<第1の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、この発明の第1の実施形態による移動体通信システム10の概略構成を示す概念図である。本実施形態における無線通信システムである移動体通信システム10は、端末装置20と基地局装置30とを備える。この基地局装置30と端末装置20間で、無線通信が行われている。基地局装置30からは、2つの周波数バンドf1およびf2内のコンポーネントキャリア(周波数帯域)であって、周波数帯域幅が20MHz以下の周波数帯域である6つの下りリンクのコンポーネントキャリアDC1、DC2、DC3、DC4、DC5、DC6の中から選択された複数のコンポーネントキャリアが端末装置20に対して送信されている。また、端末装置20からは、同様に2つの周波数バンドf1およびf2内のコンポーネントキャリアであって、それぞれの周波数帯域幅が20MHz以下の周波数帯域である3つの上りリンクのコンポーネントキャリアUC1、UC2、UC3の中から選択された複数のコンポーネントキャリアが送信されている。なお、図1では、端末装置20を一つのみ示したが、基地局装置30は、同時に複数の端末装置20と無線通信を行なうことができる。
図2は、本実施形態における周波数バンドf1およびf2の構成を示す概念図である。図2に示すように、基地局装置30から端末装置20へのリンクである下りリンクのうち、符号DL1で示すコンポーネントキャリアDC1およびDC2は、周波数バンドf1で送信される。同様に下りリンクのうち、符号DL2のコンポーネントキャリアDC3、DC4、DC5およびDC6は、周波数バンドf2で送信される。また、端末装置20から基地局装置30へのリンクである上りリンクのうち、符号UL1で示すコンポーネントキャリアUC1は周波数バンドf1で送信される。同様に上りリンクのうち、符号UL2で示すコンポーネントキャリアUC2およびUC3は周波数バンドf2で送信される。なお、本実施形態において、各コンポーネントキャリアの周波数帯域幅は、20MHzである。
ここで、本実施形態ではFDD(Frequency Division Duplex;周波数分割多重)システムでの例を示しており、下りリンクDLと上りリンクULでは異なった周波数で通信を行っている。
また、コンポーネントキャリアDC1およびDC2に関する制御は、コンポーネントキャリアUC1で行う。また、コンポーネントキャリアUC1に関する制御は、コンポーネントキャリアDC1もしくはDC2で行うことにより、周波数バンドf1内で閉じた制御を行っている。同様に、コンポーネントキャリアDC3およびDC4に関する制御はコンポーネントキャリアUC2で行い、またコンポーネントキャリアUC2に関する制御はコンポーネントキャリアDC3もしくはDC4で行っている。さらにコンポーネントキャリアDC5およびDC6に関する制御はコンポーネントキャリアUC3で行い、コンポーネントキャリアUC3に関する制御はコンポーネントキャリアDC5もしくはDC6で行っている。
なお、上述において、例えば、コンポーネントキャリアUC1に関する制御は、コンポーネントキャリアDC1もしくはDC2で行うというように、記載しているが、このような記載は、どちらを用いるようにしてもよいことを表している。例えば、コンポーネントキャリアDC1とDC2のうち、周波数の小さい方を用いるようにするというルールであってもよいし、端末装置20の識別情報の値に応じて決めるようするというルールであってもよい。
このため周波数バンドf2では2つのグループでそれぞれ閉じた制御を行っている。すなわち、本実施形態ではバンドf1、およびバンドf2の2つのグループのそれぞれで下りリンクと上りリンクの対応付けを行うことにより送受信を行っている。ここで、バンドf1およびバンドf2というのは、システムで規定されている利用可能な周波数バンドを示している。例えば2GHz帯(上りリンク 1920MHz−1980MHz:下りリンク 2110MHz−2170MHz)や800MHz帯(上りリンク 824MHz−849MHz:下りリンク 869MHz−894MHz)等を示している。
上述したように、本実施形態では、複数の下りリンクおよび上りリンクのコンポーネントキャリアを同時に利用する、すなわちキャリアアグリゲーション(CA:Carrier Aggregation)することにより、高速の通信を行う。また、下りリンクのコンポーネントキャリアと、上りリンクのコンポーネントキャリアを対応付けて通信することにより、システムの制御が簡単化される。
図3は、端末装置20と基地局装置30との構成を示す概略ブロック図である。端末装置20は、基地局装置30からの信号を受信する複数の受信アンテナ23a、23b…と、受信した受信信号を復調する複数の受信部22a、22b…と、基地局装置30に送信するデータを生成する複数の送信部24a、24b…と、送信部24a、24b…で生成された送信データを送出する複数の送信アンテナ25a、25b…と、端末装置20全体の制御を行う制御部21とを備える。端末装置20は、ユーザーへの入出力インターフェイスとなる表示部や、操作部他様々な機能が組み込まれていることが一般的であるが、ここでは図示しない。また、制御部21は、CA設定部211、CA記憶部212、データ通信処理部213を備える。
なお、端末装置20の複数の送信アンテナ、受信アンテナ、送信部、および受信部については、機能毎に別々に図示しているが、実際の端末装置の構成としては、共通化可能なところは共通化して実装されている。また、基地局装置30および以降の実施形態についても同様である。
端末装置20の受信部22a、22bは、1つの受信部で、同時に1つの周波数バンドの信号を受信することができる。1つの周波数バンドは複数の周波数帯域(CC)に分割して使用される場合がある。この例では、周波数バンドf1の下りリンクでは2つのコンポーネントキャリアDC1とDC2がサービスされており、これらの2つのコンポーネントキャリアは周波数軸上で隣接している、あるいは近くに配置されていることから、同一の受信部で受信される。周波数バンドf2では4つのコンポーネントキャリアDC3、DC4、DC5およびDC6がサービスされており、これらの4つのCCは周波数軸上で隣接している、あるいは近くに配置されていることから、同一の受信部で受信される。
また、それぞれの受信部22a、22b…は、受信アンテナ23a、23bが受信したRF(Radio Frequency;無線周波数)信号をベースバンド信号に変換し、データ復調のための所定の信号処理を行うことにより、コンポーネントキャリア毎の復調データを取得し、制御部21へ出力する。
同様に送信部24a、24b…は、送信部1つが周波数バンド1つをサポートする構成となっている。本実施形態では、周波数バンドf1ではコンポーネントキャリアUC1が、周波数バンドf2ではコンポーネントキャリアUC2およびUC3がサービスされており、それぞれ送信部24aおよび送信部24bが送信する。また、それぞれの送信部24a、24bでは、制御部21から受け取ったコンポーネントキャリア毎のデータをデータ変調のための所定の信号処理を行い、信号処理後のベースバンド信号をRF信号に変換し、送信アンテナ25a、25bからの送信を行う。
制御部21は、受信データや送信データの処理、各送受信部のキャリア周波数制御など、端末装置の通信に関わる様々な制御を行う。
CA設定部211は、基地局装置30からのキャリアアグリゲーションの設定要求に従い、キャリアグリゲーションの設定をCA記憶部212に記憶させる。ここで、キャリアアグリゲーションの設定要求は、当該端末装置20と、基地局装置30との通信に用いるコンポーネントキャリアを示す情報と、上りリンクのコンポーネントキャリアと下りリンクのコンポーネントキャリアとの対応付けを示す情報であり、CA記憶部212は、これらの情報を記憶する。データ通信処理部213は、基地局装置30との間で、CA記憶部212が記憶しているキャリアアグリゲーションの設定に従い、送信部24a、24b…、受信部22a、22b…を介して、データの送受信を行う。
また、基地局装置30は、端末装置20からの信号を受信する複数の受信アンテナ33a、33b…と、受信した受信信号を復調する複数の受信部32a、32b…と、端末装置20に送信するデータを生成する複数の送信部34a、34b…と、送信部34a、34b…で生成された送信データを送出する複数の送信アンテナ35a、35b…と、基地局装置30全体の制御を行う制御部31とを備える。送信部34a、34b…、受信部32a、32b…は、上述した端末装置20の送信部24a、24b…、受信部22a、22b…と同様の機能をもつ。
ただし、基地局装置30の送信部34a、34b…は、端末装置20に対して送信するチャネルとして、端末個別に送信するチャネル(例えば、LTEの物理下りリンク共用チャネル(Physical Downlink Shared Channel)、物理下りリンク制御チャネル(Physical Downlink Control Channel)など)と、全ての端末装置にブロードキャストするチャネル(例えば、LTEの物理ブロードキャストチャネル(Physical Broadcast Channel))とを有する。基地局装置30の受信部32a、32b…は、各々異なるチャネルに割り当てられた複数の端末装置20からのデータを同時に受信することができる。制御部31は、受信データや送信データの処理、各送受信部のキャリア周波数制御など、基地局装置30の通信に関わる様々な制御を行う。また、制御部31は、対応候補記憶部310、CA決定部311、CA記憶部312、データ通信処理部313を備える。
制御部31の対応候補記憶部310は、下りリンクのコンポーネントキャリアと、上りリンクコンポーネントキャリアとの対応付けの候補と、各候補を示す対応付け番号とを予め記憶する。例えば、対応付け番号「1」が示す対応付けの候補として、下りリンクのコンポーネントキャリアDC1およびDC2と、上りリンクのコンポーネントキャリアUC1とが対応付けられていることを示す情報を記憶する。なお、このとき、下りリンクのコンポーネントキャリアと、上りリンクコンポーネントキャリアとの対応付けは、予め決められている。CA決定部311は、各端末装置20について、対応候補記憶部310が記憶する対応付けの候補の中から、使用するものを選択する。これにより、CA決定部311は、複数のコンポーネントキャリア(周波数帯域)の中から、端末装置20との通信に用いるコンポーネントキャリアとして、下りリンクに用いるコンポーネントキャリアと、上りリンクに用いるコンポーネントキャリアとを選択し、選択した該コンポーネントキャリアの中で、下りリンクのコンポーネントキャリアと、上りリンクのコンポーネントキャリアとの対応付けを選択する。
さらにCA決定部311は、その選択した対応付け番号を、コンポーネントキャリアを示す情報および対応付けを示す情報であるキャリアグリゲーションの設定要求として、端末装置20に端末個別のチャネルで通知するとともに、CA記憶部312に記憶させる。
