JP5664818B1 - 高分子多孔質膜及び高分子多孔質膜の製造方法 - Google Patents

高分子多孔質膜及び高分子多孔質膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 水処理膜の製造において疎水性ポリマーの親水化剤として従来用いられてきた化合物を用いずに得られる水処理用として用いることができる高分子多孔質膜を提供する。【解決手段】 フッ化ビニリデン単位を有するフルオロポリマー(A)と、特定の単量体(a)由来の重合単位、及び、特定の単量体(b)由来の重合単位を有するポリマー(B)とからなることを特徴とする高分子多孔質膜。【選択図】 なし

Description

本発明は、高分子多孔質膜及び高分子多孔質膜の製造方法に関する。
近年、多孔質膜は、浄水処理、排水処理などの水処理分野、血液浄化などの医療用途、食品工業分野等をはじめ、荷電膜、電池用セパレーター、燃料電池等の様々な方面で利用されている。
例えば、水処理分野においては、従来の砂濾過、凝集沈殿過程の代替や、処理水質向上のために、水処理膜として多孔質膜が用いられるようになってきている。このような水処理分野では処理水量が多いため、高分子多孔質膜の透水性能が優れていることが要求される。透水性能が優れていれば、膜面積を減らすことが可能となるため、浄水装置がコンパクトになり、設備費の低コスト化が期待できる。
また、浄水処理では、膜の薬液洗浄のために、アルカリ溶液等で膜を洗浄することがあり、高分子多孔質膜には耐薬品性能が求められている。近年では耐薬品性の高い素材としてポリフッ化ビニリデン樹脂等のフルオロポリマーを用いた多孔質膜が研究されているが、フッ化ビニリデン樹脂等は疎水性ポリマーであるため、処理過程で処理水に含まれる固形物質や溶存成分が膜に付着して取れにくくなること(ファウリング)が問題となることから、フルオロポリマーを親水化して水処理膜とすることが検討されている。
上記疎水性ポリマーを親水化して水処理膜とした例としては、例えば、分解反応で親水性化学種を発生させる親水化剤の分解物と、ポリフッ化ビニリデン系樹脂とを含有してなる親水化多孔質膜(例えば、特許文献1参照。)、酢酸セルロースとポリフッ化ビニリデンを含有し、全ポリマー成分中のポリフッ化ビニリデンの含有割合が5〜60質量%である水処理用半透膜(例えば、特許文献2参照。)、50〜99重量パーセントの少なくとも1つのポリフッ化ビニリデン(PVDF)ポリマーまたはコポリマーと、1〜50重量パーセントの少なくとも1つのアクリルポリマーとを含む均質なポリマーブレンドを含む耐苛性膜(例えば、特許文献3参照。)や、ポリフッ化ビニリデン系樹脂と、主鎖がアクリル酸エステル系重合体および/またはメタクリル酸エステル系重合体、側鎖がエチレンオキサイド系重合体および/またはプロピレンオキサイド系重合体であるグラフト共重合体の混合物を主成分として構成される多孔質膜であって、前記側鎖の重合度が25以下であり、かつ、前記側鎖が前記グラフト共重合体中に55重量%以上含まれている多孔質膜(例えば、特許文献4参照。)等が開示されている。
また、ポリフッ化ビニリデン系樹脂と、ポリアクリル酸エステル系樹脂および/またはポリメタクリル酸エステル系樹脂と、ポリビニルピロリドン系樹脂を含んでいる多孔質膜や、ポリフッ化ビニリデン系樹脂と、アクリル酸エステル系単量体および/またはメタクリル酸エステル系単量体とビニルピロリドンを主成分とする共重合体を含んでいる多孔質膜が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。
特開2005−296846号公報 特開2006−326497号公報 特表2010−526885号公報 特開2007−723号公報 特開2006−205067号公報
本発明は、水処理膜の製造において疎水性ポリマーの親水化剤として従来用いられてきた化合物を用いずに得られる水処理用として用いることができる高分子多孔質膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、高分子多孔質膜を、フッ化ビニリデン単位を有するフルオロポリマーと、特定の重合単位を有するポリマーとからなるものとすることによって、上記課題をみごとに解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、フッ化ビニリデン単位を有するフルオロポリマー(A)と、下記一般式(1):
Figure 0005664818
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rfは、炭素数1〜25のフッ素化アルキル基を表す。)で表される単量体(a)由来の重合単位、及び、下記一般式(2):
Figure 0005664818
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、炭素数1〜10のアルキレン基を表す。Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は、炭素数1〜10のアルキル基の水素原子が1個以上水酸基に置換された基を表す。mは、0〜200の整数を表す。ただし、m=0の場合は、Rは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基の水素原子が1個以上水酸基に置換された基を表す。)で表される単量体(b)由来の重合単位を有するポリマー(B)とからなることを特徴とする高分子多孔質膜である。
本発明の高分子多孔質膜は、フッ化ビニリデン単位を有するフルオロポリマー(A)と、下記一般式(1):
Figure 0005664818
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rfは、炭素数1〜10のフッ素化アルキル基を表す。)で表される単量体(a)由来の重合単位、及び、下記一般式(2):
Figure 0005664818
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、炭素数1〜10のアルキレン基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。mは、1〜200の整数を表す。)で表される単量体(b)由来の重合単位を有するポリマー(B)とからなることが好ましい。
上記ポリマー(B)は、フルオロポリマー(A)に対して0.01〜40質量%であることが好ましい。
上記ポリマー(B)は、単量体(a)由来の重合単位からなるセグメントと、単量体(b)由来の重合単位からなるセグメントとからなるランダムポリマーであってもよいし、ブロックポリマーであっても良いが、ブロックポリマーであることが好ましい。
上記ポリマー(B)は、重量平均分子量が1000〜2000000であることが好ましい。
上記高分子多孔質膜は、中空糸膜であることが好ましい。また、上記高分子多孔質膜は、平膜であることも好ましい。更に、上記高分子多孔質膜は、水処理用であることも好ましい。
本発明の高分子多孔質膜は、上述の構成よりなるものであるため、水処理膜の製造において疎水性ポリマーの親水化剤として従来用いられてきた化合物を用いずに水処理膜を製造することができるものである。
以下に本発明を詳述する。
本発明の高分子多孔質膜は、フッ化ビニリデン単位を有するフルオロポリマー(A)と、上記一般式(1)で表される単量体(a)由来の重合単位及び上記一般式(2)で表される単量体(b)由来の重合単位を有するポリマー(B)とからなるものであって、該ポリマー(B)は、フルオロポリマー(A)を親水化することができるものである。
上記ポリマー(B)の高分子多孔質膜中の含有量としては、フルオロポリマー(A)に対して0.01〜40質量%であることが好ましい。このように、本発明においては、ポリマー(B)の高分子多孔質膜中の含有量が上記範囲のように少量であってもフルオロポリマー(A)を親水化することができる。ポリマー(B)の高分子多孔質膜中の含有量としてより好ましくは、フルオロポリマー(A)に対して、0.05〜30質量%であり、0.10〜25質量%であることが更に好ましい。
上記フッ化ビニリデン単位を有するフルオロポリマー(A)は、構成単位中に少なくともフッ化ビニリデン由来の構成単位を有するものであり、ポリフッ化ビニリデン、又は、フッ化ビニリデン単位を有する共重合体である。
上記ポリフッ化ビニリデンは、全構成単位がフッ化ビニリデン単位である形態の他、その他の構成単位を更に有する形態であってもよいが、全構成単位に占めるフッ化ビニリデン単位の割合は90モル%を超えていることが好ましい。より好ましくは92モル%以上であり、更に好ましくは95モル%以上である。
上記ポリフッ化ビニリデンに含まれていてもよいその他の構成単位としては、ヘキサフルオロプロピレン単位、クロロトリフルオロエチレン単位、パーフルオロビニルエーテル単位、ビニルアルコール単位、ビニルエステルモノマー単位、不飽和カルボン酸エステルモノマー単位等が挙げられる。
上記ポリフッ化ビニリデンの重量平均分子量は、高分子多孔質膜の機械的強度及び加工性の観点から、30000〜2000000であることが好ましく、50000〜1000000であることがより好ましい。
上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。
上記フッ化ビニリデン単位を有する共重合体としては、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が挙げられる。機械的強度及び耐アルカリ性の観点から、フッ化ビニリデン単位を有する共重合体は、特にフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体であることが好ましい。
