JP5666884B2 - テープリールおよびテープカートリッジ - Google Patents

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Description

本発明は、磁気テープが巻回されるテープリールおよびそれが収容されたテープカートリッジに関するものである。
従来より、磁気テープが巻回されるテープリールとして、例えば特許文献1に開示されているように、円筒状のハブと該ハブの両端に形成された上下フランジとを備えたものが知られている。そして、ハブとフランジ(下フランジ)とは樹脂材料で一体成型されている。このようなテープリールでは、テープの巻き圧によってハブが変形し、この変形によって使用中にフランジが磁気テープに接触してテープエッジが損傷するという問題があった。また、落下時の衝撃によるフランジ等の変形や割れを防止する必要がある。そこで、特許文献1のようなテープリールでは、テープの巻き圧による変形を防止するために、ハブ等の樹脂材料にカーボン繊維やガラス繊維などの補強剤を混入して、ハブやフランジの剛性を高めるようにしている。
特開2005−259304号公報
ところで、上記特許文献1のテープリールのように、ガラス繊維などの補強剤を含んだ樹脂材料で成形したものでは、LTM(Lateral Tape Motion)と呼ばれるテープの幅方向の走行位置変動が一部悪化するということが分かった。
具体的には、補強剤を含む樹脂材料で成形されたフランジの表面は補強剤が露出して凹凸状となり粗くなりやすい。そのため、走行するテープのエッジがフランジ内面の凸部に当たり、これによってテープの幅方向の走行位置が著しく変動してしまう。そうすると、信号を記録または再生する磁気ヘッド付近までこのテープの幅方向変動が伝わり、サーボ信号による制御を行っていてもトラッキングずれが生じて、トラッキング精度が低下してしまう。なお、ドライブ装置にはテープの幅方向変動に追従するためのサーボ信号が記録されており、テープの幅方向変動が緩やかな場合にはその変動に磁気ヘッドが追従するが、上述したフランジ内面の接触による変動の場合、その変動はフランジ内面の凹凸形状に対応してある程度発生することから、その変動周波数が高く、サーボトラッキングシステムでは磁気ヘッドが十分に追従しきれなくなる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い剛性を確保しつつ、テープの幅方向の走行位置変動(即ち、LTM)を抑制できるテープリールおよびそれを備えたテープカートリッジを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明では、テープリールにおいて磁気テープのエッジが当たるフランジ内面の表面粗さを所定範囲に規定するようにした。
具体的に、第1の発明のテープリールは、円筒状のハブと、該ハブの軸方向両端に形成された上フランジおよび下フランジとを備え、前記ハブに磁気テープが巻回されるものを前提としている。そして、前記ハブと前記両フランジの少なくとも一方は、補強用フィラーを含有する樹脂材料の成型体でなり、前記成型体でなるフランジの内面の表面粗さRaは、0.001μm以上0.200μm以下である。
上記第1の発明のものは、フランジがハブの両側に形成される両フランジ型のテープリールである。このテープリールでは、少なくとも一方のフランジ、即ち磁気テープのエッジが当たる側のフランジと、ハブが補強用フィラー入りの樹脂材料で成型されているため、そのフランジおよびハブの剛性が確保される。そして、磁気テープのエッジが当たる側のフランジの内面(成型体の表面)の表面粗さRaを所定範囲(0.001μm以上0.200μm以下)に規定しているため、図4等に示すように、PES(Position ErrorSignal)の値が低く抑えられる。このPESの値は、サーボ信号の位置誤差信号であり、テープの幅方向の走行位置変動(即ち、LTM)が小さいほど低い値となる。したがって、フランジの内面の表面粗さRaを上記所定範囲にすることで、テープの幅方向の走行位置変動が抑制されることが分かる。
第2の発明のテープリールは、円筒状のハブと、該ハブの軸方向片側端のみに形成されたフランジとを備え、前記ハブに磁気テープが巻回されるものである。そして、前記ハブと前記フランジは、補強用フィラーを含有する樹脂材料の成型体でなり、前記成型体でなるフランジの内面の表面粗さRaは、0.001μm以上0.200μm以下である。
上記第2の発明のものは、フランジがハブの片側だけに形成される片フランジ型のテープリールである。このテープリールでは、フランジとハブが補強用フィラー入りの樹脂材料で成型されているため、そのフランジおよびハブの剛性が確保される。そして、磁気テープのエッジが当たる側のフランジの内面(成型体の表面)の表面粗さRaを所定範囲(0.001μm以上0.200μm以下)に規定しているため、図4等に示すように、PES(Position Error Signal)の値が低く抑えられる。このPESの値は、サーボ信号の位置誤差信号であり、テープの幅方向の走行位置変動(即ち、LTM)が小さいほど低い値となる。したがって、フランジの内面の表面粗さRaを上記所定範囲にすることで、テープの幅方向の走行位置変動が抑制されることが分かる。
なお、上記第1および第2の発明に係る「補強用フィラー」とは、ガラス繊維やカーボン繊維などの繊維材であり、樹脂材料の成型体の剛性や強度を高めるために混合される繊維材を意図する。
第3の発明のテープリールは、上記第1または第2の発明において、前記補強用フィラーを含有する樹脂材料の成型体でなるフランジは、曲げ弾性率が3,300MPa以上15,200MPa未満である。
上記第3の発明では、成型体からなるフランジの曲げ弾性率を所定範囲に規定しているため、図10等に示すように、そのフランジの保存後変形量が低く抑えられる。フランジの保存後変形量とは、図12に示すように磁気テープを巻回した状態で一定時間放置した後のフランジ(上フランジ)の高さ変化量であり、この値が大きいほど磁気テープのエッジがフランジの内面により強く当たることとなり、これにより、テープのエッジダメージが発生してエラーレートの悪化につながる。本発明では、フランジの曲げ弾性率を上記所定範囲にすることで、フランジの保存後変形量が低く抑えられ、磁気テープを正常に(エッジの変形が無く)巻き取りまたは巻き出しできるようになる。
第4の発明のテープリールは、上記第1または第2の発明において、前記補強用フィラーを含有する樹脂材料の成型体でなるフランジは、その外周部の全周における最大振れ量が70μm以下である。
上記第4の発明では、成型体からなるフランジの外周部の最大振れ量(フランジ外周部の全周における高さ方向の最大偏差)を所定値以下としているため、図7等に示すように、PESの値が低く抑えられる。
第5の発明のテープカートリッジは、第1乃至第4のいずれか1の発明に記載のテープリールが収容されたケーシングを備えているものである。
上記第5の発明では、保存によるリール変形量が小さく且つPESが低く抑えられるテープカートリッジが提供される。
以上説明したように、本発明によれば、所定のリール剛性を確保することで保存によるリール変形量を小さくしつつ、テープの幅方向の走行位置変動ひいてはPESを抑制し得るテープリールおよびテープカートリッジを提供することができる。これにより、トラッキングずれやトラッキング精度の悪化を抑制することができる。
