JP5672956B2 - 常圧カチオン可染性ポリエステルおよびそれからなる繊維 - Google Patents

常圧カチオン可染性ポリエステルおよびそれからなる繊維 Download PDF

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Description

本発明のポリエステルは、ポリエステルに可溶なチタン化合物を用いることで、環境に優しく、色調や耐熱性に優れ、製糸時における口金汚れが減少し、このポリエステルを用いた繊維はタフネスに代表される繊維物性に優れ、常圧におけるカチオン染色性や耐光堅牢度に優れる。
ポリエステルはその機能性の有用さから多目的に用いられており、例えば、衣料用、資材用、医療用に用いられている。その中でも、汎用性、実用性の点でポリエチレンテレフタレートが優れ、好適に使用されている。
そのポリエチレンテレフタレートは、重合触媒としてアンチモン化合物が広く使用されているが、そのアンチモン化合物は、以下に述べるような幾つかの好ましくない特性を有している。
例えば、アンチモン化合物は重金属に分類されるものであり、環境負荷などの影響が懸念されている。その他、アンチモン触媒を使用して得られたポリエステルを溶融紡糸して繊維とするとき、アンチモン触媒の残渣が口金近傍で変成し、一部が気化、散脱した後、アンチモンを主体とする成分が口金に残るため操業性を低下させる一因となっている。
この問題を回避するために、例えば重合用触媒としてチタン化合物を用いる検討が盛んに行われている。チタン化合物は重合触媒活性が高いために熱分解反応や酸化分解反応などの副反応も促進する。このため、得られたポリエステルは黄味に着色し、かつ耐熱性に劣るという課題が生じる。
かかる課題に対して、チタン化合物とともに特定のリン化合物を添加することで、ポリエステルの耐熱性や色調を向上させる検討がなされてきた。例えば、チタン化合物を用いた場合に、色調の低下が改善されたポリエステルに関する方法が明示されている(特許文献1)。しなしながら、この文献にはイソフタル酸等の共重合ポリエステルの例示であり、本願で目的としている常圧可染性を付与するアジピン酸成分に関する具体的例示がない。また、リン化合物として5価のリン化合物に関する例示があるのみで、チタン化合物を用いた際のポリエステルの色調や耐熱性改善に関する課題提言もみられない。
また、リン化合物として3価のホスファイトおよび/または5価のホスフェイトを用いて、フィルム成形やボトル成形に適したポリエステル樹脂の製造方法が例示されている(特許文献2,3)。しかしながらこれらの方法も、イソフタル酸を共重合した改質ポリエステルの例示があるのみであり、本願目的の常圧可染性を付与するためにアジピン酸系成分を共重合したポリエステルの例示は見られない。
一方、ポリエステル繊維は高機能性が望まれており、特に高発色性や種々の繊維素材、特に天然繊維と複合化して用いることを多く望まれており、ポリエステル組成を改質することにより染色性を向上させる手法が多く検討されてきた。
例えば、アンチモン触媒の存在下、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルを2〜3モル%、アジピン酸のエチレングリコールジエステルを3〜6モル%共重合させることにより、常圧可染性や塩基染料染色性に優れたポリエステルの製造方法が明示されている(特許文献4)。さらに、アンチモン触媒の存在下、金属スルホネート基含有のエステル形成成分を0.4〜1.8モル%、アジピン酸成分を3〜17モル%共重合させることにより、染色性、堅牢性に優れたポリエステルの製造方法が提案されている(特許文献5、6)。また、アンチモン触媒の存在下、脂肪族ジカルボン酸成分を10〜20モル%共重合させることで、常圧で分散染料により染色可能なポリエステル繊維の製造方法が明示されている(特許文献7)。しかしながらこれらの方法はアンチモン触媒を用いており、アンチモン起因の紡糸時の口金汚れが見られ操業性が安定しないばかりか、環境汚染への影響が懸念されることから好ましくない。
つまり上記背景技術においては、ポリエステルに可溶なチタン化合物を用いた、色調及び耐熱性に優れ、アジピン酸系成分とイソフタル酸成分が共重合された常温カチオン可染性に優れたポリエステルおよびそれを用いた繊維は、公知では無かった。
特開2002−179781(特許請求の範囲) 特開2003−221437(特許請求の範囲) 特開2005−89516(特許請求の範囲) 特開昭61−34022(特許請求の範囲) 特開平8−269820(特許請求の範囲) 特開平11−93020(特許請求の範囲) 特開平10−204723(特許請求の範囲)
本発明の課題は、ポリエステルに可溶なチタン化合物を用いることで、色調および耐熱性に優れた環境に優しいポリエステルの提供、および製糸時の糸切れ等の製糸操業性に悪影響のある口金汚れを減少でき、得られた繊維はタフネスに代表される繊維物性や繊維の色調、常圧におけるカチオン染色性や耐光堅牢度に優れた繊維の提供にある。