成膜性及び耐アルカリ性の観点から、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体は、フッ化ビニリデン単位及びテトラフルオロエチレン単位のモル比(フッ化ビニリデン単位/テトラフルオロエチレン単位)が50〜99/50〜1であることが好ましい。このようなポリマーとしては、例えば、ダイキン工業(株)製のネオフロンVT50、VP50、VT100、VP100、VP101、VP100X等が挙げられる。フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体は、フッ化ビニリデン単位/テトラフルオロエチレン単位がモル比で50〜90/50〜10であることがより好ましい。また、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体は、フッ化ビニリデン単位及びテトラフルオロエチレン単位のみからなるフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体の他に、フッ化ビニリデン単位及びテトラフルオロエチレン単位に加えて、特性を損なわない範囲でヘキサフルオロプロピレン単位、クロロトリフルオロエチレン単位、パーフルオロビニルエーテル単位、ビニルアルコール単位、ビニルエステルモノマー単位等のその他の構成単位を有する三元共重合体でもよい。
なお、上記フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体がフッ化ビニリデン単位及びテトラフルオロエチレン単位に加えて、その他の構成単位を更に有する場合、全構成単位に占めるフッ化ビニリデン単位及びテトラフルオロエチレン単位の合計の割合は、80モル%以上であることが好ましく、85モル%以上であることがより好ましい。更に好ましくは90モル%以上である。
上記フッ化ビニリデン単位を有する共重合体の重量平均分子量は、機械的強度及び成膜性の観点からは、10000以上であることが好ましい。より好ましくは、50000〜1000000であり、更に好ましくは、100000〜900000である。
上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。
上記フルオロポリマー(A)は、例えば、フッ化ビニリデンを含むフルオロポリマー(A)の構成単量体を通常行われる従来公知の方法で製造することができる。例えば、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等の重合方法によって製造することができるが、工業的に実施が容易である点で、乳化重合又は懸濁重合により製造することが好ましい。上記の重合においては、重合開始剤、界面活性剤、連鎖移動剤、及び、溶媒を使用することができ、それぞれ通常用いられるものを使用することができる。
上記ポリマー(B)は、下記一般式(1):
Figure 0005664818
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rfは、炭素数1〜25のフッ素化アルキル基を表す。)で表される単量体(a)由来の重合単位、及び、下記一般式(2):
Figure 0005664818
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、炭素数1〜10のアルキレン基を表す。Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は、炭素数1〜10のアルキル基の水素原子が1個以上水酸基に置換された基を表す。mは、0〜200の整数を表す。ただし、m=0の場合は、Rは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基の水素原子が1個以上水酸基に置換された基を表す。)で表される単量体(b)由来の重合単位を有するポリマーであるが、ポリマー(B)は、上記単量体(a)由来の重合単位及び上記単量体(b)由来の重合単位を有する限り、その他の単量体(c)由来の重合単位を有していてもよい。
上記単量体(a)は、下記一般式(1):
Figure 0005664818
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rfは、炭素数1〜25のフッ素化アルキル基を表す。)で表される単量体であるが、式中のRfの炭素数としては、1〜12が好ましく、1〜10がより好ましく、4〜10が更に好ましく、6〜10が特に好ましい。
上記一般式(1)中のRfとしては、例えば、
式(3):
−(CH−(CF−X (3)
(ここでnは1〜20の整数、mは1〜12の整数、Xは水素もしくはフッ素を表す。ただし、m+n<26。)、
式(4):
−(CH−(CF−(O−(CF(CF−X (4)
(ここでaは1〜12の整数、bは0〜12の整数、cは1〜12の整数、dは1〜25の整数、eは0〜12の整数、Xは水素もしくはフッ素を表す。ただし、a+b+c×d+e<26。)
等があげられる。
具体的には、−CH−CF、−CH−CFCF、−CH−CFCFH、−CH−CFCFCFCF、−CH−CFCFCFCFH、−CH−CF−CFH−CF、−CHCH−CFCFCFCF、−CHCH−(CF−F、−CHCH−(CF−F、−CHCH−(CF−F、−(CH−(CF−F、
Figure 0005664818
Figure 0005664818
等が挙げられる。
これらの中でも、(CF−X等のパーフルオロアルキル基含有基が好ましく、(CF−Fがより好ましい。更に好ましくは、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロエチル基であり、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロブチル基が特に好ましい。
上記単量体(a)としては、具体的には、
Figure 0005664818
等の1種又は2種以上が挙げられる。これらの中でも、
Figure 0005664818
の1種又は2種以上が好ましい。
上記単量体(b)は、下記一般式(2):
Figure 0005664818
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、炭素数1〜10のアルキレン基を表す。Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は、炭素数1〜10のアルキル基の水素原子が1個以上水酸基に置換された基を表す。mは、0〜200の整数を表す。ただし、m=0の場合は、Rは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基の水素原子が1個以上水酸基に置換された基を表す。)で表される単量体である。
上記一般式(2)中のRは、炭素数1〜10のアルキレン基を表し、よって、ROは、炭素数1〜10のオキシアルキレン基を表すこととなるが、当該ROとしては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシペンチレン基等の1種又は2種以上が挙げられる。これらの中でも、オキシエチレン基が好ましい。
上記一般式(2)中のmは、ROの繰り返し数を表し、0〜200の整数である。mとしては、1〜200であることが好ましく、1〜100であることがより好ましく、1〜50であることがより更に好ましい。
なお、mが2以上である場合には、ROは異なる2種以上であってもよく、ROに異なる2種以上のオキシアルキレン基が含まれる場合のそれらの結合位置は特に制限されず、ランダム状であってもよいし、ブロック状であってもよいし、交互であってもよい。
また、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は、炭素数1〜10のアルキル基の水素原子が1個以上水酸基に置換された基を表す。Rとしては、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましい。親水性が増すため、水酸基がRにあることが好ましい。水酸基の置換される数は特に限定はないが、合成の容易さや親水性の観点から1個が好ましい。また、Rに水酸基がある場合は、mは、0が好ましい。
上記単量体(b)としては、具体的には、アルキル基末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとして、
メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート:
CH=CR−COO−(CO)−CH n=2〜20、
エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロポキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルブェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等があげられる。水酸基末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとして、
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート:
CH=CR−COO−(CO)−H n=2〜20、
ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート:
CH=CR−COO−(CO)−H n=2〜20、
ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート:
