JP5677654B2 - 支承装置 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば、橋梁等における橋脚等の下部構造物で、主桁等の上部構造物を支持する支承装置に関する。
従来より、例えば、橋梁、免震構造物、あるいは固定構造物同士を接続する接続部分等の振動や相対変位が生じる構造物において、可動支持する支承装置がある。このような、支承装置は、主桁等の被支持構造物と、橋脚等の支持構造物との間に配設され、被支持構造物に固定された上沓と、支持構造物に固定された下沓との境界面、つまり摺動面が摺動することで、境界面における面内方向に変位可能に支持することができる。
しかし、この境界面である摺動面に、ゴミ、粉塵、あるいは埃などのダストが侵入すると、上沓と下沓とがスムーズに摺動しないおそれがある。また、ダストが侵入したまま上沓と下沓とが摺動すると、上沓と下沓の境界面である摺動面に傷が入って摺動抵抗が増大したり、摩耗が進むおそれがあった。
そのような問題に対して、特許文献1では、面内方向における境界面である摺動面の外側を包囲する防塵カバーが提案されている。
この防塵カバーは、平面視円形となる円筒状の弾性部材で構成し、下部構造物の境界面である摺動面に対して押し付けるように、上部構造物に固定している。これにより、上沓と下沓との境界面、つまり摺動面へのダストの侵入を防止することができるとされている。
しかし、上記防塵カバーは、防塵カバー自体の弾性によって下部構造物の摺動面に対して押し付けているため、例えば、高荷重下において、防塵カバーと下部構造物の摺動面との摺動が繰り返されると、防塵カバーが磨耗したり、変形したりして、防塵カバーのシール機能が低下するするおそれがあった。
実開平6−71732号公報
そこで本発明では、確実に防塵できるとともに、耐久性のある環状部材を備えた支承装置を提供することを目的とする。
この発明は、第1構造物及び第2構造物におけるそれぞれの対向部分に配設した第1沓及び第2沓で構成し、該第1沓及び第2沓との対向部分における摺動面同士の摺動を許容する支承装置であって、前記両摺動面のうち一方の摺動面を、他方の摺動面に比べて、前記摺動面の面内方向に広く形成する広摺動面とするとともに、前記他方の摺動面を狭摺動面とし、前記面内方向と交差する方向に前記狭摺動面を弾性支持する弾性プレートと、前記摺動面の面外方向に所定長さを有して、前記面内方向における前記狭摺動面の外側を環状に囲むとともに、前記面外方向にスライド可能に支持された環状部材と、前記面外方向から見て所定間隔を隔てて環状に配置されるとともに、前記環状部材を、前記広摺動面に押圧接触させる付勢手段とを備えたことを特徴とする。
上記第1構造物及び第2構造物は、例えば、橋脚を第1構造物とし、主桁を第2構造物とする橋梁、ビルを第1構造物とし、ビルとビルとを連絡する渡り廊下を第2構造物とする連絡通路、柱を第1構造物とし、トラス屋根を第2構造物とする屋根構造、あるいは、ビルを第1構造物とし、別のビルを第2構造物とするエキスパンション構造における構造物とすることができる。
上記第1沓及び第2沓は、第1構造物及び第2構造物を上下方向に配置した場合における下沓と上沓とで構成することができる。
上記支承装置は、可動支承であり、摺動面における面内方向の任意の方向に可動する全方向可動支承、あるいは面内方向の一方向に可動する一方向可動支承とすることができる。
上記面内方向は、例えば、第1沓及び第2沓との対向部分における摺動面が平面である場合、摺動面を構成する平面上の方向であり、該平面に交差する方向を含まない概念である。
上記環状部材は、面内方向において狭摺動面の外側を環状に囲めばよく、面内方向における円形、略矩形あるいは略三角形等の略多角形で構成することができる。
上記付勢手段は、コイルスプリング等のスプリング、あるいはゴム等の弾性体で構成することができる。
この発明により、第1沓及び第2沓との対向部分における摺動面同士の間へのダストの侵入を、耐久性よく、確実に防止することができる。
詳しくは、広摺動面と狭摺動面とが摺動する際に、環状部材が狭摺動面の外側を環状に囲むとともに、面内方向において広い広摺動面に環状部材を付勢手段によって押圧接触し、広摺動面と環状部材とが摺動しているため、広摺動面と狭摺動面との間にダストが侵入することを防止できる。
また、環状部材は、付勢手段によって面内方向において広い広摺動面に押圧接触されているため、高荷重下で広摺動面と環状部材との摺動が繰り返された場合であっても、環状部材の摩耗や変形を抑制することができる。
また、例えば、第1沓に対して第2沓が面外方向に変位し、過度の荷重が環状部材に作用した場合であっても、過度の荷重を付勢手段によって吸収することができるため、環状部材が破損するおそれを防止することができる。したがって、第1沓及び第2沓との対向部分における摺動面同士の間へのダストの侵入を、耐久性よく、確実に防止することができる。
