JP5665387B2 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、正極活物質として、粒子表面に導電層を有するオリビン型リン酸リチウム化合物を用いた非水電解液型のリチウムイオン二次電池に関するものである。
携帯電話、ノートパソコン、電動工具などの携帯機器、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)などの次世代自動車、太陽光発電や風力発電等の負荷平準化装置など、リチウムイオン二次電池の用途はますます拡大傾向にある。また、リチウムイオン二次電池において、セルの大型化、高容量化、高出力化が進んでいる。従来のリチウムイオン二次電池では、正極材料としてコバルト酸リチウム(LiCoO)が主として用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、コバルト原料は資源的に乏しく高価であるといった問題やコバルト酸リチウムの結晶構造に起因する安全性の問題などから、コバルト酸リチウムに代わる新たな正極材料が求められている。また、コバルト酸リチウムを用いた場合よりも高容量化を図ることができるニッケル酸リチウム(LiNiO)や安価で熱安定性に優れるスピネル型マンガン酸リチウム(LiMn)などの正極材料の使用が進んでいる。
近年では、更なる高性能化を目指して新規な材料開発が進められている。その中で、低コスト、高い安全性を有するオリビン型リン酸リチウム化合物(LiFePOやLiMnPO)が新規な正極活物質として注目されており、それを用いた二次電池が電動工具などで実用化されている。
特開2001−338692号公報
ところで、オリビン型リン酸リチウム化合物は、従来の材料と比べてイオン伝導性や電子伝導性が低くなることが欠点となっている。このため、オリビン型リン酸リチウム化合物の材料の微粒子化を図ったり、粒子表面にカーボンなどからなる導電層(炭素被覆層)を形成したりして電池特性の改善を行ってきた。粒子表面に形成される炭素被覆層は、電池性能を維持する上で重要であり、保存あるいは充放電を繰り返す充放電サイクル等において被覆層が破壊されると、電池性能が劣化してしまう。
オリビン型リン酸リチウム化合物の製造方法としては、固相法や液相法(ゾルゲル法)等が知られているが、量産性の良さから固相法が採用される場合が多い。具体的には、リン酸鉄リチウムを固相法で製造する場合、炭素被覆層は後工程で行うこととなり、炭素源(例えば、ピッチ)とともに正極材料を還元雰囲気で焼成する。その焼成の際に、炭素被覆層101の生成とともに一部活物質も還元され、FePを主とするリン化合物102が炭素被覆層101とリン酸鉄リチウムの粒子100との間に生成される(図4参照)。このような状態で二次電池を構成した場合、電解液に僅かに含まれる酸(主にフッ化水素)により、リン化合物102が溶解し、それと同時に炭素被覆層101が破壊されるため、電池の特性劣化を引き起こしてしまう。
従って、高出力で特性劣化の少ないリチウムイオン二次電池を実現するためには、電解液に含まれるフッ化水素を除去する対策が必要となる。ところが、電解液中のフッ化水素を除去したとしても、電池の組み立て中に水分が混入したり、長期使用時に容器の封止部分を介して微量の水分が混入したりすると、リチウム塩が加水分解されてフッ化水素が新たに生成されてしまう。この結果、フッ化水素と活物質とが反応して電池の特性劣化が生じてしまう。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、低コストで優れた電池性能を有するリチウムイオン二次電池を提供することにある。
上記課題を解決するための手段[1]を以下に列挙する。
[1]正極活物質として、粒子表面に導電層を有するオリビン型リン酸リチウム化合物を用いた非水電解液型のリチウムイオン二次電池において、電池内にフッ化水素を除去するフッ化水素除去材を収容するとともに、前記オリビン型リン酸リチウム化合物が、リン酸鉄リチウムであり、前記導電層が、鉄とリンとの化合物を介して前記粒子表面を部分的に被覆する炭素被覆層であり、前記フッ化水素除去材が、耐電解液性を有するとともにフッ化水素と反応するポリビニルピリジン樹脂の粒状物であり、かつ電解液中に含まれており、前記ポリビニルピリジン樹脂の含有量が、電解液1gに対して2mg以上50mg以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
