JP5670261B2 - 組電池の容量調節装置 - Google Patents

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Description

本発明は、1個又は隣接する複数個の電池セルである単位電池の直列接続体としての組電池に適用される組電池の容量調節装置に関する。
この種の回路としては、下記特許文献1に見られるように、組電池を構成する複数個の単位電池(素電池)のそれぞれの電圧を均等化するものが知られている。詳しくは、この回路は、組電池の出力電圧を1次側入力とし、単位電池のそれぞれを充電する方向に2次側出力を接続したON/OFF方式のコンバータ回路を備えている。そして、このコンバータ回路によって電圧の最も低い単位電池を集中的に充電するようにしている。
特開平11−176483号公報
ところで、例えば単位電池の使用期間が長くなること等に起因して、単位電池に劣化が生じることがある。ここで、単位電池の電圧を均等化するにあたっては、劣化度合いの小さい単位電池から劣化度合いの大きい単位電池へと電荷を供給することが望ましい。これは、以下の理由による。
単位電池の劣化度合いが大きくなると、同一電流値で単位電池が充電されている期間における単位電池の電圧(端子電圧)が高くなる傾向にある。このため、組電池の充電処理がなされる状況下においては、劣化度合いの大きい単位電池の電圧が、劣化度合いの小さい単位電池の電圧よりも高くなることがある。
こうした状況下において、劣化度合いの大きい単位電池から劣化度合いの小さい単位電池に電荷が供給されると、その後直ぐに、組電池の放電処理がなされることで、劣化度合いの大きい単位電池と劣化度合いの小さい単位電池の電圧との大小関係が逆転する事態が発生し得る。この場合、単位電池間の電荷の授受を効果的に行うことができず、組電池の容量を適切に調節することができなくなる懸念がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、組電池の容量を適切に調節することのできる組電池の容量調節装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
第1の発明は、1個又は隣接する複数個の電池セルである単位電池の直列接続体としての組電池に適用され、前記単位電池の電気エネルギを一時的に蓄えるエネルギ蓄積手段と、一部の前記単位電池を前記エネルギ蓄積手段に選択的に接続する接続手段と、前記単位電池のそれぞれに流れる電流及び該単位電池のそれぞれの電圧に基づき、該単位電池のそれぞれの内部抵抗を算出する内部抵抗算出手段と、前記算出された内部抵抗に基づき、前記単位電池の中から、前記内部抵抗が低い水準の単位電池と、前記内部抵抗が高い水準の単位電池とを選択する処理を行う選択処理手段と、前記低い水準の単位電池から前記高い水準の単位電池へと電荷を供給すべく、前記接続手段を操作する処理を行う操作手段とを備えることを特徴とする。
単位電池の劣化度合いが大きくなると通常、単位電池の内部抵抗が高くなる傾向にある。この点に鑑み、上記発明では、内部抵抗算出手段によって上記態様にて単位電池のそれぞれの内部抵抗を算出する。そして、単位電池の中から、内部抵抗の低い水準の単位電池を電荷の供給元として選択し、内部抵抗の高い水準の単位電池を電荷の供給先として選択する。そして、内部抵抗の低い水準の単位電池から内部抵抗の高い水準の単位電池へと電荷を供給すべく上記接続手段を操作する。これにより、劣化度合いの小さい単位電池から劣化度合いの大きい単位電池へと電荷を供給することができ、組電池を構成する単位電池間の電荷の供給を適切に行うことができる。したがって、単位電池のそれぞれの電圧の均等化を適切に行うことができる等、組電池の容量を適切に調節することができる。
第2の発明は、第1の発明において、前記選択処理手段は、前記高い水準の単位電池として、前記内部抵抗算出手段によって算出された内部抵抗の最大値に対応する単位電池を選択する処理を行うことを特徴とする。
上記発明では、単位電池のうち劣化度合いの最も大きい単位電池を電荷の供給先として選択する。このため、劣化度合いの最も大きい単位電池の容量を速やかに増大させることができ、単位電池のそれぞれの電圧の均等化をより適切に行うことができる。
第3の発明は、第2の発明において、前記選択処理手段は、前記低い水準の単位電池として、前記内部抵抗算出手段によって算出された内部抵抗の最小値に対応する単位電池を選択する処理を行うことを特徴とする。
上記発明では、単位電池のうち劣化度合いの最も小さい単位電池を電荷の供給元として選択する。このため、単位電池のそれぞれの電圧の均等化をいっそう適切に行うことができる。
第4の発明は、第1〜3のいずれか1つの発明において、前記エネルギ蓄積手段は、トランスであり、前記接続手段は、前記単位電池のそれぞれと前記トランスの1次側コイルとを接続する電気経路のそれぞれを選択的に開閉可能な1次側開閉手段、及び前記単位電池のそれぞれと前記トランスの2次側コイルとを接続する電気経路のそれぞれを選択的に開閉可能な2次側開閉手段であることを特徴とする。
上記発明では、トランス、1次側開閉手段及び2次側開閉手段を備える上記構成を採用することにより、トランスを介して電荷の供給元となる単位電池から電荷の供給先となる単位電池へと適切に電荷を供給することができる。
第5の発明は、第4の発明において、前記2次側コイルの電流の流れを1方向に制限する整流手段を更に備え、前記トランス、前記1次側開閉手段、前記2次側開閉手段、及び前記整流手段のそれぞれは、前記単位電池のそれぞれに対して備えられ、前記トランスは、前記1次側コイル及び前記2次側コイルを備え、前記単位電池のそれぞれには、前記1次側コイル及び前記1次側開閉手段の直列接続体が並列接続されるとともに、前記2次側開閉手段を介して前記2次側コイル及び前記整流手段の直列接続体のそれぞれが並列接続され、前記整流手段は、前記2次側コイルから前記単位電池の正極側へと向かう方向に電流を流す機能を有することを特徴とする。
