以下、本発明の液体噴射装置をインクジェット式プリンター(以下、「プリンター」という。)に具体化した一実施形態を図1〜図19に従って説明する。なお、以下の説明において、「上下方向」、「左右方向」をいう場合は、図1に矢印で示した方向を基準として示すものとする。なお、「上下方向」をいう場合は、重力方向における上下方向である。また、「前後方向」をいう場合は、図1において紙面に直交する方向であると共に、図2に矢印で示した方向を示すものとする。
図1(a)に示すように、プリンター10は、外装となる略箱体形状の筐体13を有すると共に、その筐体13の内部には、印刷によって消費する用紙(媒体)の供給元となるロール紙(ロール状媒体)P2を収容したトレイ12が配置されている。また、筐体13の外部には、同じく用紙の供給元となるロール紙(ロール状媒体)P1を内部空間に収容したハウジング構造のロール紙収容部(ロール状媒体収容部)11が設けられている。なお、ロール紙とは、長尺の用紙(すなわち、連続紙)がロール状に巻き重ねられた状態にあるものであって、かかるロール紙が軸線を中心に回転することにより、用紙はロール紙から巻き解かれて消費側に供給される。
ロール紙収容部11は、筐体13の上部付近において軸としての第1の軸J1を中心に揺動可能な状態で、筐体13に取り付けられている。そして、本実施形態のロール紙収容装置(ロール状媒体収容装置)15は、このロール紙収容部11と、ロール紙収容部11の揺動動作を行うために筐体13の内部に組み込まれた機構とを含んで構成されている(図2参照)。ロール紙収容部11には、開閉可能な蓋11aが設けられていると共に、この蓋11aを開けてロール紙P1を新しいものに交換できるようになっている。一方、トレイ12は、重力方向(図面では下方向)と交差する方向(図面では右方向)に移動(スライド)することによって筐体13外に取り出せるように構成され、取り出された状態でロール紙P2を新しいものに交換できるようになっている。
さらに、プリンター10は、用紙の搬送方向下流側に向かって順に、ロール紙切替部20とロール紙から巻き解かれた用紙の消費側となる印刷部30とを備えている。ロール紙切替部20は、ローラー21,23と搬送駆動ローラー25、搬送従動ローラー26、および用紙を受ける受板22,24とを備え、用紙の供給元を切り替える。すなわち、供給元をロール紙P1とする場合は、ロール紙収容部11の開口部11b(図2参照)から引き出された用紙P1aを2つのローラー21と受板22とによって搬送駆動ローラー25と2つの搬送従動ローラー26との間に挿入すべく搬送するように構成されている。一方、供給元をロール紙P2とする場合は、ロール紙P2から引き出された用紙P2aをローラー23と受板24とによって搬送駆動ローラー25と2つの搬送従動ローラー26との間に挿入すべく搬送するように構成されている。なお、供給元となるロール紙の切り替えに際して、ローラー21,23は、必要に応じて供給元でないロール紙側の用紙を巻き戻す方向へ回転動作するように構成されている。
印刷部30は、液体としてのインクを噴射する液体噴射ヘッド36と、インクの噴射対象物となる用紙P1aあるいは用紙P2a(以降これらをまとめて「用紙P」と呼ぶ)を支える支持台35とを有している。また、印刷部30は、紙送りローラー31と従動ローラー32、および排紙ローラー33とを有している。紙送りローラー31と従動ローラー32は、ロール紙切替部20によって供給された用紙Pを液体噴射ヘッド36に対して相対的に所定量搬送するようになっている。そして、この所定量搬送される用紙Pに対して液体噴射ヘッド36からインクを噴射して、用紙Pの紙面に画像などを印刷する。なお、液体噴射ヘッド36は、搬送される用紙Pの幅方向に移動するキャリッジ型のヘッドや、ノズルが略用紙幅に渡って形成された固定型のヘッドである。
その後印刷された用紙Pは、図示しない切断装置によって搬送方向において所定の長さに切断され、同じく図示しない排出トレイ等の排出位置へ搬送される。こうして、ロール紙P1およびロール紙P2における用紙P(P1a,P2a)は消費される。なお、図1(a)はロール紙P2から引き出された用紙P2aが印刷部30に供給されて印刷される状態を示している。
そして、図1(b)に示すように、ロール紙P2から引き出された用紙P2aが印刷部30にて印刷されることによって全て消費された場合は、使用する用紙の供給元をロール紙P2から未使用のロール紙P1に切り替えると同時に、トレイ12のロール紙P2を新しいものに交換する必要がある。このとき、前述するようにロール紙P2は略箱体形状の筐体13を有するプリンター10の装置内に配置されたトレイ12に設置されているので、ロール紙P2の交換を行うためには、トレイ12を筐体13から外部へ引き出さなければならない。
このようなロール紙P2の交換作業において、ロール紙収容装置15は、図1(b)に示すように、トレイ12を筐体13の外部へ引き出せるようにするため、ロール紙収容部11を揺動させる。すなわち、プリンター10の通常の使用状態における位置、すなわち図中二点鎖線で示した重力方向において低い(下側の)低位置A1から、図中実線で示した重力方向において高い(上側の)高位置A4まで揺動(すなわち上昇)させる。
図2に示すように、ロール紙収容装置15は、ベース部38から上方に向かって立設された1対の支柱部39と1対の仕切り板40とを備えている。なお、支柱部39及び仕切り板40は、それぞれ前後方向に間隔を有して設けられると共に、支柱部39及び仕切り板40の間には、トレイ12が収容できるようになっている。さらに、1対の支柱部39における上方位置には、第1の軸J1が回動可能に架設されていると共に、ロール紙収容部11が支柱部39間に位置するように第1の軸J1に固定されている。