CH=CR−COO−(CO)−(CO)−H n=1〜20、m=1〜20、
ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート:
CH=CR−COO−(CO)−(CO)−H n=1〜20、m=1〜20、
ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノメタクリレート:
CH=CR−COO−(CO)−(CO)−H n=1〜20、m=1〜20等があげられる。
上記と重複するが、エトキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ−トリエチレングルコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグルコール(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングルコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリル酸エステルや、
Figure 0005664818
等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類があげられる。これらの中でも、アルキル基末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートが好ましい。中でもメトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが好ましい。このような単量体としては、例えば、日油社製のブレンマーPMEシリーズ、ブレンマーAMEシリーズ、ブレンマー50POEP−800B、ブレンマー50AOEP−800B等が挙げられる。
上記その他の単量体(c)としては、(a)(b)以外のアクリルモノマー、スチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸エステル等の1種または2種以上があげられる。
上記ポリマー(B)における各重合単位の含有量は、たとえば次の範囲が好ましい。
上記単量体(a)由来の重合単位の含有量は、ポリマー(B)の全重合単位に対して、1〜80モル%であることが好ましい。より好ましくは、20〜70モル%である。
上記単量体(b)由来の重合単位の含有量は、ポリマー(B)の全重合単位に対して、1〜80モル%であることが好ましい。より好ましくは、20〜70モル%である。
上記単量体(c)由来の重合単位は任意成分であるが、ポリマー(B)が単量体(c)由来の重合単位を有する場合の当該重合単位の含有量は、ポリマー(B)の全重合単位に対して、0〜60モル%であることが好ましい。より好ましくは、0〜30モル%である。
上記ポリマー(B)における各重合単位の含有量は、上述した各重合単位の含有量の範囲内で合計量が100モル%になるように選択される。
上記ポリマー(B)は、単量体(a)由来の重合単位からなるセグメントと、単量体(b)由来の重合単位からなるセグメントとからなるランダムポリマーであってもブロックポリマーでもよいが、ブロックポリマーであることが好ましい。ポリマー(B)としてこのようなブロックポリマーを用いることによって、コポリマー(B)のフルオロポリマー(A)との相溶性を改善することができ、高分子多孔質膜使用時のコポリマー(B)の流出をより抑制することができる。
なお、このようなブロックポリマーは新規な化合物である。
上記ブロックポリマーは、上述した単量体(a)に由来する重合単位からなるセグメントと、上述した単量体(b)に由来する重合単位からなるセグメントとをブロック重合することによって得られるポリマーであることが好ましい。当該ブロックポリマーにおいては、単量体(a)に由来する重合単位からなるセグメント、及び、単量体(b)に由来する重合単位からなるセグメントは、1つずつであってもよいし、いずれか又はその両方ともが複数個含まれていてもよい。
当該ブロックポリマーの製造方法については後で詳述する。
上記ポリマー(B)は、重量平均分子量が1000〜2000000であることが好ましい。ポリマー(B)の重量平均分子量がこのような範囲であると、フッ化ビニリデン単位を有するフルオロポリマー(A)との相溶性が高く、かつ親水性向上の効果も高く好ましい。ポリマー(B)の重量平均分子量としてより好ましくは、3000〜500000であり、更に好ましくは、5000〜200000である。
上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。
上記ポリマー(B)の製造方法としては、通常のラジカル重合、イオン重合のほかリビングラジカル重合、リビングアニオン重合等が使用できる。反応速度の異なるモノマーを用いたり、モノマーの仕込み量を調整したりすることで、ポリマー(B)の組成を制御することができる。また、開始剤の量や反応時間を調整することで目的とする分子量を得ることができる。さらにリビング重合で、モノマーの供給のタイミングを調整することで、ブロックポリマーを得ることができる。具体的には、例えば、最初に開始剤とモノマー(a)を仕込み、重合を開始させた後、モノマー(a)がほとんど消費された時点でモノマー(b)を添加し、重合を行う方法などである。
本発明のブロック共重合体は、リビングラジカル重合法によって製造することが好ましい。
前記リビングラジカル重合とは、熱、光、金属触媒等を作用させ、成長反応における少量の成長ラジカル(フリーラジカル)種と多量の休止(ドーマント)種の素早い平衡を確立させる事に基づいている。休止(ドーマント)鎖により諸種の形式のリビングラジカル重合が提案されている。
例えば、ドーマントとしてハロゲン化アルキルを用いるATRP法(原子移動ラジカル重合法)、チオエステルを用いるRAFT法(reversible additionfragmentation chain transfer)、アルコキシアミンを用いるNMP法(nitroxide mediated polymerization)等が提案されている。
前記ATRP法(原子移動ラジカル重合法)は、反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する重合開始剤と重合触媒となる遷移金属錯体とを用いてビニル系モノマーを重合させる方法である(特表2000−514479号公報のほか、澤本光男ら、Macromolecules 1995, 28, 1721)。
また、RAFT法は、通常のラジカル重合の系にラフト剤と呼ばれる高い連鎖移動定数を有する連鎖移動剤を添加してビニル系モノマーを重合させる方法である(M. G. Moadら、Macromolecules 1998, 31, 5559)。ラフト剤としては、チオエステルを使用することができる。
また、前記NMP法はアルコキシアミンを熱開裂させて安定なニトロキサイドおよびポリマ−ラジカルを生成させ、ポリマーラジカルにビニル系モノマーを重合させる方法である(M. K. Georgesら、Macromolecules 1993, 26, 2987)。開裂下ニトロキサイドは重合を開始せずに炭素中心フリーラジカルとのみ反応する。ニトロキサイドとモノマーと反応したポリマーラジカルとは再び結合してドーマントとして安定に存在することができる。以上のようなプロセスにてリビングラジカル重合が進行する。
本発明におけるリビングラジカル重合とは上記の方法のいずれを用いてもよく、特に制限はないが、原料の選択幅が広い等の点から原子移動ラジカル重合が好ましく使用される。
原子移動ラジカル重合法の詳細について以下に詳細に説明する。
前記重合開始剤としては重合開始点となる、塩素原子、臭素原子、あるいはヨウ素原子を少なくとも1つ有する化合物であれば特に制限はないが、通常、開始点となる塩素原子または臭素原子を1つまたは2つ有する化合物が使用される。
具体的に例示すると、例えば、ベンジルハライド、ハロゲン化アルカン、ハロエステル、ハロケトン、ハロニトリルおよびスルホニルハライド等が使用され、これらの中では原料の入手が容易である点からベンジルハライドが好ましい。ベンジルハライドの例としては1−フェニルエチルクロライドあるいは1−ブロモエチルベンゼン等が挙げられる。ハロゲン化アルカンとしてはクロロホルムあるいは四塩化炭素等が挙げられる。
ハロエステルの例としては、エチル2−ブロモイソブチレートあるいはエチル2−ブロモプロピオネート等が挙げられる。ハロケトンとしては、ブロモアセトンあるいはブロモアセトフェノン等が挙げられる。ハロニトリルとしては、2−ブロモプロピオニトリルが挙げられる。スルホニルハライドとしては、p−トルエンスルホニルクロリド等が挙げられる。
重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、反応系中の濃度として、通常0.01〜10モル/リットルから、好ましくは0.10〜5モル/リットルである。
前記遷移金属錯体としては、特に制限されないが、周期表7族〜11族から選ばれる遷移金属(M)を中心金属とする金属錯体である。
前記遷移金属(M)の具体例としては、例えば、Cu、Cu、Ni、Ni、Ni2+、Pd、Pd、Pt、Pt、Pt2+、Rh、Rh2+、Rh3+、Co、Co2+、Ir、Ir、Ir2+、Ir3+、Fe2+、Ru2+、Ru3+、Ru4+、Ru5+、Os2+、Os3+、Re2+、Re3+、Re4+、Re6+、Mn2+、Mn3+が挙げられる。これらの中では、触媒活性度の点からCu、Ni2+、Fe2+、Ru2+が好ましい。
