次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。なお、以下では、特別図柄の変動表示の終了に伴い大当り図柄が停止表示され、これを契機に大当り遊技が開始されるタイプ(いわゆるセブン機タイプ)のパチンコ機に本発明を適用した例を説明する。
[第1実施例]
まず、第1実施例のパチンコ機10について説明する。なお、本発明は、後述する第2実施例に相当する。図1はパチンコ機10(遊技機)の外観を示す外観斜視図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤30の構成の概略を示す構成図であり、図3はパチンコ機10の制御回路の構成の概略を示すブロック図である。
[パチンコ機10の全体構成]
実施例のパチンコ機10は、図1に示すように、前面枠11に嵌め込まれたガラス板12(透明板)を介して盤面が視認可能に配置された遊技盤30(図2参照)と、遊技球を貯留する上受け皿14および下受け皿16と、上受け皿14に貯留されている遊技球を遊技盤30へ発射するための発射ハンドル18と、を備える。
前面枠11は、本体枠21に嵌め込まれており、左辺を回動軸として本体枠21に対して回動できるようになっている。本体枠21は、外枠22に嵌め込まれており、左辺を回動軸として外枠22に対して回動できるようになっている。なお、前面枠11と本体枠21は、略長方形状のプラスティック製の枠体として構成されている。また、外枠22は、略長方形状の木製の枠体として構成されており、パチンコホールの島設備の島枠に固定される。
また、前面枠11の左上部と右上部には、遊技の進行に伴って種々の効果音を鳴らしたり遊技者に遊技状態を報知したりするためのスピーカ28a,28bが設けられており、右端部には、前面枠11を本体枠21に対して施錠するための施錠装置29が設けられている。また、前面枠11の左側には、図示しないプリペイドカード式の球貸装置(CRユニット)が設けられている。
上受け皿14は、その上面部に、CRユニットに挿入されたカードの価値残高(有価残高)の範囲内で遊技球の貸し出しを指示するための球貸ボタン24aと、CRユニットに挿入されているカードの返却を指示するための返却ボタン24bとが配設されている。また、上受け皿14は、その上面中央部に、遊技者の操作に応じて各種演出を行うための演出ボタン26が配設されている。
発射ハンドル18は、前面枠11の右下部に設けられており、遊技者がハンドルに触れていることを検知するタッチセンサ18a(図3参照)や遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ18b(図3参照)が設けられている。発射ハンドル18の回転軸には、上受け皿14に貯留されている遊技球を1球ずつ打ち出すための図示しない発射装置が接続されており、発射ハンドル18が回転操作されると、発射装置が備える発射モータ19(図3参照)が回転し、これに伴って発射ハンドル18の操作量に応じた強さの打撃力で遊技球を打ち出す。
[遊技盤30の構成]
遊技盤30は、図2に示すように、外レール31aと内レール31bとによって囲まれる遊技領域31が形成されている。この遊技盤30は、遊技領域31の右部に配置され遊技球の通過を検知するゲートスイッチ32a(図3参照)を有する普通図柄作動ゲート32と、遊技領域31の中央部に配置され周囲がセンター役物33で囲われた演出表示装置34と、センター役物33の下側に配置され遊技球の入球(「入賞」ともいう)を検知する第1始動口スイッチ36a(図3参照)を有する第1始動口36と、第1始動口36の下側に配置され遊技球の入球(「入賞」ともいう)を検知する第2始動口スイッチ38a(図3参照)を有する第2始動口38と、第2始動口38に取り付けられた開閉可能なチューリップ式の普通電動役物39と、遊技領域31の右下部に配置された図柄表示装置40と、遊技領域31の右下部であって第2始動口38の右上に開閉可能に配置され遊技球の入賞を検知する大入賞口スイッチ44a(図3参照)を有する大入賞口44と、遊技領域31の左下部に配置され遊技球の入賞を検知する一般入賞口スイッチ45a(図3参照)を有する計2つの一般入賞口45と、いずれの入賞口にも入らなかった遊技球を回収するためのアウト口48と、を備える。また、遊技盤30は、この他に、図示しない一般入賞口や遊技球をガイドしたり弾いたりする図示しない多数の釘などが設けられている。
普通電動役物39は、第2始動口38に設けられた左右一対の翼片部39aと、翼片部39aを作動させる普通電動役物ソレノイド39b(図3参照)と、を備える。普通電動役物39は、一対の翼片部39aが互いに接近しているときには第2始動口38への遊技球の受け入れを不能とし、一対の翼片部39aが左右両側に開いているときには第2始動口38への遊技球の受け入れを可能とするよう構成されている。なお、普通電動役物39は、一対の翼片部39aが互いに接近しているときに、第2始動口38への遊技球の受け入れを不能としたが、完全に不能とするのではなく、遊技球の受け入れの可能性が低いもの(第1始動口36よりも遊技球の受け入れの可能性を低いもの)としてもよい。
大入賞口44は、遊技盤30に組み込まれる大入賞口ユニット50に長方形状の開口として形成されている。図4に、大入賞口44が閉じている状態の大入賞口ユニット50の外観を示し、図5に、大入賞口44が開いている状態の大入賞口ユニット50の外観を示し、図6に、大入賞口ユニット50の正面図を示す。大入賞口44は、大入賞口ユニット50の開閉板55によって通常は遊技球を受け入れない閉状態とされており(図4,図6(a)参照)、大当り遊技のときに大入賞口ソレノイド44b(図3参照)によって開閉板55を作動させることにより開状態とされる(図5,図6(b)参照)。また、大入賞口44には、遊技球の入賞を検知すると共にその入賞数をカウントするための大入賞口スイッチ44a(図3参照)が取り付けられている。本実施例では、大当り遊技の処理として、大入賞口スイッチ44aが遊技球の入賞を10個カウントするか10個カウントする前に所定時間(例えば、25秒)が経過するまでを1ラウンドとして大入賞口44を開放し、規定ラウンドまで大入賞口44の開放動作を繰り返す。各ラウンドの間には、所定時間(例えば、2秒間)だけ大入賞口44を閉状態とする。
大入賞口ユニット50は、大入賞口スイッチ44aや大入賞口ソレノイド44bなどを収容するユニット本体51と、ユニット本体51の前面に取り付けられる前面板54とにより構成される。ユニット本体51は、長方形状の大入賞口44に入賞した遊技球を一端側に集めるよう傾斜した傾斜板52と、大入賞口44の一端側と図示しない遊技球回収用の搬送路とを連絡し大入賞口44に入賞した遊技球が通過する連絡路53と、が形成されている。なお、大入賞口スイッチ44は、連絡路53の途中に設けられており(図5参照)、この連絡路53を通過する遊技球を検知することで、大入賞口44への遊技球の入賞を検知している。
前面板54は、幅広の平板であり、略中央に規定サイズの長方形状の開口54aが形成されると共に四隅に計4つの貫通孔54bが形成されている。この貫通孔54bを介して前面板54が遊技盤30に形成された図示しないネジ孔にネジ止めされると、大入賞口ユニット50(前面板54)が遊技盤30に固定され、前面板54の開口54aが遊技盤30の盤面に沿った状態となって、大入賞口44として機能する。開閉板55は、開口54a(大入賞口44)をちょうど閉塞可能となるように開口54a(大入賞口44)に合わせたサイズに形成された長方形状の平板であり、遊技盤30の盤面に略平行となって開口54a(大入賞口44)を閉塞する閉塞状態となる(閉塞状態において遊技球が入球できない程度の隙間はあいていてもよい)。。このため、閉塞状態で遊技盤30の表側(前面側)となる開閉板55の面を閉塞面55aと称する。開閉板55の閉塞面55aには、遊技盤30を正面からみて右側から左側へ下り勾配で傾斜した傾斜面57aが形成され、開閉板55の開閉に連動して遊技盤30に対して移動可能な平板状の可動誘導板57が設けられている。この可動誘導板57は、傾斜面57aが開閉板55のサイズ(幅、横幅)を超えて前面板54の略全幅に亘る長さとなるよう形成されている。また、開閉板55は、閉塞状態で下辺側の位置(開口54aの下端の位置)に設けられた軸56によって前面板54に回動可能に取り付けられており、大入賞口ソレノイド44b(駆動手段)の駆動により軸56を中心として回動することで、開口54a(大入賞口44)から離間して大入賞口44を開状態(開放状態)とし、開口54a(大入賞口44)を閉塞して大入賞口44を閉状態(閉塞状態)とする。開放状態になると、開閉板55が遊技盤30の盤面から前方に突出した状態となり、開閉板55の閉塞面55aが下を向き、その閉塞面55aとは反対側の裏面55b(後面)が上を向くことになる。このとき、裏面55bは、大入賞口44側に向かって(図5中手前側から奥側に向かって)下り勾配で僅かに傾斜するように、開閉板55(軸56)の回動範囲が定められるものとした。このため、開放状態の開閉板55の裏面55bは、上流側から流下する遊技球を受け止めて大入賞口44へ導く(入賞する)遊技球誘導部(入球口誘導部)として機能するものとなる。なお、開閉板55が開放状態となると、閉塞面55aが下を向くことから、閉塞面55aに設けられる可動誘導板57は、遊技球の誘導機能を発揮しないものとなる。
