図1(a)〜(c)に、この発明で対象とする微細分離されたレジストパターンを形成するためのマスクパターンの例を示す。図1(a)は微細ホールのマスクパターン100、図1(b)は微細スペースのマスクパターン200、図1(c)は孤立の残しのパターン300である。図2および図3は、レジストパターンの形成方法を説明するためのプロセスフロー図である。
まず、図1および図2を参照しながら、レジストパターンの形成方法の一例について述べる。
図2(a)に示すように、基材としての半導体基板(半導体ウェハ)103の上に、酸を供給し得る第1のレジスト101を塗布する。第1のレジスト101の厚さは、例えば、0.7μm〜1.0μm程度とすることができる。尚、第1のレジスト101は、ポジ型およびネガ型のいずれであってもよい。
第1のレジスト101としては、例えば、加熱処理および/または光などの照射によって、レジストの内部に酸性成分が発生するものが用いられる。具体的には、第1のレジスト101を、ノボラック樹脂とナフトキノンジアジド系感光剤から構成されるものとすることができる。また、第1のレジスト101として、露光によって酸を発生する化学増幅型レジストを用いることもできる。さらに、第1のレジスト101は、カルボン酸などの酸性物質を含有し、加熱によりこの酸性物質が拡散するように構成されたものであってもよい。但し、後述する第1のレジストパターンと第2のレジストの反応性がともに低い場合や、必要とする架橋層の厚みが比較的厚い場合、あるいは、架橋反応を均一化する場合には、光などを照射することによって酸が発生するようにすることが望ましい。
第1のレジスト101は、スピンコート法などを用いて塗布することができる。塗布後は、必要に応じて、プリベーク(70〜110℃で1分程度の熱処理)を行い、第1のレジスト101に含まれる溶媒を蒸発させる。
次いで、第1のレジストパターン101aを形成するために、図1(a)〜(c)のいずれかに示すようなパターンを含むマスクを介し、第1のレジスト101に対して選択的な露光を行う。露光に用いる光源は、第1のレジスト101の感度波長に対応したものであればよい。例えば、g線、i線、深紫外光、KrFエキシマレーザ光(248nm)、ArFエキシマレーザ光(193nm)、EB(電子線)またはX線などを第1のレジスト101に照射する。
露光を行った後は、必要に応じてPEB処理(露光後加熱処理)を行う。これにより、第1のレジスト101の解像度を向上させることができる。PEB処理は、例えば、50℃〜130℃の熱処理を施すことにより行う。
次に、適当な現像液を用いて現像処理を行い、第1のレジスト101のパターニングを行う。現像液としては、例えば、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)などの0.05重量%〜3.0重量%程度のアルカリ水溶液を用いることができる。図2(b)は、こうして形成された第1のレジストパターン101aを示す。
現像処理を行った後、必要に応じて、ポストデベロッピングベークを行う場合もある。この熱処理は、後の架橋反応に影響することから、用いる第1のレジストまたは第2のレジストを構成する材料によって、適切な温度に設定することが望ましい。例えば、ホットプレートを用いて60℃〜120℃で60秒程度加熱することができる。
次に、図2(c)に示すように、第1のレジストパターン101aを被覆するようにして、半導体基板103の上に第2のレジスト102を塗布する。第2のレジスト102の塗布方法は、第1のレジストパターン101aの上に均一に塗布できるものであればよく、特に限定されない。例えば、スプレー法、スピンコート法またはディップ法などを用いて塗布することができる。
第2のレジスト102は、第1のレジストパターン101aを溶解せずに酸の存在によって架橋反応を起こす、水溶性の樹脂、水溶性の架橋剤およびこれらの混合物のいずれかを含んでいる。これらは、水、N−メチルピロリドンなどの水溶性有機溶媒、または、水にイソプロピルアルコール若しくはN−メチルピロリドンなどの水溶性溶媒を混合した溶媒に溶解した状態で、半導体基板103の上に塗布することができる。尚、水に混合する溶媒は、水溶性であれば特に限定されるものではなく、上記以外にも、エタノールおよびメタノールなどの他のアルコール類、γ−ブチロラクトンまたはアセトンなどを挙げることができる。第2のレジスト102の溶媒には、第1のレジストパターン101aを溶解させないこと、および、上記の水溶性材料を十分に溶解させることが必要とされるが、これらを満たすものであれば、特に限定はされない。また、混合溶媒を用いる場合には、第2のレジスト102に用いる材料の溶解性に合わせて、第1のレジストパターン101aを溶解しない範囲で混合すればよい。
第2のレジスト102に適用可能な水溶性の樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、オキサゾリン基含有水溶性樹脂、水溶性ウレタン、水溶性フェノール、水溶性エポキシ、水溶性メラミン樹脂、水溶性尿素樹脂、アルキッド樹脂、スルホンアミドおよびこれらの塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
第2のレジスト102に適用可能な水溶性の架橋剤としては、例えば、メラミン誘導体およびメチロールメラミン誘導体などのメラミン系架橋剤、尿素誘導体、メチロール尿素誘導体、エチレン尿素カルボン酸およびメチロールエチレン尿素誘導体などの尿素系架橋剤、並びに、ベンゾグアナミン、グリコールウリルおよびイソシアネートなどのアミノ系架橋剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
