JP5666770B2 - ガスバリア性熱可塑性樹脂組成物、該樹脂組成物からなる単層または多層の成形体、及びそれらの製造方法 - Google Patents
ガスバリア性熱可塑性樹脂組成物、該樹脂組成物からなる単層または多層の成形体、及びそれらの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5666770B2 JP5666770B2 JP2008193523A JP2008193523A JP5666770B2 JP 5666770 B2 JP5666770 B2 JP 5666770B2 JP 2008193523 A JP2008193523 A JP 2008193523A JP 2008193523 A JP2008193523 A JP 2008193523A JP 5666770 B2 JP5666770 B2 JP 5666770B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- thermoplastic resin
- gas barrier
- resin composition
- film
- melt
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Laminated Bodies (AREA)
- Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
該熱可塑性樹脂組成物から作製したフィルム試料の温度23℃及び相対湿度90%の条件下で測定した酸素透過係数が120cm3・mm/m2・day・atm以下であることを特徴とするガスバリア性熱可塑性樹脂組成物であって、(1)該フィルム試料は、(i)200℃に設定した混練機内に熱可塑性樹脂を投入して溶融させ、次いで、α,β−不飽和カルボン酸重合体を添加して、回転数30rpmで10分間溶融混練し、混練機内から得られた混練物を取り出し、200℃に設定したプレス機を用いて、混練物を3分間予熱した後、5MPaの圧力でプレス成形して作製した、厚み200μmのフィルム(プレスフィルム)であるフィルム試料であるか、または(ii)熱可塑性樹脂、及びα,β−不飽和カルボン酸重合体をハンドブレンドして、混合物を調製し、該混合物を、単軸押出機内に投入して溶融混練し、樹脂圧力11MPa及びダイから吐出時の樹脂温度220℃の条件で、径5mmφのダイからストランドの形状に溶融押出し、次いで、該ストランドをカットしてペレットを作製し、次いで、該ペレットを、Tダイを取り付けた単軸押出機内に投入し、Tダイからの吐出時の樹脂温度200℃にて溶融押出して作製した、厚み200μmのフィルム(押出フィルム)であるフィルム試料であり、かつ、(2)該熱可塑性樹脂が、日本工業規格のJIS K 6911に従って、温度23℃の水中に24時間浸漬する条件下で測定した吸水率が15%以下の熱可塑性樹脂であるガスバリア性熱可塑性樹脂組成物が提供される。
本発明によれば、5,000〜100,000の範囲内の重量平均分子量を有するポリアクリル酸であり、かつ、日本工業規格のJIS K 7120に従って測定した3質量%熱質量減少温度が240〜245℃であるα,β−不飽和カルボン酸重合体0.5〜40質量%と、ポリオレフィン樹脂であり、かつ、日本工業規格のJIS K 7120に従って測定した3質量%熱質量減少温度が200℃以上である熱可塑性樹脂60〜99.5質量%とを含有するガスバリア性熱可塑性樹脂組成物であり、かつ、
該ガスバリア性熱可塑性樹脂組成物から作製したフィルム試料の温度23℃及び相対湿度90%の条件下で測定した酸素透過係数が120cm 3 ・mm/m 2 ・day・atm以下であることを特徴とするガスバリア性熱可塑性樹脂組成物であって、(1)該フィルム試料は、(i)200℃に設定した混練機内に熱可塑性樹脂を投入して溶融させ、次いで、α,β−不飽和カルボン酸重合体を添加して、回転数30rpmで10分間溶融混練し、混練機内から得られた混練物を取り出し、200℃に設定したプレス機を用いて、混練物を3分間予熱した後、5MPaの圧力でプレス成形して作製した、厚み200μmのフィルム(プレスフィルム)であるフィルム試料であるか、または(ii)熱可塑性樹脂、及びα,β−不飽和カルボン酸重合体をハンドブレンドして、混合物を調製し、該混合物を、単軸押出機内に投入して溶融混練し、樹脂圧力11MPa及びダイから吐出時の樹脂温度220℃の条件で、径5mmφのダイからストランドの形状に溶融押出し、次いで、該ストランドをカットしてペレットを作製し、次いで、該ペレットを、Tダイを取り付けた単軸押出機内に投入し、Tダイからの吐出時の樹脂温度200℃にて溶融押出して作製した、厚み200μmのフィルム(押出フィルム)であるフィルム試料であり、(2)該ガスバリア性熱可塑性樹脂が、日本工業規格のJIS K 6911に従って、温度23℃の水中に24時間浸漬する条件下で測定した吸水率が15%以下の熱可塑性樹脂であり、かつ、(3)該ガスバリア性熱可塑性樹脂組成物が、該α,β−不飽和カルボン酸重合体と、該熱可塑性樹脂とを溶融混練する方法で調製されたガスバリア性熱可塑性樹脂組成物であるガスバリア性熱可塑性樹脂組成物が提供される。