大入賞口ユニット50が、このように構成されるため、遊技球の流れは次のようになる。ここでは、遊技者により発射ハンドル18を最大限右回転させて遊技球を発射させる所謂右打ちすることにより発射された遊技球の流れを考える。右打ちにより発射された遊技球は、遊技盤30の遊技領域31の右側領域を流下して、遊技盤30に配置された固定装飾部材37(図2参照)や図示しない釘などにより誘導されながら大入賞口44の上流側を流下する。このとき、開閉板55が閉塞状態(大入賞口44が閉状態)であれば、可動誘導板57(傾斜面57a)が遊技盤30の盤面に対して前方に突出した状態となり(開閉板55は遊技盤30と略面一となっている)、大入賞口44の上流側を流下する遊技球は、可動誘導板57に到達すると、傾斜面57aに沿って右側から左側へ誘導されることになる(図4中の矢印)。即ち、可動誘導板57は、遊技球の誘導機能を発揮するものとなる。ここで、図2に示すように、大入賞口44の左側の下流には、第2始動口38が設けられているため、大入賞口44の上流側を流下して可動誘導板57(傾斜面57a)によって誘導された遊技球は、大入賞口44よりも下流側の第2始動口38に誘導されることになる。また、開閉板55が開放状態(大入賞口44が開状態)であれば、開閉板55が遊技盤30の盤面に対して前方に突出した状態となり、可動誘導板57は遊技球の誘導機能を発揮できないから、大入賞口44の上流側を流下する遊技球は、開閉板55に到達すると、裏面55bに沿って大入賞口44に入賞することになる(図5中の矢印)。なお、このように、開閉板55は大入賞口44を開閉する機能を有し、可動誘導板57は第2始動口38へ遊技球を誘導する機能を有するから、開閉板55と可動誘導板57との組み合わせを開閉誘導部58と称する。
図柄表示装置40は、図7の構成図に例示するように、普通図柄の変動表示および停止表示が可能な普通図柄表示装置41と、特別図柄の変動表示および停止表示が可能な特別図柄表示装置42と、を備える。普通図柄表示装置41は、発光ダイオード(LED)を用いて構成された左普通図柄表示部41aおよび右普通図柄表示部41bを備える。図8に、普通図柄表示装置41の表示態様の一例を示す。普通図柄表示装置41は、図8に示すように、左普通図柄表示部41aと右普通図柄表示部41bとが共に消灯した表示態様(図8の上から1段目参照)と、左普通図柄表示部41aが点灯し右普通図柄表示部41bが消灯した表示態様(図8の上から2段目参照)と、左普通図柄表示部41aが消灯し右普通図柄表示部41bが点灯した表示態様(図8の上から3段目参照)と、左普通図柄表示部41aと右普通図柄表示部41bとが共に点灯した表示態様(図8の上から4段目参照)の4通りの表示態様がある。普通図柄表示装置41は、遊技球が普通図柄作動ゲート32を通過するのを検知したときに、4通りの表示態様を順次切り替えることにより変動表示し、変動表示の実行時間が経過すると、上記表示態様のうちのいずれかの表示態様で停止表示される。このとき、停止表示された表示態様が特定の表示態様(例えば、図8の上から4段目に示す表示態様)であるときに、当りとして普通電動役物39を一定時間(例えば、0.5秒)に亘って開放する。なお、普通図柄の変動表示中に、遊技球が普通図柄作動ゲート32を通過したときには、普通図柄の変動表示を最大4回まで保留し、現在の変動表示が終了したときに、保留されている変動表示が順次消化される。
特別図柄表示装置42は、図7に示すように、7セグメント表示器を用いて構成された第1特別図柄表示部42aと第2特別図柄表示部42bとを備えており、各セグメントの点灯と消灯との組み合わせにより特別図柄を複数通りの表示態様(最大128通り)で表現している。特別図柄表示装置42は、第1始動口36か第2始動口38への入賞が検知されたときに、表示状態を順次切り替えることにより特別図柄を変動表示し、変動表示の実行時間が経過すると、表現可能な表示態様のうちのいずれかの表示態様で特別図柄を停止表示する。このとき、停止表示された特別図柄の表示態様が特定の表示態様であるときに、大当りとして大入賞口44を一定時間(例えば、25秒など)に亘って開放する。実施例では、第1特別図柄表示部42aは第1始動口36への遊技球の入賞時に特別図柄を変動表示する第1始動口入賞時用の表示部とし、第2特別図柄表示部42bは第2始動口38への遊技球の入賞時に特別図柄を変動表示する第2始動口入賞時用の表示部としている。以下、特に、第1始動口入賞時用の第1特別図柄表示部42aで表示される特別図柄を第1特別図柄とも呼び、第2始動口入賞時用の第2特別図柄表示部42bで表示される特別図柄を第2特別図柄とも呼ぶ。即ち、第1始動口36に入球した場合には、第1特別図柄が変動表示し、第2始動口38に入球した場合には、第2特別図柄が変動表示することになる。図9に、大当り時における特別図柄表示装置42の表示態様の一例を示す。図示するように、第1の通常大当りとなる特別図柄(第1の通常大当り図柄)は、第1特別図柄表示部42aにおける右上,右下,左下の縦棒セグメントが点灯する表示態様と、第2特別図柄表示部42bにおける中段の横棒セグメントと右上,左下の縦棒セグメントが点灯する表示態様とがある(図9の上から1段目参照)。また、第1の確変大当りとなる特別図柄(第1の確変大当り図柄)は、第1特別図柄表示部42aにおける上段の横棒セグメントと右下および左下の縦棒セグメントとが点灯する表示態様と、第2特別図柄表示部42bにおける上段の横棒セグメントと左上および左下の縦棒セグメントとが点灯する表示態様とがある(図9の上から2段目参照)。第2の確変大当りとなる特別図柄(第2の確変大当り図柄)は、第1特別図柄表示部42aにおける上段の横棒セグメントと右下の縦棒セグメントとが点灯する表示態様と、第2特別図柄表示部42bにおける上段および下段の横棒セグメントと左下の縦棒セグメントとが点灯する表示態様とがある(図9の上から3段目参照)。なお、大当り時における特別図柄の表示態様は、上記態様に限られることはなく、如何なる態様で表示するものとしてもよいし、各大当り時における特別図柄の表示態様の種類も1種類に限られず、複数種類用意するものとしてもよい。特別図柄の変動表示中に、遊技球が第1始動口36および第2始動口38のいずれかに入賞したときには、それぞれの始動口毎に特別図柄の変動表示を最大4回まで保留し、現在の変動表示が終了したときに、保留されている特別図柄の変動表示が順次消化される。なお、後述するが、第1特別図柄の変動表示の保留数は第1保留図柄35aによって表示され、第2特別図柄の変動表示の保留数は第2保留図柄35bによって表示される。
ここで、第1の通常大当りは、大入賞口44の開放動作が所定ラウンド数(例えば、15ラウンド)に亘って繰り返される大当り遊技が行われると共に、大当り遊技の終了後には、所定回数(例えば、100回)の特別図柄の変動表示が行われるまで、特別図柄および普通図柄の変動時間が短縮されると共に普通図柄が当りで停止表示されたときに普通電動役物39の開放時間が延長される状態(いわゆる時短状態)となる大当り態様である。なお、第1の通常大当りに係る大当り遊技の終了後には、大当り判定の結果が大当りとなる確率が低い低確率状態(低確率モードとも呼ぶ)となる。第1の確変大当りは、第1の通常大当りと同様に大入賞口44の開放動作が所定ラウンド数(例えば、15ラウンド)に亘って繰り返される大当り遊技が行われると共に、大当り遊技の終了後には、次に大当りを引くまで、大当り判定の結果が大当りとなる確率が低確率モードよりも高くなる確変状態(高確率モードとも呼ぶ)となり且つ時短状態となる大当り態様である。また、第2の確変大当りは、大入賞口44の開放が第1の通常大当りよりも少ないラウンド数(例えば、2ラウンド)に亘って繰り返される大当り遊技が行われると共に、大当り遊技の終了後には、次に大当りを引くまで確変状態となり且つ時短状態となる大当り態様である。なお、本実施例では、大当り遊技の開始に際して、その大当り遊技の最大ラウンド数を示す図柄を表示するラウンド表示部43を、図柄表示装置40の一部に設けてある(図7参照)。このラウンド表示部43は、第1特別図柄表示部42aおよび第2特別図柄表示部42bと同様に7セグメント表示器を用いて構成されている。ラウンド表示部43の表示態様としては、上段および中段の横棒セグメントと左上,左下の縦棒セグメントとが点灯(英字の「F」の形に点灯)する表示態様と、ラウンド表示部43における上段,中段,下段の横棒セグメントと右上および左下の縦棒セグメントとが点灯(算用数字の「2」の形に点灯)する表示態様とがあり、前者の表示態様が「第1の通常大当り」および「第1の確変大当り」を契機とする大当り遊技のラウンド数表示に対応し、後者の表示態様が「第2の確変大当り」を契機とする大当り遊技のラウンド数表示に対応する。