本発明の課題は、全酸成分に対し金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分を2.0〜5.5モル%、全酸性分に対するアジピン酸成分を3.0〜6.0モル%含むポリエステルであって、ポリエステルに可溶なチタン化合物をチタン元素換算で3〜10ppm含有し、特定のリン化合物をリン元素換算で5〜40ppm含有する常圧カチオン可染性ポリエステル、およびこのポリエステルを用いた繊維により達成できる。
本発明の、金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分とアジピン酸成分を含有した常圧カチオン可染性ポリエステルは、ポリエステルに可溶なチタン化合物を用いた、従来品に比べ色調および耐熱性が優れたポリエステルであり、このポリエステルは、紡糸時の糸切れ等の製糸操業性に悪影響のある口金汚れがなく、このポリエステルを用いた繊維はタフネスに代表される繊維物性や色調に優れ、耐光堅牢度に優れた常圧カチオン可染性糸を提供できる。
本発明の常圧カチオン可染性ポリエステルおよびそれからなる繊維の主成分は、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体をエステル化または、エステル交換反応させた後に得られるポリエチレンテレフタレートである。
そのポリエチレンテレフタレートは、全酸成分に対し金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分を2.0〜5.5モル%、全酸性分に対するアジピン酸成分を3.0〜6.0モル%含み、ポリエステルに可溶なチタン化合物をチタン元素換算で3〜10ppm含有し、リン化合物をリン元素換算で5〜40ppm含有した、常圧カチオン可染性ポリエステルおよびそれからなる繊維である。
本発明の常圧カチオン可染性ポリエステルおよびそれからなる繊維は、全酸性分に対するアジピン酸成分を3.0〜6.0モル%含むことが常圧染色性を有するために必須である。さらに好ましくは4.0〜5.5モル%である。3.0モル%より少ないと、得られるポリエステルの色調や耐熱性は良好であり、そのポリエステルを用いた繊維は耐光堅牢度に優れるが、そのポリエステルを用いた繊維のカチオン染料染色性が不足する。6.0モル%より多いと得られるポリエステルの耐熱性が劣るため、そのポリエステルを用いた繊維はタフネスや色調が劣り、耐光堅牢度も悪くなる。
本発明の常圧カチオン可染性ポリエステルおよびそれからなる繊維のアジピン酸成分とは、アジピン酸もしくはアジピン酸のエステル形成誘導体が用いられる。例えば、アジピン酸形成誘導体としては、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、エチレングリコールエステル等、公知のアジピン酸形成誘導体を用いることが出来る。このアジピン酸成分は、原料調達が容易という点から、アジピン酸やアジピン酸ジメチルが好ましい。
本発明の常圧カチオン可染性ポリエステルおよびそれからなる繊維は、全酸性分に対して金属スルホネート基を含有するイソフタル酸性分を2.0〜5.5モル%含むことが、良好なカチオン可染性を有するために必須である。さらに好ましくは2.0モル%から3.0モル%である。2.0モル%より少ないと、得られるポリエステルの色調や耐熱性は良好であり、そのポリエステルを用いた繊維のタフネスおよび耐光堅牢度は良好であるが、カチオン染料染色性が不足する。5.5モル%より多いと、得られるポリエステルの耐熱性が劣り、そのポリエステルを用いた繊維のタフネスや色調が劣るばかりか、耐光堅牢度も悪くなる。
本発明の常圧カチオン可染性ポリエステルおよびそれからなる繊維の金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分とは、公知の金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分を使用することが出来るが、好ましくは、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルである。
本発明の常圧カチオン可染性ポリエステルおよびそれからなる繊維は、ポリエステルに可溶なチタン化合物をチタン元素換算で3〜10ppm含有することが必須である。さらに好ましくは4〜8ppmである。3ppmより少ないと、重合反応活性が不足し反応が遅延してしまい、得られるポリエステルが黄味に着色する。そのポリエステルを用いた繊維も黄味となる。10ppmより多いと、重合反応の活性は良好であるが、高活性のため得られるポリエステルの色調や耐熱性が悪化し、そのポリエステルを用いた繊維も黄味となるばかりか、タフネスも劣る。
