JP5679217B2 - T細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体の製造方法、T細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体を産生する遺伝子組換えカイコおよびその製造方法 - Google Patents

T細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体の製造方法、T細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体を産生する遺伝子組換えカイコおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、遺伝子組換えカイコを用いた、T細胞非依存性抗原に対するIgM型抗体と同様の反応性を有するT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体の製造方法に関する。本発明はさらに、T細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体を生産するカイコおよびその製造方法に関する。本発明は、また、T細胞非依存性抗原であるシアリルルイスX(シアリルLex)に対する抗体をコードするDNAおよびこのDNA配列を含む遺伝子組換えベクターに関する。
抗原は、T細胞依存性抗原とT細胞非依存性抗原の2つに分類することができる。このうちT細胞依存性抗原は、免疫応答にT細胞の助けを必要とする抗原であり、タンパク質等が含まれる。一方、T細胞非依存性抗原とは、T細胞の必要なしに免疫応答を誘導する抗原であり、炭水化物や脂質等が含まれる。
抗体にはIgG、IgM、IgA,IgDおよびIgEクラスが存在する。T細胞依存性抗原とT細胞依存性抗原では、それぞれの抗原に対して免疫応答により産生される抗体のクラスが異なる。T細胞依存性抗原に対する免疫応答では、免疫応答初期にはIgMクラスに属する抗体(以下、IgM型抗体ということもある)が産生される。その後、T細胞の助けを受けて、抗体のクラスがIgMからIgG等に変換されるクラススイッチが起こり、T細胞依存性抗原に対する免疫応答では、多くの場合、最終的にT細胞依存性抗原に対するIgGクラスに属する抗体(以下、IgG型抗体ということもある)が産生されるようになる。一方、T細胞非依存性抗原への免疫応答では、T細胞が免疫応答に関与しないため、IgG型抗体へのクラススイッチが起こらない。そのため、T細胞非依存性抗原に対する抗体を作成する場合、IgMクラスに属する抗体しか得られない。つまり、T細胞依存性抗原に対するIgG型抗体を得る場合と比較して、T細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体を作成することは困難である。
T細胞非依存性抗原である糖鎖抗原の中には、腫瘍マーカーが多数確認されている。ここで腫瘍マーカーとは、癌細胞に特異的に、または、多量に発現する特徴を持つ。実際、糖鎖抗原である腫瘍マーカーに対する抗体を用いた癌の診断は広く行われている。例えば、癌の診断に用いられている、糖鎖抗原の腫瘍マーカーとしては、CSLEX、KM93,NCC−ST−439、CA19−9、CA50、KM01、Span−1、KM231、CA195、SLA2−6、DU−PAN−2、SLX、CA72−4、STN等が使用されている。このうち、CSLEX、KM93及びNCC−ST−439は、腫瘍マーカーの免疫測定に用いられる抗体により区別されているが、いずれもシアリルLex抗原である。同様に、CA19−9、CA50、KM01、Span−1、KM231、CA195及びSLA2−6はいずれもシアリルルイスA(シアリルLea)抗原である。また、CA72−4及びSTNはいずれもシアリルTn抗原である。
例えば、シアリルLexは、癌細胞表面に存在し、血管内皮細胞の細胞接着分子E−セレクチンと結合して、癌細胞の血管内皮細胞への接着及び転移巣の形成に寄与するものであり、生体内シアリルLexのレベル上昇は細胞の癌化の指標となる。
このシアリルLexを認識するモノクローナル抗体としてCSLEX1(以下、CSLEX1抗体ということもある)が知られている(特許文献1参照)。このCSLEX1抗体は、ハイブリドーマCSLEX1(寄託番号ATCC No.HB8580)により産生されるIgM型抗体である。このハイブリドーマから得られたCSLEX1抗体は、胃癌、結腸癌、肺癌、食道癌、卵巣癌、胸癌、膀胱癌、膵臓癌などの腫瘍組織に対して明瞭な陽性染色像を示すことが開示されている(特許文献1参照)。このCSLEX1抗体を用いると、癌患者血清中に含まれるシアリルLex量を、ELISA法で定量することが可能となる。特に、マイクロタイタープレートを用いた汎用性のあるシアリルLexのELISA測定系を用いることで、再発乳癌の発症や再発乳癌の術後経過観察を高い陽性率でスクリーニングをすることが可能とされている(非特許文献1参照)。そのため、このELISA測定キットは、現在、診断薬の分野で実用化され販売されている。
また、癌診断においては、1つの糖鎖抗原である腫瘍マーカーを用いた場合には偽陰性等が生じるため、複数の腫瘍マーカーを組み合わせて診断することが行われている。例えば、糖鎖抗原である腫瘍マーカーであるCA19−9とCA72−4を組み合わせて使用することによる診断精度の向上(非特許文献2)が確認されている。
米国特許第4752569号明細書
癌の臨床、第45巻、第3号、195−201頁 REV. HOSP. CLIN. FAC. MEED. S. PAULO,Vol. 46,No. 3,p.89-92,2002
腫瘍マーカーとして用いられるT細胞非依存性抗原である糖鎖抗原を免疫原として作成される抗体はIgM抗体となる。このIgM型抗体は、ProteinA等のアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製可能なIgG型抗体と比較して、精製が困難である。癌等の診断においては、特に抗原抗体反応の高い特異性およびそれに起因する信頼性が求められる。そのため、IgM型抗体の精製が困難であり不純物が混入する可能性が高いことは、診断におけるIgM型抗体の使用を制限してしまう。また、診断用途での使用が可能となる程度のIgM型抗体の純度を確保するためには、煩雑な精製作業が必要であり、抗体の商業的利用の妨げとなる。したがって、特に癌等の診断に用いるためには、精製が容易で純度を高めやすいという特徴をもつ、T細胞非依存性抗原、特に腫瘍マーカーである糖鎖抗原に対するIgG型抗体が不可欠である。また、癌診断においては複数の腫瘍マーカーが組み合わされて用いられ、新たな高い信頼度を示すマーカーの組合せが求められていることから、診断に利用可能なIgG型抗体の種類を増加させ、その生産量を増大させることも必要である。
T細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体を得る方法として、例えば、T細胞非依存性抗原およびT細胞依存性タンパク質キャリアを含む組成物でT細胞依存性免疫応答を誘導する方法(WO2007/039583号パンフレット)等が提案されている。しかしながら、この方法では、新規なIgG型抗体を産生するハイブリドーマを得るのに長期間を要する場合があり、かつ確実にIgG型抗体のみを得られるわけではない。また、この方法では、既存のIgM型抗体をIgG型として活用することはできなかった。さらには、この方法によりIgG型抗体を産生するハイブリドーマは得られるものの、抗体産生能の高いハイブリドーマを継代させることは比較的困難であり、IgG型抗体を長期間にわたって大量にかつ安定的に生産することは困難であった。一方、特に糖鎖抗原である腫瘍マーカーを複数組み合わせて用いる癌診断の場合には複数種類の抗体が高純度でかつ多量に必要になる。したがって、この方法では既存抗体や新規抗体を効率的に利用できないので、特に癌診断分野における腫瘍マーカーに対する抗体の需要に十分応えること困難であった。
一方、タンパク質を大量に生産する宿主としては、大腸菌が用いられる場合が多く、大腸菌を用いた抗体製造も検討されている。しかしながら、抗体の重鎖定常領域は一般的に大腸菌の細胞質内で難溶性であり、不溶性粒子を構成してしまう。つまり、IgG型抗体の重鎖定常領域も細胞質内で難溶性であり、大腸菌に製造されたIgG型抗体も不溶性粒子を構成してしまう。ここで、IgG型抗体の重鎖定常領域は抗体の簡便な精製に重要な役割を果たす。そのため、重鎖定常領域を持たない抗体断片の大腸菌を用いた製造は可能であるが、簡便に精製可能であるIgG型抗体の効率的な生産は大腸菌では困難であった。
本発明者らは、タンパク質に対する抗体をコードするDNAをカイコに導入し、得られた遺伝子組換えカイコに抗体を製造させることに成功していた(WO2007/046439号パンフレット)。しかしながら、遺伝子組換え手法でIgM型抗体をIgG型抗体に変換して製造した場合に、製造されたIgG型抗体がIgM型抗体と同様の反応性を有する保証はなかった。IgM型抗体は、2本の重鎖と2本の軽鎖からなる抗体ユニットが5つ結合して構成される。一方、IgG型抗体は1つの抗体ユニットから構成される。遺伝子組換え手法でIgM型抗体から変換されたIgG型抗体は、元来抗原に対して強い親和性を有しないIgM型抗体に5つある抗体ユニットのうちの1つに実質的に相当するに過ぎない。そのため、元々弱い抗原への親和性がさらに低下し、その元となったIgM型抗体が有していた抗原反応性をIgG型抗体が喪失するおそれがあった。
この実状に鑑み、本発明の課題は、T細胞非依存性抗原を免疫原としてモノクローナル抗体を作成した場合に得られるT細胞非依存性抗原に対するIgM型抗体と同様の反応性を有し、かつ精製が容易なT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体を、ハイブリドーマによらずに、安定的かつ効率的に製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、前記した課題を解決することを目的として鋭意研究した結果、先ず、ハイブリドーマにより産生されるT細胞非依存性抗原に対するIgM抗体の重鎖および軽鎖が有する相補性決定領域(以下、CDRということもある)のアミノ酸配列を明らかにした。次いで、T細胞非依存性抗原に対するIgG抗体をコードするDNAを設計した。設計されたDNA配列は、重鎖相補性決定領域を含む重鎖可変領域をコードするDNA配列とIgG型抗体の重鎖定常領域をコードするDNA配列とを結合させたDNA配列、および軽鎖相補性決定領域を含む軽鎖可変領域をコードするDNA配列と任意の軽鎖定常領域をコードするDNA配列とを結合させたDNA配列を含む。次いで、このDNAをカイコに導入して遺伝子組換えカイコを作成した。次いで、この作成した遺伝子組換えカイコによって、設計したDNA配列がコードする抗体が分泌されること、および、分泌物から安定的に回収可能な該抗体が精製が容易なIgG型抗体であることを確認した。さらに、驚くべきことに、IgM型抗体を変換して設計され、カイコにより産生されたIgG型抗体のT細胞非依存性抗原への反応性がハイブリドーマにより産生される元のIgM型抗体と同様であり、かつELISA法等の免疫測定法により該抗原の定量が可能な程度に反応性が十分に高いことを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
従って、本発明は、以下の[1]から[24]に挙げる、遺伝子組換えカイコを用いたT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体の製造方法等に関する。
[1].T細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体の製造方法であって;
T細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体は、
(i)H鎖可変領域中に含まれる相補性決定領域として、T細胞非依存性抗原に対するIgM型抗体のH鎖可変領域が有する相補性決定領域であるHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含むH鎖可変領域と、
(ii)L鎖可変領域中に含まれる相補性決定領域として、T細胞非依存性抗原に対するIgM型抗体のL鎖可変領域が有する相補性決定領域であるLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含むL鎖可変領域と、
(iii)IgG型抗体のH鎖定常領域
とを有し;
該製造方法は、該抗体をコードするDNAが導入された遺伝子組換えカイコから生産される該抗体を回収して製造することを含む、T細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体の製造方法。
[2].前記T細胞非依存性抗原が腫瘍マーカー糖鎖抗原である[1]に記載の製造方法。
[3].前記T細胞非依存性抗原がシアリルルイスX(シアリルLex)である[1]に記載の製造方法。
[4].シアリルLexに対するIgG型抗体の製造方法であって;
シアリルLexに対するIgG型抗体は、
(i)H鎖可変領域中に含まれる相補性決定領域として、HCDR1、HCDR2およびHCDR3がそれぞれ配列番号26、27および28に示されるアミノ酸配列、または、シアリルLexに対する特異的結合能力を失わない限りにおいて、該配列において1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むH鎖可変領域と、
(ii)L鎖可変領域中に含まれる相補性決定領域として、LCDR1、LCDR2およびLCDR3がそれぞれ配列番号29、30および31に示されるアミノ酸配列、または、シアリルLexに対する特異的結合能力を失わない限りにおいて、該配列において1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むL鎖可変領域
とを有し;
該製造方法は、該抗体をコードするDNAが導入された遺伝子組換えカイコから生産される該抗体を回収して製造することを含む、シアリルLexに対するIgG型抗体の製造方法である、[3]に記載の製造方法。
[5].前記シアリルLexに対するIgG型抗体が、
(i)H鎖可変領域中に含まれるフレームワーク領域として、HFR1、HFR2、HFR3およびHFR4としてそれぞれ配列番号32、33、34および35に示されるアミノ酸配列、または、シアリルLexに対する特異的結合能力を失わない限りにおいて、該配列において1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と70%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むH鎖可変領域と
(ii)L鎖可変領域中に含まれるLFR1、LFR2、LFR3およびLFR4として、それぞれ配列番号36、37、38および39に示されるアミノ酸配列、または、シアリルLexに対する特異的結合能力を失わない限りにおいて、該配列において1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と70%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むL鎖可変領域
とを有する抗体である、[4]に記載の製造方法。
[6].前記遺伝子組換えカイコが、
(i)カイコ由来の絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子をコードするDNA、および、
(ii)該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した前記T細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体をコードするDNA
が導入されたカイコである、[1]から[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7].前記遺伝子組換えカイコが、
(i)カイコ由来の絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子をコードするDNAが導入されたカイコと、
(ii)該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した前記T細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体をコードするDNAが導入されたカイコ
とを交配させることで得られたカイコである、[1]から[7]のいずれかに記載の製造方法。
[8].シアリルLexに対する抗体をコードするDNAであって;
シアリルLexに対する抗体は、
(i)H鎖可変領域中に含まれる相補性決定領域としてHCDR1、HCDR2およびHCDR3がそれぞれ配列番号26、27および28に示されるアミノ酸配列、または、シアリルLexに対する特異的結合能力を失わない限りにおいて、該配列において1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むH鎖可変領域と、
(ii)L鎖可変領域中に含まれる相補性決定領域としてLCDR1、LCDR2およびLCDR3がそれぞれ配列番号29、30および31に示されるアミノ酸配列、または、シアリルLexに対する特異的結合能力を失わない限りにおいて、該配列において1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むL鎖可変領域
とを有し;
かつ、該DNAが該抗体をコードするDNA。
[9].前記シアリルLexに対する抗体が、
(i)H鎖可変領域中に含まれるフレームワーク領域としてHFR1、HFR2、HFR3およびHFR4としてそれぞれ配列番号32、33、34および35に示されるアミノ酸配列、または、シアリルLexに対する特異的結合能力を失わない限りにおいて、該配列において1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と70%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むH鎖可変領域と、
(ii)L鎖可変領域中に含まれるLFR1、LFR2、LFR3およびLFR4がそれぞれ配列番号36、37、38および39で表されるアミノ酸配列、または、シアリルLexに対する特異的結合能力を失わない限りにおいて、該配列において1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と70%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むL鎖可変領域
とを有する抗体である、[8]に記載のDNA。
