JP5666224B2 - 導電糸及びその製造方法 - Google Patents
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Description
前記水性処理液が付着した糸を気相状態のピロールモノマーと接触させることによって、糸の表面の少なくとも一部がポリピロールで被覆されてなる導電糸を得る重合工程と、を含むことを特徴とする導電糸の製造方法。
360デシテックスのレーヨン繊維製の糸(先染め処理されたもの)の表面に水性処理液をロールコーターを用いて塗布した。前記水性処理液としては、過硫酸アンモニウム(酸化剤)を1質量%、パラトルエンスルホン酸(ドーパント)を1質量%、ポリエステル樹脂(バインダー樹脂)を1質量%、メラミン樹脂(架橋剤、住友化学社製「スミマールM−100」)を3質量%含有した水系エマルジョン液を用いた。なお、この水性処理液では、過硫酸アンモニウム、パラトルエンスルホン酸及びメラミン樹脂は水に溶解する一方、ポリエステル樹脂は、分散質であり、分散媒である水とエマルジョンを形成している。前記ロールコーターによる塗布でレーヨン糸100質量部当たり水性処理液を10質量部付着せしめたので、ポリエステル糸100質量部当たりの水性処理液固形分(過硫酸アンモニウム、パラトルエンスルホン酸、メラミン樹脂及びポリエステル樹脂)の付着量は0.6質量部であった。
ロールコーターによる塗布でレーヨン糸100質量部当たり水性処理液を50質量部付着せしめた以外は、実施例1と同様にして導電糸を得た。
ロールコーターによる塗布でレーヨン糸100質量部当たり水性処理液を100質量部付着せしめた以外は、実施例1と同様にして導電糸を得た。
ロールコーターによる塗布でレーヨン糸100質量部当たり水性処理液を5質量部付着せしめた以外は、実施例1と同様にして導電糸を得た。
ロールコーターによる塗布でレーヨン糸100質量部当たり水性処理液を150質量部付着せしめた以外は、実施例1と同様にして導電糸を得た。
水性処理液中のメラミン樹脂(架橋剤)の濃度を1質量%に設定した以外は、実施例2と同様にして導電糸を得た。
水性処理液中のメラミン樹脂(架橋剤)の濃度を8質量%に設定した以外は、実施例2と同様にして導電糸を得た。
架橋剤として、メラミン樹脂に代えてエポキシ樹脂(架橋剤、ナガセケミテックス社製「デナコールEX−811」)を用いた以外は、実施例2と同様にして導電糸を得た。
レーヨン糸(先染め処理されたもの)に代えて、231デシテックス/24fナイロンマルチフィラメント糸(先染め処理されたもの)を用いた以外は、実施例2と同様にして導電糸を得た。
バインダー樹脂として、ポリエステル樹脂に代えて、ウレタン樹脂を用いた以外は、実施例2と同様にして導電糸を得た。
360デシテックスのレーヨン繊維製の糸(先染め処理されたもの)に代えて、360デシテックスのレーヨン繊維製の糸(先染め処理されていないもの)を用いた以外は、実施例2と同様にして導電糸を得た。即ち、この実施例10については、染色による色表現の実現度の評価(後述)は、後染めで行った。
水性処理液として、過硫酸アンモニウム(酸化剤)を1質量%、パラトルエンスルホン酸(ドーパント)を1質量%、ポリエステル樹脂(バインダー樹脂)を1質量%含有した水系エマルジョン液(メラミン樹脂を含有しない)を用いた以外は、実施例2と同様にして導電糸を得た。
表面抵抗測定器(四探針法;JIS K7194に準拠)を用いて導電糸の表面抵抗率のレベルを評価した。評価結果の各数値の意味は下記のとおりである。また、導電糸の1000V耐久性試験を行った。即ち、図1に示すように、ポリブチレンテレフタレート(PBT)絶縁板10に立設された2本の金属ネジ11、11間に導電糸1を10回(10往復)巻き付けた状態で金属ネジ11、11間に1000Vの電圧を100時間印加した後に、該電圧印加を解除して前記同様にして導電糸の表面抵抗率のレベルを評価した。
「10以上」…1.0×1010Ω/□以上
「9」…1.0×109Ω/□以上1.0×1010Ω/□未満
「8」…1.0×108Ω/□以上1.0×109Ω/□未満
「7」…1.0×107Ω/□以上1.0×108Ω/□未満
「6」…1.0×106Ω/□以上1.0×107Ω/□未満
「5」…1.0×105Ω/□以上1.0×106Ω/□未満
「4」…1.0×104Ω/□以上1.0×105Ω/□未満
「3」…1.0×103Ω/□以上1.0×104Ω/□未満
