JP5670802B2 - 固形燃料製造方法、その装置、及び固形燃料 - Google Patents

固形燃料製造方法、その装置、及び固形燃料 Download PDF

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Description

本発明は、固形燃料製造方法、その装置、及び固形燃料に関するものであり、詳しくは、下水処理場で発生する汚泥をはじめとした有機性汚泥から臭気対策及び発熱量の調整対策を施した固形燃料製造方法、その装置、及び固形燃料に関する。
これまでは、有機性汚泥を有効利用する方法は、コンポスト化やセメント会社での再利用などの方法に限られていたが、近年ではその保有している熱量を燃料として有効利用する方法が、盛んに検討されるようになってきた(特許文献1、2)。
また、有機性汚泥を燃料利用する方法として、プラスチックと混合成形物を固形燃料とする方法については、以下の特許文献3がある。ここで言うプラスチックとは、使用済みビニル袋、廃ポリエチレンなどの廃プラスチックを含む。
特開平9−78076号公報 特許第4368964号公報 特許第3578522号公報
有機性汚泥を燃料として利用するには、有機性汚泥を乾燥処理や炭化処理をすることで、水分を低下させ、腐敗しないようにするとともに保有熱量を上げる方法がとられる。ただ、炭化処理では汚泥中の有機分を多く揮発させるため、炭化物の保有熱量を下げ、有効利用熱量を低下させるという欠点がある。
また、乾燥処理では、ほとんど有機分の揮発を伴わないが、炭化処理にくらべて、固形燃料に臭いが残るという欠点がある。
また、プラスチックを併用する方法では、その固形燃料は異臭を発生するため、異臭を除去するために生石灰などの添加剤の添加を必要とする。固形燃料に新たな添加剤を入れることで、燃料の発熱量や灰分が上昇し燃料としての価値を低下させるとともに、装置としても添加装置や添加剤受入装置が必要となり、コスト高となるという問題がある。
本発明は、有機性汚泥又は有機性汚泥とプラスチックの混合物の保有熱量をより多く固形燃料に残存させ、かつ、固形燃料の臭気を低減することができる固形燃料製造方法、その装置、及び固形燃料を提供することを目的とする。
本発明は、以下のとおりである。
1)有機性汚泥を真空状態で加熱することにより消臭する加熱消臭工程を含む、固形燃料製造方法。
2)有機性汚泥とプラスチックの混合物を真空状態にすることにより消臭する消臭工程を含む、固形燃料製造方法。
3)有機性汚泥を真空状態で加熱することにより消臭する加熱消臭装置を含む、固形燃料製造装置。
4)有機性汚泥とプラスチックの混合物を真空状態にすることにより消臭する消臭装置を含む、固形燃料製造装置。
5)上記1)又は2)の固形燃料製造方法又は上記3)又は4)の固形燃料製造装置により製造された固形燃料。
本発明は、具体的には、以下のとおりである。
(1)有機性汚泥を容器空間内の真空状態で加熱し、該空間内に所定のキャリヤガスを注入し、該有機性汚泥中の悪臭成分を含んだ該キャリヤガスを排出し、加熱消臭処理された固形燃料を得ることを特徴とする固形燃料製造方法。
(2)前記有機性汚泥が、乾燥機で乾燥した乾燥汚泥であることを特徴とする上記(1)の固形燃料製造方法。
(3)前記排出されたキャリヤガスを、前記乾燥機の熱源とすることを特徴とする上記上記(2)の固形燃料製造方法。
(4)有機性汚泥とプラスチックの混合物を真空状態の容器空間内に導入すると共に、該空間内に所定のキャリヤガスを注入し、該空間内の真空状態で該プラスチックの混合物の保有熱により加熱し、該有機性汚泥中の悪臭成分を含んだ該キャリヤガスを排出し、加熱消臭処理された固形燃料を得ることを特徴とする固形燃料製造方法。
