JP5683530B2 - 容器 - Google Patents

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Description

本発明は、容器に関する。
温度によって色が変化する性質を有する感温変色性を有するインキが知られている。例えば、特許文献1には、感温変色性組成物を含有するマイクロカプセル粒子を成分とすることで、温度によって色が変化するグラビアインキが記載されている。
特開2001−335729号公報
ここで、感温変色性を有する塗膜を容器に形成するにあたり、感温変色性を有するマイクロカプセル粒子を成分とするインキを容器の外表面に塗布する方法が採用される。このとき、マイクロカプセル粒子の状態によっては塗膜の色が安定化せず不鮮明になる場合や、塗膜が容器の外表面から剥がれてしまう場合があり、容器外観の美感が低下することが懸念される。
本発明は、マイクロカプセル粒子が含まれるインキを容器に塗布した場合に起こりうる、容器外観の美感の低下を抑制することを目的とする。
本発明が適用される容器は、内容物を収容可能な容器基体と、前記容器基体の外表面に形成され、温度によって色が変化する感温変色性を有する感温変色層とを備え、前記感温変色層は、感温変色性を有する成分を内包し平均粒子径が0.1μm以上5μm以下の範囲であるマイクロカプセル粒子を有するインキを、前記容器基体に対してオフセット印刷によって塗布することで形成されることを特徴とする容器である。
ここで、前記マイクロカプセル粒子の含有量は、前記インキの全量に対して20wt%以上50wt%以下であることを特徴とすることができる。
また、前記感温変色層は、温度上昇または温度低下に伴って、有色である第1の色から、無色または当該第1の色とは異なる有色である第2の色へと変色することを特徴とすることができる。
また、前記感温変色層は、温度が第1の温度未満の場合に有色である第1の色を呈し、温度が当該第1の温度よりも高い第2の温度以上の場合に有色である第2の色を呈し、温度が当該第1の温度以上且つ当該第2の温度未満の場合に無色となることを特徴とすることができる。
また、前記感温変色層は、温度が第1の温度未満の場合に有色である第1の色を呈し、温度が当該第1の温度よりも高い第2の温度以上の場合に有色である第2の色を呈し、温度が当該第1の温度以上且つ当該第2の温度未満の場合に、当該第1の色および当該第2の色とは異なる第3の色を呈することを特徴とすることができる。
また、前記感温変色層は、互いに異なる感温変色性を有する複数の前記インキを、それぞれ前記容器基体に対してドット状に塗布することで形成されることを特徴とすることができる。
本発明によれば、マイクロカプセル粒子が含まれるインキを容器に塗布した場合に起こりうる、容器外観の美感の低下を抑制することが可能になる。
本実施の形態が適用される缶体の構成について説明するための図である。 画像形成工程にて用いられる画像形成装置の構成を説明するための図である。 本実施の形態の第1の構成例および第2の構成例を説明するための図である。 本実施の形態の第3の構成例を説明するための図である。 本実施の形態の第4の構成例を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
[缶体の構成の説明]
まず、本実施の形態が適用される缶体について説明する。図1は、本実施の形態が適用される缶体1の構成について説明するための図であり、図1(a)は、本実施の形態の缶体1の概略を示した図であり、図1(b)は、図1(a)の断面の一部を拡大した図である。
図1(a)、(b)に示すように、缶体1は、容器10と、容器10の上部を塞ぐための蓋部材20とから構成される。
そして、容器10は、内容物が充填可能な容器基体12と、容器基体12の外周面に形成された塗膜14とからなる。また、本実施の形態では、塗膜14は、容器基体12の外周面に形成されるインキ層142と、インキ層142を保護するためにインキ層142上に形成される保護層143とから構成されている。
本実施の形態において、インキ層142の厚さは例えば1〜2μmとすることができ、保護層143の厚さは例えば3〜5μmとすることができる。
塗膜14におけるインキ層142は、本実施の形態では、容器基体12に直接印刷される層である。本実施の形態のインキ層142は、感温変色層の一例であり、温度上昇または温度低下により色が変化する感温変色性を有している。インキ層142により文字や図形などを含む種々の図柄が印刷されることで、容器10において、容器10を見る者に対して美観性を与える装飾性を向上させることができる。
インキ層142を形成するためには、感温変色性を有する成分を内包したマイクロカプセル粒子を有するインキを用いる。本実施の形態で用いるインキの構成については、後段にて詳細に説明する。
なお、図1では、容器基体12の外周面全体に亘って感温変色性を有するインキ層142が形成された缶体1を例に挙げたが、インキ層142は、必ずしも容器基体12の外周面全体に形成される必要はなく、容器基体12の外周面における一部分のみに形成されていてもよい。
塗膜14の保護層143は、上述の通りインキ層142を保護するために用いられる層である。保護層143の成分は、主として樹脂である。この樹脂の種類は、透明であれば特に限定されるものではなく、エポキシ/フェノール樹脂、ポリエステル/アミノ樹脂、エポキシ/ポリエステル/アクリル/アミノ樹脂等を使用することができる。また、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、低分子ポリエステル樹脂、天然油脂、蝋等の添加剤も任意に配合することができる。
容器基体12は、本実施の形態では、内容物を充填するために例えば図中上部が開口する有底円筒形状を有する。内容物としては、特に限定されることはないが、例えばビールなどのアルコール類、ジュース等のソフトドリンク類に例示される飲料である。また、容器基体12を構成する材料としては、内容物を充填可能であるものであれば特に限定されるものではなく、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate、PET)等の樹脂類やアルミニウム、鉄(スチール)等の金属類を使用することができる。ただし本実施の形態は、特にアルミニウム等の金属類を容器基体12の材料とする場合に、好ましく用いることができる。
容器基体12として金属類を使用した場合、蓋部材20は、外縁部を所謂巻き締めすることで容器10に対して固定されている。容器基体12の内容物が飲料である場合には、蓋部材20に、飲み口としての開口部を形成するためにプルタブ(図示せず)が備えられて入れもよい。
[インキの構成の説明]
続いて、本実施の形態において、インキ層142(図1参照)の形成に用いられるインキの構成について説明する。本実施の形態のインキは、感温変色性を有する機能性成分(以下、感温変色性成分と呼ぶ)を内包するマイクロカプセル粒子、樹脂成分、および溶剤を主成分とする。そして、本実施の形態のインキは、樹脂成分が溶解した溶剤中に、マイクロカプセル粒子が分散することで構成されている。なお、マイクロカプセル粒子が有する感温変色性とは、温度の上昇または温度の低下により色が変化する性質をいい、可逆的な変化および不可逆的な変化の双方を含むものとする。また、色の変化としては、有色同士の変化の他に、有色から無色(透明)、無色(透明)から有色への変化も含むものとする。
本実施の形態において、インキの全体量に対するマイクロカプセル粒子の含有量は、20〜50wt%であることが好ましい。
以下、インキを構成するそれぞれの要素について詳細に説明する。
1.マイクロカプセル粒子
本実施の形態のマイクロカプセル粒子は、感温変色性成分と、感温変色性成分を取り囲む壁膜物質とを有しており、感温変色性成分を壁膜物質が内包した構造を有している。また、本実施の形態のマイクロカプセル粒子の平均粒子径は、0.1μm以上5μm以下の範囲となっている。
マイクロカプセル粒子の粒子径は、例えば、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所製)等の測定器を用いて測定することができる。なお、本明細書において、マイクロカプセル粒子の「平均粒子径」とは、レーザ回折・散乱法によって求めたマイクロカプセル粒子の粒度分布における個数平均径とする。
続いて、マイクロカプセル粒子を構成する各成分について、順に説明する。
(1)感温変色性成分
マイクロカプセル粒子に内包される感温変色性成分は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の反応を特定温度域で可逆的に生起させる反応媒体を有している。
以下、それぞれの構成について説明する。
(イ)電子供与性呈色性有機化合物
電子供与性呈色性有機化合物としては、公知のジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等を用いることができる。以下にこれらの化合物を例示する。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,6−ジフェニルアミノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン等を挙げることができる。
さらに、蛍光性の黄色〜赤色の発色を発現させるのに有効な、ピリジン系、キナゾリン系、ビスキナゾリン系化合物等を用いることもできる。
(ロ)電子受容性化合物
電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等を用いることができる。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類がある。また、その置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基およびそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するものが挙げられる。さらに、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等を用いることができる。また、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
