JP5685776B2 - 各種の制御不可能な系統効果により干渉を受ける時間変化信号値の予測誤差を修正する方法 - Google Patents

各種の制御不可能な系統効果により干渉を受ける時間変化信号値の予測誤差を修正する方法 Download PDF

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Description

本発明は、各種の制御不可能な系統効果により外乱を受ける時間変化信号値の予測値を修正する方法に関する。
全地球航法衛星システム(Galileo、GPS等)およびこれらの完全性を増す付随的システム(EGNOS、WAAS等)から送られた航法メッセージは、これらの衛星の軌道予測情報および基準時間情報をも含んでいる。これらの予測値を用いて、これらの航法サービスのユーザーは擬距離の測定値に基づいて自身の推定位置を計算する。
これらの予測に影響を及ぼす誤差が存在すれば、このように決定されたユーザーの地理的位置の値に誤差が生じてしまう。安全性が不可欠であるサービスの場合、予測の妥当性を確認して、完全性情報をブロードキャストすることにより、ユーザーの健全性を監視するための完全性監視セグメント(Galileoに対してはSISA/SISMA、またはEGNOS/WAASに対してはGPSシステムの欧州式スーパー層であるUDRE等の完全性インジケータ)が提供される。ユーザーは、表示された位置に影響を及ぼす誤差が警告閾値より大きいというリスクを推定するために、これらのインジケータを考慮に入れる。これらのインジケータおよびこれらを実装するアルゴリズムの標準化および保証が現在進行中である。
衛星航法分野の専門家コミュニティにより提示された主な課題の一つは、現行の標準では、測定の完全性が誤差の分布が系統効果、特にバイアスに影響されないという厳密な数学的条件下でしか得られない点である。当該条件が成立しない場合、ユーザーへの許容レベルのブロードキャストにより各衛星の誤差が個別に制御されていても、ユーザーレベルで生じる誤差を制御することはできない。
航法データブロードキャストチャネルの帯域幅が厳しく制限されている前提で、複数の軌道およびクロック予測誤差特徴化パラメータをブロードキャストすることは不可能である。
この課題を解決するために、予測誤差の分布の許容レベルを改善するための、人為的に完全性インジケータを増やす試みがなされてきた。しかし、この人為的な増加は、多くの誤警報を生じ得るため、完全性サービスの利用可能性に強い影響を及ぼす。従って、軌道およびクロックデータの修正品質を向上させる必要があった。
予測の品質における固有の制約は必ずしも明らかにされていない。多くの要因がこの制約の原因であろう。そのような要因として特に以下のものが含まれる。
− 地球重力場のモデルの不正確さ、
− 高次潮汐効果または多体効果(例えば太陽系の他の惑星)を無視している事実、
− 予測に観測結果を外挿するための、試行および試験が不十分なアルゴリズム、
− オンボード航法信号生成ハードウェアの不安定性、
− 太陽輻射圧効果のモデリングの不正確さ、
− 衛星質量データや、衛星の重心位置の不正確さ
− 現在認識されていない他の要因。
上述の要因の大部分は、先端技術の制約に固有(最初の4個)であるか、または衛星の耐用年数にわたるパラメータドリフトによる(最後の3個)かのいずれかである。これらの要因の影響を減らすために実装されている現行の解決策は、基本的に以下の通りである。
− 地球物理学的データの精度向上、例えば地球の重力場または潮汐のモデルの品質の向上、
− 衛星の現在状態に関するデータの精度の向上、
− より長い反復処理にわたって、より高い精度で、より大量のデータを計算可能にするための計算回路の性能レベルの向上、
− オンボードハードウェアの安定性の向上(熱制御、電子回路の改良等による)。
これら公知の解決策の全てに制約があり、特に以下のものがある。
