次に発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るコピーファクシミリ複合機90のブロック図である。画像形成装置、画像読取装置及び通信端末装置としてのコピーファクシミリ複合機(以下、複合機)90は、ファクシミリ機能、コピー機能、スキャナ機能、及びネットワークプリンタ機能を備える多機能周辺装置(Multi−Function Peripheral、MFP)として構成される。
図1に示すように、複合機90は、画像読取部21と、画像形成部22と、画像メモリ25と、ファクシミリ送受信部26と、操作部12と、制御部13と、メモリ(アクセス情報記憶部)14と、フラッシュメモリ15と、表示部16と、バス60と、を備える。
また、本実施形態の複合機90は、当該複合機90をLAN81に接続するためのネットワークアダプタ(通信部)40を備える。なお、本実施形態においてLAN81には上記の複合機90のほかに2台の複合機91,92が接続されているが、この複合機91,92の構成は複合機90と全く同様であるので、以下では代表して複合機90の構成を説明する。
画像読取部21は、スキャナ機能を実現するためのものである。本実施形態の画像読取部21は、CCDセンサ又は密着型イメージセンサ等の読取装置を備えており、この読取装置によって原稿を読み取り、当該原稿の画像データを取得する。
画像形成部22は、プリンタ機能を実現するためのものであり、画像データを紙等の記録媒体に記録するための出力装置を備える。この出力装置としては、例えば、LED等の光源を用いて感光体にトナーを選択的に付着させて、ヒートローラ及びプレスローラによってそのトナーを記録媒体に熱転写して印刷を行う方式のものを採用することができる。
画像メモリ25は、画像読取部21で取得した画像データを保存し及び一時記憶するためのものである。
ファクシミリ送受信部26は、電話回線を通じたファクシミリ機能を実現するためのものである。ファクシミリ送受信部26は、ネットワークコントロールユニット(NCU)、FAXモデム及びコーデック部等で構成されている。ファクシミリ送受信部26は、前記NCUを介して公衆交換電話網(PSTN)31に接続されており、変復調装置としてのFAXモデムによって音声信号とデータ列とを相互変換する。コーデック部は、画像データを送信するためにMH、MR、MMR等の適宜の形式で圧縮を行う機能を有している。また、コーデック部は、受信した画像データを適宜の形式に展開する機能を有している。
操作部12は、画像情報のファクシミリ送信、原稿の読取り又はコピー指示等をユーザが行うためのものである。操作部12は、ユーザによって操作されるテンキー、送信ボタン、スリープボタン等の各種操作手段を備えている。表示部16はディスプレイ等で構成されており、操作部12の操作に応じて各種の情報を表示することができる。
制御部13は、装置全体の制御を行うためのものであり、CPU(中央演算処理装置)により構成されている。CPUは、後述のメモリ14のうち、ROMに記憶されているプログラムをRAMに読み出して実行する演算部として用いられる。
メモリ14は、RAM(ランダムアクセスメモリ)、及びROM(リードオンリーメモリ)等で構成されている。ROMには、装置の各部のハードウェアを制御するためのプログラム(ファームウェア等)が記憶されている。RAMは、プログラムのロード及び実行に使用されるほか、一時的なデータの記憶メモリとして用いられる。
フラッシュメモリ15は、不揮発性のメモリであり、各種のソフトウェア及び複合機90において用いられる設定等を記憶することができる。
バス60は、図1に示すように、上述した装置の各部を互いに接続するものである。バス60としては、例えばPCI(Peripheral Component Interconnect)の規格に従って構成されたものを用いることができる。
ネットワークアダプタ40は、複合機90がLAN81に接続するためのインタフェースであり、複合機90本体内の各部(制御部13等)と前記バス60を介して接続されている。図1に示すように、ネットワークアダプタ40はLAN81に接続されている。
また、LAN81は、ルータ72を介してインターネット82に接続されている。従って、複合機90は、インターネット82を介して、例えばファームウェアの書換えを行うことができる他、以下に示すように、電子メールの送受信を行うこともできるように構成されている。