手段1に記載の発明によると、正極活物質として、オリビン型リン酸リチウム化合物が用いられているので、材料コストを抑えることができる。また、リチウムイオン二次電池では、組み立て時に電池内に充填される電解液中にフッ化水素が含まれる場合や電池内に侵入した微量の水分によって新たにフッ化水素が生成される場合がある。この場合、フッ化水素除去材によってフッ化水素が除去されるため、フッ化水素が正極活物質と反応して粒子表面の導電層が剥離するといった問題が回避される。この結果、正極活物質における電子導電性が良好に維持されるため、正極活物質が有効に利用され、良好な電池性能を維持することができる。
上記手段1において、前記フッ化水素除去材は、耐電解液性を有する粒状物でありかつ電解液中に含まれている
ッ化水素除去材は、粒状物でありその表面積が大きい。また、フッ化水素除去材は、耐電解液性を有するため、電解液に溶けることがなくその形状を保持することができる。従って、粒状物のフッ化水素除去材を用いれば、電解液中に含まれるフッ化水素を効率よく除去することができる。
上記手段1に記載の発明によると、正極活物質としてリン酸鉄リチウムが用いられるので、材料コストを低く抑えることができる。
上記手段1に記載の発明によると、フッ化水素除去材は、弱塩基性樹脂を主体とするものであるので、中和反応によって、酸であるフッ化水素を効率よく除去することができる。
前記フッ化水素除去材における前記弱塩基性樹脂がポリビニルピリジン樹脂である上記手段1に記載の発明によると、ポリビニルピリジン樹脂は、耐電解液性に優れた材料であるため、電解液中に配置されて溶解することがなく、フッ化水素を確実に除去することができる。
上記手段1において、前記ポリビニルピリジン樹脂の含有量は、電解液1gに対して2mg以上50mg以下である。
リビニルピリジン樹脂の含有量が電解液1gに対して2mg以上であるので、電解液中のフッ化水素を確実に除去することができる。また、ポリビニルピリジン樹脂の含有量は、電解液1gに対して50mg以下であるため、ポリビニルピリジン樹脂を添加したことによる放電容量の低下を抑えることができる。
以上詳述したように、手段に記載の発明によると、低コストで優れた電池性能を有するリチウムイオン二次電池を提供することができる。
一実施の形態のリチウムイオン二次電池を示す側面図。 一実施の形態のリチウムイオン二次電池を示す平面図。 一実施の形態の電極積層体を示す断面図。 正極活物質の粒子の構成を示す模式図。
以下、本発明をリチウムイオン二次電池に具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は本実施の形態におけるリチウムイオン二次電池10を示す側面図であり、図2はそのリチウムイオン二次電池10の平面図である。また、図3は、上記リチウムイオン二次電池10を構成する電極構造体11を示す断面図である。
図1〜図3に示されるように、リチウムイオン二次電池10は、シート状に成形された正極21と負極31とがセパレータ41を介して交互に積み重ねられた構造を有する電極構造体11を備えている。リチウムイオン二次電池10において、電極構造体11は、リチウム塩を含んだ電解液50とともにケース51内に密封封止されている。なお、本実施の形態において、電解液50に含まれるリチウム塩は、リチウムヘキサフルオロフォスフェート(LiPF)である。
正極21は、正極活物質としてのリン酸鉄リチウムを含む材料からなる正極材22を正極集電体23上に形成した構造を有している。正極集電体23は、例えばアルミニウムからなる導電性金属箔を用いて形成されている。正極集電体23は平面視矩形状に形成され、その四辺のうちの一辺からタブ24が突出している。正極集電体23のタブ24は、溶接等により正極用外部端子25に接続されている。
負極31は、リチウムイオンの吸蔵及び放出が可能な材料(黒鉛などの炭素材料)からなる負極材32を負極集電体33上に形成した構造を有している。負極集電体33は、例えば銅からなる導電性金属箔を用いて形成されている。負極集電体33は平面視矩形状に形成され、その四辺のうちの一辺からタブ34が引き出されている。負極集電体33のタブ34は、溶接等により負極用外部端子35に接続されている。
セパレータ41は、電解液や電極活物質等に対して耐久性があり、連通気孔を有する非導電性の多孔体等からなる。通常、ガラス繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等、セルロース等からなる不織布あるいは多孔体が用いられる。