− 地球物理学的データの正確さは、科学的ミッションの結果の解析から、比較的遅いペースでしか向上しない。
− 衛星の設備および機器に関するデータの精度は、衛星が打ち上げられた後では観測できる可能性が極めて限られるため、極めて限定的である。これは例えば、太陽輻射圧効果において支配的な役割を果たす反射的外面コーティングの不可避な劣化に伴って、例えば衛星の光反射性等のパラメータで見られる。
− 間もなく原子スケールでの小型化を達成した際に最大レベルに達するであろう集積回路の性能レベルを向上できるよりも早く、計算性能レベルを向上させることは不可能である。
本発明の主題は、各種の制御不可能な系統効果により外乱を受ける時間変化信号の値の予測値を修正する方法であって、上述の制約を受けず、且つ実装が容易な方法である。
本発明の方法は、受信した信号に含まれており、且つ時間変化するパラメータの予測値を修正する以下のステップを含んでいる。
− 所定の時間にわたり充分な精度で帰納的に推定された第1の値のバッチ(以下、「復元値」と呼ぶ)に基づいて、これらの復元値を同一の所定時間にわたり先に予測された値のバッチと比較することにより、予測誤差の履歴を構築し、
− 信号を処理して、系統効果の寄与分を分離する方法により、予測された時系列的な一連の予測誤差を解析して、
− 対象とする期間(E)にわたり識別された系統効果の寄与分の挙動を新たな予測期間へ外挿すると共に、正しく外挿された値を用いて予測値を修正する。
本発明は、非限定的な例として挙げられ、添付の図面に示す実施形態の詳細な記述を精査することで、よりよく理解されよう。
本発明の方法による、受信した測定値および対応する予測値から得られた値のバッチの簡略された例を示すタイミング図である。 図1の予測値に関する予測誤差の変化のタイミング図である。 予測誤差に生じる系統効果を示すフーリエ面上のグラフである。
本発明について、無線航法衛星から受信した信号に関して以下に記述するが、明らかに、本発明は当該1個の用途に限定されず、時間に伴い少なくとも部分的に非ランダム的に変化し、且つ各種の系統的原因により外乱を受ける可能性のある信号を受信する、およびこれらの外乱信号の変化の履歴を有する、各種の用途で実装できる。
本発明は、正確な軌道予測アルゴリズムがバッチ処理モード(ある期間または「アーク」内に含まれる多数の連続的な値を処理する)で機能し、その第1のステップが強制的に位置、および過去に関する推定アークに沿った衛星の軌道パラメータを正確に推定することであるという事実に基づいている。推定位置は次いで、軌道パラメータの予測値を与えるために、予測期間にわたり外挿される。
本発明の場合、予測の決定に用いる期間は常に、予測処理の最後のアークで用いた1個以上の推定アークと重なっている。更に、復元値の精度は、予測値の精度よりも極めて高い。これら2種類の値の比較(すなわちそれらの差異)から、予測的方法の欠陥について多くのことがわかる。欠陥の挙動を外挿して欠陥の影響が現れる前に修正するために、公知の信号処理方法をこれら時系列的な一連の差異に適用してもよい。
本発明の方法は、(上述の種類の)潜在的な系統効果を、過去におけるそれらの観測により大幅に減らすことを可能にし、完全性計算標準のニーズにはるかに良く適した予測誤差分布をもたらす。
本発明の方法は以下のように実装される。
X(t)を時間に依存し、クロックまたは衛星の軌道に関係する任意のパラメータとする。このパラメータXは、この衛星の軌道の位置、すなわちX=x、yまたはz(Xの空間座標)であっても、またはX=δt、すなわち衛星のクロックのオフセットにより定義されていてもよい。本発明の方法は、以下の主な3つのステップを含んでいる。
− 予測誤差の推定、
− 予測誤差に対して系統的に影響を及ぼす要因の解析、
− 予測の修正。
これらのステップについて以下に詳しく説明する。最初に、予測値の2個のバッチに基づいて予測誤差を推定する。
A−予測値の第1バッチ