[10].配列番号21に示されるアミノ酸配列を含むH鎖可変領域と、配列番号25に示されるアミノ酸配列を含むL鎖可変領域とを有する抗体をコードするDNAである、[9]に記載のDNA。
[11].H鎖可変領域をコードする配列番号20に示される塩基配列と、L鎖可変領域をコードする配列番号24に示される塩基配列とを含む、[10]に記載のDNA。
[12].[8]から[11]のいずれかに記載のDNAのDNA配列を含む遺伝子組換えベクター。
[13].前記DNA配列が、カイコ由来の絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合されている、[12]に記載の遺伝子組換えベクター。
[14].遺伝子組換えカイコであって、
(i)H鎖可変領域中に含まれる相補性決定領域として、T細胞非依存性抗原に対するIgM型抗体のH鎖可変領域が有する相補性決定領域であるHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含むH鎖可変領域をコードするDNAと、
(ii)L鎖可変領域中に含まれる相補性決定領域として、T細胞非依存性抗原に対するIgM型抗体のL鎖可変領域が有する相補性決定領域であるLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含むL鎖可変領域をコードするDNAと、
(iii)IgG型抗体のH鎖定常領域をコードするDNA
とを含むT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体をコードするDNAが導入され、かつ、前記T細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体を生産する遺伝子組換えカイコ。
[15].前記T細胞非依存性抗原が腫瘍マーカー糖鎖抗原である[14]に記載の遺伝子組換えカイコ。
[16].前記T細胞非依存性抗原がシアリルLexである[14]に記載の遺伝子組換えカイコ。
[17].[8]から[11]のいずれかに記載のシアリルLexに対する抗体をコードするDNAが導入され、かつ、シアリルLexに対するIgG型抗体を生産する遺伝子組換えカイコである、[16]に記載の遺伝子組換えカイコ。
[18].(i)カイコ由来の絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子をコードするDNAと、
(ii)該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した前記T細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体をコードするDNA
とが導入された、[14]から[17]のいずれかに記載の遺伝子組換えカイコ。
[19].遺伝子組換えカイコの製造方法であって、
(i)H鎖可変領域中に含まれる相補性決定領域として、T細胞非依存性抗原に対するIgM型抗体のH鎖可変領域が有する相補性決定領域であるHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含むH鎖可変領域をコードするDNAと、
(ii)L鎖可変領域中に含まれる相補性決定領域として、T細胞非依存性抗原に対するIgM型抗体のL鎖可変領域が有する相補性決定領域であるLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含むL鎖可変領域をコードするDNAと、
(iii)IgG型抗体のH鎖定常領域をコードするDNAと
を含むT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体をコードするDNAをカイコに導入することを含む、T細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体を生産する遺伝子組換えカイコの製造方法。
[20].前記T細胞非依存性抗原が腫瘍マーカー糖鎖抗原である[19]に記載の遺伝子組換えカイコの製造方法。
[21].前記T細胞非依存性抗原がシアリルLexである[19]に記載の遺伝子組換えカイコの製造方法。
[22].[8]から[11]のいずれかに記載のシアリルLexに対する抗体をコードするDNAをカイコに導入することを含む、シアリルLexに対するIgG型抗体を生産する遺伝子組換えカイコの製造方法である、[21]に記載の遺伝子組換えカイコの製造方法。
[23].(i)カイコ由来の絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子をコードするDNAと、
(ii)該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した前記T細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体をコードするDNA
とをカイコに導入することを含む、[19]から[22]のいずれかに記載の遺伝子組換えカイコの製造方法。
[24].(i)カイコ由来の絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子をコードするDNAが導入されたカイコと、
(ii)該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した前記T細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体をコードするDNAが導入されたカイコ
とを交配させてDNAを導入することを含む、[23]に記載の遺伝子組換えカイコの製造方法。
本発明のT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体の製造方法により、T細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体を安定的かつ効率的に生産可能である。この本発明の製造方法により大量に製造可能なT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体は、T細胞非依存性抗原を免疫して得られるT細胞非依存性抗原に対するIgM型抗体と同様の反応性を有し、かつ精製が容易である。この方法により得られたT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体は、精製が容易であるため純度を高めやすく、ELISA法等の免疫学的測定方法に利用可能である。
本発明のT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体の製造方法により、既存のまたは新たに作成されもしくは見出されるT細胞非依存性抗原に対するIgM型抗体を、精製が容易で純度を高めやすいIgG型抗体に変換して効率的に生産することができる。そのため、複数の疾病マーカーを組み合わせて行われる癌等の診断では複数種類の抗体が高純度でかつ多量に必要になる場合があるが、本発明の効率的な抗体の製造方法は、T細胞非依存性抗原に対する抗体の癌等の診断での利用を促進することができる。
pBacN/loxP−UAS−CSLEXL−SV40UTRベクターの構築工程を示した図である。 pDNR/UAS−CSLEXH−SV40UTRベクターの構築工程を示した図である。 カイコ形質転換用ベクターpBacN/loxP−UAS−CSLEXL−UAS−CSLEXHの構築工程を示した図である。 本発明の抗体の製造方法により得られたIgGクラスに属するCSLEX1抗体(以下、IgG型CSLEX1抗体ということもある)の陰イオン交換クロマトグラフィーを用いた精製結果を示した図である。横軸は、フラクション番号を、縦軸はフラクション中のIgG型CSLEX1抗体のシアリルLexに対する反応性に比例する波長450nmにおける吸光度、または、フラクション中のタンパク質濃度に比例する波長280nmにおける吸光度(mABU)を表している。白丸および実線により、波長450nmにおける吸光度により表されるフラクション中の本発明の抗体の製造方法により得られたIgG型CSLEX1抗体のシアリルLexに対する反応性が示される。一方、黒丸および破線により、波長280nmにおける吸光度により表されるフラクション中のタンパク質濃度が示されている。 本発明の抗体の製造方法により得られたIgG型CSLEX1抗体と比較例であるIgMクラスに属するCSLEX1抗体(以下、IgM型CSLEX1抗体ということもある)をそれぞれ用いてサンドイッチELISA測定系により検体中のシアリルLexを測定したときの検量線を示した図である。横軸は、抗原シアリルLex試料濃度(U/ml)、縦軸は波長450nmにおける吸光度を表している。実線が本発明の抗体の製造方法で得られたIgG型CSLEX1抗体を用いたときの検量線を示し、破線が比較例であるIgM型CSLEX1抗体を用いたときの検量線を示している。
以下、本明細書において、「本発明の抗体の製造方法に用いられる遺伝子組換えカイコ」に関する記載は、「本発明で提供される遺伝子組換えカイコ」および「本発明の遺伝子組換えカイコの製造方法により得られる遺伝子組換えカイコ」にも同様にあてはまるものである。
本発明においては、T細胞非依存性抗原とは、T細胞の必要なしに宿主で免疫応答を誘導できる抗原である。本発明におけるT細胞非依存性抗原に対するモノクローナル抗体をハイブリドーマにより作成する場合、IgM型抗体が産生される。また、本発明におけるT細胞非依存性抗原は、好ましくは、腫瘍マーカーとして機能し、すなわち、細胞の癌化により量的または質的な変化が生じる。
本発明におけるT細胞非依存性抗原としては、例えば、糖鎖(多糖類、オリゴ糖類または単糖類)、脂質、糖脂質、リン脂質、リポ多糖類、キャリヤーコンジュゲートおよびファージを挙げることができる。腫瘍マーカーとしての機能を有する抗原が多いことから、本発明におけるT細胞非依存性抗原は、糖鎖抗原であることが好ましく、腫瘍マーカー糖鎖抗原であることがさらに好ましい。なお、本発明における糖鎖抗原は、通常、生体内でタンパク質または脂質等に結合して存在する。また、本発明における糖鎖抗原には、シアル酸またはフコース等で修飾された糖鎖が含まれる。
本発明においては、腫瘍マーカー糖鎖抗原とは、腫瘍マーカーとして機能し、細胞の癌化により量的または質的な変化が生じる糖鎖抗原である。本発明における腫瘍マーカー糖鎖抗原としては、シアリルLex、シアリルLex−i、シアリルLea、シアリルルイスC(シアリルLec)、シアリルTn、ルイスY(Ley)が挙げられる。ここで、シアリルLexには、KM93、CSLEX、NCC−ST−439が含まれる。また、シアリルLex−iにはSLXが含まれる。また、シアリルLeaには、CA19−9、CA50、KM01、SPan−1、KM231、CA195、SLA2−6が含まれる。また、シアリルLecには、DU−PAN−2が含まれる。また、シアリルTnには、CA72−4、STNが含まれる。本発明における腫瘍マーカー糖鎖抗原としては、腫瘍マーカーとしての有用性が特に高いため、シアリルLexが好ましい。また、シアリルLexの中では、CSLEXが特に好ましい。
本発明においては、T細胞非依存性抗原に対するIgM型抗体とは、T細胞非依存性抗原を含む免疫原に応答するB細胞またはこのB細胞に由来するハイブリドーマが産生する抗体であって、IgMクラスに属し、T細胞非依存性抗原に特異的に結合し、かつ、その抗原抗体反応が抗原依存性を示す抗体である。なお、T細胞非依存性抗原に対する免疫応答では生体内で抗体クラススイッチが起こらないので、T細胞非依存性抗原を含む免疫原に応答するB細胞またはこのB細胞に由来するハイブリドーマはIgM型抗体を一般的に産生する。
本発明においては、T細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体とは、前述した本発明におけるT細胞非依存性抗原に対するIgM型抗体と同様の抗原反応性を有し、IgGクラスに属する抗体である。
本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体は、重鎖(以下、H鎖ということもある)可変領域、軽鎖(以下、L鎖ということもある)可変領域およびH鎖定常領域に特徴を有する。すなわち、本発明の、T細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体は、重鎖可変領域中に含まれる相補性決定領域として、T細胞非依存性抗原に対するIgM型抗体のH鎖可変領域中の3つのH鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)を含むH鎖可変領域と、軽鎖可変領域中に含まれる相補性決定領域として、T細胞非依存性抗原に対するIgM型抗体のL鎖可変領域中の3つのL鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)を含むL鎖可変領域とを有するので、T細胞非依存性抗原に対するIgM型抗体と同様の抗原反応性を有する。また、本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体は、IgG型抗体のH鎖定常領域を有するので、IgGクラスに属する。なお、IgG型抗体のH鎖定常領域は、任意の生物のIgG型抗体のH鎖定常領域から選択可能であるが、H鎖可変領域およびL鎖可変領域の由来生物種と同一の生物種のIgG型抗体のH鎖定常領域であることが好ましい。
ここで、T細胞非依存性抗原IgM型抗体の相補性決定領域は、例えば、そのアミノ酸配列を解析し、複数の抗体のアミノ酸配列との間で配列比較を行うことで決定することができる。
T細胞非依存性抗原に対するIgM型抗体が有する相補性決定領域としては、例えば、表1に示すアミノ酸配列が挙げられる。
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本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体としては、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ロバ、ヤギ、ウマ、トリ、イヌ、ネコなどに由来する抗体を挙げられるが、好ましくは、マウス由来の抗体である。
本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体としては、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4といったサブクラスに属する抗体が挙げられるが、好ましくは、IgG1サブクラスに属する抗体(以下、IgG1型抗体ということもある)である。なぜなら、IgG1型抗体であれば、Protein A、Protein G、rProtein A、rProtein Gのいずれかをリガンドとしたアフィニティークロマトグラフィーを利用することで、抗体の精製を容易に行うことができるからである。
本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体は、L鎖に関しては、κ鎖、λ鎖のいずれでもよい。
本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体の「抗体のサブクラス」は、該抗体の定常領域を構成するアミノ酸配列に応じて決定される。したがって、本発明の抗体の製造方法により得ようとするT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体の「抗体のサブクラス」に応じて、該抗体のH鎖定常領域を構成するアミノ酸配列を選択する。
本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体の「抗体のサブクラス」としては、IgG1が好ましい。なぜなら、前述の通り、IgG1型抗体であれば、その精製が容易だからである。
したがって、本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体のH鎖定常領域としては、好ましくは、IgG1型抗体のH鎖定常領域、例えば、マウスIgG1型抗体のH鎖定常領域が挙げられ、配列番号41に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドが具体的な一態様として挙げられる。
一方、本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体のL鎖定常領域は、任意の生物のIgG型抗体のL鎖定常領域から選択可能であるが、H鎖定常領域の由来生物種と同一の生物種のIgG型抗体のL鎖定常領域であることが好ましい。また、κ鎖定常領域、λ鎖定常領域のいずれでもよいが、例えば、配列番号55に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドが挙げられる。
本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体のH鎖定常領域またはL鎖定常領域は、配列番号41または55に挙げられるアミノ酸配列において、機能的に同等な限りにおいて、1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と一定の相同性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。ここで、一定の相同性としては、例えば、70%以上の相同性が挙げられ、好ましくは80%以上の相同性、より好ましくは90%以上の相同性が挙げられる。
ここで「機能的に同等」とは、変異を有しないアミノ酸配列からなるタンパク質/ポリペプチドと、変異を有するアミノ酸配列からなるタンパク質/ポリペプチドとが、同様の生物学的あるいは生化学的性質を有することを意味する。より具体的には、そのような変異を有するアミノ酸配列からなるタンパク質/ポリペプチドを用いて本発明の製造方法により得られる、T細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体が、T細胞非依存性抗原に対して意図する反応性や特異性において同様の性質を有することを意味する。
本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体において、H鎖およびL鎖は前記可変領域と定常領域とが連結されて構成される。ここで、可変領域と定常領域を連結する連結領域を有してもよい。本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体において、例えばH鎖に関しては、連結領域を有さない。一方、L鎖に関しては、例えば、配列番号53に示されるアミノ酸配列を含む連結領域を有する。