上記発明では、電荷の供給元となる1又は複数の単位電池に対応する1次側開閉手段が閉状態とされることで、電荷の供給元となる単位電池に対応するトランスの1次側コイルに電気エネルギが蓄えられる。そして、その後、電荷の供給先となる単位電池に対応する2次側開閉手段が閉状態とされる状況下、1次側開閉手段が開状態とされることで、2次側コイルに誘導電流が流れる。これにより、電荷の供給先となる単位電池を充電することができる。
第6の発明は、第4の発明において、前記2次側コイルの電流の流れを1方向に制限する整流手段を更に備え、前記トランスは、前記1次側コイル及び前記2次側コイルを複数対備え、前記1次側開閉手段、前記2次側開閉手段及び前記整流手段のそれぞれは、前記単位電池のそれぞれに対して備えられ、前記単位電池のそれぞれには、前記1次側コイル及び前記1次側開閉手段の直列接続体が並列接続されるとともに、前記2次側コイル、前記2次側開閉手段及び前記整流手段を備える2次側電気経路が並列接続され、前記2次側開閉手段は、前記2次側電気経路を開閉するものであり、前記整流手段は、前記単位電池の正極側に向かって前記2次側電気経路に電流が流れるように備えられることを特徴とする。
上記発明では、電荷の供給元となる1又は複数の単位電池に対応する1次側開閉手段が閉状態とされることで、電荷の供給元となる単位電池に対応するトランスの1次側コイルに電気エネルギが蓄えられる。そして、その後、電荷の供給先となる1又は複数の単位電池に対応する2次側開閉手段が閉状態とされる状況下、1次側開閉手段が開状態とされることで、2次側コイルに誘導電流が流れる。これにより、電荷の供給先となる単位電池を充電することができる。
第7の発明は、第1〜6のいずれか1つの発明において、前記単位電池のそれぞれの温度に基づき、前記内部抵抗算出手段によって算出された前記単位電池のそれぞれの内部抵抗を補正する補正手段を更に備え、前記選択処理手段は、前記補正された内部抵抗に基づき、前記選択する処理を行うことを特徴とする。
単位電池の内部抵抗は、単位電池の温度によって変化し得る。詳しくは、単位電池の温度が高いほど、単位電池の内部抵抗が低くなる傾向にある。このため、組電池を構成する単位電池のそれぞれの温度にばらつきが生じると、単位電池の内部抵抗によって単位電池間における劣化度合いを適切に把握することができなくなるおそれがある。
この点、上記発明では、補正手段によって補正された内部抵抗に基づき上記選択する処理を行うことで、単位電池の温度の相違に起因して単位電池の劣化度合いの把握精度が低下することを回避できる。このため、電荷の供給元及び供給先となる単位電池を適切に選択することができる。
第8の発明は、第1〜7のいずれか1つの発明において、当該容量調節装置は、前記操作手段によって前記接続手段を操作する処理と、前記単位電池のそれぞれの電圧を検出する処理とを交互に所定周期で行うことを特徴とする。
上記操作手段によって単位電池間で電荷の授受を行うには、内部抵抗を把握するために単位電池のそれぞれの電圧検出処理を行う必要がある。しかしながら、電圧検出処理を行うと、この処理によって容量調節装置の消費電力が多くなり得る。ここで、上記発明では、操作手段によって接続手段を操作する処理と、上記電圧検出処理とを交互に所定周期で行う。これにより、上記電圧検出処理の実行時間が長くなることを極力抑制し、電圧検出処理の実行に伴い容量調節装置の消費電力が多くなることを極力抑制することができる。
第1の実施形態にかかるシステム構成図。 同実施形態にかかる均等化処理の手順を示すフローチャート。 同実施形態にかかる内部抵抗の補正手法の概要を示す図。 同実施形態にかかる内部抵抗の補正手法の概要を示す図。 同実施形態にかかる内部抵抗に基づく充放電セルの選択態様を示す図。 同実施形態にかかる充電処理の手順を示すフローチャート。 同実施形態にかかる均等化処理の一例を示すタイムチャート。 同実施形態にかかる均等化処理の効果を示すタイムチャート。 第2の実施形態にかかるシステム構成図。
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる組電池の容量調節装置を、車載主機として内燃機関及び回転機(モータジェネレータ)を備えるプラグインハイブリッド車(PHV)に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。
図示されるように、組電池10は、車載高圧システムを構成し、モータジェネレータの電源となるものである。組電池10は、電池セルCi(i=1〜n:nは2以上の整数)の直列接続体であり、その電圧(端子電圧)が所定の高電圧(例えば数百V)となるものである。なお、本実施形態では、電池セルCiとして、リチウムイオン2次電池を想定しており、組電池10として、電池セルが百数十個直列接続されたものを想定している。また、各電池セルCiは、その電圧が数Vとなるものである。
組電池10は、充電器12に接続されている。充電器12には、プラグ14が接続可能とされている。プラグ14が車両の外部の商用電源等の電源装置に接続されることで、組電池10が充電される。
各電池セルCiの正極端子には、信号線Liが接続され、各電池セルCiの負極端子には、信号線L(i+1)が接続されている。すなわち、信号線L1,L(n+1)を除いて、互いに隣接する一対の電池セルCiのうちの高電位側の電池セルの負極端子側の信号線と低電位側の電池セルの正極端子側の信号線とは共有化されている。