データ通信処理部313は、端末装置20との間で、CA記憶部312が記憶しているキャリアアグリゲーションの設定に従い、送信部34a、34b…、受信部32a、32b…を介して、データの送受信を行う。
図4は、本実施形態における待ち受け状態からパケット通信が確立するまでの処理を示すシーケンス図である。まず、端末装置20は、バンドf1のコンポーネントキャリアDC2で待ち受けを行っている(Sa1)。すなわち端末装置20は、コンポーネントキャリアDC2を受信可能なように、受信部22aの受信周波数設定を行い、バンドf1を受信するための受信部22aのみ起動し、コンポーネントキャリアDC2を監視している状態である。ここでは、端末装置20について、コンポーネントキャリアDC2は、基地局装置30と端末装置20との間で、予め決められた、通信の主体となるコンポーネントキャリアであり、待ち受け時に監視をするコンポーネントキャリアである。以降、このコンポーネントキャリアをDLアンカーキャリアという。なお、待ち受け中にコンポーネントキャリアDC2の品質が劣化し、コンポーネントキャリアDC4の品質の方が良好になった場合には、コンポーネントキャリアDC4を、DLアンカーキャリアに変更するようにしてもよい。
また、コンポーネントキャリアDC2を制御する上りリンクのコンポーネントキャリアがいずれのコンポーネントキャリア(ここでは、コンポーネントキャリアUC1)であるかを示す情報、すなわち上りリンクのコンポーネントキャリアと下りリンクのコンポーネントキャリアとの対応付けについては、端末装置20は、基地局装置30が全ての端末装置20にブロードキャストする報知情報などを受信することで既に取得している。また、DLアンカーキャリアを制御する上りリンクのコンポーネントキャリアをULアンカーキャリアという。
ここで、端末装置20がDLアンカーキャリア(コンポーネントキャリアDC2)で待ち受け中に、例えば、ユーザーによる端末装置20の操作によりWebアクセスの要求が発生するなど、パケット通信の要求が発生したとする(Sa2)。まず、端末装置20はULアンカーキャリア(コンポーネントキャリアUC1)を利用して基地局装置30に対して、パケット接続要求信号を送信する(Sa3;パケット接続要求)。この信号を受信した基地局装置30は、DLアンカーキャリア(コンポーネントキャリアDC2)を利用して端末装置20に対して、パケット接続応答信号を送信する(Sa4;パケット接続応答)。
続いて、CA決定部311は、対応候補記憶部310が記憶する対応付けの候補の中から、端末装置20とのパケット通信に使用する候補を選択することで、上りリンクおよび下りリンクのコンポーネントキャリアを決定し、選択した対応付けの候補を示す情報を、DLアンカーキャリアを利用して、キャリアアグリゲーションの設定要求として端末装置20に通知する(Sa5;キャリアアグリゲーション設定要求)。例えば、LTEあるいはLTE−Aシステムの場合には、送受信周波数設定を行っている端末装置20個別の制御チャネルと同様のチャネルを利用して通知する。ここで、対応付けの候補は、コンポーネントキャリアの識別番号情報を用いて表現される。そして、この識別番号情報は、コンポーネントキャリアを示す情報であるが、具体的には、コンポーネントキャリアの中心周波数など、送受信するための周波数を示す情報と、コンポーネントキャリアの帯域幅を示す情報(本実施形態では、すべてのコンポーネントキャリアが20MHz)とを示す情報である。コンポーネントキャリアの識別番号情報と、周波数および帯域幅との対応付けについては、端末装置20および基地局装置30が予め保持している。
図5は、上述したキャリアアグリゲーション設定要求の通知信号の形式の例を示す図である。対応候補記憶部310も、対応付けの候補を同様の形式で記憶する。図5に示すように、この通知信号の形式は、対応付け番号と、DL CC識別番号と、UL CC識別番号とからなる。例えば、図5の1行目の対応付け番号「1」と、DL CC識別番号「1、2」、UL CC識別番号「1」と、2行目の対応付け番号「2」と、DL CC識別番号「3、4」、UL CC識別番号「2」と、3行目の対応付け番号「3」と、DL CC識別番号「5」、UL CC識別番号「3」とからなる。対応付け番号は、上りリンクのコンポーネントキャリアと下りリンクのコンポーネントキャリアとの対応付けの候補を識別する番号である。DL CC識別番号は、その対応付け番号で識別される対応付けの候補を構成する下りリンクのコンポーネントキャリアの識別番号である。UL CC識別番号は、その対応付け番号で識別される対応付けの候補を構成する上りリンクのコンポーネントキャリアの識別番号である。
なお、識別番号に代えて、コンポーネントキャリアの実際の中心周波数を直接用いてもよい。また、キャリアアグリゲーションの設定要求では対応付け番号が記載されている数だけ、下りリンクと上りリンクの対応付けが存在する。すなわち、図5の例では、下りリンクのコンポーネントキャリアDC1およびDC2と上りリンクのコンポーネントキャリアUC1の対応付け(対応付け番号「1」)、下りリンクのコンポーネントキャリアDC3およびDC4と上りリンクのコンポーネントキャリアUC2の対応付け(対応付け番号「2」)、下りリンクのコンポーネントキャリアDC5と上りリンクのコンポーネントキャリアUC3の関連付けの3組が存在する。
例えば、図5の対応付け番号「1」のセットでは、基地局装置30が下りリンクのコンポーネントキャリアDC1あるいはDC2で送信したデータに対するACK/NACK情報については、端末装置20が上りリンクのコンポーネントキャリアUC1で送信する。すなわち、本セット内で閉じた通信制御を行うことになる。この対応付けについては、システムで共通になる場合もあるが、通信状態や端末装置20の能力に応じて端末装置固有で対応付けを行う場合もある。例えば、バンドf2の下りリンクのコンポーネントキャリアDC3、DC4、DC5、上りリンクのコンポーネントキャリアUC2、UC3で構成される2組の対応付けとして、別の端末装置20のユーザーは、図5と異なり、下りリンクのコンポーネントキャリアDC3と上りリンクのコンポーネントキャリアUC2との対応付けと、下りリンクのコンポーネントキャリアDC4およびDC5と上りリンクのコンポーネントキャリアUC3の対応付けとを用いて通信を行うようにしてもよい。このような端末装置固有で対応付けを行う場合には、端末装置固有で対応付けを行う可能性のある全ての対応付け情報を対応候補記憶部310に記憶しておき、CA決定部311が対応候補記憶部310の中から対応付けを選択するようにすればよい。あるいは、端末装置固有で対応付けを行う場合のみ、CA決定部311が任意の対応付けを行うように動作してもかまわない。
このように、本実施形態のように上りリンクと下りリンクとを対応させて通信の制御を行う場合には、単に通信に用いるコンポーネントキャリアを通知するのみでは、どのコンポーネントキャリアで通信の制御を行なうべきか分からなくなる。しかし、本実施形態のようにコンポーネントキャリアの指定の他にも対応付け情報を、基地局装置30が端末装置20に個別信号で送信することで、通信の制御を行なうことができる。また、本実施形態、下りリンクのコンポーネントキャリア5個および上りリンクのコンポーネントキャリアUC3個を用いて通信を行っているが、上りリンクで送信する情報量が少ない場合には、なるべく少ない数の上りリンクのコンポーネントキャリアで送信する方が端末装置20にとって望ましい。このようなときには、1つ減らして、バンドf2の上りリンクのコンポーネントキャリアを1つだけ用いて通信を行うことも可能である。このようにするためには、上述した対応付けを変更する必要がある。例えば、バンドf2の対応付け情報として、下りリンクのコンポーネントキャリアDC3、DC4、DC5と、上りリンクのコンポーネントキャリアUC2とを対応付けして通信を行う。もちろん、バンドを越えて対応付けを行うことも可能である。
図6は、キャリアアグリゲーション設定要求の通知信号の形式の第1の変形例を示す図である。この変形例では対応付けされた下りリンクのコンポーネントキャリアの識別番号と上りリンクのコンポーネントキャリアの識別番号のセットを順番に並べる形式である。この変形例の形式では、上りリンクの識別番号から下りリンクの識別番号へ移るときの境界が、対応付けされたセットの境界となる。例えば、図6では、下りリンクを示す「DL」の次に下りリンクのコンポーネントキャリアの識別番号「1」が配置され、さらに下りリンクを示す「DL」の次に下りリンクのコンポーネントキャリアの識別番号「1」が配置され、その次に、上りリンクを示す「UL」が配置され、次に上りリンクのコンポーネントキャリアの識別番号「1」が配置される。
ここまでが、対応付けされた一つのセットなので、次は、下りリンクを示す「DL」が配置され、続いて下りリンクのコンポーネントキャリアの識別番号「3」、下りリンクを示す「DL」、下りリンクのコンポーネントキャリアの識別番号「4」、上りリンクを示す「UL」、上りリンクのコンポーネントキャリアの識別番号「2」が配置される。ここまでが、対応付けされた一つのセットなので、次は、下りリンクを示す「DL」、下りリンクのコンポーネントキャリアの識別番号「5」、上りリンクを示す「UL」、上りリンクのコンポーネントキャリアの識別番号「3」が配置される。このようにすることで、図5のように、対応付け番号を通知する必要がなくなるため、伝送する情報量の削減をすることができる。
次に、図4に戻り、シーケンスSa5では、上述したたように、基地局装置30は、図5あるいは図6の形式で、キャリアアグリゲーション設定要求、すなわち下りリンクのコンポーネントキャリアの識別番号情報と、上りリンクのコンポーネントキャリアの識別番号情報と、下りリンクのコンポーネントキャリアと上りリンクのコンポーネントキャリアの対応付け情報とを端末装置20に通知する。このキャリアアグリゲーション設定要求を受信すると、端末装置20のCA設定部211は、この設定要求をCA記憶部212に記憶させる。
さらに、制御部21のデータ通信処理部213は、CA記憶部212が記憶した設定要求により通知されたコンポーネントキャリアでの通信が可能なように、送信部24a、24b、受信部22a、22bのキャリア周波数を設定する。また、設定要求中の対応付け情報に従って、下りリンクのコンポーネントキャリアDC1、DC2と上りリンクのコンポーネントキャリアUC1とによるパケット通信(Sa6;パケット通信確立)、下りリンクのコンポーネントキャリアDC3、DC4と上りリンクのコンポーネントキャリアUC2とによるパケット通信(Sa7)、下りリンクのコンポーネントキャリアDC5と上りリンクのコンポーネントキャリアUC3とによるパケット通信(Sa8)を確立する。
これにより、端末装置20は、複数のコンポーネントキャリアを用いた高速なパケット通信が可能となる。