衛星の軌道の計算は、比較的長い(多くの場合、数日から数週間)推定アークE=[tb,1,te,1]にわたる測定値の記録から始まる。この推定アークを用いて、軌道追跡パラメータXのための従来型計算回路および同期計器により復元されるのと同様に復元値を推定する。Xr1(t)を、期間t∈Eにわたりこのパラメータの復元値の取得を可能にする関数とする。当該復元方法の詳細は本発明の文脈では重要でなく、単にアークEが持続する間にXr1(t)を保持するだけでよい。これらの復元値は更に、予測計算回路と異なるソースから生成されてもよい。
復元値は、te,1(te,1はPの開始時点である)後の時点でXの値を計算するために使用できる特定のパラメータ(軌道パラメータ、地球の自転パラメータ、衛星反射モデル等)の推定値に関連付けられる。Xp1(t)を次式でこのように得られた値とする。
t∈P=[te,1,tp,1]
上式において、tp,1は最後の予測時点である。Xp1(t)のこれらの値は、対象であるパラメータの第1の予測値を与える。ここでまた、予測方法をどのように実装したかに関する詳細は本発明にとって重要ではなく、アークPの持続期間にわたりXp1(t)を保持するだけでよい。
図1に、推定アーク(E、E、E等)および対応する予測アーク(P、P、P等)の時間変化を示す。この時間図において、実線の曲線はXの復元値を表す一方、破線曲線部分はXの予測値に関係している。図2において、実線曲線を画定する時点は、同一時点におけるXの予測値と復元値との間の差異として得られたXの予測誤差に対応する。
B−予測値の第2バッチ
軌道予測値の次のバッチについて、先行動作が第2の推定アークE=[tb,2,te,2] (但しte,2≦tp,1)にわたり繰り返される。更に、良好な予測品質を得るには推定アークが予測アークより長くなければならないため、殆どの期間tb,2≦te,1であり、次いでP⊂Eである。通常は、但し非限定的に、本出願においてこれらの推定アークは1時間〜48時間にわたり持続することができる。期間Eにわたり実行された測定により、当該期間Eに対応する復元軌道の組またはクロックパラメータ値Xr,2(t)を得ることが可能になり、期間P2=[te,2,tp,2]にわたり伝播されて、当該期間について軌道またはクロック予測値Xp,2(t)を得ることが可能になる。
期間Pに対して、P⊂EであるためXの2個の値すなわち [te,1,tp,1]に対してXp,1(t)およびXr,2(t)が利用できる。Xp,1およびXr,2が共に同一軌道または同一時点におけるクロックパラメータの近似であるが、Xr,2の方がXp,1よりも極めて精度が高い前提で、期間Pにわたる予測誤差の近似が次式により得られる。
[te,1,tp,1] に対して、δX(t)=Xp,1(t)−Xr,2(t) (1)
以下の予測バッチの場合、第1のバッチでのXの予測値を第2バッチでの復元値と比較することによりδX(t)が確定されたのと同様に、バッチnに対する予測誤差の推定が、当該バッチnに対するXp,n(t)の予測値を復元値Xr,n+1(t)と比較することにより得られる。
[te,n,tp,n]に対してδX(t)=Xp,n(t)−Xr,n+1(t) (2)
この一連の推定および予測バッチ、並びに予測誤差推定関数δX(t)を図2に示している。
要約すれば、本発明の方法の第1の主なステップは、予測値のバッチn+1に対して、各軌道またはクロックパラメータXに対する予測誤差の時系列的な一連のδX(t)を、利用可能なバッチの復元値を先行バッチまたはバッチ群の予測値と比較することにより構築するステップからなる。
本発明の方法の次のステップは、予測誤差における系統効果を分離するステップからなる。図2に簡略化して示すように、関数δX(t)により与えられる時系列的な一連の予測誤差は、予測誤差に関する全ての情報を含んでいる。この予測誤差が測定誤差だけから生じたならば、δX(t)を表す曲線はランダムな変化を有している筈である。ほとんどの場合これは真でなく、例えば図3に示すように、時系列的な一連の予測誤差のウェーブレット解析またはフーリエ解析により、これらの時系列的な一連の誤差の特徴が明らかになり、これが純粋にランダムな変化ではないことが示される。これらの特徴は予測プロセスに影響を及ぼす系統誤差に対応しており、軌道自体の予測に用いるモデルにおける誤差の存在、または予測プロセスの制約に起因している。