即ち、複合機90においては、前記ハードウェア及びソフトウェアの組合せにより、SMTP部及びPOP部等が構成されている。SMTP部は、簡易電子メール転送プロトコル(SMTP)のクライアントとして動作し、電子メールを送信可能に構成されている。また、POP部は、POP3プロトコルを利用して電子メールを受信可能に構成されている。
更に、前記SMTP部はSMTPサーバとしても動作するように構成されており、これによって電子メール型のインターネットファクシミリ機能が実現されている。なお、複合機90がインターネットファクシミリを送受信する相手の機器は、インターネットファクシミリ機能を有していれば良く、同一のLAN81に接続された複合機91,92であっても、LAN81の外部でインターネット82に接続された図示しないファクシミリ装置であっても良い。
以下、インターネットファクシミリ機能に関する複合機90の具体的な動作を説明する。即ち、複合機90に対してインターネットファクシミリを送信したい場合、その送信元の機器において、画像を添付した電子メールを所定の形式で作成し、複合機90で動作するSMTPサーバに接続して当該電子メールを送信する。すると、複合機90は、受信した電子メールを解析して画像データを取り出し、画像形成部22で印刷する。
また、複合機90が逆に他の機器に対してインターネットファクシミリを送信したい場合、画像読取部21で読み取った画像を添付した電子メールを所定の形式で作成した上で、相手先のファクシミリ装置で動作するSMTPサーバに接続して当該電子メールを送信する。すると、相手先のファクシミリ装置は、受信した電子メールを解析して画像データを取り出し、画像形成部で印刷する。
更に、複合機90,91,92は、インターネットファクシミリの送信予約機能を備えている。複合機90の場合を例にして説明すると、ユーザは、複合機90の画像読取部21で画像を読み取った上で、送り先のファクシミリ装置を操作部12により指定する。更に、ユーザは将来の時刻を操作部12の操作で指定した上で、送信予約を指示する。すると、複合機90は、指定された時刻が到来するまで待機し、当該時刻になると、上記のインターネットファクシミリ送信を開始する。
次に、複合機90が有する省電力モードについて説明する。
複合機90は、ネットワークアダプタ40、画像形成部22のヒートローラ等に供給する電力を抑えた省電力モード(スリープモード)を有している。複合機90が省電力モードに移行する条件は任意に定めることができるが、例えば、印刷の指示が所定時間以上行われないこと、又は操作部12において前記スリープボタンの操作が行われること等が考えられる。
この省電力モードにおいては、複合機90の動作は、制御部13が外部からの指示を待機すること等を除いて制限されている。従って、電子メールの送受信や画像データの印刷等は、省電力モードを解除した上で行う必要がある。
前記LAN81には、ユーザが使用するパーソナルコンピュータ(PC)71が接続されている。更に、LAN81にはサーバ100が接続されている。このサーバ100は、DHCPサーバ、SNTPサーバ(時刻同期サーバ)、及びメールサーバ(POPサーバ/SMTPサーバ)として動作し、PC71及び複合機90,91,92からの依頼に応じて様々な処理を行うように構成されている。
以下、サーバ100において動作する各サーバの詳細を説明する。
DHCPサーバは、クライアント(PC71及び複合機90,91,92)からの依頼に応じて、各機器に対してIPアドレスの割当て(リース)を行う。なお、有限であるIPアドレスを有効に活用するために、IPアドレスの割当ては期限付きとされている。従って、クライアントは、通常は、自機のIPアドレスが意図に反して変更されることを防止するために、リース期限が到来する前にDHCPサーバに再び接続し、リース期限の更新を依頼する。
SNTPサーバは、上位のサーバの時刻を参照することで自機の内部時計を校正するとともに、高精度な時刻の情報をクライアントからの依頼に応じて提供する。クライアント(複合機90等)は、所定時間毎にSNTPサーバに接続して現在時刻を問い合わせ、得られた時刻に内部時計を合わせる。これにより、クライアントは自機の内部時計がSNTPサーバの時計に一致するように校正し、常に正確な時刻を得ることができる。
POPサーバは、受信した電子メールを宛先ごとのメールボックスに蓄積しておき、クライアントからの依頼に応じて、当該クライアント宛の電子メールをメールボックスから取り出して提供する。クライアントである複合機90,91,92は、所定時間毎にPOPサーバに接続して自機宛の電子メールをチェックし、電子メールが到着していた場合は、その内容をPOPサーバから取得して印刷する。