上記電池セルCiのそれぞれに対して、一対の1次側コイルw1i,2次側コイルw2iを備えて構成されるトランスTi、電池セルCiと1次側コイルw1iとを接続する電気経路をオン・オフする1次側スイッチSW1i、及び電池セルCiと2次側コイルw2iとを接続する電気経路をオン・オフする2次側スイッチSW2iが設けられている。ここで、各トランスTiの1次側コイルw1i及び2次側コイルw2iの巻数比Nは、1よりも大きい値とされている。なお、上記巻数比Nは、1次側コイルw1iの巻数をN1とし、2次側コイルw2iの巻数をN2とすると、「N2/N1」で与えられる。
ちなみに、本実施形態では、1次側スイッチSW1iとして、NチャネルMOSFETを想定している。また、2次側スイッチSW2iを一対のスイッチ(第1の2次側スイッチSW2ip,第2の2次側スイッチSW2in)によって構成している。
電池セルCiのそれぞれには、1次側コイルw1i及び1次側スイッチSW1iの直列接続体が並列接続されている。詳しくは、1次側スイッチSW1iのドレイン側が1次側コイルw1iに直列接続されており、この直列接続体が信号線Li,L(i+1)間に接続されている。なお、1次側スイッチSW1iのドレイン側が1次側コイルw1iに接続されているのは、1次側スイッチSW1i(NチャネルMOSFET)のボディダイオードを介して電池セルCiが短絡される事態を回避するためである。
また、電池セルCiのそれぞれには、2次側スイッチSW2iを介して、2次側コイルw2i及びダイオードDiの直列接続体のそれぞれが並列接続されている。詳しくは、電池セルCiのそれぞれには、第1の2次側スイッチSW2ip、2次側コイルw2i、ダイオードDi、及び第2の2次側スイッチSW2inの直列接続体が並列接続されている。この直列接続体の両端のうち、第1の2次側スイッチSW2ip側は、信号線Liに接続されており、第2の2次側スイッチSW2in側は、電池セルCiの負極端子に接続されている。
より具体的には、2次側コイルw2iのうち電池セルCiの正極端子側は、2次側コイルw2iに生じる電圧の極性が正となる側である。また、ダイオードDiのアノード側は、第2の2次側スイッチSW2inに接続されている。
電池セルCiのそれぞれについて、電池セルCiに並列接続された1次側コイルw1iを含む電気経路と、電池セルCiに並列接続された2次側コイルw2iを含む電気経路とは、信号線Liの一部を共有している。詳しくは、信号線Liのうち、第1の2次側スイッチSW2ipと電池セルCiとの間を接続する電気経路(共有経路)を共有している。そして、共有経路には、この経路を流れる電流を検出するコイル電流検出器Aiが設けられている。これは、1次側コイルw1i及び2次側コイルw2iのそれぞれに流れる電流を単一の電流検出器によって検出し、回路の簡素化を図るためである。なお、本実施形態では、コイル電流検出器Aiとして、シャント抵抗を想定している。
第1の2次側スイッチSW2ipと2次側コイルw2iとの接続点同士は、第1電気経路Laによって接続されており、ダイオードDiのアノード側と第2の2次側スイッチSW2inとの接続点同士は、第2電気経路Lbによって接続されている。
ちなみに、本実施形態において、2次側スイッチSW2iとして一対のNチャネルMOSFETのソース同士の直列接続体を用いている。これは、2次側スイッチSW2iがオフされているにもかかわらず、所定の電気経路(例えば、信号線L1、第1の2次側スイッチSW21pのボディダイオード、第1電気経路La、第1の2次側スイッチSW23pのボディダイオード及び信号線L3を介して、高電位側の電池セルC1の正極端子と低電位側の電池セルC2の負極端子とを接続する電気経路)を介して、高電位側の電池セル(例えば電池セルC1)から低電位側の電池セル(例えば電池セルC2)へと電流が流れることを回避するためである。
電池セルCi付近のそれぞれには、電池セルCiの温度を検出する温度センサTViが設けられている。
コイル電流検出器Aiとしてのシャント抵抗の両端の電圧、組電池10を流れる電流を検出する負荷電流検出器16(シャント抵抗)の両端の電圧、更には温度センサTViの出力信号は、制御回路18に取り込まれる。
制御回路18は、マイクロコンピュータを主体として構成されており、各電池セルCiに対応する駆動回路DUiを介して、1次側スイッチSW1i及び2次側スイッチSW2iをオン・オフ操作する。
また、制御回路18は、コイル電流検出器Aiにおける電圧降下量に基づき、1次側コイルw1i又は2次側コイルw2iに流れる電流を検出したり、負荷電流検出器16における電圧降下量に基づき、組電池10を流れる電流を検出したり、信号線Ci,C(i+1)を介して取得される電池セルCiの電圧に基づき、各電池セルCiの電圧Viを検出したりする。また、温度センサTViの出力信号に基づき、電池セルCiの温度を検出する。
ちなみに、制御回路18には、外部(車載低圧システム)から車両が走行中であるか否かについての情報SPDや、充電器12から組電池10が充電中であるか否かについての充電情報が入力される。ここで、車両の走行に関する情報等は、例えばフォトカプラ等の絶縁手段を介して制御回路18に入力される。また、制御回路18には、降圧コンバータ等を介して組電池10から電力が供給される。
特に、制御回路18は、電池セルCiの電圧Viのばらつきを解消するための均等化処理を行う。この処理は、一部の電池セルの電圧が過度に低下して電池セルの信頼性が低下したり、電圧が過度に低くなった一部の電池セル以外の電池セルの電力を適切に使用することができず、組電池10の性能が当初想定したものよりも低くなったりすることを回避するための処理である。
本実施形態では、均等化処理を、電池セルCiの内部抵抗を算出し、最小内部抵抗を有する電池セルから最大内部抵抗を有する電池セルに電力を供給する処理とする。これは、均等化処理を効果的に行うためである。以下、この処理について説明する。