遷移金属錯体に使われる金属化合物を例示する。1価の銅金属を有する銅化合物としては、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅等、2価のニッケルを有するニッケル化合物としては、二塩化ニッケル、二臭化ニッケル、二ヨウ化ニッケル等、二価の鉄を有する鉄化合物としては、二塩化鉄、二臭化鉄、二ヨウ化鉄等、2価のルテニウムを有するルテニウム化合物としては、二塩化ルテニウム、二臭化ルテニウム、二ヨウ化ルテニウム等が挙げられる。
重合溶媒への可溶化およびレドックス共役錯体の可逆的な変化を可能にして触媒活性を高める点で、上記遷移金属(M)に対して有機配位子を配位させる方が好ましい。金属への配位原子としては、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子等が挙げられるが、好ましくは窒素原子またはリン原子である。前記有機配位子の具体例としては、2,2’−ビピリジルおよびその誘導体、1,10−フェナントロリンおよびその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、トリス(ジメチルアミノエチル)アミン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等が挙げられる。有機配位子の使用量は、特に限定されないが、遷移金属(M)に対して、通常0.1〜100倍量であり、好ましくは1〜10倍量である。
遷移金属(M)の使用量は、特に限定されないが、重合開始剤の重合開始末端1モルに対し、通常0.01〜100モル、好ましくは0.1〜50モル、更に好ましくは0.1〜10モルである。
原子移動ラジカル重合は溶媒不存在下で行うことができるが、溶媒の存在下でも行うことができる。必要に応じて使用する溶媒としては、例えば、水;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のエステル化合物またはカーボネート化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、イソアミルアルコール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ベンゾトリフルオライド等のハロゲン化炭化水素類が挙げられる。
溶媒の使用量は、特に限定されないが、モノマー仕込み量100重量部に対し、通常0.1〜5000重量部、好ましくは1〜2000重量部、更に好ましくは10〜1000重量部である。
原子移動ラジカル重合は、通常−50〜200℃、好ましくは0〜150℃、更に好ましくは20〜130℃の温度で行われる。各物質の仕込み手順等に特に制限はなく、どのように仕込んでもよいが、重合開始剤以外の物質を先に溶解させ均一溶液を作製しておいて、重合温度に昇温する直前に開始剤を投入して重合することが好ましい。
重合終了後、重合反応液をそのまま第2ブロック鎖の形成工程(ii)に供するのが工業的には一般的である。しかしながら、必要に応じて、重合反応液から第一ブロック鎖を分離しても良い。例えば、周知の方法に従って、残存モノマーや溶媒の留去、適当な溶媒中での再沈殿、沈殿したポリマーの濾過または遠心分離、ポリマーの洗浄および乾燥を行うことができる。
また、生成ポリマーの良溶媒、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン等で重合溶液を希釈し、アルミナ、シリカまたはクレーのカラムもしくはパッドに通すことにより、触媒として使用した遷移金属錯体および有機配位子を反応溶液から除去することができる。その他、反応溶液に含まれる遷移金属および有機配位子を分液等の抽出操作により処理する方法、あるいは、反応溶液に金属吸着剤を分散させて処理する方法も採用し得る。
得られた含フッ素重合体は、必要により水や有機溶剤等に希釈または分散された後、乳濁液、有機溶剤溶液、エアゾール等の任意の形態に調製でき、高分子多孔質膜作製時に使用される。
フッ化ビニリデン単位を有するフルオロポリマー(A)と混合物を形成させるためには、好ましくは後述する良溶媒、たとえば、ジメチルアセトアミド等に溶解させて混合物を作製する。
なお、上記含フッ素ブロック共重合体は新規なポリマーであり、親水性部分と疎水性部分からなる両親媒性ブロック共重合体である。一般に両親媒性ブロック共重合体を水中に分散させると、乳濁して、エマルションを形成する。このとき、ミセルと呼ばれる分子会合体を形成することが広く知られている。
本明細書においてミセルとは、特に、親フッ素性部分と非フッ素性部分からなる分子会合体を表す。上記製造方法により得られる、フッ素系セグメントと非フッ素系セグメントを含むブロック共重合体を、フッ素系溶剤、例えば、ヘキサフルオロベンゼン、パーフルオロヘキサン等に分散させると、乳濁し、フッ素系セグメントを外側に、非フッ素系セグメントを内側とするミセルを形成することができ、非フッ素系溶剤、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、メタノール、水等に分散させると、逆のミセルを形成することができる。
ミセルの作成方法は、試料に溶剤を加えて混ぜて分散させる方法のほか、超音波を作用させて分散させる方法等が挙げられる。
上記含フッ素ブロック共重合体の親水化機能の発現のメカニズムは定かではないが、こういったミセル形成もなんらかの効果があるのではないかと考えられる。
本発明の高分子多孔質膜は、フッ化ビニリデン単位を有するフルオロポリマー(A)、及び、ポリマー(B)のみからなるものであってもよいし、フルオロポリマー(A)、ポリマー(B)、及び、その他の樹脂からなるものであってもよい。
本発明の高分子多孔質膜は、透水性の観点から、フルオロポリマー(A)及びポリマー(B)の合計が高分子多孔質膜全体の40質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。
上記その他の樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は、加熱すると外力によって変形又は流動する樹脂である。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、及びこれらの混合物や共重合体が挙げられる。これらと混和可能な他の樹脂を混和してもよい。
熱可塑性樹脂としては、耐薬品性が高いことから、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、及び、アクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
ポリエチレン系樹脂は、エチレンホモポリマー又はエチレン共重合体からなる樹脂である。ポリエチレン系樹脂は、複数の種類のエチレン共重合体からなるものでもよい。エチレン共重合体としては、プロピレン、ブテン、ペンテン等の直鎖状不飽和炭化水素から選ばれた1種以上とエチレンとの共重合体が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンホモポリマー又はプロピレン共重合体からなる樹脂である。ポリプロピレン系樹脂は、複数の種類のプロピレン共重合体からなるものでもよい。プロピレン共重合体としては、エチレン、ブテン、ペンテン等の直鎖状不飽和炭化水素から選ばれた1種類以上とプロピレンとの共重合体が挙げられる。
アクリル樹脂は、主としてアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、たとえばアクリルアミド、アクリロニトリル等の重合体を包含する高分子化合物である(ただし、ポリマー(B)は除く。)。特にアクリル酸エステル樹脂やメタクリル酸エステル樹脂が好ましい。
本発明の高分子多孔質膜がフルオロポリマー(A)、ポリマー(B)及び上記その他の樹脂からなる場合、当該その他の樹脂の種類及び量を調整することにより、高分子多孔質膜の膜強度、透水性能、阻止性能等を調整することができる。
本発明の高分子多孔質膜は、親水化の観点や、相分離制御の観点、機械的強度向上の観点から、更に、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリエチレンオキシド、モンモリロナイト、SiO、CaCO、ポリテトラフルオロエチレン等の添加剤を含んでいてもよい。
本発明の高分子多孔質膜は、孔径が2nm〜2.0μmであることが好ましく、5nm〜0.5μmであることがより好ましい。孔径が小さすぎると、気体や液体の透過率が不充分になるおそれがあり、孔径が大きすぎると、阻止性能の低下や、機械的強度が低下して破損しやすくなるおそれがある。
孔径は、細孔が明瞭に確認できる倍率で、SEM等を用いて高分子多孔質膜の表面の写真を撮り、細孔の直径を測定する。楕円形状の孔である場合、細孔の直径は、短径をa、長径をbとすると、(a×b)×0.5で求めることができる。また、微粒子阻止率から大まかな孔径を求めることが出来る。つまり、例えば50nmのポリスチレン微粒子等を90%以上阻止する多孔質膜は、50nm以下の孔径を有すると考えられる。
本発明の高分子多孔質膜は、例えば、50nmの微粒子を90%以上阻止する性能を有する場合、純水透過係数が1.0×10−9/m/s/Pa以上であることが好ましく、1.5×10−9/m/s/Pa以上であることがより好ましい。純水透過係数の上限は特に限定されないが、目的の阻止率及び強度を保持する範囲で、高い値であればあるほど望ましい。
純水透過係数は、温度25℃でイオン交換水を、必要に応じてポンプ又は窒素圧で0.01MPa以上に加圧し、作製した中空糸膜又は平膜でろ過することにより求めることができる。具体的には、下記式から求められる。
純水透過係数〔m/m/s/Pa〕=(透過水量)/(膜面積)/(透過時間)/(評価圧力)
