JP5672036B2 - 車両後部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の後部であって、特に内部にハーネスが配線される車両後部構造に関するものである。
車両の後部には衝撃緩和装置としてリアバンパが設置されている。通常、リアバンパにはフォグランプに代表される照明器具等が備えられている。リアバンパの照明が取り付けられる部位(照明取付部)は車内側へ窪んだ形状となっていて、その奥には照明器具のハーネスを通す孔が設けられている(例えば特許文献1)。多くの車両では、照明取付部から延びるハーネスをクランプによって把持させ、このクランプをリアバンパの車内側に配置されているバックパネルに取り付け、これによってハーネスをバックパネル上に配線させている。このような場合、ハーネスのコネクタに水が触れることを防ぐため、ハーネスはなるべくバックパネルの上部側に配線するのが一般的である。
現在の車両には、衝突時の損害がより抑えられるような構成が望まれている。例えば特許文献2には、軽微衝突時におけるキーレスエントリー用のアンテナユニットの破損を防止する取付構造が開示されている。特許文献2では、アンテナユニットはリアバンパの車内側に取り付けられていて、衝撃を受けると車内側へ外れる構成となっている。これによりアンテナユニットの破損を防止可能であるとされている。
特開2008−230442号公報 特開2007−261386号公報
軽微衝突時に対しては、上記特許文献2のアンテナユニットに限らず、照明器具等の破損防止も望まれている。この照明器具を破損から保護して再利用するためには、車内側へと配線されるハーネスも保護する必要がある。しかしリアバンパに変形が生じると、ハーネスはリアバンパとバックパネルとに挟まれるなどして容易に破損してしまう。
本発明は、このような課題に鑑み、車両後部に配線されるハーネスの破損を防止可能な車両後部構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明にかかる車両後部構造の代表的な構成は、車両後部のバックパネルとバックパネルの車外側に設置されるリアバンパとの間にハーネスを有する車両後部構造において、バックパネルに取り付けられ、ハーネスを把持してハーネスをバックパネル上に配線するクランプと、バックパネル上のハーネスの両脇に設けられ、バックパネルからリアバンパに向かって少なくともハーネスの径以上に突出する複数の突起部とを備えることを特徴とする。
上記構成によれば、リアバンパに変形が生じた場合であっても、リアバンパとバックパネルとの干渉からハーネスを保護し、ハーネスの破損を防ぐことができる。これにより、衝突時の損害額を抑えることができる。また、ハーネスの破損のおそれが低下するため、ハーネスの配線レイアウトの自由度を高めることができる。さらには、ハーネスの配線作業時に突起部にハーネスを沿わせて案内させることで、ハーネスが設定位置へと容易に配線できる。したがって、作業効率が向上する。なお、突起部はハーネスのコネクタよりも突出する形状としてもよく、これによればコネクタの保護も図ることが可能となる。
上記の複数の突起部はそれぞれハーネスに沿った長尺形状を有するとよい。この構成によれば、ハーネスを破損から効率よく保護することが可能となる。また、長尺形状であればハーネスを設定位置へ案内させやすくなるため、配線時の作業効率が向上する。
当該車両後部構造は、ハーネスの両脇における一方の突起部から他方の突起部にわたってハーネスを覆って設置されるカバーをさらに備えてもよい。このカバーによれば、走行中や衝撃発生時におけるハーネスの動きを規制し、ハーネスを効率よく保護することができる。なお、このようなカバーの例としては、テープ類を利用することができる。
上記構成によれば、車両後部に配線されるハーネスの破損を防止可能な車両後部構造を提供することが可能となる。
本発明の実施形態にかかる車両後部構造の分解図である。 図1の各部材を組み合わせた状態を示す図である。 衝突時の前後における車両後部構造を示す図である。 図2(b)のD−D断面図である。 車両後部構造の変形例を示す図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、本発明の実施形態にかかる車両後部構造100の分解図である。図1に示すように、車両後部構造100にはバックパネル102と、バックパネル102に取り付けられるリアバンパ104、およびリアバンパ104に備えられるフォグランプ106が含まれている。
バックパネル102は車両108の後部、主にトランクルーム110の下方後部に配置されるパネルである。バックパネル102は不図示のフロアパネル(床板)の後端に取り付けられるためエンドパネルとも呼ばれている。リアバンパ104は衝撃緩和装置であって、バックパネル102の車外側に設置される。リアバンパ104にはフォグランプ106を取り付けるための照明取付部112が設けられている。照明取付部112は周囲の領域よりも車内側へ窪んでいて、その奥には配線孔114が設けられている。
フォグランプ106は、主に後方の車両に対して自車の視認性を向上させる目的で設置される照明器具である。フォグランプ106にはハーネス116が付属している。ハーネス116は照明取付部の配線孔114から車両内部へ向かって配線され、このハーネス116を通じてフォグランプ106は電力の供給を受ける。
リアバンパ104の車両108への設置後において、リアバンパ104は周囲の部材よりも車外側へ突出し、緊急時に外部と最初に接触する。この緊急時には、リアバンパ104は外部との接触によって車内側のバックパネル102に向かって変形することが多い。そして、このリアバンパ104の変形はハーネス116を破損させるおそれが高い。そこで当該車両後部構造100では、バックパネル上にハーネス116の破損を防ぐための対策を施している。