そして、各支柱部39には、第1の軸J1まわりに第1の回転トルクを与える第1の付勢手段としてのガススプリング42と、第1の軸J1まわりに第2の回転トルクを与える第2の付勢手段としての定荷重ばね43とが設けられている。なお、第1の回転トルクは、ロール紙収容部11を上昇させる方向のトルクであるのに対し、第2の回転トルクは、第1の回転トルクとは逆向きのロール紙収容部11を下降させる方向のトルクであって且つ第1の回転トルクよりも小さい。
また、各支柱部39には、ガススプリング42の付勢力をロール紙収容部11に伝達するトルク伝達部44と、定荷重ばね43とロール紙収容部11との接続状態を切り替える切り替え手段としての切り替え機構45とがそれぞれ設けられている。ただし、前後両側に設けられた各トルク伝達部44及び切り替え機構45の構成は同じであるため、以下においては前側に設けられた1つのトルク伝達部44及び切り替え機構45を例にして説明する。
さて、図3に示すように、トルク伝達部44は、第1〜第3のスプロケット47a〜47cと、第1,第2のスプロケット47a,47bに巻き回されたチェーン48とを備えている。そして、第1〜第3のスプロケット47a〜47cのうち、最も上側に設けられた第1のスプロケット47aは、第1の軸J1と一体で回転するように第1の軸J1に固定されている。また、最も下側に設けられた第2のスプロケット47bは、支柱部39に設けられた従動軸49を中心として回動するように従動軸49に固定されている。さらに、上下方向において第1,第2のスプロケット47a、47bの間に位置する第3のスプロケット47cは、図示しない付勢部材によってチェーン48にテンションを付与する方向(図2では左側)に向かって付勢されることで該チェーン48の弛みを抑制するようになっている。
また、従動軸49には、板状のレバー部材50が第2のスプロケット47bと一体回動可能に固定されている。そして、ガススプリング42の一端(上端)は、レバー部材50に固定された上軸51aに回動可能に支持されていると共に、他端(下端)は、支柱部39に設けられた下軸51bに回動可能に支持されている。
なお、このガススプリング42は、レバー部材50を上方に向かって付勢するように設けられている。そのため、レバー部材50が図3に実線で示す下方位置に位置した状態において、第2のスプロケット47bの回動規制が解除されると、レバー部材50は従動軸49を中心に前側からみて反時計回り方向に回動する。なお、このとき上軸51aは、従動軸49を支持する図示しない支持部材に形成された円弧状の第1の長穴52に挿通された状態でこの第1の長穴52に沿ってレバー部材50と共に上昇する。したがって、レバー部材50は、上軸51aが第1の長穴52の上端となる上方位置(図3に2点鎖線で示す位置)まで変位して停止する。
また、このとき第2のスプロケット47bとチェーン48を介して接続された第1のスプロケット47aも前側から見て反時計回り方向に回動する。すなわち、第1のスプロケット47aが固定された第1の軸J1まわりに第1の回転トルクが与えられ、第1の軸J1に固定されたロール紙収容部11が上昇方向(反重力方向)に変位する。
なお、ガススプリング42が与える第1の回転トルクは、新品のロール紙P1が収容されて最も重量が大きな状態のロール紙収容部11を上昇させ得るように設定されている。すなわち、ロール紙収容部11に設置されたロール紙P1が未使用の新品である場合でも、ロール紙収容部11は、重力方向に降下せずに停止もしくは上昇するようになっている。
図4,図5に示すように、切り替え機構45は、互いに平行な第1〜第3の軸J1〜J3と、各軸J1〜J3に取り付けられてそれぞれ軸J1〜J3を中心に回動可能な回動要素とを備えている。
具体的には、第1の軸J1には、第1のスプロケット47a側(前側)から順に、第3の付勢手段としての第1の圧縮ばね54、被係合部材としてのブレーキ板55、クラッチ部材としてのクラッチ板56、ねじりばね57、係合部材としてのロック板58が支持されている。なお、ロック板58は第1の軸J1と一体回動するように第1の軸J1に固定されているのに対し、ブレーキ板55及びクラッチ板56は、第1の軸J1と回動方向及び軸方向に摺動可能に設けられている。さらに、第1の圧縮ばね54はコイル状をなし、縮められた状態で第1のスプロケット47aとブレーキ板55との間に設けられると共に、ブレーキ板55を後側(ロック板58側)に向かって付勢している。
さて、ブレーキ板55は、略円盤状をなし、前面55a及び後面55bの中心部には、第1の軸J1を挿通させるための第1の貫通孔60が貫通形成されている。そして、クラッチ板56側となる後面55bには、第1の貫通孔60の中心から半径R1(図9参照)となる位置に、被係合部としての係合穴61が設けられている。この係合穴61は、後側から見た時計回り方向の先端側が円弧状に形成されると共に、基端側が直線状に形成されている。そして、係合穴61は、先端側ほど深くなるように時計回り方向の基端側から底面が斜めに形成されている(図10参照)。