尚、第2のレジスト102は、水溶性の樹脂、水溶性の架橋剤またはこれらの混合物といった成分の他に、添加剤として他の成分を含んでいてもよい。例えば、第2のレジスト102は、少なくとも1種の可塑剤を含むことができる。可塑剤としては、例えば、エチレングリコール、グリセリンまたはトリエチレングリコールなどが挙げられる。また、第2のレジスト102には、塗布性を向上させるなどの目的で少なくとも1種の界面活性剤を添加することもできる。この場合の面活性剤としては、例えば、3M社製のフロラードまたは三洋化成社製のノニポールなどの水溶性の界面活性剤などが挙げられる。
第2のレジスト102を塗布した後は、必要に応じ、プリベーク処理を行って溶媒を蒸発させる。プリベーク処理は、例えば、ホットプレートを用い、85℃程度で1分間程度の熱処理を施すことにより行う。
第1のレジスト101が加熱処理によって酸を発生する場合には、次に、半導体基板103の上に形成された第1のレジストパターン101aと、この上に形成された第2のレジスト102に対して、加熱処理(ミキシングベーク処理;以下、必要に応じて「MB処理」と略記する。)を行う。これにより、第1のレジストパターン101a中での酸の拡散が促進されて、第1のレジストパターン101aから第2のレジスト102へ酸が供給される。すると、図2(d)に示すように、第2のレジスト102に架橋反応が起こって、第1のレジストパターン101aとの界面付近に架橋層104が形成される。MB処理は、例えば、ホットプレートを用いて70℃〜150℃で60秒〜120秒加熱することにより行われる。用いるレジスト材料の種類や、必要とする反応層の厚みに応じて、最適なMB処理の条件を設定することが好ましい。
加熱処理に代わって、あるいは、加熱処理に先立って、露光により酸を発生する場合には、第2のレジスト102の層を形成した後に露光を行う。これにより、第1のレジストパターン101a中に酸を発生させて、第1のレジストパターン101aと第2のレジスト102の界面に架橋層104を形成する。この時の露光に用いる光源には、第1のレジスト101の感光波長に応じて、Hgランプ、KrFエキシマレーザ光またはArFエキシマレーザ光などを用いることができる。但し、露光による酸の発生が可能であれば特に限定されるものではなく、第1のレジスト101の感光波長に応じた光源および露光量で露光すればよい。
露光によって酸を発生させる場合には、第1のレジストパターン101aを、第2のレジスト102に覆われた状態で露光するので、第1のレジストパターン101a中で発生する酸の量を、露光量の調整によって広い範囲で正確に制御できる。したがって、架橋層104の膜厚を精度よく制御することが可能となる。
尚、必要に応じて、露光の後にMB処理を行うことができる。これにより、第1のレジストパターン101aからの酸の拡散が促進されるので、第2のレジスト102と第1のレジストパターン101aとの界面における架橋反応を促進することができる。MB処理の温度および時間は、用いるレジスト材料の種類や、必要とする架橋層104の厚みによって、最適な条件を設定することが望ましい。一例として、ホットプレートを用い、60℃〜130℃で60秒〜120秒加熱することができる。
第1のレジストパターン101aと第2のレジスト102との架橋反応の制御には、プロセス条件の調整による手法と、第2のレジスト102を構成する材料の組成を調整する手法とがある。
プロセス条件の調整による手法としては、例えば、第1のレジストパターン101aへの露光量を調整したり、MB処理の温度および時間を調整したりすることなどが挙げられる。特に、MB処理の条件によって架橋時間を調整する方法によれば、架橋層104の厚みを精度よく制御することができる。
第2のレジスト102の組成を調整する手法としては、例えば、適当な2種以上の水溶性樹脂を混合し、混合比を調節して第1のレジストパターン101aとの反応量を制御したり、水溶性樹脂に適当な水溶性架橋剤を混合し、混合比を調整して第1のレジストパターン101aとの反応量を制御したりすることなどが挙げられる。具体的には、第2のレジスト102としてポリビニルアセタール樹脂を用い、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度を調整することによって、第1のレジストパターン101aとの反応量を制御することができる。また、例えば、第2のレジスト102として、上記の水溶性の樹脂と水溶性の架橋剤とを混合して用い、水溶性架橋剤の混合量を調整することによって、第1のレジストパターン101aとの反応量を制御することもできる。
但し、上記の架橋反応の制御は、一元的に決定されるものではない。(1)第1のレジストパターン101aおよび第2のレジスト102に適用する各材料の反応性、(2)第1のレジストパターン101aの形状および膜厚、(3)必要とする架橋層104の膜厚、(4)使用可能な露光条件またはMB処理の条件、並びに、(5)塗布条件などを勘案して決定する必要がある。特に、第1のレジストパターン101aと第2のレジスト102との反応性は、第1のレジストパターン101aを構成する材料の組成に影響されることが分かっており、そのため、実際に本発明を適用する場合には、上記の点を勘案して第2のレジスト102を構成する材料の組成を最適化することが望ましい。
さらに、本実施の形態においては、必ずしも第1のレジスト101に酸を供給する材料を用いる必要はない。例えば、酸性の液体または酸性の気体によって、第1のレジストパターン101aに表面処理を行う方法を用いてもよい。この方法では、酸が第1のレジストパターン101aに染み込むことにより、第1のレジストパターン101aの表面に酸を含む薄い層が形成される。したがって、第1のレジスト101に酸を供給する材料を用いなくても、第2のレジスト102に酸を供給することが可能となる。
MB処理を行った後は、第2のレジスト102の非架橋部分を除去して、第2のレジストパターン102aを形成する。この工程は、水で現像する第1の現像工程と、第1の現像工程の後に、第2のレジスト102に対する溶解性が水より高い溶液で現像する第2の現像工程と、第2の現像工程の後に、水でリンスする工程とを含むことを特徴とする。