次に、キャリアアグリゲーション設定要求の通知信号の形式の第2の変形例を説明する。本実施形態および第1の変形例では、キャリアアグリゲーションの設定要求として、単純にコンポーネントキャリアの指定に加え、対応付け情報を送る例を示した。しかしながら、対応付け可能な候補各々に、予め番号を割り当てておき、基地局装置と端末装置とで共有しておけば、キャリアアグリゲーションを開始する時には、予め割り当てられた番号のみを通知すればよい。ここでは、第2の変形例として、その例について簡単に述べる。
まず、移動体通信システム10で対応付けされる可能性のある候補について番号を割り当てておき、基地局装置30の対応候補記憶部310に格納しておく。図7は、対応候補記憶部310が記憶する対応付けの候補の例を示す図である。このように、対応付け番号「1」とDL CC識別番号「1」とUL CC識別番号「1」とからなる対応付け候補の情報と、対応付け番号「2」とDL CC識別番号「2」とUL CC識別番号「1」とからなる対応付け候補の情報と、対応付け番号「3」とDL CC識別番号「3」とUL CC識別番号「2」とからなる対応付け候補の情報と、・・・というように、1つの対応付け番号に対し、下りリンクのコンポーネントキャリアと上りリンクのコンポーネントキャリアとを対応付けて、対応付け候補の情報として記憶する。なお、上りリンクのコンポーネントキャリアと、下りリンクのコンポーネントキャリアの全ての組み合わせについて定義し、対応候補記憶部310に格納しておくようにしてもよい。
基地局装置30は、パケット通信を行う前に、まず移動体通信システム10の報知情報などで、図7に示すような対応候補の情報を、予め端末装置20に送っておく。端末装置20は、これを受信し、その制御部21が備える記憶部に記憶させる。その後、パケット通信要求が発生するなどして、キャリアアグリゲーションを行うときには、基地局装置30のCA決定部311は、対応候補記憶部310が記憶する候補の中から、使用する候補を選択し、該候補の対応付け番号のみを、個別通信で端末装置20に通知する。上述した図5と同様のキャリアアグリゲーションを行う場合は、対応付け番号「1」、「2」、「3」、「4」、「7」を通知する。このようにすることで通知時のオーバーヘッドを削減することができる。
図8は、高速パケット通信中に通信が困難な状況になり、キャリアアグリゲーションの組み合わせ変更を行う処理を説明するシーケンス図である。ここでは、高速パケット通信中に通信が困難な状況になりキャリアアグリゲーションの組み合わせを変更する場合の例として、図4のシーケンスSa6〜Sa8にて確立したパケット通信で高速にパケット通信を行っている間に、下りリンクのコンポーネントキャリアDC5のトラフィック量が増加した場合、あるいはコンポーネントキャリアDC5を端末装置20が受信したときの品質などが劣化した場合を説明する。ここで、品質とは、例えば、受信信号のSNR(Signal to Noise Ratio)や受信電力など受信信号の復調のし易さを表す値である。
基地局装置30は、まずコンポーネントキャリアDC5のトラフィック量が増加したことを検出する。あるいは、端末装置20から上りリンクのコンポーネントキャリアUC3を用いて通知されて、コンポーネントキャリアDC5の品質が劣化したことを検出する(Sa9)。これに伴い、基地局装置30のCA決定部311は、端末装置20との通信に用いるコンポーネントキャリアを選択し直し、該選択に基づくキャリアアグリゲーション設定要求を、通知コンポーネントキャリアDC5を用いて通知する(Sa10;キャリアアグリゲーション設定要求)。ここでは、使用するコンポーネントキャリアを、コンポーネントキャリアDC5からコンポーネントキャリアDC6に変更する通知を行う。また、対応する上りリンクのコンポーネントキャリアは、コンポーネントキャリアUC3のままであり、変更はない。
この設定要求の通知信号の形式としては、上述した図5や図6と同様の形式のものが利用できる。あるいは、変更通知として通知する場合にはすべての組み合わせを通知する必要はないので、例えば、削除する対応付け情報と、追加する対応付け情報とからなる形式など、変更するコンポーネントキャリアと、関連付け情報とだけを通知する形式にしてもよい。また図8の例では、単純にトラフィック量の増加、あるいは品質の劣化のあったコンポーネントキャリアDC5より通知を行っている。しかしながら、コンポーネントキャリアDC5の品質が劣化している場合には、通知がうまくいかない場合も考えられるため、DLアンカーキャリア(コンポーネントキャリアDC2)で通知してもよい。
これにより、端末装置20は、下りリンクのコンポーネントキャリアDC1、DC2と上りリンクのコンポーネントキャリアUC1との組み合わせ(Sa11;パケット通信中)、下りリンクのコンポーネントキャリアDC3、DC4と上りリンクのコンポーネントキャリアUC2との組み合わせ(Sa12)でのパケット通信は、そのまま通信を維持する。また、受信部22bの設定を、コンポーネントキャリアDC5を受信可能な状態から、コンポーネントキャリアDC6を受信可能な状態になるように変更する。これにより、下りリンクのコンポーネントキャリアDC6と上りリンクのコンポーネントキャリアUC3の組み合わせで通信制御を行なうパケット通信を開始する(Sa13)。
端末装置20の受信処理実現方法としては、例えば、バンドf2を受信している受信部22bのキャリア周波数設定はバンドf2のまま、変更せず、受信部22bのバンドf2に対する帯域フィルタを、下りリンクのコンポーネントキャリアDC6が透過可能なように調整することで、コンポーネントキャリアDC6を受信する。なお、下りリンクの通信がOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex;直交周波数分割多重)方式を用いている場合には、FFT(Fast Fourier Transform;高速フーリエ変換)処理により、コンポーネントキャリアDC6を抽出するようにすればよい。
以上より、キャリアアグリゲーションにて通信しているときに、トラフィック増加や品質劣化などにより、あるコンポーネントキャリアでの通信が困難な状況になっても、キャリアアグリゲーションを開始するときと同様のキャリアアグリゲーションの設定要求(図5、第1の変形例、第2の変形例など)を通知することによりキャリアアグリゲーションの変更を行い、パケット通信の品質(実効レートなど)の維持が可能である。
図9は、高速パケット通信から低速パケット通信にキャリアアグリゲーションの組み合わせ変更を行う処理を説明するシーケンス図である。ここでは、高速パケット通信から低速パケット通信にキャリアアグリゲーションの組み合わせを変更する場合の例として、図4のシーケンスSa6〜Sa8にて確立したパケット通信で高速にパケット通信を行っている間に、移動体通信システム10全体のトラフィック量が増加(特にバンドf2のトラフィック量が増加)した場合、あるいは端末装置20で受信する通信量が少なくなった場合を説明する。
基地局装置30は、まずバンドf2のトラフィック量が増加したことを検出する。あるいは、端末装置20への通信量が少なくなったことを検出する(Sa20)。これに伴い、基地局装置30は、DLアンカーキャリア(コンポーネントキャリアDC2)を用いて、キャリアアグリゲーション設定要求の通知を行う(Sa21)。ここでは、例えば、図5の対応付け番号1の情報のみを通知する。図6の形式を利用する場合には、前半のバンドf1の対応付け情報のみ通知すればよい。あるいは、変更通知として通知する場合には、変更する(削除する)対応付け情報のみを通知するようにしてもよい。
ここでは、削除のみのため、例えば図5のフォーマットを利用する場合には、対応付け番号「1」に関しては通知する必要はなく、対応付け番号「2」と「3」に対して、コンポーネントキャリアの識別番号は空白にして通知すればよい。また、図9に示す例では、DLアンカーキャリアで通知しているが、バンドf2内の下りリンクのコンポーネントキャリアのいずれかで通知するようにしてもよい。これにより端末装置20は、下りリンクのコンポーネントキャリアDC1、DC2と上りリンクのコンポーネントキャリアUC1の組み合わせのみでのパケット通信となる(Sa22)。
以上より、端末装置20の通信量が少なくなった場合には、キャリアアグリゲーション設定要求の通知によりキャリアアグリゲーションの変更を行い、使用するコンポーネントキャリアを減らすことで、通信リソースを無駄なく利用可能となる。また、端末装置20にとっても、通信量が少ない場合にはバンドf1のみ送受信すればよいので、バンドf2の送受信に使用していた受信部22bや送信部24bを停止させることで、消費電流を削減することができる。
図8および図9では、キャリアアグリゲーション変更の場合を記載しているが、ハンドオーバーを行う場合のキャリアアグリゲーション設定要求の通知についても同様に行うことが可能である。
また、上述した対応付けについても、さらにキャリアアグリゲーション設定要求に、制御信号の種類毎に対応付け情報を含めることで、制御信号の種類に応じた詳細な対応付け情報を含めることが可能である。例えば、上りリンクに対するACK/NACK情報についての対応付け情報として、下りリンクのコンポーネントキャリアDC1と上りリンクのコンポーネントキャリアUC1との対応付け情報を設定し、その他の制御情報についての対応付け情報として、下りリンクのコンポーネントキャリアDC1、DC2と上りリンクのコンポーネントキャリアUC1との対応付け情報を設定してキャリアアグリゲーション設定要求を通知することで、コンポーネントキャリアUC1のデータに対するACK/NACK情報はコンポーネントキャリアDC1のみから通知され、コンポーネントキャリアUC1に対するその他の制御情報は、下りリンクのコンポーネントキャリアDC1、DC2から通知されるようにすることができる。
また、対応する上りリンクのない下りリンク専用のコンポーネントキャリアが存在してもよい。この場合には、下りリンクのコンポーネントキャリアのみの組み合わせなど考えられる。ただし、DL専用CCで受信した際のデータのACK/NACK情報はどこかのUCで通知する必要があり、この場合にはDLデータとUL ACK/NACKの関連付け情報として通知すればよい。
<第2の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態における移動体通信システム10aは、端末装置20aと、基地局装置30aとを備え、第1の実施形態における対応付け情報が予め決められている。さらに、その対応付けが、コンポーネントキャリア同士の伝搬特性が近いもので構成されており、それをグループ化している。図10は、本実施形態における移動体通信システム10aにて使用可能なコンポーネントキャリアの中から、伝搬特性が近いもの同士を集めてグループに分ける例を示している。なお、グループ内の下りリンクのコンポーネントキャリア同士あるいは上りリンクのコンポーネントキャリア同士は、周波数的に互いに隣接して配置されているため、伝搬特性が近くなっている。図10に示す例では、グループ1から4までの4つのグループに分けている。グループ1は、下りリンクのコンポーネントキャリアDC11、DC12と、上りリンクのコンポーネントキャリアUC11とからなり、図10にて各々のコンポーネントキャリアを表す矩形を直線で結んでいるように、コンポーネントキャリアUC11は、コンポーネントキャリアDC11およびDC12と対応付けられている。