SMTPサーバは、クライアントから送信される電子メールを受け取り、必要な場合には別のSMTPサーバへ転送する。クライアント(PC71、複合機90等)は、送信を希望する電子メールがある場合は、必要に応じてSMTPサーバに接続する。
なお、複合機90,91,92が省電力モードにあるときは、上記のサーバ100に対するクライアントとしての処理を行うことができない。即ち、例えばDHCPクライアントとしてIPアドレスのリース期限更新を依頼する場合は、省電力モードを解除しなければならない。しかしながら、サーバ100への接続の必要が生じる度に省電力モードから復帰したのでは、省電力モードが頻繁に解除されることになり、電力の節減効果が薄れてしまう。
この点、本実施形態では、複合機91,92が省電力モードであるときは当該複合機91,92に代わって複合機90がサーバ100にアクセスし、クライアントとしての処理を行うように構成されている。この結果、複合機91,92は省電力モードを長期間継続することができるので、ネットワーク全体としての省電力性を向上させることができる。
以下、具体的に説明する。複合機90,91,92は、自機がマスタであるか非マスタであるかの設定を、例えばフラッシュメモリ15に記憶するように構成されている。ここで、マスタとは、省電力モードにある他の通信機器(複合機)に代わって、サーバ100等に対するアクセスを行う通信端末装置(代行側の通信端末装置)を意味する。また、非マスタとは、自機が省電力モードにあるときはサーバ100等に対するアクセスを行わず、当該アクセスをマスタの通信端末装置に代行してもらう通信機器(代行を依頼する側の通信機器)を意味する。
本実施形態では、複合機90がマスタ(代行側の通信端末装置)として動作し、他の複合機91,92は非マスタ(代行依頼側の通信機器)として動作するように設定されている。
複合機91,92がマスタの複合機90に代行を依頼できる処理は様々なものがあるが、ここでは、複合機91が電子メールの処理について複合機90に代行を依頼する場合を例として説明する。
最初に、複合機91において省電力モードが解除されている場合の動作(通常の動作)について説明する。この場合、当該複合機91は、自機に設定されているメールアカウント及びパスワード、POPサーバ(サーバ100)の所在等の情報を元に、設定されたチェック時間間隔でサーバ100に繰り返しアクセスし、電子メールの処理を行う。即ち、複合機91のアカウントに対応するメールボックス内のメール件数を取得し、その結果を、複合機91が備えるメモリ14等に保存する。そして、メール件数が1件以上だった場合は、到着している電子メールを1件ずつサーバ100から取得して、その内容に基づくプリントデータを生成して印刷処理を行う。
従って、上記のチェック時間間隔の設定は、複合機91がPOPサーバにアクセスする時間的条件を定めるものということができる。
一方で、複合機91が省電力モードへ移行する際には、当該複合機91は、マスタである複合機90と通信し、電子メールの処理について代行を依頼する。
このときに複合機91が複合機90へ送信する情報には、メールチェック(電子メール到着の有無の問合せ)を実行する時間間隔の指定が含まれている。この時間間隔は、上記のとおり、複合機91がPOPサーバにアクセスする時間的条件の情報である。以下の説明では、このように複合機91がサーバにアクセスする条件を定める情報を、アクセス条件情報と呼ぶことがある。
上記のアクセス条件情報のほか、複合機91が複合機90へ送信する情報には、当該複合機91に付与されているメールアカウント及びパスワード等のアカウント情報、POPサーバの所在を示すアドレス等が含まれている。これらの情報は、複合機90が複合機91に代わってメールチェック処理を行うときに必要な情報であるということができる。以下の説明では、このように複合機90が複合機91の代わりに処理を行うときに必要となる情報を、代行処理情報と呼ぶことがある。
以上に示すように、複合機91は、処理の代行を複合機90に依頼する際には、上記のアクセス条件情報及び代行処理情報を含む情報(以下、アクセス情報と称することがある)を送信する。なお、複合機91が代行処理を依頼するときに複合機90に送信する情報には、上記のように、パスワード等の機密性の高い情報が含まれている。そこで、複合機91は、前記アクセス情報の全部又は一部を暗号化した上で、複合機90に送信するようになっている。
複合機90は、上記のようにして複合機91から取得したアクセス情報をメモリ14に保存した上で、代行の依頼に応じる旨を複合機91に通知する。