また、ブレーキ板55における第1の貫通孔60の中心から半径R2(図9参照)となる位置には、凸部62が設けられている。なお、凸部62は、前後方向の中央部分がくびれた鼓形をしていると共に、くびれ部分にねじりばね57の一端が引っ掛けられるようになっている。さらに、ブレーキ板55における係合穴61よりも周縁側において第1の貫通孔60を中心として互いに点対称となる位置には、クラッチ板56を支持する一対の支持爪63が後面55bから突設されている。
また、円盤状のブレーキ板55の周縁には、一端側が定荷重ばね43に接続されたワイヤ64の他端側が第1のねじ65によってねじ止めされていると共に、ワイヤ64を収容可能な溝部66が周方向に亘って形成されている。さらに、ブレーキ板55の周縁には、図示しない支持部材に支持されたストッパー67と当接してブレーキ板55の回動を制限する当接部68が切り欠き形成されている。なお、ストッパー67は、弾性を有して第1の軸J1を中心とする径方向外側に変形可能となっている。
続いてクラッチ板56は、略円盤状をなし、前面56a及び後面56bの中心部には、第1の軸J1を挿通させるための第2の貫通孔70が貫通形成されている。また、クラッチ板56の一部は、ロック板58と対向する後面56b側に突出するように曲げ形成されると共に、一端が凸部62に引っ掛けられるねじりばね57の他端が引っ掛けられるようになっている。さらに、クラッチ板56における第2の貫通孔70の中心から半径R1(図9参照)となる位置には、被係合孔としての係合孔71が貫通形成されていると共に、第2の貫通孔70の中心から半径R2(図9参照)となる位置には円弧状の円弧孔72が貫通形成されている。
すなわち、ブレーキ板55とクラッチ板56は、クラッチ板56の円弧孔72にブレーキ板55の凸部62が挿通されると共に、クラッチ板56の周縁が支持爪63に支持されるようになっている。そのため、ブレーキ板55とクラッチ板56は、凸部62が円弧孔72の範囲で動くことにより、第1の軸J1を中心として周方向(回動方向)に相対移動可能となっている。ただし、ブレーキ板55の凸部62とクラッチ板56との間にはねじりばね57が引っ掛けられているため、ブレーキ板55とクラッチ板56は、常には係合穴61と係合孔71とが周方向において離れるように付勢されている。
また、クラッチ板56の後面56b側において、円弧孔72よりもさらに周縁側には、ピン部73が突設されている。さらに、クラッチ板56とロック板58との間には、ピン部73に当接可能であって、第2の軸J2に固定された板ばね74が設けられている。
すなわち、板ばね74は、ピン部73に当接可能な弾性片状のばね部74aと、ばね部74aの基端側を支持すると共に第2の軸J2を挿通させるための第3の貫通孔75が形成された支持部74bとを有している。なお、ばね部74aの先端部分は、第2の軸J2と共に板ばね74が回動してピン部73を押圧した際に、ピン部73と係止状態に当接する側に向かって曲げ形成されている。そして、第2の軸J2が回動すると、第2の軸J2を中心に回動する板ばね74がピン部73を係止しながら押圧することにより、係合穴61と係合孔71を近づけるようにクラッチ板56とロック板58とを相対移動させるようになっている。したがって、板ばね74は、クラッチ板56を回動させる回動手段として機能している。
さて、ロック板58には、第1の軸J1を挿通させるための第4の貫通孔77が貫通形成されている。また、ロック板58は、第4の貫通孔77を中心として径方向外側に突出する第1,第2の舌片部78a,78bを有している。なお、第1,第2の舌片部78a,78bには、それぞれクラッチ板56とは反対の後面58bから突出するように、第1,第2のロック棒79,80が図示しないねじによってねじ止めされている。
さらに、ロック板58において、クラッチ板56と対向する前面58aには、第4の貫通孔77の中心から半径R1(図9参照)となる位置に、係合穴61及び係合孔71と係合可能であって先端(前端)が半球状をなす係合部81が突設されている。
なお、ブレーキ板55及びクラッチ板56は、第1の圧縮ばね54によってロック板58側に付勢されているため、周方向において係合穴61、係合孔71、係合部81が一致した場合には、ブレーキ板55及びクラッチ板56がロック板58に近づく後方に移動して係合穴61及び係合孔71に係合部81が係合する。一方、周方向において係合穴61、係合孔71、係合部81が不一致である場合には、係合部81がクラッチ板56の後面56bと摺動するようになっている。
さらに、第2の軸J2には、板ばね74よりも前側にスイッチ板83が固定されていると共に、板ばね74よりも後側に第1の規制手段としての第1の鉤板84が固定されている。そして、第3の軸J3には、第2の規制手段としての第2の鉤板85が、第3の軸J3を中心として回動可能に設けられている。
図4〜図6に示すように、スイッチ板83には、第2の軸J2を挿通させるための第5の貫通孔87と、第5の貫通孔87を中心として径方向に延びる第2の長穴88が形成されている。さらに、スイッチ板83の径方向の先端部には、一端が図示しないフレームに固定された引っ張りばね89の他端が引っ掛けられている。なお、第2の長穴88には、スイッチ板83とユーザーによって押圧操作されるスイッチ90とを連結する連結板91が第2のねじ92によって回動可能にねじ止めされている。
そのため、図6(a)に示すように、右側の非押圧位置に位置したスイッチ90がユーザーによって押圧操作されて、図6(b)に示すように、左側の押圧位置に変位すると、スイッチ板83は前側から見て反時計回り方向に回動する。また、スイッチ90の押圧が解除されると、スイッチ板83は、引っ張りばね89の付勢力によって前側から見て時計回り方向に回動し、スイッチ90と共に図6(a)に示す非押圧位置に戻るようになっている。
