JP5683892B2 - 光学ラインセンサ装置 - Google Patents
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Description
これら紙幣や有価証券の鑑別方法として、光学ラインセンサ装置によるパターン識別が、従前より用いられてきている。
また光学ラインセンサ装置は、人間の可視光領域とともに、さらに可視領域外の紫外光及び赤外光を光源から照射して、可視光照射による色情報、紫外光照射による媒体の蛍光色情報など、少なくとも2以上の波長帯で画像を読み出すものが、最近の主流になっている。
光学ラインセンサ装置は、有価証券や紙幣等の媒体の移動中に、媒体の透過像若しくは反射像を読み取るために、媒体が通過する位置の上又は下にラインセンサを配置している。このラインセンサのセンサ素子は、アモルファスシリコンまたは単結晶シリコンのフォトダイオードを採用している。
前述の理由から従来のセンサICチップのフォトダイオードの画素形状は正方形あるいは縦方向が短い長方形となっており、画素ピッチは変えずに画素サイズを小型化することで市場の要求に対応しているのが現状となっている。
ところが、有価証券や紙幣などの高度な鑑別機能を有する光学ラインセンサ装置を開発するにあたり、対象媒体の印刷パターンによって、読み出す画像の鑑別機能を阻害するモワレが発生する場合がある。モワレには、主走査方向(横方向)のモワレと副走査方向(縦方向)のモワレとがある。横方向のモワレは、直線上に等ピッチで配列された各センサ素子と縞模様の画像とが干渉を起こし、各センサ素子の光検出信号が周期的に変動する現象をいう。縦方向のモワレは、対象媒体が副走査方向に移動し、それを各センサ素子で周期的に読み取る場合に、センサの読み取りの周期と画像の副走査方向の縞模様とが干渉し、各センサ素子の光検出信号が時間周期的に変動する現象をいう。顕著なモワレが検出されれば、正確な画像が読みとれず鑑別機能を阻害する。
ここで一つの発光ごとに媒体がx方向に進む距離を唐#、センサ素子の観測窓のx方向の幅を唐tとすると、観測ラインの縦方向の幅は(a+b)となる。緑(G)が2回に1回繰り返し発光されるので、観測ラインのx方向の緑色のピッチは2(a+b)となる。入力される緑色画像のピッチを2(a+b)+δ(0<δ<a+b)とすると、発生する緑色に関するモアレのピッチは、よく知られたモアレに関する理論により、4(a+b)2/δとなる。また観測ラインの濃淡の差が小さくなるほど、モワレの濃淡の差も小さくなり、目立たなくなることも、同理論からよく知られている。
ところが鑑別用途のラインセンサ装置においては、真偽や破損を緻密に読み取る必要があり、さらには装置上画像を読み取った直後に真偽の判断を判定するため画像処理ソフトをプロセスに導入する時間的余裕がないと考えられる。
本発明は、解像度の高い鑑別用途センサを開発するには、モワレ発生は避けられず、それが鑑別機能そのものを阻害することから、モワレ発生を避けるための新たな形状のセンサ素子を備える鑑別用途光学ラインセンサ装置を提供することを目的とする。
b>=(n−1)/N・・・(1)
の式を満たすことが好ましい。この構成によれば、現在センサ素子が読取っている観測ラインと、同一センサ素子が一つ前に読取った当該色の観測ラインとを、確実に重複させることができる。すなわち、こうすることによって、観測ラインの濃淡の差が小さくなり、モワレが目立たなくなる。
本発明の光学ラインセンサ装置は、センサモジュールを媒体に密着させて読み取る、等倍読取り方式を採用するものであってもよい。
図1は、有価証券や紙幣など(以下「媒体S」という)の画像を検出する鑑別用途光学ラインセンサ装置を示す断面図であり、媒体Sをx方向に直線状に搬送するための紙幣搬送路11を挟んで両側に対向配置される同一構成の検出ユニット12,13を有している。紙幣搬送路11は、媒体Sを搬送方向xに沿わせた姿勢で直線状に真っ直ぐ搬送するものである。図1の座標系x,y,zは互いに直交している。
透光カバー17は、ガラス等の透明材料で形成されており、幅(x)方向の両端部に先端側ほど厚さが薄くなるように傾斜する面取が施されている。この面取りは媒体Sが検出ユニット12を通過する際に引っかかる障害とならないようにするためである。なお透光カバー17として、接合部の段差を極小化した一体成型樹脂成型品を用いてもよい。