本発明のポリエステルに可溶なチタン化合物とは、多価アルコールおよび/または多価カルボン酸および/またはヒドロキシカルボン酸および/または含窒素カルボン酸がキレート剤とするチタン錯体であることが、得られるポリエステルの色調や耐熱性の観点から好ましい。
ポリエステルに可溶なチタン化合物のキレート剤とは、多価アルコールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、マンニトール等が挙げられ、多価カルボン酸として、フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミリット酸、ピロメリット酸等が挙げられ、ヒドロキシカルボン酸として、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等が挙げられ、含窒素カルボン酸として、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等が挙げられる。これらのチタン化合物は単独で用いても、併用して用いても良い。なお本発明でいうチタン化合物とは、繊維等で一般的に使用される酸化チタンはポリエステルに可溶ではないため除外される。
本発明の常圧カチオン可染性ポリエステルおよびそれからなる繊維は、リン化合物をリン元素換算で5〜40ppm含有することが必須である。さらに好ましくは9〜35ppmである。リン元素換算で5ppmより少ないと、アジピン酸成分と金属スルホネート基を含有するイソフタル酸性分が共重合されているためポリエステルの分解反応が促進されやすく、得られるポリエステルの色調や耐熱性が悪化し、そのポリエステルを用いた繊維が黄味となるばかりか、タフネスも劣る。リン元素換算で40ppmより多いと、重合反応触媒が失活するため重合反応活性が低下し、重合反応が遅延してしまい、得られるポリエステルが黄味に着色する。そのポリエステルを用いた繊維のタフネスは優れ、耐光堅牢度も良好であるが、繊維が黄味に着色するため好ましくない。
リン化合物としては、(式1)〜(式5)にて表されるリン化合物を用いることが出来る。この(式1)または(式2)で示されるホスホナイト化合物ならびに(式3)で示されるホスフェイト化合物を用いると、アジピン酸成分と金属スルホネート基を含有するイソフタル酸性分が共重合されているにも関わらず、本発明の常圧カチオン可染性ポリエステルは溶融紡糸時の色調の改善や耐熱性に優れ、そのポリエステルを用いた繊維のタフネスや色調が飛躍的に改善される。
Figure 0005672956
(上記(式1)中、R1〜R2は、それぞれ独立に、水酸基または炭素数1〜20の炭化水素基を表している。)
Figure 0005672956
(上記(式2)中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水酸基または炭素数1〜20の炭化水素基を表している。)
Figure 0005672956
(上記(式3)中、R1〜R3は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基を表している。)
ポリエステルの着色や耐熱性の悪化は、飽和ポリエステル樹脂ハンドブック(日刊工業新聞社、初版、P.178〜P.198)に明示されているように、ポリエステル重合反応の副反応によって起こる。このポリエステルの副反応は、金属触媒によってカルボニル酸素が活性化し、β水素が引き抜かれることにより、ビニル末端基成分およびアルデヒド成分が発生する。このビニル末端基によりポリエンが形成されることによってポリエステルが黄味に着色し、また、アルデヒド成分が発生するために、主鎖エステル結合が切断されるため、耐熱性が劣ったポリエステルとなる。特に、アジピン酸成分や金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分をポリエステル骨格に有している場合、金属触媒によるカルボニル酸素への配位が容易に起こりやすく、β水素が引き抜かれやすくなり、ビニル末端機成分およびアルデヒド成分が発生しやすい。このビニル末端機により、ポリエンが形成されることによってポリエステルが黄味に着色し、また、アルデヒド成分が発生するために、主鎖エステル結合が切断されやすくなるため、耐熱性や色調が劣ったポリエステルとなる。
またチタン化合物を重合触媒として用いると、熱による副反応の活性化が強いために、ビニル末端基成分やアルデヒド成分が多く発生し、黄味に着色した耐熱性が劣ったポリエステルとなる。リン化合物は、重合触媒と適度に相互作用することにより、重合触媒の活性を調節する役割を果たすばかりか、アジピン酸成分や金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分のカルボニル酸素へのチタン化合物の配位を起こりにくくする。