この発明の態様として、前記第1構造物を下部構造物とするとともに、第2構造物を上部構造物とし、第1沓を下沓とするとともに、第2沓を上沓とし、該上沓の摺動面を前記広摺動面とするとともに、前記下沓の摺動面を前記狭摺動面とし、前記付勢手段を、該環状部材を上向きに付勢する構成とすることができる。
この発明により、より耐久性よく、ダストの侵入をより確実に防止することができる。
詳しくは、上部構造物に配置される上沓の摺動面を広く形成し、下部構造物に配置される下沓の外側を囲む環状部材を、付勢手段によって上向きに付勢しているため、自重によって落下するダストが、上沓の広摺動面と下沓の狭摺動面の間に侵入する可能性を低減することができる。また、付勢手段が環状部材を上向きに付勢するため、過度の荷重が環状部材に作用しにくく、環状部材の耐久性をより向上することができる。
また、この発明の態様として、前記環状部材を、所定高さを有する円形の円形リング体で形成し、前記下部構造物の対向部分における前記狭摺動面の外側に、前記円形リング体の遊嵌を許容する円形溝を備え、前記付勢手段を、円形溝内部に配置することができる。
この発明により、ダストの侵入を、さらに確実に防止することができるとともに、環状部材の耐久性をさらに向上することができる。
詳しくは、環状部材を、所定高さを有する円形の円形リング体で形成しているため、下沓に対する上沓のいずれの方向の変位にも環状部材が追従することができ、ダストの侵入をさらに確実に防止することができる。
また、下部構造物の対向部分における下沓の狭摺動面の外側に、円形リング体の遊嵌を許容する円形溝を備え、付勢手段を、円形溝内部に配置しているため、下部構造物と上部構造物の対向部分において、下沓の狭摺動面の外側を隙間無く囲むことができる。
また、円形リング体が遊嵌する円形溝の内部に付勢手段を配置しているため、確実に上向きに環状部材を付勢することができる。したがって、ダストの侵入を、さらに確実に防止することができる。
さらにまた、例えば、下沓に対して上沓が面外方向に変位した場合であっても、環状部材を、所定高さを有する円形の円形リング体で形成しているため、局所的に過度の荷重が環状部材に作用することを防止することができる。したがって、環状部材の耐久性をさらに向上することができる。
本発明により、確実に防塵できるとともに、耐久性のある環状部材を備えた支承装置を提供することができる。
支承装置の斜視図。 支承装置の平面図。 支承装置についての説明図。 ダストシールについての拡大断面図。 下沓の分解斜視図。
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
図1は支承装置1の斜視図を示し、図2は支承装置1の平面図を示し、図3は支承装置1についての説明図を示し、図4はダストシール20について拡大断面図を示し、図5は下沓10の分解斜視図を示している。
詳しくは、図3(a)は支承装置1の縦断面図を示し、図3(b)は支承装置1の側面図を示している。また、図4は、図3(a)におけるa部の拡大断面図を示している。
支承装置1は、上部構造物である主桁(図示省略)を、下部構造物である橋脚(図示省略)で支持する橋梁における支承装置であり、主桁の底面に固定された上沓と、橋脚の上面に固定された下沓10とで構成している。詳しくは、支承装置1は、上沓の摺動面を構成するソールプレート2と、下沓10とを備えている。
なお、鋼製のソールプレート2は、平面視四角形状に形成され、ソールプレート2の底面であるソールプレート底面2aに硬質クロムメッキを施している。
下沓10は、下から順に、側面視ハット状のベースポット11と、弾性プレート12、シム13、第1シールリング14、第2シールリング15、ピストン16、ベアリング17、ダストシール20とで構成している。
ベースポット11は、鋼製であり、図示省略する橋脚の上面に固定する平面視四角形の固定台座111と、該固定台座111の平面視中央に配置された円筒形のベースポット本体112とで構成している。
なお、図2に示すように、図示省略する橋脚の上面に固定する固定ボルトの挿通を許容するボルト孔111aを、固定台座111の四隅に形成している。
また、ベースポット本体112の上面112aには、弾性プレート12、シム13、第1シールリング14、第2シールリング15及びピストン16の嵌合を許容する円筒形の凹部で構成する嵌合凹部113と、該上面112aの平面視外側でダストシール20の遊嵌を許容する平面視円形の円形溝114とを形成している。なお、円形溝114の溝内部には、周方向において等間隔に配置したピン115aに遊嵌させてコイルスプリング115を装着している。
