JP5679262B2 - ゲル化剤及びゲル状組成物 - Google Patents

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本発明は、フルオロアルカン誘導体、ゲル化剤及びゲル状組成物に関する。
従来、各種産業分野(例えば、塗料、化粧品、医薬医療及び石油流出処理など)において、液体状物質を固化、すなわちゼリー状に固めたり、又は、増粘したりする目的でゲル化剤が用いられている。
これらのゲル化剤としては、水をゲル化(固化)させるもの、並びに、有機溶媒及びそれらを主として含む溶液等をゲル化(固化)させるものがある。また、ゲル化剤の構造は高分子量型と低分子量型とに大別することができる。高分子量型のゲル化剤は、主に有機溶媒のゲル化に用いられ、親油性を有する高分子ポリマーの絡み合った分子中に油類を取り込み膨油しつつ、固体状を保つことを特徴とする。一方、低分子量型のゲル化剤の多くは、分子内に水素結合性官能基(例えば、アミノ基、アミド基及びウレア基など)を含むものであり、水素結合によって水又は有機溶媒をゲル化することを特徴とする(例えば、特許文献1参照)。
さらに、水素結合性基を有しない低分子量型のゲル化剤は、例えば、特許文献2及び非特許文献1に開示されている。
特開平8−231942号公報 国際公開第2009/078268号
J.Fluorine. Chem.110、47−58(2001年)
低分子量型のゲル化剤は、水のゲル化剤としては一般的であるが、有機溶媒のゲル化剤としての開発は比較的遅れている。有機溶媒をゲル化するための従来のゲル化剤は、一般に、有機溶媒に対して大量に添加する必要がある。しかも、ゲル化剤を添加したゲル状組成物は、比較的低い温度、例えば30〜40℃程度でゾルに転移し、液状に戻る傾向がある。溶媒(水又は有機溶媒)をゲル化させるために多くのゲル化剤を用いることは、経済的に不利であるばかりでなく、ゲル化される溶媒中への異物の混入量が多くなることを意味している。よって、溶媒をゲル化された組成物を利用する場合、不純物としてのゲル化剤の影響をも無視し得ないこともある。また、その組成物のゲル化温度の上限(ゾルに転移する温度)が低いと、組成物がゲル化により所定の形状を保持しても、少しの温度上昇によりその形状を保てなくなり、流動化して液洩れ等の原因となる場合がある。そこで、より少量で且つ比較的高温にまでゲルの状態が保たれるゲル化剤の開発が望まれている。その一方で、非常に高い温度で有機溶媒に添加しないと溶解しないゲル化剤は、ハンドリング性に劣り、適用できる用途が限定されることになる。
また、水素結合性を有しないことで、有機溶媒中及び水素結合が安定に存在できない系であってもゲル化できるゲル化剤が広く求められているものの、その例は極めて少ない。
水素結合性を有しないゲル化剤としてはフルオロアルカン基を有するゲル化剤が知られているが、原料入手の点から、フルオロアルカン基の短鎖化が求められている。しかしながら、フルオロアルカン基を短鎖にするとゲル化剤のゲル化能が低下するという課題がある。
そこで、本発明は上記事情にかんがみてなされたものであり、多様な有機溶媒を少量の添加でゲル化又は固化できる新規なフルオロアルカン誘導体、その化合物からなるゲル化剤及びそのゲル化剤を含むゲル状組成物を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]下記一般式(1)で表されるフルオロアルカン誘導体からなるゲル化剤
m2m+11−SO2−Z−O−R2−O−Z−SO2−R3n2n+1 (1)
(式中、複数のZはそれぞれ独立に、置換又は無置換の核原子数5〜30の2価の芳香族炭化水素基を示し、R1及びR3はそれぞれ独立に、単結合又は飽和若しくは不飽和の炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示し、R2は、置換又は無置換の炭素数2〜18の2価の炭化水素基2つ以上と、主鎖に位置するエーテル基及び/又はチオエーテル基1つ以上とからなる2価の基を示し、m及びnはそれぞれ独立に、2〜18の自然数を示す。)
[2][1]に記載のゲル化剤と、有機溶媒と、を含有するゲル状組成物。
本発明によると、多様な有機溶媒を少量の添加でゲル化又は固化できる新規なフルオロアルカン誘導体、その化合物からなるゲル化剤及びそのゲル化剤を含むゲル状組成物を提供することができる。
