゼン化合物(A)リンカー(B)の架橋は、触媒の有無や官能基の種類により要する時間が異なるが、ホスファゼン化合物(A)がポリヒドロキシホスファゼン化合物で、リンカー(B)がポリイソシアネートである場合、ホスファゼン化合物(A)を溶融温度以上まで加熱し、リンカー(B)として用いるポリイソシアネート等と共に加熱混合することにより形成することができる。例えば150℃であれば、触媒を使用しない場合でも1時間程度で架橋することが可能であり、適切な触媒を選択すれば数分間で十分架橋することが可能である。
本発明では、上記ホスファゼン化合物(A)とリンカー(B)を使用するが、形状記憶樹脂を目的とするときは、他の成分として、通常形状記憶樹脂に用いられる樹脂前駆体、例えば、ポリ乳酸などが用いられる。また、難燃性を目的とするのであれば、通常の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂に使用可能である。なお、難燃性のみを目的とするときは、全樹脂組成物中のホスファゼン化合物(A)の使用量は、10〜30質量%が適当である。
特に、形状記憶樹脂として使用するときは、他の形状記憶樹脂前駆体を含んでいなくとも、ホスファゼン化合物(A)とリンカー(B)とが硬化したものでも形状記憶性を発揮する。なお、他の形状記憶樹脂前駆体を用いるときは、ホスファゼン化合物(A)と形状記憶樹脂前駆体の官能基が同じものであることが好ましい。
形状記憶樹脂の製造には、ホスファゼン化合物(A)は、他の形状記憶樹脂前駆体、ホスファゼン化合物(A)およびリンカー(B)の合計に対して、10質量%以上とすることが好ましい。
本発明では、ホスファゼン化合物(A)とリンカー(B)と共に使用できる樹脂として、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シアネート系樹脂、イソシアネート系樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、熱硬化型ポリイミド、熱硬化型ポリアミド、スチリルピリジン系樹脂、ニトリル末端型樹脂、付加硬化型キノキサリン、付加硬化型ポリキノキサリン樹脂などの熱硬化性樹脂を挙げることができる。
本発明には、必ずしも必要でないが、ハロゲン系難燃剤、窒素系難燃剤やリン系難燃剤のような有機系難燃剤や金属水和物や三酸化アンチモンなどの無機系難燃剤を添加することができる。窒素系難燃剤としては、メラミンやイソシアヌル酸化合物などが挙げられる。リン系難燃剤としては、赤燐、燐酸化合物、有機リン化合物などが挙げられる。
無機系難燃剤として、具体的には、三酸化アンチモンの他、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドーソナイト、アルミン酸カルシウム、水和石膏、水酸化カルシウム、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ砂、カオリンクレー、炭酸カルシウムなどを挙げることができる。また、これら無機系難燃剤は、表面をエポキシ樹脂やフェノール樹脂をはじめとする各種有機物で表面処理したものや、金属を固溶化させたものが好ましい。さらに、これらのうちでは、水酸化アルミニウムは吸熱効果が高く、難燃性に優れるので特に好ましい。
さらに、衝撃強度を向上させる手法として、高強度繊維を使用することができる。高強度繊維としては、アラミド繊維やナイロン繊維などのポリアミド繊維、ポリアリレート繊維やポリエチレンテレフタレート繊維などのポリエステル繊維、超高強度ポリエチレン繊維やポリプロピレン繊維などのポリオレフィン系繊維、炭素繊維、金属繊維、ガラス繊維などが挙げられる。
また、耐衝撃性を改良するために、柔軟成分を使用することもできる。該柔軟成分として、公知の物質が使用可能であり、以下の物質などが例示できる。セグメントがポリエステル、ポリエーテルあるいはポリヒドロキシカルボン酸であるブロック共重合体、セグメントがポリ乳酸、芳香族ポリエステルおよびポリアルキレンエーテルであるブロック共重合物、セグメントがポリ乳酸およびポリカプロラクトンであるブロック共重合物、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を主成分とする重合体、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリカブロラクトン、ポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキセンアジペート、ポリブチレンサクシネートアジペートなどの脂肪族ポリエステル、ポリエチレングリコールおよびそのエステル、ポリグリセリン酢酸エステル、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化亜麻仁油脂肪酸ブチル、アジピン酸系脂肪族ポリエステル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルリシノール酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アジピン酸ジアルキルエステル、アルキルフタリルアルキルグリコレートなどの可塑剤。