その後、複合機91は間もなく省電力モードに移行するが、この省電力モードでは、上記のチェック時間間隔で定められた時間が経過しても複合機91が電子メールに関する処理を行うことはない。代わりに、マスタとしての複合機90が、代行の依頼時に指定されたチェック時間間隔に基づき、複合機91のアカウント情報を用いてサーバ100に繰り返しアクセスする。そして複合機90は、複合機91に代わって、当該複合機91のアカウント宛の電子メールが届いていないかをチェックする。
マスタとしての複合機90がサーバ100にアクセスした結果、複合機91に関するメールボックス内のメール件数がゼロであった場合、複合機90はその件数をメモリ14等に保存するだけで、特別な処理を行わない。一方、メール件数が1件以上であった場合、複合機90は、到着している電子メールの内容を複合機91に代わってサーバ100から取得した上で、当該電子メールの内容に基づいてプリントデータを作成し、当該プリントデータを含んだ印刷指示を複合機91に対して行う。この結果、複合機91は省電力モードから復帰し、自機宛の電子メールの内容を適切に印刷することができる。
以上のような代理アクセスの結果、複合機91がメールチェックのために頻繁に省電力モードから復帰することが防止され、消費電力を効果的に節減することができる。また、複合機91宛の電子メールのチェック自体は複合機90によって通常の時間間隔どおりに行われ、メールの到着を検出した場合は複合機91が省電力モードから復帰して印刷が直ちに行われるので、利便性が損なわれることもない。
図2には、マスタとして動作する場合の複合機90のフローチャートが示されている。以下、この図2を参照しながら、上記した電子メールの処理に即してフローを詳細に説明する。
最初に、複合機90の制御部13は、電子メールのチェック処理のタイミングが到来しているかどうかを判断する(S101)。即ち、制御部13は、複合機90自身を宛先とする電子メールをチェックするタイミング、又は、複合機91を宛先とする電子メールをチェックするタイミングが到来しているか否かを調べる。処理の時間的条件が満たされていない場合は、S101に戻る。
S101で処理のタイミングが到来したと判断された場合、まず制御部13は、自機が省電力モードであるときは、当該省電力モードを解除する。次に、複合機90の制御部13は、当該処理が、他の機器(ここでは、複合機91)からの代行依頼に係るものか否かを調べる(S102)。他の機器の代わりに処理するものでない場合(即ち、自機宛の電子メールをチェックする場合)は、複合機90は、自機のメールアカウント、パスワード等の情報を使用してPOPサーバ(サーバ100)にログインし、自機のアカウントに対する電子メールの到着件数を問い合わせる(S103)。そして、問合せに対する回答(メール件数)が、複合機90のメモリ14等に保存される(S104)。なお、メール件数が1件以上だった場合は、S104において、それぞれのメールの内容をPOPサーバから受信して保存する処理も併せて行われる。
次に、複合機90は、印刷処理が必要か否かを判断する(S105)。本実施形態の複合機90では、受信したメールは全て印刷処理するように構成されているので、S105では、メール件数が1件以上あるか否かが判断される。1件以上の電子メールが受信されていた場合は、複合機90は当該電子メールの内容に基づいてプリントデータを作成し(S106)、自機の画像形成部22を使用して印刷処理を行い(S107)、S101に戻る。受信メール件数がゼロだった場合は、S106及びS107の処理は行われず、S101に戻る。
以上により、自機(複合機90自身)に関する電子メールのチェック処理が実現される。なお、非マスタである複合機91において省電力モードが解除されている場合に当該複合機91が行う電子メールのチェック処理も、図2のS103〜S107と全く同様に行われる。
S102の判断で、実行すべきタイミングが到来した処理が他の機器(複合機91)からの代行依頼に基づくものであった場合、複合機90は、メモリ14に記憶してある複合機91のアクセス情報(具体的には、複合機91からの代行依頼時に取得した代行処理情報)に基づき、POPサーバ(サーバ100)の所在を取得する。そして、複合機91のメールアカウント、パスワード等の情報を使用してサーバ100にログインし、(自機のアカウントではなく)複合機91のアカウントに対する電子メールの到着件数を問い合わせる(S108)。そして、サーバ100からの回答として得られたメール件数が、複合機90の制御部13のメモリ等に保存される(S109)。なお、メール件数が1件以上だった場合は、S109において、それぞれのメールの内容をPOPサーバから受信して保存する処理も併せて行われる。
