JP5663893B2 - 口腔用組成物 - Google Patents

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本発明は、歯牙の象牙細管封鎖作用(象牙質知覚過敏抑制作用)に優れ、かつ象牙質の脱灰を効果的に抑制し、使用感にも優れた、象牙質知覚過敏抑制用及び象牙質う蝕予防用として好適な口腔用組成物に関する。
エナメル質の臨界pHは約5.3であるのに対し、象牙質のそれは約6.7であり、象牙質はエナメル質に対し脆弱であることが知られている。その理由としては、象牙質はエナメル質よりも多孔質(象牙細管の存在)で、かつ有機質に富んだ構造から成っていることが挙げられる。これらの違いのため、象牙質は象牙質う蝕、象牙質知覚過敏症といった特有の疾患が起こることが知られている。
象牙質う蝕の発症機序としては、基本的にはエナメル質う蝕と同様である。まず、象牙質表面にプラークが付着し、プラーク中の細菌によって糖の代謝がおこり、酸が産生される。その酸により象牙質のミネラル成分が溶出(脱灰)し、有機質層が露出する。更に有機質層は、物理的・化学的に破壊され、実質的な欠損となる。
象牙質う蝕の予防に対し、歯質保護を謳う技術が提案されている。
例えば、天然又は合成のカチオン化ペプチド又はタンパクと、ノニオン界面活性剤又は両性界面活性剤との組み合わせにより、組成物の外観性向上を実現させた技術(特許文献1:特開平6−9354号公報)は、フッ素の歯面取り込み向上も目的としているが、カチオン化したペプチドやタンパクは、適用時間1時間という長時間処置で効果を発揮している点で、効果は十分といえない。コラーゲン又はゼラチンを含有する洗口剤(特許文献2:特開2003−119157号公報)は、目の硝子体や軟骨に含まれるII型コラーゲンに対しては高い吸着能を示す一方、象牙質や骨、口腔粘膜に含まれるI型コラーゲンに対しては吸着能が小さいことから、象牙質への組成物の吸着・保護には大きな課題がある。脂肪酸塩を含有する歯面コート剤(特許文献3:特開2000−103726号公報)は、脂肪酸塩そのものの界面活性作用により、薬剤処置後のうがいによって有効成分が口腔内から流出してしまい、脂肪酸塩の歯面コート効果並びに有効成分の歯面滞留性には大きな課題が残るものであった。また、茶ポリフェノール、フッ素、アルミニウム塩からなる歯質耐酸性強化組成物(特許文献4:特開平6−298632号公報)は、味が悪い上に、酸性領域で効果が発揮できるものであり、歯磨剤や洗口剤などの通常の使用下におけるpHが中性付近においては、フッ素とアルミニウムイオンとの間に、更には歯磨剤の場合は研磨剤との間にも、不溶性沈殿が形成され、フッ素の歯質への取り込み向上効果は期待できないものであった。
また、歯質そのものを強化する技術も下記に示すように提案されている。石化海藻と酸とキシリトールを有効成分とする歯質強化剤(特許文献5:特開2008−127304号公報)は、石化海藻に酸を加えて海藻に含まれるフッ素を遊離させ、キシリトールと共にエナメル質や象牙質を強化させるものであるが、この技術は、従来のフッ素との性質の違いが明確でなかったり、評価条件も高濃度のキシリトールが数週間口腔内に存在するという、実際の口腔内では起こりえないものであり、実効性に疑問が残る。更に、(A)亜鉛化合物と、(B)アルデヒド系化合物、フェノール系化合物及び茶ポリフェノールから選ばれる少なくとも1種を含有する口腔用組成物(特許文献6:特開平11−228368号公報)は、フッ化物との併用によりエナメル質や象牙質に対し高い耐酸性向上効果が得られると記載されている。しかし、この技術では、組成物中でフッ化物と亜鉛化合物が反応し、可溶性フッ素濃度の低下が懸念されることから、耐酸性の飛躍的な向上には未だ課題があると言わざるを得ない。
一方、象牙質知覚過敏症とは、歯のエナメル質又はセメント質が消失して象牙質が露出し、この象牙質に温度的、化学的、機械的な外来刺激が与えられることによって、一過性の非常に不快な痛みを生じるものである。この原因は、象牙細管を通じて神経が刺激されるためと考えられており、歯磨剤などの口腔衛生製品による予防策としては、象牙細管を封鎖させたり、神経を鈍麻させるといった方法がなされている(特許文献7〜11:特表2004−510802号公報、特開2003−73246号公報、特開2003−26556号公報、特表2002−512177号公報、特開2001−172146号公報参照)。
その中で、乳酸アルミニウムは、象牙細管の開口部を塞ぎ、象牙質知覚過敏症を予防する作用を有すると共に、歯肉の収斂作用を有する。しかし、乳酸アルミニウムの十分な有効性を得るには、組成物中に数%オーダーという比較的多い配合量が必要となる。その結果、乳酸アルミニウムを口腔用組成物に配合することで、乳酸アルミニウム特有のえぐみや金属味の発現が問題となるばかりでなく、下記のようないくつかの問題が生じる。
例えば、乳酸アルミニウムを配合することで、組成物のpHが極端に低くなり、組成物の安定性が悪くなる。これに対し、乳酸アルミニウムとフッ化物とを、一定濃度かつ一定配合比で組合せ、pHを5〜10とする技術(特許文献12:特許第3152467号公報)や、乳酸アルミニウムにケイ酸ナトリウムを併用することで、経日安定性に優れた口腔用組成物を得る技術(特許文献13:特開平7−291844号公報)が提案されている。しかし、一般に金属イオンの安定性が向上するとその活性が低下することも多く、上記技術は、実際の有効性には疑問が残る。
このように、いずれの公知技術も、歯牙の象牙質への有効性、製剤中での安定性、組成物の使用感などにおいて未だ大きな課題があり、従来の技術は満足し難いものであった。