本発明の高分子多孔質膜は、100nm又は50nmの微粒子の阻止率が90%以上であることが好ましく、より好ましくは、95%以上である。
微粒子阻止率は、粒径が制御されたポリスチレンラテックス微粒子をイオン交換水にて100ppm程度に希釈した分散溶液を評価原液としてろ過し、次式にて求められる。
微粒子阻止率(%)=((評価原液吸光度)−(透過液吸光度))/(評価原液吸光度)×100
本発明の高分子多孔質膜は、機械的強度の観点から、最大点破断強度が0.5MPa以上であることが好ましく、1.0MPa以上であることがより好ましい。2.0MPa以上であることがさらに好ましい。
最大点破断強度は、チャック間距離50mm、引張速度200mm/分の条件下で試験片の破断強度を測定し、引張試験前の断面積を単位測定面積として求めることができる。また、チャック間距離25mm、引張速度50mm/分の条件下で試験片の破断強度を測定し、引張試験前の断面積を単位測定面積としても求めることができる。なお、試験片を引っ張る向きは中空糸膜の場合は押出方向で、平膜の場合はキャストの方向である。
本発明の高分子多孔質膜は、靭性の観点から、最大点伸度が70%以上であることが好ましく、100%以上であることがより好ましい。
最大点伸度は、チャック間距離50mm、引張速度200mm/分の条件下で試験片の破断強度を測定し、チャック間距離50mmを基準にして最大点の伸び率より求められる。
また、チャック間距離25mm、引張速度50mm/分の条件下で試験片の破断強度を測定し、チャック間距離25mmを基準にして最大点の伸び率からも求められる。なお、試験片を引っ張る向きは中空糸膜の場合は押出方向で、平膜の場合はキャストの方向である。
本発明の高分子多孔質膜の構造は特に限定されない。例えば、固形分が三次元的に網目状に広がっている三次元網目状構造、多数の球状若しくは球状に近い形状の固形分が、直接若しくは筋状の固形分を介して連結している球状構造等であってもよい。また、これらの両方の構造を有していてもよい。
本発明の高分子多孔質膜の形状は、平膜形状又は中空糸膜形状であることが好ましい。
平膜形状の場合、本発明の高分子多孔質膜は、フルオロポリマー(A)及びポリマー(B)からなるフルオロポリマー層及び多孔質基材からなる複合膜でもよい。複合膜の場合、多孔質基材表面にフルオロポリマー(A)及びポリマー(B)からなるフルオロポリマー層が被覆されているものであってもよいし、多孔質基材とフルオロポリマー(A)及びポリマー(B)からなるフルオロポリマー層とが積層されているものであってもよい。
また、多孔質基材、フルオロポリマー(A)及びポリマー(B)からなるフルオロポリマー層、及び、フルオロポリマー(A)及びポリマー(B)以外の樹脂からなる樹脂層とからなる複合膜であってもよい。上記樹脂層を形成する樹脂としては、上述した熱可塑性樹脂が挙げられる。
多孔質基材としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリウレタン繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維、綿、絹等の有機繊維からなる織物、編物又は不織布が挙げられる。また、ガラス繊維、金属繊維等の無機繊維からなる織物、編物又は不織布も挙げられる。伸縮性、コストの観点からは、有機繊維からなる多孔質基材が好ましい。
多孔質基材の表面の孔径は、用途によって自由に選択できるが、好ましくは5nm〜100μm、より好ましくは8nm〜10μmである。
平膜形状の場合、高分子多孔質膜の厚みは、10μm〜2mmであることが好ましく、30μm〜500μmであることがより好ましい。上記の多孔質基材を用いた複合膜である場合においても高分子多孔質膜の厚みは上述の範囲内にあることが好ましい。
本発明の高分子多孔質膜は、単位面積、単位体積当たりの処理水量の観点から、中空糸膜形状であることがより好ましい。
中空糸膜形状の場合、中空糸膜の内径は100μm〜10mmが好ましく、150μm〜8mmがより好ましい。中空糸膜の外径は120μm〜15mmが好ましく、200μm〜12mmがより好ましい。
中空糸膜形状の場合、高分子多孔質膜の膜厚は、20μm〜3mmが好ましく、50μm〜2mmがより好ましい。また、中空糸膜の内外表面の孔径は、用途によって自由に選択できるが、好ましくは2nm〜2.0μm、より好ましくは5nm〜0.5μmの範囲である。
次に、本発明の高分子多孔質膜の製造方法について、説明する。
本発明の高分子多孔質膜は、フルオロポリマー(A)、ポリマー(B)、任意で界面活性剤、溶媒等を混合して混合物を得る工程、得られた混合物を多孔質膜状に成形する工程を行うことによって製造することができる。
上記フルオロポリマー(A)とポリマー(B)との混合工程は、フルオロポリマー(A)とポリマー(B)とを混練したり、フルオロポリマー(A)の水性分散液にポリマー(B)を加えて混合したり、ポリマー(B)の水性分散液にフルオロポリマー(A)を加えて混合したり、フルオロポリマー(A)の水性分散液とポリマー(B)の水性分散液とを混合したりして行うことができるが、該混合工程によって得られた混合物を多孔質膜状に成形する工程において採用する方法に応じて適宜行われる。
水性分散液を用いた混合の場合、混合した後に共凝析を行うことでフルオロポリマー(A)とポリマー(B)の混合体を得ることもできる。
なお、上記混合物における、フルオロポリマー(A)とポリマー(B)との配合比は、得られる本発明の高分子多孔質膜におけるフルオロポリマー(A)とポリマー(B)との含有比が上述した範囲となるように適宜設定される。
上記混合工程においては、フルオロポリマー(A)及びポリマー(B)の他、その他の樹脂も加えて混合してもよい。
上記その他の樹脂としては、既に説明した本発明の高分子多孔質膜に含有されうる、フルオロポリマー(A)及びポリマー(B)以外のその他の樹脂が挙げられる。
上記製造方法においては、フルオロポリマー(A)、ポリマー(B)、任意で界面活性剤、親水性ポリマー、溶媒等を混合して混合物を得る工程の後、得られた混合物を多孔質膜状に成形する工程を行う。
上記多孔質膜上に成形する工程は、種々の方法により行うことができ、例えば、相分離法、溶融抽出法、蒸気凝固法、延伸法、エッチング法、高分子シートを焼結することにより多孔質膜とする方法、気泡入りの高分子シートを圧潰することにより多孔質膜を得る方法、エレクトロスピニングを用いる方法等の成形方法を用いることができる。
上記溶融抽出法は、上記混合物に無機微粒子と有機液状体を溶融混練し、上記フルオロポリマー(A)の融点以上の温度で口金から押出したり、プレス機等により成形したりした後、冷却固化し、その後有機液状体と無機微粒子を抽出することにより多孔構造を形成する方法である。
上記蒸気凝固法は、上記混合物を得る際に、フルオロポリマー(A)とポリマー(B)に加え、良溶媒を混合して、良溶媒にフルオロポリマー(A)及びポリマー(B)が溶解した混合物を得、当該混合物からなる薄膜状物の少なくとも一方の表面に、上記良溶媒と相溶性がありフルオロポリマー(A)及びポリマー(B)を溶解しない非溶媒及び/又は貧溶媒の飽和蒸気又はミストを含む蒸気を強制的に供給する方法である。
上記多孔質膜の製造方法は、細孔サイズの制御が容易であることから相分離法が好ましい。相分離法としては、例えば、熱誘起相分離法(TIPS)、非溶媒誘起相分離法(NIPS)等が挙げられる。
熱誘起相分離法を用いる場合、フルオロポリマー(A)及びポリマー(B)を貧溶媒又は良溶媒である溶媒に、比較的高い温度で溶解させて混合物を得る工程、及び、該混合物を冷却固化する工程からなる製造方法により多孔質膜状の成形物を得ることができる。
フルオロポリマー(A)及びポリマー(B)が溶媒に溶解した混合物は、クラウドポイント(曇点)と呼ばれる温度よりも高い温度に維持されている場合は均一な1相の液体となるが、クラウドポイント以下では相分離が起こり、フルオロポリマー(A)及びポリマー(B)濃厚相と溶媒濃厚相の2相に分離し、さらに結晶化温度以下になるとポリマーマトリックスが固定化され、多孔質膜が形成する。
熱誘起相分離法を用いる場合、上記混合物は、フルオロポリマー(A)、ポリマー(B)及び溶媒との合計に対して10〜60質量%であることが好ましい。より好ましくは15〜50質量%である。
フルオロポリマー(A)及びポリマー(B)の濃度を適正な範囲に調整することにより、混合物の粘度を適切な範囲に調整することができる。混合物の粘度が適切な範囲になければ、高分子多孔質膜に成形することができないおそれがある。
上記貧溶媒は、フルオロポリマー(A)及びポリマー(B)を60℃未満の温度では5質量%以上溶解させることができないが、60℃以上かつ樹脂の融点(フルオロポリマー(A)及びポリマー(B)の融点、又は、その他の樹脂を含有する場合には、フルオロポリマー(A)、ポリマー(B)及び他の樹脂の融点のいずれかの融点のうち最も低い融点)以下では5質量%以上溶解させることができる溶媒のことである。貧溶媒に対し、60℃未満の温度でもフルオロポリマー(A)及びポリマー(B)を5質量%以上溶解させることができる溶媒を良溶媒という。樹脂の融点又は液体の沸点まで、フルオロポリマー(A)及びポリマー(B)を溶解も膨潤もさせない溶媒を非溶媒という。
貧溶媒としては、シクロヘキサノン、イソホロン、γ−ブチロラクトン、メチルイソアミルケトン、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、脂肪族多価アルコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレンカーボネート、ジアセトンアルコール、グリセロールトリアセテート等の中鎖長のアルキルケトン、エステル、グリコールエステル及び有機カーボネート等、並びに、その混合溶媒が挙げられる。HFC−365等の含フッ素溶媒、ジフェニルカーボネート、メチルベンゾエート、ジエチレングリコールエチルアセテート、ベンゾフェノン等も挙げられる。なお、非溶媒と貧溶媒の混合溶媒であっても、上記貧溶媒の定義を満たす溶媒は、貧溶媒である。