以下に具体例を挙げる。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−
フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン等がある。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸および炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3−トリアゾールおよびその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
(ハ)反応媒体
反応媒体は、上述の電子供与性呈色性有機化合物と電子受容性化合物との電子授受反応を特定温度域で可逆的に生起させる反応媒体として機能するものであり、アルコール類、エステル類、ケトン類、及び炭化水素類から選ばれる。
アルコール類としては、脂肪族一価の飽和アルコール、脂肪族の不飽和アルコール、脂環式アルコール等を挙げることができる。
脂肪族一価の飽和アルコールとしては、例えば、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール等を例示することができる。また、脂肪族の不飽和アルコールとしては、例えば、アリルアルコール、オレイルアルコール等を例示することができる。さらに、脂環式アルコールとしては、例えば、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロオクタノール、シクロドデカノール等を例示することができる。
エステル類としては、炭素数10以上のエステル類が有効である。このようなエステル類としては、脂肪族の一価カルボン酸または脂環もしくは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族の一価アルコールまたは脂環もしくは芳香環を有する一価アルコールとの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族の多価カルボン酸または脂環もしくは芳香環を有する多価カルボン酸と、脂肪族の一価アルコールまたは脂環もしくは芳香環を有する一価アルコールとの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族の一価カルボン酸または脂環もしくは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族の多価アルコールまたは脂環あるいは芳香環を有する多価アルコールとの任意の組み合わせから得られるエステル類が挙げられる。
具体的には、例えば、カプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸セチル、カプリン酸ステアリル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸n−デシル、ミリスチン酸3−メチルブチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n−ブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸n−ヘプチル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、安息香酸セチル、フタル酸ジミリスチル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル等を例示することができる。
また、上記のエステル類に加えて、飽和脂肪酸と分枝を有する脂肪族アルコールとのエステル、不飽和脂肪酸または分枝もしくは置換基を有する飽和脂肪酸と分岐を有するかまたは炭素数16以上の脂肪族アルコールとのエステル、酪酸セチル、酪酸ステアリルおよび酪酸ベヘニルから選ばれるエステル化合物も有効である。
具体的には、酪酸2−エチルヘキシル、ベヘン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−エチルヘキシル、カプリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、パルミチン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、カプロン酸2−メチルブチル、カプリル酸2−メチルブチル、カプリン酸2−メチルブチル、パルミチン酸1−エチルプロピル、ステアリン酸1−エチルプロピル、ベヘン酸1−エチルプロピル、ラウリン酸1−エチルヘキシル、ミリスチン酸1−エチルヘキシル、パルミチン酸1−エチルヘキシル、カプロン酸2−メチルペンチル、カプリル酸2−メチルペンチル、カプリン酸2−メチルペンチル、ラウリン酸2−メチルペンチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸2−メチルブチル、ベヘン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸1−メチルヘプチル、カプロン酸1−エチルペンチル、パルミチン酸1−エチルペンチル、ステアリン酸1−メチルプロピル、ステアリン酸1−メチルオクチル等を例示することができる。
さらにまた、上記のエステル類に加えて、炭素数が9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n−ペンチルアルコール又はn−ヘプチルアルコールと炭素数10乃至16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17乃至23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
具体的には、酢酸n−ペンタデシル、酪酸n−トリデシル、酪酸n−ペンタデシル、カプロン酸n−ウンデシル、カプロン酸n−トリデシル、カプロン酸n−ペンタデシル、カプリル酸n−ノニル、カプリル酸n−ウンデシル、カプリル酸n−トリデシル、カプリル酸n−ペンタデシル、カプリン酸n−ヘプチル、カプリン酸n−ノニル、カプリン酸n−ウンデシル、カプリン酸n−トリデシル、カプリン酸n−ペンタデシル、ラウリン酸n−ペンチル、ラウリン酸n−ヘプチル、ラウリン酸n−ノニル、ラウリン酸n−ウンデシル、ラウリン酸n−トリデシル、ラウリン酸n−ペンタデシル、ミリスチン酸n−ペンチル、ミリスチン酸n−ヘプチル、ミリスチン酸n−ノニル、ミリスチン酸n−ウンデシル、ミリスチン酸n−トリデシル、パルミチン酸n−ペンチル等が挙げられる。
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類やアリールアルキルケトン類等を挙げることができる。
総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類としては、例えば、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、2−ウンデカノン、3−ウンデカノン、4−ウンデカノン、5−ウンデカノン、6−ウンデカノン、2−ドデカノン、3−ドデカノン、4−ドデカノン、5−ドデカノン、2−トリデカノン、3−トリデカノン、2−テトラデカノン、2−ペンタデカノン等を例示することができる。
また、アリールアルキルケトン類としては、例えば、n−ラウロフェノン、n−ウンデカノフェノン等を例示することができる。
炭化水素類としては、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘンエイコサン、ドコサン、トリコサン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、1−ヘンエイコセン等を例示できる。
(2)マイクロカプセル粒子の壁膜物質
上述した感温変色性成分を囲むためのマイクロカプセル粒子の壁膜物質としては、例えば、ポリ尿素壁膜を形成するための多価アミンとカルボニル化合物、ポリアミド壁膜を形成するための多塩基酸クロライドと多価アミン、ポリウレタン壁膜を形成するための多価イソシアネートとポリヒドロキシ化合物、エポキシ樹脂壁膜を形成するためのエポキシ化合物と多価アミン、メラミン樹脂壁膜を形成するためのメラミン・ホルマリンプレポリマー、尿素樹脂壁膜を形成するためのアクリル酸エステル、アクリロニトリル、塩化ビニリデン等の各種モノマー類等を挙げることができる。なお、マイクロカプセル粒子の壁膜物質は、これらに限定されるものではなく、また、2種以上のものを組み合わせて用いることもできる。
(3)マイクロカプセル粒子の製法
以上のような感温変色性成分および壁膜物質を有するマイクロカプセル粒子を作成するマイクロカプセル化法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、コアセルベーション法、界面重合法、in situ(インサイチュ)重合法、液中硬化被覆法、気中混濁被覆法、スプレードライング法等を挙げることができる。なお、マイクロカプセル化法としては、これらに限定されることはなく、また、2種以上の異なる方法を組み合わせて使用することもできる。
なお、マイクロカプセルの粒径を上述した範囲に調整する方法としては、以下の方法を挙げることができる。例えば、マイクロカプセル化法として感温変色性成分を乳化する方法を採用する場合には、その乳化時の感温変色性成分の粒径を調節することで、所望の粒子径を有するマイクロカプセル粒子を得ることが可能になる。また、例えば、マイクロカプセル化法として液体を噴霧乾燥する方法を採用する場合には、噴霧する液体の濃度、送り速度、噴霧回転数、回転温度等を調整することにより、所望の粒子径を有するマイクロカプセル粒子を得ることが可能になる。