本発明の常圧カチオン可染性ポリエステルおよびそれからなる繊維の(式1)または(式2)のホスホナイト化合物および(式3)のホスフェイト化合物を用いると、チタン化合物の重合活性を充分に保持したまま、ポリエステルの耐熱性や色調を飛躍的に向上させることができ、そのポリエステルを用いた繊維の物性(特にタフネス)や色調が優れるため好ましい。
中でも下記の(式4)で表されるリン化合物を用いると、ポリエステルの色調や耐熱性に優れ、そのポリエステルを用いた繊維の物性(特にタフネス)が優れるため、好ましく使用される。
Figure 0005672956
(上記(式4)中、R5〜R7は、それぞれ独立に、水酸基または炭素数1〜10の炭化水素基を表している。なお、炭化水素基は脂環構造、脂肪族の分岐構造、芳香族構造、水酸基および2重結合を1つ以上含んでいても良い。また、a+b+c=0〜5の整数である。)
上記(式4)にて表されるリン化合物としては、例えばaが2、bが0、cが0、R5がtert−ブチル基、R5が2,4位の化合物として、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4‘−ジイルビスホスホナイトがあり、この化合物はIRGAFOS P−EPQ(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)または、Sandostab P−EPQ(クラリアント・ジャパン製)として入手可能である。
中でも、(式5)で表されるリン化合物であることが、得られるポリエステル繊維の色調や耐熱性が特に良好となるため好ましく、そのポリエステルを用いた繊維の物性(特にタフネス)に優れるため好ましい。
Figure 0005672956
(上記(式5)中、R8〜R10は、それぞれ独立に、水酸基または炭素数1〜10の炭化水素基を表している。なお、炭化水素基は脂環構造、脂肪族の分岐構造、芳香族構造、水酸基および2重結合を1つ以上含んでいても良い。)
上記(式5)にて表されるリン化合物としては、R8がtert−ブチル基、R9=tert−ブチル基、R10がメチル基の化合物として、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−イルビスホスホナイトがあり、この化合物はGSY−P101(大崎工業製)として入手可能である。
さらには、(式3)にて表されるリン化合物として、R1〜R3が全てメチル基であるトリメチルホスフェイトであることが、得られるポリエステルの色調や耐熱性が良好となるため好ましく、そのポリエステルを用いた繊維の物性(特にタフネス)に優れるため好ましい。この化合物はTMP(大八化学製)として入手可能である。
本発明の常圧カチオン可染性ポリエステルおよびそれからなる繊維は、真比重5以上の元素を実質的に含まないことが好ましい。真比重5以上の元素とは、例えば、重合触媒として一般的に使用されているアンチモン元素や、エステル交換触媒として一般的に使用されるコバルト元素やマンガン元素である。
本発明でいう実質的に含まないとは、含有量が10ppm以下であることを表し、好ましくは5ppm、さらに好ましくは3ppm以下である。
その他、開発の目的を損なわない範囲で公知の添加物を含有することが出来る。例えば、水酸化テトラエチルアンモニウム(以下、EAH)や酢酸リチウム(以下、LAH)などのジエチレングリコール(以下、DEG)の副生抑制剤、酢酸マグネシウム等の金属酢酸塩に代表されるエステル交換反応触媒や、IR1010などに代表されるラジカル捕捉剤、酸化チタンに代表される艶消し剤などである。特に、EAHの含有量は窒素換算で125ppm以下が好ましく、さらに好ましくは40ppm以下である。LAHの含有量は、リチウム元素として15〜70ppmが好ましく、25〜55ppmがより好ましい。これらDEGの副生抑制剤は併用も出来る。
エステル交換反応触媒として使用される酢酸マグネシウムは、マグネシウム元素の真比重が5以下であり、好ましい。その含有量はマグネシウム元素として、40ppm〜100ppmが好ましく、さらに好ましくは50ppm〜90ppmである。
なお、艶消し剤として使用される酸化チタンを含有しても良く、得られるポリエステルの紡糸を安定的に実施するために、酸化チタン濃度として2.5wt%まで含有することが出来る。
本発明の常圧カチオン可染性ポリエステルを用いた繊維は、動的粘弾性測定で求める損失正接のピーク温度(以下、Tmaxと記載)が106〜120℃であることが好ましい。これは、本発明の目的である常圧カチオン可染性を得るためである。Tmaxの示す意味は、非晶部分の運動性に関する値であり、この値(温度)が低くなるとその温度で分子運動性が向上し、カチオン染料が非晶部に十分入りやすくなることを意味し、染色に必要な温度を低くすることが出来る。しかし、低くなりすぎると、力学特性、耐熱性、寸法安定性が劣り、使用に耐えない。また、この値(温度)が高すぎると常圧カチオン可染性を示さなくなる。