図3(a)〜(i)を用いて、第2のレジストパターン102aの形成工程について説明する。尚、図3(b)〜(i)では、半導体基板103の上に設けられた各パターン等について省略している。
まず、図3(b)に示すように、水を用いてリンスを行う。具体的には、第2のレジスト102が形成された半導体基板103の上に、半導体基板103を回転させながら水105を供給する。次いで、水105の供給を止め、回転を停止した状態で所定時間おいて、第1の現像を行う(図3(c))。
再び、半導体基板103を回転させながら水106を供給して、リンスを行う(図3(d))。次いで、水106の供給を停止した状態で回転を続け、残存している水106を振り切る処理(以下、必要に応じて「振りきり処理」と称す。)を行って、半導体基板103の表面を乾燥させる(図3(e))。
その後、再び、半導体基板103を回転させながら水107を供給して、リンスを行う(図3(f))。次いで、水107に代えて、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)を水に2.38重量%の濃度で溶解させた水溶液108を供給し、半導体基板103の回転を停止した状態で所定時間おいて、第2の現像を行う(図3(g))。
再び、半導体基板103を回転させながら水109を供給して、リンスを行う(図3(h))。次いで、水109の供給を停止した状態で回転を続け、残存している水109を振り切る処理を行って、半導体基板103の表面を乾燥させる(図3(i))。
以上の工程によって、図2(e)に示すような第2のレジストパターン102aが形成される。本発明によれば、第1のレジストパターン101aのホール内径若しくはラインパターンの分離幅を縮小し、または、孤立残しパターンの面積を拡大したレジストパターンを得ることが可能となる。そして、このパターンは、従来法によって形成されたパターンに比較して、良好な形状の微細パターンとなる。この点について詳述する。
従来の第2のレジストパターン102aの形成では、現像液として水が用いられていた。しかし、水で現像した場合には、水に溶け出した第2のレジスト102が再析出し、第2のレジストパターン102aに付着してパターン不良を起こすという問題があった。このパターン不良は、円形の残渣として観察される。しかし、本発明者は、鋭意研究した結果、TMAHを用いて現像することにより、こうした円形残渣の発生を抑制できることを見出した。このメカニズムについて、図4を用いて説明する。
図4は、第2のレジスト102中での第1のレジストパターン101aの端部からの距離を横軸にとり、第2のレジスト102と酸との反応度を縦軸にとったものである。第1のレジストパターン101aからの距離が遠くなるほど酸との反応度が低下するので、架橋層104は、第1のレジストパターン101aと第2のレジスト102の界面付近に形成されることになる。
図4において、点線は水の溶解限界を示しており、破線はTMAH水溶液の溶解限界を示している。これらから分かるように、水とTMAH水溶液では、第2のレジスト102の非架橋部分を溶解する点で共通するものの、架橋層104に対する溶解度に差がある。すなわち、TMAH水溶液は、酸との反応度が高い第2のレジストに対して水よりも高い溶解性を示す。
一般に、現像の後に行うリンスでは水が使用される。したがって、水を用いて現像を行った場合には、現像工程で溶解しきれなかった架橋層104の一部がリンス工程で溶解する。つまり、現像およびリンスのいずれの工程でも、第2のレジスト102の溶解が起こるために、水に溶け出した第2のレジスト102が再析出しやすく、第2のレジストパターンに付着してパターン不良を起こすといった問題が生じやすい。一方、TMAH水溶液を用いて現像を行った場合には、その後のリンス工程で架橋層104の一部が水に溶解することはほとんどない。TMAH水溶液での現像後に残る架橋層104は、酸との反応度が高いものであり、水に対する溶解性は小さいからである。したがって、TMAH水溶液を用いて現像を行えば、リンス工程で第2のレジスト102が溶解するのを抑えられるので、第2のレジスト102の析出によるパターン不良の発生を抑制することが可能となる。
ところで、TMAH水溶液を用いて現像を行うと、現像残渣の問題が発生する。この不良は、TMAH水溶液によって膨潤した第2のレジスト102が、糸を引くようにして第2のレジストパターン102aに付着した状態となって観察される。しかしながら、本発明者は、TMAH水溶液による現像の前に水による現像を行うことにより、この問題を解決できることを見出した。つまり、水で現像する第1の現像工程と、第1の現像工程の後に、第2のレジスト102に対する溶解性が水より高い溶液で現像する第2の現像工程と、第2の現像工程の後に水でリンスする工程とによって、水に溶け出した第2のレジスト102が再析出して第2のレジストパターン102aに付着することによる円形残渣の問題と、第2のレジスト102が第2のレジストパターン102aに糸を引いた状態となって付着する糸引きの問題とを、同時に解消することが可能となる。尚、この方法によって糸引きの問題が改善できるのは、予め水に溶解するものを除いてからTMAH水溶液で現像することにより、TMAH水溶液による第2のレジスト102の膨潤が極力抑えられるためと考えられる。
以下に、工程の違いによる円形残渣と糸引きの発生の違いについて述べる。
表1には、水を用いて行う第1の現像工程と、TMAHを用いて行う第2の現像工程とを有する実施例1〜3と、水を用いた現像工程のみを行う比較例1と、TMAHを用いた現像工程のみを行う比較例2とを示している。これらの例では、いずれも、第2のレジストを形成してMB処理を行うまでの工程を次のようにして行った。