さらに、必要に応じて、マイクロカプセル化完了後のマイクロカプセル粒子をろ過したり、分級フィルターに通したり、あるいは遠心分離したりする等により、所望の粒子径を有するマイクロカプセル粒子を得ることができる。
以上の方法により得たマイクロカプセル粒子の粒子径は、例えば、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所製)等の測定器を用いて測定することができ、これによりマイクロカプセル粒子が所望の粒子径を有しているかを確認することができる。
2.溶剤
本実施の形態のインキに使用される溶剤としては、乾燥性や用いる樹脂の溶解力に応じて、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、アルコール系、エーテル系、エステル系、ケトン系、水等の溶剤を任意に選択することができる。なお、インキに用いる溶剤としては、これらの溶剤のみに限定されるものではない。また、1種の各溶剤を単独で用いてもよいし、2種以上の溶剤を任意に混合して用いてもよい。
溶剤成分として、例えば、一価の脂肪族アルコール類(a)または二価のアミノアルコール類(b)または三価以上のアミノアルコール類(c)の、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド付加物を使用することができる。
一価の脂肪族アルコール類(a)としては、一価の脂肪族アルコール(メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、ヘプタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、シクロヘキシルメタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、エイコシルアルコール、テトラコシルアルコール、オレイルアルコール、ソルビタントリオレート等);一価のアミノアルコール(ジエチルアミノエタノール、ジブチルアミノプロパノール、エチルドデシルアミノエタノール等)等;並びにこれらの混合物が挙げられる。
二価のアミノアルコール類(b)としては、エチルジエタノールアミン、プロピルジプロパノールアミン、ブチルジエタノールアミン、2−エチルヘキシルジエタノールアミン、ドデシルジエタノールアミン、オクタデシルジプロパノールアミン、シクロヘキシルジエタノールアミン等、並びにこれらの混合物が挙げられる。
三価以上のアミノアルコール類(c)としては、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、ジヒドロキシエチルヒドロキシプロピルアミン、N−メチル−N,N’,N’−トリエタノールエチレンジアミン等、及びこれらの混合物が挙げられる。
3.樹脂
本実施の形態におけるインキの樹脂としては、上述した溶剤に溶解可能な樹脂であれば特に制限はなく、各種の樹脂を用いることができる。例えば、硝化綿等のセルロース誘導体、ポリアマイド樹脂、ロジン誘導体、石油樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、アクリル−塩化ビニル共重合体、塩化ゴム、環化ゴム、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン、ポリイソシアネート等を挙げることができる。
なお、本実施の形態において用いることができる樹脂はこれらに限定されるものではない。また、樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上のものを組み合わせて使用してもよい。
[画像形成工程の説明]
続いて、上述したインキを用いて、飲料缶等として使用される缶体1の容器基体12に画像(塗膜14(図1参照))を形成する画像形成工程について説明する。図2は、画像形成工程にて用いられる画像形成装置500の構成を説明するための図である。
図2(a)は、画像形成装置500の全体構成を示している。画像形成装置500は、いわゆるオフセット印刷により、容器基体12に対して画像を形成する。この画像形成装置500は、円柱状のブランケットシリンダ510、図柄に対応した印刷版を各々備えブランケットシリンダ510上に画像を形成する複数の画像形成ユニット520、容器基体12を支持するマンドレルホイル530、容器基体12の外周面に保護層143を形成する保護層形成装置540を備える。
ブランケットシリンダ510は、円柱状に形成されるとともに一方向(図中矢印に示す方向)に回転する。また、ブランケットシリンダ510は、外周面に複数のブランケット511(被転写部)を有している。ここで、ブランケットシリンダ510は、画像形成ユニット520の各々に設けられた印刷版からブランケット511上に転写されたインキを、転写部Tにて容器基体12に対し転写する。
画像形成ユニット520は、ブランケットシリンダ510の周方向に沿って色毎に複数設けられている。画像形成ユニット520の各々は、ブランケット511に接触しブランケット511に対してインキにより形成された画像を転写する転写部材522と、この転写部材522の外周面にインキを供給するインキ供給装置521とを備えている。
図2(b)は、本実施の形態の画像形成ユニット520の構成を説明するための図である。
図2(b)に示すように、インキ供給装置521は、内部にインキを収容するインキ収容部521Aと、インキ収容部521Aに収容されたインキに接触しインキ収容部521Aからインキを取り出すインキローラ521Bと、インキローラ521Bによりインキ収容部521Aから取り出されたインキを練りながら転写部材522に向けて搬送するインキ搬送部材521Cとを有している。
インキローラ521Bは、例えば、円柱状の形状を備えたゴム製のロールから構成され、インキ収容部521Aに収容されたインキおよびインキ搬送部材521Cに接するとともに、回転可能に設けられる。
そして、インキローラ521Bは、インキ収容部521Aに収容されたインキおよびインキ搬送部材521Cに接触しながら回転することで、インキをインキ収容部521Aから取り出して、インキ搬送部材521Cに受け渡している。
インキ搬送部材521Cは、図2(b)に示すように、インキローラ521Bから転写部材522に向かって一列に並んだ複数のローラから構成される。インキ搬送部材521Cを構成するそれぞれのローラは、例えば、円柱形状を備えるゴム製のロールから構成され、隣接するローラと接するように配置されるとともに、回転可能に設けられる。
そして、インキ搬送部材521Cを構成するそれぞれのローラは、回転することによって、インキローラ521Bから受け渡されたインキを隣接するローラとの間で練って延ばす。さらに、インキ搬送部材521Cを構成するそれぞれのローラは、インキを、隣接するローラ間で受け渡すことにより転写部材522に向けて搬送する。
転写部材522は、図2(b)に示すように、円柱状に形成されるとともに不図示のモータにより回転駆動されるシリンダ522Aと、図柄(画像)に対応した凹凸が外周面に形成されるとともに筒状に形成されシリンダ522Aに対して取り付けられた印刷版522Bとから構成されている。
そして、転写部材522は、インキ搬送部材521Cにより印刷版522Bの外周面に受け渡されたインキを、ブランケット511に対して転写する。これにより、各ブランケット511の表面に、インキにより形成された画像が形成される。詳細には、各ブランケット511の表面であって画像形成ユニット520毎に割り当てられた各領域に、画像形成ユニット520(印刷版522B)の各々からインキが順次転写される。この結果、各ブランケット511の表面には、印刷版522Bの外周面に形成された図柄に対応した画像が形成される。そして、この画像は、ブランケットシリンダ510の回転に伴い転写部Tまで移動し、周方向に回転している容器基体12の外周面に転写される。これにより、容器基体12の外周面にインキ層142(図1参照)が形成される。
マンドレルホイル530は、図2(a)に示すように、ブランケットシリンダ510の対向位置に配置されるとともに一方向(図中矢印に示す方向)に回転し、不図示のウォッシャー工程から移動してきた容器基体12を上記転写部Tまで搬送する。なお、容器基体12が転写部Tに達する際、容器基体12は周方向(図中矢印に示す方向)に回転されており、本実施の形態では、ブランケット511においてインキにより形成された画像が、容器基体12における外周面の全周に亘って転写される。
保護層形成装置540は、転写部Tにて画像が転写され、インキ層142が形成された容器基体12の外周面に塗料を塗布する。これにより、容器基体12の外周面に形成されたインキ層142の上に保護層143が形成される。
続いて、保護層形成装置540により保護層143が形成された後の容器基体12を不図示の加熱工程にて加熱することにより、容器基体12に形成された塗膜14(インキ層142、保護層143)を硬化させる。これにより、容器基体12に対して画像(塗膜14)を形成する画像形成工程が終了する。
なお、塗膜14(インキ層142、保護層143)が形成された容器基体12(容器10)には、飲料等の内容物が充填された後、蓋部材20が取り付けられ、図1に示したような缶体1が得られる。
ところで、上述したように、本実施の形態のインキに含まれるマイクロカプセル粒子の平均粒子径は、0.1μm以上5μm以下の範囲である。
一般に、マイクロカプセル粒子の平均粒子径が過度に大きい場合、特にマイクロカプセル粒子の平均粒子径が5μmよりも大きい場合には、溶剤にマイクロカプセル粒子を混ぜ合わせてインキを作成した場合に、溶剤に対するマイクロカプセル粒子の分散安定性や、インキの加工適性が低下する場合がある。そして、溶剤に対するマイクロカプセル粒子の分散安定性やインキの加工適性が低下した場合には、容器基体12等に対してインキを塗布して硬化させた場合に、硬化したインキ層142(図1参照)におけるインキの結合力が弱くなり、容器基体12に対するインキ層142の剥離耐性が低下する場合がある。