演出表示装置34は、液晶ディスプレイなどの表示装置として構成されており、表示画面上で演出図柄の変動表示やリーチ演出や予告演出などの様々な変動演出が表示される。演出表示装置34の表示画面には、図10に例示する画面構成に示すように、横方向に並んで配置されキャラクタや数字などにより構成される左,中,右の3つの演出図柄(疑似特別図柄あるいは疑似図柄とも呼ぶ)34L,34M,34Rと、図示しない背景図柄と、が表示される。この演出図柄34L,34M,34Rは、遊技球が第1始動口36に入賞したとき、または、遊技球が第2始動口38に入賞したときに変動表示し、演出図柄34L,34M,34Rの変動表示および停止表示は、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示および停止表示に連動して行われる。演出図柄34L,34M,34Rは、変動表示が開始されると、それぞれ上から下に向かって高速でスクロールするように変動表示し、変動表示の実行時間(予め定められた変動表示時間)が経過すると、左の演出図柄34L,右の演出図柄34R,中の演出図柄34Mの順に停止表示する。このとき、3つの演出図柄34L,34M,34Rがいずれも一致しなかったとき(3つともが互いに異なるとき)にはリーチなしの単純な外れとなり(例えば、「231」)、左の演出図柄34Lと右の演出図柄34Rとが一致したときにはリーチとなる。そして、所定のリーチ演出を伴って中の演出図柄34Mが停止したときに、中の演出図柄34Mと左右の演出図柄34L,34Rとが一致しなかったときにはリーチありの外れとなり(例えば、「353」)、中の演出図柄34Mと左右の演出図柄34L,34Rとが一致したときに大当りとなる(例えば、「777」)。この演出表示装置34で表示される演出図柄の当否の結果は、基本的には、上述した特別図柄表示装置42により表示される特別図柄(第1特別図柄,第2特別図柄)の当否の結果と一致する。
また、本実施例では、演出表示装置34の表示画面内に第1保留図柄35aと第2保留図柄35bも表示されている。第1保留図柄35aは、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示中に第1始動口36に遊技球が入賞するごとに左側から順に一つずつ表示され、第1特別図柄の変動表示が開始されるごとに始動入賞した順に一つずつ消去される(古い保留情報に対応する保留図柄から順に消去される)。第2保留図柄35bは、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示中に第2始動口38に遊技球が入賞するごとに左側から順に一つずつ表示され、第2特別図柄の変動表示が開始されるごとに始動入賞した順に一つずつ消去される(古い保留情報に対応する保留図柄から順に消去される)。
こうして構成された実施例のパチンコ機10では、第1始動口36はセンター役物33の下側に配置されており、大当り遊技でない通常遊技のときに、遊技者は遊技球を遊技領域31の左側に流下させるように発射ハンドル18を回転操作(所謂左打ち)することにより、遊技球を第1始動口36に入賞させることができる。また、第2始動口38は第1始動口36の下側に配置されており、時短遊技(特定遊技)のときに、遊技者は左打ちするか右打ちすることにより、遊技球を第2始動口38に入賞させることができる。ただし、上述したように、大入賞口44を開閉する開閉板55の閉塞面55aには可動誘導板57が設けられており、大入賞口44の閉状態で遊技球を第2始動口38に誘導可能となっているから、遊技者は左打ちするよりも右打ちする方が、遊技球を効率よく第2始動口38に入賞させることができる。大入賞口44は遊技領域31の右下部に配置されており、大当り遊技が開始されると、遊技者は右打ちすることにより、遊技球を遊技領域31の右側に流下させて大入賞口44に入賞させることができる。
[制御回路の構成]
次に、実施例のパチンコ機10の制御回路の構成について主として図3を参照しながら説明する。パチンコ機10の制御回路は、図3に示すように、遊技の基本的な進行の制御を司る主制御基板70と、賞球や球貸の払い出しに関する制御を司る払出制御基板80と、遊技の進行に伴って行われる各種演出の全体的な制御を司るサブ制御基板90と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板100などの制御基板により構成されている。これらの制御基板は、各種論理演算や算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM,プログラムの実行に際してデータを一時的に記憶するRAM,周辺機器との間でデータをやり取りするための周辺機器インターフェース(PIO),CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器,CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ,定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマー・サーキット)などの種々の周辺LSIがバスにより相互に接続されている。なお、図3では、各制御基板に搭載された各種デバイスのうち主制御基板70のCPU70a,ROM70b,RAM70cのみを図示し、その他については図示を省略した。ここで、制御回路の一部をなすサブ制御基板90の構成の概略を示すブロック図を図11に示す。
主制御基板70は、遊技の基本的な進行の制御を行うために必要な信号として、図3に示すように、第1始動口スイッチ36aからの入賞信号や第2始動口スイッチ38aからの入賞信号が直接に入力されると共にゲートスイッチ32aからの通過信号や大入賞口スイッチ44aからの入賞信号,一般入賞口スイッチ45aからの入賞信号などが中継端子板72を介して入力されている。主制御基板70からは、図柄表示装置40の表示制御を司る図柄表示基板40aへの制御信号や普通電動役物ソレノイド39bへの駆動信号,大入賞口ソレノイド44bへの駆動信号などが中継端子板72を介して出力されている。また、主制御基板70は、払出制御基板80やサブ制御基板90,発射制御基板100(払出制御基板80を介して通信)と通信しており、各種指令信号(コマンドや駆動信号など)やデータのやり取りを行っている。
払出制御基板80は、賞球や球貸の払い出しに関する制御を行うために必要な信号として、図3に示すように、前面枠11の開放を検知する枠開放スイッチ81からの検知信号が直接に入力され、球貸ボタン24aや返却ボタン24bからの操作信号が球貸表示基板82,中継端子板83を介して入力され、賞球の払い出しを検知する払出前スイッチ84および払出後スイッチ85からの検知信号が中継端子板87を介して入力されている。払出制御基板80からは、賞球の払い出しを行う払出モータ86への駆動信号などが中継端子板87を介して出力されている。また、払出制御基板80は、主制御基板70や発射制御基板100と通信しており、各種指令信号やデータのやり取りを行っている。
サブ制御基板90は、図11に示すように、CPU90aやROM90b,RAM90cなどを備えており、主制御基板70から各種指令信号を受信してその指令に応じた遊技の演出を行う。サブ制御基板90は、演出表示装置34の制御を行う演出表示制御基板91や各種スピーカ28a,28bを駆動するアンプ基板92、各種LEDランプ93aを駆動したり可動式の装飾部材を作動させるための装飾モータ93bを駆動したりする装飾駆動基板93,演出ボタン26からの操作信号を入力する演出ボタン基板94などが接続されている。
発射制御基板100は、タッチセンサ18aからの検知信号や発射停止スイッチ18bからの操作信号,下受け皿16に遊技球が満タン状態となるのを検知する下受け皿満タンスイッチ102からの検知信号などを入力しており、発射モータ19へ駆動用のパルス信号などを出力している。発射制御基板100は、発射ハンドル18が回転操作されてタッチセンサ18aがオンで発射停止スイッチ18bがオフで下受け皿満タンスイッチ102がオフのときに発射モータ19を駆動して遊技球を発射し、タッチセンサ18aがオフか発射停止スイッチ18bがオンか下受け皿満タンスイッチ102がオンかのいずれかが成立したときに発射モータ19の駆動を停止して遊技球の発射を停止する。また、発射制御基板100は、払出制御基板80を介して主制御基板70と通信しており、タッチセンサ18aからの検知信号などの発射ハンドル18の操作状態に関するデータを払出制御基板80を介して主制御基板70に送信する。
[主制御処理]
次に、こうして構成された実施例のパチンコ機10の動作について説明する。図12は、主制御基板70のCPU70aにより実行される主制御処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、パチンコ機10の電源が投入されたときに実行される。主制御処理は、初期化処理などの電源投入に必要な電源投入処理を実行した後(ステップS100)、遊技開始処理(ステップS110)と、普通図柄遊技処理(ステップS120)と、普通図柄当り遊技処理(ステップS130)と、特別図柄遊技処理(ステップS140)と、大当り遊技処理(ステップS150)とを繰り返し実行することにより行われる。なお、本実施例では、ステップS110〜S150の処理に要する時間は約4msecとなっているため、これらの処理は約4msecの間隔で繰り返し実行されることになる。主制御基板70は、これらの処理の実行に伴って、各種コマンドを担当する制御基板に送信してコマンドに応じた処理を実行させることにより、パチンコ機10の全体の遊技を進行させている。