この本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体のL鎖に用いられる連結領域は、配列番号53に挙げられるアミノ酸配列において、機能的に同等な限りにおいて、1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と一定の相同性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。ここで、一定の相同性としては、例えば、70%以上の相同性が挙げられ、好ましくは80%以上の相同性、より好ましくは90%以上の相同性が挙げられる。
本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体は、可変領域をコードするDNA配列全てを用いるのに代えて、可変領域中のCDRをコードするDNA配列と、前記した可変領域のフレームワーク領域とは異なるフレームワーク領域をコードするDNA配列とを連結させたDNA配列を用いた、CDR移植抗体でもよい。CDR移植抗体の作成法としては、WO98/13388号パンフレット開示の方法を利用できる。また、CDRを介して連結される他の抗体のフレームワーク領域のアミノ酸は、相補性決定領域が良好な抗原結合部位を形成するように、置換、欠失等によって変異してもよい。
本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体において、遺伝子組換えカイコでそれぞれ独立に翻訳された該抗体のH鎖とL鎖は、本来抗体分子を有さないカイコの成体内であっても、それぞれに含まれるシステイン残基間にジスルフィド結合を形成し、適切な構造をとる。
本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体をコードするDNAは、シグナル配列をコードするDNAを有すことが好ましく、H鎖可変領域をコードするDNA、および、L鎖可変領域をコードするDNAの5´末端にシグナル配列をコードするDNAを有することがより好ましい。
シグナル配列とは、分泌タンパク質や膜内在性タンパク質が、小胞体膜結合性のリボソーム上で合成された後に、脂質2重層を通り抜けるのに必要な、タンパク質のN末端に存在するアミノ酸残基であり、本発明においては、この機能を有する配列であれば特に限定されるものではない。本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体をコードするDNAが含みうるシグナル配列をコードするDNAとしては、例えば、動物由来のシグナル配列や動物抗体由来のシグナル配列をコードするDNAが挙げられる。ここで、動物としては、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ロバ、ヤギ、ウマ、トリ、イヌ、ネコ、酵母、昆虫が挙げられる。シグナル配列としては、例えば、IgM型CSLEX1抗体のシグナル配列、ヒト酸性フォスファターゼのシグナル配列、マウスイムノグロブリンκ鎖のシグナル配列、および、マウスIgG1型抗体のシグナル配列が挙げられる。シグナル配列の具体的な一態様としては、H鎖に関するシグナル配列としては配列番号19で表されるアミノ酸配列を含むペプチド、一方、L鎖に関するシグナル配列としては配列番号23に表されるアミノ酸配列を含むペプチドが挙げられる。ここで、これらのシグナル配列を有することで、遺伝子組換えカイコにおいて、抗体の分泌組織、例えば、絹糸腺や脂肪体、への移行が促進される。
配列番号19で表されるアミノ酸配列を含むペプチド、L鎖に関するシグナル配列は配列番号23に表されるアミノ酸配列を含むペプチドとしては、さらに、これらの配列において、機能的に同等であれば、1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有してもよい。なお、その他のシグナル配列のアミノ酸配列は各種文献に記載され公知である。
本発明の抗体の製造方法に用いられる遺伝子組換えカイコは、抗体分子を元来有しないのにもかかわらず、本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体が翻訳された時点ではシグナル配列を有していたとしても、該抗体がカイコの分泌物から回収される際には、シグナル配列は除去される。
本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体を原材料として、抗体断片の製造が可能である。ここで抗体断片としては、Fab、Fab’、F(ab’)が挙げられる。
Fabは、IgG型抗体をタンパク質分解酵素パパインで処理して得られる断片のうち、H鎖のN末端側約半分とL鎖全体がジスルフィド(S−S)結合で結合した分子量約5万Daの抗原に対する特異的結合能力を有する抗体断片である。
F(ab’)は、IgG型抗体をタンパク質分解酵素ペプシンで処理して得られる断片のうち、Fabがヒンジ領域のS−S結合を介して結合されたものよりやや大きい、分子量約10万Daの抗原に対する特異的結合能力を有する抗体断片である。
Fab’は、前記F(ab’)に還元剤ジチオスレイトール処理等を行い、前記F(ab’)のヒンジ領域のS−S結合を切断した分子量約5万Daの抗原に対する特異的結合能力を有する抗体断片である。
以下、T細胞非依存性抗原がシアリルLexの場合を代表例として、本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体について説明するが、それ以外のT細胞非依存性抗原の場合も、アミノ酸配列を変更して同様の説明を適用することができる。ここで、シアリルLex以外のT細胞非依存性抗原に対する抗体のアミノ酸配列は、例えば、表1に記載したアミノ酸配列などが挙げられ、また、後述の実施例で示される方法を同様に用いて、シアリルLex以外のT細胞非依存性抗原に対するIgM型抗体のアミノ酸配列を明らかにすることによっても得ることができる。
本発明の抗体の製造方法により得られるシアリルLexに対するIgG型抗体は、H鎖可変領域中に含まれる相補性決定領域(以下、HCDRということもある)としてHCDR1、HCDR2およびHCDR3がそれぞれ配列番号26、27および28に示されるアミノ酸配列、または、シアリルLexに対する特異的結合能力を失わない限りにおいて、該配列において1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくも1種の変異を有し、かつ、該配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むH鎖可変領域と、L鎖可変領域中に含まれる相補性決定領域としてLCDR1、LCDR2およびLCDR3がそれぞれ配列番号29、30および31に示されるアミノ酸配列、または、シアリルLexに対する特異的結合能力を失わない限りにおいて、該配列において1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくも1種の変異を有し、かつ、該配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むL鎖可変領域とを有する抗体である。
なお、配列番号26〜31に示される相補性決定領域は、シアリルLexに対するIgM型抗体であるCSLEX1抗体が有する相補性決定領域である。
本発明の抗体の製造方法により得られるシアリルLexに対するIgG型抗体のH鎖可変領域は、それぞれのアミノ酸配列が配列番号26、27および28に示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含むポリペプチドである。また、本発明の抗体の製造方法により得られるシアリルLexに対するIgG型抗体のH鎖可変領域は、それぞれのアミノ酸配列が配列番号26、27および28に示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3、および、それぞれのアミノ酸配列が配列番号32、33、34および35に示されるH鎖フレームワーク領域(以下、HFR)1、HFR2、HFR3およびHFR4を含むポリペプチドでもよく、例えば、配列番号21に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドがその具体的な一態様として挙げられる。ここで、通常、HCDRを含むことで抗体は抗原認識能を有するが、HFRをさらに含むことで、抗原認識能が担保されやすく、さらに、従来技術のCSLEX1抗体の可変領域と同一のポリペプチドを含む可変領域を有することで、抗原認識能がより担保される。しかしながら、本発明においては、前記したH鎖可変領域およびL鎖可変領域のHCDR1、HCDR2およびHCDR3並びにLCDR1、LCDR2およびLCDR3、またはそれらの変異体を有するIgG型抗体であれば、いずれの抗体でもよく、それらの抗体は、シアリルLexに対する特異的結合能力を有する。
前記H鎖可変領域中のHCDR1、HCDR2およびHCDR3は、配列番号26、27および28に示されるアミノ酸配列において、シアリルLexに対する特異的結合能力を失わない限りにおいて、1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と高い相同性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
ここで、「シアリルLexに対する特異的結合能力を失わない」とは、前記変異を有するアミノ酸配列に由来するCDRを有するシアリルLexに対するIgG型抗体が、変異を有さないアミノ酸配列に由来するCDRを有するシアリルLexに対するIgG型抗体と同様にシアリルLexに特異的に結合することを意味する。なお、変異を有するアミノ酸配列に由来するCDRを有するシアリルLexに対するIgG型抗体が、変異を有さないアミノ酸配列に由来するCDRを有するシアリルLexに対するIgG型抗体よりも高いシアリルLexへの反応性を有することを妨げない。実際に、CDRおよびFRへの変異により結合親和性が大幅に向上する場合があることは当業者には容易に理解し得る技術的事項である。
また、前記高い相同性としては、例えば、90%以上の相同性が挙げられ、より好ましくは95%以上の相同性が挙げられる。なぜなら、CDRは抗体の抗原認識能を決定する残基であるから、許容される変異が通常は限定されるからである。
前記H鎖可変領域中のHFR1、HFR2、HFR3およびHFR4は、配列番号32、33、34および35に示されるアミノ酸配列において、シアリルLexに対する特異的結合能力を失わない限りにおいて、1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と一定の相同性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。ここで、一定の相同性としては、例えば、70%以上の相同性が挙げられ、好ましくは80%以上の相同性、より好ましくは90%以上の相同性が挙げられる。
前記H鎖可変領域は、配列番号21に示されるアミノ酸配列において、シアリルLexに対する特異的結合能力を失わない限りにおいて、1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と一定の相同性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。ここで、一定の相同性としては、例えば、70%以上の相同性が挙げられ、好ましくは80%以上の相同性、より好ましくは90%以上の相同性が挙げられる。
一方、本発明の抗体の製造方法により得られるシアリルLexに対するIgG型抗体のL鎖可変領域は、それぞれのアミノ酸配列が配列番号29、30および31に示されるLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含むポリペプチドである。また、本発明の抗体の製造方法により得られるシアリルLexに対するIgG型抗体のL鎖可変領域は、それぞれのアミノ酸配列が配列番号29、30および31に示されるLCDR1、LCDR2およびLCDR3、および、それぞれのアミノ酸配列が配列番号36、37、38および39に示されるLFR1、LFR2、LFR3およびLFR4を含むポリペプチドでもよく、例えば、配列番号25に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドがその具体的な一態様として挙げられる。ここで、通常、CDRを含むことで抗体は抗原認識能を有するが、FRをさらに含むことで、抗原認識能が担保されやすく、さらに、従来技術のCSLEX1抗体の可変領域と同一のポリペプチドを含む可変領域を有することで、抗原認識能がより担保される。勿論、前記したとおり、本発明においては、前記したH鎖可変領域およびL鎖可変領域のHCDR1、HCDR2およびHCDR3並びにLCDR1、LCDR2およびLCDR3、またはそれらの変異体を有するIgG型抗体あれば、いずれの抗体でもよく、それらの抗体は、シアリルLexに対する特異的結合能力を有する。
前記L鎖可変領域中のLCDR1、LCDR2およびLCDR3は、配列番号29、30および31に示されるアミノ酸配列において、シアリルLexに対する特異的結合能力を失わない限りにおいて、1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくも1種の変異を有し、かつ、該配列と高い相同性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。ここで、高い相同性としては、例えば、90%以上の相同性が挙げられ、より好ましくは95%以上の相同性が挙げられる。
前記L鎖可変領域中のLFR1、LFR2、LFR3およびLFR4は、配列番号36、37、38および39に示されるアミノ酸配列において、シアリルLexに対する特異的結合能力を失わない限りにおいて、1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくも1種の変異を有し、かつ、該配列と一定の相同性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。ここで、一定の相同性としては、例えば、70%以上の相同性が挙げられ、好ましくは80%以上の相同性、より好ましくは90%以上の相同性が挙げられる。
前記L鎖可変領域は、配列番号25に示されるアミノ酸配列において、シアリルLexに対する特異的結合能力を失わない限りにおいて、1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくも1種の変異を有し、かつ、該配列と一定の相同性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。ここで、一定の相同性としては、例えば、70%以上の相同性が挙げられ、好ましくは80%以上の相同性、より好ましくは90%以上の相同性が挙げられる。
本発明の製造方法により得られるシアリルLexに対するIgG型抗体の具体的な一態様として、そのシグナル配列を含めたH鎖が配列番号43に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、シグナル配列を含めたL鎖が配列番号57に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである抗体が挙げられる。また、シグナル配列を含まない場合、H鎖が配列番号59に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、L鎖が配列番号61に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである抗体が挙げられる。
本発明の製造方法により得られるシアリルLexに対するIgG型抗体のH鎖またはL鎖としては、配列番号43、57、59もしくは61に挙げられるアミノ酸配列において、機能的に同等な限りにおいて、1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と一定の相同性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。ここで、一定の相同性としては、例えば、70%以上の相同性が挙げられ、好ましくは80%以上の相同性、より好ましくは90%以上の相同性、さらに好ましくは95%以上の相同性が挙げられる。
本発明の抗体の製造方法に用いられるT細胞非依存性抗原に対する抗体をコードするDNAは、H鎖可変領域、L鎖可変領域およびH鎖定常領域に特徴を有する抗体をコードするDNAである。すなわち、本発明の抗体の製造方法に用いられるT細胞非依存性抗原に対する抗体をコードするDNAは、H鎖可変領域中に含まれる相補性決定領域として、T細胞非依存性抗原に対するIgM型抗体のH鎖可変領域中が有する相補性決定領域HCDR1、HCDR2およびHCDR3を含むH鎖可変領域と、L鎖可変領域中に含まれる相補性決定領域として、T細胞非依存性抗原に対するIgM型抗体のL鎖可変領域中が有する相補性決定領域LCDR1、LCDR2およびLCDR3を含むL鎖可変領域と、IgG型抗体のH鎖定常領域とを含む抗体をコードするDNAである。したがって、本発明の抗体の製造方法に用いられるT細胞非依存性抗原に対する抗体をコードするDNAは、前記H鎖可変領域をコードするDNAと、前記L鎖可変領域をコードするDNAと、前記IgG型抗体のH鎖定常領域をコードするDNAとを含む。このうち、前記H鎖可変領域をコードするDNAおよびH鎖定常領域をコードするDNAを含むH鎖をコードするDNAと、前記L鎖可変領域を含むL鎖をコードするDNAとは、連結されていても、連結されていなくてもよい。なお、これらのDNAが連結される場合には、2つのDNA間にこれら以外のDNA配列を含んでもよい。
本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対する抗体のIgG型抗体の「抗体のサブクラス」は、本発明の抗体の製造方法により得られるをT細胞非依存性抗原に対する抗体のIgG型抗体をコードするDNA中の定常領域をコードするDNAにより決定される。したがって、本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対する抗体のIgG型抗体の「抗体のサブクラス」に応じて、該抗体の定常領域をコードするDNA配列を設計する。本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対する抗体のIgG型抗体の「抗体のサブクラス」としては、前述のように、IgG1が好ましい。
したがって、本発明の製造方法に用いられるT細胞非依存性抗原に対する抗体をコードするDNA中のH鎖定常領域をコードするDNAとしては、好ましくは、IgG1型抗体のH鎖定常領域をコードするDNA、例えば、マウスIgG1型抗体のH鎖定常領域をコードするDNAが挙げられ、その具体的な一態様としては、配列番号41に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNAが挙げられる。配列番号41に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNAとしては、配列番号40に示されるDNA配列を含むDNAが挙げられる。