本実施の形態では、上述したようにインキに含まれるマイクロカプセル粒子の平均粒子径を5μm以下の範囲としている。したがって、マイクロカプセル粒子の平均粒子径が5μmよりも大きい場合と比較して、インキの溶剤に対するマイクロカプセル粒子の分散安定性やインキの加工適性が低下するのが抑制される。これにより、インキを容器基体12に塗布して硬化した場合に、インキに含まれるマイクロカプセル粒子の平均粒子径が5μmよりも大きい場合と比較して、容器基体12に対するインキ層142の剥離耐性が低下するのが抑制される。
また、マイクロカプセル粒子の平均粒子径が過度に大きい場合、特にマイクロカプセル粒子の平均粒子径が5μmよりも大きい場合には、インキ収容部521Aからインキローラ521B、インキ搬送部材521C、転写部材522およびブランケット511を介して、インキを搬送し、容器基体12等に転写する場合に、マイクロカプセル粒子の転移性が低下する場合がある。具体的には、インキを構成する成分のうち、溶剤成分や樹脂成分が優先して搬送、転写され、マイクロカプセル粒子がインキ収容部521Aやインキローラ521B、インキ搬送部材521C、転写部材522、ブランケット511等に残存する場合がある。そしてこのような場合には、容器基体12に塗布されるインキにおけるマイクロカプセル粒子の含有量が低下したり、容器基体12上でマイクロカプセル粒子の濃度むらが生じたりする懸念がある。
上述したように、本実施の形態のインキに含まれるマイクロカプセル粒子の平均粒子径は、5μm以下である。したがって、容器基体12等にインキを塗布する場合において、マイクロカプセル粒子の平均粒子径が5μmよりも大きい場合と比較して、マイクロカプセル粒子の転移性が低下するのが抑制される。これにより、マイクロカプセル粒子の平均粒子径が5μmよりも大きい場合と比較して、容器基体12等に塗布されたインキにおいて、マイクロカプセル粒子の含有量が低下したり、マイクロカプセル粒子の濃度むらが生じたりすることが抑制される。
また、一般に、容器基体12の外周面に形成するインキ層142の厚さはおよそ1μm〜2μmの範囲である。さらに、容器基体12に形成されたインキ層142を保護するために、インキ層142の上に塗布する保護層143の厚さはおよそ3μm〜5μmである。
したがって、マイクロカプセル粒子の粒子径が過度に大きいと、マイクロカプセル粒子が塗膜14の表面から突出する場合がある。そして、缶体1(図1参照)を搬送する際の振動等により缶体1同士が接触した場合には、一方の缶体1における塗膜14の表面から突出したマイクロカプセル粒子が、他方の缶体1の塗膜14(インキ層142及び保護層143)や塗膜14から突出するマイクロカプセル粒子に接触する場合がある。これにより、接触したマイクロカプセル粒子や塗膜14が損傷したり、マイクロカプセル粒子や塗膜14が容器基体12から剥がれ落ちたりするおそれがある。
特に、缶体1を飲料缶として用いる場合には、内部に飲料を充填した後に缶体1を搬送する場合がある。ここで、缶体1内に飲料を充填した場合には、飲料を充填しない場合と比較して、缶体1全体の重量が大きくなっている。したがって、搬送時の振動等により缶体1同士が接触した場合には、缶体1に飲料を充填しない場合と比較して、缶体1に生じる衝撃が大きくなる。これにより、缶体1に飲料を充填しない場合と比較して、缶体1の塗膜14から突出するマイクロカプセル粒子や塗膜14における損傷や剥がれの発生が多くなる懸念がある。
一方、本実施の形態のインキに含まれるマイクロカプセル粒子の平均粒子径は5μm以下の範囲であるため、マイクロカプセル粒子の平均粒子径が5μmよりも大きい場合と比較して、缶体1の容器基体12表面に塗布した塗膜14の表面からマイクロカプセル粒子が突出しにくい。これにより、例えば搬送時の振動等により缶体1同士が衝突した場合でも、インキに含まれるマイクロカプセル粒子の平均粒子径が5μmよりも大きい場合と比較して、缶体1において、マイクロカプセル粒子や塗膜14における損傷や剥がれの発生が抑制される。
また、一般に、インキに含まれるマイクロカプセル粒子の粒子径が過度に大きい場合には、このようなインキにより形成したインキ層142が白く濁る傾向がある。特に、マイクロカプセル粒子の粒子径が5μmよりも大きい場合には、インキ層142が白く濁る傾向が顕著である。これは、マイクロカプセル粒子の粒子径が光の波長よりも大きくなるにつれて、マイクロカプセル粒子におけるミー散乱等の光の散乱効果が強くなるためだと考えられる。
特に、マイクロカプセル粒子に内包する感温変色性成分が、温度変化により有色から無色(透明)へ変化する場合、または無色(透明)から有色へ変化する性質を有する場合には、感温変色性成分が無色(透明)の状態であっても、インキ層142全体としては白く濁った状態になり好ましくない。
これに対し、本実施の形態のインキに含まれるマイクロカプセル粒子の平均粒子径は5μm以下の範囲である。したがって、マイクロカプセル粒子の平均粒子径が5μmよりも大きい場合と比較して、インキ層142が白く濁ることが抑制される。
さらにまた、インキに含まれるマイクロカプセル粒子の粒子径が過度に小さい場合、特にマイクロカプセル粒子の粒子径が0.1μmよりも小さい場合には、マイクロカプセル粒子内に内包される感温変色性成分の量が少ないため、このようなインキによりインキ層142が形成された缶体1では、発色性や感温変色性が不十分となる場合がある。
これに対し、上述したように、本実施の形態のインキに含まれるマイクロカプセル粒子の平均粒子径は0.1μm以上である。したがって、マイクロカプセル粒子の平均粒子径が0.1μmよりも小さい場合と比較して、缶体1におけるインキ層142の発色性や感温変色性が不十分となることが抑制される。
以上のように、本実施の形態では、平均粒子径を0.1μm以上5μm以下の範囲であるマイクロカプセル粒子を有するインキを、上述した所謂オフセット印刷により容器基体12に塗布することで、インキ層142の剥離や損傷、白濁等が抑制され、インキ層142の発色が良好な缶体1を得ることができる。そして、本実施の形態では、インキ層142の剥離や損傷、白濁等が抑制され、インキ層142の発色が良好になることで、缶体1における美観の低下が抑制される。
続いて、感温変色性成分を内包するマイクロカプセル粒子を有するインキにおける変色の仕方について、例を挙げて説明する。なお、以下の説明において、インキやマイクロカプセル粒子等が呈する「赤色」「青色」等の色は例示であり、色の正式な名称を表すものではなく、また、インキやマイクロカプセル粒子等が呈する色をこれらの色に限定するものではない。
<第1の構成例>
図3(a)は、本実施の形態の第1の構成例を説明するための図である。
第1の構成例で用いるインキ(インキI)は、変色温度が互いに異なる感温変色性成分を内包する2種類のマイクロカプセル粒子(マイクロカプセルiとマイクロカプセルii)を有している。なお、マイクロカプセルiおよびマイクロカプセルiiの平均粒子径は、0.1μm以上5μm以下の範囲である。図3(a)の上段は、マイクロカプセルiおよびマイクロカプセルiiの温度による色の状態を示しており、図3(a)の下段は、マイクロカプセルiとマイクロカプセルiiとを有するインキIの、温度による色の状態を示している。
ここで、マイクロカプセルiに内包される感温変色性成分は、図3(a)に示すように、温度tがt1よりも低い場合(t<t1)には赤色を呈し、温度tがt1以上の場合(t1≦t)には無色(透明)となる性質を有している。また、マイクロカプセルiiに内包される感温変色性成分は、図3(a)に示すように、温度tがt2よりも低い場合(t<t2)には無色(透明)となり、温度tがt2以上の場合(t2≦t)には青色を呈する性質を有している。なお、この例では、温度t2は温度t1よりも高い(t1<t2)。
続いて、マイクロカプセルiとマイクロカプセルiiとを有するインキIの、温度変化に伴う変色の仕方について説明する。
温度tがt1よりも低い場合(t<t1)には、マイクロカプセルiに内包される感温変色性成分は赤色を呈し、また、マイクロカプセルiiに内包される感温変色性成分は無色(透明)を呈している。これにより、温度tがt1よりも低い場合には、インキIの色は、図3(a)に示すようにマイクロカプセルiの色に起因した赤色となる。
温度tをt1以上t2未満の範囲に上昇させた場合(t1≦t<t2)には、マイクロカプセルiに内包される感温変色性成分は赤色から無色(透明)に変色する。一方、マイクロカプセルiiに内包される感温変色性成分は無色のままである。すなわち、温度tがt1以上t2未満の範囲では、マイクロカプセルiおよびマイクロカプセルiiの双方の色が無色(透明)となっている。これにより、温度tがt1以上t2未満の範囲では、インキIの色は、図3(a)に示すように無色(透明)となる。
さらに、温度tをt2以上の範囲に上昇させた場合(t2≦t)には、マイクロカプセルiに内包される感温変色性成分は無色(透明)のままである。一方、マイクロカプセルiiに内包される感温変色性成分は、無色(透明)から青色に変色する。これにより、温度tがt2以上の範囲では、インキIの色は、図3(a)に示すようにマイクロカプセルiiの色に起因した青色となる。
以上のように、この例のインキIは、温度tがt1よりも低い場合には赤色を呈し、温度tがt1以上t2未満の場合には無色(透明)を呈し、温度tがt2以上の場合には青色を呈する性質を有する。
ここで、上述したように、インキIが有するマイクロカプセルiおよびマイクロカプセルiiの平均粒子径は、0.1μm以上5μm以下の範囲である。そして、マイクロカプセルiおよびマイクロカプセルiiがこのような平均粒子径を有することにより、本構成を有さない場合と比較して、インキIが白く濁るのを抑制できる。
したがって、例えば、温度tがt1以上t2未満の範囲においてインキIが無色(透明)となった場合に、本構成を有さない場合と比較して、インキIが塗布された領域の透明度が低下する(白濁度が上昇する)のを抑制することが可能になる。
このような性質を有するインキIは、例えば、缶体1内にt1以上t2未満の温度範囲が最適温度である飲料等を充填した場合に、飲料等の最適温度を示す指標として用いることが有効である。