[遊技開始処理]
ステップS110の遊技開始処理では、主制御基板70のCPU70aは、まず、各種センサ(ゲートスイッチ32aや第1始動口スイッチ36a,第2始動口スイッチ38a,大入賞口スイッチ44a、一般入賞口スイッチ45aなど)の状態を検出してRAM70cの所定の状態記憶領域に保存したり、各種乱数値(後述する大当り判定用乱数や大当り図柄決定用乱数,リーチ用乱数,変動パターン決定用乱数など)を更新したりする。続いて、遊技球の入賞に関わるスイッチ(第1始動口スイッチ36aや第2始動口スイッチ38a,大入賞口スイッチ44aなど)により遊技球が検知されたか否かを判定し、検知されたと判定すると、払い出すべき賞球を演算して賞球情報としてRAM70cの所定の賞球情報記憶領域に保存し、賞球情報が値0でないときには賞球指定コマンド(賞球情報)を払出制御基板80に送信して遊技開始処理を終了する。払出制御基板80は、賞球指定コマンドを受信すると、払出モータ86を駆動制御して遊技球を1球ずつ払い出すと共に払出前スイッチ84および払出後スイッチ85により払い出した遊技球が検知される度に賞球情報(未払いの遊技球数)を値1ずつデクリメントする賞球払出処理を実行する。この賞球払出処理は、賞球情報が値0となるまで繰り返し実行されるが、遊技球の入賞が検知されて主制御基板70から新たな賞球指定コマンドを受信すると、その賞球情報も値0となるまで処理が繰り返される。遊技開始処理が終了すると、主制御処理に戻って次のステップS120の普通図柄遊技処理に進む。
[普通図柄遊技処理]
ステップS120の普通図柄遊技処理では、主制御基板70のCPU70aは、まず、普通図柄の保留が値0でない即ち値1以上あるか否かを判定し、保留が値1以上あるときには保留数を値1だけデクリメントして普通図柄の当否判定を行うと共に当否判定の結果に基づいて停止表示させる普通図柄を決定する。普通図柄の当否判定は、時短状態にないときには当り確率の低い(例えば、約0.8%)低確率用の普通図柄当り判定テーブルを用いて行われ、時短状態にあるときには当り確率の高い(例えば、約99.2%)高確率用の普通図柄当り判定テーブルを用いて行われる。また、当否判定の結果が当りのときには、当り図柄(図8の上から4段目参照)を停止表示させる図柄に決定し、当否判定の結果が外れのときには、外れ図柄(図8の上から1〜3段目参照)のうちのいずれかを停止表示させる図柄に決定する。そして、普通図柄の変動表示時間を設定して普通図柄の変動表示を開始し、変動表示時間が経過するのを待つ。変動表示時間の設定は、時短状態にないときには長時間(例えば、30秒)に設定され、時短状態にあるときには短時間(例えば、1秒)に短縮される。変動表示時間が経過すると、決定した図柄で普通図柄を停止表示し、停止表示した図柄が当り図柄のときには、普通電動役物39の開放時間を設定し、普通電動役物39の開放を開始して普通図柄遊技処理を一旦終了し、停止表示した図柄が外れ図柄のときには、何もせずに普通図柄遊技処理を終了する。普通電動役物39の開放時間は、時短状態にないときには短時間(例えば0.5秒)に設定され、時短状態にあるときには長時間(例えば5秒)に延長される。なお、普通電動役物39の開放は、上述したように、普通電動役物ソレノイド39bを駆動制御することにより、一対の翼片部39aを左右に開くことにより行われる。このとき、大入賞口44が閉状態であれば、遊技領域31の右側を流下した遊技球を可動誘導板57(傾斜面57a)により第2始動口38へ誘導することができるから、第2始動口38へ効率よく遊技球を入賞させることができる。普通図柄遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次のステップS130の普通図柄当り遊技処理に進む。
[普通図柄当り遊技処理]
ステップS130の普通図柄当り遊技処理では、主制御基板70のCPU70aは、普通電動役物39が開放を開始してからの経過時間(開放経過時間)が普通図柄遊技処理で設定された設定時間に達しているか否か、規定数(例えば、8個)の遊技球が第2始動口38に入賞しているか否かを判定する。開放経過時間が設定時間に達しておらず規定数の遊技球が第2始動口38に入賞してもいないと判定すると、普通電動役物39の開放を維持したまま普通図柄当り遊技処理を一旦終了する。一方、開放経過時間が設定時間に達していると判定したり、開放経過時間が設定時間に達する前であっても既に規定数の遊技球が第2始動口38に入賞していると判定すると、普通電動役物39の駆動を停止して、普通図柄当り遊技処理を終了する。普通図柄当り遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次のステップS140の特別図柄遊技処理に進む。
[特別図柄遊技処理]
ステップS140の特別図柄遊技処理は、図13〜図15に示すフローチャートに従って実行される。特別図柄遊技処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、まず、第1始動口スイッチ36aからの検知信号を入力して第1特別図柄を変動表示させるための第1始動口36に遊技球が入賞したか否かを判定する(ステップS200)。第1始動口36に遊技球が入賞したと判定すると、現在の第1特別図柄の保留数がその上限値(本実施例では、値4)よりも少ないか否かを判定する(ステップS202)。第1特別図柄の保留数が上限値よりも少ないと判定したときには、第1特別図柄の保留数を値1だけインクリメントすると共に(ステップS204)、判定用乱数を取得してRAM70cの所定の判定用乱数記憶領域に格納する(ステップS206)。なお、ステップS204で第1特別図柄の保留数をインクリメントすると、その保留数を演出表示装置34の第1保留図柄35aに表示するためのコマンド(第1特別図柄の保留数コマンド)などをサブ制御基板90に送信する。ここで、ステップS206で取得される判定用乱数としては、第1始動口36への遊技球の入賞により行われる大当り判定の際に用いられる大当り判定用乱数や、大当り判定の結果が大当りのときに第1特別図柄表示部42aに停止表示させる大当り図柄を決定するための大当り図柄決定用乱数,大当り判定の結果が外れで演出表示装置34の表示画面に演出図柄を変動表示する際にリーチ表示を行うか否かを決定するためのリーチ用乱数などが挙げられる。なお、ステップS200で第1始動口36に遊技球が入賞していないと判定したり、ステップS202で第1特別図柄の保留数が上限値に達していると判定すると、ステップS204,S206の処理をスキップして次のステップS208の処理に進む。
続いて、第2始動口スイッチ38aからの検知信号を入力して第2特別図柄を変動表示させるための第2始動口38に遊技球が入賞したか否かを判定する(ステップS208)。第2始動口38に遊技球が入賞したと判定すると、現在の第2特別図柄の保留数がその上限値(本実施例では、値4)よりも少ないか否かを判定する(ステップS210)。第2特別図柄の保留数が上限値よりも少ないと判定したときには、第2特別図柄の保留数を値1だけインクリメントすると共に(ステップS212)、判定用乱数を取得してRAM70cの所定の判定用乱数記憶領域に格納する(ステップS214)。なお、ステップS212で第2特別図柄の保留数をインクリメントすると、その保留数を演出表示装置34の第2保留図柄35bに表示するためのコマンド(第2特別図柄の保留数コマンド)などをサブ制御基板90に送信する。ここで、ステップS214で取得される判定用乱数としては、第2始動口38への遊技球の入賞により行われる大当り判定の際に用いられる大当り判定用乱数や、大当り判定の結果が大当りのときに第2特別図柄表示部42bに停止表示させる大当り図柄を決定するための大当り図柄決定用乱数,大当り判定の結果が外れで演出表示装置34の表示画面に演出図柄を変動表示する際にリーチ表示を行うか否かを決定するためのリーチ用乱数などが挙げられる。なお、ステップS208で第2始動口38に遊技球が入賞していないと判定されたり、ステップS210で第2特別図柄の保留数が上限値に達していると判定すると、ステップS212,S214の処理をスキップして次のステップS216の処理に進む。