図1及び図2に示されるように、リチウムイオン二次電池10のケース51は、アルミ箔を樹脂フィルムにラミネートしてなるアルミニウム・ラミネートフィルムを用いて矩形袋状に加工したソフト容器である。ケース51における外周部は、熱融着によって封止されている。熱融着による封止は、融着部に正極用外部端子25及び負極用外部端子35を挟み込んだ状態で行われる。
このようにしてケース51内に電極構造体11を収容した場合、ケース51における一方の端部(図1では左側の端部)から正極用外部端子25が引き出され、他方の端部(図1では右側の端部)から負極用外部端子35が引き出される。なお、アルミ箔以外の他の金属箔からなる金属ラミネートフィルム材を用いて、ケース51を形成してもよい。
本実施の形態のリチウムイオン二次電池10において、ケース51内に充填される電解液50中には、フッ化水素除去材として機能するポリビニルピリジン樹脂52の粒状物が混在されている。ポリビニルピリジン樹脂52は、耐電解液性を有する弱塩基性樹脂であり、電解液50中に存在するフッ化水素と中和反応することでフッ化水素を除去する。
次に、本実施の形態のリチウムイオン二次電池10の製造方法について説明する。
先ず、正極活物質として、炭素被覆層101を有するリン酸鉄リチウム(LiFePO)の粒子100(図4参照)の粉末材料を以下の手法で作製する。すなわち、シュウ酸鉄二水和物(FeC・2HO)、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)及び炭酸リチウム(LiCO)を所定のモル比となるよう計り取り、それらを混合する。その後、2−プロパノールを溶媒としてボールミルで10時間粉砕混合する。次に、この混合物を真空乾燥することで溶媒である2−プロパノールを除去し、活物質の前駆体を得る。
そして、得られた前駆体をアルミナ製の香鉢に入れ、環状焼成炉にて、アルゴン流通下(0.5リットル/分の流通量)で300℃、5時間の仮焼成を行った。その後、アルゴン流通下(0.5リットル/分の流通量)で650℃、20時間の焼成を行うことで、炭素被覆層101を有するリン酸鉄リチウムの粉末を作製した。なお、ここで得られるリン酸鉄リチウムの粒子100は、図4に示されるように、粒子表面がFePを主とするリン化合物102で覆われ、そのリン化合物102の表面に部分的に炭素被覆層101が形成されている。このように、粒子100において部分的に炭素被覆層101を形成することにより、リチウムイオンが出入りする経路が確保される。また、隣接する粒子100間にて炭素被覆層101が接触することにより、電気伝導の経路が形成される。
次に、上記リン酸鉄リチウムの粉末を正極活物質として用い、以下のようにシート状の正極21を作製する。先ず、正極活物質と導電剤としてのアセチレンブラックとバインダーとしてのポリフッ化ビニリデンとについて所定の重量比(正極活物質:導電剤:バインダー=90:5:5)で計量したものにN−メチルピロリドンの溶剤を加え、ディスパー付き遊星攪拌ミキサーで30分間混合しスラリー化した。そして、得られたスラリーを正極集電体23としてのアルミニウム箔上に塗布した後、乾燥する。その後、圧延ローラを用いて圧延し、さらにタブ24を形成することで、正極集電体23上に正極材22(正極活物質含有層)が形成された正極21を作製する。
次いで、以下のようにシート状の負極31を作製する。先ず、負極活物質としての黒鉛とバインダー(結着剤)としてのポリフッ化ビニリデンを混合しN−メチルピロリドンを加えてスラリー化した。なおこのときの混合比率は、負極活物質と結着剤と増粘剤との重量比で95:3:2として、スラリーを作製した。そして、得られたスラリーを負極集電体33としての銅箔上に塗布した後、乾燥する。その後、圧延ローラを用いて圧延し、さらにタブ34を形成することで、負極集電体33上に負極材32(負極活物質含有層)が形成された負極31を作製する。
さらに、セパレータ原紙を所定サイズに切断することで矩形シート状のセパレータ41を作製する。
電解液50は以下のように調製される。具体的には、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを3:7の体積比の割合で混合した溶媒に、1モル/リットルのリチウム塩(LiPF)を溶解させ、さらにビニレンカーボネートを加えて電解液50を調製した。そして、調製した電解液50に対して所定量(本実施の形態では、1gの電解液に対して1〜100mg)のポリビニルピリジン樹脂52を添加して24時間放置し、ポリビニルピリジン樹脂52を含んだ電解液50を作製した。
そして、正極21、負極31、セパレータ41及び電解液50を用いてリチウムイオン二次電池10を以下のように作製した。