具体的には、例えば、容器10の内部にt1以上t2未満の温度範囲が最適温度である飲料等を充填して缶体1を用いる場合に、缶体1における容器基体12の表面にインキIを用いて「この文字が消えた時が適温です」等と印刷する。これにより、缶体1の温度tがt1以上t2未満となった際に、すなわち缶体1内の飲料等が最適な温度となった際に、この文字が消えることになる。したがって、インキIにより印刷された文字が消えたことを指標として、缶体1内に充填した飲料等が最適温度になったことを知ることができる。
インキIを飲料等の最適温度を示す指標として用いる態様は、缶体1の内部に、乳児のための飲料や離乳食等の最適な温度帯が厳密に求められる飲料等を充填する場合に特に有効である。
なお、インキIを缶体1の内部に充填する飲料等の最適温度を示すための指標として用いる場合には、容器基体12の表面に印刷する内容は上述したような文章に限られず、例えば円や矩形等の記号や絵柄を印刷してもよい。
また、インキIは、必ずしも缶体1内に充填する飲料等の最適温度を示すための指標として用いる必要はなく、例えば、単に温度変化により色が変わったり消えたりする模様や文字として用いてもよい。
さらにまた、この例では、マイクロカプセルiとして温度上昇により赤色から無色(透明)に変色する感温変色性成分を内包するものを挙げ、マイクロカプセルiiとして温度上昇により無色(透明)から青色に変色する感温変色性成分を内包するものを挙げた。しかし、マイクロカプセルに含まれる感温変色性成分の変色の仕方としてはこれに限られない。
例えば、マイクロカプセルiが内包する感温変色性成分が、温度がt1よりも高くなった場合に赤色から無色(透明)に変色し、マイクロカプセルiiが内包する感温変色性成分が、温度がt2(>t1)よりも高くなった場合に青色から無色(透明)に変色する場合には、マイクロカプセルiとマイクロカプセルiiとを有するインキIは、温度tがt1未満の場合に赤色と青色の混色である紫色を呈し、温度tがt1以上t2未満の場合に青色を呈し、温度tがt2以上の場合に無色(透明)となることになる。
<第2の構成例>
図3(b)は、本実施の形態の第2の構成例を説明するための図である。続いて、第2の構成例で用いるインキ(インキII)について説明する。
インキIIは、変色温度が互いに異なる感温変色性成分を内包するマイクロカプセルiiiとマイクロカプセルivとの、2種類のマイクロカプセル粒子を有している。なお、マイクロカプセルiiiおよびマイクロカプセルivの平均粒子径は、0.1μm以上5μm以下の範囲である。図3(b)の上段は、マイクロカプセルiiiおよびマイクロカプセルivの温度による色の状態を示しており、図3(b)の下段は、マイクロカプセルiiiとマイクロカプセルivとを含有するインキIIの、温度による色の状態を示している。
ここで、マイクロカプセルiiiに内包される感温変色性成分は、図3(b)に示すように、温度tがt1よりも低い場合(t<t1)には赤色を呈し、温度tがt1以上の場合(t1≦t)には青色を呈する性質を有している。また、マイクロカプセルivに内包される感温変色性成分は、図3(b)に示すように、温度tがt2よりも低い場合(t<t2)には赤色を呈し、温度tがt2以上の場合(t2≦t)には青色を呈する性質を有している。なお、この例では、温度t2は温度t1よりも高い(t1<t2)。
続いて、マイクロカプセルiiiとマイクロカプセルivとを有するインキIIの、温度変化に伴う変色の仕方について説明する。
温度tがt1よりも低い場合(t<t1)には、マイクロカプセルiiiに内包される感温変色性成分は赤色を呈し、また、マイクロカプセルivに内包される感温変色性成分も赤色を呈している。これにより、温度tがt1よりも低い場合には、インキIIの色は、図3(b)に示すように、マイクロカプセルiiiおよびマイクロカプセルivの色に起因した赤色となる。
温度tをt1以上t2未満の範囲に上昇させた場合(t1≦t<t2)には、マイクロカプセルiiiに内包される感温変色性成分は赤色から青色に変色する。一方、マイクロカプセルivに内包される感温変色性成分は赤色のままである。これにより、温度tがt1以上t2未満の範囲では、インキIIの色は、図3(b)に示すように、マイクロカプセルiiiに起因する青色とマクロカプセルivに起因する赤色とが混色することで形成された紫色となる。
さらに、温度tをt2以上の範囲に上昇させた場合(t2≦t)には、マイクロカプセルiiiに内包される感温変色性成分は青色のままである。一方、マイクロカプセルivに内包される感温変色性成分は、赤色から青色に変色する。これにより、温度tがt2以上の範囲では、インキIIの色は、図3(b)に示すようにマイクロカプセルiiiおよびマイクロカプセルivの色に起因した青色となる。
以上のように、この例のインキIIは、温度tがt1よりも低い場合には赤色を呈し、温度tがt1以上t2未満の場合には紫色を呈し、温度tがt2以上の場合には青色を呈する性質を有する。
ここで、上述したように、インキIIが有するマイクロカプセルiiiおよびマイクロカプセルivの平均粒子径は、0.1μm以上5μm以下の範囲である。そして、マイクロカプセルiiiおよびマイクロカプセルivがこのような平均粒子径を有することにより、本構成を有さない場合と比較して、インキIIの発色性が低下することを抑制できる。
したがって、例えば、温度tがt1以上t2未満の範囲においてインキIIに含まれるマイクロカプセルiiiが青色を呈し、インキIIに含まれるマイクロカプセルivが赤色を呈する場合に、それぞれのマイクロカプセル粒子が呈するそれぞれ色の発色性が低下することが抑制される。これにより、温度tがt1以上t2未満の範囲において、マイクロカプセルiiiが呈する色とマイクロカプセルivが呈する色とが混色することによってインキIIが呈する色の、発色性が低下するのを抑制することが可能になる。
また、インキIIが有するマイクロカプセルiiiおよびマイクロカプセルivの平均粒子径が0.1μm以上5μm以下の範囲であることにより、本構成を有さない場合と比較して、インキIIにおけるマイクロカプセルiiiおよびマイクロカプセルivの分散性が低下するのを抑制することが可能になる。すなわち、本構成を有さない場合と比較して、インキII内において、マイクロカプセルiiiやマイクロカプセルivが固まったり、マイクロカプセルiiiおよびマイクロカプセルivの濃度にむらが発生したりするのを抑制できる。
これにより、例えば温度tがt1以上t2未満の範囲において、マイクロカプセルiiiが呈する色とマクロカプセルivが呈する色とが混ざり合うことによってインキIIが呈する色に、色むらが発生するのを抑制することが可能になる。
このような性質を有するインキIIは、インキIと同様に、缶体1内にt1以上t2未満の温度範囲が最適温度である飲料等を充填した場合の、飲料等の最適温度を示す指標として用いることができる。
具体的には、容器10の内部にこのような飲料を充填して缶体1を用いる場合に、缶体1における容器基体12の表面にインキIIを用いて「この文字が紫色の時が適温です」等と印刷する。これにより、缶体1の温度tがt1以上t2未満となった際に、すなわち缶体1内の飲料の温度が最適な温度となった際に、この文字が紫色を呈することになる。したがって、インキIIにより印刷された文字が紫色になったことを指標として、缶体1内に充填した飲料等が最適温度になったことを知ることができる。
インキIIを飲料等の最適温度を示す指標として用いる態様は、インキIと同様に、缶体1の内部に、乳児のための飲料や離乳食等の最適な温度帯が厳密に求められる飲料等を充填する場合に特に有効である。
なお、この例では、マイクロカプセルiiiが内包する感温変色性成分およびマイクロカプセルivが内包する感温変色性成分を、ともに温度上昇により赤色から青色に変色するものとした。しかし、マイクロカプセルに含まれる感温変色性成分の変色のしかたは、必ずしもマイクロカプセルiiiとマイクロカプセルivとで同じ必要はなく、必要に応じてあらゆる感温変色性成分を採用することが可能である。
例えば、マイクロカプセルiiiが内包する感温変色性成分が、温度がt1以上となった場合に赤色から青色に変色し、マイクロカプセルivが内包する感温変色性成分が、温度がt2(>t1)以上となった場合に黄色から緑色に変色する場合には、マイクロカプセルiiiとマイクロカプセルivとを有するインキIIは、温度tがt1未満の場合に赤色と黄色の混色である橙色を呈し、温度tがt1以上t2未満の場合に青色と黄色の混色である緑色を呈し、温度tがt2以上の場合に青色と緑色の混色である青緑色を呈する性質を有する。
<第3の構成例>
続いて、本実施の形態の第3の構成例について説明する。図4は、本実施の形態の第3の構成例を説明するための図である。
この例では、インキIIIとインキIVとの2種類のインキを用いている。また、この例では、缶体1の容器基体12に対してインキIIIおよびインキIVを、ドット状に印刷する手法を採用している。
図4(a)は、第3の構成例で用いるインキの構成を説明するための図である。図4(a)の上段は、インキIIIおよびインキIVの温度による色の状態を示しており、図4(a)の下段は、インキIIIおよびインキIVをドット状に塗布した領域における色の状態を示している。
インキIIIはマイクロカプセルvを有している。なお、マイクロカプセルvの平均粒子径は、0.1μm以上5μm以下の範囲である。マイクロカプセルvが内包する感温変色性成分は、図4(a)に示すように、温度tがt3よりも低い場合(t<t3)には、橙色を呈し、温度tがt3以上の場合(t3≦t)には、黄色を呈する性質を有している。
また、インキIVはマイクロカプセルviを有している。なお、マイクロカプセルviの平均粒子径は、0.1μm以上5μm以下の範囲である。マイクロカプセルviが内包する感温変色性成分は、図4(a)に示すように、温度tがt3よりも低い場合(t<t3)には、紫色を呈し、温度tがt3以上の場合(t3≦t)には、青色を呈する性質を有している。
続いて、この例におけるインキの印刷手法について説明する。この例では、缶体1の容器基体12等の印刷対象物に対してインキをドット状に塗布することにより、画像を形成する。
