以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、幅広の収納部内に複数の粉体搬送手段が横並びで配置される限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
従って、中間転写体又は記録材搬送体を用いたタンデム型のフルカラー画像形成装置に限らず、1ドラム型のフルカラー画像形成装置やモノクロ画像形成装置でも実施できる。そして、本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
なお、特許文献1、2に示される画像形成装置の一般的な事項については、図示を省略して重複する説明を省略する。
<画像形成装置>
図1は第1実施形態の画像形成装置の構成の説明図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、中間転写ベルト8の下向き面に沿って画像形成部1Y、1M、1C、1Bkを配列したタンデム型中間転写方式のフルカラープリンタである。
画像形成部1Yでは、感光ドラム2aにイエロートナー像が形成されて中間転写ベルト8に一次転写される。画像形成部1Mでは、感光ドラム2bにマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト8のイエロートナー像に重ねて一次転写される。画像形成部1C、1Bkでは、それぞれ感光ドラム2c、2dにシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて同様に中間転写ベルト8に順次重ねて一次転写される。
中間転写ベルト8に一次転写された四色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送されて記録材Pへ一括二次転写される。四色のトナー像を二次転写された記録材Pは、定着装置16で加熱加圧を受けて表面にトナー像を定着された後に、排出ローラ15を通じて上部トレイ17へ排出される。
分離ローラ19は、記録材カセット18から引き出した記録材Pを1枚ずつに分離して、レジストローラ14へ送り出す。レジストローラ14は、停止状態で記録材Pを受け入れて待機させ、中間転写ベルト8のトナー像にタイミングを合わせて記録材Pを二次転写部T2へ送り込む。
定着装置16は、ヒータを設けた定着ローラ16aに加圧ローラ16bを圧接して加熱ニップを形成する。記録材Pは、加熱ニップで挟持搬送される過程で、加熱加圧を受けてトナー像を溶融させ、フルカラー画像を表面に定着される。
画像形成部1Y、1M、1C、1Bkは、現像装置4a、4b、4c、4dで用いるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外は、ほぼ同一に構成される。以下では、画像形成部1Yについて説明し、他の画像形成部1M、1C、1Bkについては、説明中の符号末尾のaを、b、c、dに読み替えて説明されるものとする。
画像形成部1Yは、感光ドラム2aを囲んで、帯電ローラ3a、露光装置7、現像装置4a、一次転写ローラ5a、クリーニング装置6aを配置している。
感光ドラム2aは、アルミニウム製シリンダの外周面に、帯電極性が負極性の感光層を形成しており、不図示の駆動モータから駆動力を伝達されて、所定のプロセススピードで回転する。
帯電ローラ3aは、感光ドラム2aに従動回転し、負極性の直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を不図示の電源から印加されることにより、感光ドラム2aを一様な負極性の電位に帯電させる。
露光装置7は、イエローの分解色画像を展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザービームを回転ミラーで走査して、帯電した感光ドラム2aの表面に画像の静電像を書き込む。露光装置7は、与えられる画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応した発光を行うレーザー発光手段、ポリゴンレンズ、反射ミラー等で構成される。