また、ユニット本体U内には、ロッドレンズアレイ25と並んで、検出エリアR1に向けて斜めに光を照射することのできる細長い形状の発光源19が設けられている(図1において光の方向を一点鎖線で示す)。この発光源19は、ユニット本体Uの長さ(y)方向に沿って、センサモジュール14及びロッドレンズアレイ25と平行な状態で筐体16に取り付けられている。
さらに筐体16には、図1に示すように、光ガイド38から出射する光を検出エリアR1に導くための反射板部34が設けられている。この反射板部34もユニット本体Uと同様、長さ(y)方向に細長い形状をなし、長さ(y)方向に沿った平行な溝を有し、この溝に発光体19を収容している。発光体19を収容する溝の片面は、光ガイド38から厚さ(−z)方向に離れるに従ってホーン状に広がるが、該溝の他面は水平に切断されている。これは光ガイド38からの照射光が検出エリアR1まで進むときに障害にならないようにするためである。
なお、筐体16には、その内部においてセンサモジュール14へ発光体19の光が漏れるのを防止するための底壁部35が形成されており、この底壁部35にはセンサモジュール14の光路にのみ開口部が形成され、この開口部にロッドレンズアレイ25が取り付けられている。前述の反射板部34とこの底壁部35とは、図1に示すように一体に形成されていても良い。
以上の構成により、筺体表面上の透光カバー17,22を通じて照射された対象物の透過画像又は反射画像がロッドレンズアレイ25,26を介してセンサモジュール14,15の表面に、等倍の正立像として結像される。
次に図2は、センサモジュール14,15の素子配列を示す正面図である。センサモジュール14,15は、y方向に直線状に並べられた複数のセンサ素子(それぞれフォトダイオード、フォトトランジスタなどで構成される)と信号処理部27とドライバ部31とを一体化させたセンサICチップを配列し、これを基板上に実装したものである。ドライバ部31はセンサ素子を駆動するためのバイアス電流を作成し供給する回路部分であり、信号処理部27は、センサ素子の光検出信号を読取り処理する回路部分である。センサ素子の種類は、限定されないが、例えばシリコンPNダイオード若しくはPINダイオードが用いられる。
これらの複数のセンサ素子を一度に露光することによって、媒体Sの面上にy方向に沿った観測ラインを設定することができる。観測ラインのx方向の幅は、センサ素子の観測幅bによって基本的に決まるが、実際はセンサ素子の露光時間があり、この間に媒体Sがx方向に移動するため、これより長くなる(後述)。
一露光周期Tの間に媒体Sがx方向に移動する距離はvTとなる。この距離を“a”と書く。この距離aがx方向の読取り解像度N(N=1/a)を決定する。例えば距離aを125μmとすれば、x方向にN=8本/mmの解像度で読み込むことができる。
各発光素子29A〜29Eは、各素子に電圧を印加する電極端子を選択することにより、時間的に切り替えて発光されるものとする。ここで特定の色の発光素子に着目し、その発光素子が繰り返し発光される回数(何回に1回発光するか)を、その発光素子を次に発光させるまでに切り替える数nで表す。例えば、緑(G)の発光素子に注目し、緑(G)→他の色→緑(G)→他の色という具合に、緑(G)が2回に1回繰り返し発光される場合、n=2となる。緑(G)→他の色→他の色→緑(G)→他の色→他の色→緑(G)という具合に、緑(G)が3回に1回繰り返し発光される場合、n=3となる。
図3は、センサモジュール14をy方向から見た側面図を示す。媒体Sは紙面左から右へx方向に移動するものとし、光源19又は光源23の3つの発光素子29A〜29Cが時間的に切り替えられ、赤(R)→緑(G)→青(B)→・・・と変わっていくものとする。図3(a)は赤(R)の発光状態を示し、図3(b)は緑(G)の発光状態を示し、図3(c)は青(B)の発光状態を示す。図には、各色の露光周期T、1露光周期Tの間に媒体Sが移動する距離a、センサモジュール14の各センサ素子のx方向(縦方向)の観測幅bが示されている。