次に、複合機90は、印刷処理が必要か否か(メール件数が1件以上あるか否か)を判断する(S110)。1件以上の電子メールが受信されていた場合は、複合機90は当該電子メールの内容に基づいてプリントデータを作成した上で(S111)、複合機91に対して当該プリントデータを送信して印刷を指示し(S112)、S101に戻る。受信メール件数がゼロだった場合は、S111及びS112の処理は行われず、S101に戻る。
このように、本実施形態では、複合機91が省電力モードに移行している間は、マスタとしての複合機90が複合機91を代理して、サーバ100に対するメールチェックを行う(S108、S109)。即ち、複合機91が省電力モードであるときは、複合機90は2台の複合機90,91に関するメールチェックを行うことになる。このような代理アクセスにより、複合機91を省電力モードから復帰させることなく複合機91宛の電子メールをチェックできるので、全体として消費電力を節減することができる。
また、本実施形態では、省電力モードにある複合機91の代わりに複合機90がメールチェックを行った結果、印刷すべきメールがあった場合は、複合機90自身がプリントデータを作成し、当該プリントデータを送信して複合機91に印刷を指示する構成となっている(S111、S112)。これにより、複合機91が印刷のためにサーバ100に接続して改めて電子メールを取得する必要がなくなるので、素早い印刷を実現することができる。
なお、上記では複合機90が複合機91の代わりにメールチェックをする場合を説明したが、これと同様に、複合機92が省電力モードにある場合は、複合機90は複合機92の代わりにメールチェックを行うようになっている。複数の複合機91,92を代理できるようにするため、複合機90のメモリ14には、複合機91,92のそれぞれについて、前述したアクセス情報及びサーバ100に対するアクセスの結果を個別に保存できるようになっている。
また、図1では複合機90,91,92が3台ある例を示しているが、複合機の数はこの例に限定されず、更に多くの複合機が設置されていても良い。本願発明では、1台の複合機がマスタとなり、残りの多数の複合機が非マスタとなるように設定すると、頻繁に省電力モードから復帰しなければならない複合機を1台だけにすることができる。これにより、電力消費にメリハリをつけることができ、省電力性を全体として大きく向上させることができる。
以上に説明したように、本実施形態の複合機90は、ネットワークアダプタ40と、メモリ14と、制御部13と、を備える。ネットワークアダプタ40は、ネットワークを通じて他の複合機91及びサーバ100と通信することが可能である。メモリ14は、複合機91から受信した、アクセス条件情報と、代行処理情報と、を含むアクセス情報を記憶する。アクセス条件情報は、当該複合機91がサーバ100にアクセスする条件の情報であって、具体的にはメールチェックの時間間隔である。代行処理情報は、当該複合機91の代わりに複合機90がサーバ100にアクセスしてメールチェック処理を行う場合に必要な情報であって、具体的には複合機91のメールアカウント及びパスワード、サーバ100のアドレス等である。(複合機90の)制御部13は、複合機91が省電力モードであるときに上記時間間隔で定められた時間を経過した場合に、サーバ100に対し当該複合機91に代わってアクセスし、前記代行処理情報を使用して、メールチェック処理を代行する。
これにより、サーバ100へのアクセスのために複合機91が省電力モードから復帰するのを防止できるので、ネットワーク全体での消費電力を低減することができる。一方で、複合機91のために行うサーバ100へのアクセス自体は複合機90によって行われているので、複合機91の適切な動作を維持することができる。
また、本実施形態において、サーバ100は電子メールの受信サーバ(POPサーバ)として動作する。前記アクセス条件情報は、サーバ100に対するアクセス時間間隔を含んでいる。(複合機90の)制御部は、複合機91が省電力モードであり、かつ前記アクセス時間間隔で定められた時間が経過した場合には、サーバ100に対し当該複合機91に代わってアクセスし、複合機91を宛先とする電子メールの到着の有無をサーバ100に対して問い合わせる。