一方、リュウガン種子抽出物については、公知技術(特許文献14,15:特開2002−145732号公報、特開2006−342095号公報)が提案されているが、これら技術は、口腔用途でなく皮膚への外用剤中心の処方であり、フッ素化合物及び糖アルコールを併用したものではないため、歯牙の象牙質への作用については不明である。これらの技術から、リュウガン種子抽出物を口腔用組成物に用いることによる歯牙の象牙質への作用は予測できない。
特開平06−9354号公報 特開2003−119157号公報 特開2000−103726号公報 特開平06−298632号公報 特開2008−127304号公報 特開平11−228368号公報 特表2004−510802号公報 特開2003−73246号公報 特開2003−26556号公報 特表2002−512177号公報 特開2001−172146号公報 特許第3152467号公報 特開平07−291844号公報 特開2002−145732号公報 特開2006−342095号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、歯牙の象牙細管封鎖作用(象牙質知覚過敏抑制作用)に優れ、かつ象牙質の脱灰を効果的に抑制し、使用感にも優れ、調製直後や保存後の外観も良好な、象牙質知覚過敏抑制用及び象牙質う蝕予防用として好適な口腔用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、(A)リュウガン種子抽出物に、(B)フッ素化合物を併用することで、象牙質知覚過敏の原因となる歯牙の象牙細管を効果的に封鎖し、象牙質知覚過敏症の予防効果に優れ、かつ歯牙の象牙質の脱灰をも効果的に抑制し、象牙質う蝕予防効果に優れ、更に(C)キシリトール、ソルビトール、エリスリトールから選ばれる少なくとも1種の糖アルコールを配合することによって、これらの象牙質へ効果がより高まる上、リュウガン種子抽出物特有の渋味や苦味が改善され、口腔内で使用後の後味が良好で使用感も良好となり、かつ長期間保存してもリュウガン種子抽出物が製剤中で安定化され、口腔用組成物、特に液体製剤に調製した場合の経時での外観上の問題も解消でき、経時保存安定性も改善され、象牙質知覚過敏予防効果及び象牙質う蝕予防効果に優れた製剤が得られることを知見し、本発明をなすに至った。
本発明では、リュウガン種子抽出物とフッ素化合物とを組み合わせることによって、両成分が相乗的に作用して、歯牙の象牙質へ有効に作用し、優れた象牙細管封鎖効果及び象牙質脱灰抑制効果が同時に発揮される。更に、これら両成分を併用し、かつ上記の特定の糖アルコールを配合すること、好ましくはリュウガン種子抽出物に対して上記糖アルコールを適切な割合で配合することによって、これら成分の相乗的な作用が高まり、意外にも歯牙の象牙質への作用が格段に改善し、象牙細管封鎖効果及び象牙質脱灰抑制効果がより向上し、より優れた象牙質知覚過敏予防効果及び象牙質う蝕予防効果が発揮される上、リュウガン種子抽出物特有の渋味や苦味が改善され、かつ長期間保存してもリュウガン種子抽出物が製剤中でより安定化され、特に液体製剤に調製した場合の調製直後及び保存後の外観上の問題も解消でき、経時保存安定性も格別に向上するものである。本発明によれば、象牙質知覚過敏症の予防に有効な成分として知られている乳酸アルミニウム等を配合しなくても、上記のように歯牙の象牙質に有効に作用して象牙質の知覚過敏抑制及びう蝕予防に有効な製剤を得ることができ、従来の乳酸アルミニウム等を用いた象牙質の知覚過敏抑制技術と比較しても格段に使用感がよい。
このような本発明の格別な作用効果は、後述の実施例の実験結果からも明確であり、(A)リュウガン種子抽出物及び(B)フッ素化合物のいずれかを欠く場合や、(C)成分の糖アルコールを欠く場合は、いずれかの効果に劣る。また、糖アルコールであっても(C)成分の糖アルコール以外のもの、例えばマンニトールを配合しても、本発明の作用効果は達成されず、本発明の目的を達成することはできない。
なお、本発明の作用機序は不明であるが、リュウガン種子抽出物が、象牙質に作用し、象牙質の脱灰を効果的に抑制すること、また、フッ素化合物を併用することで象牙質へのフッ素化合物の滞留性が高まり、象牙細管を石灰化封鎖する効果(象牙質知覚過敏抑制効果)が認められること、更に、キシリトール等の糖アルコールが、リュウガン種子抽出物の製剤中での溶解性及び安定性を高め、リュウガン種子抽出物に由来する象牙質への効果やフッ素化合物の滞留性を高めることが、要因の一つにあるものと推察される。
従って、本発明は下記の口腔用組成物を提供する。
請求項1:
(A)リュウガン種子抽出物をリュウガン種子エキスとして0.01〜5質量%
(B)フッ素化合物をフッ素として100〜2,000ppm、及び
(C)キシリトール、ソルビトール、エリスリトールから選ばれる少なくとも1種の糖アルコールを0.5〜60質量%
含有し、かつ(C)成分/((A)成分中のリュウガン種子エキス)の質量比(C/A)が1〜3,000であることを特徴とする口腔用組成物。
請求項2:
(C)成分/((A)成分中のリュウガン種子エキス)の質量比(C/A)が2〜300であ請求項1記載の口腔用組成物。
請求項3:
B)フッ素化合物が、フッ化物又はモノフルオロリン酸塩である請求項1又は2記載の口腔用組成物。
請求項4:
象牙質う蝕予防用製剤である請求項1、2又は3記載の口腔用組成物。
請求項5:
象牙質知覚過敏用製剤である請求項1、2又は3記載の口腔用組成物。
本発明によれば、歯牙の象牙細管封鎖作用(象牙質知覚過敏抑制作用)に優れ、かつ象牙質の脱灰を効果的に抑制でき、更に、使用感が良好で、調製直後及び保存後の外観安定性と使用感にも優れた製剤が得られ、象牙質知覚過敏抑制用及び象牙質う蝕予防用として好適な口腔用組成物を提供することができる。本発明によれば、天然物由来のリュウガン種子抽出物を用いることで象牙質への有効性を発現でき、従来の技術で象牙質知覚過敏症に有効な成分として用いられている乳酸アルミニウム等を配合しなくても、上記のように象牙質に有効に作用するので、従来の技術特有の乳酸アルミニウム等に由来するえぐみや金属味の発現を防止あるいは軽減でき、使用後の後味が良好で使用感に優れる。