先ず、シート状の正極21と負極31とをセパレータ41を介して対向するように積層して電極構造体11を作製する。そして、電極構造体11を真空中にて105℃で20時間乾燥させる。また、各集電体23,33のタブ24,34を各外部端子25,35に接続する。その後、アルゴン雰囲気下のグローボックス内において、厚み0.11mmのアルミニウム・ラミネートフィルムからなる矩形袋状のケース51内に電極構造体11を挿入する。さらに、電解液50を所定量注入した後にケース51における外周部を熱融着によって封止する。以上の工程によって、図1のリチウムイオン二次電池10を製造する。
次に、リチウムイオン二次電池10の作用を説明する。
電池の組み立て中にケース51内に水分が混入したり、長期間の使用時にケース51の封止部分を介して微量の水分が混入したりすると、リチウム塩が加水分解しフッ化水素が生成される。ここで、リチウム塩の加水分解は、以下の反応式(1)〜(3)に従って起こる。
Figure 0005665387
Figure 0005665387
Figure 0005665387
なお、上記の反応式(1)〜(3)をまとめると、リチウム塩の加水分解は、反応式(4)のように表される。
Figure 0005665387
このように、電解液50中において、フッ化水素が新たに生成される場合、そのフッ化水素は、反応式(5)に示されるようにポリビニルピリジン樹脂52と反応する。この結果、ポリビニルビリジニウムポリ(フッ化水素)が生成され、電解液50中のフッ化水素が除去される。
Figure 0005665387
このように、電解液50中のフッ化水素が除去されるため、正極材22において、リン酸鉄リチウムの粒子100と炭素被覆層101との間に介在するリン化合物102がフッ化水素と反応して溶解することがなく、粒子表面にて炭素被覆層101が保持される。
本発明者らは、電解液50に含まれるポリビニルピリジン樹脂52の添加量を変え、表1に示されるような実施例1〜7及び比較例1のリチウムイオン二次電池10を作製した。具体的には、1gの電解液50に対して、実施例1では1mg、実施例2では2mg、実施例3では5mg、実施例4では10mg、実施例5では20mg、実施例6では50mg、実施例7では100mgのポリビニルピリジン樹脂52をそれぞれ添加している。また、比較例1では、ポリビニルピリジン樹脂52を加えていない電解液50を用いてリチウムイオン二次電池が作製されている。
そして、実施例1〜7及び比較例1の各リチウムイオン二次電池10について特性評価を行った。具体的には、45℃の試験温度において、1Cの定電流で電池電圧が4.0Vに達するまでの充電と、1Cの定電流で電池電圧が2.0Vに達するまでの放電とからなる充放電サイクルを1000回繰り返す。その後、実施例1〜7及び比較例1の各電池10の放電容量及び内部抵抗の変化率を測定した。その測定結果を表1に示している。なお、表1においては、試験開始前の初期状態の放電容量及び内部抵抗を100%として、充放電試験後の放電容量の変化率(維持率)及び内部抵抗の変化率をそれぞれ記載している。
Figure 0005665387
表1に示されるように、ポリビニルピリジン樹脂52を添加した実施例1〜7のリチウムイオン二次電池10では、ポリビニルピリジン樹脂52を添加しない比較例1のリチウムイオン二次電池と比較して、高い放電容量を維持することができ、内部抵抗も低く抑えることができた。特に、1gの電解液50に対して、2mg〜50mgのポリビニルピリジン樹脂52を添加した実施例2〜6では、放電容量維持率が80%以上となり、放電容量の低下を抑えることができた。さらに、実施例2〜6の場合では、内部抵抗の変化率も120%以下に抑えることができた。
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施の形態のリチウムイオン二次電池10では、正極活物質としてリン酸鉄リチウムが用いられているので、材料コストを抑えることができる。また、リチウムイオン二次電池10では、電解液50にポリビニルピリジン樹脂52が含まれているので、リチウム塩の加水分解によって生成されたフッ化水素がポリビニルピリジン樹脂52と反応して除去される。このため、リン酸鉄リチウムの粒子100と炭素被覆層101との間に介在するリン化合物102がフッ化水素と反応して溶解することがなく、炭素被覆層101が粒子表面から剥離するといった問題を回避することができる。この結果、正極材22における電子導電性が良好に維持されるため、正極材22の活物質が有効に利用され、良好な電池性能を維持することができる。