一方、本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対する抗体のIgG型抗体のL鎖定常領域をコードするDNAは、任意の生物のIgG型抗体のL鎖定常領域をコードするDNAから選択可能であるが、H鎖定常領域の由来生物種と同一の生物種のIgG型抗体のL鎖定常領域をコードするDNAであることが好ましい。また、κ鎖定常領域をコードするDNA、λ鎖定常領域をコードするDNAのいずれでもよい。本発明の製造方法に用いられるT細胞非依存性抗原に対する抗体をコードするDNA中のL鎖定常領域をコードするDNAとして、例えば、配列番号55に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNAが挙げられる。配列番号55に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNAとしては、配列番号54に示すDNA配列を含むDNAが挙げられる。
本発明の製造方法に用いられるT細胞非依存性抗原に対する抗体をコードするDNA中のH鎖定常領域、もしくは、L鎖定常領域をコードするDNAとして、さらには、それぞれ配列番号40もしくは54に示されるDNA配列を含むDNAがコードするアミノ酸配列において、機能的に同等な限りにおいて、1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と一定の相同性を有するアミノ酸配列をコードするDNAが挙げられる。ここで、一定の相同性としては、例えば、70%以上の相同性が挙げられ、好ましくは80%以上の相同性、より好ましくは90%以上の相同性が挙げられる。
本発明の製造方法に用いられるT細胞非依存性抗原に対する抗体をコードするDNAにおいて、H鎖をコードするDNAおよびL鎖をコードするDNAは前記可変領域をコードするDNAと定常領域をコードするDNAとが連結されて構成される。ここで、前記可変領域と定常領域は、連結領域を介さず、または、連結領域を介して連結される。
可変領域をコードするDNA配列と定常領域をコードするDNA配列との連結方法としては、例えば、連結領域を介して、または、連結領域を介さずに2つのDNA配列が連結された配列を設計し、設計された配列を全合成する方法、一のDNA配列を遺伝子組換えベクターに挿入した後に、該DNA配列と連続的な位置にまたは適切な間隔を空けて、もう一方のDNA配列を挿入する方法が挙げられる。
本発明の製造方法に用いられるT細胞非依存性抗原に対する抗体をコードするDNAにおいて、例えば、H鎖をコードするDNAに関しては、前記H鎖可変領域をコードするDNAと前記H鎖定常領域をコードするDNAとが連結される。一方、L鎖に関しては、例えば、可変領域をコードするDNAと定常領域をコードするDNA配列とが、配列番号53に示されるアミノ酸配列を含む連結領域をコードするDNA配列を介して連結される。配列番号53に示されるアミノ酸配列を含む連結領域をコードするDNA配列としては、配列番号52に示されるDNA配列が挙げられる。
本発明の製造方法に用いられるT細胞非依存性抗原に対する抗体をコードするDNA中のL鎖定常領域をコードするDNAにおいて、L鎖可変領域とL鎖定常領域とを連結する領域をコードするDNAとして、さらには、配列番号52に示されるDNA配列を含むDNAがコードするアミノ酸配列において、機能的に同等な限りにおいて、1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と一定の相同性を有するアミノ酸配列をコードするDNAが挙げられる。ここで、一定の相同性としては、例えば、70%以上の相同性が挙げられ、好ましくは80%以上の相同性、より好ましくは90%以上の相同性が挙げられる。
本発明の製造方法に用いられるT細胞非依存性抗原に対する抗体をコードするDNAは、例えば、動物由来のシグナル配列や動物抗体由来のシグナル配列をコードするDNAを有することが好ましく、H鎖可変領域、および、L鎖可変領域をコードするDNAの5´末端にシグナル配列をコードするDNAを有することがより好ましい。
ここで動物としては、前記したように、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ロバ、ヤギ、ウマ、トリ、イヌ、ネコ、酵母、昆虫が挙げられる。シグナル配列としては、例えば、IgM型CSLEX1抗体のシグナル配列をコードするDNA、ヒト酸性フォスファターゼのシグナル配列をコードするDNA、マウスイムノグロブリンκ鎖のシグナル配列をコードするDNA、およびマウスIgG1型抗体のシグナル配列をコードするDNAが挙げられる。具体的な一態様として、H鎖に関するシグナル配列としては配列番号19で表されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードするDNA、一方、L鎖に関するシグナル配列としては配列番号23に表されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードするDNAが挙げられる。配列番号19で表されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードするDNAとしては、配列番号18で表されるDNA配列を含むDNAが挙げられ、一方、配列番号23に表されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードするDNAとしては、配列番号22に表されるDNA配列を含むDNAが挙げられる。ここで、これらのシグナル配列を有することで、遺伝子組換えカイコにおいて、抗体の分泌組織、例えば絹糸腺や脂肪体、への移行が促進される。
本発明の製造方法に用いられるT細胞非依存性抗原に対する抗体をコードするDNA中のシグナル配列をコードするDNAとして、さらには、それぞれ配列番号18もしくは22に示されるDNA配列を含むDNAがコードするアミノ酸配列において、機能的に同等な限りにおいて、1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と一定の相同性を有するアミノ酸配列をコードするDNAが挙げられる。ここで、一定の相同性としては、例えば、70%以上の相同性が挙げられ、好ましくは80%以上の相同性、より好ましくは90%以上の相同性が挙げられる。
本発明において例示するDNA配列は、コドンを昆虫型に変換することが好ましい。なぜなら、コドンを昆虫型に変換することにより、本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体の発現量を増加させることが可能となるからである。
以下、T細胞非依存性抗原がシアリルLexの場合を代表例として、本発明の抗体の製造方法に用いられるIgG型抗体をコードするDNAについて説明するが、それ以外のT細胞非依存性抗原の場合も、塩基配列を変更して同様の説明を適用することができる。ここで、シアリルLex以外のT細胞非依存性抗原に対する抗体をコードするDNAの塩基配列は、例えば、表1に記載したアミノ酸配列に基づいて決定することができ、また、後述の実施例で示される方法を同様に用いて、シアリルLex以外のT細胞非依存性抗原に対するIgM型抗体のアミノ酸配列を明らかにし、そのアミノ酸配列に基づいて決定することもできる。
本発明の抗体の製造方法に用いられるシアリルLexに対する抗体をコードするDNAのうち、H鎖可変領域をコードするDNAとしては、アミノ酸配列が配列番号26、27および28に示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含むH鎖可変領域をコードするDNAが挙げられる。また、本発明の抗体の製造方法に用いられるシアリルLexに対する抗体をコードするDNAのうち、H鎖可変領域をコードするDNAは、アミノ酸配列が配列番号26、27および28に示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3、および、それぞれのアミノ酸配列が配列番号32、33、34および35に示されるHFR1、HFR2、HFR3およびHFR4を含むH鎖可変領域コードするDNAでもよく、その具体的な一態様として、配列番号21に示されるアミノ酸配列を含むH鎖可変領域をコードするDNAが挙げられる。配列番号21に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNAとしては、配列番号20に示されるDNA配列を含むDNAが挙げられる。ここで、通常、CDRをコードするDNAを含むことでこのDNAにコードされる抗体は、抗原認識能を有するが、FRをコードするDNAをさらに含むことで、抗原認識能が担保されやすく、さらに、従来技術であるCSLEX1抗体のH鎖可変領域と同一のポリペプチドを含むH鎖可変領域をコードするDNAを有することで、抗原認識能がより担保される。
本発明の抗体の製造方法に用いられるシアリルLexに対する抗体をコードするDNA中のH鎖可変領域をコードするDNAとして、さらには、配列番号20に示されるDNA配列を含むDNAがコードするアミノ酸配列において、シアリルLexに対する特異的結合能力を失わない限りにおいて、1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と一定の相同性を有するアミノ酸配列をコードするDNAが挙げられる。ここで、一定の相同性としては、例えば、70%以上の相同性が挙げられ、好ましくは80%以上の相同性、より好ましくは90%以上の相同性が挙げられる。
一方、本発明の抗体の製造方法に用いられるシアリルLexに対する抗体をコードするDNAのうち、L鎖可変領域をコードするDNAとしては、アミノ酸配列が配列番号29、30および31に示されるCDR1、CDR2およびCDR3を含むL鎖可変領域をコードするDNAが挙げられる。また、本発明の抗体の製造方法に用いられるシアリルLexに対する抗体をコードするDNAのうち、L鎖可変領域をコードするDNAは、アミノ酸配列が配列番号29、30および31に示されるCDR1、CDR2およびCDR3、および、それぞれのアミノ酸配列が配列番号36、37、38および39に示されるFR1、FR2、FR3およびFR4を含むL鎖可変領域コードするDNAでもよく、その具体的な一態様として、配列番号25に示されるアミノ酸配列を含むL鎖可変領域をコードするDNAが挙げられる。配列番号25に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNAとしては、配列番号24に示されるDNA配列を含むDNAが挙げられる。ここで、通常、CDRをコードするDNAを含むことでこのDNAにコードされる抗体は抗原認識能を有するが、FRをコードするDNAをさらに含むことで、抗原認識能が担保されやすく、さらに、従来技術であるCSLEX1抗体のL鎖可変領域と同一のポリペプチドを含むL鎖可変領域をコードするDNAを有することで、抗原認識能がより担保される。
本発明で提供されるシアリルLexに対する抗体をコードするDNA中のL鎖可変領域をコードするDNAとして、さらには、配列番号14に示されるDNA配列を含むDNAがコードするアミノ酸配列において、シアリルLexに対する特異的結合能力を失わない限りにおいて、1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と一定の相同性を有するアミノ酸配列をコードするDNAが挙げられる。ここで、一定の相同性としては、例えば、70%以上の相同性が挙げられ、好ましくは80%以上の相同性、より好ましくは90%以上の相同性が挙げられる。
本発明で提供されるシアリルLexに対する抗体をコードするDNAは、H鎖可変領域中に含まれる相補性決定領域としてHCDR1、HCDR2およびHCDR3がそれぞれ配列番号26、27および28に示されるアミノ酸配列、または、シアリルLexに対する特異的結合能力を失わない限りにおいて、該配列において1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むH鎖可変領域と、L鎖可変領域中に含まれる相補性決定領域としてLCDR1、LCDR2およびLCDR3がそれぞれ配列番号29、30および31に示されるアミノ酸配列、または、シアリルLexに対する特異的結合能力を失わない限りにおいて、該配列において1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むL鎖可変領域とを有する抗体をコードするDNAである。
本発明で提供されるシアリルLexに対する抗体をコードするDNAにおいて、シアリルLexに対する抗体のH鎖可変領域を含むH鎖をコードするDNAと、L鎖可変領域を含むL鎖をコードするDNAとは、連結されていても、連結されていなくてもよい。なお、これらのDNAが連結される場合には、2つのDNA間にこれら以外のDNA配列を含んでもよい。
本発明で提供されるシアリルLexに対する抗体をコードするDNAのうち、H鎖可変領域をコードするDNAとしては、アミノ酸配列が配列番号26、27および28に示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含むH鎖可変領域をコードするDNAが挙げられる。また、本発明の抗体の製造方法に用いられる、もしくは、本発明で提供されるシアリルLexに対する抗体コードするDNAのうち、H鎖可変領域をコードするDNAは、アミノ酸配列が配列番号26、27および28に示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3、および、それぞれのアミノ酸配列が配列番号32、33、34および35に示されるHFR1、HFR2、HFR3およびHFR4を含むH鎖可変領域コードするDNAでもよく、その具体的な一態様として、配列番号21に示されるアミノ酸配列を含むH鎖可変領域をコードするDNAが挙げられる。配列番号21に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNAとしては、配列番号20に示されるDNA配列を含むDNAが挙げられる。ここで、通常、CDRをコードするDNAを含むことでこのDNAにコードされる抗体は、抗原認識能を有するが、FRをコードするDNAをさらに含むことで、抗原認識能が担保されやすく、さらに、従来技術であるCSLEX1抗体のH鎖可変領域と同一のポリペプチドを含むH鎖可変領域をコードするDNAを有することで、抗原認識能がより担保される。
本発明で提供されるシアリルLexに対する抗体をコードするDNA中のH鎖可変領域をコードするDNAとして、さらには、配列番号20に示されるDNA配列を含むDNAがコードするアミノ酸配列において、シアリルLexに対する特異的結合能力を失わない限りにおいて、1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と一定の相同性を有するアミノ酸配列をコードするDNAが挙げられる。ここで、一定の相同性としては、例えば、70%以上の相同性が挙げられ、好ましくは80%以上の相同性、より好ましくは90%以上の相同性が挙げられる。
一方、本発明で提供されるシアリルLexに対する抗体をコードするDNAのうち、L鎖可変領域をコードするDNAとしては、アミノ酸配列が配列番号29、30および31に示されるCDR1、CDR2およびCDR3を含むL鎖可変領域をコードするDNAが挙げられる。また、本発明で提供されるシアリルLexに対する抗体をコードするDNAのうち、L鎖可変領域をコードするDNAは、アミノ酸配列が配列番号29、30および31に示されるCDR1、CDR2およびCDR3、および、それぞれのアミノ酸配列が配列番号36、37、38および39に示されるFR1、FR2、FR3およびFR4を含むL鎖可変領域コードするDNAでもよく、その具体的な一態様として、配列番号25に示されるアミノ酸配列を含むL鎖可変領域をコードするDNAが挙げられる。配列番号25に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNAとしては、配列番号24に示されるDNA配列を含むDNAが挙げられる。ここで、通常、CDRをコードするDNAを含むことでこのDNAにコードされる抗体は抗原認識能を有するが、FRをコードするDNAをさらに含むことで、抗原認識能が担保されやすく、さらに、従来技術であるCSLEX1抗体のL鎖可変領域と同一のポリペプチドを含むL鎖可変領域をコードするDNAを有することで、抗原認識能がより担保される。
本発明で提供されるシアリルLexに対する抗体をコードするDNA中のL鎖可変領域をコードするDNAとして、さらには、配列番号14に示されるDNA配列を含むDNAがコードするアミノ酸配列において、シアリルLexに対する特異的結合能力を失わない限りにおいて、1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と一定の相同性を有するアミノ酸配列をコードするDNAが挙げられる。ここで、一定の相同性としては、例えば、70%以上の相同性が挙げられ、好ましくは80%以上の相同性、より好ましくは90%以上の相同性が挙げられる。
本発明で提供されるシアリルLexに対する抗体をコードするDNA中のH鎖定常領域をコードするDNAとしては、好ましくは、IgG1型抗体のH鎖定常領域をコードするDNA、例えば、マウスIgG1型抗体のH鎖定常領域をコードするDNAが挙げられ、その具体的な一態様としては、配列番号41に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNAが挙げられる。配列番号41に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNAとしては、配列番号40に示されるDNA配列を含むDNAが挙げられる。
一方、本発明で提供されるシアリルLexに対する抗体をコードするDNA中のL鎖定常領域をコードするDNAは、任意の生物のIgG型抗体のL鎖定常領域をコードするDNAから選択可能であるが、H鎖定常領域の由来生物種と同一の生物種のIgG型抗体のL鎖定常領域をコードするDNAであることが好ましい。また、κ鎖定常領域をコードするDNA、λ鎖定常領域をコードするDNAのいずれでもよい。本発明で提供されるシアリルLexに対する抗体をコードするDNA中のL鎖定常領域をコードするDNAとしては、例えば、配列番号55に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNAが挙げられる。配列番号55に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNAとしては、配列番号54に示すDNA配列を含むDNAが挙げられる。