以下、本発明につき更に詳細に説明する。
本発明の口腔用組成物は、(A)リュウガン種子抽出物、(B)フッ素化合物、及び(C)キシリトール、ソルビトール、エリスリトールから選ばれる少なくとも1種の糖アルコールを含有することを特徴とする。更にこの場合、(C)成分/((A)成分中のリュウガン種子エキス)の質量比(C/A)が2〜300であることが好適であり、また、(A)成分の含有量がリュウガン種子エキスとして0.01〜5%(質量%、以下同様。)、(C)成分の含有量が0.5〜60%であることが好適である。
リュウガン(Euphoria longana)は、熱帯アメリカや東南アジアで栽培されているムクロジ科の植物であり、果実のうち果肉は強壮や鎮静を目的とした漢方薬として重用されており、ロンガンと呼ばれることもある。
(A)リュウガン種子抽出物としては、リュウガンの種子を破砕し、水、1価アルコール、多価アルコール、又はこれらの混合物等を溶媒として使用し、公知の抽出方法にて溶媒抽出することにより調製したものを使用することができる。溶媒として具体的には、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級1価アルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコールなどが挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
リュウガン種子抽出物としては、溶媒抽出物をそのまま溶液状で使用することも可能であるが、溶媒を溜去し適宜濃度まで濃縮したものを使用してもよい。また、これらを凍結乾燥するなどして乾燥し、溶媒を除去して得られる粉体状のものを使用してもよく、更にそのまま、あるいは賦形剤等を加えて使用することもできる。凍結乾燥品等の粉体状のものを、溶媒に再溶解させ適宜濃度に調整したものを使用してもよい。なお、リュウガン種子抽出物のリュウガン種子エキスの濃度は特に限定されない。
リュウガン種子抽出物としては、市販品を使用してもよい。具体的には、市販品の片倉チッカリン社製のエイジテクト、ロンガン種子エキスパウダーSDなどを使用することができる。
エイジテクトは、リュウガン種子粉砕物に50%エタノールを10%濃度になるように加えて60℃で24時間抽出し、濃縮後に凍結乾燥したものを、エキス濃度が1.0%になるように1,3−ブチレングリコール及び水に溶解させて調製された溶液状のものである(エイジテクト中のリュウガン種子エキス濃度は1.0%、1,3−ブチレングリコール及び水の濃度は共に49.5%)。
ロンガン種子エキスパウダーSDは、上記と同様に抽出し、凍結乾燥して得られた粉末に、賦形剤としてデキストリンを質量比で抽出物凍結乾燥粉末:デキストリンが5:1になるように添加し、調製された粉末状のものである(ロンガン種子エキスパウダーSD中のリュウガン種子エキス濃度は83%、デキストリン濃度は17%)。
(A)リュウガン種子抽出物の含有量は、象牙細管封鎖効果・脱灰抑制効果、外観安定性、使用性の点から、リュウガン種子エキスとして組成物全体の0.01〜5%、特に0.1〜3%が好適である。0.01%未満では、満足な象牙細管封鎖効果・脱灰抑制効果が得られない場合があり、5%を超えると保存後の外観に問題が生じたり、象牙細管封鎖効果や象牙質脱灰抑制効果が低くなり、更に良好な使用感が得られ難くなる場合がある。なお、ここで、リュウガン種子エキスとは、リュウガン種子抽出物から、これに含まれる溶媒や賦形剤等の添加成分を除いた残りの総量の値である。
(B)フッ素化合物としては、通常口腔用組成物に使用できるものであれば特に制限されないが、例えばフッ化ナトリウム等のフッ化物、モノフルオロリン酸ナトリウム等のモノフルオロリン酸塩などが好適であり、これらの1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
(B)フッ素化合物の配合量は、フッ素として組成物全体の100〜2,000ppm、特に200〜1,000ppmが好ましい。この場合、例えばフッ化ナトリウムの場合、組成物中の含有量は0.022〜0.44%、特に0.044〜0.22%が好ましい。モノフルオロリン酸ナトリウムの場合、組成物中の含有量は0.077〜1.54%、特に0.154〜0.77%が好ましい。フッ素としての含有量が100ppm未満では象牙細管封鎖効果や象牙質脱灰抑制効果の向上が満足に認められない場合があり、2,000ppmを超えると調製直後や保存後の外観に問題が発生し、フッ素化合物の安定性が低下したり、組成物の使用感に問題が生じる場合がある。
(C)糖アルコールは、キシリトール、ソルビトール、エリスリトールから選ばれる1種又は2種以上を使用する。
(C)糖アルコールの口腔用組成物への総配合量は、外観及びフッ素化合物の安定化効果、使用感、象牙細管封鎖効果・脱灰抑制効果の点から、0.5〜60%、特に3〜50%が好ましい。0.5%未満では、フッ素化合物の安定化効果が低くなり、象牙細管封鎖効果や脱灰抑制効果が低下する場合があり、更に組成物の調製直後や保存後の外観に問題が生じたり、使用感に問題が生じる場合もある。配合量が60%を超えると、象牙細管封鎖効果や脱灰抑制効果が低下する場合がある。
本発明組成物において、(C)成分の含有量と(A)成分としてのリュウガン種子エキスの含有量との割合、即ち、(C)成分/((A)成分中のリュウガン種子エキス)の割合(C/A)は、質量比で1〜3,000、特に2〜300が好ましい。質量比が1未満の場合は、組成物の調製直後や保存後の外観に劣ったり、フッ素化合物の安定化効果が低くなる場合があり、象牙細管封鎖・脱灰抑制効果も低くなる場合がある。更に、組成物の使用感にも問題が生じる場合がある。一方、質量比が3,000を超えると、象牙細管封鎖効果・脱灰抑制効果が低下する場合がある。