また、図4,図7に示すように、第1の鉤板84には、基端側に第2の軸J2を挿通させるための第6の貫通孔94が形成されていると共に、先端側には、第1の鉤部84aが形成されている。なお、第1の鉤板84は、スイッチ90が非押圧位置に位置する状態において、その中間部分84bが略水平方向に沿うと共に、その先端の第1の鉤部84aが中間部分84bから下側に向かって突状となるように第2の軸J2に固定されている。そして、第1の鉤部84aの端縁において、基端側(第6の貫通孔94側)となる第1の内端縁84cは、第1の鉤板84における中間部分84bの直線状をなす側端縁に対して鋭角もしくは略垂直に交差するように形成されている。また、同じく第1の鉤部84aの端縁において、先端側となる第1の外端縁84dは、第1の鉤部84aの全体形状を先が細い略三角形状とするべく、第1の内端縁84cに対して斜めに交差するように形成されている。
そして、第1の鉤板84は、ロール紙収容部11が低位置A1(図8参照)に位置している場合であって、且つスイッチ90が非押圧位置に位置している場合に、中間部分84bの側端縁及び第1の鉤部84aの第1の内端縁84cが第1のロック棒79に当接するように設けられている。すなわち、第1の鉤板84は、第1のロック棒79を規制することにより、ロック板58及びロック板58と第1の軸J1を介して一体回動するロール紙収容部11の移動を規制するようになっている。なお、第1の鉤板84は、ロール紙収容部11にロール紙P1が収容されていない最軽量の場合において、ロール紙収容部11の移動を規制可能に設けられている。
また、第2の鉤板85には、基端側に第3の軸J3を挿通させるための第7の貫通孔95が形成されていると共に、先端側には、第2の鉤部85aが形成されている。第2の鉤部85aにおいて、基端側(第3の軸J3側)となる第2の内端縁85cは、第2の鉤板85における中間部分85bの直線状をなす側端縁に対して鈍角に交差するように斜めに形成されている。また、同じく第2の鉤部85aの端縁において、先端側となる第2の外端縁85dは、第2の鉤部85aの全体形状を先が鋭角の略三角形状とするべく、第2の内端縁85cに対して斜めに交差するように形成されている。
なお、図7(a)に示すように、第2の鉤板85は、第2の圧縮ばね97によって第1の鉤板84に移動を規制された状態の第1のロック棒79側に向かって常に付勢されていると共に、規制部98によって第1のロック棒79に近づく方向への移動が規制されている。そして、本実施形態における規制部98は、図7(b)に示すように、ロック板58が第1の軸J1を中心として約10度回動した場合に、規制部98に規制された状態の第2の鉤板85と第1のロック棒79とが当接するように設けられている。ただし、第2の鉤板85の第1のロック棒79に対する規制力は、第1の鉤板84の第1のロック棒79に対する規制力よりも小さい。これは、第2の内端縁85cの方が第1の内端縁84cよりも、それらが対応する中間部分84b,85bの側端縁に対する交差角度が大きく形成されていることによる。
ところで、第1の回転トルクは、ロール紙収容部11を上昇させる反重力方向の回転トルクであって、ロール紙収容部11の重量に基づく重力方向の第3の回転トルクとは反対方向のトルクであるため、第1の回転トルクの方が第3の回転トルクよりも相対的に大きくなると、ロール紙収容部11は反重力方向に上昇又は高位置に留められる。そのため、ロール紙収容部11の重量が小さいほど、ガススプリング42の付勢力に基づく反重力方向の第1回転トルクの方がロール紙収容部11の重量に基づく重力方向の第3の回転トルクよりも大きくなり、第1のロック棒79が第2の鉤部85aを乗り越えて第2の鉤板85を通過しやすくなる。そこで、本実施形態では、第2の圧縮ばね97の付勢力は、ロール紙収容部11の重量が重量閾値よりも小さい場合に、第2の鉤板85が第2の圧縮ばね97を押し縮めるように回動して第1のロック棒79を通過させるように設定されている(図7(c)参照)。したがって、重量閾値とは、第2の鉤板85が第1のロック棒79の移動を規制可能なロール紙収容部11の最小重量と等しい。
そこで次に、以上のように構成されたプリンター10における第2のロール紙P2を交換する場合の作用について、以下説明する。ただし、以下の説明において、第1,第2の軸J1,J2及び第1〜第3の軸J1〜J3に設けられた回動要素の回転方向を、前側から見て時計回り方向(後側から見て反時計回り方向)を第1の回転方向D1とする。また、前側から見て反時計回り方向(後側から見て時計回り方向)を第2の回転方向D2とする(図6参照)。
さらに、図8に示すように、初期状態におけるロール紙収容部11は、最も下側の低位置A1に位置していると共に、図6(a)に示すように、スイッチ90は非押圧位置に位置しているものとする。すなわち、図7(a)に示すように、第1の鉤板84が第1のロック棒79を規制してロック板58の回動が規制されているため、ロック板58に固定された第1の軸J1と共にロール紙収容部11の回動が規制されている。また、図9,図10に示すように、このとき係合穴61、係合孔71、係合部81は、第1の軸J1を中心とした周方向にそれぞれ異なる位置に位置している。そのため、係合穴61は、クラッチ板56によって閉塞されていると共に、クラッチ板56の後面56bに係合部81が当接している。