熱誘起相分離法を用いる場合、混合物の溶媒としては貧溶媒が好ましいが、この限りではなく、フルオロポリマーの相分離挙動の検討から良溶媒を用いる場合もある。
良溶媒としては、HCFC−225等の含フッ素溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、テトラヒドロフラン、テトラメチル尿素、リン酸トリメチル等の低級アルキルケトン、エステル、アミド、及び、これらの混合溶媒等が挙げられる。
非溶媒としては、水、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、トルエン、四塩化炭素、o−ジクロロベンゼン、トリクロロエチレン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、メタノール、エタノール、プロパノール、低分子量のポリエチレングリコール等の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、芳香族多価アルコール、塩素化炭化水素、又はその他の塩素化有機液体及びその混合溶媒等が挙げられる。
熱誘起相分離法を用いる場合、混合物を得る工程は、フルオロポリマー(A)及びポリマー(B)を貧溶媒又は良溶媒である溶媒に30〜270℃で溶解させるものであることが好ましい。溶解させる温度は40〜250℃であることが好ましい。比較的高温で溶解させた場合には、フルオロポリマー(A)及びポリマー(B)の合計濃度を高くすることができ、これにより、高い機械的強度を有する高分子多孔質膜を得ることができる。上記の濃度が高すぎると、得られる高分子多孔質膜の空隙率が小さくなり、透水性能が低下するおそれがある。また、調製した混合物の粘度が適正範囲に無ければ、多孔質膜に成形することができないおそれがある。
上記混合物を冷却固化する方法としては、例えば、上記混合物を、口金から冷却浴中に吐出する方法が好ましい。高分子多孔質膜が平膜の場合、キャストして、冷却浴に浸漬させる方法も好ましい方法として挙げられる。
冷却浴として用いることができる冷却液体は、混合物よりも温度が低いものであり、例えば、温度が0〜80℃であり、濃度が60〜100質量%の貧溶媒又は良溶媒である溶媒を含有する液体を用いることができる。また、冷却液体には、非溶媒や、貧溶媒や良溶媒を含有する非溶媒を用いてもよい。
この多孔質膜の製造方法においては、混合物の濃度、フルオロポリマー(A)及びポリマー(B)を溶解する溶媒の組成、冷却浴を構成する冷却液体の組成が重要である。これらの組成を調整することによって、高分子多孔質膜の多孔質構造を制御することができる。
例えば、高分子多孔質膜の片面と他方の面とで、混合物の組成や冷却液体の組成の組み合わせを変更することによって、高分子多孔質膜の片面の構造と、他方の面の構造とを異なるものにすることもできる。
上記多孔質膜状に成形する工程として非溶媒誘起相分離法を用いる場合、例えば、フルオロポリマー(A)及びポリマー(B)を溶媒に溶解して混合物を得る工程、得られた混合物を、口金から非溶媒を含む凝固浴中に吐出する工程からなる製造方法により多孔質膜状の成形物を得ることが好ましい。
上記混合物を、非溶媒を含む凝固浴中に浸漬することにより、該混合物と凝固浴中の溶媒と非溶媒の濃度勾配を駆動力として、該混合物中への非溶媒の取り込みと凝固浴中への溶媒の溶出が起こり、結果として、非溶媒誘起型の相分離を生じせしめることができる。この方法によれば、最初に溶媒と非溶媒の置換により相分離が起こる外表面において緻密なスキン層が形成し、膜内部方向に向かって相分離現象が進んでいく。その結果、スキン層に続いて膜内部方向に向かって連続的に孔径が大きくなる非対称膜を製造することもできる。
上記非溶媒誘起相分離法を用いる場合、上記混合物は、フルオロポリマー(A)、ポリマー(B)及び溶媒からなることが好ましい。上記混合物は、フルオロポリマー(A)、ポリマー(B)及び溶媒に加えて、更に、非溶媒からなることも好ましい形態の一つである。
混合物は、フルオロポリマー(A)、ポリマー(B)、溶媒及び非溶媒の合計(混合物が非溶媒を含まない場合には、フルオロポリマー(A)、ポリマー(B)、及び溶媒の合計)に対して、フルオロポリマー(A)及びポリマー(B)が5〜60質量%であることが好ましい。より好ましくは、10〜50質量%である。
混合物は、フルオロポリマー(A)、ポリマー(B)、溶媒及び非溶媒の合計に対して、非溶媒が0.1〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.5〜8質量%である。
フルオロポリマー(A)及びポリマー(B)の濃度を適正な範囲に調整することにより、混合物の粘度を適切な範囲に調整することができる。混合物の粘度が適切な範囲になければ、高分子多孔質膜に成形することができないおそれがある。
混合物は、常温であってもよいし、加熱されたものでもよい。例えば、10〜75℃が好ましい。
非溶媒誘起相分離法において、上記溶媒としては、熱誘起相分離法で例示した溶媒を用いることができる。上記溶媒は、貧溶媒であっても良溶媒であってもよいが、良溶媒が好ましい。上記非溶媒としては、熱誘起相分離法で例示した非溶媒を使用することができる。
上記凝固浴として用いることができる凝固液体として、非溶媒を含有する液体を用いて固化させることが好ましく、貧溶媒、良溶媒を含有していてもよい。上記非溶媒としては、熱誘起相分離法で例示した非溶媒を用いることができる。例えば、水を好適に用いることができる。
上記多孔質膜状に成形する工程においては、上記熱誘起相分離法と非溶媒誘起相分離法とを併用してもよい。
非溶媒誘起相分離法及び/又は熱誘起相分離法では、フルオロポリマー(A)及びポリマー(B)を溶媒に溶解した混合物を口金から吐出した後、固化させることで多孔質膜状の成形物を得ることができる。上記口金としては、例えば、スリット口金、二重管式口金、三重管式口金等が用いられる。
多孔質膜状の成形物として中空糸膜状の成形物を製造する場合、上記口金としては、中空糸膜紡糸用の二重管式口金、三重管式口金等が好ましく用いられる。
上記二重管式口金を用いる場合、二重管式口金の外側の管から混合物を吐出し、イオン交換水等の中空部形成流体を内側の管から吐出しながら凝固浴又は冷却浴中で固化することで、中空糸膜とすることができる。
中空部形成流体には、通常、気体もしくは液体を用いることができる。熱誘起相分離法では、冷却液体と同様の、濃度が60〜100%の貧溶媒若しくは良溶媒を含有する液体が好ましく採用できるが、非溶媒や、貧溶媒や良溶媒を含有する非溶媒を用いてもよい。非溶媒誘起相分離法では、上記中空部形成流体としては、上述した非溶媒を用いることが好ましく、例えば、イオン交換水等の水が好ましい。また、上述した非溶媒は、貧溶媒、良溶媒を含有していてもよい。
熱誘起相分離法を用いる場合は、上記中空部形成流体としては、上述した溶媒を用いることが好ましく、例えば、グリセロールトリアセテート等の貧溶媒が好ましい。また、熱誘起相分離法を用いる場合は、窒素ガスを用いることもできる。
中空部形成流体と冷却液体又は凝固液体の組成を変えることにより、二種の構造を有する中空糸膜を形成することもできる。中空部形成流体は、冷却して供給してもよいが、冷却浴の冷却力のみで中空糸膜を固化するのに十分な場合は、中空部形成流体は冷却せずに供給してもよい。
三重管式口金は、2種の樹脂溶液を用いる場合に好適である。例えば、三重管式口金の外側の管と中間の管から2種の混合物を吐出し、中空部形成液体を内側の管から吐出しながら凝固浴又は冷却浴中で固化することで、中空糸膜とすることができる。また、三重管式口金の外側の管から混合物を吐出し、中間の管からフルオロポリマー(A)及びポリマー(B)以外の樹脂からなる樹脂溶液を吐出し、中空部形成流体を内側の管から吐出しながら凝固浴又は冷却浴中で固化することで、中空糸膜とすることができる。
フルオロポリマー(A)及びポリマー(B)以外の樹脂としては上述したものが挙げられる。中でも、上述した熱可塑性樹脂が好ましく、アクリル樹脂がより好ましい。
上記のように、二重管式口金や三重管式口金を用いた製造方法で中空糸膜を製造した場合、凝固液体又は冷却液体の量を、平膜を製造した場合よりも少なくすることができる点で好ましい。
製造する高分子多孔質膜の形状が中空糸膜の場合、上記の方法で得られた中空糸膜の外表面又は内表面に、更に、上記フルオロポリマー(A)からなる層又は上記フルオロポリマー(A)以外の樹脂からなる樹脂層を形成してもよい。
フルオロポリマー層又は樹脂層は、中空糸膜の外表面又は内表面にフルオロポリマー(A)の溶液又は樹脂溶液を塗布することで形成することができる。中空糸膜の外表面にフルオロポリマー(A)の溶液又は樹脂溶液を塗布する方法としては、中空糸膜をフルオロポリマー(A)の溶液又は樹脂溶液に浸潰したり、中空糸膜にフルオロポリマー(A)の溶液又は樹脂溶液を滴下したりする方法等が好ましく用いられる。中空糸膜の内表面にフルオロポリマー(A)の溶液又は樹脂溶液を塗布する方法としては、フルオロポリマー(A)の溶液又は樹脂溶液を中空糸膜内部に注入する方法等が好ましく用いられる。
フルオロポリマー(A)の溶液又は樹脂溶液の塗布量を制御する方法としては、フルオロポリマー(A)の溶液又は樹脂溶液の塗布量自体を制御する方法の他に、多孔質膜をフルオロポリマー(A)の溶液又は樹脂溶液に浸漬したり、多孔質膜にフルオロポリマー(A)の溶液又は樹脂溶液を塗布した後に、フルオロポリマー(A)の溶液又は樹脂溶液の一部をかき取ったり、エアナイフを用いて吹き飛ばす方法や、塗布の際の濃度を調整する方法も好ましく用いられる。