α,β−不飽和カルボン酸重合体は、ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸、若しくはこれらの混合物である。本発明では、ポリアクリル酸である。ポリアクリル酸としては、アクリル酸の単独重合体が好ましいが、アクリル酸とメタクリル酸との共重合体であってもよい。ポリアクリル酸がアクリル酸とメタクリル酸との共重合体である場合、その共重合割合は、アクリル酸が通常60質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であり、残余がメタクリル酸であることが望ましい。
熱可塑性樹脂としては、α,β−不飽和カルボン酸重合体以外の熱可塑性樹脂であれば特に限定されないが、日本工業規格のJIS K 6911に従って、温度23℃の水中に24時間浸漬する条件下で測定した吸水率が好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、多くの場合5%以下の熱可塑性樹脂であることが望ましい。吸水率の下限値は、測定限界値のゼロ%(0.00%)である。また、熱可塑性樹脂としては、日本工業規格のJIS K 7120に従って測定した3質量%熱質量減少温度が200℃以上の熱可塑性樹脂であることが好ましく、230℃以上の熱可塑性樹脂であることがより好ましい。熱可塑性樹脂の3質量%熱質量減少温度(熱分解温度)の上限値は、通常550℃、多くの場合540℃である。
本発明では、熱可塑性樹脂とα,β−不飽和カルボン酸重合体との相溶性を向上させたり、酸素ガスバリア性を向上させたりする目的で、各種高分子相溶化剤を添加することができる。
本発明では、熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン樹脂である。
本発明のガスバリア性熱可塑性樹脂組成物には、所望により、充填剤、熱安定剤、光安定剤、防水剤、撥水剤、滑剤、離型剤、カップリング剤、顔料、染料などの各種添加剤を含有させることができる。これら各種添加剤は、それぞれの使用目的に応じて有効量が使用される。
本発明のガスバリア性熱可塑性樹脂組成物は、α,β−不飽和カルボン酸重合体と熱可塑性樹脂とを溶融混練する方法(「溶融ブレンド法」とも呼ばれている)によって調製することができる。溶融混練に際し、所望により、高分子相溶化剤やその他の添加剤成分を各樹脂成分と共にブレンドすることができる。本発明のガスバリア性熱可塑性樹脂組成物は、溶融混練を含む工程によって調製することができるが、溶融混練工程に加えて他の付加的な工程が存在していてもよい。他の付加的な工程としては、溶融混練に先立つ機械的な混合工程、溶融混練工程後のペレット化工程などが挙げられる。
本発明のガスバリア性熱可塑性樹脂組成物は、ポリアクリル酸などのα,β−不飽和カルボン酸重合体が熱可塑性樹脂のマトリックス中に微細に分散しているため、その成形体の酸素ガスバリア性は、ガスバリア性樹脂が層状に配置されている成形体(例えば、多層フィルム)に比べて、著しく不十分であると予測された。
L=分散樹脂の長さ
W=分散樹脂の幅
P1=マトリックス樹脂のガス透過係数
φ1=マトリックス樹脂の体積分率
φ2=分散樹脂の体積分率
とすると、
ブレンド体中のガスの行路長d′は、下記式
d′=d+(d×L/2W)φ2
で表わされる。ここで、分散樹脂は、主成分である熱可塑性樹脂に比べて、透過係数が充分に小さいので、分散樹脂中のガス透過は無視できる程度である。
τ=d′/d=1+(d×L/2W)φ2
で表わされる。
P/P1=φ1/τ=φ1/[1+(d×L/2W)φ2]
で表わされる関係を満足する。
重量平均分子量は、JIS K 7252に従って、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法によって測定した。分離カラムとして、Shodex Asahipak GF−7M HQ(昭和電工株式会社製)を用いた。溶離液として、Na2HPO4/CH3CN(質量比=90/10の混合液)を用いた。溶離液の流速0.6mL/分、カラム温度40℃の条件で、検出器として赤外分光器を用いて、GPC測定を行った。検量線の作成には、TSK Standard POLY(ETHYLENE OXIDE)(東ソー株式会社製)を用いた。