さて、第2のロール紙P2がなくなると、ユーザーは、印刷部30へ供給される用紙Pの供給元を第2のロール紙P2から第1のロール紙P1へ切り替えた後、さらにスイッチ90を押圧操作して第1のロック棒79の移動を規制するロック状態を解除する。
すなわち、図6(a)に示すように、非押圧位置に位置するスイッチ90を、図6(b)に示す押圧位置まで変位させる。すると、スイッチ板83と共に第2の軸J2が第2の回転方向D2に角度αだけ回動する。なお、第2の軸J2には、板ばね74と第1の鉤板84が一体回動するように設けられているため、板ばね74及び第1の鉤板84が第2の回転方向D2に角度αだけ回動する。
さて、図9,図10に示す状態において、板ばね74が第2の軸J2を中心とした第2の回転方向D2に角度αだけ回動すると、図11に示すように、ピン部73がばね部74aに押圧され、クラッチ板56は、ねじりばね57の付勢力に抗して第1の軸J1を中心とした第1の回転方向D1に回動する。一方、ブレーキ板55は、ワイヤ64を介して定荷重ばね43に下側(ワイヤ64が巻きつけられた第1の回転方向D1)に付勢された状態でストッパー67によって第1の軸J1を中心とした第1の回転方向D1の回動が規制されている。そのため、ブレーキ板55とクラッチ板56は、凸部62が挿通された円弧孔72の範囲で周方向に相対移動する。すなわち、クラッチ板56は、クラッチ板56の係合孔71がブレーキ板55の係合穴61に周方向において近づくように回動すると共に、スイッチ90が押圧操作されている間、係合孔71と係合穴61とが一致した状態を維持する。
また、図7(a)に示す状態において第1の鉤板84が第2の軸J2を中心とした第2の回転方向D2に角度αだけ回動すると、図7(b)に示すように、第1の鉤板84の第1の鉤部84aが第1のロック棒79の移動軌跡から退避する。したがって、第1のロック棒79のロック状態が解除され、第1のロック棒79が設けられたロック板58、及び第1の軸J1が回動可能な状態となる。
ところで、第1の軸J1には、トルク伝達部44を介してガススプリング42の付勢力が常に与えられている。そのため、ロック状態が解除されると、第1の軸J1まわりの第1の回転トルクに基づいてロール紙収容部11が上昇(第2の回転方向D2に回動)すると共に、ロック板58及び第1のロック棒79も第1の軸J1を中心とした第2の回転方向D2に回動する。
しかし、図7(b)に示すように、第1のロック棒79の移動軌跡には、第2の鉤板85の第2の鉤部85aが位置している。そのため、本実施形態では、ロール紙収容部11が低位置A1から第1の軸J1を中心とした第2の回転方向D2に約10度回動した第1の中間位置A2まで回動すると、第1のロック棒79が第2の鉤板85に当接する。なお、図11,図12に示すように、このとき係合孔71及び係合穴61は一致しているのに対し、係合部81は、係合孔71及び係合穴61と周方向にずれた位置に位置してクラッチ板56の後面56bに当接している。
さて、図7(c)に示すように、ロール紙収容部11の重量が重量閾値よりも小さい場合には、ガススプリング42からの第1回転トルクに基づく第1のロック棒79の回動力によって第2の内端縁85cが押圧されることにより、第2の鉤板85が第3の軸J3を中心とした第1の回転方向D1に回動する。すると、第2の鉤部85aが第1のロック棒79の移動軌跡から退避し、第2の鉤部85aによる第1のロック棒79のロック状態が解除される。したがって、ロール紙収容部11、ロック板58、及び第1のロック棒79は、さらに第1の軸J1を中心とした第2の回転方向D2に回動する。
そして、図8に示す第2の中間位置A3(本実施形態では低位置A1から約30度)までロール紙収容部11が回動すると、図13,図14に示すように、係合孔71、係合穴61、係合部81が一致する。なお、ブレーキ板55及びクラッチ板56は、第1の圧縮ばね54によってロック板58側に付勢されているため、ブレーキ板55及びクラッチ板56が後方に変位し、係合孔71及び係合穴61に係合部81が係合する。なお、ワイヤ64は可撓性を有しているため、ブレーキ板55が軸方向(前後方向)に移動する場合であっても移動が許容される。
ところで、定荷重ばね43が第1の軸J1まわりに与える第2の回転トルクは、重量閾値と同じ重量のロール紙収容部11の重力に基づく第3の回転トルクとの合計が、ガススプリング42が第1の軸J1まわりに与える第1の回転トルクよりも小さくなるように設定されている。そのため、ロール紙収容部11と定荷重ばね43が接続された後も、ロール紙収容部11は第1の軸J1を中心とした第2の回転方向D2に回動する。
そのため、図15,図16に示すように、さらにロール紙収容部11及び第1のロック棒79が第1の軸J1を中心とした第2の回転方向D2に回動すると、同第2の回転方向D2に回動する係合部81に押されるように、ブレーキ板55が回動する。また、ピン部73がばね部74aを通過すると、クラッチ板56は、ねじりばね57の付勢力によって第1の軸J1を中心とした第2の回転方向D2に回動する。しかし、係合孔71には係合部81が係合しているため、クラッチ板56は係合部81に当接した状態でブレーキ板55と共に回動する。
また、ブレーキ板55が回動すると、ワイヤ64がブレーキ板55の回動に伴って溝部66に嵌るようにブレーキ板55に巻きつけられる。そして、図8に示す高位置A4までロール紙収容部11が回動すると、第2のロック棒80が図示しないロック機構に規制されて回動が停止する。