同様に、グループ2は、下りリンクのコンポーネントキャリアDC13、DC14、DC15と、上りリンクのコンポーネントキャリアUC12とからなり、コンポーネントキャリアUC12は、コンポーネントキャリアDC13、DC14およびDC15と対応付けられている。グループ3は、下りリンクのコンポーネントキャリアDC16、DC17と、上りリンクのコンポーネントキャリアUC13、UC14とからなり、コンポーネントキャリアUC13は、コンポーネントキャリアDC16と対応付けられ、コンポーネントキャリアUC14は、コンポーネントキャリアDC17と対応付けられている。グループ4は、下りリンクのコンポーネントキャリアDC18と、上りリンクのコンポーネントキャリアUC15、UC16とからなり、コンポーネントキャリアDC18は、コンポーネントキャリアUC15およびUC16と対応付けられている。
なお、グループ2は、下りリンクが3つのコンポーネントキャリア、上りリンクが1つのコンポーネントキャリアで構成されているので、Webアクセスなど、下りリンクの容量のみ必要な通信時には利用しやすい構成となっている。グループ3は、下りリンクが2つのコンポーネントキャリア、上りリンクが2つのコンポーネントキャリアで構成されており、下りリンクと上りリンクとを1対1で対応付けているため、LTE端末装置等に利用しやすい構成となっている。グループ4は、下りリンクが1つのコンポーネントキャリア、上りリンクが2つのコンポーネントキャリアで構成されており、上りリンクの容量のみ必要な通信時には利用しやすい構成となっている。
図11は、本実施形態における端末装置20aと基地局装置30aとの構成を示す概略ブロック図である。同図において、図3に対応する部分には同一の符号(22a、22b、23a、23b、24a、24b、25a、25b、212、213、32a、32b、33a、33b、34a、34b、35a、35b、312、313)を付し、説明を省略する。端末装置20aは、受信アンテナ23a、23b…、受信部22a、22b…、送信部24a、24b…、送信アンテナ25a、25b…、端末装置20a全体の制御を行う制御部21aを備える。端末装置20aは、ユーザーへの入出力インターフェイスとなる表示部や、操作部他様々な機能が組み込まれていることが一般的であるが、ここでは図示しない。また、制御部21aは、グループ取得部221、グループ記憶部222、CA設定部211a、CA記憶部212、データ通信処理部213を備える。また、図11では、端末装置20aを一つのみ示したが、基地局装置30aは、同時に複数の端末装置20aと無線通信を行なうことができる。
グループ取得部221は、受信部22a、22b…のいずれかが基地局装置30aから受信した各グループの構成を示す情報とグループの識別情報とを取得し、グループ記憶部222に予め記憶させる。なお、ここでグループの構成を示す情報は、グループを構成する下りリンクのコンポーネントキャリアを示す情報、グループを構成する上りリンクのコンポーネントキャリアを示す情報、これらの上りリンクのコンポーネントキャリアと下りリンクのコンポーネントキャリアとの対応付けを示す情報を含む。グループ記憶部222は、グループの識別情報と、該グループの構成を示す情報とを関連付けて記憶する。CA設定部211aは、受信部22a、22b…のいずれかが基地局装置30aから受信したキャリアアグリゲーション設定要求に従い、キャリアグリゲーションの設定をCA記憶部212に記憶させる。ここで、本実施形態におけるキャリアアグリゲーション設定要求は、第1の実施形態と異なり、グループの識別情報により、使用するコンポーネントキャリアと通信の制御に用いるコンポーネントキャリアの対応付けとを表しており、CA設定部211aは、グループの識別情報と関連付けてグループ記憶部222が記憶するグループの構成を示す情報を取得することで、該グループを構成するコンポーネントキャリアと、通信の制御に使用するコンポーネントキャリアの対応付けを取得する。
基地局装置30aは、受信アンテナ33a、33b…、受信部32a、32b…、送信部34a、34b…、送信アンテナ35a、35b…、基地局装置30a全体の制御を行う制御部31aとを備える。制御部31aは、グループ通知部321、グループ記憶部322、CA決定部311a、CA記憶部312、データ通信処理部313を備える。グループ通知部321は、グループ記憶部322が記憶する各グループの識別情報と、該グループの構成を示す情報とを送信部34a、34b…のいずれかを用いて、端末装置20aに予め通知する。この通知は、端末装置20aとの通信接続時などに、端末個別のチャネルにて送信してもよいし、ブロードキャストするチャネルにて周期的に送信してもよい。ブロードキャストするチャネルにて送信する場合は、予め決められたコンポーネントキャリアでのみ送信するようにしてもよいし、全ての下りリンクのコンポーネントキャリアにて送信するようにしてもよい。
グループ記憶部322は、グループの識別情報と、該グループの構成を示す情報とを関連付けて予め記憶する。CA決定部311aは、各端末装置20aについて、グループ記憶部322が記憶するグループの中から、使用するグループを1つまたは複数選択することで、通信に使用するコンポーネントキャリアを決定し、その選択結果であるキャリアグリゲーションの設定要求を、端末装置20aに端末個別のチャネルで通知するとともに、CA記憶部312に記憶させる。なお、本実施形態においてグループの識別情報と、グループを構成する情報とは、基地局装置30aから端末装置20aに予め通知されるとしたが、基地局装置30aのグループ記憶部322と端末装置20aのグループ記憶部222とが予め同じ情報を記憶していてもよい。その場合は、グループ通知部321およびグループ取得部221を備えていなくて良い。
図12は、グループ記憶部322の記憶内容例を示す図である。図12に示すように、グループ記憶部322は、グループの識別情報であるグループ番号と、該グループの構成を示す情報である下りリンクのコンポーネントキャリアの識別番号と上りリンクのコンポーネントキャリアの識別番号とを対応付けて記憶している。なお、本実施形態において、グループ1〜5の識別情報であるグループ番号は、それぞれ「1」〜「5」である。また、下りリンクのコンポーネントキャリアDC11〜DC18の識別情報は、「1」〜「8」である。上りリンクのコンポーネントキャリアUC11〜UC16の識別情報は、「1」〜「6」である。
図12の例では、グループ番号「1」と、下りリンクのコンポーネントキャリアの識別番号(DL CC識別番号)「1、2」と、上りリンクのコンポーネントキャリアの識別番号(UL CC識別番号)「1」とを対応付け、グループ番号「2」と、DL CC識別番号「3、4、5」とUL CC識別番号「2」とを対応付け、グループ番号「3」と、DL CC識別番号「6、7」とUL CC識別番号「3、4」とを対応付け、グループ番号「4」とDL CC識別番号「8」とUL CC識別情報「5,6」とを対応づけて記憶している。
図13は、移動体通信システム10aにおいて高速パケット通信が確立するまでの処理を示すシーケンス図である。図4に示す第1の実施形態と比較すると、基地局装置30aから予めグループの通知が送信されている点(Sb1;グループの通知)と、キャリアアグリゲーション設定要求に上述のグループの識別情報(図10のグループ1とグループ2を指定)を用いている点(Sb5;キャリアアグリゲーション設定要求)と、キャリアアグリゲーション設定要求に従いグループ1(図中の符号G1)とグループ2(図中の符号G2)を構成するコンポーネントキャリアにてパケット通信が確立されている点(Sb6、Sb7)が異なる。その他のシーケンス(Sa1〜Sa4)は、図4と同一であるので、説明を省略する。なお、シーケンスSb1のグループの通知は、セルサーチ時に報知信号などのシステム共通の信号にて行い、最初に同期のとれた下りリンクのコンポーネントキャリアで受信する。
図14は、図13のキャリアアグリゲーション設定要求の内容例を示した図である。図14では、識別番号「1」、「2」の下りリンクのコンポーネントキャリアDC11、DC12と、識別番号「1」の上りリンクのコンポーネントキャリアUC11で構成され、グループ番号「1」のグループ1、および識別番号「3」、「4」、「5」の下りリンクのコンポーネントキャリアDC13、DC14、DC15と、識別番号「2」の上りリンクのコンポーネントキャリアUC12で構成され、グループ番号「2」のグループ2を利用してキャリアアグリゲーションを行うことが示されている。なお、このような設定のときは、キャリアアグリゲーション設定要求そのものは、グループ1とグループ2との識別情報であるグループ番号「1」と「2」とで構成される。
本実施形態では、コンポーネントキャリアは周波数の近いものでグループ化されているため、端末装置20aの制御部21aは、コンポーネントキャリア毎ではなく、それぞれのグループ毎に送信部、受信部を割り当てて送受信することができる。例えば、グループ1には図11の受信部22aと送信部24aを、グループ2には受信部22bと送信部24bを割り当てて送受信を行う。
このように、周波数の近いものでコンポーネントキャリアをグループ化することで端末装置20aにおいて、1つの送信部および受信部に、複数のコンポーネントキャリアを割り当てることができ、端末装置20aの構成の簡単化に効果的である。
次に、基地局装置30aが、それぞれグループ化されたグループの送受信を行うためのキャリア周波数を指定する場合の変形例を示す。図15は、本実施形態の変形例におけるキャリアアグリゲーション設定要求の内容例を示す図である。なお、本変形例における高速パケット通信が確立するまでの処理を示す通信シーケンスは図13と同様である。下りリンクのキャリア周波数および上りリンクのキャリア周波数は、グループ毎に指定されている。指定される周波数については、グループ化されたコンポーネントキャリア群(コンポーネントキャリアは周波数軸上で隣接して配置)の中心周波数、あるいは中心にあるコンポーネントキャリアの中心周波数、あるいは最端のコンポーネントキャリアの中心周波数などで指定すればよい。あるいは、グループ毎に制御のメインとなる上りリンクおよび下りリンクのコンポーネントキャリアが存在する場合には、その制御のメインとなるコンポーネントキャリアの中心周波数を指定してもかまわない。