本発明の口腔用組成物は、液体、液状、ペースト状等の各種形状に調製でき、洗口剤、液体歯磨,液状歯磨、練歯磨等の歯磨剤、塗布剤などの各種剤型に調製できるが、特に洗口剤、液体歯磨等の液体製剤、とりわけ洗口剤として好適に調製される。
本発明の口腔用組成物には、上記成分に加えて、剤型等に応じた適宜な公知成分を必要に応じて配合することができる。任意成分としては、例えば界面活性剤、粘結剤、粘稠剤、甘味剤、防腐剤、香料、有効成分、水等の溶媒を、本発明の効果を損なわない範囲で配合し得る。以下に任意成分の具体例を示すが、本発明の組成物に配合可能な成分はこれらに制限されるものではない。
界面活性剤としては、通常、口腔用組成物に配合されるものであれば特に制限なく使用できるが、特にアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤を好適に配合できる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、N−アシルアミノ酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、グリセリン脂肪酸エステルの硫酸塩等が挙げられ、特に汎用性の点で、N−アシルアミノ酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩が好適に用いられる。具体的には、発泡性・耐硬水性の点で、ラウロイルサルコシンナトリウム、アルキル鎖の炭素数が10〜16のα−オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどをより好適に使用できる。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキロールアミド等を使用でき、特に汎用性の点で、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキロールアミド、ソルビタン脂肪酸エステルが好適に用いられる。具体的には、アルキル鎖の炭素数が14〜18でエチレンオキサイドの平均付加モル数が15〜30のポリオキシエチレンアルキルエーテル、エチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキル鎖の炭素数が12〜14のアルキロールアミド、脂肪酸の炭素数が12〜18のソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸の炭素数が16〜18でエチレンオキサイドの平均付加モル数が10〜40のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等をより好適に使用できる。
界面活性剤は少なくとも1種を使用できるが、ノニオン界面活性剤、特にポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキロールアミド、ソルビタン脂肪酸エステルから選ばれるものが好適である。洗口剤等の液体製剤では、中でもエチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好適に使用できる。
界面活性剤の配合量は、組成物全体の0.05〜3%が好ましい。
粘結剤としては、例えばプルラン、ゼラチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アラビアガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。配合量は、通常、組成物全体に対して0.01〜2%とすることができる。
粘稠剤としては、(C)成分の糖アルコール以外のものを本発明の効果を損なわない範囲で使用してもよく、例えばプロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等の多価アルコールなどが挙げられる。これら粘稠剤は、通常、組成物全体に対して1〜50%配合できる。なお、多価アルコールを配合する場合は、(C)成分の糖アルコールとの合計が1〜60%、特に5〜60%となる範囲内が好ましく、かつ(C)成分の糖アルコールの配合濃度を超えないことが望ましい。
甘味剤としては、例えばサッカリンナトリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジンヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、p−メトキシシンナミックアルデヒド、ソーマチン、パラチノース、マルチトール、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース等が挙げられる。
防腐剤としては、例えばメチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル、安息香酸又はその塩(ナトリウム塩等)、エチレンジアミン四酢酸塩、塩化ベンザルコニウムなどが挙げられる。
香料としては、口腔製剤に使用できる香料素材を適宜組み合わせて使用することができる。例えばペパーミント、スペアミント、和種ハッカ等のミント系精油、レモン、ストロベリー等のフルーツ系のエッセンス、l−メントール、カルボン、オイゲノール、アネトール、リナロール、リモネン、オシメン、シネオール、n−デシルアルコール、シトロネロール、ワニリン、α−テルピネオール、サリチル酸メチル、チモール、ローズマリー油、セージ油、シソ油、レモン油、オレンジ油等の各種精油などの香料素材が挙げられるが、これらに限定されない。