本発明の常圧カチオン可染性ポリエステルを用いた繊維は、Tmaxが120℃を超えると常圧でのカチオン染色性が低下し、より高い温度での染色条件を採らざるを得なくなる。また、106℃未満では、常圧でのカチオン染色性がより向上するが、その反面、力学特性、耐熱性、耐光堅牢度に劣る。
また、動的粘弾性測定で求める損失正接のピーク値(以下、tanδmaxと記載)は0.15〜0.18であることが好ましい。tanδmaxは、非晶部の量と動きやすさに関係する値であり、良好な常圧カチオン可染性および耐光堅牢度を得るためにこの範囲が好ましい。この値が、0.18を超えると力学特性に劣り、分子運動性が上がりすぎて耐光堅牢度が低下する。0.15未満では非晶部の量が少なくなり、カチオン染色性に劣る。
Tmaxおよびtanδmaxを上述の範囲とするためには、金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分とアジピン酸成分の量を本発明の範囲内とし、最適にコントロールすることによって初めて得られる。
本発明の常圧カチオン可染性ポリエステルを用いた繊維の強度は2.3〜3.5cN/dtexであることが好ましい。さらに好ましくは、2.6〜3.5cN/dtexである。
本発明の常圧カチオン可染性ポリエステル繊維の残留伸度は35〜50%であることが好ましい。さらに好ましくは35〜45%である。残留伸度が35%以上であることで、弾性糸と編立てした際の弾性糸の破断伸度バラツキを吸収し、布帛の形態斑を抑制するため、品位が良好となる。また、残留伸度50%を超えると配向結晶性の低下により染め斑や糸物性の経時変化を招く。
本発明の常圧カチオン可染性ポリエステルを用いた繊維の強度と伸度の平方根で表されるタフネスは、16以上であることが好ましい。タフネスとは繊維が破断までになされる仕事量(エネルギー)であり、本発明の常圧カチオン可染性ポリエステル繊維は主にスポーツ用途で展開されるため、擦過等の衝撃や過酷な伸縮運動に耐えうることが望ましい。
本発明の常圧カチオン可染性ポリエステルを用いた繊維の収縮特性は布帛の形態、寸法安定性の面より沸騰水収縮率が6〜10%、乾熱収縮率が8〜14%であると好ましい。本発明におけるこの沸騰水収縮率と乾熱収縮率は、主に結晶配向性によりコントロールされ、特に延伸倍率や熱セット温度により設定される。例えば、延伸倍率は、延伸後の糸の残留伸度が35〜45%となるように設定し、そして熱セット温度を115〜160℃の範囲に設定することで上記の沸騰水収縮率、乾熱収縮率を得ることが出来る。
本発明の常圧カチオン可染性ポリエステルを用いた繊維は、製糸において口金面深度(口金面から冷却開始点までの距離)を30〜65mmとすることが好ましい。これにより、繊維の繊度斑に起因する染め斑が減少し、品位の良好な常圧カチオン可染性ポリエステル繊維となる。
本発明の常圧カチオン可染性ポリエステルを用いた繊維は、常圧可染性を得るために、金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分とアジピン酸成分の量を本発明の範囲内とすることで最適にコントロールしていることから、製糸工程の伸長変形(細化)において、特殊な挙動を示す。そのため、口金面深度(口金面から冷却開始点までの距離)が65mmを超えると細化挙動が不安定となり、繊度斑を引き起こし、染め斑となり得られる繊維の品位が劣る。また、口金面深度が30mm未満では繊度斑は発生しにくくなるが、ポリエステルが急速に冷却固化されるためポリエステル中の分子鎖が十分に繊維軸方向に配向出来なくなり、繊維物性(特にタフネス)が劣る。
以下実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
なお、実施例中の物性値は以下の方法で測定した。
(1)ポリエステルの固有粘度IV
試料をオルソクロロフェノールに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃で測定した。
(2)ポリエステルの色調
色差計(スガ試験機製、SMカラーコンピュータ型式SM−T45)を用いて、ハンター値(b値)として測定した。バッチ重合においては、吐出工程の重量換算で半分にあたる時間でサンプリングしたポリエステルの色調を用いる。例えば、1トンのポリエステルを吐出する場合は、500kg時点のポリエステルをサンプリングし、以下の基準で判定した。
17未満 ;◎
17以上20未満;○
20以上 ;×
(3)ポリエステル中のチタン元素、リン元素等の含有量
蛍光X線元素分析装置(堀場製作所製、MESA−500W型)を用いて、リン元素、マグネシウム元素等の含有金属の元素分析を行った。