車両の走行時における電池セルCiの充放電の繰り返しや、電池セルCiが高温環境にさらされること等に起因して、電池セルCiに劣化が生じることがある。電池セルCiに劣化が生じると通常、電池セルCiの内部抵抗が上昇する。詳しくは、電池セルCiの劣化度合いが大きいほど、電池セルCiの内部抵抗の上昇度合いが大きくなる傾向にある。そして、電池セルCiの内部抵抗が上昇すると、同一電流値で電池セルCiの充電がなされている期間における電池セルCiの電圧(端子電圧)が大きくなる傾向にあり、また、同一電流値で電池セルCiの放電がなされている期間における電池セルCiの電圧が小さくなる傾向にある。
このため、例えばモータジェネレータを用いた回生発電により、組電池10の充電がなされる状況下、劣化度合いの大きい電池セルの電圧が、劣化度合いの小さい電池セルの電圧よりも高くなることがある。
このような状況下において、例えば、各電池セルCiの電圧Viのうちの最大値(最大電圧)を有する電池セルから、上記電圧Viのうち最小値(最小電圧)を有する電池セルに電力を供給する均等化処理を行うと、劣化度合いの大きい電池セルから劣化度合いの小さい電池セルに電力が供給される事態が生じ得る。この場合、その後直ぐに、組電池10の放電処理がなされることで、劣化度合いの大きい電池セルと劣化度合いの小さい電池セルの電圧との大小関係が逆転する事態が発生し、均等化処理を効果的に行うことができなくなるおそれがある。また、劣化度合いの大きい電池セルの充電率(満充電電荷量に対する現在の電荷量の百分率:SOC)が過度に小さくなるおそれもある。これらの場合、電池セルCiの電圧Viが所定電圧を下回るまでの時間が短くなり、車両の走行距離が短くなるおそれがある。
こうした事態を回避すべく、上記内部抵抗に基づく均等化処理を行うことで、均等化処理の効果的な実施を図る。
図2に、本実施形態にかかる均等化処理の手順を示す。この処理は、制御回路18によって繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS10において、各電池セルCiの電圧Vi,温度Thi、及び負荷電流値Irを検出する。ここで、負荷電流値Irは、負荷電流検出器16によって検出される。なお、本実施形態では、組電池10の放電がなされる場合における負荷電流値Irを正と定義する。
続くステップS12では、電池セルCiの電圧Vi,温度Thi、負荷電流値Ir及び電池セルCiの充電率SOCiに基づき、電池セルCiの内部抵抗riを算出する。以下、内部抵抗riの算出手法について詳述する。
まず、負荷電流値Ir及び電池セルCiの電圧Viに基づき、電池セルCiの内部抵抗riを算出する。これは、例えば、モータジェネレータと組電池10との間で電力の授受が行われている状況等において、負荷電流値Irが変化していく際の負荷電流値Irと電池セルCiの電圧Viとの複数の検出値に基づき、重回帰分析等によって求めることができる。なお、内部抵抗の算出にあたり、電池セルCiの等価回路モデルとして、例えば、起電力を生じる電源及び抵抗体の直列接続体を用いればよい。
次に、算出された内部抵抗riを、電池セルCiの温度Thi,SOCiに基づき補正する。この補正は、電池セルCiの劣化度合いの把握精度を向上させるために行われるものである。つまり、電池セルCiの内部抵抗riが電池セルCiの温度Thi,SOCiによって変化することから、組電池10内の温度分布等によって電池セルCiのそれぞれの温度Thi,SOCiにばらつきが生じると、電池セルCiの内部抵抗riによって電池セルCiの劣化度合いを適切に把握することができなくなる懸念がある。
上記補正手法について詳述すると、図3(a)に示すように、電池セルCiの温度Thiが高くなるほど、内部抵抗riが低くなる傾向にあることに鑑み、基準温度Tαと実際の温度Thiとの温度差ΔTiに基づき、温度補正係数Ktを設定する。より具体的には、上記温度差ΔTiは、基準温度Tαから実際の温度Thiを減算した値であり、同図(b)に示すように、温度差ΔTiが大きいほど、温度補正係数Ktを小さく設定する。ここで、温度補正係数Ktは、温度差ΔTiが0となる場合にとなる。なお、上記基準温度Tαは、例えば、電池セルCiのいずれかの実際の温度(温度センサTViの検出値)としたり、予め定められた温度としたりすることができる。
一方、図4(a)に示すように、電池セルCiのSOCiが高くなるほど、内部抵抗riが低くなる傾向にあることに鑑み、基準SOCと実際のSOCiとの差であるΔSOCiに基づき、SOC補正係数Ksを設定する。より具体的には、ΔSOCiは、基準SOCから実際のSOCiを減算した値であり、同図(b)に示すように、ΔSOCiが大きいほど、SOC補正係数Ksを小さく設定する。ここで、SOC補正係数Ksは、ΔSOCiが0となる場合にとなる。なお、上記基準SOCは、上記基準温度Tαと同様に、例えば、電池セルCiのいずれかの実際のSOCiとしたり、予め定められたSOCとしたりすることができる。
そして、上記内部抵抗riに、温度補正係数Kt及びSOC補正係数Ksを乗算することで、内部抵抗riを補正する。なお、以降、補正された内部抵抗riのことを、単に内部抵抗riと称すこととする。
ちなみに、SOCiは、電池セルCiの開放端電圧(OCV)に基づき算出すればよい。これは、電池セルCiの劣化度合いにかかわらず、OCVとSOCiとの関係がほとんど変化しないことに基づくものである。ここで、OCVは、電池セルCiの電圧Viが、OCVと内部抵抗riによる電圧降下との和であることを利用し、電池セルCiの電圧Viと、内部抵抗riと、負荷電流値Irとに基づき算出すればよい。
また、電池セルCiの劣化は短期間に進行しないことに鑑み、本ステップの処理を、例えば、車両の走行距離が規定距離となる都度や、所定時間が経過する都度等、十分に長い所定周期で行ってもよい。
図2の説明に戻り、続くステップS14では、車両が走行中であるか否かを判断する。ここで、車両が走行中であるか否かは、低圧システム側から入力される上記情報SPDに基づき判断すればよい。