更に、有効成分として、(A)リュウガン種子抽出物、(B)フッ素化合物に加えて、これら以外の薬用成分、具体的にはクロルヘキシジン、トリクロサン、塩化セチルピリジニウム、グルコン酸亜鉛、クエン酸亜鉛等の殺菌又は抗菌剤、縮合リン酸塩、エタンヒドロキシジホスフォネート等の歯石予防剤、トラネキサム酸、グリチルリチン2カリウム塩、β−グリチルレチン酸、アラントイン等の抗炎症剤、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド等の歯牙コーティング剤、デキストラナーゼ、ムタナーゼ等の酵素剤、塩化ナトリウム等の収斂剤、硝酸カリウム等の知覚過敏抑制剤などを、本発明の効果を損なわず、薬剤学的に許容できる範囲で使用できる。
本発明組成物の剤型としては、有効性及び安定性の観点から液体が好ましく、溶剤として水や、エタノール、プロパノール等の炭素数3以下の1価の低級アルコールなどを配合し得る。組成物中の水の含有量は30〜90%、低級アルコールの含有量は1〜10%が好ましい。
なお、これら任意成分の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲の常用量とすることができる。
本発明の口腔用組成物は、有効性及びリュウガン種子抽出物の外観安定性の観点から、pHが6〜8であることが好ましく、必要に応じてpH調整剤を使用してpH調整することができる。pH調整剤としては、リン酸又はその塩(リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウムなど)、クエン酸又はその塩(クエン酸ナトリウムなど)、リンゴ酸又はその塩、グルコン酸又はその塩、マレイン酸又はその塩、コハク酸又はその塩、グルタミン酸又はその塩、乳酸、塩酸、酢酸、硝酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。下記例中の%はいずれも質量百分率を示す。また、形態が水溶液の成分については、表中も含めいずれも純分換算の配合量を示した。
なお、使用した主原料は、エイジテクト(片倉チッカリン社製、リュウガン種子エキス濃度:1%)、ロンガン種子エキスパウダーSD(片倉チッカリン社製、リュウガン種子エキス濃度:83%)、フッ化ナトリウム(ステラケミファ社製)、モノフルオロリン酸ナトリウム(ローディア日華社製)、キシリトール(ロケット・フルーレ社製)、ソルビトール(和光純薬工業社製)、エリスリトール(三菱化学フーズ社製)、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油(HCO60(エチレンオキサイドの平均付加モル数60)、日光ケミカルズ社製)、グリセリン(85%、阪本薬品工業社製)、エタノール(日本アルコール販売社製)、マンニトール(比較品、和光純薬工業社製)、乳酸アルミニウム(比較品、和光純薬工業社製)である。
洗口液の調製方法は下記の通りである。
スリーワンモーターと回転羽根を有する撹拌機を装着したステンレス製容器に、規定量の精製水を投入し、配合成分のうちリュウガン種子抽出物、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、キシリトール等の糖アルコールなどの水溶性成分を撹拌しながら投入、溶解させた。一方、スリーワンモーターと回転羽根を有する撹拌機を装着した別のステンレス製容器に、規定量のエタノール等の有機溶剤を投入し、配合成分のうち香料、メチルパラベン等の油溶性成分を撹拌しながら投入、溶解させた。更に、水溶性成分を溶解させた容器に、油溶性成分を加えて30分間撹拌し、均一溶液とし洗口液1.0kgを得た。
〔実験1〕外観安定性及びフッ素化合物安定性の試験
下記表1〜6に示す組成の洗口液(実施例及び比較例)を50mLのポリプロピレン製の透明チューブに充填し、50℃で1ヶ月保存した。
各充填物について、調製直後、及び50℃で1ヶ月保存後の外観(濁りや沈殿の有無)を目視にて確認し、外観を評価した(下記評価基準1−1)。
〈評価基準1−1〉
◎:組成物に濁りや沈殿が認められず、外観に問題は無い
○:組成物に濁りや沈殿がほとんど認められず、外観に問題は無い
△:組成物に濁りや沈殿がやや認められ、外観にやや問題がある
×:組成物に濁りや沈殿が多く認められ、外観にかなり問題がある
また、各組成の洗口液について、フッ素化合物安定性を下記方法で評価した。
各組成の洗口液の全量をよく撹拌後、その10mLを別のポリプロピレン製の遠沈管に採取し、遠心機(国産遠心機株式会社製、H−103N)にて、室温下、1500×gで10分間遠心した。
遠心後、上清液1mLを10mLメスフラスコに注意深く採取し、pH5.5の1mol/Lのクエン酸カリウム緩衝液を5mL加え、被験液とした。最後に蒸留水で10mLにメスアップし、フッ素イオンメーター(ORION社製、EA−920)にて被験液中の可溶性フッ化物イオン濃度を測定した。モノフルオロリン酸ナトリウムを含有する組成については、上清液1mLを3mLのねじ口テフロン(登録商標)チューブに注意深く採取し、2規定硫酸1mLを加えて密栓した。その後、10分間煮沸し、加水分解させた。冷却後、加水分解させた液1mLを10mLメスフラスコに注意深く採取し、pH5.5の1mol/Lクエン酸カリウム緩衝液を5mL加えて被験液とした。最後に蒸留水で10mLにメスアップし、同様に測定した。
調製直後、及び50℃で1ヶ月保存後の洗口液について、上記方法で可溶性フッ化物イオン濃度を測定し、各例について、調製直後の可溶性フッ化物イオン濃度C0に対する、1ヶ月保存後の可溶性フッ化物イオン濃度C1Mの残存率(%)を以下の式(1)で求めた。更に、求められた残存率から、下記の評価基準1−2によりフッ素化合物安定性を評価した。