図3に、正規化された周波数fに対する、パワー|δX(f)|の誤差のスペクトルを与えるフーリエ解析の一例のグラフを示す。この例では、値がスペクトルの平均値よりかなり大きいスペクトルの成分(グラフに見られる5個の狭いパルス)が系統効果に起因するものと思われる。フーリエ解析の場合、これらの成分は、対象であるスペクトルにおける異なる注目すべき値ω(i)に対する寄与分δXs,i(t)=A(i)ejωi(t)に対応している。
要約すれば、本発明の方法の第2の主なステップは、適切な信号処理方法(フーリエ解析、ウェーブレット解析、または他の信号処理方法)を用いて、時系列的な一連の予測誤差を解析して、系統効果δXs,i(t)の寄与分を分離するステップからなる。
次のステップは、系統予測誤差の予測および修正を実行するステップからなる。系統効果の寄与分δXs,i(t)が識別されたならば、将来の予測期間Pn+1にわたるそれらの挙動および時間を外挿することは比較的簡単である。従ってこれらの寄与分を用いて、関数δX(t)の値の各種の寄与分の効果を減算することにより、予測バッチn+1における予測値を修正することができる。
要約すれば、本発明の方法の第3の主なステップは、対象とする予測間隔における系統効果δXs,i(t)の寄与分の挙動を外挿して、これらの寄与値で予測値を修正するステップからなる。
本発明の方法が修正または未修正予測値に対して実行できる点に注意されたい。また、予測アーク(図1に示す期間P、P、Pに対応する)は互いに重なり合っていることが好都合であるが、これは必須ではない。

Claims (3)

  1. 各種の制御不可能な系統効果により外乱を受ける時間変化信号の値の予測値を修正する方法であって、受信した信号に含まれていて時間変化するパラメータの予測値を修正する以下のステップ、すなわち
    所定の第1の期間(E1)にわたり、前記パラメータ(X)の復元値(Xr1(t))を推定し、前記第1の期間(E1)における前記パラメータ(X)の復元値(Xr1(t))に基づいて、前記第1の期間(E1)の終了時点から開始される所定の第1の予測期間(P1)にわたり、前記パラメータ(X)の予測値(Xp1(t))を予測し、
    前記第1の期間(E1)の途中の時点から開始される所定の第2の期間(E2)にわたり、前記パラメータ(X)の復元値(Xr2(t))を推定し、
    同一の所定時間にわたり、前記第1の予測期間(P1)における予測値(Xp1(t))と、前記第2の期間(E2)における復元値(Xr2(t))とを比較して、第1の予測期間(P1)における予測誤差(δX(t))を取得し、以後、同様にして所定の第n(n=1、2、3…)の予測期間(P1、P2、P3…)毎に予測誤差(δX(t))を取得して、時系列的な一連の予測誤差(δX(t))を取得するステップと、
    前記時系列的な一連の予測誤差(δX(t))をフーリエ解析またはウェーブレット解析により解析して、前記時系列的な一連の予測誤差(δX(t))の特徴を取得し、当該特徴を前記系統効果の寄与分に対応するものとして、前記系統効果の寄与分を分離するステップと、
    前記分離された前記系統効果の寄与分を用いて、第n+1の予測期間における予測値を修正するステップと
    を含む方法。
  2. 前記第nの予測期間(P1、P2、P3)が重なり合っている、請求項1に記載の方法。
  3. 無線航行衛星から受信した信号に対して、これらの衛星群の軌道予測情報およびその基準クロックを修正するために実行される、請求項1または2に記載の方法。
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