現像装置4aは、後述するように、負極性に帯電したトナーを感光ドラム2aに移転させて静電像をトナー像に現像する。
一次転写ローラ5aは、中間転写ベルト8を押圧して、感光ドラム2aと中間転写ベルト8との間に一次転写部Taを形成する。一次転写ローラ5aに正極性の直流電圧が印加されることにより、感光ドラム2aに担持された負極性のトナー像が、一次転写部Taを通過する中間転写ベルト8へ一次転写される。
クリーニング装置6aは、感光ドラム2aにクリーニングブレードを摺擦させて、一次転写部Taを通過した感光ドラム2aの表面に付着した転写残トナーを除去する。
中間転写ベルト8は、テンションローラ11、二次転写対向ローラを兼ねた駆動ローラ10、及び張架ローラ13に掛け渡して支持され、駆動ローラ10に駆動されて矢印R2方向に回転する。中間転写ベルト8は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリフッ化ビニリデン樹脂フィルム等のような誘電体樹脂によって構成されている。
二次転写部T2は、駆動ローラ10で内側面を張架された中間転写ベルト8に二次転写ローラ12を当接して構成される。不図示の電源から二次転写ローラ12に正極性の直流電圧が印加されることで、接地電位に接続された駆動ローラ10との間にトナー像の転写電界が形成される。
ベルトクリーニング装置9は、中間転写ベルト8にクリーニングブレードを摺擦させて、二次転写部T2を通過した中間転写ベルト8の表面に付着した転写残トナーを除去する。
<現像剤補給装置>
図2は現像剤補給装置の配置の説明図、図3は現像剤補給装置の模式図である。図2は図1に示す画像形成装置を後側から見た状態で、各色の現像装置と現像剤補給装置とを抜き出した図である。
図1に示すように、各色の感光ドラム2a、2b、2c、2dの直下に各色のトナーボトル70a、70b、70c、70dが配置される。
図2に示すように、感光ドラム2a、2b、2c、2dに付設された現像装置4a、4b、4c、4dに対して、それぞれ現像剤補給装置200a、200b、200c、200dが取り付けられている。現像剤補給装置200a、200b、200c、200dは、それぞれトナーボトル70a、70b、70c、70dから取り出したイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーを現像装置4a、4b、4c、4dに供給する。
現像剤補給装置200a、200b、200c、200dは、搬送スクリュー機構203a、203b、203c、203dの傾きが異なる以外は、ほぼ同一に構成されている。このため、ここでは、現像剤補給装置200aについて説明を行い、現像剤補給装置200b、200c、200dについては、説明中の符号末尾のaを、b、c、dに読み替えて説明されるものとする。
図3に示すように、現像装置4aは、トナーボトル70aよりも高い位置に配置され、搬送路(203a)は、排出口212aから排出されたトナーTnを制御された供給量で現像装置4aへ供給可能である。搬送スクリュー機構203aは、排出口212aに接続された搬送路であって、排出口212aから排出された現像剤を重力方向上方へ搬送するための螺旋状の搬送部材が搬送路内に回転可能に設けられている。
現像装置4aは、現像容器4e内で二成分現像剤を攪拌して、二成分現像剤中の非磁性トナーを負極性に、磁性キャリアを正極性にそれぞれ帯電させる。帯電した二成分現像剤は、固定磁極4jの周りで回転する現像スリーブ4sに担持されて感光ドラム2aを摺擦する。電源D4は、負極性の直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を現像スリーブ4sに印加して、現像スリーブ4sに担持された非磁性トナーを感光ドラム2aの露光領域に移転させて、静電像を反転現像する。
画像形成に伴って現像容器4e内の二成分現像剤は、非磁性トナーが消費されて磁性キャリアの濃度が高まる。