なお、ポリエステルに可溶なチタン元素の定量については、ポリエステルに不溶なチタン化合物を次の前処理を行い除去し、蛍光X線分析を行った。すなわち、ポリエステルをオルソクロロフェノールに溶解(溶媒100gに対してポリエステル5g)し、このポリエステル溶液と同量のジクロロメタンを加えて溶液の粘性を調製した後、遠心分離器(回転数18000rpm、1時間)で粒子を沈降させる。その後、傾斜法で上澄み液のみを回収し、上澄み液と同量のアセトンを添加することによりポリエステルを再析出させ、そのあと3G3のガラスフィルター(IWAKI製)で濾過し、濾上物をさらにアセトンで洗浄した後、室温で12時間真空乾燥してアセトンを除去した。以上の前処理を施して得られたポリエステルについてチタン元素の分析を行った。
(4)Δ固有粘度280(耐熱性を表す指標)
ポリエステルを、150℃で12時間減圧乾燥させた後、窒素雰囲気下280℃で60分間加熱溶融させた後、(1)の方法にて固有粘度を測定し、加熱溶融前後の差をΔ固有粘度280として算出し、以下の基準で判定した。
0.015未満 ;◎
0.015以上0.025未満;○
0.025以上 ;×
(5)ポリエステル中のDEG含有量
ポリエステルをモノメタノールアミンで加熱分解後、1,6ヘキサンジオール/メタノールで希釈し、テレフタル酸で中和した後、ガスクロマトグラフィーのピーク面積から求めた。
(6)タフネス
(i)繊度[dtex]の測定
得られた延伸糸を長さ100mカセ取りし、そのカセ取りした繊維の重量(g)を測定して得た値の100倍とし、同様に測定して得た3回の値の平均値を繊度とした。
(ii)繊維の残留伸度(E)、破断強度(T)、タフネスの測定
試料をオリエンテック(株)製TENSILON UCT−100でJIS L1013:1999(化学繊維フィラメント糸試験方法)8.5.1に示される定速伸長形でつかみ間隔20cmの条件で測定した。なお、破断伸度はS−S曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。
(i)、(ii)から得られた、残留伸度(E)、破断強度(T)より、以下の式(6)にて算出し、以下の基準で判定した。
タフネス=T×√E (式6)
16.0以上;○
16.0未満;×
(7)口金の堆積物の観察
溶融紡糸開始から72時間後の口金孔周辺の堆積物量を、長焦点顕微鏡を用いて観察し、以下の基準で判定した。
堆積物がほとんど認められない状態 ;○
堆積物が認められ頻繁に糸切れが発生する状態;×
(8)延伸糸の色調
得られた延伸糸を3kg巻きボビンにして、側面を(2)に記載の装置を用い色調b値を測定し、n=2の平均値を延伸糸の色調とし、以下の基準で判定した。
8未満 ;○
8以上未満;×
(9)常圧カチオン染料染色性(L値)
得られた延伸糸を用いて、2本合糸(168dtex)にて22ゲージで筒編み地を作製し、この筒編み地をC.I.Basic Blue66の5%owf、酢酸0.5ml/l、酢酸ソーダ0.2g/lからなる浴比1:100の95℃熱水溶液中で60分間染色を行い(2)の方法で色調L値を測定し、以下の基準で判定した。
25未満 ;◎
25以上〜30未満;○
30以上未満 ;×
(10)耐光堅牢度
筒編み地をC.I.Basic Blue66の0.3%owf、酢酸0.5ml/l、酢酸ソーダ0.2g/lからなる浴比1:100の95℃熱水溶液中で60分間染色を行い、JIS L 0842法(第三露光法)にて耐光堅牢度を調査し、以下の基準で判定した。
4−5級;◎
4級 ;○
3級以下;×
(11)アンチモン元素流出調査
筒編み地を既知のアルカリ減量加工(5%減量)を施した後、得られた残液(廃液)と(9)にて使用した染色用溶液を加熱し、エバポレーターを用いて溶媒を留去した後、固体状残り物をレーザーICP質量分析装置(JFEテクノリサーチ製)にてアンチモン元素の有無を調査し、以下の基準で判定した。
アンチモン元素検出有り;×
アンチモン元素検出無し;○
(12)損失正接
オリエンテック製バイブロンを用いて測定周波数110MHz、昇温速度3℃/分、張力0.15g/dtex、測定長30mm、繊度を120〜150dtex相当に調整して測定し、各温度における貯蔵弾性率(E’)、および損失弾性率(E”)を測定する。その結果から損失正接(tanδ)−温度曲線が得られ、この曲線上でtanδの最大値をピーク値(tanδmax)、その時の示すピーク温度(Tmax)を求める。
(13)繊度斑
ツェルヴェガーウスター製UT−4にて、送糸速度200m/分、S撚り12000ターン/分、測定時間1分にてU%ハーフを測定し繊度斑とし、以下の基準で判定した。
0.8%未満 ;○
0.8%以上1.5%未満;△
1.5%以上 ;×
(14)品位
染色した筒編み地の表面品位の均一性、染め斑に関して総合評価を熟練の品位判定者5名により、「良」、「可」および「不可」の3段階法で評価した。
参考例
本発明に用いるポリエステルに可溶なチタン化合物は特に限定はされないが、実施例中で用いるチタン化合物について、参考例として以下に合成方法を例示する。