インキをドット状に塗布するためには、上述した画像形成装置500(図2参照)において、表面に略円柱状の突起が複数並んで形成されたブランケット511(図2参照)を用いる。このようなブランケット511を用いる場合、インキ供給装置521(図2参照)によって供給され、画像形成ユニット520(図2参照)により転写されるインキは、ブランケット511に形成された複数の突起それぞれの頂部に付着する。そして、ブランケット511における複数の突起の頂部に付着したインキが、転写部Tにて容器基体12に転写される。これにより、ブランケット511における複数の突起の各々に付着したインキが、それぞれ独立したドットとして容器基体12に塗布される。
なお、容器基体12等に対してインキをドット状に塗布する場合には、ドットの径は、容器基体12等を十分な距離を離して見た場合に、人間の目ではドットを識別することが困難な程度の大きさにすることが好ましい。ドットの径がこのような大きさになるようにインキを塗布することで、インキをドット状に塗布した領域を見た場合に、その領域の全面に亘ってインキを塗布した場合のように、その領域の全面が発色しているように見える。インキを塗布するドットの径は、例えば、10μm〜100μm程度とすることができる。
また、この例では、ブランケット511を用いて容器基体12に対してインキをドット状に塗布したが、例えばインクジェット等のインキを吐出させる方式により、インキをドット状に塗布してもよい。
図4(b)は、容器基体12(図1参照)等の印刷対象物に対して、インキIIIおよびインキIVの双方を、それぞれドット状に塗布した状態を示した図である。この例では、インキをドット状に形成する領域を、領域M、領域Nおよび領域Oの3つの領域に分けている。
具体的には、領域Mは、インキIIIのみが塗布された領域であり、領域Nは、インキIVのみが塗布された領域である。さらに、領域Oは、インキIIIとインキIVとの双方が塗布された領域である。なお、この例では、領域OにおけるインキIIIとインキIVとの塗布量は、略等量となっている。
なお、通常のオフセット印刷では、ベタ印刷とよばれる印刷面に一様にインキを塗布する方法を用いる。したがって、通常のオフセット印刷では、例えば領域OにインキIIIとインキIVとの双方を塗布する場合、ベタ塗したインキIIIの上にインキIVを重ねて塗布することになる。そしてこのようにインキIIIとインキIVとを重ねて塗布した場合には、領域Oは、後から塗布したインキIVの色を呈することになる。
これに対し、この例のようにインキをドット状に塗布する場合には、一方のインキにより形成されたドット間の空隙に、他方のインキのドットを形成することが可能になる。これにより、例えばインキIIIにより形成されたドットに隣接するようにインキIVのドットを形成することができ、異なる色を呈するインキIIIとインキIVとを領域Oに略等量ずつ塗布することができるようになる。
そして、このようにインキを塗布することで、インキが塗布された容器基体12等を十分な距離を離して見た場合に、インキIIIのみが塗布された領域Mは、インキIIIの色を呈し、インキIVのみが塗布された領域Nは、インキIVの色を呈することになる。また、インキIIIとインキIVとが略等量ずつ塗布された領域Oは、インキIIIの色とインキIVの色とが混ざり合った色を呈することになる。
続いて、領域M、領域Nおよび領域Oのそれぞれについて、温度変化に伴う変色の仕方ついて説明する。
温度tがt3よりも低い場合(t<t3)には、インキIIIが有するマイクロカプセルvの感温変色性成分は、橙色を呈し、インキIVが有するマイクロカプセルviの感温変色性成分は、紫色を呈する。
したがって、図4(a)に示すように、温度tがt3よりも低い場合(t<t3)には、領域Mは、インキIIIが有するマイクロカプセルvに起因する橙色を呈し、領域Nは、インキIVが有するマイクロカプセルviに起因する紫色を呈する。さらに、領域Oは、インキIIIが有するマイクロカプセルvが呈する橙色と、インキIVが有するマイクロカプセルviが呈する紫色とが混ざり合った、濃紺色を呈する。
また、上述したように、温度tをt3以上の範囲に上昇させた場合(t3≦t)には、インキIIIが有するマイクロカプセルvの感温変色性成分は、橙色から黄色に変色し、インキIVが有するマイクロカプセルviの感温変色性成分は、紫色から青色に変色する。
したがって、図4(a)に示すように、温度tがt3以上の場合(t3≦t)には、領域Mは、インキIIIが有するマイクロカプセルvに起因する黄色を呈し、領域Nは、インキIVが有するマイクロカプセルviに起因する青色を呈する。さらに、領域Oは、インキIIIが有するマイクロカプセルvが呈する黄色と、インキIVが有するマイクロカプセルviが呈する青色とが混ざり合った、緑色を呈する。
以上のように、この例では、温度変化により異なる色へ変色する感温変色性を有するインキIIIおよびインキIVの2種類のインキを用いるとともに、それぞれのインキをドット状に塗布している。これにより、領域Mと領域Nと領域Oとでそれぞれ異なる色を呈するとともに、温度変化により領域M、領域Nおよび領域Oの各々が呈する色が変化する。しがたって、この例では、インキIIIとインキIVとの2種類のインキによって、異なる6種類の色を表現することができる。
すなわち、この例では、感温変色性を有しないインキを用いた場合やインキをドット状に塗布しない場合等と比較して、2種類のインキにより再現できる色の種類が多い。
一般に、アルミ等の金属からなる飲料缶は、内容物の容量によって違いはあるが、容量が同じであれば、一見して違いが分からないくらい似た外観形状や寸法を有している。したがって、店頭等において外観形状や寸法が似ている大量の飲料用缶が並ぶ中で、顧客に所望の飲料缶を選択させるためには、その飲料用缶が人の目を引くような色彩やデザインを有することが重要である。
ここで、上述したようにこの例では、インキIIIとインキIVとの2種類のインキを、缶体1に対してドット状に塗布することで6種類の色を表現することができ、本構成を採用しない場合と比較して、缶体1において多彩な色を表現することが可能になる。これにより、このようなインキを塗布した缶体1を飲料缶として用いる場合に、飲料缶の製品としての訴求性を向上させることが可能になる。
なお、上述したように、この例で用いたインキIIIが有するマイクロカプセルvおよびインキIVが有するマイクロカプセルviの平均粒子径は、ともに0.1μm以上5μm以下の範囲である。そして、マイクロカプセルvおよびマイクロカプセルviがこのような平均粒子径を有することにより、本構成を有さない場合と比較して、インキIIIおよびインキIVの剥離耐性が低下するのを抑制することができる。
したがって、この例のようにインキIIIおよびインキIVをドット状に塗布し、インキIIIおよびインキIVの塗布面積が小さいような場合であっても、本構成を有さない場合と比較して、インキIIIおよびインキIVが容器基体12(図1参照)等の印刷対象物から剥離するのを抑制することができる。
<第4の構成例>
続いて、本実施の形態の第4の構成例について説明する。図5は、本実施の形態の第4の構成例を説明するための図である。
この例では、インキVとインキVIとの2種類のインキを用いている。また、この例では、上述の第3の構成例と同様に、缶体1の容器基体12に対してインキVおよびインキVIを、ドット状に印刷する手法を採用している。
この例では、インキVは、マイクロカプセルviiとマイクロカプセルviiiとの2種類のマイクロカプセル粒子を有している。同様に、インキVIは、マイクロカプセルixとマイクロカプセルxとの2種類のマイクロカプセル粒子を有している。なお、マイクロカプセルvii、マイクロカプセルviii、マイクロカプセルix、マイクロカプセルxの平均粒子径は、それぞれ0.1μm以上5μm以下の範囲である。
図5の上段は、インキVが有するマイクロカプセルviiおよびマイクロカプセルviiiの温度による変色の仕方と、インキVIが有するマイクロカプセルixおよびマイクロカプセルxの温度による変色の仕方とをそれぞれ示している。
ここで、インキVが有するマイクロカプセルviiに内包される感温変色性成分は、図5に示すように、温度tがt4よりも低い場合(t<t4)には、緑色を呈し、温度tがt4以上の場合(t4≦t)には、淡黄色を呈する性質を有している。また、インキVが有するマイクロカプセルviiiに内包される感温変色性成分は、図5に示すように、温度tがt5よりも低い場合(t<t5)には、橙色を呈し、温度tがt5以上の場合(t5≦t)には、黄色を呈する性質を有している。
なお、この例では、温度t5は温度t4よりも高い(t4<t5)。
そして、マイクロカプセルviiとマイクロカプセルviiiとの双方を有するインキVは、マイクロカプセルviiが呈する色とマイクロカプセルviiiが呈する色とが混ざり合った色を呈する。
したがって、インキVは、図5に示すように、温度tがt4よりも低い場合(t<t4)には、マイクロカプセルviiが呈する緑色とマイクロカプセルviiiが呈する橙色とが混ざり合った濃緑色を呈し、温度tがt4以上t5未満の場合(t4≦t<t5)には、マイクロカプセルviiが呈する淡黄色とマイクロカプセルviiiが呈する橙色とが混ざり合った黄土色を呈し、温度tがt5以上の場合(t5≦t)には、マイクロカプセルviiが呈する淡黄色とマイクロカプセルviiiが呈する黄色とが混ざり合った黄色を呈する。
すなわち、インキVは、温度tがt4よりも低い場合(t<t4)には、濃緑色を呈し、温度tがt4以上t5未満の場合(t4≦t<t5)には、黄土色を呈し、温度tがt5以上の場合(t5≦t)には、黄色を呈する性質を有する。
さらにまた、インキVIが有するマイクロカプセルixに内包される感温変色性成分は、図5に示すように、温度tがt6よりも低い場合(t<t6)には、紫色を呈し、温度tがt6以上の場合(t6≦t)には、赤色を呈する性質を有している。また、インキVIが有するマイクロカプセルxに内包される感温変色性成分は、図5に示すように、温度tがt7よりも低い場合(t<t7)には、赤紫色を呈し、温度tがt7以上の場合(t≦t7)には、青色を呈する性質を有している。