なお、このような設定のときは、キャリアアグリゲーション設定要求そのものは、グループ1とグループ2との識別情報であるグループ番号「1」と「2」と、グループ1の下りリンクのキャリア周波数f1DLの値と上りリンクのキャリア周波数f1ULの値と、グループ2の下りリンクのキャリア周波f2DLの値と上りリンクのキャリア周波数f2ULの値とで構成される。また、基地局装置30aのグループ記憶部322は、各グループの構成を示す情報とともに、各グループの下りリンクと上りリンクのキャリア周波数を記憶しており、CA決定部311aがキャリアアグリゲーション設定要求を生成する際には、この記憶内容を用いる。
図16は、本変形例における基地局装置30aのグループ記憶部322の記憶内容例を示す図である。本変形例におけるグループ記憶部322は、図16に示すように、グループ番号と、下りリンクのコンポーネントキャリアの識別番号(DL CC識別番号)と、上りリンクのコンポーネントキャリアの識別番号(UL CC識別番号)と、下りリンクのキャリア周波数(DL周波数)と、上りリンクのキャリア周波数(UL周波数)とを関連付けて記憶する。例えば、グループ番号「1」と、DL CC識別番号「1、2」と、UL CC識別番号「1」と、DL周波数「f1DL」と、UL周波数「f1UL」とを関連付けて、グループ番号「2」と、DL CC識別番号「3、4、5」と、UL CC識別番号「2」と、DL周波数「f2DL」と、UL周波数「f2UL」とを関連付けて記憶する。なお、ここでf1DL、f1UL、f2DL、f2ULは、それぞれグループ1の下りリンクの中心周波数の値、グループ1の上りリンクの中心周波数の値、グループ2の下りリンクの中心周波数の値、グループ2の上りリンクの中心周波数の値である。
また、グループ通知部321が、図13のシーケンスSb1のグループの通知を行う際に、各グループを構成するコンポーネントキャリアを示す情報とともに、各グループの下りリンクと上りリンクのキャリア周波数を示す情報を端末装置20aに通知するようにしてもよい。この場合、この通知を受信した端末装置20aでは、グループ取得部221が、グループの識別情報と対応付けてグループ記憶部222に記憶させておき、キャリアアグリゲーション設定要求そのものは、グループの識別情報のみ、あるいは、キャリア周波数のみで構成される。
また、これらのキャリア周波数については、可能な限り互いに干渉しない周波数を選択することが望ましい。また、グループ間の送受信周波数間隔については、なるべく同じ値に設定するのが望ましい。また、本変形例だけではなく、上りリンクと下りリンクとの対応付けを行う際には、実際に送受信を行うときの周波数は干渉が少ないものになるように、対応付けなど設定しておくことが望ましい。例えば、対応付け情報を通知する場合には、周波数的に対応付け可能な組み合わせを予め対応付け候補として設定しておいて、その対応付け候補の中から選択して通知するようにすればよい。
なお、本実施形態および変形例において、端末装置20aの送信部および受信部の構成によっては、送受信周波数間隔に制限があったり、また、送信部、受信部によって使用可能な周波数が異なるなど、実際に送受信を行うときの周波数に制限があったりするときがある。あるいは、周波数的に対応付けが不可能な組み合わせも存在する場合もある。この場合には、グループ記憶部322が予め記憶し、基地局装置30aから事前に通知されるグループの候補の中から、端末装置20aが自装置で対応可能な組み合わせを選択して、予め基地局装置30aに通知しておけばよい。あるいは、予めシステムで決められている、または基地局装置30aから事前に通知されるキャリア周波数あるいはキャリア周波数間隔候補の中から、端末装置20aが対応可能なキャリア周波数あるいはキャリア周波数間隔を選択して、予め基地局装置30aに通知しておけばよい。
これらの端末装置20aが通知する端末装置情報については、基地局装置30aに自端末装置の通信能力を示すときの情報(LTEにおけるUE Capability)に含ませてもよい。さらには、基地局装置30aと端末装置20a間でネゴシエーションを行うことにより、上記パラメータを決定してもかまわない。なお、第1の実施形態においても、使用可能な対応付けやキャリア周波数などを端末装置20から基地局装置30に通知するようにしてもよい。
本変形例に示すように、グループ毎のキャリア周波数を基地局装置30aから設定することにより、端末装置20aは特に周波数設定を気にせずに、通知された周波数に送信部および受信部を設定して送受信が可能になるため、端末装置20aはさらに簡単化される。
また、本実施形態では、グループ記憶部322が記憶するグループの構成を示す情報を、グループ通知部321が、端末装置20aに、予め送付するとして説明したが、第1の実施形態と同様に、CA決定部311aが、グループ記憶部321が記憶するグループの中から使用するグループを選択し、該グループの構成を示す情報を、キャリアアグリゲーション設定要求として送信するようにしてもよい。
なお、例えば、図12のグループ番号3では、下りリンクおよび上りリンクともに複数のコンポーネントキャリアが存在するため、下りリンクの識別番号「1」のコンポーネントキャリアと上りリンクの識別番号「1」のコンポーネントキャリアとが対応付けられ、下りリンクの識別番号「2」のコンポーネントキャリアと上りリンクの識別番号「2」のコンポーネントキャリアとが対応付けられた組み合わせなのか、下りリンクの識別番号「1」のコンポーネントキャリアと上りリンクの識別番号「2」のコンポーネントキャリアとが対応付けられ、下りリンクの識別番号「2」のコンポーネントキャリアと上りリンクの識別番号「1」のコンポーネントキャリアとが対応付けられた組み合わせなのかが判断つかないが、識別番号の小さいもの同士組み合わせること、あるいは、周波数の低いもの同士組み合わせるなど、グループ内での対応付けの規則を予め決めておけばよい。あるいは、グループの構成を示す情報に、明確にどちらの組み合わせなのかを示す情報を含めるようにしてもよい。
以上は、キャリアアグリゲーションを行う時の例であるが、第1の実施形態と同様に、キャリアアグリゲーション変更や、ハンドオーバーについても、上述のキャリアアグリゲーション設定要求と同様の通知により可能となる。また、グループ番号あるいはキャリア周波数のみによる通知の場合には、オーバーヘッドの削減が期待できる。
また、本実施形態は、様々な対応付けのあるグループ分けになっているが、同じ対応付けに統一してグループ分けを行っても構わない。
また、本実施形態では、グループ内のコンポーネントキャリアは、隣接していると述べているが、必ずしも隣接する必要はない。また、端末装置を簡単化させるためにも同時に受信するグループ数については制限することが望ましい。
以上は伝搬路特性毎にグループ化を行った例であるが、対応付け毎にグループ化を行ってもよい。その場合の例が図17である。周波数バンドAは、既存のシステム(LTE)にて利用していた周波数バンドであり、下りリンクと上りリンクの1対1の対応付けの組み合わせが2グループ(グループG11、G12)存在している。また、周波数バンドBはLTE−Aの導入により拡張された新規の周波数バンドを示しており、下りリンクと上りリンクの1対1の対応付けの組み合わせが3グループ(グループG13、G14、G5)、下りリンクに3つのコンポーネントキャリアと、上りリンクに1つのコンポーネントキャリアの対応付けが1グループ(グループG6)、下りリンクに1つのコンポーネントキャリアと上りリンクに3つのコンポーネントキャリアの対応付けが1グループ(グループG7)存在している。
図18は、対応付け毎のグループから使用するものを選択する処理を示すフローチャート図である。この図が示す処理は、LTE−Aに対応している端末装置20aあるいはLETのみに対応している端末装置と、基地局装置30aとの間の通信が開始されるときに、キャリアアグリゲーションを行うための上りリンクおよび下りリンクのコンポーネントキャリアを基地局装置30aのCA決定部311aが決定する(グループを選択する)処理である。まず、基地局装置30aのCA決定部311aは、通信相手の端末装置が対応している通信システムがLTEであるのか、あるいはLTE−Aであるのかを示す端末対応通信システム情報を取得する(Sc1)。本情報は、端末装置が初期接続するときに端末装置能力を基地局装置30aに通知しているので、その情報から取得する。CA決定部311aは、取得した端末対応通信システム情報に基づき、通信相手の端末装置がLTE−Aに対応しているか否かを判定する(Sc2)。判定の結果、LTE−Aに対応していないとき(Sc2−No)、すなわちLTEの端末装置であるときは、周波数バンドAに割り当てられているグループG11もしくはグループG12を選択する(Sc10)。グループG11、G12のどちらを選択するかに関しては、品質の良好なグループ、あるいはトラフィック量の少ないグループを選択すればよい。
ステップSc2でのLTE−Aに対応しているか否かの判定の結果、LTE−Aに対応しているときは、CA決定部311aは、次に通信呼種(音声通信、TV電話通信、データ通信など)情報を取得する(Sc3)。ここでは簡単のため3つの呼種のみで説明する。通信呼種が音声通信であれば(Sc4−Yes)、CA決定部311aは、新規の周波数バンドBのグループG13、G14もしくはG15を選択する(Sc11)。グループG13、G14もしくはG15のうち、いずれを選択するかに関しては、上述と同様に品質やトラフィック量などから選択する。音声通信では、下りリンクおよび上りリンクともに1つのコンポーネントキャリアのみで十分であるため、このように、下りリンクと上りリンクとが1対1であるグループG13、G14もしくはG15で通信を行うことができ、リソースの有効活用、および端末装置20aの消費電流の削減が可能となる。
また、通信呼種がTV電話通信であれば(Sc5−Yes)、CA決定部311aは、新規の周波数バンドBのグループG13、G14およびG15を全て選択する(Sc14)。3つのグループを使用することにより、TV電話通信のような双方向の大容量ストリーム通信が可能となる。
また、音声通信でもTV電話通信でもないとき(Sc5−No)、すなわちデータ通信であるときには、CA決定部311aは、上りリンクおよび下りリンクのデータ量を取得し(Sc6)、これに基づきグループを選択する。
まず、CA決定部311aは、上りリンクおよび下りリンクのデータ量が小さい場合には(Sc7−Yes、かつ、Sc8−Yes)、音声通信の場合と同様に、新規の周波数バンドのG13、G14もしくはG15を選択する(Sc11)。ここで上りリンクのデータ量が小さいとは、上りリンクのデータ量が1つのコンポーネントキャリアのみの通信で十分なデータ量(Th_u)以下であること(Sc7−Yes)を意味し、下りリンクのデータ量が小さいとは、下りリンクのデータ量が1つのコンポーネントキャリアのみの通信で十分なデータ量(Th_d)以下であること(Sc8−Yes)を意味している。