必要に応じて触媒を用いてもよい。例えば、ヒドロキシ基とイソシアネート基の反応行う場合は、トリエチレンジアミン等の三級アミンやジブチル錫ジ(2エチルへキソエート)等の裕機金属化合物などが適当である。ヒドロキシ基とエポキシ基の反応を行う場合は、トリフェニルホスフィンやイミダゾールなどが適当である。
これらの組成物には、成形体が形状記憶性を有するものを目的とするときは、その特性を損なわない範囲で、発泡剤や整泡剤、無機フィラー、有機フィラー、補強材、着色剤、安定剤(ラジカル捕捉剤、酸化防止剤等)、抗菌剤、防かび材、難燃剤、可塑剤、離型剤、耐衝撃性改良剤などを、必要に応じて含有させることができる。無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、タルク、砂、粘土、鉱滓等を挙げることができる。有機フィラーとしては、ポリアミド繊維や植物繊維等の有機繊維を挙げることができる。補強材としては、ガラス繊維、炭素繊維、ポリアミド繊維、ポリアリレート繊維、針状無機物、繊維状フッ素樹脂等を挙げることができる。抗菌剤としては、銀イオン、銅イオン、これらを含有するゼオライト等を挙げることができる。
以上の様な樹脂および樹脂組成物は、トランスファー成形法、注型成形法、圧縮成形、RIM成形、射出成形など熱硬化型樹脂に対して用いられる一般的な成形方法により、電化製品の筐体などの電気・電子機器用途、建材用途、自動車部品用途、日用品用途、医療用途、農業用途、メガネ、補聴器、ギブス等、投票用紙等に適用することができる。
本発明における樹脂組成物は、上記各種配合成分を、公知の混合機、例えば、タンブラー、リボンブレンダー、単軸や二軸の混練機等による混合や押出機、ロール等による溶融混合により得ることができる。
以下に実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されない。
ホスファゼン化合物(A)として、下記のヒドロキシフェニルホスファゼン化合物を、特許文献4の合成例1〜5に開示された方法に基づいて、合成した。
・モノヒドロキシフェニルホスファゼン(略号:P−M):組成式N33(OPh)4.87(OC64OH)1.13、水酸基当量;630g/モル
・ジヒドロキシフェニルホスファゼン(略号:P−D):組成式N33(OPh)3.92(OC64OH)2.08、水酸基当量;350g/モル
・トリヒドロキシフェニルホスファゼン(略号:P−T):組成式N33(OPh)3.31(OC64OH)2.69、水酸基当量;274g/モル
リンカー(B)として、イソシアネート基を有する下記の市販されている化合物をそのまま用いた。
・イソシアヌレート(略号:TPA):TPA−100(商品名)、旭化成ケミカルズ株式会社製、3官能、イソシアネート当量;181g/モル
・トルエンジイソシアネート(略号:TDI):関東化学株式会社製、2官能、イソシアネート当量;87g/モル
・ヘキサメチレンジイソシアネート(略号:HDI):関東化学株式会社製、2官能、イソシアネート当量;84g/モル
・リジンジイソシアネート(略号:LDI):協和発酵ケミカル株式会社製、2官能、イソシアネート当量;106g/モル
・ビュレット(略号:BUR):24A−100(商品名)、旭化成ケミカルズ株式会社製、3官能、イソシアネート当量;179g/モル)
実施例1
2官能のジヒドロキシフェニルホスファゼン100gを180℃で溶融し、これに3官能のイソシアヌレート52gをすばやく混合し、これを180℃の金型の中に流し込み、2時間プレス成形して、厚さ3.2mmおよび1mmの成形体を得た。
〔難燃性の評価〕
厚さ3.2mmの成形体を用い、UL(Underwriter Laboratories)94規格の垂直燃焼試験に従い、難燃性を評価した。なお、難燃性の評価基準は表2に示した通りである。
〔形状記憶性の評価〕
厚さ3.2mmの成形体を用いて、形状記憶性を評価した。
・変形保持性