なお、この例では温度t6および温度t7は、温度t5より高く、温度t7は温度t6よりも高い(t5<t6<t7)。
そして、マイクロカプセルixとマイクロカプセルxとの双方を有するインキVIは、インキVと同様に、マイクロカプセルixが呈する色とマイクロカプセルxが呈する色とが混ざり合った色を呈する。
したがって、インキVIは、図5に示すように、温度tがt6よりも低い場合(t<t6)には、マイクロカプセルixが呈する紫色とマイクロカプセルxが呈する赤紫色とが混ざり合った濃紫色を呈し、温度tがt6以上t7未満の場合(t6≦t<t7)には、マイクロカプセルixが呈する赤色とマイクロカプセルxが呈する赤紫色とが混ざり合った赤紫色を呈し、温度tがt7以上の場合(t7<t)には、マイクロカプセルixが呈する赤色とマイクロカプセルxが呈する青色とが混ざり合った紫色を呈する。
すなわち、インキVIは、温度tがt6よりも低い場合(t<t6)には、濃紫色を呈し、温度tがt6以上t7未満の場合(t6≦t<t7)には、赤紫色を呈し、温度tがt7以上の場合(t7≦t)には、紫色を呈する性質を有する。
続いて、容器基体12等の印刷対象物に対するインキVおよびインキVIの塗布の仕方について説明する。この例においても、上述したように、第3の構成例と同様にインキVおよびインキVIをドット状に塗布している。
この例では、第3の構成例と同様に、インキVのみを塗布した領域を領域Mとし、インキVIのみを塗布した領域を領域Nとし、インキVとインキVIとの双方を塗布した領域を領域Oとする。なお、この例では、領域OにおけるインキVとインキVIとの塗布量は、略等量となっている。
そして、このようにインキを塗布することで、インキVのみが塗布された領域Mは、インキVの色を呈し、インキVIのみが塗布された領域Nは、インキVIの色を呈することになる。また、インキVとインキVIとが略等量ずつ塗布された領域Oは、インキVの色とインキVIの色とが混ざり合った色を呈することになる。
続いて、領域M、領域Nおよび領域Oのそれぞれについて、温度変化に伴う変色の仕方について説明する。
温度tがt4よりも低い場合(t<t4)には、上述したように、インキVは濃緑色を呈し、インキVIは濃紫色を呈する。
したがって、図5に示すように、温度tがt4よりも低い場合(t<t4)には、領域Mは、インキVに起因する濃緑色を呈し、領域Nは、インキVIに起因する濃紫色を呈する。さらに、領域Oは、インキVに起因する濃緑色とインキVIに起因する濃紫色とが混ざり合った濃茶色を呈する。
また、温度tをt4以上t5未満の範囲に上昇させた場合(t4≦t<t5)には、インキVが濃緑色から黄土色へ変色する一方、インキVIは濃紫色のままである。
したがって、図5に示すように、温度tがt4以上t5未満の範囲の場合(t4≦t<t5)には、領域Mは、インキVに起因する黄土色を呈し、領域Nは、インキVIに起因する濃紫色を呈する。さらに、領域Oは、インキVに起因する黄土色とインキVIに起因する濃紫色とが混ざり合った朱色を呈する。
さらに、温度tをt5以上t6未満の範囲に上昇させた場合(t5≦t<t6)には、インキVが黄土色から黄色へ変色する一方、インキVIは濃紫色のままである。
したがって、図5に示すように、温度tがt5以上t6未満の範囲の場合(t5≦t<t6)には、領域Mは、インキVに起因する黄色を呈し、領域Nは、インキVIに起因する濃紫色を呈する。さらに、領域Oは、インキVに起因する黄色とインキVIに起因する濃紫色とが混ざり合った濃黄色を呈する。
また、温度tをt6以上t7未満の範囲に上昇させた場合(t6≦t<t7)には、インキVは黄色のままである一方、インキVIは濃紫色から赤紫色へと変色する。
したがって、図5に示すように、温度tがt6以上t7未満の範囲の場合(t6≦t<t7)には、領域Mは、インキVに起因する黄色を呈し、領域Nは、インキVIに起因する赤紫色を呈する。さらに、領域Oは、インキVに起因する黄色とインキVIに起因する赤紫色とが混ざり合った赤茶色を呈する。
さらにまた、温度tをt7以上の範囲に上昇させた場合(t7≦t)には、インキVは黄色のままである一方、インキVIは赤紫色から紫色へと変色する。
したがって、図5に示すように、温度tがt7以上の範囲の場合(t7≦t)には、領域Mは、インキVに起因する黄色を呈し、領域Nは、インキVIに起因する紫色を呈する。さらに、領域Oは、インキVに起因する黄色とインキVIに起因する紫色とが混ざり合った茶色を呈する。
以上のように、この例では、インキVおよびインキVIの双方が、温度変化により異なる色へ変色する感温変色性をそれぞれが備えた2種類のマイクロカプセルを有する場合に、インキVおよびインキVIをそれぞれドット状に塗布した。これにより、領域Mと領域Nと領域Oとでそれぞれ異なる色を呈するとともに、温度変化により領域M、領域Nおよび領域Oの各々が呈する色が変化する。すなわち、この例では、インキVとインキVIとの2種類のインキによって、異なる11色の色を表現することができる。
したがって、例えば缶体1を飲料缶として用いる場合に、このような2種類のインキを缶体1の容器基体12に対してドット状に塗布することで、本構成を採用しない場合と比較して、缶体1において多彩な色を表現することが可能になる。これにより、このようなインキを塗布した缶体1を飲料缶として用いる場合に、飲料缶の製品としての訴求性を向上させることが可能になる。
なお、上述したように、この例で用いたインキVが有するマイクロカプセルviiおよびマイクロカプセルviii、インキVIが有するマイクロカプセルixおよびマイクロカプセルxの平均粒子径は、それぞれ0.1μm以上5μm以下の範囲である。そして、マイクロカプセルvii、マイクロカプセルviii、マイクロカプセルixおよびマイクロカプセルxがこのような平均粒子径を有することにより、本構成を有さない場合と比較して、インキVおよびインキVIの剥離耐性が低下するのを抑制することができる。
したがって、この例のようにインキVおよびインキVIをドット状に塗布し、インキVおよびインキVIの塗布面積が小さいような場合であっても、本構成を有さない場合と比較して、インキVおよびインキVIが容器基体12(図1参照)等の印刷対象物から剥離するのを抑制することができる。
ここで、上述した第1の構成例〜第4の構成例では、マイクロカプセル粒子に内包される感温変色性成分が、温度変化により第1の色から第1の色とは異なる第2の色へと変色する(すなわち2種類の色に変色する)ものを例として挙げた。しかし、マイクロカプセル粒子に内包される感温性成分としてはこれに限られず、例えば、温度変化により、3種類以上の色へ変化するものであってもよい。
また、上述した第1の構成例〜第4の構成例では、インキが1種類または2種類のマイクロカプセル粒子を有する場合を例に挙げたが、例えば、1つのインキが3種類以上のマイクロカプセル粒子を有していてもよい。この場合、インキが呈する色は、インキに含まれる複数種類のマイクロカプセル粒子が呈する色を混ぜ合わせた色となる。
また、上述した第3の構成例および第4の構成例では、インキをドット状に塗布するに際して、等しい径を有するドットが等間隔に並ぶようにインキを塗布した。しかし、例えば、インキをドット状に塗布する場合に、等間隔で並ぶドットの径を異ならせることで画像の濃度を変化させる手法(AMスクリーン)や、等しい径を有するドットの密度を異ならせることで画像の濃度を変化させる手法(FMスクリーン)を採用してもよい。
更に、第3の構成例および第4の構成例では、インキをドット状に塗布するに際して、異なる色を呈するインキを略等量ずつ塗布したが、インキの塗布量は等量でなくてもよく、インキごとに塗布量の配分を変えてもよい。
続いて、本発明の実施例について説明を行うが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜6)
上記実施の形態にて説明したインキを、飲料缶として用いられる缶体1における容器基体12の表面に対して、図2に示したような装置を用いて塗布し、インキ層142を形成した。
インキとしては、温度tが10℃よりも低い場合に青色を呈し、温度tが10℃以上の場合に無色(透明)となる性質を有する感温変色性成分を内包するマイクロカプセル粒子が含有されたものを用いた。マイクロカプセル粒子の平均粒子径dは、0.1μm以上5μm以下の範囲とした(0.1μm ≦ d ≦ 5μm)。また、インキの全体量に対するマイクロカプセル粒子の添加量は、10wt%(実施例1)、20wt%(実施例2)、30wt%(実施例3)、40wt%(実施例4)、50wt%(実施例5)、60wt%(実施例6)とした。
容器基体12としては、表面がアルミ素地で形成されたものを用いた。
そして、インキを容器基体12の表面に対してベタ塗することにより、容器基体12の表面にインキ層142を形成した。
(比較例1〜6)
比較例1〜6では、マイクロカプセル粒子の平均粒子径dを0.01μm以上0.1μm未満の範囲とした(0.01μm ≦ d <0.1μm)以外は実施例1〜6と同様なインキを用いた。インキの全体量に対するマイクロカプセル粒子の添加量は、10wt%(比較例1)、20wt%(比較例2)、30wt%(比較例3)、40wt%(比較例4)、50wt%(比較例5)、60wt%(比較例6)とした。
そして、これらのインキを、表面がアルミ素地で形成された容器基体12に対して実施例1〜6と同様な方法により塗布し、インキ層142を形成した。
(比較例7〜12)
比較例7〜12では、マイクロカプセル粒子の平均粒子径dを5μmよりも大きく且つ20μm以下の範囲とした(5μm < d ≦20μm)以外は実施例1〜6と同様なインキを用いた。インキの全体量に対するマイクロカプセル粒子の添加量は、10wt%(比較例7)、20wt%(比較例8)、30wt%(比較例9)、40wt%(比較例10)、50wt%(比較例11)、60wt%(比較例12)とした。
そして、これらのインキを、表面がアルミ素地で形成された容器基体12に対して実施例1〜6と同様な方法により塗布し、インキ層142を形成した。