(2)本実施の形態のリチウムイオン二次電池10において、電解液50に添加されるポリビニルピリジン樹脂52は、粒状物でありその表面積が大きい。また、ポリビニルピリジン樹脂52は、耐電解液性を有するため、電解液に溶けることがなくその形状を保持することができる。従って、粒状物のポリビニルピリジン樹脂52によって、電解液50中に含まれるフッ化水素を効率よく除去することができる。
(3)本実施の形態のリチウムイオン二次電池10において、ポリビニルピリジン樹脂の含有量は、電解液1gに対して2mg以上50mg以下であるので、長期使用時における放電容量の低下を抑えることができ、かつ内部抵抗の変化率も低く抑えることができる。
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、リン酸鉄リチウムを正極活物質として用いたが、これに限定されるものではなく、例えばリン酸マンガンリチウムなどのオリビン型リン酸リチウム化合物を用いてもよい。なおここで、正極活物質として用いるオリビン型リン酸リチウム化合物としては、フッ化オリビン型のリチウム化合物を含んでいてもよい。
・上記実施の形態では、フッ化水素除去材としてポリビニルピリジン樹脂52を使用していたが、これに限定されるものではなく、フッ化水素と反応しかつ耐電解液性を有する他の弱塩基性樹脂を主体とするものであればよい。例えば、フッ化水素除去材として、スチレン樹脂のクロロメチル化に続くジメチルアミンなどのような第二級アミンの反応に基づく樹脂(S型弱塩基樹脂)や、ポリアルキレンアミン型の弱塩基官能基を有するフェノールホルムアルデヒドポリマーを主成分とする樹脂(P型弱塩基樹脂)を挙げることができる。また、エピクロロヒドリンとポリアルキレンアミンの反応によって生じる樹脂(E型弱塩基樹脂)や、エステル結合またはアミド結合によってポリマー構造に結合したアミン官能基(すなわち、モノアミン、ジアミンまたはポリアミン)を有するポリアクリレートを主成分とする樹脂(A型弱塩基樹脂)を、フッ化水素除去材として用いてもよい。
・上記実施の形態では、フッ化水素除去材としてポリビニルピリジン樹脂52を電解液50中に含ませるようにしたが、ケース51内における他の部位にフッ化水素除去材を配置してもよい。具体的には、例えば、セパレータ41の一部にフッ化水素除去材を設けてもよい。またこの場合、ポリビニルピリジン樹脂52の粒子を混ぜ込んだ樹脂材料を用いてセパレータ41を形成してもよい。
・上記実施の形態のリチウムイオン二次電池10では、板状の電極21,31を積層して構成する積層タイプのリチウムイオン二次電池に具体化するものであったが、これ以外に電極をロール状に巻いて構成する巻回タイプのリチウムイオン二次電池に具体化してもよい。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)手段1において、前記オリビン型リン酸リチウム化合物が、鉄及び/またはマンガンを含む化合物であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
(2)手段1乃至6のいずれかの手段において、前記導電層が炭素からなる被覆層であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
(3)手段1乃至6のいずれかの手段において、前記電解液は、リチウム及びフッ素を含む電解質塩の溶液であり、かつ前記電解質塩の加水分解によりフッ化水素を生成することを特徴とするリチウムイオン二次電池。
10…リチウムイオン二次電池
50…電解液
52…フッ化水素除去材としてのポリビニルピリジン樹脂
100…リン酸鉄リチウムの粒子
101…導電層としての炭素被覆層

Claims (1)

  1. 正極活物質として、粒子表面に導電層を有するオリビン型リン酸リチウム化合物を用いた非水電解液型のリチウムイオン二次電池において、
    電池内にフッ化水素を除去するフッ化水素除去材を収容するとともに、
    前記オリビン型リン酸リチウム化合物が、リン酸鉄リチウムであり、
    前記導電層が、鉄とリンとの化合物を介して前記粒子表面を部分的に被覆する炭素被覆層であり、
    前記フッ化水素除去材が、耐電解液性を有するとともにフッ化水素と反応するポリビニルピリジン樹脂の粒状物であり、かつ電解液中に含まれており、
    前記ポリビニルピリジン樹脂の含有量が、電解液1gに対して2mg以上50mg以下である
    ことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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