次に、大当り遊技中であるか否か(ステップS216)、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが変動表示中であるか否か(ステップS218)、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが停止表示時間中であるか否か(ステップS220)をそれぞれ判定する。大当り遊技中であると判定すると、これで特別図柄遊技処理を終了し、主制御処理に戻って次のステップS150の大当り遊技処理に進む。一方、大当り遊技中でなく、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれもが変動表示中でなく、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれもが停止表示時間中でないと判定すると、第2特別図柄の保留数が値0であるか否かを判定する(ステップS222)。第2特別図柄の保留数が値0でないと判定すると、乱数記憶領域(RAM70c)に記憶されている第2特別図柄の判定用乱数(大当り判定用乱数)のうち最も古い判定用乱数を読み出し(ステップS224)、図16に示す変動表示関連処理を実行して(ステップS226)、特別図柄遊技処理を一旦終了する。一方、第2特別図柄の保留数が値0と判定すると、第1特別図柄の保留数が値0であるか否かを判定する(ステップS228)。第1特別図柄の保留数が値0でないと判定すると、乱数記憶領域(RAM70c)に記憶されている第1特別図柄の判定用乱数(大当り判定用乱数)のうち最も古い判定用乱数を読み出し(ステップS230)、変動表示関連処理を実行して(ステップS232)、特別図柄遊技処理を一旦終了する。第1特別図柄の保留数も値0のときには、これで特別図柄遊技処理を終了する。ステップS222〜S232では、第1特別図柄の保留数と第2特別図柄の保留数がいずれも値0でないときには第2特別図柄の変動表示(保留の消化)が優先して実行される。以下、変動表示関連処理の詳細について説明する。なお、第1特別図柄の変動表示関連処理と第2特別図柄の変動表示関連処理はいずれも共通の処理が実行されるため、共通のフローチャート(図16のフローチャート)を用いて説明する。
変動表示関連処理では、まず、確変フラグがオンか否か、即ち現在の遊技状態が高確率モードおよび低確率モードのいずれの状態であるかを判定する(ステップS300)。確変フラグがオフのとき、即ち現在の遊技状態が低確率モードのときにはステップS224やステップS230で読み出した大当り判定用乱数と低確率用大当り判定テーブルとを用いて大当り判定を行い(ステップS302)、確変フラグがオンのとき、即ち現在の遊技状態が高確率モードのときには読み出した大当り判定用乱数と高確率用大当り判定テーブルとを用いて大当り判定を行って(ステップS304)、その判定結果が大当りか否かを判定する(ステップS306)。大当り判定テーブルの一例を図17に示す。なお、図17(a)に低確率用大当り判定テーブルを示し、図17(b)に高確率用大当り判定テーブルを示す。図示するように、本実施例では、第1特別図柄と第2特別図柄とで同一の大当り判定テーブルを用いるものとし、低確率用大当り判定テーブルでは大当り判定用乱数が値0〜796のうち値60,61のときに大当りとし(1/398.5の大当り確率)、高確率用大当り判定テーブルでは当り判定用乱数が値0〜796のうち値60〜79のときに大当りとするものとした(1/39.85の大当り確率)。
ステップS306で大当り判定の結果が大当りと判定したときには、判定用乱数記憶領域(RAM70c)から大当り図柄決定用乱数を読み出し(ステップS308)、大当り図柄決定用テーブルをセットする(ステップS310)。そして、セットした大当り図柄決定用テーブルと読み出した大当り図柄決定用乱数とを用いて停止表示させる大当り図柄を選択してセットする(ステップS312)。ここで、第1特別図柄の大当り図柄の決定には、図18に例示する第1特別図柄用の大当り図柄決定用テーブルが用いられ、第2特別図柄の大当り図柄の決定には、図19に例示する第2特別図柄用の大当り図柄決定用テーブルが用いられる。第1特別図柄用の大当り図柄決定用テーブルでは、図18に示すように、大当り図柄決定用乱数が値0〜255のうち値0〜101のときに図9の左上段の図柄が選択されて「第1の通常大当り」となり(約40%の大当り振り分け確率)、大当り図柄決定用乱数が値102〜203のときに図9の左中段の図柄が選択されて「第1の確変大当り」となり(約40%の大当り振り分け確率)、大当り図柄決定用乱数が値204〜255のときに図9の左下段の図柄が選択されて「第2の確変大当り」となる(約20%の大当り振り分け確率)。また、第2特別図柄用の大当り図柄決定用テーブルでは、図19に示すように、大当り図柄決定用乱数が値0〜255のうち値0〜101のときに図9の右上段の図柄が選択されて「第1の通常大当り」となり(約40%の大当り振り分け確率)、大当り図柄決定用乱数が値102〜229のときに図9の右中段の図柄が選択されて「第1の確変大当り」となり(約50%の大当り振り分け確率)、大当り図柄決定用乱数が値230〜255のときに図9の右下段の図柄が選択されて「第2の確変大当り」となる(約10%の大当り振り分け確率)。このように、本実施例では、第2始動口38の入賞時における「第1の確変大当り」の発生確率は第1始動口36の入賞時における「第1の確変大当り」の発生確率よりも高くなり、第2始動口38の入賞時における「第2の確変大当り」の発生確率は第1始動口36の入賞時における「第2の確変大当り」の発生確率よりも低くなっている。
大当り図柄をセットすると、変動パターン決定用乱数を読み出し(ステップS314)、読み出した変動パターン決定用乱数と図示しない大当り用の変動パターンテーブルとを用いて変動パターンを選択してセットする(ステップS316)。
一方、ステップS306で大当り判定の結果が大当りでないと判定すると、図示しない外れ図柄決定用テーブルをセットして(ステップS318)、外れ図柄をセットする(ステップS320)。なお、外れ図柄は、詳細な説明は省略するが、例えば、大当り図柄決定用乱数と図示しない外れ図柄決定用テーブルとを用いてセットすることができる。勿論、大当り図柄決定用乱数とは別に外れ図柄決定用乱数を取得するものとすれば、この外れ図柄決定用乱数と外れ図柄決定用テーブルとを用いてセットすることもできる。外れ図柄をセットすると、変動パターン決定用乱数とリーチ用乱数とを読み出し(ステップS322)、読み出した変動パターン決定用乱数およびリーチ用乱数と図示しない外れ用の変動パターンテーブルとを用いて変動パターンを選択してセットする(ステップS324)。
こうして大当り図柄とその変動パターンをセットしたり、外れ図柄とその変動パターンをセットしたりすると、特別図柄の変動表示を開始すると共に(ステップS326)、特別図柄の保留数を値1だけデクリメントして(ステップS328)、変動表示関連処理を終了する。なお、この変動表示関連処理は、第1特別図柄用と第2特別図柄用との共通の処理として説明しているが、現在の処理が第1特別図柄用の処理であれば、ステップS326,S328では第1特別図柄の変動表示を開始して第1特別図柄の保留数を値1だけデクリメントする。また、現在の処理が第2特別図柄用の処理であれば、ステップS326,S328では第2特別図柄の変動表示を開始して第2特別図柄の保留数を値1だけデクリメントする。なお、ステップS326で特別図柄の変動表示を開始すると、各種図柄や変動パターン,変動時間の情報が含まれた図柄変動開始時コマンドをサブ制御基板90に送信する。この図柄変動開始時コマンドを受信したサブ制御基板90(演出表示制御基板91)は、コマンドを解析し、演出表示装置34の画面上で行う演出内容を決定し、演出表示装置34での図柄変動演出を開始させる。
図13〜図15の特別図柄遊技処理に戻って、特別図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)の変動表示が開始されてその変動表示が実行されている状態で特別図柄遊技処理が実行されると、ステップS218で第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが変動表示中と判定するため、主制御基板70のCPU70aは、変動表示時間が経過したか否かを判定する(ステップS234)。変動表示時間は特別図柄の変動パターンを決定する際に変動パターンに応じて決定されているから、変動表示時間が経過したか否かは、特別図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)の変動表示が開始されてからの経過時間と決定されている変動表示時間とを比較することにより行うことができる。変動表示時間が経過していないと判定すると、特別図柄遊技処理を一旦終了する。変動表示時間が経過していると判定すると、特別図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)の変動表示を停止する(ステップS236)。なお、変動表示を停止すると、図柄停止コマンドをサブ制御基板90に送信する。この図柄停止コマンドを受信したサブ制御基板90(演出表示制御基板91)は、演出表示装置34での図柄変動演出を終了させる。そして、停止表示時間を設定し(ステップS238)、停止表示時間が経過したか否かを判定する(ステップS240)。ここで、停止表示時間は、特別図柄の変動表示を停止してから次に変動表示を開始するまでのインターバルであり、例えば0.6秒に設定される。停止表示時間が経過していないと判定すると、特別図柄遊技処理を一旦終了する。特別図柄の停止表示がなされると、次周回に特別図柄遊技処理が実行されたときにステップS220で停止表示時間中と判定するため、再びステップS240で停止表示時間が経過したか否かを判定し、停止表示時間が経過していると判定すると、停止表示している特別図柄が大当り図柄であるか否かを判定する(ステップS242)。