本発明に係るフルオロアルカン誘導体の1H−NMRスペクトルを示すチャートである。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。本実施形態のフルオロアルカン誘導体は、パーフルオロアルキル(オリゴメチレン)スルホニル基と炭化水素オキシ基とを有する二量体型芳香族化合物である。当該化合物は炭化水素オキシ基中に更に酸素及び/又は硫黄原子を有し、具体的には上記一般式(1)で表される化合物(以下「化合物(1)」とも表記する。)である。
一般式(1)において、複数のZはそれぞれ独立に、置換又は無置換の核原子数5〜30の2価の芳香族炭化水素基を示す。その2価の芳香族炭化水素基は、いわゆる「芳香族性」を示す環式の2価の基である。この2価の芳香族炭化水素基は、炭素環式の基であっても複素環式の基であってもよい。これらの2価の芳香族炭化水素基は、置換基により置換されていてもよく、置換されていない無置換のものであってもよい。2価の芳香族炭化水素基の置換基は、後述のパーフルオロアルキル(オリゴメチレン)チオ基の導入及び炭化水素オキシ基の導入を容易に可能にする観点、あるいはゲル化剤の融点やゲル化能を最適化する観点から選択される。
炭素環式の基は、その核原子数が6〜30であり、置換基により置換されていてもよく、置換されていない無置換のものであってもよい。その具体例としては、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、アントラニレン基、フェナンスリレン基、ピレニレン基、クリセニレン基、フルオランテニレン基に代表される核を有する2価の基が挙げられる。また、炭素環式の基は、核原子数が8〜30の範囲内において、上述の2価の基を2つ以上(互いに同一であっても異なっていてもよい)有するものであってもよい。
複素環式の基は、その核原子数が5〜30であり、例えば、ピローレン基、フラニレン基、チオフェニレン基、トリアゾーレン基、オキサジアゾーレン基、ピリジレン基、ピリミジレン基、キノリン基、クマリン基に代表される核を有する2価の基が挙げられる。また、複素環式の基は、核原子数が8〜30の範囲内において、上述の2価の基を2つ以上(互いに同一であっても異なっていてもよい)有するものであってもよい。
これらの中でも、2価の芳香族炭化水素基として、置換又は無置換のフェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基及びアントラニレン基が好ましく、より好ましくは置換又は無置換のフェニレン基又はビフェニレン基である。原料の入手が容易であり、合成が容易である観点からはフェニレン基が好ましい。また、上記置換基としては、メチル基、エチル基に代表されるアルキル基及びハロゲン原子が挙げられる。
さらに、Zは、核原子数8〜30の範囲内において、上記炭素環式の基及び複素環式の基の両方を有する基であってもよい。
1及びR3は、単結合又は置換又は無置換の主鎖の炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示す。R1及びR3は互いに同一であっても異なってもよい。また、R1及びR3は2価の脂肪族炭化水素基であってもよく、更に置換基として、フェニル基などの1価の芳香族炭化水素基を有していてもよい。上記2価の炭化水素基が2価の脂肪族炭化水素基である場合、分岐していても分岐していなくても(直鎖状であっても)よい。また、上記2価の炭化水素基が置換基として1価の芳香族炭化水素基を有する場合、その芳香族炭化水素基が更に置換基を有していても有していなくてもよい。
無置換の2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基などの炭素数1〜6の分岐状又は直鎖状のアルキレン基、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシジメチレン基、オキシジエチレン基、オキシジプロピレン基などのオキシアルキレン基、チオメチレン基、チオエチレン基、チオプロピレン基、チオジメチレン基、チオジエチレン基、チオジプロピレン基などのチオアルキレン基が挙げられる。
1及びR3は、それぞれ独立に、炭素数2〜6の2価の炭化水素基であると好ましく、炭素数2〜4の2価の炭化水素基であると更に好ましい。また、R1及びR3は、それぞれ独立に、アルキレン基であると好ましく、炭素数2〜4のアルキレン基であるとより好ましい。