まず、半導体ウェハの上に、反射防止膜(BARC:Bottom Anti-Reflection Coating)として、東京応化工業社製のコーティング材(商品名:SWK−EX3)を塗布した。次いで、ホットプレートを用いて230℃で90秒加熱し、厚さ130nmの膜を形成した。次に、この膜の上に、第1のレジストとして、JSR社製の化学増幅型レジスト(商品名:KrF−M211Y)を塗布した。その後、ホットプレートを用いて120℃で60秒のプリベークを行い、厚さ585nmの膜を形成した。次に、第1のレジストの上に、反射防止膜(TARC:Top Anti-Reflection Coating)として、東京応化工業社製のコーティング材(商品名:TSP−10A)を、44nmの厚さで形成した。その後、マスクを介して露光をした後、PEB処理を行った。PEB処理の条件は、ホットプレートを用いて130℃で60秒の加熱とした。次に、2.38重量%のTMAH水溶液を3秒間吐出して第1のレジストの現像を行った後、回転数300rpm〜1800rpmで回転させながら水を75秒間吐出させてリンスを行った。現像工程でTARCは全て現像液に溶解し、後には第1のレジストパターンが得られた。
次に、第1のレジストパターンの上に、第2のレジストとして、AZエレクトロニックマテリアルズ社製のレジスト(商品名:R200)を塗布して、厚さ350nmの膜を形成した。次いで、ホットプレートを用い、110℃で70秒加熱してMB処理を行った。
表1.
リンスには全て純水を使用し、振り切り処理で乾燥。
○:不良がほとんど見られないレベル
△:若干の不良は見られるが実用上問題のないレベル
×:実用上問題となるレベル
表1において、最初に行うリンス処理の条件は、いずれも、吐出時間20秒で回転数1000rpmである。実施例1〜3と、比較例1における水現像の条件は、静止させた状態で吐出時間45秒である。実施例1および2と、比較例1における水現像後のリンス処理の条件は、回転数2000rpmで回転させながら20秒間水を吐出した後、回転数を600rpmにして15秒間水を吐出させるというものである。実施例1と比較例2におけるTMAH現像前のリンス処理の条件は、吐出時間20秒で回転数1000rpmである。実施例1〜3と、比較例2におけるTMAH現像の条件は、静止させた状態で、2.38重量%のTMAH水溶液を45秒間吐出させるというものである。実施例1〜3と、比較例2におけるTMAH現像後のリンス処理の条件は、回転数2000rpmで回転させながら20秒間水を吐出した後、回転数を600rpmにして15秒間水を吐出させるというものである。
表1から分かるように、比較例1では円形残渣が発生し、比較例2では糸引きが発生する。一方、実施例1〜3では、円形残渣はほとんど見られない。また、糸引きもほとんど見られないか、または、見られても実用上問題のないレベルとなっている。したがって、水を用いて行う第1の現像工程と、第1の現像工程の後にTMAHを用いて行う第2の現像工程と、第2の現像工程の後に水を用いて行うリンス工程とによって、円形残渣と糸引きの発生を抑制できることが分かる。
実施例1は、糸引きがほとんど見られず、実施例2や3に比較しても良好なパターンを形成できる。これは、第1の現像工程と第2の現像工程の間で、基板上に残存してる水を振り切る処理を行って、基板の表面を乾燥させているためと考えられる。したがって、本発明においては、第1の現像工程を行った後に、水を振り切る処理を行ってから、第2の現像工程を行うことが好ましい。
次に、第2の現像工程における現像時間と不良の関係について考察する。
表2は、TMAHによる現像時間と、円形残渣および糸引きの発生との関係を調べた結果の一例である。この例では、第2のレジストを形成してMB処理を行うまでの工程を次のようにして行った。
まず、半導体ウェハの上に、反射防止膜(BARC:Bottom Anti-Reflection Coating)として、日産化学社製のコーティング材(商品名:DUV112)を塗布した。次いで、ホットプレートを用いて180℃で90秒加熱し、厚さ62nmの膜を形成した。次に、この膜の上に、第1のレジストとして、JSR社製の化学増幅型レジスト(商品名:KrF−M211Y)を塗布した。その後、ホットプレートを用いて120℃で60秒のプリベークを行い、厚さ480nmの膜を形成した。次に、第1のレジストの上に、反射防止膜(TARC:Top Anti-Reflection Coating)として、東京応化工業社製のコーティング材(商品名:TSP−10A)を、44nmの厚さで形成した。その後、マスクを介して露光をした後、PEB処理を行った。PEB処理の条件は、ホットプレートを用いて180℃で90秒の加熱とした。次に、2.38重量%のTMAH水溶液を3秒間吐出して第1のレジストの現像を行った後、回転数300rpm〜1800rpmで回転させながら水を75秒間吐出させてリンスを行った。現像工程でTARCは全て現像液に溶解し、後には第1のレジストパターンが得られた。
次に、第1のレジストパターンの上に、第2のレジストとして、AZエレクトロニックマテリアルズ社製のレジスト(商品名:R200)を塗布して、厚さ350nmの膜を形成した。次いで、ホットプレートを用い、110℃で70秒加熱してMB処理を行った。
第2のレジストパターンの形成は、表1の実施例1と同様にした。具体的には、まず、吐出時間20秒で回転数1000rpmとして、水を用いたリンス処理を行った。次に、静止させた状態で水を45秒間吐出して、第1の現像工程を行った。次いで、回転数2000rpmで回転させながら20秒間水を吐出した後、回転数を600rpmにして15秒間水を吐出させて、リンス処理を行った。その後、水の供給を停止して振り切り処理を行って乾燥させた後、吐出時間20秒で回転数1000rpmとして、水を用いたリンス処理を行った。次に、静止させた状態で、2.38重量%のTMAH水溶液を表2に示す各時間で吐出し、第2の現像工程を行った。その後、回転数2000rpmで回転させながら20秒間水を吐出した後、回転数を600rpmにして15秒間水を吐出させて、リンス処理を行った。最後に、水の供給を停止して振り切り処理を行って乾燥させた。
表2.