本発明で提供されるシアリルLexに対する抗体をコードするDNA中のH鎖定常領域、もしくは、L鎖定常領域をコードするDNAとして、さらには、それぞれ配列番号40もしくは54に示されるDNA配列を含むDNAがコードするアミノ酸配列において、機能的に同等な限りにおいて、1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と一定の相同性を有するアミノ酸配列をコードするDNAが挙げられる。ここで、一定の相同性としては、例えば、70%以上の相同性が挙げられ、好ましくは80%以上の相同性、より好ましくは90%以上の相同性が挙げられる。
本発明で提供されるシアリルLexに対する抗体をコードするDNAにおいて、H鎖をコードするDNAおよびL鎖をコードするDNAは前記可変領域をコードするDNAと定常領域をコードするDNAとが連結されて構成される。ここで、前記可変領域と定常領域は、連結領域を介さず、または、連結領域を介して連結される。
可変領域をコードするDNA配列と定常領域をコードするDNA配列との連結方法としては、例えば、連結領域を介して、または、連結領域を介さずに2つのDNA配列が連結された配列を設計し、設計された配列を全合成する方法、一のDNA配列を遺伝子組換えベクターに挿入した後に、該DNA配列と連続的な位置にまたは適切な間隔を空けて、もう一方のDNA配列を挿入する方法が挙げられる。
本発明で提供されるシアリルLexに対する抗体をコードするDNAにおいて、例えば、H鎖をコードするDNAに関しては、前記H鎖可変領域をコードするDNAと前記H鎖定常領域をコードするDNAとが連結される。一方、L鎖に関しては、例えば、可変領域をコードするDNAと定常領域をコードするDNA配列とが、配列番号53に示されるアミノ酸配列を含む連結領域をコードするDNA配列を介して連結される。配列番号53に示されるアミノ酸配列を含む連結領域をコードするDNA配列としては、配列番号52に示されるDNA配列が挙げられる。
本発明で提供されるシアリルLexに対する抗体をコードするDNA中のL鎖定常領域をコードするDNAにおいて、L鎖可変領域とL鎖定常領域とを連結する領域をコードするDNAとして、さらには、配列番号52に示されるDNA配列を含むDNAがコードするアミノ酸配列において、機能的に同等な限りにおいて、1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と一定の相同性を有するアミノ酸配列をコードするDNAが挙げられる。ここで、一定の相同性としては、例えば、70%以上の相同性が挙げられ、好ましくは80%以上の相同性、より好ましくは90%以上の相同性が挙げられる。
本発明で提供されるシアリルLexに対する抗体をコードするDNAは、例えば、動物由来のシグナル配列や動物抗体由来のシグナル配列をコードするDNAを有することが好ましく、H鎖可変領域、および、L鎖可変領域をコードするDNAの5´末端にシグナル配列をコードするDNAを有することがより好ましい。
ここで動物としては、前記したように、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ロバ、ヤギ、ウマ、トリ、イヌ、ネコ、酵母、昆虫が挙げられる。シグナル配列としては、例えば、IgM型CSLEX1抗体のシグナル配列をコードするDNA、ヒト酸性フォスファターゼのシグナル配列をコードするDNA、マウスイムノグロブリンκ鎖のシグナル配列をコードするDNA、およびマウスIgG1型抗体のシグナル配列をコードするDNAが挙げられる。具体的な一態様として、H鎖に関するシグナル配列としては配列番号19で表されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードするDNA、一方、L鎖に関するシグナル配列としては配列番号23に表されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードするDNAが挙げられる。配列番号19で表されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードするDNAとしては、配列番号18で表されるDNA配列を含むDNAが挙げられ、一方、配列番号23に表されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードするDNAとしては、配列番号22に表されるDNA配列を含むDNAが挙げられる。ここで、これらのシグナル配列を有することで、遺伝子組換えカイコにおいて、抗体の分泌組織、例えば絹糸腺や脂肪体、への移行が促進される。
本発明で提供されるシアリルLexに対する抗体をコードするDNA中のシグナル配列をコードするDNAとして、さらには、それぞれ配列番号18もしくは22に示されるDNA配列を含むDNAがコードするアミノ酸配列において、機能的に同等な限りにおいて、1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と一定の相同性を有するアミノ酸配列をコードするDNAが挙げられる。ここで、一定の相同性としては、例えば、70%以上の相同性が挙げられ、好ましくは80%以上の相同性、より好ましくは90%以上の相同性が挙げられる。
本発明で提供されるシアリルLexに対する抗体をコードするDNAの具体的な一態様としては、そのシグナル配列を含めたH鎖をコードするDNAとして配列番号42に示されるDNA配列を含むDNAが挙げられ、一方、シグナル配列を含めたL鎖をコードするDNAとして配列番号56に示されるDNA配列を含むDNAが挙げられる。また、シグナル配列を含まない場合、H鎖をコードするDNAとして配列番号58に示されるDNA配列を含むDNA、L鎖をコードするDNAとして配列番号60に示されるDNA配列を含むDNAが挙げられる。
本発明で提供されるシアリルLexに対する抗体をコードするDNAとして、さらには、それぞれ配列番号42、56、58もしくは60に示されるDNA配列を含むDNAがコードするアミノ酸配列において、シアリルLex結合抗原に対する特異的結合能力を失わない限りにおいて、1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と一定の相同性を有するアミノ酸配列をコードするDNAが挙げられる。ここで、一定の相同性としては、例えば、70%以上の相同性が挙げられ、好ましくは80%以上の相同性、より好ましくは90%以上の相同性が挙げられる。
本発明おいてカイコに導入されるDNAとしては、前述の本発明の抗体の製造方法に用いられるT細胞非依存性抗原に対する抗体をコードするDNAを含めばよいが、好ましくは、カイコ由来の分泌組織、例えば、絹糸腺や脂肪体、に特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子をコードするDNAと、該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した前述の本発明の抗体の製造方法に用いられるT細胞非依存性抗原に対する抗体をコードするDNAとを含むものである。より好ましくは、カイコ由来の絹糸腺に特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子をコードするDNAと、該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した前述の本発明の抗体の製造方法に用いられるT細胞非依存性抗原に対する抗体をコードするDNAとを含むものである。なぜなら、カイコ由来の絹糸腺に特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターを利用することによって、カイコにおいてタンパク質を大量に発現させる器官である絹糸腺を利用して、本発明の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体を多量に発現させることが可能となるからである。
好ましい態様として、例えば、カイコ由来の絹糸腺に特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子をコードするDNAと、該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した前述の本発明の抗体の製造方法に用いられるT細胞非依存性抗原に対する抗体のH鎖またはシグナル配列を有するH鎖をコードするDNA、および、該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した前述の本発明の抗体の製造方法に用いられるT細胞非依存性抗原に対する抗体のL鎖またはシグナル配列を有するL鎖をコードするDNAが挙げられる。これらのT細胞非依存性抗原に対する抗体のH鎖またはシグナル配列を有するH鎖をコードするDNAと、L鎖またはシグナル配列を有するL鎖をコードするDNAとは、直接連結していてもよく、また、他の遺伝子を介して連結していてもよい。
カイコに導入されるシアリルLexに対する抗体をコードするDNAの具体的な一態様としては、カイコ由来の絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子をコードするDNA、該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した配列番号58または42に記載された配列を含むDNA、および、該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した配列番号60または56に記載された配列を含むDNAが挙げられる。
さらに、配列番号で例示されるDNAに代えて、これらの配列番号の配列を含むDNAがコードするアミノ酸配列において、機能的に同等な限りにおいて、1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および挿入から選ばれる少なくとも1種の変異を有し、かつ、該配列と一定の相同性を有するアミノ酸配列をコードするDNAを用いてもよい。ここで、一定の相同性としては、例えば、70%以上の相同性が挙げられ、好ましくは80%以上の相同性、より好ましくは90%以上の相同性が挙げられる。
ここで、「機能的に結合した」とは、プロモーターに転写制御因子が結合することにより、プロモーターの下流に存在するDNAの発現が誘導されるように、該プロモーターと該DNAが結合していることをいう。従って、該DNAが他の遺伝子と結合しており、他の遺伝子産物との融合タンパク質を形成する場合であっても、該プロモーターに転写制御因子が結合することによって、該融合タンパク質の発現が誘導されるものであれば、前記「機能的に結合した」の意味に含まれる。
この方法により、単独のプロモーターを使った場合より、導入遺伝子からの発現生産物の量が増えるという利点がある。
本発明において用いられるカイコ由来の絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターとは、カイコ細胞内で有効に働くプロモーターであればいずれでもよいが、カイコの絹糸腺において特異的にタンパク質の発現を誘導するように工夫されたプロモーターが好ましい。例えば、フィブロインL鎖タンパク質、フィブロインH鎖タンパク質、p25タンパク質、セリシンI遺伝子から合成されるタンパク質、もしくは、セリシンII遺伝子から合成されるタンパク質をコードするDNAのプロモーターが挙げられる。ここで、絹糸腺は、カイコにおいて多量にタンパク質を発現させる器官であり、目的タンパク質を絹糸腺において発現させることで目的タンパク質を多量に得ることが可能となる。
一方、本発明において用いられるプロモーターとしては、カイコ由来の絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターに代えて、カイコ由来の脂肪体特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターを用いてもよく、脂肪体特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターとしては、例えば、細胞質アクチンタンパク質をコードするDNAのプロモーターが挙げられる。ここで、脂肪体は、カイコにおいて多量にタンパク質を発現させる器官であり、目的タンパク質を脂肪体において発現させることで目的タンパク質を多量に得ることが可能となる。
本発明において用いられるカイコ由来の絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子とその標的プロモーターの組み合わせとしては、例えば、転写因子GAL4とUAS配列、転写因子TetRとTRE配列が挙げられるが、GAL4とUASが好ましい。なぜなら、GAL4とUASを用いたGAL4/UASシステム(Fischer,J.A.et al.,Nature,332,853−856,1988,Brand,A.H & Perrimon,N.,Development,118,401−415,1993)を利用することにより、目的とする遺伝子の発現部位や時期、量を正確に制御でき、多くの組織で容易に発現させることができるからである。また、発現させる遺伝子が致死性の遺伝子でも系統の作出が可能である。
以下、T細胞非依存性抗原がシアリルLexの場合を代表例として、本発明においてカイコに導入される抗体をコードするDNAの具体的な一態様について説明するが、それ以外のT細胞非依存性抗原の場合も、塩基配列を変更して同様の説明を適用することができる。ここで、シアリルLex以外のT細胞非依存性抗原に対する抗体をコードするDNAの塩基配列は、例えば、表1に記載したアミノ酸配列に基づいて決定することができ、また、後述の実施例で示される方法を同様に用いて、シアリルLex以外のT細胞非依存性抗原に対するIgM型抗体のアミノ酸配列を明らかにし、そのアミノ酸配列に基づいて決定することもできる。
本発明においてカイコに導入されるシアリルLexに対する抗体をコードするDNAの具体的な一態様としては、セリシンI遺伝子から合成されるタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に連結されたGAL4をコードするDNA、UAS配列の下流に連結された配列番号42で例示されるシグナル配列を有するシアリルLexに対する抗体のH鎖をコードするDNAおよびUAS配列の下流に連結された配列番号56で例示されるシグナル配列を有するシアリルLexに対する抗体のL鎖をコードするDNAが挙げられる。
本発明においてDNAが導入されるカイコについては、特に制限はないが、本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体の大量生産のためには、フィブロインタンパク質などの絹糸を構成するタンパク質をコードするDNA領域(コード領域、プロモーター領域、非翻訳領域を含む)の変異によって、絹糸を構成するタンパク質の生産が抑制されているカイコを用いることが好ましい。このようなカイコとしては、絹糸を構成するタンパク質の生産が抑制されている突然変異系統のカイコ、好ましくは該変異によって絹糸を構成するタンパク質の生産が抑制されている裸蛹系統のカイコ、より好ましくはNd−sが挙げられるが、絹糸を構成するタンパク質の生産抑制の原因が、人為的か否か、また、自然界において生じた変異に依存するか否かに関わらず、絹糸を構成するタンパク質の生産が抑制されているカイコであればよい。
本発明においてDNAが導入されるカイコとしては、非休眠卵を産下する性質を有するカイコ、休眠卵を産下する性質を有するカイコ(例えば実用品種であるぐんま、200、春嶺、鐘月、錦秋、鐘和等)を使用することができる。ここで、休眠卵とは産卵後胚発生が一時的に停止する卵を言い、非休眠卵とは産卵後胚発生が停止せず、幼虫が孵化する卵を言う。
本発明の抗体の製造方法に用いられる遺伝子組換えカイコは、前述の本発明においてDNAが導入されるカイコに、安定に染色体に組み込まれる態様で前述の本発明においてカイコに導入されるDNAを導入することで得られる。
本発明において遺伝子組換えカイコを得るために行われるカイコへのDNA導入は、前述の本発明においてカイコに導入されるDNAが安定に前述の本発明においてDNAが導入されるカイコの染色体に組み込まれる方法であれば特に限定しない。例えば、前述の本発明においてカイコに導入されるDNAを含む遺伝子組換えベクターを構築し、この遺伝子組換えベクターをカイコ卵に遺伝子をマイクロインジェクションする方法(Tamura,T.et al.,Nat.Biotechnol.,18,81−84,2000)、遺伝子銃を用いる方法、バキュロウイルスベクターを使用する方法。などを用いることができる。中でも、トランスポゾンの逆位末端反復配列の間に前記本発明においてカイコに導入されるDNAを含有する遺伝子組換えベクターとともに、トランスポゾン転移酵素をコードするDNAを含むヘルパーベクターを同時にカイコ卵にマイクロインジェクションする方法(Tamura,T.et al.,Nat.Biotechnol.,18,81−84,2000)が好ましい。
前記ヘルパーベクターとしては、pHA3PIG(Tamura,T.et al.,Nat.Biotechnol.,18,81−84,2000)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
前記トランスポゾンとしては、piggyBacが好ましいが、これに限定されるものではなく、mariner、minos等を用いることもできる。
本発明において遺伝子組換えカイコを得るために行われるカイコへのDNA導入は、前述の本発明においてカイコに導入されるDNAを分割して前記方法でカイコに導入し、それぞれ異なるDNA配列を有する成体遺伝子組換えカイコを交配させることでも実行することができる。異なるDNA配列を有する遺伝子組換えカイコの交配により、導入対象DNA配列が全て導入された遺伝子組換えカイコを製造し、遺伝子組換えカイコを得ることができる。
例えば、一のカイコに、前述の本発明においてカイコに導入されるDNAのうち、カイコ由来の絹糸腺または脂肪体特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子をコードするDNAを前述の方法で導入し、もう一つのカイコに、前述の本発明においてカイコに導入されるDNAのうち、該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した本発明の抗体の製造方法に用いられるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体をコードするDNA中のH鎖またはシグナル配列を有するH鎖をコードするDNA、および、該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した本発明の抗体の製造方法に用いられるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体をコードするDNA中のL鎖またはシグナル配列を有するL鎖をコードするDNAを導入し、これらのカイコ卵から得られる2種類の成体カイコ同士を交配させることで、前述の本発明においてカイコに導入されるDNAが全て導入された遺伝子組換えカイコを得ることができる。