また、板ばね74のばね部74aは弾性を有しているため、ピン部73がクラッチ板56と共に第1の軸J1を中心とした第2の回転方向D2に回動した場合には変形してピン部73の通過を許容する。さらに、係合穴61、係合孔71、係合部81が係合している場合にはブレーキ板55とクラッチ板56の相対移動が、係合部81によって規制されている。そのため、係合穴61、係合孔71、係合部81が係合している状態において、スイッチ90が非押圧位置に戻った場合であっても、係合穴61、係合孔71、係合部81の係合状態が維持される。
すなわち、ロール紙収容部11の重量が重量閾値よりも小さい場合にユーザーがスイッチ90を押圧操作すると、ロール紙収容部11が低位置A1から高位置A4まで第1の軸J1を中心とした第2の回転方向D2に回動すると共に、ロール紙収容部11に対して定荷重ばね43が接続される。
続いて、第2のロール紙P2が交換されて、高位置A4に位置するロール紙収容部11を押し下げる場合の作用を説明する。
なお、図17に示すように、ユーザーがロール紙収容部11を押し下げるために必要な操作力(図17中の黒三角)は、定荷重ばね43が第1の軸J1まわりに与える第2の回転トルク分だけ小さくなるため、定荷重ばね43が作用しない場合(図17中の黒四角)に比べて操作力が小さくなっている。
具体的には、ブレーキ板55は、定荷重ばね43の付勢力によってワイヤ64に引っ張られるように第1の軸J1を中心とした第1の回転方向D1に回動し、係合穴61に係合した係合部81を同第1の回転方向D1に押圧する。そして、ロール紙収容部11が第2の中間位置A3まで移動すると、ブレーキ板55の当接部68にストッパー67が当接してブレーキ板55の第1の軸J1を中心とした第1の回転方向D1への回動が規制される。そのため、係合部81は、係合穴61の底に形成された斜面を押圧するように、さらに第1の回転方向D1に回動して非係合状態となる。すなわち、ブレーキ板55及びクラッチ板56は、第1の圧縮ばね54を押し縮めるように前側に移動し、定荷重ばね43とロール紙収容部11との接続を解除する。一方、クラッチ板56は、係合孔71が係合部81と非係合状態となるので、ねじりばね57の付勢力に基づいて係合穴61を塞ぐように第1の軸J1を中心とした第2の回転方向D2に回動する。
したがって、図17に示すように、高位置A4から第2の中間位置A3との間では、第2の回転トルクが第1の軸J1に与えられるため、ロール紙収容部11の押下げ操作力は小さくなる。そして、第2の中間位置A3よりも低位置A1側では、第1の軸J1に第2の回転トルクが与えられないため、押下げ操作力は定荷重ばね43を設けない場合とほぼ同じになる。しかし、ロール紙収容部11は下方に位置しているため、上方に位置している場合に比べてユーザーが体重をかけやすく、操作性の劣化は抑制される。
さらに、ロール紙収容部11が第1の軸J1を中心とした第1の回転方向D1に回動して第1の中間位置A2に位置する際には、第1のロック棒79が、該第1のロック棒79の移動軌跡に対して斜めに形成された第2の鉤板85の第2の外端縁85dに当接する。そのため、第2の鉤板85が第1のロック棒79に押されて第3の軸J3を中心とした第1の回転方向D1に回動し、第1のロック棒79の通過を許容する。
また、ロール紙収容部11が低位置A1まで回動する際には、第1のロック棒79が、該第1のロック棒79の移動軌跡に対して斜めに形成された第1の鉤板84の第1の外端縁84dに当接する。そのため、第1のロック棒79に押された第1の鉤板84は、引っ張りばね89の付勢力に抗して第2の軸J2を中心とした第2の回転方向D2に回動して第1のロック棒79の第1の内端縁84c側への通過を許容すると共に、第1の内端縁84c及び中間部分84bの側端縁を第1のロック棒79に当接させて規制する。
次に、ロール紙収容部11の重量が重量閾値以上である場合に、ロール紙収容部11を回動させる場合の作用について説明する。ただし、第1の鉤板84による第1のロック棒79のロック状態が解除されて第1のロック棒79が第2の鉤板85に当接するまでの作用は、ロール紙収容部11の重量によらず同じであるため、説明を省略する。
さて、ガススプリング42の付勢力に基づく第1の回転トルクは、ロール紙収容部11の重量に基づく第3の回転トルクと相殺されるため、ロール紙収容部11の重量が大きいほど上昇しにくくなる。すなわち、第1のロック棒79の第1の軸J1を中心とした第2の回転方向D2の回動力は、ロール紙収容部11の重量が大きいほど小さくなる。そして、ロール紙収容部11の重量が重量閾値以上である場合には、第2の圧縮ばね97の付勢力が第1のロック棒79の回動力よりも大きいため、第1のロック棒79は第2の鉤板85に当接した状態で停止する。
したがって、ロール紙収容部11は、第1の中間位置A2で停止すると共に、図11,図12に示すように係合穴61と係合部81とが周方向に異なる位置に位置して非係合状態に維持される。
そのため、さらにロール紙収容部11を上昇させる場合には、第1のロック棒79が第2の鉤板85を通過する程度の反重力方向の押圧力をユーザーがロール紙収容部11に付与すればよい。すなわち、ユーザーがスイッチ90の押圧を解除すると共に、ロール紙収容部11を上方に向かって押圧すると、第1のロック棒79が第2の鉤板85を押圧し、第2の鉤板85が第2の圧縮ばね97の付勢力に抗して第3の軸J3を中心とした第1の回転方向D1に回動する。そのため、第1のロック棒79は第2の鉤板85を通過し、第2の鉤部85aによる第1のロック棒79のロック状態が解除される。そして、ロール紙収容部11は、ガススプリング42の付勢力に基づく第1の回転トルクによってさらに第1の軸J1を中心とした第2の回転方向D2に回動する。