(Ti−乳酸触媒)
窒素置換された反応槽に、反応溶媒としてエチレングリコール40Lに乳酸(和光純薬製)を536.4gを添加し、80℃に加熱する。その後、40℃まで冷却した後、チタンテトライソプロポキシド(日本曹達製)を712g添加し、24時間攪拌した。こうしてTi−乳酸触媒(チタン含有量:2.63g/L)を得た。
(Ti−マンニトール触媒)
窒素置換された反応槽に、反応溶媒としてエチレングリコール40Lにマンニトール(東京化成製)を456.8gを添加し、80℃に加熱して溶解させる。その後、40℃まで冷却した後、チタンテトライソプロポキシド(日本曹達製)を712g添加し、24時間攪拌した。こうしてTi−マンニトール触媒(チタン含有量:2.63g/L)を得た。
実施例1
(重合方法)
精留塔を備えたエステル交換反応槽にテレフタル酸ジメチルを927重量部とエチレングリコールを595重量部、アジピン酸ジメチルを得られるポリエステル中の全酸成分に対する濃度が5.1モル%となるように仕込み、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルを得られるポリエステル中の全酸成分に対し2.4モル%となるように仕込む。その後、Ti−乳酸触媒をチタン元素換算で5ppmとなるよう添加し、酢酸マグネシウム・4水和物を600ppm添加し、その後にEAH20(三洋化成製)を1200ppm(窒素換算で29.3ppm)添加する。その後、エステル交換反応槽の温度を徐々に昇温し、エステル交換反応時に発生するメタノールを反応系外に留去させながら反応を進行させ、低重合体を得た。その後、エステル交換反応槽から重合反応槽にその低重合体を移液する。移液終了後、ポリエステル中の濃度が0.07wt%になるよう酸化チタンのエチレングリコールスラリーを添加した。さらに5分後に、反応槽内を240℃から280℃まで徐々に昇温するとともに、エチレングリコールを留去しながら、圧力を50Paまで下げた。所定の攪拌機トルク(電力値)となった時点で反応系を窒素パージして常圧に戻し重合反応を停止させ、ストランド状に吐出して冷却後、直ちにカッティングしてポリエステルのペレットを得た。なお、減圧開始から所定の攪拌機トルク到達までの時間はおよそ2時間15分だった。得られたポリエステルは固有粘度0.62、DEG2.0wt%、b値14.0、Δ固有粘度280が0.015であり、色調および耐熱性に優れたポリエステルであった。
(紡糸方法)
このポリエステルを乾燥後、紡糸機に供し、紡糸温度287℃、口金ヒーター320℃、口金面深度(口金面から冷却開始までの距離)45mm、吐出量32g/分の溶融ポリエステルをスリット巾0.1mm、スリット長0.18mm、孔深度0.5mmのY孔を48個有する口金ノズルより吐出させて、吐出後の糸条は冷却チムニーによって0.5m/sの冷却風で冷却・固化され、口金下2mの位置で給油装置にて集束させながら油剤を付与し(純油分として繊維重量に対して1重量%塗布)、交絡ノズルにて流体として圧縮空気を用い作動圧0.09MPaで予備交絡を施し、周速度2250m/分の第1ゴデットロール(GD)、および第2GDにて引き取り、144dtex、48フィラメント、残留伸度180%の未延伸糸を9kg巻いたチーズパッケージとした。なお、巻取機の周速度は2220m/分とした。
(延伸方法)
そして得られた未延伸糸について延伸を行うに際し、送糸ローラーの送糸速度300m/分、第1ローラーは80℃で送糸速度301m/分とし、熱板長250mmの熱板を用い繊維の延伸、熱処理を施し、ついで送糸速度530m/分の冷ローラーで糸をポリエステルのTg以下に冷却しつつ、リラックス状態下で交絡ノズルにて流体として圧縮空気を用い作動圧0.098MPaで本交絡を施した後に巻き取った。延伸中に断糸やローラーへの単糸巻き付きの問題は発生せず、巻き上がったボビン表面上の毛羽も無く、延伸性は優れていた。得られた延伸糸の強度は2.6cN/dtex、残留伸度40%であり、式(6)にて計算したタフネスは16.4だった。また、延伸糸b値は6.3、tanδmaxは0.18、Tmaxは116℃であった。
(染色加工方法)
得られた延伸糸を用いて、2本合糸(168dtex)にて22ゲージで筒編み地を作製した。次いで、炭酸ナトリウム2g/L、グランアップ2g/L、浴比1:100で95℃×15分精錬した後、160℃×90秒で熱セットした。その後、カチオン染料染色性評価用として、上記(8)の方法で染色加工を施した。得られた筒編み地のL値は23.7だった。なおこの溶液を用いアンチモン元素流出量を調査したところ、アンチモン元素は検出されなかった。
得られた筒編み地の耐光堅牢度は4−5級であり、良好な結果であった。また、品位も、良であった。
実施例2〜16