Figure 0005663893
〈評価基準1−2〉
◎:組成物の可溶性フッ化物イオン残存率が90%以上である
○:組成物の可溶性フッ化物イオン残存率が80%以上90%未満である
△:組成物の可溶性フッ化物イオン残存率が60%以上80%未満である
×:組成物の可溶性フッ化物イオン残存率が60%未満である
〔実験2〕象牙細管封鎖効果の評価
上記と同様に調製した洗口液(実施例及び比較例)を用いて、Pashleyらの方法(J.Dent.Res.57、187−193、1987)に準じ、象牙細管の液の通過性を計測し、各洗口液の象牙細管封鎖効果を下記方法で評価した。
ヒトの歯根から象牙質ディスクを切り出し、耐水研磨紙#2000で研磨を行って標本を作製し、サンプルとした。このサンプルを乾燥後、Pashleyの装置に固定し、N2ガスによる一定圧下で生理食塩水を流して、5分間にサンプルを通過する生理食塩水の量を測定した(洗口液処置前の通過液量)。
次に、各洗口剤30gと1mmol/L相当のCaCl2及び3mmol/L相当のKH2PO4、1.0単位/mLの酸性フォスファターゼを含むpH7.0の人工唾液3gとを混合して1.1倍希釈液とし、これを処置液とした。なお、1.1倍希釈は、洗口時に洗口液が唾液によって希釈されることを想定したことによる。この処置液に上記サンプルを30秒間浸漬し、余分な処置液を除去した後、上記人工唾液中に37℃で12時間浸漬した。ここではヒトでの洗口用法を想定し、処置後の蒸留水による濯ぎは行わなかった。同様の操作を1日2回行い、この一連の操作を合計5日間繰り返した。最終日サンプルを蒸留水でよく濯ぎ、乾燥後、処置前と同様にPashleyの装置に固定し、5分間にサンプルを通過する生理食塩水の量を測定した(洗口液で処置後の通過量)。各洗口液の液通過性抑制率を、洗口液処置前の通過液量に対する、各洗口液処置後の通過液量を基に下記式(2)により算出した。各例について、評価はN=3で行い、その平均値を求め、通過性抑制率から、下記評価基準2に基づき各例(実施例及び比較例)の象牙細管の封鎖効果を評価した。
Figure 0005663893
〈評価基準2〉
◎:液通過性抑制率が90%以上である
○:液通過性抑制率が80%以上90%未満である
△:液通過性抑制率が60%以上80%未満である
×:液通過性抑制率が60%未満である
〔実験3〕象牙質脱灰抑制効果の評価
牛歯根から表面にウィンドウを施した象牙質ブロックを作製し、これをサンプルとして、表に示す洗口液(実施例及び比較例)の処理液に3分間、室温で浸漬させ、軽く処理液を除いた後、CaCl2:2.2mmol/L、KH2PO4:2.2mmol/L、酢酸:100mmol/L、1.0単位/mLの酸性フォスファターゼを含むpH4.5の脱灰液に37℃、6時間浸漬した。再び各例の処理液に3分間、室温で浸漬させ、軽く処理液を除いた後、Clostridium histolyticum由来のコラゲナーゼ(Type 1A,Sigma社製)溶液(1.0単位/mL 50mmol/L HEPES,pH6.5)に37℃で18時間浸漬した。これらの処理を1日各1回、合計5日間繰り返した。処理後、象牙質ブロックを蒸留水でよく濯ぎ、マイクロカッター(MC−201、マルトー(株)製)にてウィンドウに対して垂直方向に厚さ約200μmの切片を流水下で注意深く切り出した。更に、ウェット状態で、軟X線発生装置(CMRII、ソフテックス(株)製)により、軟X線用フィルム(SO−343、コダック社製)上に2.8mA、18kVp、60分照射し、各切片のTMR(Transverse Micro Radiography)像を取得した。
最後に、各切片の脱灰程度を、切片と共に撮影した15枚のアルミニウムステップウェッジのTMR像から、画像解析装置(PIAS−V、ピアス(株)製)により各TMR像のミネラルプロファイルを描き、ミネラル喪失量ΔZ(脱灰量)を算出した。洗口液処理せず、脱灰およびコラゲナーゼ処理のみを行ったサンプル(無処理群)の脱灰量も同様に算出した。無処理群の平均ΔZを基準脱灰量とし、各例(実施例及び比較例)の平均ΔZから下記式(3)により象牙質脱灰抑制率を求めた。なお、一連の実験操作は、各例につきN=3で行い、その平均値を求め、評価基準3に基づき象牙質脱灰抑制効果を評価した。
Figure 0005663893
〈評価基準3〉
◎:象牙質脱灰抑制率が70%以上
○:象牙質脱灰抑制率が50%以上70%未満
△:象牙質脱灰抑制率が40%以上50%未満
×:象牙質脱灰抑制率が40%未満
〔実験4〕使用感の評価
パネラー5名を用い、各例(実施例及び比較例)の洗口液について、渋味・苦味の強さ、後味の良さを総合した使用感について評価を行った。具体的には、各洗口液20mLを口に含み、20秒間洗口した後に吐出し、吐出後、洗口時の渋味・苦味の強さ、洗口後の後味の良さを配慮した総合的な使用感についてアンケートを行い、下記評価基準4−1に従い評点化した。更に、各例とも、N=5の平均値を求め、評価基準4−2に基づき4段階評価した。
〈評価基準4−1;各被験者の評点〉
4点:良い
3点:やや良い
2点:やや悪い
1点:悪い
〈評価基準4−2;5名の平均値〉
◎:3.5点以上
○:3.0点以上3.5点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満
実施例の組成及び評価結果を表1〜5に、比較例の組成及び評価結果を表6に示す。
Figure 0005663893
*C/A質量比は、(C)成分/((A)成分中のリュウガン種子エキス)の質量比を表
す(以下、同様。)。
Figure 0005663893
Figure 0005663893
Figure 0005663893
Figure 0005663893
Figure 0005663893