1及びR3が、それぞれ独立に、置換の2価の炭化水素基である場合、置換基としては、フェニル基などの1価の芳香族炭化水素基、メチル基、エチル基などの脂肪族アルキル基、脂肪族オキシアルキル基が挙げられる。
2は、置換又は無置換の主鎖の炭素数2〜18の2価の炭化水素基2つ以上と、酸素及び/又は硫黄原子1つ以上とを有する2価の基を示す。つまり、その主鎖にエーテル基(−O−)及び/又はチオエーテル基(−S−)を有する。R2の炭素数が2未満ではゲル化が困難になる傾向にあり、炭素数が18を超えると合成が困難になる傾向にある。R2としては、例えば、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシジメチレン基、オキシジエチレン基、オキシジプロピレン基などのオキシアルキレン基、チオメチレン基、チオエチレン基、チオプロピレン基、チオジメチレン基、チオジエチレン基、チオジプロピレン基などのチオアルキレン基、あるいは、オキシアルキレン単位及び/又はチオアルキレン単位が複数個結合した、オキシアルキレンの2価のオリゴマー鎖若しくはチオアルキレンの2価のオリゴマー鎖が挙げられる。R2は炭素数2〜12であることが好ましく、炭素数3〜12のアルキレン基、及び下記一般式(2)で表される2価の基であるとより好ましい。
−(R4−O)k−R4− (2)
ここで、式(2)中、R4は、炭素数1〜5のアルキレン基を示し、kは1〜5の整数を示す。
m及びnはそれぞれ独立に、2〜18の自然数を示し、4〜18の自然数であると好ましく、4〜10の自然数であるとさらに好ましい。n及びmの範囲を上記範囲に調整することで、化合物(1)は合成が容易でありながら、しかも高いゲル化能を示すと共に、ハンドリング性にも優れる化合物となる。また、n及びmは同一であっても異なってもよい。
化合物(1)は二量体構造を有しているので、単量体構造と比べて、ゲル化能が高くなる点で優れる。パーフルオロアルキル基のアルキル鎖が長くなるほど、フルオロアルカン誘導体はゲル化しやすい。しかしながら、原料入手の観点からは、パーフルオロアルキル基は短鎖の方が好ましい。化合物(1)は二量体であるので、パーフルオロアルキル基のアルキル鎖数を短くしても、ゲル状になる点で好ましい。また、化合物(1)は、二量体構造であるので、各官能基の選択や複数の化合物の混合などでゲル及びゾル間の転移温度の設計幅が広がる点でも有利である。例えば、室温に近い転移温度を有するように化合物(1)を設計すると、その化合物(1)からなるゲル化剤は、ハンドリング性に優れ扱いやすいゲルを形成することができる。一方、転移温度が高くなるように化合物(1)を設計すると、その化合物(1)からなるゲル化剤は、高温時でも劣化が起こり難い耐熱性に優れたゲルを形成することができる。特に、化合物(1)が二量体構造を有することにより、ゲル化の保持とハンドリング性とを兼ね備えたゲルを設計することができる点で優れている。
本実施形態の化合物(1)の製法は特に限定されるものではなく、任意の方法で化合物(1)を合成することができる。例えば、最初にパーフルオロアルキル(オリゴメチレン)スルホニル基と芳香族炭化水素基とを有する化合物を準備し、その化合物に対して炭化水素オキシ基をコネクターとして反応させることで化合物(1)を得ることができる。あるいは、2つの芳香族炭化水素基と炭化水素オキシ基とを有する化合物を準備し、その化合物の両端にパーフルオロアルキル(オリゴメチレン)スルホニル基を反応させることで化合物(1)を得ることもできる。
より具体的には、例えば、下記スキームにより、化合物(1)の1種である下記一般式(IV)で表される化合物を合成することができる。
すなわち、まず、市販品を入手可能な下記式(I)で表される化合物より、下記一般式(II)で表される化合物を下記のとおり合成する。
Figure 0005679262
次いで、上記式(II)で表される化合物を下記のとおり二量化して、式(III)で表される化合物を得る。
Figure 0005679262
ここで、式(III)で表される化合物はゲル化能を有することもあるが、更に下記反応式に示すように、チオエーテル部分を酸化し、スルホニル化することにより、化合物(1)の1種である下記式(IV)で表される化合物を得る。
Figure 0005679262
上記式(IV)で表される化合物では、化合物(1)におけるR3及びmが、それぞれR1及びnと同義である。