また、上りリンクおよび下りリンクともにデータ量が大きい場合には(Sc9−No)、TV電話通信の場合と同様に、新規の周波数バンドBのグループG13、G14およびG15を全て使用して通信を行う(Sc14)。データ量が上りリンクのみ小さい場合には(Sc7−Yes、Sc8−No)、新規の周波数バンドBのグループG16を選択する(Sc12)。データ量が下りリンクのみ小さいときには(Sc7−No、Sc9−Yes)、新規の周波数バンドBのグループG17を選択する(Sc13)。これにより、上りリンクと下りリンクのデータ量に応じた数のコンポーネントキャリアを選択可能であるために、無線リソースの有効活用、および端末装置20aの消費電流の削減が可能となる。
ここで、グループG16およびG17のような対応付けは、それぞれ1グループずつしかないが、もちろん複数存在してもよく、その場合には上述と同様に、品質やトラフィック量などに基づき、選択する。なお、本実施形態では、LTE−Aの端末装置20aは、既存の周波数バンドAを利用しないようになっているが、音声通信の場合(Sc4−Yes)や通信容量が小さい場合(Sc8−Yes)には、ステップSc11にて、既存の周波数バンドAのグループG11、G12を選択可能なようにしてもよい。
また、本実施形態では、通信システム情報、通信呼種情報、上りリンクおよび下りリンクのデータ量から、グループを選択しているが、これらの内の1つあるいは2つの情報のみを利用してグループの選択を行ってもよい。
<第3の実施形態>
第2の実施形態では、上りリンクと下りリンクとの対応付けが予めシステムで決められており、これらを組み合わせて、キャリアアグリゲーションを行うコンポーネントキャリアのセットを決めた。これに対し、第3の実施形態では、予めシステムによりキャリアアグリゲーションを行うコンポーネントキャリアのセット(対応付けを含む)がCAパターンとして決まっている。
図19は、本実施形態におけるCAパターンの例を示す概念図である。本実施形態において、周波数バンドf3は、広帯域な周波数帯域が確保可能な周波数バンドである。周波数バンドf4〜f6は、中でも特に周波数バンドf5、f6は、周波数帯域の確保が困難な周波数バンドである。これら、周波数帯域の確保が困難な周波数バンドとしては、例えば既存の移動体通信システムで使用している周波数バンドなどがある。CAパターン1は、下りリンクおよび上りリンクのコンポーネントキャリアの全てが周波数軸上でそれぞれ隣接して配置されるパターンである。すなわち、CAパターン1は、下りリンクのコンポーネントキャリアDC31〜34と、上リンクのコンポーネントキャリアUC31、32とからなり、コンポーネントキャリアDC31、32とコンポーネントキャリアUC31とが対応付けられ、コンポーネントキャリアDC33、34とコンポーネントキャリアUC32とが対応付けられている。本実施形態におけるCAパターン1のサービス例としては、広帯域な周波数帯域が確保できる周波数バンドf3を利用したサービスがある。また、それぞれのコンポーネントキャリアの帯域幅は全て20MHzとなっている。このため、下りリンクの80MHzと、上りリンクの40MHzとが同時使用可能である。
CAパターン2は、周波数軸上でコンポーネントキャリア群が2つのセットに分けられて配置されるパターンである。すなわち、CAパターン2は、下りリンクのコンポーネントキャリアDC35、36と上りリンクのコンポーネントキャリアUC33とが対応付けられたセットと、下りリンクのコンポーネントキャリアDC37、38と上りリンクのコンポーネントキャリアUC34とが対応付けられたセットからなる。ただし、それぞれのセット内のコンポーネントキャリアは周波数軸上で隣接している。本実施形態におけるCAパターン2のサービス例としては、CAパターン1と同じく広帯域な周波数帯域が確保できる周波数バンドf3を利用したサービスがある。また、CAパターン1同様にそれぞれのコンポーネントキャリアの帯域幅は全て20MHzとなっている。このため、CAパターン1と同様に、下りリンクの80MHzと、上りリンクの40MHzとが同時使用可能である。
CAパターン3は、周波数軸上でコンポーネントキャリアが周波数バンド毎に分けられて配置されているパターンである。すなわち、CAパターン3は、周波数バンドf3については、下りリンクのコンポーネントキャリアDC39と上りリンクのコンポーネントキャリアUC35が対応付けられ、周波数バンドf4については、下りリンクのコンポーネントキャリアDC40と上りリンクのコンポーネントキャリアUC36が対応付けられ、周波数バンドf5については、下りリンクのコンポーネントキャリアDC41と上りリンクのコンポーネントキャリアUC37が対応付けられている。本実施形態におけるCAパターン3のサービス例としては、周波数バンドf4のコンポーネントキャリアの帯域幅は20MHz、周波数バンドf5およびf6のコンポーネントキャリアの帯域幅は10MHzとなっている。このため、下りリンクの40MHzと、上りリンクの40MHzとが同時使用可能である。
本実施形態における移動体通信システム10bは、端末装置20bと、基地局装置30bとを備え、図19の3パターンに対応する。すなわち、移動体通信システム10bにおいて使用可能なキャリアアグリゲーションは、3種類に限定されるため(使用周波数・帯域幅もシステムで限定)、システム情報としてシステムで対応しているCAパターンのみを通知(ブロードキャスト)すれば、端末装置20bは、キャリアアグリゲーション可能となる。
図20は、本実施形態における端末装置20bと基地局装置30bとの構成を示す概略ブロック図である。同図において、図3の各部に対応する部分には同じ符号を付し、説明を省略する。端末装置20bは、制御部21b、受信部22a、22b…、受信アンテナ23a、23b…、送信部24a、24b…、送信アンテナ25a、25b…を備える。制御部21bは、CA設定部211b、CA記憶部212、データ通信処理部213を備える。基地局装置30bは、制御部31b、受信部32a、32b…、受信アンテナ33a、33b…、送信部34a、34b…、送信アンテナ35a、35b…を備える。制御部31bは、CAパターン記憶部331、CAパターン通知部332、CA記憶部312、データ通信処理部313を備える。なお、図20では、端末装置20bを一つのみ示したが、基地局装置30bは、同時に複数の端末装置20bと無線通信を行なうことができる。
基地局装置30bのCAパターン記憶部331は、上述のCAパターン1〜3を識別するパターン番号と、該パターン番号のCAパターンの構成を示すパターン情報とを予め記憶する。CAパターン通知部332は、CAパターン記憶部331が記憶するCAパターンのパターン番号と、該パターン番号のパターン情報と、CA記憶部312が記憶するキャリアアグリゲーションに現在使用しているCAパターンのパターン番号とを、各送信部34a、34b…を用いて、各コンポーネントキャリアの報知情報としてブロードキャストする。なお、報知情報のブロードキャストは、全てのコンポーネントキャリアではなく、一部のコンポーネントキャリアのみで行ってもよい。端末装置20bのCA設定部211bは、セルサーチ後にいずれかの周波数バンドで同期がとれると、該周波数バンドにキャリア周波数が設定されている受信部を介して、CAパターン通知部332がブロードキャストした報知情報を受信する。さらに、CA設定部211bは、受信した報知情報から、現在使用されているCAパターンを取得し、該CAパターンのパターン情報をCA記憶部212に記憶させる。
図21は、本実施形態におけるセルサーチから高速パケット通信を行う場合の通信シーケンス図である。ただし、通信に関連のあるコンポーネントキャリアのみ記載している。まず、端末装置20bはセルサーチを行い(Sd1)、最初に同期のとれた周波数バンドf3の下りリンクのコンポーネントキャリアDC35を受信する。そのときに、CA設定部211bは、基地局装置30bのCAパターン通知部332が生成したパターン情報を含むシステム共通の報知情報をコンポーネントキャリアDC35より受信し(Sd2;パターン情報通知)、システムで対応している(サービスされている)CAパターンのパターン番号およびパターン情報(ここでは、基地局装置30bが対応しているパターン3つの情報)と、現在使用しているパターン番号とを取得する。
なお、1つのCAパターンにのみ対応している場合には、そのCAパターンの情報のみ通知すればよく、現在使用しているパターンを示す情報を伝送しなくてもよい。ここで、基地局装置30bおよび端末装置20bにおいて、パターン番号とそのパターン番号のCAパターンのパターン情報が、予め記憶されている場合には、CAパターン通知部332は、パターン情報を送信しなくてもよい。
ここでは、CA設定部211bは、現在使用しているパターンとしてCAパターン2のパターン番号を取得したとする。その後、待ち受け状態(DC35にキャンプオンしている状態)に入る(Sd3)。ただし、セルサーチ後の位置登録などの本発明に関連のないシーケンスは省略している。
待ち受け時(DC35にキャンプオンしている時)にパケット通信要求が発生した場合(Sd4)、まず、従来通りの方法(既存LTEでの通信接続方法等)で周波数バンドf3の下りリンクのコンポーネントキャリアDC35に対応づけられている上りリンクのコンポーネントキャリアである周波数バンドf3のコンポーネントキャリアUC33との通信接続を確立させる。その後に、データ通信処理部213は、CA記憶部212が記憶するパターン情報を参照して、コンポーネントキャリアUC33により、パケット接続要求信号を基地局装置30bに送信する(Sd5;パケット接続要求)。
基地局装置30bのデータ通信処理部313は、このパケット接続要求信号を受信すると、コンポーネントキャリアUC33に対応づけられているコンポーネントキャリアDC35を用いて、その応答であるパケット接続応答信号を送信する(Sd6;パケット接続応答)。端末装置20bは、CA記憶部212に記憶されているCAパターン2のキャリアアグリゲーションを行い、下りリンクのコンポーネントキャリアDC35、DC36と上りリンクのコンポーネントキャリアUC33とからなるセットと(Sd7;パケット通信確立)、下りリンクのコンポーネントキャリアDC37、DC38と上りリンクのコンポーネントキャリアUC34とからなるセットと(Sd8)で、パケット通信を確立する。これにより、複数のコンポーネントキャリアを用いた高速なパケット通信を確立することができる。
また、システムが上述したように複数のCAパターンに対応しており、CAパターンを切り替える場合には、個別の制御信号でパターン番号を通知してキャリアアグリゲーションを切り替えて通信を行うことも可能である。また、ハンドオーバー時にCAパターンの変更を行う場合には、ハンドオーバー時の通知パラメータ内に本パターン情報を含めるようにしてもよい。もちろん、システムにより予めパターン情報が番号付けにより規定されている場合には、パターン番号のみでもよい。
さらに、端末装置20bが受信する下りリンクのコンポーネントキャリアに対応して一意にCAパターンが決まる場合には、ハンドオーバー時に従来通りにハンドオーバー先の下りリンクのコンポーネントキャリアのみ通知すれば、それでCAパターンを一意に決定できるため、パターン情報を通知する必要はない。
以上より、システムにてCAパターンを規定しておくと、通信に必要なオーバーヘッドを大幅に小さくできる。
<第4の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態においても、第3の実施形態と同様に、図19に示すようなCAパターンを用いる。本実施形態における移動体通信システム10cは、端末装置20cと、基地局装置30cとを備える。図22は、本実施形態における端末装置20cと基地局装置30cとの構成を示す概略ブロック図である。同図において、図3の各部に対応する部分には同じ符号を付し、説明を省略する。
端末装置20cは、制御部21c、受信部22a、22b…、受信アンテナ23a、23b…、送信部24a、24b…、送信アンテナ25a、25b…を備える。制御部21cは、CAパターン取得部231、CAパターン記憶部232、CA設定部211c、CA記憶部212、データ通信処理部213を備える。基地局装置30cは、制御部31c、受信部32a、32b…、受信アンテナ33a、33b…、送信部34a、34b…、送信アンテナ35a、35b…を備える。制御部31cは、CAパターン通知部333、CAパターン記憶部334、CA決定部311c、CA記憶部312、データ通信処理部313を備える。なお、図22では、端末装置20cを一つのみ示したが、基地局装置30cは、同時に複数の端末装置20cと無線通信を行なうことができる。
基地局装置30cのCAパターン通知部333は、CAパターン記憶部334が記憶するCAパターンのパターン番号と、該パターン番号のパターン情報とを、各送信部34a、34b…を用いて、各コンポーネントキャリアの報知情報としてブロードキャストする。さらにCAパターン通知部333は、端末装置20cから該端末装置20cが使用可能なCAパターンのパターン番号を、受信部32a、32b…のいずれかを介して受信し、受信結果をCAパターン記憶部334に記憶させる。
CAパターン記憶部334は、当該基地局装置30cが使用可能なCAパターンのパターン番号と、該パターン番号のパターン情報とを予め記憶する。また、CAパターン記憶部334は、CAパターン通知部333が受信した端末装置20cが利用可能なCAパターンを、端末装置20cの識別情報と関連付けて記憶する。CA決定部311cは、CAパターン記憶部334が記憶する端末装置20cが利用可能なCAパターンの中から、使用するCAパターンを選択し、そのパターン番号をキャリアアグリゲーション設定要求として、端末装置20cに通知する。また、CA決定部311cは、選択したCAパターンのパターン情報を、CA記憶部312に記憶させる。
端末装置20cのCAパターン取得部231は、基地局装置30cがブロードキャストしたパターン番号と、該パターン番号のパターン情報とを、受信部22a、22b…のいずれかを介して受信し、受信結果をCAパターン記憶部232に記憶させる。CAパターン取得部231は、受信したパターン情報のうち、自装置で利用可能なパターン情報のパターン番号を、基地局装置30cに送信する。この送信には、送信部24a、24b…のうち、予め決められたものを用いるようにしてもよいし、パターン番号とパターン情報とを受信した受信部の周波数帯域に、受信したパターン情報により対応付けられている周波数帯域を割り当てられている送信部を用いるようにしてもよい。また、CAパターン取得部231は、受信したパターン情報が自装置で利用可能か否かを、該パターン情報において、自装置の受信部22a、22b…および送信部24a、24b…が対応可能な周波数帯域のみを用いているか否かに基づき判定する。
CAパターン記憶部232は、CAパターン取得部231が受信したCAパターンのパターン番号と、該パターン番号のパターン情報とを記憶する。
CA設定部211cは、基地局装置30cから受信したキャリアアグリゲーション設定要求を受信部22a、22b…のいずれかを介して受信し、該設定要求にて指定されたパターン番号のパターン情報をCAパターン記憶部232から読出し、CA記憶部212に記憶させる。
図23は、本実施形態におけるセルサーチから高速パケット通信を行う場合の通信シーケンス図である。ただし、図23には、通信に関連のあるキャリアコンポーネントのみ記載している。まず、端末装置20cは、受信部22aを用いてセルサーチを行い(Se1)、最初に同期のとれた周波数バンドf3の下りリンクのコンポーネントキャリアDC31を受信する。そのときに、端末装置20cは、システム共通の報知情報を、そのコンポーネントキャリアDC31より受信し、CAパターン取得部231は、この報知情報より、システムでサービス可能なCAパターンのパターン番号と、該パターン番号のパターン情報とを取得する(Se2;パターン情報)。ここでは、移動体通信システム10cは、図19に示す3つのパターンに対応しているとする。また、端末装置20cは、受信部22aを用いてセルサーチを行うとして説明したが、その他の受信部を用いるようにしてもよい。あるいは、セルサーチを行う周波数によって、受信部を変更するようにしてもよい。
次に、端末装置20cのCAパターン取得部231は、コンポーネントキャリアDC31に対応付けられている上りリンクのコンポーネントキャリアである周波数バンドf3のコンポーネントキャリアUC31により、該コンポーネントキャリアに対応する送信部を介して、報知情報より取得した対応パターン情報の中から、端末装置20cが使用可能なパターンを1つあるいは複数選択し、基地局装置30cに通知する。ここでは、端末装置20cは周波数バンドf3およびf4に対応しており、その2つの周波数バンドのみで対応可能なCAパターン1および2を選択し、これらのパターン番号を、端末利用可能CAパターン通知として、基地局装置30cに報告する(Se3;端末利用可能CAパターン通知)。この通知を受信した基地局装置30cのCAパターン通知部333は、該通知で指定されたパターン番号を、CAパターン記憶部334に記憶させる。その後、端末装置20cは、待ち受け状態に入る(Se4)。ただし、セルサーチ後の位置登録などの本発明に関連のないシーケンスは省略している。
端末装置20cにおいて、待ち受け時にパケット通信要求が発生した場合(Se5)、端末装置20cのデータ通信処理部213は、周波数バンドf3の上りリンクのコンポーネントキャリアUC31により、該コンポーネントキャリアに対応する送信部を介して、パケット接続要求信号を基地局装置30cに送信する(Se6;パケット接続要求)。基地局装置30cのデータ通信処理部313は、周波数バンドf3のDC31から、パケット接続応答信号を送信する(Se7;パケット接続応答)。続いて、基地局装置30cのCA決定部311cは、シーケンスSe3にて通知され、CAパターン記憶部334に記憶された端末装置20cが利用可能なCAパターンを考慮に入れて、使用するCAパターンを決定し、該CAパターンのパターン番号あるいはキャリア送受信周波数を、キャリアアグリゲーション設定要求として通知する(Se8;キャリアアグリゲーション設定要求)。端末装置20cのCA設定部211cは、個別に通知されたキャリアアグリゲーション設定要求、および予め報知情報により通知されたパターン情報が示す対応付けを基にキャリアアグリゲーションを行う。これにより高速なパケット通信が確立する(Se9、Se10)。
シーケンスSe8では、端末装置20cは、CAパターン3に対応していないため、CA決定部311cは、CAパターン1あるいは2を選択し、そのパターン番号をキャリアアグリゲーション設定要求として通知する、あるいは選択したCAパターンに応じたキャリア送受信周波数をキャリアアグリゲーション設定要求として通知する。また、ここでは、既に上りリンクと下りリンクの対応付けの情報は、報知情報に含まれるパターン情報にて、端末装置20cに予め通知されているため、キャリア送受信周波数を示す情報のみが通知されれば、端末装置20cのCA設定部211cは、CAパターンを特定することができる。なお、キャリア送受信周波数は、そのCAパターンを用いるときに、いずれかの送信部、受信部に設定すべき無線周波数であり、そのCAパターンを構成する同じ周波数バンドの上りリンク、あるいは、下りリンクのコンポーネントキャリアの中心周波数であってもよいし、いずれかのコンポーネントキャリアの中心周波数であってもよい。もちろん、前述しているが各コンポーネントキャリアの帯域幅の情報は必要である。
ただし、本実施形態では対応付けも予め決められた場合であるが、対応付け情報について端末装置20c個別に制御したい場合には、すなわち移動体通信システム10cが、端末装置20c個別に、上りリンクと下りリンクとの対応付けを変更する場合には、例えば上りリンクのコンポーネントキャリアを1つ、下りリンクのコンポーネントキャリアを4つ利用したい場合などには、シーケンスSe8で、同時に対応付け情報を個別に通知する。
以上より、シーケンスSe3にて、端末装置20cが使用可能なCAパターンを示す情報を通知することにより、端末装置20cの送受信部の構成に応じた通信が可能となる。
なお、第1から第3の実施形態のように、端末装置20cと基地局装置30cとの間で、CAパターンのパターン番号ではなく、グループ番号、キャリア周波数あるいは対応付け番号を用いて、使用可能な対応付けや、キャリアアグリゲーション設定要求を通知するようにしてもよい。
本実施形態では、第2の実施形態で述べた例を組み合わせて使用することが可能である。すなわち、本システムで使用するパターンが決まれば、そのパターンに応じたグループ化を用い、第2の実施形態で述べた通知方法の使用が可能である。
<第5の実施形態>
以上で述べた第1から第4の実施形態では、いずれもキャリアアグリゲーションを行うときの例である。例えばLTEシステムでは上りリンクのコンポーネントキャリアと、下りリンクのコンポーネントキャリアを1対1で用いて通信を行う。ここでは、このようなシステムの場合に、通信中に下りリンクのコンポーネントキャリアのみ変更する、あるいは上りリンクのコンポーネントキャリアのみ変更する場合の例を示す。
図24は、本実施形態における移動体通信システム10dが使用可能な上りリンクと下りリンクのコンポーネントキャリアの例である。各コンポーネントキャリアの帯域幅は20MHzである。上りリンクのコンポーネントキャリアUC41、UC42は、周波数方向に連続して配置されている。下りリンクのコンポーネントキャリアDC41、DC42、DC43、DC44も、周波数方向に連続して配置されている。コンポーネントキャリアUC41とDC42との中心周波数間隔およびコンポーネントキャリアUC2とDC3との中心周波数間隔はΔf MHzである。
移動体通信システム10dは、端末装置20dと基地局装置30dとを備える。図25は、端末装置20dと基地局装置30dとの構成を示す概略ブロック図である。同図において、図3の各部に対応する部分には同じ符号(22a〜25a、32a、32b…〜35a、35b…)を付し、説明を省略する。端末装置20dは、制御部21d、受信部22a、受信アンテナ23a、送信部24a、送信アンテナ25aを備える。制御図21dは、CC(コンポーネントキャリア)設定部241、データ通信処理部213dを備える。基地局装置30dは、制御部31d、受信部32a、32b…、受信アンテナ33a、33b…、送信部34a、34b…、送信アンテナ35a、35b…を備える。制御部31dは、CC決定部341、CC記憶部342、データ通信処理部313dを備える。なお、図25では、端末装置20dを一つのみ示したが、基地局装置30dは、同時に複数の端末装置20dと無線通信を行なうことができる。
CC決定部341は、各コンポーネントキャリアの伝搬路品質、トラフィック量に応じて、端末装置20dとの通信に使用するコンポーネントキャリアの変更を決定し、送信部34a、34b…のうち、通信に使用しているコンポーネントキャリアに応じた送信部を用いて、変更後に使用するコンポーネントキャリアを識別する情報を、コンポーネントキャリア設定要求として通知する。さらに、CC決定部341は、通知したコンポーネントキャリアを識別する情報を、端末装置20dを識別する情報と関連付けて、CC記憶部342に記憶させる。CC記憶部342は、端末装置20dを識別する情報と関連付けて、通信に使用する上りリンクおよび下りリンクのコンポーネントキャリアを識別する情報を記憶する。データ通信処理部313dは、CC記憶部342が記憶する端末装置20dを識別する情報と、コンポーネントキャリアを識別する情報とを読み出し、これらの情報に従い、端末装置20dとのデータ通信を行う。すなわち、該端末装置20dを識別する情報と関連付けられたコンポーネントキャリアを用いて、該コンポーネントキャリアに応じた送信部および受信部を介して、通信を行なう。
CC設定部241は、受信部22aを介して、基地局装置30dから送信されたコンポーネントキャリア設定要求を受信し、受信したコンポーネントキャリア設定要求が識別するコンポーネントキャリアに合わせて、受信部22aまたは送信部24aのキャリア周波数の設定を変更する。データ通信処理部213dは、受信部22aまたは送信部24aを介して、基地局装置30dとデータ通信を行う。
図26は、通信中に下りリンクのコンポーネントキャリアのみ変更するときの通信シーケンス図を示している。端末装置20dは、最初上りリンクのコンポーネントキャリアUC41と下りリンクのコンポーネントキャリアDC42で、基地局装置30dと通信を行っている(Sf1、Sf2)。先に図24を参照して説明したように、このときの送受信周波数間隔はΔf MHzである。その後、コンポーネントキャリアDC42のトラフィック量が多くなり、あるいは伝搬路品質が劣化し(Sf3)、基地局装置30dは、下りリンクのポーネントキャリアDC42からDC41に変更するために、すなわち第1から第4の実施形態で述べたキャリアアグリゲーション設定要求のいずれかと同じフォーマットのコンポーネントキャリア設定要求を利用して、下りリンクのコンポーネントキャリアDC41への変更通知を行う(Sf4;DC41への変更通知、コンポーネントキャリア設定要求)。端末装置は通知された情報を基に、コンポーネントキャリアDC41へのキャリア変更を行い、さらに送受信間隔をΔf−20MHzに変更する(Sf5)。
これにより、コンポーネントキャリアDC41とコンポーネントキャリアUC41の通信が確立する(Sf6;通信確立(送受信周波数間隔Δf−20MHz)。このようにすることで、コンポーネントキャリアDC42からDC41への変更が可能となる。UCのみ変更する場合もDCのみ変更する場合と同様の方法で変更可能である。
以上より、上記のような上りリンクおよび下りリンクのコンポーネントキャリアを1つずつ用いて通信を行う移動体通信システムにおいても、第1から第4の実施形態で述べたときと同じフォーマットのCA送受信周波数および関連付け情報通知信号を利用して、通信中に下りリンクのコンポーネントキャリアのみ変更する、あるいはのぼりリンクのコンポーネントキャリアのみ変更することが可能となる。
また、図3における制御部21、制御部31、および図11における制御部21a、制御部31a、および図20における制御部21b、制御部31b、および図22における制御部21c、制御部31c、および図25における制御部21d、制御部31dの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
(1)本発明の一態様は、複数の周波数帯域の中から選択した周波数帯域を使用して、端末装置と基地局装置とが通信する無線通信システムであって、前記基地局装置は、前記複数の周波数帯域の中から、前記端末装置との通信に用いる周波数帯域として、下りリンクに用いる周波数帯域と、上りリンクに用いる周波数帯域とを選択し、選択した該周波数帯域の中で、下りリンクに用いる周波数帯域と、上りリンクに用いる周波数帯域との対応付けを選択し、前記選択した周波数帯域を示す情報および前記対応付けの識別情報を含んだ前記対応付けを示す情報を端末個別の信号にて送信する、無線通信システムである。
(2)また、本発明の他の態様は、上述の無線通信システムであって、前記下りリンクに用いる周波数帯域と、上りリンクに用いる周波数帯域との対応付けが、予め決められており、前記対応付けの識別情報を送信することで、前記選択した周波数帯域を示す情報および前記対応付けを示す情報を送信する。
(3)また、本発明の他の態様は、上述の無線通信システムであって、前記端末装置は、前記下りリンクに用いる周波数帯域と、前記上りリンクに用いる周波数帯域との対応付けのうち、当該端末装置にて使用可能な対応付けを示す情報を、前記基地局装置に送信する。
(4)また、本発明の他の態様は、上述の無線通信システムであって、前記基地局装置は、前記端末装置との通信中に、前記複数の周波数帯域の中から、前記通信中の端末装置との通信に用いる周波数帯域として、下りリンクに用いる周波数帯域と、上りリンクに用いる周波数帯域とを改めて選択し、選択した該周波数帯域の中で、下りリンクに用いる周波数帯域と、上りリンクに用いる周波数帯域との対応付けを選択し、前記選択した周波数帯域を示す情報および前記対応付けを示す情報を、端末個別の信号にて送信する。
(5)また、本発明の他の態様は、上述の無線通信システムであって、前記基地局装置は、前記対応を示す情報を、前記基地局装置および前記端末装置間で予め決められた周波数帯域を用いて送信する。
(6)また、本発明の他の態様は、上述の無線通信システムであって、前記基地局装置は、下りリンクに用いる周波数帯域と、上りリンクに用いる周波数帯域とからなるグループであって、下りリンクと上りリンクとの対応付けが決められている複数のグループの中から、前記端末装置との通信に用いるグループを選択し、該グループを示す情報を、前記選択した周波数帯域を示す情報および前記対応を示す情報として、端末個別の信号にて送信する。
(7)また、本発明の他の態様は、上述の無線通信システムであって、前記端末装置は、前記グループを識別するグループ識別情報と、該グループを構成する下りリンクに用いる周波数帯域および上りリンクに用いる周波数帯域を示す情報と、下りリンクと上りリンクとの対応付けを示す情報とを関連付けて、予め記憶し、前記基地局装置が送信するグループを示す情報は、該グループを識別するグループ識別情報である。
(8)また、本発明の他の態様は、上述の無線通信システムであって、前記グループを示す情報は、該グループに属する周波数帯域の信号を前記端末装置が受信するために前記端末装置に設定するキャリア周波数と、前記グループに属する周波数帯域の信号を該端末装置が送信するために前記端末装置に設定するキャリア周波数とを示す情報を含む。
(9)また、本発明の他の態様は、上述の無線通信システムであって、前記端末装置は、当該端末装置において使用可能な前記キャリア周波数の組み合わせを示す情報を、前記基地局装置に送信し、前記基地局装置は、前記端末装置から受信した情報が示す前記使用可能な前記キャリア周波数の組み合わせの中から、該端末装置との通信に用いるキャリア周波数の組み合わせを選択する。
(10)また、本発明の他の態様は、上述の無線通信システムであって、前記基地局装置は、前記端末装置が同時使用可能な下りリンクに用いる周波数帯域および上りリンクに用いる周波数帯域からなるCAパターンであって、下りリンクと上りリンクとの対応付けが決められている複数のCAパターンの中から、前記端末装置との通信に用いるCAパターンを選択し、該CAパターンを示す情報を、前記選択した周波数帯域を示す情報および前記対応を示す情報として、端末個別の信号にて送信する。
(11)また、本発明の他の態様は、上述の無線通信システムであって、前記端末装置は、前記CAパターンを識別するパターン識別情報と、該CAパターンを構成する下りリンクに用いる周波数帯域および上りリンクに用いる周波数帯域を示す情報と、下りリンクと上りリンクとの対応付けを示す情報とを関連付けて、予め記憶し、前記基地局装置が送信するCAパターンを示す情報は、該CAパターンを識別するCAパターン識別情報である。
(12)また、本発明の他の態様は、上述の無線通信システムであって、前記CAパターンは下りリンクに用いる周波数帯域に対して一意に決まる。
(13)また、本発明の他の態様は、上述の無線通信システムであって、前記端末装置は、当該端末装置において使用可能な前記CAパターンを示す情報を、前記基地局装置に送信し、前記基地局装置は、前記端末装置から受信した情報が示す前記使用可能な前記CAパターンの中から、該端末装置との通信に用いるキャリア周波数の組み合わせを選択する。
(14)また、本発明の他の態様は、上述の無線通信システムであって、前記基地局装置は、前記端末装置との通信に用いる前記グループを選択する際に、通信を行う上りリンクの周波数帯域および下りリンクの周波数帯域の通信容量、前記端末装置に提供するサービス、あるいは前記端末装置のバージョンのうち、少なくとも1つに基づき選択する。
(15)また、本発明の他の態様は、上述の無線通信システムであって、前記基地局装置は、前記端末装置との通信に用いる前記CAパターンを選択する際に、通信を行う上りリンクの周波数帯域および下りリンクの周波数帯域の通信容量、前記端末装置に提供するサービス、あるいは前記端末装置のバージョンのうち、少なくとも1つに基づき選択する。
(16)また、本発明の他の態様は、上述の無線通信システムであって、前記端末装置は、1つの上りリンクの周波数帯域および1つの下りリンクの周波数帯域を使用して通信を行い、前記基地局装置は、上りリンクの周波数帯域あるいは下りリンクの周波数帯域どちらか一方を変更するときに、前記対応を示す情報を通知する。