制御部40は、トナー濃度センサ(透磁率センサ)4mの出力に基づいて現像容器4e内の非磁性トナーの重量比率が3〜5%に維持されるように、現像剤補給装置200aを作動させる。すなわち、高画質化を実現するために、二成分現像剤においては、現像装置4a内の磁性キャリアと非磁性トナーの重量比を一定に保って画像濃度を安定させることが重要である。現像装置4a内の磁性キャリアと非磁性トナーの重量比を一定に保つには、トナーボトル70aから現像装置4aに供給されるトナー量を制御する必要がある。
制御部40は、トナー濃度センサ4mで検出したトナー比率に応じて搬送スクリュー機構203aの回動速度及びON/OFFを制御している。このため、現像装置4aに供給されるトナー量を精密に制御するには、搬送スクリュー機構203aの回転角度に応じて、安定した「かさ密度」のトナーが現像装置4aへ供給される必要がある。
そして、安定したかさ密度のトナーが現像装置4aへ供給されるためには、排出口212a付近のトナーのかさ密度を安定させた状態で、収納部202aから搬送スクリュー機構203aへ安定して連続的にトナーを送り込む必要がある。
現像剤補給装置200aは、イエロートナーを収容した現像剤容器の一例であるトナーボトル70aから取り出したイエロートナーを補給用現像剤として現像装置4aに供給する。トナーボトル70aは、支持部43によって回転可能に支持され、矢印R3方向に回転することで、内部のトナーを手前側に搬送して現像剤吐出口70e下の収納部202aへ落下させる。
実施例1におけるトナーボトル70aは、一端に開閉できる蓋42を設けており、トナーボトル70aを画像形成装置100へ装着した時に蓋42が開く機構になっている。トナーボトル70aは、トナーボトル70a自体を回転させることにより、現像剤吐出口70eからトナーを排出できる。
制御部40は、トナー量検知センサ46の光路が収納部202a内のトナーで遮断されないように、モータ41を作動させて蓋42を回転駆動して、トナーボトル70aを回転させる。制御部40は、収納部202aに配置されているトナー量検知センサ46によりトナー無しと検知すると、トナー量検知センサ46がトナー有りと検知するまでトナーボトル70aを回転させて収納部202a内をトナーで満たす。
制御部40は、トナー濃度センサ4mの出力に基づいてモータを作動させて、搬送スクリュー機構203aを回転駆動して、収納部202a内のトナーを現像装置4aへ汲み上げる。これにより、現像装置4aには、新しいトナーがトナーボトル70aから取り出されて収納部202aに一時的に貯留された後に、搬送スクリュー機構203aによって必要量だけ補給される。
現像剤補給装置200aは、補給用現像剤を収納して着脱交換が可能な現像剤容器(70a)から取り出された現像剤(Tn)を現像装置4aへ供給する。
収納部202aは、トナーボトル70aから取り出されたトナーTnを水平方向の一端側から受け入れるように配置され、トナーTnを排出するための排出口212aが水平方向の他端側に片寄せて形成されている。
<実施例1>
図4は実施例1の現像剤補給装置の斜視図、図5は実施例1における収納部内の搬送コイルの配置の説明図、図6は搬送スクリュー機構の配置の説明図である。図4は収納部まわりの概略図、図5は収納部を上から見た平面図、図6は搬送スクリュー機構の垂直な断面図である。
図4に示すように、実施例1では、収納部202aは、トナーボトル70aの補給口205aの幅に相当する水平方向の幅を持たせて、トナーボトル70aの現像剤吐出口下に接続する。トナーボトル70aは、現像装置4aの長手方向と平行な回転軸で回転して収納部202aへ現像剤を供給する。
収納部202aは、現像装置4a及びトナーボトル70aの下方且つ、画像形成装置100の奥側に設けられている。複数の搬送コイル213R、213Lは、収納部202a内で、現像装置4aの長手方向(トナーボトル70の回転軸方向)に現像剤を搬送する。
現像剤補給装置200aは、トナーボトル70aから収納部202aの一端側へ供給したトナーを、搬送コイル213R、213Lによって他端側へ加圧する水平ホッパを構成している。搬送コイル213R、213Lは、収納部202aの内部に設けられ、収納部202aに収納された現像剤を収納部202aの一端側から他端側に向けて搬送する。