<評価方法>
続いて、以下の方法により、実施例1〜6および比較例1〜12における、容器基体12に形成したインキ層142の剥離耐性、白濁度、密着度および発色性について評価を行った。なお、各評価は、温度tが10℃よりも低い状態、すなわち、容器基体12に形成したインキ層142におけるインキが青色を呈した状態にて行った。
(インキ層142の剥離耐性)
インキ層142の剥離耐性について、振動試験装置(IMV株式会社製;VS−300−2)を用いて評価を行った。具体的には、この振動試験装置により周波数5〜50Hzで、加速度0.75Gの振動を発生させ、この振動を、上述のインキ層142を形成した24本の缶体1に対して加えた。そして、この24本の缶体1のうち、直径2mm以上のインキ層142の剥離が発生した缶体1の数量により、インキの剥離耐性を評価した。
すなわち、この数値が小さいほど、インキ層142の剥離が発生しにくく、インキ層142の剥離耐性が良好であると考えられる。
(インキ層142の白濁度)
インキ層142の白濁度について、色彩色差計(KONICA MINOLTA社製;CR−221)を用いて評価を行った。具体的には、缶体1の容器基体12に形成されたインキ層142に対して、白色度を示すL値を測定することで、インキ層142におけるインキの白濁度を評価した。
すなわち、この数値(L値)が大きいほどインキ層142におけるインキが白濁し、逆にこの数値が小さいほどインキ層142におけるインキが白濁していないことを示している。
(インキ層142の密着度)
インキ層142の密着度について、インキを塗布してインキ層142を形成した缶体1の表面に刃物で傷を付けることにより、1mm四方の碁盤目状の塗膜片を100個形成し、この缶体1の表面にセロハンテープを貼り付けるとともに貼り付けたセロハンテープを剥がした場合に、セロハンテープに転移せずに缶体1の表面に残った塗膜片の数量により評価した。
すなわち、缶体1に残った塗膜片の数量が大きいほど、缶体1の表面におけるアルミ素地とインキ層142との密着度が高いと考えられる。
なお、この密着度の評価方法は、JISK5600−5−6で規定されている付着性の試験方法(クロスカット法)に準拠している。
(インキ層142の発色性)
インキ層142の発色性について、上述した色彩色差計(KONICA MINOLTA社製;CR−221)を用いて評価を行った。具体的には、缶体1の容器基体12に形成されたインキ層142に対して、青色の色度を示す−b値を測定することで、インキ層142の発色性を評価した。
すなわち、この数値(−b値)の絶対値が大きいほど、インキ層142における青色の発色性が良好であることを示している。
<評価結果>
評価結果について以下の表1に示す。
Figure 0005683530
(インキ層142の剥離耐性)
表1に示すように、実施例1〜6および比較例1〜7では、インキ層142の剥離が発生した缶体1の個数が1個以下であった。これに対し、比較例8〜12では、インキ層142の剥離が発生した缶が2個以上であった。したがって、実施例1〜6および比較例1〜7のインキについて、比較例2〜8と比較して、インキ層142の剥離耐性が良好であることが確認された。
さらに、実施例1〜6のうち実施例1〜5では、インキ層142の剥離が発生した缶体1の個数が0個であった。これにより、実施例1〜5のインキ層142について、剥離耐性がより良好であることが確認された。
一方、比較例8〜12では、実施例1〜6および比較例1〜7と比較して、インキ層142の剥離耐性が低いことが確認された。さらに、比較例8〜12において、インキにおけるマイクロカプセル粒子の含有量が多くなるにつれて、インキ層142の剥離耐性が低下することが確認された。
(インキ層142の白濁度)
表1に示すように、実施例1〜6および比較例1〜6では、計測されたL値の値が42以下であった。これに対し、比較例7〜12では、L値の値が43以上であった。したがって、実施例1〜6および比較例1〜6において、比較例7〜12と比較してインキ層142の白濁度が低いことが確認された。
また、詳細については省略するが、温度tを10℃以上に上昇させてインキに含まれるマイクロカプセル粒子の感温変色性成分を無色(透明)に変色させた場合に、実施例1〜6および比較例1〜12の缶体1をそれぞれ目視すると、実施例1〜6および比較例1〜6の缶体1では、インキ層142の白濁がほとんど見られなかったが、比較例7〜12の缶体1では、インキ層142が白濁しているのが確認された。
(インキ層142の密着度)
表1に示すように、実施例1〜6および比較例1〜12において、全て(100個)の塗膜片が缶体1の表面に残り、塗膜片がセロハンテープに付着して缶体1の表面から剥がれる現象は見られなかった。これにより、実施例1〜6および比較例1〜12の全てのインキ層142について、容器基体12の表面におけるアルミ素地との密着性が良好であることが確認された。
なお、上述したインキ層142の剥離耐性の試験ではインキ層142の剥離が確認されたが、インキ層142の密着度の試験では、インキ層142の剥離が発生しなかった。したがって、剥離耐性の試験で発生したインキ層142の剥離の原因は、容器基体12におけるアルミ素地とインキ層142との密着度不足ではなく、インキ層142自体の強度不足であることが推測される。
(インキ層142の発色性)
表1に示すように、実施例1〜6および比較例7〜12では、計測された−b値の絶対値が45以上であった。これに対し、比較例1〜6では、−b値の絶対値が43以下であった。したがって、実施例1〜6および比較例7〜12において、比較例1〜6と比較してインキ層142の発色性が良好であることが確認された。
さらに、実施例1〜6のうち実施例2〜6では、−b値の絶対値が46以上であった。これにより、実施例2〜6のインキ層142について、発色性がより良好であることが確認された。
また、詳細については省略するが、実施例1〜6および比較例1〜12の缶体1をそれぞれ目視すると、実施例1〜6および比較例7〜12の缶体1では、青色が問題なく発色していることが確認されたが、比較例1〜6の缶体1では、実施例1〜6および比較例7〜12と比較して青色の発色が弱かった。
以上のように、実施例1〜6の缶体1では、インキ層142の剥離耐性、白濁度、密着度および発色性の全てにおいて、良好であることが確認された。すなわち、実施例1〜6の缶体1では、比較例1〜12と比較して、缶体1における美観の低下が抑制されることが確認された。さらに、実施例1〜6のうち実施例1〜5の缶体1では、インキ層142の剥離耐性が特に良好であり、また、実施例1〜6のうち実施例2〜6の缶体1では、インキ層142の発色性が特に良好であることが確認された。
この結果より、インキをオフセット印刷により容器基体12に塗布する場合において、実施例1〜6のようにインキに含まれるマイクロカプセル粒子の平均粒子径dを、0.1以上5μm以下の範囲にすることが好ましいことが確認された。さらに、マイクロカプセル粒子の平均粒子径dを0.1以上5μm以下の範囲とした場合に、インキの全体量に対するマイクロカプセル粒子の含有量を20wt%以上50wt%以下の範囲とすることがより好ましいことが確認された。
これに対し、比較例1〜6のようにマイクロカプセル粒子の平均粒子径dを0.01μmより小さい範囲とした場合には、実施例1〜6と比較して、インキ層142の発色性が低いことが確認された。また、比較例7〜12のようにマイクロカプセル粒子の平均粒子径dを5μmより大きい範囲とした場合には、実施例1〜6と比較して、インキ層142の剥離耐性が低く、インキ層142の白濁度が高いことが確認された。
1…缶体、10…容器、12…容器基体、14…塗膜、20…蓋部材、500…画像形成装置、510…ブランケットシリンダ、511…ブランケット、520…画像形成ユニット、521…インキ供給装置、522…転写部材、530…マンドレルホイル、540…保護層形成装置

Claims (5)

  1. 内容物を収容可能な容器基体と、
    前記容器基体の外表面に形成され、温度によって色が変化する感温変色性を有する感温変色層とを備え、
    前記感温変色層は、感温変色性を有する成分を内包し平均粒子径が0.1μm以上5μm以下の範囲であるマイクロカプセル粒子を有するインキを、前記容器基体に布することで形成され
    前記インキは、色が変化する変色温度が互いに異なる複数種類のマイクロカプセル粒子を含有することを特徴とする容器。
  2. 複数種類の前記マイクロカプセル粒子の含有量は、前記インキの全量に対して20wt%以上50wt%以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の容器。
  3. 前記インキは、温度が第1の温度未満である場合に第1の色を呈し、温度が当該第1の温度以上である場合に当該第1の色とは異なる第2の色を呈する第1のマイクロカプセルと、温度が当該第1の温度と異なる第2の温度未満である場合に第3の色を呈し、温度が当該第2の温度以上である場合に当該第3の色とは異なる第4の色を呈する第2のマイクロカプセルとを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の容器。
  4. 前記感温変色層は、前記変色温度が異なる複数種類のマイクロカプセル粒子を有する第1のインキが前記容器基体にドット状に塗布された第1の領域と、当該第1のインキとは異なる複数種類のマイクロカプセル粒子を有する第2のインキが当該容器基体にドット状に塗布された第2の領域と、当該第1のインキおよび当該第2のインキが当該容器基体にそれぞれドット状に塗布された第3の領域とを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の容器。
  5. 前記感温変色層の前記第3の領域は、前記第1のインキと前記第2のインキとが互いに重ならないように塗布されることを特徴とする請求項4に記載の容器
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