本発明において遺伝子組換えカイコを得るために行われるカイコの交配を伴うDNA導入の具体的一態様としては、一のカイコは、絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合したGAL4をコードするDNAが導入されたカイコであり、もう一つのカイコは、UAS配列の下流に機能的に結合した配列番号58または42に記載された配列を含むDNA、および、UAS配列の下流に機能的に結合した配列番号60または56に記載された配列を含むDNAが導入されたカイコである。
この方法では、一のカイコに転写制御因子を導入し、この転写制御因子により発現する組織、時期、量などを決めることができるため、発現させたい遺伝子を導入した系統と交配させることにより、多くの系統を作ることなく、各組織や時期、量などを変えることができる利点がある。また、目的遺伝子を発現させることで遺伝子組換えカイコが不妊になる場合でも系統作出が可能である。さらに、単独のプロモーターを使った場合より、導入遺伝子からの生産物の量が増えるという利点もある。
なお、前述の本発明においてカイコに導入されるDNAを分割して導入する方法としては、前記のカイコを交配させる方法以外に、例えば、片方のDNAが導入されたカイコが産卵した卵に、もう片方のDNAを前述の方法で人為的に導入する方法、および、分割されたDNAのうち両方を、前述の方法で同じ卵に導入する方法が挙げられる。
本発明においてカイコへのDNA導入後に行われる遺伝子組換えカイコの選択は、DNA導入がなされたと考えられるカイコからDNAを抽出し、公知のPCR法やハイブリダイゼーション法を用いて、抽出されたDNA中に前述の本発明においてカイコに導入されるDNAが含まれることを確認することにより行うことができる。
もしくは、前記遺伝子組換えカイコの選択は、前述の本発明においてカイコに導入されるDNAとともに、適切なプロモーター、例えば、胚の単眼や蛾の複眼、神経由来の組織での発現を促すプロモーターである3xP3タンパク質、または、アクチンプロモーター、をその遺伝子領域の上流に有する公知のマーカー遺伝子を導入し、このマーカーの存在を確認することにより行うこともできる。前述のカイコを交配させることでDNA導入を行う場合においては、交配させる2種類のカイコに、それぞれ異なる公知のマーカー遺伝子を、それぞれに導入するDNAとともに導入してもよい。
本発明の抗体の製造方法に用いられる遺伝子組換えカイコは、元来カイコが有さない抗体を発現させ、しかも、毒性があると考えられるGAL4/UAS系システムを持つにもかかわらず、通常のカイコと同様の方法で、継代維持可能であり、さらには、子孫のカイコは、導入された抗体を製造することができる。
例えば、卵を通常の条件で催青し、孵化した蟻蚕を人工飼料等へ掃立てし、通常のカイコと同様な条件で飼育することで5令カイコまで飼育できる。
本発明の抗体の製造方法に用いられる遺伝子組換えカイコは、通常のカイコと同様に蛹化する。蛹の段階で雌雄を区別し、発蛾したのち雌雄を交尾させ、翌日採卵する。カイコ卵は通常のカイコ卵と同様に保存することが可能である。本発明の抗体の製造方法に用いられる遺伝子組換えカイコは、こうした飼育を繰り返すことで継代することが可能であり、また、大量に増やすことが可能である。
本発明の抗体の製造方法に用いられる遺伝子組換えカイコは人工飼料による清浄飼育が可能であり、大掛かりな設備がなくとも数万匹規模での大量飼育を容易に行うことができる。さらに自然界に豊富にある桑の葉を用いて遺伝子組換えカイコの安価な飼育も可能である。一方、例えば、哺乳動物細胞はその培養に大規模な培養設備や大量の培地を必要とし、安価な培養は困難である。したがって、製造コストの面から遺伝子組換えカイコを用いた抗体製造は哺乳動物細胞を用いた抗体製造よりも優れている。T細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体、特に腫瘍マーカー糖鎖抗原に対するIgG型抗体といった診断用途での大量の需要が見込まれる抗体の商業的製造には、遺伝子組換えカイコを用いた抗体製造が適している。
本発明のT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体の製造方法において、該抗体が遺伝子組換えカイコから生産されるとは、遺伝子組換えカイコの体内組織において、導入された該抗体をコードするDNAが転写、翻訳され、場合によっては、翻訳後処理を受け、その後、翻訳産物が、その体内組織から分泌されること、もしくは、その体内組織にとどまることをいう。ここで、本発明におけるカイコの体内組織としては、好ましくは、絹糸腺および脂肪体が挙げられ、翻訳産物はこれらから分泌されることが好ましい。なぜなら、翻訳産物が分泌された方が、その回収が容易となるからである。また、本発明におけるカイコの体内組織としては、タンパク質をより多量に生産可能なことから、絹糸腺がより好ましい。
ここで、絹糸腺は、前部絹糸腺、中部絹糸腺、後部絹糸腺に分けられるが、本発明における絹糸腺としては、中部絹糸腺および後部絹糸腺がより好ましい。なぜなら、絹タンパク質の合成は、中部絹糸腺および後部絹糸腺にて行われ、これらの器官から目的タンパク質を多量に得ることができるからである。
さらに、本発明で用いられるカイコ由来の絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターとして、セリシンI遺伝子から合成されるタンパク質、もしくは、セリシンII遺伝子から合成されるタンパク質をコードするDNAのプロモーターを用いる場合には、本明細書における絹糸腺としては、中部絹糸腺が好ましく、フィブロインL鎖タンパク質をコードするDNAのプロモーターを用いる場合には、後部絹糸腺が好ましい。なぜなら、これらのプロモーターを用いて発現されるタンパク質は、それぞれの絹糸腺特異的に発現するからである。
一方、本発明の抗体の製造方法に用いられる遺伝子組換えカイコとは、前述のように本発明の製造方法により製造する抗体がその体内組織において生産される遺伝子組換えカイコのことをいう。
本発明のT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体の製造方法は、遺伝子組換えカイコから生産される該抗体を回収することを工程として含む。本発明における回収方法としては、カイコの分泌物から該抗体を回収する方法が挙げられる。ここで、本発明における分泌物としては、例えば、絹糸腺、特に中部絹糸腺および後部絹糸腺、において分泌される液状絹または絹糸、および、脂肪体の分泌物が挙げられる。
本発明のT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体の製造方法において、該抗体を回収する方法としては、絹糸腺からの回収に関しては、例えば、吐糸期になったカイコを解剖し、絹糸腺を摘出した後、緩衝液中で、絹糸腺にピンセットやメスで傷を入れ、あるいは、絹糸腺をホモジナイズして、緩衝液中に放出される液状絹に含まれる該抗体を得る方法が挙げられる。また、遺伝子組換えカイコが吐糸した繭から回収する手法、界面活性剤を用いる手法、水溶液で溶かす等の当業者であれば公知の手法が挙げられる。一方、T細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体の脂肪体からの回収に関しては、幼虫体内から脂肪体を摘出し、タンパク質抽出のための緩衝液でホモジナイズすることや、脂肪体から体液に分泌させ、体液を分取する等の当業者であれば公知の手法が挙げられる。本発明におけるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体の回収方法の具体的一態様としては、例えば、吐糸期になったカイコを解剖し、絹糸腺を摘出した後、緩衝液中で、絹糸腺をホモジナイズする手法が挙げられる。
本発明のT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体の製造方法は、カイコの分泌物から回収された該抗体を精製する工程を含んでもよい。例えば、ゲルろ過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、または、これらの組み合わせを利用することにより行うことができる。本発明において、好ましくは、アフィニティークロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、または、これらを組み合わせて利用する。より好ましくは、アフィニティークロマトグラフィーとして、Protein A、Protein G、rProtein A、rProtein Gのいずれかをリガンドとしたアフィニティークロマトグラフィーを利用する。なぜなら、これらを用いることで簡便な精製が可能となるからである。
T細胞非依存性抗原に対するIgM型抗体には、抗体に対するアフィニティークロマトグラフィーとして最も一般的に用いられているProtein AやProtein Gをリガンドとしたアフィニティークロマトグラフィーへの親和性がなく、これらを用いた簡便な精製を行うことができなかった。これに対し、本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体は、IgG型抗体の定常領域を有することによって、特にIgG1型抗体の定常領域を有することによって、前記のアフィニティークロマトグラフィーへの親和性が高くなり、簡便な精製が可能となる。一方、本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体から前述した方法で抗体断片を作成した場合、該抗体断片は通常の抗体から分子量が変化するため、ゲルろ過クロマトグラフィー等の適用が可能となる。
本発明の抗体の製造方法に用いられる遺伝子組換えカイコは、元来、免疫分子を有さないため、本発明の抗体の製造方法により製造される抗体以外の抗体が含まれない。この点について、前記WO2007/046439号パンフレットにおいては、交差反応が起きる可能性が低く、抗原抗体反応の正確な測定に寄与することが指摘されているが、精製の容易化という観点からも非常に有用である。
本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体についての、精製後の抗体の抗原に対する反応性評価方法としては、例えば、当業者においては公知のELISA法が挙げられる。この際、T細胞非依存性抗原を含む生物由来試料を反応性評価に用いることができる。
以下、T細胞非依存性抗原がシアリルLexの場合を代表例として、本発明のT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体の製造方法についてより具体的に説明するが、以下の記載は本発明のT細胞非依存性抗原がシアリルLex以外の抗原の場合についても、用いる抗原の種類や性質等に応じて適宜変更を加えて、同様に適用できるものである。
本発明の製造方法により得られるシアリルLexに対するIgG型抗体の場合、抗原であるシアリルLexは低分子量化合物であるが、多価抗原であるため、例えば、捕獲抗体と一次抗体にCSLEX1抗体を用いたサンドイッチELISA測定を行うことが可能である。また、シアリルLexに対するIgG型抗体の抗原に対する反応性評価に用いる試料としては、シアリルLexを含む癌細胞由来の試料が挙げられる。
詳細については実施例において記載されるが、本発明の抗体の製造方法により得られるシアリルLexに対するIgG型抗体の抗原抗体反応は、明確な抗原濃度依存性を示す。さらには、本発明の抗体の製造方法により得られるシアリルLexに対するIgG型抗体は、前記の簡便な手法で精製可能なのにもかかわらず、ハイブリドーマにより産生され煩雑な手法で精製された公知のIgM型CSLEX1抗体と同様に、抗原濃度依存性を示す。この事実は、本発明の抗体の製造方法により得られるシアリルLexに対するIgG型抗体を用いて、従来のIgM型CSLEX1抗体を容易に代替可能であり、前述した診断キットの迅速な供給に寄与することを示している。
この結果は、本発明の抗体の製造方法により得られるT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体は、簡便な精製が可能でありかつIgM型抗体と同様の反応性を有することを示す。そのため、該抗体を用いたIgM型抗体の代替が可能なことを示唆している。
本発明で提供される遺伝子組換えベクターとしては、前記した本発明て提供されるシアリルLexに対する抗体をコードするDNAを含む遺伝子組換えベクター、更には、カイコ由来の絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子の標的プロモーターの下流に、前記した本発明て提供されるシアリルLexに対する抗体をコードするDNAが機能的に結合されている遺伝子組換えベクターが挙げられる。これらの遺伝子組換えベクターについては、特に制限されるものではないが、例えば、M13系ベクター、pUC系ベクター、pBP322、pBluescript、pCR−Script等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
(1)CSLEX1抗体のH鎖可変領域およびL鎖可変領域の配列決定
(1−1)CSLEX1抗体遺伝子5´末端領域のcDNAクローニングおよび配列決定
IgM型CSLEX1抗体遺伝子の5´末端から定常領域開始点までのcDNAをクローニングした。次いで、クローニングされたcDNAの塩基配列を決定した。この領域は、5´末端から順に、シグナル配列をコードする塩基配列と、H鎖可変領域をコードする塩基配列またはL鎖可変領域をコードする塩基配列との2つの連結された塩基配列領域により構成される。
具体的には、先ず、IgM型CSLEX1抗体を産生するハイブリドーマ(寄託番号ATCC No.HB8580)を培養し、細胞を遠心によって集めた。回収されたハイブリドーマにISOGEN(ニッポンジーン)を添加して、添付の使用説明書に従って全mRNAを抽出した。
一方で、5´−FULL RACE Core Set(TAKARA)を用い、添付の使用説明書に基づき、クローニングのためのプライマーを設計した。ここで、H鎖についてはマウスIgM型抗体のH鎖定常領域1(CH1)から配列番号1に示す5´リン酸化アンチセンスプライマー(IgMh−RT−primer)とそれぞれ配列番号2および3に示すセンスプライマー1、2(IgMh−A1−primer、IgMh−A2−primer)、および、それぞれ配列番号4および5に示すアンチセンスプライマー 1、2(IgMh−S1−primer、IgMh−S2−primer)を設計した。また、L鎖についてはマウスIgκの定常領域から配列番号6に示す5´リン酸化アンチセンスプライマー(IgK−RT−Primer)とそれぞれ配列番号7および8に示すセンスプライマー1、2(IgK−A1−primer、IgK−A2−primer)、および、それぞれ配列番号9および10に示すアンチセンスプライマー 1、2(IgK−S1−primer、IgK−S2−primer)を設計した。
前記抽出された全mRNA4.17μgを鋳型として、5´−Full Race Core Setに添付の使用説明書に従い、5´末端をリン酸化したIgMh−RT−primerおよびIgK−RT−primerを用いてfirst strand cDNAを合成し、それに続き、得られた一本鎖cDNAを環化した次いで、環化した一本鎖cDNA を鋳型とし、IgMh−A1−primer、IgMh−S1−primerおよびIgK−A1−primer、IgK−S1−primerを用いて、94℃、30秒、60℃、30秒、72℃、90秒の条件で25サイクルのPCR反応を行った。さらに、その100倍希釈した反応液1μlを鋳型とし、IgMh−A2−primer、IgMh−S2−primerおよびIgK−A2−primer、IgK−S2−primerを用いて、94℃、30秒、60℃、30秒、72℃、90秒のサイクルを35回繰り返してPCRを行なった。増幅された断片をアガロース電気泳動にて確認後、QIAquick Gel Extraction kit(QIAGEN)を用いてDNAを精製した。その後、精製したDNA断片をTOPO TA cloning kit(invitrogen)を用いてクローニングした。
得られたクローンのプラスミドDNAを精製し、H鎖については7クローン、L鎖については5クローンを対象として、配列番号11に示すM13−F−Primerを用いて、それぞれのシグナル配列および可変領域が連結されたポリペプチドをコードする塩基配列を決定した。ここで得られたシグナル配列とH鎖可変領域とが連結されたポリペプチドをコードする塩基配列は配列番号12(対応するアミノ酸配列は配列番号13)、シグナル配列とL鎖可変領域とが連結されたポリペプチドをコードする塩基配列は配列番号14(対応するアミノ酸配列は配列番号15)で表される。
(1−2)CSLEX1抗体のN末端アミノ酸配列解析による可変領域の同定
IgM型CSLEX1抗体のH鎖およびL鎖のN末端アミノ酸配列を決定することで、前記(1−1)で得られた塩基配列からシグナル配列をコードする塩基配列と可変領域をコードする塩基配列とを分離し、H鎖可変領域およびL鎖可変領域を同定した。
具体的には、先ず、前記(1−1)で用いたハイブリドーマ(寄託番号ATCC No.HB8580)より精製したIgM型CSLEX1抗体を2.5%の2−MEで還元し、SDS−PAGEによりH鎖とL鎖を分離した。次いで、泳動されたタンパク質をPVDFメンブレン(ミリポア)に転写して0.1% Amido Black 10B(NAKARAI)で染色した。続いて、染色されたH鎖とL鎖のバンドを切り出し、エドマン分解法によるN末端アミノ酸解析によりN末端側から5残基のアミノ酸配列をそれぞれ決定した。ここで、H鎖可変領域のN末端アミノ酸配列は配列番号16で、L鎖可変領域のN末端アミノ酸配列は配列番号17で表される。
決定されたCSLEX1抗体H鎖またはL鎖のN末端アミノ酸配列をもとに、前記(1−1)で得られた塩基配列を翻訳して得られるアミノ酸配列中のシグナル配列とH鎖またはL鎖可変領域との境界を決定し、それぞれの可変領域を同定した。ここで、H鎖のシグナル配列をコードする塩基配列は配列番号18(対応するアミノ酸配列は配列番号19)、H鎖可変領域をコードする塩基配列は配列番号20(対応するアミノ酸配列は配列番号21)、L鎖のシグナル配列をコードする塩基配列は配列番号22(対応するアミノ酸配列は配列番号23)、L鎖可変領域をコードする塩基配列は配列番号24(対応するアミノ酸配列は配列番号25)で表される。
(1−3)CSLEX1抗体H鎖およびL鎖のCDRの同定
CDR領域が既知の抗体のアミノ酸配列との比較から、CSLEX1抗体H鎖およびL鎖の相補性決定領域(CDR)を同定した。