JIS K 7120に規定されている「プラスチックの熱重量測定方法」に従って、試験片の3質量%熱質量減少温度を測定し、これを熱分解温度とした。具体的には、熱天びんとしてTGA851e(メトラー・トレド社製)を用い、40〜500℃の範囲内について、10℃/分の速度で昇温した。樹脂の種類に応じて、最終的な加熱温度を下げた(例えば、ポリアクリル酸の場合、300℃まで昇温した)。得られたTG曲線から、3質量%の減量を示すときの温度を読み取って、3質量%熱質量減少温度(℃)とした。
JIS K 6911に従って、試験片を温度23℃の水中に24時間浸漬する条件下で吸水率の測定を行った。吸水率は、浸漬後に増加した質量の、浸漬前の試験片の質量に対する百分率(%)で表わした。
JIS K 7126に規定されている「プラスチックフィルム及びシートの気体透過度試験方法」に従って、フィルム試料の酸素透過度を測定した。具体的には、フィルム試料の酸素透過度は、酸素透過度試験器OX−TRAN 2/20(MOCON社製、商品名)を用いて、温度23℃、両側の相対湿度90%の条件下で測定した。測定個数を2個とし(n=2)、それらの平均値を求めた。酸素透過度の値にフィルムの厚みを掛けて酸素透過係数を算出した。
フィルム試料を目視で検査し、ポリアクリル酸などの凝集物が確認される場合には、分散性が「不良」、確認されない場合には、分散性が「良好」であると評価した。さらに、マトリックス樹脂中でのポリアクリル酸の分散状態について、ミクロトームを用いて、フィルム試料の厚み方向に沿って、約20μmの厚みにスライスして試料を作製した。この試料の厚み方向の断面を、デジタルマイクロスコープVH−z450(KIEYENCE製、商品名)を用いて観察した。
単軸押出機(D=19.1mm、L/D=25)を用いたペレット化、及び押出フィルムの作製に際し、押出機に詰まりが発生することなく円滑に連続的な押出ができる場合を、押出加工性が「良好」であると評価し、押出機に詰まりが発生した場合を、押出加工性が「不良」であると評価した。
高密度ポリエチレン〔日本ポリエチレン株式会社製ノバテックHD HB111R(登録商標)、MFR=0.3g/10分、吸水率=0.01%以下、3質量%熱質量減少温度=335℃以上〕99質量%、及びポリアクリル酸〔日本純薬株式会社製ジュリマーAC−10LP(登録商標)、Mw=73,000、3質量%熱質量減少温度=235℃〕1質量%を溶融混練した。
高密度ポリエチレンとポリアクリル酸との比率を99:1質量%から、95:5質量%に変えたこと以外は、実施例1と同じ操作により、混練物を調製し、次いで、厚み200μmのプレスフィルムを作製した。
高密度ポリエチレンとポリアクリル酸との比率を99:1質量%から、90:10質量%に変えたこと以外は、実施例1と同じ操作により、混練物を調製し、次いで、厚み200μmのプレスフィルムを作製した。
高密度ポリエチレンとポリアクリル酸との比率を99:1質量%から、80:20質量%に変えたこと以外は、実施例1と同じ操作により、混練物を調製し、次いで、厚み200μmのプレスフィルムを作製した。
高密度ポリエチレンを単独で用いたこと(高密度ポリエチレン=100質量%)以外は、実施例1と同様に操作して、混練物を調製し、次いで、厚み200μmのプレスフィルムを作製した。
高密度ポリエチレン〔日本ポリエチレン株式会社製ノバテックHD HB111R(登録商標)〕90質量%、及びポリアクリル酸〔日本触媒株式会社製アクアリック AS58(登録商標)、Mw=800,000、3質量%熱質量減少温度=245℃〕10質量%を溶融混練した。
高密度ポリエチレン〔日本ポリエチレン株式会社製ノバテックHD HB111R(登録商標)〕90質量%、及びポリアクリル酸〔日本触媒株式会社製アクアリック AS58(登録商標)〕10質量%、並びに樹脂成分100質量部に対して高分子相溶化剤〔日本油脂株式会社製モディパーA4200(登録商標);EGMA−g−PMMA〕1質量部を溶融混練した。
高密度ポリエチレン〔日本ポリエチレン株式会社製ノバテックHD HB111R(登録商標)〕90質量%、及びポリアクリル酸ナトリウム〔日本触媒株式会社製アクアリック DL−100(登録商標)、Mw=3,500〕10質量%を溶融混練した。
(1)HDPE:高密度ポリエチレン
(2)PAA:ポリアクリル酸
(3)PAA−Na:ポリアクリル酸ナトリウム
表1及び図1に示されている結果から明らかなように、熱可塑性樹脂(高密度ポリエチレン;HDPE)に特定の範囲内の重量平均分子量を持つポリアクリル酸(PAA)を含有させた樹脂組成物からなるプレスフィルム(実施例1〜4)は、理論的に予測される酸素透過係数に比べて、著しく低い酸素透過係数を示す。
高密度ポリエチレン〔日本ポリエチレン株式会社製ノバテックHD HB111R(登録商標)〕95質量%、及びポリアクリル酸〔日本純薬株式会社製ジュリマーAC−10LP(登録商標)、Mw=73,000〕5質量%をハンドブレンドして、混合物を調製した。