また、多孔質膜の成形物として平膜状の成形物を製造する場合、混合物をキャストして、冷却浴又は凝固浴に浸漬させることによって製造することができる。また、スリット口金を用いて、冷却浴又は凝固浴に混合物を吐出することでも製造することができる。
本発明の高分子多孔質膜として、多孔質基材からなる複合膜である場合、多孔質基材を混合物に浸漬する方法、多孔質基材の少なくとも片面に混合物を塗布する方法等により本発明の高分子多孔質膜を得ることもできる。
上述した製造方法により、優れた透水性を有する高分子多孔質膜を得ることができるが、透水性能が十分でない場合には、上記製造方法で得られた多孔質膜を更に延伸してもよい。
上記多孔質膜状に成形する工程において、孔径を制御する方法としては、例えば、混合物に孔径を制御するための添加剤を入れ、フルオロポリマー(A)及びポリマー(B)による多孔質構造を形成する際、又は多孔質構造を形成した後に、添加剤を溶出させることにより高分子多孔質膜の孔径を制御することができる。また、添加剤は多孔質膜内に留まらせてもよい。
非溶媒誘起相分離法及び熱誘起相分離法のいずれにおいても、混合物は添加剤を含んでいてもよい。多孔質構造を形成した後、添加剤を溶出させることにより、高分子多孔質膜の孔径を制御することができる。添加剤は、必要に応じて多孔質膜内に留まらせてもよい。
添加剤としては、有機化合物及び無機化合物を挙げることができる。有機化合物としては、混合物を構成する溶媒に溶解するもの、又は、均一に分散するものであることが好ましい。更に、非溶媒誘起相分離法では凝固液体に含まれる非溶媒、熱誘起相分離法では冷却液体に含まれる溶媒に溶解するものが好ましい。
例えば、有機化合物としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、テキストラン等の水溶性ポリマー、Tween40(ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート)等の界面活性剤、グリセリン、糖類等を挙げることができる。
無機化合物としては、水溶性化合物が好ましく用いられる。例えば、塩化カルシウム、塩化リチウム、硫酸バリウム等を挙げることができる。
添加剤を用いずに、凝固液における非溶媒の種類、濃度及び温度によって相分離速度をコントロールすることによって表面の平均孔径を制御することも可能である。一般的には、相分離速度が速いと表面の平均孔径が小さく、遅いと大きくなる。また、混合物に非溶媒を添加することも、相分離速度制御に有効である。
混合物は、親水化の観点や、相分離制御の観点、機械的強度向上の観点から、更に、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル樹脂、モンモリロナイト、SiO、TiO、CaCO、ポリテトラフルオロエチレン等の添加剤を含んでいてもよい。
また、上記製造方法では、多孔質膜状の成形物を得た後、当該多孔質膜状の成形物に湿潤処理を行ってもよい。
上記湿潤処理は、例えば、上記多孔質膜状の成形物をメタノール、エタノール等のアルコールに浸漬し、その後、水に置換することにより行えばよい。
さらに、上記製造方法で得られた高分子多孔質膜は、透水性向上の観点から、アルカリで処理を行ってもよい。アルカリとは、例えば、NaOH水溶液、KOH水溶液、アンモニア水、アミン溶液等である。これらは、エタノール、メタノール等のアルコールや有機溶剤を含んでいてもよい。特にアルカリがアルコールを含むことが好ましいが、これらに限定されるものではない。
上記製造方法で得られた多孔質膜状の成形物は、飲料水製造、浄水処理、排水処理等の水処理に用いられる精密濾過膜又は限外濾過膜として好適である。上記製造方法で得られた多孔質膜状の成形物は、透過性が高く、耐薬品性に優れるため、水処理用の高分子多孔質膜に好適である。
また、上記製造方法で得られた多孔質膜状の成形物は、医療分野、食品分野、電池分野等においても好適に用いられる。
医療分野においては、血液浄化、特に、腎機能を代用するための血液透析、血液濾過、血液濾過透析等の体外循環による血中老廃物の除去を目的とした血液浄化用膜として上記製造方法で得られた多孔質膜状の成形物を用いることができる。
食品分野においては、発酵に用いた酵母の分離除去や、液体の濃縮を目的として上記製造方法で得られた多孔質膜状の成形物を用いることができる。
電池分野においては、電解液は透過できるが、電池反応で生じる生成物は透過できないようにするための電池用セパレーター、又は、高分子固体電解質の基材として上記製造方法で得られた多孔質膜状の成形物を用いることができる。
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
〔重量平均分子量〕
重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めた。
〔NMR(核磁気共鳴法)によるフルオロポリマーの組成〕
1H−NMR(核磁気共鳴法)測定には、JNM−EX270(JEOL社製:270MHz)を用いた。溶媒は重クロロホルムを用いた。
〔純水透過係数〕
純水透過係数は、温度25℃で、イオン交換水を窒素で0.01MPa以上に加圧し、作製した中空糸膜又は平膜で濾過することで求めた。
純水透過係数〔m/m/s/Pa〕=(透過水量)/(膜面積)/(透過時間)/(評価圧力)
〔微粒子阻止率〕
微粒子阻止率は、粒径が制御されたポリスチレンラテックス微粒子(100nm)をイオン交換水にて100ppm程度に希釈した分散溶液を評価原液として濾過し、次式にて求めた。
微粒子阻止率〔%〕=((評価原液吸光度)−(透過液吸光度))/(評価原液吸光度)×100
〔最大点破断強度〕
最大点破断強度は、チャック間距離50mm、引張速度200mm/分の条件下で試験片の破断強度を測定し、引張試験前の断面積を単位測定面積として求めた。
〔最大点伸度〕
最大点伸度は、チャック間距離50mm、引張速度200mm/分の条件下で試験片の破断強度を測定し、チャック間距離50mmを基準にして最大点の伸び率より求めた。
(合成例1)
300ml4つ口ナスフラスコに、メチルエチルケトン(MEK)を100gとCH=C(CH)−COOC13(以下「13−SFMA」と略す。)を58mmol(25g)入れ、溶液に窒素を20分間吹き込みバブリングした。その後AIBNを0.60mmol(0.1g)反応溶液に仕込み、内温が60℃になるように、水浴の温度を上げた。スリーワンモーターは250rpmで回転させた。ガスクロマトグラフィーおよびNMRにて反応を追跡し、13−SFMAモノマーが消費されたところでCH=C(CH)−COO(CHCHO)CH(以下「PEG−MA」と略す。)を58mmol(27.5g)(M:475,m=9)添加し、全モノマーが消費されたところで反応を終了し、放冷した。反応溶液をエバポレーターで濃縮し、ヘキサンで再沈殿を行い、ポリマーを回収した後、真空乾燥にて、目的のポリマー(C6−PEG)を得た。
また、重クロロホルム溶媒中でのH−NMRのケミカルシフト値(δppm)は、0.8−1.5(br,−CHC(COO−)(CH)−),1.5(br,−CHC(COO−)(CH)−),2.6(br,−C(=O)OCHCH13),3.5(br,−OCHCHO−),4.2(br,−C(=O)OCHCH13,−OCHCHO−CH)であった。
(合成例2)
100ml4つ口ナスフラスコに、酢酸エチルを35gとメチルメタクリレートを90mmol(9g)、PEG−MAを12mmol(6g)入れ、溶液に窒素を20分間吹き込みバブリングした。その後AIBNを0.3mmol(0.05g)反応溶液に仕込み、60℃で4時間反応させた。反応溶液をヘキサン/メタノール混合溶媒および水で再沈殿を行い、ポリマーを回収した後、真空乾燥にて、目的のポリマー(MMA−PEG)を得た。
(製造例1) PVdF(ポリフッ化ビニリデン)の合成例
内容量2リットルのSUS製オートクレーブに、イオン交換水910g、メチルセルロース0.5gを仕込み、窒素置換後に槽内を真空に引いた後、酢酸エチル1.5g、1,1−ジフルオロエチレン(VdF)(フッ化ビニリデン)365gを仕込み、28℃で一定にさせた。槽内温度一定後、ジノルマルプロピルパーオキシジカーボネート12gを仕込み、懸濁重合を開始した。10時間経過後に槽内を脱圧させ、反応を終了させた。ポリマースラリーを脱水、水洗した後105℃で24時間乾燥してポリフッ化ビニリデン粉末を得た。得られたポリフッ化ビニリデン粉末は110gで、重量平均分子量27万であった。
(製造例2) VdF/TFE共重合体の合成例
内容量4リットルのグラスライニング製オートクレーブに、イオン交換水1300gを仕込み、窒素置換後に槽内を真空に引いた後、オクタフルオロシクロブタン1300gを仕込み、槽内を45℃まで昇温し、攪拌速度580rpmで攪拌した。槽内温度一定後、テトラフルオロエチレン(TFE)/1,1−ジフルオロエチレン(VdF)=6/94モル%の混合ガス150g、酢酸エチル10gを仕込み、その後ジノルマルプロピルパーオキシジカーボネートの50質量%メタノール溶液2gを仕込み、懸濁重合を開始した。反応開始時からTFE/VdF=20/80モル%の混合ガスを連続して供給し、槽内圧力を1.3MPaに保った。攪拌速度は580rpmで保った。
反応開始から24時間後に槽内を脱圧させ、反応を終了させた。反応生成物を水洗した後120℃で12時間乾燥してVdF/TFE共重合体の粉末を得た。得られた粉末ポリマーは600gで、重量平均分子量は23万、組成比はVdF/TFE=80/20(モル%)であった。
(実施例1)