ステップS242で大当り図柄と判定すると、大当り遊技フラグをオンにする(ステップS244)。大当り遊技フラグをオンにすると、大当り遊技開始時コマンドをサブ制御基板90に送信する。この大当り遊技開始時コマンドを受信したサブ制御基板90は、大当り遊技開始演出を実行する。なお、大当り遊技開始演出は、大当りの発生を示す大当りファンファーレ画面が演出表示装置34に表示されるよう演出表示制御基板91に制御信号を出力し、画面表示に対応する音声がスピーカ28a,28bから出力されるようアンプ基板92に駆動信号を出力し、画面表示に対応してLED93aが点灯するよう装飾駆動基板93に駆動信号を出力することにより行われる。また、大当り遊技中には確変機能や時短機能,開放延長機能を停止させるために、確変フラグがオンのときには確変フラグをオフとし(ステップS246,S248)、変動短縮フラグがオンのときには変動短縮フラグをオフとすると共に開放延長フラグをオフとして(ステップS250〜S254)、特別図柄遊技処理を終了し、主制御処理に戻って次のステップS150の大当り遊技処理に進む。
一方、ステップS242で大当り図柄でないと判定すると、変動短縮フラグがオンであるか否かを判定し(ステップS256)、変動短縮フラグがオンでないときにはそのまま特別図柄遊技処理を一旦終了する。変動短縮フラグがオンのときには変動短縮カウンタを値1だけデクリメントし(ステップS258)、変動短縮カウンタが値0であるか否かを判定する(ステップS260)。ここで、変動短縮カウンタは、時短(特別図柄および普通図柄の変動短縮)状態を維持する特別図柄の変動回数の上限値を示すものであり、大当り遊技の終了に際して大当り態様に応じた値がセットされる。変動短縮カウンタが値0でないときには、時短状態を維持したまま特別図柄遊技処理を一旦終了し、変動短縮カウンタが値0のときには、時短状態を終了させるために、変動短縮フラグをオフとすると共に(ステップS262)、開放延長フラグをオフとして(ステップS264)、特別図柄遊技処理を一旦終了する。これにより、パチンコ機10の遊技状態は、時短状態から非時短状態に変更されることになり、例えば、サブ制御基板90から演出表示制御基板91に遊技状態を示す演出コマンドが送信されて、演出表示装置34の背景画面を時短用の背景から非時短用の背景に変更する等の処理が行われる。なお、ステップS260の判定は低確率モードか高確率モードかに拘わらず実行されるが、第1の確変大当りや第2の確変大当りでは、後述するように、大当り遊技終了後に、変動短縮カウンタに10,000回が設定されるため、これらの確変大当りの場合に、変動短縮カウンタが値0となることは通常あり得ず、次回に大当りを引くまで時短状態が終了することはない。
[大当り遊技処理]
ステップS150の大当り遊技処理は、図20に示すフローチャートに従って実行される。図20の大当り遊技処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、まず、大当り遊技フラグがオンか否か、即ち大当り遊技中か否かを判定する(ステップ400)。大当り遊技フラグがオフと判定すると、そのまま大当り遊技処理を終了する。一方、大当り遊技フラグがオンと判定すると、大入賞口44が開放中であるか否かを判定し(ステップS402)、大入賞口44が閉鎖中である(開放中でない)と判定すると、大入賞口44の開放タイミングであるか否かを判定する(ステップS404)。この判定は、例えば大当り遊技の開始から大入賞口44の最初の開放タイミングが到来したか否かを判定したり大入賞口44を閉鎖してから規定の閉鎖時間(本実施例では、2秒)が経過したか否かを判定したりすることにより行われる。大入賞口44の開放タイミングであると判定すると、開閉板55により大入賞口44が開放されるよう大入賞口ソレノイド44bを駆動制御して(ステップS406)、大当り遊技処理を一旦終了する。なお、上述したように、開閉板55が開放状態になると、開閉板55の閉塞面55aに設けられた可動誘導板57(傾斜面57a)は遊技球を誘導せず、裏面55bで遊技球を大入賞口44に導くものとなる。このため、大入賞口44を開閉する開閉板55の閉塞面55aに、可動誘導板57を設けても、大当り遊技中に、可動誘導板57によって遊技球が大入賞口44に入賞するのを阻害されることはない。一方、ステップS404で大入賞口44の開放タイミングでないと判定すると、そのまま大当り遊技処理を一旦終了する。
一方、ステップS402で大入賞口44が開放中であると判定すると、大入賞口44の閉鎖タイミングか否かを判定する(ステップS408)。この判定は、規定の開放時間(本実施例では、25秒)が経過したか、大入賞口44に入賞した遊技球の数が規定数(本実施例では、10個)に達したかのいずれかの成立を判定することにより行われる。大入賞口44の閉鎖タイミングでないと判定すると、大入賞口44の開放を維持したまま大当り遊技処理を一旦終了する。一方、大入賞口44の閉鎖タイミングであると判定すると、大入賞口44が閉鎖されるよう大入賞口ソレノイド44bを駆動制御し(ステップS410)、大当り遊技の終了条件が成立したか否かを判定する(ステップS412)。この判定は、大入賞口44が規定ラウンド数通りに開放されたか否かを判定することにより行われる。なお、規定ラウンド数は、大当りの種類に応じて2ラウンドや15ラウンドなどが設定されている(図18,19参照)。ステップS412で大当り遊技の終了条件が成立していないと判定すると、そのまま大当り遊技処理を一旦終了する。一方、大当り遊技の終了条件が成立したと判定すると、図21に例示する大当り遊技終了時処理を実行して(ステップS414)、大当り遊技処理を終了する。
図21の大当り遊技終了時処理では、主制御基板70のCPU70aは、まず、大当り遊技フラグをオンからオフとし(ステップS450)、大当り図柄が確変図柄、即ち今回の大当りが「第1の確変大当り」および「第2の確変大当り」のいずれかであるかを判定する(ステップS452)。確変図柄でない、即ち今回の大当りが「第1の通常大当り」であると判定すると、確変フラグはオフのまま維持して、変動短縮カウンタを100回に設定し(ステップS454)、確変図柄と判定すると、確変フラグをオンとすると共に(ステップS456)、変動短縮カウンタを10,000回に設定する(ステップS458)。上述したように、変動短縮カウンタが10,000回に設定されると、実質的には、次回の大当りを引くまで時短状態が継続される。こうして変動短縮カウンタをセットすると、変動短縮フラグをオンとすると共に(ステップS460)、開放延長フラグをオンとして(ステップS462)、大当り遊技終了時処理を終了する。なお、変動短縮フラグと開放延長フラグとをオンとすると、遊技状態指定コマンドをサブ制御基板90に送信する。この遊技状態指定コマンドを受信したサブ制御基板90は、例えば、演出表示制御基板91に遊技状態を示す演出コマンドを送信して演出表示装置34の背景画面を確変用あるいは時短用の背景に設定する等の処理を行う。このように、第1の確変大当りや第2の確変大当りの大当り遊技が終了すると、時短遊技が開始されるのである。ここで、大当り遊技中は、遊技者は大入賞口44を狙って遊技球が発射されるよう右打ちしている。また、大当り遊技後の時短中も、上述したように、右打ちした方が可動誘導板57(傾斜面57a)による誘導により遊技球が効率よく第2始動口38に入賞するから、遊技者は引き続き右打ちすることが好ましいものといえる。このため、遊技者は、大当り遊技の開始から時短遊技の終了まで、継続して右打ちすればよいことになる。
以上説明した第1実施例のパチンコ機10によれば、大入賞口44の開閉が可能で大入賞口44を閉塞する閉塞状態で表側の面が閉塞面55aとして機能する開閉板55と、大入賞口44の上流側から流下した遊技球を下流側の第2始動口38に誘導可能な傾斜面57aが形成され遊技盤30に対して移動可能となるよう閉塞面55aに設けられた可動誘導板57と、により構成された開閉誘導部58を備えるから、可動誘導板57を開閉板55とは別に設けるものに比して、遊技盤30に配置すべき誘導部材の数を少なくして誘導部材の配置に必要とされるスペースを小さなものとすることができる。また、可動誘導板57を開閉板55の閉塞面55aに設けるだけの簡易な構成において、開閉誘導部58を開閉動作するだけで、大入賞口44の開閉と、遊技球の誘導(大入賞口44又は所定の対象物)とを可能とすることができる。この結果、遊技盤30に配置する部品数を抑えた簡易な構成で、大入賞口44の開閉と、第2始動口38への遊技球の誘導と、を行うことができる。
また、開閉板55を軸56を中心として回動させて遊技盤30の盤面に対して前方に突出させることで大入賞口44を開放状態とし、開放状態では閉塞面55aの反対側の裏面55bで遊技球を受けるよう開閉板55の回動範囲を定めたから、閉塞面55aに設けた可動誘導板57に阻害されることなく、裏面55bで受けた遊技球を大入賞口44へ導くことができる。さらに、可動誘導板57には、開閉板55のサイズ(横幅)を超える長さ(横幅)の傾斜面57aが形成されるから、大入賞口44のサイズに拘わらず、大入賞口44のサイズよりも広い範囲で遊技球を誘導することができる。そして、大当り遊技の開始から時短遊技の終了まで、遊技者は継続して右打ちすればよいから、操作の態様が頻繁に変わるものに比して、操作の態様を遊技者に分かりやすいものとすることができる。