高密度ポリエチレンとポリアクリル酸との比率を95:5質量%から、90:10質量%に変えたこと以外は、実施例5と同じ操作により、混合物を調製し、該混合物からペレットを作製し、次いで、該ペレットを用いて厚み200μmの押出フィルムを作製した。ペレット及びフィルム作製に際し、押出機に詰まりが発生することなく、円滑に連続的な押出を行うことができた。
高密度ポリエチレン〔日本ポリエチレン株式会社製ノバテックHD HB111R(登録商標)〕90質量%、及びポリアクリル酸〔日本純薬株式会社製ジュリマーAC−10LP(登録商標)〕10質量%、並びに樹脂成分100質量部に対して高分子相溶化剤〔日本油脂株式会社製モディパーA4200(登録商標);EGMA−g−PMMA〕1質量部をハンドブレンドして、混合物を調製した。
高密度ポリエチレンとポリアクリル酸との比率を95:5質量%から、80:20質量%に変えたこと以外は、実施例5と同じ操作により、混合物を調製し、該混合物からペレットを作製し、次いで、該ペレットを用いて厚み200μmの押出フィルムを作製した。ペレット及びフィルム作製に際し、押出機に詰まりが発生することなく、円滑に連続的な押出を行うことができた。
高密度ポリエチレンを単独で用いて(高密度ポリエチレン=100質量%)、ペレットを作製することがなかったこと以外は、実施例5と同様に操作して、厚み200μmの押出フィルムを作製した。
ポリアクリル酸を、日本純薬株式会社製ジュリマーAC−10LP(登録商標;Mw=73,000)から日本触媒株式会社製アクアリック AS58(登録商標;Mw=800,000、3質量%熱質量減少温度=251℃)に代えたこと以外は、実施例6と同様に操作して押出フィルムの作製を試みたところ、押出機に詰まりが発生したため、連続的な製膜ができなかった。また、押出フィルムには、ポリアクリル酸の凝集物が観察されたので、酸素透過度の評価を行うことができなかった。
ポリアクリル酸〔日本純薬株式会社製ジュリマーAC−10LP(登録商標)〕に代えてポリアクリル酸ナトリウム〔日本触媒株式会社製アクアリック DL−100(登録商標)、Mw=3,500〕を用いたこと以外は、実施例6と同様に操作して押出フィルムの作製を試みたところ、押出機に詰まりが発生したため、連続的な製膜ができなかった。また、押出フィルムには、ポリアクリル酸の凝集物が観察されたので、酸素透過度の測定を行うことができなかった。
(1)HDPE:高密度ポリエチレン
(2)PAA:ポリアクリル酸
(3)PAA−Na:ポリアクリル酸ナトリウム
表2及び図2の結果から明らかなように、熱可塑性樹脂(高密度ポリエチレン;HDPE)に、特定の範囲内の重量平均分子量を持つポリアクリル酸(PAA)を含有させた樹脂組成物からなる押出フィルム(実施例5、6及び8)は、ポリアクリル酸が押出によって剪断力及び/または機械方向(MD)への適度の配向を受けるためと推定されるが、表1及び図1に示したプレスフィルムに比べて酸素透過係数がさらに小さくなっており、優れた酸素ガスバリア性を示す。
高密度ポリエチレン〔日本ポリエチレン株式会社製ノバテックHD HB111R(登録商標)〕90質量%、及びポリアクリル酸(和光純薬社製市販試薬;Mw=5,000)10質量%を溶融混練した。
ポリアクリル酸(和光純薬社製市販試薬;Mw=5,000)を、重量平均分子量が15,000の日本純薬株式会社製ジュリマーAC−10P(登録商標;Tg=117℃)に代えたこと以外は、実施例9と同様に操作してプレスフィルムを作製した。
ポリアクリル酸(和光純薬社製市販試薬;Mw=5,000)を、重量平均分子量が73,000の日本純薬株式会社製ジュリマーAC−10LPに代えたこと以外は、実施例9と同様に操作してプレスフィルムを作製した。
ポリアクリル酸(和光純薬社製市販試薬;Mw=5,000)を、重量平均分子量が490,000の東亞合成株式会社製アロンA−10H(登録商標)に代えたこと以外は、実施例9と同様に操作してプレスフィルムを作製した。
ポリアクリル酸(和光純薬社製市販試薬;Mw=5,000)を、重量平均分子量が800,000の日本触媒株式会社製アリアック AS58(登録商標)に代えたこと以外は、実施例9と同様に操作してプレスフィルムを作製した。
ポリアクリル酸(和光純薬社製市販試薬;Mw=5,000)に代えて、ポリアクリル酸ナトリウム〔日本触媒株式会社製アクアリック DL−100(登録商標)、Mw=3,500〕を用いたこと以外は、実施例9と同様に操作してプレスフィルムを作製した。
(1)HDPE:高密度ポリエチレン
(2)PAA:ポリアクリル酸
(3)PAA−Na:ポリアクリル酸ナトリウム
表3の結果から明らかなように、特定の範囲内の重量平均分子量を有するポリアクリル酸を用いることにより、分散状態が良好なガスバリア性熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
12 理論的に予測される酸素透過係数のグラフ
21 押出フィルム中のPAA比率と酸素透過係数との関係を示すグラフ