搬送コイル213L(第2の搬送部材)は、搬送コイル213R(第1の搬送部材)と水平方向で隣接して設けられる。現像剤を排出する排出口212aは、収納部202aの他端側の側面で、搬送コイル213L(第2の搬送部材)を挟んで搬送コイル213R(第1の搬送部材)と逆側の側面に設けられ、排出口212aから現像装置4aへ現像剤を補給する。排出口212aは、搬送コイル213L(第2の搬送部材)と略水平方向に対向する。
搬送コイル213R、213Lは、口径と幅とピッチを等しく形成されて回転可能に設けられた螺旋状の回転部材である。しかし、搬送コイル213R(第1の搬送部材)の単位駆動時間あたりの回転軸線方向の搬送能力は、搬送コイル213L(第2の搬送部材)の単位駆動時間あたりの回転軸線方向の搬送能力よりも高い。収納部202aの他端側に配置された歯車機構(216a:図5)は、搬送コイル213R、213Lの単位駆動時間あたりの回転数をそのように異ならせて、搬送コイル213R、213Lを連動して駆動する。
搬送コイル213R、213Lによって他端側へ水平に搬送されたトナーは、排出口212aを通じて供給手段の一例である搬送スクリュー機構203aへ流れ込む。排出口212aは、収納部202aの他端側に隣接させて収納部202aの水平方向の側面に配置される。搬送スクリュー機構203aは、排出口212aから排出された現像剤の一例であるトナーを搬送して現像装置4aへ汲み上げる。
図5に示すように、収納部202aは、水平方向の一端に、トナーボトル70aから供給されるトナーを受けるトナー受給部211aを有し、他端に搬送スクリュー機構203aにトナーを排出する排出口212aを有する。収納部202aの他端側に歯車機構216aが配置されているため、排出口212aは、搬送スクリュー機構203aの軸方向に略平行に設けられた収納部202a側面に設けられている。これにより、現像剤補給装置200aが奥行き方向にコンパクトに構成される。
搬送コイル213R、213Lは、収納部202a内において、トナー受給部211aから排出口212aに向けて、並列にトナーを搬送する。なお、実施例1では、搬送コイル213R、213Lがコイルバネ形状であるが、この形態には限定されず、一般的に用いられている羽根スクリューでもよく、板バネのスクリューでも構わない。複数の粉体搬送手段は、平行な二基のベルトコンベアでもよい。
搬送コイル213Rが搬送するトナーの流れを矢印Eで示し、搬送コイル213Lが搬送するトナーの流れを矢印Dで示す。トナー受給部211からトナーを排出する排出口212aに向けてトナーが矢印D、Eのように搬送され、他端部壁面に突き当たったトナーが左右の矢印D1、D2、E1、E2方向に流れていく。搬送コイル213R、213Lの単位時間あたりのトナー搬送量は、搬送スクリュー機構203aにトナーを排出するための排出口212aから離れた方が多い設定である。
このため、排出口212aに近い搬送コイル213Lの単位時間あたりのトナー搬送量をDとし、排出口212aから遠い搬送コイル213Rの単位時間あたりのトナー搬送量をEとすると、以下の関係が成立する。
D<E
実施例1では、トナーを2本の搬送コイル213R、213Lで同方向に搬送するので、排出口212a付近のトナーかさ密度を安定させることができる。なぜなら、搬送コイル213Rによる矢印E方向のトナー流れは矢印E2方向に壁面があるため、トナーの流れはほぼ矢印E1方向のみとなる。そして、矢印E1方向に流れるトナーは、搬送コイル213Lによって矢印D2方向に流れようとするトナーと突き当たるが、上記D<Eの関係よりトナーの流れは矢印E1方向になる。そして、矢印D1、E1方向の先は排出口212aであるため、排出口212aにトナーを安定的に送り込むことができる。
なお、搬送コイル213R、213Lの単位時間あたりのトナー搬送量は、コイルのピッチ、外径、内径、線径、回転速度などで決まる。単位時間あたりのトナー搬送量を多くするためには、回転速度を速くする、スクリューピッチを大きくする、コイル断面の羽根面積を広くとるうちの少なくとも1つの方法で設定できる。コイル断面の羽根面積を広くとるためには、コイル形状の外径を大きくしたり、内径を小さくしたり、線形を太くとる等の方法を採用できる。