ところで、図18,図19に示すように、スイッチ90の押圧が解除されると、引っ張りばね89の付勢力に基づいてスイッチ板83、板ばね74が第2の軸J2を中心とした第1の回転方向D1に角度αだけ回動する。すると、板ばね74によるピン部73の付勢が解除されるため、クラッチ板56は、ねじりばね57の付勢力に基づいて第1の軸J1を中心とした第2の回転方向D2に回動して係合穴61を閉塞する。したがって、その後、ロール紙収容部11が回動して係合部81が係合穴61と周方向において一致しても、係合部81はクラッチ板56の後面56bに当接した状態で係合穴61上(後側)を通過し、係合穴61と係合部81は非係合状態に維持される。そのため、ロール紙収容部11は、定荷重ばね43と非接続状態のまま高位置A4まで変位する。
すなわち、第1の軸J1には、定荷重ばね43の付勢力に基づく第2の回転トルクが与えられていないため、ロール紙収容部11の重量に基づく第3の回転トルクよりも大きな第1の回転トルクによってロール紙収容部11が高位置A4まで変位する。
そして、この状態からロール紙収容部11を押下げる場合には、図17に示すように、ユーザーがロール紙収容部11を押し下げるために必要な操作力(図17中の黒ダイヤ形)も小さなものになる。すなわち、ロール紙収容部11の重量が大きい場合は、重量に基づく重力方向(下向き)の第3の回転トルクも大きくなるため、重量が小さい場合と比べて容易に押下げることができるのである。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ロール紙収容部11の重量に応じてロール紙収容部11に与えられる回転トルクを切り替えることができる。すなわち、例えばロール紙P1が殆ど消費されてロール紙収容部11の重量が重量閾値よりも小さい場合には、その小さな重量に基づく重力方向の回転トルクを助勢するように、ロール紙収容部11に対して定荷重ばね43から重力方向(第1の回転方向D1)の第2の回転トルクが付与される。そのため、ロール紙収容部11の重量に基づく重力方向の第3の回転トルクが小さい場合でも、ガススプリング42による反重力方向(第2の回転方向D2)への第1の回転トルクには定荷重ばね43からの重力方向への第2の回転トルクが対抗するため、重量に基づく重力方向の回転トルクだけで第1の回転トルクに対抗する場合に比べて、ロール紙収容部11を下降させやすくなる。一方、ロール紙収容部11の重量が重量閾値よりも大きい場合には、ロール紙収容部11の重量に基づく重力方向の第3の回転トルクが大きいため、定荷重ばね43から重力方向の第2の回転トルクが得られなくても、ガススプリング42による反重力方向への第1の回転トルクに抗してロール紙収容部11を容易に下降させることができる。したがって、重力方向に沿って変位操作自在なロール紙収容部11を、収容されたロール紙P1の消費状態にかかわらず、重力方向に降下させることなく高位置に留めることができるとともに、重力方向へ容易に押し下げ操作できる。
(2)係合部81と係合穴61の係合状態を切り替えることにより、定荷重ばね43とロール紙収容部11との接続状態を容易に切り替えることができる。
(3)ブレーキ板55がクラッチ板56側へ付勢されているため、板ばね74がクラッチ板56を回動させて係合孔71と係合穴61とが一致した状態でロール紙収容部11が揺動すると、ロール紙収容部11と共に揺動する係合部81が係合穴61に係合する。すると、定荷重ばね43とロール紙収容部11とが接続され、第1の軸J1まわりの第2の回転トルクがロール紙収容部11に与えられる。一方、係合穴61と係合孔71とが一致せずに係合穴61がクラッチ板56によって閉塞された状態でロール紙収容部11が揺動した場合には、係合部81と係合穴61とが係合しないため、定荷重ばね43とロール紙収容部11は非接続状態となる。したがって、板ばね74の操作によってロール紙収容部11に与える回転トルクを容易に切り替えることができる。
(4)ロール紙収容部11には、第1の軸J1まわりに第1の回転トルクが与えられているため、ロール紙収容部11の重量が小さいほど反重力方向に変位しやすく、その反面、重力方向へ変位させる場合にはより大きな外力が必要である。そのため、ロール紙収容部11は、重量が小さいほど第2の鉤板85を通過しやすくなっている。したがって、ロール紙収容部11の重量が重量閾値よりも小さい場合には、ロール紙収容部11は第2の鉤板85を通過して反重力方向に変位する。そのため、係合穴61と係合孔71とを一致させた状態でロール紙収容部11が第2の鉤板85を通過した場合には、係合部81と係合穴61を係合させてロール紙収容部に第1の軸J1まわりの第2の回転トルクを与えることができる。一方、ロール紙収容部11の重量が重量閾値よりも大きい場合には、第2の鉤板85に規制される。そのため、係合穴61と係合孔71とをずらした状態で第2の鉤板85の規制を解除することにより、第2の鉤板85とロール紙収容部11との接続を解除した状態でロール紙収容部11を変位させることができる。したがって、第2の鉤板85を通過した場合と、第2の鉤板85に規制された場合とによって、定荷重ばね43とロール紙収容部11との接続状態を適切に切り替えることができる。