22 高分子相溶化剤を添加した場合の酸素透過係数
d ガスの行路長
d′ マトリックス樹脂中でのガスの行路長
L 分散樹脂の長さ
W 分散樹脂の幅
31 マトリックス樹脂
32 分散樹脂
Claims (16)
- 5,000〜100,000の範囲内の重量平均分子量を有するポリアクリル酸であり、かつ、日本工業規格のJIS K 7120に従って測定した3質量%熱質量減少温度が200〜245℃であるα,β−不飽和カルボン酸重合体0.5〜40質量%と、ポリオレフィン樹脂であり、かつ、日本工業規格のJIS K 7120に従って測定した3質量%熱質量減少温度が200℃以上である熱可塑性樹脂60〜99.5質量%とを含有するガスバリア性熱可塑性樹脂組成物であり、かつ、
該ガスバリア性熱可塑性樹脂組成物から作製したフィルム試料の温度23℃及び相対湿度90%の条件下で測定した酸素透過係数が120cm3・mm/m2・day・atm以下であることを特徴とするガスバリア性熱可塑性樹脂組成物であって、(1)該フィルム試料は、(i)200℃に設定した混練機内に熱可塑性樹脂を投入して溶融させ、次いで、α,β−不飽和カルボン酸重合体を添加して、回転数30rpmで10分間溶融混練し、混練機内から得られた混練物を取り出し、200℃に設定したプレス機を用いて、混練物を3分間予熱した後、5MPaの圧力でプレス成形して作製した、厚み200μmのフィルム(プレスフィルム)であるフィルム試料であるか、または(ii)熱可塑性樹脂、及びα,β−不飽和カルボン酸重合体をハンドブレンドして、混合物を調製し、該混合物を、単軸押出機内に投入して溶融混練し、樹脂圧力11MPa及びダイから吐出時の樹脂温度220℃の条件で、径5mmφのダイからストランドの形状に溶融押出し、次いで、該ストランドをカットしてペレットを作製し、次いで、該ペレットを、Tダイを取り付けた単軸押出機内に投入し、Tダイからの吐出時の樹脂温度200℃にて溶融押出して作製した、厚み200μmのフィルム(押出フィルム)であるフィルム試料であり、(2)該ガスバリア性熱可塑性樹脂が、日本工業規格のJIS K 6911に従って、温度23℃の水中に24時間浸漬する条件下で測定した吸水率が15%以下の熱可塑性樹脂であり、かつ、(3)該ガスバリア性熱可塑性樹脂組成物が、該α,β−不飽和カルボン酸重合体と、該熱可塑性樹脂とを溶融混練する方法で調製されたガスバリア性熱可塑性樹脂組成物であるガスバリア性熱可塑性樹脂組成物。 - 該フィルム試料の酸素透過係数が、40cm3・mm/m2・day・atm以下である請求項1記載のガスバリア性熱可塑性樹脂組成物。
- 高分子相溶化剤を、該α,β−不飽和カルボン酸重合体と該熱可塑性樹脂とを含有する樹脂成分100質量部に対して、0.1〜10質量部の割合でさらに含有する請求項1記載のガスバリア性熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガスバリア性熱可塑性樹脂組成物から成る成形体。
- 該成形体が、フィルム、シート、パイプまたは容器である請求項4記載の成形体。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガスバリア性熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムまたはシートである少なくとも一層のガスバリア性樹脂層と他の層とを含有する多層成形体。
- 5,000〜100,000の範囲内の重量平均分子量を有するポリアクリル酸であり、かつ、日本工業規格のJIS K 7120に従って測定した3質量%熱質量減少温度が200〜245℃であるα,β−不飽和カルボン酸重合体0.5〜40質量%と、ポリオレフィン樹脂であり、かつ、日本工業規格のJIS K 7120に従って測定した3質量%熱質量減少温度が200℃以上である熱可塑性樹脂60〜99.5質量%とを、溶融混練する工程を含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガスバリア性熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、該熱可塑性樹脂が、日本工業規格のJIS K 6911に従って、温度23℃の水中に24時間浸漬する条件下で測定した吸水率が15%以下の熱可塑性樹脂であるガスバリア性熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 押出機を用いて該溶融混練工程を実施した後、溶融混練物を、該押出機の先端に配置したダイからストランドの形状に溶融押出し、次いで、該ストランドをカットしてペレット化する工程をさらに含む請求項7記載のガスバリア性熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 該押出機内での樹脂圧力7〜15MPa及びダイから吐出時の樹脂温度180〜230℃の条件下でストランドの形状に溶融押出する請求項8記載のガスバリア性熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガスバリア性熱可塑性樹脂組成物を、溶融成形する工程を含む成形体の製造方法であって、該熱可塑性樹脂が、日本工業規格のJIS K 6911に従って、温度23℃の水中に24時間浸漬する条件下で測定した吸水率が15%以下の熱可塑性樹脂である成形体の製造方法。