具体的には、先ず、NCBI Entrez Proteinデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?db=protein)から、マウスの免疫グロブリンのH鎖またはL鎖の可変領域のアミノ配列であって、CDR1、CDR2およびCDR3全ての注釈があり、その配列長が100残基以上150残基以下のものを収集した。次いで、収集されたH鎖可変領域の配列40本と配列番号16に示されるCSLEX1抗体H鎖可変領域との間、または、L鎖可変領域の配列7本と配列番号18に示されるCSLEX1抗体L鎖可変領域との間でCLUSTALW2を用いてマルチプルアラインメントを得た。前記のCDR領域が既知であるH鎖またはL鎖についてのアミノ酸配列群中の80%以上の配列で共通している得られたアラインメント中のCDR開始カラムおよび終止カラムに基づいて、H鎖およびL鎖可変領域のCDRを同定した。ここで、H鎖可変領域のCDRのアミノ酸配列は、HCDR1が配列番号26、HCDR2が配列番号27、HCDR3が配列番号28でそれぞれ表され、L鎖可変領域のCDRのアミノ酸配列は、LCDR1が配列番号29、LCDR2が配列番号30、LCDR3が配列番号31でそれぞれ表される。
NCBI IgBLAST(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/igblast/)を用いて、CSLEX1抗体H鎖可変領域およびL鎖可変領域の類似配列を検索したところ、前記全てのCDRが完全に一致する配列は認められず、CSLEX1抗体H鎖可変領域およびL鎖可変領域のCDRは新規なアミノ酸配列を有することを確認した。
一方、同定されたCDRの情報に基づいて、H鎖およびL鎖のフレームワーク領域を同定した。ここで、H鎖のFRのアミノ酸配列は、HFR1が配列番号32、HFR2が配列番号33、HFR3が配列番号34、HFR4が配列番号35でそれぞれ表され、L鎖のFRのアミノ酸配列は、LFR1が配列番号36、LFR2が配列番号37、LFR3が配列番号38、LFR4が配列番号39でそれぞれ表される。
(2)カイコ形質転換用IgG型CSLEX1抗体発現プラスミドベクターの構築
(2−1)IgG1κ型抗体発現ベクターpUC57/CSLEXHおよびpUC57/CSLEXLの構築
前記(1−1)で決定した
IgM型CSLEX抗体のシグナル配列と可変領域からなる塩基配列と、マウスのIgG型抗体の定常領域を構成する塩基配列を連結してIgG型CSLEX抗体を構成した。
具体的には、その塩基配列が配列番号12で表されるシグナル配列とH鎖可変領域とからなるポリペプチドをコードする塩基配列と、その塩基配列が配列番号40(対応するアミノ酸配列は配列番号41)で表される公知のマウスイムノグロブリンγ1鎖(IgG1)定常領域をコードする塩基配列とが連結されて構成された、その塩基配列が配列番号42(対応するアミノ酸配列は配列番号43)で表されるIgG型CSLEX1抗体のH鎖をコードする塩基配列CSLEXHを全合成し、pUC57ベクターにクローニングしてpUC57/CSLEXHを得た。ここで、イムノグロブリンγ1鎖定常領域は、その塩基配列が配列番号44(対応するアミノ酸配列は配列番号45)で表される定常領域1(CH1)、その塩基配列が配列番号46(対応するアミノ酸配列は配列番号47)で表されるヒンジ領域、その塩基配列が配列番号48(対応するアミノ酸配列は配列番号49)で表されるH鎖定常領域2(CH2)、その塩基配列が配列番号50(対応するアミノ酸配列は配列番号51)で表されるH鎖定常領域3(CH3)からなる。
一方、その塩基配列が配列番号14で表されるシグナル配列とL鎖可変領域とからなるポリペプチドをコードする塩基配列と、その塩基配列が配列番号52(対応するアミノ酸配列は配列番号53)で表される公知のマウスJκセグメントをコードする塩基配列と、その塩基配列が配列番号54(対応するアミノ酸配列は配列番号55)で表される公知のマウスイムノグロブリンκ鎖をコードする塩気配列とが連結されて構成された、その塩基配列が配列番号56(対応するアミノ酸配列は配列番号57)で表されるIgG型CSLEX1抗体のL鎖をコードする塩基配列CSLEXLを全合成し、pUC57ベクターにクローニングしてpUC57/CSLEXLを得た。
ここで、得られたCSLEXがコードするH鎖およびCSLEXLがコードするL鎖からなるIgG型抗体のサブクラスはIgG1であり、かつ、κ鎖の抗原性を有する。また、CSLEXHおよびCSLEXLの配列構成は表2に示す通りである。
Figure 0005679217
(2−2)カイコ形質転換用プラスミドベクターの構築
WO2007/046439号パンフレット記載のpBluescriptII/UAS−SV40UTRベクター、pBacN/loxPベクターおよびpDNR/UAS−SV40ベクターを用いて、前記(2−1)で作成したCSLEXHとCSLEXLとが導入された、遺伝子組換えカイコにおいて標的遺伝子を効率的に発現させるGAL4/UASシステム(Fischer,J.A.et al.,Nature,332,853−856,1988,Brand,A.H & Perrimon,N.,Development,118,401−415,1993)を構成するためのプラスミドベクターpBacN/loxP−UAS−CSLEXL−UAS−CSLEXH(図3参照)を構築した。
具体的には、先ず、前記(2−1)で得られたpUC57/CSLEXLをSpeI(東洋紡)で処理し、SpeI−CSLEXL−SpeI断片を得た(図1参照)。得られたSpeI−CSLEXL−SpeI断片と、BlnI(TAKARA)で処理された直鎖状pBluescriptII/UAS−SV40UTRベクターとをライゲーションし、pBluescripII/UAS−CSLEXL−SV40UTRを得た(図1参照)。
なお、BlnIとSpeIは相補的断片を生じる制限酵素である。
次いで、得られたpBluescriptII/UAS−CSLEXL−SV40UTRをSpeIで処理し、SpeI−UAS−CSLEXL−SV40―SpeI断片を得た(図1参照)。得られたSpeI−UAS−CSLEXL−SV40―SpeI断片と、BlnIで処理された直鎖状pBacN/loxPベクターとをライゲーションし、pBacN/loxP−UAS−CSLEXL−SV40UTRを得た(図1参照)。
一方、前記(2−1)で得られたpUC57/CSLEXHをSpeIで処理してSpeI−CSLEXH―SpeI断片を得た(図2参照)。得られたSpeI−CSLEXH―SpeI断片と、BlnIで処理された直鎖状ドナーベクターpDNR/UAS−SV40UTRとをライゲーションし、pDNR/UAS−CSLEXH−SV40UTRを得た(図2参照)。
続いて、Cre Recombinase(BD Biosciences Clontech)を用い、添付の使用説明書に基づいて、DNR/UAS−CSLEXH−SV40UTR内のUAS−CSLEX−SV40UTR断片をpBacN/loxP−UAS−CSLEXL―SV40UTRに導入して、pBacN/loxP−UAS−CSLEXL−UAS−CSLEXHベクターを得た(図3参照)。
ここで、得られたpBacN/loxP−UAS−CSLEXL−UAS−CSLEXHベクターは酵母の転写制御因子GAL4の存在下で遺伝子発現を促すプロモーターUASと融合した抗体タンパク質遺伝子のL鎖およびH鎖をトランスポゾンpiggyBACの逆位末端反復配列の間に挿入したものである。(図3参照)。
(3)IgG型CSLEX1抗体発現遺伝子組換えカイコの作出
(3−1)発現ベクターのカイコ卵へのインジェクション
特開2003−88273号公報記載のポリヌクレオチド導入方法に従って、前記(2−2)で作成したpBacN/loxP−UAS−CSLEXL−UAS−CSLEXHベクターと、転移酵素遺伝子をコードするヘルパープラスミドpA3PIG(Tamura,T.et al.,Nat.Biotechnol.,18,81−84,2000)とを同時に533粒の発生初期のカイコ卵に導入した。
具体的には、産卵後8時間以内のカイコ卵をスライドガラス上に固定し、タングステン針を用いて固定されたカイコ卵の卵殻に穴を空け、該穴からガラスキャピラリーをカイコ卵の腹側の側面に対して80°から90°の角度で卵内に挿入し、該キャピラリーを通じて将来的に生殖細胞になる位置に、pBacN/loxP−UAS−CSLEXL−UAS−CSLEXHベクターと、転移酵素遺伝子をコードするヘルパープラスミドpA3PIGとを注入した。
(3−2)遺伝子組換えカイコの同定
前記(3−1)で発現ベクターが挿入された533粒のカイコ卵を孵化させ、得られた第1世代の成体を交配させることで得られた第2世代のカイコから、pBacN/loxP−UAS−CSLEXL−UAS−CSLEXHベクターが導入された2蛾区の遺伝子組換えカイコを選択した。その過程を表3に示す。
Figure 0005679217
(3−3)IgG型CSLEX1抗体発現系統の樹立
前記(3−2)で作出した2蛾区のUAS−CSLEXL−UAS−CSLEXH系統の遺伝子組換えカイコと、既に系統化されている絹糸腺特異的に発現するセリシンI遺伝子から合成されるタンパク質のDNAの下流に機能的に結合したGAL4遺伝子をもつSer1−GAL4系統の遺伝子組換えカイコとを交配させ、GAL4/UASシステム(Fischer,J.A.et al.,Nature,332,853−856,1988,Brand,A.H & Perrimon,N.,Development,118,401−415,1993)によりCSLEX1抗体を絹糸腺に発現させるSer1−GAL4/UAS−CSLEXL−UAS−CSLEXH系統を樹立した。
具体的には、UAS−CSLEXL−UAS−CSLEXH系統固体とSer1−GAL4系統個体を交配して得られた次世代の産卵後6日目の卵から、Ser1−GAL4/UAS−CSLEXL−UAS−CSLEXH系統個体を選択し、得られた個体を飼育した。
ここで、Ser1−GAL4/UAS−CSLEXL−UAS−CSLEXH系統遺伝子組換えカイコは、絹糸腺特異的に発現するセリシンI遺伝子から合成されるタンパク質と同じプロモーターをもつGAL4遺伝子を有する。絹糸腺特異的に発現された転写因子GAL4が、その標的配列であるUASに結合し、UASの下流に存在するCSLEXLおよびCSLEXHを絹糸腺特異的に、また、大量に発現させる。発現、翻訳されたCSLEXLタンパク質およびCSLEXHタンパク質がIgG型CSLEX1抗体を形成する。
(3−4)IgG型CSLEX1抗体の発現確認
前記(3−3)で得られたSer1−GAL4/UAS−CSLEXL−UAS−CSLEXH系統の遺伝子組換えカイコの絹糸腺において、IgG型CSLEX1抗体が発現されていることを確認した。
具体的には、先ず、吐糸期のSer1−GAL4/UAS−CSLEXL−UAS−CSLEXH系統個体の幼虫から絹糸腺を摘出した。次いで、摘出された絹糸腺3本を150μlのPBS中でポリトロンホモジナイザーを用いてホモジナイズし、4℃、13000rpmで15分間遠心した。続いて、Mouse Monoclonal Antibody Isotyping Test kit(AbD Serotec)を用いて、添付の使用説明書に基づき、得られた遠心上清中にκ鎖を持つIgG1型抗体が存在することを確認した(表4参照)。
Figure 0005679217
一方、前記(1−2)と同様に遠心上清中から精製したIgG型CSLEX1に対するN末端アミノ酸配列解析を行った。その結果、導入された塩基配列にはシグナル配列をコードする部分が含有されるにもかかわらず、前記(1−2)と同様に配列番号16で表されるH鎖可変領域のN末端アミノ酸配列、および配列番号17で表されるL鎖可変領域のN末端アミノ酸配列が得られた。この結果、免疫系が元来存在しないカイコにおいて、IgG型CSLEX1抗体のシグナル配列を除去するプロセッシングが起きることが明らかとなった。
(4)IgG型CSLEX1抗体のシアリルLexに対する反応性評価
(4−1)絹糸腺抽出液の前処理
前記(3−3)で得られたSer1−GAL4/UAS−CSLEXL−UAS−CSLEXH系統の遺伝子組換えカイコから、CSLEX1抗体が含まれる精製サンプルを調整した。
具体的には、先ず、Ser1−GAL4/UAS−CSLEXL−UAS−CSLEXH系統の組換えカイコ100匹分の絹糸腺に100mlの20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)を加え、ポリトロンホモジナイザーで破砕した。次いで、得られた破砕溶液を4℃、24000rpmで20分間遠心し、上清を回収した。また、遠心後の沈殿物に再度100mlの20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)を加え、ポリトロンホモジナイザーで破砕して4℃、24000rpmで20分間遠心した後、上清を回収した。さらに前記の操作をもう一度繰り返し、得られた上清を全て混合して計300mlの絹糸腺抽出液を得た。続いて、混合した絹糸腺抽出液に飽和硫安を終濃度10%になるように添加し、4℃で一晩攪拌した。また、得られた水溶液を4℃、24000rpm、30分間遠心し、上清を回収して0.45μmのフィルターでろ過して精製サンプルとした。
(4−2)抗体の精製
前記(4−1)で得られた精製サンプルからIgG型CSLEX1抗体を、第1段階目にアフィニティークロマトグラフィーを用い、第2段階目にイオン交換クロマトグラフィーを用いて精製した。この際、シアリルLexに対する反応性を評価して、IgG型CSLEX1抗体が含まれるフラクションを回収した。
具体的には、先ず、精製サンプルを流速1ml/minで、20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)で平衡化されたrProtein A Sepharose Fast Flow(GEヘルスケア)5mlカラムに通液した。次いで、15mlの20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)でカラムを洗浄後、0.1Mクエン酸緩衝液(pH3.0)を同流速で通液してカラムより抗体を溶出させ、抗体を含む溶出液7mlを得た。ここで、得られた溶出液には予め溶液に対して1/10量の1Mトリス緩衝液(pH9.0)を加えておき、溶出液は直ちに中和される。次に、溶出液のバッファーを脱塩し、20mMトリス緩衝液(pH8.0)に置換した。
続いて、得られた溶出液を流速1ml/minで、予め20mMトリス緩衝液(pH8.0)で平衡化された陰イオン交換クロマトグラフィーカラムに通液した。その後、カラムに吸着したタンパク質を、20mMトリス緩衝液(pH8.0)中のNaCl濃度が0〜500mMになるように、リニアグラジエント法を用いて溶出した。
溶出された各フラクション溶液をマイクロプレートウェル中に固相化し、それぞれのウェルにシアリルLexを含む40U/ml相当の膵臓癌細胞株CEUの培養上清由来試料を加えた後、さらに、ハイブリドーマ(寄託番号ATCC No.HB8580)から抽出精製してHRP標識を行ったIgM型CSLEX1抗体溶液を加え、続いて波長450nmにおける吸光度を測定し、高い吸光度を示すIgG型CSLEX1抗体が含まれるフラクションを回収した(図4)。なお、図4において、フラクション中のIgG型CSLEX1抗体のシアリルLexに対する反応性は、波長450nmにおける吸光度によって測定され、また、フラクション中のタンパク質濃度は、波長280nmにおける吸光度によって測定された。
図4に示すように、2段階の簡便な精製によってIgG型CSLEX1抗体を含むピークが明確に分離可能なことを確認した。
(4−3)抗体感作プレートによる反応性評価
前記(4−2)で精製されたIgG型CSLEX1抗体の癌細胞中に含まれるシアリルLexに対する反応性を評価した。特に、抗体の定量的な用途を示唆する抗原抗体反応の抗原濃度依存性を評価した。また、公知のIgM型CSLEX1抗体の反応性との比較を行った。
具体的には、先ず、前記(4−2)において回収したIgG型CSLEX1抗体を含む抗体フラクションから得たIgG型CSLEX1抗体溶液100μlを96ウェル−マイクロプレート(ヌンク社製)に1ウェル当り100μlずつ加え、4℃で2晩静置してタンパク質の固相化を行った。次いで、1%カゼインを含むPBSを1ウェル当り200μlずつ加え、4℃で1晩ブロッキングし、洗浄液(PBS−T)で1回洗浄した。
一方、抗原であるシアリルLex陽性サンプルとして40U/ml相当の膵臓癌細胞株CEUの培養上清由来試料と0U/ml濃度試料を調整した。また、40U/ml濃度試料を0U/ml濃度試料を用いて段階的に希釈し、20U/ml濃度試料、10U/ml濃度試料、5U/ml濃度試料をそれぞれ調整した。
前記IgG型CSLEX1抗体が固相化されたウェル毎に、前記濃度を調整した試料の一を100μl加え、37℃で2時間振とうして、IgG型CSLEX1抗体と試料中のシアリルLex間で抗原抗体反応をさせた。その後、洗浄液で3回洗浄し、固相化されたCSLEX1抗体に結合していないシアリルLexを除去した。
続いて、ハイブリドーマ(寄託番号ATCC No.HB8580)から抽出精製し、HRP標識を行ったIgM型CSLEX1抗体溶液を1ウェル当り100μl加え、37℃で2時間振とうして、IgM型CSLEX1抗体と固相化されたIgG型抗体に結合したシアリルLexとを抗原抗体反応をさせた。これを洗浄液で3回洗浄した後、HRPの酵素反応基質としてTMB溶液を1ウェル当り100μl加え、室温で反応させた。反応開始20分後に1ウェル当り100μlの1N硫酸を加えて反応を停止させた。反応停止後、EIAプレートリーダー(バイオラッド社製)を利用して、マイクロプレートの各ウェルの波長450nmにおける吸光度の測定を測定した(図5)。
比較例として、ハイブリドーマ(寄託番号ATCC No.HB8580)から抽出精製したIgM型CSLEX1抗体溶液100μlを、前記(4−2)において回収したIgG型CSLEX1抗体溶液に代えて同様の操作を行い、波長450nmにおける吸光度を測定した(図5)。
なお、シアリルLexは多価抗原であるため、共通の抗体可変領域をもち、それゆえ同一のエピトープをもつIgG型CSLEX1抗体またはIgM型CSLEX1抗体とHRP標識されたIgM型CSLEX1抗体とを用いたサンドイッチアッセイが可能である。
図5に示すように、本発明により製造されたIgG型CSLEX1抗体による抗原抗体反応において、抗原濃度依存的に吸光度が変化することを確認した。同時に、前記(4−2)に示した簡便な精製法により得られたIgG型CSLEX1抗体が、煩雑な工程により精製された公知のIgM型CSLEX1抗体と同程度の反応性を示すことを確認した。