弾性プレート12は、嵌合凹部113よりわずかに小さな径の平面視円形、且つ嵌合凹部113の深さの半分程度の高さを有するゴム製のプレートである。
シム13は、弾性プレート12と同じ径の平面視円形形状で形成したフッ素樹脂製の薄板で形成している。
第1シールリング14及び第2シールリング15は、径外側が垂直面となる断面台形状の円形リングであり、外径が弾性プレート12及びシム13と同じ径で形成し、第1シールリング14及び第2シールリング15における台形断面における内径側が、連続して上方に向かうにつれ径外側に広がる傾斜面で形成している。
ピストン16は、ステンレス製の略円錐台形状であり、後述するベアリング17の嵌合を許容する円形凹部16aを上面に形成し、第1シールリング14及び第2シールリング15の嵌合を許容する嵌合溝16bを外周面の下端に形成している。
ベアリング17は、フッ素樹脂で構成された平面視円形の板状体であり、自己潤滑性を有しており、表面が低摩擦係数である。そして、円形凹部16aに嵌合することによって、ベアリング17は、ピストン16の上面に接合されている。
なお、ピストン16の上面にベアリング17が嵌合する円形凹部16aを形成せずとも、ピストン16の上面にベアリング17を、接着剤等により直接接合する構成であってもよい。
ダストシール20は、図4に示すように、上方に凸な略ホームベース型の六角形断面で構成した円形のリング体である。詳しくは、円形溝114に遊嵌する径で形成し、コイルスプリング115によって上向きに付勢されるシール底面20a、及びソールプレート底面2aに当接するシール上面20bは、水平面を構成している。
このように構成した下沓10は、弾性プレート12、シム13、並びに嵌合溝16bに第1シールリング14及び第2シールリング15を嵌合させ、円形凹部16aにベアリング17を嵌め込んだピストン16を、下からこの順で嵌合凹部113に嵌合する。そして、固定台座111の円形溝114において、ピン115aに遊嵌させたコイルスプリング115の上方からダストシール20を遊嵌させて下沓10を組付ける。
さらに、主桁に固定されたソールプレート2を下沓10の上方から載置して支承装置1を構成する。このとき、ベアリング17の上面であるベアリング上面17aとソールプレート底面2aとが接し、摺動することができる。
なお、下沓10のベアリング17に比べ、ソールプレート2とベアリング17とが摺動する摺動面における面内方向、つまり平面視において、ソールプレート2を広く形成している。
このように構成した支承装置1は、ソールプレート2に係る主桁の荷重を、ベアリング17、ピストン16及びシム13を介して弾性プレート12に作用させ、ベースポット11で受けて、橋脚で支持することができる。
ここで、弾性プレート12の上面を覆うシム13によって、ソールプレート2を介した主桁の荷重は弾性プレート12に均等に作用する。
また、台形断面で形成した第1シールリング14及び第2シールリング15をピストン16の外周側下端の嵌合溝16bに嵌合しているため、ベースポット11に対してソールプレート2が傾くような面外方向の変位によって荷重が作用した場合であっても、ステンレス製のピストン16の角部が弾性プレート12に食い込むように作用することを防止している。
なお、本実施形態においては、ピストン16の嵌合溝16bに2つのシールリング14,15を嵌合する構成であったが、一体構成されたシールリングを嵌合溝16bに嵌合する構成であっても、同様の効果を得ることができる。
また、支承装置1は、下沓10とソールプレート2の対向面、すなわち摺動面の面内方向における橋脚に対する主桁の可動を許容しながら支持することができる。つまり、支承装置1は、下沓10に対するソールプレート2の可動を許容することができる。
詳しくは、支承装置1を構成する下沓10とソールプレート2との境界面、すなわち、摺動面であるベアリング上面17a及びソールプレート底面2aは、ソールプレート2をベアリング17に対して広く形成しているため、相対的にソールプレート底面2aをベアリング上面17aが摺動することとなる。
このとき、硬質クロムメッキが施されたソールプレート底面2aと、自己潤滑性を有し、表面が低摩擦係数であるベアリング上面17aとは、スムーズに摺動することができる。
なお、底面が研磨されたスライドプレートをソールプレート底面2aに装着し、スライドプレートの研磨された底面と、表面が低摩擦係数であるベアリング上面17aとが、スムーズに摺動する構成であってもよく、同様の効果を得ることができる。