(5)前記プラスチックの混合物は、熱成形した直後のものであることを特徴とする上記(4)の固形燃料製造方法。
(6)前記加熱消臭処理は、真空容器空間内にキャリヤガスを間欠的に通気することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか1項の固形燃料製造方法。
(7)前記有機性汚泥又は前記プラスチックの混合物に活性炭を添加混合し、臭気低減処理することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか1項の固形燃料製造方法。
(8)有機性汚泥を真空状態で加熱する真空加熱手段と、
前記真空加熱手段に所定のキャリヤガスを注入するガス注入手段と、
前記真空加熱手段から有機性汚泥中の悪臭成分を含んだ該キャリヤガスを排出するガス排出手段と、
を有し、
前記真空加熱手段から加熱消臭処理された固形燃料を得ることを特徴とする固形燃料製造装置。
(9)上記(1)〜(7)のいずれか1項の固形燃料製造方法又は上記(8)の固形燃料製造装置により製造されたことを特徴とする固形燃料。
本発明は、有機性汚泥又は有機性汚泥とプラスチックの混合物を真空状態で加熱することにより消臭することを最大の特徴とする。本発明は、従来技術のように、有機性汚泥を高温条件にさらすことがなくとも、真空状態にすることで臭気成分の揮発や分解を促進することができる。
本発明は、炭化処理することなく有機性汚泥又は有機性汚泥とプラスチックの混合物を処理するため、有機物の分解レベルは炭化処理に比して小さくなるため、有機性汚泥の有機分を分解せずに残存させ、且つ、臭気を低減した、より高熱量を有した固形燃料を製造できる。
本発明の実施の形態に係る固形燃料製造装置の構成を表す説明図である。 本発明の実施の形態に係る固形燃料製造装置の構成を表す説明図である。 本発明の実施の形態に係る固形燃料製造装置の構成を表す説明図である。 本発明の実施の形態に係る固形燃料製造装置の構成を表す説明図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の加熱消臭工程は、有機性汚泥を真空状態で加熱することにより消臭する工程である。
本発明において、有機性汚泥とは、下水、屎尿、厨芥などの有機性物質を処理する工程で排出された、初沈汚泥、メタン発酵汚泥、腐敗汚泥、余剰汚泥等の汚泥であって、実用性から、含水率が0〜80%であるものが好ましく、更に好ましくは、0〜30%であるものである。ここで、含水率とは、水を含む有機性汚泥の質量に対する該含水の水質量の割合である。
本発明において、上記真空状態とは、絶対圧力で7〜70kPa程度の圧力をいう。
また、本発明において、上記加熱とは、最大180℃程度までの温度での処理をいう。上記加熱温度の下限は、130℃程度である。
本発明は、上記絶対圧力及び温度範囲で有機性汚泥の分解を抑制し、かつ臭気を低減することができる。
本発明において、加熱消臭工程に供される有機性汚泥の含水率は、特に制限はないが、含水率が30%以下と低いことが好ましく、乾燥工程を経たものであることが好ましい。この乾燥工程は、加熱消臭工程の前段に設けることが好ましいが、別途、有機性汚泥のみ調製したものを加熱消臭工程へ投入するようにしてもよい。含水率が30%以下の有機性汚泥を乾燥汚泥ともいう。
下水汚泥脱水ケーキのような高水分の有機性汚泥の場合、乾燥工程により有機性汚泥の含水率を上記範囲に調整した乾燥汚泥として加熱消臭工程で処理をすることで、低臭気かつ高熱量である固形燃料を製造することができる。
本発明の加熱消臭工程は、上記処理条件を満たし、得られる固形燃料が低臭気かつ高熱量であるならば、その方法及び装置構成は制限されない。その一例として、次のものが挙げられる。