第1実施例のパチンコ機10では、可動誘導板57は開閉板55のサイズを超えて前面板54の全幅に亘る傾斜面57aが形成されるものとしたが、これに限られず、前面板54の幅よりも短い傾斜面57aが形成されるものとしてもよいし、開閉板55のサイズに収まる傾斜面57aが形成されるものとしてもよい。これらの場合、前面板54の開口54aの左右に、開閉板55が閉状態のときに可動誘導板57の傾斜面57aを延長するような傾斜面を有する傾斜部材を固定するものなどとしてもよいし、傾斜面57aに誘導された遊技球が遊技盤30上の釘を介して第2始動口38に流下するよう釘を配置するものなどとしてもよい。また、特に後者の場合には、大入賞口ユニット50の前面板54を必要とされる最小限の幅として可動誘導板57と第2始動口38とを近付けるものなどとしてもよい。
[第2実施例]
次に、第2実施例について説明する。なお、この第2実施例が本発明の実施例に相当する。第2実施例では、大入賞口ユニット50Bの一部が第1実施例の大入賞口ユニット50と異なる以外は同じ構成を備えるため、大入賞口ユニット50B以外の各構成要素については第1実施例の各構成要素と同一の符号を付してその説明を省略する。また、第2実施例では、第1実施例と同じ処理を行うため、処理の説明についても省略する。
図22に大入賞口44が閉じている状態の大入賞口ユニット50Bの外観を示し、図23に大入賞口44が開いている状態の大入賞口ユニット50Bの外観を示し、図24に大入賞口ユニット50Bの正面図を示す。なお、図24(a)は、大入賞口44が閉じている状態(図22に対応)であり、図24(b)は、大入賞口44が開いている状態(図23に対応)である。この大入賞口ユニット50Bにおいても、第1実施例の大入賞口ユニット50と同じ構成要素には同一の符号を付す。
大入賞口ユニット50Bは、大入賞口ユニット50と同様に、大入賞口スイッチ44aや大入賞口ソレノイド44bなどを収容するユニット本体51と、開口54a(大入賞口44)が形成された前面板54Bと、を備えており、前面板54Bの四隅の貫通孔54bを介したネジ止めにより遊技盤30に固定される。また、前面板54Bの開閉板55の閉塞面55aには、遊技盤30を正面からみて右側から左側へ下り勾配で傾斜する傾斜面67aが形成され、開閉板55の開閉に連動して遊技盤30に対して移動可能な平板状の可動誘導板67が設けられている。この可動誘導板67は、傾斜面67aが開閉板55の横幅に収まるサイズに形成されている。また、前面板54Bは、開口54aの左右に、開閉板55が閉塞状態のときの可動誘導板67よりも上流側(遊技盤30を正面からみて右側)に配置された第1の固定誘導板61と、閉塞状態の可動誘導板67よりも下流側(遊技盤30を正面からみて左側)に配置された第2の固定誘導板63とが固定されている。これらの第1の固定誘導板61の上面の傾斜面61aと、第2の固定誘導板63の上面の傾斜面63aとは、開閉板55が閉塞状態のときの可動誘導板67の傾斜面67aと略同じ傾斜角度(下り勾配)で面一となるよう形成されている。即ち、第1の固定誘導板61は、可動誘導板67の傾斜面67aを上流側に延長するものとなり、第2の固定誘導板63は、可動誘導板67の傾斜面67aを下流側に延長するものとなる。このため、可動誘導板67の傾斜面67aと、第1の固定誘導板61の傾斜面61aと、第2の固定誘導板63の傾斜面63aとは、開閉板55が閉塞状態のときに、遊技球を右側から左側へ誘導する誘導機能を発揮することになる(図22参照)。なお、第2実施例においても、開閉板55は大入賞口44を開閉する機能を有し、可動誘導板67は第2始動口38へ遊技球を誘導する機能を有するから、開閉板55と可動誘導板67との組み合わせを、開閉誘導部68と称する。
一方、開閉板55が軸56を中心に回動して開閉板55が開放状態になると、開閉板55が遊技盤30の盤面から前方に突出した状態となるから、開閉板55の閉塞面55a(前面)が下を向き、裏面55b(後面)が上を向くことになる。このため、閉塞面55a(前面)に設けられる可動誘導板67は、遊技球の誘導機能を発揮しないものとなる。そして開閉板55の裏面55bに形成された遊技球誘導部が誘導機能を発揮することとなる。この開放状態のときには、開閉板55の裏面55b(遊技球誘導部)は、第1の固定誘導板61の傾斜面61aや第2の固定誘導板63の傾斜面63aよりも低くなるよう、即ち、開閉板55と第1の固定誘導板61との間と、開閉板55と第2の固定誘導板63との間に、それぞれ段差(開閉板の裏面の左右両端部とも、固定誘導板61、63より低くなる段差)が生じるよう、開閉誘導部68の開閉板55の回動範囲が定められるものとした。さらに、これらの段差における、開閉板55(裏面55b)と第1の固定誘導板61(その下面)との間隔S1(図23中拡大図参照)と、開閉板55(裏面55b)と第2の固定誘導板63(その下面)との間隔S2(図23中拡大図参照)とは、いずれも遊技球の直径よりも小さくなっている。本実施例では、大入賞口44の開状態でそのような間隔S1,S2となり、且つ、大入賞口44の閉状態で各傾斜面が略同じ傾斜角度(下り勾配)で面一となるように、可動誘導板67と第1の固定誘導板61と第2の固定誘導板63とを配置するものとした。このように、第1の固定誘導板61と第2の固定誘導板63とは、開閉板55が閉塞状態のときに、傾斜面61a,63aが可動誘導板67の傾斜面67aを延長して遊技球を誘導するよう機能し、開閉板55が開放状態のときに、開閉板55の裏面55bで受けた遊技球が大入賞口44に入賞することなく左側や右側へ流下するのを抑制して遊技球の流下を抑制するガード部材として機能するものとなる。
大入賞口ユニット50Bが、このように構成されるため、遊技者に右打ちにより発射され、遊技領域31の右側領域から大入賞口44の上流側を流下する遊技球の流れは、次のようになる。まず、開閉板55が閉塞状態(大入賞口44が閉状態)であれば、可動誘導板67が遊技盤30の盤面に対して前方に突出した状態となるから、大入賞口44の上流側を流下する遊技球は、第1の固定誘導板61や可動誘導板57に到達すると、各傾斜面(傾斜面61aや傾斜面57a,傾斜面63a)に沿って右側から左側へ誘導されることになる(図22中の矢印)。即ち、可動誘導板67は、第1の固定誘導板61と第2の固定誘導板63と共に遊技球の誘導機能を発揮するものとなる。このため、第2実施例においても、大入賞口44の上流側を流下して可動誘導板57と第1の固定誘導板61と第2の固定誘導板63とによって誘導された遊技球は、大入賞口44よりも下流側の第2始動口38に誘導されることになる。また、開閉板55が開放状態(大入賞口44が開状態)であれば、開閉板55が遊技盤30の盤面に対して前方に突出した状態となり、可動誘導板57は遊技球の誘導機能を発揮できないから、大入賞口44の上流側を流下する遊技球は、開閉板55に到達すると、裏面55b(遊技球誘導部)に沿って大入賞口44に入賞することになる(図23中の矢印)。このとき、第1の固定誘導板61と第2の固定誘導板63とが、裏面55bからの遊技球の流下を抑制するガード部材として機能するから、大入賞口44への遊技球の入賞が促されることになる。
以上説明した第2実施例のパチンコ機10によれば、大入賞口44の開閉が可能で大入賞口44を閉塞する閉塞状態で表側の面が閉塞面55aとして機能する開閉板55と、大入賞口44の上流側から流下した遊技球を下流側の第2始動口38に誘導可能な傾斜面57aが形成され遊技盤30に対して移動可能となるよう閉塞面55aに設けられた可動誘導板67と、により構成された開閉誘導部68と、閉塞状態における可動誘導板67の傾斜面67aを延長可能な傾斜面61a,63aが形成され遊技盤30に対して移動不能に固定された第1および第2の固定誘導板61,63と、を備えるから、可動誘導板57を開閉板55とは別に設けるものに比して、遊技盤30に配置すべき誘導部材の数を少なくして誘導部材の配置に必要とされるスペースを小さなものとすることができる。また、可動誘導板57を開閉板55の閉塞面55aに設けるだけの簡易な構成で、大入賞口44の開閉と、遊技球の誘導とを可能とすることができる。さらに、閉塞状態における可動誘導板67の傾斜面67aを固定誘導板61,63によって延長するから、可動誘導板67の傾斜面67aの長さが大入賞口44や開閉板55のサイズによって制約される場合でも、必要な傾斜面を形成して遊技球を適切に誘導することができる。この結果、遊技盤30に配置する部品数を抑えた簡易な構成で、大入賞口44の開閉と、第2始動口38への遊技球の誘導と、を行うことができる。