ステップS14において肯定判断された場合には、ステップS16に進み、各電池セルCiの電圧Viのうち最小値(最小電圧Vmin)が下限電圧Vth1(例えば3V)を上回っているか否かを判断する。本実施形態では、下限電圧Vth1を、電池セルCiの信頼性を維持可能な電圧の下限値として設定する。この処理は、モータジェネレータの駆動によって組電池10の電力が消費される状況下、電池セルCiの電圧Viが過度に低下し、電池セルCiの信頼性が低下する状況であるか否かを判断するためのものである。
ステップS16において肯定判断された場合には、ステップS18に進み、各電池セルCiの電圧Viのうち最大値(最大電圧Vmax)と、最小電圧Vminとの電圧差ΔVに基づき、1次側コイルw1iに流すべき電流のピーク値(均等化電流値Ib)を設定する。詳しくは、均等化電流値Ibを、上記電圧差ΔVの絶対値が大きいほど高く設定する。これは、均等化処理の実行期間内における電池セルCiの充電量を最適化するための設定である。なお、上記電圧差ΔVは、具体的には、最大電圧Vmaxから最小電圧Vminを減算することで算出すればよい。
続くステップS20では、電池セルCiのうち最大内部抵抗rmaxを有する電池セル(図5に充電セルとして表記)に対応する2次側スイッチSW2iをオンする。詳しくは、第1,第2の2次側スイッチSW2ip,SW2inの双方を同時にオンする。
続くステップS22では、最大内部抵抗rmaxを有する電池セルの2次側スイッチSW2iがオンされてからの経過時間(2次側オン時間T)が規定時間T2on(例えば0.8秒)未満であるか否かを判断する。この処理は、均等化処理の実行期間が経過していないか否かを判断するためのものである。
ここで、規定時間T2onは、例えば、均等化処理の実行に伴う電池セルの消費電力が大きくならないこと、及び均等化処理によって電力供給元の電池セルから電力供給先の電池セルへと電力を供給する十分な時間を確保すること等の観点から設定される時間である。つまり、均等化処理を行うと、トランスTiを介した電力の授受に伴う電力損失や、電圧検出処理に伴う制御回路18の消費電力の増大等のために、電池セルの電力が無駄に消費されることとなる。また、規定時間T2onが短いと、均等化処理による電池セルの電圧変化が小さくなるため、電力供給元から電力供給先に十分な電力を供給することができず、適切に均等化することができない懸念がある。
なお、実際には、上記ステップS14、S16で肯定判断される状況下、上記ステップS10の電圧検出処理と、ステップS22〜S32の均等化処理とは、交互に所定周期で行われる。より具体的には、例えば、電圧検出処理が0.2秒行われた後、均等化処理が0.8秒行われるサイクルが繰り返される。
ステップS22おいて2次側オン時間Tが規定時間T2on未満であると判断された場合には、ステップS24に進み、最小内部抵抗rminを有する電池セル(図5に放電セルとして表記)に対応する1次側スイッチSW1iをオンする。
続くステップS26では、コイル電流検出器Aiによって検出された1次側コイルw1iに流れる電流値(1次側電流値I1)が、均等化電流値Ibに到達するまで待機する。この処理は、1次側コイルw1iに、電力供給元となる電池セルの電気エネルギを一時的に蓄えるための処理である。
そして、1次側電流値I1が均等化電流値Ibに到達したと判断された場合には、ステップS28に進み、最小内部抵抗rminを有する電池セルに対応する1次側スイッチSW1iをオフする。これにより、最大内部抵抗rmaxを有する電池セルに対応する2次側コイルw2iに、ダイオードDi側を負とする電圧が印加され、2次側コイルw2iから最大内部抵抗rmaxを有する電池セルへと充電電流が流れることとなる。
続くステップS30では、2次側コイルw2iから最大内部抵抗rmaxを有する電池セルへと流れる電流値(充電電流値I2)が0Aになるか否かを判断する。この処理は、充電電流値I2が過度に大きくなる事態を回避するためのものである。
つまり、例えば、充電電流値I2が0Aとなる以前に、すなわち充電電流が流れる期間に、最小内部抵抗rminを有する電池セルの電気エネルギが蓄えられた1次側コイルw1iの1次側スイッチSW1iをオンからオフに切り替えると、現在流れている充電電流に加えて、2次側コイルw2iに今回発生した電圧に起因する充電電流が流れ、充電経路の信頼性が低下する懸念がある。このため、本ステップの処理を設けることで、充電経路の信頼性が低下する事態の発生を回避する。なお、充電電流値I2は、コイル電流検出器Aiによって検出される。
上記ステップS22において2次側オン時間Tが規定時間T2on以上になると判断された場合には、ステップS32に進み、最大内部抵抗rmaxを有する電池セルに対応する2次側スイッチSW2iをオフする。
一方、上記ステップS14において否定判断された場合には、ステップS34に進み、組電池10が充電中であるか否かを判断する。ここで、組電池10が充電中であるか否かは、例えば、充電器12からの充電情報に基づき判断すればよい。
ステップS34において肯定判断された場合には、ステップS36に進み、組電池10の充電処理を行う。この処理は、次回の車両の走行等に備えて、上記電源装置から供給される電力によって、全ての電池セルCiの電圧を上限電圧Vth2(例えば4.1V)近傍まで上昇させるための処理である。なお、上限電圧Vth2は、例えば、電池セルCiの信頼性を維持可能な電圧の上限値として設定すればよい。
なお、上記ステップS16、S34において否定判断された場合や、ステップS32、S36の処理が完了する場合には、この一連の処理を一旦終了する。
続いて、図6に、本実施形態にかかる上記充電処理の手順を示す。この処理は、制御回路18によって繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS40において、最大電圧Vmaxが上記上限電圧Vth2以上であるか否かを判断する。この処理は、電池セルCiのいずれかが満充電状態となったか否かを判断するための処理である。