加熱消臭工程において、真空状態で加熱する真空容器には、臭気を速やかに真空容器内から排出するために、キャリヤガスを注入してガスの流れを生じさせる方法が挙げられる。キャリヤガスは、上記機能を有するものであれば特に制限はなく、常温の大気でも可能であるし、好ましくは上記乾燥工程で発生した排ガスから熱交換器などで受熱した高温空気を使用すると、処理における熱効率も良くなる。キャリヤガスは、汚泥当り0.7L/kg−汚泥・min以上で、好ましくは2L/kg−汚泥・min程度が必要である。
上記真空容器から排出されるキャリヤガスを含む排気(以下、真空加熱排気ともいう)は、加熱消臭工程における真空容器内温度とほぼ同じであり、また焼却排ガスのように結露の要因となるような混入物質も少ない。この真空加熱排気は、乾燥工程の有機性汚泥を乾燥する熱源として利用することができる。このことは、本発明の目的の1つとして、有機性汚泥の保有熱量を最大限固形燃料に残存させることに寄与するとともに処理に使用する熱エネルギーも最小限にする効果がある。
本発明の加熱消臭工程を行う加熱消臭装置について更に説明する。
本発明の加熱消臭装置は、真空加熱装置から大略構成される。真空加熱装置は、真空状態を維持する空間を形成する容器、該容器の空間を真空状態に維持する真空ポンプ又はエゼクタ等、該容器の空間に熱を印加する加熱手段、有機性汚泥又はプラスチック混合物を攪拌する手段等から大略構成され、更に該加熱手段、真空ポンプ又はエゼクタ等と連絡された容器内の温度、圧力を検出するセンサ、該センサからの情報を処理し容器内の温度、圧力を制御する制御部等が備えられる。また、該容器は、有機性汚泥又はプラスチック混合物を、導入する導入口並びに導出する導出口、キャリヤガスを連続的にもしくは間欠的に容器に導入するキャリヤガス導入口、容器内の空気、臭気、キャリヤガス等を含むガスを排気する排出口等を備える。上記排出口は、真空ポンプ又はエゼクタ等と連絡される。
上記加熱手段は、該容器内でも容器外でも容器外壁でも任意の位置に設けることができる。また、熱源としては、熱流体(例えば、蒸気等のガス、湯等の液体)、固体熱源(セラミック、金属等)等が挙げられる。また、上記熱源として、前記容器の排出口からの排ガスを利用することができる。
本発明は、炭化処理のように温度を数百度まで上昇することなく処理するため、有機物の分解レベルは炭化処理に比して小さくなる。また、キャリヤガスを注入しながら真空状態にすることで、吸着成分を放出しやすく、かつ悪臭発生要因となる成分の揮発を進めることができる。
すなわち、有機性汚泥の有機分を分解せずに固形燃料に残存させ、且つ、臭気を低減した固形燃料を製造できる。
次に、本発明において、被処理物として、有機性汚泥とプラスチックの混合物(以下、プラスチック混合物ともいう)を用いる態様について説明する。本発明において、プラスチックとは、少なくとも1種の有機高分子化合物を主体とする少なくとも1種の樹脂を含む任意形状の成形体を意味する。該成形体は、製品、廃品を問わない。
このプラスチック混合物は、その混合状態は、基本的に任意であり、どのように混合されていてもよい。
例えば、有機性汚泥とプラスチックの粉砕物、細断物、繊維状物等とを単に混合したもの、加熱処理されたもの等が挙げられる。また、このプラスチック混合物は、上記有機性汚泥単独で処理する加熱消臭工程を適用することもできるし、加熱処理を併用せずに真空状態のみの処理でもよい。
以下、プラスチック混合物の好ましい処理の態様を説明する。
プラスチック混合物は、真空容器に導入される前に加熱成形され、次いで、この混合成形物は真空状態にした容器に投入され、上記キャリヤガス等で通気処理することで低臭気かつ高熱量である固形燃料を製造することができる。該混合成形物は成形時の圧縮熱や摩擦熱により温度が上昇するため、その保有している温度により真空状態にすることで、臭気成分の揮発や分解を促進することができる。