これにより、複合機91について定期的に行う必要があるメールチェック処理を複合機90が代理して行うことで、当該複合機91を省電力モードから復帰させる頻度を大きく減らすことができる。従って、ネットワーク全体での消費電力を低減することができる。
また、複合機90の制御部13は、サーバ100から取得した電子メールの内容に基づいて作成したプリントデータを複合機91に送信し、当該プリントデータを前記複合機91に印刷させることが可能に構成されている。
これにより、複合機91が電子メールの内容をサーバ100から取得する処理を省略できるので、素早い印刷処理を実現できる。
次に、複合機91がIPアドレスのリース期限更新について複合機90に代行を依頼する場合について説明する。
最初に、複合機91において省電力モードが解除されている場合の動作について説明する。この場合、複合機91は、当該複合機91にリースされたIPアドレスの期限が経過する前の適宜のタイミング(具体的には、期限までの残り時間が所定時間以下となったタイミング)で、DHCPサーバ(サーバ100)にアクセスして、リース期限の更新を依頼する。このときにサーバ100に通知される情報としては、既に複合機91に割り当てられているIPアドレス、複合機91が有するMACアドレス等が挙げられる。この依頼に応じて、サーバ100は当該IPアドレスのリース期限を更新し、更新後のリース期限を複合機91に通知する。この通知を受けた複合機91は、自機で記憶しているリース期限を新しい値に書き換える。
一方で、複合機91が省電力モードに移行する際には、マスタである複合機90と通信し、IPアドレスのリース期限更新について代行を依頼する。このときに複合機91が複合機90へ送信する情報には、既に複合機91に割り当てられているIPアドレス、当該IPアドレスのリース期限、IPアドレスの割当てを行ったDHCPサーバの所在を示すアドレス、複合機91自身が有するMACアドレスの情報等が含まれている。この例では、IPアドレスのリース期限が前記アクセス条件情報に相当する。また、既に複合機91に割り当てられているIPアドレス、IPアドレスの割当てを行ったDHCPサーバのアドレス、複合機91自身が有するMACアドレスの情報等が、前記代行処理情報に相当する。複合機90は、これらのアクセス条件情報及び代行処理情報を、アクセス情報としてメモリ14に記憶する。
その後、複合機91は間もなく省電力モードに移行するが、この省電力モードでは、IPアドレスのリース期限が迫ったとしても、複合機91がリース期限の更新に関する処理を行うことはない。即ち、マスタとしての複合機90が、代行の依頼時に指定されたリース期限が経過する前の適宜のタイミングで、サーバ100に対し複合機91の代わりにアクセスする。そして複合機90は、複合機91のMACアドレス等の情報を送信してIPアドレスのリース期限の更新依頼を行う。従って、複合機91がIPアドレスの割当てを維持するために頻繁に省電力モードから復帰することが防止され、消費電力を効果的に節減することができる。
上記の更新依頼に応じて、サーバ100は当該IPアドレスのリース期限を更新し、更新後のリース期限を複合機90に通知する。複合機90は、通知された新しいリース期限をメモリ14に記憶する。その後、複合機91が省電力モードから復帰すると、複合機91はマスタとしての複合機90にその旨を通知する。複合機91から省電力モードの解除通知を受けた複合機90は、複合機91のIPアドレスに関する更新後のリース期限をメモリ14から読み出し、当該複合機91に通知する。複合機91は、この通知に基づき、自機で記憶しているリース期限を新しい値に書き換える。
なお、上記の例では、複合機91が省電力モードから復帰したときに、直ちにその旨を複合機90に通知することで新しいリース期限を取得しているが、この構成に限定されない。例えば、複合機91は、省電力モードが解除された後に、任意の適当なタイミングで代行処理結果の通知要求を複合機90に対して行うこととし、複合機90が当該通知要求に応じて、更新後のリース期限を複合機91に送信するように構成することもできる。
以上のような複合機90の代理アクセスにより、複合機91自身がサーバ100にアクセスすることなく、当該複合機91に割り当てられたIPアドレスの期限を更新することができる。この結果、複合機91の省電力モードからの復帰頻度を減らし、全体として電力を節減することができる。