製造例1で得たポリフッ化ビニリデンと合成例1で得たポリマー(C6−PEG)とを重量比6:1でブレンドしたものが14.0質量%、ジメチルアセトアミドが86.0質量%になるようにポリマー溶液を調整した。
このポリマー溶液を、ガラス板にアプリケーター(203μm)を用いて塗布し、直ちに25℃の水凝固浴中に10分間浸漬し、平膜の多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の純水透過係数は8.72×10−9(m/m/s/Pa)であった。また微粒子阻止率は91%であった。
(比較例1)
C6−PEGの代わりPEG400(和光純薬工業社製)を用いる以外は実施例1と同様にして平膜の多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の純水透過係数は2.68×10−9(m/m/s/Pa)であった。また微粒子阻止率は93%であった。
(比較例2)
C6−PEGの代わりPEG600(和光純薬工業社製)を用いる以外は実施例1と同様にして平膜の多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の純水透過係数は3.07×10−9(m/m/s/Pa)であった。また微粒子阻止率は92%であった。
(比較例3)
製造例1で得たポリフッ化ビニリデンを12.0質量%、ジメチルアセトアミドが88.0質量%になるようにポリマー溶液を調整した。
このポリマー溶液を、ガラス板にアプリケーター(203μm)を用いて塗布し、直ちに25℃の水凝固浴中に10分間浸漬し、平膜の多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の純水透過係数は1.84×10−9(m/m/s/Pa)であった。また微粒子阻止率は95%であった。
(実施例2)
製造例2で得たVdF/TFE共重合体と合成例1で得たポリマー(C6−PEG)とを重量比6:1でブレンドしたものが14.0質量%、ジメチルアセトアミドが86.0質量%になるようにポリマー溶液を調整した。
このポリマー溶液を、ガラス板にアプリケーター(203μm)を用いて塗布し、直ちに25℃の水凝固浴中に10分間浸漬し、平膜の多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の純水透過係数は1.20×10−8(m/m/s/Pa)であった。また微粒子阻止率は90%であった。
(比較例4)
C6−PEGの代わりPEG400を用いる以外は実施例2と同様にして平膜の多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の純水透過係数は2.11×10−9(m/m/s/Pa)であった。また微粒子阻止率は94%であった。
(比較例5)
C6−PEGの代わりPEG600を用いる以外は実施例2と同様にして平膜の多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の純水透過係数は1.06×10−8(m/m/s/Pa)であった。また微粒子阻止率は81%であった。
(比較例6)
製造例2で得たVdF/TFE共重合体を12.0質量%、ジメチルアセトアミドが88.0質量%になるようにポリマー溶液を調整した。
このポリマー溶液を、ガラス板にアプリケーター(203μm)を用いて塗布し、直ちに
25℃の水凝固浴中に10分間浸漬し、平膜の多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の純水透過係数は6.78×10−9(m/m/s/Pa)であった。また微粒子阻止率は88%であった。
(実施例3)
各成分を25℃で混合し、合成例1で得たポリマー(C6−PEG)2.6質量%、製造例1で得たポリフッ化ビニリデン15.4質量%、ジメチルアセトアミド82質量%のポリマー溶液を得た。このポリマー溶液を二重管式口金から、内部液としてイオン交換水を同伴させながら吐出し、イオン交換水中にて固化し、中空糸膜を得た。得られた中空糸膜は、外径1.03mm、内径0.89mmであった。得られた中空糸膜の純水透過係数は6.57×10−9(m/m/s/Pa)であった。また微粒子阻止率は91%であった。最大点破断強度は1.5MPa、最大点伸度は90%であった。
(比較例7)
各成分を25℃で混合し、製造例2で得られたVdF/TFE共重合体18.0質量%、ジメチルアセトアミド82.0質量%のポリマー溶液を得た。このポリマー溶液を二重管式口金から、内部液としてイオン交換水を同伴させながら吐出し、イオン交換水中にて固化し、中空糸膜を得た。得られた中空糸膜は、外径0.92mm、内径0.84mmであった。25℃で水圧を0.1MPaGをかけたが、純水は透過しなかった。最大点破断強度は8.0MPa、最大点伸度は740%であった。
(比較例8)
各成分を25℃で混合し、製造例1で得られたポリフッ化ビニリデン18.0質量%、ジメチルアセトアミド82.0質量%のポリマー溶液を得た。このポリマー溶液を二重管式口金から、内部液としてイオン交換水を同伴させながら吐出し、イオン交換水中にて固化し、中空糸膜を得た。得られた中空糸膜は、外径0.81mm、内径0.74mmであった。25℃で水圧を0.1MPaGをかけたが、純水は透過しなかった。最大点破断強度は11.0MPa、最大点伸度は440%であった。
(比較例9)
各成分を25℃で混合し、製造例2で得られたVdF/TFE共重合体18.0質量%、ポリエチレンオキシド(PEG600)3.0質量%、ジメチルアセトアミド79.0質量%のポリマー溶液を得た。このポリマー溶液を二重管式口金から、内部液としてイオン交換水を同伴させながら吐出し、イオン交換水中にて固化し、中空糸膜を得た。得られた中空糸膜は、外径0.91mm、内径0.80mmであった。25℃で水圧を0.1MPaGをかけたが、純水は透過しなかった。最大点破断強度は4.7MPa、最大点伸度は590%であった。
(比較例10)
製造例1で得たポリフッ化ビニリデンと合成例2で得られたMMA−PEGとを重量比3:1でブレンドしたものが18.0質量%、ジメチルアセトアミドが82.0質量%になるようにポリマー溶液を調製した。このポリマー溶液を、ガラス板にアプリケーター(203μm)を用いて塗布し、直ちに25℃の水凝固浴中に10分間浸漬し、平膜の多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の純水透過係数は9.21×10−9(m/m/s/Pa)であった。最大点破断強度は1.2MPa、最大点伸度は30%であった。また、この平膜作製に用いたポリマー溶液は透明であったが、目視で屈折率のムラが観測され相溶性に劣ることが確認できた。

Claims (8)

  1. フッ化ビニリデン単位を有するフルオロポリマー(A)と、下記一般式(1):
    Figure 0005664818
    (式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rfは、炭素数1〜25のフッ素化アルキル基を表す。)で表される単量体(a)由来の重合単位、及び、下記一般式(2):
    Figure 0005664818
    (式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、炭素数1〜10のアルキレン基を表す。Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は、炭素数1〜10のアルキル基の水素原子が1個以上水酸基に置換された基を表す。mは、0〜200の整数を表す。ただし、m=0の場合は、Rは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基の水素原子が1個以上水酸基に置換された基を表す。)で表される単量体(b)由来の重合単位を有するポリマー(B)とからなることを特徴とする高分子多孔質膜。
  2. フッ化ビニリデン単位を有するフルオロポリマー(A)と、下記一般式(1):
    Figure 0005664818
    (式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rfは、炭素数1〜10のフッ素化アルキル基を表す。)で表される単量体(a)由来の重合単位、及び、下記一般式(2):
    Figure 0005664818
    (式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、炭素数1〜10のアルキレン基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。mは、1〜200の整数を表す。)で表される単量体(b)由来の重合単位を有するポリマー(B)とからなる請求項1記載の高分子多孔質膜。
  3. ポリマー(B)が、フルオロポリマー(A)に対して0.01〜40質量%である請求項1又は2記載の高分子多孔質膜。
  4. ポリマー(B)は、単量体(a)由来の重合単位からなるセグメントと、単量体(b)由来の重合単位からなるセグメントとからなるブロックポリマーである請求項1〜3のいずれかに記載の高分子多孔質膜。
  5. ポリマー(B)は、重量平均分子量が1000〜2000000である請求項1〜4のいずれかに記載の高分子多孔質膜。
  6. 中空糸膜である請求項1〜5のいずれかに記載の高分子多孔質膜。
  7. 平膜である請求項1〜5のいずれかに記載の高分子多孔質膜。
  8. 水処理用である請求項1〜5のいずれかに記載の高分子多孔質膜。
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