(5)ロール紙収容装置15は、ロール紙収容部11に収容されるロール紙P1の残量にかかわらずに、ロール紙収容部11を容易に揺動させることができる。したがって、例えばプリンター10に収容されたロール紙P2の交換作業を容易に行うことができるプリンター10を実現することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、ロール紙収容部11が低位置A1に位置している状態において、第1の鉤板84と第2の鉤板85によって第1のロック棒79を規制するようにしてもよい。なお、この場合には、例えば、第1の鉤板84のみを第2の回転方向D2に回動させる第1のスイッチと、第1の鉤板84を第2の回転方向D2に回動させると共に第2の鉤板85を第1の回転方向D1に回動させる第2のスイッチとを備えるようにしてもよい。すなわち、ユーザーは、まず、第1のスイッチを押圧し、ロール紙収容部11が上昇しない場合には、第2のスイッチを押圧するようにしてもよい。
・上記実施形態において、第1の規制手段は、第1の軸J1、ロール紙収容部11、第1〜第3のスプロケット47a〜47c、レバー部材50の何れか1つを規制する規制手段としてもよい。また、第1の付勢手段として油圧シリンダなど、付勢力の付与状態と非付与状態とを切り替え可能な付勢手段を用いる場合には、第1の規制手段を設けない構成としてもよい。また、第1,第2の付勢手段は、第1の軸J1に取り付けた錘としてもよい。
・上記実施形態において、第2の規制手段を設けない構成としてもよい。例えば、ロール紙収容部11が低位置A1に位置した状態において、係合部81と係合穴61とを係合させ、ロール紙収容部11の重量が重量閾値以上である場合には係合部81と係合穴61とを非係合にしてもよい。
すなわち、ロール紙収容部11が低位置A1から上昇する場合には、ガススプリング42による第1の回転トルクと、定荷重ばね43による第2の回転トルクと、ロール紙収容部11自体の重量に基づく第3の回転トルクが付与される。そのため、第1の回転トルクよりも第2の回転トルクと第3の回転トルクとの合計が大きい場合には、ロール紙収容部11は高位置A4まで変位せずに低位置A1もしくは途中位置で停止する。したがって、ロール紙収容部11が高位置A4まで変位しなかった場合に、定荷重ばね43とロール紙収容部11を非接続状態とすることにより、ロール紙収容部11を高位置A4まで変位させることができる。したがって、この場合の重量閾値とは、定荷重ばね43が接続された状態で高位置A4まで上昇しないロール紙収容部11の重量であって最も小さい重量となる。
そして、このとき定荷重ばね43とロール紙収容部11とを非接続状態とする方法としては、ブレーキ板55をロック板58から離間する方向に変位させる機構を設けてもよい。また、係合部81を出没可能に設け(例えばソレノイド)、係合部81が係合穴61から抜けるようにしてもよい。さらに、この場合には、クラッチ板56を設けない構成としてもよい。
・上記実施形態において、ロール紙収容部11の重量を検出するセンサーと、該センサーの検出結果に基づいて定荷重ばね43とロール紙収容部11の接続を切り替える制御部を備え、第1の軸J1まわりに与える回転トルクの切り替えを制御によって行ってもよい。また、ロール紙収容部11に収容されたロール紙P1の使用量を記憶しておき、使用量に基づいてロール紙収容部11の重量を推定して回転トルクの切り替え制御を行ってもよい。そして、この場合には、第1,第2の鉤板84,85を設けない構成としてもよい。
また、切り替え制御の方法としては、次のようにしてもよい。すなわち、例えばブレーキ板55の第1の貫通孔60を軸方向においてロック板58側の口径が大きくなるようにテーパー状に設ける。さらに、第1の軸J1において第1の貫通孔60に挿通される部分を、ブレーキ板55側からロック板58側に径が大きくなるようにテーパー状に形成する。このようにすると、ブレーキ板55がロック板58側に移動すると、テーパー部分同士が当接し、該テーパー部分の摩擦力によって第1の軸J1とブレーキ板55とが一体回動可能となる。そして、この構成によれば、係合部81及び係合穴61の係合によらずに定荷重ばね43とロール紙収容部11とを接続することができるようになる。したがって、係合部及び被係合部、ならびに被係合部が形成された被係合部材を設けない構成としてもよい。
・上記実施形態において、ロック板58を軸方向に移動可能に設け、係合部81及び係合穴61の接続状態をロック板58の移動によって切り替えるようにしてもよい。すなわち、ロック板58の第4の貫通孔77のキー溝に対応するキー(凸部)をロック板58の厚みよりも軸方向に長く形成する。そして、キーが形成された範囲でロック板58を軸方向に変位させることにより、第1の軸J1と一体回動可能な状態でロック板58を軸方向に移動させることができる。
・上記実施形態において、ブレーキ板55に係合部を形成すると共に、ロック板58に係合穴を形成してもよい。また、クラッチ板56は、ロック板58と周方向において相対移動可能に該ロック板58に支持されるようにしてもよい。
・上記実施形態において、ロール紙収容部11は、第1の軸J1に対して摺動可能に支持されていてもよい。そして、第1のスプロケット47a及びロック板58をロール紙収容部11に直接固定してもよい。また、この場合には、ロール紙収容部11に係合部81、第1のロック棒79を形成してもよい。
・上記実施形態では、液体噴射装置をインクジェット式プリンター10に具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置を採用してもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。