○:不良がほとんど見られないレベル
△:若干の不良は見られるが実用上問題のないレベル
×:実用上問題となるレベル
表2より、現像時間が長くなると、糸引きが発生することが分かる。一方、円形残渣については、表2の範囲では現像時間による違いが見られない。したがって、糸引きおよび円形残渣を抑制するには、現像時間を短くすることが好ましい。
尚、第2の現像工程に用いる現像液は、第2のレジストに対する溶解性が水より高い溶液であればよく、TMAH水溶液に限られるものではない。例えば、IPA(イソプロピルアルコール)を用いて、第2の現像工程を行うこともできる。但し、現像液が蒸発する際に第2のレジストの表面に発生する内部応力が大きいと、第2のレジストにクラックが発生するおそれがある。したがって、IPAを用いる場合には、水溶液中での濃度を調整するなどして蒸発速度を遅くすることが好ましい。一方、TMAH水溶液による現像では、クラックの発生の懸念が少ない。したがって、本発明においては、TMAHを用いることがより好ましい。
水に対するIPAの濃度は、例えば、1重量%〜30重量%程度の範囲で設定することができる。このうち、第2のレジストの種類によっては、IPAを水で7重量%の濃度に希釈した溶液は、10重量%の濃度に希釈した溶液に比較して、クラックの発生を効果的に抑制できる場合がある。したがって、第2のレジストの種類に応じて、IPA濃度を調整することが重要である。但し、IPAの濃度を、第1のレジストを溶解しない範囲であって、第2のレジストの未架橋部分を十分に溶解する範囲とすることは言うまでもない。そして、こうしたことは、水に混合する他の水溶性有機溶媒を混合する場合においても同様である。
以上の処理によって、図2(e)に示すような第2のレジストパターン2aを得ることができる。第2のレジストパターン2aは、第1のレジストパターン1aで、ホール内径または分離幅を縮小するパターンとすることもできるし、あるいは、孤立残しパターンの面積を拡大するパターンとすることもできる。
また、本発明によれば、第1のレジストパターン1aに設けられたパターンを、所望の大きさにすることが可能であるので、第1のレジストパターン1aに対して厳密な寸法制御を行わなくても良好な微細パターンを得ることができる。このことについて、表3を用いてさらに説明する。
表3は、現像液の種類と、第1のレジストパターンに設けられたホールの内径を縮小できる寸法との関係を示したものである。さらに、現像およびリンスを終えた後に形成される第2のレジストパターンのホール内径についても示している。
表3から分かるように、水で現像する場合に比較して、IPAやTMAHを用いた場合には、ホールの内径を縮小する寸法を小さくすることができる。したがって、IPAやTMAHを用いることにより、第1のレジストパターンに設けられたホールの内径が小さくなりすぎて、ホールが塞がってしまう問題を解消することが可能である。特に、TMAHでは、この点について高い効果が得られる。尚、第1のレジストパターンに設けられた分離幅を縮小する場合にも同様のことが言える。また、第1のレジストパターンが孤立の残しのパターンであり、この面積を拡大する場合にも、IPAやTMAHを用いることによって、パターンが拡大し過ぎてパターン同士が繋がってしまうのを回避することができる。
尚、本実施の形態において、第2のレジストパターン102aは、半導体基板103の全面に形成することもできるし、半導体基板103の所望の領域にのみ選択的に形成することもできる。後者の場合には、第2のレジスト102を形成した後に、半導体基板103の一部を遮光した状態で露光し、第1のレジストパターン101a中に酸を発生させる。これにより、露光した部分の第1のレジストパターン101aと第2のレジスト102の界面にのみ架橋層104を形成することができる。したがって、同一の半導体基板103の上において、異なる寸法のホール内径や分離幅、あるいは、異なる面積の孤立残しパターンを有する微細パターンを形成することができる。
本発明のレジストパターン形成方法は、半導体基板上に形成するレジストパターンに適用するだけでなく、必要に応じて、半導体装置の製造方法における各工程に適用することも可能である。例えば、シリコン酸化膜などの絶縁層の上に形成するレジストパターンや、ポリシリコン膜などの導電層の上に形成するレジストパターンなどに適用することができる。すなわち、本発明のレジストパターン形成方法は、下地膜に制約されるものではなく、レジストパターンを形成できる基材上であれば、どの場合にも適用することができる。換言すると、本発明によって形成されるレジストパターンは、必要に応じた基材の上に形成されるものであり、本願ではこれらの基材を総称して半導体基材と称する。
本発明においては、上述のように形成したレジストパターンをマスクとして、下地の各種薄膜をエッチングする。これにより、下地薄膜に微細スペースまたは微細ホールが形成されるので、所望の仕様の半導体装置を製造することができる。
以下に、上記のレジストパターン形成方法を用いて、半導体装置を製造する方法の一例を述べる。具体的には、図5〜図13を用いて、CMIS(Complementary Metal Insulator Semiconductor)デバイスを製造する方法について説明する。