実施例1では、搬送コイル213R、213Lは、いずれもピッチ9mm、外径10mm、内径8mm、線径1mmに揃えた同一なコイルバネ形状のスクリューを用いている。しかし、歯車機構216aのギア比を設定することにより、排出口212aに近い方の搬送コイル213Lは回転速度が4rpsである一方、排出口212aから離れた方の搬送コイル213Rは回転速度を4.5rpsに速くしている。
また、実施例1では、収納部202aの幅が25mm、搬送方向の長さが60mm、高さが40mmである。
図6に示すように、実施例1では、現像装置へのトナーの定量供給を担う供給手段として、直径がΦ12mmの羽根スクリュー205aを用いた搬送スクリュー機構203aを採用している。搬送スクリュー機構203aは、収納部202aから現像装置4aへ上方にトナーを搬送する。
搬送スクリュー機構203aは、現像装置4aと収納部202aとに対応した排出口212a、214aを持つパイプ215aを有する。パイプ215a内にはトナーを搬送するための羽根スクリュー205aが配置される。搬送スクリュー機構203aは、現像装置(4a:図2)で使用されたトナー量だけ現像装置4aへとトナーを補給する必要がある。搬送スクリュー機構203aによるトナー補給量を調整するには、搬送スクリュー機構203a内はトナーで常に満たされていることが必須である。
この点、搬送コイル213R、213Lが排出口212aへトナーを安定的に送り込むので、羽根スクリュー205の1ピッチの間に保持されるトナーのかさ密度が安定している。これにより、羽根スクリュー205の回転角度に応じたトナー供給量で定量的に現像装置へトナーが供給されて画像濃度が安定する。
<比較例>
図7は比較例1の現像剤補給装置の斜視図、図8は比較例2の現像剤補給装置の斜視図、図9は比較例2の現像剤補給装置における無駄なスペースの説明図、図10は無駄なスペースを解消した場合の問題点の説明図である。
図7に示すように、比較例1の現像剤補給装置300Aは、現像装置4の上方に配置されたトナーボトル70から取り出したトナーを収納部(重力式ホッパ)302に一次的に貯留する。そして、収納部302の底に配置した搬送スクリュー機構303を回転させることにより、収納部302のトナーを定量ずつ現像装置4へ補給することができる。
比較例1の現像剤補給装置300Aは、画像形成中にトナーボトル70の交換を行うために収納部302の容量を増やそうとすると、収納部302の厚みが薄いために収納部302の高さが高くなる。このため、画像形成装置の低背化、小型化が困難である。また、収納部302の高さが高い場合、画像形成装置の停止中に収納部302内の現像剤が重力で締まって局所的に密度が高くなる。
これにより、次回の画像形成の開始時に、搬送スクリュー機構303を回転させた際に、一度に大量の現像剤が現像装置4に供給される場合がある。すなわち、収納部302の容量を増すことは、トナーボトル70内の現像剤がなくなった時の交換の際に、画像形成装置の連続画像形成を停止させることなくトナーボトル70を交換できるため、ユーザビリティ向上に繋がる。
また、二成分現像剤を用いて高画質の現像を行うには、現像装置4内の磁性キャリアと非磁性トナーの重量比を一定に保つ必要がある。収納部302の容量が増すと、搬送スクリュー機構303へ供給される現像剤のかさ密度が安定するので、搬送スクリュー機構303による非磁性トナーの補給量が安定する点においても好ましい。搬送スクリュー機構303による安定したトナー供給を実現するには、収納部302内のトナーかさ密度を安定させる必要があるので、トナー消費による収納部302内のトナー減少が影響を受けにくい程度に収納部302の容量が必要となる。
しかし、単純に収納部302の高さを増して収納部302の容量を増すと、停止期間中に、収納部302の底で現像剤が自重でかさ密度を高めてしまうため好ましくない。