表1〜6の結果から、本発明の口腔用組成物は、(A)リュウガン種子抽出物と(B)フッ素化合物及び(C)糖アルコールとの併用により顕著に優れた象牙細管封鎖効果及び象牙質脱灰抑制効果が発揮され、かかる効果は、リュウガン種子抽出物の代わりに象牙質知覚過敏抑制の有効成分として公知の乳酸アルミニウムを配合した洗口液と比較してもより優れ、更に、製造直後及び保存後の外観安定性及びフッ素化合物安定性に優れ、良好な使用感も有していた。更に、(C)成分/((A)成分中のリュウガン種子エキス)の質量比が適切な場合は、より優れた象牙細管封鎖効果及び象牙質脱灰抑制効果が発揮され、更に良好な保存安定性及び使用感も十分に確保されることがわかった。
これらに対して、(A)リュウガン種子抽出物、(B)フッ素化合物、及び(C)糖アルコールのいずれかを欠く組成では、満足な象牙細管封鎖効果及び象牙質脱灰抑制効果が認められなかった。また、(C)成分の糖アルコールの代わりにマンニトールを配合し、(A)リュウガン種子抽出物及び(B)フッ素化合物と併用しても、満足な効果は認められなかった。
次に、他の製剤例として、練歯磨剤の実施例を示す。
練歯磨剤の調製(実施例53〜62)
精製水中に水溶成分(リュウガン種子抽出物、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、サッカリンナトリウム、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール等)を常温で混合溶解させたA相を調製した。更にフッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウムは、日本国内で認可される含有量がフッ化物イオンとして1,000ppm以下であるため、実施例ではフッ化ナトリウムは0.21%、モノフルオロリン酸ナトリウムは0.73%を中心に配合した。一方、プロピレングリコール中に、殺菌剤等の油溶性成分、ポリアクリル酸ナトリウム(レオジック250H、日本純薬(株)製)、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム等を常温で溶解・分散させたB相を調製した。次に、撹拌中のA相の中にB相を添加混合し、C相を調製した。C相中に、香料、無水ケイ酸、その他の成分(ラウリル硫酸ナトリウム等)を、1.5Lニーダー(石山工作所製)を用いて常温で混合し、4kPaまで減圧し、脱泡を行い、歯磨剤1.0kgを得た。
〔実施例53〕練歯磨剤
(A)リュウガン種子抽出物(ロンガン種子エキスパウダーSD(エキス濃度83%)、片倉チッカリン社製) 1.2
(エキスとして1.0)
(B)フッ化ナトリウム 0.21
(フッ素として950ppm)
(C)キシリトール 30
(C)ソルビトール 10
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
アルギン酸ナトリウム 0.5
ポリアクリル酸ナトリウム 0.3
プロピレングリコール 3.0
リン酸水素二ナトリウム 0.5
サッカリンナトリウム 0.01
香料 0.15
メチルパラベン 0.3
水酸化ナトリウム 適量
精製水 残
合計 100%
(C)/((A)中のリュウガン種子エキス)の質量比:40、pH7.8
〔実施例54〕練歯磨剤
(A)リュウガン種子抽出物(ロンガン種子エキスパウダーSD(エキス濃度83%)、片倉チッカリン社製) 2.4
(エキスとして2.0)
(B)フッ化ナトリウム 0.21
(フッ素として950ppm)
(C)キシリトール 20
(C)ソルビトール 20
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
アルギン酸ナトリウム 0.5
ポリアクリル酸ナトリウム 0.3
プロピレングリコール 3.0
リン酸水素二ナトリウム 0.5
サッカリンナトリウム 0.01
香料 0.15
メチルパラベン 0.3
水酸化ナトリウム 適量
精製水 残
合計 100%
(C)/((A)中のリュウガン種子エキス)の質量比:20、pH7.0
〔実施例55〕練歯磨剤
(A)リュウガン種子抽出物(ロンガン種子エキスパウダーSD(エキス濃度83%)、片倉チッカリン社製) 3.6
(エキスとして3.0)
(B)フッ化ナトリウム 0.21
(フッ素として950ppm)
(C)ソルビトール 40
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
キサンタンガム 0.3
ポリアクリル酸ナトリウム 0.9
イソプロピルメチルフェノール 0.02
プロピレングリコール 3.0
リン酸水素二ナトリウム 0.5
サッカリンナトリウム 0.01
香料 0.15
メチルパラベン 0.3
水酸化ナトリウム 適量
精製水 残
合計 100%
(C)/((A)中のリュウガン種子エキス)の質量比:13、pH7.1
〔実施例56〕練歯磨剤
(A)リュウガン種子抽出物(ロンガン種子エキスパウダーSD(エキス濃度83%)、片倉チッカリン社製) 3.6
(エキスとして3.0)
(B)フッ化ナトリウム 0.21
(フッ素として950ppm)
(C)エリスリトール 40
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
キサンタンガム 0.3
ポリアクリル酸ナトリウム 0.9
イソプロピルメチルフェノール 0.02
プロピレングリコール 3.0
リン酸水素二ナトリウム 0.5
サッカリンナトリウム 0.01
香料 0.15
メチルパラベン 0.3
水酸化ナトリウム 適量
精製水 残
合計 100%
(C)/((A)中のリュウガン種子エキス)の質量比:13、pH7.8
〔実施例57〕練歯磨剤
(A)リュウガン種子抽出物(ロンガン種子エキスパウダーSD(エキス濃度83%)、片倉チッカリン社製) 0.12