上記式(I)で表される化合物(4−ヒドロキシ−4’−メルカプトフェニル)を、4−ヒドロキシ−4’−メルカプトビフェニルに代えてもよく、フェニレン基を、それら以外の置換又は無置換の核原子数5〜30の2価の芳香族炭化水素基に代えたものであってもよい。また、上記式(II)で表される2個の化合物について、パーフルオロアルキル基の炭素数が互いに異なるものを用い(例えば、一方のnを異なる数値であるmに代え)てもよく、また、R1を、それとは異なる2価の炭化水素基であるR3に変更してもよい。ただし、確率的に両者が1対1のモル比で反応するとは限らないため、安定的に所望の化合物を得る観点から、式(II)で表される2個の化合物として互いに同一の化合物を用いるのが好ましい。
ただし、化合物(1)の製造方法は、上記方法に限定されるものではない。
本実施形態の化合物(1)は、有機溶媒をゲル化するゲル化剤として用いることができる。特に、多様な有機溶媒を少量の添加でゲル化又は固化できる点で、化合物(1)は有利である。さらに、化合物(1)は、従来のパーフルオロアルキル基を含有するゲル化剤と比較してパーフルオロアルキル鎖が短い範囲でもゲル化する点で優位である。また、化合物(1)は、一般的な原料を用い、簡易な合成法で合成できる点でも優れる。
本実施形態のゲル状組成物は、化合物(1)と有機溶媒とを含有する。
本実施形態のゲル状組成物に含まれる有機溶媒は特に限定されないが、室温で液体である有機溶媒を用いるのが一般的である。
そのような有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール及びオクタノールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル及びγ−ブチロラクトンなどの酸エステル類、ジメチルケトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン及びアセトンなどのケトン類、ペンタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン及びキシレンなどの炭化水素類、ジエチルエーテル及びテトラヒドロフランなどのエーテル類、ジメチルアセトアミド及びジメチルホルムアミドなどのアミド類、プロピレンカーボネートなどのカーボネート類、アセトニトリルなどのニトリル類、N−メチルピロリドン(NMP)などのラクタム類、シリコンオイル及び石油などの工業オイル類、食用油などが挙げられる。
これらの有機溶媒は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態のゲル状組成物は、その全量に対して化合物(1)を0.1〜10.0質量%含有すると好ましく、0.5〜7.0質量%含有するとより好ましい。この含有量は、ゲル化剤の機能の観点から0.1質量%以上であると好ましく、経済性、ハンドリング性及び有機溶媒が有する性能を発揮させるという観点から10.0質量%以下であると好ましい。
本実施形態のゲル状組成物は、その全量に対して有機溶媒を80.0〜99.9質量%含有すると好ましく、90.0〜99.5質量%含有するとより好ましい。この含有量が上記下限値以上であれば、有機溶媒が有する性能をより十分に発揮でき、上記上限値以下であると、化合物(1)がゲル化剤としてより十分に機能する。
本実施形態のゲル状組成物は、化合物(1)と有機溶媒に加えて、化合物(1)のゲル化剤としての機能を阻害しない範囲において他の成分を含有してもよい。そのような成分としては、例えば、化合物(1)以外のゲル化剤、凝固剤、増粘剤、安定剤、酸化防止剤、乳化剤、潤滑剤及び安全性向上添加剤などが挙げられる。
本実施形態のゲル状組成物の調製法は特に限定しないが、例えば、有機溶媒、ゲル化剤(すなわち化合物(1))及びその他の添加剤などを加熱しながら混合して均一な混合液にした後に当該混合液を降温することで調製できる。各成分の混合順は特に問わないが、予め有機溶媒と添加剤とからなる溶液を調製した後に、ゲル化剤を混合すると、より容易に均一な混合液になるため、好ましい。
本実施形態のフルオロアルカン誘導体は、フルオロアルカン鎖を短くしても、多様な有機溶媒に対して、例えば10質量%以下の少量の添加のみで、ゲル化又は固化することができる。また、本実施形態のフルオロアルカン誘導体は、二量体構造にしてもゲル化剤の溶媒への溶解温度が比較的低く、取扱い性に優れるゲルを作ることができる。しかも、これを用いたゲル状組成物は、比較的高い温度でゲルからゾルに転移するため,ゲルとして長期間、安定的に存在することが可能である。さらには、そのフルオロアルカン誘導体は、通常、水素結合性を有しないので、有機溶媒中、及び、水素結合が安定に存在できない系であっても、ゲル化剤の機能を確保するものである。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、ゲル状組成物の特性は下記のようにして測定、評価された。