図8に示すように、そこで、比較例2の現像剤補給装置300Bでは、収納部302の高さの代わりに厚みを現像装置4の長手方向に増して、収納部302に必要な容量を確保している。これにより、収納部302の高さが低くなって、比較例1の現像剤補給装置300Aに比較して画像形成装置の低背化、小型化に有利である。また、収納部302の高さが低ければ、停止期間中に、収納部302の底で現像剤が自重でかさ密度を高める減少も軽減される。
現像剤補給装置300Bでは、トナーボトル70から供給されたトナーが収納部302に重力で落下して溜まり、収納部302の底面に設けられた搬送コイル304が現像剤を搬送スクリュー機構303に受け渡す。そして、搬送スクリュー機構303によって現像剤が現像装置4へ供給されていく。現像剤補給装置300Bでは、搬送コイル304の長さだけ収納部302の底部の容量を増やしており、搬送コイル304が収納部302内の現像剤を搬送スクリュー機構303への開口部に安定的に搬送し続ける。このため、搬送スクリュー機構303への開口部付近のかさ密度が安定して、現像装置4へ送るトナー量が安定している。
しかし、比較例2においても、重力で収納部302内にトナーを満たす重力ホッパ方式を用いているため、停止期間中に、収納部302の底の現像剤がかさ密度を高めてしまうことに変わりはない。収納部302内に溜まっている間に現像剤のかさ密度変化が生じると、搬送スクリュー機構303が現像装置4へ搬送する現像剤量にばらつきが生じる。
重力で収納部302内に現像剤を満たす重力ホッパ方式においては、現像剤が溜まっている間に収納部302内の現像剤のかさ密度変化が生じ易く、現像装置4へ送る現像剤量にばらつきが生じ易い。
また、近年、画像形成装置本体のコンパクト化に伴って、現像装置4及び現像剤補給装置300Bを含む画像形成部の集約化がなされている。このため、現像剤補給装置300Bにおいても、収納部302の容量を確保しにくくなっている。一方、画像形成装置の高速化に伴って現像剤の消費速度が高まっているため、トナーボトル70のトナーがなくなった時の交換の際に収納部302に貯留しておくべき現像剤の量が増えており、収納部302の容量の増大が求められている。
図9に示すように、重力で収納部302内にトナーを満たす重力ホッパ方式では、収納部302が下方に向かうに従って狭くなる形状であるため、無駄なスペースAが形成されてしまう。無駄なスペースAは、収納部302の底部にある搬送スクリュー機構303への開口部に現像剤を流れ込ませるために必須であるが、画像形成装置本体のコンパクト化には不都合である。
そこで、図10に示すように、無駄なスペースAを小さくするために、単純に収納部302の底部を幅方向に拡張することが提案されたが、この場合、搬送コイル304による現像剤の搬送に支障がある。搬送コイル304によって現像剤が搬送されない収納部302内の無駄なスペースが増える結果、現像剤が収納部302の底に停滞して画像形成に使われない無駄な現像剤ができてしまう。収納部302の底に停滞して動かない現像剤は、長期間にわたってそこに押し込まれているので、現像剤の帯電性能が低下している可能性もある。そして、帯電性能が低下した現像剤が一時的に収納部302から搬送スクリュー機構303へ流れ込んで現像装置4へ供給されると、画像品質がばらつく可能性がある。
そこで、収納部302の底に現像剤を停滞させないために、破線で示すように、搬送コイル304の口径を大きくすることが提案されたが、収納部302の高さが長さYだけ高くなって好ましくない。比較例2の構成では、搬送スクリュー機構303の開口部へ向かって収納部302の幅が狭くなる形状になっているため、幅方向の下方に無駄なスペースができてしまう。しかし、収納部302の底部の幅を広げると、現像剤が動かないスペースができてしまい、開口部が側面にあると現像剤を搬送スクリュー機構303に送り込むことが困難になる。
これに対して、図4に示すように、実施例1では、収納部202a内に搬送コイル213R、213Lを2本、並列に配置することにより幅方向に収納部202aの容量を確保できる。搬送コイル213R、213Lを2本並列に配置することで、高さ方向に収納部202aが広がることもなく、比較例1、2の構成による無駄な空きスペースを埋めて、画像形成装置本体のコンパクト化を達成できる。収納部202aの容量を最大限確保できる。