ステップS40において肯定判断された場合には、ステップS42に進み、最小電圧Vminが、上限電圧Vth2から規定値Δβ(>0)減算した値よりも小さいか否かを判断する。この処理は、全ての電池セルCiが満充電状態となり、組電池10の充電処理が完了しているか否かを判断するための処理である。
ステップS42において肯定判断された場合には、充電処理が未だ完了していないと判断し、ステップS44に進む。ステップS44では、最大電圧Vmaxを有する電池セルから最小電圧Vminを有する電池セルへと電力を供給する。詳しくは、まず、最小電圧Vminを有する電池セルに対応する2次側スイッチSW2iをオンする。そして、最大電圧Vmaxを有する電池セルCiに対応する1次側スイッチSW1iをオンし、所定時間経過後に1次側スイッチSW1iをオフする。これにより、最小電圧Vminを有する電池セルに対応する2次側コイルw2iから最小電圧Vminを有する電池セルへと充電電流が流れることとなる。
なお、上記ステップS40、S42において否定判断された場合や、ステップS44の処理が完了する場合には、この一連の処理を一旦終了する。
図7に、本実施形態にかかる均等化処理の一例を示す。詳しくは、同図を用いて、最小内部抵抗rminを有する電池セルとして電池セルC1が選択されるとともに、最大内部抵抗rmaxを有する電池セルとして電池セルC3が選択された場合における均等化処理について説明する。なお、図3(a)に、1次側スイッチSW11の操作状態の推移を示し、図3(b)に、2次側スイッチSW23の操作状態の推移を示し、図3(c)に、1次側電流値I1の推移を示し、図3(d)に、充電電流値I2の推移を示す。
図示される例では、時刻t1〜t2の期間(例えば0.2秒)において電池セルCiの電圧検出処理がなされ、最小内部抵抗rmin,最大内部抵抗rmaxを有する電池セルC1,C3が特定される。
そして、時刻t2において、2次側スイッチSW23がオンされて且つ、1次側スイッチSW11がオンされて均等化処理が開始される。1次側スイッチSW11がオンされることで、電池セルC1の正極端子、信号線L1、1次側コイルw11、1次側スイッチSW11、信号線L2、及び電池セルC1の負極端子からなる閉ループ回路が形成され、1次側コイルw11に流れる1次側電流値I1が漸増を開始する。また、2次側スイッチSW23がオンされることで、2次側コイルw21、第1電気経路La、第1の2次側スイッチSW23p、信号線L3、電池セルC3、第2の2次側スイッチSW23n、第2電気経路Lb、ダイオードD1からなる閉ループ回路が形成される。
そして、1次側電流値I1が均等化電流値Ibに到達する時刻t3において、1次側スイッチSW11がオフされる。これにより、電磁誘導によって2次側コイルw21にダイオードDi側を負とする電圧が印加され、電池セルC3に充電電流が流れることとなる。そして、充電電流値I2が0Aとなる時刻t4において、1次側スイッチSW11がオンされる。
以降、2次側オン時間Tが規定時間T2onとなる時刻t5まで、1次側スイッチSW11及び2次側スイッチSW23の上記態様のスイッチング操作が繰り返される。なお、規定時間T2onに渡って2次側スイッチSW23のオンを継続させるのは、2次側スイッチSW23のターンオン及びターンオフ時におけるスイッチング損失を低減するためである。
次に、図8に、本実施形態にかかる均等化処理の効果を示す。詳しくは、図8は、所定の車両走行パターン(例えばJC08モード)にて均等化処理を行う場合における特定の電池セルの電圧の推移を示すものである。
まず、モータジェネレータの駆動によって組電池10の放電がなされる状況下において、内部抵抗に基づく均等化処理が行われる場合を図中実線にて示す。
図示される例では、電池セル同士の容量のばらつきを極力速やかに小さくすることができ、電池セルの電圧が所定の低電圧(例えば2.5V)となるまでの時間tBが伸長されている。
これに対し、電池セルの電圧に基づき電力供給先及び供給元を選択する均等化処理を行う場合には、図中破線にて示すように、電池セル同士の容量のばらつきを抑制することができず、電池セルの電圧が所定の低電圧となるまでの時間tAが短くなる。
なお、本実施形態にかかる均等化処理によれば、電圧に基づき電池セルを選択する均等化処理と比較して、車両の走行時間が71.7分から74.3分に伸びる(車両の走行距離が4.7%長くなる)ことが本発明者らによって調べられている。
このように、本実施形態では、最小内部抵抗rminを有する電池セルから最大内部抵抗rmaxを有する電池セルに、トランスTiを介して電力供給する均等化処理を行うことで、電池セルCiを適切に均等化することができる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)電池セルCiの中から最小内部抵抗rminを有する電池セル及び最大内部抵抗rmaxを有する電池セルを選択した。そして、最小内部抵抗rminを有する電池セルから、最大内部抵抗rmaxを有する電池セルに、トランスTiを介して電力供給する均等化処理を行った。これにより、電池セルCiの均等化を適切に行うことができ、組電池10の使用可能時間を長くすることができる。これにより、車両の走行距離を拡大することなどができる。
(2)電池セルCiの電圧Vi及び負荷電流値Irに基づき算出した内部抵抗riを、電池セルCiのSOCi、温度Thiに基づき補正した。これにより、電池セルCiの温度が内部抵抗riに及ぼす影響を極力排除することができ、電池セルCiの劣化度合いの把握精度を向上させることができる。