成形体をTg+50℃で加熱し、成型体の中央で片側を30°持ち上げるように折り曲げて5秒間保持した後、そのままで常温まで冷却固定した。その後固定を外し、持ち上げた側が水平から持ち上がっている角度(A1)を下記基準で評価して、該試料の変形保持性とした。
○:A1が20°以上30°以下である。
△:A1が10°以上20°未満である。
×:A1が10°未満である。
・復元性
上記変形保持性を測定した成形体を、圧をかけずに再びTg+50℃に加熱し、その後常温まで冷却し、持ち上げた角度(A1)がどの程度解消されたかを、持ち上げた側が持ち上がっている角度(A2)を測定し、下記基準で評価して、復元性とした。
×:A2が20°以上30°以下である。
△:A2が10°以上20°未満である。
○:A2が10°未満である。
・Tgおよび貯蔵弾性率の測定
厚さ1mmの成形体をセイコーインスツルメンツ社製の粘弾性測定装置「DMS−6100」(商品名)により、昇温速度:2℃/分、周波数:10Hz、引っ張りモードで、粘弾性を測定し、Tgおよび20℃および(Tg+50℃)の貯蔵弾性率(E’)を求めた。なお、これらの温度における貯蔵弾性率の比も形状記憶性を示す指標であり、E’(20℃)/E’(Tg+50℃)の比が100倍を超えると優れた形状記憶性を持つといえる。
実施例2〜10および比較例1〜2
ホスファゼン化合物(A)およびリンカー(B)の種類と配合量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同じ操作を行い、成形体を得、以下実施例1と同様の評価をした。
上記実施例比較例の配合および評価結果を表1にまとめて示す。
Figure 0005691156
Figure 0005691156
なお、上記の分類以外の燃焼形態をとる場合は、Notと分類した。ちなみに、難燃性が良好な順から悪い順に並べると、V−0、V−1、(V−2またはNOT)となる。
実施例1、3〜5および10では、ホスファゼン化合物(A)として2官能のものを用い、これに対して3官能のリンカー(B)を用いたことにより、何れも優れた形状記憶樹脂が得られた。これに対し、比較例1や2は、3次元架橋体が形成されないため、形状記憶性を有する樹脂が得られなかった。実施例1と実施例2、実施例7と実施例2を比較すると、変形温度のパラメーターであるTgは、ホスファゼン化合物(A)やリンカー(B)の官能基数が大きい場合に高くなる。これは、架橋密度が向上することによるものと推察される。また、実施例6のように、リンカー(B)として官能基数が2であるTDIを用いた場合、リジットな芳香族を含むので、Tgは124℃と高い値となった。
このように、架橋密度やリンカー(B)の剛性を変えることにより、形状記憶樹脂の変形温度を制御することが可能である。何れの実施例も難燃性を示したが、環状のイソシアヌレート構造を有するリンカーを用いた実施例1〜5が特に優れていた。
本発明の樹脂組成物は、電気・電子機器用途、建材用途、自動車部品用途、日用品用途、医療用途、農業用途、玩具、娯楽用品の筐体原料として有用である。

Claims (5)

  1. 官能基を少なくとも2個有するホスファゼン化合物(A)および該官能基と結合することのできる官能基を2個以上有するリンカー(B)を含んでなる樹脂組成物であって、
    該ホスファゼン化合物(A)が、下記構造式(1)で表される、官能基が水酸基である環状ホスファゼン化合物であり、
    Figure 0005691156
    式中、Rの少なくとも2つは水酸基であり、残りは水素である。
    リンカー(B)がイソシアヌル環を持つポリイソシアネートであり、かつ、
    該ホスファゼン化合物(A)および該リンカー(B)の官能基の数は、何れか一方が3個以上である
    樹脂組成物。
  2. 前記リンカー(B)の官能基の数が3個以上である請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 前記リンカー(B)のイソシアネート基が、前記ホスファゼン化合物(A)の水酸基に対して0.5当量から1.5当量の範囲である請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物を硬化して得られる3次元架橋構造を持つ樹脂組成物。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物を硬化して得られる3次元架橋構造を持つ樹脂組成物からなる成形体。
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