さらに、橋脚及び主桁におけるそれぞれの対向部分に配設した下沓10及び上沓で構成した支承装置1は、下沓10及び上沓との対向部分におけるベアリング17とソールプレート2の摺動を許容し、ソールプレート2を、ベアリング17に比べて、摺動面の面内方向に広く形成するとともに、面内方向におけるベアリング上面17aの外側を環状に囲むダストシール20と、ダストシール20を、ソールプレート底面2aに押圧接触させるコイルスプリング115とを備えたことにより、下沓10及び上沓との対向部分におけるベアリング上面17aとソールプレート底面2aとの間へのダストの侵入を、耐久性よく、確実に防止することができる。
詳しくは、ソールプレート底面2aで構成する摺動面とベアリング上面17aで構成する摺動面とが摺動する際に、ダストシール20がベアリング上面17aの外側を環状に囲むとともに、コイルスプリング115によって面内方向において広いソールプレート底面2aにダストシール20を押圧接触しているため、ベアリング上面17aとソールプレート底面2aとの間の境界面、つまり摺動面にダストが侵入することを防止することができる。
また、ダストシール20は、面内方向において広いソールプレート底面2aに対してコイルスプリング115によって押圧接触されているため、高荷重下でダストシール20のシール上面20bとソールプレート底面2aとの摺動が繰り返された場合であっても、ダストシール20の摩耗や変形を抑制することができる。
なお、ダストシール20のシール上面20bが摺動するソールプレート底面2aには、硬質クロムメッキが施されているため、ダストシール20のシール上面20bとソールプレート底面2aとの摺動抵抗が低減し、ダストシール20の摩耗をより抑制することができる。
さらには、例えば、下沓10に対して上沓が面外方向に変位し、過度の荷重がダストシール20に作用した場合であっても、過度の荷重をコイルスプリング115によって吸収することができるため、ダストシール20が破損するおそれを防止できる。したがって、下沓10及び上沓との対向部分におけるベアリング上面17aとソールプレート底面2aとの間へのダストの侵入を、耐久性よく、確実に防止することができる。
また、主桁に固定される上沓のソールプレート2を広く形成し、橋脚の上部に固定された下沓10の外側を囲むダストシール20を、コイルスプリング115によって上向きに付勢しているため、自重によって落下するダストが、上沓のソールプレート底面2aと下沓10のベアリング上面17aの間に侵入する可能性を低減することができる。また、コイルスプリング115がダストシール20を上向きに付勢するため、過度の荷重がダストシール20に作用しにくく、ダストシール20の耐久性をより向上することができる。
また、ダストシール20を、所定高さを有する円形の円形リング体で形成し、橋脚の対向部分におけるベアリング17の外側に、ダストシール20の遊嵌を許容する円形溝114を備え、コイルスプリング115を、円形溝114内部に配置したことにより、ダストの侵入を、さらに確実に防止することができるとともに、ダストシール20の耐久性をさらに向上することができる。
詳しくは、ダストシール20を、所定高さを有する円形の円形リング体で形成しているため、下沓10に対する上沓のいずれの方向の変位にもダストシール20が追従することができ、ダストの侵入を、さらに確実に防止することができる。
また、橋脚に固定された下沓10のベアリング上面17aの外側に、円形リング体の遊嵌を許容する円形溝114を備え、コイルスプリング115を円形溝114の溝内部に配置しているため、橋脚に固定された下沓10と主桁に固定されたソールプレート2との対向部分において、下沓10のベアリング上面17aの外側を隙間無く囲むことができる。
また、ダストシール20が遊嵌する円形溝114の内部にコイルスプリング115を配置しているため、確実に上向きにダストシール20を付勢することができる。したがって、ダストの侵入を、さらに確実に防止することができる。
さらにまた、例えば、下沓10に対して上沓、すなわち主桁が面外方向に変位した場合であっても、所定高さを有する円形の円形リング状にダストシール20を形成しているため、局所的に過度の荷重が作用することを防止することができる。したがって、ダストシール20の耐久性をさらに向上することができる。
このように、支承装置1は、高荷重下においても、摩耗や変形によるダストシール20のシール機能の低下を防止し、支承装置1における摺動部分であるベアリング上面17aとソールプレート底面2aとの間へのダストの侵入を確実に防止し、下沓10に対する上沓の滑り性能及び鉛直方向の回転軸を中心とする回転変位を阻害することなく、主桁を橋脚で支持することができる。
なお、上述の支承装置におけるダストシールを、主桁に固定されたソールプレート2が載置した状態で交換可能に構成してもよい。