本発明のT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体の製造方法により、T細胞非依存性抗原を免疫原としてモノクローナル抗体を作成した場合に通常得られるT細胞非依存性抗原に対するIgM型抗体と同様の反応性を有し、かつ精製が容易なT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体を安定的かつ効率的に生産可能である。この方法により得られたT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体は、精製が容易であるため純度を高めやすく、ELISA法等の免疫学的測定方法に利用可能であるので、このIgG型抗体を診断薬の分野で利用可能である。また、複数の疾病マーカーを組み合わせて行われる癌等の診断では複数種類の抗体が高純度でかつ多量に必要になる場合があるところ、本発明のT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体の製造方法により、既存のまたは新たに作成されもしくは見出されるT細胞非依存性抗原に対するIgM型を精製が容易で純度を高めやすいIgG型抗体に変換して効率的に生産することで、T細胞非依存性抗原に対する抗体の診断等での利用を促進することができる。さらに、本発明のT細胞非依存性抗原に対するIgG型抗体の製造方法により診断に利用可能な抗体の種類を充実させることで、新たな抗体の組合せを用いた、より精度の高い診断方法の確立に寄与できる可能性がある。
配列番号1−人工配列の説明:合成DNA
配列番号2−人工配列の説明:合成DNA
配列番号3−人工配列の説明:合成DNA
配列番号4−人工配列の説明:合成DNA
配列番号5−人工配列の説明:合成DNA
配列番号6−人工配列の説明:合成DNA
配列番号7−人工配列の説明:合成DNA
配列番号8−人工配列の説明:合成DNA
配列番号9−人工配列の説明:合成DNA
配列番号10−人工配列の説明:合成DNA
配列番号11−人工配列の説明:合成DNA
配列番号12−シグナル配列が連結されたシアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のH鎖可変領域をコードするDNA
配列番号13−シグナル配列が連結されたシアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のH鎖可変領域
配列番号14−シグナル配列が連結されたシアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のL鎖可変領域をコードするDNA
配列番号15−シグナル配列が連結されたシアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のL鎖可変領域
配列番号16−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のH鎖可変領域のN末端5残基
配列番号17−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のL鎖可変領域のN末端5残基
配列番号18−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のH鎖可変領域に連結するシグナル配列をコードするDNA
配列番号19−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のH鎖可変領域に連結するシグナル配列
配列番号20−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のH鎖可変領域をコードするDNA
配列番号21−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のH鎖可変領域
配列番号22−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のL鎖可変領域に連結するシグナル配列をコードするDNA
配列番号23−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のL鎖可変領域に連結するシグナル配列
配列番号24−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のL鎖可変領域をコードするDNA
配列番号25−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のL鎖可変領域
配列番号26−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のHCDR1
配列番号27−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のHCDR2
配列番号28−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のHCDR3
配列番号29−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のLCDR1
配列番号30−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のLCDR2
配列番号31−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のLCDR3
配列番号32−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のHFR1
配列番号33−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のHFR2
配列番号34−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のHFR3
配列番号35−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のHFR4
配列番号36−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のLFR1
配列番号37−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のLFR2
配列番号38−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のLFR3
配列番号39−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のLFR4
配列番号40−マウスのIgG1型抗体のH鎖定常領域をコードするDNA
配列番号41−マウスのIgG1型抗体のH鎖定常領域
配列番号42−シグナル配列が連結されたシアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のH鎖可変領域をコードするDNAとマウスのIgG1型抗体のH鎖定常領域をコードするDNAとが連結されてなるDNA
配列番号43−シグナル配列が連結されたシアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のH鎖可変領域とマウスのIgG1型抗体のH鎖定常領域とが連結されてなるポリペプチド
配列番号44−マウスのIgG1型抗体のH鎖定常領域の定常領域ドメイン1をコードするDNA
配列番号45−マウスのIgG1型抗体のH鎖定常領域の定常領域ドメイン1
配列番号46−マウスのIgG1型抗体のH鎖定常領域のヒンジ領域をコードするDNA
配列番号47−マウスのIgG1型抗体のH鎖定常領域のヒンジ領域
配列番号48−マウスのIgG1型抗体のH鎖定常領域の定常領域ドメイン2をコードするDNA
配列番号49−マウスのIgG1型抗体のH鎖定常領域の定常領域ドメイン2
配列番号50−マウスのIgG1型抗体のH鎖定常領域の定常領域ドメイン3をコードするDNA
配列番号51−マウスのIgG1型抗体のH鎖定常領域の定常領域ドメイン3
配列番号52−マウスのJκセグメントをコードするDNA
配列番号53−マウスのJκセグメント
配列番号54−マウスのκ鎖定常領域をコードするDNA
配列番号55−マウスのκ鎖定常領域
配列番号56−シグナル配列が連結されたシアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のL鎖可変領域をコードするDNAとマウスの抗体のL鎖定常領域をコードするDNAとが連結されてなるDNA
配列番号57−シグナル配列が連結されたシアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のL鎖可変領域とマウスの抗体のL鎖定常領域とが連結されてなるポリペプチド
配列番号58−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のH鎖可変領域をコードするDNAとマウスのIgG1型抗体のH鎖定常領域をコードするDNAとが連結されてなるDNA
配列番号59−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のH鎖可変領域とマウスのIgG1型抗体のH鎖定常領域とが連結されてなるポリペプチド
配列番号60−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のL鎖可変領域をコードするDNAとマウスの抗体のL鎖定常領域をコードするDNAとが連結されてなるDNA
配列番号61−シアリルLexに対するIgM抗体CSLEX1のL鎖可変領域とマウスの抗体のL鎖定常領域とが連結されてなるポリペプチド
配列番号62−Leyに対するIgM型抗体B5のHCDR1
配列番号63−Leyに対するIgM型抗体B5のHCDR2
配列番号64−Leyに対するIgM型抗体B5のHCDR3
配列番号65−Leyに対するIgM型抗体B5のLCDR1
配列番号66−Leyに対するIgM型抗体B5のLCDR2
配列番号67−Leyに対するIgM型抗体B5のLCDR3
配列番号68−Leyに対するIgM型抗体B5のH鎖可変領域(WO1996/013594号パンフレット図16参照)
配列番号69−Leyに対するIgM型抗体B5のL鎖可変領域(WO1996/013594号パンフレット図16参照)
配列番号70−Leyに対するIgM型抗体MSL5のHCDR1
配列番号71−Leyに対するIgM型抗体MSL5のHCDR2
配列番号72−Leyに対するIgM型抗体MSL5のHCDR3
配列番号73−Leyに対するIgM型抗体MSL5のLCDR1
配列番号74−Leyに対するIgM型抗体MSL5のLCDR2
配列番号75−Leyに対するIgM型抗体MSL5のLCDR3
配列番号76−Leyに対するIgM型抗体MSL5のH鎖可変領域(GenBank ID:AAA93034参照)
配列番号77−Leyに対するIgM型抗体MSL5のL鎖可変領域(GenBank ID:AAA93033参照)
配列番号78−デキストランに対するIgM型抗体MOPC104EのHCDR1
配列番号79−デキストランに対するIgM型抗体MOPC104EのHCDR2
配列番号80−デキストランに対するIgM型抗体MOPC104EのHCDR3
配列番号81−デキストランに対するIgM型抗体MOPC104EのLCDR1
配列番号82−デキストランに対するIgM型抗体MOPC104EのLCDR2
配列番号83−デキストランに対するIgM型抗体MOPC104EのLCDR3
配列番号84−デキストランに対するIgM型抗体MOPC104EのH鎖可変領域(SwissProt ID:P01756参照)
配列番号85−デキストランに対するIgM型抗体MOPC104EのL鎖可変領域(SwissProt ID:P01724参照)
配列番号86−ラクトテトラオシルセラミドに対するIgM型抗体11−50のHCDR1
配列番号87−ラクトテトラオシルセラミドに対するIgM型抗体11−50のHCDR2
配列番号88−ラクトテトラオシルセラミドに対するIgM型抗体11−50のHCDR3
配列番号89−ラクトテトラオシルセラミドに対するIgM型抗体11−50のLCDR1
配列番号90−ラクトテトラオシルセラミドに対するIgM型抗体11−50のLCDR2
配列番号91−ラクトテトラオシルセラミドに対するIgM型抗体11−50のLCDR3
配列番号92−ラクトテトラオシルセラミドに対するIgM型抗体11−50のH鎖可変領域(GenBank ID:CAA51274参照)
配列番号93−ラクトテトラオシルセラミドに対するIgM型抗体11−50のL鎖可変領域(GenBank ID:CAA51276参照)

Claims (18)

  1. (i)アミノ酸配列59で示されるH鎖をコードする塩基配列を含むDNAと、
    (ii)アミノ酸配列61で示されるL鎖をコードする塩基配列を含むDNAを含む、シアリルルイスX(シアリルLex)に対するIgG型抗体をコードするDNA。
  2. 前記アミノ酸配列59で示されるH鎖をコードする塩基配列が配列番号58で示され、前記アミノ酸配列61で示されるL鎖をコードする塩基配列が配列番号60で示される、請求項1に記載のDNA。
  3. 請求項1又は2に記載のDNAのDNA配列を含む遺伝子組換えベクター。
  4. 前記DNA配列が、UASプロモーターの下流に機能的に結合されている、請求項3に記載の遺伝子組換えベクター。
  5. 遺伝子組換えカイコの製造方法であって、
    (i)アミノ酸配列59で示されるH鎖をコードする塩基配列を含むDNAと、
    (ii)アミノ酸配列61で示されるL鎖をコードする塩基配列を含むDNA、
    をカイコに導入することを含む、シアリルルイスX(シアリルLex)に対するIgG型抗体を生産する遺伝子組換えカイコの製造方法。
  6. H鎖をコードする塩基配列が配列番号58であり、L鎖をコードする塩基配列が配列番号60である、請求項5に記載の遺伝子組換えカイコの製造方法。
  7. (i)カイコ由来の絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子をコードするDNAと、
    (ii)該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した、前記H鎖及びL鎖をコードする塩基配列を含むDNA
    をカイコに導入することを含む、請求項5又は6に記載の遺伝子組換えカイコの製造方法。
  8. (i)カイコ由来の絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子をコードするDNAが導入されたカイコと、
    (ii)該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した、前記H鎖及びL鎖をコードする塩基配列を含むDNAが導入されたカイコとを交配させてDNAを導入することを含む、請求項5から7のいずれかに記載の遺伝子組換えカイコの製造方法。
  9. 前記絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターがSer1であり、前記転写因子がGAL4であり、前記プロモーターがUASである、請求項7又は8に記載の遺伝子組換えカイコの製造方法。
  10. 遺伝子組換えカイコであって、
    (i)アミノ酸配列59で示されるH鎖をコードする塩基配列を含むDNAと、
    (ii)アミノ酸配列61で示されるL鎖をコードする塩基配列を含むDNA、
    が導入され、かつ、シアリルルイスX(シアリルLex)に対するIgG型抗体を生産する遺伝子組換えカイコ。
  11. H鎖をコードする塩基配列が配列番号58であり、L鎖をコードする塩基配列が配列番号60である、請求項10に記載の遺伝子組換えカイコ。
  12. (i)カイコ由来の絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子をコードするDNAと、
    (ii)該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した、前記H鎖及びL鎖をコードする塩基配列を含むDNA
    が導入された、請求項10又は11に記載の遺伝子組換えカイコ。
  13. 前記絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターがSer1であり、前記転写因子がGAL4であり、前記プロモーターがUASである、請求項12に記載の遺伝子組換えカイコ。
  14. シアリルルイスX(シアリルLex)に対するIgG型抗体の製造方法であって;
    シアリルルイスX(シアリルLex)に対するIgG型抗体は、
    (i)アミノ酸配列59で示されるH鎖と、
    (ii)アミノ酸配列61で示されるL鎖
    とを有し;
    該製造方法は、該H鎖をコードする塩基配列を含むDNAと該L鎖をコードする塩基配列を含むDNAが導入された遺伝子組換えカイコから生産される該抗体を回収して製造することを含む、シアリルルイスX(シアリルLex)に対するIgG型抗体の製造方法。
  15. H鎖をコードする塩基配列が配列番号58であり、L鎖をコードする塩基配列が配列番号60である、請求項14に記載の製造方法。
  16. 前記遺伝子組換えカイコが、
    (i)カイコ由来の絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子をコードするDNA、および、
    (ii)該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した、前記H鎖及びL鎖をコードする塩基配列を含むDNA
    が導入されたカイコである、請求項14又は15に記載の製造方法。
  17. 前記遺伝子組換えカイコが、
    (i)カイコ由来の絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターの下流に機能的に結合した転写因子をコードするDNAが導入されたカイコと、
    (ii)該転写因子の標的プロモーターの下流に機能的に結合した、前記H鎖及びL鎖をコードする塩基配列を含むDNAが導入されたカイコ
    とを交配させることで得られたカイコである、請求項14から16のいずれかに記載の製造方法。
  18. 前記絹糸腺特異的に発現するタンパク質をコードするDNAのプロモーターがSer1であり、前記転写因子がGAL4であり、前記プロモーターがUASである、請求項16又は17に記載の製造方法。
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WO2007046439A1 (ja) * 2005-10-18 2007-04-26 National Institute Of Agrobiological Sciences 抗体を産生するトランスジェニックカイコとその製造方法

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