なお、上記で説明したIPアドレスのリース期限更新の場合も、マスタ側の複合機90の制御は図2に示すフローチャートに即した形で行われる。ただし、IPアドレスのリース期限の更新依頼について結果を印刷することはないので、図2のS105〜107、S110〜112の処理は省略される。なお、これは、後述のSNTPサーバを用いた時刻合わせ、及びインターネットファクシミリの送信予約においても同様である。
以上に示すように、本実施形態において、サーバ100はDHCPサーバとして動作する。前記アクセス条件情報は、複合機91に割り当てられたIPアドレスに関するリース期限を含んでいる。そして、(複合機90の)制御部13は、複合機91が省電力モードであるときに前記リース期限が近づいた場合は、サーバ100に対し複合機91に代わってアクセスし、IPアドレスのリース期限の更新要求を行う。
これにより、複合機91について定期的に行う必要があるIPアドレスのリース期限の更新処理を複合機90が代理して行うことで、当該複合機91を省電力モードから復帰させる頻度を減らすことができる。従って、ネットワーク全体での消費電力を低減することができる。
また、本実施形態において(複合機90の)制御部13は、サーバ100へのアクセス(IPアドレスのリース期限の更新要求)を複合機91に代わって行った後に当該複合機91が省電力モードから復帰した場合には、更新要求の結果として得られた新しいリース期限を当該複合機91に送信する。
これにより、複合機91は、省電力モード中に複合機90がサーバ100にアクセスした結果の情報を引き継いだ形で動作することで、次回以降のリース期限の更新処理を適切に行うことができる。
次に、複合機91がSNTPサーバへのアクセスについて複合機90に代行を依頼する場合について説明する。
最初に、複合機91において省電力モードが解除されている場合の動作について説明する。この場合、複合機91は、所定のSNTPサーバ(サーバ100)に対し予め設定された時間間隔(問合せの時間間隔)で繰り返しアクセスして、現在時刻を問い合わせる。サーバ100は、サーバ100の内部時計に基づき、複合機91に対して現在時刻を通知する。複合機91は、通知された時刻に基づいて内部時計の時刻合わせ処理を行う。
一方で、複合機91が省電力モードに移行する際には、マスタである複合機90と通信し、サーバ100への時刻問合せについて代行を依頼する。このときに複合機91が複合機90へ送信する情報には、SNTPサーバの所在を示すアドレス、問合せの時間間隔の情報等が含まれている。この例では、問合せの時間間隔が前記アクセス条件情報に相当する。また、SNTPサーバのアドレス等が、前記代行処理情報に相当する。
その後、複合機91は間もなく省電力モードに移行するが、この省電力モードでは、問合せの時間間隔の時間が経過したとしても、複合機91が現在時刻をサーバ100に問い合わせることはない。即ち、マスタとしての複合機90が、代行の依頼時に指定された時間間隔でサーバ100に対し複合機91の代わりにアクセスし、現在時刻を取得して記憶する。従って、複合機91を頻繁に省電力モードから復帰させることなく、当該複合機91の内部時計の精度を維持することができるので、消費電力を効果的に節減することができる。
その後、複合機91が省電力モードを解除して平常モードに復帰すると、複合機91はマスタとしての複合機90にその旨を通知する。複合機90は、省電力モード中に複合機91に代わって現在時刻をサーバ100に問い合わせたときの時刻と、そのときサーバ100から得られた時刻と、現在時刻(複合機90の内部時計の時刻)と、を当該複合機91に返答する。複合機91は、それらの情報に基づいて現在時刻を計算し、自機の内部時計を合わせる処理を行う。以上により、複合機91自身がサーバ100にアクセスすることなく、当該複合機91が省電力モードから復帰した直後のタイミングで内部時計を正確に合わせることができる。この結果、複合機91の省電力モードからの復帰頻度を減らし、電力を節減することができる。
以上に説明したように、本実施形態において、サーバ100はSNTPサーバとして動作する。前記アクセス条件情報は、サーバ100に対する問合せ時間間隔を含んでいる。複合機90の制御部13は、複合機91が省電力モードであり、かつ前記問合せ時間間隔で定められた時間が経過した場合には、サーバ100に対し当該複合機91に代わってアクセスし、当該サーバ100に現在時刻を問い合わせる。
これにより、複合機91について定期的に行う必要がある時刻同期処理を複合機90が代理して行うことで、当該複合機91を省電力モードから復帰させる頻度を大きく減らすことができる。従って、全体として消費電力を低減することができる。
次に、複合機91が、インターネットファクシミリ送信予約の実行について複合機90に代行を依頼する場合について説明する。