(i)ゲル化剤の溶解温度の測定
容器内でゲル化剤と有機溶媒とを混合して加熱し、ゲル化剤が溶解して混合液が均一になる温度(加熱温度)を測定した。
(ii)ゲル化能の評価
「(i)ゲル化剤の溶解温度の測定」と同様にして均一な混合液を得た後に、25℃まで降温してサンプル液を得た。その容器を25℃の環境下で30分静置後、サンプル液が収容された状態で容器を上下逆にして、その際の流動性を確認することでゲル化能を評価した。流動性を失っているものをゲル化した「ゲル状組成物」と認め、「○」と評価し、そうでないものを「×」と評価した。なお、有機溶媒に対してゲル化剤を5質量%添加して評価した。
(iii)ゲルの安定性評価
「(ii)ゲル化能の評価」で調製したサンプル液(ゲル化剤の濃度は、ゲル状組成物にするために必要なゲル化剤の最低濃度)を25℃で3日間静置し、ゲルの様子を目視で判断し、下記のように評価した。なお、流動性の確認はサンプル液を収容した容器を上下逆にして、その際の流動性を確認することによって行った。
○:静置後もゲルとして安定に存在した。
△:静置後はゲルから少量の有機溶媒が染み出した。
×:静置後は流動性を再発現したか、あるいは、ゲル化剤と有機溶媒とが相分離した。
(実施例1〜2、参考例1〜2、比較例1〜2)
ゲル化剤として、下記式(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)で表される化合物、並びに下記(F)の化合物であるPVDF−HFP(HFPの共重合比10質量%)に対して、表1〜3に示す各種有機溶剤を上述のように混合してサンプル液を得た。そのサンプル液について、上述のようにして各種評価を行った。結果を表1及び2に示す。
Figure 0005679262
なお、上記式(A)で表される化合物(化合物(A)という。以下同様。)は、下記のようにして合成され、その他の化合物(ただし、上記式(E)で表される化合物及びPVDF−HFPを除く。)もこれに準じて合成された。上記式(E)で表される化合物は国際公開第2009/078268号に記載の合成法に準拠して合成し、PVDF−HFPは、市販品を入手した。
まず、上記式(I)で表される化合物1当量の入った反応容器に、1.2当量のC61324Iと1.5当量のK2CO3とを添加して、反応温度50℃で反応させた。得られた反応生成物を精製した後、その反応生成物2当量の入った反応容器に、1当量のBrC24OC24Brと1.5当量のK2CO3とを添加して、反応温度110℃で反応させた。得られた反応生成物を精製した後、その反応生成物1当量の入った反応容器に、2当量のH22と氷酢酸とを添加して、反応温度70℃で反応させた。得られた反応生成物を精製した後、その反応生成物を1H−NMRにより確認した結果、上記式(A)で表される化合物であることが分かった。その1H−NMRスペクトルチャートを図1に示す。
Figure 0005679262
Figure 0005679262
本発明のフルオロアルカン誘導体、ゲル化剤及びゲル状組成物は、各種産業分野(例えば塗料、化粧品、医薬医療、石油流出処理など)において、液体状物質を固化させるために使用することができる。

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)で表されるフルオロアルカン誘導体からなるゲル化剤
    m2m+11−SO2−Z−O−R2−O−Z−SO2−R3n2n+1 (1)
    (式中、複数のZはそれぞれ独立に、置換又は無置換の核原子数5〜30の2価の芳香族炭化水素基を示し、R1及びR3はそれぞれ独立に、単結合又は飽和若しくは不飽和の炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示し、R2は、置換又は無置換の炭素数2〜18の2価の炭化水素基2つ以上と、主鎖に位置するエーテル基及び/又はチオエーテル基1つ以上とからなる2価の基を示し、m及びnはそれぞれ独立に、2〜18の自然数を示す。)
  2. 請求項に記載のゲル化剤と、有機溶媒と、を含有するゲル状組成物。
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