具体的には、ダストシールを2分割する構成とするとともに、円形溝をベースポット本体から取り外し可能に構成することによって、主桁に固定されたソールプレート2を下沓10に載置したままの状態でダストシールを交換可能にすることができる。
詳しくは、平面視円形を略半円状に2分割した分割ダストシールの嵌合を許容する円形溝を上面に備えたリングを、分割ダストシールと同様に、略半円状に2分割構成するとともに、ベースポット本体の外周側上端部に脱着可能に組み付ける。
なお、このとき、略半円状の分割ダストシールの端部を、内周面から外周面に向かって、周方向に傾斜させた傾斜面で形成し、この傾斜端部同士を対向させて組み合わせ、ダストシール20と同様の円形リング体を構成する。
このような、傾斜端部同士を対向させて組み合わせた分割ダストシールを、ベースポット本体に組付けた分割リングの円形溝に遊嵌させることにより、上述の支承装置1と同様の効果を得ることができる。
なお、分割ダストシールの傾斜端部を、内周面から外周面に向かって、周方向に傾斜させた傾斜面で形成しているため、組み合わせた分割ダストシールは、径内外方向を遮断することができる。したがって、分割ダストシールで外側を囲む、ベアリング17とソールプレート2とが対向する摺動面にダストが侵入することを確実に防止できる。
さらには、主桁に固定されたソールプレート2が載置された状態で、分割リングをベースポットから取り外すことができるため、下沓10からソールプレート2をジャッキアップすることなく、分割ダストシールを取り替えることができる。
なお、分割ダストシールの両端部は、上述のような内周面から外周面に向かって、周方向に傾斜させた傾斜面だけでなく、分割ダストシールの径内外を遮断するために、略半楕円状の凸部と凹部とを嵌合させる凹凸端部で構成してもよい。
以上、本発明の構成と、前述の実施態様との対応において、
本実施形態の第1構造物又は下部構造物は、橋脚に対応し、
以下同様に、
第2構造物又は上部構造物は、主桁に対応し、
第1沓は、下沓10,210に対応し、
第2沓は、上沓に対応し、
第1沓の摺動面、又は狭摺動面は、ベアリング上面17aに対応し、
第2沓の摺動面、又は広摺動面は、ソールプレート底面2aに対応し、
環状部材は、ダストシール20又は分割ダストシールに対応し、
付勢手段は、コイルスプリング115に対応するも、上記実施形態に限定するものではない。
例えば、橋脚で主桁を支持する場合の支承装置1について説明したが、ビルとビルとを連絡する渡り廊下をビルから支持する場合の支承装置、トラス屋根を柱で支持する場合の支承装置、あるいは、ビル同士を接続するエキスパンション構造における支承装置として用いてもよい。
さらには、ダストシール20を円形で構成したが、略矩形や三角形等の多角形で構成してもよい。
また、ソールプレート2を介して下沓10に作用する主桁の重量に応じて、コイルスプリング115のバネ定数を調整し、ダストシール20の磨耗や変形をより抑制してもよい。
1,201…支承装置
2a…ソールプレート底面
10,210…下沓
17a…ベアリング上面
20…ダストシール
114,214…円形溝
115…コイルスプリング

Claims (3)

  1. 第1構造物及び第2構造物におけるそれぞれの対向部分に配設した第1沓及び第2沓で構成し、該第1沓及び第2沓との対向部分における摺動面同士の摺動を許容する支承装置であって、
    前記両摺動面のうち一方の摺動面を、他方の摺動面に比べて、前記摺動面の面内方向に広く形成する広摺動面とするとともに、前記他方の摺動面を狭摺動面とし、
    前記面内方向と交差する方向に前記狭摺動面を弾性支持する弾性プレートと、
    前記摺動面の面外方向に所定長さを有して、前記面内方向における前記狭摺動面の外側を環状に囲むとともに、前記面外方向にスライド可能に支持された環状部材と、
    前記面外方向から見て所定間隔を隔てて環状に配置されるとともに、前記環状部材を、前記広摺動面に押圧接触させる付勢手段とを備えた
    支承装置。
  2. 前記第1構造物を下部構造物とするとともに、第2構造物を上部構造物とし、
    第1沓を下沓とするとともに、第2沓を上沓とし、
    該上沓の摺動面を前記広摺動面とするとともに、前記下沓の摺動面を前記狭摺動面とし、
    前記付勢手段を、該環状部材を上向きに付勢する構成とした
    請求項1に記載の支承装置。
  3. 前記環状部材を、所定高さを有する円形の円形リング体で形成し、
    前記下部構造物の対向部分における前記下沓の狭摺動面の外側に、前記円形リング体の遊嵌を許容する円形溝を備え、
    前記付勢手段を、円形溝内部に配置した
    請求項2に記載の支承装置。
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