(3)均等化処理と、電圧検出処理とを交互に所定周期で行った。これにより、均等化処理に伴う消費電力が大きくならないこと、及び最小内部抵抗rminを有する電池セルから最大内部抵抗rmaxを有する電池セルへと電力を供給する十分な時間の確保することをバランスさせることなどができる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図9に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。
図示される回路には、1つのトランスTWが設けられている。トランスTWは、1次側コイルw1i及び2次側コイルw2iのそれぞれを電池セルCiの数と同数有している。
電池セルCiのそれぞれには、1次側コイルw1i及び1次側スイッチSW1iの直列接続体が並列接続されている。詳しくは、上記直列接続体は、信号線Li,L(i+1)間に接続されている。
また、電池セルCiのそれぞれには、さらに、2次側コイルw2i、ダイオードDi及び2次側スイッチSW2iの直列接続体が並列接続されている。詳しくは、2次側コイルw2iのうち電池セルCiの正極端子側は、2次側コイルw2iに生じる電圧の極性が正となる側である。また、ダイオードDiのアノード側は、2次側スイッチSW2i側に接続されている。
こうした構成によれば、電力供給先の電池セルを複数選択し、これら電池セルに電力を供給して充電することができる。
具体的には、電力供給先の電池セルとして、最大内部抵抗rmaxを有する電池セルC1と、最大内部抵抗rmaxの次に低い内部抵抗を有する電池セルC2とが選択され、電力供給元の電池セルとして、最小内部抵抗rminを有する電池セルC3が選択される例を挙げると、まず、電池セルC3に対応する1次側スイッチSW13がオンされることで、1次側コイルw13に電気エネルギが蓄えられる。
そして、その後、電池セルC1,C2に対応する2次側スイッチSW21,SW22がオンされる状況下、1次側スイッチSW13をオフさせることで、電池セルC3から電池セルC1,C2に電力が供給される。
なお、本実施形態にかかる回路構成に対し、上記第1の実施形態にかかる回路構成では、電力供給先の電池セルとして複数の電池セルを選択して均等化処理を行うことが困難となる。
つまり、電力供給先の電池セルとして互いに離間した2つの電池セルC1,Cnが選択される例を挙げると、これら電池セルC1,Cnに対応する2次側スイッチSW21,SW2nがオンされることで、電池セルC2〜Cnの直列接続体の正極端子及び負極端子が短絡される等、トランスTiを介さずに電力の授受が行われ、均等化処理を適切に行うことができない。
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・電池セルCiの内部抵抗riの補正手法としては、上記第1の実施形態に例示したものに限らない。例えば、上記温度差ΔTiが大きいほど、温度補正量を小さく設定し、上記ΔSOCiが大きいほど、SOC補正量を小さく設定し、電池セルCiの電圧Vi及び負荷電流値Irに基づき算出された内部抵抗riに温度補正量とSOC補正量とを加算することで、内部抵抗riを補正してもよい。ここで、上記温度補正量は、上記温度差ΔTiが0となる場合に0となり、上記SOC補正量は、上記ΔSOCiが0となる場合に0となる。
・電力供給元の電池セルの選択手法としては、上記第1の実施形態に例示したものに限らない。例えば、全ての電池セルCiの内部抵抗riの平均値(平均内部抵抗rbar)を算出し、電力供給元の電池セルとして、平均内部抵抗rbarよりも低い内部抵抗を有する1又は複数の電池セルを選択してもよい。この場合、均等化電流値Ibを、例えば、平均内部抵抗rbarよりも低い内部抵抗を有する電池セルの数が多いほど小さく設定してもよい。
なお、電力供給元となる電池セルが複数選択される場合、均等化処理において、電力供給元となる複数の電池セルに対応する均等化電流値Ibを互いに相違させてもよい。
また、複数の電池セルに対応する1次側スイッチSW1iのオンタイミングをずらず均等化処理を行ってもよい。これにより、充電電流値I2のピーク値を低くすることができるため、回路規模の拡大を抑制することができる。
・均等化処理を行うための回路構成としては、上記各実施形態に例示したものに限らない。例えば、フライングキャパシタ(エネルギ蓄積手段)と、一部の電池セルをフライングキャパシタに選択的に接続するマルチプレクサ(接続手段)と、電力供給先の電池セルによってフライングキャパシタに電荷を供給し、フライングキャパシタに蓄えられた電荷を電力供給先の電池セルに供給すべくマルチプレクサを操作する制御回路(操作手段)とを備える回路構成としてもよい(特開2010−183766号公報の図2参照)。ただし、この場合、電力供給元の電池セルの電圧よりも電力供給先の電池セルの電圧が高い場合、電力供給元の電池セルから電力供給先の電池セルへと電力を供給することができない。このため、例えば、組電池から放電される状況下において、均等化処理を行うのが望ましい。これは、上述したように、組電池から放電される状況下においては、電力供給先となる内部抵抗が大きい電池セルの電圧が、電力供給元となる内部抵抗が小さい電池セルの電圧よりも低くなる蓋然性が高いことに鑑みたものである。
・上記第1の実施形態では、均等化電流値Ibを調節することで1次側スイッチSW1iのオン時間T1on(先の図7参照)を調節したが、先の図2のステップS18の処理においてオン時間T1onを可変設定してもよい。
・上記第1の実施形態では、均等化処理の実行中において2次側スイッチSW2iを常時オンする制御ロジックを採用したがこれに限らない。例えば、充電電流が流れる期間に限って2次側スイッチSW2iをオンする制御ロジックを採用してもよい。
・下限電圧Vth1の設定手法としては、上記各実施形態に例示したものに限らない。例えば、組電池10の容量が少ない旨を低圧システム側に通知する処理を行うために、下限電圧Vth1を、電池セルの信頼性を維持可能な電圧の下限値よりも高い値に設定してもよい。
・上記各実施形態では、1個の電池セルCiを単位電池として均等化処理を行ったがこれに限らない。例えば、互いに隣接する複数個の電池セルの直列接続体(1ブロック)を単位電池として均等化処理を行ってもよい。
・電池セルとしては、リチウム2次電池に限らず、ニッケル水素2次電池等であってもよい。要は、電池セルの劣化度合いが大きいほど、内部抵抗が高くなる傾向を有する電池セルであればよい。
・整流手段としては、ダイオードに限らず、例えばサイリスタ等であってもよい。
・上記各実施形態では、プラグインハイブリッド車に本発明を適用したがこれに限らず、車載主機として内燃機関を搭載しない電気自動車(EV)等に本発明を適用してもよい。
10…組電池、Ci…電池セル、18…制御回路、Ti…トランス、SW1i…1次側スイッチ、SW2i…2次側スイッチ、Di…ダイオード。

Claims (6)

  1. 1個又は隣接する複数個の電池セルである単位電池の直列接続体としての組電池に適用され、
    前記単位電池の電気エネルギを一時的に蓄えるエネルギ蓄積手段と、
    一部の前記単位電池を前記エネルギ蓄積手段に選択的に接続する接続手段と、
    前記単位電池のそれぞれに流れる電流及び該単位電池のそれぞれの電圧に基づき、該単位電池のそれぞれの内部抵抗を算出する内部抵抗算出手段と、
    前記算出された内部抵抗に基づき、前記単位電池の中から、前記内部抵抗が低い水準の単位電池と、前記内部抵抗が高い水準の単位電池とを選択する処理を行う選択処理手段と、
    前記低い水準の単位電池から前記高い水準の単位電池へと電荷を供給すべく、前記接続手段を操作する処理を行う操作手段とを備え
    前記エネルギ蓄積手段は、1次側コイル及び2次側コイルを備えるトランスであり、
    前記接続手段は、前記単位電池のそれぞれと前記1次側コイルとを接続する電気経路のそれぞれを選択的に開閉可能な1次側開閉手段、及び前記単位電池のそれぞれと前記2次側コイルとを接続する電気経路のそれぞれを選択的に開閉可能な2次側開閉手段であり、
    前記2次側コイルの電流の流れを1方向に制限する整流手段を備え、
    前記トランス、前記1次側開閉手段、前記2次側開閉手段、及び前記整流手段のそれぞれは、前記単位電池のそれぞれに対して備えられ、
    前記単位電池のそれぞれには、前記1次側コイル及び前記1次側開閉手段の直列接続体が並列接続されるとともに、前記2次側開閉手段を介して前記2次側コイル及び前記整流手段の直列接続体のそれぞれが並列接続され、
    前記整流手段は、前記2次側コイルから前記単位電池の正極側へと向かう方向に電流を流す機能を有することを特徴とする組電池の容量調節装置。
  2. 1個又は隣接する複数個の電池セルである単位電池の直列接続体としての組電池に適用され、
    前記単位電池の電気エネルギを一時的に蓄えるエネルギ蓄積手段と、
    一部の前記単位電池を前記エネルギ蓄積手段に選択的に接続する接続手段と、
    前記単位電池のそれぞれに流れる電流及び該単位電池のそれぞれの電圧に基づき、該単位電池のそれぞれの内部抵抗を算出する内部抵抗算出手段と、
    前記算出された内部抵抗に基づき、前記単位電池の中から、前記内部抵抗が低い水準の単位電池と、前記内部抵抗が高い水準の単位電池とを選択する処理を行う選択処理手段と、
    前記低い水準の単位電池から前記高い水準の単位電池へと電荷を供給すべく、前記接続手段を操作する処理を行う操作手段とを備え、
    前記エネルギ蓄積手段は、1次側コイル及び2次側コイルを複数対備えるトランスであり、
    前記接続手段は、前記単位電池のそれぞれと前記1次側コイルとを接続する電気経路のそれぞれを選択的に開閉可能な1次側開閉手段、及び前記単位電池のそれぞれと前記2次側コイルとを接続する電気経路のそれぞれを選択的に開閉可能な2次側開閉手段であり、
    前記2次側コイルの電流の流れを1方向に制限する整流手段を備え、
    前記1次側開閉手段、前記2次側開閉手段及び前記整流手段のそれぞれは、前記単位電池のそれぞれに対して備えられ、
    前記単位電池のそれぞれには、前記1次側コイル及び前記1次側開閉手段の直列接続体が並列接続されるとともに、前記2次側コイル、前記2次側開閉手段及び前記整流手段を備える2次側電気経路が並列接続され、
    前記2次側開閉手段は、前記2次側電気経路を開閉するものであり、
    前記整流手段は、前記単位電池の正極側に向かって前記2次側電気経路に電流が流れるように備えられることを特徴とする組電池の容量調節装置。
  3. 前記選択処理手段は、前記高い水準の単位電池として、前記内部抵抗算出手段によって算出された内部抵抗の最大値に対応する単位電池を選択する処理を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の組電池の容量調節装置。
  4. 前記選択処理手段は、前記低い水準の単位電池として、前記内部抵抗算出手段によって算出された内部抵抗の最小値に対応する単位電池を選択する処理を行うことを特徴とする請求項記載の組電池の容量調節装置。
  5. 前記単位電池のそれぞれの温度に基づき、前記内部抵抗算出手段によって算出された前記単位電池のそれぞれの内部抵抗を補正する補正手段を更に備え、
    前記選択処理手段は、前記補正された内部抵抗に基づき、前記選択する処理を行うことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の組電池の容量調節装置。
  6. 当該容量調節装置は、前記操作手段によって前記接続手段を操作する処理と、前記単位電池のそれぞれの電圧を検出する処理とを交互に所定周期で行うことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の組電池の容量調節装置。
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