まず、図5に示すように、p型の単結晶シリコンからなる半導体基板1を用意する。半導体基板1は、一般に半導体ウェハと称される、平面略円形状の半導体の薄板である。
次に、半導体基板1の主面に素子分離領域4を形成する。例えば、半導体基板1をエッチングして深さ0.35μmの溝を形成し、続いて、半導体基板1の主面上にCVD法により絶縁膜(例えば、酸化シリコン膜)を堆積する。次いで、溝の外部の絶縁膜をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により除去する。これにより、素子分離領域4を形成することができる。
次に、半導体基板1のnMIS形成領域に、p型不純物(例えば、ボロン)をイオン注入してp型ウェル6を形成する。また、半導体基板1のpMIS形、成領域に、n型不純物(例えば、リン)をイオン注入して、n型ウェル8を形成する。この後、p型ウェル6またはn型ウェル8に、nMISまたはpMISのしきい値を制御するための不純物をイオン注入してもよい。
次に、フッ酸水溶液を用いたウェットエッチングなどによって、半導体基板1の表面を洗浄する。次いで、半導体基板1を熱酸化して、例えば厚さ5nmのゲート絶縁膜9を半導体基板1の表面、詳しくは、p型ウェル6およびn型ウェル8の各表面に形成する。
次に、ゲート絶縁膜9の上に、例えば厚さ0.14μmのゲート電極用の導体膜を形成する。次いで、レジストパターンをマスクとしたドライエッチングによって、ゲート電極用の導体膜を加工して導体膜からなるゲート電極10n,10pを形成して、図6の構造を得ることができる。ここで、用いるレジストパターンの形成には、本発明を適用することができる。本発明によれば、良好な微細パターンが形成されるので、ゲート電極10n,10pの幅を微細なものとすることが可能である。
ゲート電極用の導体膜は、例えば、CVD法により形成された多結晶シリコン膜からなる。そして、nMIS形成領域には、n型不純物が導入された多結晶シリコン膜からなるゲート電極10nが形成され、pMIS形成領域には、p型不純物が導入された多結晶シリコン膜からなるゲート電極10pが形成される。
次に、p型ウェル6にn型不純物、例えばヒ素をイオン注入し、nMISのゲート電極10nに対して自己整合的に、相対的に低濃度なソース・ドレイン拡張領域11を形成する。同様に、n型ウェル8にもp型不純物、例えばフッ化ボロンをイオン注入し、pMISのゲート電極10pに対して自己整合的に、相対的に低濃度なソース・ドレイン拡張領域12を形成する。上記ソース・ドレイン拡張領域11,12の深さは、例えば30nmである。
次に、図7に示すように、半導体基板1の主面上に、例えば厚さ10nmの酸化シリコン膜13をCVD法により堆積した後、さらに、酸化シリコン膜13上に窒化シリコン膜をCVD法により堆積する。続いて、窒化シリコン膜をRIE(Reactive Ion Etching)法により異方性エッチングして、nMISのゲート電極10nおよびpMISのゲート電極10pのそれぞれの側壁に、サイドウォール15を形成する。その後、p型ウェル6にn型不純物、例えばヒ素をイオン注入し、nMISのゲート電極10nおよびサイドウォール15に対して自己整合的に、相対的に高濃度なソース・ドレイン拡散領域16を形成する。同様に、n型ウェル8にp型不純物、例えばフッ化ボロンをイオン注入し、pMISのゲート電極10pおよびサイドウォール15に対して自己整合的に、相対的に高濃度なソース・ドレイン拡散領域17を形成する。上記ソース・ドレイン拡散領域16,17の深さは、例えば80nmである。
次に、サリサイド技術により、nMISのゲート電極10nおよびソース・ドレイン拡散領域16の表面およびpMISのゲート電極10pおよびソース・ドレイン拡散領域17の表面に、低抵抗のニッケルシリサイド(NiSi)層18を形成する。尚、ここでは、ニッケルシリサイド層18を例示したが、他のシリサイド層、例えば、ニッケル合金シリサイド層、コバルトシリサイド層、タングステンシリサイド層または白金シリサイド層等を形成することもできる。ニッケルシリサイド層18は、例えば、以下に説明する方法により形成される。
まず、半導体基板1の主面上に、スパッタリング法により、ニッケル膜および窒化チタン膜を順次堆積する。ニッケル膜の厚さは、例えば10nm、窒化チタン膜の厚さは、例えば15nmである。窒化チタン膜は、ニッケル膜の酸化を防止するために、ニッケル膜上に設けられる。尚、窒化チタン膜に代えて、チタン膜を用いてもよい。続いて、半導体基板1にRTA(Rapid Thermal Anneal)法を用いて、例えば温度350℃の熱処理を30秒施す。これにより、ニッケル膜とnMISのゲート電極10nを構成するn型多結晶シリコン膜、および、ニッケル膜とnMISのソース・ドレイン拡散領域16が形成された半導体基板1を構成する単結晶シリコンとを選択的に反応させて、ニッケルシリサイド層18を形成する。同様に、ニッケル膜とpMISのゲート電極10pを構成するp型多結晶シリコン膜、および、ニッケル膜とpMISのソース・ドレイン拡散領域17が形成された半導体基板1を構成する単結晶シリコンとを選択的に反応させて、ニッケルシリサイド層18を形成する。続いて、硫酸を用いたウエット洗浄、または、硫酸と過酸化水素水とを用いたウエット洗浄等により、未反応のニッケル膜および窒化チタン膜を除去する。その後、半導体基板1にRTA法を用いて、例えば、温度550℃の熱処理を30秒施すことにより、ニッケルシリサイド層18の低抵抗化を行う。
次に、図8に示すように、半導体基板1の主面上に、CVD法により窒化シリコン膜を堆積して、第1絶縁膜19aを形成する。続いて、第1絶縁膜19a上に、プラズマCVD法によりTEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)膜を堆積して、第2絶縁膜19bを形成する。これにより、第1および第2絶縁膜19a,19bからなる層間絶縁膜が形成される。その後、第2絶縁膜19bの表面をCMP法により研磨する。下地段差に起因して第1絶縁膜19aの表面に凹凸形状が形成されていても、第2絶縁膜19bの表面をCMP法により研磨することにより、その表面が平坦化された層間絶縁膜が得られる。
次に、レジストパターンをマスクとして、第1および第2絶縁膜19a,19bをエッチングし、接続孔20を所定の箇所に形成する。例えば、nMISのゲート電極10nおよびソース・ドレイン拡散領域16、並びに、pMISのゲート電極10pおよびソース・ドレイン拡散領域17の上方に位置する、第1および第2絶縁膜19a,19bに形成する。接続孔20の口径は、0.1μm以下、例えば0.08μmである。ここで、用いるレジストパターンの形成には、本発明を適用することができる。本発明によれば、良好な微細パターンが形成されるので、第1および第2絶縁膜19a,19bに微細な接続孔20を形成することができる。
次に、図9に示すように、接続孔20の内部を含む半導体基板1の主面上に、チタン膜および窒化チタン膜を順次形成して、この積層膜からなるバリアメタル膜21を形成する。チタン膜は、酸素原子を25at%まで固溶できることから、ニッケルシリサイド層18の表面の還元剤として用いられて、ニッケルシリサイド層18との接触抵抗を低減する機能を有する。また、窒化チタン膜は、後の工程で、接続孔20の内部に埋め込まれる金属膜の構成原子が拡散するのを抑制または防止する機能を有する。バリアメタル膜21の厚さは、例えば3nmから10nmである。尚、以下の説明においては、チタン膜およびその上に形成された窒化チタン膜をバリアメタル膜21と称し、接続孔20の内部に埋め込まれて主導電材料となる金属膜、例えばタングステン膜と区別する。
次に、図10に示すように、例えばCMP法によりタングステン膜22の表面を平坦化することによって、接続孔20の内部にタングステン膜22を埋め込み、タングステン膜22を主導電材料とするプラグを形成する。
尚、前述した接続孔20の内部にプラグを形成する工程では、プラグの主導電材料をタングステン膜22とし、バリアメタル膜21をチタン膜21a,21b上に窒化チタン膜21cが形成された積層膜としたが、これに限定されるものではなく、種々変更することは可能である。例えば、バリアメタル膜を前述したバリアメタル膜21とし、プラグの主導電材料を銅膜とすることもできる。この場合、まず、前述した製造方法と同様にしてバリアメタル膜21を成膜する。次いで、CVD法またはスパッタリング法により、バリアメタル膜21上に、シード層、例えば銅またはルテニウムのシード層を形成する。その後、電解めっき法を用いてシード層上に銅めっき膜を形成することによって、接続孔20の内部に銅めっき膜を埋め込む。
次に、図11に示すように、半導体基板1の主面上に、ストッパ絶縁膜24および配線形成用の絶縁膜25を順次形成する。ストッパ絶縁膜24は、絶縁膜25への溝加工の際にエッチングストッパとなる膜であり、絶縁膜25に対してエッチング選択比を有する材料を用いる。ストッパ絶縁膜24は、例えば、プラズマCVD法により形成される窒化シリコン膜とすることができる。また、絶縁膜25は、例えば、プラズマCVD法により形成される酸化シリコン膜とすることができる。尚、ストッパ絶縁膜24と絶縁膜25には、次に説明する第1層目の配線が形成される。
次に、シングルダマシン法により、第1層目の配線を形成する。まず、レジストパターンをマスクとしたドライエッチングによって、ストッパ絶縁膜24および絶縁膜25の所定の領域に配線溝26を形成する。尚、用いるレジストパターンの形成には、本発明のレジストパターン形成方法を適用することができる。次いで、半導体基板1の主面上に、バリアメタル膜27を形成する。バリアメタル膜27は、例えば、窒化チタン膜、窒化タンタル膜または窒化タンタル膜の上に、タンタル膜を積み重ねた積層膜とすることができる。あるいは、窒化タンタル膜上に、ルテニウム膜を積み重ねた積層膜とすることもできる。続いて、CVD法またはスパッタリング法により、バリアメタル膜27の上に銅のシード層を形成し、さらに、電解めっき法を用いて、シード層上に銅めっき膜を形成する。銅めっき膜によって、配線溝26の内部を埋め込む。続いて、配線溝26以外の領域の銅めっき膜、シード層およびバリアメタル膜27をCMP法により除去して、銅膜を主導電材料とする第1層目の配線M1を形成する。
次に、デュアルダマシン法により、第2層目の配線を形成する。まず、図12に示すように、半導体基板1の主面上に、キャップ絶縁膜28、層間絶縁膜29および配線形成用のストッパ絶縁膜30を順次形成する。キャップ絶縁膜28および層間絶縁膜29には、後に説明するように接続孔が形成される。キャップ絶縁膜28は、層間絶縁膜29に対してエッチング選択比を有する材料で構成され、例えば、プラズマCVD法により形成される窒化シリコン膜とすることができる。さらに、キャップ絶縁膜28は、第1層目の配線M1を構成する銅の拡散を防止する保護膜としての機能を有している。層間絶縁膜29は、例えば、プラズマCVD法により形成されるTEOS膜とすることができる。ストッパ絶縁膜30は、層間絶縁膜29、および、後にストッパ絶縁膜30の上層に堆積される配線形成用の絶縁膜に対して、エッチング選択比を有する絶縁材料で構成され、例えば、プラズマCVD法により形成される窒化シリコン膜とすることができる。
次に、孔形成用のレジストパターンをマスクとしたドライエッチングにより、ストッパ絶縁膜30を加工した後、ストッパ絶縁膜30上に、配線形成用の絶縁膜31を形成する。絶縁膜31は、例えばTEOS膜とすることができる。尚、用いるレジストパターンの形成には、本発明のレジストパターン形成方法を適用することができる。
次に、配線溝形成用のレジストパターンをマスクとしたドライエッチングにより、絶縁膜31を加工する。この際、ストッパ絶縁膜30が、エッチングストッパとして機能する。続いて、ストッパ絶縁膜30および配線溝形成用のレジストパターンをマスクとしたドライエッチングにより、層間絶縁膜29を加工する。この際、キャップ絶縁膜28が、エッチングストッパとして機能する。続いて、露出したキャップ絶縁膜28をドライエッチングにより除去することにより、キャップ絶縁膜28および層間絶縁膜29に接続孔32が形成され、ストッパ絶縁膜30および絶縁膜31に配線溝33が形成される。尚、上記の各レジストパターンの形成には、本発明のレジストパターン形成方法を適用することができる。
次に、接続孔32および配線溝33の内部に、第2層目の配線を形成する。第2層目の配線は、バリアメタル層および主導電材料である銅膜からなり、この配線と下層配線である第1層目の配線M1とを接続する接続部材は、第2層目の配線と一体に形成される。まず、接続孔32および配線溝33の内部を含む半導体基板1の主面上に、バリアメタル膜34を形成する。バリアメタル膜34は、例えば、窒化チタン膜、窒化タンタル膜または窒化タンタル膜上に、タンタル膜を積み重ねた積層膜とすることができる。あるいは、窒化タンタル膜上に、ルテニウム膜を積み重ねた積層膜とすることもできる。バリアメタル膜34を形成する前には、前述したドライクリーニング処理が行われる。このとき、100℃から150℃の温度での加熱と、150℃よりも高い温度での加熱とを半導体ウェハに対して行い、接続孔32の底面並びに接続孔32および配線溝33の側壁に生成した生成物の除去を行ってもよい。これにより、バリアメタル膜34と第1層目の配線M1との接触抵抗のばらつきを低減することができ、また、キャップ絶縁膜28、層間絶縁膜29、ストッパ絶縁膜30および絶縁膜31からのバリアメタル膜34の剥がれを防止することができる。続いて、CVD法またはスパッタリング法により、バリアメタル膜34上に銅のシード層を形成し、さらに、電解めっき法を用いて、シード層上に銅めっき膜を形成する。銅めっき膜により、接続孔32および配線溝33の内部を埋め込む。続いて、接続孔32および配線溝33以外の領域の銅めっき膜、シード層およびバリアメタル膜34をCMP法により除去して、銅膜を主導電材料とする第2層目の配線M2を形成する。
その後、図13に示すように、例えば、前述した第2層目の配線M2と同様の方法により、さらに上層の配線を形成する。図13では、第3層目から第6層目の配線M3,M4,M5,M6を形成したCMISデバイスを例示している。続いて、第6層目の配線M6上に窒化シリコン膜35を形成し、窒化シリコン膜35上に酸化シリコン膜36を形成する。これらの窒化シリコン膜35および酸化シリコン膜36は、外部からの水分や不純物の侵入防止およびα線の透過の抑制を行うパッシベーション膜として機能する。
次に、窒化シリコン膜35および酸化シリコン膜36を、レジストパターンをマスクとしたエッチングにより加工して、第6層目の配線M6の一部(ボンディングパッド部)を露出させる。ここで、用いるレジストパターンの形成には、本発明のレジストパターン形成方法を適用することができる。続いて、露出した第6層目の配線M6上に、金膜およびニッケル膜等の積層膜からなるバンプ下地電極37を形成する。そして、バンプ下地電極37上に、金または半田等からなるバンプ電極38を形成することにより、CMISデバイスが略完成する。尚、このバンプ電極38は外部接続用電極となる。この後、半導体ウェハSWから半導体チップに個々に切り分けられ、パッケージ基板等に実装されて半導体装置が完成するが、それらの説明は省略する。
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。