- 該ガスバリア性熱可塑性樹脂組成物を、Tダイまたはパイプ用ダイを備えた押出機を用いて、フィルム、シートまたはパイプの形状に溶融押出する請求項10記載の成形体の製造方法。
- 該ガスバリア性熱可塑性樹脂組成物を、押出機内での樹脂圧力7〜15MPa及びTダイまたはパイプ用ダイからの吐出時の樹脂温度180〜230℃の条件下で、フィルム、シートまたはパイプの形状に溶融押出する請求項11記載の成形体の製造方法。
- 該ガスバリア性熱可塑性樹脂組成物をブロー成形して、ブロー成形容器を作製する請求項10記載の成形体の製造方法。
- 該ガスバリア性熱可塑性樹脂組成物を金型内に射出成形して、射出成形容器を作製する請求項10記載の成形体の製造方法。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガスバリア性熱可塑性樹脂組成物を、少なくとも一種の他の熱可塑性樹脂と共に、共押出成形、共押出ブロー成形若しくは共射出成形して、多層フィルム若しくはシート、多層パイプまたは多層容器の形状に成形する多層成形体の製造方法。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガスバリア性熱可塑性樹脂組成物を、基体の片面または両面の一部若しくは全部の面上に溶融押出して、ガスバリア性樹脂層を形成する多層成形体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008193523A JP5666770B2 (ja) | 2008-07-28 | 2008-07-28 | ガスバリア性熱可塑性樹脂組成物、該樹脂組成物からなる単層または多層の成形体、及びそれらの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008193523A JP5666770B2 (ja) | 2008-07-28 | 2008-07-28 | ガスバリア性熱可塑性樹脂組成物、該樹脂組成物からなる単層または多層の成形体、及びそれらの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010031113A JP2010031113A (ja) | 2010-02-12 |
JP5666770B2 true JP5666770B2 (ja) | 2015-02-12 |
Family
ID=41735985
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008193523A Expired - Fee Related JP5666770B2 (ja) | 2008-07-28 | 2008-07-28 | ガスバリア性熱可塑性樹脂組成物、該樹脂組成物からなる単層または多層の成形体、及びそれらの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5666770B2 (ja) |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3340780B2 (ja) * | 1993-01-27 | 2002-11-05 | 呉羽化学工業株式会社 | ガスバリヤー性フィルム及びその製造方法 |
JP2001312921A (ja) * | 2000-04-27 | 2001-11-09 | Fujikura Ltd | 直流絶縁材料 |
JP4580185B2 (ja) * | 2004-04-22 | 2010-11-10 | 株式会社クラレ | 重合体含有組成物およびその製造方法ならびにそれを用いたガスバリア材 |
-
2008
- 2008-07-28 JP JP2008193523A patent/JP5666770B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2010031113A (ja) | 2010-02-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5837313B2 (ja) | 樹脂組成物およびそれを用いた多層構造体 | |
EP0578056B1 (en) | Thermoplastic resin composition | |