最初に、複合機91において省電力モードが解除されている場合の動作について説明する。この場合、複合機91は、インターネットファクシミリの送信予約で指定された送信時刻が到来しているか否かを調べる。送信時刻が到来していた場合は、複合機91は、送信予約に係る画像データを添付した電子メールを作成した上で、送信先のファクシミリ装置(例えば複合機92)で動作するSMTPサーバに接続して、当該電子メールを送信する。
一方で、送信予約で指定された送信時刻が到来する前に複合機91が省電力モードに入る際には、複合機91は、マスタとしての複合機90と通信し、インターネットファクシミリの送信予約の処理について代行を依頼する。このときに複合機91が複合機90へ送信する情報には、メールアカウント及びパスワード等のアカウント情報と、上記の画像データと、送信元の複合機91を示すメールアドレスと、送信先の複合機92を示すメールアドレスと、指定された送信時刻と、が含まれている。この例では、指定された送信時刻が、前記アクセス条件情報に相当する。また、アカウント情報、画像データ、送信元の複合機91を示すメールアドレス、及び送信先の複合機92を示すメールアドレス等が、前記代行処理情報に相当する。
なお、複合機91が代行処理を依頼するときに複合機90に送信するアクセス情報には、上記のように、パスワード等の機密性の高い情報が含まれている。そこで、複合機91は、前記アクセス情報の全部又は一部を暗号化した上で、複合機90に送信するようになっている。
その後、複合機91は間もなく省電力モードに移行するが、この省電力モードでは、送信予約で指定された送信時刻が到来したとしても、複合機91が電子メールの送信処理(インターネットファクシミリの送信処理)を行うことはない。送信時刻が到来した場合は、マスタとしての複合機90が画像データ付きの電子メールを作成した上で、複合機92で動作するSMTPサーバに対し複合機91の代わりにアクセスし、当該電子メールを送信する。従って、複合機91が送信予約の実行のために省電力モードから復帰することが防止され、消費電力を効果的に節減することができる。
以上に説明したように、本実施形態において、複合機92はSMTPサーバとして動作する。前記アクセス情報は、複合機91で取得された画像データをインターネットファクシミリにて送信すべき時刻である送信予約時刻を含んでいる。複合機90の制御部13は、複合機91が省電力モードであるときに、複合機92に対し複合機91に代わってアクセスし、前記画像データを含むメールを複合機92に送信する。
これにより、複合機91においてインターネットファクシミリ送信予約を実行する処理を複合機90が代理して行うことで、当該複合機91を省電力モードから復帰させる頻度を減らすことができる。従って、全体での消費電力を低減することができる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
上記実施形態では、3台の複合機90,91,92のうち複合機90がマスタとして動作する例を示したが、他の複合機91,92がマスタとして動作するように設定しても良い。また、マスタとして動作していた複合機90に障害が発生する等してマスタとしての動作が不可能になった場合には、他の複合機91,92がマスタとして自動的に動作するように構成しても良い。
また、マスタとして動作する通信端末装置が、上記の実施形態のように複合機(画像形成装置)として構成されている必要もない。例えば、サーバをLAN81に別途接続した上で、複合機90,91,92が省電力モードである場合は、サーバ100に対するアクセスを当該サーバが代行するように構成しても良い。
上記の実施形態では、サーバ100がDHCPサーバ、SNTPサーバ、メールサーバとして動作しているが、この構成に限られない。例えば、DHCPサーバやSNTPサーバがルータ72で動作する構成に変更することができる。また、SNTPサーバの代わりに、例えばNTPサーバが動作するように構成することができる。
上記の実施形態においては、複合機91から送信されたアクセス情報、及び、複合機91の代理としてサーバ100にアクセスした結果の情報は、複合機90のメモリ14に保存される。しかしながら上記の構成に限定されるものでもなく、これらの情報を例えばフラッシュメモリ15に保存しても良い。
複合機90,91,92は、上記ではコピーファクシミリ複合機として構成されているが、例えばネットワークスキャナ、ネットワークプリンタ等として構成することもできる。