上記本発明は、臭気が低減された高熱量の固形燃料を製造できるが、若干の臭いが残留する傾向がある。燃料利用先においてその若干の臭いが許容されず更なる臭気低減が必要とされる場合があるが、そのときには、上記具体的手段に加えて、活性炭を有機性汚泥又はプラスチック混合物に含有させる工程を含ませることで、ほぼ無臭に近い固形燃料を安定して得ることができる。
本発明において、活性炭の添加乃至活性炭を有機性汚泥又はプラスチック混合物に含有させるタイミングは基本的に任意であるが、加熱消臭工程又は消臭工程の前段又は後段又はその併用が実用的である。活性炭の使用量は、有機性汚泥又はプラスチック混合物の質量に対して通常、5〜50%あり、好ましくは、15〜30%である。
以下、本発明の態様の一例を図を参照して説明する。
図1では、下水汚泥、し尿汚泥、食品残渣汚泥、家畜糞尿汚泥、農業集落排水汚泥などの、含水率30%の有機性汚泥11を真空加熱器1にコンベヤなどの投入装置を使用して投入する。真空加熱器1は、主に鋼板で形成された密閉性容器であり、真空加熱器1内に投入した有機性汚泥11を撹拌と加熱する手段を有している。
真空加熱器1には、真空加熱器1内で揮発した臭気などを真空加熱器内から速やかに排気させるために、空気や窒素などのキャリヤガス21を注入する。この臭気などを含んだキャリヤガス及び、真空加熱器1内のガスを、排気に備わっている点検口や投入口などから真空加熱器1内に流入する漏れこみ空気を、ファンや真空ポンプやエゼクタなどで、排気し、真空加熱器1内を真空状態に維持する。真空加熱器1内で製造された固形燃料12は燃料利用に供される。
また、熱源31によって、真空加熱器1内の汚泥の温度を所定の温度まで上昇させて、汚泥中の悪臭成分を低減させる。熱源31は、主に蒸気などを用いるが、この熱源は、あくまで汚泥を所定の温度まで上昇させるための手段であり、蒸気に限定されるものではない。
次に図2の実施態様は、図1の態様において有機性汚泥として、高含水率の有機性汚泥を用いる例である。下水汚泥、し尿汚泥、食品残渣汚泥、家畜糞尿汚泥、農業集落排水汚泥などの有機性汚泥11を乾燥機2で乾燥し、その乾燥汚泥13を上記態様と同様に真空加熱器1に投入し、同様に加熱消臭処理する。キャリヤガスを含む排気は、乾燥熱源32として乾燥機2で利用する。
次に図3に示す態様を説明する。
図3では、真空容器3に投入する被処理物として、上記有機性汚泥に代えて有機性汚泥とプラスチックの混合成形物14を用い、混合成形物14自体が保有する熱を利用することで、熱源31を用いない以外は、上記図1の態様と同様である。
次に、図4に示す態様を説明する。
図4では、図1の態様において、加熱消臭工程後にさらに活性炭33を添加混合する工程を設けたものであり、製造される固形燃料はほぼ無臭に近い状態の固形燃料として利用できる。
以下、本発明の実施例を実験例として説明するが、本発明は以下のものに限定されない。
[実験例1]
有機性汚泥として下水汚泥の乾燥物を使用し、絶対圧力を30kPa前後、温度を150℃前後の条件で、固形燃料を製造した。
製造手順は以下の通りである。
(1)含水率2.8%の下水汚泥の乾燥物7.5kgを、蒸気ジャケットを保有した撹拌機付真空容器に入れた。
(2)撹拌機で撹拌しながら、真空容器にダクトを介して接続された真空ポンプを運転して排気を行い、容器内絶対圧力を30kPaに調整した。同時に、蒸気ジャケットに蒸気を注入し乾燥物の品温を30分程度かけて150℃まで上昇させた。この間、真空容器の吸気ノズルにあるバルブを調整し、0.33m/h(NTP)のキャリヤ空気を注入するようにした。