図7、図8に示すように、重力で収納部302内に現像剤を満たす比較例1、2の方式においては、重力方向に静的に現像剤を押し込むだけなので、収納部302の側面に開口部を配置した場合には、開口部から現像剤を取り出すことが困難であった。さらに、現像剤を重力によって送るため、収納部302付近のユニット配置は、上方から順にトナーボトル70、収納部302、搬送スクリュー機構303、現像装置4とする必要がある。
しかし、実施例1では、図2に示すように、現像装置4aが最も上方に配置され、搬送スクリュー機構203aでトナーを上方に搬送する。この場合、図5に示すように、収納部202aの他端側には歯車機構216aが配置されているため、歯車機構216aを避けて、搬送スクリュー機構203aへの排出口212aを収納部202aの側面に設けるしかない。
実施例1の構成では、搬送コイル213R、213Lで機械的に現像剤を流動させて、収納部202aの側面の排出口212aから現像剤を動的に送り出す。このため、搬送スクリュー機構203aに対する現像剤の供給量が安定しており、搬送スクリュー機構203aが安定したかさ密度の現像剤を切れ目なく、安定して上方に搬送することが可能である。
実施例1の構成では、このように、収納部202aの底部に搬送コイル213R、213Lを2本以上並列に配置することにより、収納部202aの容量を高さ方向ではなく、幅方向のみで最大限確保することができる。このため、収納部202aの周囲におけるユニット配置の自由度を上げることができ、画像形成装置本体のコンパクト化、ユーザビリティの向上に寄与できる。
また、実施例1の構成では、収納部202aがバッファできるトナー容量を限られたスペースで最大限に確保して、画像形成装置本体のコンパクト化、ユーザビリティの向上を達成できる。同時に、収納部202aの排出口212aにおけるトナーのかさ密度を安定させることにより、搬送スクリュー機構203aを用いた現像装置4aへのトナー供給量を安定させている。これにより、トナーボトル70aの交換中も、高画質の画像を安定して連続形成できる。
また、実施例1の構成では、複数の搬送コイル213R、213Lの搬送方向を同一にすることで、搬送スクリュー機構203aへの排出口212a付近の現像剤のかさ密度を安定させることができる。
また、実施例1の構成では、複数の搬送コイル213R、213Lのトナー搬送性能を排出口212aから離れる程大きく設定する。複数の搬送コイル213R、213Lのトナー搬送性能の差が、収納部202a内で、一端側から排出口212aへ向かう停滞の無いトナーの流れを形成する。収納部202a内において、トナーが動かないで淀んだ場所を作らないで、搬送スクリュー機構203aにトナーを安定的に充填できる。これにより、搬送スクリュー機構203aに送り込むトナー量を安定させて高画質化に貢献できる。
また、実施例1の構成では、搬送スクリュー機構203aは、トナーを上方に搬送するものであったが、それは本発明を限定するものではない。本発明は、収納部202aから搬送スクリュー機構203aへ供給する現像剤のかさ密度を安定させるものであり、搬送スクリュー機構203aの搬送方向の向きは問わない。搬送スクリュー機構203aの向きを自由に設定することで、現像装置4aの配置及び現像装置4aの周囲のユニット配置の自由度を上げることができる。
<実施例2>
図11は実施例2における収納部内の搬送コイルの配置の説明図である。
実施例2は、収納部202aに配置する搬送コイルの本数が実施例1よりも1本多い3本である以外は実施例1と同様に構成される。従って、図11中、実施例1と共通する構成には図5と共通の符号を付して重複する説明を省略する。
図11に示すように、実施例2では、収納部202aに3本の搬送コイル213R、213C、213Lが配置される。3本の搬送コイル213R、213C、213Lは、収納部202aの他端側に配置された歯車機構によって連動して回転するとともに必要な回転速度比を設定されている。