図2は、図1の各部材を組み合わせた状態を示す図である。図2(a)では、図1の各部材のうちリアバンパ104を透過させて示している。図2(a)に示すように、ハーネス116はクランプ118を使用してバックパネル上に配線される。クランプ118はハーネス116に対する締め具であって、クランプ118はハーネス116を把持した後にバックパネル102に取り付けられる。
図2(b)は、図2(a)のA部拡大図である。図2(b)に示すように、バックパネル上のハーネス116の幅方向両脇には複数の突起部120a〜120dが設けられている。これら突起部120a〜120dは、それぞれハーネス116に沿った長尺形状を有している。
図3は、衝突時の前後における車両後部構造100を示す図である。図3(a)は、図2(a)のB−B断面図であって、衝突前の車両後部構造100を示している。以下では、複数の突起部120a〜120dを代表して、突起部120a・120bを参照して説明を行う。図3(a)に示すように、突起部120a・120bはバックパネル102からリアバンパ104に向かって突出するよう形成される。
図3(b)は図3(a)のC部拡大図である。図3(b)に示すように、突起部120a・120bは互いに略同じ程度に突出している(突出量H1)。この突出量H1は、少なくともハーネス116の径W1以上(突出量H1>径W1)となるように設定されている。
図3(c)は、図3(a)の状態から衝突によって変形した車両後部構造100を示す図である。図3(b)に示すように、衝突によってリアバンパ104が車内側へ変形すると、リアバンパ104はバックパネル102に干渉する場合がある。しかし、当該車両後部構造100では、複数の突起部120a・120bを設けることでリアバンパ104のハーネス116への干渉を防ぐことができる。
なお、ハーネス116の両脇における突起部120a・120b間の距離(すなわち谷間122の幅)は、ハーネス116の径W1に近い距離に設定するとよい。これにより、ハーネス116の谷間122での弛みが防止でき、ハーネス116の保護をより効率よく行うことができるからである。また、谷間122の幅が狭いほど、リアバンパ104がこの谷間122に入り込んでハーネス116に干渉するおそれが低くなるからでもある。
再び図2(b)を参照する。図2(b)に示すように、当該車両後部構造100では、ハーネス116のコネクタ124の両脇に突起部126a・126bを設けてもよい。図4は、図2(b)のD−D断面図である。図4に示すように、突起部126a・126bの突出量H2は、コネクタ124のバックパネル102からの高さH3を基準にし、この高さH3よりも大きくなるよう(突出量H2>高さH3)に設定されている。これによれば、ハーネス116だけでなく、コネクタ124へのリアバンパ104の干渉を防いでコネクタ124の保護をも図ることが可能である。
以上説明したように、当該車両後部構造100によれば、ハーネス116を有するフォグランプ106を再利用可能に保護し、衝突時の損害額を抑えることが可能となる。また、ハーネス116の破損のおそれが低下するため、ハーネス116の配線レイアウトの自由度を高めることができる。さらには、ハーネス116の配線作業時に突起部120a〜120dにハーネス116を沿わせるだけで、ハーネス116が設定位置へと容易に案内できる。すなわち、配線時の作業効率が向上できる。
なお、本実施形態におけるフォグランプ106は、ハーネスを有する器具の代表例に過ぎない。当該車両後部構造100の技術的思想はフォグランプ106の保護に限られず、ハーネスを有する他の装置の保護にも利用可能である。
(変形例)
図5は、車両後部構造100の変形例を示す図である。図5(a)は、図2(b)に対応した図示を行っている。図5(a)に示すように、バックパネル102には、例えば一方の突起部120aから他方の突起部120bにわたってハーネス116を覆うカバー130を備えてもよい。本例では、カバー130としてテープ類を利用している。
図5(b)は図5(a)のC−C断面図である。図5(b)に示すように、カバー130を備えることで、ハーネス116の突起部120a・120bの間での動きが規制できる。これにより、走行中や衝撃発生時にハーネス116が突起部120a・120bの間から外れることがなくなり、ハーネス116を効率よく保護することができる。特に、突起部120a・120bはクランプ118からやや離れた位置に設けられているためハーネス116が弛んで外れやすく、このような位置の突起部ほどカバー130の効果がよりよく発揮される。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、車両の後部であって、特に内部にハーネスが配線される車両後部構造として利用することができる。
W1 …径、H1、H2 …突出量、H3 …高さ、100 …車両後部構造、102 …バックパネル、104 …リアバンパ、106 …フォグランプ、108 …車両、110 …トランクルーム、114 …配線孔、116 …ハーネス、118 …クランプ、120a、120b、120c、120d、126a、126b …突起部、122 …谷間、124 …コネクタ、130 …カバー

Claims (3)

  1. 車両後部のバックパネルと該バックパネルの車外側に設置されるリアバンパとの間にハーネスを有する車両後部構造において、
    前記バックパネルに取り付けられ、前記ハーネスを把持して該ハーネスを該バックパネル上に配線するクランプと、
    前記バックパネル上の前記ハーネスの両脇に設けられ、該バックパネルから前記リアバンパに向かって少なくとも該ハーネスの径以上に突出する複数の突起部とを備えることを特徴とする車両後部構造。
  2. 前記複数の突起部はそれぞれ前記ハーネスに沿った長尺形状を有することを特徴とする請求項1に記載の車両後部構造。
  3. 前記ハーネスの両脇における一方の突起部から他方の突起部にわたって該ハーネスを覆って設置されるカバーをさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の車両後部構造。
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