(エキスとして0.1)
(B)フッ化ナトリウム 0.21
(フッ素として950ppm)
(C)エリスリトール 20
(C)ソルビトール 10
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
ポリアクリル酸ナトリウム 0.9
デキストラナーゼ 0.2
イソプロピルメチルフェノール 0.05
プロピレングリコール 3.0
リン酸水素二ナトリウム 0.5
サッカリンナトリウム 0.01
香料 0.15
メチルパラベン 0.3
水酸化ナトリウム 適量
精製水 残
合計 100%
(C)/((A)中のリュウガン種子エキス)の質量比:300、pH8.0
〔実施例58〕練歯磨剤
(A)リュウガン種子抽出物(エイジテクト(エキス濃度1%)、片倉チッカリン社製) 10
(エキスとして0.1)
(B)フッ化ナトリウム 0.21
(フッ素として950ppm)
(C)ソルビトール 20
(C)キシリトール 5.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
塩化セチルピリジニウム 0.05
キサンタンガム 0.5
プロピレングリコール 3.0
トラネキサム酸 0.1
サッカリンナトリウム 0.01
香料 0.15
メチルパラベン 0.3
水酸化ナトリウム 適量
精製水 残
合計 100%
(C)/((A)中のリュウガン種子エキス)の質量比:250、pH7.9
〔実施例59〕練歯磨剤
(A)リュウガン種子抽出物(ロンガン種子エキスパウダーSD(エキス濃度83%)、片倉チッカリン社製) 1.8
(エキスとして1.5)
(B)フッ化ナトリウム 0.21
(フッ素として950ppm)
(C)エリスリトール 20
(C)ソルビトール 10
シリカ 15
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
ポリアクリル酸ナトリウム 0.9
プロピレングリコール 3.0
デキストラナーゼ 0.2
リン酸水素二ナトリウム 0.5
サッカリンナトリウム 0.01
香料 0.15
メチルパラベン 0.3
水酸化ナトリウム 適量
精製水 残
合計 100%
(C)/((A)中のリュウガン種子エキス)の質量比:20、pH7.9
〔実施例60〕練歯磨剤
(A)リュウガン種子抽出物(ロンガン種子エキスパウダーSD(エキス濃度83%)、片倉チッカリン社製) 1.8
(エキスとして1.5)
(B)モノフルオロリン酸ナトリウム 0.73
(フッ素として950ppm)
(C)エリスリトール 10
(C)ソルビトール 20
(C)キシリトール 10
重質炭酸カルシウム 20
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
ポリアクリル酸ナトリウム 0.4
プロピレングリコール 3.0
デキストラナーゼ 0.2
リン酸水素二ナトリウム 0.5
サッカリンナトリウム 0.01
香料 0.15
メチルパラベン 0.3
水酸化ナトリウム 適量
精製水 残
合計 100%
(C)/((A)中のリュウガン種子エキス)の質量比:27、pH7.1
〔実施例61〕練歯磨剤
(A)リュウガン種子抽出物(ロンガン種子エキスパウダーSD(エキス濃度83%)、片倉チッカリン社製) 1.8
(エキスとして1.5)
(B)モノフルオロリン酸ナトリウム 0.73
(フッ素として950ppm)
(C)キシリトール 20
(C)ソルビトール 20
重質炭酸カルシウム 15
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
ポリアクリル酸ナトリウム 0.9
プロピレングリコール 3.0
イソプロピルメチルフェノール 0.1
サッカリンナトリウム 0.01
香料 0.15
メチルパラベン 0.3
水酸化ナトリウム 適量
精製水 残
合計 100%
(C)/((A)中のリュウガン種子エキス)の質量比:27、pH7.8
〔実施例62〕練歯磨剤
(A)リュウガン種子抽出物(ロンガン種子エキスパウダーSD(エキス濃度83%)、片倉チッカリン社製) 2.4
(エキスとして2.0)
(B)モノフルオロリン酸ナトリウム 0.73
(フッ素として950ppm)
(C)ソルビトール 40
重質炭酸カルシウム 25
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
ポリアクリル酸ナトリウム 0.9
プロピレングリコール 3.0
塩化ベンザルコニウム 0.01
サッカリンナトリウム 0.01
香料 0.15
メチルパラベン 0.3
水酸化ナトリウム 適量
精製水 残
合計 100%
(C)/((A)中のリュウガン種子エキス)の質量比:20、pH8.0

Claims (5)

  1. (A)リュウガン種子抽出物をリュウガン種子エキスとして0.01〜5質量%
    (B)フッ素化合物をフッ素として100〜2,000ppm、及び
    (C)キシリトール、ソルビトール、エリスリトールから選ばれる少なくとも1種の糖アルコールを0.5〜60質量%
    含有し、かつ(C)成分/((A)成分中のリュウガン種子エキス)の質量比(C/A)が1〜3,000であることを特徴とする口腔用組成物。
  2. (C)成分/((A)成分中のリュウガン種子エキス)の質量比(C/A)が2〜300であ請求項1記載の口腔用組成物。
  3. (B)フッ素化合物が、フッ化物又はモノフルオロリン酸塩である請求項1又は2記載の口腔用組成物。
  4. 象牙質う蝕予防用製剤である請求項1、2又は3記載の口腔用組成物。
  5. 象牙質知覚過敏用製剤である請求項1、2又は3記載の口腔用組成物。
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