図3(b)は、赤の発光下で1ライン分を読み取った後、次の緑の発光下でセンサ素子の読取りに切り替わった時点を示す。図3(a)から(b)に進む間に、媒体Sは距離aだけ進んでいる。従って、センサ素子が赤色で読み取ったx方向の幅(観測ラインの幅)は、a+bとなる。
図4は、条件b=2aが満たされるときの、媒体Sが紙面左から右へx方向に移動する様子を示す模式図である。
図4(d)から分かるように、「前の」赤の発光下のセンサ素子が読み取った部分の後端と、センサ素子の観測幅の右端x1との間に、「読み取られない部分」が存在しなくなる。この非読取り部分が存在しないので、赤の発光下のセンサ素子が読み取る観測ラインは連続的に存在することになり、図6に示したようなモアレは発生しなくなる。
以上の図4の実施例では、特定の色の発光素子に着目したときの発光の繰り返し回数を“3”とし、媒体Sを送りながらサイクリックに切り換えていた。このため、3a−(a+b)の非読取り部分が存在しないように、すなわち、3a−(a+b)=<0となるように、センサ素子のx方向の幅bを設定する必要があった。不等号3a−(a+b)=<0を書き換えると、b>=2aとなった。したがって、x方向の読取り解像度NをN本とすると、センサモジュール14のセンサ素子のx方向の観測幅bは、“2/N”以上である必要があった。
b>=(n−1)/N・・・(1)
となる。
(a)最新の鑑別用途光学ラインセンサ装置のx方向の読取り解像度Nは2本〜12本/mmが用いられている。例えばx方向の解像度8本/mmで、特定の色の発光素子に着目したときの発光の繰り返し回数2で読み取る場合を想定する。モワレが出にくいためのセンサ画素のx方向の観測幅bは、前記(1)式を用いて計算し、125μm以上とすればよい。
(c)x方向の解像度12本/mmで、特定の色の発光素子に着目したときの発光の繰り返し回数3で読み取る場合を想定する。モワレが出にくいためのセンサ画素のx方向の観測幅bは、2/12=167μm以上とすればよい。
本発明では、従来の正方形のセンサ形状にない新しい形状として、発光素子のサイズを、横幅に対しその1倍よりも大きな縦幅を持つ形状、長方形に限定する。
図5は、ラインセンサのy方向の1発光素子あたりの配列ピッチpを0.1mmと仮定し、n=2と仮定したときの、観測幅bと読取り解像度Nとの関係を描いたグラフである。前記(1)式は双曲線で描かれている。「観測幅bがpよりも大きい」という領域は斜めハッチングで示されている。また、「観測幅bがpよりも大きく、かつ、b>=1/Nを満たす」領域はクロスハッチングで示されている。
14,15 センサモジュール
19,23,24 発光源
27 信号処理部
30 判定部
S 有価証券、紙幣などの媒体
U ユニット本体
Claims (4)
- 有価証券、紙幣などの媒体の鑑別を目的とする光学ラインセンサ装置において、
前記媒体の移動中に、スペクトル特性の相違する複数の光を時間的に切換えて、前記媒体に照射する光源と、
複数のセンサ素子が前記媒体の移動方向と異なる方向に一次元に配列され、前記媒体を透過若しくは反射した光を検出する受光部と、
前記受光部の光検出信号を処理することにより前記媒体の情報を判別する信号処理部とを有し、
前記各センサ素子の、前記媒体の移動方向に沿った観測幅bと、前記媒体の単位移動距離あたり前記複数の光を時間的に切換える回数である読取り解像度Nと、前記スペクトル特性の相違する複数の光を時間的に切替える中での特定のスペクトル特性の光が一度発光してから次に発光するまでに光を切り替える数n(nは2以上の整数)との関係が、
b>=(n−1)/N
の式を満たす、光学ラインセンサ装置。 - 前記一次元に配列されているセンサ素子の配列ピッチpが、b>pの関係を満たす、請求項1に記載の光学ラインセンサ装置。
- 前記媒体の移動方向と異なる方向が、前記媒体の移動方向に直角な方向である、請求項1又は請求項2に記載の光学ラインセンサ装置。
- センサモジュールを媒体に密着させて読み取る、等倍読取り方式を採用する、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の光学ラインセンサ装置。
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