US5641833A (en) | Polyolefinic blend and process for preparing the same | |
JP4609743B2 (ja) | 樹脂構造体およびその用途 | |
JP5709625B2 (ja) | 樹脂組成物およびそれを用いた多層構造体 | |
JP2010208331A (ja) | 多層構造体及びその製造方法 | |
JPH04164941A (ja) | ポリオレフィン系樹脂組成物及びその用途 | |
KR20090053585A (ko) | 차단성이 향상된 폴리올레핀/나일론계 블렌드 수지 조성물 | |
JP2006130924A (ja) | 多層構造 | |
JP6261330B2 (ja) | レトルト処理用の包装用フィルム用樹脂組成物およびレトルト処理用の包装用フィルム用積層体 | |
JPS6225139A (ja) | 変性ポリエチレン樹脂組成物 | |
JP5666770B2 (ja) | ガスバリア性熱可塑性樹脂組成物、該樹脂組成物からなる単層または多層の成形体、及びそれらの製造方法 | |
JP2006161045A (ja) | エチレン−ビニルアルコールコポリマー及び反応性基を有する架橋性ゴムの混合物、並びに、良好なバリア特性を有する成形品の製造のためのその使用 | |
JP2865353B2 (ja) | ポリオレフィン系樹脂組成物及びその用途 | |
US5296554A (en) | Adhesive resin composition | |
JP5004375B2 (ja) | エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物およびその積層体 | |
EP0483736A2 (en) | Resin composition | |
JP2010095315A (ja) | 農薬用容器 | |
JP5700653B2 (ja) | 樹脂組成物およびそれを用いた多層構造体 | |
JPH09302159A (ja) | 樹脂組成物及び該組成物からなるフィルム、シート | |
JP2001214074A (ja) | 樹脂組成物及びその用途 | |
WO2023161185A1 (en) | Thermoplastic polymeric composition having good adhesion to polyolefin and fluoropolymer based materials | |
JP2005248033A (ja) | エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂組成物 | |
KR20240150446A (ko) | 폴리올레핀 및 플루오로중합체 기반 재료에 대해 우수한 접착성을 갖는 열가소성 중합체성 조성물 | |
JPH1025415A (ja) | 耐ピンホール性と滑り性とに優れたポリアミドフィルム |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20110523 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20110523 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20120706 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120710 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120823 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130604 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130726 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140430 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140617 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20141202 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20141211 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5666770 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D04 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |