JP5664298B2 - ゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブヘッドの設計方法 - Google Patents

ゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブヘッドの設計方法 Download PDF

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Description

本発明はゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブヘッドの設計方法に関する。
ゴルフクラブヘッドの設計方法として、ゴルフクラブヘッドを再現するゴルフクラブヘッドモデル(有限要素モデル)を作成し、ゴルフクラブヘッドの設計パラメータを変化させてゴルフクラブヘッドモデルの挙動を解析し、その解析結果から設計パラメータ毎に様々な特性値を算出し、それら特性値のうち目的関数となる特性値を評価し、目的関数が最適となるような設計パラメータを算出する手法が用いられている。
例えば、特許文献1には、設計パラメータとしてヘッドの肉厚、比重が例示され、目的関数としてヘッドの重心位置、慣性モーメントが例示されている。
また、特許文献2には、設計パラメータとしてフェース面の裏面に設ける補強リブの本数や配置位置などが例示され、目的関数としてミーゼス応力の最大値が例示されている。
特開2005−65996号公報 特開2007−25761号公報
ところで、ゴルフクラブヘッドの設計においては、打球の飛距離を向上することが重要であり、したがって、フェース面のスイートスポットから外れた打点でゴルフボールを打撃しても、スイートスポットで打撃した場合とほぼ同等の飛距離(例えば、ボールの最大初速の99%程度)を得ることができる領域、いわゆるスイートエリアを拡大することが重要である。
このような観点から見ると、従来技術は、重心位置、慣性モーメント、ミーゼス応力などの特性値を用いることに留まっており、スイートエリアの拡大を図る上で改善の余地がある。
また、ゴルフクラブヘッドの挙動を再現するゴルフクラブヘッドモデルを作成し、そのモデルを用いて解析を行うことで設計パラメータの最適化を図ったとしても、その設計パラメータを用いて実際に製造を行うにあたっては、その設計パラメータが量産化に適したものとなることが重要であるが、そのような観点から見ても従来技術には改善の余地がある。
本発明の目的は、スイートエリアの拡大を図り打球の飛距離を向上することができるゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブヘッドの設計方法を提供することにある。
また、量産化を図る上で、また、製造コストを低減する上で有利となるゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブヘッドの設計方法を提供することにある。
上記の目的を達成する本発明のゴルフクラブヘッドの設計方法は、ゴルフクラブヘッドにおける変更すべき設計パラメータと、前記設計パラメータの値の許容範囲と、ゴルフクラブヘッドの評価対象としての特性値である第1の特性値と、予め定められた制約条件を満たすべきゴルフクラブの特性値である第2の特性値と、前記第1の特性値が満たすべき最適条件と、前記制約条件とを設定する条件設定ステップと、前記設計パラメータを変数としてゴルフクラブヘッドを再現するゴルフクラブヘッドモデルを生成するモデル生成ステップと、前記ゴルフクラブヘッドモデルを使用して第1の特性値を求める第1の特性値演算ステップと、前記ゴルフクラブヘッドモデルを使用して第2の特性値を求める第2の特性値演算ステップと、前記ゴルフクラブヘッドモデルに与える前記設計パラメータの値を前記許容範囲内で繰り返し変更し、変更の度にこの変更によって生成される前記ゴルフクラブヘッドモデルについて前記第1、第2の特性値演算ステップを実行する繰り返しステップと、前記繰り返しステップによって求められた前記第1の特性値が前記最適条件を満たし、かつ、前記第2の特性値が前記制約条件を満たすときの前記設計パラメータの値を最適化された設計パラメータの値として求める最適化ステップとを含み、前記第2の特性値は、前記フェース面の反発係数と、前記ゴルフクラブヘッドの重心位置をフェース面に垂直に投影した重心点と前記フェース面の最大たわみ点との離間距離とを含むことを特徴とする。
また本発明のゴルフクラブヘッドの設計方法は、ゴルフクラブヘッドの特定の部分を予め定められた多数の領域に分割して設定すると共に、各領域に対応して1次設計パラメータを設定する1次設計パラメータ設定ステップと、互いに値が異なる前記1次設計パラメータの数をM個とした場合、前記1次設計パラメータの下限値から上限値までの間を前記1次設計パラメータの値の大小に応じてN個(N<M)のグループにグループ分けし、各グループに該当する1次設計パラメータの平均値をグループ毎に算出することにより平均化されたN個の2次設計パラメータを得る平均化ステップと、前記2次設計パラメータの値の許容範囲と、ゴルフクラブヘッドの評価対象としての特性値である第1の特性値と、予め定められた制約条件を満たすべきゴルフクラブの特性値である第2の特性値と、前記第1の特性値が満たすべき最適条件と、前記制約条件とを設定する条件設定ステップと、前記2次設計パラメータを変数としてゴルフクラブヘッドを再現するゴルフクラブヘッドモデルを生成するモデル生成ステップと、前記ゴルフクラブヘッドモデルを使用して第1の特性値を求める第1の特性値演算ステップと、前記ゴルフクラブヘッドモデルを使用して第2の特性値を求める第2の特性値演算ステップと、前記ゴルフクラブヘッドモデルに与える前記2次設計パラメータの値を前記許容範囲内で繰り返し変更し、変更の度にこの変更によって生成される前記ゴルフクラブヘッドモデルについて前記第1、第2の特性値演算ステップを実行する繰り返しステップと、前記繰り返しステップによって求められた前記第1の特性値が前記最適条件を満たし、かつ、前記第2の特性値が前記制約条件を満たすときの前記2次設計パラメータの値を最適化された設計パラメータの値として求める最適化ステップとを含み、前記第2の特性値は、前記フェース面の反発係数と、前記ゴルフクラブヘッドの重心位置をフェース面に垂直に投影した重心点と前記フェース面の最大たわみ点との離間距離とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、ゴルフクラブヘッドの設計パラメータを決定するにあたり、ゴルフクラブヘッドの評価対象としての特性値である第1の特性値を最適化しつつ、予め定められた制約条件を満たすべきゴルフクラブヘッドの第2の特性値として、スイートエリアの大きさに重要な影響を与えるフェース面の反発係数と、重心点と最大たわみ点との離間距離とを用いるようにした。そのため、スイートエリアの拡大を図り打球の飛距離を向上する上で有利となる。
また、本発明によれば、上記の処理に加えて平均化ステップにより1次設計パラメータから2次設計パラメータを得ることにより2次設計パラメータの数を1次設計パラメータの数よりも少なくなるようにした。そのため、スイートエリアの拡大を図り打球の飛距離を向上する上で有利となり、さらに量産化を図る上で、また、製造コストを低減する上で有利となる。
本発明のゴルフクラブヘッドの設計方法の対象となるゴルフクラブヘッドの例を示す正面図である。 第1の実施の形態におけるゴルフクラブヘッドの設計方法を実行するために使用されるコンピュータ30の構成を示すブロック図である。 第1の実施の形態におけるゴルフクラブヘッドの設計方法を説明するフロー図である。 フェース面12が多数の領域aに分割されて設定されている状態を示す図である。 ゴルフクラブヘッドモデル10Aの正面図である。 フェース面12における振幅、すなわち、たわみ量の分布を模式的に示す説明図である。 フェース面12に特定されたたわみ量評価領域TAを示す説明図である。 フェース面12上に設定された多数の節点pを示す説明図である。 選択された節点pを示す説明図である。 回帰二次曲面Kを示す説明図である。 離間距離Lの算出手順を示すフローチャートである。 ゴルフクラブヘッド10の解析手順を示すフローチャートである。 ゴルフクラブヘッド10のローリングの説明図である。 ゴルフクラブヘッド10のフェース面12に設定されたスピード分布を示す説明図である。 フェース面12に設定されたたわみ分布Rの説明図である。 フェース面12上に設定されたスピード分布の等高線vと、重心点Pと、最大たわみ点Qとを示す説明図である。 閾値Cを第1の閾値C1に設定した場合の解析結果を示す説明図である。 重心点Pと、最大たわみ点Qと、フェーススピードVfと、ボール初速との関係を示す模式図である。 重心点Pと、最大たわみ点Qと、フェーススピードVfと、ボール初速との関係を示す模式図である。 最大フェーススピード点Vfmaxと最大たわみ点Qとが一致した状態を示す説明図である。 閾値Cを第2の閾値C2に設定した場合の解析結果を示す説明図である。 重心点Pと、最大たわみ点Qと、フェーススピードVfと、ボール初速との関係を示す模式図である。 重心点Pと、最大たわみ点Qと、フェーススピードVfと、ボール初速との関係を示す模式図である。 最小フェーススピード点Vfminと、最大たわみ点Qとが一致した状態を示す説明図である。 重心点Pおよび最大たわみ点Qの配置を求める手順を示すフローチャートである。 図25のステップS50の詳細を示すフローチャートである。 重心点P−最大たわみ点Q間の離間距離Lと、高初速エリアの面積との関係を示す図である。 ローリングが大きい場合における、重心点Pと、最大たわみ点Qと、フェーススピードVfと、ボール初速との関係を示す模式図である。 ローリングが小さい場合における、重心点Pと、最大たわみ点Qと、フェーススピードVfと、ボール初速との関係を示す模式図である。 バット60の回転運動を示す説明図である。 ゴルフクラブヘッド10の回転運動を示す説明図である。 (A)はローリングが小である場合のゴルフクラブヘッド10の動きを示す説明図、(B)はローリングが大である場合のゴルフクラブヘッド10の動きを示す説明図である。 ローリングが小である場合のスピード分布、重心点P、最大たわみ点Qを示す説明図である。 ローリングが中である場合のスピード分布、重心点P、最大たわみ点Qを示す説明図である。 ローリングが大である場合のスピード分布、重心点P、最大たわみ点Qを示す説明図である。 ローリングが小、中、大であるときにおける、重心点P−最大たわみ点Q間の離間距離Lと、高初速エリアの面積との関係を示す図である。 ペンデュラム試験を行う専用の測定装置の原理を示す側面図である。 質量体6の速度Vの時系列データを示す線図である。 CT値の計算方法を示すフローチャートである。 ゴルフクラブヘッドモデル10Aおよび質量体モデル6Aの説明図である。 ゴルフクラブヘッドモデル10Aの要素E、節点N、分割線S1を示す正面図である。 (A)は質量体モデル6Aの要素E、節点N、分割線S2を示す正面図、(B)は(A)のB矢視図である。 ゴルフクラブヘッドモデル10Aのフェース面12と質量体モデル6Aの衝突面6Bとの位置関係を示す説明図である。 実施例1、2におけるフェース部要素長さLfと質量体要素長さLrとの比率Lr/Lfを比較する説明図である。 実施例1、2におけるCT値(指数)と計算時間とを示す説明図である。 CT値の実測値、実施例1、2によるCT値の計算値を示す説明図である。 たわみ量評価領域TAの面積の計算値と実測値を比較した図である。 第2の実施の形態の設計方法を示すフローチャートである。 フェース面12が複数の領域bに分割されて設定されている状態を示す図である。
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、本発明の設計方法の対象となるゴルフクラブヘッドについて説明する。
図1に示すように、ゴルフクラブヘッド10は、フェース部14と、クラウン部16と、ソール部18と、サイド部20とを備えて中空構造を呈している。
フェース部14はゴルフボールを打撃するフェース面12を形成する。
クラウン部16はフェース部14に接続される。
ソール部18はフェース部14およびクラウン部16に接続される。
サイド部20はクラウン部16およびソール部18に接続されフェース部14に対向する。
ゴルフクラブヘッド10は、金属製であり、ゴルフクラブヘッド10の金属材料は、チタン合金やアルミニウム合金などの高強度の低比重金属が好ましく用いられる。
また、クラウン部16には、フェース面12側でかつヒール22寄りの位置にシャフト28に接続するホーゼル26が設けられている。
また、フェース面12を正面から見てゴルフクラブヘッド10のヒール22と反対側がトウ24である。
図2は本発明の設計方法を実施するためのコンピュータ30の構成を示すブロック図である。
コンピュータ30は、CPU32と、不図示のインターフェース回路およびバスラインを介して接続されたROM34、RAM36、ハードディスク装置38、ディスク装置40、キーボード42、マウス44、ディスプレイ46、プリンタ48、入出力インターフェース50などを有している。
ROM34は制御プログラムなどを格納し、RAM36はワーキングエリアを提供するものである。
なお、本明細書において、最大たわみ点とは、フェース面12の1次振動における最大たわみ点をいい、最大たわみ量は最大たわみ点における振幅もしくはたわみ量をいう。
ハードディスク装置38は、ゴルフクラブヘッド10の有限要素解析を行う有限要素解析プログラムと、この有限要素解析プログラムによって得られたシミュレーション結果を用いてゴルフクラブヘッド10の設計パラメータ、特性値などを計算する計算プログラムを格納している。この種の計算プログラムは、専用のプログラムを用いても、あるいは、市販の表計算ソフトウェア(アプリケーションプログラム)およびそのマクロプログラムを用いるなど任意である。
有限要素解析プログラムとして、有限要素解析を行う従来公知のさまざまな市販の有限要素解析ソフトウェア、例えば、ABAQUS(SIMULIA Americas社の登録商標)などを用いることができる。
有限要素解析プログラムは、以下のプログラムを含んで構成されている。
1)有限要素モデルを作成するためのプログラム:
本実施の形態ではゴルフクラブヘッド10の有限要素モデルを作成するためのプログラムである。
2)有限要素モデルを用いて有限要素法によるシミュレーション(解析)を行うためのプログラム:
本実施の形態では、ゴルフクラブヘッドの有限要素モデルを用いて固有値解析(振動解析)、衝突解析を行うためのプログラムである。なお、固有値解析に代えて周波数応答解析を行っても良い。
3)シミュレーション結果を出力するためのプログラム:
シミュレーション結果をコンター図などを含むさまざまな形態の図や数表として可視化して出力するためのプログラムである。
ディスク装置40はCDやDVDなどの記録媒体に対してデータの記録および/または再生を行うものである。
キーボード42およびマウス44は、操作者による操作入力を受け付けるものである。
ディスプレイ46はデータを表示出力するものであり、プリンタ48はデータを印刷出力するものであり、ディスプレイ46およびプリンタ48によってデータを出力する。
入出力インターフェース50は、外部機器との間でデータの授受を行うものである。
次に、図3のフローチャートを参照して本実施の形態の設計方法について説明する。
以下の各処理は、基本的にコンピュータ30が有限要素解析プログラムおよび前記の計算プログラムを実行することにより行われるものである。
なお、以下の説明では、まず、設計方法の処理手順の全体について概略的に説明したのち、個々の処理手順について具体的に説明する。
まず、ゴルフクラブヘッド10における変更すべき設計パラメータを設定する(ステップS10:条件設定ステップ)。設計パラメータをどのように設定するかは、設計者によって定められる。
本実施の形態では、設計パラメータはフェース部14の肉厚値である。
図4に示すように、フェース部14は、予め定められた多数の領域aに分割して設定されており、設計パラメータは各領域に対応して設定される。すなわち、ひとつの領域aにおいて、設計パラメータ(肉厚値)は同一の値である。
本実施の形態では、フェース面12を、上下方向に7分割、トウ−ヒール方向に7分割することで、合計49個の領域aを格子状に設定している。
複数の領域aの数や形状、面積は限定されるものではなく、計算に要する時間や最終的に得られる設計パラメータの評価結果に基づいて設定することができる。
次いで、設計パラメータを変数としてゴルフクラブヘッドを再現するゴルフクラブヘッドモデルを生成する(ステップS12:モデル作成ステップ)。すなわち、ゴルフクラブヘッド10の有限要素モデルであるゴルフクラブヘッドモデルを作成する。
有限要素モデルの作成は従来公知の有限要素法に基づいてなされるものである。
具体的には、3次元CADプログラムを用いて作成されたゴルフクラブヘッド10の3次元形状データ、すなわち、設計データ(CADデータ)をコンピュータ30に入力する。
また、ゴルフクラブヘッド10の有限要素モデルを作成するために必要な拘束条件や材料定数を含むさまざまなデータをコンピュータ30に入力する。
コンピュータ30が有限要素解析プログラムを実行することにより、ゴルフクラブヘッド10の3次元形状データがそれぞれメッシュ分割される。
有限要素としては、シェル要素およびソリッド要素の何れを用いてもよいが、シェル要素を用いるとソリッド要素に比較して計算に要する時間の短縮化を図る点で有利となる。
これにより、図5に示すように、ゴルフクラブヘッド10の有限要素モデルとしてのゴルフクラブヘッドモデル10Aが作成される。このゴルフクラブヘッドモデルは、多数の要素および各要素の節点によって規定される。また、図8に示すように、フェース面12上に多数の節点pが設定される。
なお、図5ではゴルフクラブヘッドモデル10Aが多数の要素に分割された状態を示す線を省略している。
ステップS12はコンピュータ30が有限要素解析プログラムを実行することで行われる。
なお、ゴルフクラブヘッドモデルは、ゴルフクラブヘッド10の全体、より詳細には、フェース部14、クラウン部16、ソール部18、サイド部20の全てを含むゴルフクラブヘッド10の有限要素モデルで構成される。
本実施の形態では、後述する特性値の種類に応じて、要素の数を異ならせた2種類のゴルフクラブヘッドモデルを生成する。
すなわち、固有値解析処理(ステップS18,S20)で用いるゴルフクラブヘッドモデルと、インパクト解析処理(ステップS22,S24)で用いるゴルフクラブヘッドモデルとで要素の数を異ならせている。
次に、設計パラメータの値の許容範囲と、ゴルフクラブヘッド10の評価対象としての特性値である第1の特性値と、予め定められた制約条件を満たすべきゴルフクラブの特性値である第2の特性値と、第1の特性値が満たすべき最適条件と、前記の制約条件とを設定する(ステップS14:条件設定ステップ)。なお、ステップS14は、ステップS10の次に実行してもよい。これら設計パラメータの値の許容範囲、第1の特性値、第2の特性値、最適条件、制約条件をどのように設定するかは、設計者によって定められる。
また、以下に説明するように、コンピュータ30は、設計パラメータの値を許容範囲内で繰り返し変更し、変更の度にこの変更によって生成されるゴルフクラブヘッドモデルについて第1、第2の特性値を算出する計算を行うが、ステップS14では、この計算回数の上限回数を予め設定しておく。計算回数の上限回数は、一連の計算処理に要する時間がむやみに長くなることを抑制しつつ、得られる設計パラメータが適切なものとなる範囲で適宜設定される。
本実施の形態では、第1の特性値は、フェース面12のたわみ量が所定のしきい値以上となるたわみ量評価領域の面積である。たわみ量評価領域の面積が大きいほど、スイートエリアを大きく確保する上で有利となる。言い換えると、目的関数はたわみ量評価領域の面積である。
第1の特性値が満たすべき最適条件は、たわみ量評価領域の面積がなるべく大きな値となることである。
第2の特性値は、フェース部14の重量Wtと、フェース面12の反発係数であるCT値と、ゴルフクラブヘッド10の重心位置をフェース面12に垂直に投影した重心点とフェース面の1次振動における最大たわみ点との離間距離Lとである。
なお、CT値、離間距離Lについては後で詳述する。
第2の特性値の制約条件は以下のように例示される。
重量Wt:Wt≦53g
CT値:CT≦257μsec
離間距離L:7.0≦L≦10.0mm
各制約条件を設定した根拠は次の通りである。
重量Wtは設計条件として適宜設定されるものである。
CT値は規定により上限が257μsecに制限されているためである。
離間距離Lは後述するように標準的なスイングを行うゴルファが用いた場合にスイートエリアを確保する上で有利な範囲であるためである。
次に、コンピュータ30は、各領域aに対して設計パラメータを設定する(ステップS16)。
設計パラメータは予め定められた許容範囲内で変更して設定される。
本実施の形態では、肉厚値の許容範囲は1.5〜6mmである。
次に、コンピュータ30は、設計パラメータの値が設定されたゴルフクラブヘッドモデルについて第1、第2の特性値の演算を行う3つの処理を並行して行う(ステップS18,S20,S22,S24,S26,S28)。
すなわち、コンピュータ30が固有値解析を実行することにより、フェース面12のたわみに関する第1の特性値、第2の特性値を算出する(ステップS18,S20)。
フェース面12のたわみに関する第1の特性値は後述するたわみ量評価領域の面積である。
フェース面12のたわみに関する第2の特性値は後述する離間距離Lである。
また、コンピュータ30は、ヘッドと質量体とのインパクト解析を実行することにより、ヘッド反発に関する第2の特性値を算出する(ステップS22、S24)。
ヘッド反発に関する第2の特性値は、後述する反発係数であるCT値である。
また、コンピュータ30は、各領域aに設定された肉厚値と、各領域の面積と、フェース部14を構成する材料の比重とに基づいて計算を行い、第2の特性値としてのフェース部14の重量Wtを算出する(ステップS26,S28)。このような計算は、例えば、コンピュータ30が表計算ソフトを実行することでなされる。
本実施の形態では、ステップS18,S20,S22,S24,S26,S28が、ゴルフクラブヘッドモデルを使用して第1の特性値を求める第1の特性値演算ステップと、ゴルフクラブヘッドモデルを使用して第2の特性値を求める第2の特性値演算ステップとに相当する。
次に、コンピュータ30は、計算回数(3つの処理の実行回数)が前記の上限回数に達したか否かを判定する(ステップS30)。計算回数が上限回数に達していなければ、ステップS16に戻り、設計パラメータを予め定められた許容範囲内で変更して設定し、同様の処理を繰り返して行う。
本実施の形態では、ステップS16〜S30が、ゴルフクラブヘッドモデルに与える設計パラメータの値を許容範囲内で繰り返し変更し、変更の度にこの変更によって生成されるゴルフクラブヘッドモデルについて第1、第2の特性値演算ステップを実行する繰り返しステップに相当する。
なお、ステップS16〜S30の処理を繰り返して実行する際における設計パラメータを変更する方法として、初期値に依存しないランダムサンプリングによる大域的な最適解探索を用いることができ、例えば、焼きなまし法(SA)や遺伝的アルゴリズム(GA)の従来公知のさまざまな手法が採用可能である。
ステップS30で計算回数が前記の上限回数に達していれば、コンピュータ30は、それまでに得られた特性値、すなわち、第1の特性値としてのたわみ量評価領域の面積と、第2の特性値としての重量Wt、CT値、離間距離Lとを出力する(ステップS32)。
そして、第1の特性値が最適条件を満たし、かつ、第2の特性値が制約条件を満たす設計パラメータが存在するか否かを判定する(ステップS34)。
判定結果が肯定であれば、コンピュータ30は、第1の特性値が最適条件を満たし、かつ、第2の特性値が制約条件を満たす設計パラメータを設計案として出力する(ステップS36)。
ステップS34の判定結果が否定ならば、コンピュータ30は、ステップS14で設定した最適条件、制約条件について見直しを行い最適条件、制約条件の一方あるいは双方を変更し、再度同様の処理を実行する。
ステップS32,S34の処理は、例えば、コンピュータ30が表計算ソフトを実行することによってなされる。
本実施の形態では、ステップS34が、繰り返しステップによって求められた第1の特性値が最適条件を満たし、かつ、第2の特性値が制約条件を満たすときの設計パラメータの値を最適化された設計パラメータの値として求める最適化ステップに相当する。
本実施の形態では、フェース面12が49個の領域aに分割されているため、設計パラメータである肉厚値も各領域aに設定され、したがって、合計49個の肉厚値が得られることになる。
次に、ステップS18、S20の処理について図11のフローチャートを参照して詳細に説明する。
以下の各処理は、コンピュータ30が有限要素解析プログラムおよび前記の計算プログラムを実行することにより行われるものである。
ステップS12で作成されたインパクト解析用のゴルフクラブヘッドモデル10Aを用いて有限要素法による固有値解析を行うことによってゴルフクラブヘッド10のフェース面12の各節点pにおけるフェース面12と直交する方向の振幅を算出する(ステップS100:固有値解析ステップ)。
具体的には、固有値解析の結果からゴルフクラブヘッドモデル10Aのフェース面12における1次共振周波数を特定した後、フェース面12の各節点pについて特定された1次共振周波数における振幅を算出する。特定された1次共振周波数における振幅は、各節点pの変位モードベクトルに相当する。
ステップS100はコンピュータ30が有限要素解析プログラムを実行することで行われる。
図6は、ステップS100で算出されたフェース面12における振幅、すなわち、たわみ量の分布を模式的に示す説明図であり、本例ではたわみ量が等しい点を結ぶ等高線kが表示されている。
次いで、各節点pの振幅のうち最大振幅を100%としたとき、振幅がn%以上(ただし0<n<100)となる節点pを選択する(ステップS102:節点選択ステップ)。
本実施の形態では、n=95%としたがこれに限定されるものではない。
すなわち、図9にハッチングで示すように節点pが選択される。
ステップS102はコンピュータ30が前記の計算プログラムを実行することで行われる。
次いで、選択された節点pの振幅に基づいてフェース面12における振幅の変化を示す回帰曲面を決定する(ステップS104:回帰曲面決定ステップ)。
ステップS104はコンピュータ30が前記の計算プログラムを実行することで行われる。
本実施の形態では、回帰曲面は、以下の式(1)で示される回帰式によって定義される二次曲面(回帰二次曲面)である。
したがって、選択された節点pの振幅データに基づいて二次曲面に最小二乗回帰を行うことになる。
回帰曲面は、三次以上の高次の多項式曲面であってもよいが、二次曲面を用いると、計算処理に要する時間の短縮化を図る上で有利となる。
Figure 0005664298
但し、Aは振幅、a,b,c,d,e,fは回帰係数である。
また、y,zは、図6に示すように、フェース面12上に設定された直交座標で規定される座標値である。
具体的には、ライ角通りにゴルフクラブヘッドモデル10Aをセットした状態でゴルフクラブヘッドモデル10Aのフェース面12のトウ24側からヒール22側に向かう水平方向をY方向とし、鉛直上向きの方向をZ方向とする。Y軸およびZ軸の交点は、例えば、フェース面12の中心点と一致している。
図10にステップS104で決定されたに回帰二次曲面Kを示す。
図中、記号◆はステップS100、S102の算出結果を示し、湾曲した複数の実線は回帰二次曲面Kを示す。
図10から明らかなように、ステップS100、S102では、離散した各節点pに対応した振幅Aが得られ、ステップS104では、離散した各節点pの間における振幅Aが補間されて得られることになる。
次に、回帰曲面Kで示される振幅Aの最大値(極大値)を求め、この最大値を真の最大振幅とすると共にこの真の最大振幅を100%としたとき、振幅AがN%以上(ただし0<N<100)となるフェース面12の領域をたわみ量評価領域TAとして特定する(ステップS106:たわみ量評価領域特定ステップ)。
本実施の形態では、N=95%としたがこれに限定されるものではない。
図7にフェース面12に特定されたたわみ量評価領域TAを示す。
ステップS106はコンピュータ30が前記の計算プログラムを実行することで行われる。
本実施の形態では、回帰曲面(回帰二次曲面)Kで示される振幅Aの最大値は、以下の式(2)、式(3)で示される連立方程式を解くことで求められる。
なお、回帰曲面Kが三次以上の高次の多項式曲面であれば、振幅Aの最大値は、多項式曲面に対応する連立方程式を解くことで求められる。
Figure 0005664298
Figure 0005664298
次に、たわみ量評価領域TAの面積と最大たわみ点の位置とを算出する(ステップS108:たわみ量評価領域算出ステップ、最大たわみ点位置特定ステップ)。
この場合、最大たわみ点の位置は振幅Aの最大値(真の最大振幅)に対応するフェース面12上の位置である。
ステップS108はコンピュータ30が前記の計算プログラムを実行することで行われる。
次に、ゴルフクラブヘッドの重心位置をフェース面に垂直に投影した重心点とフェース面12の最大たわみ点との離間距離Lを算出する(ステップS110:離間距離算出ステップ)。
離間距離Lは、スイートエリアの面積に大きな影響を与える特性値であり、離間距離Lが前記の制約条件を満たすことにより、スイートエリアの面積を大きく確保する上で有利となる。離間距離Lがスイートエリアの面積に大きな影響を与えることについては後述する。
このような固有値解析によってたわみ量評価領域TAの面積と離間距離Lを求めるようにすることで以下の効果が奏される。
すなわち、本実施の形態では、有限要素モデルで構成されたゴルフクラブヘッドモデル10Aを用いて有限要素法による固有値解析を行うことによってフェース面12の各節点pにおける振幅Aを算出し、各節点pの振幅Aのうち最大振幅を100%としたとき、振幅Aがn%以上となる節点pを選択する。
次いで、選択された節点pの振幅Aに基づいてフェース面12における振幅Aの変化を示す回帰曲面Kを決定し、回帰曲面Kで示される振幅Aの最大値を求め、この最大値を真の最大振幅とすると共にこの真の最大振幅を100%としたとき、振幅AがN%以上となるフェース面12の領域をたわみ量評価領域TAとして特定する。
そして、たわみ量評価領域TAの面積を第1の特性値として算出し、離間距離Lを第2の特性値として算出するようにした。
したがって、実際にゴルフクラブヘッドを製作することなく第1、第2の特性値を短時間、低コストで正確に求めることができ、設計の効率化を図る上で有利となる。
特に、有限要素法の固有値解析は、衝突解析に比較して計算量が少ないため、短時間で計算結果を得ることができることから第1、第2の特性値を得るために要する時間の短縮化を図る上で有利となる。
また、ゴルフクラブヘッドモデルを構成する有限要素の大きさをより小さくし、各節点pの間隔をより小さくすることによって回帰曲面Kを用いることなく真の最大振幅を得ることも考えられる。
しかしながら、有限要素が小さくなるほど有限要素の数が増大するため、計算量が膨大なものとなり、計算時間の短縮を図る上で不利がある。
これに対して、本実施の形態のように、回帰曲面Kから真の最大振幅を求めるようにすると、有限要素の大きさをむやみに小さくすることなく真の最大振幅を精度よく求めることができる。
したがって、有限要素の数を抑制して計算量を少なくでき、短時間で計算結果を得ることができるため、第1、第2の特性値を得るために要する時間の短縮化を図り、かつ、第1、第2の特性値の精度を確保する上で有利となる。
(離間距離L)
離間距離Lについて説明する。
本発明者らは、ゴルフクラブヘッド10の有限要素モデルであるゴルフクラブヘッドモデルを用いて有限要素解析を行ない、ゴルフクラブのスイング時におけるフェース面12のスピードの分布と、ゴルフクラブヘッド10の重心点と、ゴルフクラブヘッド10のフェース最大たわみ点との位置関係がスイートエリアの面積に大きな影響を与えるという知見を得た。
そして、このような知見から、離間距離Lが所定の範囲内、すなわち、前記の制約条件を満たすように設定されることがスイートエリアの面積を確保する上で有利であることを見出した。
そして、この場合、ステップS110(離間距離算出ステップ)による離間距離Lの算出は、フェース面12でゴルフボールを打撃する直前におけるフェース面12のスピード分布がフェース面12上に設定された場合、最大たわみ点が、フェース面12上において重心点を通りかつスピード分布の等高線と直交する直線上に配置された状態でなされることが、スイートエリアの面積を確保する上で好ましいことがわかった。ここで、スピード分布の等高線とは、フェース面12上に設定されたスピードが等しい点を結んだ線である。
以下では、離間距離Lに関する知見、離間距離Lの制約条件について具体的に説明する。
図2に示すコンピュータ30を用いて図12に示すような手順でゴルフクラブヘッド10を有限要素法によって解析する。
コンピュータ30のハードディスク装置38には、有限要素解析プログラムと、この有限要素解析プログラムによって得られたシミュレーション結果を用いてゴルフクラブヘッド10の特性値を計算する計算プログラムを格納されており、これらプログラムが実行されることにより以下の解析が実行される。
まず、有限要素モデルで構成されたゴルフクラブヘッドモデルを設定する(ステップS200)。
また、ゴルフボールについてもゴルフクラブヘッドモデルと同様に有限要素モデルで構成されたゴルフボールモデルを設定する(ステップS202)。
次に、上記で設定したゴルフクラブヘッドモデルを用いて、フェース面12のスピード(以下フェーススピードという)の分布を計算によって求め、フェーススピードの分布をフェース面12に設定する(ステップS204)。
ここで、スピード分布とは、図13に示すように、プレイヤーがゴルフクラブヘッド10を有するゴルフクラブでゴルフボールを打撃したときに、打撃直前におけるフェーススピードの分布を意味するものである。
スピード分布は、シャフト28の長さに依存する成分と、ゴルフクラブヘッド10のローリング(シャフト28の周りの回転)による成分とから主に決定される。
図13に示すように、前者のシャフト28の長さに依存する成分は、シャフト28の中心軸の延長線L1の垂線が、ゴルフクラブヘッド10のソール部18に接する点Aにおいて最大となる。
また、後者のゴルフクラブヘッド10のローリングに依存する成分は、シャフト28の中心軸の延長線L1から最も離れた点B(ゴルフクラブヘッド10のトウ24側端部)において最大となる。
従って、フェーススピードは、図14に示すように、フェース面12のヒール22側の上部aからトウ24側の下部gへ向けて次第に大きくなるように分布する。なお、図14においては、速度0.5m/s毎に等高線vを示している。
ここでスピード分布の等高線vとは、フェーススピードの分布を示すために、フェース面12上において互いに等しいフェーススピードの点を結んだ線である。
以下では、シャフト28の長さと、ゴルフクラブヘッド10のローリングの大きさとを、平均的なゴルフクラブにおけるシャフト28の長さと、平均的なゴルフクラブにおけるゴルフクラブヘッド10のローリングの大きさに設定して解析を行う。このとき、ローリングは、多数のゴルファがスウィングした場合の平均的なローリングとする。
次に、図15に示すように、重心点P(ゴルフクラブヘッド10の重心位置をフェース面12に対して垂直に投影した点)をフェース面12の中心位置に配置する(ステップS206)。
次に、図15に示すように、重心点Pを中心とする円周E上に沿って最大たわみ点Qを仮に配置する(ステップS208)。そして、図15に示すように、その最大たわみ点Qの周囲におけるたわみ量の分布R(以下たわみ分布Rという)を仮に設定する(ステップS210)。なお、本例では、重心点Pを中心とする円周E上に沿って最大たわみ点Qを配置する場合について説明するが、最大たわみ点Qの配置はこれに限定されるものではない。
なお、たわみ量と反発係数とは正の相関関係にあるため、たわみ量から反発係数を換算することができる。したがって、たわみ量を反発係数に換算して反発分布を設定しても良い。
ここで、反発係数とは、U.S.G.A(全米ゴルフ協会)のCOR測定方法(Procedure for Measuring the Velocity Ratio of a Club Head for Conformance to Rule 4-1e,Revision 2(February8,1999)により測定される値である。
たわみ分布Rの形状としては、最大たわみ点Qに対して同心円状かつ等間隔の等高線を有する形状などが例示される。ここでたわみ分布Rの等高線とは、フェース面12のたわみ量の分布を示すために、フェース面12上において互いに等しいたわみ量の点を結んだ線である。
そして、ゴルフクラブヘッド10が、フェース面12上の打点Dにおいて、所定のヘッドスピードHでゴルフボールに衝突したときのゴルフボールの初速(ボール初速)を計算し、フェース面12上における打点Dの位置と、該打点Dにおけるボール初速とを対応付けてRAM36などの記憶手段に記憶させる(ステップS212)。なお、打点Dは、有限要素Xijkと同一又は別個に設定することができる。
次いで、フェース面12上の打点Dの位置を変化させて(ステップS214)、ステップS212に戻って同様の処理を繰り返す。
本例では、変打点Dを変化させる位置は、フェース面12の全体にわたって分布するように複数の位置に予め定められ、打点Dの数は49である。
全ての打点Dの位置についてボール初速を取得したならば、それらボール初速と予め定められた閾値Cとを比較し、ボール初速が閾値C以上となる打点Dの分布、すなわち、スイートエリアの位置と大きさを取得し、スイートエリアの位置と大きさをRAM36などの記憶手段に記憶する(ステップS216)。
これにより、ステップS208で仮配置した1つの最大たわみ点Qに対応したボール初速が閾値C以上となる打点Dの分布が求められたならば、最大たわみ点Qの位置を円周E上に沿って変化させて配置する(ステップS218)。
そして、ステップS218で配置された最大たわみ点Qに対応してたわみ分布Rを設定する(ステップS220)。
次いで、ステップS212に移行して同様の処理を繰り返す。
ここで図16を参照して説明する。
図16はゴルフクラブヘッドモデルのフェース面12上に設定されたスピード分布の等高線vと、重心点Pと、最大たわみ点Qとを示す説明図である。
図16において、横軸はゴルフクラブヘッドモデルのフェース面12を正面から見た場合における水平方向の座標位置をmm単位で示し、縦軸はゴルフクラブヘッドモデルのフェース面12を正面から見た場合におけるゴルフクラブヘッドモデルのフェース面12における上下方向の座標位置をmm単位で示す。
水平方向の座標位置が左方向(負方向)に向かうほどトウ側であり、水平方向の座標位置が右方向(正方向)に向かうほどヒール側である。
言い換えると、横軸は水平方向における打点Dの位置、縦軸は上下方向における打点Dの位置をそれぞれ示す。
本例では、重心点Pがフェース面12の中心位置に合致しているため、重心点Pの座標位置が原点(0mm,0mm)となっている。
なお、フェース面12と横軸および縦軸との位置関係は、図13に示すように、ゴルフクラブヘッドモデルにおけるシャフト28の中心軸の延長線L1と水平面とがなす角度がシャフト28のライ角に合致した状態で示している。
また、図中、スピード分布を示す等高線vに付した数値は該等高線のスピード(m/s単位)を示している。
また、符号Mは、重心点Pを通りかつ等高線vと直交する直線を示す。
図16に示すように、本例では、最大たわみ点Qを変化させる位置は、円周E上に沿った6つの位置と、重心点Pと同じ1つの位置とに予め定められ、したがって、最大たわみ点Qの数は7つである。
ここで円周Eの半径は7mmとする。
図12に戻って説明を続けると、全ての最大たわみ点Qについてスイートエリアの位置と大きさが取得されたならば、スイートエリアの大きさが最大となる最大たわみ点Qの位置を判定し(ステップS222)、一連の解析処理を終了する。
このような解析処理を行うことにより、閾値Cによって決定されるスイートエリアの大きさが最大となる最大たわみ点Qの位置が求められる。
本例では、スイートエリアを決定する閾値Cを第1の閾値C1,第2の閾値C2の2種類に設定した。また、以下では、説明をわかりやすくするために、第1の閾値C1で定義されるスイートエリアを高初速スイートエリアといい、第2の閾値C2で定義されるスイートエリアを中初速スイートエリアという。
第1の閾値C1>第2の閾値C2
第1の閾値C1:ボール初速−1m/s(高初速エリア98%)
第2の閾値C2:ボール初速−3m/s(中初速エリア95%)
ただし、最大ボール初速(100%):58.5m/s(ヘッドスピード40m/s)
まず、閾値Cを第1の閾値C1に設定することにより高初速スイートエリアを実現する場合について説明する。
図17は閾値Cを第1の閾値C1に設定した場合の解析結果を示す説明図である。
図17において、7つの最大たわみ点Qに、高初速スイートエリアの面積の大きさに応じて1位乃至7位の順番を付している。すなわち、1位の最大たわみ点Qは高初速スイートエリアの面積が最大であり、7位の最大たわみ点Qは高初速スイートエリアの面積が最小である。
図17から明らかなように、最大たわみ点Qのフェーススピードが最高となる場合に、高初速スイートエリアの面積が最大(1位)となり、最大たわみ点Qのフェーススピードが最低となる場合に、高初速スイートエリアの面積が最小(7位)となっている。
この場合、1位および7位の最大たわみ点Qは直線M上に位置している。
なお、1位の最大たわみ点Qにおける高初速スイートエリアの面積を100%として2位乃至7位の高初速スイートエリアの面積を示すと下記のとおりとなる。
1位:100%
2位: 97%
3位: 86%
4位: 85%
5位: 74%
6位: 51%
7位: 50%
図17から以下のことが判明した。
閾値Cを第1の閾値C1とした場合、最大たわみ点Qにおけるフェーススピードが低い場合よりも高い場合の方が、高初速スイートエリアの大きさを大きく確保する上で有利となる。
また、重心点Pにおけるフェーススピードよりも最大たわみ点Qにおけるフェーススピードを高い値にすると、高初速スイートエリアの大きさを大きく確保する上で有利となる。
また、フェース面12を、重心点Pを通る横軸、縦軸によって4つの領域に区画した場合、水平方向においては重心点Pよりトウ側で、かつ、上下方向においては重心点Pよりも下側に位置する領域に最大たわみ点Qを配置することが、高初速スイートエリアの大きさを大きく確保する上で有利となる。
図18、図19は重心点Pと、最大たわみ点Qと、フェーススピードVfと、ボール初速との関係を示す模式図である。
図18、図19において、横軸は図17における直線Mを示し、図中左側がトウ側、右側がヒール側となる。また、縦軸はボール初速を示し、上方に向かうほどボール初速が高くなる。
ある打点Dにおけるボール初速は、フェーススピードVfと、最大たわみ点Qの位置と、重心点Pの位置との3つの要素が寄与して決定されるものと考えられる。
すなわち、打点DにおけるフェーススピードVfが高いほどボール初速は高速となる。
また、打点Dに重心点Pが近いほどボール初速は高速となる。
また、打点Dに最大たわみ点Qが近いほどボール初速は高速となる。
すなわち、図18、図19に示すように、ある打点Dにおけるボール初速は、フェーススピードVfが寄与する成分と、最大たわみ点Qの位置(たわみ分布R)が寄与する成分と、重心点Pの位置が寄与する成分とを足し合わせた値で決定されるものと考えられる。
したがって、図19に示すように、重心点PにおけるフェーススピードVfよりも最大たわみ点Qにおけるフェーススピードを低い値にすると、高初速スイートエリアの大きさを大きく確保する上で不利となる。
これに対して、図18に示すように、重心点PにおけるフェーススピードVfよりも最大たわみ点Qにおけるフェーススピードを高い値にすると、高初速スイートエリアの大きさを大きく確保する上で有利となる。
この場合、最大たわみ点Qにおけるフェーススピードを高い値にするほど、高初速スイートエリアの大きさを大きく確保する上で有利となる。すなわち、図20に示すように、最大フェーススピード点Vfmaxと、最大たわみ点Qとを一致させると、高初速スイートエリアは最大となる。
なお、フェース面12上における重心点Pおよび最大たわみ点Qの位置は、ゴルフクラブヘッド10の設計上の制約を受けるため、高初速スイートエリアの大きさには上限がある。
次に、閾値Cを第2の閾値C2に設定することにより中初速スイートエリアを実現する場合について説明する。
図21は閾値Cを第2の閾値C2に設定した場合の解析結果を示す説明図である。
図21において、7つの最大たわみ点Qに、中初速スイートエリアの面積の大きさに応じて1位乃至7位の順番を付している。すなわち、1位の最大たわみ点Qは中初速スイートエリアの面積が最大であり、7位の最大たわみ点Qは中初速スイートエリアの面積が最小である。
図21から明らかなように、最大たわみ点Qのフェーススピードが最低となる場合に、中初速スイートエリアの面積が最大(1位)となり、最大たわみ点Qのフェーススピードが最高となる場合に、中初速スイートエリアの面積が最小に近く(6位)なっている。
この場合、1位および6位の最大たわみ点Qは直線M上に位置している。
なお、1位の最大たわみ点Qにおける中初速スイートエリアの面積を100%として2位乃至7位の中初速スイートエリアの面積を示すと下記のとおりとなる。
1位:100%
2位: 99.9%
3位: 98.8%
4位: 97.8%
5位: 94.8%
6位: 92.2%
7位: 91.9%
図21から以下に示す知見を得た。
閾値Cを第2の閾値C2とした場合、最大たわみ点Qにおけるフェーススピードが高い場合よりも低い場合の方が、中初速スイートエリアの大きさを大きく確保する上で有利となる。
また、重心点Pにおけるフェーススピードよりも最大たわみ点Qにおけるフェーススピードを低い値にすると、中初速スイートエリアの大きさを大きく確保する上で有利となる。
また、フェース面12を、重心点Pを通る横軸、縦軸によって4つの領域に区画した場合、水平方向においては重心点Pよりヒール側で、かつ、上下方向においては重心点Pよりも上側に位置する領域に最大たわみ点Qを配置することが、中初速スイートエリアの大きさを大きく確保する上で有利となる。
図22、図23は重心点Pと、最大たわみ点Qと、フェーススピードVfと、ボール初速との関係を示す模式図である。
図18、図19の場合と同様に、ある打点Dにおけるボール初速は、フェーススピードVfが寄与する成分と、最大たわみ点Qの位置(反発係数の分布)が寄与する成分と、重心点Pの位置が寄与する成分とを足し合わせた値で決定されるものと考えられる。
したがって、図22に示すように、重心点PにおけるフェーススピードVfよりも最大たわみ点Qにおけるフェーススピードを高い値にすると、中初速スイートエリアの大きさを大きく確保する上で不利となる。
これに対して、図23に示すように、重心点PにおけるフェーススピードVfよりも最大たわみ点Qにおけるフェーススピードを低い値にすると、中初速スイートエリアの大きさを大きく確保する上で有利となる。
この場合、最大たわみ点Qにおけるフェーススピードを低い値にするほど、中初速スイートエリアの大きさを大きく確保する上で有利となる。すなわち、図24に示すように、最小フェーススピード点Vfminと、最大たわみ点Qとを一致させると、中初速スイートエリアは最大となる。
なお、高初速スイートエリアを実現する場合と同様に、フェース面12上における重心点Pおよび最大たわみ点Qの位置は、ゴルフクラブヘッド10の設計上の制約を受けるため、中初速スイートエリアの大きさにも上限がある。
以上の解析結果をまとめると次のようになる。
図22、図23から明らかなように、スイートエリアを定義する閾値Cを高くするほど、高初速エリア(最大ボールスピードの値を100とし、98%以上のボールスピードを出現できるエリア)を広くすることができる。
また、スイートエリアを定義する閾値Cを低くするほど、中初速エリア(最大ボールスピードの値を100とし、95%以上のボールスピードを出現できるエリア)を広くすることができる。
したがって、高初速エリアを拡大する場合は、図22に示すように、重心点Pにおけるフェーススピードよりも最大たわみ点Qにおけるフェーススピードを高い値にすると、図23に示す場合に比較して高初速スイートエリアの大きさを大きく確保することができる。
また、中初速エリアを拡大する場合は、図23に示すように、重心点Pにおけるフェーススピードよりも最大たわみ点Qにおけるフェーススピードを低い値にすると、図22に示す場合に比較して中初速スイートエリアの大きさを大きく確保することができる。
このような知見によれば、重心点Pおよび最大たわみ点QをフェーススピードVfを考慮して配置することにより、高初速スイートエリアの大きさを大きく設定したゴルフクラブヘッド10を設計し、あるいは、中初速スイートエリアの大きさを大きく設定したゴルフクラブを設計することができることになる。
次に、前記の知見に基づいてスイートエリアを大きく確保するための重心点Pおよび最大たわみ点Qの配置を求める方法について説明する。
図2に示すコンピュータ30を用いて図25,図26に示すような手順で重心点Pおよび最大たわみ点Qの配置を求める。
コンピュータ30のハードディスク装置38には、ゴルフクラブヘッド10の有限要素解析を行う有限要素解析プログラムに加えて、有限要素解析の結果に基づいて重心点Pおよび最大たわみ点Qの配置を求める計算プログラムが格納されており、これらプログラムが実行されることにより以下の処理が実行される。
図25は重心点Pおよび最大たわみ点Qの配置を求める計算を示すフローチャート、図26は図25のステップS310の詳細を示すフローチャートである。
図25に示すように、まず、スイートエリアを決定する閾値Cの設定を行う(ステップS300)。
本実施の形態では、閾値Cとして前述した第1の閾値C1と第2の閾値C2との何れか一方が設定されるものとして説明する。
次に、ゴルフクラブヘッドモデルの設定、ゴルフボールモデルの設定、フェース面12上のスピード分布の算出、設定を行う(ステップS302、S304,S306)。これらの処理は、図12のステップS200、S202、S204と同様であるため説明を省略する。
次いで、重心点Pをフェース面12上に配置する(ステップS308)
本例では、重心点Pをフェース面12の中心位置に配置した場合について説明するが、重心点Pをフェース面12の中心位置から外れた位置に配置してもよいことは無論である。
次に、スイートスポットを最大にする最大たわみ点Qの位置を絞り込む(ステップS310)。
以下、ステップS310の処理について図26を参照して詳細に説明する。
まず、最大たわみ点Qの配置条件を決定する(ステップS350)。
すなわち、設定された閾値Cに応じてスイートエリアを大きく確保する上で有利な領域を決定する。
具体的には、閾値Cが第1の閾値C1である場合には、図17に示すように、水平方向においては重心点Pよりトウ側で、かつ、上下方向においては重心点Pよりも下側に位置する領域を、最大たわみ点Qの配置条件として決定する。
また、閾値Cが第2の閾値C2である場合には、図21に示すように、水平方向においては重心点Pよりヒール側で、かつ、上下方向においては重心点Pよりも上側に位置する領域を、最大たわみ点Qの配置条件として決定する。
次に、最大たわみ点Qを前記の配置条件を満たす範囲で仮に配置する(ステップS352)。
そして、その最大たわみ点Qの周囲におけるたわみ分布Rを仮に設定する(ステップS354)。
そして、ゴルフクラブヘッド10が、フェース面12上の打点Dにおいて、所定のヘッドスピードHでゴルフボールに衝突したときのゴルフボールの初速(ボール初速)を計算し、フェース面12上における打点Dの位置と、該打点Dにおけるボール初速とを対応付けてRAM36などの記憶手段に記憶させる(ステップS356)。
次いで、フェース面12上の打点Dの位置を変化させて(ステップS358)、ステップS356に戻って同様の処理を繰り返す。
変打点Dを変化させる位置は、フェース面12の全体にわたって分布するように複数の位置に予め定められている。
全ての打点Dの位置についてボール初速を取得したならば、それらボール初速と予め定められた閾値Cとを比較し、ボール初速が閾値C以上となる打点Dの分布、すなわち、スイートエリアの位置と大きさを取得し、スイートエリアの位置と大きさをRAM36などの記憶手段に記憶する(ステップS360)。
これにより、ステップS352で仮配置した1つの最大たわみ点Qに対応したボール初速が閾値C以上となる打点Dの分布が求められたならば、最大たわみ点Qの位置を変化させて配置する(ステップS362)。
なお、最大たわみ点Qの位置の変化は、前述した重心点Pを中心とする円周E上に沿って行うことに限定されるものではなく、最大たわみ点Qの位置を前記の配置条件を満たす範囲で変化させればよい。
そして、ステップS362で配置された最大たわみ点Qに対応してたわみ分布Rも設定する(ステップS364)。
次いで、ステップS356に移行して同様の処理を繰り返す。
全ての最大たわみ点Qについてスイートエリアの位置と大きさが取得されたならば、スイートエリアの大きさが最大となる最大たわみ点Qの位置を判定し、これにより最大たわみ点Qの位置の絞込みがなされる(ステップS366)。次いで、図25のステップS312に移行する。
ステップS312では、ステップS308で設定された重心点Pと、ステップS312で絞り込まれた最大たわみ点Qとを、それぞれ最終的な重心点Pと最大たわみ点Qとして設定する(ステップS312)。
これにより、閾値Cが第1の閾値C1である場合には、重心点PにおけるフェーススピードVfよりも最大たわみ点Qにおけるフェーススピードが高い値となり、かつ、スイートエリア(高初速スイートエリア)の面積が最大となるように、重心点Pおよび最大たわみ点Qのフェース面12上の位置が設定される。
また、閾値Cが第2の閾値C2である場合には、重心点PにおけるフェーススピードVfよりも最大たわみ点QにおけるフェーススピードVfが低い値となり、かつ、スイートエリア(中初速スイートエリア)の面積が最大となるように、重心点Pおよび最大たわみ点Qのフェース面12上の位置が設定される。
次に、重心点Pと最大たわみ点Qとの距離、すなわち、離間距離Lについて以下説明する。
図27は、重心点P−最大たわみ点Q間の離間距離Lと、高初速エリアの面積との関係を示す図である。
図27において、重心点Pに対して最大たわみ点Qがヒール側に位置した場合は離間距離LをL=0の右側に示し、重心点Pに対して最大たわみ点Qがトウ側に位置した場合は離間距離LをL=0の左側に示す。
図中、記号で示した値は実測値、破線で示した値は計算値を示す。
なお、この場合、閾値C=第1の閾値C1であり、図17に示すように、最大たわみ点Qは重心点Pよりもトウ側に配置されている。
本例では、図27から明らかなように、最大たわみ点Qが重心点Pよりもトウ側に配置され、かつ、離間距離Lが5mm〜15mmの範囲である場合に、高初速エリアの面積が約400mm以上を確保しているのに対して、離間距離Lが5mm〜15mmの範囲を超えると、高初速エリアの面積が約400mmよりも大きく低下していることがわかる。
また、離間距離Lが7mm〜10mmであると、高初速エリアの面積を最大に確保することができることがわかる。
なお、本例では、スイング時に発生するゴルフクラブヘッドのローリングが平均的な値であるものとして解析を行った。
しかしながら、ローリングは、ゴルファによってばらつきがある。ローリングが大きい場合と小さな場合とでは、フェース面12上の速度分布が変化する。
以下このことについて図28、図29を用いて模式的に説明する。図28はローリングが大きい場合を示し、図29はローリングが小さい場合を示す。
ローリングが変化すると、フェーススピードVfの傾斜が変化する。
具体的には、ローリングが大きくなるほどフェース面12上の速度分布の一定範囲の等高線の間隔(例えば0.5m/s毎の等高線)が狭くなり、したがって、離間距離Lをより大きくすることがスイートエリアを確保する上で有利となる。
図28に模式的に示すように、フェーススピードVfの傾斜が大きくなるほど、最大たわみ点Qと重心点Pとの離間距離Lを大きくすることがスイートエリア(高初速エリア)を確保する上で有利となる。
また、ローリングが小さくなるほどフェース面12上の速度分布の一定範囲の等高線の間隔(例えば0.5m/s毎の等高線)が広くなり、したがって、離間距離Lをより小さくすることがスイートエリアを確保する上で有利となる。
図29に模式的に示すように、フェーススピードVfの傾斜が小さくなるほど、最大たわみ点Qと重心点Pとの離間距離Lを小さくすることがスイートエリア(高初速エリア)を確保する上で有利となる。
したがって、離間距離Lの制約条件は、ローリングの大きさに対応して変えることがスイートエリアを確保する上でより好ましい。
そこで、高初速エリアの面積を最大に確保するために必要な離間距離Lについてローリングの大きさを考慮して検討した。以下、検討結果について説明する。
まず、図30を参照して野球のバットを例に説明する。
バット60でボール62を打つ場合、バット60の重心点Pで打つよりも、重心点Pよりもバット60の先端側で打ったほうがボール62の飛距離が長くなる。
この理由は以下のとおりである。
バットスイングは回転運動のため、バット60とボール62の衝突の瞬間におけるバット60の速度分布は、重心点Pの箇所より先端側ほど速い。
衝突速度と衝突効率の関係から、打球速度が最高となるバット60上の位置である最高初速点Pvは、重心点Pよりも衝突速度が速い先端側へ移動する。
図31に示すように、バット60の場合と同様に、ゴルフクラブのスウィングも回転運動であるため、ゴルフクラブヘッド10とゴルフボール1との衝突の瞬間におけるフェース面12の速度分布は、重心点Pの箇所より先端側ほど速い。
したがって、フェース面12上における最高初速点Pvは、重心点Pよりフェース面12の速度分布が速い先端側へ移動する。
これに加えて、ゴルフクラブヘッド10のフェース面12上の速度分布は、前述したローリングの影響も受ける。
図32(A)はローリングが小さい場合のゴルフクラブヘッド10の動きを示す模式図、(B)はローリングが大きい場合のゴルフクラブヘッド10の動きを示す模式図である。
図中、符号w1、w2はゴルフクラブヘッド10に設けた2箇所の指標を示す。符号w3は指標w1,w2を通る直線を示す。符号θはゴルフクラブヘッド10がローリングしたときの単位時間当たりの直線w3の回転角度(角速度)を示し、回転角度θはゴルフクラブヘッド10のローリングの度合いを示す。
図33、図34,図35に示すように、ゴルフクラブヘッド10のローリングが小さいほど角速度が小さく、したがって回転が遅くなり、フェース面12の速度分布の等高線の間隔は広くなる。また、ゴルフクラブヘッド10のローリングが大きいほど角速度が大きく、したがって回転が速くなり、フェース面12の速度分布の等高線vの間隔は狭くなる。
このような知見に基づいて以下のような解析を行った。
すなわち、有限要素法に基づいてゴルフクラブヘッドモデルおよびゴルフボールモデルを構築し、ゴルフクラブヘッドモデルに重心点P、フェース面12のスピード分布、たわみ分布を組み込み、フェース面12に設定した49打点でゴルフボールモデルを打撃するシミュレーションをローリングの大きさを小、中、大の3段階に異ならせて行った。
そして、離間距離Lに対応するフェース面12上における高初速エリアの面積を求めた。
解析結果を図36に示す。
図中、太い破線はローリングが小である場合を示している。
太い実線はローリングが中である場合を示し、図27の計算値と同じ値を示す。
細い破線はローリングが大である場合を示している。
記号◆を結ぶ実線は実測値を示し、図27の実測値と同じ値を示す。
図36から明らかなように、高初速エリアを最大に確保するためには、最大たわみ点Qが重心点Pよりもトウ側に位置し、かつ、離間距離Lが以下のような範囲となることが好ましい。
ローリングが中(平均的)の場合:6mm≦L≦10mm
ローリングが大きい場合:10mm<L≦14mm
ローリングが小さい場合:2mm≦L<6mm
図36から以下のことが明らかである。
ローリングが大きいほど、高初速エリアを最大に確保するために必要な離間距離Lは長くなり、高初速エリアが広くなる。
ローリングが小さいほど、高初速エリアを最大に確保するために必要な離間距離Lは短くなり、高初速エリアが狭くなる。
また、図中符号ΔLは、高初速エリアの面積を約400mm以上確保することができる離間距離Lの範囲を示しており、ローリングが大きくなるほど前記の範囲ΔLが大きく、ローリングが小さいほど前記の範囲ΔLが小さくなることがわかる。
次に、図3のステップS22,S24の処理を説明する前に、反発係数CT値を規定する、USGAが定めるペンデュラム試験について説明する。
図37はペンデュラム試験を行う専用の測定装置の原理を示す側面図である。
測定装置は、軸心を水平方向に向けた支軸2と、支軸2に上端が揺動可能に支持されたアーム4と、アーム4の下端に固定された半球状の金属材料からなる質量体6(剛体圧子ともいう)と、質量体6に取り付けられた加速度センサ8と、シャフト28を固定する不図示のチャックとを備えている。
フェース面12に質量体6が衝突する際の質量体6の移動方向がフェース面12に対して直交するように、フェース面12の向きが調整され、この状態が保持されるようにシャフト28が前記のチャックにより固定される。
試験手順は次のとおりである。
まず、アーム4と鉛直線とがなす角度が所定角度となるまで質量体6が持ち上げられたのち、アーム4が振り下ろされる。
これにより、アーム4が支軸2を支点として下方に揺動され質量体6がフェース面12に衝突する。
質量体6がフェース面12に接触している間、質量体6の移動方向とは逆方向における加速度を示す検出信号が加速度センサ8によって検出される。
検出された加速度を示す検出信号は、不図示の信号処理部によって積分されることにより、速度Vの時系列データに変換される。
図38は、質量体6の速度Vの時系列データを示す線図である。
ゴルフクラブヘッド10の反発係数を示すCT値は、以下のようにして算出される。
速度Vの時系列データにおける最高速度をVmaxとする。
速度VがV1(V1=Vmaxのα%)に達する時間を開始時間tsとする。
速度VがV2(V2=Vmaxのβ%)に達する時間を終了時間teとする。
αを0〜99%とし、βを1〜100%とし、α<βとする。
CT値はte−tsによって求められる。
なお、一般的にはα%=5%、β%=95%とされる。
図3のステップS22,S24の処理について図39のフローチャートを参照して詳細に説明する。
以下の各処理は、コンピュータ30が有限要素解析プログラムおよび前記の計算プログラムを実行することにより行われるものである。
まず、図40に示すように、コンピュータ30は、ステップS12で作成されたインパクト解析用のゴルフクラブヘッドモデル10Aの他に、前記の質量体6の有限要素モデルである質量体モデル6Aを作成する(ステップS400:質量体モデル作成ステップ)。
質量体モデル6Aの作成は、ゴルフクラブヘッドモデル10Aの作成と同様になされる。
図40ではゴルフクラブヘッドモデル10A、質量体モデル6Aが多数の要素に分割された状態を示す線を省略している。
図41に示すように、ゴルフクラブヘッドモデル10Aは、多数の要素Eおよび各要素Eの節点Nによって規定される。
また、図42(A),(B)に示すように、質量体モデル6Aは、フェース面12に衝突する衝突面6Bを備え、衝突面6Bはフェース面12に向かって凸状の球面を呈している。
そして、質量体モデル6Aも、ゴルフクラブヘッドモデル10Aと同様に、多数の要素Eおよび各要素Eの節点Nによって規定される。
ステップS400はコンピュータ30が有限要素解析プログラムを実行することで行われる。
本実施の形態では、ゴルフクラブヘッドモデル10Aのフェース部14が質量体モデル6Aに衝突する部分の要素Eの長さをフェース部要素長さLfとし、質量体モデル6Aがゴルフクラブヘッドモデル10Aに衝突する部分の要素Eの長さを質量体要素長さLrとしたとき、比率Lr/Lfが0.75以上2以下となるようにした。
比率Lr/Lfが上記の範囲内であると、ゴルフクラブヘッドモデル10Aのフェース部14の単位体積当たりの要素数と、質量体モデル6Aの単位体積当たりの要素数とが後述する衝突解析のシミュレーションによって得られる速度の時系列データの精度を確保するために必要十分なものとなり、かつ、フェース部14の要素数および質量体モデル6Aの要素数を抑制できるため、シミュレーションに要する計算時間の短縮化を図る上で有利となる。
比率Lr/Lfが上記の範囲に満たないと、シミュレーションに要する計算時間の短縮化を図れるものの、速度の時系列データの精度を確保する上で不利となる。
比率Lr/Lfが上記の範囲を超えると、速度の時系列データの精度を確保できるもの、シミュレーションに要する計算時間の短縮化を図る上で不利となる。
また本実施の形態では、ゴルフクラブヘッドモデル10Aを構成する全ての要素Eの数をヘッド全要素数Nhとし、フェース部14を構成する全ての要素Eの数をフェース要素数Nfとしたとき、比率Nh/Nfが2以上8以下となるようにした。
比率Nh/Nfが上記の範囲内であると、ゴルフクラブヘッドモデル10Aの単位体積当たりの要素数と、フェース部14の単位体積当たりの要素数とが後述する衝突解析のシミュレーションによって得られる速度の時系列データの精度を確保するために必要十分な比率となり、かつ、ヘッド全要素数Nhを抑制できるため、シミュレーションに要する計算時間の短縮化を図る上で有利となる。
比率Nh/Nfが上記の範囲に満たないと、ゴルフクラブヘッドモデル10Aの単位体積当たりの要素数が、フェース部14の単位体積当たりの要素数に比較して少なすぎるため、速度の時系列データの精度を確保する上で不利となる。
比率Nh/Nfが上記の範囲を超えると、ゴルフクラブヘッドモデル10Aの単位体積当たりの要素数が、フェース部14の単位体積当たりの要素数に比較して多すぎるため、シミュレーションに要する計算時間の短縮化を図る上で不利となる。
また本実施の形態では、ヘッド全要素数Nhが50以上745以下、かつ、フェース要素数Nfが9以上95以下となるようにした。
ヘッド全要素数Nhおよびフェース要素数Nfがそれぞれ上記の範囲内であると、ゴルフクラブヘッドモデル10Aの単位体積当たりの要素数と、フェース部14の単位体積当たりの要素数とが後述する衝突解析のシミュレーションによって得られる速度の時系列データの精度を確保するために必要十分な割合となり、かつ、ヘッド全要素数Nhを抑制できるため、シミュレーションに要する計算時間の短縮化を図る上で有利となる。
ヘッド全要素数Nhおよびフェース要素数Nfがそれぞれ上記の範囲に満たないと、ゴルフクラブヘッドモデル10Aの単位体積当たりの要素数と、フェース部14の単位体積当たりの要素数とが後述する衝突解析のシミュレーションによって得られる速度の時系列データの精度を確保するために不足するため、速度の時系列データの精度を確保する上で不利となる。
ヘッド全要素数Nhおよびフェース要素数Nfがそれぞれ上記の範囲を超えると、ゴルフクラブヘッドモデル10Aの単位体積当たりの要素数と、フェース部14の単位体積当たりの要素数とが多すぎるため、シミュレーションに要する計算時間の短縮化を図る上で不利となる。
また、本実施の形態では、図41乃至図43に示すように、フェース面12と衝突面6Bとの位置関係が以下のとおりとなるようにされている。
図41に示すように、フェース面12を構成する複数の要素Eを規定する複数の節点Nのうち衝突面6Bに衝突する節点Nを第1の節点N1とする。
図42(A)に示すように、衝突面6Bを構成する複数の要素Eを規定する複数の節点Nのうちフェース面12に衝突する節点Nを第2の節点N2とする。
図41に示すように、フェース面12を構成する複数の要素Eを分割する分割線Sのうち第1の節点N1を通る分割線Sを第1の分割線S1とする。
図42(A)に示すように、衝突面6Bを構成する複数の要素Eを分割する分割線Sのうち第2の節点N2を通る分割線Sを第2の分割線S2とする。
図43はフェース面12に衝突面6Bが衝突した状態を示す平面図である。
図43に示すように、フェース面12を平面視した状態で、第1の節点N1と第2の節点N2とが合致し、かつ、第1の分割線S1と第2の分割線S2とが合致する。
このようにすると、衝突するフェース面12および衝突面6Bの間で節点の位置および分割線の位置が合致した状態で以下に説明する有限要素法による衝突解析のシミュレーションを行うことができるため、シミュレーションの精度を確保でき、したがって、質量体モデル6Aに発生する速度の時系列データの精度を確保する上で有利となる。
次に、質量体モデル6Aが予め定められた速度でフェース面12に衝突したときに質量体モデル6Aに発生する速度の時系列データを有限要素法による衝突解析のシミュレーションによって求める(ステップS402:速度算出ステップ)。言い換えると、質量体モデル6Aの重心位置における速度ベクトル履歴を算出する。
このようにして求められた速度の時系列データは、図38に示す速度Vの時系列データに相当するものである。
なお、衝突解析のシミュレーションは、衝突面6Bをなす球面の中心がフェース面12の予め定められた箇所に衝突する条件でなされる。本実施の形態では、衝突解析のシミュレーションは、衝突面6Bをなす球面の中心がフェース面12の中心に衝突する条件でなされる。
また、実際のペンデュラム試験と同様の条件となるように、ゴルフクラブヘッドモデル10Aのホーゼル26を完全拘束としている。
ステップS402はコンピュータ30が有限要素解析プログラムを実行することで行われる。
次に、速度の時系列データから前述したペンデュラム試験で定められる方法に基づいてCT値を算出する(ステップS404:CT値算出ステップ)。
すなわち、CT値は、速度VがV1(V1=Vmaxのα%)に達する時間を開始時間ts、速度VがV2(V2=Vmaxのβ%)に達する時間を終了時間teとしたとき、te−tsによってCT値を算出する。
本実施の形態では、α%=5%、β%=95%としている。
ステップS404はコンピュータ30が前記の計算プログラムを実行することで行われる。
次に、CT値を出力する(ステップS406:CT値出力ステップ)。
ステップS406はコンピュータ30が前記の計算プログラムを実行することで行われる。
以上で一連の処理を終了する。
次に実施例について説明する。
図44は実施例におけるフェース部要素長さLfと質量体要素長さLrとの比率Lr/Lfを比較する説明図である。
条件は以下の通りである。
実施例1:Lr/Lf=2.1
実施例2:Lr/Lf=0.75
何れもLr/Lf≧0.75という条件を満足している。
言い換えると、比率Lr/Lfはフェース部12を構成する要素の密度に対する質量体モデル6Aを構成する要素の密度の大小を表わす値であり、したがって、実施例1は実施例2に比較してフェース部12を構成する要素の密度が高いことになる。
したがって、実施例1は密モデル、実施例2は粗モデルと表現することができる。
また、密モデルである実施例1は、粗モデルである実施例2に比較してフェース部12のモデルをより密度の高い要素で分割していることからCT値の精度を確保する上で有利であると考えられる。
このような条件でゴルフクラブヘッドモデル10A、質量体モデル6Aを作成し、本実施の形態で説明した計算方法によって計算した場合のCT値(指数)と、計算時間とを図45に示す。
図45に示すように、実施例1のCT値(指数)を100とした場合、実施例2のCT値は98.73となっており、実施例2であってもCT値を精度よく求めることができた。
また、実施例2の計算時間は20秒であり、実施例1の計算時間1時間14分43秒に比較して大幅に短縮できた。
このような結果から、本実施の形態のように、比率Lr/Lfを0.75以上2以下とすることが、CT値の精度を確保しつつ、計算時間の短縮化を図る上で有利であることがわかった。
次に、ゴルフクラブヘッド10のフェース部14の肉厚を変化させた場合におけるCT値の計算値と、実測値とを比較するために実験を行った。
実験条件は以下のとおりである。
実際にフェース肉厚が3.2mm、3.4mm、3.6mmとなる3つのゴルフクラブヘッド10をそれぞれ製作した。
そして、3つのゴルフクラブヘッド10について前記のペンデュラム試験に準拠した試験を行いフェース面12の中心点におけるCT値を3点実測値として測定した。
また、前記の実施例1、2に示した密モデル、粗モデルを用いて本実施の形態の計算方法に基づいてフェース面12の中心点におけるCT値を計算によって求めた。この場合、フェース肉厚を3.1mmから3.7mmまで0.1mm単位で異ならせてCT値を6点計算によって求めた。
図46は、実測値、実施例1による計算値、実施例2による計算値を示す説明図であり、横軸はフェース肉厚(mm)、縦軸はCT値(指数)を示す。なお、本例では、肉厚3.4mmにおける実測値のCT値を指数100として計算している。
図中、記号△は実測値(3点)を示し、記号□は実施例1(密モデル)による計算値(6点)を示し、記号◇は実施例2(粗モデル)による計算値(6点)を示している。
図46に示すように、実施例1、2の計算値と、実測値とはよく一致しており、本実施の形態の計算方法によって評価データとしてのCT値を正確に得ることができた。
したがって、インパクト解析用のゴルフヘッドモデル10Aにおいては、その比率Lr/Lfを0.75以上2以下とすることで、必要十分なCT値の精度を確保しつつ、有限要素法の衝突解析のシミュレーションに要する計算時間の短縮化、ひいては低コストを図る上で有利となる。
すなわち、本実施の形態では、固有値解析用のゴルフヘッドモデルとは別に、インパクト解析用のゴルフクラブヘッドモデルを作成するようにしたので、インパクト解析用のゴルフクラブヘッドモデルについて、上述のような比率Lr/Lfを設定することにより、設計時間の短縮化、設計コストの低コスト化を図る上で有利となる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、ゴルフクラブヘッドモデルに与える設計パラメータの値を許容範囲内で繰り返し変更し、変更の度にこの変更によって生成されるゴルフクラブヘッドモデルについて第1、第2の特性値演算ステップを実行する繰り返しステップを行い、繰り返しステップによって求められた第1の特性値が最適条件を満たし、かつ、第2の特性値が制約条件を満たすときの設計パラメータの値を最適化された設計パラメータの値として求める最適化ステップを行うようにした。
この場合、第2の特性値として、スイートエリアに大きな影響を与える値である、フェース面12の反発係数のCT値と、ゴルフクラブヘッド10の重心位置をフェース面12に垂直に投影した重心点とフェース面12の最大たわみ点との離間距離Lとを用いるようにした。
したがって、スイートエリアの拡大を図り打球の飛距離を向上することができるゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブヘッドの設計方法を提供することができる。
また、第1の実施の形態によってフェース部14の肉厚値を設計した場合の実験例について説明する。
実験例1〜4のフェース部14を設計し、たわみ量評価領域TAの面積の計算値と、実際に作成したフェース部14のたわみ量評価領域TAの面積の実測値とを求め、その結果を図47に示した。
なお、図47において、比較例におけるたわみ量評価領域TAの面積の実測値は120mmである。比較例は、従来の設計方法によって設計されたゴルフクラブヘッドのフェース部14を用いている。
本発明の設計方法によって設計したゴルフクラブヘッド10のたわみ量評価領域TAの面積が比較例と比較して大きく確保できていることがわかる。
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態では、フェース面12を、上下方向に7分割、トウ−ヒール方向に7分割することで、合計49個の領域aを格子状に設定し、設計パラメータとして49個の肉厚値が求められる。
しかしながら、実際にフェース部14を49個の領域に分割して各領域の肉厚値を細かく変化させると、例えば、鋳造によってゴルフクラブヘッド10を製造する場合、金型が作りにくく、量産化を図る上で、また、製造コストを低減する上で不利となることが懸念される。
したがって、第1の特性値(たわみ量評価領域TAの面積)を確保しつつ、設計パラメータの数の増加を抑制することが量産化を図る上で、また、製造コストを低減する上で好ましい。
第2の実施の形態では、このような観点から最終的に得られる設計パラメータの数の増加を抑制するようにしている。
次に、図48のフローチャートを参照して第2の実施の形態の設計方法について説明する。なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の部分、部材については同一の符号を付してその説明を省略し、あるいは、簡単に行う。
また、以下の各処理は、第1の実施の形態と同様に、コンピュータ30が有限要素解析プログラムおよび計算プログラムを実行することにより行われるものである。この種の計算プログラムは、専用のプログラムを用いても、あるいは、市販の表計算ソフトウェア(アプリケーションプログラム)およびそのマクロプログラムを用いるなど任意である。
まず、ゴルフクラブヘッド10の特定の部分を予め定められた多数の領域に分割して設定すると共に、各領域に対応して1次設計パラメータを設定する(ステップS50:1次設計パラメータ設定ステップ)。設計パラメータをどのように設定するかは、設計者によって定められる。
1次設計パラメータはフェース部14の肉厚値であり、例えば、予め第1の実施の形態で説明した設計方法を用いて、あるいは、従来公知のさまざまな設計方法を用いて多数の領域に肉厚値が設定されるものとする。
また、本例では、領域の分割数が187個、1次設計パラメータとしての肉厚値が1.75〜5.75mmの範囲にあるとする。
次に、互いに値が異なる1次設計パラメータの数をM個(本例ではM=187)とした場合、1次設計パラメータの下限値から上限値までの間を1次設計パラメータの値の大小に応じてN個(N<M)(本例ではN=8)のグループにグループ分けし、各グループに該当する1次設計パラメータの平均値をグループ毎に算出することにより平均化されたN個の2次設計パラメータを得る(ステップS51:平均化ステップ)。このような計算は、例えば、コンピュータ30が前記の計算プログラムを実行することでなされる。
具体的に説明すると以下のように肉厚値の上限と下限とを設定して8個のグループにグループ分けする。t1〜t8は各グループの肉厚値の範囲を示す。単位はmmとする。
1.75≦t1≦2.25
2.25<t2≦2.75
2.75<t3≦3.25
3.25<t4≦3.75
3.75<t5≦4.25
4.25<t6≦4.75
4.75<t7≦5.25
5.25<t8≦5.75
次いで、各グループに該当する1次設計パラメータの平均値をグループ毎に算出することで2次設計パラメータとしての肉厚値が得られ、各領域bに算出された肉厚値が初期値としてそれぞれ設定される。この場合、1つの領域bにおける肉厚値は均一である。
このようにすることで、図49に示すように、フェース面12は、8個の領域bに分割されることになり、2次設計パラメータの数は8個に抑制される。
なお、隣り合う領域bの肉厚値の差が大きすぎると、フェース部14がゴルフボールを打撃したときに発生する応力が肉厚値の差が大きな箇所に集中することから耐久性を確保する上で不利となる。
そのため、隣り合う2つの領域bの肉厚値の差が例えば所定値以上の場合は、隣り合う2つの領域bの肉厚値をそれぞれ肉厚値の差が所定値を下回るように調整すればよい。
この調整方法は、例えば、隣り合う2つの領域bの肉厚値のうち大きい方の肉厚値を所定割合で低減させ、小さい方の肉厚値を所定割合で増加させるなど任意である。
このような肉厚値の調整も、コンピュータ30が前記計算プログラムを実行することによってなされる。
このようにしてフェース部14の肉厚値の数が少なくなる(肉厚値が簡略化される)。
次いで、第1の実施の形態の場合と同様に、コンピュータ30は、ゴルフクラブヘッドモデルを作成する(ステップS52:モデル作成ステップ)。
次いで、第1の実施の形態の場合と同様に、2次設計パラメータの値の許容範囲と、ゴルフクラブヘッド10の評価対象としての特性値である第1の特性値と、予め定められた制約条件を満たすべきゴルフクラブの特性値である第2の特性値と、第1の特性値が満たすべき最適条件と、前記の制約条件とを設定する(ステップS54:条件設定ステップ)。これら設計パラメータの値の許容範囲、第1の特性値、第2の特性値、最適条件、制約条件をどのように設定するかは、設計者によって定められる。
次いで、コンピュータ30は、各領域bに対して2次設計パラメータを設定する(ステップS56)。
2次設計パラメータを予め定められた許容範囲内で変更して設定される。
本実施の形態では、肉厚値の許容範囲は当初設定されている値(ステップS51で設定された初期値)の±35%の範囲である。
これ以降は、第1の実施の形態と同様の処理がなされる。
すなわち、ステップS58〜S76のそれぞれは、図3のステップS18〜S36のそれぞれと同様になされる。ただし、第2の実施の形態における「2次設計パラメータ」は、第1の実施の形態における「設計パラメータ」に対応している。
したがって、第2の実施の形態では、ステップS56〜S70が、ゴルフクラブヘッドモデルに与える2次設計パラメータの値を許容範囲内で繰り返し変更し、変更の度にこの変更によって生成されるゴルフクラブヘッドモデルについて第1、第2の特性値演算ステップを実行する繰り返しステップに相当する。
なお、第2の実施の形態では、ステップS56〜S70の処理を繰り返して実行する際における設計パラメータを変更する方法として、肉厚値の許容範囲が当初設定されている値の±35%の範囲であることから、例えば、逐次二次計画法などの従来公知のさまざまな手法が採用可能である。
また、第2の実施の形態では、ステップS74が、繰り返しステップによって求められた第1の特性値が最適条件を満たし、かつ、第2の特性値が制約条件を満たすときの2次設計パラメータの値を最適化された設計パラメータの値として求める最適化ステップに相当する。
第2の実施の形態では、フェース面12が8個の領域bに分割されているため、設計パラメータである肉厚値も各領域bに設定され、したがって、合計8個の肉厚値が得られることになる。
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、ゴルフクラブヘッドの特定の部分を予め定められた多数の領域に分割して設定すると共に、各領域に対応して1次設計パラメータを設定し、1次設計パラメータの下限値から上限値までの間を1次設計パラメータの値の大小に応じてN個のグループにグループ分けし、各グループに該当する1次設計パラメータの平均値をグループ毎に算出することにより平均化されたN個の2次設計パラメータを得るようにした。
そして、第1の実施の形態と同様に繰り返しステップを行い、繰り返しステップによって求められた第1の特性値が最適条件を満たし、かつ、第2の特性値が制約条件を満たすときの2次設計パラメータの値を最適化された設計パラメータの値として求める最適化ステップを行うようにした。
この場合、第2の特性値として、スイートエリアに大きな影響を与える値である、フェース面12の反発係数のCT値と、ゴルフクラブヘッド10の重心位置をフェース面12に垂直に投影した重心点とフェース面12の最大たわみ点との離間距離Lとを用いるようにした。
したがって、第1の実施の形態と同様に、スイートエリアの拡大を図り打球の飛距離を向上することができるゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブヘッドの設計方法を提供することができる。
また、平均化ステップにより1次設計パラメータから2次設計パラメータを得ることにより2次設計パラメータの数を1次設計パラメータの数よりも少なくなるようにした。そのため、1次設計パラメータを用いて製造する場合に比較して量産化を図る上で、また、製造コストを低減する上で有利となる。例えば、鋳造によってゴルフクラブヘッド10を製造する場合、金型が作成しやすくなるため、金型の設計コスト、製造コストを抑制できるため、量産化を図る上で、また、製造コストを低減する上で有利となる。
なお、たわみ量評価領域TAの面積を以下の各段階で算出した結果を比較すると以下のとおりである。
1)ステップS50で設定された1次設計パラメータを用いて設計した段階
TA=165mm
2)ステップ51で得られた簡略化された2次設計パラメータを用いて設計した段階
TA=140mm
3)ステップS76で得られた最終的な2次設計パラメータを用いて設計した段階
TA=159mm
したがって、たわみ量評価領域TAの面積は、2次設計パラメータを簡略化することで低下するものの、最終的に得られる2次設計パラメータで設計することで当初の1次設計パラメータを用いて設計した段階に近い値を得ることができることがわかる。
なお、実施の形態では、設計パラメータとして、フェース部14の肉厚値を例示したが、設計パラメータは限定されるものではなく、例えば、ソール部18やクラウン部16の肉厚値、あるいは、肉厚値以外の値など任意である。
また、第1の特性値としてたわみ量評価領域TAの面積を例示したが、第1の特性値はたわみ量評価領域TAの面積に限定されるものではなく、第1の特性値としてどのような数値を採用するかは任意である。
10……ゴルフクラブヘッド、10A……ゴルフクラブヘッドモデル、12……フェース面、14…フェース部、TA……たわみ量評価領域、CT…反発係数、L…重心点とフェース面の最大たわみ点との離間距離。

Claims (20)

  1. ゴルフクラブヘッドにおける変更すべき設計パラメータと、前記設計パラメータの値の許容範囲と、ゴルフクラブヘッドの評価対象としての特性値である第1の特性値と、予め定められた制約条件を満たすべきゴルフクラブの特性値である第2の特性値と、前記第1の特性値が満たすべき最適条件と、前記制約条件とを設定する条件設定ステップと、
    前記設計パラメータを変数としてゴルフクラブヘッドを再現するゴルフクラブヘッドモデルを生成するモデル生成ステップと、
    前記ゴルフクラブヘッドモデルを使用して第1の特性値を求める第1の特性値演算ステップと、
    前記ゴルフクラブヘッドモデルを使用して第2の特性値を求める第2の特性値演算ステップと、
    前記ゴルフクラブヘッドモデルに与える前記設計パラメータの値を前記許容範囲内で繰り返し変更し、変更の度にこの変更によって生成される前記ゴルフクラブヘッドモデルについて前記第1、第2の特性値演算ステップを実行する繰り返しステップと、
    前記繰り返しステップによって求められた前記第1の特性値が前記最適条件を満たし、かつ、前記第2の特性値が前記制約条件を満たすときの前記設計パラメータの値を最適化された設計パラメータの値として求める最適化ステップとを含み、
    前記第2の特性値は、前記フェース面の反発係数と、前記ゴルフクラブヘッドの重心位置をフェース面に垂直に投影した重心点と前記フェース面の最大たわみ点との離間距離とを含む、
    ことを特徴とするゴルフクラブヘッドの設計方法。
  2. ゴルフクラブヘッドの特定の部分を予め定められた多数の領域に分割して設定すると共に、各領域に対応して1次設計パラメータを設定する1次設計パラメータ設定ステップと、
    互いに値が異なる前記1次設計パラメータの数をM個とした場合、前記1次設計パラメータの下限値から上限値までの間を前記1次設計パラメータの値の大小に応じてN個(N<M)のグループにグループ分けし、各グループに該当する1次設計パラメータの平均値をグループ毎に算出することにより平均化されたN個の2次設計パラメータを得る平均化ステップと、
    前記2次設計パラメータの値の許容範囲と、ゴルフクラブヘッドの評価対象としての特性値である第1の特性値と、予め定められた制約条件を満たすべきゴルフクラブの特性値である第2の特性値と、前記第1の特性値が満たすべき最適条件と、前記制約条件とを設定する条件設定ステップと、
    前記2次設計パラメータを変数としてゴルフクラブヘッドを再現するゴルフクラブヘッドモデルを生成するモデル生成ステップと、
    前記ゴルフクラブヘッドモデルを使用して第1の特性値を求める第1の特性値演算ステップと、
    前記ゴルフクラブヘッドモデルを使用して第2の特性値を求める第2の特性値演算ステップと、
    前記ゴルフクラブヘッドモデルに与える前記2次設計パラメータの値を前記許容範囲内で繰り返し変更し、変更の度にこの変更によって生成される前記ゴルフクラブヘッドモデルについて前記第1、第2の特性値演算ステップを実行する繰り返しステップと、
    前記繰り返しステップによって求められた前記第1の特性値が前記最適条件を満たし、かつ、前記第2の特性値が前記制約条件を満たすときの前記2次設計パラメータの値を最適化された設計パラメータの値として求める最適化ステップとを含み、
    前記第2の特性値は、前記フェース面の反発係数と、前記ゴルフクラブヘッドの重心位置をフェース面に垂直に投影した重心点と前記フェース面の最大たわみ点との離間距離とを含む、
    ことを特徴とするゴルフクラブヘッドの設計方法。
  3. 前記第1の特性値は、前記フェース面のたわみ量が所定のしきい値以上となるたわみ量評価領域の面積であり、
    前記ゴルフクラブヘッドモデルは、多数の要素および各要素の節点によって規定される有限要素モデルで構成され、
    前記第1の特性値演算ステップは、
    前記ゴルフクラブヘッドモデルを用いて有限要素法による固有値解析を行うことによって前記ゴルフクラブヘッドのフェース面の各節点における前記フェース面と直交する方向の振幅を算出する固有値解析ステップと、
    前記各節点の振幅のうち最大振幅を100%としたとき、振幅がn%以上(ただし0<n<100)となる節点を選択する節点選択ステップと、
    前記選択された節点の振幅に基づいて前記フェース面における振幅の変化を示す回帰曲面を決定する回帰曲面決定ステップと、
    前記回帰曲面で示される振幅の最大値を求め、この最大値を真の最大振幅とすると共にこの真の最大振幅を100%としたとき、振幅がN%以上(ただし0<N<100)となる前記フェース面の領域をたわみ量評価領域として特定するたわみ量評価領域特定ステップと、
    前記たわみ量評価領域の面積を算出するたわみ量評価領域算出ステップとを含む、
    ことを特徴とする請求項1または2記載のゴルフクラブヘッドの設計方法。
  4. 前記固有値解析ステップによる各節点における前記フェース面と直交する方向の振幅の算出は、前記固有値解析の結果から前記ゴルフクラブヘッドモデルのフェース面における1次共振周波数を特定した後、前記フェース面の各節点について前記特定された1次共振周波数における振幅を算出することによってなされる、
    ことを特徴とする請求項3記載のゴルフクラブヘッドの設計方法。
  5. 前記回帰曲面決定ステップによって決定される回帰曲面は、以下の式(1)で示される回帰式によって定義される二次曲面である、
    ことを特徴とする請求項3または4記載のゴルフクラブヘッドの設計方法。
    Figure 0005664298
    (但し、Aは振幅、a,b,c,d,e,fは回帰係数、y,zはフェース面上に設定された直交座標で規定される座標値)
  6. 前記たわみ量評価領域特定ステップで求められる前記回帰曲面で示される振幅の最大値は、以下の式(2)、式(3)で示される連立方程式を解くことで求められる、
    ことを特徴とする請求項3乃至5にいずれか1項記載のゴルフクラブヘッドの設計方法。
    Figure 0005664298
    Figure 0005664298
  7. 前記最大たわみ点の位置を、前記振幅の最大値に対応する前記フェース面の位置として特定する最大たわみ点位置特定ステップをさらに含む、
    ことを特徴とする請求項3乃至6にいずれか1項記載のゴルフクラブヘッドの設計方法。
  8. 前記第2の特性値算出ステップは、
    前記フェース面でゴルフボールを打撃する直前における前記フェース面のスピード分布が前記フェース面上に設定され、前記最大たわみ点が、前記フェース面上において前記重心点を通りかつ前記等高線と直交する直線上に配置された状態で前記離間距離を算出する離間距離算出ステップをさらに含む、
    ことを特徴とする請求項1乃至7にいずれか1項記載のゴルフクラブヘッドの設計方法。
  9. 前記フェース面のスピード分布に基づいて前記ゴルフクラブヘッドがシャフト周りに回転するローリングの大小が決定され、
    前記離間距離の制約条件は、前記ローリングが大きくなるほど前記離間距離が大きな値となり、前記ローリング小さくなるほど前記離間距離が小さな値となるように設定されている、
    ことを特徴とする請求項8記載のゴルフクラブヘッドの設計方法。
  10. 前記CT値は、USGAが定めるペンデュラム試験に準拠して測定されるゴルフクラブヘッドのフェース部の反発特性を表す評価データとしてのCT値であり、
    前記モデル生成ステップは、
    前記第1の特性値を求めるためのゴルフクラブヘッドモデルとは別に前記CT値を算出するための有限要素モデルであるCT値用ゴルフクラブヘッドモデルを生成し、ペンデュラム試験において前記フェース部のフェース面に衝突する質量体の有限要素モデルである質量体モデルを作成する質量体モデル作成ステップをさらに含み、
    前記第2の特性値演算ステップは、
    前記質量体モデルが予め定められた速度で前記フェース面に衝突したときに前記質量体モデルに発生する速度の時系列データを有限要素法による衝突解析のシミュレーションによって求める速度算出ステップと、
    前記速度の時系列データから前記ペンデュラム試験で定められる方法に基づいてCT値を算出するCT値算出ステップとをさらに含み、
    前記CT値用ゴルフクラブヘッドモデルのフェース部が前記質量体モデルに衝突する部分の要素の長さをフェース部要素長さLfとし、
    前記質量体モデルが前記CT値用ゴルフクラブヘッドモデルに衝突する部分の要素の長さを質量体要素長さLrとしたとき、
    比率Lr/Lfが0.75以上2以下である、
    ことを特徴とする請求項1乃至9にいずれか1項記載のゴルフクラブヘッドの設計方法。
  11. 前記CT値用ゴルフクラブヘッドモデルを構成する全ての要素の数をヘッド全要素数Nhとし、
    前記フェース部を構成する全ての要素の数をフェース要素数Nfとしたとき、
    比率Nh/Nhが2以上8以下である、
    ことを特徴とする請求項10記載のゴルフクラブヘッドの設計方法。
  12. 前記CT値用ゴルフクラブヘッドモデルを構成する全ての要素の数をヘッド全要素数Nhとし、
    前記フェース部を構成する全ての要素の数をフェース要素数Nfとしたとき、
    前記ヘッド全要素数Nhが50以上745以下、かつ、前記フェース要素数Nfが9以上95以下である、
    ことを特徴とする請求項10または11記載のゴルフクラブヘッドの設計方法。
  13. 前記質量体モデルが前記フェース面に衝突する衝突面は、前記フェース面に向かって凸状の球面を呈し、
    前記モデル作成ステップによる前記CT値用ゴルフクラブヘッドモデルの作成と、質量体モデル作成ステップによる前記質量体モデルの作成とは、
    前記フェース面を構成する複数の要素を規定する複数の節点のうち前記衝突面に衝突する節点を第1の節点とし、
    前記衝突面を構成する複数の要素を規定する複数の節点のうち前記フェース面に衝突する節点を第2の節点とし、
    前記フェース面を構成する複数の要素を分割する分割線のうち前記第1の節点を通る分割線を第1の分割線とし、
    前記衝突面を構成する複数の要素を分割する分割線のうち前記第2の節点を通る分割線を第2の分割線とし、
    前記フェース面を平面視した場合に、前記第1の節点と前記第2の節点とが合致し、かつ、前記第1の分割線と前記第2の分割線とが合致するようになされる、
    ことを特徴とする請求項10乃至12にいずれか1項記載のゴルフクラブヘッドの設計方法。
  14. 前記質量体モデルが前記フェース面に衝突する衝突面は、前記フェース面に向かって凸状の球面を呈し、
    前記速度算出ステップにおける前記質量体モデルの前記フェース面への衝突は前記球面の中心が前記フェース面の中心に衝突することでなされる、
    ことを特徴とする請求項10乃至13にいずれか1項記載のゴルフクラブヘッドの設計方法。
  15. 前記CT値算出ステップによるCT値の算出は、
    前記速度の時系列データにおける最高速度をVmaxとし、前記速度がVmaxのα%に達する時間を開始時間tsとし、前記速度がVmaxのβ%に達する時間を終了時間teとし、αを0〜99%とし、βを1〜100%とし、α<βとしたときに、te−tsによって求められる、
    ことを特徴とする請求項10乃至14にいずれか1項記載のゴルフクラブヘッドの設計方法。
  16. 前記α%が5%、前記β%が95%である、
    ことを特徴とする請求項15記載のゴルフクラブヘッドの設計方法。
  17. 前記ゴルフクラブヘッドの特定の部分が予め定められた多数の領域に分割して設定されており、前記設計パラメータは前記各領域に対応して設定される、
    ことを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッドの設計方法。
  18. 前記ゴルフクラブヘッドの特定の部分はフェース部であり、
    前記設計パラメータは前記フェース部の肉厚値である、
    ことを特徴とする請求項17記載のゴルフクラブヘッドの設計方法。
  19. 前記ゴルフクラブヘッドの特定の部分はフェース部であり、
    前記1次設計パラメータ、前記2次設計パラメータは前記フェース部の肉厚値である、
    ことを特徴とする請求項2記載のゴルフクラブヘッドの設計方法。
  20. 請求項1乃至19に何れか1項に記載のゴルフクラブヘッドの設計方法を用いて設計されたゴルフクラブヘッド。
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