表1〜4に記載の条件とする以外は、実施例1と同じ方法で実施した。いずれのポリエステルも色調b値、耐熱性に優れ、その後に得られた繊維、筒編み地の評価も良好であった。
実施例17、18
表5に記載の条件とする以外は、実施例1と同じ方法で実施した。いずれのポリエステルも色調b値、耐熱性に優れ、得られた繊維、筒編み地の評価も良好であった。
実施例19
表5に記載の条件、および孔経0.2mm、孔深度0.5mmの丸孔を48個有する口金ノズルを用いる以外は実施例9と同じ方法で実施した。いずれのポリエステルも色調b値、耐熱性に優れ、得られた繊維、筒編み地の評価も良好であった。
実施例20
表5に記載の条件、およびスリット巾0.15mm、スリット長0.70mm、孔深度0.4mmの扁平孔を24個有する口金ノズルを用いる以外は実施例9と同じ方法で実施した。いずれのポリエステルも色調b値、耐熱性に優れ、得られた繊維、筒編み地の評価も良好であった。
実施例21
表5に記載の条件、および孔経0.2mm、孔深度0.5mmの丸孔を48個有する口金ノズルを用いる以外は実施例12と同じ方法で実施した。いずれのポリエステルも色調b値、耐熱性に優れ、得られた繊維、筒編み地の評価も良好であった。
比較例1、3、5
表6、8に記載の条件とする以外は、実施例1と同じ方法で実施した。いずれのポリエステルも、色調b値およびΔ固有粘度280は良好であったが、カチオン染料染色性に劣るものであった。
比較例2、4、6
表6、8に記載の条件とする以外は、実施例1と同じ方法で実施した。いずれのポリエステルも色調b値は良好であったが、Δ固有粘度280が劣り、タフネス、延伸糸b値、および耐光堅牢度も劣っていた。
比較例7
表7、9に記載の条件とする以外は、実施例1と同じ方法で実施した。色調b値およびΔ固有粘度280、タフネス、延伸糸b値が劣っていた。
比較例8
表7、9に記載の条件とする以外は、実施例1と同じ方法で実施した。色調b値が劣り、延伸糸のb値も劣っていた。
比較例9
表7、9に記載の条件で実施する以外は、実施例1と同じ方法で実施した。得られるポリエステルの色調b値は良好だったが、Δ固有粘度280およびタフネス、延伸糸b値も劣っていた。
比較例10
表7、9に記載の条件とする以外は、実施例1と同じ方法で実施した。得られるポリエステルの品位は良好であったが、口金周りの堆積物が多く製糸操業性が不良であった。さらにカチオン染料染色性評価に用いた溶媒でアンチモン元素が検出された。
比較例11
表7、9に記載の条件で実施する以外は、実施例1と同じ方法で実施した。色調b値およびΔ固有粘度280、タフネス、延伸糸b値が劣っていた。
比較例12
表7、9に記載の条件とする以外は、実施例1と同じ方法で実施した。色調b値が劣り、延伸糸のb値も劣っていた。
Figure 0005672956
Figure 0005672956
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Figure 0005672956
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Claims (4)

  1. 全酸成分に対し金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分が2.0〜5.5モル%、全酸分に対するアジピン酸成分が3.0〜6.0モル%含まれるポリエステルであって、ポリエステルに可溶なチタン化合物をチタン元素換算で3〜10ppm含有し、(式1)または(式2)であるホスホナイトもしくは(式3)であるホスフェイトを含有するリン化合物をリン元素換算で5〜40ppm含有含有することを特徴とする、常圧カチオン可染性ポリエステル。
    Figure 0005672956
    Figure 0005672956
    (上記(式1)、(式2)中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水酸基または炭素数1〜20の炭化水素基を表している。)
    Figure 0005672956
  2. 真比重5以上の元素の含有量が10ppm以下であることを特徴とする、請求項1記載の常圧カチオン可染性ポリエステル。
  3. 繊維物性が以下の(1)〜(5)を同時に満たす請求項1または2に記載の常圧カチオン可染性ポリエステルからなる繊維。
    (1)強度2.3〜3.5cN/dtex
    (2)伸度35〜50%
    (3)損失正接のピーク温度106〜120℃
    (4)損失正接のピーク値0.15〜0.18
    (5)繊度斑1.5%未満
  4. 繊維物性が以下の(1)、(2)を同時に満たす請求項に記載の常圧カチオン可染性ポリエステルからなる繊維。
    (1)強度2.6〜3.5cN/dtex
    (2)伸度35〜45%
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