(1)上記条件を3時間保持し、1時間後、2時間後、3時間後の容器内サンプルを取り出し、各々臭い評価試験などを実施した。
(2)臭い評価試験方法
固形燃料10gをそのまま5Lのガスバッグに封入し空気を充填し、1日後にガスバッグ内の空気の測定・分析を実施した。
測定・分析項目)臭いセンサ、アルデヒド、脂肪酸、嗅覚による判断、灰分
臭いセンサは「新コスモス電機(株)製、ニオイセンサXP-329IIIRを使用し、アルデヒド及び脂肪酸は検知管を使用した(以下の実験例でも使用した。)。
また、有機分の分解量を把握するため、各サンプルの灰分を分析した。
臭気評価試験結果を表1に示す。
Figure 0005670802
上表の評価を以下に示す。
(a)臭気低減効果
真空加熱処理をすることで、臭いセンサ値が低下し、汚泥臭が小さくなった。また、アルデヒド由来と思われる焦げ臭が発生するが、時間の経過とともに小さくなった。
微量でも悪臭原因となるアルデヒド・脂肪酸は、処理前の数値に比べて約10%になっており、臭気低減効果がみられた。
また、表1には記載していないが、温度条件125℃で同様の試験を実施した。3時間後の各値は、臭いセンサ値は49、アルデヒド6ppm、脂肪酸7.2ppmと、150℃条件より大きい数値となり、嗅覚による判断でも汚泥臭が残存しており、臭い低減効果は不足とみられた。
(b)灰分の変化
処理前後での灰分は22.2%から22.9%と微小な量しか変化せず、炭化処理のような処理時の有機物量の分解はみられない。
一方、炭化処理では、公知文献(下水汚泥固形燃料化システムの技術評価に関する報告書)に示すとおり、下水消化汚泥の炭化処理前後の灰分値が37%から42.8%に増加している。加熱処理前後で灰分の量はほとんど変化しないはずなので、灰分の増加分だけ有機分が分解することで固形燃料として利用できる有機物由来の熱量が低下する結果となっている。
[実験例2]
有機性汚泥として下水汚泥の乾燥物を使用し、絶対圧力を7kPa前後、温度を150℃前後の条件で、固形燃料を製造した。
製造手順は以下の通りである。
(1)含水率4%程度の下水汚泥の乾燥物4kgを、蒸気ジャケットを保有した撹拌機付真空容器に入れた。
(2)撹拌機で撹拌しながら、真空容器にダクトを介して接続された真空ポンプを運転して排気を行い、容器内絶対圧力を7kPaに調整した。同時に、蒸気ジャケットに蒸気を注入し乾燥物の品温を20分程度かけて150〜160℃程度まで上昇させた。この間、真空容器の吸気ノズルにあるバルブを調整し、0.9m/h(NTP)のキャリヤ空気を1時間のうち15分間注入するようにした。
(3)上記条件を3時間保持し、1時間後、2時間後、3時間後の容器内サンプルを取り出し、各々臭い評価試験などを実施した。
(4)臭い評価試験方法
実験例1と同様とした。
サンプリングした固形燃料の評価試験結果を表2に示す。
Figure 0005670802
上表の評価を以下に示す。
(a)臭気低減効果
真空加熱処理をすることで、臭いセンサ値が低下し、汚泥臭が小さくなった。また、アルデヒド由来と思われる焦げ臭が発生するが、時間が経過するとともに薄くなっていった。
微量でも悪臭原因となる脂肪酸は、処理前の数値に比べて約2%になっており、臭気低減効果がみられた。
(b)灰分の変化
処理前後での灰分の変化は小さく、炭化処理のような処理時の有機物量の低減はみられない。
[実験例3]
有機性汚泥をプラスチックと混合成形したものを使用し、絶対圧力を30kPa前後、加温は行わない条件で通気処理し、固形燃料を製造した。
処理手順は以下の通りである。
(1)含水率15%の有機性汚泥をプラスチックと混合成形したものを100gを真空ポンプで吸引できるガラス製容器に入れた。