収納部202aの側面には、実施例1と同様に、搬送スクリュー機構203aへ現像剤を排出するための排出口212aが形成されている。3本の搬送コイル213R、213C、213Lは、一端側のトナー受給部211aから受け入れたトナーを、排出口212aが配置された他端側に向けて水平方向に搬送する。
3本の搬送コイル213R、213C、213Lは、搬送スクリュー機構203aへの排出口212aから離れるほど単位時間あたりトナー搬送量が大きくなるように回転速度の関係が設定されている。
搬送コイル213R、213C、213Lの単位時間あたりトナー搬送量をそれぞれI、H、Gとするとき、排出口212aから遠いほど搬送コイルのトナー搬送能力が高いので以下の関係が成立する。
G<H<I
搬送コイル213Rは、トナー受給部211aから他端側の壁面へ向かって矢印I方向にトナーを搬送し、壁面に突き当たったトナーが左右の矢印I1、I2方向に流れていく。このとき、矢印I2方向には壁面があるため、トナーの流れはほぼ矢印I1方向のみとなる。
搬送コイル213Cは、トナー受給部211aから他端側の壁面へ向かって矢印H方向にトナーを搬送し、壁面に突き当たったトナーが左右の矢印H1、H2方向に流れていく。このとき、H<Iの関係より、矢印H2方向には矢印I1方向からの相対的に大きな流れがあるため、トナーの流れはほぼ矢印H1方向のみとなる。
搬送コイル213Lは、トナー受給部211aから他端側の壁面へ向かって矢印G方向にトナーを搬送し、壁面に突き当たったトナーが左右の矢印G1、G2方向に流れていく。このとき、G<Hの関係より、矢印G2方向には矢印H1方向からの相対的に大きな流れがあるため、トナーの流れはほぼ矢印G1方向のみとなる。
このようにして、排出口212aに向けてトナーが安定的に流れ込む。
このように複数の搬送コイルの単位時間あたりのトナー搬送量を開口部より離れた側ほど多く設定にすることで、搬送スクリュー機構に送り込むトナー量を安定させることができ、高画質化に貢献できる。
<実施例3>
図12は実施例3における搬送スクリュー機構への開口部の配置の説明図である。
図5に示すように、実施例1、実施例2では、搬送スクリュー機構203aへの排出口212aが収納部202aの側面に設けられていた。
図12に示すように、実施例3では、搬送スクリュー機構203aへの排出口212aが収納部202aの底面の中央に設けられている。このような構成においても、実施例2と同様に、搬送スクリュー機構203aへの現像剤供給量を安定させることができる。
搬送コイル213R、213C、213Lの単位時間あたりトナー搬送量をそれぞれL、K、Jとするとき、排出口212aから遠いほど搬送コイルのトナー搬送能力が高いので以下の関係が成立する。
J=L>K
搬送コイル213Rは、トナー受給部211aから他端側の壁面へ向かって矢印L方向にトナーを搬送し、壁面に突き当たったトナーが左右の矢印L1、L2方向に流れていく。このとき、矢印L2方向には壁面があるため、トナーの流れはほぼ矢印L1方向のみとなる。
搬送コイル213Lは、トナー受給部211aから他端側の壁面へ向かって矢印J方向にトナーを搬送し、壁面に突き当たったトナーが左右の矢印J1、J2方向に流れていく。このとき、矢印J1方向には壁面があるため、トナーの流れはほぼ矢印J2方向のみとなる。
搬送コイル213Cは、トナー受給部211aから他端側の壁面へ向かって矢印K方向にトナーを搬送し、壁面に突き当たったトナーが左右の矢印K1、K2方向に流れようとする。しかし、このとき、J=L>Kの関係より、矢印K2方向には矢印L1方向からの相対的に大きな流れがあり、矢印K1方向には矢印J2方向からの相対的に大きな流れがあるため、トナーの流れは上下方向のみとなる。
このようにして、搬送コイル213Cに集約されたトナーは排出口212aしか行き場がなく、排出口212aに向けてトナーが安定的に流れ込む。
このように複数の搬送コイルの単位時間あたりのトナー搬送量を開口部より離れた側ほど多く設定にすることで、搬送スクリュー機構に送り込むトナー量を安定させることができ、高画質化に貢献できる。