また、開閉板55を軸56を中心として回動させて遊技盤30の盤面に対して前方に突出させることで大入賞口44を開放状態とし、開放状態では閉塞面55aの反対側の裏面55bで遊技球を受けるよう開閉板55の回動範囲を定めたから、閉塞面55aに設けた可動誘導板57に阻害されることなく、裏面55bで受けた遊技球を大入賞口44へ導くことができる。さらに、第1および第2の固定誘導板61,63を、大入賞口44の開放時に遊技球の流下を抑制するガード部材として機能させるから、第2始動口38への遊技球の誘導と、大入賞口44への遊技球の効率的な入賞とに、兼用することができる。そして、第1および第2の固定誘導板61,63は、傾斜面61a,63aが閉塞状態における傾斜板67の傾斜面67aと略同じ下り勾配で面一となるよう形成されるから、遊技球をよりスムーズに誘導することができる。また、第1および第2の固定誘導板61,63を、開閉誘導部68の上流側と下流側とにそれぞれ設けるから、大入賞口44のサイズに拘わらず、大入賞口44のサイズよりも広い範囲で遊技球を誘導することができる。そして、大当り遊技の開始から時短遊技の終了まで、遊技者は継続して右打ちすればよいから、操作の態様が頻繁に変わるものに比して、操作の態様を遊技者に分かりやすいものとすることができる。
第1実施例や第2実施例のパチンコ機10では、大入賞口44(開口54a)が形成される前面板54が遊技盤30の盤面に沿って(平行に)取り付けられることで大入賞口44が遊技盤30の盤面に沿って設けられるものとしたが、これに限られず、前面板が遊技盤30の盤面に略垂直に取り付けられることで大入賞口44が遊技盤30の盤面に略垂直に設けられるものなどとしてもよい。また、大入賞口44(開口54a)は、軸56を中心として回動する開閉板55によって開閉されるものとしたが、これに限られず、左右方向や上下方向などの所定の方向にスライドするスライド式の開閉板によって開閉されるものとしてもよい。
第1実施例や第2実施例のパチンコ機10では、開閉板55の閉塞面55aに平板状の可動誘導板57,67を設けるものとしたが、遊技球を誘導可能な傾斜面が形成された誘導部材であれば如何なる形状の部材を設けるものとしてもよく、例えば、三角形状の部材や樋状の部材などとしてもよい。同様に、第2実施例のパチンコ機10では、第1および第2の固定誘導板61,63を設けるものとしたが、可動誘導板67の傾斜面67aを延長可能な傾斜面が形成された固定誘導部材であれば如何なる形状の部材を設けるものとしてもよく、三角形状の部材や樋状の部材などとしてもよい。
第1実施例のパチンコ機10では、可動誘導板57が第2始動口38に遊技球を誘導するものとし、第2実施例のパチンコ機10では、可動誘導板67と第1の固定誘導板61と第2の固定誘導板63とが第2始動口38に遊技球を誘導するものとしたが、遊技球を誘導する対象としては第2始動口38に限られず、如何なる対象に誘導するものとしてもよい。例えば、アウト口48に誘導するものや第1始動口36に誘導するもの,一般入賞口45に誘導するものなどとしてもよい。可動誘導板(及び固定誘導板)によって、遊技球をアウト口48に誘導するものとすれば、大入賞口に入球しない遊技球を円滑かつ迅速にアウト口に誘導することができ、大入賞口に入球しないことが確定した遊技球が遊技領域上を流下する時間を短くし、遊技者のストレスを軽減することができる。
第1実施例や第2実施例のパチンコ機10では、開閉板55が下辺の軸56を中心として回動することにより大入賞口44の開状態では開閉板55の裏面55bで遊技球を受けるものとしたが、これに限られず、上辺を軸として回動するものとしてもよいし、右辺や左辺を軸として回動するものとしてもよい。また、開閉板55を1枚の平板で構成するものとしたが、これに限られず、2枚の平板で構成し、観音開きのように、左右に板が分割して開閉するものとしてもよいし、上下に板が分割して開閉するものとしてもよい。この場合、分割される2つの平板に誘導部材を分割して設けておき、2つの平板が大入賞口44を閉塞する閉塞状態となったときに、分割して設けられた誘導部材が一体となって傾斜面を形成して誘導機能を発揮するものなどとすればよい。
第1実施例や第2実施例のパチンコ機10では、大入賞口44(大入賞口ユニット50,50B)が遊技盤30の右側に設けられるものとしたが、これに限られず、左側に設けられるものとしてもよいし、中央に設けられるものとしてもよい。また、遊技盤30の下方に設けられるものに限られず、上方に設けられるものとしてもよい。
第1実施例や第2実施例のパチンコ機10では、開閉板55が大入賞口44を開閉するものとしたが、これに限られず、遊技球が入賞可能な入賞口を開閉するものであれば如何なる入賞口を開閉するものであってもよい。
第2実施例のパチンコ機10では、第1の固定誘導板61と第2の固定誘導板63とを大入賞口44の開放時に遊技球の流下を抑制するガード部材として機能させるものとしたが、これに限られず、大入賞口44の開放時に開閉板55の裏面55bからの遊技球の流下を許容するもの、即ち、ガード部材として機能させないものとしてもよい。この場合、上述した間隔S1,S2が遊技球の直径よりも大きくなるものなどとすればよい。
第2実施例のパチンコ機10では、第1の固定誘導板61と第2の固定誘導板63とが開閉板55が閉塞状態のときの可動誘導板67の傾斜面67aと略同じ傾斜角度で面一となるよう形成されるものとしたが、これに限られず、可動誘導板67の傾斜面67aと異なる傾斜角度としてもよいし、略同じ傾斜角度でも面一とすることなく、下流側に行くほど傾斜面の位置が低くなるよう段差をもって形成するものとしてもよい。すなわち、第1の固定誘導板61の上面の傾斜面61aに流下する遊技球が、第2の固定誘導板63の上面の傾斜面63aに誘導され、その後、所定の対象物に誘導される構成であればよい。段差を設ける(階段状にする)場合は、傾斜面61aの下流端部が傾斜面67aの上流端部よりも高い位置とされ、また傾斜面67aの下流端部が傾斜面63aの上流端部よりも高い位置とされる必要がある。
第2実施例のパチンコ機10では、可動誘導板67の上流側には第1の固定誘導板61が設けられ下流側には第2の固定誘導板63が設けられるものとしたが、これに限られず、上流側と下流側のいずれか一方だけに固定誘導部材が設けられるものとしてもよい。また、上流側に複数の固定誘導部材を設けるものとしてもよいし、下流側に複数の固定誘導部材を設けるものとしてもよい。
第2実施例のパチンコ機10では、第1の固定誘導板61と第2の固定誘導板63とが大入賞口ユニット50Bの前面板54Bに固定されるものとしたが、これに限られず、遊技盤30の盤面に固定されるものとしてもよい。
また、第1実施例や第2実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を「貸球」や「賞球」として利用し、遊技盤に設けられた各種入賞口(第1始動口、第2始動口、大入賞口等)への遊技球の入球に応じて所定数の賞球を払い出すことによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与する遊技機(パチンコ機)に本発明を適用した例を説明したが、「賞球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入賞口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを主制御部あるいは払出制御部のRAM(遊技価値管理制御部)に記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプの遊技機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上記実施例と同様の効果を得ることができる。もちろん、遊技価値管理制御部が管理する遊技価値として、遊技の結果得られた遊技価値と、現金等を投入することで得られた遊技価値とを別に管理(別途に表示)してもよいし、一緒に管理(加減算して表示)してもよい(別表示と加減算表示の両方をしてもよい)。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプの遊技機としては、遊技機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入賞口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成された遊技機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。
ここで、第2実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、パチンコ機10が「遊技機」に相当し、遊技盤30が「遊技盤」に相当し、大入賞口44が「入賞口」に相当し、開閉板55が「開閉部材」及び「開閉板」に相当し、可動誘導板67が「可動誘導部」に相当し、第1の固定誘導板61および第2の固定誘導板63が「固定誘導部」に相当する。また、発射モータ19を含む発射装置などが「発射装置」に相当し、第1始動口36が「第1始動口」に相当し、普通電動役物39付きの第2始動口38が「第2始動口」に相当し、特別図柄遊技処理や大当り遊技処理などを実行する主制御基板70が「当り遊技実行手段」に相当し、普通図柄遊技処理や普通図柄当り遊技処理を実行する主制御基板70が「特定遊技実行手段」に相当する。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行われるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。