「2」…1.0×102Ω/□以上1.0×103Ω/□未満
「1」…1.0×10Ω/□以上1.0×102Ω/□未満。
住友化学株式会社製の赤色の分散染料「レッドGE(商品名)」を0.5質量%、日本化薬株式会社製「カヤクバッファTRA100(商品名)」(アルカリ剤)を2.0質量%、日華化学株式会社製「ニッカサンソルトKM−1(商品名)」(分散剤)を1.5質量%含有してなる染色液(水溶液)を用いて吸尽法で糸の染色を行った。反応条件は、常温から1℃/分で温度上昇させていき、130℃に達してからこの温度で20分間保持することによって反応を終了させ、しかる後80℃で還元洗浄(RC)を行い、次いで50℃の湯で洗浄を行い、さらに水洗を2回行った後、乾燥させて、染色を完了させた。
「○」…得られた導電糸に色が表現されていた
「×」…得られた導電糸は黒色で色表現をなし得なかった。
導電糸に手で触れた際の感触で下記3段階で評価した。
「○」…柔らかさが感じられた
「△」…やや硬さ感があった
「×」…硬さ感があって感触が良くなかった。
JIS L0949−2004のII型(グレースケール判定)に準拠して導電糸の摩擦堅牢度を評価した。摩擦堅牢度の「級」の数値が大きい程、耐摩擦性に優れていることを示す。
1)精密電子部品等を取り扱うクリーンルームにおいて使用するワイピングクロスの構成糸
2)レーザープリンター、コピー機等用の帯電ブラシ
3)レーザープリンター、コピー機等用の転写ブラシ
4)レーザープリンター、コピー機等用の除電ブラシ
5)レーザープリンター、コピー機等用のロールブラシ
6)レーザープリンター、コピー機等用の塗布ブラシ
として好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。
Claims (10)
- ドーパント、酸化剤、バインダー樹脂及び架橋剤を含有してなる水性処理液を、糸の少なくとも表面に付着せしめる付着工程と、
前記水性処理液が付着した糸を気相状態のピロールモノマーと接触させることによって、糸の表面の少なくとも一部がポリピロールで被覆されてなる導電糸を得る重合工程と、を含み、
前記糸として、構成繊維として少なくともセルロース系繊維を含む糸を用い、
前記架橋剤としてメラミン樹脂またはエポキシ樹脂を用いることを特徴とする導電糸の製造方法。 - 前記水性処理液における、ドーパントの含有率が0.1質量%〜50質量%、酸化剤の含有率が0.1質量%〜40質量%、バインダー樹脂の含有率が0.01質量%〜3.0質量%、架橋剤の含有率が0.1質量%〜10質量%である請求項1に記載の導電糸の製造方法。
- 前記付着工程において、前記水性処理液をロールコーターを用いて糸の少なくとも表面に塗布することによって、糸100質量部に対して水性処理液の固形分を0.2質量部〜20質量部付着せしめる請求項1または2に記載の導電糸の製造方法。
- 前記重合工程において、前記水性処理液が付着した糸を気相状態のピロールモノマーと接触させることによって、糸100質量部に対してポリピロールを0.2質量部〜7質量部の割合で付着せしめる請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電糸の製造方法。
- 前記ドーパントとして芳香族スルホン酸を用い、前記酸化剤として過硫酸塩を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電糸の製造方法。
- 前記セルロース系繊維がレーヨン繊維である請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電糸の製造方法。
- 前記導電糸は、レーザープリンター用又はコピー機用のブラシに用いられる導電糸である請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電糸の製造方法。
- 前記ブラシは、帯電ブラシ、転写ブラシ、除電ブラシ、ロールブラシまたは塗布ブラシである請求項7に記載の導電糸の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法で製造された表面抵抗率が1×1010Ω/□未満である導電糸。
- 請求項9に記載の導電糸を用いて製作された導電布帛。
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