図1は、実施形態に係る磁気テープカートリッジを示す分解斜視図である。 図2は、実施形態に係るテープリールを示す図であって、(A)は全体の斜視図、(B)は部分断面図をそれぞれ示す。 図3は、カーバチャーの測定法を説明するための図である。 図4は、フランジ内面の表面粗さRaとPESとの関係を示すグラフである。 図5は、フランジ内面の表面粗さRaとPES-hとの関係を示すグラフである。 図6は、フランジ内側の表面を示す図であって、(A)は従来例のもの、(B)は実施形態に係るものをそれぞれ示す。 図7は、フランジの外周部の振れ量とPESとの関係を示すグラフである。 図8は、フランジの外周部の振れ量とPES-hとの関係を示すグラフである。 図9は、フランジの外周部および内周部の振れ量を示す図である。 図10は、曲げ弾性率と保存後変形量との関係を示すグラフである。 図11は、フランジの保存前における状態を示す断面図である。 図12は、フランジの保存後における状態を示す断面図である。 図13は、実施形態に係る射出成形用金型の図14のI−I線における縦断面図である。 図14は、固定側型板を示す図であって、(A)は正面図、(B)は下面図、(C)は背面図をそれぞれ示す。 図15は、固定側型板の図14のIII−III線における断面図である。 図16は、流路形成プレートを示す下面図である。 図17は、固定側入れ子を示す図であって、(A)は平面図、(B)は(A)におけるI−I線断面図をそれぞれ示す。 図18は、断熱板を示す図であって、(A)は平面図、(B)は(A)におけるII−II線断面図をそれぞれ示す。 図19は、冷媒流路と溝との位置関係を説明するための図である。 図20は、ヒートサイクル成形のタイムチャートであって、(A)は工程、(B)は高温冷媒流路を流通する冷媒、(C)は固定側入れ子の温度、(D)は低温冷媒流路を流通する冷媒、(E)は型板本体等の温度をそれぞれ示す。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
−カートリッジの全体構成−
本実施形態に係る磁気テープカートリッジ1(以下、単にカートリッジ1という。)の全体構成について説明する。このカートリッジ1は、例えば、電子計算機に記録された記録データをバックアップするためのストレージデバイスとして使用されるLTO(Linear Tape Open)規格に準拠した1リール(単一リール)型のカートリッジ式情報記録媒体である。
図1に示すように、カートリッジ1は、ケーシング2、本発明に係るテープリール3、磁気テープ(図示省略)、ロック解除具4、リール押え5、ばね6、カートリッジメモリ14およびライトプロテクトプラグ15を備えている。このカートリッジ1が本発明に係るテープカートリッジを構成する。
ケーシング2は、扁平な直方体に形成されていて、合成樹脂製の下ケース11と上ケース12との分割構造になっている。これらの下ケース11および上ケース12は、それぞれ、平面視正方形状の浅皿状に形成されている。上ケース12の天板内面には、その略中央において、断面十文字状のガイド突起(図示省略)が下方に突出するように形成されている。下ケース11と上ケース12とは、ネジで締結されている。ケーシング2の内部には、テープリール3が収容されている。下ケース11の底板には、その略中央において、テープリール3の被駆動ギア(図示省略)を外部に露出させるためのギア開口11dが形成されている。
また、ケーシング2には、その四隅のうちの一箇所に、テープリール3に巻回された磁気テープを外部に引き出すためのテープ引出口11aが形成されている。このテープ引出口11aは、薄板状の蓋13によって開閉可能に塞がれている。蓋13は、ばね13aを介して、テープ引出口11aを閉じる方向へ付勢されている。
さらに、ケーシング2の四隅のうちの別の箇所には、円弧状のリブによって区画されたメモリ収容部11bが形成されている。このメモリ収容部11bには、カートリッジメモリ14が収容される。カートリッジメモリ14は、カートリッジ1の製造情報や使用履歴情報、磁気テープのパーテーション情報などを記憶するようになっている。
また、ケーシング2の四隅のうちのさらに別の箇所には、平板状のリブによって区画されたプラグ収容部11cが形成されている。このプラグ収容部11cには、ライトプロテクトプラグ15が収容される。ライトプロテクトプラグ15は、カートリッジ1に記録されているデータの誤消去を防止するためのものである。ライトプロテクトプラグ15は、データ消去許容位置とデータ消去禁止位置との間でスライド移動可能にプラグ収容部11cに収容されている。
テープリール3は、円筒状のハブ21と、該ハブ21の軸方向両端に形成された一対の上フランジ22および下フランジ23と、該下フランジ23に取り付けられた金属製の吸着板24とを有している。つまり、本実施形態のテープリール3は、ハブ21の上端に上フランジ22が鍔状に設けられ、ハブ21の下端に下フランジ23が鍔状に設けられており、いわゆる両フランジ型のものである。
ハブ21は、上端側(即ち、上フランジ側)が開口する一方、下端側(即ち、下フランジ側)が閉塞する有底円筒状に形成されている。このハブ21の外周面に、磁気テープが巻回されている。
ハブ21の底壁上面(内面)には、3つの円弧状のリブ21b(図1では、1つだけ図示)が、互いに間隔を空けて同一円周上に並んだ状態で突設されている。これらリブ21bの上面には、被ロックギア21aが形成されている。ハブ21の底壁には、隣接するリブ21bの間の部分、即ちリブ21bが設けられていない部分の、径方向外側には、ロック解除具4の後述する爪部18が嵌合する開口(図示省略)が貫通形成されている。
また、ハブ21の底壁下面(外面)の中央には、吸着板24が取り付けられている。さらに、ハブ21の底壁下面の外周縁には、被駆動ギア(図示省略)が環状に形成されている。なお、前記開口は、底壁のうち被駆動ギアが形成されている部分に開口している。つまり、被駆動ギアの歯に混ざって、ロック解除具4の爪部18が開口からハブ21の底壁下面に突出することになる。
また、テープリール3においては、被駆動ギアおよび吸着板24が下ケース11のギア開口11dからケーシング2の外部に露出している。カートリッジ1をテープドライブに装填したときには、吸着板24がテープドライブのモータの駆動軸に磁気吸着され、被駆動ギアに該駆動軸の駆動ギアが噛合するようになっている。
リール押え5は、上向きに開口する扁平な有底筒状をしており、その外径は、テープリール3のハブ21の内径よりも小さく設定されている。このリール押え5は、該ハブ21内に配設される。また、リール押え5の底壁上面(内面)の中央には、4個の断面L字状のリブ19が突設されていて、これら4つのリブ19により十文字状のスライド溝20が形成されている。このスライド溝20は、上ケース12のガイド突起(図示省略)と同様の形状をしていて、該ガイド突起に対して上下方向にスライド移動可能でかつ相対回転不能に係合している。また、リール押え5の底壁下面(外面)には、ロックギア(図示省略)が形成されている。このロックギアは、テープリール3のハブ21の被ロックギア21aに噛合するように形成されている。
ばね6は、コイルばねであって、その内径は、上ケース12のガイド突起およびリール押え5のリブ19を外周から囲む程度の値に設定されている。即ち、ばね6は、上ケース12とリール押え5との間において、ガイド突起とリブ19とを外周から囲むように配置されている。このばね6は、下ケース11と上ケース12とが接合されることによって収縮変形して、リール押え5を下側(テープリール3側)に付勢するようになっている。
こうして下側に付勢されるリール押え5は、そのロックギアをテープリール3の被ロックギア21aに噛合させた状態で、該テープリール3を下側に押圧する。このとき、リール押え5は、各リブ19が上ケース12のガイド突起に係合して、上ケース12に対して回転不能な状態となっているため、被ロックギア21aがリール押え5のロックギアに噛合しているテープリール3も回転不能な状態となっている。カートリッジ1は、非駆動時には、この状態となっている。
ロック解除具4は、本体16と、該本体16から放射状に延びた3つの腕部17とを有している。各腕部17の先端には、屈曲して下方に延びる爪部18が形成されている。リール押え5のロックギアがハブ21の被ロックギア21aに噛合している状態においては、該リール押え5とハブ21の底壁との間には隙間が形成されており、ロック解除具4は、このハブ21の底壁とリール押え5との隙間に配設されている。このとき、ロック解除具4の各腕部17は、ハブ21の底壁上面のリブ21bとリブとの間を延びて、爪部18がハブ21の底壁の開口に嵌っている。ロック解除具4は、カートリッジ1の非駆動時には、この状態となっていて、リール押え5のロックギアとハブ21の被ロックギア21aとの噛合状態に影響を与えることはない。一方、カートリッジ1がテープドライブに装填されたとき、即ち、駆動時には、ロック解除具4は上方に押し上げられるようになっている。上方に押し上げられたロック解除具4は、さらに、リール押え5をばね6の付勢力に抗して押し上げるようになっている。リール押え5が押し上げられると、該リール押え5のロックギアとハブ21の被ロックギア21aとの噛合が解除され、テープリール3の回転が許容されるようになっている。
−テープリールの詳細構成−
上述したテープリール3の詳細な構成について図2〜図12を参照しながら説明する。このテープリール3は、ハブ21、上フランジ22および下フランジ23が、合成樹脂で射出成形されてなるものである。この合成樹脂には、補強用フィラーとしてガラスフィラーが含有(添加)されている。補強用フィラーが含有されることにより、成形体であるハブ21や上フランジ22、下フランジ23の剛性、強度が高められる。さらに詳しくは、ハブ21と下フランジ23とは一体成形されている。そして、下フランジ23と一体成形されたハブ21の上端に、上フランジ22が超音波溶着されている。上述した射出成形方法の詳細については後述する。
図2に示すように、テープリール3において、磁気テープはそのエッジがフランジ22,23の内面22a,23aに接触しながら走行する。実際には、磁気テープのカーバチャーの特性によって何れか一方のフランジ22,23のみに磁気テープのエッジが当たる。ここで、磁気テープが当たる側のフランジ22,23の内面22a,23a、即ちフランジ22,23の内側の成形面が粗いと、テープの幅方向の走行位置変動(以下、LTMという。)が著しく悪化し、PESの値が著しく高くなってしまう。
そこで、本実施形態のテープリール3では、上フランジ22および下フランジ23の少なくとも一方の内面22a,23a(即ち、内側の成形面)の表面粗さRaが、0.001μm以上0.200μm以下に規定されている。つまり、少なくとも磁気テープのエッジが当たる側のフランジ22,23の内面22a,23aの表面粗さRaが上記所定範囲となっている。これにより、フランジ22,23の剛性を確保しつつ、LTMひいてはPESの値を従来より低く抑えることができる。また、テープリール3のフランジ22,23は、曲げ弾性率が3,300MPa以上15,200MPa未満に規定されている。そのため、後述するフランジ22,23の保存後変形量を小さくすることができる。また、テープリール3のフランジ22,23の外周部の振れ量(フレ量)は70μm以下に規定されている。これにより、LTMひいてはPESの値をより低くすることができる。
《実験結果による評価》
図4、図5、図7、図8および図10に示す実験結果に基づいて、テープリール3(フランジ22,23)の評価を行う。これら図4等は、テープリール3に係るパラメータの関係について実験した結果をグラフ化したものである。
本実験で用いたテープリールは、ポリカーボネート樹脂にガラスフィラーを添加した樹脂材料をヒートサイクル成型によって成型したものである。また、本実験では、確認したい側のフランジに磁気テープのエッジが当たるように磁気テープのカーバチャーを考慮して行った。例えば、上フランジ22の内面22aに磁気テープのエッジが当たるようにしたい場合は、カーバチャーがマイナスの値となる磁気テープを選択する。下フランジ23の内面23aに磁気テープのエッジが当たるようにしたい場合は、カーバチャーがプラスの値となる磁気テープを選択する。また、カーバチャーの測定方法について図3を参照しながら説明する。長さL=1m以上の磁気テープを平坦な面に自然な状態で置き、そのときの平坦な面からのズレdをmm単位で測定する。そして、下エッジに凸となる場合をマイナスの符号を付けて表し、上エッジに凸となる場合はプラスの符号を付けて表す。
〈フランジ内面の表面粗さRa〉
図4に示すとおり、フランジの内面(成型面)の表面粗さRaが0.001μm以上0.200μm以下であれば、PESが低い値(0.1未満の値)になっている。具体的に、表面粗さRaの上限値として0.200μm以下であればPESの値が0.1を超えない。また、表面粗さRaの下限値は、小さいほどLTMが抑制されPESの値は低くなるため、0.001μmとしたが実質的には0.000μmより高い値を意図する。以上のように、フィラーが添加された樹脂材料で成型したテープリール3において、フランジ22,23の内面22a,23aの表面粗さRaを0.001μm以上0.200以下に規定することで、所定の剛性を確保しつつ、LTMひいてはPESの値を従来よりも低くすることができる。その結果、トラッキングずれを抑制でき、トラッキング精度を向上させることができる。なお、磁気テープのカーバチャーによって磁気テープが当たる側のフランジ22,23のみを上記所定範囲の表面粗さRaにすればよいが、通常は上下両方のフランジ22,23を上記所定範囲の表面粗さRaに規定する方が量産レベルでは有効である。
また、図5に示すとおり、フランジの内面(成型面)の表面粗さRaが0.200μm以下であれば、PES-hの値を低い値(0.058未満の値)にすることができる。PES-hとは、500Hz以上の成分におけるサーボ信号の位置誤差信号である。ここで、フランジの振れは小さいがフランジの表面粗さRaが粗い場合は、サーボ信号の周波数の低域の割合が低く高域の割合が高くなり、逆にフランジの振れは大きいがフランジの表面粗さRaが小さい場合は、サーボ信号の周波数の低域の割合が高く高域の割合が低くなる。例えば、周波数が500Hz以上の割合は、前者の場合で高くなり後者の場合で低くなる。したがって、PESの値では差異がなくても、500Hz以上の成分ではPES-hの値が低くなる場合がある。よって、PESの値が目標値(0.1)を超えていても、将来的にドライブにおけるサーボヘッドの追従性が向上してPES-hの値が低い場合には問題ないといえる。つまり、最終的に、PES-hの値が目標範囲内(0.058未満)であれば問題ない。よって、フランジの内面の表面粗さRaを0.001μm以上0.200μm以下に規定することはトラッキングずれの抑制に有効である。なお、500Hzは、将来的にこの値までサーボヘッドが追従するであろう値である。
また、本実施形態のテープリール3よれば、例えば、フランジの内面に滑性皮膜を形成したり、フランジの内面にライナーシートを貼り付けて、フランジ内面を平滑化するといった対策を採らなくても、LTMを抑制することができる。このように、本実施形態のテープリール3は、表面処理や後処理を行う必要がないので、生産効率を低下させずにすむ。
また、図に示すように、本実施形態のフランジ22,23の内面22a,23aは、外観上において従来のものと明確に区別することができる。図は、フランジ内面の中央部付近を撮影した微分干渉顕微鏡写真である。図(A)に示すように、従来のものは明らかに表面にフィラーが浮き出して表面が凹凸状となっているのが分かる。一方、図(B)に示すように、本実施形態のものはフィラーを包み込むように成型されており表面の凹凸程度が小さいことが分かる。また、このように微分干渉顕微鏡でフランジ内面を観察することで、どのようなフィラーが添加された樹脂であるかを概略見分けることができる。
〈フランジの外周部の振れ量〉
図7に示すとおり、フランジ22,23の外周部の振れ量が70μm以下であれば、PESが低い値(0.1未満の値)になっているのが分かる。また、図8に示すとおり、PES-hの値に関しては、フランジの外周部の振れ量に対して僅かな変化はあるものの振れ量に対しては影響を受けにくいことが分かる。したがって、フランジ22,23の外周部の振れ量を70μm以下に規定することで、PESの値を低くすることができ、トラッキングずれを抑制することができる。
また、フランジの振れ量(フレ量)の測定方法について説明する。テープリールを平面に置いた状態で、デジタルハイトゲージを用いてフランジの外周から1mm入った箇所の高さを周方向に30°間隔で12点測定する(図9参照)。そして、測定した高さの最大値と最小値の偏差をフランジの外周部の振れ量(図9の場合では43μm)とする。また、図6に示すように、通常、フランジは内周部の振れ量よりも外周部の振れ量が比較的大きくなるため、外周部の振れ量を規定することがLTMおよびPESの低減に対しては有効である。
〈フランジの曲げ弾性率〉
図10に示すとおり、フランジ22,23の曲げ弾性率が3,300MPa以上15,200MPa未満であれば、フランジの保存後変形量が低い値になっているのが分かる。具体的に、フランジの曲げ弾性率が3,300MPa以上であれば、保存後変形量が低い値(100μm以下の値)になっているが、曲げ弾性率が3,300MPaを下回ると保存後変形量が急激に大きくなる。したがって、フランジの曲げ弾性率の下限値として、3,300MPa以上としている。なお、曲げ弾性率の上限値は、大きいほど保存後変形量を小さくできるが、現実的に得られる最大の値として15,200MPaとしている。なお、保存後変形量の目標値である100μmは、巻き圧によるハブの変形量の許容値として一般的な設計値を用いている。
また、フランジの保存後変形量の測定方法について説明する。図11に示すように、成型後(保存前)において上下フランジ22,23の間隔(間口)は内周側から外周側にいくに従って広がっている。図12に示すように、ハブ21に磁気テープを巻回すると、その巻き圧によって上下フランジ22,23が互いに近づくように変形し上限フランジ22,23の間隔が狭まる。この磁気テープを巻回した状態で所定時間(例えば、48時間)放置し、その時間の間に変化したフランジ22,23の高さの変化量を保存後変形量とする。
また、フランジ22,23に使用する樹脂材料の種類、フィラー材料の種類および添加量によって、曲げ弾性率が変化し、保存後変形量が変化する。したがって、樹脂材料としては上述したポリカーボネートに限らず、またフィラー材料としてはガラスフィラーやカーボンフィラーに限らず、上記所定の曲げ弾性率を確保できるものであれば如何なる樹脂材料およびフィラー材料を用いてもよい。
〈PESについて〉
本実験では、LTO4ドライブ(記録トラック幅:12.4μm、再生トラック幅:5.6μm) を用いて記録(最短記録波長0.148μm)し、サーボ信号を再生した時の再生出力の時間軸変動からPESを求めた。具体的には、LTOサーボ信号を読み取ったパルス位置情報から算出される幅方向の位置データ5000個から得られる標準偏差をPESとした。実際のドライブでは、ヘッドをサーボ信号によってテープの動きに追従させるが、ここではヘッドを固定してサーボトラックの位置測定を行い、300Hz以下の周波数では徐々に追従してPESが約45dB/oct.減少するようなフィルターをかけて実際のドライブのヘッド追従特性にあわせて評価を行った。この周波数を越えると、テープの動きにヘッドが追従できないことから、PESノイズとなって現れやすくなる。
−射出成形用金型の構成−
次に、上述したテープリール3の成形に用いる射出成形用金型30について詳細に説明する。
《全体構成》
図13に示すように、本実施形態に係る射出成形用金型30は、3プレート方式の金型であって、固定側金型40と可動側金型50を備えている。この射出成形用金型30は、図示省略の射出装置および型締装置等と共に、射出成形機を構成する。固定側金型40は、射出成形機において固定的に取り付けられている一方、可動側金型50は、固定側金型40に対向して配置されて、型開閉方向Z(図13の上下方向)へ移動可能に構成されている。
固定側金型40は、射出成形機の固定盤(図示省略)に取り付けられる固定側取付板41と、樹脂廃材(ランナともいう)を成形品から切り離すためのランナストリッパプレート42と、キャビティCの一部を区画形成する雌型である固定側型板43とを有している。
これら固定側取付板41、ランナストリッパプレート42および固定側型板43は、この順で積層されている。ランナストリッパプレート42は、固定側取付板41に対して相対的に移動可能に構成されていて、固定側取付板41に当接した状態と、該固定側取付板41から離反した状態との間で移動する。また、固定側型板43は、固定側取付板41に対して相対的に移動可能に構成されていて、ランナストリッパプレート42に当接した状態と、該ランナストリッパプレート42から離反した状態との間で移動する。この固定側型板43の詳しい構成については後述する。
固定側取付板41には、スプルブッシュ(図示省略)が設けられている。固定側取付板41の上面には、ロケートリング41aがスプルブッシュの上部開口を囲むように設けられている。このロケートリング41aには、射出装置の射出シリンダノズルが取り付けられる。スプルブッシュ内には、スプル(図示省略)が形成されている。このスプルの先端は、固定側取付板41の下面に開口している。
可動側金型50は、キャビティCの一部を区画形成する雄型である可動側型板51と、該可動側型板51と当接して該可動側型板51を補強する受け板52と、射出成形機の可動盤(図示省略)に取り付けられる可動側取付板55と、該受け板52と可動側取付板55との間に所定のスペースを形成するためのスペーサプレート53と、該スペーサプレート53によって形成されたスペースに配設されたエジェクタプレート54とを有している。この可動側金型50は、固定側金型40に対して相対的に移動可能に構成されていて、該固定側金型40に当接した状態と、該固定側金型40から離反した状態との間で移動する。これら可動側型板51、受け板52、スペーサプレート53および可動側取付板55は、この順で積層されていて、可動側金型50が移動する際には、お互いの相対的な位置関係を変えることなく一体的に移動する。可動側型板51は、固定側型板43と当接することによって、両者の間にキャビティCを区画形成する。
エジェクタプレート54は、エジェクタピン54a,54aを有していると共に、射出成形機のエジェクタ装置(図示省略)で駆動されるように構成されている。詳しくは、エジェクタピン54a,54aは、後述する型閉工程や射出工程においては、先端がキャビティC内に突出していない状態となっている一方、取出工程においては、先端がキャビティC内に進入して成形品を可動側型板51から離型させる。
《固定側型板》
ここで、固定側型板43について図14および図15を参照しながら詳しく説明する。
固定側型板43は、図15に示すように、型板本体60と、固定側入れ子70と、流路形成プレート80と、ゲート入れ子90と、ランナプレート100と、断熱板120とを有している。また、固定側型板43は、図14に示すように、1つの型板本体60に対して、固定側入れ子70等が2セット設けられている。
型板本体60は、矩形状の板状の部材であって、前記固定側入れ子70、流路形成プレート80、ゲート入れ子90、ランナプレート100および断熱板120を配設するための配設スペース61が型開閉方向Zに沿って貫通形成されている。型板本体60には、配設スペース61において、ランナストリッパプレート42側から可動側型板51側に向かって順に第1〜第3段部62a〜62cが形成されている。こうして、配設スペース61は、ランナストリッパプレート42側から可動側型板51側に向かって段階的に内周形状が小さくなっている。これら第1〜第3段部62a〜62cは、型開閉方向Zに直交する平面となっている。また、型板本体60の上面(基端面)60aと第1段部62aとを繋ぐ第1内周面63a、第1段部62aと第2段部62bとを繋ぐ第2内周面63b、第2段部62bと第3段部62cとを繋ぐ第3内周面63cおよび第3段部62cと型板本体60の下面(先端面)60bとを繋ぐ第4内周面63dは、型開閉方向Zと略平行に形成されている。
ランナプレート100は、矩形状の板状の部材である。このランナプレート100の上面には、ランナ101が形成されている。このランナ101は、図15においては紙面に垂直な方向に延びていて、前記固定側取付板61のスプルブッシュのスプルと連通している。また、ランナプレート100には、第1スプル102が板厚方向に貫通して形成されている。第1スプル102の上端はランナ101と連通している。ランナプレート100は、型板本体60の第1内周面63aに嵌合して、第1段部62a上に配設される。この状態において、該ランナプレート100の上面は、型板本体60の上面60aと面一になっている。
ゲート入れ子90は、円柱状の部材であって、ランナプレート100の下面の略中央において下方に延びるようにして取り付けられている。ゲート入れ子90の下面(即ち、先端面)には、キャビティCの一部を区画形成するキャビティ面91が形成されている。また、ゲート入れ子90には、第2スプル92がその軸心に沿って貫通形成されている。第2スプル92の上端は、ランナプレート100の第1スプル102の下端と連通している一方、第2スプル92の下端は、キャビティ面91に開口している。この第2スプル92の下端の開口がゲート93を構成する。また、ゲート入れ子90の上側(ランナプレート100側)周縁部には、流路形成プレート80の後述する拡径部81aに嵌る、鍔状に外径が拡大した拡径部94が形成されている。
こうして、第1スプル102と第2スプル92とでランナ101とキャビティCとを連通させる1本のスプルを構成する。すなわち、射出装置から射出される成形材料としての溶融樹脂は、固定側取付板61のスプルブッシュから固定側金型40内に流入し、該スプルブッシュのスプル、ランナプレート100のランナ101、第1スプル102およびゲート入れ子90の第2スプル92を通って、ゲート93から射出される。
流路形成プレート80は、図16に示すように、概略円盤状の部材である。詳しくは、流路形成プレート80には、その中心部において、ゲート入れ子90を配設するための断面円形の配設孔81が該流路形成プレート80の軸心Aに沿って貫通形成されている。また、流路形成プレート80の該配設孔81の上側(ランナプレート100側)周縁部には、内径が拡大した拡径部81aが形成されている。この配設孔81の内径は、ゲート入れ子90の外径と略一致し、拡径部81aの内径は、ゲート入れ子90の拡径部94の外径と略一致している。つまり、この配設孔81には、ゲート入れ子90が嵌合する。このとき、ゲート入れ子90の上面と流路形成プレート80の上面とは面一になる。さらに、流路形成プレート80は、円盤の一部がDカット加工されており、その側周面82は、円周面の一部が平面で構成された形状をしている。つまり、側周面82は、円周面82aと平面82bとで構成されている。この平面82bは、流路形成プレート80の軸心Aと直交する方向を向いている。この流路形成プレート80には、詳しくは後述するが、高温冷媒流路44の一部が形成されている。なお、同図中、符号85,86はOリングを取り付けるための溝である。
このように構成された流路形成プレート80は、型板本体60の第2内周面63bに嵌合して、第2段部62b上に配設される。第2内周面63bは、流路形成プレート80のDカット形状と同様に、大部分が円周面に形成され、一部が平面に形成されている。つまり、流路形成プレート80の周方向位置は、流路形成プレート80のDカット形状および第2内周面63bのDカット形状によって位置決めされる。また、流路形成プレート80の上面は、第1段部62aと面一になっている。
固定側入れ子70は、図17に示すように、概略円盤状の部材である。詳しくは、固定側入れ子70には、その中心部において、ゲート入れ子90を配設するための断面円形の配設孔71が該固定側入れ子70の軸心Bに沿って貫通形成されている。この配設孔71は、内径がゲート入れ子90の外径と略一致していて、流路形成プレート80の配設孔81と内周面同士が面一の状態で連続している。つまり、この配設孔71には、ゲート入れ子90が嵌合する。このとき、ゲート入れ子90の下面は、固定側入れ子70の下面(先端面)までは到達していない。また、固定側入れ子70の下面には、該下面よりも陥没したキャビティ面73が形成されている。キャビティ面73は、固定側入れ子70の下面と平行な環帯状の平面と、該平面の外縁と固定側入れ子70の下面を繋ぐ円周面と、前記配設孔71の下端部の内周面(ゲート入れ子90が重なっていない部分)とで構成されている。そして、このキャビティ面73と、ゲート入れ子90の先端のキャビティ面91とで、固定側型板43のキャビティ面を構成する。さらにまた、固定側入れ子70の上側(流路形成プレート80側)周縁部には、鍔状に外径が拡大した拡径部79が形成されている。該拡径部79は、Dカット加工が施されている。なお、固定側入れ子70の上面には高温冷媒流路44の一部が形成されているが、これの構成については後述する。
このように構成された固定側入れ子70は、その下端側の部分が型板本体60の第4内周面63dに、拡径部79が第3内周面63cに嵌め込まれるようにして、第3段部62c上に配設される。型板本体60の第4内周面63dは、円周面に形成されている。型板本体60の第3内周面63cは、固定側入れ子70の拡径部79のDカット形状と同様に、大部分が円周面に形成され、一部が平面に形成されている。つまり、固定側入れ子70の周方向位置は、拡径部79のDカット形状および第3内周面63cのDカット形状によって概ね位置決めされる。
断熱板120は、図18示すように、固定側入れ子70とほぼ同じ外形をした概略円盤状の部材である。詳しくは、その中心部において、ゲート入れ子90を配設するための断面円形の配設孔122が断熱板120の軸心Cに沿って貫通形成されている。この配設孔122は、内径がゲート入れ子90の外径と略一致している。そして、断熱板120の上面は、第2段部62bと面一になっている。断熱板120の上面および下面には、配設孔122の周りを周方向に延びるように、複数の溝121a,121b,121cが対向状に形成されている。これら溝121については別途後述する。
このように構成された固定側型板43においては、型板本体60の配設スペース61に、下側から順に、固定側入れ子70、断熱板120、流路形成プレート80、ゲート入れ子90およびランナプレート100が嵌め込まれ、その状態でランナプレート100が型板本体60にネジ締結される。
《可動側型板》
次に、可動側型板51について説明する。可動側型板51は、図19に示すように、型板本体111と、第1可動側入れ子112と、流路形成プレート113と、第2可動側入れ子114とを有している。
型板本体111は、矩形状の板状の部材であって、前記第1可動側入れ子112、流路形成プレート113および第2可動側入れ子114を配設するための配設スペース111aが厚み方向(型締め方向)に貫通形成されている。
第1可動側入れ子112および流路形成プレート113はともに、中央に貫通孔が形成された概略円盤状の部材である。そして、前記第1可動側入れ子112および流路形成プレート113は、第1可動側入れ子112の下側に流路形成プレート113を積層させた状態で、前記配設スペース111aに配設される。第1可動側入れ子112の上面には、キャビティCの一部を区画形成するキャビティ面112aが形成されている。
第2可動側入れ子114は、円柱状の部材であって、第1可動側入れ子112および流路形成プレート113の中央に貫通形成された貫通孔内に配設される。第2可動側入れ子114の先端部は、第1可動側入れ子112のキャビティ面112aよりも上方に突出しており、第2可動側入れ子114の上部の側周面には、キャビティCの一部を区画形成するキャビティ面114aが形成されている。
これら第1可動側入れ子112のキャビティ面112aと第2可動側入れ子114のキャビティ面114aとで、可動側型板51のキャビティ面を構成する。そして、可動側型板51が固定側型板43に当接することで、この可動側型板51のキャビティ面と固定側型板43のキャビティ面とでキャビティCが区画形成される。このとき、第2可動側入れ子114の先端面は固定側型板43のゲート入れ子90の先端面に当接している。詳しくは、第2可動側入れ子114の先端部には、ゲート93と連通し且つ放射状に広がってキャビティCに開口するゲート(図示省略)が形成されている。つまり、ゲート93から射出される溶融樹脂は、第2可動側入れ子114の先端部に形成されたゲートを介してキャビティCに流入する。
なお、エジェクタピン54a,54aの先端部はそれぞれ、第1可動側入れ子112および第2可動側入れ子114に挿通され、キャビティ面112aおよび第2可動側入れ子114の先端面から突出可能なように構成されている。
《冷媒流路》
このように構成された射出成形用金型30には、冷媒流路が形成されている。詳しくは、固定側型板43には、高温冷媒配管31からの高温冷媒が流通する高温冷媒流路44と、低温冷媒配管32からの、該高温冷媒よりは低温の低温冷媒が流通する低温冷媒流路45とが形成されている。可動側型板51および受け板52には、低温冷媒配管32と同様の低温冷媒が流通する可動側冷媒流路115が形成されている。本実施形態においては、高温冷媒として、例えば140℃の高温高圧水が用いられ、低温冷媒として、例えば100℃の高温水が用いられている。ただし、冷媒は、水以外の他の冷媒であってもよい。
〈高温冷媒流路〉
高温冷媒流路44は、固定側入れ子70や、断熱板120、流路形成プレート80に形成されている。詳しくは、高温冷媒流路44は、図15に示すように、流路形成プレート80に形成された高温流入側流路44aおよび高温流出側流路44bや、固定側入れ子70に形成された高温入れ子側流路44c、断熱板120に形成された高温断熱板側流路123とを含んでいる。
高温流入側流路44aおよび高温流出側流路44bは、流路形成プレート80の平面82bから内方に向かって、型開閉方向Zに直行する平面内で互いに平行に延びた後、型開閉方向Zの下方に屈曲して、流路形成プレート80の下面に開口するように形成されている。すなわち、該平面82bにおける、高温流入側流路44aの開口(高温冷媒流路44の流入端44d)と高温流出側流路44bの開口(高温冷媒流路44の流出端44e)とは、図16に示すように、流路形成プレート80の周方向にずれている。また、流路形成プレート80の下面における、高温流入側流路44aの開口と高温流出側流路44bの開口とは、流路形成プレート80の周方向にずれている。さらに、高温流入側流路44aの開口の方が、高温流出側流路44bの開口よりも径方向外側に位置している。
高温断熱板側流路123は、図18に示すように、高温流入側流路44aおよび高温流出側流路44bと、高温入れ子側流路44cとを繋ぐように貫通形成されている。
高温入れ子側流路44cは、固定側入れ子70の上面に形成されている。詳しくは、図17に示すように、高温入れ子側流路44cは、流路溝76と蓋部材77とで形成されている。固定側入れ子70の上面には、固定側入れ子70の軸心Bを中心として円環状に形成された、蓋部材77が嵌り込む環状陥没部78が形成されている。この環状陥没部78の底面に、流路溝76が形成されている。流路溝76は、同図において、固定側入れ子70の軸心Bを中心に渦を巻くように形成され、キャビティ面73の全体に対応して隈無く拡がるように、直径方向に3重の流路溝76が形成されている(斜線にて明示)。流路溝76の内側および外側には、それぞれ円環状のシール溝74,74が形成されている。これらシール溝74には、蓋部材77との間をシールするOリングが嵌め込まれる。
蓋部材77は、円環状をした板部材であって、前記環状陥没部78に嵌り込んで流路溝76を覆う。蓋部材77は、環状陥没部78に嵌り込んだ状態において、その上面が固定側入れ子70の上面と面一になっている。図示はしないが、蓋部材77には、流路溝76の両端部に対応して2つの連通孔が貫通形成されている。こうして、蓋部材77が嵌め込まれた固定側入れ子70には、渦巻き状の1本の高温入れ子側流路44cが形成される。
そして、固定側入れ子70と、断熱板120と、流路形成プレート80とを互いに取り付けたときに、高温流入側流路44aおよび高温流出側流路44bと高温入れ子側流路44cとは、高温断熱板側流路123を介して互いに連通する。つまり、流路形成プレート80の高温流入側流路44aと高温入れ子側流路44cの一端とが連通する。それと共に、流路形成プレート80の高温流出側流路44bと高温入れ子側流路44cの他端とが連通する。こうして、流路形成プレート80の流入端44dから固定側入れ子70の高温入れ子側流路44cへ冷媒が流入し、流出端44eに抜ける高温冷媒流路44が構成される。
ここで、流路形成プレート80は、型板本体60の配設スペース61内において、平面82bが型板本体60の側面60cに近接し且つ該側面60cと平行となるように配置されている。そして、該型板本体60の側面60cには、流路形成プレート80の平面82bのうち、少なくとも、高温冷媒流路44の流入端44dおよび流出端44eを外部に露出させるための開口部64が貫通形成されている。
流路形成プレート80の平面82bのうち、型板本体60の開口部64から露出する部分には、流路形成プレート80に高温冷媒配管31を接続するための配管接続部材67が取り付けられている。詳しくは、配管接続部材67は、該型板本体60の開口部64に挿通可能なブロック状の部材であって、流路形成プレート80の平面82bにボルト締結される。また、配管接続部材67には、流路形成プレート80の平面82bに開口する高温冷媒流路44の流入端44dおよび流出端44eとそれぞれ連通する連絡流路67b,67bが貫通形成されている。これら連絡流路87b,87bのうち、高温冷媒流路44の流入端44dおよび流出端44eとは反対側の端部には雌ネジが形成されている。これら連絡流路87b,87bの反対側の端部に、高温冷媒配管31がネジ締結により接続される。
断熱板120の両面には、図18に示すように、円弧状の複数の溝121が対向状に形成されている(同図の(a)に斜線にて明示)。これら溝121は、固定側入れ子70の上面に形成された流路溝76と、型開閉方向Zから見て、重なるように形成されている。詳しくは、3重の流路溝76のそれぞれに対応するように、第1〜第3の溝121a,121b,121cが内外に形成されている。各溝121a,121b,121cの幅は、いずれも各流路溝76の幅よりも小さく形成されている。
固定側入れ子70や流路形成プレート80と断熱板120とを接合するとこれら溝121は密閉され、断熱板120の両面に空気が溜まる帯状の断熱空間124が形成される。図19に、断熱板120と固定側入れ子70とを接合した状態を、型開閉方向Zから見た図を示す。同図に示すように、各断熱空間124と流路溝76とは重なっていて、断熱空間124の両側端は流路溝76の両側端よりも内側に位置している。
〈低温冷媒流路〉
一方、低温冷媒流路45は、型板本体60に形成された低温流入側流路45aおよび低温流出側流路45b(図14においてのみ端部を図示)と、ランナプレート100に形成された低温ランナ側流路45cと、ゲート入れ子90に形成された低温ゲート側流路45dとを含んでいる。なお、図15においては、低温流出側流路45bは、低温流入側流路45aに対して紙面垂直方向の奥側に重なっている。
低温流入側流路45aおよび低温流出側流路45bは、型板本体60における、前記側面60cと対向する側面60dから内方に向かって延びた後、上方に屈曲して、該型板本体60の第1段部62aに開口するように形成されている。また、低温流入側流路45aの流入端および低温流出側流路45bの流出端は、図14に示すように、型板本体60の側面60dに開口している。これら低温流入側流路45aの流入端および低温流出側流路45bの流出端には、低温冷媒配管32がそれぞれ接続される。
前記低温ランナ側流路45cは、ランナプレート100の内部において該ランナプレート100の上面および下面と平行に延びている。低温ランナ側流路45cの途中には、これと直交方向に延びる複数の分岐流路125,125,…が接続されている。そして、低温ランナ側流路45cの流入端および流出端は、低温流入側流路45aおよび低温流出側流路45bに連通する位置において、ランナプレート100の下面に開口している。また、低温ランナ側流路45cは、前記低温ゲート側流路45dへの分岐流路45e,45eを有し、該分岐流路45e,45eの一端はランナプレート100の下面に開口している。
前記低温ゲート側流路45dは、ゲート入れ子90の内部に形成されている。詳しくは、低温ゲート側流路45dは、ゲート入れ子90の上面から、ゲート入れ子90の内部を先端側に向かって延びた後、ゲート入れ子90の上面と平行な方向へ屈曲して、該平行な方向に少し延びた後、ゲート入れ子90の上面に向かってさらに屈曲して、ゲート入れ子90の上面に開口している。なお、図15においては、低温ゲート側流路45dは、1つのみ図示しているが、第2スプル92を囲むようにして複数設けられている。また、低温ランナ側流路45cの分岐流路45e,45eも低温ゲート側流路45dの数に応じて設けられている。
そして、ゲート入れ子90とランナプレート100と型板本体60とを互いに取り付けたときに、低温流入側流路45aおよび低温流出側流路45bは、低温ランナ側流路45cや低温ゲート側流路45d等と互いに連通する。こうして、型板本体60の低温流入側流路45aから、ランナプレート100の低温ランナ側流路45cおよびゲート入れ子90の低温ゲート側流路45dを通って、型板本体60の低温流出側流路45bに抜ける低温冷媒流路45が構成される。
〈可動側冷媒流路〉
また、前記可動側金型50にも冷媒流路が形成されている。
可動側金型50に形成された可動側冷媒流路115は、図19に示すように、受け板52に形成された第1可動側冷媒流路115a,115aと、可動側型板51の流路形成プレート113に形成された第2可動側冷媒流路115b,115bと、可動側型板51の第1可動側入れ子112に形成された第3可動側冷媒流路115cとを含んでいる。
第3可動側冷媒流路115cは、前記固定側入れ子70に形成された高温入れ子側流路44cと同様の構成をしている。即ち、詳しい図示は省略するが、第1可動側入れ子112の下面に形成された環状陥没部の底面に、帯状の溝が形成されている。そして、該環状陥没部全体が蓋部材で閉じられていると共に、蓋部材には、内側の溝の他端部と外側の溝の他端部とにそれぞれ開口する2つの連通孔が貫通形成されている。こうして、一方の連通孔を入口端として、他方の連通孔を出口端とする1本の第3可動側冷媒流路115cが形成されている。
第2可動側冷媒流路115bは、流路形成プレート113に2本形成されている。詳しくは、2本の第2可動側冷媒流路115b,115bは、流路形成プレート113の上面における、第3可動側冷媒流路115cの入口端および出口端とそれぞれ連通する位置から、下方に向かって該流路形成プレート113に貫通形成されている。
第1可動側冷媒流路115a,115aは、受け板52に2本形成されている。詳しくは、2本の第1可動側冷媒流路115a,115aはそれぞれ、受け板52の側面から内方に向かって延設され、途中で受け板52の上面に向かって屈曲し、該受け板52の上面に開口している。該受け板52の上面における2本の第1可動側冷媒流路115a,115aの開口端は、流路形成プレート113に形成された2本の第2可動側冷媒流路115b,115bとそれぞれ連通する位置に位置している。
こうして、第1可動側冷媒流路115aおよび第2可動側冷媒流路115bから、第1可動側入れ子112の第3可動側冷媒流路115cを通って、第2可動側冷媒流路115bおよび第1可動側冷媒流路115aに抜ける1本の可動側冷媒流路115が構成される。
−テープリールの成形工程−
次に、上述した射出成形用金型30を用いたテープリール3の成形方法について、図20を参照しながら説明する。具体的には、射出成形用金型30を用いたヒートサイクル成形について説明する。なお、射出成形用金型30はヒートサイクル成形に限られるものではなく、種々の成形方法を採用することができる。
図20は、ヒートサイクル成形における各工程、前記高温冷媒流路44を流通する冷媒の冷媒温度および固定側入れ子70の温度、並びに前記低温冷媒流路45を流通する冷媒の冷媒温度および型板本体60等の温度のタイムチャート図である。
本実施形態に係るヒートサイクル成形は、1サイクル中に、型閉工程と射出工程と保圧工程と冷却工程と型開工程と取出工程とを含んでいる。
前記型閉工程では、可動側金型50を、固定側金型40から離反した状態から、型開閉方向Zに沿って上昇させて固定側金型40に当接させる。こうすることで、固定側型板43と可動側型板51との間にキャビティCが区画形成される。
続いて、射出工程において、射出装置から溶融樹脂が射出成形用金型30内に射出される。射出された溶融樹脂は、固定側取付板61のスプルブッシュから固定側金型40内に流入し、該スプルブッシュのスプル、ランナプレート100のランナ101、第1スプル102、ゲート入れ子90の第2スプル92およびゲート93を通って、第2可動側入れ子114の先端部のゲートからキャビティC内に流入する。こうして、キャビティC内に溶融樹脂が充填される。
その後、保圧工程では、充填樹脂に所定の圧力を作用させ、その状態で維持する。
続いて、冷却工程において、充填樹脂の冷却を行う。充填樹脂が冷却され固化することによって、成形品が成形される。
その後、型開工程において、可動側金型50を固定側金型40から離反させる。こうすことで、可動側型板51が固定側型板43から離反し、それに伴って、成形品は、固定側型板43から離型して可動側型板51と共に移動する。その後、エジェクタピン54a,54aを突き出すことで、成形品を可動側型板51から離型させる。また、可動側金型50を固定側金型40から離反させるときには、固定側型板43も下降させて、ランナストリッパプレート42から離反させる。こうすることで、成形品から樹脂廃材を分離させる。この分離させられた樹脂廃材は、ランナストリッパプレート42および固定側取付板61側に残るが、その後、ランナストリッパプレート42を下降させて固定側取付板61から離反させることによって固定側取付板61およびランナストリッパプレート42からも分離させる。
かかるヒートサイクル成形において、低温冷媒流路45には、常時、低温冷媒を流通させる(同図の(D)参照)。なお、可動側冷媒流路115にも、同様に、常時、低温冷媒を流通させる。一方、高温冷媒流路44には、前記型開工程から保圧工程までの間は高温冷媒を流通させ、保圧工程以降、次回の型開工程までは低温冷媒流路45と同様の低温冷媒を流通させる(同図の(B)参照)。こうすることで、型板本体60や、溶融樹脂が流通するランナプレート100およびゲート入れ子90、並びに可動側型板51および受け板52を、ヒートサイクル成形の全行程において所定の第1温度T1に保つことができる一方(同図の(E)参照)、キャビティCを区画形成する固定側入れ子70を、少なくとも溶融樹脂がキャビティC内に流入する射出工程の間は第1温度T1より高温の第2温度T2とし、少なくとも該溶融樹脂を冷却する冷却工程の間は第1温度T1とすることができる。なお、高温冷媒流路44の高温冷媒と低温冷媒との切換タイミングは前述のタイミングに限られず、固定側入れ子70の温度を少なくとも溶融樹脂がキャビティC内に射出される射出工程の間は高温の第2温度T2とし、少なくとも該溶融樹脂を冷却する冷却工程の間は低温の第1温度T1とする限りは、任意のタイミングとすることができる。
以上のように、係る成形方法では、成形金型の初期温度を制御するようにした。仮に、成型時の金型の初期温度を制御しないと、樹脂材料を金型に射出した時の金型の表面温度が低いため、溶融した樹脂が金型に密着しきる前に冷却されて固まる。そのため、成形面はフィラーのみが突出してその周辺が凹んだ形状となってしまう。つまり、フランジ22,23の内面22a,23a(即ち、成形面)が粗くなってしまう。そこで、本実施形態に係る成形方法では、樹脂材料の射出時の金型の初期温度を高く(例えば、300℃)するようにした。こうすることにより、金型に射出された樹脂材料の流動性が高められ、フィラーの周辺まで樹脂材料を回り込ませることができる。その結果、成形面をより平滑な面にすることができる。よって、フランジ22,23の内面22a,23aの表面粗さRaを0.001μm以上0.200μm以下にすることができる。
金型の初期温度は、樹脂材料のガラス転移点近くの温度であってできるだけ高い温度に設定するのが望ましい。初期温度が高すぎると、成形時間が長くなり、成形収縮率が大きくなり、所望の寸法精度を確保できなくなる。逆に、初期温度が低すぎると、樹脂材料の流動性が低下してしまい、PESの低減を実現できないばかりでなく、成型品の変形や表面剥離が生じることもある。このように、本実施形態の成形方法は、金型の温度を通常よりも高くすることで、金型に射出された高温の樹脂材料の流動性を維持して、その高い流動性をもって金型に密着させるようにしている。これにより、フランジ内面を所定の表面粗さRaにすることが可能となる。また、設定した成型時間経過後に金型に流すのを熱媒から冷媒に切り換えることで、効率的に金型を冷却して成型品の取り出しを行うことができる。なお、樹脂材料の射出時の温度を300℃としたが、必要に応じて260℃〜310℃に変更してもよい。
−その他の実施形態−
本実施形態では、ハブ21の両端にフランジ22,23が形成された両フランジ型のテープリール3について説明したが、ハブ21の片側だけにフランジが形成される方フランジ型のテープリールも本発明の対象である。また、本実施形態では、上フランジ22と下フランジ23の両方に補強用フィラーを添加するようにしたが、両フランジ22,23のうち磁気テープのエッジが当たる側のフランジだけに補強用フィラーを添加するようにしてもよい。つまり、本発明は、両フランジ型のテープリールであっても、片フランジ型のテープリールであっても、ハブ21と、磁気テープのエッジが当たるフランジに対して、補強用フィラーを添加して剛性を確保すればよい。また、本実施形態では、下フランジ23とハブ21とを一体成形するようにしたが、上フランジ22と同様、下フランジ23をハブ21に超音波溶着するようにしてもよい。
本実施形態では、成型方法として上述したヒートサイクル成型に限らず、加熱/冷却を効率的に行うことができる高周波誘導加熱を用いる方法も採用し得る。また、金型の加熱/冷却は行わず、樹脂材料自体に流動性改善剤を添加してもフランジ内面をより平滑にすることができる。
以上説明したように、本発明は、磁気テープを巻回されるフランジ型のテープリールおよびそれを備えたテープカートリッジについて有用である。
1 磁気テープカートリッジ(テープカートリッジ)
3 テープリール
21 ハブ
22 上フランジ(フランジ)
23 下フランジ(フランジ)
22a 内面
23a 内面

Claims (4)

  1. 円筒状のハブと、該ハブの軸方向両端に形成された上フランジおよび下フランジとを備え、前記ハブに磁気テープが巻回されるテープリールであって、
    前記ハブは、前記下フランジと一体に成形され、
    前記上フランジは、前記ハブに溶着され、
    前記ハブと前記両フランジは、補強用フィラーを含有する樹脂材料の成型体でなり、
    前記フランジの内面の表面粗さRaは、0.001μm以上0.200μm以下であり、
    前記両フランジの外周部の高さ方向の振れは、70μm以下であるテープリール。
  2. 円筒状のハブと、該ハブの軸方向片側端のみに形成されたフランジとを備え、前記ハブに磁気テープが巻回されるテープリールであって、
    前記ハブは、前記フランジと一体に成形され、
    前記ハブと前記フランジは、補強用フィラーを含有する樹脂材料の成型体でなり、
    記フランジの内面の表面粗さRaは、0.001μm以上0.200μm以下であり、
    前記フランジの外周部の高さ方向の振れは、70μm以下であるテープリール。
  3. 請求項1または2に記載のテープリールにおいて、
    前記補強用フィラーを含有する樹脂材料の成型体でなるフランジは、曲げ弾性率が3,300MPa以上15,200MPa未満であるテープリール。
  4. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のテープリールが収容されたケーシングを備えているテープカートリッジ。
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