(2)真空ポンプでガラス製容器内絶対圧力を30kPaに調整し、該ガラス製容器蓋に開けた穴からキャリヤ空気を適量注入するようにした。
(3)上記条件を3時間保持し、1時間後、2時間後、3時間後の容器内サンプルを取り出し、各々臭い評価試験などを実施した。
(4)臭い評価試験方法
固形燃料10gをそのまま5Lのガスバッグに封入し空気を充填し、1日後にガスバッグ内の空気の測定・分析を実施した。
測定・分析項目)臭いセンサ、脂肪酸
脂肪酸は検知管を使用した。
臭気評価試験結果を表3に示す。
Figure 0005670802
上表の評価を以下に示す。
真空加熱処理をすることで、臭いセンサ値が低下し、汚泥臭が小さくなった。また、脂肪酸も時間の経過とともに小さくなり、臭気低減効果がみられた。
[実験例4]
実験例2で作成した固形燃料に活性炭を添加混合しさらなる臭気低減処理を実施した。
処理手順は以下の通りである。
それぞれの試料について、乾燥重量として3g相当の活性炭と固形燃料10gを混合し、5L容の臭気分析用袋に入れた。また、比較試験として、活性炭を添加せず、固形燃料のみ袋に添加した試験を行った。袋内に臭気除去処理を施した空気を充填した後、袋を30℃で保存した。24時間後、袋内の臭気指数を臭いセンサで分析した。
実験結果を表4に示す。活性炭を添加することで、袋内の臭気指数の値は大きく低減できた。
Figure 0005670802
真空加熱処理した固形燃料に活性炭を添加混合することで、残留する臭気をさらに除去し、ほぼ汚泥臭の無い固形燃料を作成することができた。
1…真空加熱器、2…乾燥機、3…真空容器、11…有機性汚泥、12…固形燃料、13…乾燥汚泥、14…プラスチックの混合成形物、21…キャリヤガス、31…熱源、32…乾燥熱源、33…活性炭。

Claims (6)

  1. 有機性汚泥を容器空間内の真空状態で加熱し、該空間内に空気又は窒素のキャリヤガスを注入し、該有機性汚泥中の悪臭成分を含んだ該キャリヤガスを排出し、該有機性汚泥が、乾燥機で乾燥した乾燥汚泥であり、前記排出されたキャリヤガスを前記乾燥機の熱源とし、前記キャリヤガスの排出により消臭処理された固形燃料を得ることを特徴とする固形燃料製造方法。
  2. 有機性汚泥とプラスチックの混合物を真空状態の容器空間内に導入すると共に、該空間内に所定のキャリヤガスを注入し、該空間内の真空状態で該有機性汚泥とプラスチックの混合物の保有熱により、臭気成分の揮発及び分解を促進し、該有機性汚泥中の悪臭成分を含んだ該キャリヤガスを排出し、消臭処理された固形燃料を得ることを特徴とする固形燃料製造方法。
  3. 前記有機性汚泥とプラスチックの混合物は、熱成形した直後のものであることを特徴とする請求項記載の固形燃料製造方法。
  4. 前記消臭処理は、真空容器空間内にキャリヤガスを間欠的に通気することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の固形燃料製造方法。
  5. 有機性汚泥を真空状態で加熱する真空加熱手段と、
    前記真空加熱手段に所定のキャリヤガスを注入するガス注入手段と、
    前記真空加熱手段から有機性汚泥中の悪臭成分を含んだキャリヤガスを排出するガス排出手段と、
    前記有機性汚泥を乾燥した乾燥汚泥を得る乾燥機と、
    を有し、
    前記排出されたキャリヤガスを、前記乾燥機の熱源とし、前記真空加熱手段から消臭処理された固形燃料を得ることを特徴とする固形燃料製造装置。
  6. 請求項1〜のいずれか1項記載の固形燃料製造方法又は請求項記載の固形燃料製造装置により製造されたことを特徴とする固形燃料。
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